以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図1に示す如く、エレベータEは、構造物の階層Fに設けられた乗降場1であって、乗降口A1を有する乗降場1と、構造物内に設けられた昇降路Rに沿って上下方向に移動可能且つ利用者の指定する階層Fで停止可能なかご2であって、停止した階層Fの乗降場1の乗降口A1と対応する乗降口A2を有するかご2とを備える。
乗降場1及びかご2のそれぞれは、図2及び図3に示す如く、自身の乗降口A1,A2を開閉するドアパネル10,20と、少なくとも乗降口A1,A2を閉じたドアパネル10,20の下方に位置する敷居11,21とを有する。本実施形態において、乗降場1及びかご2のそれぞれは、敷居11,21から垂下するエプロン12,22を備える。
具体的には、乗降場1及びかご2のそれぞれは、正面視四角形状の乗降口A1,A2を画定する枠状体13,23を備える。枠状体13,23は、乗降口A1,A2の上端及び側端を画定する三方枠14,24と、乗降口A1,A2の下端を画定する敷居11,21とを含む。
敷居11,21は、乗降場1と該乗降場1のある階層Fに停止するかご2とが並ぶ奥行方向及び上下方向と直交する横方向に延びる。図4に示す如く、敷居11,21の上面には、ドアパネル10,20を案内する案内溝110,210であって、上下方向に深さを有し且つ横方向に長さを有する案内溝110,210が設けられている。
乗降場1及びかご2のそれぞれの敷居11,21は、奥行方向に前端と該前端に対して反対側の後端とを有する。乗降場1の敷居11は、前端をかご2側に位置させ、かご2の敷居21は、前端を乗降場1側に位置させる。乗降場1の敷居11,21の前端と、かご2の敷居11,21の前端とは、横方向に並んだ状態(乗降場1のある階層Fにかご2が停止した状態)において、奥行方向に間隔をあけて対向する。
乗降場1及びかご2のそれぞれのエプロン12,22は、上下方向及び横方向に広がるプレート状に形成され、奥行方向に厚みを有する。エプロン12,22の横方向の寸法は、横方向における乗降口A1,A2の開口寸法以上に設定される(図2及び図3参照)。これにより、例えば、かご2の停止位置が上下方向にずれた場合(互いの敷居11,21が同面にならない場合)、エプロン12,22は、乗降場1の乗降口A1又はかご2の乗降口A2から昇降路Rが露呈することを防止する。
エプロン12,22は、自身の垂下する敷居11,21の前端よりも後端側に配置される。すなわち、エプロン12,22は、敷居11,21の前端と後端との間の途中位置から垂下する。
図2に示す如く、乗降場1のエプロン12は、単一又は複数のプレート(本実施形態においては単一のプレート)により構成され、上下方向及び横方向に広がる。
図3に示す如く、かご2のエプロン22は、矩形状の開口221を画定した枠板状のエプロン本体220と、エプロン本体220の画定した開口221内に配置される後述するプレート状のシュート部材3であって、エプロン本体220の画定した開口221を概ね塞ぐことのできるシュート部材3とを備える。これにより、かご2のエプロン22は、シュート部材3がエプロン本体220の開口221を概ね塞いだ状態で上下方向及び横方向に広がる。
図4に示す如く、本実施形態に係るかご2は、利用者の落とした物を回収する回収ボックス4と、自身の敷居21よりも下方に配置されたシュート部材3とを備える。
回収ボックス4は、奥行方向に開放した導入口400であって、乗降場1側に向けて開放した導入口400と、奥行方向又は横方向(本実施形態においては奥行方向)に開放した回収口401とを有するボックス本体40を備える。
また、本実施形態に係る回収ボックス4は、導入口400を開閉する扉(以下、第一扉という)41を有する。さらに、本実施形態に係る回収ボックス4は、回収口401を開閉する扉(以下、第二扉という)42を備える。
回収ボックス4は、ボックス本体40の導入口400及び回収口401が敷居21と並ぶ床面FSよりも下方に位置する収納位置P1と、少なくとも回収口401が床面FSよりも上方に位置する引出位置P2とに位置変更可能に設けられている。すなわち、回収ボックス4は、上下方向に移動可能であり、収納位置P1と引出位置P2とに位置変更可能に設けられる。これに伴い、本実施形態に係るかご2は、回収ボックス4を引出位置P2で維持させるロック機構5をさらに備える。
ここで、ボックス本体40について具体的に説明すると、ボックス本体40は、図5及び図6に示す如く、上向きの天面Sを有する天部402と、天部402よりも下方に配置された底部403であって、天部402と対向する底部403と、天部402と底部403との間に配置された周壁部404であって、導入口400及び回収口401を有する周壁部404とを備える。
天部402は、プレート状の天部本体402aと、天部本体402aに取り付けられた取っ手402bとを含む。天部本体402aは、横方向で長手に設定された平面視長方形状である。天部本体402aの上面には、取っ手402bを配置する取付部402cが設けられている。取付部402cは、横方向に間隔をあけた複数個所(本実施形態においては二か所)に設けられる。本実施形態において、取付部402cは、天部本体402aの天面Sに設けられた凹部である。取付部402cが凹部であるため、取っ手402bは、取付部402c内に配置される。取っ手402bは、取付部402c内に収納された姿勢と、取付部402cから突出した姿勢とに切り替え可能に設けられる。なお、取っ手402bを図示した図(図4〜図6、図13〜図15)には、取付部(凹部)402cに収容された姿勢の取っ手402bが図示されている。
周壁部404は、角筒状に形成される。具体的には、周壁部404は、奥行方向で間隔をあけて対向する一対の第一壁404a,404aと、横方向に間隔をあけて対向する一対の第二壁404b,404bであって、奥行方向におけるそれぞれの両端が一対の第一壁404a,404aに接続された一対の第二壁404b,404bとを備える。
一対の第一壁404a,404aのうちの一方の第一壁404aには、奥行方向から見て四角形状の導入口400が設けられている(図5参照)。これに対し、一対の第一壁404a,404aのうちの他方の第一壁404aには、奥行方向から見て四角形状の回収口401が設けられている(図6参照)。導入口400と回収口401とは上下方向において異なる高さに設けられている。具体的には、回収口401は導入口400よりも上下方向において高い位置に配置されている。
一対の第二壁404b,404bのそれぞれには、ロック機構5の後述する係止部材50aが遊挿される孔部H1が設けられている。
本実施形態において、天部402及び底部403の上下方向から見たサイズは、周壁部404の外寸(上下方向から見たサイズ)よりも大きく設定される。すなわち、天部402及び底部403は、上下方向における周壁部404の両端開口を閉じた上で周壁部404の外周からはみ出ている。
本実施形態において、第一扉41は、プレート状であり、ボックス本体40に対して上下方向にスライド可能に支持されている。具体的には、回収ボックス4は、ボックス本体40における一方の第一壁404aに固定された一対のガイド405であって、横方向で導入口400を挟んで配置された一対のガイド405を備える。
各ガイド405は、例えば、一方の第一壁404a(本実施形態においては、第一壁404aの内面)から面直交方向に延出する第一片(図示しない)と、第一片に接続された第二片(図示しない)であって、第一片から導入口400側に延出して一方の第一壁404aと対向する第二片とを含む。
一方の第一壁404aと第二片との間隔は、第一扉41の厚みと同一又は略同一に設定される。ガイド405は(第二片)は、一方の第一壁404aとともに横方向における第一扉41の端部を挟み込む。すなわち、ガイド405は、第一扉41の上下方向の移動を許容しつつ第一扉41の端部を奥行方向に付勢する。これにより、第一扉41は、上下方向に移動をした後において、その位置で維持する。
本実施形態において、第一扉41は、回収ボックス4が引出位置P2にあるときに導入口400を閉塞し、回収ボックス4が収納位置P1にあるときに導入口400を開放する。これに伴い、本実施形態にかご2は、図4に示す如く、第一扉41を開閉するための扉開閉手段6を備える。
扉開閉手段6は、かご2の床材(採番しない)に沿って固定される第一部材60と、第一部材60の下方側で該第一部材60と対向する片部61bを含む第二部材61と、第一扉41に固定された第三部材62とを備える。
第一部材60は、下側を向く面を有する。本実施形態において、収納位置P1にある回収ボックス4を受ける受部材7が第一部材60に兼用されている。
第二部材61は、かご2の床材又は受部材7(本実施形態においては、受部材7)から垂下する垂下部61aと、垂下部61aの下端から奥行方向に延びる片部61bであって、第一部材60の下側を向く面と対向する片部61bとを備える。第一部材60及び第二部材61の片部61bは、回収ボックス4の導入口400のある一方の第一壁404aと対向するように配置される。これに伴い、第二部材61の片部61bは、垂下部61aから回収ボックス4側に延出する。第二部材61の片部61bは、収納位置P1にある回収ボックス4の導入口400の上端よりも僅かに下方に位置するように配置される。
第三部材62は、上下方向における第一扉41の下端から奥行方向に延びる。本実施形態に係る第三部材62は、第一扉41の下端の沿った片部材である。本実施形態において、第一扉41が一方の第一壁404aの内面に取り付けられたガイド405に支持されることで、ボックス本体40内に位置するに伴い、第三部材62は、導入口400を介して回収ボックス4(ボックス本体40)の外側に延在している。
第一部材60、第二部材61の片部61b及び第三部材62は、第三部材62が第一部材60の下側で且つ第二部材61の片部61bの上側に位置した状態で、上下方向から見て重複するように配置される。
すなわち、第三部材62は、上下方向において第一部材60と第二部材61の片部61bとの間に介在するように配置される。かかる構成により、収納位置P1にある回収ボックス4が引出位置P2に位置変更されるとき(上方に向けて移動するとき)に、第三部材62が第一部材60と干渉することで、第三部材62に接続された第一扉41の移動が規制される。これに伴い、ボックス本体40と第一扉41とが相対的に移動することになり、第一扉41がボックス本体40の導入口400を閉じる。これに対し、引出位置P2にある回収ボックス4が収納位置P1に位置変更されるとき(下方に向けて移動するとき)に、第三部材62が第二部材61の片部61bと干渉することで、第三部材62に接続された第一扉41の移動が規制される。これに伴い、ボックス本体40と第一扉41とが相対的に移動することになり、第一扉41がボックス本体40の導入口400を開く。
そして、回収ボックス4のボックス本体40が上記態様にされることに伴い、かご2は、収納位置P1にある回収ボックス4を受ける受部材7を備える。かご2の床面FSは、回収ボックス4の天部402が上下方向で嵌り込む凹部25を有する。受部材7は、天部402が凹部25内に配置され且つ該天部402の天面Sが床面FSと同面又は略同面になる位置で回収ボックス4を受ける。
具体的に説明すると、受部材7は、平面視枠状に構成され、上向きの面と下向きの面とを有する。受部材7は、下向きの面を有するため、上述の如く、第一部材60に兼用される。本実施形態において、回収ボックス4の後述する周壁部404の上下方向から見た外郭が四角形状であるため、受部材7は、周壁部404の形状に合わせて四角形の枠状にされる。受部材7は、周囲の床面FSよりも低い位置に配置される。すなわち、上向きの面が周囲の床面FSよりも下方側に位置するように、受部材7は配置される。
周囲の床面FSと受部材7の上向きの面との上下方向の距離は、回収ボックス4の天部402の厚み(上下方向の厚み)と同一又は略同一に設定される。これにより、かご2の床面FSには、回収ボックス4の天部402が配置される凹部25が形成される。すなわち、受部材7の上向きの面が凹部25の底面を構成する。そして、凹部25に天部402が配置された状態において、第一部材60が受部材7として天部402の外周端部を受ける。
本実施形態において、ロック機構5は、図5及び図6に示す如く、回収ボックス4内に配置される。より具体的には、ロック機構5は、導入口400の横方向の両側に一対配置される。一対のロック機構5は、回収ボックス4の上下方向に延びる中心線CLを基準に対称的に配置される。
各ロック機構5は、図5に示す如く、かご2の床部材又は受部材7(本実施形態においては、受部材7)に対して係止可能な係止爪500aを含む機構本体5aと、機構本体5aの係止爪500aによる係止を解除させる解除部材5bとを備える。
機構本体5aは、図7に示す如く、受部材7に係止可能な係止爪500aを有する係止部材50aと、上下方向と直交する方向(本実施形態においては横方向)に往復動可能に係止部材50aを保持する保持部材51aと、係止部材50aの往復動と同方向に往復動可能に保持部材51aを支持する支持部材52aと、保持部材51aを上下方向と直交する方向(本実施形態においては横方向)に移動させる作動部53aと、解除部材5bと連携可能に構成された操作部54aであって、作動部53aを作動させる操作部54aとを備える。
