JP2018153789A - 水処理システム - Google Patents

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Abstract

【課題】逆浸透膜モジュールの洗浄時間を短縮できると共に、薬剤の添加量を低減できる水処理システムを提供すること。
【解決手段】逆浸透膜モジュール5の膜の二次側から一次側に向けて透過水の移動が生じるように、逆浸透膜モジュール5の浸透圧を調整する浸透圧調整部4と、逆浸透膜モジュール5に洗浄補助剤を添加する洗浄補助剤添加部4と、逆浸透膜モジュール5の一次側入口側511の圧力と二次側出口側520の圧力とに基づいて演算される透過流束、及び逆浸透膜モジュール5の一次側入口側511の圧力と一次側出口側512の圧力との差圧であるモジュール間差圧に基づいて、逆浸透膜モジュール5の洗浄コースを判定する洗浄コース判定部21と、洗浄コース判定部21により判定された洗浄コースに基づいて、逆浸透膜モジュール5の洗浄動作を実行させるように、浸透圧調整部4及び洗浄補助剤添加部4を制御する洗浄制御部22と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、逆浸透膜モジュールを備える水処理システムに関する。
医薬品や化粧品の製造、電子部品や精密機器の洗浄等においては、不純物を含まない高純度の純水が使用される。この種の純水は、一般に、地下水、水道水等の供給水を逆浸透膜分離装置で処理し、得られた透過水を精製することにより製造される。逆浸透膜分離装置は、逆浸透膜モジュールを備えており、供給水を透過水と濃縮水とに分離することができる。以下の説明においては、逆浸透膜モジュールを「RO膜モジュール」、逆浸透膜を「RO膜」ともいう。
ここで、RO膜モジュールのRO膜の一次側の膜面に付着したファウリング物質などを除去するために、RO膜モジュールの膜の二次側から一次側に透過水の移動が生じるように正浸透作用を発生させ、その後、RO膜モジュールの膜の一次側に酸又はアルカリなどの薬剤を添加する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2015−16404号公報
RO膜モジュールのRO膜の一次側の膜面に付着したファウリング物質などには、複数の種類が存在する。そのため、特許文献1に記載の技術を用いてRO膜モジュールを洗浄する場合に、単に、正浸透作用を発生させ、薬剤を添加するだけでは、洗浄時間が長くなり、薬剤の添加量が多くなる可能性がある。よって、RO膜モジュールの洗浄について、洗浄時間及び薬剤の添加量を最適化して、洗浄時間を短縮し、薬剤の量が低減されることが望まれている。
本発明は、逆浸透膜モジュールの洗浄時間を短縮できると共に、薬剤の添加量を低減できる水処理システムを提供することを目的とする。
本発明は、供給水を透過水と濃縮水とに分離する逆浸透膜モジュールと、前記逆浸透膜モジュールの膜の二次側から一次側に向けて透過水の移動が生じるように、前記逆浸透膜モジュールの浸透圧を調整する浸透圧調整部と、前記逆浸透膜モジュールに洗浄補助剤を添加する洗浄補助剤添加部と、前記逆浸透膜モジュールの一次側入口側の圧力と二次側出口側の圧力とに基づいて演算される透過流束、及び前記逆浸透膜モジュールの一次側入口側の圧力と一次側出口側の圧力との差圧であるモジュール間差圧に基づいて、前記逆浸透膜モジュールの洗浄コースを判定する洗浄コース判定部と、前記洗浄コース判定部により判定された洗浄コースに基づいて、前記逆浸透膜モジュールの洗浄動作を実行させるように、前記浸透圧調整部及び前記洗浄補助剤添加部を制御する洗浄制御部と、を備える水処理システムに関する。
また、前記洗浄補助剤添加部は、前記逆浸透膜モジュールで分離された濃縮水を前記逆浸透膜モジュールの上流側に循環させる濃縮水循環ライン、又は、供給水を吸入して前記逆浸透膜モジュールに向けて吐出する加圧ポンプの上流側に、洗浄補助剤を添加することが好ましい。
また、前記洗浄コース判定部は、前記逆浸透膜モジュールの前記透過流束が低下し、かつ、前記逆浸透膜モジュールの前記モジュール間差圧が増加した場合には、前記逆浸透膜モジュールについて、生物汚染傾向であると判定し、又は、生物汚染傾向及びスケール汚染傾向であると判定することが好ましい。
また、前記洗浄コース判定部は、前記逆浸透膜モジュールの前記透過流束が低下し、かつ、前記逆浸透膜モジュールの前記モジュール間差圧が増加しない場合には、前記逆浸透膜モジュールについて、スケール汚染傾向であると判定し、又は、有機物詰まりがあると判定することが好ましい。
また、前記洗浄コース判定部は、前記逆浸透膜モジュールの前記透過流束が低下せずに、かつ、前記逆浸透膜モジュールの前記モジュール間差圧が増加した場合には、前記逆浸透膜モジュールについて、生物汚染傾向であると判定することが好ましい。
また、前記洗浄制御部は、前記洗浄コースに基づく前記逆浸透膜モジュールの洗浄動作の実行後に、水処理システムの系内の水を入れ替える第一フラッシング運転を実行すると共に、前記第一フラッシング運転の実行後に、前記逆浸透膜モジュールの一次側を洗浄する第二フラッシング運転を実行することが好ましい。
本発明によれば、逆浸透膜モジュールの洗浄時間を短縮できると共に、薬剤の添加量を低減できる水処理システムを提供することができる。
一実施形態に係る水処理システムの全体構成図である。 汚染条件により判定される汚染状態の判定結果の一例を示す図である。 本実施形態に係る水処理システムの洗浄方法の全体のフローを示すフローチャートである。 洗浄コース判定工程により汚染状態を判定する工程を示すフローチャートである。 生物汚染傾向洗浄コースにおける洗浄制御を示すフローチャートである。 生物汚染傾向洗浄コースにおいて実行される洗浄制御において、RO膜モジュールの膜に付着した付着物が剥離される様子を説明する図である。 スケール汚染傾向洗浄コース又は有機物詰まり洗浄コースにおける洗浄制御を示すフローチャートである。 スケール汚染傾向洗浄コース又は有機物詰まり洗浄コースにおいて実行される洗浄制御において、RO膜モジュールの膜に付着した付着物が剥離される様子を説明する図である。
本発明の一実施形態に係る水処理システムについて、図面を参照しながら説明する。図1は、一実施形態に係る水処理システム1の全体構成図である。図2は、汚染条件により判定される汚染状態の判定結果の一例を示す図である。
図1に示すように、本実施形態に係る水処理システム1は、加圧ポンプ2と、加圧側インバータ3と、逆浸透膜モジュールとしてのRO膜モジュール5と、浸透圧調整部及び洗浄補助剤添加部としての薬剤添加装置4と、安全弁31と、透過水弁32と、濃縮水循環弁33と、比例制御排水弁34と、制御部20と、を備える。
また、水処理システム1は、第1圧力センサP1と、第2圧力センサP2と、第3圧力センサP3と、第1電気伝導率センサEC1と、第2電気伝導率センサEC2と、水温センサTEと、第1流量センサFM1と、第2流量センサFM2と、を備える。
制御部20には、加圧側インバータ3、透過水弁32、濃縮水循環弁33、比例制御排水弁34、薬剤添加装置4、第1圧力センサP1、第2圧力センサP2、第3圧力センサP3、第1電気伝導率センサEC1、第2電気伝導率センサEC2、水温センサTE、第1流量センサFM1、第2流量センサFM2が電気的に接続されている。なお、制御部20と被制御対象機器との電気的接続線の図示については、省略している。
また、水処理システム1は、供給水ラインL1と、透過水ラインL2と、濃縮水ラインL3と、濃縮水循環ラインL4と、排水ラインL5と、透過水返送ラインL6と、を備える。本明細書における「ライン」とは、流路、経路、管路等の流体の流通が可能なラインの総称である。
供給水ラインL1は、供給水W1をRO膜モジュール5に供給するラインである。供給水ラインL1の上流側の端部は、供給水W1の供給源(不図示)に接続されている。供給水ラインL1の下流側の端部は、RO膜モジュール5の一次側入口ポート511(一次側入口側)に接続されている。供給水ラインL1には、上流側から下流側に向かって、薬剤添加装置4、加圧ポンプ2、第1圧力センサP1、第1電気伝導率センサEC1、RO膜モジュール5が、この順に設けられている。
