JP2018145554A - 合成紙、合成紙を含むラベル、およびラベルを貼合した容器 - Google Patents

合成紙、合成紙を含むラベル、およびラベルを貼合した容器 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、紙風合いを再現し、煩雑な表面処理なしに印刷適性や筆記性を改善したポリオレフィン系合成紙を提供することにある。本発明の別の目的は、ポリオレフィン系合成紙の有する接着性を維持しながらも、印刷適性や筆記性を改善したラベル、および当該ラベルを貼合した容器を提供することにある。【解決手段】本発明は、ポリオレフィン系合成パルプ(A)と、バインダー繊維(B)と、粒子(C)とを含む合成紙である。更に本発明は、合成紙を含むラベル、およびラベルを貼合した容器にも関する。【選択図】なし

Description

本発明は、合成紙、合成紙を含むラベル、およびラベルを貼合した容器に関する。
合成樹脂を含む合成紙は、包装材料、地図、ポスター、包材、乾燥袋、高強度封筒、荷札、ラベル、酸素富化膜支持体、滅菌紙、ハウスラッピング、外壁と断熱材の間に使用されるハウスラップ等広く用いられている。
合成紙の製造方法には、合成樹脂を押出成型したフィルムと紙を貼り合わせた「内部紙化方式」、プラスチックフィルムの表面にピグメント塗工層を設けた「表面塗工方式」、プラスチックフィルムの表面を化学的もしくは物理的に処理した「表面処理方式」等がある。また、合成樹脂を繊維状に加工した合成パルプを天然パルプの代わりに用い、バインダーで抄紙した「合成パルプ紙」、合成樹脂を溶解し、ノズルから噴射して合成繊維と同じように紡糸したエンドレス繊維をランダムに並べ、部分的に熱接着させて繊維間結合を持たせた「スパンボンド紙」等がある。いずれの合成紙においても、安価なポリオレフィンを原料として用いたもの、即ち、ポリオレフィン系合成紙が代表的である。
ポリオレフィン系合成紙の用途としては、例えば、特許文献1に記載のインモールドラベル用フィルムが挙げられる。インモールドラベルとは、樹脂製容器の成形と同時に容器に貼合させるラベルであり、ラベル用のフィルムには、製造時に絵柄を設けるための印刷適性や、ラベルの使用者が情報を書き込むための筆記性が求められている。また、ラベルを貼合する容器によっては、ラベルに紙と同様の風合いが求められることもある。
ポリオレフィン系合成紙は、その原料であるポリオレフィンが無極性であることが多いため、オフセット印刷、グラビア印刷、凸版印刷、フレキソ印刷等に対する印刷適性や、溶融熱転写プリンターや昇華熱転写プリンター等に対するプリンター適性において、必ずしも満足すべきものでない。そのため、合成紙の表面特性の改質を目的とした表面処理方法が知られている。例えば、特許文献2には、熱可塑性樹脂フィルムの表面を酸化処理した後、表面改質剤を塗布し、次いで延伸するという表面処理方法が開示されている。
特開2005−41012号公報 特開2003−73490号公報
特許文献1に開示されているインモールドラベル用フィルムは、ポリオレフィン系合成パルプを含む合成紙ではあるが、その表面外観は平滑なフィルム状であり、紙と同様の風合いや筆記性を再現したものではなかった。
また、特許文献2に記載の表面処理方法によって得られるフィルムは、その印刷適性やプリンター適性が改善されているものの、紙風合いや筆記性を再現したものではなかった。
本発明は、上記問題に鑑みて成されたものであり、紙風合いを再現し、煩雑な表面処理なしに印刷適性や筆記性を改善したポリオレフィン系合成紙を提供することを目的とする。また、本発明は、ポリオレフィン系合成紙の有する接着性を維持しながらも、紙風合いを再現し、印刷適性や筆記性を改善したラベル、および当該ラベルを貼合した容器を提供することも、その目的とする。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、特定の合成パルプ、バインダー繊維、および特定の粒子を組み合わせることにより、紙風合いを再現し、印刷適性や筆記性を改善したポリオレフィン系合成紙が得られることを見出した。また、このような合成紙をラベルの原紙として使用すると、ポリオレフィン系合成紙の有する接着性を維持しながらも、紙風合いを再現し、印刷適性や筆記性を改善したラベルが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の第一の態様は、以下の合成紙である。
[1] カナディアン標準濾水度が、100ml以上520ml以下であるポリオレフィン系合成パルプ(A)と、
バインダー繊維(B)と、
平均粒子径が10μm以上150μm以下であり、且つ比重が1.5以上10以下である粒子(C)と
を含む合成紙であって、
前記ポリオレフィン系合成パルプ(A)、前記バインダー繊維(B)、および前記粒子(C)の合計質量に対する前記粒子(C)の割合が、10質量%以上60質量%以下である合成紙。
