JP2018147460A - ゴム状弾性体の性能の予測方法 - Google Patents

ゴム状弾性体の性能の予測方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ポリマー組成物を加硫したゴム状弾性体の性能を予測する方法を提供する。【解決手段】この予測方法では、コンピュータが、個々の材料の分子に関する情報を含む第1データと、複数種類のゴム状弾性体の材料の配合割合を含む第2データと、第2データの各ゴム状弾性体に対応する加硫条件を含む第3データと、第2データの各ゴム状弾性体に対応する第1性能を含む第4データとの関係を示す近似応答関数を構築する工程S5、及び、近似応答関数と、評価対象のゴム状弾性体の材料の配合割合と、加硫条件と、分子に関する情報とに基づいて、評価対象のゴム状弾性体の第1性能を計算する工程S11を含む。【選択図】図2

Description

本発明は、ゴム状弾性体の性能を予測するための方法に関する。
従来、ポリマー等を含む複数の材料が配合したポリマー組成物を作成し、このポリマー組成物を加硫することによって、ゴム状弾性体が開発されている。材料が異なる個々のゴム状弾性体は、性能がそれぞれ異なる。このため、新たに開発されたゴム状弾性体の性能を事前に予測することは難しい。
ゴム状弾性体の開発には、ゴム状弾性体が所望の性能を有するまで、ゴム状弾性体が繰り返し製造されている。従って、ゴム状弾性体の開発には、多くのコストが必要となるため、ゴム状弾性体の性能を、事前に予測できる方法が強く求められていた。
特開2010−024414号公報
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、ポリマー組成物を加硫したゴム状弾性体の性能を予測することができる方法を提供することを主たる目的としている。
本発明は、ポリマー組成物を加硫したゴム状弾性体の予め定められた第1性能を予測するための方法であって、コンピュータに、複数のポリマー及び複数の配合剤を含む個々の材料について、分子に関する情報を含む第1データを入力する工程、前記コンピュータに、前記材料のいくつかを混合した前記ポリマー組成物を加硫した複数種類のゴム状弾性体について、前記材料の配合割合を含む第2データを入力する工程、前記コンピュータに、前記第2データの前記各ゴム状弾性体に対応する加硫条件を含む第3データを入力する工程、前記コンピュータに、前記第2データの前記各ゴム状弾性体に対応する第1性能を含む第4データを入力する工程、前記コンピュータが、前記第1データと、前記第2データと、前記第3データと、前記第4データとの関係を示す近似応答関数を構築する工程、前記コンピュータに、評価対象の前記ゴム状弾性体の前記材料の配合割合と、前記評価対象の前記ゴム状弾性体の加硫条件と、前記評価対象の前記ゴム状弾性体の前記分子に関する情報とを入力する工程、並びに前記コンピュータが、前記近似応答関数と、前記評価対象の前記ゴム状弾性体の前記材料の配合割合と、前記評価対象の前記ゴム状弾性体の加硫条件と、前記評価対象の前記ゴム状弾性体の前記分子に関する情報とに基づいて、前記評価対象の前記ゴム状弾性体の第1性能を計算する工程を含むことを特徴とする。
本発明に係る前記ゴム状弾性体の性能の予測方法において、前記第1性能は、貯蔵弾性率E'、損失弾性率E"、損失正接tanδ、貯蔵せん断弾性率G'、損失せん断弾性率G""、破壊強度、摩耗性能、及び、ムーニー粘度の少なくとも一つを含むのが望ましい。
本発明に係る前記ゴム状弾性体の性能の予測方法において、前記加硫条件は、前記ポリマー組成物の加硫時の温度と、加硫時間との関係を示す加硫温度曲線に基づいて設定されるのが望ましい。
本発明に係る前記ゴム状弾性体の性能の予測方法において、前記加硫条件は、前記加硫温度曲線の昇温時に近似する下記式(1)の第1近似曲線の変数a、C、kを含むのが望ましい。
Figure 2018147460
ここで、
q(t):加硫時間tのポリマー組成物の温度
0:ポリマー組成物の初期温度
t:加硫時間
a、C、k:変数
本発明に係る前記ゴム状弾性体の性能の予測方法において、前記加硫条件は、前記加硫温度曲線の定熱時及び放熱時に近似する下記式(2)の第2近似曲線の変数C、kを含むのが望ましい。
Figure 2018147460
ここで、
q(t):加硫時間tのポリマー組成物の温度
0:ポリマー組成物の初期温度
t:加硫時間
C、k:変数
本発明に係る前記ゴム状弾性体の性能の予測方法において、前記分子に関する情報は、数平均分子量、重量平均分子量、分子量分布、及び、分子鎖の分岐度の少なくとも一つを含むのが望ましい。
本発明に係る前記ゴム状弾性体の性能の予測方法において、前記分子に関する情報は、前記ポリマーのシス型の比率、トランス型の比率、油展量、ガラス転移点、溶解性パラメータ、スチレン量、ビニル量、ブタジエンゴム量、及び、粘弾性特性の少なくとも一つを含むのが望ましい。
本発明に係る前記ゴム状弾性体の性能の予測方法において、前記配合剤は、フィラーを含み、前記分子に関する情報は、前記フィラーのCTAB吸着比表面積、BET吸着比表面積、一次粒子径、及び、表面極性の少なくとも一つを含んでもよい。
本発明に係る前記ゴム状弾性体の性能の予測方法において、前記コンピュータに、前記第2データの前記各ゴム状弾性体に対応する混練条件を含む第5データを入力する工程をさらに含み、前記近似応答関数を構築する工程は、前記コンピュータが、前記第1データと、前記第2データと、前記第3データと、前記第4データと、前記第5データとの関係を示す近似応答関数を構築する工程を含んでもよい。
本発明に係る前記ゴム状弾性体の性能の予測方法において、前記第1性能を計算する工程は、前記評価対象の前記ゴム状弾性体の前記混練条件をさらに考慮して、前記評価対象の前記ゴム状弾性体の第1性能を計算してもよい。
本発明に係る前記ゴム状弾性体の性能の予測方法において、前記混練条件は、混練機のチャンバーの容積、混練時の前記ポリマー組成物の充填量、混練時間、及び、混練後の前記ポリマー組成物の排出温度の少なくとも一つを含んでもよい。
本発明は、ポリマー組成物を加硫して製造され、かつ、予め定められた第1性能の物性値を有する未知のゴム状弾性体について、前記ゴム状弾性体に含まれる材料の分子に関する情報、材料の配合割合、及び、加硫条件の少なくとも一つを予測するための方法であって、前記材料は、複数のポリマー及び複数の配合剤を含み、コンピュータに、個々の前記材料について、前記分子に関する情報を含む第1データを入力する工程、前記コンピュータに、前記材料のいくつかを混合した前記ポリマー組成物を加硫した複数種類のゴム状弾性体について、前記材料の配合割合を含む第2データを入力する工程、前記コンピュータに、前記第2データの前記各ゴム状弾性体に対応する加硫条件を含む第3データを入力する工程、前記コンピュータに、前記第2データの前記各ゴム状弾性体に対応する前記第1性能を含む第4データを入力する工程、前記コンピュータが、前記第1データと、前記第2データと、前記第3データと、前記第4データとの関係を示す近似応答関数を構築する工程、前記コンピュータに、前記第1性能の前記物性値を入力する工程、並びに前記コンピュータが、前記近似応答関数と、前記第1性能の前記物性値とに基づいて、前記物性値を有する前記ゴム状弾性体に含まれる前記材料の分子に関する情報、前記物性値を有する前記ゴム状弾性体の前記材料の配合割合、及び、前記物性値を有する前記ゴム状弾性体の加硫条件の少なくとも一つを求める逆同定工程を含むことを特徴とする。
本発明に係る前記ゴム状弾性体の性能の予測方法において、前記逆同定工程に先立ち、前記コンピュータに、前記材料の分子に関する情報、前記材料の配合割合、及び、前記加硫条件の少なくとも一つについて、予め定められた制約条件を入力する工程をさらに含み、前記逆同定工程は、前記制約条件を満足するように、前記材料の分子に関する情報、前記材料の配合割合、及び、前記加硫条件の少なくとも一つを求めてもよい。
本発明に係る前記ゴム状弾性体の性能の予測方法において、前記コンピュータに、前記第2データの前記各ゴム状弾性体に対応する混練条件を含む第5データを入力する工程をさらに含み、前記近似応答関数を構築する工程は、前記コンピュータが、前記第1データと、前記第2データと、前記第3データと、前記第4データと、前記第5データとの関係を示す近似応答関数を構築する工程を含んでもよい。
本発明に係る前記ゴム状弾性体の性能の予測方法において、前記逆同定工程は、前記物性値を有する前記ゴム状弾性体に含まれる前記材料の分子に関する情報、前記物性値を有する前記ゴム状弾性体の前記材料の配合割合、前記物性値を有する前記ゴム状弾性体の加硫条件、及び、前記物性値を有する前記ゴム状弾性体の混練条件の少なくとも一つを求めてもよい。
第1発明のゴム状弾性体の性能の予測方法は、分子に関する情報を含む第1データ、ゴム状弾性体の材料の配合割合を含む第2データ、第2データのゴム状弾性体に対応する加硫条件を含む第3データ、及び、第2データのゴム状弾性体に対応する第1性能を含む第4データの関係を示す近似応答関数を構築する工程、並びに、近似応答関数に基づいて、評価対象のゴム状弾性体の第1性能を計算する工程を含んでいる。
