JP2018148089A - 電子装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】防水性能の低下を抑制できる電子装置を提供すること。【解決手段】電子装置100は、金属製の筐体10と、筐体10の貫通孔に少なくとも一部が配置された状態で筐体10に取り付けられた呼吸フィルタ30と、筐体10内の防水性を確保するために筐体10と呼吸フィルタ30との間に配置されたOリング20とを含む。呼吸フィルタ30は、フィルタ部材34と、フィルタ部材34が取り付けられたフィルタケースとを含む。Oリング20は、筐体10に呼吸フィルタ30が取り付けられた状態で、筐体10とフィルタケースとで圧縮されている。筐体10は、Oリング20の全周と接する二つの接触面が角度をなして配置されている。筐体10の表面における二つの接触面に挟まれた中間壁面S4と、Oリング20との間には、環状の空隙14aが形成されている。【選択図】図2

Description

本発明は、筐体に呼吸フィルタが取り付けられた電子装置に関する。
従来、筐体に呼吸フィルタが取り付けられた電子装置の一例として、特許文献1に開示された電子制御装置がある。電子制御装置は、回路基板及びコネクタの一部を収納し、呼吸フィルタが取り付けられた防水筐体を含んでいる。呼吸フィルタは、防水筐体におけるカバーの挿入穴に挿入され、カバーとの間でOリングが圧縮された状態で、カバーに取り付けられている。
特開2008−78506号公報
しかしながら、電子制御装置は、アルミニウムなどの金属によってカバーが構成されている。このため、電子制御装置は、塩水など高腐食環境に曝されると、カバーにおけるOリングとの密着界面で隙間腐食が進行する可能性がある。そして、電子制御装置は、隙間腐食が進行すると密着界面の欠肉や粗化が生じて、カバーとOリングとの防水性能が低下するという問題がある。
本開示は、上記問題点に鑑みなされたものであり、防水性能の低下を抑制できる電子装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本開示は、
電子回路を収容する金属製の筐体(10、10a、10b)と、筐体の貫通孔に少なくとも一部が配置された状態で筐体に取り付けられた呼吸フィルタ(30、30a)と、筐体内の防水性を確保するために筐体と呼吸フィルタとの間に配置された環状のシール部材(20)と、を含む電子装置であって、
呼吸フィルタは、通気膜(34)と、通気膜が取り付けられたフィルタケース(31〜33、31a〜33a)とを含み、
シール部材は、筐体に呼吸フィルタが取り付けられた状態で、筐体とフィルタケースとで圧縮されており、
筐体は、シール部材の全周と接する二つの接触面(S11、S11a、S12)が角度をなして配置されており、
筐体の表面における二つの接触面に挟まれた中間壁面(S4)と、シール部材との間には、環状の空隙(14a)が形成されていることを特徴とする。
このように、本開示は、筐体内の防水性を確保するために筐体と呼吸フィルタとの間に環状のシール部材が配置されている。このシール部材は、筐体に呼吸フィルタが取り付けられた状態で、筐体とフィルタケースとで圧縮されている。そして、筐体は、シール部材の全周と接する二つの接触面が角度をなして配置されている。よって、本開示は、一方の接触面において隙間腐食が進行して欠肉や粗化が生じたとしても、他方の接触面にシール部材が接しているため防水性能の低下を抑制できる。
さらに、本開示は、筐体の表面における二つの接触面に挟まれた中間壁面と、シール部材との間に、環状の空隙が形成されている。このため、本開示は、一方の接触面において隙間腐食が進行して欠肉や粗化が生じたとしても、空隙によって隙間腐食の原因であるイオンの濃度を緩和することができ、他方の接触面における隙間腐食の進行を抑制することができる。
なお、特許請求の範囲、及びこの項に記載した括弧内の符号は、一つの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、発明の技術的範囲を限定するものではない。
第1実施形態における電子装置の概略構成を示す平面図である。 図1のII‐II線に沿う断面図である。 図2のIII部分の拡大断面図である。 第1実施形態における電子装置が塩水に晒された状態を示す拡大断面図である。 第1実施形態における電子装置に洗浄液が照射された状態を示す拡大断面図である。 第2実施形態における電子装置の概略構成を示す拡大断面図である。 第2実施形態における電子装置の第1圧接面が腐食した状態を示す拡大断面図である。 第3実施形態における電子装置の概略構成を示す拡大断面図である。 第4実施形態における電子装置の概略構成を示す拡大断面図である。
