JP2018152573A - 面発光レーザ、およびそれを用いた光干渉断層計 - Google Patents

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Abstract

【課題】 光出力強度または閾値電流値の波長依存性の小さい面発光レーザを提供すること。【解決手段】 下部反射鏡と、活性層と、空隙部と、上部反射鏡と、をこの順に有し、前記下部反射鏡、前記上部反射鏡との間の距離を変化させることによって出射する光の波長を可変とする面発光レーザであって、前記下部反射鏡と前記上部反射鏡のいずれか一方を前記出射する光の光軸方向に変位させる駆動部を有し、前記活性層のレーザ発振時の利得が最大となる波長λg、前記出射する光の中心波長λ0、前記光が出射される側の反射鏡の反射率が最大となる波長λrの関係が、λr<λ0<λgもしくはλg<λ0<λrを満たすように構成されていることを特徴とする面発光レーザ。【選択図】 図1

Description

本発明は、面発光レーザ、および面発光レーザを用いた光干渉断層計に関する。
面発光レーザの1つに、垂直共振器型面発光レーザ(Vertical CavitySurface Emitting Laser、以下、VCSELと呼ぶことがある)がある。VCSELは、活性層の上下を二つの反射鏡で挟み、基板の表面に対して垂直な方向に共振器を形成し、基板の表面に対して垂直な方向にレーザ光を出射する。さらに、出射光の波長を変化させることができる波長可変VCSELというものがある。その一例として、VCSELにおける上部反射鏡と活性層との間に空隙部を設け、上部反射鏡をレーザ光の光路方向に移動させることで、共振器長を変更し、出射光の波長を変えることができるレーザがある。この、出射光の波長を変えることができる面発光レーザを、以下では、波長可変VCSELということがある。
一方、波長可変VCSELは光干渉断層計(Optical Coherence Tomography、以下OCTと略すことがある)用の光源として好適であることが知られている。波長可変VCSELをOCT用の光源に利用する場合、OCTの深さ分解能の向上のために、波長可変幅のさらなる広帯域化が望まれている。波長可変VCSELの波長可変幅を広くするためには、活性層の上下に設けられる反射鏡において、広い反射帯域で高反射率とすることが挙げられる。
非特許文献1では、一対の分布ブラッグ反射鏡(Distributed BraggReflector、以下DBRと略すことがある)が活性層の上下に設けられた構成を有する波長可変VCSELを開示している。
IEEE JOURNAL ON SELECTED TOPICS IN QUANTUM ELECTRONICS,Vol.6,No.6,Nov.2000
ここで、VCSELから出力される光の強度の波長依存性は主に、上記活性層の利得スペクトルの波長依存性、上部反射鏡および下部反射鏡の反射率の波長依存性といった要素で決まる。
一方、波長可変光源を用いるOCTの場合、その光源の光出力強度は、波長によって大きく異ならないことが好ましい。したがって、波長可変光源の1つである波長可変VCSELをOCTに用いる場合において活性層の利得スペクトル、上部反射鏡および下部反射鏡の反射率は、波長依存性が小さいことが好ましい。
しかし、波長可変VCSELにおいて、活性層の利得スペクトルは波長依存性を有することが知られている。例えば活性層の利得スペクトルはピーク波長の長波長側に利得が大きいなめらかな凸型の形状となる場合がある。しかも、活性層の利得スペクトルの形状は量子力学で決まっているため、容易に変えることはできない。
このような波長可変VCSELを用いると、光出力強度の波長依存性が大きくなってしまうことがあり、正確なOCT像を得られない可能性がある。
上記課題に鑑み、本発明は、光出力強度または閾値電流が波長によって大きく異ならない面発光レーザを提供することを目的とする。
本発明に係る面発光レーザは、下部反射鏡と、活性層と、空隙部と、上部反射鏡と、をこの順に有し、前記下部反射鏡、前記上部反射鏡との間の距離を変化させることによって出射する光の波長を可変とする面発光レーザであって、前記下部反射鏡と前記上部反射鏡のいずれか一方を前記出射する光の光軸方向に変位させる駆動部を有し、前記活性層のレーザ発振時の利得が最大となる波長λ、前記出射する光の中心波長λ、前記光が出射される側の反射鏡の反射率が最大となる波長λの関係が、λ<λ<λもしくはλ<λ<λを満たすように構成されていることを特徴とする。
別の本発明に係る面発光レーザは、下部反射鏡と、活性層と、空隙部と、上部反射鏡と、をこの順に有し、前記下部反射鏡、前記上部反射鏡との間の距離を変化させることによって出射する光の波長を可変とする面発光レーザであって、前記下部反射鏡と前記上部反射鏡のいずれか一方を前記出射する光の光軸方向に変位させる駆動部を有し、前記活性層の基底準位の発光波長λ、前記出射する光の中心波長λ、前記光が出射される側の反射鏡の反射率が最大となる波長λの関係が、λ<λ<λもしくはλ<λ<λを満たすように構成されていることを特徴とする。
別の本発明に係る面発光レーザは、下部反射鏡と、活性層と、空隙部と、上部反射鏡と、をこの順に有し、前記下部反射鏡、前記上部反射鏡との間の距離を変化させることによって出射する光の波長を可変とする面発光レーザであって、前記下部反射鏡と前記上部反射鏡のいずれか一方を前記出射する光の光軸方向に変位させる駆動部を有し、前記活性層の利得の波長依存性をG(λ)、前記光が出射される側の反射鏡の反射率の波長依存性をR(λ)としたときに、dG(λ)/dλ<0である領域と、dR(λ)/dλ>0である領域とを少なくとも一部重複するように構成されていることを特徴とする。
本発明に係る面発光レーザによれば、光出力強度または閾値電流の波長依存性の小さい面発光レーザを提供することができる。
