JP2018145605A - 建具 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1に記載の複層ガラスでは、第1板ガラスとして、熱強化処理が施された熱強化板ガラスを採用している。また、第2板ガラスとして、熱強化板ガラスよりも耐火強度の低いフロート板ガラスを採用している。そして、当該複層ガラスでは、第1,第2板ガラス間に一次シール材を介してスペーサを介装することで第1,第2板ガラス間に中空層を設け、その外周縁部を二次シール材で密封している。
ここで、複層ガラスの外周縁部を支持する枠部材を金属材料で構成すると、第1板ガラスの熱が当該枠部材を介して第2板ガラスに伝達され易い構造となる。
一方、当該枠部材を樹脂材料で構成すると、第1,第2板ガラス間が枠部材にて断熱されるため、第1板ガラスの熱が第2板ガラスに伝達され難い構造となる。このため、上記の場合には、第2板ガラスは、中空層を介して主に中央部分が温度上昇する。すなわち、第2板ガラスには、中央部分と外周縁部分との間に温度差が生じる。そして、第2板ガラスを切断して製造したときにエッジ部にクラックが残っていると、当該温度差によって生じる応力が当該クラックに集中し、第2板ガラスに熱割れが生じる場合がある。当該熱割れが生じた場合には、高温になった一次シール材から発生した可燃性ガスへの引火や、当該一次シール材自体の燃焼が引き起こされ、非加熱面側に延焼する虞がある。
すなわち、枠部材を樹脂材料で構成すると、上記の場合において、防火性能を十分に確保することができない、という問題がある。
ここで、防火性能を十分に確保するために、複層ガラスを構成する第1,第2板ガラスを耐火強度の高い熱強化板ガラス等でそれぞれ構成することが考えられる。しかしながら、第1,第2板ガラスの双方を耐火強度の高い板ガラスで構成した場合には、複層ガラスの低コスト化を阻害する、という問題がある。
本発明では、枠部材により外周縁部が支持される面材(複層ガラス)は、第1板ガラスと、当該第1板ガラスよりも耐火強度の低い第2板ガラスとを備える。そして、第2板ガラスには、外周縁部の少なくとも一部におけるエッジ部にエッジ処理が施されている。すなわち、当該エッジ処理により、第2板ガラスにおいて、外周縁部のエッジ部に存在しているクラックを除去する(若しくは埋める)ことができ、熱割れが生じ易い当該外周縁部の少なくとも一部の許容応力(強度)を高めることができる。このため、第1板ガラスが配設される側の空間で火災が発生し、第1板ガラスが高温になった場合において、第2板ガラスの熱割れを抑制することができる。また、第2板ガラスとして、第1板ガラスよりも耐火強度の低い板ガラスを採用しているため、面材(複層ガラス)及び建具の低コスト化を図ることができる。
したがって、本発明に係る建具によれば、防火性能を十分に確保しつつ、低コスト化を図ることができる、という効果を奏する。
ところで、火災等により枠部材が加熱されて溶融した場合には、面材及び補強材の間に貫通孔が形成される虞がある。このように貫通孔が形成された場合には、当該貫通孔を介して、室内外を火炎が貫通することなる。
本発明では、面材及び補強材の間には、上述した熱膨張性部材が設けられている。このため、熱膨張性部材が加熱により膨張することで、面材及び補強材の隙間を当該熱膨張性部材にて閉塞し、当該面材及び補強材の間に貫通孔が形成され難い防火構造を実現することができる。
本発明では、第1支持部に設けられた第2中空部の内部には、上述した熱膨張性部材が設けられている。このため、熱膨張性部材が加熱により膨張することで、面材及び補強材の隙間を当該熱膨張性部材にて閉塞し、当該面材及び補強材の間に貫通孔が形成され難い防火構造を実現することができる。
本発明では、第2板ガラスに対して熱強化(物理強化)することなく面取りする(エッジ部に存在しているクラックを除去する)ことのみで外周縁部の少なくとも一部の許容応力を高めて熱割れを抑制している。このため、低コストで防火性能を向上させることができる。
本発明では、第2板ガラスに対して熱強化することなくコーティングする(エッジ部に存在しているクラックをコーティング材にて埋める)ことのみで外周縁部の少なくとも一部の許容応力を高めて熱割れを抑制している。このため、低コストで防火性能を向上させることができる。
