(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施の形態に係るレンズ交換式のデジタルカメラについて説明する。なお、以下の説明では本発明に特に関係する箇所について述べ、それ以外の箇所については図示と説明を省略する。
図1は、本発明を適用したレンズ交換式のカメラシステムを示した斜視図である。なお、図1では本発明に係わる機器および装置のみを示し、それ以外の機器および装置については図示と説明を省略する。カメラシステム1は、カメラボディ100と、カメラボディ100に着脱可能な交換レンズ200とから構成される。
カメラボディ100には交換レンズ200が着脱可能に取り付けられるボディ側マウント部101が設けられている。ボディ側マウント部101の近傍(ボディ側マウント部101の内周側)の位置には、ボディ側マウント部101の内周側に部分的に突出する状態で、接点を保持する保持部(電気的な接続部)102が設けられている。この保持部102には複数の接点が設けられている。
また交換レンズ200には、ボディ側マウント部101に対応する、カメラボディ100が着脱可能に取り付けられるレンズ側マウント部201が設けられている。レンズ側マウント部201の近傍(レンズ側マウント部201の内周側)の位置には、レンズ側マウント部201の内周側に部分的に突出する状態で、接点を保持する保持部(電気的な接続部)202が設けられている。この保持部202には複数の接点が設けられている。
カメラボディ100に交換レンズ200が装着されると、複数の接点が設けられたカメラボディ100側の保持部102が、複数の接点が設けられた交換レンズ200側の保持部202に電気的に且つ物理的に接続される。両保持部102,202は、カメラボディ100から交換レンズ200への電力供給、および、カメラボディ100と交換レンズ200との信号の送受信に利用される。
カメラボディ100内のボディ側マウント部101後方には、例えばCMOSやCCDなどの撮像素子104が設けられる。カメラボディ100の上方には、周知の2段操作式(半押し操作と全押し操作が可能な構成)のレリーズスイッチ(レリーズボタン)105が設けられている。ユーザはレリーズスイッチ105や不図示の操作部材を用いて、カメラボディ100に撮影指示や撮影条件の設定指示等を行う。交換レンズ200の鏡筒には、回転操作が可能な操作部材であるフォーカス環219が設けられている。
図2は、本発明を適用したレンズ交換式のカメラシステムを示した断面図である。交換レンズ200は、被写体像を結像させる結像光学系210を備える。結像光学系210は同一の光軸O上に配置された複数のレンズ210a〜210dにより構成されている。これら複数のレンズ210a〜210dには、被写体像のピント位置を調節するためのフォーカスレンズ210cが含まれる。
交換レンズ200内部には、交換レンズ200の各部の制御を司るレンズ制御部203が設けられている。レンズ制御部203は不図示のマイクロコンピュータおよびその周辺回路等から構成される。レンズ制御部203には、レンズ側第1通信部217、レンズ側第2通信部218、フォーカス駆動部214、ROM215、RAM216、第1フォトインタラプタ213aおよび第2フォトインタラプタ213bが接続されている。
レンズ側第1通信部217およびレンズ側第2通信部218は、保持部102、202の各通信接点を介してカメラボディ100との信号の送受信を行う。このレンズ側第1通信部217とレンズ側第2通信部218はそれぞれ、交換レンズ200側の通信インターフェースである。レンズ制御部203はこれら通信インターフェースを使って、カメラボディ100(後述するボディ制御部103)との間で後述する各通信(ホットライン通信、コマンドデータ通信)を行う。
フォーカス駆動部214は駆動力を発生させるモータ(例えばステッピングモータ等のアクチュエータ)と、当該駆動力をフォーカスレンズ210cに伝達する伝達系(例えば複数のギア等を組み合わせたもの)を有している。フォーカス駆動部214はレンズ制御部203により制御され、フォーカスレンズ210cを、レンズ制御部203が指定した駆動速度で光軸O方向に駆動する。
第1フォトインタラプタ213aおよび第2フォトインタラプタ213bは、フォーカス環(操作部材または移動部材)219の回転(回転操作量または移動量と、回転方向または移動方向)を検出するための部材である。フォーカス環219の内周面には、周方向に一定の間隔で同一形状(略方形)の遮蔽板が備えられている。この遮蔽板が第1フォトインタラプタ213aおよび第2フォトインタラプタ213bの受光素子に入射する光を遮ることにより、第1フォトインタラプタ213aおよび第2フォトインタラプタ213bの検出信号に変化を生じさせる。これにより、レンズ制御部203はフォーカス環219の操作量(移動量)および操作方向(移動方向)(以降では、これら操作量および操作方向を総称して「フォーカス環219(操作部材)の操作情報」と称すこともある)を検出する。
レンズ制御部203は、光軸O上におけるフォーカスレンズ210cの位置を取得可能に構成されている。例えば不図示のエンコーダを設けることによりフォーカスレンズ210cの位置を検出するようにしてもよいし、フォーカスレンズ210cを駆動するアクチュエータ(ステッピングモータ等)への入力信号を監視することにより位置を検出するようにしてもよい。
ROM215は不揮発性の記憶媒体であり、レンズ制御部203が実行する所定の制御プログラムが予め記憶される。RAM216は揮発性の記憶媒体であり、レンズ制御部203により各種データの一時記憶領域として利用される。
撮像素子104の前面には、撮像素子104の露光状態を制御するためのシャッター115と、光学的ローパスフィルターや赤外線カットフィルターを組み合わせた光学フィルター116とが設けられている。結像光学系210を透過した被写体光は、シャッター115およびフィルター116を介して撮像素子104に入射する。
カメラボディ100内部には、カメラボディ100の各部の制御を司るボディ制御部103が設けられている。ボディ制御部103は不図示のマイクロコンピュータ、RAMおよびその周辺回路等から構成される。
ボディ制御部103には、ボディ側第1通信部117およびボディ側第2通信部118が接続されている。ボディ側第1通信部117は保持部102に接続されており、保持部102に設けられた複数の接点を介して、レンズ側第1通信部217と信号の送受信を行うことができる。同様に、ボディ側第2通信部118はレンズ側第2通信部218と信号の送受信を行うことができる。換言すれば、ボディ側第1通信部117とボディ側第2通信部118はそれぞれ、ボディ側の通信インターフェースである。ボディ制御部103はこれら通信インターフェースを使って、交換レンズ200(レンズ制御部203)との間で、後述する各通信(ホットライン通信、コマンドデータ通信)を行う。
カメラボディ100の背面には、LCDパネル等により構成される表示装置111が配置される。ボディ制御部103はこの表示装置111に対し、撮像素子104の出力に基づく被写体の画像(いわゆるスルー画)や、撮影条件等を設定するための各種のメニュー画面を表示する。
(保持部102,202の説明)
図3は保持部102,202の詳細を示す模式図である。なお図3において保持部102がボディ側マウント部101の右側に配置されているのは、実際のマウント構造に倣ったものである。すなわち、本実施形態の保持部102は、ボディ側マウント部101のマウント面よりも奥まった場所(図3においてボディ側マウント部101よりも右側の場所)に配置されている。同様に、保持部202がレンズ側マウント部201の右側に配置されているのは、本実施形態の保持部202がレンズ側マウント部201のマウント面よりも突出した場所に配置されていることを表している。保持部102と保持部202がこのように配置されているので、ボディ側マウント部101のマウント面とレンズ側マウント部201のマウント面とを接触させて、カメラボディ100と交換レンズ200とをマウント結合させると、保持部102と保持部202とが接続され、両保持部に設けられている電気接点同士も接続することになる。このようなマウント構造については周知であるのでこれ以上の説明、図示を省略する。