加圧ポンプ2は、供給水ラインL1を流通する供給水W1を吸入し、RO膜モジュール5へ向けて圧送(吐出)する装置である。加圧ポンプ2には、加圧側インバータ3から周波数が変換された駆動電力が供給される。加圧ポンプ2は、供給(入力)された駆動電力の周波数(以下、「駆動周波数」ともいう)に応じた回転速度で駆動される。
加圧側インバータ3は、加圧ポンプ2に、周波数が変換された駆動電力を供給する電気回路(又はその回路を持つ装置)である。加圧側インバータ3には、制御部20から指令信号が入力される。加圧側インバータ3は、制御部20により入力された指令信号(電流値信号又は電圧値信号)に対応する駆動周波数の駆動電力を加圧ポンプ2に出力する。
第1圧力センサP1は、加圧ポンプ2の吐出圧力(運転圧力)を検出する機器である。第1圧力センサP1は、加圧ポンプ2の吐出側近傍に配置されている。加圧ポンプ2の吐出側近傍とは、加圧ポンプ2の吐出圧力と看做せる圧力を検出できる位置を意味する。第1圧力センサP1で検出された供給水W1の圧力(以下、「検出圧力値」ともいう)は、制御部20へ検出信号として送信される。
薬剤添加装置4は、供給水ラインL1、濃縮水ラインL3及び濃縮水循環ラインL4のうちの1つ以上のラインに、浸透圧調整剤(薬剤)及び洗浄補助剤(薬剤)を添加する装置である。本実施形態においては、薬剤添加装置4は、供給水ラインL1における加圧ポンプ2の上流側において、供給水ラインL1を流通する供給水W1に浸透圧調整剤及び洗浄補助剤を添加する。詳細には、薬剤添加装置4は、濃縮水循環ラインL4(後述)の接続部J2と加圧ポンプ2との間における供給水ラインL1において、浸透圧調整剤(薬剤)及び洗浄補助剤(薬剤)を添加する。
薬剤添加装置4は、RO膜モジュール5の膜の一次側の供給水W1に浸透圧調整剤を添加することで、RO膜モジュール5の膜の一次側の供給水W1の濃度を上昇させて、RO膜モジュール5の膜の二次側から一次側に向けて透過水W2の移動が生じるように、RO膜モジュール5の膜の一次側の供給水W1の浸透圧を調整する。
なお、本実施形態においては、RO膜モジュール5の膜の一次側とは、RO膜モジュール5において逆浸透が生じる場合におけるRO膜モジュール5の上流側を意味し、RO膜モジュール5において正浸透が生じる場合には、RO膜モジュール5の下流側となる。また、RO膜モジュール5の膜の二次側とは、RO膜モジュール5の膜において逆浸透が生じる場合におけるRO膜モジュール5の下流側を意味し、RO膜モジュール5において正浸透が生じる場合には、RO膜モジュール5の上流側となる。
薬剤添加装置4により供給水W1に添加される浸透圧調整剤としては、例えば、塩化ナトリウムなどの塩、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどのアルカリ、有機酸(例:シュウ酸,クエン酸)又は無機酸(例:塩酸,硫酸,硝酸)などの酸が挙げられる。なお、塩、アルカリ、酸などを主体として、分散剤、殺菌剤などを添加してもよい。
薬剤添加装置4は、供給水ラインL1におけるRO膜モジュール5の膜の一次側を流通する供給水W1に洗浄補助剤を添加することで、RO膜モジュール5の膜面のファウリング(閉塞)の解消を促進させる。洗浄補助剤としては、主に、RO膜モジュール5の膜面のファウリング(閉塞)の解消を促進させるファウリング解消促進剤や、RO膜モジュール5の膜面を殺菌する殺菌剤が使用される。ファウリングとは、供給水W1に含まれる汚濁物質がRO膜モジュール5の膜の表面や細孔内に沈着する現象である。ファウリングには、例えば、生物汚染を原因とするもの(バイオファウリング)や、スケール(例えば、カルシウムスケール、シリカスケール、鉄系スケールなど)汚染を原因とするものや、有機物汚染を原因とするものなどがある。供給水W1の汚濁物質濃度が増加すると、ファウリングが発生しやすくなる。ファウリングが発生すると、膜の細孔が閉塞されるため、RO膜モジュール5における透過流束(後述)が低下したり、RO膜モジュール5におけるモジュール間差圧(後述)が増加する。
薬剤添加装置4は、RO膜モジュール5の膜の一次側に洗浄補助剤を添加することで、RO膜モジュール5における生物汚染の解消を促進させるためにRO膜モジュール5の膜面を殺菌したり、RO膜モジュール5に付着したスケールの解消を促進させたり、RO膜モジュール5における有機物詰まりの解消を促進させることができる。薬剤添加装置4により添加される洗浄補助剤の濃度や接触時間は、RO膜モジュール5の膜面のファウリングの程度により適宜調整される。
薬剤添加装置4より濃縮水W3に添加される洗浄補助剤としては、ファウリング物質の種類に応じて、例えば、次のような薬剤が使用される。
RO膜モジュール5が生物汚染傾向の場合には、洗浄補助剤として、結合塩素、安定化塩素又は臭素などの殺菌剤や、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムなどのアルカリが使用される。
RO膜モジュール5がスケール汚染傾向の場合には、洗浄補助剤として、有機酸(例:シュウ酸,クエン酸)又は無機酸(例:塩酸,硫酸,硝酸)などの酸、キレート剤、スケール分散剤などが使用される。
RO膜モジュール5が有機物詰まりの場合には、洗浄補助剤として、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどのアルカリや、界面活性剤などが使用される。
第1電気伝導率センサEC1は、RO膜モジュール5の膜の一次側の供給水W1の電気伝導率を検出する機器である。第1電気伝導率センサEC1で検出された供給水W1の電気伝導率は、制御部20へ検出信号として送信される。第1電気伝導率センサEC1で検出された供給水W1の電気伝導率は、制御部20において、換算式や換算テーブル等に基づいて、浸透圧に換算される。
RO膜モジュール5は、加圧ポンプ2から吐出された供給水W1を、溶存塩類が除去された透過水W2と、溶存塩類が濃縮された濃縮水W3とに膜分離処理する設備である。RO膜モジュール5は、単一又は複数のRO膜エレメント(不図示)を備える。RO膜モジュール5は、これらRO膜エレメントにより供給水W1を膜分離処理し、透過水W2及び濃縮水W3を製造する。RO膜は、分子量が数十程度のものを濾過可能な膜である。このRO膜には、ナノ濾過膜(NF膜)も含まれる。ナノ濾過膜は、2nm程度よりも小さい粒子や高分子(分子量が最大数百程度の物質)の透過を阻止可能な液体分離膜である。なお、ナノ濾過膜は、ルーズRO膜と呼ばれることもある。
透過水ラインL2は、RO膜モジュール5で分離された透過水W2を送出するラインである。透過水ラインL2の上流側の端部は、RO膜モジュール5の二次側ポート520(二次側出口側)に接続されている。透過水ラインL2の下流側の端部は、需要先の装置(不図示)や処理水タンク(不図示)などに接続されている。透過水ラインL2には、上流側から下流側に向けて順に、第2圧力センサP2、水温センサTE、第1流量センサFM1、第2電気伝導率センサEC2、接続部J3、透過水弁32が設けられている。
第2圧力センサP2は、RO膜モジュール5の膜の二次側の透過水W2の圧力を検出する機器である。第2圧力センサP2で検出された透過水W2の圧力(以下、「検出圧力値」ともいう)は、制御部20へ検出信号として送信される。
水温センサTEは、透過水W2の温度を検出する機器である。水温センサTEで検出された透過水W2の温度(以下、「検出水温値」ともいう)は、制御部20へ検出信号として送信される。
なお、本実施形態においては、水温センサTEをRO膜モジュール5の下流側に配置して、水温センサTEが透過水W2の温度を検出するように構成したが、これに制限されない。水温センサTEをRO膜モジュール5の上流側に配置して、水温センサTEが供給水W1の温度を検出するように構成してもよい。RO膜モジュール5の上流側及び下流側において、水の温度をほぼ同じ水温値と看做せるためである。
第1流量センサFM1は、透過水ラインL2を流通する透過水W2の流量を検出する機器である。第1流量センサFM1で検出された透過水W2の流量(以下、「検出流量値」ともいう)は、制御部20へパルス信号として送信される。
第2電気伝導率センサEC2は、透過水ラインL2を流通する透過水W2の電気伝導率を検出する機器である。第2電気伝導率センサEC2で検出された透過水W2の電気伝導率は、制御部20へ検出信号として送信される。
