JP7352079B2 - 物性データ予測方法及び物性データ予測装置 - Google Patents
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Description
従来より、複数のゴム材料、充填材、及びオイル等を試行錯誤により配合して加硫ゴム組成物を試作して物性データを実測することが行われている。このため、加硫ゴム組成物の配合情報と物性データの値とを紐付けたデータは多数蓄積されている。この蓄積データを活用して、コンピュータに機械学習させて、新たな原材料の配合で作製される加硫ゴム組成物の物性データの値を予測することができる。
複数の原材料を用いて作製された複数の加硫ゴム組成物に関する物性データの値と、前記加硫ゴム組成物における前記原材料それぞれの配合比率の情報と、前記加硫ゴム組成物の加工条件の情報と、の組みを複数組備えた第1オリジナルデータ内に、前記加硫ゴム組成物に関する前記物性データの値の組み合わせが異常である組みが有るか否かの判定をするステップと、
前記判定の結果に基づいて、前記複数組のうち前記物性データの値の組み合わせが異常と判定された組の、前記物性データの値と、前記加硫ゴム組成物における前記原材料それぞれの前記配合比率の情報と、前記加硫ゴム組成物の前記加工条件の情報を前記第1オリジナルデータから除去した修正オリジナルデータを作成し、作成した前記修正オリジナルデータ内の前記物性データの値を学習用出力データとし、前記修正オリジナルデータ内の前記加硫ゴム組成物における前記配合比率の情報と、前記加硫ゴム組成物の前記加工条件の情報と、を学習用入力データとした第1学習データを用いて、前記物性データと、前記配合比率及び前記加工条件との間の関係をコンピュータ内の第1予測モデルに機械学習をさせるステップと、
予測対象加硫ゴム組成物の加硫前の未加硫ゴム組成物を構成する構成原材料の配合比率の情報と、前記予測対象加硫ゴム組成物を作製するための加工における加工条件の情報と、を用いて、前記予測対象加硫ゴム組成物の物性データの値を前記第1予測モデルに予測させるステップと、を備える。
前記判定をするとき、前記第1オリジナルデータの前記物性データの値の組み合わせが前記ツリー構造のどの末端にあるノードに分類されるかにより、前記物性データの値の組み合わせが異常であるか否かの判定をする、ことが好ましい。
前記判定では、前記損失正接の値と前記貯蔵弾性率の値との組み合わせが異常であるか否かを少なくとも判定する、ことが好ましい。
前記判定では、前記破断強度の値と前記破断伸びの値との組み合わせが異常であるか否かを少なくとも判定する、ことが好ましい。
複数の原材料を用いて作製された複数の加硫ゴム組成物に関する物性データの値と、前記加硫ゴム組成物における前記原材料それぞれの配合比率の情報と、前記加硫ゴム組成物の加工条件の情報と、の組みを複数組備えた第1オリジナルデータの前記加硫ゴム組成物に関する前記物性データの値の組み合わせが異常であるか否かの判定をする判定部と、
前記判定の結果に基づいて、前記複数の組のうち、前記物性データの値の組み合わせが異常と判定された組の、前記物性データの値と、当該物性データの値に対応した前記加硫ゴム組成物における前記原材料それぞれの前記配合比率の情報と、当該物性データの値に対応した前記加硫ゴム組成物の前記加工条件の情報を、前記第1オリジナルデータから除去した修正オリジナルデータを作成し、さらに、作成した前記修正オリジナルデータ内の前記物性データの値を学習用出力データとし、前記修正オリジナルデータ内の前記加硫ゴム組成物における前記配合比率の情報と、前記加硫ゴム組成物の前記加工条件の情報と、を学習用入力データとした第1学習データを用いて、前記物性データと、前記配合比率及び前記加工条件との間の関係をコンピュータ内の第1予測モデルに第1機械学習をさせる機械学習部と、
予測対象加硫ゴム組成物の加硫前の未加硫ゴム組成物を構成する構成原材料の配合比率の情報と、前記予測対象加硫ゴム組成物を作製するための加工における加工条件の情報と、を用いて、前記予測対象加硫ゴム組成物の物性データの値を予測する前記第1予測モデルを備える予測部と、
を備える。
図1は、一実施形態の物性データ予測方法の一例のフローを示す図である。図2は、物性データ予測方法を行う一実施形態の物性データ予測装置の主な構成の一例を示す図である。物性データ予測装置100は、CPU102及びメモリ104を備えるコンピュータで構成される。物性データ予測装置100は、メモリ104に記憶するプログラムを読み出して起動することにより、機能を発揮する判定部106、機械学習部108、及び予測部110をソフトウェアモジュールとして少なくとも形成する。物性データ予測装置100は、図示されないディスプレイと接続され、さらに、マウス及びキーボードを含む入力操作デバイスと接続されている。