[2] 前記バインダー繊維(B)が、融点が70℃以上130℃以下の繊維を含む、[1]に記載の合成紙。
[3] 前記バインダー繊維(B)が、ポリエチレン系繊維、低融点ポリエステル繊維、アクリル系繊維、ポリエチレン/ポリプロピレン複合繊維、ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート複合繊維、およびポリエステル複合繊維からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、[1]または[2]に記載の合成紙。
[4] 前記粒子(C)が、ゼオライト、炭酸カルシウム、二酸化チタン、二酸化ケイ素、硫酸バリウム、酸化アルミニウム、カオリン、タルク、および酸化銅からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、[1]〜[3]のいずれかに記載の合成紙。
[5] 前記合成紙中のポリオレフィン合成パルプ(A)と粒子(C)との質量比である(ポリオレフィン合成パルプ(A)の質量)/(粒子(C)の質量)の値が、0.5以上9未満である、[1]〜[4]のいずれかに記載の合成紙。
[6] 前記合成紙中の前記粒子(C)の質量に対して、1質量%以上100質量%以下の水酸基を有する水溶性高分子(D)をさらに含む、[1]〜[5]のいずれかに記載の合成紙。
本発明の第二の態様は、以下のラベルである。
[7] [1]〜[6]のいずれかに記載の合成紙を含む、ラベル。
本発明の第三の態様は、以下の容器である。
[8] [7]のラベルを貼合した容器。
本発明によれば、紙風合いを再現し、表面処理なしに印刷適性や筆記性を改善したポリオレフィン系合成紙が提供される。また、ポリオレフィン系合成紙の有する接着性を維持しながらも、紙風合いを再現し、印刷適性や筆記性を改善したラベル、および当該ラベルを貼合した容器が提供される。
1.合成紙
本発明の合成紙は、上述した特定のポリオレフィン系合成パルプ(A)と、バインダー繊維(B)と、特定の粒子(C)とを含む、粒子含有合成パルプ法合成紙である(以下、粒子含有合成パルプ法合成紙を単に合成紙とも言う)。本願において「合成パルプ法合成紙」とは、合成パルプを含み、且つ天然繊維を含まない合成紙を意味する。また、「粒子含有合成パルプ法合成紙」とは、前記「合成パルプ法合成紙」の合成パルプ以外の成分として、少なくとも5%の粒子を含むことを特徴とする合成紙を意味する。
(ポリオレフィン系合成パルプ(A))
本発明で使用するポリオレフィン系合成パルプとは、オレフィンの単独重合体、またはエチレンと他のα−オレフィンとの共重合体を主成分とするパルプである。主成分となるポリオレフィン単量体または共重合体の炭素数は2〜10が好ましい。具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィンの単独重合体を主成分とする合成パルプ、エチレン−プロピレン共重合体、エチレンーブテン−1共重合体、エチレン−4−メチルペンテン−1共重合体などの共重合体を主成分とする合成パルプが挙げられる。ポリオレフィン系合成パルプは比較的安価であることから、合成紙の原料として好適に用いられる。また、ポリオレフィン系合成パルプの中でも、特にポリエチレン単独重合体やエチレンと他の単量体との共重合体であるエチレン系樹脂を主成分とするパルプが好適に使用される。
ポリオレフィン系合成パルプの具体例としては、三井化学社製のSWP(商品名)などが挙げられる。
本発明で使用するポリオレフィン系合成パルプ(A)のカナディアン標準濾水度(カナディアン・スタンダード・フリーネス、CSF、あるいは単に「濾水度」ともいう)は、100ml以上520ml以下である。カナディアン標準濾水度の値は、JIS−P−8121に従い測定された値である。本発明で使用するポリオレフィン系合成パルプのカナディアン標準濾水度は、230ml以上270ml以下が好ましい。また、ポリオレフィン系合成パルプのカナディアン標準濾水度は、製造工程内の汚れ防止の観点からは、100ml以上470ml以下が好ましく、生産効率の観点からは230ml以上520ml以下が好ましい。
ポリオレフィン系合成パルプの主成分となるオレフィン樹脂のメルトフローレート(MFR:g/10min.、@190℃)は、0.1〜100g/10min.であることが好ましく、1.0〜60g/10min.であることがより好ましい。また、当該オレフィン樹脂の融点は、70〜140℃であることが好ましく、90〜140℃であることがより好ましい。
ポリオレフィン系合成パルプの繊維長に特に限定はないが、通常、0.05〜50mmであり、紙の製造においては0.05〜10mmが好ましい。平均繊維長は0.1〜5mmの範囲内であることが好ましい。
なお、合成パルプの平均繊維長は、一般的な繊維長分布測定装置(例えば、Metso社製FS5)を用いて測定した値である。
