JP2018154129A - ポリイミド積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリイミド層と、このポリイミド層に隣接する樹脂層とを有し、ポリイミド層と隣接樹脂層との層間密着性に優れたポリイミド積層体の提供。【解決手段】ポリイミド層と、ポリイミド層に隣接する樹脂層とを有し、ポリイミド層が、側鎖に複素環を有するポリマーを含むポリイミド積層体。ポリイミド層に複素環を側鎖に有するポリマーが、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、並びに、ビニルピロリドン及び/又はビニルピリジンを共重合成分として含む共重合体よりなる群から選ばれる1種又は2種以上である。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリイミド層と、このポリイミド層に隣接する樹脂層とを有するポリイミド積層体に関するものであり、特に、ポリイミド層と、これと隣接する樹脂層との層間密着性に優れたポリイミド積層体に関する。
従来、電気、電子部品、輸送機器、宇宙、航空機等の分野において、耐熱性、電気絶縁特性、耐摩耗性、耐薬品性及び機械特性等に優れたポリイミドが広く利用されている。ポリイミドの代表的な用途である絶縁被膜では、最終製品の高性能化に伴い、絶縁樹脂にはさらに高い性能が要求されている。例えばフレキシブルプリント回路基板(FPC)ではデバイスの小型化に伴ってFPCを薄型化するために絶縁被膜の薄膜化が求められるだけでなく、デバイスの筐体内に収めるために高い屈曲性が求められる。そのため、絶縁被膜には薄膜でも十分な耐久性を達成するための機械強度と、屈曲時の破断を防ぐ柔軟性が求められる。ディスプレイパネル中の絶縁被膜では、ディスプレイの薄型化とフレキシブル化のためFPC向け絶縁被膜と同様に柔軟性が求められるとともに、タッチペンなどでの接触に耐えるため、高い機械強度が求められる。さらに自動車に用いられる各種電線の絶縁被覆材料においても自動車の高出力化に伴う高耐熱性、配線の高密度化にともなう電線の高屈曲化と電線同士の擦れに対応するために高い柔軟性と機械強度が求められる。
例えば、モータのコイル(マグネットワイヤ、ワイヤーハーネスなど)に使用されるエナメル線は、小型化、軽量化、高耐熱化というモータ性能の要求に応えるため、絶縁性かつ高耐熱性で過酷なコイル成形に耐えうる機械的特性等を兼ね備えたポリイミド樹脂被覆エナメル線が用いられている(特許文献1)。
特開2011−29100号公報
ポリイミド樹脂を用いて基板やコイル等に厚膜の絶縁被膜を形成する場合、一回の塗布、焼成の成膜工程のみで、厚膜の絶縁被膜を形成しようとすると、発泡などの問題が起こるため、要求特性を満たす絶縁被膜を形成することができない。
このため、厚膜の絶縁被膜を形成するためには、塗布、焼成の成膜工程を複数回繰り返し行う必要がある。しかし、このように成膜工程を複数回行った場合、先に形成したポリイミド層と、次の成膜工程で形成したポリイミド層との層間密着性が悪く、層間で剥離し易い欠点がある。また、層間密着性が悪いために、層間に溶剤が入り込むことで、耐溶剤性が劣るものとなるという問題もある。
この層間密着性の悪さは、ポリイミド樹脂の剛直な構造に起因し、先に成膜したポリイミド層の表面のポリイミド分子が動き難いことにより、この表面に次のポリイミド層を形成するための塗布液を塗布した際に、この塗布液が下層のポリイミド層の表面に十分になじまないことによるものである。この層間密着性の悪さは、ポリイミド層上にポリイミド層を成膜する場合に限らず、ポリイミド層上にポリイミド樹脂層以外の樹脂層を成膜する場合にも同様に起こるものである。
この問題に対して、層間密着性の向上のための添加剤を添加することが考えられるが、ポリイミド樹脂及び/またはその前駆体であるポリアミック酸は成膜時の焼成温度が高く、通常の樹脂層の形成に使用される一般的な添加剤を使用することができない。
本発明は上記課題を解決するものであって、本発明の目的は、ポリイミド層と、このポリイミド層に隣接する樹脂層とを有するポリイミド積層体であって、ポリイミド層と、隣接樹脂層との層間密着性に優れたポリイミド積層体を提供することにある。
本発明者等は上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、ポリイミド層に複素環を側鎖に有するポリマーを添加することで、ポリイミド層と隣接樹脂層との層間密着性を向上させることができることを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明は以下を要旨とする。
[1] ポリイミド層と、該ポリイミド層に隣接する樹脂層とを有するポリイミド積層体であって、該ポリイミド層が、側鎖に複素環を有するポリマーを含むポリイミド積層体。
[2] 前記側鎖に複素環を有するポリマーが、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、並びに、ビニルピロリドン及び/又はビニルピリジンを共重合成分として含む共重合体よりなる群から選ばれる1種又は2種以上である、[1]に記載のポリイミド積層体。
[3] 前記ポリイミド層に含まれるポリイミド樹脂のガラス転移温度(Tg)が250〜400℃である、[1]又は[2]に記載のポリイミド積層体。
[4] 前記ポリイミド層に含まれるポリイミド樹脂が下記式(1)で表される構造単位及び下記式(2)で表される構造単位の少なくとも一方を有する、[1]乃至[3]のいずれかに記載のポリイミド積層体。
Figure 2018154129
[5] 前記ポリイミド層に含まれるポリイミド樹脂が下記式(3)で表される構造単位を有する、[1]乃至[4]のいずれかに記載のポリイミド積層体。
Figure 2018154129
(上記式(3)中、R〜Rはそれぞれ互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のフルオロアルキル基又は水酸基であり、Xは直接結合、酸素原子、硫黄原子、炭素数1〜4のアルキレン基、スルホニル基、スルフィニル基、スルフィド基、カルボニル基、エステル基又は2級アミノ基であり、nは0〜4の整数である。)
[6] 前記ポリイミド層に含まれるポリイミド樹脂が、下記式(5)で表される構造を含む繰り返し単位と、−NH−、=NH、−C(O)NH−、−NHC(O)O−、−NHC(O)NH−、−NHC(S)NH−、−NH、−OH、−C(O)OH、−SH、−C(O)N(OH)−、−(O)S(O)−、−C(O)−、及び−C(O)SHからなる群から選ばれる少なくとも1種の構造を含む繰り返し単位とを有する[1]乃至[5]のいずれかに記載のポリイミド積層体。
Figure 2018154129
(上記式(5)中、Rはテトラカルボン酸残基、Rはジアミン残基を表す。)
[7] 前記ポリイミド層に含まれるポリイミド樹脂が、前記式(5)で表される構造を含む繰り返し単位と、−C(O)NH−構造を含む繰り返し単位とを有する、[6]に記載のポリイミド積層体。
[8] 前記−C(O)NH−構造が、4,4’−ジアミノベンズアニリドに由来する構造である、[7]に記載のポリイミド積層体。
[9] 前記ポリイミド層に含まれるポリイミド樹脂の分子末端が封止されている、[1]乃至[8]のいずれかに記載のポリイミド積層体。
[10] 前記ポリイミド層の厚さが0.1〜100μmである、[1]乃至[9]のいずれかに記載のポリイミド積層体。
[11] [1]乃至[10]のいずれかに記載のポリイミド積層体で金属基材を被覆してなる金属−ポリイミド積層体。
[12][1]乃至[10]のいずれかに記載のポリイミド積層体で金属線を被覆してなるマグネットワイヤー。
[13] [1]乃至[10]のいずれかに記載のポリイミド積層体の前記ポリイミド層を形成するためのポリイミド樹脂組成物であって、ポリイミド樹脂及び/またはその前駆体100重量部に対して側鎖に複素環を有するポリマーを0.1〜7重量部含む樹脂組成物。
本発明によれば、ポリイミド層と、このポリイミド層に隣接する樹脂層とを有するポリイミド積層体であって、ポリイミド層と、隣接樹脂層との層間密着性に優れたポリイミド積層体が提供される。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下の説明は、本発明の実施の形態の一例であり、本発明はその要旨を超えない限り、以下の記載内容に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」という表現を用いる場合、その前後の数値又は物性値を含む表現として用いるものとする。
本発明のポリイミド積層体は、ポリイミド層と、該ポリイミド層に隣接する樹脂層とを有するポリイミド積層体であって、該ポリイミド層が、側鎖に複素環を有するポリマーを含むことを特徴とするものである。
本発明のポリイミド積層体は、少なくとも1層のポリイミド層とこのポリイミド層に隣接する樹脂層とを有するものであればよく、ポリイミド層と隣接樹脂層との2層積層構造に限らず、3層以上の積層構造であってもよい。また、隣接樹脂層は、ポリイミド層に限らず、ポリイミド樹脂以外の他の樹脂で形成された層であってもよい。
ここで、1層のポリイミド層又は樹脂層とは、1回の成膜工程で形成される層をさし、例えば、後述の本発明の樹脂組成物を塗布して形成された塗膜を加熱する成膜工程を行って形成されたポリイミド層を「1層のポリイミド層」と称す。このポリイミド層上に再度本発明の樹脂組成物や他の樹脂層形成のための樹脂組成物を塗布、加熱する工程を行った場合は2層のポリイミド層の積層体、或いは1層のポリイミド層と1層の樹脂層の積層体という。