ムーニー粘度は、JIS K6300-1:2013に準拠して測定され、ムーニースコーチ時間は、JIS K6300-1:2013に準拠して、例えばL形ロータを使用し、試験温度125℃の条件で測定され、100%伸張時応力及び300%伸長時応力は、JIS K6251に準拠し、例えばJIS3号型ダンベル試験片を用いて、20℃、引張り速度500mm/分の条件で測定され、破断強度及び破断伸びは、JIS K6251に準拠して、例えば室温(20℃)で測定され、損失正接は、例えば60℃、周波数20Hz、初期歪み10%、動歪±2%の条件下、貯蔵弾性率は、例えば20℃、周波数20Hz、初期歪み10%、動歪±2%の条件下、JIS K6394に準拠して測定される。
予測モデル(第2予測モデル)が機械学習のために用いる第2オリジナルデータは、上記物性データ全ての値を含んでもよいし、上記物性データのいずれか2つ以上の値の組み合わせを含んでもよい。
また、一実施形態によれば、第1オリジナルデータ及び第2オリジナルデータに含まれる物性データは、破断強度及び破断伸びを少なくとも含み、判定部106が行う判定では、破断強度の値と破断伸びの値との組み合わせが異常であるか否かを判定する、ことが好ましい。破断強度の値と破断伸びの値は、比較的互いに連動して変化するので、破断強度の値と破断伸びの値との組み合わせが異常であるか否かの判別は比較的容易であり、判定結果は、高い確率で正しい情報に一致する。
タイヤに用いるトレッドゴムを加硫ゴム組成物として、上述の物性データ予測方法を行って、その効果を確認した。
トレッドゴムのオリジナルデータの配合比率は、ゴム原材料として、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、天然ゴムを少なくとも含むゴム原材料の配合比率、フィラー原材料として、比表面積が異なる50種類のカーボンブラック、及び、比表面積が異なる30種類のシリカを少なくとも含むフィラー原材料の配合比率、加硫促進剤として、20種類の加硫促進剤の配合比率、可塑剤としてオイルや樹脂を少なくとも含む200種類の可塑剤の配合比率を含んでいる。
オリジナルデータは、加硫ゴム組成物の配合比率及び加工条件の情報と物性データの値との組を30000セット含んでいる。
このオリジナルデータのうち、27000セットを第1オリジナルデータセットとし、3000セットを第2オリジナルデータセットとし、3000セットの物性データの値の組み合わせについて、事前に異常か否かを人の知見により判定して、異常あるいは正常の情報を付与した。
物性データは、周波数20Hzの損失正接(60℃)及び貯蔵弾性率(60℃)と、20℃における破断強度及び破断伸びと、を含み、さらに、デュロメータで測定されたゴム硬度(JIS K6253-3:2012に準拠、タイプA)を含む。
一方、従来例では、第1オリジナルデータをそのまま学習データとして、予測モデル(第1予測モデル)に与えて、配合比率及び加工条件の情報と物性データの値との関係を機械学習をさせた。
102 CPU
104 メモリ
106 判定部
108 機械学習部
110 予測部
Claims (9)
- 予め設定された複数の原材料を組み合わせて配合した未加硫ゴム組成物から作製される加硫ゴム組成物の物性データの値を、コンピュータに予測させる物性データ予測方法であって、
複数の原材料を用いて作製された複数の加硫ゴム組成物に関する物性データの値と、前記加硫ゴム組成物における前記原材料それぞれの配合比率の情報と、前記加硫ゴム組成物の加工条件の情報と、の組みを複数組備えた第1オリジナルデータ内に、前記加硫ゴム組成物に関する前記物性データの値の組み合わせが異常である組みが有るか否かの判定をするステップと、
前記判定の結果に基づいて、前記複数組のうち前記物性データの値の組み合わせが異常と判定された組の、前記物性データの値と、前記加硫ゴム組成物における前記原材料それぞれの前記配合比率の情報と、前記加硫ゴム組成物の前記加工条件の情報を前記第1オリジナルデータから除去した修正オリジナルデータを作成し、作成した前記修正オリジナルデータ内の前記物性データの値を学習用出力データとし、前記修正オリジナルデータ内の前記加硫ゴム組成物における前記配合比率の情報と、前記加硫ゴム組成物の前記加工条件の情報と、を学習用入力データとした第1学習データを用いて、前記物性データと、前記配合比率及び前記加工条件との間の関係をコンピュータ内の第1予測モデルに機械学習をさせるステップと、