ポリオレフィン系合成パルプの製造方法に特に限定はなく、公知の方法で製造された物を使用することができる。製法は、例えば、Encyclopedia of Chemical Technology 3rd ed, Vol.19, P420−425等に詳細に説明されている。具体的には、溶融紡糸した繊維を短く切った後に叩解する方法、溶融フラッシュもしくはエマルジョンフラッシュを行った後に叩解処理する方法などが挙げられる。特に、樹脂組成物の溶液あるいはエマルジョンをフラッシュ紡糸する方法が適している。中でも、ポリビニルアルコール(PVA)を親水化剤として用いるエマルジョンフラッシュ法がより好ましく、紙の製造に好適な繊維形状を有するパルプを得ることができる。PVAの添加量は、PVAを含む合成パルプ全量に対して、0.01〜10質量%が好ましい。
さらにポリオレフィン系合成パルプを製造する際には、樹脂成分の他に、本発明の目的を損なわない範囲内で各種の添加剤を使用してもよい。添加剤の例としては、難燃剤、酸化防止剤、帯電防止剤、耐候安定剤、顔料などが挙げられる。
本発明の合成紙に含まれるポリオレフィン系合成パルプ(A)の割合は、ポリオレフィン系合成パルプ(A)、後述するバインダー繊維(B)、および後述する粒子(C)の合計質量に対して、通常は10%以上89%以下、好ましくは20%以上85%以下、より好ましくは25%以上65%以下の範囲内である。
(バインダー繊維(B))
本発明に用いられるバインダー繊維(B)は、抄紙可能なものである限り、特に限定はなく、合成紙に配合することにより、合成紙の引張強度を向上させることができる。また、合成紙の乾燥工程における断紙を防ぐ観点からは、バインダー繊維(B)は、融点が70℃以上130℃以下の繊維を含むことが好ましく、融点が100℃以上120℃以下の繊維を含むことがより好ましい。
このようなバインダー繊維(B)としては合成繊維が挙げられる。具体例としては、ポリエチレン系繊維、低融点ポリエステル繊維、アクリル系繊維、ポリエチレン/ポリプロピレン複合繊維、ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート複合繊維、ポリエステル複合繊維などが挙げられる。
バインダー繊維(B)の形態は製造設備によって製造できる範囲にあれば、短繊維でも長繊維でもよいが、平均繊維長が0.1〜20mm、好ましくは1〜10mmが好ましい。この範囲内の平均繊維長であれば、バインダー(B)を含む組成物の実質的なシート化が可能であり、均一な合成紙を得ることができる。また、このようなバインダー繊維(B)は、湿式抄紙可能である。
尚、バインダー繊維(B)の平均繊維長は、合成パルプの平均繊維長と同様に、一般的な繊維長分布測定装置(例えば、Metso社製FS5)を用いて測定した値である。
本発明の合成紙に含まれるバインダー繊維(B)の割合は、ポリオレフィン系合成パルプ(A)、バインダー繊維(B)、および後述する粒子(C)の合計質量に対して、好ましくは1%以上50%以下、より好ましくは5%以上30%以下の範囲内である。この範囲内のバインダー繊維(B)を含むことによって、合成紙の乾燥工程における断紙を防止することが可能となり、また合成紙の引張強度を向上させることができる。
(粒子(C))
本発明に用いられる粒子(C)は、平均粒子径が10μm以上150μm以下、好ましくは10μm以上130μm以下、より好ましくは15μm以上50μm以下である。平均粒子径が上記範囲内の粒子(C)を上記特定のポリオレフィン系合成パルプ(A)やバインダー繊維(B)と組み合わせることによって、ポリオレフィン系合成パルプ(A)によるバインダー繊維(B)と粒子(C)の均一な捕捉が可能となり、紙風合いの再現に繋がる。さらに、粒子(C)にインクや黒鉛が載ることによって、印刷性や筆記性が向上する。また、上記平均粒径の粒子はコストの面で有利である。尚、粒子(C)としては、平均粒径が上記範囲内となる限り、異なる粒径を持つ同種粒子を複数種用いてもよい。
尚、平均粒子径の測定方法としては、一般的なレーザー回折式粒径測定装置が挙げられる。具体的には島津製作所社製SALD−2000J、コールター社製コールターカウンター、日機装社製マイクロトラック粒度分布測定装置などが挙げられる。特に好ましくは、島津製作所社製SALD−2000Jである。
本発明に用いられる粒子(C)は、さらにその比重(相対密度)が1.5以上9未満である。特に湿式法により合成紙を作製する場合は、比重が2以上6以下の粒子(C)がより好ましく用いられる。尚、粒子(C)の比重(相対密度)は、カタログや文献(例えば、無機化学ハンドブック(技報堂出版))等に記載されている。
粒子(C)としては無機粒子が好ましく、具体的には、ゼオライト、炭酸カルシウム、二酸化チタン、二酸化ケイ素、硫酸バリウム、酸化アルミニウム、カオリン、タルク、酸化銅などが好ましい。これらの無機粒子をさらに有機変性させたものも好ましく挙げられる。また、本発明の粒子は、異なる種類の複数種の粒子を併用しても構わない。