係止部材50aは、横方向に延びる中心線CL1を有する。係止部材50aは、係止爪500aと、係止爪500aに対して横方向で連続する角軸部501aと、角軸部501aに対して横方向で連続する鍔部502aとを備える。係止爪500aは、横方向に一端と他端とを有し、一端側における上面は、他端側から一端に向けて先下りしたテーパ面である。角軸部501aの断面は、中心線CL1の延びる方向(横方向)から見て三角以上の多角形状である。本実施形態において、角軸部501aの断面は、横方向から見て四角形状である。
これに伴い、角軸部501aの外面は、上下方向で相反する方向に向く一対の第一外面(採番しない)であって、それぞれが平面状をなす一対の第一外面と、奥行方向で相反する方向に向く一対の第二外面(採番しない)であって、それぞれが平面状をなす一対の第二外面とを含む。
横方向から見た鍔部502aの断面は、角軸部501aの断面形状に対する相似形である。鍔部502aは、角軸部501aよりも大きく形成される。
係止部材50aの角軸部501aは、ボックス本体40の第二壁404bに設けられた孔部H1に挿入され、係止爪500aは、ボックス本体40の第二壁404bから突出する。
保持部材51aは、係止爪500aを挿通可能な孔(採番しない)を画定した環状部510aと、横方向に一端と他端とを有し且つ一端に環状部510aが接続された筒状部511aであって、係止部材50aの鍔部502aを奥行方向で移動可能に収容する空間(採番しない)を画定した筒状部511aと、筒状部511aの他端に接続され且つ筒状部511aの他端開口を閉じる閉塞部512aと、閉塞部512aに接続された軸部513aとを備える。
環状部510aの画定する孔は、係止部材50aの角軸部501aの断面形状に対応した形状に形成される。本実施形態において、角軸部501aの断面が四角形状にされるに伴い、環状部510aの画定する孔も四角形状にされる。
筒状部511aは、横方向から見て鍔部502aの断面形状に対応した断面形状を有する空間(採番しない)を画定する。本実施形態において、鍔部502aの断面形状は、角軸部501aの断面と相似形である四角形状にされるに伴い、筒状部511aの画定する空間についても、横方向から見て四角形状である。
すなわち、筒状部511aの内面は、上下方向で対向する一対の第一内面(採番しない)であって、それぞれが平面状をなす一対の第一内面と、奥行方向で対向する一対の第二内面(採番しない)であって、それぞれが平面状をなす一対の第二内面とを含む。第一内面は、鍔部502aの第一外面と対向し、第二内面は、鍔部502aの第一外面と対向する。これにより、第一内面は、第一外面を横方向(中心線CL1の延びる方向)に案内し、第二内面は、第二外面を横方向(中心線CL1の延びる方向)に案内する。
筒状部511aの外形は、画定する空間に対して相似形である。すなわち、筒状部511aの断面は、横方向から見て四角形状である。
閉塞部512aの外形及び外寸は、筒状部511aの外形及び外寸と同一である。すなわち、閉塞部512aは、横方向から見て四角形状である。これにより、閉塞部512aの外周は、筒状部511aの外周に含まれる平面と連続する平面を含む。
筒状部511aの画定する空間の横方向の寸法は、同方向における鍔部502aの厚みよりも大きい。本実施形態において、筒状部511aの画定した空間には、係止部材50a(鍔部502a)を横方向に付勢する付勢部材(本実施形態においてはコイルばね)550aが収容される。すなわち、筒状部511aの空間には、閉塞部512aと鍔部502aとを離間させる付勢力を発揮する付勢部材550aが収容される。
これにより、係止部材50aの係止爪500aは、常態において、付勢部材550aの付勢によってボックス本体40(第二壁404b)から突出した状態で維持する。また、係止部材50aは、付勢部材550aの付勢力に勝る力が作用したときに、ボックス本体40の内部側に向けて移動する。これにより、係止爪500aがボックス本体40(第二壁404b)の外面より外側に突出した状態にならないようになっている。
軸部513aは、閉塞部512aの外寸よりも小径な小径部514aであって、横方向に一端と他端とを有し、一端が閉塞部512aに接続された小径部514aと、小径部514aよりも大径に設定された大径部514bであって、小径部514aの他端に接続された大径部514bとを有する。横方向から見た小径部514a及び大径部514bの断面は、円形である。
支持部材52aは、保持部材51aを保持するシリンダ520aと、保持部材51aの保持する係止部材50a(係止爪500a)がボックス本体40の孔部H1と対応する高さになるようにシリンダ520aを支持する支持部521aであって、ボックス本体40に固定される支持部521aとを備える。
シリンダ520aは、横方向に延び且つ横方向から見た断面が同方向から見た筒状部511aの断面と対応する第一空間(採番しない)を画定した第一部位522aと、横方向で第一空間と連続し且つ横方向から見た断面が同方向から見た軸部513aの小径部514aの断面と対応する第二空間(採番しない)を画定した第二部位523aと、横方向で第二空間と連続し且つ横方向から見た断面が同方向から見た大径部514bの断面と対応する第三空間(採番しない)を画定した第三部位524aとを含む。
第一部位522aの第一空間には、筒状部511aが横方向にスライド可能に収容される。この筒状部511aのスライド量は、係止爪500aがボックス本体40の第二壁404bの外面から突出する突出量以上に設定される。第一部位522aには、作動部53aの後述するレバー530aを挿通させるための長孔LHであって、横方向に長手の長孔LHが設けられている。この長孔LHは、挿通されたレバー530aの横方向のスライドを許容する。このレバー530aのスライド量は、筒状部511aのスライド量と対応する。
第二部位523aの第二空間には、軸部513aの小径部514aが横方向にスライド可能に挿通される。第三部位524aの第三空間には、軸部513aの大径部514bが横方向にスライド可能に収容される。
また、第三部位524aの第三空間には、大径部514bを筒状部511a側に向けて付勢する付勢部材550bが収容される。第三空間に収容される付勢部材550bは、保持部材51a全体を横方向に付勢する。これにより、付勢部材550bは、大径部514bを第二部位523aに当接させ、筒状部511aを第一空間内の第二部位523aとは反対側の位置で維持させる。
