JP2013142847A - 無端状発熱体、発熱ベルト及び定着装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】補強層21、発熱層22、弾性層23、離型層24からなる定着ベルトにおいて、発熱層22はポリイミド樹脂中に繊維状導電材を分散させ、通電によって発熱する無端状発熱体であって、ポリビニルピロリドンを、無端状発熱体の全構成成分に対し、0.1〜10.0質量%の範囲内で含有する。
【選択図】図5
Description
ポリイミド樹脂中に繊維状導電材を分散させ、通電によって発熱する無端状発熱体であって、
ポリビニルピロリドンを、前記無端状発熱体の全構成成分に対し、0.1〜10.0質量%の範囲内で含有する無端状発熱体が提供される。
前記無端状発熱体の体積抵抗率が、0.08×10−4〜10.00×10−4(Ω・m)の範囲内にある請求項1に記載の無端状発熱体が提供される。
請求項1又は2に記載の無端状発熱体が、発熱層として形成された発熱ベルトが提供される。
請求項3に記載の発熱ベルトが具備されている定着装置が提供される。
なお、数値範囲を示す「〜」の記載は、下限値及び上限値をその数値範囲に含むことを表す。
本発明に係る無端状発熱体は、ポリイミド樹脂を基材として、当該ポリイミド樹脂中に繊維状導電材を分散させてなる発熱体が、無端状に形成され、通電によって発熱する。
有機極性溶媒としては、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルメトキシアセトアミド等のN,N−ジアルキルアミド類の他、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルトリアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ピリジン、ジメチルスルホキシド、テトラメチレンスルホン、ジメチルテトラメチレンスルホン等が挙げられる。これらのうち、何れかを単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
図1に示すように、ポリイミド樹脂231中に、繊維状導電材232同士が重なり合って存在する。無端状発熱体に電圧が印加されると、自由電子がこの繊維状導電材232間を移動する。図1において矢印は自由電子の動きを例示している。移動中に、自由電子が無端状発熱体内に存在する分子に衝突することによって、分子が振動し、熱が発生する。
この抵抗の変化を抑制するため、本発明に係る無端状発熱体は、ポリビニルピロリドンを含有する。
上記含有質量比の範囲内であれば、ポリビニルピロリドンは、重量平均分子量が10000〜100000の範囲内にあることが好ましい。
本発明に係る無端状発熱体の製造方法の一実施の形態として、以下の工程を含む製造方法が挙げられる。
テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを等モル量ずつ有機極性溶媒に溶解させる。溶解物を混合、加熱し、重縮合反応させてポリアミド酸溶液を調製する。
(1)工程で調製されたポリアミド酸溶液に、繊維状導電材を分散させ、繊維状導電材の分散液を調製する。分散方法は特に限定されず、例えばナノマイザー、超音波、ボールミル、サンドミル、バスケットミル、ホモジナイザー等を用いて分散することができる。
ポリアミド酸溶液中の繊維状導電材の含有量(体積%)は、無端状発熱体の強度の観点から、15〜60体積%の範囲内にあることが好ましい。
また、得られた分散液の粘度は、1〜100Pa・sの範囲が、一般的に塗工上最適な範囲である。粘度は、測定器TVB10形(東機産業社製)を用いて、温度25℃の下、測定された値である。
(2)工程で調製された分散液に、ポリビニルピロリドンを添加し、分散させて、無端状発熱体塗布液を得る。分散方法は、特に限定されず、上記繊維状導電材の分散方法として例示された方法を用いることができる。
上述のように、ポリビニルピロリドンの添加量は、無端状発熱体に対する含有質量比が0.1〜10.0質量%の範囲内となる添加量であることが好ましい。
(3)工程で調製された無端状発熱体塗布液の塗膜を無端状に形成する。無端状発熱体塗布液の塗布方法としては特に限定されないが、膜厚の均一性、制御のしやすさ等の観点から、円筒状の金型を回転させながら金型の表面上に塗布するスパイラル塗布方法が好ましい。例えば、図2に示すように、塗布装置に円筒状の金型a1をセットし、金型a1を一定の回転速度で回転させながら、塗布装置のノズルa2から無端状発熱体を吐出して均一に塗布する。これを乾燥して有機極性溶媒を除去後、イミド化反応を進行させて、無端状発熱体を作製する。イミド化反応は、300〜450℃程度の高温で焼成することによって進行させてもよいし、触媒と脱水剤を用いて低温加熱で進行させてもよい。