本発明の実施形態に係る波長可変VCSELの構成を示す断面図。 従来の波長可変VCSELの課題について説明するための図。 本発明の実施形態に係る波長可変VCSELの利得スペクトル、反射率、光出力強度の波長依存性について説明するための図。 本発明の実施形態に係る波長可変VCSELの利得スペクトル、反射率、光出力強度の波長依存性について説明するための図。 本発明の実施形態における上部反射鏡の構成を示す断面図。 本発明の実施形態に係る波長可変VCSELが効果を奏するメカニズムについて説明するための図。 本発明の実施形態に係る波長可変VCSELが効果を奏するメカニズムについて説明するための図。 本発明の実施形態に係る波長可変VCSELを有するOCTの構成について説明するための図。 本発明の実施例1における活性層の利得スペクトルを示す図。 本発明の実施例1における(a)上部反射鏡の反射スペクトルを示す図(b)波長可変VCSELの閾値電流の波長依存性を示す図(c)波長可変VCSELの光出力強度の波長依存性を示す図。 本発明の実施例2における(a)上部反射鏡の構成を示す断面図(b)上部反射鏡の反射スペクトルを示す図(c)波長可変VCSELの閾値電流の波長依存性を示す図。 本発明の実施例3における(a)上部反射鏡の構成を示す断面図(b)上部反射鏡の反射スペクトルを示す図(c)波長可変VCSELの閾値電流の波長依存性を示す図。
以下に、本発明の実施形態に係る波長可変VCSELについて説明する。図1は本実施形態に係る面発光レーザの断面図である。
本実施形態に係る面発光レーザは図1のように、下部電極101と、下部電極101の上に形成された基板102と、基板102の上に形成された下部反射鏡110と、下部反射鏡110の上に形成された下部クラッド層103と、下部クラッド層103の上に形成された活性層104と、活性層104の上に形成された上部クラッド層120と、上部クラッド層120の上に形成された上部電極105とを有する。また、上部クラッド層120の上に、絶縁層106が形成され、絶縁層106の上には、上部反射鏡130が形成されている。また、上部クラッド層120と上部反射鏡130との間は離間しており、空隙部107を有する。下部電極101、および上部電極105を用いて活性層104に電流が注入されると、そこで発光が生じ、その光が下部反射鏡110と上部反射鏡130とで形成される共振器内を往復し誘導放出を引き起こす。共振器内で誘導放出された光は、基板102の表面に対して垂直な方向に、すなわちy方向に、上部反射鏡130を透過して、特定の波長のレーザ光として出射される。また、上部クラッド層120は、電流狭窄層121を有するため、電極105から供給された電流は、電流狭窄層121の開口部分122を通って、活性層104に注入される。
ここで、上部クラッド層120と空隙部107との界面から、上部反射鏡130と空隙部107との界面までの距離(図1の距離α)を変えると、共振器長が変わるため、発振されるレーザ光の波長を変えることができる。したがって、距離αを変化させる駆動部140を用いれば、出射されるレーザ光の波長を変化させることができる。別の言い方をすれば、駆動部140を用いて、上部反射鏡130を光軸方向(図1のy方向)に上部反射鏡130を変位させることでレーザ光の波長を変化させることができる。
本実施形態に係る面発光レーザは、活性層のレーザ発振時の利得が最大となる波長λ、出射する光の中心波長λ、光が出射される側の反射鏡の反射率が最大となる波長λの関係が、λ<λ<λもしくはλ<λ<λを満たすように構成されている。上記特徴の構成で効果を奏する理由について図2乃至4を用いて以下に説明する。
ここで、光が出射される側の反射鏡の反射率が波長に依らず一定である場合(図2(b))、利得が最大となる波長λに図2(a)のような波長依存性があると、出射される光の強度は図2(c)のような波長依存性を有するようになる。通常、波長λは、図2(a)に示すように利得スペクトルの中心に対して長波長側で利得が大きく、短波長側で小さくなる。そのため、出射光強度は長波長側で大きく、短波長側で小さい。
そこで、利得スペクトルの波長依存性を考慮し、結果的に光出力強度の波長依存性が小さくなるように、光が出射される側の反射鏡の反射率の波長依存性をもたせることで、光出力強度の波長依存性を小さくできる。
例えば、λに対してλが大きい場合(図3(a))は、λをλに対して小さくすると(図3(b))、光出力強度の波長依存性が小さくなる(図3(c))。
逆に、λに対してλが小さい場合(図4(a))は、λをλに対して大きくする(図4(b))。それによって、光出力強度の波長依存性が小さくなる(図4(c))。
上記λ<λやλ<λを満たすように構成されている波長依存性を有する反射鏡の一例として、分布ブラッグ反射鏡(Distributed Bragg Reflector、以下DBRと略すことがある)が挙げられる。
本実施形態に係る面発光レーザにおいて、下部反射鏡110と上部反射鏡130はともにDBRである。下部反射鏡110は、高屈折率の層と低屈折率の層とが交互に積層された多層膜で構成されている。本実施形態において、上部反射鏡130は、λ<λやλ<λを満たすように構成されている波長依存性を有する反射鏡である。
本実施形態における上部反射鏡130について、上部反射鏡130の拡大図である図5を用いて説明する。上部反射鏡130は、第一の層131と第二の層132とが交互に積層された積層体134を有し、第二の層132の屈折率(n)は第一の層131の屈折率(n)よりも小さい(n>n)。また、積層体134の積層方向の両端の層が第一の層131である。なお、図1、2に示す上部反射鏡130を構成する層の積層数は一例であり、実際にはより多くの層を有する。なお、第一の層131、第二の層132は本実施形態に係る面発光レーザの中心波長λの1/4の光学厚さとしている。
