以下、図面を参照して、実施形態に係るX線診断装置を説明する。なお、実施形態は、以下の実施形態に限られるものではない。また、一つの実施形態に記載した内容は、原則として他の実施形態にも同様に適用される。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るX線診断装置100の構成例を示すブロック図である。図1に示すように、第1の実施形態に係るX線診断装置100は、カテーテル寝台101と、保持装置102と、X線高電圧発生装置107と、保持装置制御装置108と、モニタ109と、X線画像収集装置110と、X線検出器(Flat Panel Detector)制御装置120と、入力インターフェース130とを備える。
カテーテル寝台101は、垂直方向及び水平方向に移動可能であり、被検体Pが載置される。保持装置102は、Z軸を中心に矢印R方向に回転可能であり、X線源103及びX線検出器106を対向して保持する。
X線源103は、X線を照射するX線管球103aと、被検体Pに対する被曝線量の低減と画像データの画質向上を目的として用いられる絞り(コリメータとも言う)及び線質調整フィルター103bとを有する。
X線検出器(FPD:Flat Panel Detectorとも言う)106は、X線源103から照射され、被検体Pを透過したX線を検出する。X線検出器106は、X線源103から照射されたX線を同時に検出可能な第1の検出部及び第2の検出部を有する。以下、図2を用いて、第1の実施形態に係るX線検出器106について説明する。図2は、第1の実施形態に係るX線検出器106の構成例を示すブロック図である。
例えば、X線検出器106は、図2に示すように、第1の光検出器106aと、第2の光検出器106bと、シンチレータ106cとを有する。第1の光検出器106aとシンチレータ106cとにより第1の検出器106d(第1のFPDとも言う)が構成され、第2の光検出器106bとシンチレータ106cとにより第2の検出器106e(第2のFPDとも言う)が構成される。なお、第1のFPDは、第1の検出部の一例である。また、第2のFPDは、第2の検出部の一例である。また、図2において、シンチレータ106cは、第1の光検出器106aと第2の光検出器106bとの間に挟まれるように配置される。
シンチレータ106cは、X線源103から照射されたX線を光に変換する。第1の光検出器106aは、例えば、アモルファスシリコンにより形成されたTFT(Thin Film Transistor)アレイを採用した2次元のイメージセンサを備え、シンチレータ106cによって変換された光を検出して電気信号を出力する。第2の光検出器106bは、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)トランジスタを採用した2次元のイメージセンサを備え、シンチレータ106cによって変換された光を検出して電気信号を出力する。なお、第1の光検出器106aや第2の光検出器106bによって出力される電気信号のことをX線信号とも言う。
このように、シンチレータ106cは、第1の光検出器106aと第2の光検出器106bとで共有される。言い換えると、X線検出器106は、X線源103から照射されたX線を光に変換するシンチレータ106cと、シンチレータ106cを共有し、シンチレータ106cによって変換された光を検出して電気信号を出力する第1の光検出器106a及び第2の光検出器106bとを有する。そして、第1の光検出器106a及び第2の光検出器106bは、シンチレータ106cで変換された光を同時に検出した電気信号をそれぞれ出力する。
また、図2に示すように、第1の光検出器106a及び第2の光検出器106bは、画素の構成単位となる素子部を複数有する。この素子部のそれぞれは、X線入射によって得られた蛍光像を電気信号に変換してフォトダイオード(PD:Photo Diode)に蓄積する。図2の例では、第1の光検出器106aが8つの素子部を有し、第2の光検出器106bが8つの素子部を有する場合を図示している。
ここで、第2の光検出器106bの各素子部の画素ピッチは、第1の光検出器106aの各素子部の画素ピッチよりも細かい。図2に示す例では、第1の光検出器106aの各素子部の画素ピッチは、第2の光検出器106bの素子部2つ分の画素ピッチに相当する。すなわち、第2の光検出器106bは、解像度が第1の光検出器106aよりも高い。また、図2に示すように、第1の光検出器106aは、第2の光検出器106bよりも視野サイズが広い。
更に、CMOSを採用した第2の光検出器106bでは、アモルファスシリコンを採用した第1の光検出器106aと比較して、最大入射X線量が少ない傾向にある。このため、第2の光検出器106bでは、高線量のX線を照射してS/N(Signal to Noise)比の高いX線画像データを収集しようとした場合に、S/N比の高いX線画像データを収集することが叶えられない場合がある。
また、第2の光検出器106bは、電気信号の残存成分が第1の光検出器106aよりも少ない。第1の光検出器106aは、フォトダイオード内において、発生した電荷が内部のトラップ準位に捕捉される。一方、第2の光検出器106bは、CMOSは特性上、フォトダイオード内において生成された電荷のトラップが少ない。
図1に戻る。X線検出器制御装置120は、X線検出器106による電気信号の読み出しのタイミングを制御する。また、X線検出器制御装置120は、X線検出器106から電気信号を収集し、収集した電気信号から画像データを生成してX線画像収集装置110に出力する。ここで、X線検出器制御装置120は、第1のFPDによって出力された電気信号を収集し、収集した電気信号から第1の画像データ(第1のFPD画像或いは第1の画像とも言う)を生成してX線画像収集装置110に出力する。また、X線検出器制御装置120は、第2のFPDによって出力された電気信号を収集し、収集した電気信号から第2の画像データ(第2のFPD画像或いは第2の画像とも言う)を生成してX線画像収集装置110に出力する。
X線画像収集装置110は、保持装置制御装置108やX線高電圧発生装置107を制御し、X線検出器制御装置120によって出力された画像データを収集して画像処理を施す。ここで、X線画像収集装置110は、第1のFPD及び第2のFPDから略同じタイミングで画像データを収集する。なお、X線画像収集装置110の詳細については後述する。
