JP2018152360A - 鉛蓄電池、並びに、鋳造格子体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】長寿命の鉛蓄電池を提供すること。【解決手段】本発明は、一側面において、鉛合金からなる鋳造格子体を正極格子体として備える鉛蓄電池であって、鉛合金が、鉛合金の全質量基準で、0.05〜0.085質量%のCa、1.2〜2.0質量%のSn、及び0.002〜0.02質量%のBiを含有する、鉛蓄電池を提供する。【選択図】図1

Description

本発明は、鉛蓄電池、並びに、鋳造格子体及びその製造方法に関するものである。
鉛蓄電池は、従来から使用されている二次電池の1つであり、信頼性、価格の安さ等から産業用又は民生用の二次電池として広く用いられている。特に、自動車用鉛蓄電池(いわゆるバッテリー)、又は、UPS(Uninterruptible Power Supply)、防災(非常)無線、電話等のバックアップ用鉛蓄電池の需要が多い。
鉛蓄電池に使用される極板(正極板及び負極板)の形態として、クラッド式、ペースト式、チュードル式等が知られている。バックアップ用鉛蓄電池では、大電流放電が可能であり、大量生産に適しているペースト式が採用されている。ペースト式極板は、活物質が極板の基体である格子体に保持された構成を有しており、ペースト状活物質を格子体に充填し、熟成工程及び乾燥工程を経て製造される。活物質は電池の充放電の際に反応する物質であり、格子体は集電の機能を有する。
格子体の製造法としては、鋳型を用いる鋳造方式が主流である。最近では格子体の軽量化の要求が強く、格子体は、作業性及び強度の点で必要最低限の質量しか有していない場合がある。
近年、バックアップ用途に使用される電池が搭載される機器の高密度化が図られ、それに伴って機器内は高温環境になりやすくなっている。そして、高温であることが加速因子となって、鉛蓄電池への負担も増加している。そのため、例えば、二酸化鉛(PbO)を主成分とする活物質と接触している正極板の格子体は、酸化腐食されやすくなっている。正極板の格子体は、腐食により膨張し、それに伴い正極板が伸びて変形する場合がある。その結果、正極板が負極板と短絡しやすくなり、鉛蓄電池が短寿命となるおそれがある。
格子体の腐食又は伸び対策として、特許文献1〜3では、格子体を構成する鉛合金中の錫、銀、ビスマス、カルシウム等の濃度を特定の範囲とすることが提案されている。
特許第5399272号公報 特許第5140704号公報 特許第4515055号公報
しかしながら、本発明者らの検討によれば、特許文献1〜3に記載されている格子体であっても作業性の点で未だ改善の余地があり、また、該格子体を用いた鉛蓄電池には更なる長寿命化の余地がある。
そこで、本発明の一つの目的は、作業性に優れる格子体を提供することにある。また、本発明の他の目的は、長寿命の鉛蓄電池を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明は、一側面において、鉛合金で形成された鋳造格子体を正極格子体として備える鉛蓄電池であって、鉛合金が、鉛合金の全質量基準で、0.05〜0.085質量%のCa、1.2〜2.0質量%のSn、及び0.002〜0.02質量%のBiを含有する、鉛蓄電池を提供する。
本発明の他の一側面において、鋳造格子体の格子における最小断面積は、3.6mm以下である。
本発明の他の一側面において、鉛合金は、鉛合金の全質量基準で、0.0001〜0.002質量%のAg、及び0.005〜0.03質量%のAlを更に含有する。
本発明は、他の一側面において、鉛合金の全質量基準で、0.05〜0.085質量%のCa、1.2〜2.0質量%のSn、及び0.002〜0.02質量%のBiを含有する鉛合金で形成された、鋳造格子体を提供する。
