JP2018153284A - バルーンコーティング方法及びバルーンコーティング装置 - Google Patents

バルーンコーティング方法及びバルーンコーティング装置 Download PDF

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Abstract

【課題】バルーンの表面に均一にコーティング液を分散させることのできるバルーンコーティング方法及びバルーンコーティング装置を提供する。
【解決手段】バルーン11の表面にコート層を形成するバルーンコーティング方法であって、バルーン11の軸方向に沿って延びる柔軟なチューブ体100をバルーン11に対向させると共に、当該チューブ体100に薬剤を含むコーティング液を満たし、カテーテルをシャフト10の軸心を中心に回転させつつ、バルーン11の表面に対し、チューブ体100がバルーン11の軸方向に沿って有する複数の吐出口103からコーティング液を吐出し、チューブ体100は、バルーン11の軸方向に沿って設けられる押圧部110により、バルーン11に押し付けられる方向に押圧されて、チューブ体100の表面位置がバルーン11の表面位置に追従する塗布工程を有するバルーンコーティング方法である。
【選択図】図5

Description

本発明は、バルーンカテーテルのバルーンの表面に薬剤をコーティングする方法及びバルーンコーティング装置に関する。
生体管腔内に生じた病変部(狭窄部)改善のため、バルーンカテーテルが広く用いられている。バルーンカテーテルは、通常、長尺なカテーテルシャフトと、このカテーテルシャフトの先端側に設けられて径方向に拡張可能なバルーンとを備えている。収縮されているバルーンを、細い生体管腔を経由して体内の目的場所まで到達させた後に拡張させることで、病変部を押し広げることができる。
一方、病変部をバルーンにより強制的に押し広げると、内皮細胞が過剰に増殖して病変部に新たな狭窄(再狭窄)を発症する場合がある。このため、最近では、バルーンの表面に狭窄を抑制するための薬剤をコーティングした薬剤溶出性バルーン(Drug Eluting Balloon;DEB)が用いられている。薬剤溶出性バルーンは、拡張することで表面にコーティングされている薬剤を病変部に放出し、薬剤を生体組織へ移行させることができ、これにより、再狭窄を抑制することができる。
バルーンに薬剤を含むコート層を形成する方法として、例えば、スプレー法、ドロップ法、糸引き法などがある。スプレー法は、薬剤を含むコーティング液を、バルーンに対して接触しないノズルから霧状に吹き付けた後、コーティング液を乾燥させて、バルーンの表面にコート層を形成する方法である。ドロップ法は、コーティング液を、バルーンに対して接触しないノズルから滴下した後、コーティング液を乾燥させて、バルーンの表面にコート層を形成する方法である。糸引き法は、コーティング液を、バルーンに接触する糸等を介してバルーンの表面上に供給した後、コーティング液を乾燥させて、バルーンの表面にコート層を形成する方法である。
上述した種々の方法によってバルーンにコーティング液を塗布する際には、バルーンを回転させつつ、コーティング液を供給するノズルや糸等の器具をバルーンの軸方向へ移動させることで、バルーンの表面の全体にコーティング液を塗布することができる(例えば特許文献1を参照)。
特許第4906926号明細書
バルーンに対するコーティングの過程では、コーティング液がバルーンの表面において均一に分散することが必要である。コーティング液の分布が不均一であると、コーティング液を乾燥させた後に、バルーンの表面における薬剤の分布にむらが生じる。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、バルーンの表面に均一にコーティング液を分散させることのできるバルーンコーティング方法及びバルーンコーティング装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成する本発明に係るバルーンコーティング方法は、シャフトの先端部にバルーンを有するカテーテルにおける前記バルーンの表面にコート層を形成するバルーンコーティング方法であって、
前記バルーンの軸方向に沿って延びる柔軟なチューブ体を前記バルーンに対向させると共に、当該チューブ体に薬剤を含むコーティング液を満たし、
前記カテーテルを前記シャフトの軸心を中心に回転させつつ、前記バルーンの表面に対し、前記チューブ体が前記バルーンの軸方向に沿って有する複数の吐出口から前記コーティング液を吐出し、前記チューブ体は、前記バルーンの軸方向に沿って設けられる押圧部により、前記バルーンに押し付けられる方向に押圧されて、前記チューブ体の表面位置が前記バルーンの表面位置に追従する塗布工程を有する。
上記目的を達成する本発明に係るバルーンコーティング装置は、シャフトの先端部にバルーンを有するカテーテルの前記バルーンの表面にコート層を形成するバルーンコーティング装置であって、
前記バルーンを前記シャフトの軸心を中心として回転させる回転機構と、
前記バルーンの軸方向に沿って延びる柔軟なチューブ体と、
前記チューブ体を前記バルーンに向かう方向に押圧する押圧部と、を有し、
前記チューブ体は、前記バルーンの軸方向に沿って複数の吐出口を有し、
前記押圧部は、前記チューブ体が前記回転機構により回転する前記バルーンの表面位置に追従するように前記チューブ体を押圧する。
上記のように構成したバルーンコーティング方法は、チューブ体がバルーンの軸方向に沿って押し付けられながらコーティング液を塗布するので、バルーンの軸方向に対してコーティング液を均一に塗布できる。また、バルーンの表面形状に追従してチューブ体が変形するので、バルーン形状の個体差や湾曲形状などによらず、均一にコーティングを行うことができる。さらには、複数の吐出口でバルーンの軸方向に沿ってコーティングが行われるので、コーティングにかかる時間を短縮できると共に、外的要因の影響も軽減できる。
前記押圧部は、複数の前記吐出口の位置に対して、それぞれ同じ押圧力で押圧する。これにより、各吐出口からのコーティング液の吐出量を均一にして、コーティングをより均一にすることができる。