以下において、図面を参照しながら、発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において、先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において、構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を参照し適用することができる。
なお、以下においては、互いに直交する3方向をX方向、Y方向、Z方向と示す。また、X方向とY方向とによって規定される平面をXY平面、X方向とZ方向とによって規定される平面をXZ平面と示す。さらに、Z方向は、貫通方向や挿入方向とも言える。
本発明の第1実施形態を図1〜図5に基づいて説明する。図1、図2に示すように、電子装置100は、電子回路を収容する金属製の筐体10と、筐体10の貫通孔である第1挿入穴12、第2挿入穴16に少なくとも一部が配置された状態で筐体10に取り付けられた呼吸フィルタ30とを備えている。さらに、電子装置100は、筐体10内の防水性を確保するために筐体10と呼吸フィルタ30との間に配置されたOリング20を備えている。なお、本実施形態では、一例として、図1に示すように、筐体10内の電子回路と、筐体10の外部に設けられた外部機器とを電気的に接続するためのコネクタを備えた電子装置100を採用している。
電子装置100は、例えば、車両のエンジンルームに搭載される電子制御装置に適用することができる。エンジンルームに搭載された電子装置100は、雨水や塩水200や洗浄液300などに晒されることがある。このため、電子装置100は、筐体10内に水分が入り込むことを抑制するために防水構造が施されている。言い換えると、筐体10は、収容している電子回路を水分から保護するために防水構造となっている。なお、電子回路は、配線基板に回路素子が実装されたものなどを採用できる。
筐体10は、アルミニウムなどの金属を用いて形成された金属製筐体である。例えば、筐体10は、アルミダイキャストによって製造されている。また、筐体10は、一例として、組み付け可能に構成された二つの部材を含むものを採用できる。
例えば、筐体10は、電子回路が配置され一部が開口した箱部材と、箱部材の開口を塞ぐ蓋部材とが、防水シール材を介して組み付けられたものなどを採用できる。この防水シール材は、箱部材の開口端部と蓋部材との間、箱部材の開口端部とコネクタとの間、蓋部材とコネクタとの間などに設けられる。電子装置100は、筐体10における箱部材及び蓋部材と、コネクタとを組み付けることで、電子回路を収容する内部空間が形成される。電子装置100は、例えば、筐体10の箱部材と蓋部材とをねじや接着剤などで固定されてもよい。なお、内部空間は、筐体10の内部や、収容空間とも称することができる。
筐体10は、図1、図2に示すように、周囲よりも外側に突出した筒状の周壁部11が設けられている。言い換えると、筐体10は、内部空間とは反対側に突出した筒状の周壁部11が設けられている。この周壁部11は、呼吸フィルタ30の一部を囲う環状の壁である。また、周壁部11は、筐体10の一部であり、周囲よりも突出した部位と言える。
本実施形態では、筐体10の外部空間側の表面である外面S2から垂直に設けられた周壁部11を採用している。外面S2は、XY平面に平行な面である。よって、周壁部11の内周面S1は、外面S2に対して垂直となっている。また、周壁部11は、貫通方向に平行、又は挿入方向に平行しているとも言える。さらに、筒状の周壁部11における軸方向は、外面S2に対して垂直とも言える。
一方、外面S2は、貫通方向に直交、又は挿入方向に直交しているとも言える。また、外面S2は、貫通方向に対向、又は挿入方向に対向しているとも言える。なお、内周面S1は、呼吸フィルタ30が筐体10に取り付けられた状態で、呼吸フィルタ30と対向する側の面である。
この周壁部11は、呼吸フィルタ30が筐体10に取り付けられた状態で、呼吸フィルタ30の周囲に位置する環状の壁である。後程説明するが、筐体10と呼吸フィルタ30との間には、Oリング20が配置される。そして、周壁部11は、筐体10におけるOリング20との接触面である第1圧接面S11と第2圧接面S12とを、角度をなす二面とするために設けられている。
筐体10は、図2などに示すように、少なくとも一部に、呼吸フィルタ30を取り付けるための貫通孔である第1挿入穴12と第2挿入穴16が設けられている。第1挿入穴12は、周壁部11で挟まれた空間である。よって、第1挿入穴12は、周壁部11を設けることで形成された穴である。一方、第2挿入穴16は、天井部13に開けられた貫通孔である。第2挿入穴16は、天井部13を貫通させることで形成された穴である。つまり、第2挿入穴16は、外面S2から筐体10の内部空間側の表面である内面S5にわたって設けられた穴である。
