JP2018150439A - 引裂き強度に優れたゴム組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた引裂き強度を有するゴム組成物を提供すること。
【解決手段】ゴム成分、下記一般式(1):
Figure 2018150439

[式中、X及びXは、同一又は異なって、置換基を有していてもよい複素環基を示す。]
で表されるテトラジン化合物又はその塩を含む添加剤を含有するゴム組成物であって、
前記ゴム成分100質量部中にスチレンブタジエン共重合体ゴムが30質量部以上含まれ、該スチレンブタジエン共重合体ゴムが、溶液重合スチレンブタジエン共重合体ゴムと乳化重合スチレンブタジエン共重合体ゴムとを10〜90:90〜10の質量比で混合したものである、ゴム組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、引裂き強度に優れたゴム組成物に関する。
ゴム成形体は、機械、家電、土木建材、自動車、車両等の用途に広く使用されている。なかでも、タイヤ、コンベアベルト、防振ゴム等に利用されるゴム組成物は、過酷な繰り返し振動を受けるために、強い耐久性が求められる。
耐久性の問題を解決するため、例えば、コンベアベルト用ゴム組成物として、ブタジエン系重合体とジエン系重合体とを含むゴム成分、及び比表面積が40m/g以上の酸化亜鉛を特定の割合で含むゴム組成物が提案されている(特許文献1)。ゴム支承用ゴム組成物として、特定のジエン系ゴムと、カーボンブラックとを特定の割合で含有するゴム組成物が提案されている(特許文献2)。タイヤ用ゴム組成物として、ジエン系ゴムと、加硫促進剤と、N−フェニル−N−(トリクロロメチルチオ)ベンゼンスルホンアミドとを含有するゴム組成物が提案されている(特許文献3)。
しかしながら、これら特許文献1〜3に記載のゴム組成物は、引裂き強度が不十分であった。
特開2013−133190号公報 特表2015−218184号公報 特開2016−060837号公報
本発明の目的は、優れた引裂き強度を有するゴム組成物を提供することである。
本発明の他の目的の一つは、優れた引裂き強度を有するタイヤを提供することである。
本発明の他の目的の一つは、優れた引裂き強度を有する防振ゴムを提供することである。
本発明の他の目的の一つは、優れた引裂き強度を有する免震ゴムを提供することである。
本発明の他の目的の一つは、優れた引裂き強度を有するベルトを提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、ゴム成分に特定量含まれるSBRを、溶液重合物と乳化重合物の混合物で構成し、さらにテトラジン系化合物を添加することにより、ゴム組成物の引裂き強度が向上することを見出した。本発明者らは、かかる知見に基づき、さらに検討を行った結果、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下に示す、ゴム組成物、タイヤ、防振ゴム、免震ゴム、及びベルトを提供する。
項1.
ゴム成分、下記一般式(1):
Figure 2018150439
[式中、X及びXは、同一又は異なって、置換基を有していてもよい複素環基を示す。]
で表されるテトラジン化合物又はその塩を含有するゴム組成物であって、
前記ゴム成分100質量部中にスチレンブタジエン共重合体ゴムが30質量部以上含まれ、該スチレンブタジエン共重合体ゴムが、溶液重合スチレンブタジエン共重合体ゴムと乳化重合スチレンブタジエン共重合体ゴムとを10〜90:90〜10の質量比で混合したものである、ゴム組成物。
項2.
さらに無機充填材及び/又はカーボンブラックを含有し、ゴム成分100質量部に対して無機充填材及び/又はカーボンブラックを10〜120質量部、及び前記テトラジン化合物又はその塩を0.1〜10質量部含む、項1に記載のゴム組成物。
項3.
項1又は2に記載のゴム組成物を用いて作製されたタイヤ。
項4.
項1又は2に記載のゴム組成物を用いて作製された防振ゴム。
項5.
項1又は2に記載のゴム組成物を用いて作製された免震ゴム。
項6.