前記チューブ体は、複数の前記吐出口が設けられる範囲において同径に形成されている。これにより、コーティング液の吐出条件を各吐出口で同一とし、より均一にコーティングを行うことができる。
前記チューブ体は、拡張した状態の前記バルーンより小さい外径を有する。これにより、チューブ体が変形しやすく、バルーンの表面形状に追従しやすくすることができる。
前記コーティング液に含まれる薬剤は、ラパマイシン、パクリタキセル、ドセタキセル、またはエベロリムスのいずれかであるようにすれば、血管内の狭窄部の再狭窄を良好に抑制できる。
上記のように構成したバルーンコーティング装置は、前述のバルーンコーティング方法を実施できることで、バルーンの軸方向に対してコーティング液を均一に塗布でき、また、バルーンの形状によらず、コーティング液を均一に塗布できる。
前記押圧部は、前記チューブ体を押圧する方向に付勢された複数のピン状部が、前記チューブ体の長さ方向に沿って配置されている。これにより、チューブ体が長さ方向に均一に押圧され、バルーンに対するコーティングを均一化することができる。
バルーンカテーテルを示す正面図である。 バルーンカテーテルの先端部の断面図である。 バルーンの外表面の概略断面図である。 バルーンコーティング装置の全体構成図である。 チューブ体及び押圧部の正面拡大図である。 押圧部の側面図である。 バルーンの表面が傾斜している場合における押圧部とチューブ体及びバルーンの関係を表した拡大正面図である。 バルーンの折り畳み前状態(図8(a))、バルーンに羽根部を形成した状態(図8(b))、バルーンを折り畳んだ状態(図8(c))の断面図である。 バルーンカテーテルにより血管の狭窄部を押し広げた状態を示す断面図である。 別の形態の押圧部の側面図である。 別の形態のチューブ体及び押圧部の正面拡大図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。図面の寸法比率は、説明の都合上、誇張されて実際の比率とは異なる場合がある。
まず、カテーテル1の構造を説明する。図1,2に示すように、カテーテル1は、長尺なシャフト10と、シャフト10の先端部に設けられるバルーン11と、バルーン11の外表面に設けられる薬剤を含むコート層30と、シャフト10の基端に固着されたハブ12とを有している。
シャフト10は、先端および基端が開口した管体である外管20と、外管20の内部に配置される管体である内管21とを備えている。内管21は、外管20の中空内部に納められており、シャフト10は、先端部において二重管構造となっている。内管21の中空内部は、ガイドワイヤを挿通させるガイドワイヤルーメン23である。また、外管20の中空内部であって、内管21の外側には、バルーン11の拡張用流体を流通させる拡張ルーメン22が形成される。内管21は、開口部24において外部に開口している。内管21は、外管20の先端よりもさらに先端側まで突出している。
バルーン11は、基端側端部が外管20の先端部に固定され、先端側端部が内管21の先端部に固定されている。これにより、バルーン11の内部が拡張ルーメン22と連通している。拡張ルーメン22を介してバルーン11に拡張用流体を注入することで、バルーン11を拡張させることができる。拡張用流体は気体でも液体でもよく、例えばヘリウムガス、COガス、Oガス、Nガス、Arガス、空気、これらの混合ガス等の気体や、生理食塩水、造影剤等の液体を用いることができる。
バルーン11の軸心方向における中央部には、拡張させた際に外径が等しい円筒状のストレート部11a(拡張部)が形成され、ストレート部11aの軸心方向の両側に、外径が徐々に変化するテーパ部11bが形成される。そして、ストレート部11aの外表面の全体に、薬剤を含むコート層30が形成される。なお、バルーン11においてコート層30を形成する範囲は、ストレート部11aのみに限定されず、ストレート部11aに加えてテーパ部11bの少なくとも一部が含まれてもよく、または、ストレート部11aの一部のみであってもよい。
ハブ12は、外管20の拡張ルーメン22と連通して拡張用流体を流入出させるポートとして機能する基端開口部40が形成されている。
バルーン11の軸心方向の長さは特に限定されないが、好ましくは5〜500mm、より好ましくは10〜300mm、さらに好ましくは20〜200mmである。
バルーン11の拡張時の外径は、特に限定されないが、好ましくは1〜10mm、より好ましくは2〜8mmである。
バルーン11のコート層30が形成される前の外表面は、平滑であり、非多孔質である。バルーン11のコート層30が形成される前の外表面は、膜を貫通しない微小な孔があってもよい。または、バルーン11のコート層30が形成される前の外表面は、平滑であって非多孔質である範囲と、膜を貫通しない微小な孔がある範囲の両方を備えてもよい。微小な孔の大きさは、例えば、直径が0.1〜5μm、深さが0.1〜10μmであり、1つの結晶に対して、1つまたは複数の孔を有してもよい。また、微小な孔の大きさは、例えば、直径が5〜500μm、深さが0.1〜50μmであり、1つの孔に対して、1つまたは複数の結晶を有してもよい。
バルーン11は、ある程度の柔軟性を有するとともに、血管や組織等に到達した際に拡張されて、その外表面に有するコート層30から薬剤を放出できるようにある程度の硬度を有するものが好ましい。具体的には、バルーン11は、金属や、樹脂で構成されるが、コート層30が設けられるバルーン11の少なくとも外表面は、樹脂で構成されていることが好ましい。バルーン11の少なくとも外表面の構成材料は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、あるいはこれら二種以上の混合物等のポリオレフィンや、軟質ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ナイロンエラストマー、ポリエステル、ポリエステルエラストマー、ポリウレタン、フッ素樹脂等の熱可塑性樹脂、シリコーンゴム、ラテックスゴム等が使用できる。そのなかでも、好適にはポリアミド類が挙げられる。すなわち、薬剤をコートするバルーン11の外表面の少なくとも一部がポリアミド類である。ポリアミド類としては、アミド結合を有する重合体であれば特に制限されないが、例えば、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリカプロラクタム(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリウンデカノラクタム(ナイロン11)、ポリドデカノラクタム(ナイロン12)などの単独重合体、カプロラクタム/ラウリルラクタム共重合体(ナイロン6/12)、カプロラクタム/アミノウンデカン酸共重合体(ナイロン6/11)、カプロラクタム/ω−アミノノナン酸共重合体(ナイロン6/9)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン6/66)などの共重合体、アジピン酸とメタキシレンジアミンとの共重合体、またはヘキサメチレンジアミンとm,p−フタル酸との共重合体などの芳香族ポリアミドなどが挙げられる。さらに、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12などをハードセグメントとし、ポリアルキレングリコール、ポリエーテル、または脂肪族ポリエステルなどをソフトセグメントとするブロック共重合体であるポリアミドエラストマーも、バルーン11の材料として用いられる。上記ポリアミド類は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。特に、バルーン11はポリアミドの滑らかな表面を有することが好ましい。
バルーン11は、その外表面上に、後述する方法によって、直接またはプライマー層等の前処理層を介してコート層30が形成される。コート層30は、図3に示すように、バルーン11の外表面に層状に配置される水溶性低分子化合物を含む添加剤130(賦形剤)と、独立した長軸を有して延在する水不溶性の薬剤結晶131とを有している。薬剤結晶131の端部は、バルーン11の外表面と直接接触してもよいが、直接接触せずに、薬剤結晶131の端部とバルーン11の外表面との間に添加剤130が存在してもよい。薬剤結晶131の端部が添加剤130の層の表面に位置して、薬剤結晶131が添加剤130から突出してもよい。複数の薬剤結晶131は、バルーン11の外表面に規則的に配置されてもよい。または、複数の薬剤結晶131は、バルーン11の外表面に不規則に配置されてもよい。
コート層30に含まれる薬剤量は、特に限定されないが、0.1μg/mm〜10μg/mm、好ましくは0.5μg/mm〜5μg/mmの密度で、より好ましくは0.5μg/mm〜3.5μg/mm、さらに好ましくは1.0μg/mm〜3μg/mmの密度で含まれる。コート層30の結晶の量は、特に限定されないが、好ましくは5〜500、000[crystal/(10μm)](10μm当たりの結晶の数)、より好ましくは50〜50、000[crystal/(10μm)]、さらに好ましくは500〜5、000[crystal/(10μm)]である。
薬剤結晶131は、各々独立した長軸を有する形態であってもよい。また、薬剤結晶131は、他の形態型であってもよい。複数の薬剤結晶131は、これらが組み合された状態で存在していてもよいし、隣接する複数の薬剤結晶131同士が異なる角度を形成した状態で接触して存在してもよい。複数の薬剤結晶131はバルーン表面上で空間(結晶を含まない空間)をおいて位置していてもよい。バルーン11の表面に、組み合された状態の複数の薬剤結晶131と、互いに離れて独立した複数の薬剤結晶131の両方が存在してもよい。複数の薬剤結晶131は、異なる長軸方向を有して円周状にブラシ状として配置されてもよい。各々の前記薬剤結晶131は独立して存在しており、ある長さを有し、その長さ部分の一端(基端)が、添加剤130またはバルーン11に固定されている。薬剤結晶131は隣接する薬剤結晶131と複合的な構造を形成せず、連結していない。前記結晶の長軸は、ほぼ直線状である。薬剤結晶131はその長軸が交わる基部が接する表面に対して所定の角度を形成している。
薬剤結晶131は、互いに接触せずに独立して立っていることが好ましい。薬剤結晶131の基部は、バルーン11の基材上で他の基部と接触していてもよい。または、薬剤結晶131の基部は、バルーン11の基材上で他の基部と接触せずに独立していてもよい。
薬剤結晶131は、中空である場合と、中実である場合がある。バルーン11の表面に、中空の薬剤結晶131と、中実の薬剤結晶131の両方が存在してもよい。薬剤結晶131は、中空である場合、少なくともその先端付近が中空である。薬剤結晶131の長軸に直角な(垂直な)面における薬剤結晶131の断面は中空を有する。当該中空を有する薬剤結晶131は長軸に直角な(垂直な)面における薬剤結晶131の断面が多角形である。当該多角形は、例えば3角形、4角形、5角形、6角形などである。したがって、薬剤結晶131は先端(または先端面)と基端(または基端面)とを有し、先端(または先端面)と基端(または基端面)との間の側面が複数のほぼ平面で構成された長尺多面体として形成される。この結晶形態型(中空長尺体結晶形態型)は基部が接する表面において、ある平面の全体または少なくとも一部を構成する。
長軸を有する薬剤結晶131の長軸方向の長さは5μm〜20μmが好ましく、9μm〜11μmがより好ましく、10μm前後であるのがさらに好ましい。長軸を有する薬剤結晶131の径は、0.01μm〜5μmであるのが好ましく、0.05μm〜4μmであるのがより好ましく、0.1μm〜3μmであるのがさらに好ましい。長軸を有する薬剤結晶131の長軸方向の長さと径の組み合わせの例として、長さが5μm〜20μmのときに径が0.01〜5μmである組み合わせ、長さが5〜20μmのときに径が0.05〜4μmである組み合わせ、長さが5〜20μmのときに径が0.1〜3μmである組み合わせが挙げられる。長軸を有する薬剤結晶131は、長軸方向に直線状であるが、曲線状に湾曲してもよい。バルーン11の表面に、直線状の薬剤結晶131と、曲線状の薬剤結晶131の両方が存在してもよい。