なお、第三空間に収容された付勢部材550bは、大径部514bが第二部位523aとは反対側に向けてスライドすることを許容する。この大径部514bのスライド量は、筒状部511aのスライド量(係止爪500aがボックス本体40の外面から突出する突出量以上)に設定される。
支持部521aは、ボックス本体40に固定されるベース525aと、ベース525aの上面に立設された脚部525bとを備える。本実施形態において、ベース525aは、ボックス本体40の底部403の上面に固定される。脚部525bは、ベース525aの上面から上方に延び、シリンダ520aに連結されている。
作動部53aは、第一部位522aに設けられた長孔LHに挿通されたレバー530aであって、第一空間にある軸部513aの小径部514aに接続されたレバー530aと、操作部54aとレバー530aとを機構的に接続する歯車機構531aとを備える。
レバー530aは、第一部位522aの外周面から外方に突出している。歯車機構531aは、上下方向と直交する方向(本実施形態においては横方向)に延びる第一ラック532aと、第一ラック532aと噛合する第一ピニオン532bと、第一ピニオン532bと噛合する第二ピニオン532cと、上下方向に延びる第二ラック532dであって、第二ピニオン532cを噛合する第二ラック532dと含む。
第一ラック532aは、歯を上向きにしてレバー530aに連結されている。本実施形態において、筒状部511aが横方向にスライドするに伴い、第一ラック532aは、横方向に延びている。
第一ピニオン532b及び第二ピニオン532cのそれぞれは、上下方向と直交する方向に延びる軸線を中心に回転可能に設けられる。本実施形態において、第一ラック532aが横方向に延びるに伴い、第一ピニオン532b及び第二ピニオン532cのそれぞれは、奥行方向に延びる軸線(採番しない)を中心に回転可能に設けられる。
本実施形態において、第一ピニオン532bは、第二ピニオン532cよりも小径に設定されている。第一ピニオン532bの回転中心は、第二ピニオン532cの回転中心よりも横方向において係止爪500a側に位置している。本実施形態において、第一ピニオン532b及び第二ピニオン532cは、シリンダ520aに連結された支持フレーム(採番しない)に軸支されている。第二ラック532dは、歯を横向きにして上下方向に延びる。
操作部54aは、解除部材5bと係合可能な被係合部540aと、被係合部540aを上下方向に往復動可能に支持する支持体541aと、第二ピニオン532cが固定される固定部542aであって、被係合部540aに連結された固定部542aとを備える。
被係合部540aは、上向きの面を有する。支持体541aは、上下方向に延びる中心線を有する軸部材543aと、軸部材543aを上下方向に付勢する付勢部材550cと、軸部材543aを上下方向に往復動可能に案内する案内部545aを有し且つ付勢部材550cを収容する内部空間(採番しない)を画定した本体部543cとを含む。
軸部材543aは、主軸部544aと、主軸部544aに連続し且つ主軸部544aよりも大径に設定されたフランジ部544bとを含む。
本体部543cは、案内部545aに加え、該案内部545aに対して上下方向に間隔をあけて対向する対向部545bと、案内部545aと対向部545bとを接続する接続部545cとを有する。
案内部545aは、環状であり、軸部材543aの主軸部544aを挿通させる孔(採番しない)を画定する。案内部545aの孔を画定する内周面は、軸部材543aの主軸部544aの外周を上下方向に案内する。対向部545bは、付勢部材550cを支持可能に設けられる。本実施形態において、対向部545bは板状に形成される。接続部545cは、筒状に形成され、上下方向に第一端と該第一端の反対側の第二端と有する。
接続部545cの内径は、軸部材543aのフランジ部544bを上下方向で移動可能に設定される。接続部545cの第一端には、案内部545aが接続され、接続部545cの第二端には、対向部545bが接続される。これにより、案内部545a、対向部545b、及び接続部545cは、付勢部材550cを収容する内部空間を形成する。接続部545cの中心は、案内部545aの孔の中心と同心である。
軸部材543aの主軸部544aは、案内部545aの孔に挿通され、軸部材543aのフランジ部544bは、本体部543cの内部空間に配置される。付勢部材550cは、コイルばねであり、内部空間内のフランジ部544bと対向部545bとの間に介装される。これにより、軸部材543aは、付勢部材550cの付勢により、常態において、フランジ部544bを案内部545aに当接させ、本体部543cから主軸部544aを最大に突出させる。付勢部材550cは、軸部材543aの下方に向けての移動を許容するように撓み量が設定される。
このように軸部材543aが付勢部材550cによって付勢されることで、固定部542aに固定された第二ピニオン532cは、常態において、上下方向の下端側が第二ピニオン532cと噛合した状態になる。
図4及び図5に示す如く、解除部材5bは、第一扉41に連設される。解除部材5bは、被係合部540aの上向きの面に対して上方側から重なるように配置された係合片50bを有する。本実施形態において、ロック機構5が導入口400の両側のそれぞれに設けられるため、解除部材5bは、ロック機構5の配置に合わせて一対設けられる。
図3に示す如く、シュート部材3は、横方向に延びる軸線VLを中心に回転可能に設けられる。具体的に説明すると、シュート部材3は、第一端E1と該第一端E1よりも下方にある第二端E2とを有する。シュート部材3は、第二端E2を含む下側領域30を有する。具体的には、シュート部材3は、第一端E1を含む上側領域31と、第二端E2を含む下側領域30であって、前記軸線VLを挟んで上側領域31と連続する下側領域30とを有する。
図8に示す如く、シュート部材3には、前記軸線VLに中心線を一致させた支軸32が取り付けられている。本実施形態においては、シュート部材3の横方向の両端部にそれぞれに支軸32が取り付けられている。本実施形態において、支軸32は、エプロン本体220に固定された軸受33に軸支されている。軸受33(支軸32)の中心は、図9に示す如く、エプロン本体220の厚み方向における中央位置に設定されている。
シュート部材3は、軸線VL(支軸32)を中心に回転(傾動)することで、かご2が昇降路Rを移動している状態において、第一端E1及び第二端E2(上側領域31及び下側領域30)が上下方向に並ぶ起立姿勢になり(図4参照)、かご2が階層Fで停止している状態において、第一端E1から第二端E2に向けて先下りした傾斜姿勢であって、乗降場1の敷居11,21とかご2の敷居11,21との間の下方位置に存在し且つ回収ボックス4の導入口400を通って第二端E2が回収ボックス4内に位置する傾斜姿勢になる(図13参照)。
