JP2018150436A - ゴム組成物及びタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】低発熱性を発現し得るゴム組成物を提供すること。【解決手段】ゴム成分、及び下記一般式(1):[式中、X1及びX2は、置換基を有していてもよい複素環基を示す。]で表されるテトラジン化合物又はその塩を含有するゴム組成物であって、ゴム成分100質量部中に、ブチル系ゴムが30質量部未満の割合で含まれ、ゴム成分100質量部に対して、前記テトラジン化合物又はその塩を0.1〜10質量部含む、ゴム組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、ゴム組成物及びタイヤに関する。
近年、環境に対する配慮から、世界的に二酸化炭素の排出規制が厳しくなっており、自動車の低燃費化に対する要求が非常に高まっている。低燃費化は、エンジン等の駆動系及び伝達系の効率の寄与が大きいが、タイヤの転がり抵抗も大きく関与しており、自動車の低燃費化には、転がり抵抗を小さくすることが重要である。
タイヤの転がり抵抗を低減する手法としては、発熱性の低いゴム組成物をタイヤに適用することが知られている。このような低発熱性のゴム組成物としては、例えば、(1)充填材であるカーボンブラック及びシリカとの親和性を高めた官能化重合体を含むゴム組成物(特許文献1);(2)ジエンエラストマー、補強フィラーとしての無機フィラー、カップリング剤としての多硫化アルコキシシラン、1,2−ジヒドロピリジン、及びグアニジン誘導体を含むゴム組成物(特許文献2);(3)ゴム成分、アミノピリジン誘導体及び無機充填材を含むゴム組成物(特許文献3);(4)末端変性ポリマー及び無機フィラーを含むゴム組成物(特許文献4及び5)等が挙げられる。
これら特許文献1〜5に記載されている発明によれば、充填材とゴム成分との親和性を高めることにより、ゴム組成物の発熱性を低くすることができ、その結果、ヒステリシスロス(転がり抵抗性)の低いタイヤを得ることができる。
しかしながら、これら特許文献1〜5のゴム組成物を用いても、低発熱性の改良は不十分であった。
自動車の低燃費化の要望は、一段と高まっており、低発熱性に極めて優れたタイヤの開発が熱望されている。
特開2003−514079号公報 特表2003−523472号公報 特開2013−108004号公報 特開2000−169631号公報 特開2005−220323号公報
本発明の目的は、低発熱性を発現し得るゴム組成物を提供することである。
本発明の他の目的は、低発熱性に優れたタイヤを提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、ゴム成分におけるブチル系ゴムの含有量を少なくし、該ゴム成分と特定量のテトラジン系化合物とを混合することにより上記の課題を解決できることを見出した。本発明者らは、かかる知見に基づき、さらに検討を行った結果、本発明を完成するに至った。
本発明は、以下に示す、ゴム組成物、並びにタイヤ等を提供する。
項1.
ゴム成分、及び下記一般式(1):
Figure 2018150436
[式中、X及びXは、置換基を有していてもよい複素環基を示す。]
で表されるテトラジン化合物又はその塩を含有するゴム組成物であって、
ゴム成分100質量部中に、ブチル系ゴムが30質量部未満の割合で含まれ、
ゴム成分100質量部に対して、前記テトラジン化合物又はその塩を0.1〜10質量部含む、ゴム組成物。
項2.
さらに無機充填材及び/又はカーボンブラックを含む項1に記載のゴム組成物。
項3.
ゴム成分100質量部に対して、無機充填材及び/又はカーボンブラックを合計量で20〜150質量部含む項2に記載のゴム組成物。
項4.
ゴム成分100質量部中、ジエン系ゴムが70質量部以上含まれる、項1〜3のいずれか一項に記載のゴム組成物。
項5.
ジエン系ゴムが、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、及びブタジエンゴムからなる群より選ばれる少なくとも一つである項4に記載のゴム組成物。
項6.
無機充填材がシリカである項2〜5のいずれか一項に記載のゴム組成物。
項7.
シリカがBET比表面積(m/g)40〜350の範囲にある湿式シリカである項6に記載のゴム組成物。
項8.
無機充填材の配合量が、ゴム組成物100質量部に対して、20〜150質量部である項2〜7のいずれか一項に記載のゴム組成物。
項9.
カーボンブラックの配合量が、ゴム組成物100質量部に対して、2〜150質量部である項2〜8のいずれか一項に記載のゴム組成物。
項10.
トレッド部に用いられる項1〜9のいずれか一項に記載のゴム組成物。
項11.
項1〜9のいずれか一項に記載のゴム組成物を用いて作製されたタイヤ用トレッド。
項12.
項1〜9のいずれか一項に記載のゴム組成物を用いて作製されたタイヤ用サイドウォール。
本発明によれば、特定のゴム成分と一般式(1)で表されるテトラジン化合物又はその塩とを組み合わせることにより、低発熱性を発現し得るゴム組成物を提供することができる。
また、本発明のゴム組成物を用いてタイヤを作製することで、タイヤの転がり抵抗を小さくし、かつタイヤの発熱性を低くすることができることから、低燃費タイヤを提供することができる。
以下に、本発明を詳細に説明する。
1.ゴム組成物
本発明は、ゴム成分、及び下記一般式(1):
Figure 2018150436
[式中、X及びXは、置換基を有していてもよい複素環基を示す。]
で表されるテトラジン化合物又はその塩(以下、「テトラジン化合物(1)」ということもある。)を含有するゴム組成物であって、
ゴム成分100質量部中に、ブチル系ゴムが30質量部未満の割合で含まれ、
ゴム成分100質量部に対して、前記テトラジン化合物又はその塩を0.1〜10質量部含む、ゴム組成物である。
ゴム成分
本発明のゴム組成物に配合されるゴム成分としては、特に制限はなく、例えば、天然ゴム(NR)、合成ジエン系ゴム、及び天然ゴムと合成ジエン系ゴムとの混合物等のジエン系ゴム、並びにブチル系ゴムを含むこれら以外の非ジエン系ゴムが挙げられる。
天然ゴムとしては、天然ゴムラテックス、技術的格付けゴム(TSR)、スモークドシート(RSS)、ガタパーチャ、杜仲由来天然ゴム、グアユール由来天然ゴム、ロシアンタンポポ由来天然ゴム、植物成分発酵ゴムなどの天然ゴムに加えて、エポキシ化天然ゴム、メタクリル酸変性天然ゴム、スチレン変性天然ゴムなどの変性天然ゴム等が挙げられる。
合成ジエン系ゴムとしては、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体ゴム(EPDM)、スチレン−イソプレン−スチレン三元ブロック共重合体(SIS)、スチレン−ブタジエン−スチレン三元ブロック共重合体(SBS)等、及びこれらの変性合成ジエン系ゴムが挙げられる。変性合成ジエン系ゴムとしては、主鎖変性、片末端変性、両末端変性などの変性手法によるジエン系ゴムが挙げられる。ここで、変性合成ジエン系ゴムの変性官能基としては、エポキシ基、アミノ基、アルコキシ基、水酸基、アルコキシシリル基、ポリエーテル基、カルボキシル基などのヘテロ原子を含有する官能基を1種類以上含むものが挙げられる。また、ジエン部分のシス/トランス/ビニルの比率については、特に制限はなく、いずれの比率においても好適に用いることができる。また、ジエン系ゴムの平均分子量および分子量分布は、特に制限はなく、平均分子量500〜300万、分子量分布1.5〜15が好ましい。また、合成ジエン系ゴムの製造方法についても、特に制限はなく、乳化重合、溶液重合、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合などで合成されたものが挙げられる。
非ジエン系ゴムとしては、公知のものを広く使用することができる。