本発明に係るポリイミド層は、側鎖に複素環を有するポリマーを含むものであればよく、その形成方法には特に制限はないが、例えば、後述のポリイミドワニスないしポリアミック酸ワニスに、側鎖に複素環を有するポリマーの所定量を添加した樹脂組成物(以下において、この樹脂組成物を「本発明の樹脂組成物」と称す場合がある。)を塗布液として用いて形成される。なお、ポリイミドワニスにはポリアミック酸を含んでいてもよく(ただしポリイミドより少ない量)、ポリアミック酸ワニスにはポリイミドを含んでいてもよい(ただしポリアミック酸より少ない量)。
[作用機構]
ポリイミド層に側鎖に複素環を有するポリマーを含有させることで、ポリイミド層と隣接樹脂層との層間密着性を向上させることができる作用機構は、以下の通りである。
即ち、前述の通り、ポリイミド層と隣接樹脂層との層間密着性の悪さは、ポリイミド分子の運動性が低いため、分子鎖の絡み合いもしくは化学結合が生じにくいことによるが、ポリイミド層が側鎖に複素環を有するポリマーを含むと、界面の親水性、分子運動性が向上して層間密着性を高めることができる。これは、ポリビニルピロリドンのような側鎖に複素環を有するポリマーが、ポリイミド樹脂の溶媒として通常用いられるN−メチルピロリドン(NMP)等と構造が類似していることから、このような溶媒を含む塗布液となじみ易く、しかも、側鎖に複素環を有するポリマーは、ポリイミド樹脂のイミド環構造とも類似しているため、塗布液とポリイミド層とのなじみ性が更に改善され、層間密着性が向上することによるものと考えられる。
絶縁被覆樹脂としての耐熱性、耐屈曲性、耐摩耗性は、エナメル線の絶縁被覆樹脂用途に限らず、例えばフレキシブルディスプレイ基板の絶縁被膜形成用のポリイミド樹脂にも要求されるが、ポリイミド層に側鎖に複素環を有するポリマーを含むことで、ポリイミド樹脂の耐熱性を維持した上で耐屈曲性(屈曲追従性)を向上させることができるという効果も得ることもできる。その理由の詳細は明らかではないが、ポリビニルピロリドンのような側鎖に複素環を有するポリマーは、ポリイミド樹脂の分子間に配位しやすく、これらがポリイミド樹脂の分子間に配位することで、ポリイミド分子間の強固な分子間力が弱くなり、ポリイミド分子の運動性が向上することによるものと推測される。
また、ポリイミド樹脂に、後述の水素結合形成構造を導入することにより、耐摩耗性を高めることができ、更にポリイミド樹脂の末端を封止することにより、耐屈曲性を高めることができる。
[ポリイミド樹脂]
まず、本発明のポリイミド積層体のポリイミド層を形成するポリイミド樹脂について説明する。
ポリイミド樹脂は通常、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを原料として用い、ポリアミック酸(ポリイミド前駆体)を得た後、該ポリアミック酸をイミド化することにより得ることができるが、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物からイミド化反応により直接ポリイミド樹脂を製造することもできる。
テトラカルボン酸二無水物としては、鎖状脂肪族テトラカルボン酸二無水物、脂環式テトラカルボン酸二無水物、芳香族テトラカルボン酸二無水物などが挙げられる。これらの化合物は、1種を単独で用いても、2種以上を任意の比率及び組合せで用いてもよい。
鎖状脂肪族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、エチレンテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、meso−ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物などが挙げられる。
脂環式テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、3,3’,4,4’−ビスシクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−テトラメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−11,2−ジカルボン酸無水物、トリシクロ[6.4.0.02,7]ドデカン−1,8:2,7−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸無水物、1,1’−ビシクロヘキサン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物などが挙げられる。
芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、4,4−(p−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物、4,4−(m−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物、2,2’,6,6’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’、5,5’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’−(ヘキサフルオロトリメチレン)−ジフタル酸二無水物、4,4’−(オクタフルオロテトラメチレン)−ジフタル酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸無水物、1,2,5,6−ナフタレンジカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンジカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンジカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物などが挙げられる。
ジアミン化合物としては、芳香族ジアミン化合物、鎖状脂肪族ジアミン化合物、脂環式ジアミン化合物等が挙げられる。これらの化合物は、1種を単独で用いても、2種以上を任意の比率及び組合せで用いてもよい。
芳香族ジアミン化合物としては、例えば、1,4−フェニレンジアミン、1,2−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、4,4’−(ビフェニル−2,5−ジイルビスオキシ)ビスアニリン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ネオペンタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル、ビス(4−アミノ−3−カルボキシフェニル)メタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、N−(4−アミノフェノキシ)−4−アミノベンズアミン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、ビス(3−アミノフェニル)スルホン、ノルボルナンジアミン、4,4’−ジアミノ−2−(トリフルオロメチル)ジフェニルエーテル、5−トリフルオロメチル−1,3−ベンゼンジアミン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、2,2−ビス[4−{4−アミノ−2−(トリフルオロメチル)フェノキシ}フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2−トリフルオロメチル−p−フェニレンジアミン、2,2−ビス(3−アミノ−4−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−(9−フルオレニリデン)ジアニリン、2,7−ジアミノフルオレン、1,5−ジアミノナフタレン、及び3,7−ジアミノ−2,8−ジメチルジベンゾチオフェン5,5−ジオキシドなどが挙げられる。
鎖状脂肪族ジアミン化合物としては、例えば、1,2−エチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,5−ジアミノペンタン、1,10−ジアミノデカン、1,2−ジアミノ−2−メチルプロパン、2,3−ジアミノ−2,3−ブタンジアミン、及び2−メチル−1,5−ジアミノペンタンなどが挙げられる。
脂環式ジアミン化合物としては、例えば、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、及び4,4’−メチレンビス(2−メチルシクロヘキシルアミン)などが挙げられる。
<その他の成分>
ポリイミド樹脂の製造には、さらに目的に応じ、架橋点となるエチニル基、ビニル基、アリル基、シアノ基、イソシアネート基等を有する化合物(以下、「その他のモノマー」と称す場合がある。)を用いてもよい。
<好適態様1>
本発明で用いるポリイミド樹脂は、耐熱性、生産性の観点から、下記式(1)で表される構造単位及び下記式(2)で表される構造単位の少なくとも一方を有することが好ましい。
Figure 2018154129