本実施形態において、シュート部材3は、電気的な駆動により傾動する。すなわち、かご2は、図8に示す如く、シュート部材3を回転(傾動)させるために駆動部34を備える。
駆動部34は、出力軸(採番しない)を有するモータ340(図9参照)と、モータ340の出力軸に取り付けられた第一歯車341と、第一歯車341に噛合する第二歯車342であって、シュート部材3の回転中心となる支軸32に固定される第二歯車342とを備える。本実施形態において、モータ340は、減速機付き電動モータであり、第一歯車341及び第二歯車342のそれぞれは、平歯車である。本実施形態において、支軸32がシュート部材3の横方向の両端部に取り付けられているため、駆動部34についても、支軸32に合わせて二つ設けられている。
図3に示す如く、シュート部材3の下側領域30は、軸線VL側の第一下側領域30aと、第一下側領域30aと連続する第二下側領域30bであって、第二端E2を含む第二下側領域30bとを含む。シュート部材3の上側領域31は、軸線VL側の第一上側領域31aと、第一上側領域31aと連続する第二上側領域31bであって、第一端E1を含む第二上側領域31bとを含む。
第一下側領域30a及び第一上側領域31aは、連続している。すなわち、第一下側領域30a及び第一上側領域31aは、一枚のプレートで構成される。
第二下側領域30bは、図10に示す如く、第一下側領域30aに対して前記軸線VLと同方向に延びる仮想線を中心にして回転可能に連結されている。第二下側領域30bは、プレートであり、本実施形態においては、ヒンジ35aを介して第一下側領域30aに連結されている。
シュート部材3は、第二下側領域30bが第一下側領域30aと一列に並んだ状態で維持するために、第一下側領域30aに固定された第一ストッパー35bを備える。第一ストッパー35bは、第一下側領域30aから延出し、第二下側領域30bが第一下側領域30aと並んだ状態で、第二下側領域30bを支持する。なお、第二下側領域30bが回転(傾倒)した状態から第一下側領域30aと一列に並んだ状態に復帰する付勢手段を設けてもよいが、本実施形態においては、第二下側領域30bの自重或いは重量バランスにより、第二下側領域30bが第一下側領域30aと一列に並んだ状態に復帰するようになっている。
図11に示す如く、第二上側領域31bは、第一上側領域31aに対して前記軸線VLと同方向に延びる仮想線を中心にして回転可能に連結されている。第二上側領域31bは、プレートであり、本実施形態においては、ヒンジ36aを介して第一上側領域31aに連結されている。
シュート部材3は、第二上側領域31bが第一上側領域31aと一列に並んだ状態で維持するために、第一上側領域31aに固定された第二ストッパー36bを備える。第二ストッパー36bは、第一上側領域31aから延出し、第二上側領域31bが第一上側領域31aと並んだ状態で、第二上側領域31bを支持する。なお、第二上側領域31bが回転(傾倒)した状態から第一上側領域31aと一列に並んだ状態に復帰する付勢手段を設けてもよいが、本実施形態においては、第二上側領域31bの自重或いは重量バランスにより、第二上側領域31bが第一上側領域31aと一列に並んだ状態に復帰するようになっている。
図12に示す如く、第二上側領域31bの第一端E1(先端)には、小径ローラ37が設けられている。小径ローラ37は、相手方のエプロン12,22(本実施形態においては、乗降場1のエプロン12)に対する接触抵抗を低減させる。
本実施形態に係るエレベータEは、以上の通りである。次に、本実施形態に係るエレベータEの作動について説明する。
本実施形態のエレベータEにおいて、図4に示す如く、常態ではかご2の回収ボックス4は、収納位置P1に配置される。この状態において、回収ボックス4の天部402は、凹部25内に配置され、天部402の天面Sが周囲の床面FSと同面又は同面一となる。また、周壁部404に設けられた導入口400及び回収口401は、かご2の床面FSよりも下方に配置される。本実施形態において、回収ボックス4が収納位置P1にある状態においては、第三部材62が第二部材61の片部61bに係止されており、第一扉41は導入口400を開放させている。
そして、かご2が昇降路Rを移動する状態において、シュート部材3は、起立姿勢にされる。本実施形態において、シュート部材3は、エプロン本体220と同面又は略同面となり、該エプロン本体220とともにエプロン22を構成する。
そして、利用者の指定する階層Fにかご2が停止すると、駆動部34(モータ340)が駆動され、図13に示す如く、シュート部材3が傾斜姿勢にされる。本実施形態において、シュート部材3は、上側領域31の第一端E1が相手方(乗降場1)のエプロン12に当接するまで傾斜する。このとき、シュート部材3の小径ローラ37は、相手方のエプロン12との当接によって回転し、第二上側領域31bは、ヒンジ36a(回転軸)を中心に回転し、第一上側領域31aに対して傾倒する。これにより、シュート部材3の上側領域31は、乗降場1の敷居11とかご2の敷居21との間の下方に確実に位置する。また、シュート部材3の下側領域30は、収納位置P1にある回収ボックス4の導入口400を通って第二端E2が回収ボックス4内に位置する。
このようにシュート部材3が傾斜姿勢になると、乗降場1及びかご2のドアパネル10,20が乗降口A1,A2を開放し、利用者がかご2に対して乗り降りできる状態になる。そして、かご2に対して乗り降りする利用者が物を落とし、その物が乗降場1の敷居11とかご2の敷居21との間に落ちてしまった場合、その物は、下方にあるシュート部材3によって受け止められる。シュート部材3は、傾斜姿勢になっているため、受け止められた物はシュート部材3の傾斜に従い、下方側に誘導される。シュート部材3の下側領域30の第二端E2は、導入口400を通って回収ボックス4内に位置しているため、受け止められた物は回収ボックス4内に落ちる。
そして、利用者或いはエレベータEの管理者は、利用者が落とした物を回収する。具体的には、収納位置P1にある回収ボックス4を上方に引き上げる。そうすると、図14に示す如く、第一扉41は、導入口400を開放させたまま、ボックス本体40とともに上昇する。このとき、シュート部材3の下側領域30の第二端E2が回収ボックス4内にあるため、ボックス本体40が引き上げられると、シュート部材3とボックス本体40とが干渉することになる。