ブチル系ゴムとして、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム等が挙げられる。ハロゲン化ブチルゴムの例としては、臭素化ブチルゴム(BIIR)、塩素化ブチルゴム(CIIR)等が挙げられる。ブチル系ゴムは、イソブチレンと少量のイソプレンゴムとの共重合体であり、3モル%以下の二重結合を含有するが、本明細書においては、ジエン系ゴムに含まれない。
低発熱性の観点から、ゴム成分中に含まれるブチル系ゴムの割合は、少ない方が好ましい。具体的には、本発明においては、ゴム成分100質量部中に、ブチル系ゴムが30質量部未満の割合で含まれることを必須とする。ブチル系ゴムの含有量が30質量部以上になると、本発明の効果を発現できなくなる。本発明では、ゴム成分100質量部中に、ブチル系ゴムが10質量部未満であることが好ましく、5質量部未満であることがより好ましく、全く含まれないのが特に好ましい。
ゴム成分は、低発熱性の観点から、ジエン系ゴムを含んでおり、具体的には、ゴム成分100質量部中、ジエン系ゴムが70質量部以上含まれることが好ましく、75質量部以上含まれることがより好ましく、80〜100質量部の割合で配合されることが特に好ましい。
また、ジエン系ゴムのガラス転移点においては、−120℃から−15℃の範囲のものが耐摩耗性と制動特性の両立の観点から有効である。本発明のゴム組成物は、ジエン系ゴム中の50質量%以上が、ガラス転移点が−70℃から−20℃の範囲にあるジエン系ゴムであることが好ましい。
ゴム成分は、1種単独で、又は2種以上を混合(ブレンド)して用いることができる。中でも、好ましいゴム成分としては、天然ゴム、IR、SBR、BR、又はこれらから選ばれる2種以上の混合物である。また、これらのブレンド比率は、特に制限はなく、ゴム成分100質量部中に、SBR、BR又はこれらの混合物を70〜100質量部の比率で配合することが好ましく、75〜100質量部で配合することがより好ましい。SBR及びBRの混合物を配合する場合には、SBR及びBRの合計量が上記範囲であることが好ましい。また、このときのSBRは50〜100質量部であり、BRが0〜50質量部の範囲であるのが好ましい。
テトラジン化合物(1)
本発明のゴム組成物には、下記一般式(1)で表される化合物又はその塩が配合される。
一般式1:
Figure 2018150436
[式中、X及びXは、置換基を有していてもよい複素環基を示す。]
本明細書において、「複素環基」としては、特に限定はなく、例えば、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、2−ピラジニル基、2−ピリミジル基、4−ピリミジル基、5−ピリミジル基、3−ピリダジル基、4−ピリダジル基、4−(1,2,3−トリアジル)基、5−(1,2,3−トリアジル)基、2−(1,3,5−トリアジル)基、3−(1,2,4−トリアジル)基、5−(1,2,4−トリアジル)基、6−(1,2,4−トリアジル)基、2−キノリル基、3−キノリル基、4−キノリル基、5−キノリル基、6−キノリル基、7−キノリル基、8−キノリル基、1−イソキノリル基、3−イソキノリル基、4−イソキノリル基、5−イソキノリル基、6−イソキノリル基、7−イソキノリル基、8−イソキノリル基、2−キノキサリル基、3−キノキサリル基、5−キノキサリル基、6−キノキサリル基、7−キノキサリル基、8−キノキサリル基、3−シンノリル基、4−シンノリル基、5−シンノリル基、6−シンノリル基、7−シンノリル基、8−シンノリル基、2−キナゾリル基、4−キナゾリル基、5−キナゾリル基、6−キナゾリル基、7−キナゾリル基、8−キナゾリル基、1−フタラジル基、4−フタラジル基、5−フタラジル基、6−フタラジル基、7−フタラジル基、8−フタラジル基、1−テトラヒドロキノリル基、2−テトラヒドロキノリル基、3−テトラヒドロキノリル基、4−テトラヒドロキノリル基、5−テトラヒドロキノリル基、6−テトラヒドロキノリル基、7−テトラヒドロキノリル基、8−テトラヒドロキノリル基、1−ピロリル基、2−ピロリル基、3−ピロリル基、2−フリル基、3−フリル基、2−チエニル基、3−チエニル基、1−イミダゾリル基、2−イミダゾリル基、4−イミダゾリル基、5−イミダゾリル基、1−ピラゾリル基、3−ピラゾリル基、4−ピラゾリル基、5−ピラゾリル基、2−オキサゾリル基、4−オキサゾリル基、5−オキサゾリル基、2−チアゾリル基、4−チアゾリル基、5−チアゾリル基、3−イソオキサゾリル基、4−イソオキサゾリル基、5−イソオキサゾリル基、3−イソチアゾリル基、4−イソチアゾリル基、5−イソチアゾリル基、4−(1,2,3−チアジアゾリル)基、5−(1,2,3−チアジアゾリル)基、3−(1,2,5−チアジアゾール)基、2−(1,3,4−チアジアゾール)基、4−(1,2,3−オキサジアゾリル)基、5−(1,2,3−オキサジアゾリル)基、3−(1,2,4−オキサジアゾリル)基、5−(1,2,4−オキサジアゾリル)基、3−(1,2,5−オキサジアゾリル)基、2−(1,3,4−オキサジアゾリル)基、1−(1,2,3−トリアゾリル)基、4−(1,2,3−トリアゾリル)基、5−(1,2,3−トリアゾリル)基、1−(1,2,4−トリアゾリル)基、3−(1,2,4−トリアゾリル)基、5−(1,2,4−トリアゾリル)基、1−テトラゾリル基、5−テトラゾリル基、1−インドリル、2−インドリル基、3−インドリル基、4−インドリル基、5−インドリル基、6−インドリル基、7−インドリル基、1−イソインドリル基、2−イソインドリル基、3−イソインドリル基、4−イソインドリル基、5−イソインドリル基、6−イソインドリル基、7−イソインドリル基、1−ベンゾイミダゾリル基、2−ベンゾイミダゾリル基、4−ベンゾイミダゾリル基、5−ベンゾイミダゾリル基、6−ベンゾイミダゾリル基、7−ベンゾイミダゾリル基、2−ベンゾフラニル基、3−ベンゾフラニル基、4−ベンゾフラニル基、5−ベンゾフラニル基、6−ベンゾフラニル基、7−ベンゾフラニル基、1−イソベンゾフラニル基、3−イソベンゾフラニル基、4−イソベンゾフラニル基、5−イソベンゾフラニル基、6−イソベンゾフラニル基、7−イソベンゾフニル基、2−ベンゾチエニル基、3−ベンゾチエニル基、4−ベンゾチエニル基、5−ベンゾチエニル基、6−ベンゾチエニル基、7−ベンゾチエニル基、2−ベンゾオキサゾリル基、4−ベンゾオキサゾリル基、5−ベンゾオキサゾリル基、6−ベンゾオキサゾリル基、7−ベンゾオキサゾリル基、2−ベンゾチアゾリル基、4−ベンゾチアゾリル基、5−ベンゾチアゾリル基、6−ベンゾチアゾリル基、7−ベンゾチアゾリル基、1−インダゾリル基、3−インダゾリル基、4−インダゾリル基、5−インダゾリル基、6−インダゾリル基、7−インダゾリル基、2−モルホリル基、3−モルホリル基、4−モルホリル基、1−ピペラジル基、2−ピペラジル基、1−ピペリジル基、2−ピペリジル基、3−ピペリジル基、4−ピペリジル基、2−テトラヒドロピラニル基、3−テトラヒドロピラニル基、4−テトラヒドロピラニル基、2−テトラヒドロチオピラニル基、3−テトラヒドロチオピラニル基、4−テトラヒドロチオピラニル基、1−ピロリジル基、2−ピロリジル基、3−ピロリジル基、2−テトラヒドロフラニル基、3−テトラヒドロフラニル基、2−テトラヒドロチエニル基、3−テトラヒドロチエニル基等が挙げられる。中でも、好ましい複素環基としては、ピリジル基、フラニル基、チエニル基、ピリミジル基又はピラジル基であり、より好ましくはピリジル基である。
複素環基は、置換可能な位置に、1個以上の置換基を有していてもよい。該置換基としては、特に限定はなく、例えば、ハロゲン原子、アミノ基、アミノアルキル基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、カルボキシル基、カルボキシアルキル基、ホルミル基、ニトリル基、ニトロ基、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、水酸基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、複素環基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基等が挙げられる。該置換基は、好ましくは1〜5個、より好ましくは1〜3個有していてもよい。