上述した長軸を有する結晶を有する結晶形態型は、バルーン11の外表面の薬剤結晶全体に対して50体積%以上、より好ましくは70体積%以上である。長軸を有する結晶粒子である薬剤結晶131は、バルーン11または添加剤130の外表面に対して寝ておらず立っているように形成される。添加剤130は、薬剤結晶131がある領域に存在し、薬剤結晶131がない領域にはなくてもよい。
添加剤130は、林立する複数の薬剤結晶131の間の空間に分配されて存在する。コート層30を構成する物質の割合は、水不溶性の薬剤結晶131の方が、添加剤130よりも大きい体積を占めることが好ましい。添加剤130は、マトリックスを形成しない。マトリックスとは、比較的高分子の物質(ポリマーなど)が連続して構成された層であり、網目状の三次元構造を形成し、その中に微細な空間が存在する。したがって、結晶を構成する水不溶性薬剤はマトリックス物質中に付着していない。結晶を構成する水不溶性薬剤は、マトリックス物質中に埋め込まれてもいない。なお、添加剤130は、マトリックスを形成してもよい。
添加剤130はバルーン11の外表面で溶媒に溶けた状態でコートされた後、乾燥して層として形成される。添加剤130はアモルファスである。添加剤130は、結晶粒子であってもよい。添加剤130は、アモルファスおよび結晶粒子の混合物として存在してもよい。図3の添加剤130は、結晶粒子及び/または粒子状アモルファスの状態である。または、添加剤130は、フィルム状アモルファスの状態であってもよい。添加剤130は、水不溶性薬剤を含んだ層として形成されている。または、添加剤130は、水不溶性薬剤を含まない独立した層として形成されてもよい。添加剤130の厚みは、0.1〜5μm、好ましくは0.3〜3μm、より好ましくは0.5〜2μmである。
長尺な結晶形態型の薬剤結晶131を含む層は、体内に送達する際に、毒性が低く、狭窄抑制効果が高い。中空長尺体結晶形態を含む水不溶性薬剤は、薬剤が組織に移行した時に結晶の一つの単位が小さくなるために組織への浸透性が良く、かつ、良好な溶解性を有するため、有効に作用して狭窄を抑制できる。また、薬剤が大きな塊として組織に残留することが少ないために毒性が低くなると考えられる。
また、長尺な結晶形態型の薬剤結晶131を含む層は、組織に移行する結晶の大きさ(長軸方向の長さ)が約10μmと小さい。そのために病変患部に均一に作用し、組織浸透性が高まる。さらに、移行する薬剤結晶131の寸法が小さいために過剰量の薬剤が、過剰時間、患部に留まることがなくなるために、毒性を発現することなく、高い狭窄抑制効果を示すことが可能であると考える。
バルーン11の外表面にコーティングされる薬剤は、非晶質(アモルファス)型を含んでもよい。薬剤結晶131や非晶質は、コート層30において規則性を有するように配置されてもよい。または、結晶や非晶質は、不規則に配置されてもよい。
次に、バルーン11にコート層30を形成するためのバルーンコーティング装置2について説明する。バルーンコーティング装置2は、バルーン11にコート層30を形成することができる。バルーンコーティング装置2は、図4に示すように、カテーテル1を回転させる回転機構50と、カテーテル1を支持する支持台70とを有する。バルーンコーティング装置2は、さらに、バルーン11の表面にコーティング液を供給する供給部92を有する塗布機構80と、バルーンコーティング装置2を制御する制御部120とを有する。
回転機構50は、カテーテル1のハブ12を保持し、内蔵されるモーター等の駆動源により、シャフト10の軸心を中心としてカテーテル1を回転させる。カテーテル1は、ガイドワイヤルーメン23内に芯材51が挿通されて保持されるとともに、芯材51によってコーティング液のガイドワイヤルーメン23内への流入が防止されている。また、カテーテル1は、拡張ルーメン22への流体の流通を操作するために、ハブ12の基端開口部40に、流路の開閉を操作可能な三方活栓が接続される。
支持台70は、シャフト10を内部に収容して回転可能に支持する管状の基端側支持部71と、芯材51を回転可能に支持する先端側支持部72とを備えている。なお、先端側支持部72は、可能であれば、芯材51ではなくシャフト10の先端部を回転可能に支持してもよい。
塗布機構80は、コーティング液を収容する供給容器90と、任意の送液量でコーティング液を送液する送液ポンプ91と、コーティング液をバルーン11に塗布する供給部92とを備えている。
送液ポンプ91は、例えばシリンジポンプであり、制御部120によって制御される。送液ポンプ91は、供給容器90から吸引管93を介してコーティング液を吸引し、供給管94を介して供給部92へコーティング液を任意の送液量で供給することができる。なお、送液ポンプ90は、コーティング液を送液可能であればシリンジポンプに限定されず、例えばチューブポンプであってもよい。
供給部92は、バルーン11に接してコーティング液を塗布するチューブ体100と、チューブ体100をバルーン11に対して押し付けるように押圧する押圧部110とを有している。チューブ体100は、入口部101が供給管94と連通しており、コーティング液の供給を受けることができる。
図5に示すように、チューブ体100は、入口部101より先で、管状部材がループを形成している。チューブ体100は、バルーン11に対して圧接される対向部102を有し、対向部102には所定間隔毎に吐出口103が形成されている。チューブ体100内に供給されたコーティング液は、吐出口103から吐出され、バルーン11の表面に塗布される。吐出口103は、いずれも同じ径を有している。吐出口103の径は、0.1〜2mmの範囲が好ましい。また、吐出口103は、1〜10mm、好ましくは2〜8mm間隔で対向部102に形成される。吐出口103は、対向部102においてバルーン11に対し圧接される部分に形成されている。ただし、吐出口103は、対向部102のバルーン11に直接接触しない側部に形成されていてもよい。