本発明は、他の一側面において、鉛合金の全質量基準で、0.05〜0.085質量%のCa、1.2〜2.0質量%のSn、及び0.002〜0.02質量%のBiを含有する鉛合金を鋳造して格子体を得る、鋳造格子体の製造方法を提供する。
本発明によれば、作業性に優れる格子体、及び長寿命(特に高温雰囲気下で長寿命)の鉛蓄電池を提供することができる。
鉛蓄電池の一実施形態を示す分解斜視図である。 格子体の一実施形態を示す平面図である。
<鉛蓄電池>
本実施形態に係る鉛蓄電池は、制御弁式鉛蓄電池として用いた場合に特に有用である。制御弁式鉛蓄電池では、蓄電池内部に流動するフリーの電解液が存在せず、蓄電池を横置きしても電解液がこぼれることがないという利点がある。また、制御弁式鉛蓄電池には、充電中に水の電気分解反応が起こっても、水素ガスの発生を抑え、発生する酸素ガスを負極板表面での化学反応により水に還元して電解液中に戻す作用があるため、水分が失われにくく、液量の点検及び補水が不要であるという利点もある。
図1は、鉛蓄電池の一実施形態を示す分解斜視図である。図1に示すように、鉛蓄電池1は、複数の正極板2と、複数の負極板3と、複数のセパレータ4と、中空状の電槽5と、電槽5を密閉する蓋体6とを備えている。蓋体6には、電槽5内の圧力を制御する制御弁7と、正極板2を外部に接続する正極端子8と、負極板3を外部に接続する負極端子9とが設けられている。
正極板2と負極板3とは交互に配置されており、各正極板2と負極板3との間には、セパレータ4が設けられている。このように積層された正極板2、負極板3及びセパレータ4からなる極板群が、電槽5内に収容されている。
各正極板2に設けられた耳部2a同士がストラップ2bを介して接続されることにより、複数の正極板2は互いに電気的に接続されている。同様に、各負極板3に設けられた耳部3a同士がストラップ3bを介して接続されることにより、複数の負極板3は互いに電気的に接続されている。正極板2のストラップ2bには、正極板2を正極端子8に接続するための正極柱2cが設けられている。同様に、負極板3のストラップ3bには、負極板3を負極端子9に接続するための負極柱3cが設けられている。
正極板2は、正極格子体と、正極格子体の格子間に充填された正極材とを備えている。正極格子体としては、後述する格子体が用いられる。正極材は、例えば、正極活物質(二酸化鉛)と添加剤とを含有する。正極材は、特に限定されるものではないが、鉛粉及び鉛丹と、希硫酸と、水及び添加剤とを混合させて得られるペースト状の正極材であってよい。添加剤は、例えば正極材の強度を高める目的で添加される補強用短繊維(ポリプロピレン繊維、PET(ポリエチレンテレフタレート)、アクリル系繊維等)などであってよい。正極板2の10HR定格容量は、例えば1枚当たり25Ahであってよい。
正極板2は、ペースト状正極材を正極格子体の格子間に充填し、その後、熟成工程及び乾燥工程を経ることにより得られる。熟成工程では、例えば、温度75〜85℃、相対湿度95〜98%の環境にて4〜40時間熟成し、次いで、50〜65℃、相対湿度50%以上の環境にて20時間以上熟成する。乾燥工程では、例えば、温度40〜65℃の環境で20〜40時間乾燥する。
負極板3は、負極格子体と、負極格子体の格子間に充填された負極材とを備えている。負極格子体は、特に制限されないが、例えば、Pb、Ca、Sn及びAlを含有する鉛合金からなっている。該鉛合金は、Bi、Ag等を更に含有していてもよい。負極格子体は、例えば、該鉛合金を鋳造して得られる。
負極材は、例えば、負極活物質(鉛)と添加剤とを含有する。負極材は、特に限定されるものではないが、鉛粉と、希硫酸、水及び添加剤とを混合させて得られるペースト状の負極材であってよい。添加剤は、放電時に生成する硫酸鉛(PbSO)の核として機能する硫酸バリウム(BaSO)、負極活物質粒子の結晶成長を抑制するリグニン等の有機化合物、導電性を付与する炭素材、補強用短繊維などであってよい。補強用短繊維は、正極板と同様に、PET、アクリル系繊維等であってよい。