上記式(1),(2)で表される構造単位は、テトラカルボン酸二無水物に由来するものであっても、ジアミン化合物に由来するものであってもよいが、通常、テトラカルボン酸二無水物によりポリイミド樹脂に導入される。従って、本発明で用いるポリイミド樹脂は、原料のテトラカルボン酸二無水物として、少なくともピロメリット酸二無水物及び/又は3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を用いて製造されたものであることが好ましい。
また、本発明で用いるポリイミド樹脂は、耐熱性の観点から、下記式(3)で表される構造単位を有することが好ましい。
Figure 2018154129
上記式(3)において、R〜Rはそれぞれ互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のフルオロアルキル基又は水酸基である。これらの中でも、水素原子又はメチル基が好ましい。
上記式(3)において、Xは直接結合、酸素原子、硫黄原子、炭素数1〜4のアルキレン基、スルホニル基、スルフィニル基、スルフィド基、カルボニル基、アミド基、エステル基又は2級アミノ基である。これらの中でも、直接結合、酸素原子、硫黄原子、炭素数1〜4のアルキレン基、スルホニル基又はアミド基が好ましく、特に酸素原子及び/又はアミド基が好ましい。
上記式(3)において、nは0〜4の整数である。nは好ましくは1〜4の整数である。
なお、ポリイミド1分子全体における式(3)で表される構造単位において、R〜R、X、nは必ずしも全て同一でなくともよい。特に、nが2以上の整数である場合、Xは異なる構造であってもよい。
式(3)で表される構造単位の中でも、下記式(3−1)〜式(3−6)で表される構造単位のいずれかで表されるものが好ましい。なお、1分子のポリイミド中にこれらの構造単位が1種のみで含まれていても、複数種が組み合わされて含まれていてもよい。
Figure 2018154129
上記式(3)で表される構造単位はテトラカルボン酸二無水物に由来するものであっても、ジアミン化合物に由来するものであってもよいが、通常、ジアミン化合物によりポリイミド樹脂に導入される。
従って、本発明で用いるポリイミド樹脂は、ジアミン化合物として少なくとも下記式(4)で表されるジアミン化合物を用いて製造されることが好ましい。
Figure 2018154129
上記式(4)において、R’〜R’は前記式(3)におけるR〜Rと同様に定義され、X’はXと同様に定義される。また、n’はnと同様に定義される。
上記式(4)で表されるジアミン化合物としては、例えば、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノベンゾイルアニリド、4−アミノフェニル−4−アミノベンゾエート、ビス(4−アミノフェニル)テレフタレート、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−カルボキシフェニル)メタン等が挙げられる。これらの中でも、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル等が好ましい。
本発明で用いるポリイミド樹脂は、前記式(1)又は(2)で表される構造単位、前記式(3)で表される構造単位以外の構造単位を有していてもよいが、前記式(1)又は(2)で表される構造単位、前記式(3)で表される構造単位による前述の効果を有効に得る上で、ポリイミド樹脂を構成するテトラカルボン酸二無水物に由来する全構造単位中に、式(1)及び/又は(2)で表される構造単位を80モル%以上、特に90〜100モル%含み、ポリイミド樹脂を構成するジアミン化合物に由来する全構造単位中に式(3)で表される構造単位を80モル%以上、特に90〜100モル%含むことが好ましい。
本発明で用いるポリイミド樹脂が、前記式(1)で表される構造単位及び前記式(2)で表される構造単位の両方を有する場合、その割合は特に限定されない。好ましくは、前記式(1)で表される構造単位と前記式(2)で表される構造単位の合計100モル%に対して前記式(1)で表される構造単位を50モル%以上が好ましく、60モル%以上がより好ましく、70モル%以上がより好ましく、80モル%以上がさらに好ましく、90モル%以上がさらに好ましく、95%以上が特に好ましい。上記範囲であることで、耐屈曲性が向上する傾向にある。
<好適態様2>
本発明で用いるポリイミド樹脂は耐熱性、耐摩耗性、耐屈曲性の観点から、下記式(5)で表される構造を含む繰り返し単位と、−NH−(イミノ結合;イミノ基と言うこともある)、=NH(イミノ基)、−C(O)NH−(アミド結合;アミド基と言うこともある)、−NHC(O)O−(ウレタン結合;ウレタン基と言うこともある)、−NHC(O)NH−(ウレア結合;ウレア基と言うこともある)、−NHC(S)NH−(チオウレア結合;チオウレア基と言うこともある)、−NH(アミノ基)、−OH(水酸基)、−C(O)OH(カルボキシ基)、−SH(チオール基)、−C(O)N(OH)−(ヒドロキシアミド基)、−(O)S(O)−(スルホニル基)、−C(O)−(カルボニル基)、及び−C(O)SH(チオカルボキシ基)からなる群から選ばれる少なくとも1種の構造(以下、これらの構造を「水素結合形成構造」と称す場合がある。)を含む繰り返し単位とを有することが好ましい。
Figure 2018154129
(式中、Rはテトラカルボン酸残基(即ち、テトラカルボン酸二無水物に由来する構造単位)、Rはジアミン残基(即ち、ジアミン化合物に由来する構造単位)を表す。)
これは以下の理由による。
分子鎖間を化学結合で連結すると、弾性率が高くなることが知られている。化学結合には共有結合と非共有結合があるが、共有結合で分子鎖間を連結した場合、弾性率は高くなる(即ち、耐摩耗性は向上する。)が、機械的な柔軟性(伸び)は低下する。即ち、耐屈曲性は低下する。通常、ポリイミド樹脂又はポリアミック酸は一定の温度以上で焼成すると、分子の末端が他の分子または分子内の特定部位等と反応して共有結合を形成するため、柔軟性は低下するが、分子が非共有結合を形成する構造を含む繰り返し単位を有することで、分子間及び/または分子内の特定部位等と非共有結合(以下、単に「非共有結合」と記すことがある)が形成され、分子間相互作用により適度な弾性率を有し、耐摩耗性と耐屈曲性とを両立することができる。
非共有結合としては、イオン結合、π−πスタッキング及び水素結合等が挙げられるが、ポリイミド樹脂の耐熱性が高くなり、また機械特性にも優れるようになることから、水素結合が好ましく、本発明の好適態様2においては、水素結合を形成する構造として、特にその効果に優れる、上述の水素結合形成構造をポリイミド樹脂に導入する。
上記の水素結合形成構造のうち、特に−C(O)NH−(アミド結合)、−NHC(O)NH−(ウレア結合)、−OH(水酸基)が好ましく、とりわけ−C(O)NH−(アミド結合)が、上記の導入効果に優れる点から好ましい。
ポリイミド分子中の、水素結合形成構造の含有量としては、特に制限はないが、ポリアミック酸の場合、ポリアミック酸中の全ての繰り返し単位が水素結合形成構造を1つずつ含む場合を100%とすると、通常0%より大きく、好ましくは2%以上、より好ましくは5%以上、通常100%未満、好ましくは75%以下、より好ましくは50%以下である。また、ポリイミド樹脂の場合も、全ての繰り返し単位が非共有結合を形成する構造を1つずつ含む場合を100%とすると、通常0%より大きく、好ましくは2%以上、より好ましくは5%以上、通常100%未満、好ましくは75%以下、より好ましくは50%以下である。導入量がこの範囲にあることで、引張弾性率や伸び等の機械特性がより良好なポリイミド樹脂とすることができる。
なお、ポリイミド分子中の、水素結合形成構造の含有量は、通常、NMR、IR、ラマン、滴定又は質量分析法等により求めることができる。
水素結合形成構造をポリイミド樹脂の繰り返し単位に導入する方法としては、ポリイミド樹脂を製造する際に、水素結合形成構造を有するモノマーを重合する方法、重合反応によって水素結合形成構造を形成する方法が挙げられ、特に、水素結合形成構造を1種以上有するモノマーをポリイミド樹脂の製造原料として用いて重合する方法が好ましい。
水素結合形成構造を1種以上有するモノマー(以下、「水素結合形成モノマー」と称す場合がある。)としては、水素結合形成構造を1種以上有するテトラカルボン酸二無水物やジアミン化合物が挙げられる。
具体的には、該テトラカルボン酸二無水物としては、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられ、ジアミン化合物の例としては、4,4’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ビス(4−アミノベンズアミド)−3,3’−ジヒドロキシビフェニル、2,2’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、2,2’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル、ビス(4−アミノ−3−カルボキシフェニル)メタン等が挙げられる。これらの水素結合形成モノマーは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の比率及び組合せで用いてもよい。
これらのうち、特に、4,4’−ジアミノベンズアニリドを用いることが導入効果に優れる点で好ましい。