項1又は2に記載のゴム組成物を用いて作製されたベルト。
本発明のゴム組成物は、ゴム成分100質量部中に30質量部以上含まれるSBRが、溶液重合SBRと乳化重合SBRを特定の比で含む混合物であり、さらにテトラジン系化合物を含むことにより、優れた引裂き強度を有する。
本発明は、優れた引裂き強度を有するゴム組成物を用いてタイヤ、防振ゴム、免震ゴム、及びベルトを作製することで、優れた耐引裂き性を有するタイヤ、防振ゴム、免震ゴム、及びベルトを提供することができる。
以下に、本発明の詳細を説明する。
1.ゴム組成物
本発明のゴム組成物は、ゴム成分、及び下記一般式(1)で表されるテトラジン化合物又はその塩(以下、「テトラジン化合物(1)」ということもある。)を含んでいる。
一般式(1):
Figure 2018150439
[式中、X及びXは、同一又は異なって、置換基を有していてもよい複素環基を示す。]
また、本発明のゴム組成物は、ゴム成分とテトラジン化合物(1)を処理して得られる変性ポリマー、架橋剤及び共架橋剤を含んでいる。
本発明のゴム組成物中、テトラジン化合物(1)の配合量は、ゴム成分100質量部に対して、通常0.1〜10質量部であり、好ましくは0.25〜5質量部であり、より好ましくは0.5〜2質量部である。
ゴム成分
本発明のゴム組成物に配合されるゴム成分としては、特に制限はなく、例えば、天然ゴム(NR)、合成ジエン系ゴム、及び天然ゴムと合成ジエン系ゴムとの混合物、並びにこれら以外の非ジエン系ゴムが挙げられる。
天然ゴムとしては、天然ゴムラテックス、技術的格付けゴム(TSR)、スモークドシート(RSS)、ガタパーチャ、杜仲由来天然ゴム、グアユール由来天然ゴム、ロシアンタンポポ由来天然ゴム、植物成分発酵ゴムなどが挙げられ、さらにこれら天然ゴムを変性した、エポキシ化天然ゴム、メタクリル酸変性天然ゴム、スチレン変性天然ゴムなどの変性天然ゴムなども、本発明の天然ゴムに含まれる。
合成ジエン系ゴムとしては、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体ゴム(EPDM)、スチレン−イソプレン−スチレン三元ブロック共重合体(SIS)、スチレン−ブタジエン−スチレン三元ブロック共重合体(SBS)、エチレン−α−オレフィン共重合ゴム(SPO)、エチレン−α−オレフィン−ジエン共重合ゴム等、及びこれらの変性合成ジエン系ゴムが挙げられる。変性合成ジエン系ゴムには、主鎖変性、片末端変性、両末端変性などの変性手法によるジエン系ゴムが包含される。ここで、変性合成ジエン系ゴムの変性官能基としては、エポキシ基、アミノ基、アルコキシ基、水酸基、アルコキシシリル基、ポリエーテル基、カルボキシル基などの各種官能基が挙げられ、これら官能基は1種又は2種以上が変性合成ジエン系ゴムに含まれていてもよい。
合成ジエン系ゴムの製造方法は、特に制限はなく、乳化重合、溶液重合、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合などが挙げられる。また、合成ジエン系ゴムのガラス転移点においても、特に制限はない。
また、天然ゴム及び合成ジエン系ゴムの二重結合部のシス/トランス/ビニルの比率については、特に制限はなく、いずれの比率においても好適に用いることができる。また、ジエン系ゴムの数平均分子量および分子量分布は、特に制限はない。ジエン系ゴムは、数平均分子量500〜3000000、分子量分布1.5〜15が好ましい。
非ジエン系ゴムとしては、公知のものを広く使用することができる。
本発明のゴム組成物には、ゴム成分として、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)が、ゴム成分100質量部中に通常30質量部以上含まれ、50質量部以上含まれることが好ましく、70質量部以上含まれることがより好ましい。
該スチレンブタジエン共重合体ゴム(SBR)は、溶液重合スチレンブタジエン共重合体ゴム(溶液重合SBR)と乳化重合スチレンブタジエン共重合体ゴム(乳化重合SBR)とを通常10〜90:90〜10、好ましくは25〜75:75〜25、より好ましくは40〜60:60〜40の質量比で混合したものである。ゴム成分として、溶液重合SBRと乳化重合SBRとを上記の範囲で混合したSBRを30質量部以上含むことにより、ゴム組成物の引裂き強度を向上させることができる。
前記溶液重合SBRとしては、スチレン含量及びビニル含量が異なる各種のグレードのものを使用することができる。例えば、スチレン含量が10〜40質量%、及びビニル含量が10〜60質量%の範囲である溶液重合SBRが挙げられる。このような溶液重合SBRとしては、旭化成株式会社製 タフデン(登録商標) 1000、タフデン(登録商標) 2000R、タフデン(登録商標) 2003;JSR株式会社製 JSR SL552、JSR SL563等が挙げられる。
前記乳化重合SBRとしては、スチレン含量が10〜40質量%の範囲のものを使用することができる。このような乳化重合SBRとしては、JSR株式会社製 JSR 1500、JSR 1502、JSR 1507;日本ゼオン株式会社製 Nipol(登録商標) 1502、Nipol(登録商標) 1723等が挙げられる。
ゴム成分100質量部中に30質量部以上含まれるSBRを、溶液重合SBRと乳化重合SBRを10〜90:90〜10の質量比で混合したものとすることにし、以下のテトラジン系化合物により変性させることで、優れた引裂き強度を有するゴム組成物が得られる。
SBR以外のゴム成分は、上述のものを1種単独で、又は2種以上を混合(ブレンド)して用いることができる。中でも、好ましいゴム成分としては、天然ゴム、IR、BR、及びEPDMからなる群より選ばれる少なくとも1種のゴム成分、又は2種以上の混合物であり、より好ましくはBRである。また、2種以上を混合する場合、これらのブレンド比率は、特に制限はない。
テトラジン化合物(1)
本発明のゴム組成物には、下記一般式(1)で表されるテトラジン化合物又はその塩が配合される。