しかし、本実施形態のシュート部材3においては、下側領域30の第二下側領域30bが第一下側領域30aに対してヒンジ35aを介して回転可能に接続されているため、ボックス本体40と下側領域30とが干渉すると、第二下側領域30bが回転(傾倒)してボックス本体40から逃げた状態になる。これにより、ボックス本体40の引き上げが可能となる。
そして、図15に示す如く、導入口400がかご2の床面FSよりも上側に到達する前に、第一扉41に接続された第三部材62が第一部材60に係止される。そうすると、回収ボックス4がさらに引き上げられると、ボックス本体40は上昇するが、第一扉41は一定位置に留まる。従って、ボックス本体40が上昇するにつれ、導入口400は第一扉41によって閉じられる。これにより、回収ボックス4が引出位置P2に到達した状態において、導入口400が第一扉41によって閉じられる。これにより、回収ボックス4を引き上げた人の手足が導入口400に進入することが防止される。
また、図16に示す如く、回収ボックス4が引出位置P2にまで引き上げられる直前において、係止部材50aの係止爪500aが受部材7(第一部材60)と接触するが、係止爪500aの上向きの面がテーパ面であるため、回収ボックス4の引き上げ力が係止部材50aを保持部材51a(筒状部511a)の画定する空間内に押し込む力として作用する。したがって、係止爪500aが受部材7(第一部材60)と対応する位置にある状態において、係止爪500aは、受部材7(第一部材60)との干渉により、ボックス本体40(第二壁404b)側に押されて退避する。
そして、回収ボックス4が引出位置P2に到達する(係止爪500aが受部材7(第一部材60)と対応する位置を通過する)と、係止爪500a(係止部材50a)は、付勢部材550aの付勢力によって外側に押されて、ボックス本体40(第二壁404b)から外方に突出する。この状態において、係止爪500aが受部材7(第一部材60)に係止され、回収ボックス4は、引出位置P2で維持する。
本実施形態において、引出位置P2にある回収ボックス4は、さらに上方に向けて移動できる(引き上げることができる)が、回収ボックス4が引出位置P2から所定量(必要量)を超えて引き上げられそうになると、当該回収ボックス4の周辺の構成(本実施形態においては、受部材7)との連携によって、上方に向けての移動(引上げ)が阻止される。具体的には、回収ボックス4の一構成である第一扉41に接続された第三部材62が第一部材60(受部材7)に対して上下方向で係止されているため、回収ボックス4は、所定量(必要量)を超えて上昇することが防止される。従って、利用者や管理者が回収ボックス4を引き上げるときに、回収ボックス4が不用意に取り外されてしまうこと(かご2の床面FSが開放してしまうこと)がなく、利用者や管理者が床面FSの開放した部分からかご2の床下に対してアクセスするといった危険行為が排除される。
そして、回収ボックス4が引出位置P2で維持している状態で、導入口400よりも上側にある回収口401は、回収ボックス4を引き上げた人が確認できる位置に配置される。本実施形態において、第二扉42が回収口401を閉じているため、利用者或いは管理者は、第二扉42を開いて回収口401から落し物を回収する。
この状態において、シュート部材3は、駆動部34の駆動により起立姿勢に戻される。そして、シュート部材3が起立姿勢になった後、第二扉42によって回収口401の閉じられた回収ボックス4は、収納位置P1に戻される。
本実施形態においては、上述の如く、ロック機構5によるロック(第一部材60に対する係止爪500aの係止)によって回収ボックス4が引出位置P2で維持しているため、ロック機構5によるロック(第一部材60に対する係止爪500aの係止)を解除した上で、回収ボックス4が収納位置P1に戻される。
具体的には、回収ボックス4が引出位置P2にある状態において、第三部材62が第一部材60によって係止されているため、引出位置P2にある回収ボックス4が所定量(必要量)上方に向けて引き上げられると、第一扉41は一定位置で維持する一方で、ボックス本体40が上方に向けて移動する。これに伴い、第一扉41に接続された解除部材5b(係合片50b)も一定位置で維持するが、ボックス本体40に固定されたロック機構5の機構本体5aは、ボックス本体40と同様に上昇する。
そうすると、図17に示す如く、解除部材5bの係合片50bと機構本体5aの操作部54aの被係合部540aとが上下方向に重なり、結果として、係合片50bが被係合部540aを下方に向けて押す。そうすると、第二ラック532dが下方に向けて移動し、第二ピニオン532cが回転する。これに伴い、第一ピニオン532bが回転し、第一ピニオン532bに噛合した第一ラック532aが横方向に移動する。
これにより、第一ラック532aに接続されたレバー530aも横方向に移動するため、レバー530aに接続された保持部材51aも横方向に移動する。その結果、保持部材51aに保持された係止部材50a(係止爪500a)が保持部材51aとともに横方向に移動し、ボックス本体40の第二壁404bの外側からボックス本体40の内側に向けて退避する。
本実施形態において、上述の如く、第一扉41がガイド405によって上下方向の移動を許容されつつ奥行方向に付勢されることで、第一扉41の自由落下(自由な移動)が阻止されている。従って、上述の如く、係止爪500aが退避した状態において、回収ボックス4を下降させたとしても、第一扉41は一定位置で維持し、これに伴って、機構本体5aの被係合部540aと解除部材5b(係合片50b)との係合状態(被係合部540aを下方に押した状態)で維持する。従って、係止爪500aは、ボックス本体40から外方に突出することなく、受部材7(第一部材60)と対応する位置を通過する。
そして、回収ボックス4が収納位置P1に到達する前に、第三部材62が第二部材61の片部61bと当接する。この状態において、第三部材62の接続された第一扉41は一定位置で維持する一方、ボックス本体40は下降する。これに伴い、第一扉41は、ボックス本体40の導入口400を開放する。また、解除部材5b(係合片50b)が被係合部540aから離間する。そうすると、操作部54aにおける支持体541aの付勢部材550cによって被係合部540aが上方に押し戻され、第二ラック532dが上方に向けて移動し、第二ピニオン532cが回転する。
これに伴い、第一ピニオン532bが回転し、第一ピニオン532bに噛合した第一ラック532aが横方向に移動する。これにより、第一ラック532aに接続されたレバー530aも横方向に移動するため、レバー530aに接続された保持部材51aも横方向に移動する。その結果、保持部材51aに保持された係止部材50a(係止爪500a)が保持部材51aとともに横方向に移動し、ボックス本体40の第二壁404bから外側に突出する。これにより、次回の物の回収時において、ロック機構5が機能する状態に復帰する(図7参照)。
