JP2018145453A - マスキング冶具 - Google Patents
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Abstract
【課題】 必要な範囲のみに正確に表面処理を行うことができるマスキング冶具を得る。
【解決手段】 部品の表面処理される表面に連続する孔部に嵌合して前記孔部をマスキングするマスキング冶具であって、前記孔部に嵌合する形状に対して、決められた圧縮幅だけ外側に形成された第1外周面を有する、弾性体で形成された挿入部と、前記挿入部に連続し、前記挿入部が前記孔部に嵌合した状態において、前記孔部の縁を前記表面に垂直かつ外側に伸ばした仮想的な線で囲われた内側に位置する第2外周面を有する把手部とを備える。
【選択図】 図2
【解決手段】 部品の表面処理される表面に連続する孔部に嵌合して前記孔部をマスキングするマスキング冶具であって、前記孔部に嵌合する形状に対して、決められた圧縮幅だけ外側に形成された第1外周面を有する、弾性体で形成された挿入部と、前記挿入部に連続し、前記挿入部が前記孔部に嵌合した状態において、前記孔部の縁を前記表面に垂直かつ外側に伸ばした仮想的な線で囲われた内側に位置する第2外周面を有する把手部とを備える。
【選択図】 図2
Description
この発明は、部品のめっき等の表面処理を行う表面と連続する孔部をマスキングするマスキング冶具に関する。
導波管のような管状の部品は、外面、フランジ面、内面などそれぞれの面によって求められる特質が異なる。このため、それぞれの面には異なる表面処理が施される。表面処理が行われた範囲の一部が欠けていたり、表面処理が隣接する面との境界部分をはみ出して行われていたりするなど、表面処理が行われる範囲が適切で無いと、意図した特性が得られず、部品の性能の劣化等の原因となる。このため、導波管のような管状の部品に対する表面処理は、表面処理される範囲が決められた範囲を越えたり決められた範囲から不足したりしないよう、表面処理の対象でない部分にマスキングを施した上で実施される。
マスキングを行う方法としては、粘着テープや塗料によりマスキングする面を覆う方法が知られている。しかし、導波管のような管状の部品において、フランジ面に対する内面のように、部品の表面処理を行う表面に対して連続する孔部をマスキングする場合、粘着テープや塗料で正確にマスキングを行うことは困難である。このため、孔部については、ゴム等の弾性体のマスキング冶具を、表面処理を行う表面から孔部に挿入することによりマスキングを行なっている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に開示されたマスキング冶具は、孔部に挿入される部分の先端に向かって先細りになるテーパ状の形状となっている。このため、マスキング冶具が孔部に挿入された状態では、マスキング冶具と孔部とが密着しているのは、マスキング冶具のテーパ状の断面の形状が孔部の内周形状と一致する部分と孔部の縁の部分との間のみである。孔部に挿入された状態おいて、マスキング冶具は、狭い面積で孔部と密着している。このため、マスキング冶具の外周面と孔部の内周面との間の摩擦力は弱く、孔部に挿入されたマスキング冶具は、孔部から容易に外れることがある。マスキング冶具が表面処理中に外れると、部品の処理するべき範囲以外に表面処理が行われてしまう。
また、特許文献1に開示されたマスキング冶具は、マスキング冶具の孔部の外に出ている部分が部品の表面処理を行う表面の上方に張り出して広がり、部品の表面の孔部の周辺の部分において、めっきの電着を阻害する。特にクロムめっき等の被覆力が弱い電気めっきなどでは、孔部の周辺に無めっき状態が発生する等、意図した範囲に表面処理を行うことができないことがある。
この発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、部品の表面と表面に連続する孔部との境界において、必要な範囲のみに正確に表面処理を行うことができるマスキング冶具を提供するものである。
この発明に係るマスキング冶具は、部品の表面処理される表面に連続する孔部に嵌合して前記孔部をマスキングするマスキング冶具であって、前記孔部に嵌合する形状に対して、決められた圧縮幅だけ外側に形成された第1外周面を有する、弾性体で形成された挿入部と、前記挿入部に連続し、前記挿入部が前記孔部に嵌合した状態において、前記孔部の縁を前記表面に垂直かつ外側に伸ばした仮想的な線で囲われた内側に位置する第2外周面を有する把手部とを備えるものである。
この発明によれば、部品の表面と表面に連続する孔部との境界において、必要な範囲のみに正確に表面処理を行うことができるマスキング冶具を得ることができる。
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1について、図1〜図5を用いて説明する。図1は、実施の形態1に係るマスキング冶具の使用状態を表す断面図である。図1(a)は、導波管が矩形導波管の場合のマスキング冶具の使用状態を表す。図1(b)は、導波管が円形導波管の場合マスキング冶具の使用状態を表す。図1(a)において、矩形導波管10は、表面処理が行われる対象の部品である。矩形導波管10は、フランジ面11、孔部12、および外面13のそれぞれの面を有する。フランジ面11は、孔部12の内面(内周面)および外面13と連続している。
以下、この発明の実施の形態1について、図1〜図5を用いて説明する。図1は、実施の形態1に係るマスキング冶具の使用状態を表す断面図である。図1(a)は、導波管が矩形導波管の場合のマスキング冶具の使用状態を表す。図1(b)は、導波管が円形導波管の場合マスキング冶具の使用状態を表す。図1(a)において、矩形導波管10は、表面処理が行われる対象の部品である。矩形導波管10は、フランジ面11、孔部12、および外面13のそれぞれの面を有する。フランジ面11は、孔部12の内面(内周面)および外面13と連続している。
孔部12の内周面のマスキングを行う際には、マスキング冶具20が孔部12に挿入される。フランジ面11に対する表面処理は、孔部12にマスキング冶具20を挿入した状態で、フランジ面11を含む図1(a)のAの部分をめっき槽に浸したり、フランジ面11の上方から薬品等を塗布したりすることにより行われる。マスキング冶具20で孔部12にマスキングを行ってからフランジ面11に表面処理を行うと、孔部12にめっき液や薬品等が浸入しない。このため、フランジ面11のみに対して表面処理を行うことができる。以下、マスキング冶具20を孔部12に挿入する方向を−Z方向、マスキング冶具20を孔部12から引き抜く方向をZ方向とし、Z方向に垂直な2方向をX方向およびY方向、Z方向に垂直な面の方向を、XY方向と呼ぶ。フランジ面11は、XY方向に広がる面である。このように座標を定義しても一般性を失わない。