濃縮水ラインL3は、RO膜モジュール5で分離された濃縮水W3を送出するラインである。濃縮水ラインL3の上流側の端部は、RO膜モジュール5の一次側出口ポート512(一次側出口側)に接続されている。また、濃縮水ラインL3の下流側は、接続部J1において、濃縮水循環ラインL4及び排水ラインL5に接続されている。濃縮水ラインL3には、第3圧力センサP3が設けられている。
第3圧力センサP3は、RO膜モジュール5の一次側出口ポート512から排出される濃縮水W3の圧力を検出する機器である。第3圧力センサP3で検出された濃縮水W3の圧力(以下、「検出圧力値」ともいう)は、制御部20へ検出信号として送信される。
濃縮水循環ラインL4は、RO膜モジュール5で分離され且つ濃縮水ラインL3を流通する濃縮水W3の一部W31を、供給水ラインL1におけるRO膜モジュール5及び加圧ポンプ2よりも上流側に返送するラインである。濃縮水循環ラインL4は、RO膜モジュール5で分離された濃縮水W3をRO膜モジュール5の上流側に循環させる。濃縮水循環ラインL4の上流側の端部は、接続部J1において、濃縮水ラインL3に接続されている。また、濃縮水循環ラインL4の下流側の端部は、接続部J2において、供給水ラインL1における加圧ポンプ2よりも上流側に接続されている。濃縮水循環ラインL4には、濃縮水循環弁33が設けられている。
濃縮水循環弁33は、濃縮水循環ラインL4を開閉する弁である。濃縮水循環弁33は、RO膜モジュール5により透過水W2を製造する場合には、開状態に制御される。濃縮水循環弁33は、洗浄工程において、第一フラッシング運転を実行する場合には、閉状態に制御され、第二フラッシング運転を実行する場合には、開状態に制御される。
排水ラインL5は、RO膜モジュール5で分離され且つ濃縮水ラインL3を流通する濃縮水W3の残部W32を装置外(系外)に排出するラインである。排水ラインL5には、比例制御排水弁34、第2流量センサFM2が設けられている。
比例制御排水弁34は、排水ラインL5から装置外へ排出する濃縮水W3の残部W32の排水流量を調節する弁である。比例制御排水弁34の弁開度は、制御部20から送信される駆動信号により制御される。制御部20から電流値信号(例えば、4〜20mA)を比例制御排水弁34に送信して、弁開度を制御することにより、濃縮水W3の残部W32の排水流量を調節することができる。
第2流量センサFM2は、排水ラインL5を流通する濃縮水W3の残部W32の流量を検出する機器である。第2流量センサFM2は、排水ラインL5における比例制御排水弁34よりも下流側に配置されている。第2流量センサFM2で検出された濃縮水W3の残部W32の流量(以下、「検出流量値」ともいう)は、制御部20へパルス信号として送信される。
透過水返送ラインL6は、第一フラッシング運転(後述)及び第二フラッシング運転(後述)において、透過水ラインL2に送出された透過水W2を、供給水ラインL1における加圧ポンプ2よりも上流側に返送させるラインである。透過水返送ラインL6の上流側の端部は、接続部J3において透過水ラインL2に接続されている。接続部J3は、RO膜モジュール5の二次側ポート520と透過水弁32との間に配置されている。また、透過水返送ラインL6の下流側の端部は、接続部J4において供給水ラインL1に接続されている。接続部J4は、加圧ポンプ2の上流側に配置されている。透過水返送ラインL6には、安全弁31が設けられている。
安全弁31は、第一フラッシング運転(後述)及び第二フラッシング運転(後述)において、透過水ラインL2の管内圧力が設定された圧力以上となった場合に開弁して、透過水W2を透過水返送ラインL6に流通させる弁である。すなわち、安全弁31は、設定された圧力以上の透過水W2を、透過水返送ラインL6を介して供給水ラインL1に戻すことにより、RO膜モジュール5の膜の二次側に過剰な背圧が発生するのを防止する。
制御部20は、CPU及びメモリを含むマイクロプロセッサ(不図示)により構成される。制御部20は、水処理システム1を制御する。
制御部20は、製造工程及び洗浄工程を実行するように、加圧側インバータ3(加圧ポンプ2)、透過水弁32、濃縮水循環弁33及び比例制御排水弁34を制御する。
[製造工程]
まず、製造工程について説明する。製造工程は、水処理システム1において透過水W2を製造する工程である。制御部20は、製造工程として、透過水W2の水量制御を実行すると共に、透過水W2の回収率制御を実行する。
以下に、透過水W2の水量制御及び透過水W2の回収率制御について説明する。
<透過水W2の水量制御>
制御部20は、透過水W2の水量制御として、例えば、流量フィードバック水量制御、圧力フィードバック水量制御、又は温度フィードフォワード水量制御のいずれかを選択して実行できる。各水量制御の概要は、次の通りである。
(流量フィードバック水量制御)
制御部20は、透過水W2の流量が予め設定された目標流量値となるように、第1流量センサFM1の検出流量値をフィードバック値として、加圧ポンプ2を駆動するための駆動周波数を演算する。そして、制御部20は、駆動周波数の演算値に対応する指令信号(電流値信号又は電圧値信号)を加圧側インバータ3に出力する(以下、「流量フィードバック水量制御」ともいう)。なお、本水量制御における駆動周波数の演算には、例えば、速度形デジタルPIDアルゴリズムを用いることができる。
(圧力フィードバック水量制御)
制御部20は、透過水W2の流量が予め設定された目標流量値となるように、加圧ポンプ2の検出圧力値(第1圧力センサP1の検出圧力値)をフィードバック値として、加圧ポンプ2の駆動周波数を演算する。そして、制御部20は、駆動周波数の演算値に対応する指令信号(電流値信号又は電圧値信号)を加圧側インバータ3に出力する(以下、「圧力フィードバック水量制御」ともいう)。なお、本水量制御における駆動周波数の演算には、例えば、速度形デジタルPIDアルゴリズムを用いることができる。
(温度フィードフォワード水量制御)
制御部20は、透過水W2の流量が予め設定された目標流量値となるように、水温センサTEの検出温度値をフィードフォワード値として、加圧ポンプ2の駆動周波数を演算する。そして、制御部20は、駆動周波数の演算値に対応する指令信号(電流値信号又は電圧値信号)を加圧側インバータ3に出力する(以下、「温度フィードフォワード水量制御」ともいう)。
<透過水W2の回収率制御>
透過水W2の回収率とは、RO膜モジュール5に供給される供給水W1の流量に対する透過水W2の流量の比率(透過水W2の流量/供給水W1の流量)である。
制御部20は、透過水W2の回収率制御として、例えば、温度フィードフォワード回収率制御、水質フィードフォワード、又は水質フィードバック回収率制御のいずれかを選択して実行できる。各回収率制御の概要は、次の通りである。
(温度フィードフォワード回収率制御)
制御部20は、予め取得された供給水W1のシリカ濃度、及び水温センサTEの検出温度値から決定したシリカ溶解度に基づいて、濃縮水W3におけるシリカの許容濃縮倍率を演算する。そして、制御部20は、許容濃縮倍率の演算値、及び透過水W2の目標流量値から排水流量を演算し、濃縮水W3の実際排水量(第2流量センサFM2の検出流量値)が排水流量の演算値(目標排水流量)となるように、比例制御排水弁34の弁開度を制御する(以下、「温度フィードフォワード回収率制御」ともいう)。
(水質フィードフォワード回収率制御)
制御部20は、予め取得された炭酸カルシウムの溶解度、及び硬度センサの測定硬度値に基づいて、濃縮水W3における炭酸カルシウムの許容濃縮倍率を演算する。そして、制御部20は、許容濃縮倍率の演算値、及び透過水W2の目標流量値から排水流量を演算し、濃縮水W3の実際排水量(第2流量センサFM2の検出流量値)が排水流量の演算値(目標排水流量)となるように、比例制御排水弁34の弁開度を制御する(以下、「水質フィードフォワード回収率制御」ともいう)。
(水質フィードバック回収率制御)
制御部20は、第2電気伝導率センサEC2の測定電気伝導率値が予め設定された目標電気伝導率となるように、比例制御排水弁34の弁開度をダイレクトに制御する(以下、「水質フィードバック回収率制御」ともいう)。なお、本制御における弁開度の決定には、例えば、速度形デジタルPIDアルゴリズムを用いることができる。
<透過水W2の水量制御及び回収率制御の制御例>