第1発明のゴム状弾性体の性能の予測方法は、近似応答関数に基づいて、第2データに含まれていない未知のゴム状弾性体の第1性能を、第2データに含まれる既知のゴム状弾性体の第1性能で補完して求めることができる。従って、第1発明のゴム状弾性体の性能の予測方法は、評価対象のゴム状弾性体を製造することなく、ゴム状弾性体の第1性能を予測することができる。また、近似応答関数の構築には、第2データのゴム状弾性体の加硫条件を含む第3データを用いられる。これにより、第1発明のゴム状弾性体の性能の予測方法は、第1性能に直接影響する加硫条件を考慮して、第1性能を精度よく予測することができる。
第2発明のゴム状弾性体の性能の予測方法は、分子に関する情報を含む第1データ、ゴム状弾性体の材料の配合割合を含む第2データ、第2データのゴム状弾性体に対応する加硫条件を含む第3データ、及び、第2データのゴム状弾性体に対応する第1性能を含む第4データの関係を示す近似応答関数を構築する工程、並びに、近似応答関数と第1性能の物性値とに基づいて、第1性能の物性値を有するゴム状弾性体の分子に関する情報、材料の配合割合、及び、加硫条件の少なくとも一つを計算する逆同定工程を含んでいる。
第2発明のゴム状弾性体の性能の予測方法は、近似応答関数に基づいて、第1性能の所望の物性値を有するゴム状弾性体を製造するために必要な分子に関する情報、配合割合、及び、加硫条件の少なくとも一つを、第1データ〜第4データで補完して求めることができる。従って、第2発明のゴム状弾性体の性能の予測方法は、ゴム状弾性体の試作や評価を繰り返したり、オペレータの経験や勘に左右されたりすることなく、第1性能の所望の物性値を有するゴム状弾性体の分子に関する情報、配合割合、及び、加硫条件を特定することができる。
本実施形態のゴム状弾性体の性能の予測方法を実行するためのコンピュータの一例を示す斜視図である。 第1発明のゴム状弾性体の性能の予測方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。 加硫温度曲線及びその近似曲線の一例を示すグラフである。 第1発明の他の実施形態のゴム状弾性体の性能の予測方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。 第2発明のゴム状弾性体の性能の予測方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。 第2発明の他の実施形態のゴム状弾性体の性能の予測方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。 第2発明のさらに他の実施形態のゴム状弾性体の性能の予測方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。 (a)〜(c)は、10℃、50℃及び80℃での貯蔵弾性率E'の予測値と実測値との関係を示すグラフである。 (a)〜(c)は、10℃、50℃及び80℃での損失弾性率E"の予測値と実測値との関係を示すグラフである。 (a)〜(c)は、10℃、50℃及び80℃での損失正接tanδの予測値と実測値との関係を示すグラフである。 (a)〜(c)は、10℃、50℃及び80℃での貯蔵せん断弾性率G'の予測値と実測値との関係を示すグラフである。 (a)〜(c)は、10℃、50℃及び80℃での損失せん断弾性率G"の予測値と実測値との関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
本実施形態のゴム状弾性体の性能の予測方法(以下、単に「予測方法」ということがある)は、ポリマー組成物を加硫したゴム状弾性体について、予め定められた第1性能を、近似応答関数に基づいて予測するための方法である。本実施形態のポリマー組成物は、複数のポリマー及び複数の配合剤を含む材料のいくつかを混合した(混練した)未加硫ゴムである場合が例示されるが、これに限定されるわけではない。
ポリマーとしては、例えば、一般的なポリマー組成物(本実施形態では、未加硫ゴム)に配合される未加硫の原料ゴムである。原料ゴムの一例としては、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、又は、スチレンブタジエンゴム(SBR)等である。配合材としては、例えば、カーボンやシリカ等のフィラー、オイル、加工助剤、硫黄、又は、加硫促進剤が含まれる。
本実施形態の予測方法では、コンピュータが用いられる。図1は、本実施形態の予測方法を実行するためのコンピュータ1の一例を示す斜視図である。コンピュータ1は、本体1a、キーボード1b、マウス1c及びディスプレイ装置1dを含んでいる。この本体1aには、例えば、演算処理装置(CPU)、ROM、作業用メモリ、磁気ディスクなどの記憶装置、及び、ディスクドライブ装置1a1、1a2が設けられている。記憶装置には、本実施形態の予測方法を実行するためのソフトウェア等が予め記憶されている。
図2は、本実施形態の予測方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。本実施形態の予測方法では、先ず、コンピュータ1に、複数のポリマー及び複数の配合剤を含む個々の材料について、分子に関する情報を含む第1データが入力される(工程S1)。
ポリマーの分子に関する情報としては、例えば、数平均分子量、重量平均分子量、分子量分布、又は、分子鎖の分岐度の少なくとも一つを含んでいる。なお、ポリマーの分子に関する情報には、例えば、他のポリマーとの相溶性を示す指標である溶解性パラメータδが含まれてもよい。
数平均分子量Mnは、ポリマーを構成する分子鎖1本あたりの平均分子量を示すための指標である。即ち、数平均分子量Mnは、ポリマー全体の質量を、ポリマー全体の分子数で除した値である。このような数平均分子量Mnは、例えば、末端定量法、浸透圧法、蒸気圧法、又は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)法等によって測定することができる。
重量平均分子量Mwは、ポリマーの分子鎖の質量で加重平均した分子量を示すための指標である。即ち、重量平均分子量Mwは、ポリマーを構成する分子鎖1本あたりの分子量と質量とを乗じた値のポリマー全体の和を、ポリマー全体の質量で除した値である。このような重量平均分子量Mwは、ポリマーの物性を把握するのに役立つ。なお、重量平均分子量Mwは、例えば、光散乱法、又は、超遠心法(沈降速度法)等によって測定することができる。
分子量分布Mw/Mnは、ポリマーの分子量の分布の広がりを示す指標である。分子量分布Mw/Mnは、重量平均分子量Mw、及び、数平均分子量Mnをそれぞれ測定した後に、重量平均分子量Mwを、数平均分子量Mnで除することによって求めることができる。なお、分子量分布Mw/Mnは、例えば、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)法によって直接測定することもできる。
分子量分布Mw/Mnが大きいほど、ポリマーの分子量の分布が広いことを示している。逆に、分子量分布Mw/Mnが小さいほど、ポリマーの分子量の分布が狭いことを示している。さらに、分子量分布Mw/Mnが1に近づくほど、単分数に近いことを示している。従って、分子量分布Mw/Mnは、ポリマーを構成する分子量の分布を把握するのに役立つ。
分子鎖の分岐度(ポリマーリニアリティ)は、分子鎖での分岐構造の大きさを示す指標である。分岐度は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)法によって測定することができる。分岐度が大きいほど、分子鎖の広がりが小さくなり、ポリマーの粘度が小さくなる傾向がある。逆に、分岐度が小さいほど、分子鎖の広がりが大きくなり、ポリマーの粘度が大きくなる傾向がある。従って、分岐度は、ポリマーの粘度の大きさを把握するのに役立つ。
本実施形態では、数平均分子量、重量平均分子量、分子量分布、及び、分子鎖の分岐度の全てが、ポリマーの分子に関する情報として、コンピュータ1に入力される。なお、数平均分子量、重量平均分子量、分子量分布、又は、分子鎖の分岐度が既知の場合には、それらの既知の情報が、コンピュータ1に入力されてもよい。
配合剤の分子に関する情報としては、例えば、カーボンやシリカ等のフィラーの場合、例えば、粒子径、CTAB吸着比表面積、又は、BET吸着比表面積の少なくとも一つを含んでいる。本実施形態では、これらの配合剤の分子に関する情報の全てが、コンピュータ1に入力される。
カーボンやシリカの粒子径、CTAB吸着比表面積、又は、BET吸着比表面積は、材料(ポリマーや配合物)を混合したポリマー組成物の性能に大きな影響を与えるものである。これらの配合剤の分子に関する情報は、例えば、既知の測定方法によって取得された情報、又は、製造元から提供される情報に基づいて、コンピュータ1に入力されうる。