なお、図1(b)に示すとおり、円形導波管10Aについても、マスキング冶具20Aを使用することにより、孔部12Aのマスキングを行うことができる。円形導波管10Aは、フランジ面11A、孔部12A、および外面13Aのそれぞれの面を有する。フランジ面11Aは、孔部12Aの内周面および外面13Aと連続している。孔部12Aの内周面のマスキングを行う際には、マスキング冶具20Aが孔部12Aに挿入される。フランジ面11Aに対する表面処理は、孔部12Aにマスキング冶具20Aを挿入した状態で、フランジ面11Aを含む図1(b)のAの部分をめっき槽に浸したり、フランジ面11Aの上方から薬品等を塗布したりすることにより行われる。
マスキング冶具20は、図1(a)のように孔部12に挿入された状態では、孔部12の縁との間に隙間が無い。このため、めっき液や薬品が孔部12に浸入しない。また、マスキング冶具20は、孔部12に挿入されている部分の表面全体が孔部12の内周面に密着しているため、孔部12との間に強い摩擦力が働く。このため、マスキング冶具20は、孔部12から脱落しにくい構造となっている。さらに、マスキング冶具20が孔部12に取り付けられたとき、マスキング冶具20の孔部12の外にある部分の外周面とフランジ面11との間の角度が90度(直角)以上となる。このため、表面処理として電気めっきを行う場合、めっき時に生じたガスが気泡となってフランジ面11に付着したり、マスキング冶具20に妨げられてフランジ面11付近の電界が歪められたりすることが少なくなり、不均一なめっきの生成を回避できる。なお、矩形導波管10に取り付けられるマスキング冶具20に関する上記の特徴は、円形導波管10Aに取り付けられるマスキング冶具20Aについても同様である。
図2および図3を用いて、実施の形態1に係るマスキング冶具の構造を詳しく説明する。図2は、実施の形態1に係るマスキング冶具の外観を表す斜視図である。図2(a)は、孔部の断面形状が長方形である矩形導波管10に対して使用する、マスキング冶具20の斜視図である。図2(b)は、孔部の断面形状が円形である円形導波管10Aに対して使用する、マスキング冶具20Aの斜視図である。図3は、実施の形態1に係るマスキング冶具の構造を示す断面図である。図3(a)は、マスキング冶具20の図2(a)のYZ平面における断面図である。図3(b)は、マスキング冶具20Aの図2(b)のYZ平面における断面図である。マスキング冶具20は孔部12に、マスキング冶具20Aは孔部12Aに、それぞれ図3の下の方向から挿入される。
図2(a)および図3(a)において、二点鎖線で囲まれた柱状の部分30は、マスキング冶具20の形状の基準となる面を表す。以後、この面を基準面30と呼ぶ。マスキング冶具20は、孔部12に挿入される挿入部21と、マスキング冶具20を孔部12に挿入したり抜いたりする際に力が加えられる把手部22とを備えている。挿入部21は、孔部12に挿入されると、外周面が孔部12の内周面に嵌合する形状になる。この孔部12の内周面に嵌合するときの挿入部21の外周面の形状が、基準面30に一致する。また、挿入部21を孔部12に挿入した状態において、孔部12の縁をフランジ面11の垂直かつ外側であるZ方向に伸ばしたとすると、そのZ方向に伸ばした仮想的な線の集合で構成される面が基準面30に一致する。
挿入部21と把手部22とは、弾性体で一体に形成されている。挿入部21は、その外周面(以後、挿入部21〜21Gの外周面を、第1外周面と呼ぶ)が、基準面30に対して膨らんだ形状をしており、決められた圧縮幅(Dp)だけ外側に形成されている。圧縮幅(Dp)の値は、例えば、孔部12の各辺が数10mm程度で挿入部21がシリコーンゴムで形成されている場合、0.1〜0.5mmほどで良い。
把手部22は、挿入部21に連続して形成されている。把手部22〜22Bの外周面を、以後、第2外周面と呼ぶ。挿入部21が孔部12に挿入された状態において、第2外周面は、基準面30より内側に位置する。具体的には、把手部22では、第2外周面が第1外周面に対して決められた傾斜角θ1だけ内側に傾斜して連続している。このため、把手部22の挿入部21に連続する端とは反対側の端は、基準面30の内側に形成されている。把手部22は、挿入部21に連続する端から反対側の+Z方向の端に向けて細くなるテーパ形状となっている。
把手部22はこのような形状であるため、マスキング冶具20が孔部12に挿入された状態では、基準面30の内側に把手部22全体が入るようになる。挿入部21は、孔部12に挿入された状態では内側に向けて圧縮される。このため、把手部22の挿入部21と連続する部分は、応力により内側に向けて圧縮される。把手部22は、挿入部21に近いほど強い応力で、挿入部21から遠いほど弱い応力で、それぞれ圧縮される。このため、把手部22の第2外周面を挿入部21の第1外周面に対して決められた傾斜角θ1だけ内側に傾斜して連続するようにすると、マスキング冶具20を孔部12に挿入したときに、把手部22全体が基準面30の内側に入るようになる。傾斜角θ1の値は、例えば、マスキング冶具20がシリコーンゴムで形成され、孔部12の各辺が数10mm程度で圧縮幅(Dp)が0.1〜0.5mmほどの場合、10度程度以上であれば良い。
なお、矩形導波管10に対して使用するマスキング冶具20について、図2(a)および図3(a)により説明したが、円形導波管10Aに対して使用するマスキング冶具20Aについても同様である。図2(b)および図3(b)に示すとおり、マスキング冶具20Aにより円形導波管10Aの孔部12Aについてマスキングを行うことができる。
図2(b)および図3(b)において、二点鎖線で囲まれた柱状の部分30Aは、マスキング冶具20Aの形状の基準となる面を表す。以後、この面を基準面30Aと呼ぶ。マスキング冶具20Aは、孔部12Aに挿入される挿入部21Aと、マスキング冶具20Aを孔部12Aに挿入したり抜いたりする際に力が加えられる把手部22Aとを備えている。挿入部21Aは、孔部12Aに挿入されると、外周面が孔部12Aの内周面に嵌合する形状になる。この孔部12Aの内周面に嵌合するときの挿入部21Aの外周面の形状が、基準面30Aに一致する。また、挿入部21Aを孔部12Aに挿入した状態において、孔部12Aの縁をフランジ面11Aの垂直かつ外側であるZ方向に伸ばしたとすると、そのZ方向に伸ばした仮想的な線の集合で構成される面が基準面30に一致する。
挿入部21Aと把手部22Aとは、弾性体で一体に形成されている。挿入部21Aが有する第1外周面は、基準面30Aに対して膨らんだ形状をしており、決められた圧縮幅(Dp)だけ外側に形成されている。圧縮幅(Dp)の値は、例えば、孔部12Aの径が数10mm程度で挿入部21Aがシリコーンゴムで形成されている場合、0.1〜0.5mmほどで良い。