なお、本明細書において中心波長とは、面発光型レーザから出射される光の波長範囲の中心の波長という意味で使用する。つまり、面発光レーザから出射される光の最短波長と最長波長の中心の波長を意味する。レーザから出射される光の波長は共振器長の変動幅、反射鏡の反射帯域、活性層の利得帯域などの要素によって決まる。設計時は、基本的には中心波長を設定して、それに合わせて各要素の構成を決める。
上部反射鏡130を構成する第一の層131と第二の層132の積層数を増やすことで、上部反射鏡130に、広帯域にわたって高反射率な反射特性をもたせることができる。
本実施形態に係る面発光レーザは、積層体134の両端の両方に、光学厚さndが、λ/4<ndまたは0<nd<λ/4を満たすように構成されている第三の層を有する。第三の層133は、第一の層131より小さく、かつ、前記第三の層133の隣接する層(131または108)のうち積層体134とは逆側の層、すなわち空気の層108の屈折率よりも大きい屈折率(n)を有する。なお、屈折率n、n、nはいずれも空気の層108の屈折率(≒1)よりも大きい。
次に図6、7を用いて、第三の層133を設ける効果について説明する。まず、図6(a)のように、第三の層133が設けられていない場合、第一の層131と空気の層108との界面で反射した光Lと第二の層132と第一の層131との界面で反射した光Lとは、同じ位相を有するため強めあい、反射が起こる。なぜなら光Lは光Lに比べて光路長がλ/2大きく、かつ光Lは低屈折率(n)の層からきて高屈折率(n)の層の界面で反射する際に位相がλ/2ずれるからである。このような光の強め合いが最も強く起こるのは、中心波長λのときであるため、λのときに反射鏡の反射率が最も大きい。一方、λに比べて波長が大きくなるにつれて、または小さくなるにつれて、反射率は小さくなる(図6(b))。
一方、図6(c)のように、第三の層133が設けられている場合、第三の層133と空気の層108との界面で反射した光L’と第一の層131と第三の層133との界面で反射した光L’とは、位相がλ/2異なるため弱めあい、反射が抑制される。なぜなら光L’は光L’に比べて光路長がλ/2大きく、かつ光Lは高屈折率(n)の層からきて低屈折率(n)の層の界面で反射する際に位相がずれないからである。また、このような反射の抑制効果は中心波長λに近いほど大きいため、中心波長λ付近の反射率が低くなり、中心波長λに比べて波長が短くなるほど、または、長くなるほど反射の抑制効果が小さい(図6(d))。さらに短波長、または長波長となると、再び反射抑制効果の高い波長が出現し、反射率が下がる。
ここで、図7(a)のように、第三の層133の光学厚さがλ/4<ndである場合、中心波長λより長波長において、最も反射抑制効果が高くなるため、図7(b)のように長波長帯域における反射率の低い反射鏡を実現できる。なぜなら反射抑制効果が最も高い光学厚さは、波長の1/4のときであり、逆にいえば、光学厚さが厚いほど、反射抑制効果の高い波長は長くなるからである。
図7(c)のように、第三の層133の光学厚さが0<nd<λ/4である場合、中心波長λより短波長において、最も反射抑制効果が高くなるため、図7(d)のように短波長帯域における反射率の低い反射鏡を実現できる。なぜなら、先と同様、反射抑制効果が最も高い光学厚さは、波長の1/4のときであり、逆にいえば、光学厚さが薄いほど、反射抑制効果の高い波長は短くなるからである。
すなわち、活性層の利得スペクトルの波長依存性のグラフの凸部と、光が出射される側の反射鏡の反射率の波長依存性のグラフの凹部とが一部重複するように構成することで、光出力強度または閾値電流の波長依存性を小さくできる。
また、本実施形態において、活性層の利得の波長依存性をG(λ)、光が出射される側の反射鏡の反射率の波長依存性をR(λ)としたときに、dG(λ)/dλ<0である領域と、dR(λ)/dλ>0である領域とを少なくとも一部重複させる。その結果、光出力強度の波長依存性を小さくできる。
以上のことをグラフで示すと、図3(a)のような利得スペクトルとなる活性層を用いる場合は、図7(a)に示すような反射鏡を用いることで、光出力強度の波長依存性を小さくできる。
逆に、図4(a)のような利得スペクトルとなる活性層を用いる場合は、図7(c)に示すような反射鏡を用いることで、光出力強度または閾値電流の波長依存性を小さくできる。また、このような、利得スペクトルを考慮して設計した波長依存性のある反射鏡(本実施形態においては上部反射鏡)の別の構成としては、以下のものが挙げられる。すなわち、光が出射される側の反射鏡が、第一の層と、第一の層より小さい屈折率を有する第二の層とが交互に積層され、かつ、両端の層が第一の層である積層体を有し、第一の層のうちの1つの層の光学厚さが、中心波長λの1/2より大きい。
ここで、第一の層のうちの1つの層の光学厚さが、中心波長λの1/2のときに、この上部反射鏡の反射スペクトルは、中心波長λで反射率が低くなる。
一方、第一の層の光学厚さが、中心波長λの1/2より大きいと、中心波長λよりも長波長領域で反射率が低くなる。同様に、第一の層のうちの1つの層の光学厚さが、中心波長λの1/2より小さい場合、中心波長λよりも長波長領域で反射率が低くなる。したがって、第三の層を設けずに、第一の層の光学厚さを変えることで、反射率が低くなる波長を変えることができ、利得スペクトルに合わせた反射鏡の設計が可能となる。
なお、別の見方をすれば、本実施形態に係る面発光レーザにおける上記、λ<λ<λとλ<λ<λという範囲は、活性層の基底準位の発光波長λとしたとき、それぞれ、λ<λ<λもしくはλ<λ<λと言い換えることができる。
(上部反射鏡、および下部反射鏡)