一般式(1):
Figure 2018150439
[式中、X及びXは、同一又は異なって、置換基を有していてもよい複素環基を示す。]
本明細書において、「複素環基」としては、特に限定はなく、例えば、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、2−ピラジニル基、2−ピリミジル基、4−ピリミジル基、5−ピリミジル基、3−ピリダジル基、4−ピリダジル基、4−(1,2,3−トリアジル)基、5−(1,2,3−トリアジル基)、2−(1,3,5−トリアジル)基、3−(1,2,4−トリアジル)基、5−(1,2,4−トリアジル)基、6−(1,2,4−トリアジル)基、2−キノリル基、3−キノリル基、4−キノリル基、5−キノリル基、6−キノリル基、7−キノリル基、8−キノリル基、1−イソキノリル基、3−イソキノリル基、4−イソキノリル基、5−イソキノリル基、6−イソキノリル基、7−イソキノリル基、8−イソキノリル基、2−キノキサリル基、3−キノキサリル基、5−キノキサリル基、6−キノキサリル基、7−キノキサリル基、8−キノキサリル基、3−シンノリル基、4−シンノリル基、5−シンノリル基、6−シンノリル基、7−シンノリル基、8−シンノリル基、2−キナゾリル基、4−キナゾリル基、5−キナゾリル基、6−キナゾリル基、7−キナゾリル基、8−キナゾリル基、1−フタラジル基、4−フタラジル基、5−フタラジル基、6−フタラジル基、7−フタラジル基、8−フタラジル基、1−テトラヒドロキノリル基、2−テトラヒドロキノリル基、3−テトラヒドロキノリル基、4−テトラヒドロキノリル基、5−テトラヒドロキノリル基、6−テトラヒドロキノリル基、7−テトラヒドロキノリル基、8−テトラヒドロキノリル基、1−ピロリル基、2−ピロリル基、3−ピロリル基、2−フリル基、3−フリル基、2−チエニル基、3−チエニル基、1−イミダゾリル基、2−イミダゾリル基、4−イミダゾリル基、5−イミダゾリル基、1−ピラゾリル基、3−ピラゾリル基、4−ピラゾリル基、5−ピラゾリル基、2−オキサゾリル基、4−オキサゾリル基、5−オキサゾリル基、2−チアゾリル基、4−チアゾリル基、5−チアゾリル基、3−イソオキサゾリル基、4−イソオキサゾリル基、5−イソオキサゾリル基、3−イソチアゾリル基、4−イソチアゾリル基、5−イソチアゾリル基、4−(1,2,3−チアジアゾリル)基、5−(1,2,3−チアジアゾリル)基、3−(1,2,5−チアジアゾール)基、2−(1,3,4−チアジアゾール)基、4−(1,2,3−オキサジアゾリル)基、5−(1,2,3−オキサジアゾリル)基、3−(1,2,4−オキサジアゾリル)基、5−(1,2,4−オキサジアゾリル)基、3−(1,2,5−オキサジアゾリル)基、2−(1,3,4−オキサジアゾリル)基、1−(1,2,3−トリアゾリル)基、4−(1,2,3−トリアゾリル)基、5−(1,2,3−トリアゾリル)基、1−(1,2,4−トリアゾリル)基、3−(1,2,4−トリアゾリル)基、5−(1,2,4−トリアゾリル)基、1−テトラゾリル基、5−テトラゾリル基、1−インドリル基、2−インドリル基、3−インドリル基、4−インドリル基、5−インドリル基、6−インドリル基、7−インドリル基、1−イソインドリル基、2−イソインドリル基、3−イソインドリル基、4−イソインドリル基、5−イソインドリル基、6−イソインドリル基、7−イソインドリル基、1−ベンゾイミダゾリル基、2−ベンゾイミダゾリル基、4−ベンゾイミダゾリル基、5−ベンゾイミダゾリル基、6−ベンゾイミダゾリル基、7−ベンゾイミダゾリル基、2−ベンゾフラニル基、3−ベンゾフラニル基、4−ベンゾフラニル基、5−ベンゾフラニル基、6−ベンゾフラニル基、7−ベンゾフラニル基、1−イソベンゾフラニル基、3−イソベンゾフラニル基、4−イソベンゾフラニル基、5−イソベンゾフラニル基、6−イソベンゾフラニル基、7−イソベンゾフニル基、2−ベンゾチエニル基、3−ベンゾチエニル基、4−ベンゾチエニル基、5−ベンゾチエニル基、6−ベンゾチエニル基、7−ベンゾチエニル基、2−ベンゾオキサゾリル基、4−ベンゾオキサゾリル基、5−ベンゾオキサゾリル基、6−ベンゾオキサゾリル基、7−ベンゾオキサゾリル基、2−ベンゾチアゾリル基、4−ベンゾチアゾリル基、5−ベンゾチアゾリル基、6−ベンゾチアゾリル基、7−ベンゾチアゾリル基、1−インダゾリル基、3−インダゾリル基、4−インダゾリル基、5−インダゾリル基、6−インダゾリル基、7−インダゾリル基、2−モルホリル基、3−モルホリル基、4−モルホリル基、1−ピペラジル基、2−ピペラジル基、1−ピペリジル基、2−ピペリジル基、3−ピペリジル基、4−ピペリジル基、2−テトラヒドロピラニル基、3−テトラヒドロピラニル基、4−テトラヒドロピラニル基、2−テトラヒドロチオピラニル基、3−テトラヒドロチオピラニル基、4−テトラヒドロチオピラニル基、1−ピロリジル基、2−ピロリジル基、3−ピロリジル基、2−テトラヒドロフラニル基、3−テトラヒドロフラニル基、2−テトラヒドロチエニル基、3−テトラヒドロチエニル基等が挙げられる。中でも、好ましい複素環基としては、ピリジル基、フラニル基、チエニル基、ピリミジル基又はピラジル基であり、より好ましくはピリジル基である。
これら複素環基は、置換可能な位置に、任意の数の置換基を有していてもよく、該置換基としては、特に限定はなく、例えば、ハロゲン原子、アミノ基、アミノアルキル基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、カルボキシル基、カルボキシアルキル基、ホルミル基、ニトリル基、ニトロ基、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、水酸基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、複素環基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基等が挙げられる。