本発明の合成紙に含まれる粒子(C)の割合は、ポリオレフィン系合成パルプ(A)、バインダー繊維(B)、および粒子(C)の合計質量に対して、10質量%以上60質量%以下であり、好ましくは30質量%以上60質量%以下、より好ましくは40質量%以上60質量%以下である。上記範囲内の割合で粒子(C)を含有することによって、合成紙の印刷適性と筆記性の改善が可能となる。
さらに本発明の合成紙においては、合成紙中のポリオレフィン合成パルプ(A)と粒子(C)との質量比である(ポリオレフィン合成パルプ(A)の質量)/(粒子(C)の質量)の値が、好ましくは0.5以上9未満、より好ましくは0.7以上9未満である。自立した合成紙の製造が容易となるという観点から、ポリオレフィン合成パルプ(A)と粒子(C)との質量比が上記範囲内であることが好ましい。
(水酸基を有する水溶性高分子(D))
本発明の合成紙は、抄紙工程における泡立ちを防止や、合成紙の風合い(手触り)の改善を目的として、水酸基を有する水溶性高分子をさらに含んでもよい。このような水溶性高分子としては、ポリビニルアルコールが好ましい。さらにポリビニルアルコールとしては、そのケン化度が90%以上のポリビニルアルコールが好ましく、ケン化度が98%以上のポリビニルアルコールがより好ましい。ポリビニルアルコールの具体例としては、日本合成化学社製のゴーセノールの完全ケン化型や準完全ケン化型、日本酢ビ・ポバール社製のJ−ポバールの完全ケン化型や中間ケン化型等が挙げられる。
ポリビニルアルコールを用いる場合、その添加量は、粒子(C)の質量に対して、1質量%以上100質量%以下が好ましい。抄紙工程内での泡立ち防止の観点からは、1質量%以上50質量%以下がより好ましく、合成紙の手触りの観点からは、50質量%以上100質量%がより好ましい。なお、ポリオレフィン系合成パルプ(A)、バインダー繊維(B)、および粒子(C)の合計質量に対する、ポリビニルアルコールの添加量は、5質量%以上50質量%以下が好ましく、より好ましくは10質量%以上30質量%以下である。
(添加剤)
本発明の合成紙は、一般的に合成紙に添加される添加剤を含んでいてもよい。このような添加剤としては、乾燥紙力剤、湿潤紙力剤、歩留まり向上剤、凝結剤、凝集剤、分散剤、離型剤、消泡剤、殺菌剤などが挙げられる。
(合成紙の特性)
合成紙の外観に紙風合いを出すためには、合成紙の坪量は、70g/m〜400g/mが好ましい。なお、合成紙は単層紙でも、抄き合わせ紙や、ヒートシールなどの接着による積層紙などの多層紙でもよい。多層紙の場合には、表層の坪量は70g/m〜400g/mが好ましい。また、エンボス深溝化の観点からは、坪量は150g/m〜400g/mが好ましい。
本発明の合成紙の王研法平滑度(JIS P8155に準拠して測定した値)は10〜900秒であることが好ましい。さらに、紙風合いの観点より、合成紙の王研法平滑度は10〜100秒が好ましい。また、印刷適性の観点からは、50〜300秒が好ましく、より好ましくは150〜300秒である。さらに、フィルム様形状とする観点からは、300〜900秒が好ましい。
(合成紙の製造方法)
本発明の合成紙の製造方法に特に限定はなく、公知の方法を使用することができる。例えば、エアレイド法と呼ばれる乾式方式や、抄紙法と呼ばれる湿式方式などが挙げられる。なお、合成紙に紙風合いを出すためには、湿式方式が好ましい。
例えば、実験室で行う抄紙方法としては、JIS P8222に準拠した、手すき紙を調製する方法が挙げられる。また、実験室での抄紙方法としては、動的抄紙方法を用いることもできる。
環境への配慮の観点から、抄紙工程内の水を意図的には排水しない完全クローズドシステムによる抄紙方法が好ましい。実験室では、複数回抄紙白水を再利用することにより、或いはクローズド状態の白水を理論上再現した疑似白水を用いることにより検証することができる。実験室での抄紙にあたっては、疑似白水を用いることが好ましい。
合成紙の乾燥温度は、使用するバインダー繊維(B)の初期融点以上の温度が好ましい。更には、紙風合いを再現するという観点からは、バインダー繊維の初期融点以上であり、且つ合成パルプの融点以下の温度が好ましい。具体的には70℃〜135℃が好ましい。
本発明の合成紙の平滑度を所望の値とするために、さらに熱処理を行ってもよい。熱処理は、ドラム式ドライヤー、エアスルードライヤーなどを用いて行うことができる。また、熱処理可能なカレンダー加工機を用いて、熱処理をしながらカレンダー加工を実施してもよい。熱処理を実施する温度としては95℃〜165℃が好ましい。通常、熱処理は、乾燥温度よりも10℃〜55℃高い温度で実施する。
本発明の合成紙を製造するための実機設備に特に限定はない。例えば、長網抄紙機、円網抄紙機、円網短網コンビネーション抄紙機、傾斜ワイヤー式抄紙機などの抄紙機と、ヤンキードライヤー、エアスルードライヤー、ドラム式ドライヤーなどの乾燥機との組み合わせが挙げられるが、いずれの方法でも構わない。