これらの水素結合形成モノマーの導入量としては、特に制限はないが、ポリアミック酸の場合は、ポリアミック酸の全繰り返し単位中、通常0.5mol%以上、好ましくは5mol%以上、より好ましくは10mol%以上、通常50mol%以下、好ましくは40mol%以下、より好ましくは30mol%以下である。また、ポリイミド樹脂の場合も、ポリイミド樹脂の全繰り返し単位中、通常0.5mol%以上、好ましくは5mol%以上、より好ましくは10mol%以上、通常50mol%以下、好ましくは40mol%以下、より好ましくは30mol%以下である。水素結合形成モノマーの導入量がこの範囲にあることで、高弾性及び高伸度が両立されたポリイミド樹脂が得られ易い。以下、この水素結合形成モノマー導入量を「水素結合形成モノマー導入量」と称す。
<好適態様3>
本発明のポリイミド樹脂は、分子末端が封止されていることが好ましく、分子末端が封止されることで、前述の好適態様2の項で説明した共有結合の形成が抑制され、柔軟性が維持されることで、耐屈曲性が更に向上する。
分子末端が封止されたポリイミド樹脂を得る方法としては、ポリアミック酸やポリイミド樹脂を製造する際に、単官能の化合物を末端封止剤として反応させる方法がある。このような末端封止剤としては、特に限定はないが、例えば、酸無水物、アミン、エポキシ、イソシアネート及びアルコールなどが挙げられる。これらのうち、反応効率や耐熱性の維持のため、酸無水物又はアミンが好ましい。
酸無水物としては、芳香族酸無水物及び脂肪族酸無水物等が挙げられる。
芳香族酸無水物としては、例えば、無水フタル酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物、1,2−ナフタレンジカルボン酸無水物、4−メチルフタル酸無水物、3−メチルフタル酸無水物、4−クロロフタル酸無水物、4−tert−ブチルフタル酸無水物及び4−フルオロフタル酸無水物などが挙げられる。
脂肪族酸無水物には直鎖構造、環状構造があり、直鎖構造を有する脂肪族酸無水物としては、ブチルコハク酸無水物、デシルコハク酸無水物、n−オクチルコハク酸無水物、ドデシルコハク酸無水物、(2−メチル−2−プロピル)−コハク酸無水物及び2−オクチルコハク酸無水物などが挙げられる。
また、環状構造を有する脂肪族酸無水物としては、cis−1,2−シクロヘキシルカルボン酸無水物、tras−1,2−シクロヘキシルジカルボン酸無水物及び4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物などが挙げられる。
特に、機械特性、耐熱性維持のために、無水フタル酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物、1,2−ナフタレンジカルボン酸無水物、4−メチルフタル酸無水物又は3−メチルフタル酸無水物が好ましい。
アミンとしては、芳香族アミン及び脂肪族アミン等が挙げられる。
芳香族酸アミンとしては、例えば、アニリン、1−ナフチルアミン、1−アミノアントラセン、2−アミノアントラセン、9−アミノアントラセン、N,N−ジメチル−1,4−フェニレンジアミン、2−クロロアニリン、4−クロロアニリン、4−アミノピリジン、シトシン、p−トルイジン、4−ブチルアニリン、4−(2−アミノエチル)ピリジン、4−アミノ−4−エチルピリジン、4−アミノ−3−エチルピリジン及びイソニコチンアミドなどが挙げられる。
脂肪族アミンには直鎖構造、環状構造があり、直鎖構造を有する脂肪族アミンとしては、エチルアミン、tert−ブチルアミン、イソプロピルアミン、イソブチルアミン、ネオペンチルアミン及びプロピルアミンなどが挙げられる。
環状構造を有する脂肪族アミンとしては、シクロヘキシルアミン、4−メチルシクロヘキシルアミン、3−メチルシクロヘキシルアミン、アミノメチルシクロヘキサン、4−(2−アミノエチル)シクロヘキシルアミン及び4−ブチルシクロヘキシルアミンなどが挙げられる。
機械特性、耐熱性維持のために、無水フタル酸、アニリン、4−アミノピリジン及び1−ナフチルアミンが好ましい。
エポキシとしては、フェニルグリシジルエーテル、メチルフェニルグリシジルエーテル、ジメチルフェニルグリシジルエーテル、トリメチルフェニルグリシジルエーテル、テトラメチルフェニルグリシジルエーテル、エチルフェニルグリシジルエーテル、ジエチルフェニルグリシジルエーテル、トリエチルフェニルグリシジルエーテル、テトラエチルフェニルグリシジルエーテル、イソプロピルフェニルグリシジルエーテル、ジイソプロピルフェニルグリシジルエーテル、トリイソプロピルフェニルグリシジルエーテル、テトライソプロピルフェニルグリシジルエーテル、o−フェニルフェノールグリシジルエーテル、m−フェニルフェノールグリシジルエーテル、p−フェニルフェノールグリシジルエーテル、p−ターシャルブチルフェニルグリシジルエーテル、o−ターシャルブチルフェニルグリシジルエーテル、m−ターシャルブチルフェニルグリシジルエーテル、クロロフェニルグリシジルエーテル、ジクロロフェニルグリシジルエーテル、トリクロロフェニルグリシジルエーテル、テトラクロロフェニルグリシジルエーテル、ブロモフェニルグリシジルエーテル、ジブロモフェニルグリシジルエーテル、トリブロモフェニルグリシジルエーテル及びテトラブロモフェニルグリシジルエーテルなどが挙げられる。
イソシアネートとしては、n−ブチルイソシアネート、イソプロピルイソシアネート、フェニルイソシアネート、ベンジルイソシアネート等の単官能イソシアネート化合物、(メタ)アクリロイルイソシアネート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルイソシアネート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−1−メチルエチルイソシアネート及び2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−メチルエチルイソシアネート等の(メタ)アクリロイルオキシアルキルイソシアネートなどが挙げられる。
アルコールとしては、メタノール;エタノール;炭素数3である、1−プロパノール及び2−プロパノール;炭素数4である、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール及びt−ブタノール;炭素数5である、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール及び2−エチル−1−プロパノール等;炭素数6である、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、3−エチル−2−ブタノール、2,3−ジメチル−1−ブタノール及びシクロヘキサノール等;炭素数7である、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、4−ヘプタノール、2−メチル−1−ヘキサノール、2−メチル−3−ヘキサノール、2−メチル−4−ヘキサノール、3−メチル−1−ヘキサノール、3−メチル−2−ヘキサノール、3−メチル−4−ヘキサノール、2−エチル−1−ペンタノール、2−エチル−3−ペンタノール、2,2−ジメチル−1−ペンタノール、2,3−ジメチル−1−ペンタノール及び2,4−ジメチル−1−ペンタノール等;炭素数8である、1−オクタノール、2−オクタノール、3−オクタノール、4−オクタノール、2−メチル−1−ヘプタノール、2−メチル−3−ヘプタノール、2−メチル−4−ヘプタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、2−エチル−3−ヘキサノール、2−エチル−4−ヘキサノール、2−プロピル−1−ペンタノール、2−プロピル−3−ペンタノール、2−プロピル−4−ペンタノール、2,3−ジメチル−1−ヘキサノール及び2,4−ジメチル−1−ヘキサノール等;炭素数9である、1−ノナノール、2−ノナノール、3−ノナノール、4−ノナノール、5−ノナノール、2−メチル−1−オクタノール、2−メチル−3−オクタノール、2−メチル−4−オクタノール、2−メチル−5−オクタノール、2−メチル−6−オクタノール、2−エチル−1−ヘプタノール、2−エチル−3−ヘプタノール、2−エチル−4−ヘプタノール、2−エチル−5−ヘプタノール、2,6−ジメチル−1−ヘプタノール、2,6−ジメチル−4−ヘプタノール、3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノール、3,5,5−トリメチル−2−ヘキサノール及び2,2,4−トリメチル−1−ヘキサノール等;炭素数10である、1−デカノール、2−デカノール、3−デカノール、4−デカノール、5−デカノール、2−メチル−1−ノナノール、2−メチル−3−ノナノール、2−メチル−4−ノナノール、2−メチル−5−ノナノール、2−エチル−1−オクタノール、2−エチル−3−オクタノール、2−エチル−4−オクタノール及び2−エチル−5−オクタノール等;炭素数11である、1−ドデカノール、2−ドデカノール、3−ドデカノール、4−ドデカノール、2−メチル−1−ウンデカノール、2−エチル−1−デカノール及び2−プロピル−1−ノナノール等;炭素数12である、1−ドデカノール、2−ドデカノール、3−ドデカノール、1−エチル−1−デカノール、2−エチル−1−デカノール、3−エチル−1−デカノール及び2−ブチル−1−オクタノール等;炭素数13である、1−トリデカノール、2−トリデカノール、3−トリデカノール、1−エチル−1−ウンデカノール、2−エチル−1−ウンデカノール、3−エチル−1−ウンデカノール及び2−ブチル−1−ノナノール等;炭素14である、1−テトラデカノール、2−テトラデカノール、3−テトラデカノール、2−メチル−1−トリデカノール、2−エチル−1−ドデカノール及び2−プロピル−1−ウンデカノール等;炭素15である、1−ペンタデカノール、2−ペンタデカノール、3−ペンタデカノール、2−メチル−1−テトラデカノール、2−エチル−1−トリデカノール、2−プロピル−1−ドデカノール等;炭素16である、1−ヘキサデカノール、2−ヘキサデカノール、3−ヘキサデカノール、2−メチル−1−ペンタデカノール、2−エチル−1−テトラデカノール及び2−プロピル−1−トリデカノール等;炭素17である、1−ヘプタデカノール、2−ヘプタデカノール、3−ヘプタデカノール、2−メチル−1−ヘキサデカノール、2−エチル−1−ペンタデカノール及び2−プロピル−1−テトラデカノール等;炭素18である、1−オクタデカノール、2−オクタデカノール、3−オクタデカノール、2−メチル−1−ヘプタデカノール、2−エチル−1−ヘキサデカノール及び2−プロピル−1−ペンタデカノール等;炭素19である、1−ノナデカノール、2−ノナデカノール、3−ノナデカノール、2−メチル−1−オクタデカノール、2−エチル−1−ヘプタデカノール及び2−プロピル−1−ヘキサデカノール等;炭素20である、1−エイコサノール、2−エイコサノール、3−エイコサノール、2−メチル−1−ノナデカノール、2−エチル−1−オクタデカノール及び2−プロピル−1−ヘプタデカノール等の一価アルコールが挙げられる。
ポリイミド樹脂の分子末端の封止率は、好ましくは30%以上、より好ましくは50%以上、さらに好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上で、上限は100%である。特にポリイミド樹脂の末端封止率は80%以上、かつ100%以下が好ましい。
ポリイミド樹脂の末端封止率は通常、NMR、IR、ラマン、滴定又は質量分析法等により求めることができる。
なお、本発明で用いるポリイミド樹脂は、前述の好適態様1の要件のみ備えるものであってもよく、好適態様2の要件のみ備えるものであってもよく、好適態様3の要件のみ備えるものであってもよく、好適態様1〜3のうちのいずれか2つの要件を備えるものであってもよく、すべての要件を備えるものであってもよい。
<製造方法>
ポリイミド樹脂の製造方法に、特に制限はなく、従来公知のイミド化方法が使用できる。例えば、反応溶媒存在下、上述のテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物を加熱脱水ないし脱水試薬によりイミド化反応を行う方法、反応溶媒存在下、当該テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物をアミド化反応させて得られるポリイミド前駆体(ポリアミック酸)を得た後、該前駆体を加熱脱水ないし脱水試薬によりイミド化反応を行う方法などが挙げられる。この反応系内に、前述の水素結合形成モノマーや更に末端封止剤の必要量を存在させておくことで、水素結合形成構造を含む繰り返し単位を有するポリイミド樹脂や、更に分子末端が封止されたポリイミド樹脂を製造することができる。更にこの反応系には、前述のその他のモノマーを存在させて反応を行ってもよい。
以下、テトラカルボン酸二無水物、ジアミン化合物、水素結合形成モノマー、末端封止剤、その他のモノマーをまとめて「テトラカルボン酸二無水物及びジアミン化合物等の原料」と称す。
脱水試薬としては、従来公知の試薬が使用できるが、例えば、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水安息香酸、無水トリフルオロ酢酸、無水クロロ酢酸等の酸無水物が挙げられる。
テトラカルボン酸二無水物及びジアミン化合物等の原料を溶媒中で反応させる方法は特に限定されない。また、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物等の原料の添加順序や添加方法も特に限定されない。例えば、溶媒にテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物を順に投入し、適切な温度で撹拌することにより、ポリイミドないしポリアミック酸を得ることができる。
ジアミン化合物の量は、テトラカルボン酸二無水物1モルに対して、通常0.7モル以上、好ましくは0.8モル以上であり、通常1.3モル以下、好ましくは1.2モル以下である。ジアミン化合物の量をこのような範囲とすることで、高重合度のポリイミドないしポリアミック酸が得られ、製膜性、造膜性が向上する傾向にある。
溶媒中のテトラカルボン酸二無水物及びジアミン化合物等の原料の濃度は、反応条件や得られるポリイミド前駆体の粘度に応じで適宜設定できる。
テトラカルボン酸二無水物及びジアミン化合物等の原料の合計量は、特に制限はないが、テトラカルボン酸二無水物及びジアミン化合物等の原料と溶媒とを含む溶液全量に対し、通常1重量%以上、好ましくは5重量%以上であり、通常70重量%以下、好ましくは50重量%以下である。この濃度範囲で重合を行うことにより、均一で高重合度のポリイミドワニスないしポリアミック酸ワニスを得ることができる。テトラカルボン酸二無水物及びジアミン化合物等の原料の合計濃度1重量%未満で重合を行う場合、ポリイミドないしポリアミック酸の重合度が十分高くならず、最終的に得られるポリイミド樹脂が脆弱になる場合がある。一方、70重量%より高濃度で重合を行うと溶液粘度が増大し、撹拌が困難になる場合がある。
溶液中でポリイミド樹脂を得る場合、テトラカルボン酸二無水物及びジアミン化合物等の原料を溶媒中で反応させる温度は、反応が進行する温度であれば、特に制限はないが、通常20℃以上、好ましくは40℃以上であり、通常240℃以下、好ましくは220℃以下である。
反応時間は通常1時間以上、好ましくは2時間以上であり、通常100時間以下、好ましくは42時間以下である。このような条件で行うことにより、低コストで収率よくポリイミド樹脂を得ることができる傾向にある。
反応時の圧力は、常圧、加圧、又は減圧のいずれかでもよい。雰囲気は空気下でも不活性雰囲気下でもよいが、不活性雰囲気の方が得られるポリイミド樹脂、ひいては本発明の積層体の屈曲追従性の観点から好ましい。
溶液中でポリアミック酸を得る場合、テトラカルボン酸二無水物及びジアミン化合物等の原料を溶媒中で反応させる温度は、反応が進行する温度であれば、特に制限はないが、通常0℃以上、好ましくは20℃以上であり、通常120℃以下、好ましくは100℃以下である。
反応時間は通常1時間以上、好ましくは2時間以上であり、通常100時間以下、好ましくは42時間以下である。このような条件で行うことにより、低コストで収率よくポリアミック酸を得ることができる傾向にある。
反応時の圧力は、常圧、加圧、又は減圧のいずれかでもよい。雰囲気は空気下でも不活性雰囲気下でもよいが、不活性雰囲気の方が得られるポリイミド樹脂、引いては本発明の積層体の屈曲追従性の観点から好ましい。
テトラカルボン酸二無水物及びジアミン化合物等の原料を反応させる際に用いる溶媒としては特に限定されないが、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、ナフサ、トルエン、キシレン、メシチレン、アニソール等の炭化水素系溶媒;四塩化炭素、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、フルオロベンゼン等のハロゲン化炭化水素溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メトキシベンゼン等のエーテル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコール系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホン系溶媒;ピリジン、ピコリン、ルチジン、キノリン、イソキノリン等の複素環系溶媒;フェノール、クレゾール等のフェノール系溶媒;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトン系溶媒;等が挙げられる。中でも、グリコール系溶媒、アミド系溶媒、ラクトン系溶媒がポリイミドないしポリアミック酸の溶解性が高く、組成物粘度等が通常の製造設備で扱いやすい傾向となるため好ましい。これらの溶媒は、1種を単独で用いても、2種以上を任意の比率及び組合せで用いてもよい。
テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物等の原料の反応性を高めるために、有機アミン化合物を触媒として用いてもよい。有機アミン化合物としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン等の第3級アルキルアミン類;トリエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン等のアルカノールアミン類;トリエチレンジアミン等のアルキレンジアミン類;ピリジン等のピリジン類;N−メチルピロリジン、N−エチルピロリジン等のピロリジン類;N−メチルピペリジン、N−エチルピペリジン等のピペリジン類;イミダゾール等のイミダゾール類;キノリン、イソキノリン等のキノリン類等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても、2種以上を任意の比率及び組合せで用いてもよい。