ところで、火炎や熱は、建具の表面に沿って上方に進行する傾向にある。このため、第1板ガラスが配設される側の空間で火災が発生し、第1板ガラスが高温になった場合には、第2板ガラスにおいて、中央部分と下縁部との温度差が比較的に高くなる。すなわち、当該温度差により生じる熱割れは、第2板ガラスの下縁部から生じ易い。
本発明では、第2板ガラスには、下縁部におけるエッジ部にエッジ処理が施されている。このため、熱割れが生じ易い下縁部の許容応力を高め、第1板ガラスが配設される側の空間で火災が発生し、第1板ガラスが高温になった場合において、第2板ガラスの熱割れを抑制することができる。
ところで、外障子及び内障子を備える上げ下げ窓や引違い窓において、外障子及び内障子の各召合せ框は、見込み方向に重なっている。すなわち、当該召合せ部分は、熱が入り難い部分となる。このため、第1板ガラスが配設される側の空間で火災が発生し、第1板ガラスが高温になった場合には、第2板ガラスにおいて、中央部分と召合せ側の縁部との温度差が比較的に高くなる。すなわち、当該温度差により生じる熱割れは、第2板ガラスの召合せ側の縁部から生じ易い。
本発明では、第2板ガラスには、召合せ側の縁部におけるエッジ部にエッジ処理が施されている。このため、熱割れが生じ易い召合せ側の縁部の許容応力を高め、第1板ガラスが配設される側の空間で火災が発生し、第1板ガラスが高温になった場合において、第2板ガラスの熱割れを抑制することができる。
ところで、室外側で火災が発生した場合には、外障子及び内障子の各召合せ框が見込み方向に重なっているため、内障子の召合せ框に熱が伝わり難い。すなわち、内障子の第2板ガラスにおいて、中央部分と召合せ側の縁部との温度差が比較的に高くなる。このため、室外側で火災が発生した場合には、外障子と内障子とを比較すると、内障子の第2板ガラスの方が当該温度差による熱割れが生じ易い。
本発明では、外障子と内障子とのうち当該内障子の第2板ガラスにのみ、外周縁部の召合せ側の縁部におけるエッジ部にエッジ処理が施されている。このため、防火性能を十分に確保しつつ、効果的に低コスト化を図ることができる。
本発明によれば、第2板ガラスを低コストのフロート板ガラスで構成することにより、面材及び建具の低コスト化をさらに図ることができる。
本発明では、第1板ガラスを最も室外側に配設することにより、室外側で火災が発生した場合に、室内側に延焼することを抑制することができる。
〔建具の概略構成〕
図1は、本実施の形態1に係る建具1を室内側から見た図である。図2は、建具1の要部拡大縦断面図である。
なお、以下で記載する「見込み方向」は、図2の矢印Arで示すように、建具1の奥行きに沿った方向である。見込み方向に沿った平面については、見込み面と称し、見込み方向に直交する平面については、見付け面と称する。
建具1は、引違い窓で構成され、窓枠2と、内障子3と、外障子4とを備える。
窓枠2は、上枠21、下枠22、図1中、左側に位置する左縦枠23、及び図1中、右側に位置する右縦枠24を四周枠組みすることによって構成され、建物の開口部Opの縁部に沿うように取り付けられる。
これら各部材21〜24は、塩化ビニル樹脂(PVC)等の樹脂材料から構成された押し出し形材であり、全長に亘って略一様な断面形状を有する。
面材5は、複層ガラスで構成されている。
框体6は、本発明に係る枠部材に相当する部分であり、上框61、下框62、戸先框63、及び召合せ框64を框組みすることにより構成され、内部で面材5を保持する。
本実施の形態1では、これら各部材61〜64は、塩化ビニル樹脂(PVC)等の樹脂材料から構成された押し出し形材であり、全長に亘って略一様な断面形状を有する。
なお、本発明の要部である面材5及び框体6の詳細な構成については後述する。
次に、框体6の構成について説明する。
なお、内障子3における上框61、下框62、戸先框63、及び召合せ框64、並びに、外障子4における上框61、下框62、戸先框63、及び召合せ框(図示略)は、略同様の構成を有する。このため、以下では、内障子3における上框61、下框62、戸先框63、及び召合せ框64、外障子4における上框61、下框62、戸先框63、及び召合せ框(図示略)のうち、内障子3の下框62の構成を主に説明し、その他の構成については説明を省略する。
ここで、以下に記載する「内周側」は、窓枠2の内周側であって、下框62では「上方側」を意味する。また、以下に記載する「外周側」は、窓枠2の外周側であって、下框62では「下方側」を意味する。