本明細書において、「ハロゲン原子」としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられ、好ましくは塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子である。
本明細書において、「アミノ基」には、−NHで表されるアミノ基だけでなく、例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、s−ブチルアミノ基、t−ブチルアミノ基、1−エチルプロピルアミノ基、n−ペンチルアミノ基、ネオペンチルアミノ基、n−ヘキシルアミノ基、イソヘキシルアミノ基、3−メチルペンチルアミノ基等の炭素数1〜6(特に炭素数1〜4)の直鎖状又は分岐状のモノアルキルアミノ基;ジメチルアミノ基、エチルメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等の炭素数1〜6(特に炭素数1〜4)の直鎖状又は分岐状のアルキル基を2つ有するジアルキルアミノ基等の置換アミノ基も含まれる。
本明細書において、「アミノアルキル基」としては、特に限定はなく、例えば、アミノメチル基、2−アミノエチル基、3−アミノプロピル基等のアミノアルキル基等が挙げられる。
本明細書において、「アルコキシカルボニル基」としては、特に限定はなく、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等が挙げられる。
本明細書において、「アシル基」としては、特に限定はなく、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ピバロイル基等の炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状アルキルカルボニル基が挙げられる。
本明細書において、「アシルオキシ基」としては、特に限定はなく、例えば、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、n−ブチリルオキシ基等が挙げられる。
本明細書において、「アミド基」としては、特に限定はなく、例えば、アセトアミド基、ベンズアミド基等のカルボン酸アミド基;チオアセトアミド基、チオベンズアミド基等のチオアミド基;N−メチルアセトアミド基、N−ベンジルアセトアミド基等のN−置換アミド基;等が挙げられる。
本明細書において、「カルボキシアルキル基」としては、特に限定はなく、例えば、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシ−n−プロピル基、カルボキシ−n−ブチル基、カルボキシ−n−ブチル基、カルボキシ−n−ヘキシル基等のカルボキシ−アルキル基(好ましくはカルボキシ基を有する炭素数1〜6のアルキル基)が挙げられる。
本明細書において、「アルキル基」としては、特に限定はなく、例えば、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基が挙げられ、具体的には、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、1−エチルプロピル、n−ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、イソヘキシル、3−メチルペンチル基等の炭素数1〜6(特に炭素数1〜4)の直鎖状又は分岐状アルキル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等の炭素数3〜8(特に炭素数3〜6)の環状アルキル基等が挙げられる。
本明細書において、「ヒドロキシアルキル基」としては、特に限定はなく、例えば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシ−n−プロピル基、ヒドロキシ−n−ブチル基等のヒドロキシ−アルキル基(好ましくはヒドロキシ基を有する炭素数1〜6のアルキル基)が挙げられる。
本明細書において、「アルコキシ基」としては、特に限定はなく、例えば、直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシ基が挙げられ、具体的には、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基の炭素数1〜6(特に炭素数1〜4)の直鎖状又は分岐状のアルコキシ基;シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、シクロオクチルオキシ基等の炭素数3〜8(特に炭素数3〜6)の環状アルコキシ基等が挙げられる。
本明細書において、「アリール基」としては、特に限定はなく、例えば、フェニル、ビフェニル、ナフチル、ジヒドロインデニル、9H−フルオレニル基等が挙げられる。
本明細書において、「アリールオキシ基」としては、特に限定はなく、例えば、フェノキシ基、ビフェニルオキシ基、ナフトキシ基等が挙げられる。
本明細書において、「アルキルチオ基」としては、特に限定はなく、例えば、直鎖状、分岐状又は環状のアルキルチオ基が挙げられ、具体的には、例えば、メチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、イソプロピルチオ、n−ブチルチオ、イソブチルチオ、s−ブチルチオ、t−ブチルチオ、1−エチルプロピルチオ、n−ペンチルチオ、ネオペンチルチオ、n−ヘキシルチオ、イソヘキシルチオ、3−メチルペンチルチオ基等の炭素数1〜6(特に炭素数1〜4)の直鎖状又は分岐状のアルキルチオ基;シクロプロピルチオ、シクロブチルチオ、シクロペンチルチオ、シクロヘキシルチオ、シクロヘプチルチオ、シクロオクチルチオ基等の炭素数3〜8(特に炭素数3〜6)の環状アルキルチオ基等が挙げられる。
本明細書において、「アリールチオ基」としては、特に限定はなく、例えば、フェニルチオ、ビフェニルチオ、ナフチルチオ基等が挙げられる。