本明細書において、「ハロゲン原子」としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられ、好ましくは塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子である。
本明細書において、「アミノ基」には、−NHで表されるアミノ基だけでなく、例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、s−ブチルアミノ基、t−ブチルアミノ基、1−エチルプロピルアミノ基、n−ペンチルアミノ基、ネオペンチルアミノ基、n−ヘキシルアミノ基、イソヘキシルアミノ基、3−メチルペンチルアミノ基等の炭素数1〜6(特に炭素数1〜4)の直鎖状又は分岐状のモノアルキルアミノ基;ジメチルアミノ基、エチルメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等の炭素数1〜6(特に炭素数1〜4)の直鎖状又は分岐状のアルキル基を2つ有するジアルキルアミノ基等の置換アミノ基も含まれる。
本明細書において、「アミノアルキル基」としては、特に限定はなく、例えば、アミノメチル基、2−アミノエチル基、3−アミノプロピル基等のアミノアルキル基(好ましくはアミノ基を有する炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状アルキル基)が挙げられる。
本明細書において、「アルコキシカルボニル基」としては、特に限定はなく、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等が挙げられる。
本明細書において、「アシル基」としては、特に限定はなく、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ピバロイル基等の炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状アルキルカルボニル基が挙げられる。
本明細書において、「アシルオキシ基」としては、特に限定はなく、例えば、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、n−ブチリルオキシ基等が挙げられる。
本明細書において、「アミド基」としては、特に限定はなく、例えば、アセトアミド基、ベンズアミド基等のカルボン酸アミド基;チオアセトアミド基、チオベンズアミド基等のチオアミド基;N−メチルアセトアミド基、N−ベンジルアセトアミド基等のN−置換アミド基;等が挙げられる。
本明細書において、「カルボキシアルキル基」としては、特に限定はなく、例えば、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシ−n−プロピル基、カルボキシ−n−ブチル基、カルボキシ−n−ブチル基、カルボキシ−n−ヘキシル基等のカルボキシ−アルキル基(好ましくはカルボキシ基を有する炭素数1〜6のアルキル基)が挙げられる。
本明細書において、「ヒドロキシアルキル基」としては、特に限定はなく、例えば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシ−n−プロピル基、ヒドロキシ−n−ブチル基等のヒドロキシ−アルキル基(好ましくはヒドロキシ基を有する炭素数1〜6のアルキル基)が挙げられる。
本明細書において、「アルキル基」としては、特に限定はなく、例えば、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基が挙げられ、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、1−エチルプロピル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、3−メチルペンチル基等の炭素数1〜6(特に炭素数1〜4)の直鎖状又は分岐状アルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル等の炭素数3〜8(特に炭素数3〜6)の環状アルキル基等が挙げられる。
本明細書において、「ヒドロキシアルキル基」としては、特に限定はなく、例えば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシ−n−プロピル基、ヒドロキシ−n−ブチル基等のヒドロキシ−アルキル基(好ましくはヒドロキシ基を有する炭素数1〜6のアルキル基)が挙げられる。
本明細書において、「アルコキシ基」としては、特に限定はなく、例えば、直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシ基が挙げられ、具体的には、例えば、メトキシ、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基の炭素数1〜6(特に炭素数1〜4)の直鎖状又は分岐状のアルコキシ基;シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、シクロオクチルオキシ基等の炭素数3〜8(特に炭素数3〜6)の環状アルコキシ基等が挙げられる。
本明細書において、「アリール基」としては、特に限定はなく、例えば、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、ジヒドロインデニル基、9H−フルオレニル基等が挙げられる。
本明細書において、「アリールオキシ基」としては、特に限定はなく、例えば、フェノキシ基、ビフェニルオキシ基、ナフトキシ基等が挙げられる。
本明細書において、「アルキルチオ基」としては、特に限定はなく、例えば、直鎖状、分岐状又は環状のアルキルチオ基が挙げられ、具体的には、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n−ブチルチオ基、イソブチルチオ基、s−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基、1−エチルプロピルチオ基、n−ペンチルチオ基、ネオペンチルチオ基、n−ヘキシルチオ基、イソヘキシルチオ基、3−メチルペンチルチオ基等の炭素数1〜6(特に炭素数1〜4)の直鎖状又は分岐状のアルキルチオ基;シクロプロピルチオ基、シクロブチルチオ基、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基、シクロヘプチルチオ基、シクロオクチルチオ基等の炭素数3〜8(特に炭素数3〜6)の環状アルキルチオ基等が挙げられる。
本明細書において、「アリールチオ基」としては、特に限定はなく、例えば、フェニルチオ基、ビフェニルチオ基、ナフチルチオ基等が挙げられる。
一般式(1)で表されるテトラジン化合物の「塩」としては、特に限定はなく、あらゆる種類の塩が含まれる。このような塩としては、例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩等の無機酸塩;酢酸塩、メタンスルホン酸塩等の有機酸塩;ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩;ジメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム等の第4級アンモニウム塩等が挙げられる。
好ましいテトラジン化合物(1)は、X及びXが、同一又は異なって、置換基を有していてもよいピリジル基、置換基を有していてもよいフラニル基、置換基を有していてもよいチエニル基、置換基を有していてもよいピラゾリル基、置換基を有していてもよいピリミジル基、又は置換基を有していてもよいピラジル基である化合物である。