本実施形態においては上部反射鏡および下部反射鏡は、少なくともいずれか一方が上記のような多層膜を有する積層体であればよく、両方ともに上記のような多層膜を有する積層体であってもよい。なお、本実施形態に係る上部反射鏡と下部反射鏡の構造や材料は各々独立に選ぶことができる。
また、上部反射鏡および下部反射鏡の一方が、回折格子、例えば高屈折率差サブ波長回折格子(High Contrast Grating、以下HCGと略すことがある)ミラーであってもよい。HCGミラーは、高屈折率の材料と低屈折率の材料とが面内方向に交互に周期的に並んだ構成である。HCGミラーの例として、AlGaAs層のような半導体層を加工して周期的な空隙を設けた、高屈折率領域(AlGaAs部)と低屈折領域(空隙部)の周期構造体が挙げられる。
波長可VCSELの場合、移動させる方の反射鏡(図1では上部反射鏡)を軽量なミラーとすることが、波長可変速度を高速にするという観点から好ましい。そのため、本実施形態において上部反射鏡として厚い(重い)構成となる多層膜ミラーではなく、薄い(軽い)構成のHCGミラーを用いることが好ましい。
誘電体多層膜ミラーの例として、酸化シリコン層としてのSiO層と酸化チタン層としてのTiO層のペアを複数組有する誘電体多層膜が挙げられる。
一方、半導体多層膜ミラー、すなわち第一の層、第二の層、および第三の層がいずれも半導体層である場合、半導体層を構成する材料がAlxGa(1−x)As(0≦x≦1)で表わされる材料を有することが好ましい。例えば、高屈折率層としてのGaAs層と低屈折率層としてのAlGa(1−x)As層(0.9≦x≦1)とのペアを複数組有する半導体多層膜が挙げられる。また、上記高屈折率層としてx=1となるAlAsを用いることもできる。
なお、多層膜ミラーのペア数を適宜変えることによって高反射率の反射帯域幅や反射率を制御することが可能である。
また、本発明の実施形態においては、可動ミラーは静電引力で駆動するシリコンカンチレバーのようなMEMS(Micro Electro Mechanical System)構造を用いることができる。
上記本実施形態における面発光レーザでは、上部反射鏡130を光取り出し側の反射鏡として用いているが、下部反射鏡110を光取り出し側の反射鏡として用いてもよい。光取り出し側の反射鏡のピーク反射率は、他方の反射鏡の反射率よりも低い。
ここで、光を取り出す側の反射鏡としては、反射率の値が99.0%から99.5%の間であることが好ましい。通常の設計では、DBR、すなわち、高屈折率層である第一の層131と低屈折率層である第二の層132のペア数を増やすことで反射率が大きくなるため、高屈折率層と低屈折率層の材料が決まるとおおよそのペア数が決まる。本実施形態では、上部反射鏡130のペア数を通常の光取り出し側の反射鏡で用いられる設計のDBRのペア数より多くする。すなわち、反射率のピークが99.5%以上となるためのペア数で構成されるDBRにさらに同一材料の数10ペアの積層を付加する。光取り出し側の反射鏡のペア数の範囲として、第三の層を配置したときに、反射率の最適範囲である99.0%から99.5%の間となるようなペア数であることが好ましい。
上記本発明の実施形態において、第三の層133は空気の層108と接している構成を示したが、第三の層133よりも屈折率の低いSiO等の誘電体材料を用いてもよい。SiOを用いた場合でも第三の層との屈折率差は大きくすることができ、また、誘電体材料を用いることで直接空気に半導体層(第三の層)が接触する場合よりも耐環境性を向上させることができる。
また一般的に、誘電体で構成されるDBRと半導体で構成されるDBRとでは、誘電体の方が屈折率差を大きくしやすいため、少ない積層数で高い反射率を実現できる。一方で、半導体で構成されるDBRでは誘電体で構成されるDBRに比べてペア数が多くなってしまうが、結晶成長中に同時に成膜できる、ドーピングにより電流を流すことが出来る等のプロセス上の利点がある。誘電体に比べて屈折率差を大きくとれない半導体でDBRを形成する場合では、積層数を多くすることによって高い反射率、広い反射帯域を得ることができる。例えば、高屈折率層である第一の層と低屈折率である第二の層とが交互に35ペア以上積層された構造を有することが好ましい。
(活性層)
本実施形態における活性層は電流を注入することで光を発生する材料であれば特に限定されない。850nm付近の波長帯域の光を出射させる場合、AlGa(1−n)As(0≦n≦1)からなる量子井戸構造を有する材料を用いることができる。また、1060nm付近の波長帯域の光を出射させる場合、InGa(1−n)As(0≦n≦1)からなる材料などを用いることができる。
また、本実施形態における活性層は十分に広い利得を有するものであることが好ましく、具体的には上部反射鏡および下部反射鏡の反射帯域より広い波長領域において利得を有することが好ましい。そのような活性層としては、例えば、少なくとも2つ以上の異なるエネルギー準位で発光が可能な量子井戸構造を有する活性層が挙げられる。また、量子井戸構造は、単量子井戸または多重量子井戸を有するように複数の層で構成されたものであってもよい。
本実施形態における活性層の材料・構造は、発振波長させたい波長に応じて適宜選択できる。
また、本実施形態における活性層は光が照射されて励起されることによって発光してもよいし、電流が注入されることによって発光してもよい。したがって、本実施形態における面発光レーザまたは、後述する光干渉断層計は、活性層を励起するための励起光源を有していてもよいし、活性層に電流を注入するための電源を有していてもよい。
(第一のクラッド層、および第二のクラッド層)
本発明の実施形態においては、光やキャリアを閉じ込めるためにクラッド層が設けられる。また本発明の実施形態においては、共振器長を調整するためのスペーサとしての役割もクラッド層が担っている。