図3に示すように、保持部102にはBP1〜BP12の12個の接点が存在する。また保持部202には、上記の12個の接点にそれぞれ対応する、LP1〜LP12の12個の接点が存在する。
接点BP1および接点BP2は、カメラボディ100内の第1電源回路130に接続されている。第1電源回路130は、接点BP1に、アクチュエータ等の駆動系を有し消費電力が比較的大きい回路(フォーカス駆動部214など)を除く交換レンズ200内の各部の動作電圧を供給する。すなわち、接点BP1および接点LP1からは、上記の各駆動部を除く交換レンズ200内の各部の動作電圧が供給される。この接点BP1に供給可能な電圧値は、最小電圧値〜最大電圧値の範囲(例えば3V台での電圧幅)をもつが、標準的に供給される電圧値はその最大電圧値と最小電圧値の中間値近傍の電圧値である。そしてこれにより、カメラボディ100側から交換レンズ200側に供給される電流値は、電源ON状態において、約数10mA〜数100mAの範囲内の電流値である。
接点BP2は、接点BP1に与えられる上記動作電圧に対応する接地端子である。すなわち、接点BP2および接点LP2は、上記の動作電圧に対応する接地端子電圧である。
以下の説明では、接点BP1および接点LP1により構成される信号線を、信号線V33と呼ぶ。また、接点BP2および接点LP2により構成される信号線を、信号線GNDと呼ぶ。これらの接点LP1,LP2、BP1,BP2は、カメラボディ100側から交換レンズ200側へ電源供給するための、電源系接点を構成する。
接点BP3,BP4,BP5,およびBP6は、ボディ側第1通信部117に接続されている。これらの接点に対応する交換レンズ200側の接点LP3,LP4,LP5,およびLP6は、レンズ側第1通信部217に接続されている。ボディ側第1通信部117とレンズ側第1通信部217は、これらの接点(通信系接点)を用いて、互いに信号の送受信を行う。ボディ側第1通信部117とレンズ側第1通信部217が行う通信の内容については、後に詳述する。
なお以下の説明では、接点BP3および接点LP3により構成される信号線を、信号線CLKと呼ぶ。同様に、接点BP4および接点LP4により構成される信号線を信号線BDATと、接点BP5および接点LP5により構成される信号線を信号線LDATと、接点BP6および接点LP6により構成される信号線を信号線RDYと呼ぶ。
接点BP7,BP8,BP9,およびBP10は、ボディ側第2通信部118に接続されている。これらの接点に対応する交換レンズ200側の接点LP7,LP8,LP9,およびLP10は、レンズ側第2通信部218に接続されている。レンズ側第2通信部218は、これらの接点(通信系接点)を用いて、ボディ側第2通信部118に信号の送信を行う。ボディ側第2通信部118とレンズ側第2通信部218が行う通信の内容については、後に詳述する。
なお以下の説明では、接点BP7および接点LP7により構成される信号線を、信号線HREQと呼ぶ。同様に、接点BP8および接点LP8により構成される信号線を信号線HANSと、接点BP9および接点LP9により構成される信号線を信号線HCLKと、接点BP10および接点LP10により構成される信号線を信号線HDATと呼ぶ。
接点BP11および接点BP12は、カメラボディ100内の第2電源回路131に接続されている。第2電源回路131は、接点BP12に、アクチュエータ等の駆動系を有し消費電力が比較的大きい回路(フォーカス駆動部214など)の駆動電圧を供給する。すなわち、接点BP12および接点LP12からは、フォーカス駆動部214の駆動電圧が供給される。この接点BP12に供給可能な電圧値は、最小電圧値〜最大電圧値の範囲をもつが、その範囲はいずれも、前述した接点BP1に供給可能な電圧値範囲よりも大きい電圧値である(例えば、接点BP12に供給可能な最大電圧値は、接点BP1に供給可能な最大電圧値の数倍程度)。即ち接点BP12に供給される電圧値は、上述の接点BP1に供給される電圧値とは、その大きさが異なる電圧値である。なお接点BP12に標準的に供給される電圧値は、接点BP12に供給可能な最大電圧値と最小電圧値の中間値近傍の電圧値である。そしてこれにより、カメラボディ100側から交換レンズ200側に供給される電流は、電源ON状態において、約10mA〜数Aの電流値となる。
接点BP11は、接点BP12に与えられる上記駆動電圧に対応する接地端子である。すなわち、接点BP11および接点LP11は、上記駆動電圧に対応する接地端子である。
以下の説明では、接点BP11および接点LP11により構成される信号線を、信号線PGNDと呼ぶ。また、接点BP12および接点LP12により構成される信号線を、信号線BATと呼ぶ。これらの接点LP11,LP12、BP11,BP12は、カメラボディ100側から交換レンズ200側へ電源供給するための、電源系接点を構成する。
なお、上述の接点BP12、接点LP12に供給される電圧値(電流値)と、接点BP1,LP1に供給される電圧値(電流値)との大小関係から明らかなように、それら各接点に供給される電圧にそれぞれに対する接地端子となる接点BP11および接点LP11を流れる電流の最大値と最小値との差は、接点BP2および接点LP2を流れる電流の最大値と最小値との差よりも大きくなっている。これは、アクチュエータ等の駆動系を有する各駆動部が消費する電力が、交換レンズ200内のレンズ制御部203等の電子回路に比べて大きいこと、ならびに、それら各駆動部により駆動される被駆動部材を駆動する必要がない場合には各駆動部が電力を消費しないことに拠る。
(コマンドデータ通信の説明)
レンズ制御部203は、レンズ側第1通信部217を制御して、接点LP3〜LP6、すなわち信号線CLK,BDAT,LDAT,およびRDYを介して、ボディ側第1通信部117からの制御データの受信と、ボディ側第1通信部117への応答データの送信とを並行して、第1の所定周期(本実施形態では例えば16ミリ秒)で行う。以下、レンズ側第1通信部217とボディ側第1通信部117との間で行われる通信の詳細を説明する。
なお、本実施形態において、レンズ制御部203およびレンズ側第1通信部217と、ボディ制御部103およびボディ側第1通信部117との間で行われる通信を「コマンドデータ通信」と称する。また、コマンドデータ通信に利用される4つの信号線(信号線CLK,BDAT,LDAT,およびRDY)から成る伝送路を第1伝送路と称する。
図4は、コマンドデータ通信の例を示すタイミングチャートである。ボディ制御部103およびボディ側第1通信部117は、コマンドデータ通信の開始時(T1)、まず信号線RDYの信号レベルを確認する。信号線RDYの信号レベルはレンズ側第1通信部217の通信可否を表している。レンズ制御部203およびレンズ側第1通信部217は、通信できない状態である場合には、接点LP6からH(High)レベルの信号を出力する。すなわち、信号線RDYの信号レベルをHレベルにする。ボディ制御部103およびボディ側第1通信部117は、信号線RDYがHレベルである場合、これがLレベルになるまで通信開始しない。また通信中の次の処理を実行しない。
信号線RDYがL(Low)レベルであれば、ボディ制御部103およびボディ側第1通信部117は接点BP3からクロック信号401を出力する。すなわち、信号線CLKを介してレンズ側第1通信部217にクロック信号401を伝送する。ボディ制御部103およびボディ側第1通信部117はこのクロック信号401に同期して、接点BP4から制御データの前半部分であるボディ側コマンドパケット信号402を出力する。すなわち、信号線BDATを介してレンズ側第1通信部217にボディ側コマンドパケット信号402を伝送する。