下框62は、基体65と、第1ヒレ部66と、一対の第2ヒレ部67とを備える。
基体65は、下框62の長手方向に沿って延在する角筒形状を有し、見込み方向に沿って並ぶ第1中空部651及び端中空部652を備える。また、基体65において、内周側(上方側)の見込み面の室外側には、外周側(下方側)に窪む押縁係合溝653が形成されている。そして、押縁係合溝653には、塩化ビニル樹脂(PVC)等の樹脂材料から構成された押縁654が取り付けられる。
第1ヒレ部66は、基体65において、内周側の見込み面の室内側の縁部から内周側に突出した部分であり、第2中空部661を備える。
そして、一対の第2ヒレ部67と基体65における外周側の見込み面とで形成される断面視U字状の溝部Gr2には、下枠22に設けられた一対のレール221,222(図2)のうち、室内側に位置するレール221の一部が挿入される。当該レール221は、スチールまたはステンレス等の金属材料から構成され、基体65に取り付けられた戸車部68に当接し、内障子3を図1中、左右方向に移動可能に支持する。
この補強材60は、下框62の長手方向に沿って延在し、下框62を補強する部材である。この補強材60は、基部601と、第1,第2延在部602,603とを備え、断面視U字形状を有する。
基部601は、下框62の全長と略同一の全長を有する板体で構成され、基体65における内周側の見込み面を構成する内周側見込み壁部に対向する姿勢で、当該見込み壁部に対して、ネジSc1(図2)により固定される。そして、基部601の両端側は、連結金具(図示略)を介して、戸先框63及び召合せ框64の内部にそれぞれ設けられた不燃性または難燃性の補強材(図示略)にそれぞれ連結される。
第1延在部602は、基部601における室外側の端部から外周側に屈曲して延在した部分である。この第1延在部602において、室内側及び室外側に臨む面には、加熱されることで膨張する熱膨張性部材604(図2)が当該第1延在部602の略全長に亘ってそれぞれ設けられている。
第2延在部603は、第1延在部602における外周側の端部から室内側に屈曲して延在した部分であり、基体65における外周側の見込み面を構成する外周側見込み壁部に対向する。
次に、面材5の構成について説明する。
図4は、面材5の縦断面図である。
面材5は、同じ大きさで矩形形状を有し、互いに間隔を隔てて対向する第1,第2板ガラス51,52を備える。また、第1,第2板ガラス51,52の周縁部の間には、一次シール材(図示略)を介してスペーサ53が介装されている。さらに、面材5の外周縁部分には、第1,第2板ガラス51,52間を閉塞するように、二次シール材54が設けられている。すなわち、第1,第2板ガラス51,52及びスペーサ53で囲まれる空間は、断熱空間として機能する。
なお、スペーサ53としては、アルミニウム等の金属材料で構成してもよく、塩化ビニル樹脂(PVC)等の樹脂材料で構成してもよく、あるいは、樹脂材料及び金属材料で構成しても構わない。
なお、第1板ガラス51としては、網入りガラスに限らず、耐熱強化ガラスや耐熱結晶化ガラス等の防火ガラスを採用しても構わない。また、第2板ガラス52としては、第1板ガラス51よりも耐火強度の低い板ガラスであれば、その他の板ガラスを採用しても構わない。
図5Aは、第2板ガラス52に施される面取り処理を説明する図である。図5Bは、図5Aの面取り処理が施された第2板ガラス52の外周縁部521の形状を示す図である。
第2板ガラス52における外周縁部521のエッジ部には、図5Aに示すように、ペンシルダイヤ方式により面取り処理が施される。
具体的に、研削装置100は、円板形状を有し、当該円板の中心軸を回転軸として回転可能に構成されている。そして、研削装置100の外周縁は、研磨剤としてダイヤモンドが用いられた研削面101として機能する。この研削面101は、回転軸に向けて窪み、その断面が所定の曲率半径の円弧状に形成されている。
そして、作業者は、研削装置100を回転させた状態で、第2板ガラス52の外周縁部521を研削面101にあてがい、当該第2板ガラス52を外周縁部521の4辺に沿ってそれぞれ移動し、当該4辺を研削する。これにより、第2板ガラス52における外周縁部521の4辺は、図5Bに示すように、それぞれR形状となる。
本実施の形態1では、上述した面取り処理により、外周縁部521の許容応力(エッジ強度)は、以下に示すように、40[MPa]以上に設定されている。