透過水W2の水量制御及び回収率制御においては、「流量フィードバック水量制御」と「温度フィードフォワード回収率制御」とが組み合わされて実行されるパターンや、「圧力フィードバック水量制御」と「水質フィードフォワード回収率制御」とが組み合されて実行されるパターンや、「温度フィードフォワード水量制御」と「水質フィードバック回収率制御」とが組み合わされて実行されるパターンが例示される。なお、この組み合わせ以外を排除するものではない。
[洗浄工程]
次に、洗浄工程について説明する。
洗浄工程は、RO膜モジュール5の洗浄を行う工程である。本実施形態においては、洗浄工程は、間欠的に実行される。洗浄工程は、例えば、1日に1回実行される。
制御部20は、図1に示すように、洗浄コース判定部21と、洗浄制御部22と、を有する。洗浄コース判定部21は、洗浄工程を実行する前に、洗浄コースを判定する工程である。洗浄制御部22は、判定工程により判定された洗浄コースに基づいて、洗浄工程を実行する。本実施形態においては、洗浄制御部22は、例えば、洗浄コース判定部21により判定された洗浄コースに基づいて、浸透圧調整工程及び洗浄補助剤処理工程を実行し、その後、第一フラッシング運転を行う第一フラッシング工程を実行し、その後、第二フラッシング運転を行う第二フラッシング工程を実行する。
<洗浄コース判定工程>
洗浄コース判定部21は、RO膜モジュール5の透過流束及びモジュール間差圧に基づいて、RO膜モジュール5の洗浄コースを判定する。
RO膜モジュール5の透過流束は、RO膜モジュール5の一次側入口ポート511の圧力と二次側ポート520の圧力とに基づいて演算することができる。具体的には、RO膜モジュール5の透過流束を、次のように演算することができる。
RO膜モジュール5の透過流束は、RO膜モジュール5の膜の詰まり状態を示す指標で、単位時間当たり、単位膜面積を透過する水の量を単位膜差圧当たりとして標準温度条件下に換算したものである。これを数式にて表現すると、特開2008−55336号公報に記載のように、下記の式(1)にて表現できる。
透過流束[L/m・h・MPa]=処理水瞬間流量/[{入口運転圧力−(装置差圧÷2)−出口背圧−浸透圧}×温度補正係数×膜面積] (1)
本実施形態では、透過流束の演算に用いられる各値について、「処理水瞬間流量」は、第1流量センサFM1で測定された検出流量値[L/h]により取得し、「入口運転圧力」は、第1圧力センサP1で測定された検出圧力値[MPa]により取得する。また、「装置差圧」は、設定値[MPa]であり、「出口背圧」は、第2圧力センサP2で測定された検出圧力値[MPa]により取得する。「浸透圧」は、設定値[MPa]とし、温度補正係数は、水温センサTEで検出される温度の関数とし、「膜面積」は、設定値[m]である。
RO膜モジュール5のモジュール間差圧は、RO膜モジュール5の一次側入口ポート511(一次側入口側)の圧力と一次側出口ポート512(一次側出口側)の圧力との差圧である。RO膜モジュール5のモジュール間差圧は、下記の式(2)にて表現できる。
モジュール間差圧[MPa]=RO膜モジュール5の一次側入口ポート511の圧力−RO膜モジュール5の一次側出口ポート512の圧力 (2)
本実施形態においては、「RO膜モジュール5の一次側出口ポート512の圧力」は、第3圧力センサP3で測定された検出圧力値[MPa]により取得し、「RO膜モジュール5の一次側入口ポート511の圧力」は、第1圧力センサP1で測定された検出圧力値[MPa]により取得する。
洗浄コース判定部21は、RO膜モジュール5の透過流束及びモジュール間差圧に基づいて、RO膜モジュール5の透過流束及びモジュール間差圧の時間的な変化を検出し、RO膜モジュール5の汚染状態を判定することで、RO膜モジュール5の洗浄コースを判定する。洗浄コース判定部21は、例えば、以下の第1汚染条件〜第4汚染条件の場合において、図2に示すように、RO膜モジュール5の汚染状態を判定し、汚染状態に応じた洗浄コースを判定する。
(第1汚染条件により判定される汚染状態)
洗浄コース判定部21は、例えば、図2に示すように、RO膜モジュール5の透過流束が低下し、かつ、RO膜モジュール5のモジュール間差圧が増加した場合(第1汚染条件の場合)には、RO膜モジュール5について、「生物汚染傾向」であると判定し、又は、「生物汚染傾向及びスケール汚染傾向」であると判定する。
(第2汚染条件により判定される汚染状態)
洗浄コース判定部21は、例えば、図2に示すように、RO膜モジュール5の透過流束が低下し、かつ、RO膜モジュール5のモジュール間差圧が増加しない場合(第2汚染条件の場合)には、RO膜モジュール5について、「スケール汚染傾向」であると判定し、又は、「有機物詰まり」があると判定する。
(第3汚染条件により判定される汚染状態)
洗浄コース判定部21は、例えば、図2に示すように、RO膜モジュール5の透過流束が低下せずに、かつ、RO膜モジュール5のモジュール間差圧が増加した場合(第3汚染条件の場合)には、RO膜モジュール5について、「生物汚染傾向」であると判定する。
(第4汚染条件により判定される汚染状態)
洗浄コース判定部21は、例えば、図2に示すように、RO膜モジュール5の透過流束が低下せずに、かつ、RO膜モジュール5のモジュール間差圧が増加しない場合(第4汚染条件の場合)には、RO膜モジュール5について、「正常状態」であると判定する。
<洗浄制御>
洗浄制御部22は、洗浄コース判定部21により判定された洗浄コースに基づいて、RO膜モジュール5の洗浄動作を実行させるように、浸透圧調整工程、洗浄補助剤を添加する洗浄補助剤処理工程、第一フラッシング工程、第二フラッシング工程を実行するように、薬剤添加装置4、加圧ポンプ2、透過水弁32及び比例制御排水弁34を制御する。洗浄制御部22は、浸透圧調整工程又は洗浄補助剤処理工程を実行する場合には、洗浄コース判定部21により判定された洗浄コースに基づいて、薬剤添加装置4(浸透圧調整部、洗浄補助剤添加部)を制御する。以下に、浸透圧調整工程、洗浄補助剤処理工程、第一フラッシング工程、第二フラッシング工程、について説明する。
(浸透圧調整工程)
浸透圧調整工程は、RO膜モジュール5の膜の二次側から一次側に向けて透過水W2の移動が生じるように、RO膜モジュール5の膜の一次側の供給水W1の浸透圧を調整する工程である。なお、前述した通り、本実施形態においては、RO膜モジュール5の膜の一次側とは、RO膜モジュール5において逆浸透が生じる場合におけるRO膜モジュール5の上流側を意味し、RO膜モジュール5において正浸透が生じる場合には、RO膜モジュール5の下流側となる。また、RO膜モジュール5の膜の二次側とは、RO膜モジュール5において逆浸透が生じる場合におけるRO膜モジュール5の下流側を意味し、RO膜モジュール5において正浸透が生じる場合には、RO膜モジュール5の上流側となる。
浸透圧調整工程としては、例えば、RO膜モジュール5の膜の一次側の供給水W1に浸透圧調整剤を添加する方法や、RO膜モジュール5における回収率(供給水W1の流量に対する透過水W2の流量の比率)を上昇させる方法などがある。
浸透圧調整工程においては、RO膜モジュール5の膜の一次側の供給水W1の浸透圧が、例えば、0.1MPa以上となるように調整される。RO膜モジュール5の膜の一次側の供給水W1の浸透圧は、膜の二次側の透過水W2の浸透圧よりも、好ましくは0.1MPa以上、より好ましくは0.2MPa〜0.5MPa高くするように調整されることが好ましい。RO膜モジュール5の膜の一次側と二次側の浸透圧の差を0.1MPa以上とすることにより、RO膜モジュール5の膜の二次側の透過水W2は、膜の一次側に確実に移動されることになる。なお、浸透圧調整工程により調整される浸透圧は、0.1MPa以上には限定されず、0.1MPa未満であっても、RO膜モジュール5の膜の二次側から一次側に透過水W2が移動される作用が生じればよい。また、浸透圧調整工程においては、浸透圧を調整する処理(薬剤の添加、回収率の調整)を実行後に、RO膜モジュール5の膜面に供給水W1を所定時間接触させることで、正浸透作用による洗浄が行われる。
