JP2018144495A - インクジェット記録方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】1パス印字記録を行う場合において、カラーインク間のブリードの発生を抑制すると共に、記録媒体におけるインクの裏抜けを防止できるインクジェット記録方法、及び該インクジェット記録方法に好適なインクセットを提供する。
【解決手段】本発明に係るインクジェット記録方法は、1パス印字記録を2種以上のインクを用いて行うインクジェット記録方法であって、前記2種以上のインクの静的表面張力差がすべて2mN/m以下であり、最初にL値の最も低いインクを印字し、最後にL値の最も高いインクを印字することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、インクジェット記録方法、および該インクジェット記録方法に好適なインクセットに関する。
記録媒体にインクを吐出して画像を形成する印刷装置の1つとして、インクジェットプリンターが知られている。また、インクジェットプリンターの中には、高速印刷が可能なプリンターとして、ライン型のプリンターが用いられている。ライン型のプリンターでは、記録媒体の幅方向(搬送方向と直交する方向)の長さに相当する長さのノズル列を実現する1または複数の印刷ヘッド(以下、「ラインヘッド」ともいう。)を用い、これらのラインヘッドに対して記録媒体を搬送して、搬送方向と直交する方向へのラインヘッドの移動なしに、記録媒体への印刷を行う。
このような構成を有するライン型のプリンターでは、二回以上の重ね印字を行わずに、通常1パスで印字することから、ベタ埋まりを確保するためには1ドットのインク重量を多くせざるを得ない。そうすると、インク間のブリード現象が発生しやすくなるという課題があった。
このような課題を解決するための手段としては、ライン型のプリンターに用いる各インクの動的表面張力を37〜48mN/mとし、その動的表面張力差がすべて2mN/m以上である2種以上のインクを、動的表面張力の大きいインクから順にインクを吐出して画像形成を行う画像記録方法が提案されている(特許文献1参照)。
特開2013−107224号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、ブラックとカラーとの間ではブリードの発生が抑制されるものの、カラー間ではブリードが大きく発生してしまうという課題があった。ブラックのブリードは、ブラックインクがカラーインクに滲まなければよい(すなわち、カラーインクがブラックインクに滲んでもよい)が、カラー間のブリードは少なくとも3色以上のインク間で互いに滲んではならないからである。
また、ライン型のプリンターでは、ベタ埋まりを確保するために1ドットのインク重量を多くせざるを得ないため、特許文献1に開示されているインクのように動的表面張力だけを制御したインクでは、記録媒体におけるインクの裏抜けが発生する場合があった。なお、本明細書における「インクの裏抜け」とは、インクが記録媒体の裏側まで染み込んでしまっている状態のことをいう。
記録媒体上にインク滴が着弾して平衡状態に達した後は、インクの動的表面張力よりも静的表面張力の方が支配的になると考えられる。すなわち、インク滴が平衡状態に達する前は、インク滴の気液界面に界面活性剤等の両親媒性物質が規則的に配向していないため、動的表面張力が支配的になる。一方、インク滴が平衡状態に達した後は、インク滴の気液界面に両親媒性物質が規則的に配向するので、静的表面張力が支配的になる。
本発明に係る態様の一つは、上述の課題の少なくとも一部を解決することで、1パス印字記録を行う場合において、カラーインク間のブリードの発生を抑制すると共に、記録媒体におけるインクの裏抜けを防止できるインクジェット記録方法、及び該インクジェット記録方法に好適なインクセットを提供するものである。
本発明は上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様又は適用例として実現することができる。
[適用例1]
本発明に係るインクジェット記録方法の一態様は、
1パス印字記録を2種以上のインクを用いて行うインクジェット記録方法であって、
前記2種以上のインクの静的表面張力差がすべて2mN/m以下であり、
最初にL値の最も低いインクを印字し、最後にL値の最も高いインクを印字することを特徴とする。
上述したように、インク滴が記録媒体上に着弾して平衡状態に達した後は、両親媒性物質がインク滴の気液界面に配向するため、動的表面張力よりも静的表面張力の方が支配的となる。そのため、使用する各インクの静的表面張力差をすべて2mN/m以下とし、かつ、最初にL値の最も低いインクを印字し、最後にL値の最も高いインクを印字することにより、特にカラー間でのブリードや凝集の発生を抑制し、カラーの高画質化を実現することができる。また、使用する各インクの静的表面張力差をすべて2mN/m以下とすることで、インクの裏抜けも防止できる。
[適用例2]
適用例1のインクジェット記録方法において、
前記2種以上のインクの各々は、表面寿命が10msのときの動的表面張力が37〜48mN/mであることができる。