図6は、建具1の室外側から加熱した場合での第2板ガラス52における中央位置P1と外周縁部521のエッジ位置P2との温度差(外周縁部521の温度[℃]−中央位置P1の温度[℃])の時間変化を示す図である。
建具1の室外側から加熱した場合には、第2板ガラス52において、中央位置P1(図1)の温度[℃]は、外周縁部521のエッジ部P2(図2)の温度[℃]よりも高くなる。そして、中央位置P1(図1)と外周縁部521のエッジ位置P2(図1)との温度差は、図6に示すように、徐々に拡がっていく。15分程度、加熱した場合には、当該温度差は、加熱開始から14分頃に最も拡がった温度差(−58[℃])となる。すなわち、外周縁部521の許容応力として、当該最も拡がった温度差によって外周縁部521に作用する引張応力を超える値に設定しておけば、第2板ガラス52の熱割れを抑制することができる。
〔数1〕
σ=α・ΔT・E
そして、温度差ΔTとして、上述した最も拡がった温度差(−58[℃])の絶対値を式(1)に代入すると、外周縁部521に生じる応力σは、35.3[MPa]となる。これにより、本実施の形態1では、上述した面取り処理により、外周縁部521の許容応力を40[MPa]以上に設定している。
本実施の形態1に係る建具1では、面材5は、第1板ガラス51と、当該第1板ガラス51よりも耐火強度の低い第2板ガラス52とを備える。そして、第2板ガラス52には、外周縁部521におけるエッジ部に面取り処理が施されている。すなわち、当該面取り処理により、第2板ガラス52において、外周縁部521のエッジ部に存在しているクラックを除去することができ、熱割れが生じ易い当該外周縁部521の許容応力(強度)を高めることができる。このため、第1板ガラス51が配設される側の空間で火災が発生し、第1板ガラス51が高温になった場合において、第2板ガラス52の熱割れを抑制することができる。また、第2板ガラス52として、第1板ガラス51よりも耐火強度の低い板ガラスを採用しているため、面材5及び建具1の低コスト化を図ることができる。
したがって、本実施の形態1に係る建具1によれば、防火性能を十分に確保しつつ、低コスト化を図ることができる、という効果を奏する。
また、本実施の形態1に係る建具1では、第2中空部661の内部には、熱膨張性部材69が設けられている。このため、熱膨張性部材69が加熱により膨張することで、図7に示すように、面材5及び補強材60の隙間に当該熱膨張性部材69が入り込み、当該隙間を当該熱膨張性部材69にて閉塞することができる。すなわち、面材5及び補強材60の間に貫通孔が形成され難い防火構造を実現することができる。
また、本実施の形態1に係る建具1では、第2板ガラス52は、フロート板ガラスで構成されている。すなわち、第2板ガラス52を低コストのフロート板ガラスで構成することにより、面材5及び建具1の低コスト化をさらに図ることができる。
また、本実施の形態1に係る建具1では、第1板ガラス51は、第2板ガラス52に対して室外側に配設される。すなわち、第1板ガラス51を室外側に配設することにより、室外側で火災が発生した場合に、室内側に延焼することを抑制することができる。
図8A及び図8Bは、本実施の形態1の変形例1−1,1−2を示す図である。
上述した実施の形態1において、熱膨張性部材69の配設位置としては、上述した実施の形態1で説明した配設位置に限らず、図8A及び図8Bに示すように、面材5の端面と基部601との間に配設した構成を採用しても構わない。
具体的に、図8Aに示した変形例1−1では、熱膨張性部材69は、溝部Gr1に配設されている。また、図8Bに示した変形例1−2では、熱膨張性部材69は、第1中空部651の内部に配設されている。
変形例1−1,1−2のいずれの場合であっても、上述した実施の形態1(図7)と同様に、熱膨張性部材69が加熱により膨張することで、面材5及び補強材60の隙間を当該熱膨張性部材69にて閉塞し、当該面材5及び補強材60の間に貫通孔が形成され難い防火構造を実現することができる。
次に、本発明の実施の形態2について説明する。
以下の説明では、実施の形態1と同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略または簡略化する。
図9は、本実施の形態2に係る建具1Aを室内側から見た図である。
上述した実施の形態1では、建具1は、引違い窓で構成されていた。
これに対して本実施の形態2では、建具1Aは、FIX窓で構成されている。