RO膜モジュール5の膜の一次側の供給水W1の浸透圧は、第1電気伝導率センサEC1で検出されたRO膜モジュール5の膜の一次側の供給水W1の電気伝導率を浸透圧に換算することにより求められる。例えば、制御部20は、供給水W1に添加する浸透圧調整剤が塩化ナトリウムである場合に、塩化ナトリウムにおける電気伝導率に対する浸透圧について、換算式や換算テーブル等を記憶しており、記憶された換算式や換算テーブル等に基づいて、第1電気伝導率センサEC1で検出された供給水W1の電気伝導率を、浸透圧に換算する。なお、RO膜モジュール5の膜の二次側の透過水W2の浸透圧を一定と看做せることから、RO膜モジュール5の膜の一次側の供給水W1の浸透圧を計測すれば、RO膜モジュール5の膜の一次側の浸透圧と二次側の浸透圧との浸透圧差の概略を求めることができる。
浸透圧調整工程におけるRO膜モジュール5の膜の一次側の供給水W1に浸透圧調整剤を添加する方法では、RO膜モジュール5の膜の一次側の供給水W1に薬剤添加装置4により浸透圧調整剤を添加することで、RO膜モジュール5の膜の一次側の供給水W1の濃度を上昇させて、RO膜モジュール5の膜の二次側から一次側に向けて透過水W2の移動が生じるように、RO膜モジュール5の膜の一次側の供給水W1の浸透圧を調整する。
RO膜モジュール5の膜の一次側の供給水W1の濃度を上昇させることで、水の濃度が低いRO膜モジュール5の膜の二次側から、水の濃度が高いRO膜モジュール5の膜の一次側に向けて透過水W2が移動する正浸透作用を生じさせることができる。
浸透圧調整工程におけるRO膜モジュール5における回収率(供給水W1の流量に対する透過水W2の流量の比率)を上昇させる方法では、RO膜モジュール5における回収率を上昇させることにより、RO膜モジュール5の膜の二次側から一次側に向けて透過水W2の移動が生じるように、RO膜モジュール5の膜の一次側の供給水W1の浸透圧を調整する。なお、回収率を上昇させる方法は、前述の透過水W2の回収率制御により実行される。
RO膜モジュール5における回収率が上昇した状態においては、RO膜モジュール5により分離された濃縮水W3の濃縮度が上昇する。例えば、RO膜モジュール5の回収率を50%から80%に上昇させた場合には、濃縮水W3の濃縮度が2〜5倍程度となる。これにより、RO膜モジュール5の膜の一次側の濃縮水W3の濃度を上昇させることで、水の濃度が低いRO膜モジュール5の膜の二次側から、水の濃度が高いRO膜モジュール5の膜の一次側に向けて透過水W2が移動する正浸透作用が生じさせることができる。
なお、RO膜モジュール5における回収率を長時間に亘って上昇させるとRO膜モジュール5の膜面にカルシウムスケールやシリカスケールが発生するため、RO膜モジュール5における回収率を上昇させる時間は、RO膜モジュール5の膜面にカルシウムスケールやシリカスケールが発生しない程度の時間に設定される。
(洗浄補助剤処理工程)
洗浄補助剤処理工程は、RO膜モジュール5の膜の一次側の供給水W1に、薬剤添加装置4により洗浄補助剤が添加される工程である。本実施形態においては、薬剤添加装置4は、加圧ポンプ2の上流側において、洗浄補助剤を添加する。洗浄補助剤としては、主に、RO膜モジュール5の膜面のファウリング(閉塞)の解消を促進させるファウリング解消促進剤として作用するものが使用される。洗浄補助剤処理工程においては、RO膜モジュール5の膜の一次側の供給水W1に洗浄補助剤が添加された後に、洗浄補助剤をRO膜モジュール5の膜面に所定時間接触させることで、RO膜モジュール5の膜面から付着物が剥がれやすくなる。
(第一フラッシング工程)
第一フラッシング工程は、水処理システム1の系内の水を入れ替える工程である。第一フラッシング工程においては、透過水弁32及び濃縮水循環弁33を閉状態とし、比例制御排水弁34を開状態とした状態で、加圧ポンプ2によりRO膜モジュール5に供給水W1を供給する。これにより、供給水ラインL1、濃縮水ラインL3及び排水ラインL5を流通する水を入れ替えることで、水処理システム1の系内の水を入れ替えることができる。なお、供給水W1の水圧が十分に高い場合には、加圧ポンプ2を停止して、供給水W1の水圧にて圧送することで、第一フラッシング工程を実行することもできる。
(第二フラッシング工程)
第二フラッシング工程は、第一フラッシング工程の実行後に、透過水弁32を閉状態に維持すると共に濃縮水循環弁33を開状態とし、比例制御排水弁34を開状態とした状態で、加圧ポンプ2によりRO膜モジュール5に供給水を供給することで、RO膜モジュール5の膜の一次側を洗浄する第二フラッシング運転を実行する工程である。第二フラッシング運転を実行することで、供給水W1によりRO膜モジュール5の膜の一次側を洗浄する。
ここで、透過水弁32を閉状態とした状態で、第二フラッシング運転を実行することで、RO膜モジュール5により分離された透過水W2は、透過水返送ラインL6を介して、RO膜モジュール5の膜の一次側に返送される。これにより、RO膜モジュール5の膜の二次側の透過水W2がRO膜モジュール5の膜の一次側に返送されるため、第二フラッシング工程を実行している際において、RO膜モジュール5の膜の二次側の圧力が高くなることを抑制することができる。また、第二フラッシング運転を実行することで、RO膜モジュール5により分離された濃縮水W3は、濃縮水循環ラインL4を介して、RO膜モジュール5の膜の一次側に返送される。
第二フラッシング工程は、浸透圧調整工程及び洗浄補助剤添加工程の実行後に実行される。そのため、第二フラッシング工程は、RO膜モジュール5の膜の二次側から一次側に向けて透過水W2の移動が生じる正浸透作用が生じた後に実行される。また、第二フラッシング工程は、ファウリング解消促進剤(洗浄補助剤)や殺菌剤(洗浄補助剤)をRO膜モジュール5の膜面に作用させた後に実行される。これにより、RO膜モジュール5の膜の一次側において、水の剪断力(RO膜モジュール5の膜面に付着した付着物を剥ぎ取る力)が大きくなり、RO膜モジュール5の膜面に付着した付着物を効果的に剥離させることができる。
第二フラッシング工程における第二フラッシング運転において、透過水返送ラインL6を介してRO膜モジュール5の膜の一次側に返送される透過水W2の量は極力少ないことが好ましいため、制御部20は、透過水返送ラインL6を介してRO膜モジュール5の膜の一次側に返送される透過水W2の流量が、RO膜モジュール5の膜の一次側の圧力がRO膜モジュール5の膜の二次側の圧力よりも高くなる最小の流量となるように、加圧ポンプ2(加圧側インバータ3)を制御する。
例えば、制御部20は、第1流量センサFM1の検出流量値をフィードバック値として、加圧ポンプ2を駆動するための駆動周波数を演算して、加圧ポンプ2(加圧側インバータ3)を制御することができる。又は、制御部20は、水温センサTEの検出温度値をフィードフォワード値として、加圧ポンプ2の駆動周波数を演算して、加圧ポンプ2(加圧側インバータ3)を制御することができる。
第二フラッシング運転を実行すると、供給水W1のほとんどは、RO膜を透過することなく、RO膜の表面を流れ、フラッシング洗浄排水として、濃縮水ラインL3を介して、排水ラインL5から外部に排出される。この第二フラッシング運転により、RO膜の表面に析出したスケールや沈着した懸濁物質が除去される。第二フラッシング運転は、所定時間(例えば、120秒,60秒)実行される。
[水処理システム1における定常運転及び洗浄運転の全体の動作]
次に、本実施形態に係る水処理システム1の動作について説明する。まず、水処理システム1における定常運転及び洗浄運転の全体の動作について説明する。図3は、本実施形態に係る水処理システム1の洗浄方法の全体のフローを示すフローチャートである。
図3に示すステップS11において、水処理システム1は、定常運転により動作が実行されている。定常運転においては、RO膜モジュール5に供給水W1を導入して透過水W2を製造する製造工程が実行されている。また、水処理システム1は、定常運転の実行中に、RO膜モジュール5を洗浄する洗浄動作を間欠的に実行する。RO膜モジュール5を洗浄する間欠洗浄動作は、例えば、1日に1回実行される。
ステップS12において、洗浄コース判定部21は、RO膜モジュール5の膜面におけるファウリングの発生状況(汚染状態)を把握して、洗浄コースを判定する。洗浄コース判定部21による洗浄コース判定工程の処理は、間欠的に実行される洗浄動作に対応させて、例えば、1日に1回実行される。洗浄コース判定部21により実行される洗浄コース判定工程の詳細については後述する。
ステップS13において、洗浄制御部22は、洗浄コース判定部21に判定された洗浄コースに基づいて、RO膜モジュール5を洗浄する洗浄工程を実行する。洗浄工程の詳細については後述する。