X線高電圧発生装置107は、X線管球103aに対して高電圧を供給する。保持装置制御装置108は、X線画像収集装置110による制御の下、保持装置102の回転などを制御する。モニタ109は、X線画像収集装置110によって生成されたX線画像などを表示する。モニタ109は、複数のサブモニタから構成されてもよいし、操作者の指示に応じて表示領域を任意に分割可能な大画面のモニタでもよい。また、モニタ109が複数のサブモニタを有する場合、各サブモニタの表示領域が操作者の指示に応じて任意に分割されてもよい。入力インターフェース130は、キーボード、コントロールパネル、フットスイッチなどであり、X線診断装置100に対する各種操作の入力を操作者から受け付ける。
以上、第1の実施形態に係るX線診断装置100の全体構成について説明した。かかる構成において、第1の実施形態に係るX線診断装置100は、X線検出器106により出力されたX線信号を収集する。そして、X線診断装置100は、収集したX線信号から生成された画像をモニタ109に表示させる。例えば、X線診断装置100は、臨床部位に応じて操作者から設定された画像をモニタ109に表示させる。例えば、X線診断装置100は、操作者の指示に応じて第1の画像と第2の画像とを切り替えてモニタ109に表示させる。
このようなX線診断装置では、実際の臨床手技において、当初の目的で収集されたX線画像を確認後に、別の目的で対象部位を観察する必要性が発生する場合がある。この様な場合、通常、この別の目的のために、再度、所望の条件で第1の画像又は第2の画像を収集することになる。しかしながら、被験者へのX線の被曝量を軽減させる観点からは、別の目的のために再度画像を収集することは避けることが望ましい。また、第1の画像を収集する際には、第2のFPDからも電気信号を収集しており、第2の画像を収集する際には、第1のFPDからも電気信号を収集している。このようなことから、以下の実施形態では、第1の光検出器106aにより出力された電気信号から生成された第1の画像及び第2の光検出器106bにより出力された電気信号から生成された第2の画像のいずれか一方の画像をモニタ109に表示する際に、当該一方の画像の一部の領域に相当する他方の画像を表示する。即ち、X線診断装置100は、第1の画像及び第2の画像のいずれか一方の画像をモニタ109に表示する際に、当該一方の画像の一部の領域を補う他方の画像を表示する。なお、第1の実施形態に係るX線診断装置100では、例えば、第1の光検出器106aにより出力された電気信号から生成された第1の画像をモニタ109に表示する際に、第1の画像の一部の領域を補う第2の画像を表示する場合について説明する。図3は、第1の実施形態を説明するための図である。
図3の状態1は、第1の画像の表示を受け付けて収集された第1の画像の一例を示す。例えば、操作者は、画像を収集した後に、図3の状態1に示す第1の画像を観察する。ここで操作者は、第1の画像を観察した際に、例えば図3の状態2に示すように新たな関心部位の観察を所望する場合がある。図3の状態2において破線で囲った領域3aは、操作者が設定した関心領域を示す。なお、関心領域の設定は、所定のトリガーの一例である。また、図3の状態3において破線で囲った領域3bは、第1の画像を収集した際の、第2のFPDの視野領域を示す。そして、図3の状態4は、第1の画像の表示を受け付けた際に、第2のFPDによって収集された電気信号から生成された第2の画像の一例を示す。状態2や状態3において第1の画像に関心領域が設定された際に、図3の状態4に示す第2の画像が更に表示される。この第2の画像は、第1の画像において設定された関心領域を含み、かつ、解像度が高い画像である。すなわち、第2の画像は、第1の画像を補う画像である。このため、操作者は、再度被験者を撮影することなく、第1の画像の関心領域をより詳細に観察することが可能になる。また、このように再度撮影することを省略することが可能になることにより、被験者への被曝を低減することができる。このような画像の一部の領域を補う他方の画像を表示する補完処理は、X線画像収集装置110によって実行される。以下では、図4を用いて、X線画像収集装置110による補完処理の詳細について説明する。なお、X線画像収集装置110は、制御部の一例である。
図4は、第1の実施形態に係るX線画像収集装置110の構成例を示すブロック図である。なお、図4では説明の便宜上、X線源103、X線検出器106、X線検出器制御装置120、モニタ109、入力インターフェース130についても図示している。なお、図2に示す例では、X線検出器106は、第1の光検出器106aと、第2の光検出器106bと、シンチレータ106cとを有する場合について説明したが、実際には図4に示すように、映像信号増幅回路やA/D(Analog to Digital)変換回路を有する。また、第2の光検出器106bでは、各素子部に、初段の増幅回路を配置し、増幅した信号を出力することで、ノイズを低減した電気信号を出力することが可能となる。また、A/D変換回路をも構成されてもよく、かかる場合、第2の光検出器106bは、蓄積した電気信号をデジタル信号に変換してから出力する。この場合、更なるノイズの低減が可能となる。なお、図4に示すように、X線検出器106において、第1のFPDが第2のFPDよりX線源103側に設けられる。
また、X線検出器106は、駆動制御回路106f及び映像信号処理回路106gを有する。駆動制御回路106fは、X線検出器制御装置120の制御下で第1の光検出器106a及び第2の光検出器106bの駆動タイミングを制御する。映像信号処理回路106gは、第1の光検出器106aから出力された電気信号を収集して、X線検出器制御装置120に出力し、第2の光検出器106bから出力された電気信号を収集して、X線検出器制御装置120に出力する。
また、図4に示す例では、X線検出器制御装置120からX線画像収集装置110への画像の伝達は、第1の画像用と、第2の画像用とにそれぞれデータ線を設けたパラレル方式であるものとして説明するが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、X線検出器制御装置120からX線画像収集装置110への画像の伝達は、第1の画像用と、第2の画像用とでデータ線が共用されるシリアル方式でもよい。
第1の実施形態に係るX線画像収集装置110は、図4に示すように、FPD制御回路201と、画像処理回路202と、ディスク203と、ディスク204と、UI制御回路205と、合成回路206とを有する。
FPD制御回路201は、X線検出器制御装置120を介して、X線検出器106による電気信号の読み出しのタイミングを制御する。画像処理回路202は、X線検出器制御装置120により出力された画像データに対して画像処理を施す。ディスク203は、X線画像を記憶する。例えば、ディスク203は、HDD(Hard Disk Drive)であり、第2の画像を記憶する。ディスク204は、X線画像を記憶する。例えば、ディスク204は、HDDであり、第1の画像を記憶する。