本実施形態における第一のクラッド層、第二のクラッド層として、出射する波長帯域によりAlの組成を適宜選択したAlGaAs層を用いることができる。例えば、850nm付近の波長帯域の光を出射させる場合にはAl0.8GaAs層を用いることができ、1060nm付近の波長帯域の光を出射させる場合は、Al0.4GaAs層とGaAs層との積層を用いることができる。なお、第一のクラッド層と第二のクラッド層とは導電型が互いに異なるものである。また、共振器長については、波長固定VCSELではλ共振器であったり、5λ程度の長共振器とすることができるため、共振器長を確保するためにクラッド層厚を調整する。一方で、波長可変VCSELにおいては、可動ミラーの可動領域(後述の空隙部)や駆動、また電流狭窄構造を考慮すると3乃至は4λ共振器とすることが好ましく、クラッド層厚を調整する。なおクラッド層厚を調整する際には必ずしも第一のクラッド層と第二のクラッド層の厚さを同じにする必要はなく、共振器長を調整できれば適宜選択できる。
(電流狭窄層)
本実施形態においては、レーザに注入された電流が流れる領域を制限するための電流狭窄層を必要に応じて設けることができる。電流狭窄層は水素イオン打ち込み、あるいはクラッド層内に設けたAl組成90%以上のAlGaAs層を選択的に酸化することで形成される。
(空隙部)
本実施形態における空隙部には通常固体が存在しない。よって、その雰囲気により空隙部は真空であってもよいし、空気、不活性ガス、水のような液体といった流体が存在してもよい。なお、空隙部の長さ(図1のα)は、波長可変帯域幅や可動ミラーのプルインを考慮して決定することができる。例えば、空隙部を空気とした1060nmを中心として波長可変帯域幅100nmで可変する3ないしは4λ共振器においては、空隙部の長さは1μm程度となる。
(駆動部)
駆動部は、本実施形態に係る波長可変VCSELの共振器長を変化させることができるものであれば特に限定されない。例えば、MEMS機構を用いて電圧を印加することで駆動する駆動部や、ピエゾ等の圧電材料を用いて駆動する駆動部が挙げられる。また、本実施形態において片持ち梁構造となっているが、両持ち梁構造となっていてもよい。
本実施形態における駆動部は、上部反射鏡を変位させる構成であってもよいし、下部反射鏡を変位させる構成であってもよいし、両方を変位させる構成であってもよい。
(光干渉断層計)
波長可変光源を用いた光干渉断層計(Optical Coherence Tomography、以下、OCTと略すことがある)は、分光器を用いないことから、光量のロスが少なく高SN比の断層像の取得が期待されている。実施形態による面発光レーザをOCTの光源部に用いた例について図8を用いて説明する。
本実施形態に係るOCT装置8は、光源部801、干渉光学系802、光検出部803、情報取得部804、を少なくとも有する構成であり、光源部801として上述した面発光レーザを用いることができる。また、図示していないが、情報取得部804はフーリエ変換器を有する。ここで、情報取得部804がフーリエ変換器を有するとは、情報取得部が入力されたデータに対してフーリエ変換する機能を有していれば形態は特に限定されない。一例は、情報取得部804が演算部を有し、該演算部がフーリエ変換する機能を有する場合である。具体的には、該演算部がCPUを有するコンピュータであり、このコンピュータが、フーリエ変換機能を有するアプリケーションを実行する場合である。他の例は、情報取得部804がフーリエ変換機能を有するフーリエ変換回路を有する場合である。光源部801から出た光は干渉光学系802を経て測定対象の物体812の情報を有する干渉光となって出力される。干渉光は光検出部803において受光される。なお光検出部803は差動検出型でも良いし単純な強度モニタ型でも良い。受光された干渉光の強度の時間波形の情報は光検出部803から情報取得部804に送られる。情報取得部804では、受光された干渉光の強度の時間波形のピーク値を取得してフーリエ変換をし、物体812の情報(例えば断層像の情報)を取得する。なお、ここで挙げた光源部801、干渉光学系802、光検出部803、情報取得部804を任意に設けることができる。
以下、光源部801から光が発振されてから、測定対象の物体の断層像の情報を得るまでについて詳細に説明する。
光の波長を変化させる光源部801から出た光は、ファイバ805を通って、カップラ806に入り、照射光用のファイバ807を通る照射光と、参照光用のファイバ808を通る参照光とに分岐される。カップラ806は、光源の波長帯域でシングルモード動作のもので構成し、各種ファイバカップラは3dBカップラで構成することができる。照射光はコリメーター809を通って平行光になり、ミラー810で反射される。ミラー810で反射された光はレンズ811を通って物体812に照射され、物体812の奥行き方向の各層から反射される。一方、参照光はコリメーター813を通ってミラー814で反射される。カップラ806では、物体812からの反射光とミラー814からの反射光による干渉光が発生する。干渉した光はファイバ815を通り、コリメーター816を通って集光され、光検出部803で受光される。光検出部803で受光された干渉光の強度の情報は電圧などの電気的な情報に変換されて、情報取得部804に送られる。情報取得部804では、干渉光の強度のデータを処理、具体的にはフーリエ変換し断層像の情報を得る。この、フーリエ変換する干渉光の強度のデータは通常、等波数間隔にサンプリングされたデータであるが、等波長間隔にサンプリングされたデータを用いることも可能である。