得られたポリイミドないしポリアミック酸は、以下の側鎖に複素環を有するポリマーを添加してそのままワニスとして用いてもよく、また貧溶媒中に添加することで固体状に析出させてポリイミドないしポリアミック酸(ポリイミド前駆体)組成物として得ることもできる。
用いる貧溶媒は特に制限は無く、ポリイミドないしポリイミド前駆体の種類によって適宜選択し得るが、ジエチルエーテル又はジイソプロピルエーテル等のエーテル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、イソブチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒;等が挙げられる。中でも、メタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒が効率良く析出物が得られ、沸点が低く乾燥が容易となる傾向にあるため好ましい。これらの溶媒は、1種を単独で用いても、2種以上を任意の比率及び組合せで用いてもよい。
貧溶媒で析出させて得られたポリイミドないしポリアミック酸を溶媒に再溶解させてポリイミドワニスないしポリアミック酸ワニスとして用いることもできる。
<ガラス転移温度(Tg)>
本発明で用いるポリイミド樹脂は、DMS法(動的熱機械測定装置)によるガラス転移温度(Tg)が、好ましくは250℃以上であり、より好ましくは260℃以上であり、更に好ましくは270℃以上、特に好ましくは280℃以上である。ガラス転移温度が上記下限値以上であることが耐熱性の観点から好ましい。一方、ガラス転移温度(Tg)の上限については特に制限されないが、通常400℃以下であり、Tgを有さないものもある。なお、DMS法によるガラス転移温度(Tg)は以下の方法により測定することができる。
<ガラス転移温度)の測定>
動的熱機械測定装置(SIIナノテクノロジー株式会社製、DMS/SS6100)を用い、下記の測定条件にてサンプルの振動荷重に対するサンプルの貯蔵弾性率、損失弾性率を測定し、損失正接よりガラス転移温度(Tg)を求める。このガラス転移温度(Tg)は、ポリイミド樹脂のガラス転移温度(Tg)に相当し、Tgが高いほど耐熱性に優れたものと評価される。
(DMS測定条件)
ポリイミドフィルムの試験片の貯蔵弾性率(E’)を損失弾性率(E”)で除した損失正接(tanδ)のピークトップをガラス転移温度と定義する。
測定温度範囲:50℃〜400℃(昇温速度:3℃/min)
引張り加重:5g
試験片形状:10mm×10mm
[その他の成分]
本発明のポリイミド積層体のポリイミド層の形成に用いる本発明の樹脂組成物は、塗布性付与、加工特性付与、各種機能付与等の観点から、界面活性剤、消泡剤、有機顔料等の着色材、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダートアミン系光安定剤等の安定剤、帯電防止剤、潤滑油、難燃剤、可塑剤、離型剤、レベリング剤等を含有していてもよい。また、本発明の目的を損なわない範囲で、その他の樹脂や、無機系充填材又は有機系充填材を含有していてもよい。
無機系充填材としては、例えばシリカ、ケイ藻土、バリウムフェライト、酸化ベリリウム、軽石及び軽石バルーン等の無機酸化物;水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウム等の水酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ドロマイト及びドーソナイト等の金属炭酸塩;硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸アンモニウム及び亜硫酸カルシウム等の金属硫酸塩並びに亜硫酸塩;タルク、クレー、マイカ、アスベスト、ガラス繊維、ガラスバルーン、ガラスビーズ、ケイ酸カルシウム、モンモリロナイト及びベントナイト等のケイ酸塩;炭素繊維、カーボンブラック、グラファイト及び炭素中空球等の炭素類;硫化モリブデン、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウム及びボロン繊維等の粉末状、粒状、板状又は繊維状の無機質充填材;金属、金属化合物及び合金等の粉末状、粒状、繊維状又はウイスカー状の金属充填材;炭化ケイ素、窒化ケイ素、ジルコニア、窒化アルミニウム、炭化チタン及びチタン酸カリウム等の粉末状、粒状、繊維状又はウイスカー状のセラミックス充填材などが挙げられる。
有機系充填材としては、例えばモミ殻などの殻繊維、カーボンナノチューブ、フラーレン、木粉、木綿、ジュート、紙細片、セロハン片、芳香族ポリアミド繊維、セルロース繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、熱硬化性樹脂粉末及びゴムなどが挙げられる。
充填材としては、不織布等平板状に加工したものを用いても良いし、複数の材料を混合して用いても良い。
これら各種充填材及び添加成分は、本発明の樹脂組成物を製造するいかなる工程のいかなる段階で添加してもよい。
その他の成分の中で、レベリング剤を含むと、形成されるポリイミド膜の平滑性が向上する傾向となるため好ましい。レベリング剤としては、例えばシリコーン系化合物等が挙げられる。シリコーン系化合物は特に限定はないが、例えば、ポリエーテル変性シロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性ポリメチルアルキルシロキサン、ポリエステル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性ポリメチルアルキルシロキサン、アラルキル変性ポリメチルアルキルシロキサン、高重合シリコーン、アミノ変性シリコーン、アミノ誘導体シリコーン、フェニル変性シリコーン及びポリエーテル変性シリコーン等が挙げられる。
[側鎖に複素環を有するポリマー]
本発明で用いる側鎖に複素環を有するポリマーは、通常、ビニル基を有する複素環化合物のポリマーであり、ホモポリマー(単独重合体)であってもよく、共重合体であってもよい。
側鎖に複素環を有するポリマーを構成するモノマー成分であるビニル基を有する複素環化合物としては、ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルピロール、ビニルポルフィリン、ビニルインドール、ビニルフタルイミド、ビニルチオフェンなどが挙げられる。
これらの複素環化合物よりなるホモポリマーとしては、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、ポリビニルピロール、ポリビニルポルフィリン、ポリビニルインドール、ポリビニルフタルイミド、ポリビニルチオフェンなどが挙げられる。
側鎖に複素環を有するポリマーは、これらのビニル基を有する複素環化合物の2種以上の共重合体、或いはビニル基を有する複素環化合物の1種又は2種以上と他のビニル系モノマーの1種又は2種以上の共重合体であってもよく、ビニル基を有する複素環化合物と他のビニル系モノマーとの共重合体としては、ポリビニルピリジン−ポリスチレン共重合体、ポリビニルピロリドン−ポリビニルアルコール共重合体などが挙げられる。
側鎖に複素環を有するポリマーとしては、なかでも、複素環が窒素原子と炭素原子で構成されるものが好ましく、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、或いは、ビニルピロリドン及び/又はビニルピリジンを共重合成分とした共重合体であることが好ましく、特にポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジンが好ましい。なお、ビニルピロリドン及び/又はビニルピリジンを共重合成分として含む共重合体は、共重合体を構成するモノマー由来の全構造単位に対して、ビニルピロリドン及び/又はビニルピリジンに由来する構造単位を50モル%以上含むことが好ましい。
本発明で用いる側鎖に複素環を有するポリマーは、分子量が10,000〜2,000,000のものが好ましく、分子量が20,000〜1,800,000のものがより好ましく、分子量が30,000〜1,500,000のものがさらに好ましい。分子量が10,000以下であれば、ポリイミド樹脂の分子間に配位し易くなるが、分子量が10,000より小さくなると、ポリイミド樹脂の分子間に配位した場合に、ポリイミド分子間力を弱める機能が十分でなくなる場合がある。なお、ここでいう「分子量」は、重量平均分子量(Mw)のことであり、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)によって測定されるポリスチレン換算の値である。
これらの側鎖に複素環を有するポリマーは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の比率及び組合せで用いてもよい。
本発明の樹脂組成物は、前述のポリイミド樹脂100重量部に対して側鎖に複素環を有するポリマーを0.1〜7重量部含むことが好ましい。側鎖に複素環を有するポリマーの含有量がポリイミド樹脂100重量部に対して0.1重量部未満では側鎖に複素環を有するポリマーを配合することによる層間密着性、更には耐屈曲性の向上効果を十分に得ることができず、7重量部を超えると、例えば、エナメル線加工時等の熱により側鎖に複素環を有するポリマーの分子が切断しやすくなり、耐屈曲性が低下する可能性がある。
本発明の樹脂組成物中の側鎖に複素環を有するポリマーの含有量は、ポリイミド樹脂100重量部に対してより好ましくは0.5〜5重量部である。