本発明の合成紙は、紙と同様の風合いを有し、且つ印刷適正や筆記性に優れることから、従来、合成紙が用いられていた用途に加え、紙が使用されていた用途にも使用することが考えられる。具体的な用途としては、例えば、印刷用紙、筆記用紙、ラベルの原紙、包装紙、成形用紙などが挙げられる。特に本発明の合成紙は、従来のポリオレフィン系合成紙と同様の接着性を維持しながらも、印刷適性や筆記性は改善されているため、ラベルの原紙として好適に用いられる。
2.ラベル
本発明のラベルは、本発明の合成紙をその原紙として含むものである。ラベルの種類に特に限定はなく、裏面に接着層を設けたステッカー、貼合する直前に接着剤などを裏面に塗布して使用するグルーラベル、樹脂容器の成形と同時に容器の外面に貼り付けるインモールドラベルなどが挙げられる。特に本発明のラベルは、接着層やヒートシール層などを設けずとも、従来のインモールドラベル用フィルムと同様の接着性を有することから、インモールドラベルが好ましい。
ラベルは、原紙の上に絵柄部を有してもよい。絵柄部の形成方法に特に制限はなく、オフセット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷などの公知の印刷方法を採用することができる。また、使用するインク、塗料なども特に制限はない。
本発明のラベルにおいては、原紙となる合成紙が印刷適性に優れるため、絵柄部の耐久性は高く、必ずしも保護層を必要としない。しかし、絵柄部の耐久性をさらに高めたり、表面の耐傷付き性や耐水性を向上させたり、表面光沢を調整する等の目的で、本発明のラベルの視認側に保護層を設ける事もできる。保護層としては、公知のハードコート層材料や、アクリル系のニスを例とする透明塗料等の公知の材料を用いることができる。
3.容器
本発明の容器は、上述した本発明のラベルを貼合した容器である。
ラベルを貼合する容器の材質に特に限定はなく、ガラス、陶器、磁器、木、樹脂などの材質からなる容器が挙げられる。樹脂製の容器としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン製容器や、ポリエチレンテレフタレート製容器等が挙げられる。
ラベルを容器に貼合する方法に特に限定はなく、ラベルと容器が接する面に接着層を設けたり、接着剤をラベルに塗布して容器に貼合したり、インモールドラベルとして、インモールドラベル法で容器の成形と同時に貼合することもできる。特に本発明のラベルは、接着層を設けることなく樹脂製の容器に接着可能であることから、インモールドラベル法で本発明のインモールドラベルを貼合した容器が好ましい。特に、本発明のインモールドラベルを貼合した容器は、安定接着性の面からポリエチエレン容器が好ましい。
インモールドラベル法は公知の方法を採用することができる。具体的には、射出成形、ブロー成形、真空成形などを用いたインモールドラベル法を挙げることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
(合成パルプ(A))
(合成パルプ(A−1)〜(A−3)の製造)
じゃま板を具備した80リットル容器の攪拌機付きオートクレー部中に、n−ヘキサン20リットル(23℃)、水20リットル(23℃)、メルトフローレート(MFR;ASTM D1238、190℃、2.16kg荷重)が4.0のポリエチレン樹脂1,000g、ポリビニルアルコール[PVA、ケン化度99%、4%水溶液年度(20℃)4.6〜6.0mPa・s、商品名ゴーセノールNL−05、日本合成化学工業社製]30gを投入した。回転数900rpmで撹拌しながら、混合液温が145℃になるまで昇温した。その後、混合液を145℃に保持して、更に30分間撹拌を続けた。次いで、この懸濁液をオートクレーブに取り付けられた直径3mm、長さ20mmのノズルよりパイプを経て、窒素雰囲気下、かつ−400mmHgの圧力下にあるドラム内に噴出(フラッシュ)させて繊維状物を得た。
得られた繊維状物をさらに受容器内で3g/リットル濃度の水スラリーとした後、直径12インチのディスク型リファイナーを用いて、その繊維長およびカナディアン標準濾水度(CSF)を調整し、合成パルプ(A−1)〜(A−3)を得た。製造した合成したパルプの物性を下記表1に示した。
(合成パルプ(A−4)の製造)
原料を融点が98℃のエチレン・1−ヘキセン共重合体を使用する以外は上記と同様にして、合成パルプ(A−4)を得た。製造した合成したパルプ(A−4)の物性を下記表1に示した。
(合成パルプa−1)
比較となる合成パルプ(a−1)としては、三井化学社製のSWP「E400」を用いた。合成パルプa−1の物性も下記表1に示した。
Figure 2018145554
(バインダー繊維(B))
本実験にあたり、以下のバインダー繊維を用いた。
B−1: FiberVisions社製ポリプロピレン/ポリエチレン芯鞘繊維(鞘部融点110℃、繊維長5mm)
B−2: ダイワボウポリテック社製ポリプロピレン/ポリエチレン芯鞘繊維(鞘部融点100℃、繊維長5mm)
B−3: ユニチカ社製ポリエステル繊維(鞘部融点110℃、繊維長5mm)