負極板3は、ペースト状負極材を負極格子体の格子間に充填し、その後、熟成工程及び乾燥工程を経ることにより得られる。熟成工程では、例えば、温度37〜43℃、相対湿度92〜98%の環境にて24時間程度熟成し、次いで、例えば、温度37〜43℃、相対湿度50%以上の環境にて16時間以上熟成する。乾燥工程では、例えば、温度35〜45℃の環境にて12〜40時間乾燥する。
セパレータ4は、例えば、希硫酸等の電解液を保持する電解液保持体(リテーナ)である。セパレータ4は、図1に示すように板状であってよく、他の実施形態において、例えば正極板を包むことが可能な袋状であってもよい。セパレータ4は、正極板2と負極板3との間の電気的な接触を阻止しつつ、電解液を保持して硫酸イオン及び水素イオン(プロトン)を透過させるものであれば、特に限定されるものではない。セパレータ4は、好ましくは微細ガラス繊維(綿)を抄造したAGM(Absorbed Glass Mat)である。セパレータ(リテーナ)4の1枚あたりの厚みは、任意に設定されるが、例えばバックアップ用鉛蓄電池では1〜3mmであってよい。電解液として希硫酸を用いる場合、希硫酸の比重(20℃換算)は、好ましくは1.25〜1.35である。
電槽5は、正極板2、負極板3及びセパレータ4からなる極板群を収容可能であり、希硫酸等の電解液に対する耐性を有していれば、特に制限されない。電槽5は、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、ABS樹脂等で形成されている。
一実施形態においては、電槽内は、複数のセル室に分けられていてもよく、この場合、各セル室内に極板群が収容されている。そして、一のセル室内に収容された極板群と、それに隣接するセル室内に収容された極板群とを、反対の極性のストラップ間が接続されるように互いに接続することにより、所定の定格電圧又は定格容量を有する鉛蓄電池が構成される。
蓋体6は、電槽5を密閉可能なように、例えば電槽5と同じ材料で形成されている。蓋体6は、例えば、熱融着又は接着剤を用いた接着により、電槽5に取り付けられる。
(格子体)
図2は、格子体の一実施形態を示す平面図である。図2に示すように、格子体11は、格子状に形成された格子部12と、格子部12の外縁の一部に設けられた耳部13とを備えている。
格子部12は、略長方形状の外郭を形成する枠骨と、外郭の内側に格子状に配置された内骨とを備えている。枠骨は、長手(縦)方向に延びる互いに略平行な一対の縦枠骨14と、短手(横)方向に延びる互いに略平行な一対の横枠骨15とを有している。内骨は、長手(縦)方向に延びる互いに略平行な複数の縦内骨16と、短手(横)方向に延びる互いに略平行な複数の横内骨17とを有している。耳部13は、横枠骨15の一部から外郭の外側へ長手方向に延在し、略長方形板状を呈している。
格子体11は、Pb、Ca、Sn及びBiを含有する鉛合金で形成されている。すなわち、格子体11は、実質的に、Pb、Ca、Sn及びBiを含有する鉛合金からなる。
Pbの含有量は、鉛合金の全質量基準で、97.5質量%以上、98.0質量%以上、又は99.0質量%以上であってよく、例えば99.9質量%以下であってよい。
Caの含有量は、鉛合金の全質量基準で、0.05〜0.085質量%である。Caの含有量は、格子体の強度に更に優れる観点から、鉛合金の全質量基準で、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.06質量%以上、更に好ましくは0.065質量%以上である。Caの含有量は、高温での再結晶及び格子体11の変形による電池性能の低下を抑制し、高温耐久性をより好適に確保できる観点から、鉛合金の全質量基準で、好ましくは0.085質量%以下、より好ましくは0.08質量%以下、更に好ましくは0.075質量%以下である。Caの含有量は、鉛合金の全質量基準で、0.05〜0.08質量%、0.05〜0.075質量%、0.06〜0.085質量%、0.06〜0.08質量%、0.06〜0.075質量%、0.065〜0.085質量%、0.065〜0.08質量%、又は0.065〜0.075質量%であってもよい。