ステップS13の処理の終了後、ステップS11に戻り、定常運転が実行される(リターン)。
[洗浄コース判定工程の動作]
次に、洗浄コース判定工程の動作について説明する。図4は、洗浄コース判定工程により汚染状態を判定する工程を示すフローチャートである。
図4に示すステップS21において、洗浄コース判定部21は、第1圧力センサP1により測定されたRO膜モジュール5の一次側入口ポート511の検出圧力値、第2圧力センサP2により測定されたRO膜モジュール5の膜の二次側の検出圧力値及び第1流量センサFM1により測定された透過水W2の検出流量値に基づいて、透過流束を演算する。洗浄コース判定部21は、透過流束の時間的変化を監視している。
ステップS22において、洗浄コース判定部21は、第1圧力センサP1により測定されたRO膜モジュール5の一次側入口ポート511の検出圧力値、及び第3圧力センサP3により測定されたRO膜モジュール5の一次側出口ポート512の検出圧力値に基づいて、モジュール間差圧を演算する。洗浄コース判定部21は、モジュール間差圧の時間的変化を監視している。
ステップS23において、洗浄コース判定部21は、RO膜モジュール5の透過流束が低下したか否を判定する。RO膜モジュール5の透過流束が低下した場合(YES)には、処理は、ステップS24に移行する。RO膜モジュール5の透過流束が低下しない場合(NO)には、処理は、ステップS27に移行する。
ステップS24において、洗浄コース判定部21は、RO膜モジュール5のモジュール間差圧が増加した否かを判定する。
RO膜モジュール5のモジュール間差圧が増加した場合(YES)(図2における第1汚染条件の場合)には、ステップS25において、洗浄コース判定部21は、RO膜モジュール5について、「生物汚染傾向」であると判定し、又は、「生物汚染傾向及びスケール汚染傾向」であると判定する。この場合には、「生物汚染傾向」又は「生物汚染傾向及びスケール汚染傾向」であるとされて、「正物汚染傾向洗浄コース」又は「スケール汚染傾向コース」の洗浄が実行される。これにより、処理は終了する。
また、RO膜モジュール5のモジュール間差圧が増加しない場合(NO)(図2における第2汚染条件の場合)には、ステップS26において、洗浄コース判定部21は、RO膜モジュール5について、「スケール汚染傾向」であると判定し、又は、「有機物詰まり」があると判定する。この場合には、「スケール汚染傾向」又は「有機物詰まり」であるとされて、「スケール汚染傾向洗浄コース」又は「有機物詰まり洗浄コース」の洗浄が実行される。これにより、処理は終了する。
ステップS23におけるNOである場合のステップS27において、制御部20は、RO膜モジュール5のモジュール間差圧が増加した否かを判定する。
RO膜モジュール5のモジュール間差圧が増加した場合(YES)(図2における第3汚染条件の場合)には、ステップS28において、洗浄コース判定部21は、RO膜モジュール5について、「生物汚染傾向」であると判定する。この場合には、「生物汚染傾向」であるとされて、「正物汚染傾向洗浄コース」の洗浄が実行される。これにより、処理は終了する。
また、RO膜モジュール5のモジュール間差圧が増加しない場合(NO)(図2における第4汚染条件の場合)には、ステップS29において、洗浄コース判定部21は、RO膜モジュール5について、「正常状態」であると判定する。この場合には、「正常状態」であるとされて、「正常洗浄コース」の洗浄が実行される。これにより、処理は終了する。
[洗浄コース判定工程により判定された洗浄コースにおける洗浄制御の動作]
次に、洗浄コース判定部21により判定された洗浄コースにおける洗浄制御動作について説明する。
本実施形態においては、「生物汚染傾向洗浄コース」、「スケール汚染傾向洗浄コース」、「有機物詰まり洗浄コース」及び「正常洗浄コース」において実行される洗浄制御動作について説明する。なお、本実施形態においては、洗浄コース判定部21により複合的に複数の汚染状態(ファウリング)が含まれていると判定された場合には、まず、一の汚染状態のみに対応する洗浄制御動作が実行される。その後、再度、洗浄コース判定部21により判定を行った場合に、他の汚染状態が含まれていると判定された場合に、他の汚染状態に対応する洗浄制御動作が実行される。なお、複合的な汚染状態(ファウリング)を含んでいる場合において、混合した薬剤を使用することで複合的なファウリングの解消を促進させる効果を得られる場合には、混合した薬剤を使用してもよい。
<「生物汚染傾向洗浄コース」における洗浄制御動作>
RO膜モジュール5について「生物汚染傾向」である場合に実行される「生物汚染傾向洗浄コース」の洗浄方法について説明する。図5は、生物汚染傾向洗浄コースにおける洗浄制御を示すフローチャートである。図6は、生物汚染傾向洗浄コースにおいて実行される洗浄制御において、RO膜モジュール5の膜5aに付着した付着物Dが剥離される様子を説明する図である。
「生物汚染傾向洗浄コース」の洗浄制御動作を実行する前においては、図6(a)に示すように、RO膜モジュール5において、RO膜モジュール5に供給水W1を導入して透過水W2を製造する透過水製造工程が実行されている。RO膜モジュール5の膜5aには、付着物D(例えば、バイオフィルム)が付着している。
図5に示すステップS31において、洗浄制御部22は、「生物汚染傾向洗浄コース」の洗浄制御動作を実行するために、加圧ポンプ2を停止させて、透過水弁32を閉状態とした状態で、図6(b)に示すように、洗浄補助剤添加工程を実行する。洗浄補助剤添加工程においては、RO膜モジュール5の膜の一次側の供給水W1に薬剤添加装置4により洗浄補助剤Aを添加することで、RO膜モジュール5に洗浄補助剤Aを添加する。生物汚染傾向洗浄コースにおいて洗浄補助剤添加工程を実行する場合には、洗浄補助剤Aとして、例えば、結合塩素、安定化塩素又は臭素などの殺菌剤や、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどのアルカリが使用される。そして、洗浄補助剤をRO膜モジュール5の膜面に作用させるように、所定時間接触させる。これにより、RO膜モジュール5の膜面に洗浄補助剤が作用することで、RO膜モジュール5の膜面は、殺菌される。
ステップS32において、制御部20は、浸透圧調整工程を実行する。制御部20は、浸透圧調整工程において、RO膜モジュール5の膜の二次側から一次側に向けて透過水W2の移動が生じるように、RO膜モジュール5の膜の一次側の供給水W1の浸透圧を調整する。RO膜モジュール5の膜の一次側の供給水W1の浸透圧を調整する方法としては、例えば、薬剤添加装置4により供給水W1に浸透圧調整剤を添加する方法や、RO膜モジュール5における回収率を上昇させる方法などがある。
本実施形態では、浸透圧調整工程において、例えば、透過水弁32を閉状態とした状態で、図6(c)に示すように、RO膜モジュール5に供給される供給水W1に、薬剤添加装置4により、浸透圧調整剤Bを添加する。浸透圧調整剤Bとして、例えば、塩化ナトリウムなどの塩、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどのアルカリ、有機酸(例:シュウ酸,クエン酸)又は無機酸(例:塩酸,硫酸,硝酸)などが使用される。
そして、浸透圧調整剤をRO膜モジュール5の膜面に作用させるように、所定時間接触させる。これにより、RO膜モジュール5には、正浸透が作用する。正浸透作用により、RO膜モジュール5の膜の二次側から一次側に向けて透過水W2の移動が生じるように、RO膜モジュール5の膜の一次側の供給水W1の浸透圧が調整される。RO膜モジュール5の膜の一次側の供給水W1の浸透圧の所定値は、例えば、0.1MPaである。これにより、RO膜モジュール5の膜の細孔内からは、付着物D1が膜の表面に浮き上がりやすくなる。なお、例えば、供給水W1の浸透圧の所定値は、第1電気伝導率センサEC1で検出された供給水W1の電気伝導率から換算できる。