得られた断層像の情報は、情報取得部804から画像表示部817に送って画像として表示させてもよい。なお、ミラー811を照射光の入射する方向と垂直な平面内で走査することで、測定対象の物体812の3次元の断層像を得ることができる。また、光源部801の制御は情報取得部804が電気回路818を介して行ってもよい。また図示しないが、光源部801から出る光の強度を逐次モニタリングし、そのデータを干渉光の強度の信号の振幅補正に用いてもよい。本発明の実施形態による面発光レーザはレーザ光を出射させるための閾値電流の増大を抑制しつつ、広帯域にわたるレーザ光を発振できるため、OCT装置に用いた場合、レーザ光を出力するための電流を小さくしつつ、深さ分解能の高い断層像を取得できる。
実施形態に係るOCT装置は、眼科、歯科、皮膚科等の分野において、動物や人のような生体の断層像を取得する際に有用である。生体の断層像に関する情報とは、生体の断層像のみならず、断層像を得るために必要な数値データをも含む。
特に測定対象を人体の眼底とし、眼底の断層像に関する情報を取得するために用いることが好適である。
(他用途)
本発明の実施形態による面発光レーザは、上記のOCT以外にも、光通信用光源や光計測用光源として利用できる。
以下に本発明の実施例を示す。以下の実施例で示す活性層構造や層構造はあくまで一例であり、それらに限定されるものではない。また、の製造方法は、実施例に具体的に示したが、光源の各構成要素の寸法、製造の各工程、装置、各種パラメータは実施例に限定されない。また、半導体材料、電極材料、誘電体材料などに関しても実施例で開示したものに限らない。
(実施例1)
本発明の実施例1に係る、1060nmを中心波長とする波長可変VCSELの構成について、図1を用いて説明する。本実施例に係る波長可変VCSELは、図1に示すように、片持ち梁構造である。
本実施例における面発光レーザは、基板102としてn型GaAs基板、下部反射鏡110としてn型半導体DBR、活性層104として量子井戸構造を有するInGaAs層、絶縁層106としてGaAs層、上部反射鏡130としてn型半導体DBRを用いる。
下部反射鏡110はGaAsとAlAsとが交互に40ペア積層された構造である。
また、電流狭窄層121として選択酸化によって設けられたAl0.98Ga0.02As層を用いる。レーザ駆動用の電極は、下部電極101としてAuGe/Ni/Auからなるn型電極、上部電極105としてTi/Auからなるp電極を用いる。これらの電極によって、活性層104に電流を注入して発光させ、レーザ発振させる。さらに、駆動部140を用いてMEMS駆動させることで上部反射鏡130をy方向に変位させることで、レーザ光の波長を変化させることができる。
図9にレーザが動作する時の標準的なキャリア密度の範囲である3x1018cm−1、4x1018cm−1、5x1018cm−1それぞれのときの活性層121の利得スペクトルを示す。活性層121はInGaAs/GaAsの量子井戸を有し、下部クラッド層103から上部クラッド層120にかけて、量子井戸が3つ存在する。量子井戸の基底準位は波長1080nmである。図9より、どのキャリア密度でも基底準位付近の波長に利得のピークがあることが分かる。そして、波長1080nmよりも波長が長くなるにつれて急激に利得が低下する。一方、波長が短くなるにつれて、利得は緩やかに減少する。図9に示す利得スペクトルは、上記で説明したように、量子力学的に決まっており、容易に変えることができない。そこで、本実施例では、上部反射鏡の反射率のスペクトルを、図9のような利得スペクトルの形状に合わせて設計することで、光出力強度または閾値電流の波長依存性を小さくしている。
本実施例に係る上部反射鏡の構成とその特性について説明する。本実施例に係る上部反射鏡130は、高屈折率層である第一の層(Al0.2Ga0.8As層)と低屈折率層である第二の層(Al0.8Ga0.2As層)とが交互に積層された積層体を有し、第一の層が積層体の両表面となるような構成である。第一の層と第二の層のペアが47ペアと第一の層が1層であるため、ここでは47.5ペアと呼ぶ。そして、このような積層体の両端の両方に第三の層(Al0.55Ga0.45As)が設けられている。なお、第一、第二の各層の光学厚さは、中心波長(1060nm)の1/4とし、第三の層の光学厚さは中心波長(1060nm)の1/3.8とした。第一の層、第二の層、第三の層の屈折率はそれぞれ、n=3.35、n=3.05、n=3.14である。
図10(a)に上記本実施例における上部反射鏡の反射率の波長依存性のグラフを示す(実施例1(47.5ペア+第三の層))。また、図10(a)に従来例として、上記第一の層と第二の層を交互に22ペア積層した構造にさらに第一の層を積層して両端の層が第一層となるようにした反射鏡(22.5ペア)の反射率の波長依存性を示す。さらに、上記第一の層と第二の層を交互に47ペア積層した構造にさらに第一の層を積層して両端の層が第一の層となるようにした反射鏡(47.5ペア)の反射率の波長依存性を示す。本実施例における上部反射鏡(47.5ペア+第三の層)は、従来例(22.5ペア)、従来例(47.5ペア)に比べて、低波長領域で反射率が高く、長波長領域で反射率が低くなっていることがわかる。
図10(a)のような特性を示す上部反射鏡を本実施例に係る波長可変VCSELに適用した場合の閾値電流、および駆動電流(閾値の4倍)での光出力強度の波長依存性のグラフを図10(b)、(c)に示す。
図10(b)によると、従来例(22.5ペア)と本実施例を比較すると、本実施例の方がより広い波長帯域で閾値電流の波長依存性が小さいことが分かる。また、図10(c)によると、従来例(22.5ペア)および従来例(47.5ペア)と本実施例を比較すると、本実施例の方がより広い波長帯域、具体的には1030nm付近から1080nm付近まで、光出力強度の波長依存性が小さいことが分かる。
以上より、利得スペクトルを考慮した波長依存性のある反射鏡を導入することにより、従来例と比較して、レーザ特性の安定化、具体的には閾値電流および光出力強度の波長依存性が小さくなることが分かる。