一般式(1)で表されるテトラジン化合物の「塩」としては、特に限定はなく、あらゆる種類の塩が含まれる。このような塩としては、例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩等の無機酸塩;酢酸塩、メタンスルホン酸塩等の有機酸塩;ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩;ジメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム等の第4級アンモニウム塩等が挙げられる。
これらテトラジン化合物(1)の中でも、好ましい化合物は、X及びXが、同一又は異なって、置換基を有していてもよいピリジル基、置換基を有していてもよいフラニル基、置換基を有していてもよいチエニル基、置換基を有していてもよいピラゾリル基、置換基を有していてもよいピリミジル基、又は置換基を有していてもよいピラジル基である化合物である。
より好ましいテトラジン化合物(1)は、X及びXが、同一又は異なって、置換基を有していてもよい2−ピリジル基、置換基を有していてもよい3−ピリジル基である化合物である。
テトラジン化合物(1)の具体例としては、
3,6−ビス(2−ピリジル)−1,2,4,5−テトラジン、
3,6−ビス(3−ピリジル)−1,2,4,5−テトラジン、
3,6−ビス(4−ピリジル)−1,2,4,5−テトラジン、
3,6−ビス(2−フラニル)−1,2,4,5−テトラジン、
3−メチル−6−(3−ピリジル)−1,2,4,5−テトラジン、
3,6−ビス(2−チエニル)−1,2,4,5−テトラジン、
3,6−ビス(2−ピリミジニル)−1,2,4,5−テトラジン、
3,6−ビス(2−ピラジル)−1,2,4,5−テトラジン等が挙げられる。
中でも、好ましいテトラジン化合物(1)は、3,6−ビス(2−ピリジル)−1,2,4,5−テトラジン、3,6−ビス(3−ピリジル)−1,2,4,5−テトラジン、3,6−ビス(2−フラニル)−1,2,4,5−テトラジン、及び3,6−(4−ピリジル)−1,2,4,5−テトラジンであり、さらに好ましいテトラジン化合物(1)は、3,6−ビス(2−ピリジル)−1,2,4,5−テトラジン、及び3,6−ビス(3−ピリジル)−1,2,4,5−テトラジンである。
テトラジン化合物(1)をゴム成分に添加することで、ゴム組成物の引裂き強度を向上させることができる。このようなテトラジン化合物(1)を含むゴム組成物から作製(製造)されたタイヤ、防振ゴム、免震ゴム、及びベルトは、耐引裂き性に優れている。
本発明のゴム組成物には、必要に応じて適宜、無機充填材及び/又はカーボンブラックを配合することができる。
無機充填材の配合量としては、ゴム成分100質量部に対して、通常5〜130質量部であり、好ましくは7.5〜100質量部であり、より好ましくは10〜80質量部である。
カーボンブラックの配合量としては、ゴム成分100質量部に対して、通常2〜130質量部であり、好ましくは4〜100質量部であり、より好ましくは6〜80質量部である。
なお、本発明のゴム組成物において、無機充填材及び/又はカーボンブラックの配合量は、両成分の合計量で、例えば、ゴム成分100質量部に対して、通常10〜130質量部、好ましくは25〜100質量部、より好ましくは40〜90質量部となるよう各成分を上記配合量の範囲内で適宜調整すればよい。
なお、無機充填材及び/又はカーボンブラックを配合するときは、予めポリマーと湿式または乾式で混合されたマスターバッチを用いてもよい。
上記無機充填材又はカーボンブラックは、通常、ゴムの補強性を向上させるために用いられる。なお、本明細書においては、無機充填材にカーボンブラックは含まれない。
無機充填材
無機充填材としては、ゴム工業界において、通常使用される無機化合物である限り、特に制限はない。使用できる無機化合物としては、例えば、シリカ;γ−アルミナ、α−アルミナ等のアルミナ(Al);ベーマイト、ダイアスポア等のアルミナ一水和物(Al・HO);ギブサイト、バイヤライト等の水酸化アルミニウム[Al(OH)];炭酸アルミニウム[Al(CO]、水酸化マグネシウム[Mg(OH)]、酸化マグネシウム(MgO)、炭酸マグネシウム(MgCO)、タルク(3MgO・4SiO・HO)、アタパルジャイト(5MgO・8SiO・9HO)、チタン白(TiO)、チタン黒(TiO2n−1)、酸化カルシウム(CaO)、水酸化カルシウム[Ca(OH)]、酸化アルミニウムマグネシウム(MgO・Al)、クレー(Al・2SiO)、カオリン(Al・2SiO・2HO)、パイロフィライト(Al・4SiO・HO)、ベントナイト(Al・4SiO・2HO)、ケイ酸アルミニウム(AlSiO、Al・3SiO・5HO等)、ケイ酸マグネシウム(MgSiO、MgSiO等)、ケイ酸カルシウム(Ca・SiO等)、ケイ酸アルミニウムカルシウム(Al・CaO・2SiO等)、ケイ酸マグネシウムカルシウム(CaMgSiO)、炭酸カルシウム(CaCO)、酸化亜鉛(ZnO)、硫酸バリウム(BaSO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、水酸化ジルコニウム[ZrO(OH)・nHO]、炭酸ジルコニウム[Zr(CO]、各種ゼオライトのように電荷を補正する水素、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む結晶性アルミノケイ酸塩等が挙げられる。これらの無機充填材は、ゴム成分との親和性を向上させるために、該無機充填材の表面が有機処理されていてもよい。
これら無機充填材の中でも、ゴムに強度を付与する観点から、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、シリカが好ましく、より好ましくは酸化亜鉛である。
これら無機充填材は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