適用例2のインクジェット記録方法によれば、インク滴が吐出されてから記録媒体上に着弾するまでの間に分離することによる形成画像の乱れ(サテライト)が発生し難くなる。
[適用例3]
適用例1または適用例2のインクジェット記録方法において、
前記2種以上のインクの各々が、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物および2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールを含有することができる。
適用例3のインクジェット記録方法によれば、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物および2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールを添加することにより、各インクの静的表面張力差をすべて2mN/m以下に揃えることが容易となり、特にカラーブリードを効果的に抑制することが可能となる。また、これらの成分を添加することで、インクの裏抜けも効果的に防止できる。
[適用例4]
適用例1ないし適用例3のいずれか一例のインクジェット記録方法において、
前記2種以上のインクの各々がジオール系溶剤を含有し、
前記ジオール系溶剤の含有量は、L値の最も高いインクの方がL値の最も低いインクよりも多くすることができる。
インクにジオール系溶剤を添加することで、インクの動的表面張力を低くすることができる。インク滴が記録媒体上に着弾した直後は、まだ静的表面張力よりも動的表面張力の方が支配的である。動的表面張力が高い順に印字すると、ブラックとカラー間及びカラー間でのブリードや凝集の発生を効果的に抑制できる。そのため、ジオール系溶剤を添加することにより、最初に印字されるL値の最も低いインクの動的表面張力をL値の最も高いインクよりも高くすることで、カラー間でのブリードや凝集の発生を効果的に抑制できる。
[適用例5]
適用例1ないし適用例4のいずれか一例のインクジェット記録方法において、
前記2種以上のインクの各々がエーテル系溶剤を含有し、
前記エーテル系溶剤の含有量は、L値の最も高いインクの方がL値の最も低いインクよりも少なくすることができる。
インクにエーテル系溶剤を添加することで、インクの動的表面張力を高くすることができる。そのため、適用例4の場合と同様に、エーテル系溶剤を添加することにより、最初に印字されるL値の最も低いインクの動的表面張力をL値の最も高いインクよりも高くすることで、ブラックとカラー間及びカラー間でのブリードや凝集の発生を効果的に抑制できる。
[適用例6]
本発明に係るインクセットの一態様は、
適用例1ないし適用例5のいずれか一例のインクジェット記録方法に用いられるインクセットであって、
ブラックインク、シアンインク、マゼンタインクおよびイエローインクを備え、
前記各インクの表面寿命が10msのときの動的表面張力が37〜48mN/mであり、かつ、前記各インク間の静的表面張力差がすべて2mN/m以下であることを特徴とする。
適用例6のインクセットによれば、1パス印字記録を行うインクジェット記録方法において、カラー間でのブリードや凝集の発生を抑制し、カラーの高画質化を実現することができる。また、インクの裏抜けも防止できる。
[適用例7]
適用例6のインクセットにおいて、
前記各インクが、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物および2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールを含有することができる。
適用例7のインクセットによれば、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物および2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールを添加することにより、各インクの静的表面張力差をすべて2mN/m以下に揃えることが容易となり、特にカラーブリードを効果的に抑制することが可能となる。また、インクの裏抜けも効果的に防止できる。
[適用例8]
適用例6または適用例7のインクセットにおいて、
前記各インクがジオール系溶剤を含有し、
前記ジオール系溶剤の含有量は、前記イエローインクの方が前記ブラックインクよりも多くすることができる。
インクにジオール系溶剤を添加することで、インクの動的表面張力を低くすることがで
きる。インク滴が記録媒体上に着弾した直後は、まだ静的表面張力よりも動的表面張力の方が支配的である。動的表面張力が高い順に印字すると、カラー間でのブリードや凝集の発生を効果的に抑制できる。そのため、ジオール系溶剤を添加することにより、最初に印字されるL値の最も低いブラックインクの動的表面張力をL値の最も高いイエローインクよりも高くすることで、ブラックとカラー間及びカラー間でのブリードや凝集の発生を効果的に抑制できる。
[適用例9]
適用例6ないし適用例8のいずれか一例のインクセットにおいて、
前記各インクがエーテル系溶剤を含有し、