また、信号線CLKにクロック信号401が出力されると、レンズ制御部203およびレンズ側第1通信部217は、クロック信号401に同期して接点LP5から応答データの前半部分であるレンズ側コマンドパケット信号403を出力する。すなわち、信号線LDATを介してボディ側第1通信部117にレンズ側コマンドパケット信号403を伝送する。
レンズ制御部203およびレンズ側第1通信部217は、レンズ側コマンドパケット信号403の送信完了に応じて、信号線RDYの信号レベルをHレベルにする(T2)。レンズ制御部203は、受信したボディ側コマンドパケット信号402の内容に応じた処理
である第1制御処理404(後述)を開始する。
レンズ制御部203は第1制御処理404が完了すると、レンズ側第1通信部217に第1制御処理404の完了を通知する。レンズ側第1通信部217はこの通知に応じて、接点LP6からLレベルの信号を出力する。すなわち、信号線RDYの信号レベルをLレベルにする(T3)。ボディ制御部103およびボディ側第1通信部117はこの信号レベルの変化に応じて、接点BP3からクロック信号405を出力する。すなわち、信号線CLKを介してレンズ側第1通信部217にクロック信号405を伝送する。
ボディ制御部103およびボディ側第1通信部117はこのクロック信号405に同期して、接点BP4から制御データの後半部分であるボディ側データパケット信号406を出力する。すなわち、信号線BDATを介してレンズ側第1通信部217にボディ側データパケット信号406を伝送する。
また、信号線CLKにクロック信号405が出力されると、レンズ制御部203およびレンズ側第1通信部217はクロック信号405に同期して接点LP5から応答データの後半部分であるレンズ側データパケット信号407を出力する。すなわち、信号線LDATを介してボディ側第1通信部117にレンズ側データパケット信号407を伝送する。
レンズ制御部203およびレンズ側第1通信部217は、レンズ側データパケット信号407の送信完了に応じて、信号線RDYの信号レベルを再びHレベルにする(T4)。レンズ制御部203は、受信したボディ側データパケット信号406の内容に応じた処理である第2制御処理408(後述)を開始する。
ここで、レンズ制御部203が行う第1制御処理404、および第2制御処理408について述べる。
例えば、受信したボディ側コマンドパケット信号402が、交換レンズ側の特定のデータを要求する内容であった場合について述べる。レンズ制御部203は、第1制御処理404として、ボディ側コマンドパケット信号402の内容を解析処理すると共に、当該要求されている特定データを生成する処理を実行する。更にレンズ制御部203は、第1制御処理404として、ボディ側コマンドパケット信号402に含まれているチェックサムデータを用いて、コマンドパケット信号402の通信にエラーがないか否かをデータバイト数から簡易的にチェックする通信エラーチェック処理をも実行する。この第1制御処理404で生成された特定データの信号は、レンズ側データパケット信号407としてボディ側に出力される。なお、この場合においてコマンドパケット信号402の後でボディ側から出力されるボディ側データパケット信号406は、レンズ側にとっては特に意味をなさないダミーデータ信号(チェックサムデータは含む)となっている。この場合にはレンズ制御部203は、第2制御処理408として、ボディ側データパケット信号406に含まれるチェックサムデータを用いた、上述の如き通信エラーチェック処理を実行する。
また例えば、受信したボディ側コマンドパケット信号402が、レンズ側の被駆動部材を駆動する指示であった場合について述べる。例えば、コマンドパケット信号402がフォーカスレンズ210cの駆動指示であり、受信したボディ側データパケット信号406がフォーカスレンズ210cの駆動量であった場合について述べる。レンズ制御部203は、第1制御処理404として、コマンドパケット信号402の内容を解析処理すると共に、その内容を理解したことを表す了解信号を生成する。更にレンズ制御部203は、第1制御処理404として、コマンドパケット信号402に含まれているチェックサムデータを用いて、上述の如き通信エラーチェック処理をも実行する。この第1制御処理404で生成された了解信号は、レンズ側データパケット信号407としてボディ側に出力される。またレンズ制御部203は、第2制御処理408として、ボディ側データパケット信号406の内容の解析処理を実行すると共に、ボディ側データパケット信号406に含まれるチェックサムデータを用いた上述の如き通信エラーチェック処理を実行する。
レンズ制御部203は第2制御処理408が完了すると、レンズ側第1通信部217に第2制御処理408の完了を通知する。これによってレンズ制御部203は、レンズ側第1通信部217に、接点LP6からLレベルの信号を出力させる。すなわち、信号線RDYの信号レベルをLレベルにする(T5)。
なお受信したボディ側コマンドパケット信号402が、上述のようなレンズ側の被駆動部材(たとえばフォーカスレンズ210c)を駆動する指示であった場合、レンズ制御部203は、レンズ側第1通信部217に信号線RDYの信号レベルをLレベルにさせつつ、フォーカス駆動部214に対して、フォーカスレンズ210cを当該駆動量だけ駆動する処理を実行させる。
上述した時刻T1〜時刻T5に行われた通信が、1回のコマンドデータ通信である。上述のように、1回のコマンドデータ通信では、ボディ制御部103およびボディ側第1通信部117により、ボディ側コマンドパケット信号402およびボディ側データパケット信号406がそれぞれ1つずつ送信される。すなわち、処理の都合上2つに分割されて送信されるものの、ボディ側コマンドパケット信号402およびボディ側データパケット信号406は2つ合わせて1つの制御データを構成する。
同様に、1回のコマンドデータ通信では、レンズ制御部203およびレンズ側第1通信部217によりレンズ側コマンドパケット信号403およびレンズ側データパケット信号407がそれぞれ1つずつ送信される。すなわち、レンズ側コマンドパケット信号403およびレンズ側データパケット信号407は2つ合わせて1つの応答データを構成する。
以上のように、レンズ制御部203およびレンズ側第1通信部217は、ボディ側第1通信部117からの制御データの受信と、ボディ側第1通信部117への応答データの送信とを並行して行う。コマンドデータ通信に利用される接点LP6および接点BP6は、他のクロック信号に同期しない非同期信号(信号線RDYの信号レベル/H(High)レベル、またはL(Low)レベル)が伝送される接点である。
(ホットライン通信の説明)
レンズ制御部203は、レンズ側第2通信部218を制御して、接点LP7〜LP10、すなわち信号線HREQ,HANS,HCLK,およびHDATを介して、ボディ側第2通信部118へレンズ位置データを送信する。以下、レンズ側第2通信部218とボディ側第2通信部118との間で行われる通信の詳細を説明する。
なお、本実施形態において、レンズ制御部203およびレンズ側第2通信部218と、ボディ制御部103およびボディ側第2通信部118との間で行われる通信を「ホットライン通信」と称する。また、ホットライン通信に利用される4つの信号線(信号線HREQ,HANS,HCLK,およびHDAT)から成る伝送路を第2伝送路と称する。
図5は、ホットライン通信の例を示すタイミングチャートである。本実施形態のボディ制御部103は、ホットライン通信を第2の所定周期(本実施形態では例えば1ミリ秒)毎に開始するように構成されている。この周期は、コマンドデータ通信を行う周期よりも短い。図5(a)は、ホットライン通信が所定周期Tn毎に繰り返し実行されている様子を示す図である。繰り返し実行されるホットライン通信のうち、ある1回の通信の期間Txを拡大した様子が図5(b)に示されている。以下、図5(b)のタイミングチャートに基づいて、ホットライン通信の手順を説明する。