筐体10は、第1挿入穴12と第2挿入穴16とが連通していることで貫通孔をなしている。つまり、筐体10は、呼吸フィルタ30が取り付けられていない場合、第1挿入穴12と第2挿入穴16によって、内部空間と外部空間とが連通した構成となっている。なお、第1挿入穴12と第2挿入穴16とは、例えば、中心軸が同じである。中心軸は、貫通方向に延びる、すなわちZ方向に延びる軸である。
本実施形態では、一例として、開口形状が円形である第1挿入穴12と第2挿入穴16を採用している。また、第1挿入穴12の開口面積は、第2挿入穴16の開口面積よりも広い。言い換えると、第1挿入穴12の開口径は、第2挿入穴16の開口径よりも長い。開口形状は、XY平面における開口した部分の形状である。同様に、開口面積は、XY平面における面積である。しかしながら、第1挿入穴12と第2挿入穴16の開口形状は、これに限定されず、呼吸フィルタ30の外形に対応した形状であれば採用できる。
なお、本実施形態では、筐体10の天井部13に周壁部11と第1挿入穴12と第2挿入穴16が設けられた例を採用している。しかしながら、本発明は、これに限定されず、筐体10の底部や側壁などに、これらが形成されていてもよい。
また、筐体10は、図2、図3などに示すように、溝部14が設けられている。溝部14は、第2挿入穴16を囲う環状で、且つ底を有する穴である。溝部14は、周壁部11で囲まれた領域に、周壁部11に沿って環状に設けられている。つまり、溝部14は、周壁部11と第2挿入穴16との間に設けられている。溝部14は、特許請求の範囲における溝に相当する。
また、溝部14は、筐体10と呼吸フィルタ30との間に配置されるOリング20に沿って設けられている。よって、電子装置100は、筐体10にOリング20と呼吸フィルタ30とが取り付けられた状態で、周囲よりも窪んだ環状の溝部14がOリング20に沿って設けられていると言える。なお、溝部14は、空隙14aの一部である。また、溝部14は、空隙14aを構成するために設けられているとも言える。
このように、筐体10は、外部空間側において、周囲よりも窪んだ溝部14と、溝部14の外側に周囲よりも突出した周壁部11とが形成されている。また、筐体10は、外面S2の一部が環状に凹んで溝部14が形成され、外面S2の一部が環状に突出して周壁部11が形成されているとも言える。なお、溝部14における筐体10の表面は、第1圧接面S11と第2圧接面S12との間にあるため中間壁面S4と言える。
さらに、筐体10は、溝部14と第2挿入穴16との間に、天井部13の一部である支持部15が設けられている。支持部15は、Oリング20を支持する部位である。支持部15は、第2挿入穴16を囲うように環状に設けられている。支持部15のZ方向における厚みは、天井部13における溝部14が形成された部位よりも厚く、周壁部11よりも薄い。また、支持部15のZ方向における厚みは、例えば、天井部13における周壁部11の外側部位、すなわち周壁部11を囲う部位と同程度である。
なお、支持部15は、溝部14側の角部が全周にわたって角取り、すなわち丸め加工がなされていると好ましい。この角部には、Oリング20が圧接される可能性がある。このため、支持部15は、角取りされた形状とすることで、Oリング20に局所的な応力が印加されることを抑制でき、Oリング20の寿命を延ばすことができる。
呼吸フィルタ30は、筐体10の内部空間と外部空間とを通気させるためのものであり、水等の液体の通過を阻止し、気体のみを通過させることができる。つまり、呼吸フィルタ30は、筐体10の内外気圧差を緩和する目的で設けられている。
呼吸フィルタ30は、図3などに示すように、フィルタ部材34と、フィルタ部材34が取り付けられたフィルタケースとを含んでいる。呼吸フィルタ30は、第1挿入穴12と第2挿入穴16に挿入されて筐体10に取り付けられている。詳述すると、呼吸フィルタ30は、Z方向において、外部空間側から内部空間側に向かって、すなわち図2のZ1方向に挿入されて筐体10に取り付けられている。
フィルタケースは、本体部31、台座部32、固定部33などを含み、両端が開口した筒状の部材である。また、フィルタケースは、本体部31、台座部32、固定部33が樹脂などによって一体形成されている。そして、フィルタケースは、本体部31、台座部32、固定部33で囲まれた呼吸穴36が設けられている。つまり、フィルタケースは、一体形成された本体部31、台座部32、固定部33をZ方向に貫通する呼吸穴36が設けられていると言える。