把手部22Aは、挿入部21Aに連続して形成されている。挿入部21Aが孔部12Aに挿入された状態において、第2外周面は、基準面30Aより内側に位置する。具体的には、把手部22Aは、第2外周面が挿入部21Aの外周面である第1外周面に対して決められた傾斜角θ1だけ内側に傾斜して連続している。このため、把手部22Aの挿入部21Aに連続する端とは反対側の端は、基準面30Aの内側に形成されている。把手部22Aは、挿入部21Aに連続する端から反対側の+Z方向の端に向けて細くなるテーパ形状となっている。
把手部22Aはこのような形状であるため、マスキング冶具20Aが孔部12Aに挿入された状態では、基準面30Aの内側に把手部22A全体が入るようになる。挿入部21Aは、孔部12Aに挿入された状態では内側に向けて圧縮される。このため、把手部22Aの挿入部21Aと連続する部分は、応力により内側に向けて圧縮される。把手部22Aは、挿入部21Aに近いほど強い応力で、挿入部21Aから遠いほど弱い応力で、それぞれ圧縮される。このため、把手部22Aの第2外周面を挿入部21Aの第1外周面に対して決められた傾斜角θ1だけ内側に傾斜して連続するようにすると、マスキング冶具20Aを孔部12Aに挿入したときに、把手部22A全体が基準面30Aの内側に入るようになる。θ1の値は、例えば、マスキング冶具20Aがシリコーンゴムで形成され、孔部12の径が数10mm程度で圧縮幅(Dp)が0.1〜0.5mmほどの場合、10度程度以上であれば良い。
図4は、マスキング冶具20を導波管10の孔部12に挿入する過程を表す断面図であり、図1のAで示した部分を拡大して示したものである。図4(a)は、マスキング冶具20を導波管10の孔部12に挿入する前の状態を表す。図4(b)は、マスキング冶具20を途中まで孔部12に挿入した状態を表す。図4(c)は、マスキング冶具20を最後まで孔部11に挿入した状態を表す。フランジ面11に対する表面処理は、図4(c)の状態で行われる。図4(a)〜(c)において、マスキング冶具20の基準面30を二点鎖線で表す。基準面30の内側の任意の部分と孔部12の縁とを結ぶ線のフランジ面11との間の角度は、90度以上となる。つまり、マスキング冶具20がこの基準面30の内部にある場合は、マスキング冶具20によりフランジ面11のめっきの電着を阻害することがない。なお、図4および以下の説明では、矩形導波管10の孔部12にマスキング冶具20を挿入する挿入過程を示すが、円形導波管10Aの孔部12Aにマスキング冶具20Aを挿入する場合も図4と同様である。
図4(a)に示すとおり、マスキング冶具20は、挿入部21と把手部22とを備えている。マスキング冶具20は、挿入部21が孔部12に挿入され、把手部22が孔部から外に出ている状態で使用される。挿入部21が有する第1外周面は、基準面30よりも一様に決められた圧縮幅(Dp)だけ外側にある。このため、挿入部21は、挿入部21の内側に向けて、すなわち図4(a)に示したBの方向に向けて圧縮され、断面が小さくされた状態で孔部12に挿入される。
図4(b)は、挿入部21の一部が孔部12に挿入された状態を示す。挿入部21の孔部12に挿入された部分においては、第1外周面が孔部12の内周面と嵌合する形状に圧縮される。すなわち、挿入部21の孔部12に挿入された部分においては、圧縮された第1外周面が基準面30と一致する。また、孔部12に挿入された部分と連続する挿入部21の残りの部分や把手部22についても、挿入部21の一部が圧縮されていることによって生じる応力により、内側に向かって圧縮される。このため、挿入部21が孔部12により深く挿入されるほど、マスキング冶具20の基準面30の内側からはみ出す部分は少なくなる。
図4(b)の状態から、マスキング冶具20に対して−Z方向に力をかけると、マスキング冶具20はさらに深く孔部12に挿入されて、図4(c)の状態となる。図4(c)の状態では、マスキング冶具20は、挿入部21と把手部22との境界付近まで孔部12に挿入されている。図4(c)の状態では、挿入部21が孔部12の縁まで密着している。このため、フランジ部11に表面処理を行った場合、表面処理に用いられるめっき液や薬品等が孔部12の縁から浸入しない。図4(c)の状態では、マスキング冶具20により、矩形導波管10の必要な範囲が正確にマスキングされている。また、図4(c)の状態では、挿入部21の第1外周面全体が孔部12の内周面に密着しているため、挿入部21と孔部12との摩擦力が強くなる。このことにより、マスキング冶具20の孔部12への取り付け力は強くなり、フランジ面11の表面処理中に脱落することが無くなる。
図4(c)の状態では、把手部22の挿入部21とは反対側の+Z方向の端は基準面30の内側にある。また、図4(c)の状態では、把手部22の第2外周面のテーパ状に形成された部分は、挿入部21が圧縮されていることによって生じる応力により、元の形状より圧縮されて基準面30の内部からはみ出さなくなる。つまり、把手部22の挿入部21と連続する部分の第2外周面とフランジ面11との間の角度(図4(c)のθ2)が90度(垂直)以上となる。このため、マスキング冶具20が図4(c)の状態まで孔部12に挿入された状態では、マスキング冶具20によりフランジ面11のめっきの電着を阻害することがなくなる。
図4(c)において、マスキング冶具20の孔部12に挿入された部分の付近は、応力により内向きに圧縮されている。このため、マスキング冶具20を挿入部21の上部(+Z方向)にわずかに孔部12から外に出した状態でフランジ面11の表面処理を行っても、挿入部21の孔部12の外に出した部分は、基準面30の内部からはみ出さない。例えば、前述の通り孔部12の各辺が数10mm程度で挿入部21がシリコーンゴムで形成されており、圧縮幅(Dp)が0.1〜0.5mmほどである場合は、挿入部21の把手部22側の数mm程度を残して孔部12に挿入した状態で表面処理を行っても、挿入部21の孔部12の外に残した数mmの部分は、基準面30の内部からはみ出さない。このため、フランジ面11のめっきの電着が阻害されることはない。また、挿入部21の把手部22側の数mm程度を残して孔部12に挿入した状態で表面処理を行っても、挿入部21の第1外周面全体の大部分が孔部12の内周面に密着しているため、孔部12へのめっき液や薬品等の侵入をより確実に防ぐことができる。
以上のように、実施の形態1に係るマスキング冶具は、挿入部21が孔部12に嵌合する形状に対して、決められた圧縮幅だけ外側に形成された第1外周面を有する。このため、このマスキング冶具20を孔部12に挿入して使用すると、孔部12の縁まで挿入部21が密着しているため、必要な範囲を正確にマスキングすることが可能になる上、表面処理中に脱落することが無い。また、挿入部21が孔部12に挿入された状態において、把手部22が基準面30より内側に位置するよう第2外周面を有する。このため、マスキング冶具20を孔部12に挿入して表面処理を行った場合、フランジ面11の表面処理が阻害されることがない。
実施の形態2.