Snの含有量は、鉛合金の全質量基準で、1.2〜2.0質量%である。Snの含有量は、耐腐食性に優れる観点から、鉛合金の全質量基準で、好ましくは1.2質量%以上、より好ましくは1.3質量%以上、更に好ましくは1.5質量%以上である。Snの含有量は、格子体の作業性及び鉛蓄電池の寿命の点で更に優れ、水素発生電位の維持も可能になる観点から、鉛合金の全質量基準で、好ましくは2.0質量%以下、より好ましくは1.8質量%以下、更に好ましくは1.7質量%以下である。Snの含有量は、鉛合金の全質量基準で、1.2〜1.8質量%、1.2〜1.7質量%、1.3〜2.0質量%、1.3〜1.8質量%、1.3〜1.7質量%、1.5〜2.0質量%、1.5〜1.8質量%、又は1.3〜1.7質量%であってもよい。
Biの含有量は、鉛合金の全質量基準で、0.002〜0.02質量%である。Biの含有量は、格子体の作業性に更に優れる観点から、鉛合金の全質量基準で、好ましくは0.002質量%以上、より好ましくは0.003質量%以上、更に好ましくは0.004質量%以上である。Biの含有量は、水素発生電位が好適に維持される観点から、鉛合金の全質量基準で、好ましくは0.02質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下、更に好ましくは0.005質量%以下である。Biの含有量は、鉛合金の全質量基準で、0.002〜0.01質量%、0.002〜0.005質量%、0.003〜0.02質量%、0.003〜0.01質量%、0.003〜0.005質量%、0.004〜0.02質量%、0.004〜0.01質量%、又は0.004〜0.005質量%であってもよい。
鉛合金は、鉛合金中のCa及びSnを安定に存在させる観点から、好ましくはAg及び/又はAlを更に含有する。
Agの含有量は、高温での変形特性に優れる観点から、鉛合金の全質量基準で、好ましくは0.0001質量%以上、より好ましくは0.0002質量%以上、更に好ましくは0.0004質量%以上である。Agの含有量は、水素発生電位が好適に維持される観点から、鉛合金の全質量基準で、好ましくは0.002質量%以下、より好ましくは0.001質量%以下、更に好ましくは0.0006質量%以下である。Agの含有量は、鉛合金の全質量基準で、0.0001〜0.002質量%、0.0001〜0.001質量%、0.0001〜0.0006質量%、0.0002〜0.002質量%、0.0002〜0.001質量%、0.0002〜0.0006質量%、0.0004〜0.002質量%、0.0004〜0.001質量%、又は0.0004〜0.0006質量%であってもよい。
Alの含有量は、鋳造時の成分変動の抑制に優れる観点から、鉛合金の全質量基準で、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.006質量%以上、更に好ましくは0.008質量%以上である。Alの含有量は、合金組織の均一性に優れる観点から、鉛合金の全質量基準で、好ましくは0.03質量%以下、より好ましくは0.02質量%以下、更に好ましくは0.01質量%以下である。Alの含有量は、鉛合金の全質量基準で、0.005〜0.03質量%、0.005〜0.02質量%、0.005〜0.01質量%、0.006〜0.03質量%、0.006〜0.02質量%、0.006〜0.01質量%、0.008〜0.03質量%、0.008〜0.02質量%、又は0.008〜0.01質量%であってよい。