以上のように、エレベータEは、構造物の階層Fに設けられた乗降場1であって、乗降口A1を有する乗降場1と、構造物内に設けられた昇降路Rに沿って上下方向に移動可能且つ利用者の指定する階層Fで停止可能なかご2であって、停止した階層Fの乗降場1の乗降口A1と対応する乗降口A2を有するかご2とを備え、乗降場1及びかご2のそれぞれは、自身の乗降口A1,A2を開閉するドアパネル10,20と、少なくとも乗降口A1,A2を閉じたドアパネル10,20の下方に位置する敷居11,21であって、かご2が利用者の指定する階層Fで停止した状態で、上下方向と直交する奥行方向に間隔をあけて互いに並ぶ敷居11,21とを有し、かご2は、落とし物を回収する回収ボックス4と、自身の敷居21よりも下方に配置されたシュート部材3であって、第一端E1と該第一端E1よりも下方にある第二端E2とを有するシュート部材3とを備え、回収ボックス4は、奥行方向に開放した導入口400であって、当該回収ボックス4を備えたかご2の相手方になる乗降場1側に向けて開放した導入口400と、上下方向及び奥行方向のそれぞれと直交する横方向又は奥行方向に開放した回収口401とを有するボックス本体40を備え、導入口400及び回収口401が当該回収ボックス4を備えたかご2における敷居21と並ぶ床面FSよりも下方に位置する収納位置P1と、少なくとも回収口401が前記床面FSよりも上方に位置する引出位置P2とに位置変更可能に設けられるとともに、シュート部材3は、横方向に延びる軸線VLを中心に回転可能に設けられるとともに、かご2が昇降路Rを移動している状態において、第一端E1及び第二端E2が上下方向に並んだ起立姿勢になり、かご2が階層Fで停止している状態において、第一端E1から第二端E2に向けて先下りした傾斜姿勢であって、乗降場1の敷居11とかご2の敷居21との間の下方位置に存在し且つ回収ボックス4の導入口400を通って第二端E2が回収ボックス4内に位置する傾斜姿勢になる。
かかる構成によれば、かご2が階層Fで停止している状態において、シュート部材3は、第一端E1から第二端E2に向けて先下りした傾斜姿勢であって、乗降場1の敷居11とかご2の敷居21との間の下方位置に存在し且つ回収ボックス4の導入口400を通って第二端E2が回収ボックス4内に位置する傾斜姿勢になるため、かご2に対して乗り降りする利用者が落とした物が乗降場1の敷居11とかご2の敷居21との間に落ちたとしても、傾斜姿勢にあるシュート部材3がその物を受け止める。また、傾斜姿勢にあるシュート部材3は、自身の傾斜により、受け止めた物を回収ボックス4内に誘導する。そして、回収ボックス4は、導入口400及び回収口401が当該回収ボックス4を備えたかご2における敷居21と並ぶ床面FSよりも下方に位置する収納位置P1と、少なくとも回収口401が前記床面FSよりも上方に位置する引出位置P2とに位置変更可能に設けられているため、回収ボックス4が引出位置P2に配置されることで、利用者や管理者等がその場で回収口401から落し物を回収することができる。
本実施形態において、回収ボックス4は、導入口400を開閉する第一扉41を有し、第一扉41は、回収ボックス4が引出位置P2にあるときに導入口400を閉塞し、回収ボックス4が収納位置P1にあるときに導入口400を開放する。
かかる構成によれば、導入口400を開閉する第一扉41が、回収ボックス4が引出位置P2にあるときに導入口400を閉塞するため、物を回収しようとする利用者や管理者等の手や足が導入口400に進入することが防止される。これにより、回収ボックス4が収納位置P1に戻されるときに、手や足が挟まれることが防止される。また、回収ボックス4が収納位置P1にあるときに第一扉41が導入口400を開放するため、シュート部材3が導入口400に進入できる状態になり、次回の落し物の回収が可能となる。
本実施形態において、シュート部材3は、第二端E2を含む下側領域30を有し、下側領域30は、前記軸線VL側の第一下側領域30aと、第一下側領域30aと連続する第二下側領域30bであって、第二端E2を含む第二下側領域30bとを含み、第二下側領域30bは、第一下側領域30aに対して前記軸線VLと同方向の延びる仮想線を中心にして回転可能に連結される。
かかる構成によれば、回収ボックス4を引出位置P2に配置するとき(引き上げるとき)に、シュート部材3が回収ボックス4と干渉すると、第二下側領域30bが横方向に延びる仮想線を中心に回転し、回収ボックス4から逃げる。これにより、回収ボックス4が引出位置P2に円滑に配置される。
本実施形態において、シュート部材3は、第一端E1を含む上側領域31と、第二端E2を含む下側領域30であって、前記軸線VLを挟んで上側領域31と連続する下側領域30とを有し、上側領域31は、前記軸線VL側の第一上側領域31aと、第一上側領域31aと連続する第二上側領域31bであって、第一端E1を含む第二上側領域31bとを含み、第二上側領域31bは、第一上側領域31aに対して前記軸線VLと同方向に延びる仮想線を中心にして回転可能に連結される。
かかる構成によれば、シュート部材3が傾斜姿勢になって上側領域31が相手方に当接した場合、第二上側領域31bが横方向に延びる仮想線を中心に回転する。これにより、乗降場1の敷居11とかご2の敷居21との間の下方にシュート部材3が位置するに当たり、シュート部材3に対して過剰な押しつけ力を作用させることが防止される。
本実施形態において、かご2は、自身の敷居21から垂下するプレート状のエプロン22を備え、シュート部材3は、前記エプロン22の一部を構成している。
かかる構成によれば、かご2が乗降場1とずれた位置に停止した場合に、上下方向にずれた乗降場1の敷居11とかご2の敷居21との間にエプロン22が介在するため、昇降路Rの露呈を防止することができる。また、シュート部材3がエプロン22の一部を構成することで、装置の大型化が抑えられる。
本実施形態において、かご2は、回収ボックス4を引出位置P2で維持させるロック機構5をさらに備える。
かかる構成によれば、ロック機構5(機構本体5a)が回収ボックス4を引出位置P2で維持させるため、物を回収する利用者や管理者等が回収ボックス4を引出位置P2で維持させる必要がない。従って、落し物を回収する作業負担が軽減される。また、引出位置P2にある回収ボックス4が収納位置P1に向けて無造作に位置変更することが防止される。従って、落し物を回収する作業が安全に行うことができる。