カーボンブラック
カーボンブラックとしては、特に制限はなく、例えば、市販品のカーボンブラック、Carbon-Silica Dual phase filler等が挙げられる。ゴム成分にカーボンブラックを含有することにより、ゴムの電気抵抗を下げて、帯電を抑止する効果、さらにゴムの強度を向上させる効果を享受できる。
具体的に、カーボンブラックとしては、例えば、高、中又は低ストラクチャーのSAF、ISAF、IISAF、N110、N134、N220、N234、N330、N339、N375、N550、HAF、FEF、GPF、SRFグレードのカーボンブラック等が挙げられる。中でも、好ましいカーボンブラックとしては、SAF、ISAF、IISAF、N134、N234、N330、N339、N375、HAF、又はFEFグレードのカーボンブラックである。
カーボンブラックのDBP吸収量としては、特に制限はなく、好ましくは60〜200cm/100g、より好ましくは70〜180cm/100g以上、特に好ましくは80〜160cm/100gである。
また、カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA、JIS K 6217−2:2001に準拠して測定する)は、好ましくは30〜200m/g、より好ましくは40〜180m/g、特に好ましくは50〜160m/gである。
カーボンブラックが配合されたゴム組成物では、テトラジン化合物(1)が、又はゴム成分とテトラジン化合物(1)との反応物が、カーボンブラックと強く相互作用をすることが考えられる。したがって、本発明のゴム組成物によれば、特にカーボンブラックの分散性が大幅に向上し、ゴム組成物の引裂き強度が著しく向上する。
その他の配合剤
本発明のゴム組成物には、上記テトラジン化合物(1)、無機充填材及び/又はカーボンブラック以外にも、ゴム工業界で通常使用される配合剤、例えば、硫黄等の加硫剤を配合することができる。本発明のゴム組成物には、さらに、別の配合剤、例えば、老化防止剤、ステアリン酸等の滑剤、軟化剤、加工助剤、ワックス、樹脂、発泡剤、オイル、加硫促進剤、加硫遅延剤等を、本発明の目的を害しない範囲内で適宜選択して配合することができる。これら配合剤としては、市販品を使用することができる。
ゴム組成物の製造方法
本発明のゴム組成物の製造方法としては、特に制限されず、従来より公知の方法により製造することができ、例えば、ゴム成分、テトラジン化合物(1)、並びに、必要に応じて無機充填材及び/又はカーボンブラックを含む原料成分を混練する工程(I)、並びに工程(I)で得られる混合物、及び加硫剤を混練する工程(II)を含む方法が挙げられる。
工程(I)
工程(I)は、ゴム成分、テトラジン化合物(1)、必要に応じて無機充填材及び/又はカーボンブラックを含む原料成分を混練する工程である。
工程(I)では、さらに必要に応じて、上記のその他の配合剤等を配合することができる。
工程(I)における混練方法としては、例えば、ゴム成分、テトラジン化合物(1)、必要に応じて無機充填材及び/又はカーボンブラックを含む組成物を混練する方法が挙げられる。この混練方法においては、各成分の全量を一度に混練してもよく、粘度調整等の目的に応じて、各成分を分割投入して混練してもよい。また、ゴム成分と、必要に応じて配合される無機充填材及び/又はカーボンブラックを含む原料成分とを混練した後、テトラジン化合物(1)を投入して混練するか、ゴム成分とテトラジン化合物(1)とを混練した後、必要に応じて配合される無機充填材及び/又はカーボンブラックを含む原料成分を投入して混練してもよい。各成分を均一に分散させるために、混練操作を繰り返し行ってもよい。
工程(I)におけるゴム組成物を混合する際の温度としては、特に制限はなく、例えば、ゴム組成物の温度が60〜190℃であることが好ましく、80〜175℃であることがより好ましく、100〜170℃であることがさらに好ましい。
工程(I)における混合時間としては、特に制限はなく、例えば、10秒間から20分間であることが好ましく、30秒間から10分間であることがより好ましく、2分間から7分間であることがさらに好ましい。
また、工程(I)における別の混練方法としては、ゴム成分とテトラジン化合物(1)とを混練する工程(I−1)、並びに工程(I−1)で得られた混合物(変性ポリマー)と、必要に応じて配合される無機充填材及び/又はカーボンブラックを含む原料成分とを混練する工程(I−2)を含む二段階の混練方法を挙げることができる。
工程(I−1)におけるゴム成分とテトラジン化合物(1)とを混合する際の温度としては、80〜190℃であることが好ましく、90〜160℃であることがより好ましく、100〜150℃であることがさらに好ましい。混合温度を上記の範囲内にすることにより、ゴムを劣化させることなく反応を進行させることができる。
工程(I−1)における混合時間としては、10秒間〜20分間が望ましく、30秒間〜10分間であることがより好ましく、60秒間〜7分間であることがさらに好ましい。混合時間を上記の範囲内にすることにより、生産性を低下させることなく反応を十分に進行させることができる。
工程(I−2)における工程(I−1)で得られた混合物(変性ポリマー)と、必要に応じて配合される無機充填材及び/又はカーボンブラックを含む原料成分とを混合する際の温度及び時間としては、特に制限はなく、混合物の温度が60〜190℃であることが好ましく、80〜175℃であることがより好ましく、100〜170℃であることがさらに好ましい。
工程(I−2)における混合時間としては、特に制限はなく、例えば、10秒間から20分間であることが好ましく、30秒間から10分間であることがより好ましく、2分間から7分間であることがさらに好ましい。
工程(I)において、ゴム成分(ジエン系ゴム)の二重結合部とテトラジン化合物(1)とが反応し、変性ポリマーを形成し、無機充填材及び/又はカーボンブラックが好適に分散された混合物を得ることができる。