例えば、画像処理回路202は、X線検出器制御装置120により出力された画像データを、ディスク203及びディスク204に記憶させる。この際、画像処理回路202は、第1の検出部の出力に基づく第1の画像と、第2の検出部の出力に基づく第2の画像とを関連付けて、ディスク203及びディスク204に記憶させることとしてもよい。一例を挙げると、画像処理回路202は、まず、X線検出器制御装置120から、同時に検出されたX線に基づく第1の画像及び第2の画像の組み合わせを取得する。次に、画像処理回路202は、第1の画像を参照するための情報を第2の画像に付帯させて、第2の画像をディスク203に記憶させる。また、画像処理回路202は、第2の画像を参照するための情報を第1の画像に付帯させて、第1の画像をディスク204に記憶させる。
なお、図4に示す例では、X線画像収集装置110内には、第2の画像用のディスク203と、第1の画像用のディスク204とを有する場合について説明するが、第1の画像と第2の画像とで1つのディスクを共有するようにしてもよい。なお、ディスク203及びディスク204は、記憶部の一例である。合成回路206は、第1の画像及び第2の画像のいずれか一方の画像に、他方の画像を重畳させた合成画像を生成する。
入力インターフェース130は、操作者から指示を受け付けて、受け付けた指示をUI制御回路205に受け渡す。UI制御回路205は、入力インターフェース130を介して操作者から指示を受け付けた画像を画像処理回路202に表示させる。例えば、UI制御回路205は、第1の画像の表示を受け付けた場合には、切替Aをa側に倒す。これにより画像処理回路202は、第1の画像をモニタ109に表示させる。また、例えば、UI制御回路205は、第2の画像の表示を受け付けた場合には、切替Aをb側に倒す。これにより画像処理回路202は、第2の画像をモニタ109に表示させる。
また、UI制御回路205は、入力インターフェース130を介して操作者から補完処理を実行する指示を受け付けて、画像処理回路202に補完処理を実行させる。例えば、UI制御回路205は、第1の画像が表示されている際に、操作者から入力インターフェース130を介して、関心領域の設定を受け付けた場合、画像処理回路202に補完処理を実行させる。
画像処理回路202は、補完処理を実行する指示を受け付けた場合、第1の光検出器106aにより出力された電気信号から生成された第1の画像をモニタ109に表示する際に、当該画像の一部の領域を補う第2の画像を表示する。より具体的には、画像処理回路202は、第1の画像をモニタ109に表示させる際に、第1の画像において設定された関心領域が第2の検出器106eの視野内に存在する場合、関心領域を含む第2の画像を更に表示させる。すなわち、操作者が過去に収集された第1の画像をレビューする際に、画像処理回路202は、第1の画像において設定された関心領域が第2の検出器106eの視野内に存在する場合、過去に収集された第1の画像と同時に収集されていた、関心領域を含む第2の画像を呼び出して、第1の画像と呼び出した第2の画像とをモニタ109に表示させる。
ここで、画像処理回路202は、補完処理を実行する場合、第1の画像と、関心領域を含む第2の画像とを独立に表示させてもよいし、第1の画像に、関心領域を含む第2の画像を重畳表示させてもよい。図5A及び図5Bは、第1の実施形態を説明するための図である。
図5Aでは、第1の画像と、関心領域を含む第2の画像とを独立に表示させる場合を示す。図5Aに示す例では、モニタ109は、複数のサブモニタ109a及びサブモニタ109bを有する。図5Aに示すように、サブモニタ109aには、第1の画像の表示を受け付けて収集された第1の画像が表示される。かかる場合、UI制御回路205は、図4に示す切替Aをa側に倒す。そして、第1の画像(:ディスク204から読み出された)において関心領域5aが設定された場合、画像処理回路202は、関心領域が第2の画像に含まれるか否かを判定する。そして、画像処理回路202は、関心領域が第2の画像に含まれると判定した場合、UI制御回路205は、図4に示す切替Aをb側に倒し、関心領域を含む第2の画像をディスク203から読み出して、モニタ109に出力する。これにより、図5Aに示すように、関心領域5aを含む第2の画像がサブモニタ109bに表示される。
図5Bでは、第1の画像に、関心領域を含む第2の画像を重畳表示させる場合を示す。図5Aに示す例と同様に、図5Bに示す例でも、モニタ109は、複数のサブモニタ109a及び109bを有する。図5Bに示すように、サブモニタ109aには、第1の画像の表示を受け付けて収集された第1の画像が表示される。かかる場合、UI制御回路205は、図4に示す切替Aをa側に倒す。ここで、UI制御回路205は、第1の画像(:ディスク204から読み出された)において関心領域5aが設定された場合、画像処理回路202は、関心領域が第2の画像に含まれるか否かを判定する。そして、画像処理回路202は、関心領域が第2の画像に含まれると判定した場合、図4に示す切替Aをc側に倒す。画像処理回路202は、ディスク204から読み出した第1の画像を合成回路206に出力するとともに、関心領域を含む第2の画像をディスク203から読み出して、合成回路206に出力する。これにより、図5Bに示すように、関心領域5aを含む第2の画像5bを第1の画像に重畳した合成画像がサブモニタ109aに表示される。なお、かかる場合、サブモニタ109bには、画像は表示されない。第2の画像5bの重ね合わせの位置は、関心領域5aの領域の表示をモニタ109a上で妨げられないあらゆる位置として設定できる。
図6は、第1の実施形態に係るX線画像収集装置110による処理手順を示すフローチャートである。図6では、X線画像収集装置110全体の動作を説明するフローチャートを示し、各構成要素がフローチャートのどのステップに対応するかを説明する。なお、図6に示す処理は、第1の画像の表示を受け付けて第1の画像を収集した後に実行されるものとして説明する。
ステップS101は、画像処理回路202により実現されるステップである。ステップS101では、画像処理回路202は、第1の画像を表示させる。ステップS102は、UI制御回路205により実現されるステップである。ステップS102では、UI制御回路205は、第1の画像において関心領域の設定を受け付ける。これによりUI制御回路205は、画像処理回路202に補完処理を実行させる。
ステップS103は、画像処理回路202により実現されるステップである。ステップS103では、画像処理回路202は、関心領域が第2の画像に含まれるか否かを判定する。ここで、画像処理回路202は、関心領域が第2の画像に含まれると判定しなかった場合(ステップS103、No)、処理を終了する。