(粒子(C))
本実験にあたり、以下の市販の粒子を篩分けすることにより、特定の平均粒径の粒子を調整した。
なお、平均粒径は、島津製作所社製SALD−2000Jにて測定した。
C−1: 日東粉化工業社製ゼオライト(平均粒径10μm、比重2.1)
C−2: 日東粉化工業社製重質炭酸カルシウム(平均粒径30μm、比重2.7)
C−3: 日東粉化工業社製重質炭酸カルシウム(平均粒径10μm、比重2.7)
C−4: 日東粉化工業社製重質炭酸カルシウム(平均粒径20μm、比重2.7)
C−5: 日東粉化工業社製重質炭酸カルシウム(平均粒径126μm、比重2.7)
c−1: スペシャルティーミネラルズ社製軽質炭酸カルシウム(平均粒径1.3μm、比重2.7)
c−2: テクノスケミカル社製高吸水性ポリマー(平均粒径80μm、比重1.0)
尚、上記粒子の比重はいずれも製造社の公表しているカタログ値である。
(水酸基を有する水溶性高分子(D))
水酸基を有する水溶性高分子(D)として、日本合成化学社製のポリビニルアルコール(ゴーセノールNL−05)を用いた。使用にあたり、ポリビニルアルコールを2%の水溶液とし、粒子(C)と予め混合して使用した。
<実施例1>
合成パルプ(A)、バインダー繊維(B)および粒子(C)の合計質量を100質量%として、合成パルプ(A−1)を80質量%、バインダー繊維(B−1)を10質量%、粒子(C−1)を10質量%、さらに内添用添加剤として、星光PMC社製乾燥紙力剤「DA4112」を1質量%、星光PMC社製湿潤紙力剤「WS4020」を1質量%、分散剤として明成化学工業社製「VS−87E」を2質量%、離型剤として日華化学社製内添離型剤「サントールKL」を2質量%用い、実験室用角型手抄きシートマシンで、坪量350g/mの手抄き紙を作製した。作製した手抄き紙を、ロータリードライヤーを用いて温度110℃で乾燥し、さらに熱処理装置を用いて温度145℃で熱処理を行うことにより、合成紙(P−1)を得た。
<実施例2>
実施例1と同様の方法を用い、表2に記載の条件にて手抄き紙を作製し、ロータリードライヤーを用いて温度110℃で乾燥し、さらに熱処理装置を用いて温度130℃で熱処理を行うことにより、合成紙(P−2)を得た。
<実施例3〜4>
実施例2と同様の方法を用い、表2に記載の条件にて合成紙(P−3)と(P−4)をそれぞれ作製した。
<実施例5>
熱処理装置の温度を110℃とした以外は、実施例1と同様の方法を用い、表2に記載の条件で合成紙(P−5)を作製した。
<比較例1>
合成パルプ(A)およびバインダー繊維(B)の合計質量を100質量%として、合成パルプ(a−1)を90質量%、バインダー繊維(B−2)を10質量%、内添用添加剤として、星光PMC社製乾燥紙力剤「DA4112」を1質量%、星光PMC社製湿潤紙力剤「WS4020」を1質量%、分散剤として明成化学工業社製「VS−87E」を2質量%、離型剤として日華化学社製内添離型剤「サントールKL」を2質量%を用い、実験室用角型手抄きシートマシンで設定坪量350g/mの手抄き紙を作製した。作製した手抄き紙を、ロータリードライヤーを用いて温度110℃で乾燥し、さらに熱処理装置を用いて温度130℃で熱処理を行うことにより、粒子を含まない合成紙(p−1)を得た。
<比較例2〜4>
実施例1と同様の方法を用い、表2に記載の条件にて合成紙(p−2)〜(p−4)をそれぞれ作製した。
<比較例5>
合成パルプ(A)、バインダー繊維(B)および粒子(C)の合計質量を100%として、合成パルプ(A−1)を45質量%、前記バインダー繊維(B−2)を10質量%、粒子(c−2)を45質量%、さらに水溶性高分子(D)を10質量%、内添用添加剤として、星光PMC社製乾燥紙力剤「DA4112」を1質量%、星光PMC社製湿潤紙力剤「WS4020」を1質量%、分散剤として明成化学工業社製「VS−87E」を2質量%、離型剤として日華化学社製内添離型剤「サントールKL」を2質量%用い、実験室用角型手抄きシートマシンで坪量75g/mの手抄き紙の作製を試みた(合成紙p−5)。他の実施例および比較例とは異なり、自立した合成紙を得ることができなかった。
<比較例6>
合成パルプ(A)、バインダー繊維(B)および粒子(C)の合計質量を100%として、合成パルプ(A−1)を55質量%、前記バインダー繊維(B−2)を0質量%、粒子(C−2)を45質量%、さらに水溶性高分子(D)を10質量%、内添用添加剤として、星光PMC社製乾燥紙力剤「DA4112」を1質量%、星光PMC社製湿潤紙力剤「WS4020」を1質量%、分散剤として明成化学工業社製「VS−87E」を2質量%、離型剤として日華化学社製内添離型剤「サントールKL」を2質量%用い、実験室用角型手抄きシートマシンで坪量75g/mの手抄き紙の作製を試みた(p−6)。作製した手抄き紙を、ロータリードライヤーを用いて温度110℃で乾燥したが、自立した合成紙を得ることができなかった。
<比較例7>