窓枠8は、本発明に係る枠部材に相当する部分であり、上枠81、下枠82、図1中、左側に位置する左縦枠83、及び図1中、右側に位置する右縦枠84を四周枠組みすることによって構成され、建物の開口部Opの縁部に沿うように取り付けられる。
これら各部材81〜84は、塩化ビニル樹脂(PVC)等の樹脂材料から構成された押し出し形材であり、全長に亘って略一様な断面形状を有する。
図10は、建具1Aの要部拡大縦断面図である。
ここで、以下に記載する「内周側」は、窓枠8の内周側であって、下枠82では「上方側」を意味する。また、以下に記載する「外周側」は、窓枠8の外周側であって、下枠82では「下方側」を意味する。
下枠82は、基体85と、室内側ヒレ部86と、室外側ヒレ部87とを備える。
基体85は、下枠82の長手方向に沿って延在する角筒形状を有し、見込み方向に沿って並ぶ第1中空部851及び端中空部852を備える。また、基体85において、内周側(上方側)の見込み面の室外側には、外周側(下方側)に窪む押縁係合溝853が形成されている。そして、押縁係合溝853には、塩化ビニル樹脂(PVC)等の樹脂材料から構成された押縁854が取り付けられる。
室内側ヒレ部86は、基体85において、内周側の見込み面の室内側の縁部から内周側に突出した部分であり、外周側から内周側に順に並ぶ第2,第3中空部861,862を備える。
室外側ヒレ部87は、基体85において、室外側の見付け面の外周側から室外側に突出した部分である。
脱落防止具88は、互いに略直交する第1,第2片部881,882を有する断面L字状に形成された金属製のピース材であり、下枠82の長手方向において複数個所、例えば二か所に配設されている。そして、脱落防止具88は、第1片部881が基体85における内周側の見込み面に対向し、第2片部882の先端部分が第1板ガラス51に対向する姿勢で、溝部Gr3に配設される。また、脱落防止具88は、ネジ(図示略)により、基体85における内周側の見込み面を構成する内周側見込み壁部を介して、後述する補強材80に固定される。
ガラスブロック89は、下枠82の長手方向において、脱落防止具88と異なる複数個所、例えば二か所に配設される。このガラスブロック89上には、面材5の下方側の端面が載置される。
この補強材80は、下枠82の長手方向に沿って延在し、下枠82を補強する部材である。この補強材80は、基部801と、第1,第2延在部802,803とを備え、断面視略U字形状を有する。
基部801は、下枠82の全長と略同一の全長を有する板体で構成され、基体85における内周側の見込み面を構成する内周側見込み壁部に対向する姿勢で、当該見込み壁部に対して、ネジ(図示略)により固定される。そして、基部801の両端側は、連結金具(図示略)を介して、左縦枠83及び右縦枠84の内部にそれぞれ設けられた不燃性または難燃性の補強材(図示略)にそれぞれ連結される。
また、基部801において、内周側の面には、加熱されることで膨張する一対の熱膨張性部材90が見込み方向に沿って並び、当該基部801の略全長に亘ってそれぞれ設けられている。
第2延在部803は、基部801における室内側から外周側に屈曲して延在した部分である。
図11は、本実施の形態2の効果を説明する図である。なお、図11は、図10に対応し、熱膨張性部材90,91が加熱されることで膨張した状態を示している。また、図11では、熱膨張性部材90,91の膨張した部分をドットで示している。
本実施の形態2に係る建具1Aでは、面材5の端面と基部801との間であって、第1中空部851の内部には、一対の熱膨張性部材90が設けられている。このため、一対の熱膨張性部材90が加熱により膨張することで、図11に示すように、脱落防止具88及びガラスブロック89の間を介して、面材5及び補強材80の隙間に当該熱膨張性部材90が入り込み、当該隙間を当該熱膨張性部材90にて閉塞することができる。すなわち、上述した実施の形態1と同様に、面材5及び補強材80の間に貫通孔が形成され難い防火構造を実現することができる。
図12A及び図12Bは、本実施の形態2の変形例2−1,2−2を示す図である。
上述した実施の形態2において、熱膨張性部材90の配設位置としては、上述した実施の形態2で説明した配設位置に限らない。例えば、図12Aに示した変形例2−1では、面材5の端面と基部801との間であって、溝部Gr3に熱膨張性部材90を配設している。また、図12Bに示した変形例2−2では、第2中空部861の内部に熱膨張性部材90を配設している。