ボディ制御部103およびボディ側第2通信部118は、ホットライン通信の開始時(T6)、まず接点BP7からLレベルの信号を出力する。すなわち、信号線HREQの信号レベルをLレベルにする。レンズ側第2通信部218は、この信号が接点LP7に入力されたことをレンズ制御部203に通知する。レンズ制御部203はこの通知に応じて、レンズ位置データを生成する生成処理501の実行を開始する。生成処理501とは、レンズ制御部203が不図示のフォーカシングレンズ位置検出部にフォーカスレンズ210cの位置を検出させ、検出結果を表すレンズ位置データを生成する処理である。
レンズ制御部203が生成処理501を実行完了すると、レンズ制御部203およびレンズ側第2通信部218は接点LP8からLレベルの信号を出力する(T7)。すなわち、信号線HANSの信号レベルをLレベルにする。ボディ制御部103およびボディ側第2通信部118は、この信号が接点BP8に入力されたことに応じて、接点BP9からクロック信号502を出力する。すなわち、信号線HCLKを介してレンズ側第2通信部218にクロック信号を伝送する。
レンズ制御部203およびレンズ側第2通信部218は、このクロック信号502に同期して、接点LP10からレンズ位置データを表すレンズ位置データ信号503を出力する。すなわち、信号線HDATを介してボディ側第2通信部118にレンズ位置データ信号503を伝送する。
レンズ位置データ信号503の送信が完了すると、レンズ制御部203およびレンズ側第2通信部218は接点LP8からHレベルの信号を出力する。すなわち、信号線HANSの信号レベルをHレベルにする(T8)。ボディ側第2通信部118は、この信号が接点BP8に入力されたことに応じて、接点LP7からHレベルの信号を出力する。すなわち、信号線HREQの信号レベルをHレベルにする(T9)。
上述した時刻T6〜時刻T9に行われた通信が、1回のホットライン通信である。上述のように、1回のホットライン通信では、レンズ制御部203およびレンズ側第2通信部218により、レンズ位置データ信号503が1つ送信される。ホットライン通信に利用される接点LP7、LP8、BP7、およびBP8は、他のクロック信号に同期しない非同期信号が伝送される接点である。つまり接点LP7およびBP7は、非同期信号(信号線HREQの信号レベル/H(High)レベル、またはL(Low)レベル)が伝送される接点であり、接点LP8およびBP8は、非同期信号(信号線HANSの信号レベル/H(High)レベル、またはL(Low)レベル)が伝送される接点である。
なお、コマンドデータ通信とホットライン通信は、同時にも或いは一部並行的にも実行することが可能である。すなわち、レンズ側第1通信部217とレンズ側第2通信部218との一方は、その他方がカメラボディ100と通信を行っている場合であってもカメラボディ100と通信を行うことが可能である。
(フォーカス環219の説明)
図6は、第1フォトインタラプタ213aおよび第2フォトインタラプタ213bの回路構成を示す図である。なお、第1フォトインタラプタ213aおよび第2フォトインタラプタ213bの回路構成は同様となっている。
図6に示すように、第1フォトインタラプタ213aは、発光ダイオード161aと受光素子162aとが対となって構成するセンサである。第1フォトインタラプタ213aの受光素子162aの検出信号は、レンズ制御部203に出力される。また、第2フォトインタラプタ213bは、発光ダイオード161bと受光素子162bとが対となって構成するセンサである。第2フォトインタラプタ213bの受光素子162bの検出信号は、レンズ制御部203に出力される。
第1フォトインタラプタ213aおよび第2フォトインタラプタ213bは、オンあるいはオフをレンズ制御部203によって制御される。第1フォトインタラプタ213aおよび第2フォトインタラプタ213bの検出信号は、受光素子162a,162bの受光量に対応したレベルの信号となり、発光ダイオード161a,161bの発光量(輝度)に対応して、ハイレベルの検出信号と判定するための閾値Thが予め決定されている。
図7は、第1フォトインタラプタ213aおよび第2フォトインタラプタ213bの設置位置の関係を示す図である。図7において、第1フォトインタラプタ213aおよび第2フォトインタラプタ213bは、フォーカス環219の遮蔽部材の周方向における設置間隔の周期に対して、互いに90度(1/4周期)ずれた位相となるように設置されている。すなわち、第1フォトインタラプタ213aおよび第2フォトインタラプタ213bは、互いの遮蔽部材の検出タイミングによってフォーカス環219の回転方向が検出可能な設置位置の関係となっている。
具体的には、フォーカス環219がユーザー操作により一方に回転操作されて回転した場合に、遮蔽部材が第1フォトインタラプタ213aの受光素子162aに入射する光を遮ってから、1/4周期遅れて、いずれかの遮蔽板が第2フォトインタラプタ213bの受光素子162bに入射する光を遮る位置関係となっている。また、フォーカス環219が逆方向に回転操作されて回転した場合には、遮蔽部材が第2フォトインタラプタ213bの受光素子162bに入射する光を遮ってから、1/4周期遅れて、いずれかの遮蔽板が第1フォトインタラプタ213aの受光素子162aに入射する光を遮る位置関係となっている。第1フォトインタラプタ213aおよび第2フォトインタラプタ213bの検出信号は、フォーカス環219の遮蔽部材が通過した場合にハイレベル(即ち、設定された閾値Th以上の出力レベル)からローレベル(即ち、設定された閾値Th未満の出力レベル)に変化する。これにより、レンズ制御部203では、フォーカス環219の回転方向が検出可能となる。
図8は、フォーカス環219が操作された場合の第1フォトインタラプタ213aおよび第2フォトインタラプタ213bそれぞれの検出信号の波形例を示す図である。また、図9は、フォーカス環219が操作された場合の第1フォトインタラプタ213aおよび第2フォトインタラプタ213bの検出信号の関係を示す模式図である。
図8および図9に示すように、フォーカス環219が撮影者によって手動で操作されると、第1フォトインタラプタ213aおよび第2フォトインタラプタ213bから、それぞれパルス状の検出信号が出力される(時刻t1〜t24)。このとき出力される検出信号それぞれは、手動操作されるために、時間軸上においては、周波数にむらが生じる。一方、第1フォトインタラプタ213aおよび第2フォトインタラプタ213bの検出信号は相関性を有しており、図9に示す例では、第1フォトインタラプタ213aの検出信号に対して、第2フォトインタラプタ213bの検出信号が1/4周期遅れた関係となっている。なお、フォーカス環219の回転方向が逆となった場合、図9に示す例とは反対に、第2フォトインタラプタ213bの検出信号に対して、第1フォトインタラプタ213aの検出信号が1/4周期遅れた関係となる。そのため、レンズ制御部203は、第1フォトインタラプタ213aの検出信号と第2フォトインタラプタ213bの検出信号のいずれが先にハイレベルとなるかを判定することで、フォーカス環219の回転方向を検出することができる。
(カメラボディ100の動作モードの説明)
カメラボディ100には、焦点調節に関する動作モードとして、後述するM/Aモード、MFモードおよびMF禁止モードを択一的に設定可能である。ユーザは、例えばメニュー画面等から、カメラボディ100にM/AモードやMFモード、MF禁止モードを択一的に設定することができる。