CTAB吸着比表面積及びBET吸着比表面積は、フィラーの表面粗さの指標であり、補強性能に影響するものである。CTAB吸着比表面積は、例えば、JIS K 6217−3:2001に準拠して測定することができる。BET吸着比表面積は、例えば、窒素ガスを用いたBET法により測定することができる。
本実施形態のオイル、加工助剤、硫黄、及び、加硫促進剤は、それぞれ1種類ずつ配合されている。このため、オイル、加工助剤、硫黄、及び、加硫促進剤の分子に関する情報は、ポリマーやフィラーとは異なり、第1データとして入力されていない。なお、オイル、加工助剤、硫黄、及び、加硫促進剤が複数配合される場合は、オイル、加工助剤、硫黄、及び、加硫促進剤についても、分子に関する情報が入力されるのが望ましい。オイルの分子に関する情報としては、例えば、分子量、粘度、又は、動粘度の少なくとも一つを含んでいる。また、加工助剤の分子に関する情報としては、例えば、溶解度パラメータ又は融点等の少なくとも一つを含んでいる。硫黄の分子に関する情報としては、例えば、分子量や融点等の少なくとも一つを含んでいる。加硫促進剤の分子に関する情報としては、例えば、分子量や融点等の少なくとも一つを含んでいる。これらの情報は、例えば、材料メーカーから提供されている情報に基づいて、コンピュータ1に適宜入力される。
次に、本実施形態の予測方法では、コンピュータ1に、複数種類のゴム状弾性体について、材料の配合割合を含む第2データが入力される(工程S2)。複数種類のゴム状弾性体は、第1データとして入力された材料のいくつかを混合したポリマー組成物を加硫したものである。第2データとして入力されるゴム状弾性体は、本実施形態の予測方法で第1性能が予測されるゴム状弾性体(以下、単に「評価対象のゴム状弾性体」ということがある。)ではなく、既知のゴム状弾性体である。各ゴム状弾性体は、材料の配合割合がそれぞれ異なる。工程S2では、これらの既知のゴム状弾性体の材料の配合割合が、第2データとして、コンピュータ1に入力される。
次に、本実施形態の予測方法は、コンピュータ1に、第2データの各ゴム状弾性体に対応する加硫条件を含む第3データが入力される(工程S3)。本実施形態の加硫条件は、各ゴム状弾性体の加硫前のポリマー組成物について、加硫時に設定された温度条件等が設定される。このような加硫条件は、ポリマー組成物の加硫時の反応速度や反応量を変化させ、ゴム状弾性体の性能に直接影響を及ぼすものである。本実施形態の加硫条件は、各ゴム状弾性体の加硫前のポリマー組成物の加硫温度曲線に基づいて設定される。図3は、加硫温度曲線2及びその近似曲線の一例を示すグラフである。
加硫温度曲線2は、ポリマー組成物の加硫時の温度と加硫時間との関係を示すものである。この加硫温度曲線2は、ポリマー組成物の温度を上昇させる昇温時T1、ポリマー組成物の温度を維持させる定熱時T2、及び、ポリマー組成物への加熱が停止される放熱時T3に区分される。
本実施形態の加硫条件は、加硫温度曲線2の昇温時T1に近似する下記式(1)の第1近似曲線F1の変数a、C、kを含んでいる。
Figure 2018147460
ここで、
q(t):加硫時間tのポリマー組成物の温度
0:ポリマー組成物の初期温度
t:加硫時間
a、C、k:変数
変数a、C、kは、第1近似曲線F1を、昇温時T1の加硫温度曲線2に近似させるためのフィティングパラメータである。このような変数a、C、kにより、各ゴム状弾性体が加硫される前のポリマー組成物について、昇温時の加硫条件を特定することができる。
さらに、本実施形態の加硫条件は、加硫温度曲線2の定熱時T2及び放熱時T3に近似する下記式(2)の第2近似曲線F2の変数C、kを含んでいる。
Figure 2018147460
ここで、
q(t):加硫時間tのポリマー組成物の温度
0:ポリマー組成物の初期温度
t:加硫時間
C、k:変数(フィッティングパラメータ)
変数C、kは、第2近似曲線F2を、定熱時T2の加硫温度曲線2、及び、放熱時T3の加硫温度曲線2に近似させるためのフィッティングパラメータである。このような変数C、kにより、各ゴム状弾性体が加硫される前のポリマー組成物について、定熱時T2及び放熱時T3の加硫条件を特定することができる。
工程S3では、第2データに入力された各ゴム状弾性体について、昇温時T1、定熱時T2及び放熱時T3毎に、変数a、C、kが求められる。これらの加硫条件は、第3データとして、コンピュータ1に入力される。
次に、本実施形態の予測方法は、コンピュータ1に、第2データの各ゴム状弾性体に対応する第1性能を含む第4データが入力される(工程S4)。ゴム状弾性体の第1性能としては、貯蔵弾性率E'、損失弾性率E"、損失正接tanδ、貯蔵せん断弾性率G'、又は、損失せん断弾性率G"の少なくとも一つを含んでいる。本実施形態では、これらの第1性能の全てが、第4データとして、コンピュータ1に入力される。
貯蔵弾性率E'は、外力及び歪みによって生じた加硫ポリマーのエネルギーのうち、加硫ポリマーの内部に保存されるエネルギーである。損失弾性率E"は、外力及び歪みによって生じた加硫ポリマーのエネルギーのうち、加硫ポリマーから外部へ発散するエネルギーである。損失正接tanδは、損失弾性率E"を、貯蔵弾性率E'で除した値である。
貯蔵せん断弾性率G'は、動的(正弦振動)応力と歪みによって生じた加硫ポリマーの内部エネルギーである。損失せん断弾性率G"は、動的(正弦振動)応力と歪みによって生じた加硫ポリマーの熱エネルギーである。
これらの貯蔵弾性率E'、損失弾性率E"、損失正接tanδ、貯蔵せん断弾性率G'、及び、損失せん断弾性率G"は、例えば、JIS−K6394の規定に準拠して、次に示される条件で(株)岩本製作所製の粘弾性スペクトロメータを用いて測定することができる。
初期歪:10%
振幅:±2%
周波数:10Hz
変形モード:引張
貯蔵弾性率E'、損失弾性率E"、損失正接tanδ、貯蔵せん断弾性率G'、及び、損失せん断弾性率G"は、温度によって変化する。このため、貯蔵弾性率E'、損失弾性率E"、損失正接tanδ、貯蔵せん断弾性率G'、及び、損失せん断弾性率G"は、複数の温度毎に測定されるのが望ましい。なお、温度については、例えば、ゴム状弾性体から形成されるゴム製品(例えば、タイヤ)が使用される温度に基づいて適宜設定されうる。本実施形態の温度は、例えば、10℃、50℃、又は、80℃に設定されうる。
次に、本実施形態の予測方法は、コンピュータ1が、第1データと、第2データと、第3データと、第4データとの関係を示す近似応答関数を構築する(工程S5)。
本実施形態の工程S5では、先ず、近似応答関数の構築に先立ち、第2データに含まれる各ゴム状弾性体について、各ゴム状弾性体の分子に関する情報が計算される。各ゴム状弾性体の分子に関する情報は、ゴム状弾性体の材料の配合割合(充填量)に基づいて、第1データの材料の分子に関する情報を加重平均することによって計算される。
発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、各ゴム状弾性体の分子に関する情報が、ゴム状弾性体を構成する各材料の分子に関する情報と、材料の配合割合(充填量)とを乗じた値に依存することを知見した。このような知見に基づいて計算されたゴム状弾性体の分子に関する情報は、実際に測定されなくても、実際のゴム状弾性体の各材料の分子に関する情報に近似させることができるため、測定時間やコストの増大を抑制することができる。
工程S5で計算されるゴム状弾性体の分子に関する情報は、材料の分子に関する情報(本実施形態では、数平均分子量Mn、重量平均分子量Mw、分子量分布、分岐度、カーボンやシリカの粒子径、CTAB吸着比表面積、又は、BET吸着比表面積)と同一である。例えば、ポリマー組成物が2種類のポリマー(第1ポリマー、第2ポリマー)から構成される場合、ゴム状弾性体の分子に関する情報Mwfは、下記式(3)に基づいて求められる。本実施形態において、ゴム状弾性体の分子に関する情報Mwfは、数平均分子量Mn、重量平均分子量Mw、分子量分布、分岐度、カーボンやシリカの粒子径、CTAB吸着比表面積、及び、BET吸着比表面積毎に求められる。
Figure 2018147460
次に、本実施形態の工程S5では、第1データ(材料の分子に関する情報)、第2データ(各ゴム状弾性体の材料の配合割合)、第3データ(各ゴム状弾性体の加硫条件)、第4データ(各ゴム状弾性体に対応する第1性能)、及び、上記式(3)を用いて求められた各ゴム状弾性体の分子に関する情報を用いて、近似応答関数が生成される。このような近似応答関数は、例えば、第2データに含まれていない未知のゴム状弾性体の第1性能を、第2データに含まれる既知のゴム状弾性体の第1性能を用いて補完して予測することができる。従って、このような近似応答関数を予め構築しておくことにより、ゴム状弾性体を実際に製造しなくても、ゴム状弾性体の第1性能を予測することができる。
近似応答関数の構築には、第2データのゴム状弾性体の加硫条件を含む第3データを用いられるため、第1性能に直接影響する加硫条件が考慮される。従って、近似応答関数は、第1性能を精度よく予測するのに役立つ。