前記エーテル系溶剤の含有量は、前記イエローインクの方が前記ブラックインクよりも少なくすることができる。
インクにエーテル系溶剤を添加することで、インクの動的表面張力を高くすることができる。そのため、適用例8の場合と同様に、エーテル系溶剤を添加することにより、最初に印字されるL値の最も低いインクの動的表面張力をL値の最も高いインクよりも高くすることで、ブラックとカラー間及びカラー間でのブリードや凝集の発生を効果的に抑制できる。
ラインヘッドを備えたインクジェット記録装置の構成を模式的に示す説明図。 ラインヘッドの構造を模式的に示す平面図。
以下に本発明の好適な実施の形態について説明する。以下に説明する実施の形態は、本発明の一例を説明するものである。また、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例も含む。
1.インクジェット記録方法
本実施の形態に係るインクジェット記録方法は、同一のインクによって、とりわけ二回以上の重ね印字を行わずに、1パス印字記録を2種以上のインクを用いて行うインクジェット記録方法であって、前記2種以上のインクの静的表面張力差がすべて2mN/m以下であり、最初にL値の最も低いインクを印字し、最後にL値の最も高いインクを印字することを特徴とする。以下、本実施の形態に係るインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置、インクセット、及びインクジェット記録方法の特徴の順に説明する。
1.1.インクジェット記録装置
本実施の形態に係るインクジェット記録方法において用いられるインクジェット記録装置は、同一のインクによって、とりわけ二回以上の重ね印字を行わずに、1パス印字記録を行うことができるものであればよく、例えばラインヘッド方式のインクジェット記録装置を挙げることができる。
以下、図面を参照しながら、ラインヘッドを備えたインクジェット記録装置の一例について説明する。図1は、ラインヘッドを備えたインクジェット記録装置の構成を模式的に示す説明図である。
図1に示すように、インクジェット記録装置10は、記録用紙11をプラテン12上に搬送する搬送ローラー13と、搬送ローラー13を回転駆動するステップモーター14と
、ガイドレール15により記録用紙11の紙搬送方向(図1の矢印方向)に対して直角方向に移動可能に取り付けられ搬送された記録用紙11にインク滴を吐出するラインヘッド20と、記録用紙11の搬送方向に対して直角方向にラインヘッド20を振動させる振動素子(図示せず)と、インクカートリッジ35と、装置全体をコントロールするコントローラー40とを備える。
振動素子は、例えば、PZTなどの圧電素子(電歪振動子)により形成されており、ラインヘッド20に取り付けられている。したがって、振動素子を振動させることにより、ラインヘッド20をガイドレール15に沿って記録用紙11の搬送方向に対して直角方向に振動させることができる。
コントローラー40は、CPU41を中心としたマイクロプロセッサーとして構成されており、CPU41の他に、各種処理プログラムを記憶するROM42と、データを一時的に記憶するRAM43と、データを書き込み消去可能なフラッシュメモリー44と、外部機器と情報のやり取りを行なうインターフェイス(I/F)45と、図示しない入出力ポートと、を備える。
RAM43には、印刷バッファー領域が設けられており、この印刷バッファー領域には、ユーザーPC46からインターフェイス(I/F)45を介して受信した印刷用データを記憶することができるようになっている。コントローラー40には、操作パネル47からの各種操作信号などが入力ポートを介して入力されており、コントローラー40からは、ラインヘッド20への駆動信号やステップモーター14への駆動信号、操作パネル47への出力信号などが出力ポートを介して出力されている。
なお、操作パネル47は、ユーザーからの各種の指示を入力すると共に状態を表示出力するためのデバイスであり、図示しないが、各種の指示に対応する文字や図形または記号が表示されるディスプレイやユーザーが各種操作を行なうためのボタン類が設けられている。
図2は、ラインヘッドの構造を模式的に示す平面図である。ラインヘッド20は、図2に示すように、紙搬送方向と直交する方向に複数のノズルが配列されたノズル列21a、21b、21c、21dを備え、搬送される記録用紙11の幅以上の記録領域を有しており、搬送される記録用紙11に対して、一括して1行分の画像を記録できるようになっている。
また、ラインヘッド20のインクの吐出方式としては、図1の例では、図示しない振動素子を用いてラインヘッドのインク圧力室内に生じる圧力を利用してインクの液滴を吐出する方式を採用しているが、これに限定されず、発熱体によって気泡を発生させ、圧力をかけてインクを吐出するサーマルインクジェット方式等の各種方式を適用することができる。
インクジェット記録装置10では、ノズル列21a、21b、21c、21dを順次用いて記録媒体上に画像を形成する。本実施の形態に係るインクジェット記録方法では、最初にL値の最も低いインクを印字し、最後にL値の最も高いインクを印字する必要があることから、最も上流側にあるノズル列21aからL値の最も低いインクを吐出し、最も下流側にあるノズル列21dからL値の最も高いインクを吐出するようにするとよい。