この発明の実施の形態2に係るマスキング冶具について、図5〜図7を用いて説明する。図5は、実施の形態2に係るマスキング冶具の外観を表す斜視図である。図5(a)は、断面の形が長方形の矩形導波管10に対して使用するマスキング冶具20Bの斜視図である。図5(b)は、断面の形状が円形の円形導波管10Aに対して使用するマスキング冶具20Cの斜視図である。マスキング冶具20Bは孔部12に、マスキング冶具20Cは孔部12Aに、それぞれ図5の下の方向から−Z方向に向かって挿入される。
この発明の実施の形態2に係るマスキング冶具について、図5〜図7を用いて説明する。図5は、実施の形態2に係るマスキング冶具の外観を表す斜視図である。図5(a)は、断面の形が長方形の矩形導波管10に対して使用するマスキング冶具20Bの斜視図である。図5(b)は、断面の形状が円形の円形導波管10Aに対して使用するマスキング冶具20Cの斜視図である。マスキング冶具20Bは孔部12に、マスキング冶具20Cは孔部12Aに、それぞれ図5の下の方向から−Z方向に向かって挿入される。
図5(a)に示すように、マスキング冶具20Bの挿入部21Bには、把手部22に連続する側とは反対側の端から、把手部22に向かって+Z方向に凹んでいる凹部23が設けられている。挿入部21Bの把手部22に連続する側とは反対側の端には、凹部23の開口部がある。このように挿入部21Bに凹部23が設けられているため、マスキング冶具20Bを、孔部12をマスキングする上で好適な位置まで挿入して固定することが、容易になっている。また、マスキング冶具20Bには凹部23が設けられているため、挿入部21Bを内側に向けて小さな力で圧縮することが可能である。このため、マスキング冶具20Bを孔部12に挿入する作業が容易になる。
挿入部21Bの第1外周面と凹部23との間の厚み(Dt)は、マスキング冶具20Bが孔部12に挿入された際に、挿入部21Bの第1外周面が孔部12に適切な反発力で押し付けられるような厚みに決められている。厚み(Dt)は、挿入部21Bの把手部22と連続する部分から反対側に向かって一定である。また、厚み(Dt)は、挿入部21Bの周方向に一定である。すなわち、凹部23の内周面と孔部12の外周面との間の厚み(Dt)は、挿入部21Bの周方向の異なる場所であっても一定である。このように厚み(Dt)を設定することにより、挿入部21Bの第1外周面が孔部12にほぼ一定の反発力で押し付けられる。
円形導波管10Aに対するマスキング冶具20Cについても、矩形導波管10に対するマスキング冶具20Bと同様である。図5(b)のように、マスキング冶具20Cの挿入部21Cには、把手部22Aに連続する側とは反対側の端から、把手部22Aに向かって凹んでいる凹部23Aが設けられている。このため、マスキング冶具20Cを、孔部12Aをマスキングする上で好適な位置に固定することが、容易となっている。また、マスキング冶具20Cには凹部23Aが設けられているため、挿入部21Cを内側に向けて小さな力で圧縮することが可能である。このため、マスキング冶具20Cを孔部12Aに挿入する作業が容易になる。
図6は、マスキング冶具20Bを導波管10の孔部12に挿入する過程を表す断面図である。図6(a)は、マスキング冶具20Bを導波管10の孔部12に挿入する前の状態を表す。図6(b)は、マスキング冶具20Bを途中まで孔部12に挿入した状態を表す。図6(c)は、マスキング冶具20Bを最後まで孔部12に挿入した状態を表す。フランジ面11に対する表面処理は、図6(c)の状態で行われる。なお、図6および以下の説明では、矩形導波管10にマスキング冶具20Bを挿入する挿入過程を示すが、円形導波管10Aにマスキング冶具20Cを挿入する場合も図6と同様である。
図6(a)に示すとおり、マスキング冶具20Bの挿入部21Bには、深さがLOの凹部23が形成されている。深さLOは、マスキング冶具20Bを孔部12に埋め込む深さに対応している。深さLOは、典型的には、挿入部21Bの凹部23の開口がある側の端から挿入部21Bと把手部22との境界までの寸法と同じである。挿入部21Bの第1外周面は、孔部12の内周面に嵌合する基準面30の外周面に対して、一様に決められた圧縮幅(Dp)だけ外側に形成されている。このため、挿入部21Bは、挿入部21が凹部23に向けて、すなわち、図6(a)で示したBの方向に向けて圧縮され、断面が小さくされて孔部12に挿入される。挿入部21Bは、凹部23が設けられているため、孔部12に挿入する際にBの方向に圧縮する力が小さくて済む。
図6(b)は、挿入部21Bの一部が孔部12に挿入された状態を示す。挿入部21Bの孔部12に挿入された部分においては、第1外周面が孔部12の内周面と嵌合する形状に圧縮される。すなわち、挿入部21Bの孔部12に挿入された部分においては、第1外周面が基準面30と一致する。また、挿入部21Bの一部が圧縮されていることによって生じる応力により、孔部12に挿入された部分と連続する挿入部21Bの残りの部分や把手部22についても、内側に向かって圧縮される。このため、挿入部21Bが孔部12により深く挿入されるほど、マスキング冶具20Bの基準面30の内側からはみ出す部分は少なくなる。図6(b)において、凹部23が設けられているため、挿入部21Bの圧縮されたことに対する反発力は、凹部23が無い場合に比べて小さくなる。このため、マスキング冶具20Bを孔部12に挿入する際の、挿入部21Bと孔部12との間の摩擦は小さくなり、マスキング冶具20Bを小さな力で孔部12に挿入することが可能になる。