近似応答関数は、慣例に従って、種々の方法で構築することができる。例えば応答曲面法(RSM:Response Surface Methodology)、動径基底関数(RBF:Radial Basis Function)、又は、Kriging法などが好適に用いられる。RSM、RBF、Kriging法の順に近似精度は向上するが、同時に計算コストも増大する。本実施形態では、精度とコストとのバランスに優れたRBFが用いられる。
RBFは、ニューラルネットワークの一種であり、ガウス関数を重ね合わせていくことで表現される近似応答曲面である。RBFでは、入力(設計変数(本実施形態では、各ポリマーの物理量))と出力(目的関数(本実施形態では、各ポリマーの性能))とが、非常に非線形の強い関係であっても精度良く表現することが可能である。また、RBFは、測定結果の中に異常なデータが含まれている場合であっても、ガウス関数の重ね合わせを最小二乗法で行うため、異常データに振り回されることなく応答関数を生成できる。さらに、RBFでは、通常のニューラルネットワークとは異なり、バックプロパゲーションを必要としないため、近似応答関数を構築するための計算コストをより小さく抑えることができる。このような近似応答関数は、市販のコンピュータソフトウエア(例えば、The MathWorks 社製のMATLABや、ESTECO社製のmodeFRONTIER 等)を用いることによって構築することができる。また、近似応答関数は、非線形性への対応力を高めるために、ニューラルネットワークの中間層を多層化する深層学習によって構築されてもよい。
次に、本実施形態の予測方法では、近似応答関数の精度が、良好か否かが判断される(工程S6)。工程S6では、近似応答関数について、ブラインドテストが実施される。本実施形態では、先ず、第2データに含まれる少なくとも一つのゴム状弾性体が選択される。次に、工程S6では、選択されたゴム状弾性体を除く第2データのゴム状弾性体を用い、上記した工程S5の手順に従って、近似応答関数を構築する。そして、工程S6では、選択されたゴム状弾性体の材料の配合割合、選択されたゴム状弾性体の加硫条件、及び、選択されたゴム状弾性体の分子に関する情報が、近似応答関数に代入される。これにより、工程S6では、選択されたゴム状弾性体の第1性能が計算される。なお、選択されたゴム状弾性体の材料の配合割合は、第2データから選択される。選択されたゴム状弾性体の加硫条件は、第3データから選択される。選択されたゴム状弾性体の分子に関する情報は、上記式(3)で計算される。
そして、本実施形態の工程S6では、第2データを構成するゴム状弾性体のうち、複数のゴム状弾性体について、上記手順に基づいて、第1性能が計算される。そして、工程S6では、複数のゴム状弾性体について、計算された第1性能と、実際の第1性能とが比較される。計算された第1性能と、実際の第1性能との相関係数が、予め定められた許容範囲内にある場合、近似応答関数の精度が良好であると判断される。
許容範囲については、求められる計算精度に応じて、適宜設定することができる。本実施形態では、例えば、相関係数が0.75以上、より好ましくは0.90以上であれば、近似応答関数の精度が良好であると判断されている。
工程S6において、近似応答関数の精度が良好であると判断された場合(工程S6で、「Y」)、次の工程S7が実施される。他方、近似応答関数の精度が良好でないと判断された場合(工程S6で、「N」)、第2データに新たなゴム状弾性体(即ち、第2データに含まれていない既知のゴム状弾性体)の材料の配合割合が追加され(工程S8)、第3データに新たなゴム状弾性体の加硫条件が追加され(工程S9)、第4データに新たなゴム状弾性体に対応する第1性能が追加される(工程S10)。そして、第1データと、新たなゴム状弾性体が追加された第2データ〜第4データとを用いて、近似応答関数が再構築される(工程S5)。このように、本実施形態では、ブラインドテストが実施されることにより、精度の高い近似応答関数を構築することができる。なお、第2データに新たに追加されるゴム状弾性体が、第1データに含まれない新たな材料が用いられる場合、第1データに、新たな材料の分子に関する情報が追加される。
本実施形態の工程S6では、第2データを構成するゴム状弾性体のうち、複数のゴム状弾性体を対象に、ブラインドテストが実施されたが、このような態様に限定されない。工程S6では、第2データを構成する全てのゴム状弾性体について、ブラインドテストが実施されるのが望ましい。これにより、精度の高い近似応答関数を、より確実に構築することができる。
次に、本実施形態の予測方法では、コンピュータ1に、評価対象のゴム状弾性体の材料の配合割合と、評価対象のゴム状弾性体の加硫条件と、評価対象のゴム状弾性体の分子に関する情報とが入力される(工程S7)。
評価対象のゴム状弾性体は、第2データに含まれない未知のゴム状弾性体である。評価対象のゴム状弾性体の材料は、第1データの材料から選択され、かつ、それらの材料の配合割合が決定される。評価対象のゴム状弾性体の加硫条件は、評価対象のゴム状弾性体の加硫時に予定される加硫温度曲線(図示省略)に基づいて、上記式(1)で示される第1近似曲線、及び、上記式(2)で示される第2近似曲線の変数a、C、kが設定される。
評価対象のゴム状弾性体の分子に関する情報は、評価対象のゴム状弾性体の材料の配合割合と、各材料の分子に関する情報とに基づいて、第1データの材料の分子に関する情報を加重平均することによって計算される。この計算には、上記式(3)が用いられる。評価対象のゴム状弾性体の材料の配合割合(充填量)、評価対象のゴム状弾性体の加硫条件、及び、評価対象のゴム状弾性体の分子に関する情報は、コンピュータ1に入力される。
次に、本実施形態の予測方法では、コンピュータ1が、評価対象のゴム状弾性体の第1性能を計算する(工程S11)。工程S11では、近似応答関数と、評価対象のゴム状弾性体の材料の配合割合と、評価対象のゴム状弾性体の加硫条件と、評価対象のゴム状弾性体の分子に関する情報とに基づいて、評価対象のゴム状弾性体の第1性能が計算される。工程S11では、評価対象のゴム状弾性体の材料の配合割合、評価対象のゴム状弾性体の加硫条件、及び、評価対象のゴム状弾性体の分子に関する情報が、近似応答関数に代入される。これにより、評価対象のゴム状弾性体の第1性能が計算される。
本実施形態の近似応答関数は、第2データに含まれていない未知のゴム状弾性体の第1性能を、第2データに含まれる既知のゴム状弾性体の第1性能を用いて補完して予測するためのものである。従って、評価対象のゴム状弾性体の材料の配合割合、評価対象のゴム状弾性体の加硫条件、及び、評価対象のゴム状弾性体の分子に関する情報が、近似応答関数に代入されることにより、評価対象のゴム状弾性体の性能(本実施形態では、貯蔵弾性率E'、損失弾性率E"、損失正接tanδ、貯蔵せん断弾性率G'、及び、損失せん断弾性率G")を容易に予測することができる。
近似応答関数の構築には、第2データのゴム状弾性体の加硫条件を含む第3データが用いられる。これにより、本発明のゴム状弾性体の性能の予測方法は、第1性能に直接影響する加硫条件を考慮して、評価対象のゴム状弾性体の第1性能を精度よく予測することができる。
このように、本実施形態の予測方法は、評価対象のゴム状弾性体を製造することなく、評価対象のゴム状弾性体の性能を容易に予測することができる。このため、本実施形態の予測方法は、ゴム状弾性体の開発コストを大幅に低減することができる。また、本実施形態の第1性能は、ゴム状弾性体から形成されるゴム製品(例えば、タイヤ)等の耐久性、耐摩耗性、又は、転がり抵抗等の性能を予測するのに用いることができるため、ゴム製品の設計に役立つ。
本実施形態の第1性能は、貯蔵弾性率E'、損失弾性率E"、損失正接tanδ、貯蔵せん断弾性率G'、及び、損失せん断弾性率G"である場合が例示されたが、このような態様に限定されない。第1性能は、ゴム状弾性体から形成される製品に求められる物性等を適宜設定することができる。
これまでの実施形態では、ポリマーの分子に関する情報として、数平均分子量、重量平均分子量、分子量分布、及び、分子鎖の分岐度の少なくとも一つが含まれたが、このような態様に限定されない。ポリマーの分子に関する情報としては、数平均分子量、重量平均分子量、分子量分布、及び、分子鎖の分岐度だけでなく、例えば、シス型の比率、トランス型の比率、油展量、ガラス転移点、溶解性パラメータ、スチレン量、ビニル量、ブタジエンゴム量、及び、粘弾性特性の少なくとも一つがさらに含まれてもよい。
シス型の比率、及び、トランス型の比率は、ポリマーの運動性や硬さを示す指標である。シス型の比率が相対的に大きいポリマーは、不規則な形をとりやすく、柔らかな性質を有する。一方、トランス型の比率が相対的に大きいポリマーは、直線構造をとりやすく、硬い性質を有する。このように、シス型の比率、及び、トランス型の比率は、ポリマー組成物を加硫したゴム状弾性体の性能に大きな影響を与えるパラメータである。このようなシス型の比率、及び、トランス型の比率は、例えば、ポリマーの製造元が提供している情報から取得することができる。