変形例2−1,2−2のいずれの場合であっても、上述した実施の形態2(図11)と同様に、熱膨張性部材90が加熱により膨張することで、面材5及び補強材80の隙間を当該熱膨張性部材90にて閉塞し、当該面材5及び補強材80の間に貫通孔が形成され難い防火構造を実現することができる。
ここまで、本発明を実施するための形態を説明してきたが、本発明は上述した実施の形態1,2及びこれらの変形例1−1,1−2,2−1,2−2によってのみ限定されるべきものではない。
図13は、本実施の形態1,2の変形例を示す図である。
上述した実施の形態1,2及びこれらの変形例1−1,1−2,2−1,2−2では、面材5は、第1,第2板ガラス51,52の2枚の板ガラスのみを備えた構成としていたが、これに限らず、第1,第2板ガラス51,52以外の板ガラスをさらに備えた構成を採用しても構わない。
例えば、図13に示すように、第1,第2板ガラス51,52の間に、スペーサ53及び二次シール材54を介在させつつ、第3板ガラス55を設けた構成を採用しても構わない。なお、第3板ガラス55としては、例えば、フロート板ガラスを例示することができる。この際、第3板ガラス55としては、第2板ガラス52と同様に面取り処理(エッジ処理)を施してもよいし、当該面取り処理(エッジ処理)を施さなくてもよい。
火炎や熱は、建具1の表面に沿って上方に進行する傾向にある。すなわち、第1板ガラス51が配設される側の空間で火災が発生し、第1板ガラス51が高温になった場合には、第2板ガラス52において、中央部分と下縁部523との温度差が比較的に高くなる。このため、少なくとも下縁部523に面取り処理(エッジ処理)が施されていればよい。
図14は、本実施の形態1の変形例を示す図である。なお、図14は、召合せ部分の横断面図である。また、図14に示した召合せ框64において、下框62と同様の構成には同一の符号を付している。また、召合せ部分では、内障子3及び外障子4の各召合せ框64は、見込み方向に重なっている。このため、室外側で火災が発生した場合には、内障子3の召合せ框64に熱が伝わり難いものとなる。すなわち、内障子3の第2板ガラス52において、中央部分と召合せ側縁部525との温度差が比較的に高くなる。このため、室外側で火災が発生した場合には、内障子3と外障子4とを比較すると、内障子3の第2板ガラス52の方が当該温度差による熱割れが生じ易い。したがって、内障子3と外障子4とのうち内障子3の第2板ガラス52にのみ、少なくとも召合せ側縁部525に面取り処理(エッジ処理)が施されていればよい。
以上のように、下縁部523や、内障子3の第2板ガラス52における召合せ側縁部525にのみ面取り処理(エッジ処理)を施すことにより、防火性能を十分に確保しつつ、効果的に低コスト化を図ることができる。
また、室内側での火災を想定した場合には、上記とは逆に第1板ガラス51を第2板ガラス52に対して室内側に配設するとともに、内障子3と外障子4とのうち外障子4の第2板ガラス52にのみ、少なくとも召合せ側縁部525に面取り処理(エッジ処理)を施しても構わない。
上述した実施の形態1,2及びこれらの変形例1−1,1−2,2−1,2−2では、第2板ガラス52に施す面取り処理として、ペンシルダイヤ方式の面取り処理を採用していたが、これに限らず、図15Aに示すように、カップダイヤ方式の面取り処理を採用しても構わない。
具体的に、研削装置200は、有底円筒形状を有し、当該円筒の中心軸を回転軸として回転可能に構成されている。そして、研削装置200における開口側の端部は、研磨材としてダイヤモンドが用いられた研削面201として機能する。この研削装置200は、同一の構成を有する第1,第2研削装置200a,200bの2つで構成されている。ここで、第1研削装置200aは、回転軸が鉛直軸に平行となり、研削面201が上方に向く姿勢で配置されている。また、第2研削装置200bは、回転軸が鉛直軸に対して45°で交差し、研削面201が上方に向く姿勢で配置されている。
そして、作業者は、第1,第2研削装置200a,200bを回転させた状態で、第2板ガラス52の外周縁部521を第1,第2研削装置200a,200bの各研削面201にあてがい、当該第2板ガラス52を第1,第2研削装置200a,200bの並設された方向に移動し、当該外周縁部521の4辺をそれぞれ研削する。これにより、第2板ガラス52における外周縁部521の4辺は、図15Bに示すように、それぞれ糸面形状となる。