本発明者らは、上記の組成を有する鉛合金を用いることにより、作業性(強度)に優れる格子体11が得られる理由を以下のように考えている。
すなわち、まず、一般に金属は、原子の配列方向が異なる多数の結晶粒で構成されており、この原子の配列方向の乱れが金属材料の性質に影響を及ぼす。また、合金の添加元素及び不純物元素は、結晶核になるか、あるいは結晶粒と結晶粒の境界(結晶粒界)近傍に集まりやすいことが知られている。
格子体11にも結晶粒界が存在し、腐食は結晶粒界に沿って進むため(粒界腐食)、結晶粒同士の結びつきが弱くなるとともに、腐食による体積膨張も加わって格子体11が伸びやすくなる。そこで、本実施形態の格子体11は、Pbに加えて、Ca、Sn及びBiを所定量含有することにより、結晶粒を微細化し、結晶粒界の網目構造を増やすことで結晶粒の結合性を向上させている。
つまり、鉛合金がBiを含有すると、格子体11の機械的強度が向上し変形が少なくなるが、結晶粒界にSn濃度の高い領域が形成され、この領域が選択的に滑りを誘発する。本実施形態では、各成分の含有量を所定の範囲に調整することにより、Sn濃度の高い領域を減少させて粒界の滑りの進行を抑制すると共に、結晶粒を微細化することにより、高温でも伸びにくく、脆性が極めて低い高強度な鉛合金が得られる。なお、鉛合金がAg及びAlを更に含有する場合、このような作用効果がより好適に得られる。
鉛合金は、As、Cu、Fe、Mg、Ni、Zn等の不可避的不純物を更に含有していてもよい。不可避的不純物の含有量(上記成分の合計量)は、好ましくは、鉛合金の全質量基準で0.02質量以下である。
鉛合金は、一態様において、鉛合金の全質量基準で、0.05〜0.085質量%のCa、1.2〜2.0質量%のSn、及び0.002〜0.02質量%のBiを含有し、残部がPb及び不可避的不純物からなる鉛合金であってよい。鉛合金は、他の一態様において、鉛合金の全質量基準で、0.05〜0.085質量%のCa、1.2〜2.0質量%のSn、0.002〜0.02質量%のBi、0.0001〜0.002質量%のAg、及び0.005〜0.03質量%のAlを含有し、残部がPb及び不可避的不純物からなる鉛合金であってよい。これらの態様における各成分の好ましい含有量は、上述したとおりである。
格子体11には活物質を含む電極材が充填されるため、格子体11の全体積に占める格子(枠骨及び内骨)の体積が小さいことが好ましい。活物質を含む電極材の充填量を多くし、鉛蓄電池の初期容量を向上させる観点から、格子における最小断面積は、好ましくは3.6mm以下、より好ましくは3.3mm以下、更に好ましくは3.0mm以下である。格子体11は、上述の組成を有する鉛合金で形成されているため、格子における最小断面積が小さい場合であっても、作業性(強度)に優れる。格子における最小断面積は、更に好適な強度が得られる観点から、好ましくは1mm以上、より好ましくは2mm以上である。格子における最小断面積は、1〜3.6mm、1〜3.3mm、1〜3.0mm、2〜3.6mm、2〜3.3mm、又は2〜3.0mmであってもよい。格子体11においては、内骨(縦内骨16及び横内骨17の一方又は両方)が、上記の最小断面積を有していることが好ましい。
以上説明したような格子体11は、鋳造により得られる鋳造格子体である。具体的な格子体11の製造方法としては、ブックモールド(重力鋳造)方式、連続鋳造方式、打ち抜き方式等が挙げられ、製造が容易且つ安価なブックモールド方式が好ましく用いられる。ブックモールド方式とは、格子鋳型に溶解鉛を流し込み鋳造する方法である。
本実施形態の格子体の製造方法は、鉛合金の全質量基準で、0.05〜0.085質量%のCa、1.2〜2.0質量%のSn、及び0.002〜0.02質量%のBiを含有する鉛合金を鋳造する鋳造工程を備えている。鋳造工程において使用する鉛合金(原料)の好ましい組成は、上述した格子体を形成する鉛合金の好ましい組成と同様であるので、ここでは説明を省略する。