油展量は、ポリマーに油展されるオイルの量である。このような油展量は、ポリマーを加硫したゴム状弾性体の弾性、屈曲性、引張り強さ、及び、耐摩耗性に大きな影響を及ぼすパラメータである。このような油展量は、例えば、ポリマーの製造元が提供している情報から取得することができる。
ガラス転移点Tgは、ガラス転移が起きる温度である。このようなガラス転移点Tgは、ゴム状弾性体で製造されたゴム製品(タイヤ等)のグリップ性能、及び、ウエット性能に大きな影響を及ぼすパラメータである。ガラス転移点は、例えば、DSC(Differential Scanning Calorimetry、示差走査熱量分析)に基づいて測定することができる。
溶解性パラメータ(SP値)は、凝集エネルギー密度の平方根で定義される物性値である。このような溶解性パラメータは、極性の度合い(他のポリマーとの相溶性)を示す指標であり、加硫後のゴム状弾性体の物性に大きな影響を及ぼすパラメータである。溶解性パラメータの測定方法の一例としては、先ず、Y−MB法に基づいて、ポリマーを構成するモノマーのHansenSP値が推定される。次に、ポリマーがランダムポリマーであるとの仮定に基づいて、各ポリマーのミクロ構造比率に従ってモノマーのHansenSP値が足し合わされる。これにより、ポリマーが持つ平均的な相互作用としての溶解性パラメータ(SP値)を求めることができる。
ビニル量、スチレン量、及び、ブタジエンゴム量は、ポリマーがスチレンブタジエンゴム(SBR)において、ガラス転移点や、加硫後のポリマーの物性に大きな影響を及ぼすパラメータである。これらのビニル量、スチレン量、及び、ブタジエンゴム量は、例えば、核磁気共鳴法(NMR)法に基づいて、測定することができる。
粘弾性特性としては、例えば、ポリマー単体を加硫したゴム状弾性体の損失正接tanδや、複素弾性率E*が含まれる。このような粘弾性特性は、加硫後のゴム状弾性体の物性を直接的に示すものである。このような粘弾性特性の測定方法の一例としては、先ず、ポリマー単体を加硫したゴム状弾性体をプレス成形した厚さ1mmのポリマーシートを作成する。次に、ポリマーシートを、パラレルプレート測定治具に固定(ポリマーシートの両面に接着剤を介して固定)する。次に、せん断モードにおいて、温度、周波数を変量させて、貯蔵せん断弾性率G'、及び、損失せん断弾性率G"を求める。これにより、粘弾性特性(例えば、0℃や30℃での損失正接tanδ及び複素弾性率E*)を求めることができる。
ポリマーの分子に関する情報としては、数平均分子量、重量平均分子量、分子量分布、及び、分子鎖の分岐度とともに、シス型の比率、トランス型の比率、油展量、ガラス転移点、溶解性パラメータ、スチレン量、ビニル量、ブタジエンゴム量、及び、粘弾性特性の全てが、コンピュータ1に入力されるのが望ましい。これにより、近似応答関数を構築する工程S5では、より多くのポリマーの分子に関する情報を用いて、近似応答関数を構築することができるため、第1性能を計算する工程S11において、評価対象のゴム状弾性体の第1性能の物性値を、より精度よく予測することができる。また、これらのポリマーの分子に関する情報は、後述の逆同定工程S13(図5に示す)において、所望の第1性能を達成しうるゴム状弾性体の材料に関して、より具体的なポリマーの分子に関する情報を得るのに役立つ。
これまでの実施形態では、配合剤(フィラー)の分子に関する情報として、粒子径、CTAB吸着比表面積、及び、BET吸着比表面積の少なくとも一つが含まれたが、このような態様に限定されない。例えば、配合剤の分子に関する情報としては、粒子径、CTAB吸着比表面積、及び、BET吸着比表面積だけでなく、例えば、一次粒子径、及び、表面極性の少なくとも一つがさらに含まれてもよい。
一次粒子径は、フィラーの粉体、凝集体を構成する一次粒子の大きさを示すためのものである。このような一次粒子径は、フィラーが含まれるポリマー組成物を加硫したゴム状弾性体の性能に大きな影響を与えるパラメータである。一次粒子径は、フィラーの製造元が提供している情報から取得されてもよいし、透過型電子顕微鏡(TEM)や、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて測定されてもよい。
表面極性は、ポリマーへの分散性に影響を与えるパラメータである。表面極性が高いほど、ポリマーへの分散性が低くなる。表面極性は、フィラーの製造元が提供している情報から取得されてもよいし、逆クロマトグラフを用いて測定されてもよい。
フィラーの分子に関する情報としては、フィラーの粒子径、CTAB吸着比表面積、又は、BET吸着比表面積とともに、一次粒子径、及び、表面極性の全てが、コンピュータ1に入力されるのが望ましい。これにより、近似応答関数を構築する工程S5では、より多くのフィラーの分子に関する情報を用いて、近似応答関数を構築することができるため、第1性能を計算する工程S11において、評価対象のゴム状弾性体の第1性能の物性値を、より精度よく予測することができる。また、これらのフィラーの分子に関する情報は、後述の逆同定工程S13(図5に示す)において、所望の第1性能を達成しうるゴム状弾性体の材料に関して、より具体的なフィラーの分子に関する情報を得るのに役立つ。
上述したように、近似応答関数を構築する工程S5では、近似応答関数の構築に先立ち、第2データに含まれる各ゴム状弾性体について、各ゴム状弾性体の分子に関する情報が計算される。ゴム状弾性体の分子に関する情報は、材料の分子に関する情報(この実施形態では、ポリマーの数平均分子量Mn、重量平均分子量Mw、分子量分布、分岐度、シス型の比率、トランス型の比率、油展量、ガラス転移点、溶解性パラメータ、スチレン量、ビニル量、ブタジエンゴム量、及び、粘弾性特性、フィラーの粒子径、CTAB吸着比表面積、BET吸着比表面積、一次粒子径、又は、表面極性)と同一である。例えば、ポリマー組成物が2種類のポリマー(第1ポリマー、第2ポリマー)から構成される場合、ゴム状弾性体の分子に関する情報Mwfは、上記式(3)に基づいて求めることができる。3種類以上のポリマーから構築される場合、ゴム状弾性体の分子に関する情報Mwfは、下記式(4)に基づいて求められるのが望ましい。
Figure 2018147460
なお、ポリマーの分子に関する情報によっては、ゴム状弾性体の分子に関する情報Mwfの桁数が揃わない場合がある。一例として、ポリマーの数平均分子量Mnは、分子鎖の分岐度の106〜108倍程度である。従って、ポリマーの充填量の総和を求めている分母に、規格化係数αが乗じられるのが望ましい。これにより、ゴム状弾性体の分子に関する情報Mwfの桁数を揃えることができるため、例えば、小さな値と大きな値とが混在する場合、近似応答関数を構築する工程S5において、いずれかを過大評価したり、或いは、過小評価したりするのを防ぐことができる。これにより、精度の高い近似応答関数を構築することができる。なお、規格化係数αは、ゴム状弾性体の分子に関する情報Mwfの桁数が概ね一致するように調整することで求めることができる。
これまでの実施形態では、第1性能として、貯蔵弾性率E'、損失弾性率E"、損失正接tanδ、貯蔵せん断弾性率G'、及び、損失せん断弾性率G"の少なくとも一つが含まれたが、このような態様に限定されない。例えば、第1性能としては、貯蔵弾性率E'、損失弾性率E"、損失正接tanδ、貯蔵せん断弾性率G'、及び、損失せん断弾性率G"だけでなく、破壊強度、摩耗性能、及び、ムーニー粘度の少なくとも一つが含まれても良い。このような第1性能が含まれることにより、所望の性能を有するゴム状弾性体の開発に役立つ。
破壊強度は、ゴム状弾性体の耐破断性を示すパラメータである。本実施形態の破断強度としては、例えば、JIS Z8202で定義されるゴム状弾性体の引張強さ(Tensile Strength at Break)、又は、破断伸び(Tensile Elongations at Break)である。ゴム状弾性体の引張強さ、及び、破断伸びは、例えば、JIS K6251「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−引張特性の求め方−」に準拠して測定することができる。
摩耗性能は、ゴム状弾性体の耐摩耗性能を示すパラメータである。摩耗性能は、例えば、JIS K6264−1「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−耐摩耗性の求め方−」に準拠したLAT100摩耗試験で測定された摩耗量(LAT摩耗指数)で特定することができる。
ムーニー粘度は、未加硫のポリマー組成物の粘度と加硫特性とを示すものであり、ゴム状弾性体の加工性を示す指標として用いられる。ムーニー粘度は、JISK6300「未加硫ゴム物理試験方法」に記載のムーニー粘度試験に準拠して、ロータの形状をL形とするとともに、また130゜Cで1分間予熱し、ロータを4分回転させた後に測定することができる。