本体部31は、台座部32と固定部33とを繋ぐ部位である。本体部31は、外部空間側に台座部32が設けられており、内部空間側に固定部33が設けられている。
台座部32は、押圧部に相当し、呼吸フィルタ30が筐体10に取り付けられた状態で、Oリング20を押圧する部位である。台座部32は、図2に示すように、外形が円錐台形状を有している。よって、台座部32は、内部空間から外部空間にいくにつれて外径が長くなる部位である。台座部32は、XY平面に対して傾斜した外周面S3を有している。この外周面S3は、傾斜面に相当する。
呼吸フィルタ30は、筐体10に取り付けられた状態で台座部32における環状の外周面S3がOリング20の全周と接してOリング20を押圧する。このため、電子装置100は、筐体10がOリング20と第1圧接面S11と第2圧接面S12で接しやすくすることができる。
固定部33は、図2、図3に示すように、呼吸フィルタ30が筐体10に取り付けられた状態で、筐体10の内部空間に配置され、第2挿入穴16よりも外側に配置される部位を含んでいる。また、固定部33は、筐体10の内部における第2挿入穴16の周辺に配置される。この固定部33は、筐体10に取り付けられた呼吸フィルタ30が、筐体10から外れ難く固定するための部位である。このため、固定部33は、抜け止め部とも言える。
固定部33は、弾性的な撓み変形が可能な爪構造をなしている。固定部33は、呼吸フィルタ30を筐体10に取り付ける場合、第2挿入穴16に挿入されると変形し、第2挿入穴16を通過した後に変形前の形状に戻る。
フィルタ部材34は、通気膜に相当し、水等の液体の通過を阻止し、気体のみを通過させることができるものである。フィルタ部材34は、呼吸穴36の一方の開口端を塞ぐように、台座部32に取り付けられている。詳述すると、フィルタ部材34は、フィルタケースの外部空間側の端部に設けられている。これによって、筐体10の内部空間と外部空間との間には、フィルタ部材34が配置されることになる。
フィルタカバー35は、樹脂などによって設けられている。フィルタカバー35は、外部からの衝撃からフィルタ部材34を保護するなどの目的で設けられている。フィルタカバー35は、フィルタ部材34に対向しつつ台座部32に設けられている。また、フィルタカバー35は、台座部32に取り付けられた状態で、フィルタ部材34の対向し、且つ、フィルタ部材34が外部空間に晒されるよう隙間が設けられている。
Oリング20は、環状のシール部材に相当する。Oリング20は、Z方向に延びる仮想直線を軸とした環状の部材である。Oリング20は、例えば、圧縮されていない状態におけるXZ平面での断面が円形をなしている。Oリング20は、第1挿入穴12の内周面S1に沿って配置されている。
Oリング20は、例えばゴム製であり、筐体10に呼吸フィルタ30が取り付けられた状態で、筐体10とフィルタケースとで圧縮される。Oリング20は、筐体10とフィルタケースとで圧縮されると変形する。この変形は、Oリング20の圧縮ひずみとも言える。
そして、Oリング20は、圧縮されて変形することで、筐体10の表面とフィルタケースにゴム反力を発生させてシールする。このように、電子装置100は、筐体10と呼吸フィルタ30との間にOリング20が設けられた防水構造を有していると言える。
ここで、図2、図3を用いて、筐体10と呼吸フィルタ30とOリング20とが組み付けられた構造に関して説明する。電子装置100は、内周面S1と支持部15の表面である外面S2と外周面S3とにOリング20が接した状態で、筐体10に呼吸フィルタ30が取り付けられている。
この状態で、Oリング20は、筐体10とフィルタケースから圧縮されて変形している。つまり、Oリング20は、筐体10の表面である第1圧接面S11と第2圧接面S12と接触しつつ、フィルタケースの表面であるフィルタ側圧接面S13と接触して、筐体10とフィルタケースから押圧されている。また、呼吸フィルタ30は、筐体10とフィルタケースとで圧縮されたOリング20からの反力によって、固定部33が筐体10の内面における第2挿入穴16の周辺、すなわち内面S5に接して筐体10に固定される。よって、呼吸フィルタ30は、Oリング20からの反力によって、Z1方向とは反対方向に押圧されることになる。
第1圧接面S11は、筐体10におけるOリング20との二つの接触面の一方である。第1圧接面S11は、周壁部11における内周面S1の一部である。つまり、第1圧接面S11は、内周面S1におけるZ方向の一部であり、且つ、周壁部11の内周全域にわたる環状の面と言える。
