JP2018153296A - 不飽和化合物を含有する組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
[1]不飽和二重結合を有する化合物(A)、アスコルビン酸類(B)、基質を消費して過酸化水素を生成する酸化酵素(C)、および前記酸化酵素(C)に対応する基質(D)を含有する組成物。
[2]前記不飽和二重結合を有する化合物(A)が、(メタ)アクリロイル変性多糖である前記[1]に記載の組成物。
[3]前記(メタ)アクリロイル変性多糖が、(メタ)アクリロイル変性ヒアルロン酸、(メタ)アクリロイル変性デキストラン、および(メタ)アクリロイル変性プルランから選ばれる少なくとも1種である前記[2]に記載の組成物。
[4]前記酸化酵素(C)がグルコースオキシダーゼであり、前記基質(D)がグルコースである前記[1]〜[3]のいずれか1項に記載の組成物。
[5]さらに、水(E)を含有する前記[1]〜[4]のいずれか1項に記載の組成物。
[6]前記[1]〜[3]のいずれか1項に記載の化合物(A)に含まれる前記不飽和二重結合の付加重合による架橋構造を有するゲル。
[7]水分を50〜99.9質量%含有するハイドロゲルである前記[6]に記載のゲル。
[8]前記[6]または[7]に記載のゲルを50質量%以上含有する成形体。
[9]前記[8]に記載の成形体を有する医療用器具。
[組成物]
本発明の組成物は、不飽和二重結合を有する化合物(A)、アスコルビン酸類(B)、基質を消費して過酸化水素を生成する酸化酵素(C)、および前記酸化酵素(C)に対応する基質(D)を含有する。
化合物(A)は、不飽和二重結合を有する化合物(不飽和化合物)であるが、ただし後述するアスコルビン酸類(B)は除く。
変性多糖は、多糖に(メタ)アクリロイル基が導入された変性多糖((メタ)アクリロイル変性多糖)が好ましく、(メタ)アクリロイル変性ヒアルロン酸、(メタ)アクリロイル変性デキストラン、および(メタ)アクリロイル変性プルランから選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
本発明の組成物中の化合物(A)の含有量は、通常は0.05〜49質量%、好ましくは0.5〜39質量%、より好ましくは5〜29質量%である。このような態様であると、生体に対して低浸襲性な条件でゲル化が可能な組成物となる。
アスコルビン酸類(B)としては、例えば、L−アスコルビン酸、エリソルビン酸、およびこれらの塩またはエステルが挙げられる。前記塩としては、例えば、酸付加塩、金属塩、アンモニウム塩が挙げられる。酸付加塩としては、例えば、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩等の有機酸塩が挙げられる。金属塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等の周期表第2族金属塩、アルミニウム塩、亜鉛塩が挙げられる。前記エステルとしては、例えば、アルキルエステル、アルケニルエステル、アルキニルエステル、アリールエステル、アリールアルキルエステル、ハロアルキルエステル、アルカノイルオキシアルキルエステル、アルコキシカルボニルオキシアルキルエステルが挙げられる。
アスコルビン酸類(B)は1種または2種以上用いることができる。
酸化酵素(C)は、基質を消費して過酸化水素を生成する酵素である。
酸化酵素(C)としては、例えば、グルコースオキシダーゼ、コリンオキシダーゼ、アミノ酸オキシダーゼ、アルコールオキシダーゼ、ピルビン酸オキシダーゼ、コレステロールオキシダーゼが挙げられる。これらの酵素は、用途に応じて適宜選択できるが、ゲル化速度が大幅に向上することから、グルコースオキシダーゼが好ましい。
本発明の組成物中の酸化酵素(C)の含有量は、反応性の点から、0.01U/mL以上が好ましく、1U/mL以上がより好ましく;1,000U/mL以下が好ましく、500U/mL以下がより好ましい。なお、Uとは酵素活性の単位を示し、至適条件下で、温度30℃で毎分1マイクロモルの基質を変化させることができる酵素量である。
基質(D)は、酸化酵素(C)により消費されて過酸化水素を生成する物質であり、酸化酵素(C)に対応して選択される物質である。例えば、酸化酵素(C)が、グルコースオキシダーゼ、コリンオキシダーゼ、アミノ酸オキシダーゼ、アルコールオキシダーゼ、ピルビン酸オキシダーゼまたはコレステロールオキシダーゼである場合、基質(D)は、それぞれ、グルコース、コリン、アミノ酸、アルコール、ピルビン酸またはコレステロールである。本発明では、ゲル化速度が大幅に向上することから、グルコースオキシダーゼとグルコースとの組合せが好ましい。
本発明の組成物中の基質(D)の含有量は、アスコルビン酸類(B)1モルに対して、通常は0.1〜100モル、好ましくは1〜50モル、より好ましくは2〜30モルである。
本発明の組成物は、水(E)を含有することが好ましい。また、本発明の組成物は、さらに塩化ナトリウムを含有してもよい。このように本発明の組成物は、生理食塩水のような塩化ナトリウム水溶液を含有してもよい。