これまでの実施形態の工程S5では、第1データと、第2データと、第3データと、第4データとの関係を示す近似応答関数が構築されたが、このような態様に限定されない。例えば、第1データ〜第4データ、及び、第2データの各ゴム状弾性体に対応するポリマー組成物の混練条件を含む第5データの関係を示す近似応答関数が構築されてもよい。図4は、第1発明の他の実施形態のゴム状弾性体の性能の予測方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。なお、この実施形態において、これまでの実施形態と同一の構成については、同一の符号を付し、説明を省略することがある。
この実施形態の予測方法では、コンピュータ1に、第2データの各ゴム状弾性体に対応する混練条件を含む第5データが入力される(工程S14)。工程S14では、各ゴム状弾性体について、加硫前のポリマー組成物の混練条件が、第5データとしてコンピュータに入力される。
混練条件としては、混練機のチャンバーの容積、混練時のポリマー組成物の充填量、混練時間、及び、混練後のポリマー組成物の排出温度の少なくとも一つを含んでいる。
チャンバーの容積は、混練機の製造メーカーから提供された仕様に基づくものである。混練時のポリマー組成物の充填量は、チャンバー内に投入された各ポリマー組成物について、チャンバーの容積に対する、全てのポリマー組成物の総容量の割合である。混練時間は、混練機に材料を投入してから、混練後のポリマー組成物が排出されるまでの時間である。混練後のポリマー組成物の排出温度は、排出直前に、混練機内部に設置されている温度センサー等が示すポリマー組成物の温度である。これらの混練条件は、このような態様に限定されるわけではなく、混練機の性能等に応じて、適宜取得することができる。
この実施形態の予測方法では、前実施形態と同様の手順で、第1データと、第2データと、第3データと、第4データと、第5データとの関係を示す近似応答関数が構築される(工程S5)。さらに、この実施形態の予測方法では、工程S6において、近似応答関数の精度が良好でないと判断された場合(工程S6で、「N」)、第5データに新たなゴム状弾性体の混練条件が追加される(工程S15)。そして、第1データと、新たなゴム状弾性体が追加された第2データ〜第5データとを用いて、近似応答関数が再構築される(工程S5)。
この実施形態の予測方法では、コンピュータ1に、評価対象のゴム状弾性体の材料の配合割合と、評価対象のゴム状弾性体の加硫条件と、評価対象のゴム状弾性体の分子に関する情報とに加え、評価対象のゴム状弾性体の混練条件が入力され(工程S7)、評価対象のゴム状弾性体の第1性能が計算される(工程S11)。
この実施形態の予測方法では、第2データのゴム状弾性体の混練条件を含む第5データが、近似応答関数の構築に用いられる。これにより、この実施形態の予測方法は、第1性能に直接影響する混練条件を考慮して、評価対象のゴム状弾性体の第1性能を精度よく予測することができる。
これまでの実施形態では、近似応答関数、評価対象のゴム状弾性体の材料の配合割合、評価対象のゴム状弾性体の材料の加硫条件、及び、評価対象のゴム状弾性体の分子に関する情報に基づいて、評価対象のゴム状弾性体の第1性能が計算されるものが例示されたが、このような態様に限定されるわけではない。例えば、近似応答関数に、所望の第1性能が代入されることにより、所望の第1性能を有するゴム状弾性体の材料の配合割合等が求められてもよい(即ち、逆解析されてもよい)。
図5は、第2発明のゴム状弾性体の性能の予測方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。なお、この実施形態において、これまでの実施形態と同一の構成については、同一の符号を付し、説明を省略することがある。
この実施形態の予測方法では、ポリマー組成物を加硫して製造され、かつ、予め定められた第1性能の物性値を有する未知のゴム状弾性体について、そのゴム状弾性体に含まれる材料の分子に関する情報、材料の配合割合、及び、加硫条件の少なくとも一つが予測される。この実施形態の予測方法では、前実施形態の予測方法と同様に、工程S1〜S6、及び、工程S8〜S10が実施され、近似応答関数が構築される。そして、この実施形態の予測方法では、近似応答関数の精度が良好か否かを判断する工程S6において、近似応答関数の精度が良好であると判断された場合(工程S6で、「Y」)、コンピュータ1に、第1性能の物性値を入力する工程S12が実施される。
第1性能の物性値は、第2データに含まれていない未知のゴム状弾性体の目標物性値(所望の物性値)である。工程S12では、第1性能(この実施形態では、貯蔵弾性率E'、損失弾性率E"、損失正接tanδ、貯蔵せん断弾性率G'、及び、損失せん断弾性率G"")の少なくとも一つについて、所望の物性値が入力される。この実施形態では、これらの第1性能の全てについて、所望の物性値が入力される。これらの物性値は、コンピュータ1に記憶される。
次に、この実施形態の予測方法では、コンピュータ1が、第1性能の所望の物性値を有する未知のゴム状弾性体について、ゴム状弾性体に含まれる材料の分子に関する情報、材料の配合割合、及び、加硫条件を求める(逆同定工程S13)。この実施形態の逆同定工程S13では、コンピュータ1が、近似応答関数と、第1性能の所望の物性値とに基づいて、材料の分子に関する情報、材料の配合割合、及び、加硫条件の少なくとも一つが求められる。
この実施形態の逆同定工程S13では、先ず、近似応答関数の逆関数が求められる。この逆関数は、第1性能の物性値の入力に対して、その物性値を有するゴム状弾性体に含まれる材料の分子に関する情報、材料の配合割合、及び、ポリマー組成物の加硫条件の少なくとも一つを出力するためのものである。
逆関数は、遺伝的アルゴリズム(GA(Genetic Algorithm))や、粒子群最適化(PSO(Particle Swarm Optimization))等の最適化手法に基づいて求められる。このような逆関数は、例えば、上記コンピュータソフトウエアで容易に求めることができる。
次に、この実施形態の逆同定工程S13は、近似応答関数の逆関数に、第1性能の所望の物性値(目的関数)が代入される。これにより、逆同定工程S13では、第1性能の所望の物性値を有するゴム状弾性体を製造するために必要な材料の分子に関する情報、材料の配合割合、及び、加硫条件の少なくとも一つ(本実施形態では、材料の分子に関する情報、材料の配合割合、及び、加硫条件の全て)が、上記最適化手法に基づいて、第1データ〜第4データで自動的に補完して求められる。
このように、この実施形態の予測方法は、第1性能の所望の物性値から、第1性能の所望の物性値を有するゴム状弾性体を製造するために必要な情報(即ち、材料の分子に関する情報、材料の配合割合、及び、加硫条件の少なくとも一つ)を容易に求めることができる。このため、この実施形態の予測方法は、ゴム状弾性体の試作や評価を繰り返したり、オペレータの経験や勘に左右されたりすることなく、所望の物性値を有するゴム状弾性体を製造するために必要な情報を確実に特定することができる。
さらに、この実施形態の予測方法は、例えば、二律背反の関係にあるガラス転移点Tg及び複素弾性率E*も容易に特定することができるため、所望の物性値を有するゴム弾性体の開発に役立つ。従って、この実施形態の予測方法は、ゴム状弾性体から形成されるゴム製品(例えば、タイヤ)等の耐久性、耐摩耗性、又は、転がり抵抗等の性能向上が可能となるため、ゴム製品の設計に役立つ。
この実施形態の予測方法では、第1性能の所望の物性値を有する未知のゴム状弾性体について、ゴム状弾性体に含まれる材料の分子に関する情報、材料の配合割合、及び、加硫条件を求めることができたが、これらの求められた情報では、製造コストの予算超過を招いたり、材料の調達が困難であったりする場合がある。このため、予測方法では、逆同定工程S13に先立ち、材料の分子に関する情報、材料の配合割合、及び、加硫条件の少なくとも一つについて、予め定められた制約条件が入力される工程S14が実施されるのが望ましい。図6は、第2発明の他の実施形態のゴム状弾性体の性能の予測方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。なお、この実施形態において、これまでの実施形態と同一の構成については、同一の符号を付し、説明を省略することがある。
この実施形態の工程S14では、コンピュータ1に、材料の分子に関する情報、配合割合、及び、加硫条件の少なくとも一つ(本実施形態では、材料の分子に関する情報、配合割合、及び、加硫条件の全ての制約条件)が入力される。
材料の分子に関する情報の制約条件は、適宜設定することができる。材料の分子に関する情報の制約条件としては、例えば、ゴム状弾性体の加工性が悪くなることが経験上知られている材料(例えば、分子量が大きすぎる材料や、分子量が小さすぎる材料)が、最適解から除外されるように設定されるのが望ましい。このような制約条件は、逆同定工程S13の最適化計算において、ゴム状弾性体を実際に製造不可能な最適解が求められるのを防ぎつつ、探索範囲の狭めることができるため、最適解が得られるまでの計算コストを低減しうる。