図6(b)の状態から、マスキング冶具20Bに対して−Z方向に力をかけると、マスキング冶具20Bはさらに深く孔部12に挿入されて、図6(c)の状態となる。図6(c)の状態では、マスキング冶具20Bは、挿入部21Bと把手部22との境界付近まで孔部12に挿入されている。図6(c)の状態では、挿入部21Bが孔部12の縁まで密着している。このため、フランジ部11に表面処理を行った場合、表面処理に用いられるめっき液や薬品等が孔部12の縁から浸入しない。図6(c)の状態では、マスキング冶具20Bにより、導波管10の必要な範囲が正確にマスキングされている。また、図6(c)の状態では、挿入部21Bの第1外周面全体が孔部12の内周面に密着しているため、挿入部21Bと孔部12との摩擦力が強くなる。このことにより、マスキング冶具20Bの孔部12への取り付け力は強くなり、フランジ面11の表面処理中に脱落することが無くなる。
図6(c)の状態では、把手部22の挿入部21Bとは反対側の+Z方向の端は基準面30の内側にある。また、図6(c)の状態では、把手部22の第2外周面のテーパ状に形成された部分は、挿入部21Bが圧縮されていることによって生じる応力により、元の形状より圧縮されて基準面30の内部からはみ出さなくなる。つまり、把手部22の挿入部21Bと連続する部分の第2外周面とフランジ面11との間の角度(図6(c)のθ2)が90度(垂直)以上となる。このため、マスキング冶具20Bが図6(c)の状態まで孔部12に挿入された状態では、マスキング冶具20Bによりフランジ面11のめっきの電着を阻害することがなくなる。
図6(c)のように、マスキング冶具20Cを、凹部23が凹んでいる深さLoまで孔部12に挿入すると、孔部12で圧縮されたことに対するマスキング冶具20Bの反発力が大きくなる。このため、マスキング冶具20Bと孔部12との間の摩擦力は、深さLo付近までマスキング冶具20Bを孔部12に挿入すると急激に大きくなり、それ以上挿入することが困難になる。このため、マスキング冶具20Bを容易に挿入可能な限り孔部12に挿入し、それ以上の挿入が困難となった状態で挿入を完了することで、マスキング冶具20Bは、フランジ面11の必要な範囲のみに正確に表面処理を行う上で好適な位置に固定される。
図7は、マスキング冶具20Bを孔部12に挿入する際の摩擦力を表すグラフである。マスキング冶具20Bは、孔部12に挿入される際に、挿入部21Bが凹部23に向かって圧縮される。挿入部21Bの第1外周面は、この圧縮に対する反発力により孔部12の内周面に押し付けられる。挿入部21Bの反発力は、凹部23が形成されている部分では小さく、凹部23が形成されてない部分では大きくなる。マスキング冶具20Bを孔部12に挿入する際の、挿入部21Bと孔部12の単位面積あたりの摩擦力は、挿入部21Bが孔部12に押し付けられる反発力により決まる。また、マスキング冶具20Bと孔部12との間の全体の摩擦力は、それら単位面積あたりの摩擦力の総和である。このため、マスキング冶具20Bと孔部12との間の全体の摩擦力は、図7のとおり、右上がりのグラフで表される。単位面積あたりの摩擦力が大きい程、すなわち、挿入部21Bの厚み(Dt)が厚く反発力が大きい程グラフの傾斜は急になる。単位面積あたりの摩擦力が小さければ、すなわち、厚み(Dt)が薄く反発力が小さい程グラフの傾斜は緩くなる。
挿入部21Bの把手部22に連続する端とは反対側の端からの距離がLo以上の部分は、凹部23による凹みが無いため、孔部12に押し付けられる部分の厚みが厚くなる。このため、孔部12に挿入された状態では、挿入部21Bの、把手部22に連続する端とは反対側の端からの距離がLo以上の部分は、強い反発力で孔部12の内周面に押し付けられ、単位面積当たりの孔部12との間の摩擦力が強くなる。マスキング冶具20Bと孔部12との間の摩擦力は単位面積あたりの摩擦力の総和である。このため、図7に示すとおり、マスキング冶具20Bと孔部12との間の摩擦力は、マスキング冶具20Bが挿入される深さがLo以上となると急激に上昇する。この原理により、凹部23を適切な深さだけ挿入部21Bの把手部22に連続する端とは反対側の端から凹んでいるように形成することで、マスキング冶具20Bを孔部12の適切な位置に挿入することが容易になる。具体的には、凹部23を挿入部21Bと把手部22との境界付近まで凹むように形成することで、マスキング冶具20を挿入部21Bと把手部22との境界或いは境界の手前まで押し込むことが容易になる。例えば、マスキング冶具20Bを手作業で孔部12に挿入する際には、摩擦力の急激な変化が手応えとなる。手応えに応じて押し込むことを終了することで、マスキング冶具20Bは適切な位置で固定される。
マスキング冶具20Bを深さ(Lo)付近まで孔部12に挿入すると、マスキング冶具20Bは、図7に示す摩擦力F1で固定される。すなわち、マスキング冶具20Bが孔部12に固定されている取り付け力は、F1となる。前述の通り、摩擦力は、挿入部21Bの厚み(Dt)が厚く反発力が大きい程、マスキング冶具20Bが挿入される深さに対して急激に増加し、単位面積あたりの摩擦力が小さければ、すなわち、厚み(Dt)が薄く反発力が小さい程緩やかに増加する。このため、凹部23の深さ(Lo)や厚み(Dt)を調整することにより、表面処理の作業を行う上で適した取り付け力でマスキング冶具20Bが固定されるよう調整することができる。
なお、前述の通り、マスキング冶具20Bは、挿入部21Bの上部をわずかに孔部12から外に(+Z方向に)出した状態で使用しても、フランジ面11のめっきの電着が阻害されることはない。また、孔部12のマスキングが不十分となることも、マスキング冶具20Bが外れ易くなることも無い。このため、孔部12に挿入したときのフランジ部11のめっきへの影響と孔部12の内周面のマスキングの効果、挿抜の容易さ等を考慮して決定し、決定した挿入深さに応じて凹部23の深さLoを決めれば良い。
以上のように、実施の形態2に係るマスキング冶具によれば、挿入部21Bに凹部23が形成されているため、実施の形態1で得られる効果に加え、マスキング冶具20Bを孔部12に挿入したときに、凹部23の深さに応じた適切な位置まで挿入して固定することが容易になる。加えて、挿入部21Bの形状を調整することにより、マスキング冶具20Bが孔部12に取り付けられる取り付け力を適切な値にすることができる。
実施の形態3.