以上のような生物汚染傾向洗浄コースにおいて実行される洗浄制御動作は、ステップS31において、洗浄補助剤添加工程を実行した後に、ステップS32において、浸透圧調整工程を実行するという順番で実行される。これにより、RO膜モジュール5が生物汚染傾向の汚染状態である場合に、RO膜モジュール5の膜面を殺菌することで生物汚染の進行を止めた後に、正浸透作用を発生させることができる。よって、RO膜モジュール5を効率よく適切に洗浄することが可能になる。つまり、RO膜モジュール5の膜面を殺菌することで生物汚染の進行を止めつつ、洗浄時間、薬剤量などを最適化することで、洗浄時間を短縮でき、薬剤量を低減できる。仮に、浸透圧調整工程を実行した後に洗浄補助剤添加工程を実行した場合には、RO膜モジュール5の膜面を殺菌することで生物汚染の進行を止めずに、RO膜モジュール5の膜の一次側の供給水W1の浸透圧を調整することになる。そのため、RO膜モジュール5の洗浄方法において、洗浄補助剤添加工程を実行した後に浸透圧調整工程を実行する本発明は、浸透圧調整工程を実行した後に洗浄補助剤添加工程を実行する場合よりも、効果的である。
ステップS33において、洗浄制御部22は、図6(d)に示すように、第一フラッシング工程を実行する。第一フラッシング工程は、水処理システム1の系内の水を入れ替える工程である。第一フラッシング工程においては、透過水弁32及び濃縮水循環弁33を閉状態とし、比例制御排水弁34を開状態とした状態で、加圧ポンプ2を駆動することで、RO膜モジュール5に供給水を供給する。これにより、供給水ラインL1、濃縮水ラインL3及び排水ラインL5を流通する水を入れ替えることで、水処理システム1の系内の水を入れ替えることができる。よって、浸透圧調整工程においてRO膜モジュール5の膜面から剥離された付着物D1(バイオフィルム)を洗い流すことができる。
ステップS34において、洗浄制御部22は、図6(e)に示すように、第二フラッシング工程を実行する。第二フラッシング工程は、第一フラッシング工程の実行後に、透過水弁32の閉状態を維持すると共に比例制御排水弁34の開状態を維持した状態で、濃縮水循環弁33を開状態とし、加圧ポンプ2を駆動することで、RO膜モジュール5の膜の一次側を洗浄するフラッシング運転を実行する工程である。
第二フラッシング工程の第二フラッシング運転を実行することで、供給水W1がRO膜モジュール5の膜の一次側を洗浄する。これにより、RO膜モジュール5の膜面に残存している付着物D2(バイオフィルム)を容易に剥離することができる。第二フラッシング工程においては、第二フラッシング工程の前工程において浸透圧調整工程が実行されているため、RO膜モジュール5の膜面に残存している付着物D2を剥離することが容易な状態となっている。
ここで、透過水弁32を閉状態としたため、第二フラッシング工程が実行されると、RO膜モジュール5により分離された透過水W2は、透過水返送ラインL6を介してRO膜モジュール5の膜の一次側に返送される。
また、濃縮水循環弁33を開状態としたため、RO膜モジュール5により分離された濃縮水W3は、濃縮水循環ラインL4を介してRO膜モジュール5の膜の一次側に返送される。
第二フラッシング工程における第二フラッシング運転は、所定時間(例えば、120秒,60秒)実行される。
そして、本フローチャートの処理は終了する。
<「スケール汚染傾向洗浄コース」又は「有機物詰まり洗浄コース」における洗浄制御動作>
RO膜モジュール5について「スケール汚染傾向」である場合に実行される「スケール汚染傾向洗浄コース」又は「有機物詰まり」である場合に実行される「有機物詰まり洗浄コース」の洗浄方法について説明する。図7は、スケール汚染傾向洗浄コース又は有機物詰まり洗浄コースにおける洗浄制御を示すフローチャートである。図8は、スケール汚染傾向洗浄コース又は有機物詰まり洗浄コースにおいて実行される洗浄制御において、RO膜モジュール5の膜5aに付着した付着物Eが剥離される様子を説明する図である。
「スケール汚染傾向洗浄コース」及び「有機物詰まり洗浄コース」においては、洗浄補助剤添加工程において添加する洗浄補助剤の種類が、洗浄コース判定部21により判定された洗浄コースにより異なる。
「スケール汚染傾向洗浄コース」又は「有機物詰まり洗浄コース」の洗浄制御動作を実行する前においては、図8(a)に示すように、RO膜モジュール5において、RO膜モジュール5に供給水W1を導入して透過水W2を製造する透過水製造工程が実行されている。RO膜モジュール5の膜5aには、付着物Eが付着している。
図7に示すステップS41において、洗浄制御部22は、「スケール汚染傾向洗浄コース」又は「有機物詰まり洗浄コース」の洗浄制御動作を実行するために、加圧ポンプ2を停止させて、透過水弁32を閉状態とした状態で、図8(b)に示すように、浸透圧調整工程及び洗浄補助剤添加工程を同時期に実行する。
具体的には、洗浄制御部22は、浸透圧調整工程においては、透過水弁32を閉状態とした状態で、RO膜モジュール5に供給される供給水W1に、浸透圧調整剤及び洗浄補助剤を同時期に添加するように、薬剤添加装置4を制御する。薬剤添加装置4から添加される薬剤としては、浸透圧調整剤(薬剤)及び洗浄補助剤(薬剤)を混合した混合薬剤を添加するように構成してもよいし、別液の薬剤を同時期に添加するように構成してもよい。本実施形態においては、図8(b)に示すように、薬剤添加装置4により、浸透圧調整剤及び洗浄補助剤が混合された混合薬剤Cが添加される。
そして、洗浄制御部22は、浸透圧調整工程において、浸透圧調整剤をRO膜モジュール5の膜面に作用させるように、所定時間接触させる。これにより、RO膜モジュール5には、正浸透が作用する。これにより、図8(b)に示すように、RO膜モジュール5の膜の細孔内からは、付着物E1が膜の表面に浮き上がりやすくなる。正浸透に関しては、前述の生物汚染傾向洗浄コースの場合における図5に示すステップS32の動作と同様である。
また、洗浄制御部22は、洗浄補助剤添加工程において、洗浄補助剤をRO膜モジュール5の膜面に作用させるように、所定時間接触させる。これにより、RO膜モジュール5の膜面に洗浄補助剤が作用することで、RO膜モジュール5の膜面から付着物E1が剥がれやすくなる。
ここで、洗浄補助剤添加工程で使用される洗浄補助剤は、洗浄コース判定部21により判定された洗浄コースにより異なる。「スケール汚染傾向洗浄コース」において洗浄補助剤添加工程を実行する場合には、洗浄補助剤として、例えば、有機酸(例:シュウ酸,クエン酸)又は無機酸(例:塩酸,硫酸,硝酸)などの酸、キレート剤、スケール分散剤などが使用される。また、「有機物詰まり洗浄コース」において洗浄補助剤添加工程を実行する場合には、洗浄補助剤として、例えば、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどのアルカリや、界面活性剤などが使用される。
ステップS42において、前述の「生物汚染傾向洗浄コース」の洗浄制御動作における図5のフローチャートのステップS33の動作と同様に、洗浄制御部22は、図8(c)に示すように、第一フラッシング工程を実行する。これにより、供給水ラインL1、濃縮水ラインL3及び排水ラインL5を流通する水を入れ替えることで、水処理システム1の系内の水を入れ替えることができる。よって、浸透圧調整工程においてRO膜モジュール5の膜5aから剥離された付着物E1を洗い流すことができる。
ステップS43において、前述の「生物汚染傾向洗浄コース」の洗浄制御動作における図5のフローチャートのステップS33の動作と同様に、洗浄制御部22は、図8(d)に示すように、第二フラッシング工程を実行する。これにより、RO膜モジュール5の膜5aに残存している付着物E2を容易に剥離することができる。
そして、本フローチャートの処理は終了する。
なお、本実施形態においては、ステップS41において、浸透圧調整工程及び洗浄補助剤添加工程を同時期に実行するように制御したが、これに限定されず、浸透圧調整工程及び洗浄補助剤添加工程のタイミングをずらして実行してもよい。また、本実施形態においては、浸透圧調整工程において、薬剤添加装置4により供給水W1に浸透圧調整剤を添加する方法を利用しているが、これに限定されず、前述の「生物汚染傾向洗浄コース」の洗浄制御動作において説明したように、RO膜モジュール5における回収率を上昇させる方法を利用してもよい。
<正常洗浄コースにおける洗浄制御動作>
「正常洗浄コース」において実行される洗浄制御について説明する。