一方、画像処理回路202は、関心領域が第2の画像に含まれると判定した場合(ステップS103、Yes)、ステップS104に移行する。ステップS104は、画像処理回路202により実現されるステップである。ステップS104では、画像処理回路202は、第1の画像を補う第2の画像を表示する。
上述したように、第1の実施形態では、第2の光検出器106bは、第1の光検出器106aよりも高い解像度を有する。そして、第1の実施形態では、X線画像収集装置110は、第1の画像をモニタ109に表示させる際に、第1の画像において設定された関心領域が第2の検出器106eの視野内に存在する場合、関心領域を含む第2の画像を更に表示させる。この結果、第1の実施形態によれば、例えば、操作者は、第1の画像を確認後、関心領域をより詳細に観察したい場合に、画像の再収集を実施することなく、高解像度な関心領域の画像を観察することが可能になる。また、第1の実施形態によれば、画像の再収集を実施しなくてもよいので、術者は、検査を効率化することが可能なる。更に、第1の実施形態によれば、画像の再収集を実施しなくてもよいので、被検者へのX線被曝を低減したり、被検者の検査への負担を軽減したりすることが可能になる。
なお、上述した実施形態では、X線画像収集装置110は、合成回路206を有するものとして説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、X線画像収集装置110は、合成回路206を有さずに構成されてもよい。
また、X線画像収集装置110は、第2の画像の全部を表示させる場合であってもよいし、第2の画像の一部を表示させる場合であってもよい。例えば、X線画像収集装置110は、まず、第1の画像において設定された関心領域が第2の検出器106eの視野内に存在するか否かを判定する。ここで、関心領域が第2の検出器106eの視野内に存在する場合、X線画像収集装置110は、第1の画像と関連付けて記憶された第2の画像を呼び出す。次に、X線画像収集装置110は、第2の画像の解像度と、モニタ109の解像度とを比較する。ここで、モニタ109の解像度が第2の画像の解像度よりも高い場合、X線画像収集装置110は、第2の画像の全部をモニタ109に表示させる。
一方で、モニタ109の解像度が第2の画像の解像度よりも低い場合、X線画像収集装置110は、第2の画像の一部をモニタ109に表示させる。例えば、X線画像収集装置110は、第2の画像のうち、関心領域を含む領域を選択する操作を受け付けて、選択された領域をモニタ109に表示させる。一例を挙げると、X線画像収集装置110は、まず、第2の画像のうち、関心領域を中心とした領域を含むクロップ領域の指定を操作者から受け付ける。次に、X線画像収集装置110は、モニタ109の画素数(マトリクスサイズ)とクロップ領域の画素数との比に応じた拡大率で、クロップ領域の画素数を調整する。即ち、X線画像収集装置110は、モニタ109の解像度に応じて、クロップ領域をリサイズする。そして、X線画像収集装置110は、調整後のクロップ領域を、モニタ109に表示させる。
これにより、X線画像収集装置110は、第2の画像が本来有する解像度で、第2の画像を操作者に提示することができる。具体的には、モニタ109の解像度が第2の画像の解像度よりも低い場合において、第2の画像の全体をモニタ109に表示させる場合、第2の画像は、モニタ109の解像度に応じて低下した解像度で表示される。これに対し、第2の画像の解像度とモニタ109の解像度との関係に応じて、第2の画像の一部を表示させる場合、第2の画像は、解像度を維持して表示される。
また、上述した実施形態では、第1の画像を表示している際に、関心領域の設定により、第1の画像の一部の領域に相当する第2の画像を表示する場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。
例えば、X線画像収集装置110は、第1の画像を表示している際に、関心領域の設定以外の所定のトリガーにより、第1の画像の一部の領域に相当する第2の画像を表示することとしてもよい。ここで、関心領域の設定以外の所定のトリガーの例としては、例えば、第1の画像上の位置を指定する指定操作が挙げられる。例えば、操作者は、入力インターフェース130が備えるマウスを操作して、第1の画像上の関心のある位置においてクリックすることにより、指定操作を行なう。また、例えば、入力インターフェース130及びモニタ109がタッチパネルにより統合される場合、操作者は、タッチパネルに表示される第1の画像上の関心のある位置をタップすることにより、指定操作を行なう。
なお、所定のトリガーについては、例えば、第1の画像の表示を行なうよりも前に設定され、記憶回路に記憶される。例えば、X線画像収集装置110は、第1の画像の表示を開始するとともに記憶回路から所定のトリガーの設定情報を読み出し、操作者から受け付けた操作と設定情報とを比較することで、所定のトリガーを受け付けたか否か判定する。
第1の画像を表示している際に所定のトリガーを受け付けた場合、X線画像収集装置110は、第1の画像の一部の領域に相当する第2の画像を表示する。例えば、X線画像収集装置110は、第1の画像において指定された位置が第2の検出器106eの視野内に存在する場合、第1の画像と関連付けて記憶された第2の画像を呼び出して、第2の画像を表示させる。
また、上述した実施形態では、第1の画像をモニタ109に表示している際に、第1の画像において設定された関心領域と第2の光検出器106eの視野との位置関係に応じて、関心領域を含む第2の画像を更に表示させる場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。
例えば、X線画像収集装置110は、第1の画像において設定された関心領域が第2の検出器106eの視野内に存在する場合、第1の画像と関連付けて記憶された第2の画像を呼び出し、第1の画像に替えて第2の画像を表示させる場合であってもよい。即ち、X線画像収集装置110は、第1の画像をモニタ109に表示している際に、第1の画像において設定された関心領域と第2の光検出器106eの視野との位置関係に応じて、第1の画像に替えて第2の画像を表示させる場合であってもよい。