以下、この発明の実施の形態3について、図8および図9を用いて説明する。図8は、実施の形態3に係るマスキング冶具の断面図である。マスキング冶具20Dにおいては、挿入部21Dの把手部22に連続する端とは反対側の端からは手部22の方向に向かって、第1外周面と挿入部21Dの外周面との間の厚みが厚くなるよう、凹部23が形成されている。マスキング冶具20Dのその他の構成については、マスキング冶具20Bと同様である。なお、挿入部21Dの把手部22に連続する端から反対側の端に向かう方向は、図8および図9においては、Z方向である。
以下、この発明の実施の形態3について、図8および図9を用いて説明する。図8は、実施の形態3に係るマスキング冶具の断面図である。マスキング冶具20Dにおいては、挿入部21Dの把手部22に連続する端とは反対側の端からは手部22の方向に向かって、第1外周面と挿入部21Dの外周面との間の厚みが厚くなるよう、凹部23が形成されている。マスキング冶具20Dのその他の構成については、マスキング冶具20Bと同様である。なお、挿入部21Dの把手部22に連続する端から反対側の端に向かう方向は、図8および図9においては、Z方向である。
実施の形態2に係るマスキング冶具においては、Z方向に向かって、第1外周面と凹部23の内周面との間の厚みが、一定になるように凹部が形成されている。これに対して、実施の形態3に係るマスキング冶具においては、Z方向に向かって、第1外周面と凹部23Bの内周面との間の厚みが厚く薄くなるよう、凹部23Bが形成される。凹部23Bをこのようにすることにより、マスキング冶具20Dにおいては、挿入部21Dを孔部12に挿入する際に、挿入部21Dを内側に圧縮するために要する力が小さくなる。このため、マスキング冶具20Dを孔部12に挿入する作業は、実施の形態2に係るマスキング冶具に比べてさらに容易になる。
図9は、マスキング冶具20Dを孔部12に挿入する際の摩擦力を表すグラフである。マスキング冶具20Dは、孔部12に挿入される際に、挿入部21Dが凹部23Bに向かって圧縮される。挿入部21Dの第1外周面は、この圧縮に対する反発力により孔部12の内周面に押し付けられる。挿入部21Dの反発力は、第1外周面と凹部23Bとの間の厚みが厚いほど大きく、薄いほど小さくなる。マスキング冶具20Dにおいては、挿入21Dの第1外周面と凹部23ZBの内周面との間の厚みは、Z方向に向かって厚くなる。このため、図9に示すとおり、マスキング冶具21Dでは、特に挿入部21Dの先端部分を孔部12に挿入する際の摩擦力を小さくし、より小さな力で孔部12に挿入することを容易にすることができる。
マスキング冶具20Dと孔部12との間の摩擦力は、マスキング冶具20Dと孔部12とが密着している部分のそれぞれの単位面積あたりの摩擦力の総和である。図9のとおり、マスキング冶具20Dと孔部12との間の摩擦力は、右上がりのグラフで表される。マスキング冶具20Dと孔部12との間の単位面積あたりの摩擦力が大きければ、すなわち、挿入部21Dの厚み(Dt)が厚く反発力が大きい程、グラフの傾斜は急になる。マスキング冶具20Dと孔部12との間の単位面積あたりの摩擦力が小さければ、すなわち、厚み(Dt)が薄く反発力が小さい程、グラフの傾斜は緩くなる。図8のように、第1外周面と凹部23Bの内周面との間の厚み(Dt)が、Z方向に向けて直線状に増加する場合は、マスキング冶具20Dを孔部12に押し込むほど、マスキング冶具20Dの新たに孔部12に押し込まれた部分の単位面積当たりの摩擦力は、直線状に増加する。このため、全体の摩擦力は図9のように、挿入部21Dが挿入されるに従い2次曲線に従って増加する。挿入部21Dが孔部12に挿入されるに従い摩擦力をどの様に増加させるかは、凹部23Bの形状を工夫することによって調整することができる。
挿入部21Dの把手部22に連続する端とは反対側の端からの距離がLo以上の部分は、凹部23による凹みが無いため、孔部12に押し付けられる部分の厚みが厚くなる。このため、孔部12に挿入された状態では、挿入部21Dの、把手部22に連続する端とは反対側の端からの距離がLo以上の部分は、強い反発力で孔部12の内周面に押し付けられる。その結果、孔部12との間の単位面積当たりの摩擦力が強くなる。マスキング冶具20Dと孔部12との間の摩擦力は単位面積あたりの摩擦力の総和である。このため、図9に示すとおり、マスキング冶具20Dと孔部12との間の摩擦力は、マスキング冶具20Dが挿入される深さがLo以上となると急激に上昇する。この原理により、凹部23Bが、挿入部21Dの把手部22に連続する端とは反対側の端から、適切な深さだけ凹んでいるように形成することで、マスキング冶具20Dを孔部12の適切な位置に固定することが容易になる。具体的には、凹部23Bを挿入部21Dと把手部22との境界付近まで凹むように形成することで、マスキング冶具20Dを挿入部21Dと把手部22との境界或いは境界の手前まで押し込むことが容易になる。例えば、マスキング冶具20Dを手作業で孔部12に挿入する際には、摩擦力の急激な変化が手応えとなる。手応えに応じて押し込むことを終了することで、マスキング冶具20Dは適切な位置で固定される。
マスキング冶具20Dを深さ(Lo)付近まで孔部12に挿入すると、マスキング冶具20Dは、図9に示す摩擦力(F2)で固定される。すなわち、マスキング冶具20Dの孔部12への取り付け力は、摩擦力(F2)となる。前述の通り、摩擦力は、挿入部21Dの厚み(Dt)が厚く反発力が大きい程、マスキング冶具20Dが挿入される深さに対して急激に増加し、単位面積あたりの摩擦力が小さければ、すなわち、厚み(Dt)が薄く反発力が小さい程緩やかに増加する。このため、凹部23Bの深さ(Lo)や挿入部21Dのそれぞれの深さにおける厚み(Dt)を調整することにより、マスキング冶具20Dが、表面処理の作業を行う上で適した取り付け力(F2)で固定されるよう調整することができる。さらに、凹部23Bの深さ(Lo)や凹部23Bのそれぞれの深さにおける厚み(Dt)を調整することにより、マスキング冶具20Dを孔部12に挿入する過程での摩擦力の変化を調整することができ、より挿入が容易なマスキング冶具を得ることができる。