より好ましいテトラジン化合物(1)は、X及びXが、同一又は異なって、置換基を有していてもよい2−ピリジル基、置換基を有していてもよい3−ピリジル基、置換基を有していてもよい4−ピリジル基、置換基を有していてもよい2−フラニル基、置換基を有していてもよいチエニル基、置換基を有していてもよい1−ピラゾリル基、置換基を有していてもよい2−ピリミジル基、又は置換基を有していてもよい2−ピラジル基である化合物であり、具体的には、置換基を有していてもよい2−ピリジル基、置換基を有していてもよい3−ピリジル基、置換基を有していてもよい4−ピリジル基、又は置換基を有していてもよい2−フラニル基である化合物が特に好ましい。
テトラジン化合物(1)の具体例としては、
3,6−ビス(2−ピリジル)−1,2,4,5−テトラジン、
3,6−ビス(3−ピリジル)−1,2,4,5−テトラジン、
3,6−ビス(4−ピリジル)−1,2,4,5−テトラジン、
3,6−ビス(2−フラニル)−1,2,4,5−テトラジン、
3,6−ビス(3,5−ジメチル−1−ピラゾリル)−1,2,4,5−テトラジン、
3,6−ビス(2−チエニル)−1,2,4,5−テトラジン、
3−メチル−6−(2−ピリジル)−1,2,4,5−テトラジン、
3,6−ビス(2−ピリミジニル)−1,2,4,5−テトラジン、
3,6−ビス(2−ピラジル)−1,2,4,5−テトラジン等が挙げられる。
中でも、好ましいテトラジン化合物(1)は、3,6−ビス(2−ピリジル)−1,2,4,5−テトラジン、3,6−ビス(3−ピリジル)−1,2,4,5−テトラジン、3,6−ビス(2−フラニル)−1,2,4,5−テトラジン、及び3,6−(4−ピリジル)−1,2,4,5−テトラジンであり、さらに好ましいテトラジン化合物(1)は、3,6−ビス(2−ピリジル)−1,2,4,5−テトラジン、3,6−ビス(3−ピリジル)−1,2,4,5−テトラジン、及び3,6−ビス(4−ピリジル)−1,2,4,5−テトラジンである。
テトラジン化合物(1)の配合量は、ゴム組成物中のゴム成分100質量部に対して、通常0.1〜10質量部であり、好ましくは0.25〜5質量部であり、より好ましくは0.5〜2質量部である。
テトラジン化合物(1)が粉体である場合、その体積平均径は特に制限されない。低発熱性発現の観点から、体積平均径が300μm以下であることが好ましく、150μm以下であることがさらに好ましく、75μm以下であることが特に好ましい。
なお、体積平均径は、レーザー光回折法等による粒度分布測定装置を用いて、体積基準粒度分布から積算分布曲線の50%に相当する粒子径として求めることができる。
また、取り扱い時のハンドリング性及び着火性又は爆発性リスク低減の観点から、粉体をオイル、樹脂、ステアリン酸などで表面処理したものを使用してもよく、又は粉体を炭酸カルシウム、シリカなどの充填剤などと混合して使用してもよい。
本発明のゴム組成物は、上記ゴム成分及びテトラジン化合物(1)に加え、さらに無機充填材及び/又はカーボンブラックを含むことが好ましい。
無機充填材の配合量は、ゴム成分100質量部に対して、通常20〜150質量部であり、好ましくは30〜120質量部であり、より好ましくは40〜90質量部である。
カーボンブラックの配合量は、ゴム成分100質量部に対して、通常2〜150質量部であり、好ましくは4〜120質量部であり、より好ましくは6〜100質量部である。
なお、本発明のゴム組成物において、無機充填材及び/又はカーボンブラックは、両成分の合計量で、例えば、ゴム成分100質量部に対して、通常20〜150質量部、好ましくは40〜130質量部、より好ましくは45〜100質量部となるよう各成分の上記配合量の範囲内で適宜調整すればよい。
無機充填材及び/又はカーボンブラックの合計の配合量が、20質量部以上であれば、ゴム組成物の補強性向上の観点から好ましく、150質量部以下であれば、転がり抵抗低減の観点から好ましい。なお、無機充填材及び/又はカーボンブラックを配合するときは、予めポリマーと湿式または乾式で混合されたマスターバッチポリマーを用いてもよい。
無機充填材
無機充填材としては、ゴム工業界において、通常使用される無機化合物であれば、特に制限はない。使用できる無機化合物としては、例えば、シリカ、γ−アルミナ、α−アルミナ等のアルミナ(Al);ベーマイト、ダイアスポア等のアルミナ一水和物(Al・HO);ギブサイト、バイヤライト等の水酸化アルミニウム[Al(OH)];炭酸アルミニウム[Al(CO]、水酸化マグネシウム[Mg(OH)]、酸化マグネシウム(MgO)、炭酸マグネシウム(MgCO)、タルク(3MgO・4SiO・HO)、アタパルジャイト(5MgO・8SiO・9HO)、チタン白(TiO)、チタン黒(TiO2n−1)、酸化カルシウム(CaO)、水酸化カルシウム[Ca(OH)]、酸化アルミニウムマグネシウム(MgO・Al)、クレー(Al・2SiO)、カオリン(Al・2SiO・2HO)、パイロフィライト(Al・4SiO・HO)、ベントナイト(Al・4SiO・2HO)、ケイ酸アルミニウム(AlSiO、Al・3SiO・5HO等)、ケイ酸マグネシウム(MgSiO、MgSiO等)、ケイ酸カルシウム(Ca・SiO等)、ケイ酸アルミニウムカルシウム(Al・CaO・2SiO等)、ケイ酸マグネシウムカルシウム(CaMgSiO)、炭酸カルシウム(CaCO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、水酸化ジルコニウム[ZrO(OH)・nHO]、炭酸ジルコニウム[Zr(CO]、各種ゼオライトのように電荷を補正する水素、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む結晶性アルミノケイ酸塩等が挙げられる。これらの無機充填材は、ゴム成分との親和性を向上させるために、該無機充填材の表面が有機処理されていてもよい。
シリカは、ゴム強度を付与することができるため添加することが好ましい。シリカとしては、市販のあらゆるものが使用できる。中でも、好ましいシリカとしては、湿式シリカ、乾式シリカ、又はコロイダルシリカであり、より好ましくは湿式シリカである。これらのシリカは、ゴム成分との親和性を向上させるために、該無機充填材の表面が有機処理されていてもよい。
中でも、無機充填材としては、制動特性の観点からシリカが好ましく、シリカのBET比表面積としては、特に制限はなく、例えば、40〜350m/gの範囲が挙げられる。BET比表面積がこの範囲であるシリカは、ゴム補強性及びゴム成分中への分散性を両立できるという利点がある。該BET比表面積は、ISO 5794/1に準拠して測定される。
この観点から、好ましいシリカとしては、BET比表面積が50〜250m/gの範囲にあるシリカであり、より好ましくは、BET比表面積が80〜230m/gであるシリカであり、特に好ましくは、BET比表面積が100〜210m/gの範囲にあるシリカである。また、これらのBET比表面積の異なるシリカを組み合わせて用いてもよい。
このようなシリカの市販品としては、Quechen Silicon Chemical Co., Ltd.製の商品名「HD165MP」(BET比表面積 =165m/g)、「HD115MP」(BET比表面積 =115m/g)、「HD200MP」(BET比表面積 =200m/g)、「HD250MP」(BET比表面積 =250m/g)、東ソー・シリカ株式会社製の商品名「ニップシールAQ」(BET比表面積=205m/g)、「ニップシールKQ」(BET比表面積 =240m/g)、デグッサ社製の商品名「ウルトラジルVN3」(BET比表面積 =175m/g)、ソルベイ社製の商品名「Z1085Gr」(BET比表面積=90m/g)、「Z Premium200MP」(BET比表面積=215m/g)、「Z HRS 1200MP」(BET比表面積=200m/g)等が挙げられる。