また、L値の2番目に低いインクをノズル列21b、L値の3番目に低いインクをノズル列21cとすることで、L値の低いインクから順に上流側から配置させる構成が
より好ましい。このような構成とすることで、カラー間でのブリードや凝集の発生を効果的に抑制し、カラーの高画質化を実現することができる。
1.2.インクセット
本実施の形態に係るインクジェット記録方法では、2種以上のインクが使用される。本明細書では、2種以上のインクを組み合わせたものをインクセットという。インクの数は、2種以上であれば特に限定されないが、表現できる色域(ガマット体積)を拡張できる点で、少なくともブラックインク、シアンインク、マゼンタインク、及びイエローインクの4種のインクを含むインクセットを用いることが好ましい。
これらの各インクは、顔料、水溶性有機溶剤、水を少なくとも含有する。また、これらのインクには、必要に応じて界面活性剤、樹脂エマルジョン、pH調整剤、その他の添加剤を添加してもよい。以下、インクに含まれる各成分について説明する。
<顔料>
本実施の形態に係るインクセットを構成する各インクは、顔料を含有する。顔料種としては、特に限定されるものではなく、以下に例示するような各種顔料を使用することができる。
イエローインクに含有させることができる顔料としては、例えばC.I.ピグメントイエロー1,3,12,13,14,17,24,34,35,37,42,53,55,74,81,83,95,97,98,100,101,104,108,109,110,117,120,128,138,150,153,155,174,180,198等が挙げられる。
マゼンタインクに含有させることができる顔料としては、例えばC.I.ピグメントレッド1,3,5,8,9,16,17,19,22,38,48:3,57:1,90,112,122,123,127、146,184,202,269;C.I.ピグメントバイオレット1,3,5:1,16,19,23,38;C.I.ピグメントバイオレット19とC.I.ピグメントレッド202との固溶体等が挙げられる。
シアンインクに含有させることができる顔料としては、例えばC.I.ピグメントブルー1,2,15,15:1,15:2,15:3,15:4,16等が挙げられる。
ブラックインクに含有させることができる顔料としては、例えばC.I.ピグメントブラック4,7等が挙げられる。
他の色相の顔料の具体例としては、C.I.ピグメントオレンジ34,36,43,61,63,71等の橙色顔料、C.I.ピグメントグリーン7,10,36,37,58等の緑色顔料が挙げられる。
本実施の形態に係るインクセットを構成する各インクは、これらの顔料を後述する分散樹脂によって分散させた樹脂分散顔料として使用することができる。また、本実施の形態に係るインクセットを構成する各インクは、分散樹脂を使用せずに自己分散顔料を使用することもできる。
自己分散顔料とは、分散剤なしに水性媒体中に分散および/または溶解することが可能な顔料のことをいう。ここで「分散剤なしに水性媒体中に分散および/または溶解」とは、顔料を分散させるための分散剤を用いなくても、その表面の親水基により、水性媒体中に安定に存在している状態をいう。
自己分散顔料を着色剤として含有するインクは、通常の顔料を分散させるための分散樹脂を含有させる必要がない。そのため、分散樹脂に起因する消泡性の低下による発泡がほとんどなく、吐出安定性に優れるインクを調製しやすい。また、分散樹脂に起因する大幅な粘度上昇が抑えられるため、顔料をより多く含有させることが可能となり印字濃度を十分に高めることが可能になる等取り扱いが容易である。
自己分散顔料は、例えば、顔料に物理的処理または化学的処理を施すことで、リン含有基を顔料の表面に結合(グラフト)させることにより製造される。物理的処理としては、例えば真空プラズマ処理等が例示できる。また化学的処理としては、例えば水中で酸化剤により酸化する湿式酸化法や、p−アミノ安息香酸を顔料表面に結合させることによりフェニル基を介してカルボキシル基を結合させる方法等が例示できる。
本実施の形態に係るインクセットを構成する各インクは、高発色性という観点から、その顔料表面にフェニル基を介してリン含有基を有する自己分散顔料であることが好ましい。顔料表面にフェニル基を介してリン含有基を結合させる表面処理手段としては、種々の公知の表面処理手段を適用することができ、スルファニル酸、p−アミノ安息香酸、4−アミノサリチル酸等を顔料表面に結合させることによりフェニル基を介してリン含有基を結合させる方法等が挙げられる。
各インクに含まれる顔料の含有量は、インクの全質量に対して2質量%以上15質量%以下であることが好ましく、4質量%以上9質量%以下であることがより好ましい。
<分散樹脂>
本実施の形態に係るインクセットを構成する各インクは、自己分散顔料を使用しない場合には、顔料を分散させるための分散樹脂を含有することが好ましい。分散樹脂としては、特に限定されないが、重量平均分子量70,000以上100,000以下かつ樹脂酸価80mgKOH/g以上120mgKOH/g以下の分散樹脂を含有することが好ましい。このような分散樹脂を含有することで、インク中の顔料の分散安定性が良好となり、顔料が凝集することを抑制することができる。