チューブ体100は、可撓性を有する材料で形成されている。チューブ体100の材料としては、例えばポリエチレンやシリコンなどを用いることができる。また、その他の樹脂やゴム材料等を使用することができる。チューブ体100のうち、バルーン11に接する対向部102は、長さ方向に同径で、また、拡張した状態のバルーン11よりも小さい径を有している。対向部102の径は、好ましくは、拡張した状態のバルーン11の径の半分以下である。対向部102の径として具体的には、1〜4mmの範囲が好ましい。対向部102の径がバルーン11よりも小径であることで、対向部102が長さ方向に変形しやすく、バルーン11の表面形状の変化に追従しやすくすることができる。チューブ体100の対向部102以外の部分は、対向部102と同じ径を有しているが、部分的に異なる径を有していてもよい。
押圧部110は、支持台70に固定されており、チューブ体100の対向部102と平行に配置される基部111と、基部111から対向部102に向かって延びる複数のピン状部112とを有している。ピン状部112は、基部111の長さ方向に所定間隔毎に配置されている。ピン状部112の先端部112aは、それぞれチューブ体101の対向部102に対して当接している。各ピン状部112は、チューブ体100の吐出口103の直上位置に配置されている。したがって、ピン状部112は、吐出口103と同様、2〜8mm、好ましくは5mm間隔で配置される。ただし、吐出口103と異なる位置にピン状部112が配置されていてもよい。また、ピン状部112は、基部111内においてバルーン11の表面側に向かって付勢されている。
図6に示すように、基部111内には、ピン状部112をバルーン11に押し付ける方向に付勢する付勢部材112bが設けられている。付勢部材112bには、バネ等の弾性部材を用いることができる。付勢部材112bは、ピン状部112をバルーン11に押し付ける方向に付勢できるものであればよく、弾性部材に代えてシリンダー等を用いてもよい。付勢部材112bは、ピン状部112の位置が所定の範囲内であれば、一定の力を加えることができる。
チューブ体100は、下方に付勢された押圧部110のピン状部112で押圧されているので、バルーン11に押し付けられた状態において、潰れる方向に力を受けている。この押圧部110からの力により、チューブ体100内のコーティング液が吐出口103から押し出される。ピン状部112は、各吐出口103の位置における押圧力が一定となるように配置されているので、各吐出口103からのコーティング液の吐出量を均一にすることができる。
また、バルーン11の表面位置が変化した場合に、押圧部110により対向部102の表面位置がバルーン11に追従できる。図6の一点鎖線で示すように、バルーン11の表面位置が下方に移動した場合、チューブ体100は押圧部110によって下方に押し下げられる。
制御部120は、例えばコンピュータにより構成され、回転機構50及び塗布機構80を統括的に制御する。したがって、制御部120は、バルーン11の回転速度、供給部92からのコーティング液の吐出速度等を、統括的に制御することができる。
コーティング液は、コート層30の構成材料を含む溶液または懸濁液であり、水不溶性薬剤、賦形剤、有機溶媒及び水を含んでいる。コーティング液がバルーン11の表面に供給された後、有機溶媒及び水が揮発することで、バルーン11の表面に、独立した長軸を有して延在する水不溶性薬剤の結晶である多数の長尺体を有するコート層30が形成される。コーティング液の粘度は、0.2〜500cP、好ましくは0.2〜50cP、より好ましくは0.2〜10cPである。
水不溶性薬剤とは、水に不溶または難溶性である薬剤を意味し、具体的には、水に対する溶解度が、pH5〜8で5mg/mL未満である。その溶解度は、1mg/mL未満、さらに、0.1mg/mL未満でもよい。水不溶性薬剤は脂溶性薬剤を含む。
いくつかの好ましい水不溶性薬剤の例は、免疫抑制剤、例えば、シクロスポリンを含むシクロスポリン類、ラパマイシン等の免疫活性剤、パクリタキセル等の抗がん剤、抗ウイルス剤または抗菌剤、抗新生組織剤、鎮痛剤及び抗炎症剤、抗生物質、抗てんかん剤、不安緩解剤、抗麻痺剤、拮抗剤、ニューロンブロック剤、抗コリン作動剤及びコリン作動剤、抗ムスカリン剤及びムスカリン剤、抗アドレナリン作用剤、抗不整脈剤、抗高血圧剤、ホルモン剤ならびに栄養剤を含む。
水不溶性薬剤は、パクリタキセルおよびパクリタキセル誘導体、タキサン、ドセタキセルならびにラパマイシンおよびラパマイシン誘導体、例えば、バイオリムスA9、ピメクロリムス、エベロリムス、ゾタロリムス、タクロリムス、ファスジルおよびエポチロンが好ましく、パクリタキセルおよびラパマイシン、ドセタキセル、エベロリムスが特に好ましい。本明細書においてラパマイシン、パクリタキセル、ドセタキセル、エベロリムスとは、同様の薬効を有する限りそれらの類似体及び/またはそれらの誘導体を含む。例えば、パクリタキセルとドセタキセルは類似体の関係にある。ラパマイシンとエベロリムスは誘導体の関係にある。これらのうちでは、パクリタキセルがさらに好ましい。
添加剤130は、水溶性の低分子化合物を含む。水溶性の低分子化合物の分子量は、50〜2000であり、好ましくは50〜1000であり、より好ましくは50〜500であり、さらに好ましくは50〜200である。水溶性の低分子化合物は、水不溶性薬剤100質量部に対して、好ましくは5〜10000質量部、より好ましくは5〜200質量部、さらに好ましくは8〜150質量部である。水溶性の低分子化合物の構成材料は、セリンエチルエステル、クエン酸エステル、ポリソルベート、水溶性ポリマー、糖、造影剤、アミノ酸エステル、短鎖モノカルボン酸のグリセロールエステル、医薬として許容される塩および界面活性剤等、あるいはこれら二種以上の混合物等が使用できる。水溶性の低分子化合物は、親水基と疎水基を有し、水に溶解することを特徴とする。水溶性の低分子化合物は、非膨潤性または難膨潤性であることが好ましい。添加剤130は、バルーン11上でアモルファス(非晶質)であることが好ましい。