シリカの配合量としては、ゴム成分100質量部に対して、通常20〜120質量部であり、好ましくは30〜100質量部であり、より好ましくは40〜90質量部である。
カーボンブラック
カーボンブラックとしては、特に制限はなく、例えば、市販品のカーボンブラック、Carbon-Silica Dual phase filler等が挙げられる。
具体的に、カーボンブラックとしては、例えば、高、中又は低ストラクチャーのSAF、ISAF、IISAF、N110、N134、N220、N234、N330、N339、N375、N550、HAF、FEF、GPF、SRFグレードのカーボンブラック等が挙げられる。中でも、好ましいカーボンブラックとしては、SAF、ISAF、IISAF、N134、N234、N330、N339、N375、HAF、又はFEFグレードのカーボンブラックである。
カーボンブラックのDBP吸収量としては、特に制限はなく、好ましくは60〜200cm/100g、より好ましくは70〜180cm/100g以上、特に好ましくは80〜160cm/100gである。
また、カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA、JIS K 6217−2:2001に準拠して測定する)は、好ましくは30〜200m/g、より好ましくは40〜180m/g、特に好ましくは50〜160m/gである。
カーボンブラックを配合するゴム組成物において、テトラジン化合物(1)を配合することにより、カーボンブラックの分散性が大幅に向上し、ゴム組成物の低発熱性が著しく改良できる。
その他の配合剤
本発明のゴム組成物には、上記テトラジン化合物(1)、並びに無機充填材及び/又はカーボンブラック以外にも、ゴム工業界で通常使用される配合剤、例えば、硫黄等の加硫剤を配合することができる。本発明のゴム組成物には、さらに、別の配合剤、例えば、老化防止剤、オゾン防止剤、軟化剤、加工助剤、ワックス、樹脂、発泡剤、オイル、ステアリン酸、亜鉛華(ZnO)、加硫促進剤、加硫遅延剤等を配合してもよい。これら配合剤は、本発明の目的を害しない範囲内で適宜選択して配合することができる。これら配合剤としては、市販品を好適に使用することができる。
また、シリカなどの無機充填材が配合されたゴム組成物においては、シリカによるゴム組成物の補強性を高める目的、又はゴム組成物の低発熱性と共に耐摩耗性を高める目的で、シランカップリング剤を配合してもよい。
無機充填材と併用可能なシランカップリング剤としては特に制限されず、市販品を好適に使用することができる。このようなシランカップリング剤として、例えばスルフィド系、ポリスルフィド系、チオエステル系、チオール系、オレフィン系、エポキシ系、アミノ系、アルキル系のシランカップリング剤が挙げられる。
スルフィド系のシランカップリング剤としては、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−メチルジメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−メチルジメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−メチルジメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(3−モノエトキシジメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−モノエトキシジメチルシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−モノエトキシジメチルシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−モノメトキシジメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−モノメトキシジメチルシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−モノメトキシジメチルシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−モノエトキシジメチルシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(2−モノエトキシジメチルシリルエチル)トリスルフィド、ビス(2−モノエトキシジメチルシリルエチル)ジスルフィド等が挙げられる。これらの内、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドが特に好ましい。
チオエステル系のシランカップリング剤としては、例えば、3−ヘキサノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3−オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3−デカノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3−ラウロイルチオプロピルトリエトキシシラン、2−ヘキサノイルチオエチルトリエトキシシラン、2−オクタノイルチオエチルトリエトキシシラン、2−デカノイルチオエチルトリエトキシシラン、2−ラウロイルチオエチルトリエトキシシラン、3−ヘキサノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3−オクタノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3−デカノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3−ラウロイルチオプロピルトリメトキシシラン、2−ヘキサノイルチオエチルトリメトキシシラン、2−オクタノイルチオエチルトリメトキシシラン、2−デカノイルチオエチルトリメトキシシラン、2−ラウロイルチオエチルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
チオール系のシランカップリング剤としては、例えば、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等を挙げることができる。
オレフィン系のシランカップリング剤としては、例えば、ジメトキシメチルビニルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ジメチルエトキシビニルシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−(メトキシジメトキシジメチルシリル)プロピルアクリレート、3−(トリメトキシシリル)プロピルアクリレート、3−[ジメトキシ(メチル)シリル]プロピルメタクリレート、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、3−[ジメトキシ(メチル)シリル]プロピルメタクリレート、3−(トリエトキシシリル)プロピルメタクリレート、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルメタクリレート等を挙げることができる。
エポキシ系のシランカップリング剤としては、例えば、3−グリシジルオキシプロピル(ジメトキシ)メチルシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、ジエトキシ(3−グリシジルオキシプロピル)メチルシラン、トリエトキシ(3−グリシジルオキシプロピル)シラン、2−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等を挙げることができる。これらの内、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。