M/Aモードとは、マニュアルフォーカス(MF)モードとオートフォーカス(AF)モードとが適宜切り替えられる、MFモードとAFモードが兼用使用されるフォーカスモードである。M/Aモードでは、原則的にはAFモードであるが、ユーザーがフォーカス環219を操作してマニュアルフォーカス操作しようとすると、その操作に応じてAFモードからMFモードに自動的にフォーカスモードが切り替わるモードである。M/Aモードが設定されているとき、ユーザが所定のAF操作(例えばレリーズスイッチ105の半押し操作)を行うと、ボディ制御部103は周知の自動焦点調節処理を実行する。自動焦点調節処理により、フォーカスレンズ210cは合焦位置に駆動され、被写体像の結像位置が撮像素子104の撮像面に設定される。M/Aモードが設定されているとき、ユーザはフォーカス環219を操作することにより、ピント位置を手動で調節することもできる。例えば自動焦点調節処理の実行中にフォーカス環219を操作すると、自動焦点調節処理は中断され、フォーカスレンズ210cはフォーカス環219の操作に応じて駆動される。
MFモードが設定されているとき、ユーザが上述のAF操作を行っても、ボディ制御部103は自動焦点調節処理を実行しない。MFモードが設定されているとき、ピント位置の調節は、フォーカス環219を操作することにより行う。
MF禁止モードが設定されているとき、ユーザがフォーカス環219を操作しても、フォーカスレンズ210cは駆動されない。MF禁止モードが設定されているとき、ユーザはAF操作による自動焦点調節処理によって、ピント位置を調節する。換言すれば、MF禁止モードとは、フォーカスモードがAFモードで固定されているモードである。
M/Aモードが設定されているとき、表示装置111にはいわゆるライブビュー表示が為されている。つまり、表示装置111の表示画面にはスルー画が表示されている。本実施形態では、ユーザがフォーカス環219を操作すると、ボディ制御部103はピント位置の手動調節を支援するため、表示装置111に表示されているスルー画を、その一部を切り出して拡大表示するように構成されている。これにより、ユーザは、合焦位置の前後の微調整を行うことができる。しかしながら、M/Aモードのときには必ず拡大表示をしなければ成らないものでは無く、1倍(等倍)表示を行うものであっても良い。M/Aモードのときに拡大表示にするか否かは、例えばユーザーにメニュー表示で選択させるように構成しておいても良い。
以下の説明では、ボディ制御部103が拡大表示を行っている状態を、拡大表示状態と称する。また、拡大表示を行っていない状態(1倍(等倍)状態)を、通常表示状態と称する。
ボディ制御部103が拡大表示状態のときに、フォーカス環219が一定期間(例えば10秒間)操作されなかった場合、ボディ制御部103は拡大表示状態から通常表示状態に復帰する。
(定常通信の説明)
ボディ制御部103とレンズ制御部203は、電源オンの間、所定周期(例えば16ミリ秒)ごとにコマンドデータ通信を行う。以下の説明では、この周期的に行われるコマンドデータ通信のことを、定常通信と称する。
定常通信において、ボディ制御部103はレンズ制御部203に対してカメラボディ100の種々の状態に関する情報を送信する。これと並行して、レンズ制御部203はボディ制御部103に対して交換レンズ200の種々の状態に関する情報を送信する。
ボディ制御部103からレンズ制御部203に送信される情報の中には、カメラボディ100にM/Aモードが設定されていることを表す情報や、カメラボディ100にMFモードが設定されていることを表す情報、カメラボディ100にMF禁止モードが設定されていることを表す情報(以降ではこれらを総称して「モード情報」または「モード信号」と称す場合がある)が含まれる。つまり、ボディ制御部103は、レンズ制御部203に、カメラボディ100の焦点調節に関する動作モードを表す情報(モード情報あるいはモード信号)を送信する。
ボディ制御部103からレンズ制御部203に送信される情報の中には、更に、カメラボディ100が通常表示状態であることを表す情報や、カメラボディ100が拡大表示状態であることを表す情報が含まれる。
レンズ制御部203からボディ制御部103に送信される情報の中には、単位時間(例えば、前回の定常通信から今回の定常通信までの時間)に検出されたフォーカス環219の移動量および移動方向を表す情報(操作情報)が含まれる。フォーカス環219の移動量は、例えば第1フォトインタラプタ213aおよび第2フォトインタラプタ213bから出力された検出信号のパルス数により表される。
(ボディ制御部103によるマニュアルフォーカス制御の説明)
図10は、ボディ制御部103およびレンズ制御部203により実行される制御処理のフローチャートである。まず、紙面左側に示した、ボディ制御部103が実行する制御処理について説明する。ボディ制御部103はこの制御処理を周期的に実行する。
まずステップS10においてボディ制御部103は、定常通信により、レンズ制御部203にモード信号を送信する。ステップS12においてボディ制御部103は、定常通信により、レンズ制御部203からフォーカス環219の移動量および移動方向を表す情報(操作情報)を受信する。ステップS14でボディ制御部103は、後述する状態遷移処理を実行する。
ステップS16でボディ制御部103は、カメラボディ100にMF禁止モードが設定されているか否かを判定する。MF禁止モードが設定されている場合、ボディ制御部103は図10に示す制御処理を終了する。他方、MF禁止モードが設定されていない場合、ボディ制御部103は処理をステップS18に進める。
ステップS18〜S28の処理において、ボディ制御部103は、定常時通信で交換レンズから受信した上述の操作情報に基づいて、その操作情報に応じたコマンド(駆動指示)を生成する。まずステップS18においてボディ制御部103は、交換レンズから受信した移動量(操作情報)が「0」であるか否かを判定する。移動量が「0」であった場合、ボディ制御部103は処理をステップS24に進める。ステップS24でボディ制御部103は、自動焦点調節処理を実行中か否かを判定する。自動焦点調節処理を実行中でなければ、ボディ制御部103は処理をステップ26に進める。ステップS26でボディ制御部103は、フォーカスレンズ停止コマンドを生成する。ステップS28でボディ制御部103は、コマンドデータ通信によりレンズ制御部203へフォーカスレンズ停止コマンドを送信する。他方、自動焦点調節処理を実行中であった場合、ボディ制御部103はフォーカスレンズ停止コマンドの生成および送信を行わず、図10の処理を終了する。
他方、ステップS18において、受信した移動量が0でなかった場合、ボディ制御部103は処理をステップS20に進める。ステップS20でボディ制御部103は、定常通信により受信したフォーカス環219の移動量および移動方向(上述した操作情報)に応じたフォーカスレンズ駆動コマンドを生成する。ステップS22でボディ制御部103は、コマンドデータ通信によりレンズ制御部203へ、ステップS20で生成したフォーカスレンズ駆動コマンドを送信する。このため、このフォーカスレンズ駆動コマンドには、制御パラメータとして、定常通信により受信したフォーカス環219の移動量および移動方向に応じた情報が含まれている。
次に、紙面右側に示した、レンズ制御部203が実行する制御処理について説明する。まずステップS30でレンズ制御部203は、定常通信によりボディ制御部103からモード信号を受信する。ステップS32でレンズ制御部203は、定常通信によりボディ制御部103へ操作情報を送信する。ステップ34でレンズ制御部203は、後述する状態遷移処理を実行する。ステップS36でレンズ制御部203は、ボディ制御部103からフォーカスレンズ駆動コマンドを受信したか否かを判定する。フォーカスレンズ駆動コマンドを受信していた場合、レンズ制御部203は処理をステップS40に進める。
ステップS40でレンズ制御部203は、フォーカス駆動部214に、フォーカス環219の移動量に応じた駆動量だけフォーカスレンズ210cを駆動させる。フォーカス環219の移動量が大きいほど、フォーカスレンズ210cの駆動量が大きくなる。
このとき、レンズ制御部203は、ステップS36で受信したフォーカスレンズ駆動コマンドの制御パラメータであるフォーカス環219の移動量に応じて、フォーカス駆動部214の制御方法を変化させる。