材料の配合割合の制約条件としては、各材料の配合割合を予め定められた範囲に限定するためのものである。材料の配合割合の制約条件は、例えば、ゴム状弾性体の製造コストの予算や、ゴム状弾性体を製造する工場で調達可能な材料に基づいて設定される。このような材料の配合割合の制約条件は、逆同定工程S13において、ゴム状弾性体の製造コストの予算超過を防ぎつつ、調達可能な材料の配合割合を求めるのに役立つ。
加硫条件の制約条件としては、加硫温度、及び、加硫時間を、予め定められた範囲に限定するためのものである。加硫条件の制約条件は、例えば、ゴム状弾性体を製造するための金型の構成、加熱手段、及び、ランニングコスト等に基づいて設定される。このような加硫条件の制約条件は、逆同定工程S13において、ゴム状弾性体の製造コストの超過を防ぎうる加硫条件を求めるのに役立つ。これらの制約条件は、コンピュータ1に記憶される。
この実施形態の逆同定工程S13では、制約条件を満足するように、第1性能の所望の物性値を有するゴム状弾性体の材料の分子に関する情報、材料の配合割合、及び、加硫条件の少なくとも一つが求められる。これにより、逆同定工程S13では、ゴム状弾性体の製造コストの予算超過を防ぎつつ、材料を確実に調達することが可能な材料の分子に関する情報、材料の配合割合、及び、加硫条件を求めることができる。
これまでの実施形態の逆同定工程S13では、物性値を有するゴム状弾性体に含まれる材料の分子に関する情報、物性値を有するゴム状弾性体の前記材料の配合割合、及び、物性値を有するゴム状弾性体の加硫条件の少なくとも一つを求められたが、このような態様に限定されない。例えば、逆同定工程S13では、物性値を有するゴム状弾性体の混練条件がさらに求められてもよい。図7は、第2発明のさらに他の実施形態のゴム状弾性体の性能の予測方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。なお、この実施形態において、これまでの実施形態と同一の構成については、同一の符号を付し、説明を省略することがある。
この実施形態の予測方法では、図4に示した予測方法と同様に、第2データの各ゴム状弾性体に対応する混練条件を含む第5データが入力され(工程S14)、第1データ〜第5データとの関係を示す近似応答関数が構築される(工程S15)。
次に、この実施形態の予測方法では、逆同定工程S13において、第1性能の所望の物性値を有する未知のゴム状弾性体について、ゴム状弾性体に含まれる材料の分子に関する情報、材料の配合割合、加硫条件、及び、混練条件が求められる。
この実施形態の逆同定工程S13では、先ず、近似応答関数の逆関数が求められる。そして、近似応答関数の逆関数に、第1性能の所望の物性値(目的関数)が代入される。これにより、逆同定工程S13では、第1性能の所望の物性値を有するゴム状弾性体を製造するために必要な材料の分子に関する情報、材料の配合割合、加硫条件、及び、混練条件の少なくとも一つ(本実施形態では、材料の分子に関する情報、材料の配合割合、加硫条件、及び、混練条件の全て)が、上記最適化手法に基づいて、第1データ〜第5データで自動的に補完して求められる。
このように、この実施形態の予測方法は、第1性能の所望の物性値から、材料の分子に関する情報、材料の配合割合、及び、加硫条件に加え、加硫前のポリマー組成物の混練条件を容易に求めることができる。このため、この実施形態の予測方法は、ゴム状弾性体の試作や評価を繰り返したり、オペレータの経験や勘に左右されたりすることなく、所望の物性値を有するゴム状弾性体を製造するために必要な情報を確実に特定することができる。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
[実施例A]
図1に示した処理手順に従い、ポリマー(ポリマー1〜ポリマー14)及び配合剤(フィラー1〜フィラー4)について、分子に関する情報を含む第1データが、コンピュータに入力された。ポリマーの分子に関する情報は、数平均分子量Mn、重量平均分子量Mw、分子量分布、及び、分子鎖の分岐度である。フィラーの分子に関する情報は、粒子径、CTAB吸着比表面積、又は、BET吸着比表面積である。第1データは、表1のとおりである。
Figure 2018147460
表1に示した材料のいくつかを混合した複数種類のポリマー組成物を加硫したゴム状弾性体(ゴム状弾性体1〜ゴム状弾性体20)について、材料の配合割合を含む第2データが、コンピュータに入力された。第2データは、表2のとおりである。
Figure 2018147460
Figure 2018147460
Figure 2018147460
第2データの各ゴム状弾性体に対応する加硫条件が、コンピュータに入力された。加硫条件は、各ゴム状弾性体の加硫温度曲線に基づいて、定熱時、昇温時、及び、放熱時毎に求められた変数a、C、kである。
Figure 2018147460
Figure 2018147460
Figure 2018147460
第2データの各ゴム状弾性体に対応する第1性能を含む第4データが、コンピュータに入力された。第1性能は、ゴム状弾性体の貯蔵弾性率E'、損失弾性率E"、損失正接tanδ、貯蔵せん断弾性率G'、及び、損失せん断弾性率G"である。これらのゴム状弾性体の貯蔵弾性率E'、損失弾性率E"、損失正接tanδ、貯蔵せん断弾性率G'、及び、損失せん断弾性率G"は、10℃、50℃、及び、80℃毎に測定された。
そして、第1データ、第2データ、第3データ及び第4データに基づいて、近似応答関数が構築された。構築された近似応答関数の精度が良好であるか否かが、ゴム状弾性体1〜ゴム状弾性体20の材料の配合割合、加硫条件、及び、分子に関する情報に基づいて、ブラインドテストが実施された。ブライドテストでは、ゴム状弾性体1〜20のうち、1つのゴム状弾性体を除いた第1データ、第2データ、第3データ及び第4データを用いて、近似応答関数を構築し、その1種類のゴム状弾性体の材料の配合割合、加硫条件、及び、分子に関する情報に基づいて、第1性能が予測された。さらに、ゴム状弾性体1〜20の第1性能が測定された。そして、予測された対象物の性能と、実際に測定された対象物の性能との相関が確認された。
図8(a)〜(c)は、10℃、50℃及び80℃での貯蔵弾性率E'の予測値と実測値との関係を示すグラフである。図9(a)〜(c)は、10℃、50℃及び80℃での損失弾性率E"の予測値と実測値との関係を示すグラフである。図10(a)〜(c)は、10℃、50℃及び80℃での損失正接tanδの予測値と実測値との関係を示すグラフである。図11(a)〜(c)は、10℃、50℃及び80℃での貯蔵せん断弾性率G'の予測値と実測値との関係を示すグラフである。図12(a)〜(c)は、10℃、50℃及び80℃での損失せん断弾性率G"の予測値と実測値との関係を示すグラフである。
ブラインドテストの結果、ゴム状弾性体1〜20について、第1性能の予測値と、第1性能の実測値との決定係数は、いずれも0.80以上であり、近似応答関数の精度が良好であると判断された。このような近似応答関数が用いられることにより、未知のゴム状弾性体の第1性能を予測しうることを確認できた。
[実施例B]
図4に示した処理手順に従い、実施例Aの第1データ〜第4データと、第2データの前記各ゴム状弾性体に対応する混練条件を含む第5データとに基づいて、近似応答関数が構築された。そして、構築された近似応答関数の精度が良好であるか否かが、ゴム状弾性体1〜ゴム状弾性体20の材料の配合割合、加硫条件、分子に関する情報、及び、加硫条件に基づいて、ブラインドテストが実施された。ブライドテストでは、ゴム状弾性体1〜20のうち、1つのゴム状弾性体を除いた第1データ、第2データ、第3データ、第4データ及び第5データを用いて、近似応答関数を構築し、その1種類のゴム状弾性体の材料の配合割合、加硫条件、分子に関する情報、及び、加硫条件に基づいて、第1性能が予測された。さらに、ゴム状弾性体1〜20の第1性能が測定された。そして、予測された対象物の性能と、実際に測定された対象物の性能との相関が確認された。
ブラインドテストの結果、ゴム状弾性体1〜20について、第1性能の予測値と、第1性能の実測値との決定係数は、いずれも0.85以上であり、近似応答関数の精度が良好であると判断された。このような近似応答関数が用いられることにより、未知のゴム状弾性体の第1性能を予測しうることを確認できた。
[実施例C]
図5に示した処理手順に従って、実施例Aで構築された近似応答関数と、予め定められた第1性能(貯蔵弾性率E'、損失弾性率E"、損失正接tanδ、貯蔵せん断弾性率G'、又は、損失せん断弾性率G")の所望の物性値とに基づいて、物性値を有するゴム状弾性体の材料の分子に関する情報、材料の配合割合、及び、加硫条件を求める逆同定工程が実施された。
求められた材料の分子に関する情報、及び、材料の配合割合に基づいて、ポリマー及び配合剤を混合したポリマー組成物が製造された。さらに、求められた加硫条件に基づいてポリマー組成物を加硫して、ゴム状弾性体が製造された。そして、ゴム状弾性体の第1性能の物性値が測定され、逆同定工程に用いられた所望の物性値との相関が求められた。