ここで、第2板ガラス52において、カップダイヤ方式の面取り処理を施した後の外周縁部521の許容応力は、上述した実施の形態1,2及びこれらの変形例1−1,1−2,2−1,2−2と同様に、40[MPa]以上に設定される。
ここで、コーティング材としては、エポキシ等の接着剤、二次シール材54、コーティング用のシリコーン樹脂、あるいは、熱反射膜、反射防止膜、光触媒、及びLow−E膜等の機能性の膜を例示することができる。このようにエッジコーティング処理を採用した場合には、外周縁部521に存在するクラックをコーティング材にて埋めることができ、外周縁部521の許容応力を高めることができる。
Claims (10)
- 枠部材で面材の外周縁部を支持した建具であって、
前記枠部材は、
樹脂材料から構成され、
前記面材は、
互いに間隔を隔てて対向する複数枚の板ガラスを有する複層ガラスであり、
前記複数枚の板ガラスは、
当該複層ガラスにおける一方の最外面を構成する第1板ガラスと、
前記第1板ガラスよりも耐火強度の低い第2板ガラスとを含み、
前記第2板ガラスには、
外周縁部の少なくとも一部におけるエッジ部にエッジ処理が施されている
ことを特徴とする建具。 - 前記枠部材は、
前記面材の端面に対向する第1中空部を有する基体と、
前記基体から突出し、前記面材と見込み方向に対向する第1支持部と、
前記基体から突出し、前記面材を挟んで前記第1支持部と見込み方向に対向する第2支持部とを備え、
前記第1中空部の内部には、
不燃性または難燃性の補強材が設けられ、
前記面材及び前記補強材の間には、
加熱されることで膨張する熱膨張性部材が設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の建具。 - 前記枠部材は、
前記面材の端面に対向する第1中空部を有する基体と、
前記基体から突出し、前記面材と見込み方向に対向する第1支持部と、
前記基体から突出し、前記面材を挟んで前記第1支持部と見込み方向に対向する第2支持部とを備え、
前記第1中空部の内部には、
不燃性または難燃性の補強材が設けられ、
前記第1支持部は、
前記面材の端面と前記基体との間の空間に対向する第2中空部を有し、
前記第2中空部の内部には、
加熱されることで膨張する熱膨張性部材が設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の建具。 - 前記エッジ処理は、
面取り処理である
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の建具。 - 前記エッジ処理は、
エッジコーティング処理である
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の建具。 - 前記第2板ガラスには、
外周縁部の下縁部におけるエッジ部に前記エッジ処理が施されている
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の建具。 - 建物の開口部の縁部に沿って設けられた窓枠と、
前記窓枠内に配置され、前記枠部材及び前記面材をそれぞれ有する外障子と、
前記窓枠内において、前記外障子に対して室内側に配置され、前記枠部材及び前記面材をそれぞれ有する内障子とを備え、
前記第2板ガラスには、
外周縁部の召合せ側の縁部におけるエッジ部に前記エッジ処理が施されている
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の建具。 - 前記外障子と前記内障子とのうち当該内障子の前記第2板ガラスにのみ、外周縁部の召合せ側の縁部におけるエッジ部に前記エッジ処理が施されている
ことを特徴とする請求項7に記載の建具。 - 前記第2板ガラスは、
フロート板ガラスである
ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の建具。 - 前記第1板ガラスは、
前記複数枚の板ガラスのうち、最も室外側に配設されている
ことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載の建具。
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