フォーカス環219の移動量が所定のしきい値(例えば3パルス)以下であった場合、フォーカスレンズ210cを、フォーカス環219の移動量に比例する駆動量だけ駆動させる。他方、フォーカス環219の移動量が所定のしきい値(例えば3パルス)を超えていた場合、次式(1)により演算される駆動速度でフォーカスレンズ210cを駆動させる。
v=ax2+bx+c …(1)
ここでvはフォーカスレンズ210cの駆動速度、xはフォーカス環219の移動量、a、b、cはそれぞれ所定の定数である。つまり、フォーカス環219の移動量が大きくなると、フォーカスレンズ210cの駆動速度は二次関数的に増加していく。
以上のように、レンズ制御部203は、フォーカス環219を微少に移動させた場合には駆動量に基づく制御を行い、高速にレスポンスよくフォーカスレンズ210cを駆動させる。また、フォーカス環219を大きく移動させた場合には駆動速度に基づく制御を行い、移動量に対して二次関数的に増加する駆動速度でフォーカスレンズ210cを大きく駆動させる。
ステップS36でフォーカスレンズ駆動コマンドを受信していなかった場合、レンズ制御部203は処理をステップS38に進める。ステップS38でレンズ制御部203は、ボディ制御部103からフォーカスレンズ停止コマンドを受信したか否かを判定する。フォーカスレンズ停止コマンドを受信していた場合、レンズ制御部203は処理をステップS42に進める。ステップS42でレンズ制御部203は、フォーカス駆動部214にフォーカスレンズ210cの駆動を停止させる。なお、フォーカスレンズ210cの駆動中では無かった場合には、レンズ制御部203は何もしない。
(交換レンズ200の動作状態の説明)
交換レンズ200は、動作している間、パルスカウント状態、誤操作防止状態、半消灯状態、全消灯状態、の4つの動作状態を択一的にとる。
交換レンズ200がパルスカウント状態であるとき、レンズ制御部203は、第1フォトインタラプタ213aおよび第2フォトインタラプタ213bから出力されるパルス状の検出信号に基づき、フォーカス環219の移動量および移動方向を検出する。交換レンズ200がパルスカウント状態であるとき、レンズ制御部203は、検出したフォーカス環219の移動量および移動方向を表す情報(操作情報)を、定常通信によりカメラボディ100に送信する。このときレンズ制御部203は、検出したフォーカス環219の移動量および移動方向をそのまま送信する。
交換レンズ200が誤操作防止状態であるとき、レンズ制御部203は、パルスカウント状態であるときと同様に、フォーカス環219の移動量および移動方向を検出する(換言すれば、操作情報を検出する)。ただし、定常通信により送信する移動量は「0」とする。つまり、誤操作防止状態におけるレンズ制御部203は、検出したフォーカス環219の移動量(操作情報)を「0」に修正して、この修正された操作情報(以降では「修正済み操作情報」と称す場合もある)をボディ制御部103に送信する。
交換レンズ200が半消灯状態であるとき、レンズ制御部203は、第1フォトインタラプタ213aおよび第2フォトインタラプタ213bのいずれか一方への通電を行わない(遮断する)。つまり、発光ダイオード161a,161bが発光せず、当該フォトインタラプタからは検出信号が出力されない。
従って、半消灯状態においてフォーカス環219が操作されても、レンズ制御部203には他方のフォトインタラプタからの検出信号のみが入力され、レンズ制御部203はフォーカス環219の移動方向を検出することができない。また、フォーカス環219の移動量の検出精度も低下する。ただし、一方のフォトインタラプタが電力を消費しなくなるので、パルスカウント状態や誤操作防止状態のときと比べて、交換レンズ200の消費電力は低減される。
交換レンズ200が半消灯状態であるとき、レンズ制御部203は、前述の誤操作防止状態のときと同様に、定常通信により送信する移動量(操作情報)を「0」に修正して、この修正された操作情報(修正済み操作情報)をボディ制御部103に送信する。
交換レンズ200が全消灯状態であるとき、レンズ制御部203は、第1フォトインタラプタ213aおよび第2フォトインタラプタ213bの両方に対して通電を行わない(遮断する)。従って、全消灯状態においてフォーカス環219が操作されても、レンズ制御部203には検出信号が一切入力されず、レンズ制御部203はフォーカス環219の移動量および移動方向を検出することができない。ただし、第1フォトインタラプタ213aおよび第2フォトインタラプタ213bが電力を消費しなくなるので、半消灯状態のときと比べて、交換レンズ200の消費電力は更に低減される。
次に、各動作状態間の関係について説明する。
図11は、ボディ制御部103により実行される状態遷移処理のフローチャートである。ステップS100においてボディ制御部103は、カメラボディ100にM/Aモードが設定されているか否かを判定する。M/Aモード以外の動作モードが設定されている場合、ボディ制御部103は図11の処理を終了する。他方、M/Aモードが設定されている場合、ボディ制御部103は処理をステップS110に進める。
ステップS110においてボディ制御部103は、カメラボディ100の現在の表示状態を判定する。表示状態が通常表示状態である場合、ボディ制御部103は処理をステップS120に進める。ステップS120でボディ制御部103は、交換レンズ200がパルスカウント状態に遷移したか否かを判定する。後述するように、カメラボディ100にM/Aモードが設定されている場合、レンズ制御部203はフォーカス環219が操作された場合に交換レンズ200をパルスカウント状態に遷移させる。つまりボディ制御部103はステップS120において、フォーカス環219が操作されたか否かを判定している。フォーカス環219が操作されていた場合、ボディ制御部103は処理をステップS130に進める。ステップS130でボディ制御部103は、カメラボディ100を拡大表示状態に遷移させる。他方、フォーカス環219が操作されていなかった場合、ボディ制御部103は図11の処理を終了する。
ステップS110においてカメラボディ100の表示状態が拡大表示状態であった場合、ボディ制御部103は処理をステップS140に進める。ステップS140でボディ制御部103は、ユーザにより所定のAF操作が為されたか否かを判定する。AF操作が為されていた場合、ボディ制御部103は処理をステップS160に進める。他方、AF操作が為されていない場合、ボディ制御部103は処理をステップS150に進める。
ステップS150でボディ制御部103は、所定時間以上フォーカス環219が操作されていないか否かを判定する。フォーカス環219が操作されていた場合、ボディ制御部103は図11の処理を終了する。他方、フォーカス環219が所定時間以上操作されていなかった場合、ボディ制御部103は処理をステップS160に進める。ステップS160でボディ制御部103は、カメラボディ100を通常表示状態に遷移させる。
以上のように、カメラボディ100にM/Aモードが設定されている場合において、レンズ制御部203が交換レンズ200を誤操作防止状態からパルスカウント状態に遷移させると、ボディ制御部103は拡大表示状態に遷移する。ボディ制御部103は、拡大表示状態のとき、ユーザが所定のAF操作を行うか、あるいは定常通信によりレンズ制御部203から送信されるフォーカス環219の移動量が一定期間0のままであった場合には、拡大表示状態から通常表示状態に遷移する。つまりボディ制御部103は、ユーザにこれ以上手動の焦点調節を継続する意思がないと推定される場合に、拡大表示状態から通常表示状態に遷移する。
図12は、レンズ制御部203により実行される状態遷移処理のフローチャートである。まずステップS200でレンズ制御部203は、カメラボディ100に設定されている動作モードを判定する。カメラボディ100にMF禁止モードが設定されている場合、レンズ制御部203は処理をステップS330に進める。