また、上述した実施形態では、過去画像の表示を目的とする場合について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、上述した実施形態は、リアルタイムに収集中の画像の表示を目的とする場合にも適用可能である。かかる場合、第1の画像と第2の画像とを同時に表示したい場合は、両画像をそれぞれのモニタ109に同時に出力しても良い。この様に第1の画像と第2の画像とを同時に表示する場合、第1の検出器と第2の検出器とが、非常に高速に切替えられる。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、第1の光検出器106aにより出力された電気信号から生成された第1の画像をモニタ109に表示する際に、第1の画像の一部の領域を補う第2の画像を表示する場合について説明した。第2の実施形態では、第2の光検出器106bにより出力された電気信号から生成された第2の画像をモニタ109に表示する際に、第2の画像の一部の領域を補う第1の画像を表示する場合について説明する。図7は、第2の実施形態を説明するための図である。
図7では、入力インターフェース130を介して操作者から第2の画像の表示が指定された場合を示す。図7の状態1は、操作者から指定された第2の画像の一例を示す。ここで、例えば、X線診断装置100において、第2のFPDは、高解像度を得るためにCMOSセンサを使用した場合、第1のFPDと比較して、X線ダイナミックレンジが狭く、飽和しやすい特徴が有る。例えば、図7の状態1に示すように、第2の画像は、画像飽和領域7aを含んでいる場合がある。ここで、操作者は、この画像飽和領域7aの情報を確認することを所望するものとする。
図7の状態2は、入力インターフェース130を介して操作者から画像飽和領域7aの情報を確認することを所望する旨の指示を受け付けた場合の第2の画像の一例を示す。かかる場合、X線診断装置100は、第2の画像をモニタ109に表示する際に、第2の画像が飽和している場合、第2の画像の飽和している領域を補う第1の画像を表示する補完処理を実行する。一例をあげると、X線診断装置100は、図7の状態2に示すように、第2の画像の画像飽和領域7aを、飽和のない第1の画像において第2の画像の画像飽和領域7aに対応する領域7bで置き換える。引き続き図7を用いて第2の実施形態に係る補完処理について説明する。
図7の状態3は、第2の画像を収集する際に、第1のFPDによって収集された第1の画像の一例を示す。図7の状態3に示すように、第1の画像において第2の画像の画像飽和領域7aに対応する領域7bが特定され、この領域7bが飽和していないことが確認される。
図7の状態4は、補完処理の前に実施される前処理について示す。前処理では、補完処理に使用される領域7bが設定され、リサイズ処理及びゲイン係数を乗算する処理が実施される。そして、前処理が実施された第1の画像の所定の領域7bは、例えば図7の状態2に示すように、第2の画像において対応する位置に置き換えられる。このような画像の一部の領域を補う他方の画像を表示する補完処理は、X線画像収集装置110aによって実行される。以下では、図8を用いて、X線画像収集装置110aによる補完処理の詳細について説明する。なお、X線画像収集装置110aは、制御部の一例である。
なお、第2の実施形態に係るX線診断装置100の全体構成は、X線画像収集装置110aが第1の実施形態に係るX線画像収集装置110と異なる機能を有する点を除いて、図1に示した構成例と同様であるので、ここでは説明を省略する。図8は、第2の実施形態に係るX線画像収集装置110aの構成例を示すブロック図である。なお、図8では説明の便宜上、X線源103、X線検出器106、X線検出器制御装置120、モニタ109、入力インターフェース130についても図示している。なお、図8に示すように、X線検出器106において、第1のFPDが第2のFPDよりX線源103側に設けられる。
また、図8に示す例では、X線検出器制御装置120からX線画像収集装置110aへの画像の伝達は、第1の画像用と、第2の画像用とで共通のデータ線を使用したシリアル方式であるものとして説明するが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、X線検出器制御装置120からX線画像収集装置110aへの画像の伝達は、第1の画像用と、第2の画像用とそれぞれ専用のデータ線が使用されるパラレル方式でもよい。
第2の実施形態に係るX線画像収集装置110aは、図8に示すように、FPD制御回路201と、画像処理回路202aと、ディスク203と、ディスク204と、UI制御回路205と、画像合成回路210とを有する。
FPD制御回路201は、X線検出器制御装置120を介して、X線検出器106による電気信号の読み出しのタイミングを制御する。画像処理回路202aは、画像合成回路210を介して、X線検出器制御装置120により出力された画像データを取得する。そして、画像処理回路202aは、取得した画像データに対して画像処理を施す。ディスク203は、X線画像を記憶する。例えば、ディスク203は、HDDであり、第2の画像を記憶する。ディスク204は、X線画像を記憶する。例えば、ディスク204は、HDDであり、第1の画像を記憶する。なお、図8に示す例では、X線画像収集装置110a内には、第2の画像用のディスク203と、第1の画像用のディスク204とを有する場合について説明するが、第1の画像と第2の画像とで1つのディスクを共有するようにしてもよい。
入力インターフェース130は、操作者から指示を受け付けて、受け付けた指示をUI制御回路205に受け渡す。UI制御回路205は、入力インターフェース130を介して操作者から指示を受け付けた画像を画像処理回路202aに表示させる。例えば、UI制御回路205は、第1の画像の表示を受け付けた場合には、切替Bをb側に倒す。これにより画像処理回路202aは、第1の画像をモニタ109に表示させる。また、例えば、UI制御回路205は、第2の画像の表示を受け付けた場合には、切替Bをa側に倒す。これにより画像処理回路202aは、第2の画像をモニタ109に表示させる。
また、UI制御回路205は、入力インターフェース130を介して操作者から補完処理を実行する指示を受け付けて、画像処理回路202aに補完処理を実行させる。例えば、UI制御回路205は、第2の画像が表示されている際に、操作者から入力インターフェース130を介して、補完処理の設定を受け付けた場合、画像処理回路202aに補完処理を実行させる。画像処理回路202aは、補完処理を実行する指示を受け付けた場合、例えば、第2の画像と、第2の画像の飽和している領域を補う第1の画像とを独立に表示させてもよいし、第2の画像の飽和している領域を第1の画像で置き換えた合成画像を表示させてもよい。ここで、この合成画像は、画像合成回路210により生成される。そこで、画像処理回路202aによる補完処理の詳細の説明に先立って、画像合成回路210による合成画像生成処理について説明する。
