前述した従来の情報機器においては、ケースの環状部に、圧力センサーを覆うキャップを収容し固定するための開口部を設ける必要がある。さらに、従来の情報機器はケースの環状部の内側にも圧力センサーを取付けるための固定フレームを設ける必要がある。このため、ケースのセンサー収容のためのスペースを確保する必要があった。また、そのセンサー収容部を確保するために、ケース内部の設計に制約を与えていた。
そこで、本発明は、ケース内に設けるセンサー実装のために必要となるスペースを小さくすることができるセンサー取付構造体、情報機器および腕時計を提供することを解決課題としている。
上述の課題を解決するため、本発明のセンサー取付構造体の一態様は、腕時計のケースに圧力センサーを取り付けるセンサー取付構造体において、前記ケースの外面に取り付けられ、前記圧力センサーを収容する収容部を備えたセンサー収容体と、前記収容部に収容された圧力センサーと、外気を前記圧力センサーに連通させる連通部を備え、前記収容部を閉じるセンサーカバーと、を備える。
上述したセンサー取付構造体の一態様によれば、センサーを収容するセンサー収容体が、ケースの外面に取付けられるため、センサー取付けのためにケース内に要するスペースが小さくてすむ。
上述したセンサー取付構造体の一態様において、前記センサーカバーと前記圧力センサーとの間にカバーが設けられ、前記カバーは、前記連通部の開口面積と比較して小さい開口面積の孔を有することが好ましい。
この態様によれば、異物侵入防止用カバーは、連通部の開口面積より小さい面積の孔を有するので、センサーへの塵埃の侵入が防止されると共に、センサーカバーの連通部を通しての塵埃等のセンサーへの直接的な接触が防止される。
上述したセンサー取付構造体の一態様において、前記連通部は、前記センサーカバーの前記収容部側の面に設けられた溝として設けられていることが好ましい。
この態様によれば、センサーカバーに設ける連通部が、センサーカバーにおけるケース側の面である内側の面に設けられた溝として形成されることにより、センサーへの塵埃の侵入が生じにくくなる。
上述した本発明のセンサー取付構造体の一態様において、前記収容部と前記圧力センサーとの隙間を封止するパッキンを備えることが好ましい。
この態様によれば、パッキンは収容部とセンサーとの隙間を封止するので、気水密性を確保することができる。
上述した本発明のセンサー取付構造体の一態様において、前記パッキンは、前記圧力センサーと前記収容部との隙間の位置に対応して切れ込みが設けられていることが好ましい。
この態様によれば、センサーに外側から接するパッキンを、内周側、外周側の環状突出部を備えた2山構造とする。パッキンの内周側の第1の環状突出部が、センサーにおけるセンサーにおけるカバー部の方向の面(ケースの反対側の面)に接し、一方、外周側の第2の環状突出部は、センサー収容体におけるカバー部の方向の面(ケースの反対側の面)に接する。このため、センサー収容体においてセンサーを収容する収容部の内周面とセンサーの外周面との間からの空気や水等の流体の漏れが防止され、高い気水密性を確保される。また、第1の環状突出部と第2の環状突出部がそれぞれ独立した伸縮性を発揮し、内周側の第1の環状突出部がセンサーの外面に接することにより、センサーの内外方向の位置を規制する位置決めする機能を発揮する。
上述した本発明のセンサー取付構造体の一態様において、前記センサー収容体は、前記収容部に連なって設けられ、前記パッキンを嵌め込む段状凹部を有することが好ましい。
この態様によれば、センサー収容体に、パッキンを収容する段状凹部を形成することにより、センサーやパッキンがセンサー収容体に組み込み易くなる。
本発明に係る腕時計の一態様は、気圧センサーをケースの外部から装着した腕時計において、前記ケースの外面に取り付けられ、前記気圧センサーを収容する収容部を備えたセンサー収容体と、 前記収容部に収容された圧力センサーと、外気を前記圧力センサーに連通させる連通部を備え、前記収容部を閉じるセンサーカバーと、を備えたセンサー取付構造体を4時の位置に設けたことを特徴とする。