上記の割合で側鎖に複素環を有するポリマーを含む本発明の樹脂組成物は、前述の方法で製造されたポリイミド前駆体(ポリアミック酸)或いはポリイミド樹脂に、側鎖に複素環を有するポリマーを混合することにより製造される。
なお、本発明の樹脂組成物中のポリイミド前駆体(ポリアミック酸)或いはポリイミド樹脂の濃度は、特に制限はないが、樹脂組成物の生産性、その後の使用時の取り扱い性、成膜性、成膜時の表面平滑性等の観点から、通常3重量%以上、好ましくは5重量%以上、より好ましくは7重量%以上、通常80重量%以下、好ましくは60重量%以下、より好ましくは50重量%以下、更に好ましくは45重量%以下である。
樹脂組成物中のポリイミド前駆体(ポリアミック酸)或いはポリイミド樹脂の濃度は従来知られている方法を用いて適宜確認することができる。例えば、組成物の溶媒や、その他成分を減圧乾燥等の方法を用いて留去し、留去する前後の重量比から求めることができる。
[ポリイミド層の成膜]
本発明のポリイミド積層体のポリイミド層は、上述のポリイミド前駆体(ポリアミック酸)或いはポリイミド樹脂と、側鎖に複素環を有するポリマーと、必要に応じて配合されるその他の成分を含む本発明の樹脂組成物を基材上に成膜することで形成される。
その成膜方法は時に制限はないが、基材等に塗布する方法等が挙げられる。
塗布する方法としては、ダイコーティング、スピンコーティング、ディップコーティング、スクリーン印刷、スプレー、キャスト法、コーターを用いる方法、吹付による塗布方法、浸漬法、カレンダー法及び流涎法等が挙げられる。これらの方法は塗布面積及び被塗布面の形状などに応じて適宜選択することができる。
塗布等で形成した膜に含まれる溶媒を揮発させる方法も特に制限はない。通常は、組成物が塗布された基材を加熱することにより、溶媒を揮発させる。加熱方法は特に制限されず、例えば、熱風加熱、真空加熱、赤外線加熱、マイクロ波加熱及び熱板・ホットロール等を用いた接触による加熱等が挙げられる。
上記の場合の加熱温度は、溶媒の種類に応じて好適な温度を用いることができる。加熱温度は、通常40℃以上、好ましくは100℃以上、さらに好ましくは200℃以上、特に好ましくは300℃以上、通常1000℃以下、好ましくは700℃以下、さらに好ましくは600℃以下、特に好ましくは500℃以下である。加熱温度が40℃以上である場合、溶媒が十分揮発される点で好ましい。また、加熱温度が300℃以上である場合、イミド化反応の進行が速いため、短時間焼成が可能となる。また、加熱の雰囲気は、空気下でも不活性雰囲気下でもよく特に制限はないが、ポリイミド層に無色透明が要求されるときは、着色抑制のため窒素等の不活性雰囲気下で加熱することが好ましい。
1回の成膜工程で形成されるポリイミド層、即ち、本発明のポリイミド積層体を構成するポリイミド層の1層当たりの厚さは、通常0.1μm以上、好ましくは0.2μm以上、更に好ましくは0.3μm以上、特に好ましくは0.5μm以上であり、通常100μm以下、好ましくは50μm以下、更に好ましくは30μm以下、特に好ましくは10μm以下である。ポリイミド層の厚さが上記下限以上であると、ポリイミド層としての必要な厚さを確保して、その被覆効果を得る上で好ましい。前述の通り、1回の成膜工程で形成できるポリイミド層の厚さには限度があり、その上限は通常上記上限以下である。
ポリイミド層を形成する基材としては、硬質で耐熱性を有することが好ましい。すなわち、製造工程上必要とされる温度条件で、変形しない素材を用いることが好ましい。具体的には、通常200℃以上、好ましくは250℃以上のガラス転移温度を持つ素材で基材が構成されていることが好ましい。このような基材としては、例えば、ガラス、セラミック、金属及びシリコンウェハ等が挙げられる。
基材としてガラスを用いる場合、用いられるガラスとしては、特に限定されるものではないが、例えば青板ガラス(アルカリガラス)、高ケイ酸ガラス、ソーダ石灰ガラス、鉛ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、無アルカリガラス(ホウケイ酸ガラス、コーニング社製イーグルXG等)及びアルミノケイ酸塩ガラス等が挙げられる。
基材として金属を用いる場合、用いられる金属としては、特に限定されるものではないが、例えば金、銀、銅、アルミニウム及び鉄などが挙げられる。これら各種合金を用いてもよい。
基材の形状には特に制限はなく、フィルムないしはシート状、板状であってもよく、この場合、基材は、平面状でも曲面状でも、段差を有するものであってもよい。また、基材は、線状、棒状であってもよい。
これらの基材へのポリイミド積層体の成膜形態は特に制限はなく、基材の形状や用途に合わせ、適宜形成することができる。例えば、基材の全面、片面、両面、端面等に被覆を行ってもよく、また、基材全面又は一部分に被覆してもよい。
また、膜は単層でも多層でもよい。
[隣接樹脂層の成膜]
前述の通り、隣接樹脂層は、ポリイミド層であってもよく、ポリイミド層以外の他の樹脂よりなる層であってもよい。
隣接樹脂層としてポリイミド層を形成する場合、先に成膜されたポリイミド層上に、上記と同様に、本発明の樹脂組成物を塗布、加熱する成膜工程を行って、2層目のポリイミド層を積層形成すればよく、これを繰り返すことにより、3層以上のポリイミド層の積層体とすることができる。ポリイミド層を3層以上の複数層積層して形成する場合、その上に更にポリイミド層が形成されるポリイミド層は、前述の側鎖に複素環を有するポリマーを含む本発明の樹脂組成物により形成することが好ましい。最表層となるポリイミド層には、側鎖に複素環を有するポリマーが含まれていなくてもよいが、側鎖に複素環を有するポリマーを含むことが下地となるポリイミド層との層間密着性の観点から好ましい。
隣接樹脂層としてポリイミド樹脂層以外の他の樹脂層を形成する場合、他の樹脂としては、特に制限はないが、ポリイミド樹脂と同様に耐熱性等に優れたものが好ましく、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエステルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンサルファイト、ポリエステル、ポリオレフィン、フッ素樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。
[用途]
本発明のポリイミド積層体は、面状の基材上に上述のようにして少なくとも1層のポリイミド層と隣接樹脂層とを成膜し、成膜した積層膜を基材から剥離することなく、本発明のポリイミド積層体を用いた基材−ポリイミド積層体としてディスプレイ基板、FPC、FCCL、TABテープ、ラミネートブスバー、光ファイバー、電線被覆、薄膜太陽電池基板、有機光半導体照明、LED実装基板、センサー基板、スイッチ基板などの用途に供することができる。基材−ポリイミド積層体としては、例えば、本発明のポリイミド積層体で金属基材を被覆してなる金属−ポリイミド積層体等が挙げられる。
また、本発明のポリイミド積層体は、線状の基材上に、上述のように少なくとも1層のポリイミド層と隣接樹脂層とを成膜し、成膜した積層膜を剥離することなく、マグネットワイヤー等に用いられる前述のエナメル線や電線、ケーブル等に用いることができる。
本発明のポリイミド積層体はまた、基材上に成膜した積層膜を基材から剥離してポリイミド積層フィルム又はポリイミド/他の樹脂積層フィルムとして用いることもでき、この積層フィルムを他の基材に貼り合わせて用いることもできる。
この場合、例えば、ポリイミド層のみかならなる積層フィルムの厚さは2〜100回の成膜工程を経ることで、0.2〜10000μm程度の膜厚であることが好ましい。
なお、本発明に係る隣接樹脂層を形成するポリイミド樹脂よりなるフィルムは、用途によっても異なるが、以下のような機械的強度を有することが好ましい。
ポリイミドフィルムの引張弾性率は、特段の制限はないが、耐摩耗性の観点から好ましくは2000MPa以上、より好ましくは2500MPa以上、更に好ましくは3000MPa以上であり、一方、耐屈曲性の観点から好ましくは10GPa以下、より好ましくは5000以下である。
また、引張伸度は、特段の制限はないが、耐屈曲性の観点から好ましくは20%以上、より好ましくは30%以上、更に好ましくは50%以上であり、屈曲追従性の観点から特に上限はなく、伸度が高い方が好ましい。
ポリイミドフィルムがこのような引張弾性率と引張伸度を兼備することで、高弾性率と高伸度が両立され、表面保護層、デバイス用基板、絶縁膜又は配線膜等様々な用途に好適に使用される。また、フィルムに成膜した際に、このような引張弾性率と引張伸度を満たすものであれば、エナメル線の被覆材としての用途においても、例えば近年のモータの小型、高出力化の要求に見合う耐屈曲性と耐摩耗性を満たすものとなる。
なお、基材上に成膜した積層膜を基材から剥離する方法は特に制限はないが、積層膜の性能を損なうことなく剥離できるという点で、物理的に剥離する方法、レーザーによって剥離する方法が好ましい。
物理的に剥離する方法とは、例えば、積層膜/基材からなる積層体の周縁を切離して積層フィルムを得る方法、周縁部を吸引して積層フィルムを得る方法、周縁を固定し支持基材を移動させて積層フィルムを得る方法などが挙げられる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における上限又は下限の好ましい値としての意味をもつものであり、好ましい範囲は前記した上限又は下限の値と、下記実施例の値又は実施例同士の値との組み合わせで規定される範囲であってもよい。