画像合成回路210は、補完処理を実行する指示を受け付けた場合、第2の光検出器106bにより出力された電気信号から生成された第2の画像をモニタ109に表示する際に、第2画像の一部の領域を第1の画像で置き換えた合成画像を生成する。より具体的には、画像合成回路210は、第2の画像をモニタ109に表示させる際に、第2の画像が飽和している場合、第2の画像の飽和している領域を第1の画像で置き換えた合成画像を生成する。
この画像合成回路210は、飽和検知回路211と、飽和検知回路212と、リサイズ回路213と、合成回路214とを有する。飽和検知回路212は、X線検出器制御装置120により出力された第2の画像データを画像処理回路202aに受け渡す。また、飽和検知回路212は、X線検出器制御装置120によって出力された第2の画像を受け付け、受け付けた第2の画像が飽和しているか否かを判定する。ここで、飽和検知回路212は、第2の画像が飽和していると判定した場合、切替A2をa側に倒す。かかる場合、合成回路214は、第1の画像が飽和していなければ、合成画像を生成することになる。なお、飽和検知回路212は、第2の画像が飽和していると判定しなかった場合、切替A2をb側に倒す。かかる場合、合成回路214は、合成画像を生成しない。
飽和検知回路211は、X線検出器制御装置120により出力された第1の画像データを画像処理回路202aに受け渡す。また、飽和検知回路211は、X線検出器制御装置120によって出力された第1の画像を受け付け、受け付けた第1の画像が飽和しているか否かを判定する。ここで、飽和検知回路211は、第1の画像が飽和していると判定しなかった場合、切替A1をb側に倒す。かかる場合、合成回路214は、第2の画像が飽和している場合に、合成画像を生成することになる。なお、飽和検知回路211は、第1の画像が飽和していると判定した場合、切替A1をa側に倒す。かかる場合、合成回路214は、第2の画像が飽和していても合成画像を生成しない。
リサイズ回路213は、切替A1がb側に倒れ、切替A2がa側に倒れる様な状況の際、第1の画像の特定箇所を切出し、第1の画像の画素ピッチを補正する。例えば、第1のFPDのピクセルピッチと第2のFPDのピクセルピッチとが異なる。より具体的には、第2の光検出器106bは、解像度が第1の光検出器106aよりも高い。このため、リサイズ回路213は、第1の画像の画素ピッチが第2の画像の画素ピットと一致するように、第1の画像を補正する。
合成回路214は、第2の画像の所定の位置において、第2の画像と第1の画像とを置き換えて合成画像を生成する。例えば、合成回路214は、第1の画像の画素ピッチを補正して、第2の画像の飽和している領域に置き換える。また、元来、第1の画像は解像度が低いが、飽和して情報が無い第2の画像よりは充分な価値ある情報を持つので、第2の実施形態に係る合成回路214による合成画像生成処理は効果を有する。ここで、合成回路214は、第1の光検出器106aと第2の光検出器106bとの感度差に応じた係数を第1の画像に乗じて置き換える。すなわち、合成回路214は、合成処理の際、より自然な合成となる様に、ゲイン係数を乗じた後、合成画像を生成してもよい。合成回路214は、生成した合成画像を画像処理回路202aに受け渡す。
上述したように、画像処理回路202aは、補完処理を実行する指示を受け付けた場合、例えば、第2の画像と、第2の画像の飽和している領域を補う第1の画像とを独立に表示させてもよいし、第2の画像の飽和している領域を第1の画像で置き換えた合成画像を表示させてもよい。図9A及び図9Bは、第2の実施形態を説明するための図である。
図9Aでは、第2の画像と、第2の画像の飽和している領域を補う第1の画像とを独立に表示させる場合を示す。図9Aに示す例では、モニタ109は、複数のサブモニタ109a及び109bを有する。図9Aに示すように、サブモニタ109aには、第2の画像の表示を受け付けて収集された第2の画像が表示される。かかる場合、UI制御回路205は、図8に示す切替Bをa側に倒す。そして、第2の画像が飽和した場合、UI制御回路205は、図8に示す切替Bをb側に倒す。かかる場合、画像処理回路202aは、第2の画像の飽和している領域を補う第1の画像をモニタ109に出力する。これにより、図9Aに示すように、第1の画像がサブモニタ109bに表示される。
図9Bでは、第2の画像の飽和している領域を第1の画像で置き換えた合成画像を表示させる場合を示す。図9Aに示す例と同様に、図9Bに示す例でも、モニタ109は、複数のサブモニタ109a及び109bを有する。図9Bに示すように、サブモニタ109aには、第2の画像の表示を受け付けて収集された第2の画像が表示される。かかる場合、UI制御回路205は、図8に示す切替Bをa側に倒す。ここで、UI制御回路205は、第2の画像が飽和した場合、図8に示す切替Bをc側に倒す。かかる場合、画像処理回路202aは、図9Bに示すように、第2の画像の飽和している領域を第1の画像で置き換えた合成画像がサブモニタ109aに表示される。なお、かかる場合、サブモニタ109bには、画像は表示されない。また、図9Bに示すように、例えば、画像処理回路202aは、置き換えた領域を示す情報を更に表示させても良い。図9Bの例では、合成領域を示す情報9aがオーバーレイ表示されている場合を示す。
図10は、第2の実施形態に係るX線画像収集装置110aによる処理手順を示すフローチャートである。図10では、X線画像収集装置110a全体の動作を説明するフローチャートを示し、各構成要素がフローチャートのどのステップに対応するかを説明する。なお、図10に示す処理は、第2の画像を収集している際に、補完処理の指示を受け付けた場合に、リアルタイムで実行されるものとして説明する。なお、図10では、第2の画像の飽和している領域を第1の画像で置き換えた合成画像を表示させる場合を示す。
ステップS201及びステップS202は、飽和検知回路212により実現されるステップである。ステップS201では、飽和検知回路212は、第2の画像の飽和を検知したか否かを判定する。ここで、飽和検知回路212は、第2の画像の飽和を検知したと判定しなかった場合(ステップS201、No)、処理を終了する。一方、飽和検知回路212は、第2の画像の飽和を検知したと判定した場合(ステップS201、Yes)、飽和している画素を特定する(ステップS202)。
ステップS203及びステップS204は、飽和検知回路211により実現されるステップである。ステップS203では、飽和検知回路211は、第1の画像の飽和を検知したか否かを判定する。ここで、飽和検知回路211は、第1の画像の飽和を検知したと判定した場合(ステップS203、Yes)、処理を終了する。一方、飽和検知回路211は、第1の画像の飽和を検知したと判定しなかった場合(ステップS203、No)、第2の画像で特定した画素に対応する第1の画像の画素を特定する(ステップS204)。