合成パルプ(A)、バインダー繊維(B)および粒子(C)の合計質量を100%として、合成パルプ(A−1)を10質量%、前記バインダー繊維(B−2)を10質量%、粒子(C−2)を80質量%、さらに水溶性高分子(D)を10質量%、内添用添加剤として、星光PMC社製乾燥紙力剤「DA4112」を1質量%、星光PMC社製湿潤紙力剤「WS4020」を1質量%、分散剤として明成化学工業社製「VS−87E」を2質量%、離型剤として日華化学社製内添離型剤「サントールKL」を2質量%用い、実験室用角型手抄きシートマシンで坪量75g/mの手抄き紙の作製を試みた(合成紙p−7)。作製した手抄き紙を、ロータリードライヤーを用いて温度110℃で乾燥したが、自立した合成紙を得ることができなかった。
上記実施例1〜5および比較例1〜4で得られた合成紙を、下記評価方法で評価し、その結果を表2に示した。
<評価方法>
坪量: JIS P−8124に規定する方法で測定した。
王研法平滑度: JIS P8155に規定する方法で測定した。
紙風合い: 手による官能試験方法で評価した。評点は5点法であり、5点が最も優れ、1点が最も劣る。実用的には3点以上が必要である。
エンボス適性: JIS B−0651に規定する表面粗さ試験機で模様紙のエンボス部分の深さを測定し、さらに模様の鮮明さを目視で評価し、5点法で採点した。5点が最も優れ、1点が最も劣る。実用的には3点以上が必要である。
印刷適性: 明製作所製RI印刷適性試験機を用い、インキ(東洋インキSMXタック15)で印刷して、印刷部分における紙表面のムケ状態(即ち、印刷時に、紙表面の繊維が印刷ロール側に移行して、印刷した部分が剥がれ落ちている状態)を目視にて判定し、5点法で評価した。5点が最も優れ、1点が最も劣る。
鉛筆筆記性: 2B鉛筆で合成紙に文字を書いた時の字の濃さを、5点法で評価した。5点が最も優れ、1点が最も劣る。実用的には3点以上が必要である。
Figure 2018145554
表2の結果から明らかなように、カナディアン標準濾水度(CSF)が、100ml以上520ml以下であるポリオレフィン系合成パルプ(A)と、バインダー繊維(B)と、平均粒子径が10μm以上150μm以下であり、且つ比重が1.5以上10以下である粒子(C)とを含む実施例1〜5の合成紙は、紙風合いとエンボス適性に優れ、且つ印刷適性と鉛筆筆記性に優れていた。特に水溶性高分子(D)を含む実施例2〜5の合成紙(P−2)〜(P−5)は、水溶性高分子(D)を含まない実施例1の合成紙(P−1)と比べて、紙風合いに優れていた。
一方、合成パルプとしてCSFが520mlを超える合成パルプ(a−1)を用いた以外は実施例2と同様の組成からなる比較例3の合成紙(p−3)、および粒子として平均粒径が10μm以下の粒子(c−1)を用いた以外は実施例2と同様の組成からなる比較例4の合成紙(p−4)は、紙風合いとエンボス適性は良好であったものの、印刷適性と鉛筆筆記性が実用に適さないほど悪かった。さらに合成パルプとしてCSFが520mlを超える合成パルプ(a−1)を用い、粒子として平均粒径が10μm以下の粒子(c−1)を用いた以外は実施例2と同様の組成からなる比較例2の合成紙(p−2)も、紙風合いとエンボス適性は良好であったものの、印刷適性は実用に適さないほど悪く、鉛筆筆記性は劣悪であった。また、粒子を含まないこと以外は比較例2と同様の組成からなる比較例1の合成紙(p−1)は、印刷適性と鉛筆筆記性が劣悪であった。
また、高吸水性ポリマーからなる、比重が1.5以下の粒子を用いた以外は実施例2と同様の組成からなる合成紙(p−5)の製造を試みた比較例2においては、自立した合成紙を作製することができなかった。これは、高吸水性ポリマーからなる粒子が水で膨潤したため、バインダー繊維(B)のネットワークが形成できなかった為と考えられる。同様に、バインダー繊維(B)を含まないこと以外は実施例2と同様の組成からなる合成紙(p−6)の製造を試みた比較例6においても、自立した合成紙を作製することはできなかった。さらに、粒子(C−2)の含有量が60質量%超であり、且つポリオレフィン系合成パルプ(A)と粒子(C)との質量比((A)/(C))が0.5未満である比較例7においては、成分(A)、(B)および(C)の量的なバランスが悪く、バインダー繊維(B)のネットワークが形成されず、自立した合成紙が作製できなかったと考えられる。
<実施例6>
実施例1で作製した合成紙(P−1)を原紙として用い、インモールドラベルを作製した。具体的には、合成紙(P−1)にオフセット印刷を施し、次いでこれを打ち抜き加工して、横50mm、縦100mmのインモールドラベル用の原紙を得た。
このようにして得られたインモールドラベル用の原紙を、中空成形機(日本製綱所社製JEB−15型)のブロー成形用割型の一方に真空を利用して印刷面が金型と接する様に固定した。つぎに、高密度ポリエチレン(三井化学社製の商品名「HZ6008B」、融点134℃、MFR=0.36g/10min、密度956kg/m)のパリソンを200℃で溶融押出し、ついで割型を型締めした後、圧空をパリソン内に供給し、パリソンを膨張させて容器とするとともにラベルと融着させた。次いで型を25℃に冷却し、型開きをしてラベル付中空容器(L−1)を得た。