水溶性の低分子化合物を含む添加剤130は、バルーン11の外表面上で水不溶性薬剤を均一に分散させる効果を有する。さらに、血管内でのバルーン11の拡張時に添加剤130が溶解しやすくなることで、バルーン11の外表面上の水不溶性薬剤の薬剤結晶131を放出しやすくなり、血管への薬剤結晶131の付着量を増加させる効果を有する。添加剤130は、ハイドロゲルでないことが好ましい。添加剤130は低分子化合物であることで、水溶液に接すると膨潤することなく速やかに溶解する。さらに、血管内でのバルーン11の拡張時に添加剤130が溶解しやすくなることで、バルーン11の外表面上の水不溶性の薬剤結晶131の粒子を放出しやすくなり、血管への薬剤結晶131の付着量を増加させる効果を有する。添加剤130がウルトラビスト(Ultravist)(登録商標)のような造影剤からなるマトリクスである場合、結晶粒子がマトリクスに埋め込まれ、バルーン11の基材上からマトリクスの外側に向かって結晶が生成しない。これに対し、本実施形態の薬剤結晶131は、バルーン11の基材の表面から添加剤130の外側まで延在することができる。
溶媒は、特に限定されないが、テトラヒドロフラン、アセトン、グリセリン、エタノール、メタノール、ジクロロメタン、ヘキサン、エチルアセテート、水、中でもテトラヒドロフラン、エタノール、アセトン、水のうち、これらのいくつかの混合溶媒が好ましい。例えば、テトラヒドロフランと水、テトラヒドロフランとエタノールと水、テトラヒドロフランとアセトンと水、アセトンとエタノールと水、テトラヒドロフランとアセトンとエタノールと水といった組み合わせが挙げられる。
次に、上述したバルーンコーティング装置2を用いて、バルーン11の表面に水不溶性薬剤の結晶を形成する方法を説明する。
初めに、ハブ12の基端開口部40に接続した三方活栓を介して、拡張用の流体をバルーン11内に供給する。次に、バルーン11を拡張させた状態で三方活栓を操作して拡張ルーメン22を密封し、バルーン11を拡張させた状態を維持する。バルーン11は、血管内での使用時の圧力(例えば8気圧)よりも低い圧力(例えば4気圧)で拡張される。
次に、カテーテル1を支持台70に回転可能に設置し、ハブ12を回転機構50に連結する。次に、回転機構50によりカテーテル1を軸心方向に回転させながら、チューブ体100からコーティング液をバルーン11に向かって吐出する。コーティング液は、入口部101からチューブ体100に充填され、押圧部110が対向部102をバルーン11に押し付ける方向に押圧することにより、吐出口103から吐出される。コーティング液の吐出量は、送液ポンプ91により調整される。複数の吐出口103は、バルーン11のコート層30を形成する軸方向の全域にコーティング液を塗布できるように、間隔及び数が設定されている。バルーン11が回転することにより、コーティング液はバルーン11の表面の全周に塗布される。
図7に示すように、バルーン11が回転し、バルーン11の表面が軸方向に沿って傾斜した状態となった場合に、チューブ体100の対向部102は、ピン状部112によりバルーン11に押し付けられる方向に付勢されているため、バルーン11の表面形状に沿うように変形する。バルーン11が回転機構50で回転するのに伴い、チューブ体100と対向するバルーン11の表面形状は変化していくが、押圧部110によってチューブ体100の対向部102がバルーンの表面形状に追従するように変形することで、コーティング液の吐出状態を一定にすることができる。このため、バルーン11の表面に対しコーティング液を均一に塗布することができる。
このように、バルーン11を回転させつつ、バルーン11の表面にチューブ体100の対向部102を当接させ、対向部102をバルーン11の表面に押し付ける方向に押圧することにより、バルーン11の軸方向に対してコーティング液を均一に塗布できる。また、吐出口103がバルーン11の軸方向に複数配置されていることにより、バルーン11の軸方向全域に対して一度にコーティングを行うことができるので、コーティングに要する時間を短縮し、生産効率を向上させると共に、外的要因の変動の影響を小さくすることができる。
コーティング液をバルーン11の表面に塗布した後、前処理液及びコーティング液に含まれる有機溶媒が、水よりも先に揮発する。したがって、バルーン11の表面に、水不溶性薬剤、水溶性低分子化合物及び水が残された状態で、有機溶媒が揮発する。このように、水が残された状態で有機溶媒が揮発すると、水不溶性の薬剤が、水を含む水溶性低分子化合物の内部で析出し、結晶核から結晶が徐々に成長して、図3に示すように、バルーン11の表面に、結晶が各々独立した長軸を有する複数の薬剤結晶131を含む形態型(morphological form)の薬剤結晶が形成される。この状態の薬剤結晶131は、バルーン11の表面に対して立った状態となっている。薬剤結晶131の基端は、バルーン11の表面、添加剤130の表面または内部に位置する可能性がある。有機溶媒が揮発して薬剤結晶が複数の薬剤結晶131として析出した後、水が有機溶媒よりもゆっくり蒸発し、水溶性低分子化合物を含む添加剤130が形成される。水が蒸発するまでの時間は、薬剤の種類、水溶性低分子化合物の種類、有機溶媒の種類、材料の比率、コーティング液の塗布量等に応じて適宜設定されるが、例えば、1〜600秒程度である。
バルーン11を回転させつつコーティング液を複数のノズル部102から塗布することで、バルーン11においてコート層30を形成する範囲の全体に、コーティング液が塗布される。バルーン11の表面に薬剤結晶131を有するコート層30が形成された後、回転機構50及び塗布機構80を停止させる。
この後、カテーテル1をバルーンコーティング装置2から取り外して、バルーン11のコーティングが完了する。