アミノ系のシランカップリング剤としては、例えば、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−エトキシシリル−N−(1,3−ジメチルブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。これらの内、3−アミノプロピルトリエトキシシランが好ましい。
アルキル系のシランカップリング剤としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン等を挙げることができる。これらの内、メチルトリエトキシシランが好ましい。
これらシランカップリング剤の中でも、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドを特に好ましく使用することができる。
本発明においては、シランカップリング剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のゴム組成物のシランカップリング剤の配合量は、無機充填材100質量部に対して、0.1〜20質量部が好ましく、3〜15質量部であることが特に好ましい。0.1質量部以上であれば、ゴム組成物の低発熱性の効果をより好適に発現することができ、20質量部以下であれば、ゴム組成物のコストが低減し、経済性が向上するからである。
また、制動特性を特に重視するケースにおいては、樹脂などを添加してもよい。具体的には、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂などの天然樹脂、石油系樹脂、フェノール系樹脂、石炭系樹脂、キシレン系樹脂といった樹脂が挙げられる。ロジン系樹脂としては、ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジン、水素添加ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、又は変性ロジンのグリセリン、ペンタエリスリトールエステル等が挙げられる。テルペン系樹脂としては、α−ピネン系、β−ピネン系、ジペンテン系等のテルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、水素添加テルペン樹脂等が挙げられる。
また、加工性を重視するケースにおいては、加工助剤として、ミネラルオイル、ペトロラタム、パラフィンワックス、石油樹脂、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪アルコール、金属石けん、脂肪酸アミド、フェノール樹脂、ポリエチレン、ポリブテン、ペプタイザ、再生化剤、オルガノシロキサン等を添加することができる。
ゴム組成物の用途
本発明のゴム組成物の用途としては、タイヤ用トレッド又はサイドウォールである。
ゴム組成物の製造方法
本発明のゴム組成物の製造方法としては、特に制限されない。本発明のゴム組成物の製造方法は、例えば、ゴム成分、テトラジン化合物(1)、並びに必要に応じて無機充填材及び/又はカーボンブラックを含む原料成分を混練する工程(I)、並びに工程(I)で得られる混合物、及び加硫剤を混練する工程(II)を含んでいる。
工程(I)
工程(I)は、ゴム成分、テトラジン化合物(1)、並びに必要に応じて無機充填材及び/又はカーボンブラックを含む原料成分を混練する工程であり、加硫剤を配合する前の工程であることを意味している。この工程(I)において、テトラジン化合物(1)がジエン系ゴムの二重結合に反応する。
工程(I)では、さらに必要に応じて、上記のその他の配合剤等を配合することができる。
工程(I)における混練方法としては、例えば、ゴム成分と、テトラジン化合物(1)と、無機充填材及び/又はカーボンブラックとを含む組成物を混練する方法が挙げられる。この混練方法においては、各成分の全量を一度に混練してもよく、粘度調整等の目的に応じて、各成分を分割投入して混練してもよい。また、ゴム成分と無機充填材及び/又はカーボンブラックとを混練した後、テトラジン化合物(1)を投入して混練するか、ゴム成分とテトラジン化合物(1)とを混練した後、無機充填材及び/又はカーボンブラックを投入して混練してもよい。工程(I)は複数回にわたり繰り返し混練されてもよい。
工程(I)におけるゴム組成物を混合する際の温度としては、テトラジン化合物(1)がジエン系ゴムと反応するための熱量が与えられればよく、例えば、ゴム組成物の温度の上限が120〜190℃であることが好ましく、130〜175℃であることがより好ましく、140〜170℃であることがさらに好ましい。
工程(I)における混合時間としては、特に制限はなく、例えば、10秒間から20分間であることが好ましく、30秒間から10分間であることがより好ましく、2分間から7分間であることがさらに好ましい。
工程(I)において、テトラジン化合物(1)の配合量としては、特に制限はなく、例えば、ゴム成分100質量部に対して、0.1〜10質量部であり、好ましくは0.25〜5質量部であり、より好ましくは0.5〜2質量部である。
工程(I)における無機充填材の配合量としては、ゴム成分100質量部に対して、通常20〜150質量部であり、好ましくは30〜120質量部であり、より好ましくは40〜90質量部である。
工程(I)におけるカーボンブラックの配合量としては、ゴム成分100質量部に対して、通常2〜150質量部であり、好ましくは4〜120質量部であり、より好ましくは6〜100質量部である。
なお、工程(I)において、無機充填材及び/又はカーボンブラックは、両成分の合計量で、例えば、ゴム成分100質量部に対して、通常20〜150質量部となるよう各成分の上記配合量の範囲内で適宜調整すればよい。
また、工程(I)における別の混練方法としては、ゴム成分とテトラジン化合物(1)とを混練する工程(I−1)、並びに工程(I−1)で得られた混合物と無機充填材及び/又はカーボンブラックとを混練する工程(I−2)を含む二段階の混練方法を挙げることができる。
工程(I−1)において、ゴム成分とテトラジン化合物(1)とを混練する方法としては、ゴム成分が固体の場合は、該ゴム成分とテトラジン化合物(1)とを混練する方法(混練方法);ゴム成分が液状(液体)である場合は、該ゴム成分の溶液又は乳液(懸濁液)と、テトラジン化合物(1)とを混合する方法(液状混合方法)等が挙げられる。
混練温度としては、テトラジン化合物(1)がジエン系ゴムと反応するための熱量が与えられればよく、例えば、上記混練方法の場合は、ゴム成分の温度の上限が、80〜190℃であることが好ましく、90〜160℃であることがより好ましく、100〜150℃であることがさらに好ましい。液状混合方法の場合は、ゴム成分の温度の上限が、80〜170℃であることが好ましく、90〜160℃であることがより好ましく、100〜150℃であることがさらに好ましい。
混合時間又は混練時間としては、例えば、混練方法の場合は、10秒間から20分間であることが好ましく、30秒間から10分間であることがより好ましく、60秒間から7分間であることがさらに好ましい。液状混合方法の場合は、10秒間から60分間であることが好ましく、30秒間から40分間であることがより好ましく、60秒間から30分間であることがさらに好ましい。液状混合方法による混合反応後は、例えば、減圧下において、混合物中の溶剤を飛ばし(取り除き)、固形のゴム組成物を回収することができる。
工程(I−1)におけるテトラジン化合物(1)の配合量としては、特に制限はなく、例えば、ゴム成分100質量部に対して、通常0.1〜10質量部であり、好ましくは0.25〜5質量部であり、より好ましくは0.5〜2質量部である。
このゴム成分とテトラジン化合物(1)とを混練する工程(I−1)により、ゴム成分中のジエン系ゴムの二重結合とテトラジン化合物(1)とが反応して変性ポリマーを形成する。