本実施形態の格子体の製造方法は、鋳造工程の後に、例えば硬化炉において、70〜80℃で12〜24時間硬化処理を行う硬化工程を更に備えていてもよい。
以上説明した格子体11は、鉛蓄電池の正極格子体として正極板に好適に用いられる。格子体11を正極格子体として用いることにより、長寿命の鉛蓄電池が得られる。
すなわち、格子体11は、鉛蓄電池の製造に好適に用いられる。一実施形態に係る鉛蓄電池の製造方法は、鉛合金の全質量基準で0.05〜0.085質量%のCa、1.2〜2.0質量%のSn、及び0.002〜0.02質量%のBiを含有する鉛合金を鋳造して正極格子体を得る工程と、正極格子体に正極材を充填して正極板を得る工程とを備えている。
この鉛蓄電池の製造方法は、例えば、複数の正極板と複数の負極板とをセパレータを介して交互に積層し極板群を得る工程、電槽に極板群を収容する工程、電槽を蓋体で閉じる工程、電槽内に電解液を注入する工程、電槽化成を行う工程等を更に備えていてよい。
以下、実施例に基づいて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<正極格子体の作製>
ブックモールド方式で、表1に示す組成及び格子部の最小断面積を有する、縦:240mm、横:140mmの格子体を鋳造し、80℃の硬化炉で16時間硬化処理を行った。なお、鋳造後の鉛合金の組成は、サーモフィッシャ−サイエンティフィック製iCAP6300のマトリックスマッチング−ICP発光分光分析法で測定した。また、格子部の最小断面積を変化させた場合であっても、格子体の大きさ(縦:240mm、横:140mm)は不変とした。
<ペースト状正極材の作製>
一酸化鉛を主成分とする鉛粉:1000kg、PET繊維(繊度:2.0D(denier)、繊維長:3.0mm):2kgを混合し、水を加えた後、希硫酸:200kg(比重:1.260、20℃換算)に、鉛丹:300kgを加えて攪拌したスラリーを更に加えて混練し、ペースト状正極材を作製した。加えた水の量は、ペースト状正極材の格子体への充填性を考慮し、ペースト状正極材がほぼ一定の硬さになるように調整した。
<正極板の作製>
上述の方法で作製した正極格子体にペースト状正極材を充填した後、130℃に調整された炉内で20秒間乾燥させ、一次乾燥を行った。次いで、以下の条件で熟成・乾燥を行って、未化成のペースト式正極板を作製した。
(熟成(一次放置))雰囲気温度75〜85℃、相対湿度95〜98%で4〜10時間
(熟成(二次放置))雰囲気温度50〜65℃、相対湿度50%以上で10時間以上
(乾燥)55〜65℃で24時間以上
<負極格子体の作製>
Ca:0.10質量%、Sn:0.2質量%、Al:0.009〜0.025質量%、残部がPbである鉛合金を用い、ブックモールド方式で縦:240mm、横:140mmの格子体を鋳造し、80℃の硬化炉で16時間硬化処理を行った。
<ペースト状負極材の作製>
一酸化鉛を主成分とする鉛粉:900kg、PET繊維(繊度:2.0D(denier)、繊維長:3.0mm):2.7kg、硫酸バリウム:4.5kg、リグニン:1.8kgを混合し、水を加えた後、希硫酸:100kgを加えて混練し、ペースト状負極材を作製した。加えた水の量は、ペースト状負極材の格子体への充填性を考慮し、ペースト状負極材がほぼ一定の硬さになるように調整した。
<負極板の作製>
上述の方法で作製した負極格子体にペースト状負極材を充填した後、130℃に調整された炉内で20秒間乾燥させ、一次乾燥を行った。次いで、以下の条件で熟成・乾燥を行って、未化成のペースト式負極板を作製した。
(熟成(一次放置))雰囲気温度35〜55℃で8時間
(熟成(二次放置))雰囲気温度65〜85℃で12時間以上