以下、本発明に係る無端状発熱体が、発熱層として用いられた発熱ベルト及び当該発熱ベルトが具備された定着装置の一実施の形態を示す。
図3は、本実施の形態に係る定着装置の概略図である。図4は、図3のX−X線における定着装置の断面図である。
図3及び図4に示すように、定着装置は、一対の定着ローラー1A、1Bと、発熱ベルト2とを備えて構成されている。定着ローラー1Aは発熱ベルト2の内部に配置され、定着ローラー1A、1Bは発熱ベルト2を介して接する。定着ローラー1A、1Bに搬送された用紙Pは、定着ローラー1A、1Bの圧接により形成されたニップNに挟持され、発熱ベルト2による加熱と、定着ローラー1A、1Bによる加圧とによって、定着処理される。
芯金11としては熱伝導性の良好なアルミニウムが主に用いられるが、他にも非磁性ステンレス鋼材、耐熱性ガラス等も用いることができる。
弾性層12は、シリコーンゴムやフッ素ゴム等の合成ゴムが用いられている。
その他、弾性層12の表面をPFA等のフッ素樹脂で被覆する被覆層を設けてもよい。
また、定着ローラー1A、1Bは、図示しない駆動部による回転駆動を受けて、芯金11を回転軸として回転する。定着ローラー1A、1Bの回転により、用紙は定着処理されながら搬送される。
図5は、図3のX−X線における発熱ベルト2の断面図である。
発熱ベルト2は、図5に示すように、定着ローラー1Bに接する側から順に、補強層21、発熱層22、弾性層23、離型層24が形成されている。
補強層21は、層厚が20〜80μmの範囲内にあることが好ましい。
発熱層22は、層厚が50〜200μmであることが好ましい。
弾性層23の層厚は、発熱層22による発熱の熱伝導性を向上させるため、20〜200μm程度が望ましい。
発熱ベルト2は、次のような方法によって製造することができるが、製造方法はこれに限定されない
(補強層、発熱層の形成)
上述した無端状発熱体の製造方法と同様にして、ポリアミド酸溶液、無端状発熱体塗布液を調製する。
図2に示すように、塗布装置に円筒状の金型a1をセットし、金型a1を一定の回転速度で回転させながら、塗布装置のノズルa2からポリアミド酸溶液を吐出して均一に塗布する。その後、120℃に加熱し、40分間乾燥する。
乾燥させたポリアミド酸溶液の塗膜上に、無端状発熱体塗布液を均一に塗布する。塗布方法は、ポリアミド酸溶液と同じである。これを120℃に加熱し、40分間乾燥させる。その後、400℃で20分間焼成して、補強層21と発熱層22を形成する。
(弾性層、離型層の形成)
発熱層22上に、予め調製した弾性層塗布液を塗布する。次に、150℃で30分間加熱して一次加硫させた後、200℃で4時間加熱して二次加硫させ、弾性層23を形成する。
弾性層23上に離型層塗布液を塗布し、離型層24を形成する。最後に、室温まで冷却した後、金型a1から離型させて発熱ベルト2を得る。
<無端状発熱体11の作製>
容器に、溶媒であるN-メチル−2−ピロリドン680質量部を投入する。そこへ、下記ポリアミド酸組成物を投入し、溶媒に溶解させた後、混合、加熱して重縮合反応させ、ポリアミド酸溶液を調製した。
(ポリアミド酸組成物)
テトラカルボン酸二無水物(3,3´,4,4´−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物;三菱化成社製) 0.42モル
ジアミン化合物(p−フェニレンジアミン;東京化成工業社製) 0.42モル
ポリアミド酸溶液の温度:25℃
ノズルの吐出口の形状:円錐状
ノズルの吐出口の口径:2mm
ノズルの吐出口から金型の周面までの距離:5mm
ノズルからの塗布液の吐出量:5ml/min
ノズルの金型の回転軸方向への移動速度:1mm/sec
金型の回転速度:40rpm
なお、金型の回転速度は、HT−4200(小野測器社製)で測定した。
無端状発熱体11の作製において、繊維状黒鉛の添加量を変え、繊維状黒鉛の含有量(体積%)を、表1及び表2に示すように含有量とした以外は、無端状発熱体11と同様にして、無端状発熱体21、31、41、51、61を作製した。
無端状発熱体1と同様にして、ポリアミド酸溶液と繊維状黒鉛の分散液を調製した。この分散液に、重量平均分子量630000のポリビニルピロリドン(ポリビニルピロリドンK90、東京化成工業社製)を0.1質量部加え、ロボミックス(PRIMIX社製)で分散させ、無端状発熱体塗布液s2を得た。
塗布後、回転速度40rpmで金型を回転させながら、温度120度で40分間加熱し、乾燥させて、溶媒を除去した。その後、温度400℃で20分間焼成し、無端状発熱体12を形成した。無端状発熱体12におけるポリイミド樹脂の固形分は20質量部であった。