〔使用原料〕
実施例及び比較例のポリイミド樹脂組成物の製造に使用した原料は以下の通りである。
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA):三菱化学株式会社製
ピロメリット酸二無水物(PMDA):東京化成工業株式会社製
4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA):和歌山精化工業株式会社製
4,4’−ジアミノベンズアニリド(DABA):和歌山精化工業株式会社製
無水フタル酸:東京化成工業株式会社製
N,N’−ジメチルアセトアミド(DMAc):三菱ガス化学株式会社製
ポリビニルピロリドンK−30(PVP K−30):第一工業製薬株式会社製
[ポリイミド前駆体の合成]
<合成例1>
熱電対、冷却器及び攪拌機を備えた4つ口フラスコに、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)340g(1.70mol)、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)500g(1.70mol)、無水フタル酸6.04g(0.041mol)及びN,N’−ジメチルアセトアミド(DMAc)3830gを加え、この混合物を撹拌しながら昇温し、窒素雰囲気下に80℃で6時間反応させて、固形分濃度18重量%のポリイミド前駆体1を得た。
<合成例2>
熱電対、冷却器及び攪拌機を備えた4つ口フラスコに、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)340g(1.70mol)、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)487g(1.65mol)及びN,N’−ジメチルアセトアミド(DMAc)3768gを加え、この混合物を撹拌しながら昇温し、窒素雰囲気下に80℃で6時間反応させて、固形分濃度18重量%のポリイミド前駆体2を得た。
<合成例3>
熱電対、冷却器及び攪拌機を備えた4つ口フラスコに、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)188g(0.94mol)、4,4’−ジアミノベンズアニリド(DABA)71.3g(0.31mol)、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)368g(1.25mol)、無水フタル酸3.21g(0.021mol)及びN,N’−ジメチルアセトアミド(DMAc)2860gを加え、この混合物を撹拌しながら昇温し、窒素雰囲気下に80℃で6時間反応させて、固形分濃度18重量%のポリイミド前駆体3(DABA導入量25mol%)を得た。
<合成例4>
熱電対、冷却器及び攪拌機を備えた4つ口フラスコに、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)327g(1.64mol)、4,4’−ジアミノベンズアニリド(DABA)124g(0.54mol)、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)630g(2.14mol)、及びN,N’−ジメチルアセトアミド(DMAc)2927gを加え、この混合物を撹拌しながら昇温し、窒素雰囲気下に80℃で6時間反応させて、固形分濃度18重量%のポリイミド前駆体4(DABA導入量25mol%)を得た。
<合成例5>
熱電対、冷却器及び攪拌機を備えた4つ口フラスコに、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)203g(1.01mol)、4,4’−ジアミノベンズアニリド(DABA)77g(0.34mol)、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)348g(1.18mol)、ピロメリット酸二無水物(PMDA)29g(0.13mol)、及びN,N’−ジメチルアセトアミド(DMAc)2988gを加え、この混合物を撹拌しながら昇温し、窒素雰囲気下に80℃で6時間反応させて、固形分濃度18重量%のポリイミド前駆体5(DABA導入量25mol%)を得た。
[ポリアミック酸ワニスの調製]
表−1に示す配合組成に従って、ポリアミック酸ワニスPI−1〜PI−5(実施例用)及びPI−6〜PI−8(比較例用)を調製した。なお、表−1に示すワニスの使用量は、固形分としての重量部を示す。
[ポリイミド積層体の作製]
PI−1〜PI−8のポリアミック酸ワニスをスピンコーターを用いて銅板上に塗布し、空気下、6分かけて500℃まで昇温して焼成し、厚さ5μmのポリイミド層を成膜した。得られたポリイミド/Cu積層体のポリイミド層上に、再度1層目と同様に2層目のポリイミド層を成膜して、ポリイミド/ポリイミド/Cu積層体とした。
[層間密着性の評価]
得られたポリイミド積層体のポリイミド層の厚さ方向に、1cm間隔で平行な2本の切り込みを入れ、上層のポリイミド層上に粘着テープを貼り付け、この粘着テープを引き剥すことで、層間密着性の評価を行った。
粘着テープを引き剥した際に、上層のポリイミド層と下層のポリイミド層との間で剥離してしまうものを、層間密着性:不良(×)、上層のポリイミド層と下層のポリイミド層との間で剥離することがなく、粘着テープと上層のポリイミド層との間で剥れるものを、層間密着性:良(○)と評価した。
評価結果を表−1に示す。
Figure 2018154129
表−1より、ポリイミド層に側鎖に複素環を有するポリマーを含むことで、層間密着性が向上することが分かる。

Claims (13)

  1. ポリイミド層と、該ポリイミド層に隣接する樹脂層とを有するポリイミド積層体であって、該ポリイミド層が、側鎖に複素環を有するポリマーを含むポリイミド積層体。
  2. 前記側鎖に複素環を有するポリマーが、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、並びに、ビニルピロリドン及び/又はビニルピリジンを共重合成分として含む共重合体よりなる群から選ばれる1種又は2種以上である、請求項1に記載のポリイミド積層体。
  3. 前記ポリイミド層に含まれるポリイミド樹脂のガラス転移温度(Tg)が250〜400℃である、請求項1又は2に記載のポリイミド積層体。
  4. 前記ポリイミド層に含まれるポリイミド樹脂が下記式(1)で表される構造単位及び下記式(2)で表される構造単位の少なくとも一方を有する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のポリイミド積層体。
    Figure 2018154129
  5. 前記ポリイミド層に含まれるポリイミド樹脂が下記式(3)で表される構造単位を有する、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のポリイミド積層体。
    Figure 2018154129
    (上記式(3)中、R〜Rはそれぞれ互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のフルオロアルキル基又は水酸基であり、Xは直接結合、酸素原子、硫黄原子、炭素数1〜4のアルキレン基、スルホニル基、スルフィニル基、スルフィド基、カルボニル基、エステル基又は2級アミノ基であり、nは0〜4の整数である。)
  6. 前記ポリイミド層に含まれるポリイミド樹脂が、下記式(5)で表される構造を含む繰り返し単位と、−NH−、=NH、−C(O)NH−、−NHC(O)O−、−NHC(O)NH−、−NHC(S)NH−、−NH、−OH、−C(O)OH、−SH、−C(O)N(OH)−、−(O)S(O)−、−C(O)−、及び−C(O)SHからなる群から選ばれる少なくとも1種の構造を含む繰り返し単位とを有する請求項1乃至5のいずれか1項に記載のポリイミド積層体。
    Figure 2018154129
    (上記式(5)中、Rはテトラカルボン酸残基、Rはジアミン残基を表す。)
  7. 前記ポリイミド層に含まれるポリイミド樹脂が、前記式(5)で表される構造を含む繰り返し単位と、−C(O)NH−構造を含む繰り返し単位とを有する、請求項6に記載のポリイミド積層体。
  8. 前記−C(O)NH−構造が、4,4’−ジアミノベンズアニリドに由来する構造である、請求項7に記載のポリイミド積層体。
  9. 前記ポリイミド層に含まれるポリイミド樹脂の分子末端が封止されている、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のポリイミド積層体。
  10. 前記ポリイミド層の厚さが0.1〜100μmである、請求項1乃至9のいずれか1項に記載のポリイミド積層体。
  11. 請求項1乃至10のいずれか1項に記載のポリイミド積層体で金属基材を被覆してなる金属−ポリイミド積層体。
  12. 請求項1乃至10のいずれか1項に記載のポリイミド積層体で金属線を被覆してなるマグネットワイヤー。
  13. 請求項1乃至10のいずれか1項に記載のポリイミド積層体の前記ポリイミド層を形成するためのポリイミド樹脂組成物であって、ポリイミド樹脂及び/またはその前駆体100重量部に対して側鎖に複素環を有するポリマーを0.1〜7重量部含む樹脂組成物。
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