<鉛蓄電池の作製>
得られた未化成の正極板及び負極板の間にリテーナを介在させ、正極板8枚及び負極板9枚を使用した、定格容量200Ah/10HRの極板群を作製した。この極板群を、ABS製の電槽に収容し、電槽とブッシングを含むABS製の蓋を溶接し、エポキシ系接着剤にて端子周辺部分を封口した。硬化後、制御弁を取り付けるための弁筒を通して液口から電解液である希硫酸(比重1.210、20℃換算)を注液し、周囲温度40℃、電流55Aで、98時間通電して(容量確認のための放電等を含む)、電槽化成した。電槽化成後、制御弁を取り付け、防爆フィルタ−を含む上蓋を勘合させて、公称容量2V−200Ahの鉛蓄電池を作製した。
<高温寿命試験方法>
25℃、0.16CAの定電流で、放電終止電圧が1.75Vまで放電して、初期の放電容量を測定した。そして、60℃、2.23Vの定電圧で充電し、2か月ごとに、25℃、0.16CAの定電流で、放電終止電圧が1.75Vまで放電して容量を測定し、放電容量が123Ah以下になった時点を寿命とした。25℃での寿命に換算して18年間以上の場合をA、16年間以上18年間未満の場合をB、14年間以上16年間未満の場合をC、14年間未満の場合をDとして評価した。結果を表1に示す。
<強度測定方法>
正極格子体の内骨(縦内骨及び横内骨)において、断面積が最小となる部分の近傍を切断して長さ130mmの測定サンプルを用意した。株式会社島津製作所製オ−トグラフAGS-5kNXを用いて、引張速度:5mm/分の条件で、当該測定サンプルの強度を測定した。強度は、5回測定した測定値の平均値とした。結果を表1に示す。
<作業性>
作業性は、上記強度測定により測定された正極格子体の強度を指標とした。強度が131N以上の場合をA、111N以上131N未満の場合をB、91N以上111N未満の場合をC、91N未満の場合をDとして評価した。結果を表1に示す。
<総合評価>
最小断面積が3.6mm以下、かつ、作業性及び寿命がともにAの場合をA、最小断面積が3.6mm以下、かつ、作業性及び寿命の少なくとも一方がA又はB、あるいは、最小断面積が3.6mmを超えるが、作業性及び寿命がともにAの場合をB、最小断面積が3.6mm以下、かつ、作業性及び寿命がともにCの場合をC、最小断面積が3.6mm以下、かつ、作業性及び寿命の少なくとも一方がDの場合をDとして評価した。結果を表1に示す。
Figure 2018152360
1…鉛蓄電池、2…正極板、3…負極板、4…セパレータ、5…電槽、6…蓋体、7…制御弁、8…正極端子、9…負極端子、11…格子体、12…格子部、13…耳部、14…縦枠骨、15…横枠骨、16…縦内骨、17…横内骨。

Claims (5)

  1. 鉛合金で形成された鋳造格子体を正極格子体として備える鉛蓄電池であって、
    前記鉛合金が、鉛合金の全質量基準で、0.05〜0.085質量%のCa、1.2〜2.0質量%のSn、及び0.002〜0.02質量%のBiを含有する、鉛蓄電池。
  2. 前記鋳造格子体の格子における最小断面積が3.6mm以下である、請求項1に記載の鉛蓄電池。
  3. 前記鉛合金が、鉛合金の全質量基準で、0.0001〜0.002質量%のAg、及び0.005〜0.03質量%のAlを更に含有する、請求項1又は2に記載の鉛蓄電池。
  4. 鉛合金の全質量基準で、0.05〜0.085質量%のCa、1.2〜2.0質量%のSn、及び0.002〜0.02質量%のBiを含有する鉛合金で形成された、鋳造格子体。
  5. 鉛合金の全質量基準で、0.05〜0.085質量%のCa、1.2〜2.0質量%のSn、及び0.002〜0.02質量%のBiを含有する鉛合金を鋳造して格子体を得る、鋳造格子体の製造方法。
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