無端状発熱体12の作製において、ポリビニルピロリドンの含有量(質量%)を、表1に示すように変えた以外は、無端状発熱体12と同様にして、無端状発熱体13〜16を作製した。
無端状発熱体12の作製において、繊維状黒鉛の含有量(体積%)及びポリビニルピロリドンの含有量(質量%)を、表1及び表2に示すように変えた以外は、無端状発熱体12と同様にして、無端状発熱体22〜26、32〜36、42〜46、52〜56、62〜66を作製した。
作製した無端状発熱体11〜16、21〜26、31〜36、41〜46、51〜56、61〜66について、下記項目の評価を行った。
図6に示すように、無端状発熱体b1の両端に、銅テープb2(CU−35C、住友スリーエム社製)を貼り、電極とした。
電極間に電源b3(PCR2000L、菊水電子工業社製)と、LCRメーターb4(3532−80、日置電機社製)を接続した。電源b3により交流電圧を印加し、LCRメーターb4により電極間の抵抗(Ω)を測定した。印加する電圧は、無端状発熱体b1の表面温度が180℃となるように設定した。表面温度は、デジタル放射温度センサーFT−H20(キーエンス社製)による測定値である。
測定された抵抗(Ω)、電極間の距離z(mm)、無端状発熱体b1の厚さ(μm)から、体積抵抗率(Ω・m)を算出した。
体積抵抗率と同様にして、交流電圧を印加して0時間と300時間のときに、抵抗(Ω)を測定した。交流電圧の印加時間が0時間のときの測定値と、300時間のときの測定値とから、下記式により抵抗変化率を求めた。
抵抗変化率(%)=(300時間のときの測定値−0時間のときの測定値)/0時間のときの測定値
無端状発熱体11〜16、21〜26、31〜36、41〜46、51〜56、61〜66をそれぞれ発熱層とする発熱ベルトを作製し、各発熱ベルトを具備する定着装置によって定着処理したときのトナー画像の画質レベルを評価した。
無端状発熱体11の作製と同様にして、ポリアミド酸溶液、無端状発熱体塗布液s1を調製した。
図2に示すように、塗布装置により、ポリアミド酸溶液を吐出して円筒状の金型の周囲に均一に塗布した。その後、120℃に加熱し、40分間乾燥した。塗布装置により、乾燥させたポリアミド酸溶液の塗膜上に、調製した無端状発熱体塗布液s1を均一に塗布し、120℃で40分間乾燥した。その後、400℃で20分間焼成した。
冷却後、シリコーンゴムKE1379(信越化学社製)とシリコーンゴムDY356013(東レダウコーニング社製)を2:1の含有質量比で混合した混合液を、塗布装置により吐出して塗布した。次に、150℃で30分間加熱して一次加硫させた後、200℃で4時間加熱して二次加硫させた。
さらに、離型層塗布液(テフロン(登録商標)350-J:三井・ディポンフロロケミカル社製)を塗布し、室温まで冷却させると、金型から離型させて無端状発熱体11が発熱層として形成された発熱ベルトを得た。
A:濃度差が無いか、ほとんど無く、濃度ムラが確認されない。
B:濃度差があり、濃度ムラが確認できるが、許容範囲である。
C:大きな濃度差があり、濃度ムラが明確に確認できる。
A〜Cのうち、A、Bを合格レベルとする。
一方、比較例に係る無端状発熱体は、何れも抵抗変化率が6%以上であり、画質が低下している。
また、比較例によれば、体積抵抗率が0.08×10−4〜10.00×10−4(Ω・m)の範囲外に至ると、抵抗変化率が10%以上に上昇し、画質が著しく低下することが分かる。
<無端状発熱体71の作製>
実施例1の無端状発熱体53の作製において、繊維状黒鉛ではなく、粒状黒鉛(UP−5;日本黒鉛社製)を用いた以外は、無端状発熱体53と同様にして無端状発熱体71を作製した。
無端状発熱体71の作製において、ポリビニルピロリドンを無添加とした無端状発熱体塗布液を用いた以外は、無端状発熱体71と同様にして無端状発熱体72を作製した。
実施例1で作製された無端状発熱体53、実施例2で作製された無端状発熱体71、72について、抵抗変化率(%)を求め、評価した。
抵抗変化率(%)は、実施例1の抵抗変化率と同じ方法で求めた。
2 発熱ベルト
21 補強層
22 発熱層
23 弾性層
24 離型層
25 受電部
3 給電部
P 用紙
T トナー
Claims (4)
- ポリイミド樹脂中に繊維状導電材を分散させ、通電によって発熱する無端状発熱体であって、
ポリビニルピロリドンを、前記無端状発熱体の全構成成分に対し、0.1〜10.0質量%の範囲内で含有する無端状発熱体。 - 前記無端状発熱体の体積抵抗率が、0.08×10−4〜10.00×10−4(Ω・m)の範囲内にある請求項1に記載の無端状発熱体。
- 請求項1又は2に記載の無端状発熱体が、発熱層として形成された発熱ベルト。
- 請求項3に記載の発熱ベルトが具備されている定着装置。
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