なお、本実施例に係る波長可変VCSELは、エピタキシャル成長と選択ウエットエッチングを用いて製造することができる。空隙部107はGaAsを犠牲層として成膜し、選択ウエットエッチングによって形成することができる。GaAsのエッチャントとしては、水とクエン酸と過酸化水素の混合液を用いることで、AlGaAsのAl組成に応じた選択エッチングが可能である。本実施例では水とクエン酸(重量比1:1)を混ぜ合わせたクエン酸溶液と、濃度30%の過酸化水素水を4:1の割合で混ぜたものをエッチャントとして用いた。エッチング時間を制御することで、上部反射鏡130の梁を支えるGaAs層106と上部反射鏡130を残した本実施例に係る波長可変VCSELを形成することができる。
(実施例2)
本発明の実施例2に係る波長可変VCSELついて図11を用いて説明する。実施例2では、実施例1と異なる点について説明し、共通する点については、説明を省略する。
本実施例では上部反射鏡を構成する高屈折率層と低屈折率の2種類の層のみで所望の反射スペクトルを構成している。その際、構成する高屈折率層の一つの光学厚さを中心波長の0.513倍としている。すなわち、第一の層のうちの1つの層の光学厚さが、中心波長λの1/2より大きい構成である。それ以外は実施例1と同じ構成である。
上部反射鏡の具体的な構成を図11(a)に示す。上部反射鏡1130は屈折率3.35の第一の高屈折率層1131と屈折率3.05の低屈折率層1132とが交互に46ペア積層された積層体1133を有する。第一の高屈折率層と低屈折率層の光学厚さは、ともに中心波長(1060nm)の1/4としている。
そして積層体の上に厚さが中心波長(1060nm)の0.513倍で屈折率3.35の第二の高屈折率層1134、そしてその上に、先と同じ低屈折率層1132と高屈折率層1131とが設けられている。すなわち、47.5ペアとなっている。
このような上部反射鏡で実現される反射率の波長依存性を図11(b)に示す。また、図11(b)には、従来例として、実施例1の図10(a)にも示した従来例(22.5ペア)の反射スペクトルを示す。
図11(b)より、本実施例における上部反射鏡の反射スペクトルも、実施例1と同様に、反射スペクトルのピークが中心波長より短波長側に位置していることが分かる。
また、図11(c)に図11(b)で示した2つの種類の反射鏡を用いた場合の波長可変VCSELの閾値電流の比較を示す。図11(b)より、従来例と比較して、本実施例の反射鏡を用いることで、閾値電流がより広い波長可変帯域で安定していることが分かる。したがって、光出力強度の波長依存性も小さくなる。
(実施例3)
本発明の実施例3に係る波長可変VCSELついて図12を用いて説明する。実施例3では、実施例1と異なる点について説明し、共通する点については、説明を省略する。本実施例では、活性層の利得、および上部反射鏡の構造が実施例1とは異なる。
また本実施例に係る波長可変VCSELは活性層104が非対称量子井戸構造である点が実施例1と異なる。活性層104は実施例1と同様に、1080nm付近に利得のピークを持つ3つのInGaAs/GaAsQW層を有するが、それに加えて、1040nm付近に利得のピークを持つ1つのInGaAs/GaAsQW層を有する。
次に、上部反射鏡1230の具体的な構成を図12(a)に示す。上部反射鏡1230は、高屈折率層である第一の層(Al0.2Ga0.8As層)と低屈折率層である第二の層(Al0.8Ga0.2As層)とが交互に積層された層を有し、両端の層が第一の層である積層体1234である。すなわち、第一の層と第二の層のペアが47ペアと第一の層が1層であるため、ここでは47.5ペアと呼ぶ。そして、このような積層体の両端の層のうちの一方に屈折率が3.1で、光学厚さが中心波長(1060nm)の1/4より薄い、1/4.3である第一の中間屈折率層1233が設けられている。また、積層体1234のもう一方の表面に、光学厚さが中心波長(1060nm)の1/4より厚い、3.92倍である屈折率3.1の第二の中間屈折率層1235が設けられている。
図12(b)に本実施例における活性層の利得の波長依存性、図12(c)に上記のような構成の上部反射鏡の反射率の波長依存性を示す。なお、活性層の利得スペクトルは、キャリア密度が、3x1018cm−1の時である。図12(c)より、本実施例における活性層は1040nmおよび1080nm付近に利得のピークを持っていることが分かる。また、本実施例における上部反射鏡の反射スペクトルは、1050nmおよび1075nmに極小値があることが分かる。
本実施例では活性層に異なる基底順位を持つ量子井戸が設けられているため、活性層の利得スペクトルは複数のピークを持つ。そこで、それらの利得のピーク合わせるために、光学厚さの異なる2種類の異なる中間屈折率層を導入している。第一の中間屈折率層1233はその光学厚さが、中心波長の1/4より薄いため、中心波長より短波長側において反射率が低い領域を形成している。一方、第二の中間屈折率層1235は、逆に光学厚さが中心波長の1/4より厚いため、中心波長より長波長側において反射率が低い領域を形成している。
このような構成とすることで、上記した原理により、光出力強度または閾値電流の波長依存性を小さくすることができる。
101 下部電極
102 基板
103 下部クラッド層
104 活性層
105 上部電極
106 絶縁層
107 空隙部
120 上部クラッド層
121 電流狭窄層
130 上部反射鏡
131 第一の層
132 第二の層
133 第三の層
134 積層体
140 駆動部

Claims (18)

  1. 下部反射鏡と、
    活性層と、
    空隙部と、
    上部反射鏡と、をこの順に有し、前記下部反射鏡、前記上部反射鏡との間の距離を変化させることによって出射する光の波長を可変とする面発光レーザであって、