工程(I−2)における、工程(I−1)で得られた混合物(変性ポリマー)と無機充填材及び/又はカーボンブラックとを混合する際の温度としては、特に制限はなく、例えば、混合物の温度の上限が120〜190℃であることが好ましく、130〜175℃であることがより好ましく、140〜170℃であることがさらに好ましい。
工程(I−2)における混合時間としては、特に制限はなく、例えば、10秒間から20分間であることが好ましく、30秒間から10分間であることがより好ましく、2分間から7分間であることがさらに好ましい。
工程(I−2)における無機充填材の配合量としては、工程(I−1)で得られた混合物(変性ポリマー)100質量部に対して、通常20〜150質量部であり、好ましくは30〜120質量部であり、より好ましくは40〜90質量部である。
工程(I−2)におけるカーボンブラックの配合量としては、工程(I−1)で得られた混合物(変性ポリマー)100質量部に対して、通常2〜150質量部であり、好ましくは4〜120質量部であり、より好ましくは6〜100質量部である。
なお、工程(I−2)において、無機充填材及び/又はカーボンブラックは、両成分の合計量で、例えば、工程(I−1)で得られた混合物(変性ポリマー)100質量部に対して、通常20〜150質量部となるよう各成分の上記配合量の範囲内で適宜調整すればよい。
工程(II)
工程(II)は、工程(I)で得られる混合物、及び加硫剤を混合する工程であり、混練の最終段階を意味している。
工程(II)では、さらに必要に応じて、加硫促進剤等を配合することができる。
工程(II)の混合温度としては、特に制限はなく、例えば、60〜140℃であることが好ましく、80〜120℃であることがより好ましく、90〜120℃であることがさらに好ましい。
混合(又は混練)時間としては、特に制限はなく、例えば、10秒間から20分間であることが好ましく、30秒間から10分間であることがより好ましく、60秒間から5分間であることがさらに好ましい。
工程(I)から工程(II)に進む際には、前段階の工程終了後の温度より、30℃以上低下させてから次の工程(II)へ進むことが好ましい。
本発明のゴム組成物の製造方法において、通常、ゴム組成物に配合されるステアリン酸、亜鉛華、加硫促進剤、老化防止剤等の各種配合剤を、必要に応じて、工程(I)又は工程(II)において添加することができる。
上記の工程(I)及び工程(II)により、ゴム成分中のジエン系ゴムにテトラジン化合物(1)を処理して得られた変性ポリマー、並びに無機充填材及び/又はカーボンブラックを含有するゴム組成物を製造することができる。
工程(I)又は(II−1)において形成される変性ポリマーは、次の反応式−1〜4に示すような反応が進行することにより製造される。
Figure 2018150436
[式中、X及びXは前記に同じ。]
反応式−1においては、式(A−1)で表されるジエン系ゴムの二重結合部位とテトラジン化合物(1)との逆電子要請型Aza−Diels−Alder反応によって、式(B−1)で表されるビシクロ環構造を形成する。このビシクロ環構造中の−N=N−部は、脱窒素化が容易に進行し、式(C−1)、(C−2)又は(C−3)で表される六員環構造を形成するが、更に空気中の酸素によって酸化され、式(2−1)で表される六員環構造を有する、変性ポリマーが製造される。
Figure 2018150436
[式中、X及びXは前記に同じ。]
反応式−2においては、反応式−1と同様に、式(A−2)で表されるジエン系ゴムの二重結合部位とテトラジン化合物(1)とから、式(B−2)又は(B−2’)で表されるビシクロ環構造、次いで式(C−4)乃至(C−9)で表される六員環構造を形成した後、式(2−2)又は(2−3)で表される六員環構造を有する、変性ポリマーが製造される。
Figure 2018150436
[式中、X及びXは前記に同じ。Rはアルキル基又はハロゲン原子を示す。]
反応式−3においては、式(A−3)で表されるジエン系ゴムの二重結合部位とテトラジン化合物(1)との逆電子要請型Aza−Diels−Alder反応により、式(B−3)又は(B−3’)で表されるビシクロ環構造を形成した後、脱窒素化により式(2−4)乃至(2−7)で表される六員環構造を有する、変性ポリマーが製造される。なお、式(A−3)で表されるジエン系ゴムの二重結合部位上Rがハロゲン原子である場合は、そのハロゲン原子の脱離が生じることがあり、その場合は、酸化反応により式(2−1)で表される六員環構造を有する、変性ポリマーが製造される。
Figure 2018150436
[式中、X、X及びRは前記に同じ。]
反応式−4においては、反応式−3の反応と同様に、式(A−4)で表されるジエン系ゴムの二重結合部位とテトラジン化合物(1)との反応により、式(B−4)又は、(B−4’)で表されるビシクロ環構造を形成した後、式(2−8)乃至(2−11)で表される六員環構造を有する、変性ポリマーが製造される。
以上のように、製造された変性ポリマーは、窒素原子等のヘテロ原子を有しており、このヘテロ原子が無機充填材(特にシリカ)及びカーボンブラックと強く相互作用をすることから、ゴム組成物中の分散性を高め、高い低発熱性を付与することができる。
なお、本発明のゴム組成物は、ゴム成分、特にジエン系ゴムの二重結合とテトラジン化合物(1)とが反応して製造される変性ポリマー、好ましくは、下記式(2−1)〜(2−11)で表される化合物構造から選ばれる少なくとも1つを有する変性ポリマーを含有するゴム組成物を包含する。
Figure 2018150436
[式中、X、X及びRは前記に同じ。]
3.タイヤ
本発明のタイヤは、上記本発明のゴム組成物を用いて作製されたタイヤである。
本発明のタイヤとしては、例えば、空気入りタイヤ(ラジアルタイヤ、バイアスタイヤ等)、ソリッドタイヤ等のタイヤが挙げられる。
タイヤの用途としては、特に制限はなく、例えば、乗用車用タイヤ、高荷重用タイヤ、モーターサイクル(自動二輪車)用タイヤ、スタッドレスタイヤ等が挙げられ、中でも、乗用車用タイヤに好適に使用できる。
本発明のタイヤの形状、構造、大きさ及び材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
本発明のタイヤにおいて、上記ゴム組成物は、特にトレッド部、サイドウォール部、ビードエリア部、ベルト部、カーカス部及びショルダー部から選ばれる少なくとも一つの部材に用いられる。
中でも、空気入りタイヤのタイヤトレッド部、又はサイドウォール部を当該ゴム組成物で形成するのが好ましい態様の1つとして挙げられる。
タイヤトレッド部とは、トレッドパターンを有し、路面と直接接する部分で、カーカスを保護するとともに摩耗及び外傷を防ぐタイヤの外皮部分であり、タイヤの接地部を構成するキャップトレッド及び/又はキャップトレッドの内側に配設されるベーストレッドをいう。
サイドウォール部とは、例えば、空気入りラジアルタイヤにおけるショルダー部の下側からビード部に至るまでの部分であり、カーカスを保護するとともに、走行する際に最も屈曲の激しい部分である。
ビードエリア部とは、カーカスコードの両端を固定し、同時にタイヤをリムに固定させる役目を負っている部分である。ビードとは高炭素鋼を束ねた構造である。
ベルト部とは、ラジアル構造のトレッドとカーカスとの間に円周方向に張られた補強帯である。カーカスを桶のたがの様に強く締付けトレッドの剛性を高めている。
カーカス部とは、タイヤの骨格を形成するコード層の部分であり、タイヤの受ける荷重、衝撃、及び充填空気圧に耐える役割を果たしている。
ショルダー部とは、タイヤの肩の部分で、カーカスを保護する役目を果たす。
本発明のタイヤは、タイヤの分野において、これまでに知られている方法に従って製造することができる。
また、タイヤに充填する気体としては、通常の又は酸素分圧を調整した空気;窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを用いることができる。
以下、製造例及び実施例を示して、本発明について具体的に説明する。ただし、実施例はあくまで一例であって、本発明は、実施例に限定されない。