一方、第2圧接面S12は、筐体10におけるOリング20との二つの接触面の他方である。第2圧接面S12は、支持部15における外面S2の一部である。つまり、第2圧接面S12は、外面S2におけるXY方向の一部であり、且つ、外面S2の全周にわたる環状の面と言える。なお、フィルタ側圧接面S13は、台座部32における外周面S3の一部である。
第1圧接面S11は、挿入方向に平行な面である。第2圧接面S12は、挿入方向に垂直な面である。また、周壁部11の内周面S1は、外面S2に対して垂直となっている。よって、筐体10は、Oリング20の全周と接する二つの接触面である第1圧接面S11と第2圧接面S12が角度をなして配置されている。この場合、第1圧接面S11と第2圧接面S12とのなす角は90度である。
さらに、電子装置100は、Oリング20を介して筐体10に呼吸フィルタ30が取り付けられている状態で、筐体10の表面における第1圧接面S11と第2圧接面S12に挟まれた中間壁面S4と、Oリング20との間に環状の空隙14aが形成されている。このように、空隙14aは、Oリング20に沿って環状に設けられている。なお、本実施形態では、溝部14の表面を中間壁面S4として、Oリング20との間に空隙14aが形成されている。また、この空隙14aは、第1圧接面S11と第2圧接面S12に腐食が生じていない場合、密閉された空間である。
以上のように、電子装置100は、筐体10内の防水性を確保するために筐体10と呼吸フィルタ30との間にOリング20が配置されている。このOリング20は、筐体10に呼吸フィルタ30が取り付けられた状態で、筐体10とフィルタケースとで圧縮されている。そして、筐体10は、Oリング20の全周と接する二つの接触面である第1圧接面S11と第2圧接面S12とが角度をなして配置されている。
電子装置100は、例えば図4に示すように、塩水200など高腐食環境に曝された場合、第1圧接面S11においてOリング20との間の隙間腐食が進行して欠肉や粗化した腐食部C1が形成される可能性がある。しかしながら、電子装置100は、第1圧接面S11に腐食部C1が形成されたとしても、第2圧接面S12にOリング20が第1圧接面S11とは異なる角度で圧接しているため防水性能の低下を抑制できる。つまり、電子装置100は、第1圧接面S11における腐食部C1が貫通したとしても、塩水200などが第2圧接面S12に達し難くすることができ、第2圧接面S12におけるOリング20との間の隙間腐食を抑制できる。このため、電子装置100は、第2圧接面S12とOリング20との面圧を維持でき、防水性能の低下を抑制できる。
また、電子装置100は、筐体10の表面における中間壁面S4と、Oリング20との間に、環状の空隙14aが形成されている。このため、電子装置100は、第1圧接面S11において腐食部C1が形成されたとしても、空隙14aによって隙間腐食の原因であるイオン(Al3+、Cl、H)の濃度を緩和することができる、よって、電子装置100は、第2圧接面S12におけるOリング20との間の隙間腐食の進行を抑制することができる。
なお、電子装置100は、水圧の低い塩水200であれば、第1圧接面S11の腐食部C1によって内周面S1とOリング20との間に発生するゴム反力が低下したとしても、空隙14a内への塩水200の浸入を抑制できる。よって、電子装置100は、隙間腐食とは異なる通常の腐食も抑制できる。
また、電子装置100は、溝部14の表面を中間壁面S4として、Oリング20との間に空隙14aが形成されているため、溝部14が設けられていない場合よりも、空隙14aの容積を大きくすることができる。このため、電子装置100は、隙間腐食の原因であるイオンの濃度をより一層緩和することができる。よって、電子装置100は、第2圧接面S12における隙間腐食の進行をより一層抑制することができる。つまり、電子装置100は、溝部14が設けられていない場合よりも防水性能を維持することができる。
電子装置100は、第1圧接面S11が挿入方向に平行な面であり、第2圧接面S12が挿入方向に垂直な面である。このため、電子装置100は、第1圧接面S11において隙間腐食が進行して腐食部C1が形成された場合であっても、腐食の原因となる液体が第2圧接面S12に達することをより一層抑制できる。
電子装置100は、例えば、車両のエンジンルームに搭載された状態で、高圧洗浄時の洗浄液300が直接当たることもありうる。この場合、電子装置100は、図5に示すように、呼吸フィルタ30が筐体10の外部から白抜き矢印方向に押圧されることになる。そして、電子装置100は、筐体10が固定されており、内周面S1が挿入方向に平行に設けられているため、呼吸フィルタ30が洗浄液300の抗力によって挿入方向に押し込まれる。つまり、呼吸フィルタ30は、例えば、基準線L1からZ方向に移動量Z2だけ押し込まれる。なお、図5の基準線L1は、高圧洗浄を行っていない場合における、呼吸フィルタ30の最上面の位置を示している。