以上のように、実施の形態3に係るマスキング冶具によれば、第1外周面と凹部23Bの内周面との間の厚みが、把手部22に連続する端とは反対側の端から把手部22の方向(−Z方向)に向かって厚くなるように凹部23Bを構成したため、挿入部21Dを孔部12に挿入する際に、挿入部21Dを内側に圧縮するために要する力が小さくなる。このため、実施の形態2の効果に加え、マスキング冶具20Dを孔部12に挿入する作業がさらに容易になる効果がある。
実施の形態3の変形例.
図10は、この発明の実施の形態3に係るマスキング冶具の変形例を表す断面図である。実施の形態3に係るマスキング冶具では、図8に示すように、凹部23Bの内周面の径を変化させることにより、厚み(Dt)を変化させる例を示した。しかし、図10に示すマスキング冶具20Eのように、挿入部21Eの第1外周面を変化させることにより、厚み(Dt)を変化させても同様の効果を得ることができる。図10においては、凹部23の形状は一定であり、挿入部21Eの第1外周面が、端から長さL1だけテーパ状に細くなっている。挿入部21Eの残りの長さ(L2)の部分については、マスキング冶具20Bと同様の形状である。
図10は、この発明の実施の形態3に係るマスキング冶具の変形例を表す断面図である。実施の形態3に係るマスキング冶具では、図8に示すように、凹部23Bの内周面の径を変化させることにより、厚み(Dt)を変化させる例を示した。しかし、図10に示すマスキング冶具20Eのように、挿入部21Eの第1外周面を変化させることにより、厚み(Dt)を変化させても同様の効果を得ることができる。図10においては、凹部23の形状は一定であり、挿入部21Eの第1外周面が、端から長さL1だけテーパ状に細くなっている。挿入部21Eの残りの長さ(L2)の部分については、マスキング冶具20Bと同様の形状である。
図11は、実施の形態3に係るマスキング冶具の変形例を孔部12に挿入する際の、摩擦力を示すグラフである。第1外周面を長さL1にわたりテーパ状にしているため、マスキング冶具20Eを挿入する際の摩擦力は、挿入部21EをL1付近まで穴部12に挿入するまで0である。また、挿入部21EをL1付近まで孔部12に挿入した状態においても、挿入部21Eと凹部23との間の厚みが薄いため、摩擦力の増加は緩やかであり、マスキング冶具20Eを孔部12に挿入することが容易になる。
マスキング冶具20Eを深さ(Lo)付近まで孔部12に挿入すると、摩擦力は急激に上昇する。このため、摩擦力が急激に上昇する深さ(Lo)までマスキング冶具20Eを穴部12に挿入することで、マスキング冶具20Eを適切な深さに固定することができる。このとき、マスキング冶具20Eの孔部12への取り付け力は、図11に示す摩擦力(F3)となる。凹部23の深さ(Lo)や厚み(Dt)、挿入部21Eの長さ(L1)、L2を調整することにより、摩擦力(F3)やマスキング冶具20Eを孔部12に挿入する過程での摩擦力の変化を調整することができ、より挿入が容易なマスキング冶具を得ることができる。
以上のように、この発明の実施の形態3の変形例によれば、挿入部21Eの第1外周面と凹部23の内周面との間の厚みは、挿入部21Eの把手部22と連続する側とは反対側の端からは手部22に向かって厚くなる。このため、実施の形態2の効果に加え、マスキング冶具20Eの先端を孔部12に挿入する際の摩擦力を小さくし、より挿入が容易なマスキング冶具を得ることができる。
実施の形態4.
図12は、実施の形態4に係るマスキング冶具の外形を表す斜視図である。実施の形態1〜3では、把手部22は、挿入部21に連続する端から反対側の端に向かって細くなるテーパ状の形状をしている。しかし、実施の形態4に係るマスキング冶具20Fにおいては、図12のように、把手部22Bは、XY方向の断面の形状が一定である柱状の形状をしている。把手部22Bは、第1外周面より圧縮幅(Dp)以上内側において、挿入部21に連続している。すなわち、把手部22Bは、挿入部21が孔部12に挿入されてない状態においても基準面30の内側に位置する。マスキング冶具20Fのその他の構成については、マスキング冶具20等と同様であるため、説明を省略する。
図12は、実施の形態4に係るマスキング冶具の外形を表す斜視図である。実施の形態1〜3では、把手部22は、挿入部21に連続する端から反対側の端に向かって細くなるテーパ状の形状をしている。しかし、実施の形態4に係るマスキング冶具20Fにおいては、図12のように、把手部22Bは、XY方向の断面の形状が一定である柱状の形状をしている。把手部22Bは、第1外周面より圧縮幅(Dp)以上内側において、挿入部21に連続している。すなわち、把手部22Bは、挿入部21が孔部12に挿入されてない状態においても基準面30の内側に位置する。マスキング冶具20Fのその他の構成については、マスキング冶具20等と同様であるため、説明を省略する。
図13は、マスキング冶具20Fを挿入部21と把手部22Bとの境界付近まで孔部12に挿入した状態の断面図である。図13は、実施の形態1における図4(c)に対応する。図13において、把手部22Bは、基準面30の内側にある。すなわち、挿入部21Fが孔部12に挿入された状態では、把手部22Bはフランジ面11の上方に張り出すことが無い。このため、孔部12に挿入されたマスキング冶具20Fがフランジ面11のめっきの電着を阻害することがない。
また、把手部22Bをこのような形状にすると、把手部22B全体は、常に基準面30より内側に位置するようになる。つまり、挿入部21が孔部12に挿入されたことによる応力が無い場合であっても、把手部22Bは、基準面30より内側に位置するようになる。このため、例えば、複数回の孔部12への挿入に耐えられるよう、把手部22を挿入部21とは異なる、耐久性の強い材料により構成することも可能になる。なお、挿入部21の構成や、孔部12への挿入方法については、実施の形態1と同様であるため、その説明を省略する。
実施の形態4によれば、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。なお、図13の構成では、挿入部21は、実施の形態1と同様凹部が形成されていないが、実施の形態2または3と同様に凹部を設けても良い。凹部を設けることにより、実施の形態2または3と同様の効果が得られる。
実施の形態5.