予測対象加硫ゴム組成物の加硫前の未加硫ゴム組成物を構成する構成原材料の配合比率の情報と、前記予測対象加硫ゴム組成物を作製するための加工における加工条件の情報と、を用いて、前記予測対象加硫ゴム組成物の物性データの値を前記第1予測モデルに予測させるステップと、を備える
ことを特徴とする物性データ予測方法。 - 前記判定をするとき、前記加硫ゴム組成物に関する前記物性データの値と、前記加硫ゴム組成物に関する前記物性データの値の組み合わせが異常であるか否かの情報と、の組みを複数組備えた第2オリジナルデータを用いて事前に機械学習した第2予測モデルを用いて前記判定を行う、請求項1に記載の物性データ予測方法。
- 前記第2予測モデルは、前記第2オリジナルデータを用いて前記加硫ゴム組成物に関する前記物性データのツリー構造を構築したモデルであり、前記ツリー構造の末端にあるノードには、前記異常であるか否かの情報が付与され、
前記判定をするとき、前記第1オリジナルデータの前記物性データの値の組み合わせが前記ツリー構造のどの末端にあるノードに分類されるかにより、前記物性データの値の組み合わせが異常であるか否かの判定をする、請求項2に記載の物性データ予測方法。 - 前記ツリー構造の構築は、アイソレーションフォレスト法を用いて行われる、請求項3に記載の物性データ予測方法。
- 前記第2予測モデルは、前記第2オリジナルデータを用いて前記加硫ゴム組成物に関する前記物性データの値を学習用入力データとし、前記物性データの値に対応した前記第2オリジナルデータの前記物性データの値の組み合わせが異常であるか否かの情報を学習用出力データとして、前記物性データの値の組み合わせと前記物性データの値の組み合わせが異常であるか否かの情報との間の関係を機械学習したモデルである、請求項2に記載の物性データ予測方法。
- 前記第1オリジナルデータ及び前記第2オリジナルデータに含まれる前記物性データは、ムーニー粘度、ムーニースコーチ時間、100%伸張時応力、300%伸長時応力、破断強度、破断伸び、損失正接、及び貯蔵弾性率のうち少なくとも2つ以上を含む、請求項2~5のいずれか1項に記載の物性データ予測方法。
- 前記第1オリジナルデータ及び前記第2オリジナルデータに含まれる前記物性データは、損失正接及び貯蔵弾性率を少なくとも含み、
前記判定では、前記損失正接の値と前記貯蔵弾性率の値との組み合わせが異常であるか否かを少なくとも判定する、請求項2~6のいずれか1項に記載の物性データ予測方法。 - 前記物性データは、破断強度及び破断伸びを少なくとも含み、
前記判定では、前記破断強度の値と前記破断伸びの値との組み合わせが異常であるか否かを少なくとも判定する、請求項1~7のいずれか1項に記載の物性データ予測方法。 - 予め設定された複数の原材料を組み合わせて配合した未加硫ゴム組成物から作製される加硫ゴム組成物の物性データの値を予測する、コンピュータで構成された物性データ予測装置であって、
複数の原材料を用いて作製された複数の加硫ゴム組成物に関する物性データの値と、前記加硫ゴム組成物における前記原材料それぞれの配合比率の情報と、前記加硫ゴム組成物の加工条件の情報と、の組みを複数組備えた第1オリジナルデータの前記加硫ゴム組成物に関する前記物性データの値の組み合わせが異常であるか否かの判定をする判定部と、
前記判定の結果に基づいて、前記複数の組のうち、前記物性データの値の組み合わせが異常と判定された組の、前記物性データの値と、当該物性データの値に対応した前記加硫ゴム組成物における前記原材料それぞれの前記配合比率の情報と、当該物性データの値に対応した前記加硫ゴム組成物の前記加工条件の情報を、前記第1オリジナルデータから除去した修正オリジナルデータを作成し、さらに、作成した前記修正オリジナルデータ内の前記物性データの値を学習用出力データとし、前記修正オリジナルデータ内の前記加硫ゴム組成物における前記配合比率の情報と、前記加硫ゴム組成物の前記加工条件の情報と、を学習用入力データとした第1学習データを用いて、前記物性データと、前記配合比率及び前記加工条件との間の関係をコンピュータ内の第1予測モデルに第1機械学習をさせる機械学習部と、
予測対象加硫ゴム組成物の加硫前の未加硫ゴム組成物を構成する構成原材料の配合比率の情報と、前記予測対象加硫ゴム組成物を作製するための加工における加工条件の情報と、を用いて、前記予測対象加硫ゴム組成物の物性データの値を予測する前記第1予測モデルを備える予測部と、
を備えることを特徴とする物性データ予測装置。
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