ステップS205は、リサイズ回路213により実現されるステップである。ステップS205では、リサイズ回路213は、第1の画像をリサイズする。ステップS206は、合成回路214により実現されるステップである。ステップS206では、合成回路214は、合成画像を生成する。ステップS207は、画像処理回路202aにより実現されるステップである。ステップS207では、画像処理回路202aは、合成画像を表示する。
上述したように、第2の実施形態では、第1の光検出器106aは、第2の光検出器106bと比較して、ダイナミックレンジが広く飽和しにくい。このため、第2の画像が飽和する場合でも、第1の画像は飽和していない場合がある。そこで、第2の実施形態では、X線画像収集装置110aは、第2の画像をモニタ109に表示させる際に、第2の画像が飽和している場合、第2の画像の飽和している領域を補う第1の画像を表示する。このように、第2の実施形態によれば、例えば、操作者は、第2の画像を観察する際に第2の画像が飽和した場合でも、第1の画像で飽和している領域を補うことで、第2の画像で飽和している領域の情報を観察することが可能になる。また、第2の実施形態によれば、(X線照射条件の変更等による)画像の再収集を実施しなくてもよいので、術者は、検査を効率化することが可能になる。更に、第2の実施形態によれば、画像の再収集を実施しなくてもよいので、被検者へのX線被曝を低減したり、被検者の検査への負担を軽減したりすることが可能になる。
なお、上述した第2の実施形態では、図9Aに示す表示形態と、図9Bに示す表示形態とについて説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、画像処理回路202aは、図9Aに示す表示形態と図9Bに示す表示形態とを操作者の指示に応じて適宜切り替え可能にしても良い。
(第2の実施形態の変形例)
上述した第2の実施形態では、第2の画像をモニタ109に表示する際に、第2の画像が飽和している場合、第2の画像の飽和している領域を補う第1の画像を表示する補完処理を実行する場合について説明した。ここで、上述した第2の実施形態では、第2の画像を用いて、第2の画像が飽和しているか否かを判定した。
ところで、第1のFPDは、第2のFPDよりもダイナミックレンジが広い。このため、第2の画像が飽和する場合であっても、第1の画像は飽和していない場合がある。このため、X線診断装置100は、第1の画像を用いて、第2の画像が飽和しているか否かを判定することが可能である。例えば、X線診断装置100は、第1の画像が飽和していないが、第1の画像の画素値が所定値以上である場合に、第2の画像が飽和していると判定する。そこで、第2の実施形態の変形例では、第1の画像を用いて第2の画像が飽和しているか否かを判定する場合について説明する。そして、第2の実施形態の変形例では、第2の画像が飽和していると判定した場合には、第2の光検出器106bの駆動レートを変更することで、第2の画像の飽和を解消する。
なお、第2の実施形態の変形例では、X線画像収集装置110aの一部の構成部が付加的機能を有する点を除いて、第2の実施形態に係るX線画像収集装置110aと同様である。このため、第2の実施形態の変形例では、第2の実施形態と異なる点についてのみ説明する。
飽和検知回路211は、X線検出器制御装置120によって出力された第1の画像を受け付け、受け付けた第1の画像を用いて第2の画像が飽和しているか否かを判定する。ここで、飽和検知回路211は、第2の画像が飽和していると判定した場合、UI制御回路205を介して、FPD制御回路201に第2の光検出器106bの駆動レートを変更する指示を出力する。
FPD制御回路201は、UI制御回路205を介して、飽和検知回路211から第2の光検出器106bの駆動レートを変更する指示を受け付けた場合、X線検出器制御装置120を介して、第2の光検出器106bの駆動レートを変更させる。言い換えると、X線検出器制御装置120は、第2の画像が飽和していると判定された場合に、第2の光検出器106bによる電気信号の読み出しのタイミングを変更する。図11A及び図11Bは、第2の実施形態の変形例を説明するための図である。
図11Aでは、タイミングを変更する前の第2の光検出器106bによる電気信号の出力処理について説明する。言い換えると、第2の画像が飽和していない場合の第2の光検出器106bによる電気信号の読み出しのタイミングを示す。
パルス状にX線を照射してX線画像を収集する場合に、第2の光検出器106bは、X線パルス照射中に発生電荷を蓄積するストレージ期間と、X線パルスの非照射中に電荷信号を読み出すリードアウト期間とが設定されている。例えば、第2の光検出器106bは、ストレージ期間の後、リードアウト期間で電荷信号を読み出すことでX線信号を出力する。そして、X線検出器制御装置120は、収集したX線信号を用いてX線画像を生成する。
ここで、X線検出器制御装置120は、第2の画像が飽和していると判定された場合に、第2の光検出器106bによる電気信号の読み出しのタイミングを変更する。図11Bでは、タイミングを変更した後の第2の光検出器106bによる電気信号の出力処理について説明する。言い換えると、第2の画像が飽和した場合の第2の光検出器106bによる電気信号の読み出しのタイミングを示す。
図11Bに示すように、第2の光検出器106bは、X線の入射期間、非入射期間を問わず一定して高速な読出しを連続的に実施することで出力信号を逐次得る。例えば、第2の光検出器106bは、ストレージ期間を設けること無く、パルス状のX線を一回照射する間に、フォトダイオードに蓄積された電荷信号の読み出しを複数回実行する。言い換えると、第2の光検出器106bは、CMOS−FPDによる高速収集レートに対応した駆動を実施することで、一つのX線パルスを細切れに読み出し、それぞれ出力信号を出力する。そして、第2の光検出器106bは、出力信号のうちX線信号を収集し、収集したX線信号を加算して1フレーム分のX線信号を得る。なお、一つのX線パルスを細切れに読み出したそれぞれの出力信号のことを「子フレーム」とも言う。
そして、X線検出器制御装置120は、第2の画像が飽和していると判定された場合に、「子フレーム」を加算して、飽和の無い単位で第2の画像を生成する。なお、X線検出器制御装置120は、「子フレーム」を加算して飽和の無い単位で第2の画像を生成する際に、特開2016−87217号公報に記載の技術を適用することが可能である。