図14は、この発明の実施の形態5に係るマスキング冶具の外形を表す斜視図である。実施の形態5に係るマスキング冶具では、図14のように、挿入部21に複数の凹部23C、23Dが、挿入部21の第1外周面に沿って形成されている。
図14は、この発明の実施の形態5に係るマスキング冶具の外形を表す斜視図である。実施の形態5に係るマスキング冶具では、図14のように、挿入部21に複数の凹部23C、23Dが、挿入部21の第1外周面に沿って形成されている。
実施の形態2では、挿入部21Bに凹部23を一つのみ設けている。このような構成では、挿入部21Bの第1外周面と凹部23の内周面との間の厚み(Dt)が薄い場合には、挿入部21Bを孔部12に挿入するときなど、挿入部21Bを圧縮する方向に過大な力が加えられると、挿入部21Bの一部が折れ曲がってしまう可能性がある。これに対して、実施の形態5に係るマスキング冶具においては、複数の凹部を、挿入部の第1外周面と平行な方向に並べて設ける。このような構成とすることにより、実施の形態5に係るマスキング冶具においては、挿入部は、複数の凹部どうしの間の空洞でない部分により外向きに支持される構造となる。このため、挿入部を孔部に挿入するために、挿入部21Fを圧縮する方向に過大な力が加えられた場合であっても、挿入部21Bが折れ曲がる可能性は少なくなる。
図14(a)は、マスキング冶具20Gの挿入部21Fにおいて、矩形導波管10の長い方(X方向)の内径に対応するXZ方向の平面211に沿って、複数の凹部23Cを並べた例である。図14(a)のように構成すると、このマスキング冶具20Gを孔部12に挿入する場合、平面211の中央部分では、凹部が形成されてないため、圧縮に対する反発力が強くなる。このため、マスキング冶具20Gの第1外周面の平面211の中央付近においても、挿入部21Fを孔部12に(Y方向に)押し付ける十分な圧力を得ることができる。
図14(b)は、マスキング冶具20Hの挿入部21Gにおいて、矩形導波管10の長い方(X方向)の内径に対応する平面211および、短い方(Y方向)の内径に対応する平面212に沿って、複数の凹部23Dを並べた例である。図14(b)のように構成すると、このマスキング冶具20Hを孔部12に挿入する場合、平面211および平面212の中央部分では、凹部が形成されてないため、圧縮に対する反発力が強くなる。このため、マスキング冶具20Hの第1外周面の平面211(XZ方向)および平面212(YZ方向)の中央付近においても挿入部21Gを孔部12に押し付ける十分な圧力を得ることができる。なお、把手部22の構成や、孔部12への挿入方法については、実施の形態1と同様であるため、その説明を省略する。
実施の形態5によれば、実施の形態2と同様の効果を得ることができる。また、導波管10の孔部12の形状に従って凹部23C(23D)を配置することにより、矩形導波管10について、挿入部21F(21G)の第1外周面が孔部12に押し付けられる圧力を調整することができる。
10、10A 導波管、11、11A フランジ面、12、12A 孔部、13、13A 外面、20、20A、20B、20C、20D、20E、20F、20G、20H マスキング冶具、21、21A、21B、21C、21D、21E、21F、21G 挿入部、22、22A、22B 把手部、23、23A、23B、23C、23D 凹部、30、30A 基準面。
Claims (7)
- 部品の表面処理される表面に連続する孔部に嵌合して前記孔部をマスキングするマスキング冶具であって、
前記孔部に嵌合する形状に対して、決められた圧縮幅だけ外側に形成された第1外周面を有する、弾性体で形成された挿入部と、前記挿入部に連続し、前記挿入部が前記孔部に嵌合した状態において、前記孔部の縁を前記表面に垂直かつ外側に伸ばした仮想的な線で囲われた内側に位置する第2外周面を有する把手部とを備えたマスキング冶具。 - 前記第2外周面は、前記第1外周面に対して、決められた傾斜角だけ内側に傾斜して連続することを特徴とする、請求項1に記載のマスキング冶具。
- 前記第2外周面は、前記第1外周面より前記圧縮幅以上内側において、前記挿入部に連続する、請求項1に記載のマスキング冶具。
- 前記挿入部は、前記把手部に連続する端とは反対側の端から前記把手部に向かって凹んだ凹部を有する、請求項1から3のいずれか1項に記載のマスキング冶具。
- 前記凹部は、前記第1外周面との間の厚みが、前記反対側の端から前記把手部に向かう方向に対して一定になるよう形成された、請求項4に記載のマスキング冶具。
- 前記凹部は、前記第1外周面との間の厚みが、前記反対側の端から前記把手部に向かう方向に向かって厚くなるように形成された、請求項4に記載のマスキング冶具。
- 前記挿入部は、前記第1外周面と平行な方向に並べて設けられた、前記把手部に連続する端とは反対側の端から前記把手部に向かって凹む複数の凹部を有する、請求項1から3のいずれか1項に記載のマスキング冶具。
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