分散樹脂の重量平均分子量が前記下限値以上であれば、顔料が紙面内部へ沈み込むことを抑制する効果が発現されやすい。前記上限値以下であれば、顔料の分散安定性が良好となる効果が発現されやすい。なお、重量平均分子量は、例えば、溶媒としてテトラヒドロフランを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定し、ポリスチレン換算分子量によって求めることができる。
また、分散樹脂の樹脂酸価が前記下限値以上であれば、親水性と疎水性とのバランスが良好となり、顔料の分散安定性が良好となる効果が発現されやすい。前記上限値以下であれば、顔料が紙面内部へ沈み込むことを抑制する効果が発現されやすい。
このような分散樹脂としては、例えばポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、ポリ(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸−アクリルニトリル共重合体、酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸共重合体、酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−(メタ)アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エス
テル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体等およびこれらの塩が挙げられる。なお、本明細書中において、(メタ)アクリル酸という記載は、アクリル酸またはメタクリル酸を示すものである。共重合体の形態としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体のいずれの形態でも用いることができる。
上記の塩としては、アンモニア、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジプロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリ−iso−プロパノールアミン、アミノメチルプロパノール、モルホリン等の塩基性化合物との塩が挙げられる。
上記例示した分散樹脂は、上記材料を1種類のみ用いてもよいし、2種類以上組み合わせて用いてもよい。
各インクに含まれる分散樹脂の含有量は、各色インクの全質量に対して、0.5質量%以上5.0質量%以下であることが好ましく、0.8質量%以上3.0質量%以下であることがより好ましい。分散樹脂の含有量が上記範囲にあると、顔料の分散安定性が良好となる効果を十分に得ることができる。
顔料及び分散樹脂を含む顔料分散体を製造する方法は、従来公知の方法から適宜選択することができる。好適な方法としては、例えば、ナノグレンミル(浅田鉄工株式会社製)、MSCミル(三井鉱山株式会社製)、ダイノミル(株式会社シンマルエンタープライゼス製)、サンドミル(株式会社安川製作所製)等のメディア型湿式分散機を用いて、水等の適切な液体の媒体中において、顔料と分散樹脂とを混練して顔料分散体を得る方法が挙げられる。メディア型湿式分散機による処理では、小粒径のビーズを用いる。ビーズの粒子径は特に限定されず、典型的には粒径0.5〜2.0mmである。また、ビーズの材質は特に限定されず、ジルコニアビーズ、ガラスビーズ等の硬質の材料からなるビーズが使用される。
<水>
本実施の形態に係るインクセットを構成する各インクは、主溶媒としての水を含有する。水は、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水または超純水を用いることが好ましい。特に、紫外線照射または過酸化水素添加等により滅菌処理した水を用いることにより、カビやバクテリアの発生を防止してインクの長期保存が可能となる。各インク中の水の含有量は、インク全質量に対して、20質量%以上70質量%以下であることが好ましい。
<水溶性有機溶剤>
本実施の形態に係るインクセットを構成する各インクは、水溶性有機溶剤を含有する。水溶性有機溶剤としては、インクの動的表面張力を容易に調整できる点で、ジオール系溶剤やエーテル系溶剤が好適である。
ジオール系溶剤としては、特に限定されないが、1,2−アルカンジオールのように極性基が偏在する浸透性の高いものが好適である。このようなジオール系溶剤としては、1,2−ヘキシレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、1,2−オクタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール等の炭素数5〜9のアルカンジオールが挙げられる。これらのジオール系溶剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