「正常洗浄コース」の洗浄制御動作においては、例えば、前述した「スケール汚染傾向洗浄コース」又は「有機物詰まり洗浄コース」の洗浄制御動作(図7のフローチャートに示す動作)において、洗浄補助剤添加工程を除いた洗浄制御動作が実行される。具体的には、例えば、「正常洗浄コース」においては、浸透圧調整工程、第一フラッシング工程、第二フラッシング工程が実行される。なお、「正常洗浄コース」において、前述した図7のフローチャートに示すスケール汚染傾向洗浄コース又は有機物詰まり洗浄コースの洗浄動作と同様に、浸透圧調整工程及び洗浄補助剤添加工程、第一フラッシング工程、第二フラッシング工程を実行してもよい。
上述した本実施形態に係る水処理システム1によれば、例えば、以下のような効果が奏される。
本実施形態に係る水処理システム1は、RO膜モジュール5と、RO膜モジュール5の膜の二次側から一次側に向けて透過水W2の移動が生じるように、RO膜モジュール5の浸透圧を調整すると共にRO膜モジュール5に洗浄補助剤を添加する薬剤添加装置4と、RO膜モジュール5の一次側入口ポート511の圧力と二次側ポート520の圧力とに基づいて演算される透過流束、及びRO膜モジュール5の一次側入口ポート511の圧力と一次側出口ポート512の圧力との差圧であるモジュール間差圧に基づいて、RO膜モジュールの洗浄コースを判定する洗浄コース判定部21と、洗浄コース判定部21により判定された洗浄コースに基づいて、RO膜モジュール5の洗浄動作を実行させるように、薬剤添加装置4を制御する洗浄制御部22と、を備える。
そのため、透過流束及びモジュール間差圧に基づいて、ファウリングの発生状況を判定して、洗浄コースを判定できる。これにより、判定された洗浄コースに応じて、浸透圧の調整や洗浄補助剤を添加することができる。そして、浸透圧調整工程において、正浸透作用により、RO膜モジュール5の膜の二次側から一次側に向けて透過水W2が移動することで、RO膜モジュール5の膜の細孔内から付着物を膜の表面に浮き上がらせることができる。また、薬剤添加装置4により洗浄補助剤が添加されることで、RO膜モジュール5の膜面から付着物を剥がれやすくする作用や、RO膜モジュール5の膜面を殺菌する作用を作用させることができる。よって、RO膜モジュール5の洗浄動作に関して、洗浄時間、薬剤量などを最適化することで、洗浄時間を短縮でき、薬剤量を低減できる。
また、本実施形態においては、薬剤添加装置4は、加圧ポンプ2の上流側において、洗浄補助剤を添加する。そのため、加圧ポンプ2を介して洗浄補助剤が圧送されるため、洗浄補助剤の混合性を高めることができる。
また、本実施形態においては、洗浄コース判定部21により、RO膜モジュール5の透過流束が低下したか否か、RO膜モジュール5のモジュール間差圧が増加したか否かに基づいて、生物汚染傾向、スケール汚染傾向、有機物詰まりなどを判定できる。これにより、汚染状態に応じてより適切な洗浄補助剤を選択できるため、洗浄補助剤の添加量を最適化できる。よって、RO膜モジュール5の洗浄動作に関して、洗浄時間を短縮でき、薬剤量を低減できる。
また、本実施形態においては、洗浄制御部22は、洗浄コースに基づくRO膜モジュール5の洗浄動作の実行後に、水処理システム1の系内の水を入れ替える第一フラッシング運転を実行すると共に、第一フラッシング運転の実行後に、RO膜モジュール5の膜の一次側を洗浄する第二フラッシング運転を実行する。これにより、第一フラッシング運転においてRO膜モジュール5の膜面から剥離された付着物を洗い流すことができると共に、第二フラッシング運転において浸透圧を調整することによりRO膜モジュール5の膜面に残存している付着物を容易に剥離させることができる。よって、RO膜モジュール5の洗浄動作に関して、洗浄時間を短縮でき、薬剤量を低減できる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明した。しかし、本発明は、上述した実施形態に限定されることなく、種々の形態で実施することができる。
例えば、前記実施形態では、薬剤添加装置4が、加圧ポンプ2の上流側において、洗浄補助剤や浸透圧調整剤を添加するように構成したが、これに限定されない。例えば、薬剤添加装置4により、洗浄補助剤や浸透圧調整剤を、供給水ラインL1における加圧ポンプ2とRO膜モジュール5との間や、濃縮水循環ラインL4に添加するように構成してもよい。薬剤添加装置4により、洗浄補助剤や浸透圧調整剤を、濃縮水循環ラインL4に添加するように構成した場合には、濃縮水循環ラインL4に添加された洗浄補助剤や浸透圧調整剤が、濃縮水循環ラインL4を介して供給水ラインL1における加圧ポンプ2の上流側に供給されて、加圧ポンプ2を介して圧送されるため、薬剤の混合性を高めることができる。
また、前記実施形態では、浸透圧調整剤と洗浄補助剤とを1つの薬剤添加装置4により添加するように構成しているが、これに限定されず、これらを、別々の薬剤添加装置により別々に添加するように構成してもよい。
また、前記実施形態では、洗浄コース判定部21は、RO膜モジュール5における透過流束が低下したか否か判定した後に、RO膜モジュール5におけるモジュール間差圧が増加したか否かを判定することで、RO膜モジュール5の洗浄コースを判定したが、これに限定されず、これとは逆に、RO膜モジュール5におけるモジュール間差圧が増加したか否かを判定した後に、RO膜モジュール5における透過流束が低下したか否か判定することで、RO膜モジュール5の洗浄コースを判定してもよい。
1 水処理システム
2 加圧ポンプ
4 薬剤添加装置(浸透圧調整部、洗浄補助剤添加部)
5 RO膜モジュール(逆浸透膜モジュール)
21 洗浄コース判定部
22 洗浄制御部
511 一次側入口ポート(一次側入口側)
512 一次側出口ポート(一次側出口側)
520 二次側ポート(二次側出口側)
L4 濃縮水循環ライン
W1 供給水
W2 透過水
W3 濃縮水

Claims (6)

  1. 供給水を透過水と濃縮水とに分離する逆浸透膜モジュールと、
    前記逆浸透膜モジュールの膜の二次側から一次側に向けて透過水の移動が生じるように、前記逆浸透膜モジュールの浸透圧を調整する浸透圧調整部と、
    前記逆浸透膜モジュールに洗浄補助剤を添加する洗浄補助剤添加部と、
    前記逆浸透膜モジュールの一次側入口側の圧力と二次側出口側の圧力とに基づいて演算される透過流束、及び前記逆浸透膜モジュールの一次側入口側の圧力と一次側出口側の圧力との差圧であるモジュール間差圧に基づいて、前記逆浸透膜モジュールの洗浄コースを判定する洗浄コース判定部と、
    前記洗浄コース判定部により判定された洗浄コースに基づいて、前記逆浸透膜モジュールの洗浄動作を実行させるように、前記浸透圧調整部及び前記洗浄補助剤添加部を制御する洗浄制御部と、を備える水処理システム。
  2. 前記洗浄補助剤添加部は、前記逆浸透膜モジュールで分離された濃縮水を前記逆浸透膜モジュールの上流側に循環させる濃縮水循環ライン、又は、供給水を吸入して前記逆浸透膜モジュールに向けて吐出する加圧ポンプの上流側に、洗浄補助剤を添加する請求項1に記載の水処理システム。
  3. 前記洗浄コース判定部は、前記逆浸透膜モジュールの前記透過流束が低下し、かつ、前記逆浸透膜モジュールの前記モジュール間差圧が増加した場合には、前記逆浸透膜モジュールについて、生物汚染傾向であると判定し、又は、生物汚染傾向及びスケール汚染傾向であると判定する請求項1又は2に記載の水処理システム。
  4. 前記洗浄コース判定部は、前記逆浸透膜モジュールの前記透過流束が低下し、かつ、前記逆浸透膜モジュールの前記モジュール間差圧が増加しない場合には、前記逆浸透膜モジュールについて、スケール汚染傾向であると判定し、又は、有機物詰まりがあると判定する請求項1又は2に記載の水処理システム。
  5. 前記洗浄コース判定部は、前記逆浸透膜モジュールの前記透過流束が低下せずに、かつ、前記逆浸透膜モジュールの前記モジュール間差圧が増加した場合には、前記逆浸透膜モジュールについて、生物汚染傾向であると判定する請求項1又は2に記載の水処理システム。
  6. 前記洗浄制御部は、前記洗浄コースに基づく前記逆浸透膜モジュールの洗浄動作の実行後に、水処理システムの系内の水を入れ替える第一フラッシング運転を実行すると共に、前記第一フラッシング運転の実行後に、前記逆浸透膜モジュールの膜の一次側を洗浄する第二フラッシング運転を実行する請求項1から5のいずれかに記載の水処理システム。
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