ステップS330においてレンズ制御部203は、交換レンズ200を全消灯状態に遷移させ、図12の処理を終了する。このように、レンズ制御部203は、定常通信によりボディ制御部103からカメラボディ100にMF禁止モードが設定されていることを表す情報(モード信号)を受信すると、交換レンズ200を全消灯状態に遷移させる。これは、MF禁止モードではフォーカス環219の操作量等を検出する必要がないためである。
ステップS200において、カメラボディ100にMFモードが設定されている場合、レンズ制御部203は処理をステップS310に進める。ステップS310でレンズ制御部203は、交換レンズ200をパルスカウント状態に遷移させ、図12の処理を終了する。このように、レンズ制御部203は、定常通信によりボディ制御部103からカメラボディ100にMFモードが設定されていることを表す情報(モード信号)を受信すると、交換レンズ200をパルスカウント状態に遷移させる。
ステップS200において、カメラボディ100にM/Aモードが設定されている場合、レンズ制御部203は処理をステップS210に進める。ステップS210でレンズ制御部203は、カメラボディ100に設定されている動作モードが、図12の処理を前回実行したときから変化しているか否かを判定する。前回は別の動作モードが設定されていた場合、すなわち新たにM/Aモードが設定されていた場合、レンズ制御部203は処理をステップS320に進める。ステップS320でレンズ制御部203は、交換レンズ200を誤操作防止状態に遷移させる。このように、レンズ制御部203は、定常通信によりボディ制御部103からカメラボディ100にM/Aモードが設定されていることを表す情報(モード信号)を受信すると、交換レンズ200をまず誤操作防止状態に遷移させる。
ステップS210で前回から動作モードが変化していなかった場合、レンズ制御部203は処理をステップS220に進める。ステップS220でレンズ制御部203は、交換レンズ200の現在の状態を判定する。交換レンズ200が誤操作防止状態であった場合、レンズ制御部203は処理をステップS230に進める。
ステップS230でレンズ制御部203は、第1フォトインタラプタ213aおよび第2フォトインタラプタ213bの検出信号において、所定時間(例えば200ミリ秒)以内に2パルス分のエッジが検出されたか否かを判定する。2パルス分のエッジが検出されていた場合、レンズ制御部203は処理をステップS260に進める。ステップS260でレンズ制御部203は、交換レンズ200をパルスカウント状態に遷移させる。このように、レンズ制御部203は、交換レンズ200が誤操作防止状態のとき、第1フォトインタラプタ213aおよび第2フォトインタラプタ213bの検出信号において、所定時間(例えば200ミリ秒)以内に2パルス分のエッジが検出された場合、レンズ制御部203は交換レンズ200をパルスカウント状態に遷移させる。つまりレンズ制御部203は、ユーザに手動の焦点調節を行う意思があると推定される場合に、交換レンズ200を誤操作防止状態からパルスカウント状態に遷移させる。
このようにしたのは、自動焦点調節処理が行われているときにフォーカス環219が意図せずに動かされてしまった場合でも、自動焦点調節処理が継続されるようにするためである。換言すると、手指等が多少フォーカス環219に触れただけで自動焦点調節処理が中断されてしまうことを防止するためである。
ステップS230において、2パルス分のエッジが検出されていなかった場合、レンズ制御部203は処理をステップS240に進める。ステップS240でレンズ制御部203は、所定時間(例えば30秒)以上、第1フォトインタラプタ213aおよび第2フォトインタラプタ213bの検出信号からパルスが検出されていないか否かを判定する。パルスが検出されていなかった場合、レンズ制御部203は処理をステップS250に進める。ステップS250でレンズ制御部203は、交換レンズ200を半消灯状態に遷移させる。他方、ステップS240においてパルスが検出されていた場合、レンズ制御部203は図12の処理を終了する。このように、カメラボディ100にM/Aモードが設定されており、且つ交換レンズ200が誤操作防止状態のとき、所定時間(例えば30秒)以上、第1フォトインタラプタ213aおよび第2フォトインタラプタ213bの検出信号からパルスが検出されなかった場合、すなわち所定時間以上フォーカス環219が操作されなかった場合、レンズ制御部203は交換レンズ200を半消灯状態に遷移させる。
ステップS220において、交換レンズ200がパルスカウント状態であった場合、レンズ制御部203は処理をステップS290に進める。ステップS290でレンズ制御部203は、所定時間(例えば3秒)以上、第1フォトインタラプタ213aおよび第2フォトインタラプタ213bの検出信号からパルスが検出されていないか否かを判定する。パルスが検出されていなかった場合、レンズ制御部203は処理をステップS320に進める。ステップS320でレンズ制御部203は、交換レンズ200を誤操作防止状態に遷移させる。他方、ステップS290でパルスが検出されていた場合、レンズ制御部203は処理をステップS300に進める。ステップS300でレンズ制御部203は、カメラボディ100が通常表示状態に遷移したか否かを判定する。カメラボディ100が通常表示状態に遷移していた場合、レンズ制御部203は処理をステップS320に進める。ステップS320でレンズ制御部203は、交換レンズ200を誤操作防止状態に遷移させる。他方、ステップS300においてカメラボディ100が通常表示状態に遷移していなかった場合、レンズ制御部203は図12の処理を終了する。
このように、カメラボディ100にM/Aモードが設定されており、且つ交換レンズ200がパルスカウント状態のとき、所定時間(例えば3秒)以上、第1フォトインタラプタ213aおよび第2フォトインタラプタ213bの検出信号からパルスが検出されなかった場合、すなわち所定時間以上フォーカス環219が操作されなかった場合、レンズ制御部203は交換レンズ200を誤操作防止状態に遷移させる。また、カメラボディ100にM/Aモードが設定されており、且つ交換レンズ200がパルスカウント状態のとき、ボディ制御部103が拡大表示状態から通常表示状態に遷移すると、レンズ制御部203は交換レンズ200を誤操作防止状態に遷移させる。つまりレンズ制御部203は、ユーザにこれ以上手動の焦点調節を継続する意思がないと推定される場合に、交換レンズ200をパルスカウント状態から誤操作防止状態に遷移させる。
ステップS220において、交換レンズ200が半消灯状態であった場合、レンズ制御部203は処理をステップS270に進める。ステップS270でレンズ制御部203は、第1フォトインタラプタ213aまたは第2フォトインタラプタ213bの検出信号において、所定時間(例えば200ミリ秒)以内に2パルス分のエッジが検出されたか否かを判定する。2パルス分のエッジが検出されていなかった場合、レンズ制御部203は図12の処理を終了する。他方、2パルス分のエッジが検出されていた場合、レンズ制御部203は処理をステップS280に進める。ステップS280でレンズ制御部203は、交換レンズ200をパルスカウント状態に遷移させる。このように、カメラボディ100にM/Aモードが設定されており、且つ交換レンズ200が半消灯状態のとき、第1フォトインタラプタ213aまたは第2フォトインタラプタ213bの検出信号において、所定時間(例えば200ミリ秒)以内に2パルス分のエッジが検出された場合、レンズ制御部203は交換レンズ200をパルスカウント状態に遷移させる。つまりレンズ制御部203は、ユーザに手動の焦点調節を行う意思があると推定される場合に、交換レンズ200を半消灯状態からパルスカウント状態に遷移させる。
上述した第1の実施の形態によるカメラシステムによれば、次の作用効果が得られる。