この態様によれば、腕時計の大型化を防ぐことができる。また、センサーを腕時計の4時の位置に設ければ、操作の必要がないセンサーを腕時計における操作が容易でない位置に設けることとなり、2時や8時や10時の位置等の好適な位置に操作子を設けることができる。また、圧力センサーが手首の表面に当たり難くなる。
図1ないし図4は、本発明のセンサー取付構造体の一実施形態およびセンサー取付構造体を用いて構成される腕時計を示す図である。図1ないし図4において、腕時計1は、腕に装着するためのバンドの図示を省略している。この腕時計1は気圧や水圧を測定する機能を有する。このような機能としては、例えば検出した気圧に基づく高度推定機能、天気予想機能、水深推定機能、ダイビング情報表示機能がある。
腕時計1のケース2は、環状部2aと、ケース2の表面部に設けられる透明のカバーガラス2bとを有する。ケース2の裏面には裏蓋(図示せず)が取付けられる。環状部2aの両端には不図示のバンドを接続するバンド取付け部2c,2cが設けられている。ケース2内には時刻やセンサーによる検知信号から得られた測定値を表示するための電子回路や電源(いずれも図示せず)が収容される。ユーザーが操作するための操作子3がケース2に取付けられている。
図2において、腕時計1に取付けられる圧力センサー5を取付けるためのセンサー取付構造体は、ケース2の環状部2aの外面に設けられたセンサー取付け面部2dと、圧力センサー5を収容するセンサー収容体6と、センサー収容体6とセンサー取付け面部2dとの間に設ける防水シール用のパッキン7と、カバー部Cとを備える。カバー部Cは、センサー収容体6との間で圧力センサー5を固定する。具体的には、カバー部Cは、センサーカバー8および取付けねじ9と、異物侵入防止用カバー10と、防水シール用のパッキン11とを備える。センサーカバー8は、圧力センサー5を覆うとともに、圧力センサー5をセンサー収容体6との間で固定する。異物侵入防止用カバー10は、センサー収容体6とセンサーカバー8との間に設けられる。パッキン11は、センサー収容体6と異物侵入防止用カバー10との間に設けられる。
図2に示すように、センサー取付け面部2dは、センサー収容体6の一部が嵌め込まれる凹部としてケース2の外面部に形成されている。このセンサー取付け面部2dの中央に、圧力センサー5と、ケース2の内部に収容する電子回路とを接続する接続線あるいは接触子等の接続ライン(図示せず)を通すための貫通孔2eが設けられる。貫通孔2eにおけるケース2の半径方向の外側には、防水シール用のパッキン7の一部を嵌め込むための段状凹部2fが形成されている。また、センサー取付け面部2d内における貫通孔2eの両側には、センサーカバー8をセンサー収容体6に取付ける取付けねじ9を螺合するためのねじ孔2gが設けられている。
図3に示すように、センサー取付構造体における組立後の状態を図2の矢印E方向から見ると、取付けねじ9によって、センサーカバー8がセンサー収容体6に押圧されて、ケース2の環状部2aに取り付けられる。
図4(B)に示すように、センサー収容体6は、そのケース2側である内側に突出する突出部6aを有する。この突出部6aは、図2に示したセンサー取付け面部2dの貫通孔2eに嵌め込まれるものである。図4(A),(C)に示すように、センサー収容体6は、突出部6aを含めた領域に、ケース2の半径方向に向けて、圧力センサー5を収容する円形の収容部6bを有する。また、センサー収容体6におけるカバー部Cの方向の面であって、収容部6bに連なるように、防水シール用のパッキン11を嵌め込む段状凹部6cが形成されている。
また、センサー収容体6の突出部6aに、圧力センサー5をケース側から支持するセンサー支持部6dが、円形をなす収容部6bの半径方向の内側に突出させて形成されている。センサー収容体6は、収容部6bの両側に設けられた貫通孔6eを備え、この貫通孔6eは取付けねじ9を挿通するものである。センサー収容体6はセンサーカバー接する面6gから外側に突出させて形成された突出縁6fを有する。この突出縁6fで囲まれた領域に、センサーカバー8および異物侵入防止用カバー10を嵌め込んで位置決めするものである。