本発明の組成物は、ゲルの用途に応じた機能発現物質を含有してもよい。これにより、得られるゲル中に機能発現物質を含ませることができる。機能発現物質としては、例えば、薬剤、細胞が挙げられる。機能発現物質を含有するゲルは、医学用器具等の幅広い分野で用いることができる。
本発明の組成物の一実施態様は、化合物(A)およびアスコルビン酸類(B)を含み、酸化酵素(C)および基質(D)のいずれかを含むが両方は含まない第1の溶液と、前述の酸化酵素(C)および基質(D)のうち第1の溶液中で含まれない方を含む第2の溶液とを有する。
本発明の組成物は、以下に説明するゲルの原料組成物として好適に用いることができる。また、本発明の組成物は、例えば、変形性関節症の治療に用いられる関節腔内の潤滑剤や、損傷被覆材として用いることができる。変形性関節症は膝、肩、股、腰、足首、手首、指などの体の各関節に発生しうるが、本発明の組成物はいずれの関節にも適用しうる。
本発明のゲルは、上述した化合物(A)に含まれる不飽和二重結合の付加重合による架橋構造を有し、すなわち化合物(A)の架橋体を含有する。
本発明の組成物を用いることにより、ゲルおよびハイドロゲルを形成することができる。例えば、一実施態様において、前記成分(A)〜(D)を水中で混合し、化合物(A)の不飽和二重結合を付加重合させて、ハイドロゲルを形成する。前記成分(A)〜(D)は、それぞれの水溶液として用いてもよい。
本発明の成形体は、上述したゲルを含有する。例えば、本発明のゲルが、所望の形状に成形された成形体である。前記成形体において、ゲルの量は、通常は50質量%以上、好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上である。
[合成例1]アクリロイル基で変性したデキストラン(A1)
フラスコに、デキストラン(商品名「デキストラン40,000」、和光純薬株式会社製)12g、ジメチルホルムアミド480ml、および塩化リチウム9.6gを加え、90℃で60分間撹拌した。溶液を0℃に冷却し、ピリジン6mlと塩化アクリロイル3.9mlを加え、0℃で1時間撹拌した後に、室温で4時間撹拌した。冷エタノールを500ml加え、濾過を行った後に、純水100mlを加え、三日間、透析を行った。透析後の溶液を24.2質量%に濃縮し、アクリロイル基で変性したデキストラン(A1)の水溶液を得た。
得られたアクリロイル基で変性したデキストラン(A1)を1H NMRにて分析したところ、そのDSは17であった。
下記表1に示す含有量で、アクリロイル基で変性したデキストラン(A1)の水溶液(濃度:24.2質量%)、アスコルビン酸水溶液(濃度:882mM)、グルコースオキシダーゼ水溶液(濃度:150U/ml)をバイアル瓶に入れ均一に混合し、次いで、ボルテックスミキサーで攪拌しながら、混合液にグルコース水溶液(濃度:882mM)を一度に入れた。
バイアル瓶を180度に傾けたとき、内容物が垂れてこない時間を、ゲル化時間として測定した。評価結果を表1に示す。
下記表2に示す含有量で、アクリロイル基で変性したデキストラン(A1)の水溶液(濃度は24.2質量%)、アスコルビン酸水溶液(濃度は882mM)をバイアル瓶に入れ均一に混合し、次いで、ボルテックスミキサーで攪拌しながら、混合液に過酸化水素水(濃度は882mM)を一度に入れた。
実施例と同様に、バイアル瓶を180度に傾けたとき、内容物が垂れてこない時間を、ゲル化時間として測定した。評価結果を表2に示す。
図1に組成物中に含まれるグルコースオキシダーゼの含有量を一定にして、グルコース量(水溶液量)を変えた実施例1〜5の結果を図示した。
また、図2に組成物中に含まれるグルコースの含有量を一定にして、グルコースオキシダーゼ量(水溶液量)を変えた実施例3および実施例6〜8の結果を図示した。
図1および図2から、組成物中に含まれるグルコース量とグルコースオキシダーゼ量を調整することで、ゲル化時間をコントロールすることが可能であることが考察できる。
Claims (9)
- 不飽和二重結合を有する化合物(A)、
アスコルビン酸類(B)、
基質を消費して過酸化水素を生成する酸化酵素(C)、および
前記酸化酵素(C)に対応する基質(D)
を含有する組成物。 - 前記不飽和二重結合を有する化合物(A)が、(メタ)アクリロイル変性多糖である請求項1に記載の組成物。
- 前記(メタ)アクリロイル変性多糖が、(メタ)アクリロイル変性ヒアルロン酸、(メタ)アクリロイル変性デキストラン、および(メタ)アクリロイル変性プルランから選ばれる少なくとも1種である請求項2に記載の組成物。
- 前記酸化酵素(C)がグルコースオキシダーゼであり、前記基質(D)がグルコースである請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
- さらに、水(E)を含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物(A)に含まれる前記不飽和二重結合の付加重合による架橋構造を有するゲル。
- 水分を50〜99.9質量%含有するハイドロゲルである請求項6に記載のゲル。
- 請求項6または7に記載のゲルを50質量%以上含有する成形体。
- 請求項8に記載の成形体を有する医療用器具。
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