テストの結果、いずれの第1性能も、5%未満の誤差であった。なお、誤差が5%以下であれば、十分な予測精度である。このように、第2発明の予測方法は、第1性能の所望の物性値を有するゴム状弾性体の分子に関する情報、材料の配合割合、及び、加硫条件を確実に予測することができた。
[実施例D]
図7に示した処理手順に従って、実施例Bで構築された近似応答関数と、予め定められた第1性能(貯蔵弾性率E'、損失弾性率E"、損失正接tanδ、貯蔵せん断弾性率G'、又は、損失せん断弾性率G")の所望の物性値とに基づいて、物性値を有するゴム状弾性体の材料の分子に関する情報、材料の配合割合、加硫条件、及び、混練条件を求める逆同定工程が実施された。
求められた材料の分子に関する情報、材料の配合割合、及び、混練条件に基づいて、ポリマー及び配合剤を混合したポリマー組成物が製造された。さらに、求められた加硫条件に基づいてポリマー組成物を加硫して、ゴム状弾性体が製造された。そして、ゴム状弾性体の第1性能の物性値が測定され、逆同定工程に用いられた所望の物性値との相関が求められた。
テストの結果、いずれの第1性能も、4%未満の誤差であった。なお、誤差が5%以下であれば、十分な予測精度である。このように、第2発明の予測方法は、第1性能の所望の物性値を有するゴム状弾性体の分子に関する情報、材料の配合割合、及び、加硫条件を確実に予測することができた。
S5 近似応答関数を構築する工程
S12 評価対象のゴム状弾性体の第1性能を計算する工程

Claims (15)

  1. ポリマー組成物を加硫したゴム状弾性体の予め定められた第1性能を予測するための方法であって、
    コンピュータに、複数のポリマー及び複数の配合剤を含む個々の材料について、分子に関する情報を含む第1データを入力する工程、
    前記コンピュータに、前記材料のいくつかを混合した前記ポリマー組成物を加硫した複数種類のゴム状弾性体について、前記材料の配合割合を含む第2データを入力する工程、
    前記コンピュータに、前記第2データの前記各ゴム状弾性体に対応する加硫条件を含む第3データを入力する工程、
    前記コンピュータに、前記第2データの前記各ゴム状弾性体に対応する第1性能を含む第4データを入力する工程、
    前記コンピュータが、前記第1データと、前記第2データと、前記第3データと、前記第4データとの関係を示す近似応答関数を構築する工程、
    前記コンピュータに、評価対象の前記ゴム状弾性体の前記材料の配合割合と、前記評価対象の前記ゴム状弾性体の加硫条件と、前記評価対象の前記ゴム状弾性体の前記分子に関する情報とを入力する工程、並びに
    前記コンピュータが、前記近似応答関数と、前記評価対象の前記ゴム状弾性体の前記材料の配合割合と、前記評価対象の前記ゴム状弾性体の加硫条件と、前記評価対象の前記ゴム状弾性体の前記分子に関する情報とに基づいて、前記評価対象の前記ゴム状弾性体の第1性能を計算する工程を含むことを特徴とするゴム状弾性体の性能の予測方法。
  2. 前記第1性能は、貯蔵弾性率E'、損失弾性率E"、損失正接tanδ、貯蔵せん断弾性率G'、損失せん断弾性率G"、破壊強度、摩耗性能、及び、ムーニー粘度の少なくとも一つを含む請求項1記載のゴム状弾性体の性能の予測方法。
  3. 前記加硫条件は、前記ポリマー組成物の加硫時の温度と、加硫時間との関係を示す加硫温度曲線に基づいて設定される請求項1又は2記載のゴム状弾性体の性能の予測方法。
  4. 前記加硫条件は、前記加硫温度曲線の昇温時に近似する下記式(1)の第1近似曲線の変数a、C、kを含む請求項3記載のゴム状弾性体の性能の予測方法。
    Figure 2018147460
    ここで、
    q(t):加硫時間tのポリマー組成物の温度
    0:ポリマー組成物の初期温度
    t:加硫時間
    a、C、k:変数
  5. 前記加硫条件は、前記加硫温度曲線の定熱時及び放熱時に近似する下記式(2)の第2近似曲線の変数C、kを含む請求項4記載のゴム状弾性体の性能の予測方法。
    Figure 2018147460

    ここで、
    q(t):加硫時間tのポリマー組成物の温度
    0:ポリマー組成物の初期温度
    t:加硫時間
    C、k:変数
  6. 前記分子に関する情報は、数平均分子量、重量平均分子量、分子量分布、及び、分子鎖の分岐度の少なくとも一つを含む請求項1乃至5のいずれかに記載のゴム状弾性体の性能の予測方法。
  7. 前記分子に関する情報は、前記ポリマーのシス型の比率、トランス型の比率、油展量、ガラス転移点、溶解性パラメータ、スチレン量、ビニル量、ブタジエンゴム量、及び、粘弾性特性の少なくとも一つを含む請求項1乃至6のいずれかに記載のゴム状弾性体の性能の予測方法。
  8. 前記配合剤は、フィラーを含み、
    前記分子に関する情報は、前記フィラーのCTAB吸着比表面積、BET吸着比表面積、一次粒子径、及び、表面極性の少なくとも一つを含む請求項1乃至7のいずれかに記載のゴム状弾性体の性能の予測方法。
  9. 前記コンピュータに、前記第2データの前記各ゴム状弾性体に対応する混練条件を含む第5データを入力する工程をさらに含み、
    前記近似応答関数を構築する工程は、前記コンピュータが、前記第1データと、前記第2データと、前記第3データと、前記第4データと、前記第5データとの関係を示す近似応答関数を構築する工程を含む請求項1乃至8のいずれかに記載のゴム状弾性体の性能の予測方法。
  10. 前記第1性能を計算する工程は、前記評価対象の前記ゴム状弾性体の前記混練条件をさらに考慮して、前記評価対象の前記ゴム状弾性体の第1性能を計算する請求項9記載のゴム状弾性体の性能の予測方法。
  11. 前記混練条件は、混練機のチャンバーの容積、混練時の前記ポリマー組成物の充填量、混練時間、及び、混練後の前記ポリマー組成物の排出温度の少なくとも一つを含む請求項9又は10記載のゴム状弾性体の性能の予測方法。
  12. ポリマー組成物を加硫して製造され、かつ、予め定められた第1性能の物性値を有する未知のゴム状弾性体について、前記ゴム状弾性体に含まれる材料の分子に関する情報、前記材料の配合割合、及び、加硫条件の少なくとも一つを予測するための方法であって、
    前記材料は、複数のポリマー及び複数の配合剤を含み、
    コンピュータに、個々の前記材料について、前記材料の分子に関する情報を含む第1データを入力する工程、
    前記コンピュータに、前記材料のいくつかを混合した前記ポリマー組成物を加硫した複数種類のゴム状弾性体について、前記材料の配合割合を含む第2データを入力する工程、
    前記コンピュータに、前記第2データの前記各ゴム状弾性体に対応する加硫条件を含む第3データを入力する工程、
    前記コンピュータに、前記第2データの前記各ゴム状弾性体に対応する前記第1性能を含む第4データを入力する工程、
    前記コンピュータが、前記第1データと、前記第2データと、前記第3データと、前記第4データとの関係を示す近似応答関数を構築する工程、
    前記コンピュータに、前記第1性能の前記物性値を入力する工程、並びに
    前記コンピュータが、前記近似応答関数と、前記第1性能の前記物性値とに基づいて、前記物性値を有する前記ゴム状弾性体に含まれる前記材料の分子に関する情報、前記物性値を有する前記ゴム状弾性体の前記材料の配合割合、及び、前記物性値を有する前記ゴム状弾性体の加硫条件の少なくとも一つを求める逆同定工程を含むことを特徴とするゴム状弾性体の性能の予測方法。
  13. 前記逆同定工程に先立ち、前記コンピュータに、前記材料の分子に関する情報、前記材料の配合割合、及び、前記加硫条件の少なくとも一つについて、予め定められた制約条件を入力する工程をさらに含み、
    前記逆同定工程は、前記制約条件を満足するように、前記材料の分子に関する情報、前記材料の配合割合、及び、前記加硫条件の少なくとも一つを求める請求項12記載のゴム状弾性体の性能の予測方法。
  14. 前記コンピュータに、前記第2データの前記各ゴム状弾性体に対応する混練条件を含む第5データを入力する工程をさらに含み、
    前記近似応答関数を構築する工程は、前記コンピュータが、前記第1データと、前記第2データと、前記第3データと、前記第4データと、前記第5データとの関係を示す近似応答関数を構築する工程を含む請求項12又は13に記載のゴム状弾性体の性能の予測方法。
  15. 前記逆同定工程は、前記物性値を有する前記ゴム状弾性体に含まれる前記材料の分子に関する情報、前記物性値を有する前記ゴム状弾性体の前記材料の配合割合、前記物性値を有する前記ゴム状弾性体の加硫条件、及び、前記物性値を有する前記ゴム状弾性体の前記ポリマー組成物の混練条件の少なくとも一つを求める請求項14記載のゴム状弾性体の性能の予測方法。
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