パッキン7,11の材料は例えばフッ素系ゴム等であり、弾性を有する。図5(A)にパッキン11の平面図を示し、図5(B)に図5(A)の破断線F−Fで切断したパッキン11の断面図を示す。パッキン11は、円環状の形状をしており、内側の第1の環状突出部11aの中心と、外側の第2の環状突出部11bの中心とが略一致する同芯形状となっている。
図6に本実施形態のセンサー取付構造体の断面を示す。同図に示すように、圧力センサー5におけるケース2の反対側の突出部5aの周囲には外面部5bが設けられている。外面部5bは、収容部6bに収容された圧力センサー5におけるカバー部Cの方向の面である。外面部5bはパッキン11の第1の環状突出部11aは外面部5bに接する。一方、パッキン11の第1の環状突出部11aはセンサー収容体6の段状凹部6cに嵌め込まれる。すなわち、パッキン11は2山の構造をしており、外側の山がセンサー収容体6に押圧され、内側の山が圧力センサー5に押圧される。このように2つの構造の各々に各山が変形しながら接するので、センサー収容体6と圧力センサー5との間に隙間を確実に封止すことができる。
図7に示すように、センサーカバー8は、中央部に圧力センサー5に備える圧力検知部(図示せず)に圧力を伝えるために、センサーカバー8を介して外界を圧力センサーに連通させる貫通孔からなる連通部8aを備える。また、センサーカバー8は連通部8aの両側に、取付けねじ9を挿通する貫通孔8bを備える。図8に示すように、異物侵入防止用カバー10は、センサーカバー8の連通部8aに対面する中央の領域に、外界と空気または水を連通させる一方、塵埃等の小さな異物の通過を防止するための複数の小孔10aを備える。この小孔10aは、連通部8aの開口面積と比較して小さな面積の円孔からなる。異物侵入防止用カバー10における複数の小孔10aを設けた領域の両側に、取付けねじ9を通す貫通孔10b,10bを備える。なお、図7のセンサーカバー8と図8の異物進入防止用カバー10との間に、例えば、空気を通過させ異物を通過させないテフロン(登録商標)シートを介在させても良い。
本実施形態の圧力センサー5は、図6に示す構造でケース2に取付けられる。すなわち、ケース2の環状部2aに設けられた取付け面部2dの貫通孔2eの周囲の段状凹部2fにパッキン7を嵌め、センサー収容体6に設けられた突出部6aを、取付け面部2dの貫通孔2eに嵌めて、センサー収容体6の一部を取付け面部2dに嵌め込む。また、センサー収容体6に設けられた圧力センサー5の収容部6bに圧力センサー5を嵌め込み、圧力センサー5の外側に設けた突出部5aとセンサー収容体6の段状凹部6cとの間に、パッキン11を嵌める。また、パッキン11に重ねて、異物侵入防止用カバー10とセンサーカバー8とを、センサー収容体6の外周の突出縁6f内に重ねて嵌め込む。
そして、取付けねじ9を、センサーカバー8の貫通孔8b、異物侵入防止用カバー10の貫通孔10b、およびセンサー収容体6の貫通孔6eに挿通して、ケース2の取付け面部2dに設けられたねじ孔2gに螺合し締結する。これにより、センサー収容体6、パッキン11.異物侵入防止用カバー10およびセンサーカバー8と共に圧力センサー5がケース2に取付けられる。また、この取付けねじ9によるセンサー収容体6等の締結により、パッキン7,11が圧縮される。なお、これらの部材の組み立て順序は、種々に変更でき、ケース2内の電子回路と圧力センサー5との電気的な接続は、不図示の接続ラインを介して行なわれる。
このように圧力センサー5をセンサー収容体6と共にケース2に取付けた状態においては、図6に示すように、パッキン11の内周側の第1の環状突出部11aが圧力センサー5の突出部5aの周囲の外面部5bに圧接して圧縮される。また、パッキン11の外周側の第2の環状突出部11bはセンサー収容体6の段状凹部6cに圧接して圧縮される。これにより、圧力センサー5の周囲と収容部6bとの内壁との間の隙間を封止して、外界との間の水や空気を遮断することができる。
このように、本実施形態においては、圧力センサー5を収容するセンサー収容体6が、ケース2の外面に設けられた取付け面部2dに取付けられるため、センサー取付けのためにケース2に設けるセンサー収容部の規模が小さくてすむ。