バルーン11は、図8(a)に示すように、内部に拡張用流体が注入された状態で断面略円形状を有する。この状態から、バルーン11は、突出する羽根部140が形成されることで、図8(b)に示すように、羽根部140の外側面を構成する羽根外側部140bと、羽根部140の内側面を構成する羽根内側部140aと、羽根外側部140bと羽根内側部140aの間に位置する中間部140cとが形成される。この状態から、図8(c)に示すように、径方向外側へ突出する羽根部140が、周方向へ折り畳まれる。バルーン11の羽根部140が折り畳まれると、羽根内側部140aと中間部140cが重なって接触し、バルーン11の外表面同士が対向して重なる重複部141が形成される。そして、中間部140cの一部および羽根外側部140bは、羽根内側部140aに覆われず、外側に露出する。また、バルーン11が折り畳まれた状態では、羽根部140の根元部と中間部140cとの間に、根元側空間部142が形成される。根元側空間部142の領域では、羽根部140と中間部140cとの間に、微小な隙間が形成される。一方、羽根部140の根元側空間部142よりも先端側の領域は、中間部140cに対して密接した状態となっている。羽根部140の周方向長さに対する根元側空間部142の周方向長さの割合は、1〜95%の範囲である。バルーン11の羽根外側部140bは、バルーン11を折り畳むためのブレードから周方向に擦れるような押圧力を受け、さらに加熱される。これにより、羽根外側部140bに設けられる長尺な薬剤結晶131がバルーン11の表面に倒れて寝やすい。なお、薬剤結晶131の全てが寝る必要はない。
また、バルーン11の重複部141において重なる外表面は、外部に露出しないため、折り畳む際に、ブレードから押圧力が間接的に作用する。このため、バルーン11の重複部141において重なる外表面に設けられる薬剤結晶131に作用する力を、強くなり過ぎないように調節することが容易である。したがって、バルーン11の重複部141において重なる外表面に設けられる薬剤結晶131を寝かせるために望ましい力を作用させることができる。また、互いに対向する羽根内側部140aと中間部140cの領域のうち、根元側空間部142に面する領域、すなわち羽根内側部140aと中間部140cとが密接しない領域では、薬剤結晶131は押圧力を受け難い。したがって、この領域では、薬剤結晶131が寝にくい。また、互いに対向する羽根内側部140aと中間部140cの領域のうち、根元側空間部142に面しない領域、すなわち羽根内側部140aと中間部140cとが密接している領域では、薬剤結晶131は押圧力を受けやすい。したがって、この領域では、薬剤結晶131が倒れて寝やすい。
次に、カテーテル1の使用方法を、血管内の狭窄部を治療する場合を例として説明する。
まず、術者は、セルジンガー法等の公知の方法により、皮膚から血管を穿刺し、イントロデューサ(図示せず)を留置する。次に、カテーテル1のプライミングを行った後、ガイドワイヤルーメン23内にガイドワイヤ200(図9を参照)を挿入する。この状態で、ガイドワイヤ200およびカテーテル1をイントロデューサの内部より血管内へ挿入する。続いて、ガイドワイヤ200を先行させつつカテーテル1を進行させ、バルーン11を狭窄部へ到達させる。なお、カテーテル1を狭窄部300まで到達させるために、ガイディングカテーテルを用いてもよい。
次に、ハブ12の基端開口部40より、インデフレーターまたはシリンジ等を用いて拡張用流体を所定量注入し、拡張ルーメン22を通じてバルーン11の内部に拡張用流体を送り込む。これにより、図9に示すように、折り畳まれたバルーン11が拡張し、狭窄部300が、バルーン11によって押し広げられる。このとき、バルーン11の外表面に設けられるコート層30が、狭窄部300に接触する。
バルーン11を拡張させてコート層30を生体組織に押し付けると、コート層30に含まれる水溶性の低分子化合物である添加剤130が徐々にまたは速やかに溶けつつ、薬剤結晶131が生体へ送達される。コート層30の薬剤結晶131は、上述した製造方法によって、均一に形成されている。このため、薬剤を生体へばらつきなく良好に作用させることができる。
この後、拡張用流体をハブ12の基端開口部40より吸引して排出し、バルーン11を収縮させて折り畳まれた状態とする。この後、イントロデューサを介して血管よりガイドワイヤ200およびカテーテル1を抜去し、手技が終了する。
押圧部は別の形態であってもよい。図10に示すように、別の形態の押圧部115は、ピン状部117が基部116の前面側に延びるように設けられる。ピン状部117は、弾性変形可能な樹脂材または金属材等によって形成されている。チューブ体100は、ピン状部117をやや押し上げるように配置される。これにより、ピン状部117の先端部117aは、チューブ体100をバルーン11に押し付けるように押圧する。バルーン11の表面が上下方向に移動すると、一点鎖線で示すように、バルーン11の移動に追従してチューブ体100がピン状部117によって押し下げられる。このように、ピン状部117自体の弾性によって、チューブ体100を付勢するようにしてもよい。これによれば、基部116内に弾性部材等を設けなくてもよいので、構造を簡易化できる。
また、チューブ体は別の形態であってもよい。図11に示すように、別の形態のチューブ体105は、ループ状の部分を有しておらず、入口部106より先端側がL字状となっている。押圧部110のピン状部112によりバルーン11に押し付けられる対向部107及び対向部107に形成される吐出口108の構成は、前述の形態と同様である。
以上のように、本実施形態に係るバルーンコーティング方法は、シャフト10の先端部にバルーン11を有するカテーテル1におけるバルーン11の表面にコート層30を形成するバルーンコーティング方法であって、バルーン11の軸方向に沿って延びる柔軟なチューブ体100をバルーン11に対向させると共に、当該チューブ体100に薬剤を含むコーティング液を満たし、カテーテル1をシャフト10の軸心を中心に回転させつつ、バルーン11の表面に対し、チューブ体100がバルーン11の軸方向に沿って有する複数の吐出口103からコーティング液を吐出し、チューブ体100は、バルーン11の軸方向に沿って設けられる押圧部110により、バルーン11に押し付けられる方向に押圧されて、チューブ体100の表面位置がバルーン11の表面位置に追従する塗布工程を有する。このように構成したバルーンコーティング方法は、チューブ体100がバルーン11の軸方向に沿って押し付けられながらコーティング液を塗布するので、バルーン11の軸方向に対してコーティング液を均一に塗布できる。また、バルーン11の表面形状に追従してチューブ体100が変形するので、バルーン形状の個体差や湾曲形状などによらず、均一にコーティングを行うことができる。さらには、複数の吐出口103でバルーン11の軸方向に沿ってコーティングが行われるので、コーティングにかかる時間を短縮できると共に、外的要因の影響も軽減できる。