工程(II)
工程(II)は、工程(I)で得られる混合物、及び加硫剤を混合する工程であり、混練の最終段階を意味している。
工程(II)では、さらに必要に応じて、加硫促進剤等を配合することができる。
工程(II)の混合(又は混練)温度としては、特に制限はなく、例えば、60〜140℃であることが好ましく、80〜120℃であることがより好ましく、90〜120℃であることがさらに好ましい。
混合(又は混練)時間としては、特に制限はなく、例えば、10秒間から20分間であることが好ましく、30秒間から10分間であることがより好ましく、60秒間から5分間であることがさらに好ましい。
工程(I)から工程(II)に進む際には、前段階の工程終了後の温度より、30℃以上低下させてから次の工程(II)へ進むことが好ましい。
本発明のゴム組成物の製造方法において、通常、ゴム組成物に配合されるステアリン酸、亜鉛華、加硫促進剤、老化防止剤等の各種配合剤を、必要に応じて、工程(I)又は工程(II)において添加することができる。
上記の工程(I)及び工程(II)により、ゴム成分中のジエン系ゴムにテトラジン化合物(1)を処理して得られた変性ポリマー、並びに無機充填材及び/又はカーボンブラックを含有するゴム組成物を製造することができる。
本発明におけるゴム組成物は、バンバリーミキサー、ロール、インテンシブミキサー、ニーダー、二軸押出機等を用いて混合又は混練される。
なお、本発明のゴム組成物には、ゴム成分、テトラジン化合物(1)、及び必要により無機充填剤及び/又はカーボンブラックが配合された組成物、並びに、ゴム成分中のジエン系ゴムにテトラジン化合物(1)を処理して得られた変性ポリマー、並びに無機充填材及び/又はカーボンブラックを含有するゴム組成物の両方が包含される。
工程(I)又は(I−1)において形成される変性ポリマーは、次の反応式−1〜4に示すような反応が進行することにより製造される。
Figure 2018150439
[式中、X及びXは前記に同じ。]
反応式−1においては、式(A−1)で表されるジエン系ゴムの二重結合部位とテトラジン化合物(1)との逆電子要請型Aza−Diels−Alder反応によって、式(B−1)で表されるビシクロ環構造を形成する。このビシクロ環構造中の−N=N−部は、脱窒素化が容易に進行し、式(C−1)、(C−2)又は(C−3)で表される六員環構造を形成するが、更に空気中の酸素によって酸化され、式(2−1)で表される六員環構造を有する、変性ポリマーが製造される。
Figure 2018150439
[式中、X及びXは前記に同じ。]
反応式−2においては、反応式−1と同様に、式(A−2)で表されるジエン系ゴムの二重結合部位とテトラジン化合物(1)とから、式(B−2)又は(B−2’)で表されるビシクロ環構造、次いで式(C−4)乃至(C−9)で表される六員環構造を形成した後、式(2−2)又は(2−3)で表される六員環構造を有する、変性ポリマーが製造される。
Figure 2018150439
[式中、X及びXは前記に同じ。Rはアルキル基又はハロゲン原子を示す。]
反応式−3においては、式(A−3)で表されるジエン系ゴムの二重結合部位とテトラジン化合物(1)との逆電子要請型Aza−Diels−Alder反応により、式(B−3)又は(B−3’)で表されるビシクロ環構造を形成した後、脱窒素化により式(2−4)乃至(2−7)で表される六員環構造を有する、変性ポリマーが製造される。なお、式(A−3)で表されるジエン系ゴムの二重結合部位上Rがハロゲン原子である場合は、そのハロゲン原子の脱離が生じることがあり、その場合は、酸化反応により式(2−1)で表される六員環構造を有する、変性ポリマーが製造される。
Figure 2018150439
[式中、X、X及びRは前記に同じ。]
反応式−4においては、反応式−3の反応と同様に、式(A−4)で表されるジエン系ゴムの二重結合部位とテトラジン化合物(1)との反応により、式(B−4)又は、(B−4’)で表されるビシクロ環構造を形成した後、式(2−8)乃至(2−11)で表される六員環構造を有する、変性ポリマーが製造される。
以上のように、製造された変性ポリマーは、窒素原子等のヘテロ原子を有しており、このヘテロ原子が無機充填材(特にシリカ)及びカーボンブラックと強く相互作用をすることから、ゴム組成物中の分散性を高め、高い低発熱性を付与することができる。
なお、本発明のゴム組成物は、ゴム成分、特にジエン系ゴムの二重結合とテトラジン化合物(1)とが反応して製造される変性ポリマー、好ましくは、下記式(2−1)〜(2−11)で表される化合物構造から選ばれる少なくとも1つを有する変性ポリマーを含有するゴム組成物を包含する。
Figure 2018150439
[式中、X、X及びRは前記に同じ。]
2.用途
このようにして得られたゴム組成物は、タイヤ用、防振ゴム用、免震ゴム用、コンベアベルト等のベルト用等の各種ゴム部材に用いることができる。
本発明のゴム組成物をタイヤに用いる場合、乗用車用タイヤ、トラック、バス等の大型タイヤ等の各種用途及びサイズの空気入りタイヤのトレッド部、サイドウォール部、ビード部、タイヤコード被覆用ゴム等のタイヤの各部位に適用することができる。すなわち、本発明のゴム組成物は、常法に従い、例えば、押出加工によって所定の形状に成形され、他の部品と組み合わせた後、例えば140〜180℃の加硫成形することにより、空気入りタイヤを製造することができる。
本発明のゴム組成物を防振ゴムに用いる場合、本発明のゴム組成物を硬化させることにより防振ゴムを製造することができる。前記ゴム組成物の硬化は、例えば、ゴム組成物に上述の加硫剤を配合し、加熱することにより、硬化することができる。ゴム組成物を硬化させる際の硬化条件(加硫条件)は、特に限定されるものはなく、通常140〜180℃、好ましくは150〜170℃で、5〜120分間の条件を採用することができる。本発明のゴム組成物を硬化させてなる防振ゴムは、引裂き強度が要求される環境において使用される防振ゴム、例えば、自動車のエンジンマウント、ストラットマウント、ボディマウント、サスペンションブッシュ等に使用する防振ゴムとして用いることができる。