本実施形態において、かご2は、収納位置P1にある回収ボックス4を受ける受部材7を備え、ボックス本体40は、上向きの天面Sを有する天部402と、天部402よりも下方に配置された底部403と、天部402と底部403との間に配置された周壁部404であって、導入口400及び回収口401を有する周壁部404とを備え、受部材7は、天部402の天面Sが周囲の床面FSと同面又は略同面になる位置で回収ボックス4を受ける。
かかる構成によれば、天部402の天面Sが周囲の床面FSと同面又は略同面になる位置で、受部材7が回収ボックス4を受けるため、回収ボックス4が収納位置P1にある状態で床面FSから突出した態様にならない。従って、常態において、回収ボックス4がかご2における利用者の滞在領域を占有することがなく、利用者の歩行等の邪魔になることが抑えられる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加え得ることは勿論である。
上記実施形態において、かご2が回収ボックス4及びシュート部材3を備えたが、これに限定されない。例えば、乗降場1が回収ボックス4及びシュート部材3を備えてもよい。また、かご2が回収ボックス4を備え、乗降場1がシュート部材3を備えてもよいし、かご2がシュート部材3を備え、乗降場1が回収ボックス4を備えてもよい。これらの場合、ロック機構5や、扉開閉手段6、受部材7は、回収ボックス4を備えるかご2又は乗降場1が備えればよいことは言うまでもない。なお、かご2が回収ボックス4を備え、乗降場1がシュート部材3を備える場合や、かご2がシュート部材3を備え、乗降場1が回収ボックス4を備える場合、シュート部材3は、第一端E1に回転中心(軸線VL)が設定されてもよい。すなわち、かご2が回収ボックス4を備え、乗降場1がシュート部材3を備える場合や、かご2がシュート部材3を備え、乗降場1が回収ボックス4を備える場合、シュート部材3は、下側領域30のみで構成されてもよい。
上記実施形態において、シュート部材3がかご2のエプロン22の一部を構成したが、これに限定されない。例えば、シュート部材3は、エプロン22から独立した構成であってもよい。
上記実施形態において、回収ボックス4を引出位置P2で維持させるロック機構5を備えたが、これに限定されない。ロック機構5は、必要に応じて設けられればよい。なお、いうまでもないが、回収ボックス4から落し物を回収する状態において、該回収ボックス4をロック機構5によって引出位置P2で維持させることが好ましいことは言うまでもない。
また、上記実施形態において特に言及しなかったが、回収ボックス4が重くなる場合には、回収ボックス4の上方への移動を補助するためにガスダンパー等の補助装置を設けても勿論よい。
ロック機構5が回収ボックス4に取り付けられたが、これに限定されない。例えば、ロック機構5は、かご2に含まれる構造体に固定され、引出位置P2にある回収ボックス4を支持可能に構成されてもよい。
ロック機構5は、機械的に構成されたが、これに限定されない。例えば、ロック機構5は、電気的に動作するアクチュエータにより構成され、回収ボックス4の位置を検知するセンサが引出位置P2にある回収ボックス4を検知したときに、ロック機構5(アクチュエータ)を動作させるようにしてもよい。
上記実施形態において、シュート部材3の下側領域30が第一下側領域30aと第二下側領域30bとを含み、第二下側領域30bが第一下側領域30aに対して回転可能に接続されたが、これに限定されない。例えば、下側領域30(第一下側領域30a及び第二下側領域30b)が連続したプレートで構成されてもよい。この場合、回収ボックス4を引出位置P2に位置変更させる前に、シュート部材3を起立姿勢にすればよい。
上記実施形態において、シュート部材3の上側領域31が第一上側領域31aと第二上側領域31bとを含み、第二上側領域31bが第一上側領域31aに対して回転可能に接続されたが、これに限定されない。例えば、上側領域31(第一上側領域31a及び第二上側領域31b)が連続したプレートで構成されてもよい。
上記実施形態において、シュート部材3の第一端E1に小径ローラ37が設けられたが、これに限定されない。例えば、シュート部材3の第一端E1は、プレートのエッジのままでもよい。また、小径ローラ37に代えて、シュート部材3の第一端E1に摩擦抵抗の小さな摺動部材を設けてもよい。
上記実施形態において、扉開閉手段6が第一部材60、第二部材61及び第三部材62を備え、これらが連携することで、第一扉41を開閉するようにしたが、これに限定されない。例えば、扉開閉手段6は、電動の駆動源を備え、該駆動源によって第一扉41を開閉させるようにしてもよい。
上記実施形態において、扉開閉手段6の第一部材60と受部材7に兼用させたが、これに限定されない。例えば、扉開閉手段6の第一部材60と受部材7とを別個独立に設けてもよい。すなわち、受部材7は、収納位置P1にある回収ボックス4(ボックス本体40)の底部403を受けるようにしてもよい。このように、受部材7が回収ボックス4(ボックス本体40)の底部403を受けるようにすれば、回収ボックス4(ボックス本体40)の天部402を周壁部404と同形且つ同サイズにできる(鍔ができない)ため、引出位置P2にある回収ボックス4を収納位置P1に戻す際に、天部402と周囲の床面FSとの間に手足が入り込むことがなく(挟まれることがなく)、安全である。
上記実施形態において、回収ボックス4の一構成である第一扉41に接続された第三部材62が第一部材60(受部材7)に対して上下方向で係止されることで、引出位置P2にある回収ボックス4が所定量(必要量)を超えて上昇することが防止されたが、これに限定されない。例えば、扉開閉手段6が電動で構成される場合(互いに干渉する第一部材60及び第三部材62を備えていない場合)等においては、回収ボックス4の周壁部404の外周からはみ出る底部403の外周端部と受部材7との干渉によって、引出位置P2にある回収ボックス4が所定量(必要量)を超えて上昇することが防止されてもよい。このようにしても、利用者や管理者が回収ボックス4を引き上げるときに、回収ボックス4が不用意に取り外されてしまうこと(かご2の床面FSが開放してしまうこと)がなく、利用者や管理者が床面FSの開放した部分からかご2の床下に対してアクセスするといった危険行為が排除される。
上記実施形態において、特に言及しなかったが、かご2に対して乗降する利用者等の靴に付着した水(雨水等)や、かご2内を清掃する際に使用される清掃水が回収ボックス4内に溜まることを防止するには、回収ボックス4の底部403に水抜き孔を設けておいてもよい。この場合、水抜き孔の数や、配置、穴径は、回収される物(回収することが想定される物)の通過を阻止できるように設定することは言うまでもない。