また、押圧部110は、複数の吐出口103の位置に対して、それぞれ同じ押圧力で押圧する。これにより、各吐出口103からのコーティング液の吐出量を均一にして、コーティングをより均一にすることができる。
また、チューブ体100は、複数の吐出口103が設けられる範囲において同径に形成されている。これにより、コーティング液の吐出条件を各吐出口で同一とし、より均一にコーティングを行うことができる。
また、チューブ体100は、拡張した状態のバルーン11より小さい外径を有する。これにより、チューブ体100が変形しやすく、バルーン11の表面形状に追従しやすくすることができる。
また、コーティング液に含まれる薬剤は、ラパマイシン、パクリタキセル、ドセタキセル、またはエベロリムスのいずれかであるようにすれば、血管内の狭窄部の再狭窄を良好に抑制できる。
また、本実施形態に係るバルーンコーティング装置2は、シャフト10の先端部にバルーン11を有するカテーテル1のバルーン11の表面にコート層30を形成するバルーンコーティング装置2であって、バルーン11をシャフト10の軸心を中心として回転させる回転機構50と、バルーン11の軸方向に沿って延びる柔軟なチューブ体100と、チューブ体100をバルーン11に向かう方向に押圧する押圧部110と、を有し、チューブ体100は、バルーン11の軸方向に沿って複数の吐出口103を有し、押圧部110は、チューブ体100が回転機構50により回転するバルーン11の表面位置に追従するようにチューブ体100を押圧する。このように構成したバルーンコーティング装置1は、前述のバルーンコーティング方法を実施できることで、バルーン11の軸方向に対してコーティング液を均一に塗布でき、また、バルーン11の形状によらず、コーティング液を均一に塗布できる。
また、押圧部110は、チューブ体100を押圧する方向に付勢された複数のピン状部112が、チューブ体100の長さ方向に沿って配置されている。これにより、チューブ体100が長さ方向に均一に押圧され、バルーン11に対するコーティングを均一化することができる。
なお、本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想内において当業者により種々変更が可能である。例えば、上述のバルーンカテーテル10は、ラピッドエクスチェンジ型(Rapid exchange type)であるが、オーバーザワイヤ型(Over−the−wire type)であってもよい。
1 カテーテル
2 バルーンコーティング装置
10 シャフト
11 バルーン
12 ハブ
15 バルーン
30 コート層
50 回転機構
70 支持台
71 基端側支持部
72 先端側支持部
80 塗布機構
90 供給容器
91 送液ポンプ
92 供給部
100 チューブ体
101 入口部
102 対向部
103 吐出口
105 チューブ体
106 入口部
107 対向部
108 吐出口
110 押圧部
111 基部
112 ピン状部
112a 先端部
112b 付勢部材
120 制御部

Claims (7)

  1. シャフトの先端部にバルーンを有するカテーテルにおける前記バルーンの表面にコート層を形成するバルーンコーティング方法であって、
    前記バルーンの軸方向に沿って延びる柔軟なチューブ体を前記バルーンに対向させると共に、当該チューブ体に薬剤を含むコーティング液を満たし、
    前記カテーテルを前記シャフトの軸心を中心に回転させつつ、前記バルーンの表面に対し、前記チューブ体が前記バルーンの軸方向に沿って有する複数の吐出口から前記コーティング液を吐出し、前記チューブ体は、前記バルーンの軸方向に沿って設けられる押圧部により、前記バルーンに押し付けられる方向に押圧されて、前記チューブ体の表面位置が前記バルーンの表面位置に追従する塗布工程を有するバルーンコーティング方法。
  2. 前記押圧部は、複数の前記吐出口の位置に対して、それぞれ同じ押圧力で押圧する請求項1に記載のバルーンコーティング方法。
  3. 前記チューブ体は、複数の前記吐出口が設けられる範囲において同径に形成されている請求項1または2に記載のバルーンコーティング方法
  4. 前記チューブ体は、拡張した状態の前記バルーンより小さい外径を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載のバルーンコーティング方法。
  5. 前記コーティング液に含まれる薬剤は、ラパマイシン、パクリタキセル、ドセタキセル、またはエベロリムスのいずれかである請求項1〜4のいずれか1項に記載のバルーンコーティング方法。
  6. シャフトの先端部にバルーンを有するカテーテルの前記バルーンの表面にコート層を形成するバルーンコーティング装置であって、
    前記バルーンを前記シャフトの軸心を中心として回転させる回転機構と、
    前記バルーンの軸方向に沿って延びる柔軟なチューブ体と、
    前記チューブ体を前記バルーンに向かう方向に押圧する押圧部と、を有し、
    前記チューブ体は、前記バルーンの軸方向に沿って複数の吐出口を有し、
    前記押圧部は、前記チューブ体が前記回転機構により回転する前記バルーンの表面位置に追従するように前記チューブ体を押圧するバルーンコーティング装置。
  7. 前記押圧部は、前記チューブ体を押圧する方向に付勢された複数のピン状部が、前記チューブ体の長さ方向に沿って配置されている請求項6に記載のバルーンコーティング装置。
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