製造例1:3,6−ビス(3−ピリジル)−1,2,4,5−テトラジン(1a)の製造
200mL四つ口フラスコに、3−シアノピリジン24g(0.23モル)、水加ヒドラジン15g(1.3当量)、及びメタノール48mLを加え、室温で撹拌した。次いで、この混合物に、硫黄3.6g(15重量%)を加え、還流管を装着して外温70℃にて一晩加熱撹拌した。この反応液を氷冷し、結晶を濾過して少量の冷メタノールで洗浄した。粗結晶を減圧下乾燥し、橙色のジヒドロテトラジン粗結晶19gを得た。
得られた粗結晶17.8gを、酢酸178g(40当量)に溶解し、硫黄を濾去した。1L四つ口ナスフラスコに、ジヒドロテトラジン酢酸溶液、及び蒸留水178mLを加え、氷冷下撹拌した。亜硝酸ナトリウム15.5g(3当量)を蒸留水35mLに溶解し、反応液に1時間程度かけて滴下し、室温で一晩撹拌した。析出した結晶を濾過し、結晶を10%重層水で中和し粗結晶とした。該粗結晶をシリカゲルカラム(酢酸エチル)にて精製し、表題のテトラジン化合物(1a)8.4g(赤紫色、針状結晶)を得た。
融点:200℃、
H−NMR(300MHz,CDCl,δppm):
7.59(ddd,J =0.9,5.1,7.8 Hz,2H),8.89−8.96(m,4H),9.88(dd,J =0.9,2.4Hz,2H)
製造例2:3,6−ジフェニル−1,2,4,5−テトラジン(比較化合物(1))の製造
500mL四つ口フラスコに、ベンゾニトリル120g(1.16モル)、水加ヒドラジン76g(1.3当量)、及びメタノール348mLを加え、室温で撹拌した。次いで、この混合物に、硫黄10g(8.6重量%)を加え、還流管を装着して外温70℃にて一晩加熱撹拌した。得られた反応液を氷冷し、結晶を濾過し、少量の冷メタノールで洗浄した。得られた粗結晶を2.5Lの温メタノールに溶解し、不溶物を濾過した後、濾液の溶媒を留去した。得られた粗結晶を減圧下乾燥し、黄色のジヒドロテトラジン粗結晶48gを得た。
300mL四つ口ナスフラスコに、粗結晶4.8g、酢酸48mL、及び蒸留水48mLを加え、氷冷下撹拌した。亜硝酸ナトリウム4.2g(3当量)を蒸留水48mLに溶解した。この反応液に1時間程度かけて滴下し、その後室温で一晩撹拌した。反応液に蒸留水100mLを加え結晶を濾過した。得られた粗結晶を10mLの酢酸で洗浄し、濾過することで、表題の比較化合物(1)3.9g(赤紫色、針状結晶)を得た。
融点:166℃、
H−NMR(300MHz,CDCl,δppm):
7.58−7.68(m,6H),8.64−8.69(m,4H)
製造例3:1,4−ジヒドロ−3,6−ジフェニル−1,2,4,5−テトラジン(比較化合物(2))の製造
500mL四つ口フラスコに、ベンゾニトリル120g(1.16モル)、水加ヒドラジン76g(1.3当量)、及びメタノール348mLを加え、室温で撹拌した。次いで、この混合物に、硫黄10g(8.6重量%)を加え、還流管を装着して外温70℃にて一晩加熱撹拌した。得られた反応液を氷冷し、結晶を濾過し、少量の冷メタノールで洗浄した。得られた粗結晶を2.5Lの温メタノールに溶解し、不溶物を濾過した後、濾液の溶媒を留去した。得られた粗結晶を減圧下乾燥することで、表題の比較化合物(2)48g(黄色粗結晶)を得た。
融点:199℃、
H−NMR(300MHz,CDCl,δppm):
7.40〜7.47(m,3H),7.80〜7.83(m,2H),9.07(s,1H)
実施例1〜5及び比較例1〜4
下記表1及び2の工程(I)に記載の各成分をその割合(質量部)で混合し、バンバリーミキサーで混合物の最高温度が160℃になるように回転数を調整しながら5分間混練した。混合物の温度が80℃以下になるまで養生させた後、表1及び2の工程(II)に記載の各成分をその割合(質量部)で投入し、混合物の最高温度が110℃以下になるよう調整しながら混練して、各ゴム組成物を製造した。
低発熱性(tanδ指数)試験
実施例1〜5、及び比較例1〜4で作製したゴム組成物(試験組成物)について、粘弾性測定装置(Metravib社製)を使用し、温度40℃、動歪5%、周波数15Hzでtanδを測定した。
なお、テトラジン化合物(1)を添加しない以外は、各実施例及び比較例と同じ配合内容及び同じ製法でゴム組成物(リファレンス)をそれぞれ作製し、下記式に基づいて、低発熱性指数を算出した。
なお、低発熱性指数の値が大きい程、低発熱性であり、ヒステリシスロスが小さいことを示す。また、それぞれのリファレンスの加硫ゴム組成物の低発熱性は100とする。
結果を表1及び2に示した。
式:低発熱性指数={(リファレンスのtanδ)/(試験組成物のtanδ)}×100
Figure 2018150436
Figure 2018150436
[表中の記号の説明]
表1又は2において使用する原料を以下に示す。
※1: 日本ブチル株式会社製、商品名「ブチル268」
※2: 旭化成株式会社製、商品名「タフデン2000R」
※3: 日本ゼオン株式会社製、商品名「NS116R」
※4: 宇部興産株式会社製、商品名「BR150B」
※5: 東ソー・シリカ株式会社製、商品名「Nipsil(銘柄AQ)」
※6: Evonik Industries AG製、商品名「Si69」
※7: 東海カーボン株式会社製、商品名「シースト3」
※8: 川口化学工業株式会社製、商品名「Antage 6C」
※9: 堺化学工業株式会社製、酸化亜鉛 銘柄「1種」
※10: Sichuan Tianyu Grease Chemical Co., Ltd. 製
※11: JX日鉱日石エネルギー株式会社製、商品名「X−140(アロマオイル)」
※12: ストラクトール社製、商品名「HT254」
※13: 3,6−ビス(3−ピリジル)−1,2,4,5−テトラジン(製造例1で製造した化合物)
※14: 3,6−ビス(2−ピリジル)−1,2,4,5−テトラジン、東京化成工業株式会社製
※15: 3,6−ビス(4−ピリジル)−1,2,4,5−テトラジン、東京化成工業株式会社製
※16: 3,6−ジフェニル−1,2,4,5−テトラジン(製造例2で製造した化合物)
※17: 1,4−ジヒドロ−3,6−ジフェニル−1,2,4,5−テトラジン(製造例3で製造した化合物)
※18: 細井化学工業株式会社製、商品名「HK200−5」
※19: 大内新興化学工業株式会社製、商品名「ノクセラーD」
※20: 大内新興化学工業株式会社製、商品名「ノクセラーCZ−G」
本発明のゴム組成物は低発熱性に優れているので、該ゴム組成物を用いれば、各種自動車の空気入りタイヤのトレッド部(タイヤトレッド)を製造することができる。

Claims (6)

  1. ゴム成分、及び下記一般式(1):
    Figure 2018150436
    [式中、X及びXは、置換基を有していてもよい複素環基を示す。]
    で表されるテトラジン化合物又はその塩を含有するゴム組成物であって、
    ゴム成分100質量部中に、ブチル系ゴムが30質量部未満の割合で含まれ、
    ゴム成分100質量部に対して、前記テトラジン化合物又はその塩を0.1〜10質量部含む、ゴム組成物。
  2. さらに無機充填材及び/又はカーボンブラックを含む請求項1に記載のゴム組成物。
  3. ゴム成分100質量部に対して、無機充填材及び/又はカーボンブラックを合計量で20〜150質量部含む請求項2に記載のゴム組成物。
  4. トレッド部に用いられる請求項1〜3のいずれか一項に記載のゴム組成物。
  5. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のゴム組成物を用いて作製されたタイヤ用トレッド。
  6. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のゴム組成物を用いて作製されたタイヤ用サイドウォール。
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