電子装置100は、呼吸フィルタ30が挿入方向に押し込まれた場合、フィルタケースがOリング20を押圧している力が増大する。つまり、電子装置100は、Oリング20の圧縮ひずみが増大する。このため、電子装置100は、第1圧接面S11に隙間腐食が生じたことで、第1圧接面S11とOリング20との面圧が低下した場合であっても、高圧洗浄時における防水性能を維持しやすい。言い換えると、電子装置100は、第1圧接面S11に対するOリング20のゴム反力による面圧が補完され、高い防水性能を確保することができる。なお、電子装置100は、第1圧接面S11と第2圧接面S12とが角度をなして配置されているため、洗浄液300が内部空間への浸入することを抑制できる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明した。しかしながら、本発明は、上記実施形態に何ら制限されることはなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変形が可能である。以下に、本発明のその他の形態として、第2〜第4実施形態に関して説明する。
(第2実施形態)
図6、図7を用いて、第3実施形態の電子装置120に関して説明する。本実施形態の電子装置110は、呼吸フィルタ30aの構造が電子装置100と異なる。本実施形態では、上記実施形態と異なる点を中心に説明する。電子装置110では、電子装置100と同じ構成要件に、電子装置100と同じ符号を付与している。よって、電子装置100と同じ符号の構成要件は、上記実施形態の説明を参照して適用できる。電子装置110は、金属製の筐体10と、呼吸フィルタ30aと、弾性部材としてのOリング20を備えている。
呼吸フィルタ30aは、上記呼吸フィルタ30に類似した構成の上部材と、ストッパ部材としての第2部材37とを含んでいる。上部材は、筐体10の外部空間から内部空間に向かって、第1挿入穴12から挿入される。一方、第2部材37は、筐体10の内部空間から外部空間に向かって、第2挿入穴16から挿入される。つまり、上部材と第2部材37は、相対的に近づいて筐体10に組み付けられる。
上部材は、図6に示すように、本体部31aと、台座部32aと、固定部33aと、フィルタ部材34と、フィルタカバー35と、呼吸穴36とを含んでいる。本体部31aと台座部32aは、呼吸フィルタ30の本体部31と台座部32と同様であるが便宜的に異なる符号を付与している。また、本体部31aと台座部32aと固定部33aは、呼吸フィルタ30と同様に、一体形成されており、Z方向に貫通する呼吸穴36が設けられている。一体形成された本体部31aと台座部32aと固定部33aは、フィルタケースに相当する。
しかしながら、固定部33aは、固定部33と異なっており、撓み変形が可能に構成されていなくてもよい。固定部33aは、本体部31aから外側に突出しており、第2部材37の第2固定部37bが引っかかる部位である。ここでの外側とは、呼吸穴36とは反対側である。
第2部材37は、第2本体部37aと、第2固定部37bと、対向部37cとを含んでいる。第2部材37は、第2本体部37aと、第2固定部37bと、対向部37cが樹脂などによって一体形成されており、Z方向に貫通する呼吸穴36が設けられている。
第2本体部37aは、一方側の端部に第2固定部37bが設けられており、他方側の端部に対向部37cが設けられている。第2本体部37aは、筒状の部位であり、第2挿入穴16に挿入可能な程度の大きさである。
第2固定部37bは、上部材に固定された部位に相当する。第2固定部37bは、第2本体部37aの一方側の端部の複数箇所に設けられており、その端部からZ方向に突出して設けられている。第2固定部37bは、弾性的な撓み変形が可能な爪構造をなしている。第2部材37は、第2固定部37bが固定部33aに引っかかることで、上部材に固定される。なお、複数の第2固定部37bは、第2挿入穴16に挿入可能な程度の大きさである。
第2部材37と上部材とを固定する場合、複数の第2固定部37b間には、固定部33aが挿入される。このとき、複数の第2固定部37bは、固定部33aによって押し広げられて変形する。そして、複数の第2固定部37bは、固定部33aが複数の第2固定部37b間を通過した後に変形前の形状に戻ろうとして固定部33aに固定される。