図12は、第2の実施形態の変形例に係るX線画像収集装置110aによる処理手順を示すフローチャートである。図12では、X線画像収集装置110a全体の動作を説明するフローチャートを示し、各構成要素がフローチャートのどのステップに対応するかを説明する。なお、図12に示す処理は、第2の画像を収集している際に、駆動レートを変更する指示を受け付けた場合に、リアルタイムで実行されるものとして説明する。
ステップS301は、UI制御回路205により実現されるステップである。ステップS301では、UI制御回路205は、第2の画像の表示の選択を受け付けたか否かを判定する。ここで、UI制御回路205は、第2の画像の表示の選択を受け付けたと判定しなかった場合(ステップS301、No)、処理を終了する。一方、UI制御回路205は、第2の画像の表示の選択を受け付けたと判定した場合(ステップS301、Yes)、ステップS302に移行する。
ステップS302及びステップS303は、飽和検知回路211により実現されるステップである。ステップS302では、飽和検知回路211は、第1の画像を用いて第2の画像の飽和を判定する。そして、ステップS303では、飽和検知回路211は、第2の画像の飽和を検知したか否かを判定する。ここで、飽和検知回路211は、第2の画像の飽和を検知したと判定しなかった場合(ステップS303、No)、処理を終了する。
一方、飽和検知回路211は、第2の画像の飽和を検知したと判定した場合(ステップS303、Yes)、ステップS304に移行する。ステップS304は、FPD制御回路201により実現されるステップである。ステップS304では、FPD制御回路201は、第2の検出器106eの駆動レートを変更する。
上述したように、第2の実施形態の変形例では、第1の光検出器106aは、ダイナミックレンジが第2の光検出器106bよりも広い。このため、第2の画像が飽和する場合でも、第1の画像は飽和していない場合がある。そこで、第2の実施形態の変形例では、X線画像収集装置110は、第1の画像を用いて第2の画像が飽和しているか否かを判定する。そして、第2の実施形態の変形例では、X線画像収集装置110aは、第2の画像が飽和していると判定した場合には、第2の光検出器106bの駆動レートを変更する。これにより、第2の実施形態の変形例では、X線検出器制御装置120は、飽和の無い第2の画像を生成する。このように、第2の実施形態の変形例によれば、例えば、操作者は、第2の画像を観察する際に第2の画像が飽和した場合でも、第2の光検出器106bの駆動レートを変更することで、飽和の無い第2の画像を観察することが可能になる。また、第2の実施形態の変形例によれば、画像の再収集を実施しなくてもよいので、術者は、検査を効率化することが可能になる。更に、第2の実施形態の変形例によれば、画像の再収集を実施しなくてもよいので、被検者へのX線被曝を低減したり、被検者の検査への負担を軽減したりすることが可能になる。なお、第2の画像の飽和の有無の確認は、第2の画像の各画素の値が事前に設定されている飽和値に達しているか否かの判断を行なうことでも実施できる。
(その他の実施形態)
実施形態は、上述した実施形態に限られるものではない。
なお、上述した第1の実施形態において、画像処理回路202は、第2の画像の表示を受け付けて収集された第2の画像を表示する際に、第2の画像の視野領域外を補う画像として、第1の画像を表示させてもよい。かかる場合、画像処理回路202は、第2の画像と、第2の画像の視野領域外を含む第1の画像とを独立に表示させてもよいし、第2の画像に、第2の画像の視野領域外を補う画像を合成して表示させてもよい。
また、上述した実施形態では、図4や図8等に示すように、X線検出器106において、第1のFPDが第2のFPDよりX線源103側に設けられるものとして説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、X線検出器106において、第2のFPDが第1のFPDよりX線源103側に設けられてもよい。
また、上述した実施形態では、第1の画像と第2の画像とを独立に表示する場合と、第1の画像と第2の画像とを合成した合成画像を表示する場合とについて説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、第1の画像と、第2の画像と、合成画像とを独立に表示してもよい。或いは、第1の画像と、第2の画像と、合成画像とのうち任意の2つの画像を独立に表示してもよい。
また、上述した実施形態では、X線画像収集装置110(110a)は、各回路を有するものとして説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、X線画像収集装置110(110a)は、プロセッサであり、記憶回路に記憶されたプログラムを読み出して実行することで、図4に示すX線画像収集装置110や図8に示すX線画像収集装置110aと同様の機能を実行するようにしてもよい。かかる場合、プロセッサが実行する各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路に記録されている。プロセッサは、各プログラムを記憶回路から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現する。換言すると、各プログラムを読み出した状態のプロセッサは、図4に示すX線画像収集装置110内や図8に示すX線画像収集装置110a内に示された各回路と同様の各機能を有することとなる。
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、図4や図8における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
上記の実施形態の説明において、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、或いは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
また、上記の実施形態で説明した制御方法は、予め用意された制御プログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。この制御プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、この制御プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、表示する画像の一部の領域を補うことができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。