また、センサーカバー8とセンサー収容体6との間に挟持される異物侵入防止用カバー10を備え、その異物侵入防止用カバー10は、センサーカバー8に設けられた連通部8aの開口面積と比較して小さい面積の小孔10aを複数、備えることにより、圧力センサー5への塵埃の侵入が防止されると共に、センサーカバー8の連通部8aを通しての塵埃等の圧力センサー5への直接的な接触が防止される。
また、本実施形態においては、圧力センサー5の内側を支持するセンサー支持部6dを有する収容部6bに圧力センサー5を収容し、圧力センサー5の外側に設けるパッキン11は、圧力センサー5の外面に接する第1の環状突出部11aと、その第1の環状突出部11aの外周側に位置して、センサー収容体6におけるセンサーの周囲の面に接する第2の環状突出部11bとを備える2山構造としている。このため、これらの環状突出部11a,11bがそれぞれ個別に圧力センサー5の外面部5bと段状凹部6cとに接し、それぞれの環状突出部11a,11bが圧力センサー5の外面部5bと段状凹部6cとに位置ずれがあっても、その位置ずれに環状突出部11a,11bが対応して圧縮され、優れた気水密性が得られる。
また、内周側の第1の環状突出部11aが圧力センサー5の外面部5bに接することにより、センサーの内外方向の位置を規制する位置決めする機能を発揮する。また、本実施形態においては、第1の環状突出部11aにより圧力センサー5の突出部5aを嵌め込んだ構造を有するため、第1の環状突出部11aが圧力センサー5の半径方向の位置決め機能も発揮する。
また、本実施形態においては、センサー収容体6に設ける圧力センサー5の収容部6bの周囲に、パッキン11を収容する段状凹部6cを設けているので、圧力センサー5やパッキン11がセンサー収容体6に組み込み易くなる。
図9はセンサーカバーの他の例であり、このセンサーカバー8Xは、ケース2側、すなわち圧力センサー5側の面に、圧力センサー5を外界に連通させるための連通部8cを溝状に形成したものである。
このように、図9の例においては、センサーカバー8Xに設ける連通部8cを、センサーカバー8Xにおけるケース2側の面である内側の面に設けられた溝として形成しているので、センサーカバー8の連通部8cはセンサーカバー8Xの表面に露出しないから、圧力センサー5への異物の侵入が生じにくくなる。なお、溝の方向は任意に設計可能である。例えば、図面ではセンサーカバー8Xの短辺方向に沿って設けているが、貫通孔8bの双方を連結するように溝を形成しても良い。
本実施形態においては、図1に示すように、圧力センサー5を腕時計1の4時の位置に設けている。この4時の位置は、操作子3を設けた場合に、押し込み等の操作が困難な位置である。このように、操作の必要がない圧力センサー5を腕時計1の4時の位置に設けることにより、2時や8時や10時の位置等に操作が必要な操作子3を設けることができ、合理的な配置が実現される。また、圧力センサー5が手首の表面に当たり難くなる。
上記実施形態においては、ケース2や圧力センサー5を円形に形成しているが、これらは4角形等の多角形に形成してもよい。
また、本発明は腕時計として構成されるものではなく、高度計や深度計専用の機器あるいは時計以外の他の機能を有する機構と複合して構成されるものであってもよい。また、ケース2に取付けられるセンサーは、圧力センサー以外のものであってもよい。
また、本発明は、腕時計として構成されるもののみならず、ユーザーに情報を表示する情報機器及び他の機器との間で情報を送受信する情報機器にも適用することができる。特に、本発明をウエラブル機器に適用すれば、ウエラブル機器は体に装着する関係上小型であることが好ましいため、センサーを設ける際にケースの大型化を抑制できるという重要な効果を発揮する。
その他、本発明を実施する場合、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、構成部材やその組み合わせについて、種々の変更、付加が可能である。