対向部37cは、呼吸穴36の軸を囲むように環状に設けられている。対向部37cは、筐体10の内部空間における第2挿入穴16の周辺に対向配置されている。このため、対向部37cは、第2部材37を第2挿入穴16に挿入しようとしても、第2挿入穴16に挿入することができない。
第2Oリング40は、弾性部材に相当し、筐体10に呼吸フィルタ30aが取り付けられた状態で、対向部37cと筐体10の内面S5における第2挿入穴16の周辺との間に配置されている。そして、第2Oリング40は、筐体10に呼吸フィルタ30aが取り付けられた状態で、筐体10の内面S5と、第2部材37の対向部37cとに接しつつ、これらに圧縮されて変形している。本実施形態では、弾性部材として第2Oリング40を採用している。しかしながら、本発明は、これに限定されず、ばねや、環状になっていないゴムなどであっても採用できる。
この呼吸フィルタ30aは、上部材と筐体10との間にOリング20を配置し、対向部37cと内面S5との間に第2Oリング40を配置した状態で、上部材と第2部材37を相対的に近づける。そして、呼吸フィルタ30aは、第2固定部37bと固定部33aとが嵌合することで筐体10に固定される。つまり、第2部材37は、第2固定部37bと固定部33aとが嵌合した状態で、Z1方向に第2Oリング40による反力が印加される。これによって、上部材は、第2部材37からZ1方向に引っ張られて、筐体10との間でOリング20を圧縮させる。このように、呼吸フィルタ30aは、第2Oリング40が対向部37cと内面S5とを押圧することで、上部材と第2本体部37aとが固定され、且つ、筐体10と上部材との間でOリング20が圧縮されて筐体10に固定されている。
電子装置110は、電子装置100と同様の効果を奏することができる。電子装置110は、図7の白抜き両側矢印で示すように、第1圧接面S11に隙間腐食が生じた場合であっても、第2Oリング40の反力が筐体10と対向部37cに印加される。これによって、呼吸フィルタ30aは、図7の白抜き片側矢印の方向に押し込まれ、Oリング20の圧縮ひずみが増大する。よって、呼吸フィルタ30aは、第1圧接面S11に隙間腐食が生じた場合であっても、第1圧接面S11とOリング20との面圧が低下することを抑制でき、高い防水性能を確保することができる。
(第3実施形態)
図8を用いて、第3実施形態の電子装置120に関して説明する。電子装置120は、筐体10aの形状が電子装置100と異なる。ここでは、主に、電子装置120における電子装置100と相違する構成要件を説明する。電子装置120では、電子装置100と同様の構成要件に、電子装置100と同じ符号を付与している。よって、電子装置100と同じ符号が付与された構成要件は、上記実施形態を参照して適用できる。なお、図8は、図3に相当する拡大断面図である。
電子装置120は、金属製の筐体10aと、呼吸フィルタ30と、Oリング20を備えている。筐体10aは、周壁部11aの内周面S1aが、外面S2に対して垂直ではなく傾斜して設けられている。このため、第1圧接面S11aは、外面S2に対して垂直ではなく傾斜して設けられている。ここでの傾斜とは、外面S2に垂直な仮想直線である基準線Z3と平行でないことである。よって、周壁部11aは、図8に示すように、断面形状が台形である。
筐体10aは、例えばダイキャストによって製造することができる。内周面S1aは、ダイキャストによる製造時の抜き勾配に対応して傾斜している。なお、筐体10aは、周壁部11aの外周面や、支持部15の両側壁に関しても、内周面S1aと同様に傾斜して設けられている。
電子装置120は、電子装置100と同様の効果を奏することができる。さらに、電子装置120は、周壁部11aの内周面S1aが傾斜して設けられているため、筐体10aをダイキャストによって製造することができる。
(第4実施形態)
図9を用いて、第4実施形態の電子装置130に関して説明する。電子装置130は、筐体10bの形状が電子装置100と異なる。ここでは、主に、電子装置130における電子装置100と相違する構成要件を説明する。電子装置130では、電子装置100と同様の構成要件に、電子装置100と同じ符号を付与している。よって、電子装置100と同じ符号が付与された構成要件は、上記実施形態を参照して適用できる。なお、図9は、図3に相当する拡大断面図である。
電子装置130は、金属製の筐体10bと、呼吸フィルタ30と、Oリング20を備えている。筐体10bは、筐体10と異なり、溝部14が形成されていない。また、支持部15aは、溝部14を介することなく、周壁部11と隣り合って設けられている。よって、支持部15aの外面S2は、周壁部11の内周面S1と連続して設けられている。