<実施例7〜10、比較例8〜11>
表3に記載の条件にて、実施例6と同様にラベル付き中空容器を作製し、ラベル付き中空容器(L−2)〜(L−5)および(l−1)〜(l−4)を得た。
上記実施例6〜10および比較例8〜11で得られた中空容器のラベルを、下記評価方法で評価し、その結果を表3に示した。
<評価方法>
紙風合い: 手による官能試験方法で評価した。評点は5点法であり、5点が最も優れ、1点が最も劣る。実用的には3点以上が必要である。
ラベル接着性: 中空容器のラベル部を手で押したり、潰したりして負荷をかけ、ラベルが剥がれるかどうかを目視で評価した。5点が最も優れ、ラベルの剥がれなしとした。3点は負荷により一部のラベルに剥がれが生じたもの、1点が最も劣り、ラベル全体が剥がれ落ちたものである。
ボールペン筆記性: ボールペンで容器に貼られた合成紙に文字を書いた時の字の濃さを判定することにより評価した。5点が最も優れ、1点が最も劣り、実用的には3点以上が必要である。
Figure 2018145554
表3の結果から明らかなように、カナディアン標準濾水度が100ml以上520ml以下であるポリオレフィン系合成パルプ(A)と、バインダー繊維(B)と、平均粒子径が10μm以上150μm以下であり、且つ比重が1.5以上10以下である粒子(C)とを含む合成紙を原紙として用いたラベルは、インモールド法により容器に貼合した後でも、ボールペンによる筆記性に優れていた。水溶性高分子(D)を含む実施例2〜5の合成紙(P−2)〜(P−5)を用いた実施例7〜10の容器(L−2)〜(L−5)のラベルは、特にボールペン筆記性に優れていた。また、容器(L−2)〜(L−4)のラベルは、容器(L−5)のラベルよりもラベル接着性に優れていた。その理由は、良くわからないが、ポリオレフィン合成パルプのCSF値が低いことに起因していると考えられる。
一方、比較1〜4の合成紙(p−1)〜(p−4)を用いた、比較例8〜11の容器(l−1)〜(l−4)のラベルは、いずれもボールペン筆記性が悪かった。
本発明によれば、紙風合いを再現し、表面処理なしに印刷適性や筆記性を改善したポリオレフィン系合成紙が提供される。また、ポリオレフィン系合成紙の有する接着性を維持しながらも、紙風合いを再現し、印刷適性や筆記性を改善したラベル、および当該ラベルを貼合した容器が提供される。

Claims (8)

  1. カナディアン標準濾水度が、100ml以上520ml以下であるポリオレフィン系合成パルプ(A)と、
    バインダー繊維(B)と、
    平均粒子径が10μm以上150μm以下であり、且つ比重が1.5以上10以下である粒子(C)と
    を含む合成紙であって、
    前記ポリオレフィン系合成パルプ(A)、前記バインダー繊維(B)、および前記粒子(C)の合計質量に対する前記粒子(C)の割合が、10質量%以上60質量%以下である合成紙。
  2. 前記バインダー繊維(B)が、融点が70℃以上130℃以下の繊維を含む、請求項1に記載の合成紙。
  3. 前記バインダー繊維(B)が、ポリエチレン系繊維、低融点ポリエステル繊維、アクリル系繊維、ポリエチレン/ポリプロピレン複合繊維、ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート複合繊維、およびポリエステル複合繊維からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1または2に記載の合成紙。
  4. 前記粒子(C)が、ゼオライト、炭酸カルシウム、二酸化チタン、二酸化ケイ素、硫酸バリウム、酸化アルミニウム、カオリン、タルク、および酸化銅からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の合成紙。
  5. 前記合成紙中のポリオレフィン合成パルプ(A)と粒子(C)との質量比である(ポリオレフィン合成パルプ(A)の質量)/(粒子(C)の質量)の値が、0.5以上9未満である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の合成紙。
  6. 前記合成紙中の前記粒子(C)の質量に対して、1質量%以上100質量%以下の水酸基を有する水溶性高分子(D)をさらに含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の合成紙。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の合成紙を含む、ラベル。
  8. 請求項7のラベルを貼合した容器。
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