    前記下部反射鏡と前記上部反射鏡のいずれか一方を前記出射する光の光軸方向に変位させる駆動部を有し、
    前記活性層のレーザ発振時の利得が最大となる波長λ、前記出射する光の中心波長λ、前記光が出射される側の反射鏡の反射率が最大となる波長λの関係が、λ<λ<λもしくはλ<λ<λを満たすように構成されていることを特徴とする面発光レーザ。
  2. 下部反射鏡と、
    活性層と、
    空隙部と、
    上部反射鏡と、をこの順に有し、前記下部反射鏡、前記上部反射鏡との間の距離を変化させることによって出射する光の波長を可変とする面発光レーザであって、
    前記下部反射鏡と前記上部反射鏡のいずれか一方を前記出射する光の光軸方向に変位させる駆動部を有し、
    前記活性層の利得の波長依存性をG(λ)、前記光が出射される側の反射鏡の反射率の波長依存性をR(λ)としたときに、dG(λ)/dλ<0である領域と、dR(λ)/dλ>0である領域とを少なくとも一部重複するように構成されていることを特徴とする面発光レーザ。
  3. 前記λが前記λより大きく、
    前記光が出射される側の反射鏡は、第一の層と、前記第一の層より小さい屈折率を有する第二の層とが交互に積層され、かつ、両端の層が前記第一の層である積層体を有し、
    前記積層体の両端の少なくともいずれか一方に、光学厚さndが、λ/4<ndを満たすように構成されている第三の層がさらに設けられ、前記第三の層の屈折率は前記第一の層より小さく、かつ、前記第三の層の隣接する層のうち前記積層体とは逆側の層よりも大きい屈折率を有することを特徴とする請求項1または2に記載の面発光レーザ。
  4. 前記λが前記λより小さく、
    前記光が出射される側の反射鏡は、第一の層と、前記第一の層より小さい屈折率を有する第二の層とが交互に積層され、かつ、両端の層が前記第一の層である積層体を有し、
    前記積層体の両端の少なくともいずれか一方に、光学厚さndが、0<nd<λ/4を満たすように構成されている第三の層がさらに設けられ、前記第三の層の屈折率は前記第一の層より小さく、かつ、前記第三の層の隣接する層のうち前記積層体とは逆側の層よりも大きい屈折率を有することを特徴とする請求項1または2に記載の面発光レーザ。
  5. 前記隣接する層は空気であることを特徴とする請求項3または4に記載の面発光レーザ。
  6. 前記第一の層、前記第二の層、および前記第三の層はいずれも半導体層であることを特徴とする請求項3乃至5のいずれか一項に記載の面発光レーザ。
  7. 前記半導体層を構成する材料がAlxGa(1−x)As(0≦x≦1)で表わされる材料を有することを特徴とする請求項6に記載の面発光レーザ。
  8. 前記積層体の両端のいずれか一方に前記第三の層が設けられていることを特徴とする請求項3乃至7のいずれか一項に記載の面発光レーザ。
  9. 前記積層体の両端の両方に前記第三の層が設けられていることを特徴とする請求項3乃至7に記載の面発光レーザ。
  10. 前記光が出射される側の反射鏡は、第一の層と、前記第一の層より小さい屈折率を有する第二の層とが交互に積層され、かつ、前記第一の層が前記積層方向の両表面に積層された積層体を有し、
    前記第一の層のうちの1つの層の光学厚さが、前記中心波長λの1/2より大きい請求項1または2に記載の面発光レーザ。
  11. 前記光が出射される側の反射鏡は、第一の層と、前記第一の層より小さい屈折率を有する第二の層とが交互に積層され、かつ、前記第一の層が前記積層方向の両表面に積層された積層体を有し、
    前記第一の層のうちの1つの層の光学厚さが、前記中心波長λの1/2より小さい請求項1または2に記載の面発光レーザ。
  12. 前記駆動部は、前記上部反射鏡を変位させることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載の面発光レーザ。
  13. 前記上部反射鏡が回折格子であることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載の面発光レーザ。
  14. 前記駆動部は、前記下部反射鏡を変位させることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか一項に記載の面発光レーザ。
  15. 前記活性層は光が照射されて励起されることによって発光する請求項1乃至14のいずれか一項に記載の面発光レーザ。
  16. 前記活性層は電流が注入されることによって発光する請求項1乃至14のいずれか一項に記載の面発光レーザ。
  17. 下部反射鏡と、
    活性層と、
    空隙部と、
    上部反射鏡と、をこの順に有し、前記下部反射鏡、前記上部反射鏡との間の距離を変化させることによって出射する光の波長を可変とする面発光レーザであって、
    前記下部反射鏡と前記上部反射鏡のいずれか一方を前記出射する光の光軸方向に変位させる駆動部を有し、
    前記活性層の基底準位の発光波長λ、前記出射する光の中心波長λ、前記光が出射される側の反射鏡の反射率が最大となる波長λの関係が、λ<λ<λもしくはλ<λ<λを満たすように構成されていることを特徴とする面発光レーザ。
  18. 光の波長を変化させる光源部と、
    前記光源部からの光を物体へ照射する照射光と参照光とに分岐させ、前記物体に照射された光の反射光と前記参照光による干渉光を発生させる干渉光学系と、
    前記干渉光を受光する光検出部と、
    前記光検出部からの信号を処理して、前記物体の情報を取得する情報取得部と、
    を有する光干渉断層計において、
    前記光源部が請求項1乃至17のいずれか一項に記載の面発光レーザであることを特徴とする光干渉断層計。
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