(1)レンズ側第1通信部217(受信手段)は、カメラボディ100から、カメラボディ100の動作モードに関する情報(モード信号)を受信する。レンズ制御部203(検出手段、修正手段)は、フォーカス環219(移動部材)の移動量および移動方向を示す操作情報を検出し、レンズ側第1通信部217により受信された情報に基づいて、検出したフォーカス環219の移動量および移動方向を修正する。このようにしたので、カメラボディの動作モードに応じた柔軟な制御(制限も含む制御)が行われる使い勝手のよい交換レンズを提供することができる。またカメラボディ側においても、交換レンズ側にモード情報を送信するように構成したので、フォーカス環の操作情報に関して交換レンズ側から、カメラの動作モード(フォーカスモード)に応じた適切な情報を受け取ることができる。
(2)カメラボディ100の動作モードに関する情報は、焦点調節に関するMFモード(第1モード)およびM/Aモード(第2モード)の一方を表す。このようにしたので、交換レンズ200は、カメラボディ100の焦点調節に関する動作モードに基づく制御を行うことができる。
(3)レンズ制御部203は、レンズ側第1通信部217によりMFモードを表す情報が受信された場合には、検出したフォーカス環219の移動量および移動方向を修正せず、レンズ側第1通信部217は、MFモードを表す情報を受信した場合には、レンズ制御部203により検出されたフォーカス環219の移動量および移動方向を表す情報を送信する。このようにしたので、MFモードが設定されている場合には、ユーザーがフォーカス環219によるマニュアルフォーカス操作を意図しているものと推定されるので、フォーカス環219の操作がそのままカメラボディ100に伝達され、ボディ制御部103はフォーカス環219の操作量に応じた種々の制御を行うことができる。
(4)レンズ制御部203は、レンズ側第1通信部217によりM/Aモードを表す情報が受信された場合で、且つ、検出したフォーカス環219の単位時間あたりの移動量が所定量以上であった場合には、検出したフォーカス環219の移動量および移動方向を修正しない。また、レンズ側第1通信部217は、M/Aモードを表す情報を受信した場合で、且つ、レンズ制御部203により検出されたフォーカス環219の単位時間あたりの移動量が所定量以上であった場合には、レンズ制御部203により検出されたフォーカス環219の移動量および移動方向を表す情報を送信する。このようにしたので、M/Aモードが設定されている場合であっても、フォーカス環219が一定以上の大きさで動かされた場合には、ユーザーがフォーカス環219によるマニュアルフォーカス操作を意図しているものと推定されるので、フォーカス環219の操作がそのままカメラボディ100に伝達され、ボディ制御部103はフォーカス環219の操作量に応じた種々の制御を行うことができる。
(5)レンズ制御部203は、レンズ側第1通信部217によりM/Aモードを表す情報が受信された場合で、且つ、検出したフォーカス環219の単位時間あたりの移動量が所定量未満であった場合には、ユーザーがフォーカス環219によるマニュアルフォーカス操作を意図しているものでは無い(単なる誤操作)と推定されるので、検出したフォーカス環219の移動量を0に修正する。このようにしたので、M/Aモードのときにフォーカス環219をユーザーが不用意に微少に移動させてしまったとしても、不意に(ユーザーの意図の反して)自動焦点調節処理が中断される虞がなくなり、ユーザーの使い勝手を良くできる。つまり本実施形態によれば、M/Aモードのときのフォーカス環への微小操作(誤操作と見做せるような操作)の場合には、その誤操作に応じたMFモードへの遷移(AFモードの中断)を制限できるので、AFモードが維持され、フォーカスが意図せずに突然合わなくなってシャッターチャンスを逃すという虞も低減できる。
(6)MFモードは、自動焦点調節を行わないマニュアルフォーカスモードである。また、M/Aモードは、自動焦点調節も手動焦点調節も行えるオートマニュアル併用モードである。このようにしたので、MFモードのときにはフォーカスレンズ210cの微調整をレスポンスよく行うことができ、M/Aモードのときにはフォーカスレンズ210cの上述の如き誤操作を抑止することができる。
次のような変形も本発明の範囲内であり、変形例の一つ、もしくは複数を上述の実施形態と組み合わせることも可能である。
(変形例1)
本発明は、図1に示したものとは異なるカメラシステムに適用することもできる。例えば、クイックリターンミラーを備えた、いわゆる一眼レフレックス方式のカメラシステムにも本発明を適用することが可能である。
(変形例2)
上述した実施形態では、交換レンズ側で検出されたフォーカス環219の移動量および移動方向の情報(操作情報)を、いったんカメラボディ側に送信し、カメラボディ側ではその操作情報に応じた駆動指示(コマンド)を生成し、その後でカメラボディ側から交換レンズ側に、改めてフォーカスレンズ210cを駆動するためにその生成したコマンドを送信していた。これを、交換レンズ内で処理が完結するように構成してもよい。つまり、レンズ制御部203がフォーカス環219の移動量および移動方向を検出し、その後、当該移動量および移動方向に基づきフォーカスレンズ210cを駆動させてもよい。
これについて詳述すると、レンズ制御部203は、カメラボディからカメラの動作モード(上記実施形態に記載したようなフォーカスモード)を示すモード信号を受け取ると、そのモード信号に応じて、上述したようなパルスカウント状態、誤操作防止状態、半消灯状態、全消灯状態、の4つの動作状態を択一的に選択設定する。その選択設定された状態下における、フォーカス環219に対する操作情報の処理(操作情報をそのまま利用する、或いは操作情報を修正して修正済み情報として利用する)については、上記実施形態と同様であり、その場合の作用効果も同様である。ただし上記実施形態では、操作情報あるいは修正済み操作情報をカメラボディに送信する処理をしていたが、本変形例ではカメラボディに送信することはせずに、レンズ制御部203が、その操作情報あるいは修正済み操作情報を使ってフォーカスレンズの駆動制御を直接行うものである。
このように交換レンズ内で処理が完結する構成にすれば、カメラボディ側のボディ制御部は、フォーカス環219の操作情報に応じたコマンド生成をせずに済むのでボディ制御部での処理負荷が軽減される利点がある。
交換レンズ内で処理が完結する別の構成として、次に述べるような構成も実現可能である。それは、カメラボディから受信したフォーカスモード信号に応じて、レンズ制御部203が、フォーカス環219の操作を無効にすべき状況であると判別した(設定された)場合には、たとえフォーカス環219の操作情報を上述の検出部(上述のフォトインタラプタ)で検出したとしても、レンズ制御部203が、その操作情報を受信しない、或いは受信してもそれを無効として扱うように構成するものである。このように構成しても上記と同様の利点が得られる。
(変形例3)
上述した実施形態の交換レンズ200を、焦点距離が可変な、いわゆるズームレンズとして構成してもよい。この場合、パルスカウント状態においてズーム操作が為され、焦点距離が変化してから一定時間(例えば100ミリ秒間)、定常通信で送信されるフォーカス環219の移動量を「0」とするようにしてもよい。このようにすることで、ズーム操作の際に意図せずフォーカス環219を動かしてしまった場合であっても、フォーカスレンズ210cが駆動されなくなり、交換レンズ200の使い勝手が向上する。
また、フォーカスレンズ駆動コマンドを受信したレンズ制御部203が、焦点距離ごとにフォーカスレンズ210cの駆動量や駆動速度を変化させるようにしてもよい。例えば、焦点距離に応じた係数を駆動量や駆動速度に乗じたり、焦点距離に応じて上式(1)の定数a,b,cを変化させるようにしてもよい。
本発明の特徴を損なわない限り、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の形態についても、本発明の範囲内に含まれる。