また、本発明のゴム組成物をベルト、特にコンベアベルトに用いる場合、例えば、前記ゴム組成物を補強材に密着させ、加硫することにより製造することができる。具体的には、前記ゴム組成物を押出成形等することによってシート状のカバーゴム層を製造し、補強材を該カバーゴム層で上下から挟み込み、このベルト成形品を金型にセットして所定の温度及び圧力で所定時間加硫する。なお、補強材は、コンベアベルトの用途に応じ、サイズ等を考慮して通常コンベアベルトに用いられるものを適宜選択して使用することができる。
以下、製造例及び実施例を示して、本発明について具体的に説明する。ただし、実施例はあくまで一例であって、本発明は、実施例に限定されない。
製造例1:3,6−ビス(3−ピリジル)−1,2,4,5−テトラジンの製造
200mL四つ口フラスコに、3−シアノピリジン24g(0.23モル)、水加ヒドラジン15g(1.3当量)、及びメタノール48mLを加え、室温で撹拌した。次いで、この混合物に、硫黄3.6g(15重量%)を加え、還流管を装着して外温70℃にて一晩加熱撹拌した。この反応液を氷冷し、結晶を濾過して少量の冷メタノールで洗浄した。粗結晶を減圧下乾燥し、橙色のジヒドロテトラジン粗結晶19gを得た。
得られた粗結晶17.8gを、酢酸178g(40当量)に溶解し、硫黄を濾去した。1L四つ口ナスフラスコに、ジヒドロテトラジン酢酸溶液、及び蒸留水178mLを加え、氷冷下撹拌した。亜硝酸ナトリウム15.5g(3当量)を蒸留水35mLに溶解し、反応液に1時間程度かけて滴下し、室温で一晩撹拌した。析出した結晶を濾過し、結晶を10%重層水で中和し粗結晶とした。該粗結晶をシリカゲルカラム(酢酸エチル)にて精製し、表題のテトラジン化合物(1a)8.4g(赤紫色、針状結晶)を得た。
融点:200℃、
H−NMR(300MHz,CDCl,δppm):
7.59(ddd,J =0.9,5.1,7.8 Hz,2H),8.89−8.96(m,4H),9.88(dd,J =0.9,2.4Hz,2H)
実施例1〜10及び比較例1〜2
下記表1及び2の工程(I)に記載の各成分をその割合(質量部)で混合し、バンバリーミキサーで混合物の最高温度が160℃になるように回転数を調整しながら5分間混練した。混合物の温度が80℃以下になるまで養生させた後、表1及び2の工程(II)に記載の各成分をその割合(質量部)で投入し、混合物の最高温度が110℃以下になるよう調整しながら混練して、ゴム組成物を製造した。
引裂強度指数
上記実施例1〜10及び比較例1〜2で得られたゴム組成物の各引裂強度指数は、JIS K6252によりクレセント型試験片を用いて、室温下、引張速度500mm/minの条件で測定した。ここで得られた比較例の値を100とした指数で表し、数値が高いほど引裂き強度が優れていることを示す。
Figure 2018150439
Figure 2018150439
[表中の記号の説明]
表1及び2において使用する原料を以下に示す。
*1: 溶液重合SBR、JSR株式会社製、品種「SL552」
*2: 乳化重合SBR、JSR株式会社製、品種「SBR1502」
*3: Sinopec Qilu Petrochemical Co., Ltd.製、商品名「BR9000」
*4: GUANGKEN RUBBER社製、商品名「TSR20」
*5: Quechen Silicon Chemical Co., Ltd.製、商品名「HD165MP」
*6: Evonik Industries AG製、商品名「Si69」
*7: Cabot社製、商品名「N234」
*8: Kemai Chemical Co., Ltd.製、商品名「6−PPD」
*9: Dalian Zinc Oxide Co., Ltd.製
*10: Sichuan Tianyu Grease Chemical Co., Ltd.製
*11: Hansen & Rosenthal社製、商品名「Vivatec 500」
*12: Shanghai Jinghai Chemical Co.,Ltd.製
*13: Kemai Chemical Co., Ltd.製、商品名「DPG」
*14: Kemai Chemical Co., Ltd.製、商品名「CBS」
*15: 3,6−ビス(3−ピリジル)−1,2,4,5−テトラジン(製造例1で製造した化合物)
*16: 3,6−ビス(2−ピリジル)−1,2,4,5−テトラジン、東京化成工業株式会社製
*17: 3,6−ビス(4−ピリジル)−1,2,4,5−テトラジン、東京化成工業株式会社製

Claims (6)

  1. ゴム成分、下記一般式(1):
    Figure 2018150439
    [式中、X及びXは、同一又は異なって、置換基を有していてもよい複素環基を示す。]
    で表されるテトラジン化合物又はその塩を含有するゴム組成物であって、
    前記ゴム成分100質量部中にスチレンブタジエン共重合体ゴムが30質量部以上含まれ、該スチレンブタジエン共重合体ゴムが、溶液重合スチレンブタジエン共重合体ゴムと乳化重合スチレンブタジエン共重合体ゴムとを10〜90:90〜10の質量比で混合したものである、ゴム組成物。
  2. さらに無機充填材及び/又はカーボンブラックを含有し、ゴム成分100質量部に対して無機充填材及び/又はカーボンブラックを10〜120質量部、及び前記テトラジン化合物又はその塩を0.1〜10質量部含む、請求項1に記載のゴム組成物。
  3. 請求項1又は2に記載のゴム組成物を用いて作製されたタイヤ。
  4. 請求項1又は2に記載のゴム組成物を用いて作製された防振ゴム。
  5. 請求項1又は2に記載のゴム組成物を用いて作製された免震ゴム。
  6. 請求項1又は2に記載のゴム組成物を用いて作製されたベルト。
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