このため、中間壁面S4aは、周壁部11における内周面S1の一部と、支持部15aにおける外面S2の一部とによって形成されている。よって、電子装置130は、この中間壁面S4aとOリング20との間に空隙14aが形成されている。
電子装置130は、電子装置100と同様に、防水性能の低下を抑制でき、且つ、第2圧接面S12におけるOリング20との間の隙間腐食の進行を抑制することができる。さらに、電子装置130は、溝部14を有していないため電子装置100よりも筐体10bを簡素化でき、製造を容易にすることができる。
10,10a,10b…筐体、11,11a…周壁部、12…第1挿入穴、13…天井部、14…溝部、14a…空隙、15,15a…支持部、16…第2挿入穴、20…Oリング、30,30a…呼吸フィルタ、31,31a…本体部、32,32a…台座部、33,33a…固定部、34…フィルタ部材、35…フィルタカバー、36…呼吸穴、37…第2部材、37a…第2本体部、37b…第2固定部、37c…対向部、40…第2Oリング、100〜130…電子装置、200…塩水、300…洗浄液、S1,S1a…内周面、S2…外面、S3…外周面、S4、S4a…中間壁面、S5…内面、S11,S11a…第1圧接面、S12…第2圧接面、S13…フィルタ側圧接面、C1…腐食部

Claims (6)

  1. 電子回路を収容する金属製の筐体(10、10a、10b)と、前記筐体の貫通孔に少なくとも一部が配置された状態で前記筐体に取り付けられた呼吸フィルタ(30、30a)と、前記筐体内の防水性を確保するために前記筐体と前記呼吸フィルタとの間に配置された環状のシール部材(20)と、を含む電子装置であって、
    前記呼吸フィルタは、通気膜(34)と、前記通気膜が取り付けられたフィルタケース(31〜33、31a〜33a)とを含み、
    前記シール部材は、前記筐体に前記呼吸フィルタが取り付けられた状態で、前記筐体と前記フィルタケースとで圧縮されており、
    前記筐体は、前記シール部材の全周と接する二つの接触面(S11、S11a、S12)が角度をなして配置されており、
    前記筐体の表面における二つの前記接触面に挟まれた中間壁面(S4)と、前記シール部材との間には、環状の空隙(14a)が形成されている電子装置。
  2. 前記筐体は、周囲よりも窪んだ環状の溝(14)が前記シール部材に沿って設けられており、
    前記空隙は、前記溝の表面を前記中間壁面として、前記シール部材との間に形成されている請求項1に記載の電子装置。
  3. 前記呼吸フィルタは、前記貫通孔に挿入されて前記筐体に取り付けられており、
    二つの前記接触面は、一方が挿入方向に平行な面であり、他方が前記挿入方向に垂直な面である請求項1又は2に記載の電子装置。
  4. 前記フィルタケースは、前記シール部材を押圧する部位である円錐台形状を有した押圧部(32、32a)を含んでおり、前記筐体に取り付けられた状態で前記押圧部における環状の傾斜面(S3)が前記シール部材の全周と接して前記シール部材を押圧する請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電子装置。
  5. 前記フィルタケースは、前記呼吸フィルタが前記筐体に取り付けられた状態で、前記筐体の内部における前記貫通孔の周辺に配置される固定部(33)を含み、
    前記シール部材は、前記貫通孔の内周面に沿って配置されており、
    前記呼吸フィルタは、前記筐体と前記フィルタケースとで圧縮された前記シール部材からの反力によって、前記固定部が前記筐体の内面における前記貫通孔の周辺に接して前記筐体に固定されている請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電子装置。
  6. 前記呼吸フィルタは、前記通気膜と、前記フィルタケースに加えて、前記フィルタケースに固定された部位(37b)と前記筐体の内部における前記貫通孔の周辺に対向配置された対向部(37c)とを有したストッパ部(37)と、前記対向部と前記筐体の内面における前記貫通孔の周辺との間に配置された弾性部材(40)と、を含んでおり、前記弾性部材が前記対向部と前記筐体の内面とを押圧することで、前記フィルタケースと前記ストッパ部とが固定され、且つ、前記筐体と前記フィルタケースとの間で前記シール部材が圧縮されて前記筐体に固定されている請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電子装置。
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