インクにジオール系溶剤を添加することで、インクの動的表面張力を低くすることがで
きる。インク滴が記録媒体上に着弾した直後は、まだ静的表面張力よりも動的表面張力の方が支配的である。動的表面張力が高い順に印字すると、ブラックとカラー間及びカラー間でのブリードや凝集の発生を効果的に抑制できる。そのため、ジオール系溶剤を添加することにより、最初に印字されるL値の最も低いインクの動的表面張力をL値の最も高いインクよりも高くすることで、カラー間でのブリードや凝集の発生を効果的に抑制できる。
なお、上記例示したジオール系溶剤の中でも、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールは、インクの動的表面張力を低くするだけでなく、各インクの静的表面張力差を2mN/m以下に揃えることを容易とし、特にカラーブリードを効果的に抑制することが可能となる。また、インクに2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールを添加することで、記録媒体への浸透性を制御できインクの裏抜けも効果的に防止できる。
エーテル系溶剤としては、例えばエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、1−メチル−1−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリオキシエチレン2−エチルヘキシルエーテル等が挙げられる。これらのエーテル系溶剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
インクにエーテル系溶剤を添加することで、インクの動的表面張力を高くすることができる。そのため、エーテル系溶剤を添加することにより、最初に印字されるL値の最も低いインクの動的表面張力をL値の最も高いインクよりも高くすることで、ブラックとカラー間及びカラー間でのブリードや凝集の発生を効果的に抑制できる。
なお、構造中にエーテル結合とジオールの両方を含む化合物も存在する。例えば、上述のアルキルエーテルのジオール型のものや、上述のアセチレングリコールのアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。本発明においては、このような化合物については、ジオール系溶剤であり、かつ、エーテル系溶剤であるものとして取り扱う。すなわち、エーテル結合とジオールの両方を含む化合物を添加した場合には、その含有量は、ジオール系溶剤の含有量及びエーテル系溶剤の含有量の両方にカウントされる。
インクにジオール系溶剤やエーテル系溶剤を添加することにより、各インクの表面寿命が10msのときの動的表面張力を37〜48mN/mに調整することが好ましい。インクの動的表面張力を前記範囲とすることで、インク滴が吐出されてから記録媒体上に着弾するまでの間に分離することによる形成画像の乱れ(サテライト)が発生し難くなる。
本発明において「動的表面張力」とは、液表面(気液界面)が形成された直後であって、液表面が非平衡状態にあるときの表面張力のことをいう。また、「表面寿命」とは、液表面が形成されてからの経過時間のことをいう。「静的表面張力」とは、表面寿命の経過に伴い、液表面はインク中の各成分が拡散して平衡状態に近づくが、この平衡状態となったときの表面張力のことをいう。
インクの動的表面張力の測定方法は、動的表面張力計を用いることにより測定することができる。動的表面張力計としては、例えばバブルプレッシャー動的表面張力計(KRUSS社製、型式「BP100」)等が挙げられる。
インクの静的表面張力の測定方法は、自動表面張力計(協和界面科学株式会社製、型式「DY−300」)で白金プレートを用いて測定することができる。
また、本実施の形態に係るインクセットを構成する各インクには、保湿剤としての水溶性有機溶剤を添加することも好ましい。保湿剤としては、例えば、グリセリン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。これらの保湿剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。インクが保湿剤を含有する場合、保湿剤の含有量は、インクの全質量に対して5〜30質量%が好ましく、12〜20質量%がより好ましい。
<界面活性剤>
本実施の形態に係るインクセットを構成する各インクには、界面活性剤を添加することが好ましい。界面活性剤を添加することにより、インクの静的表面張力を調整することができる。すなわち、静的表面張力とは、液表面が平衡状態となったときの表面張力のことをいうが、界面活性剤を添加したインクでは、平衡状態に達するとインク滴の気液界面に界面活性剤が規則的に配向する。したがって、静的表面張力では、界面活性剤による効果が支配的となるため、各インクの静的表面張力を2mN/m以下に揃えるためには、界面活性剤を添加してインクの静的表面張力を揃えることが望ましい。
界面活性剤としては、特に限定されず、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤のいずれも使用することができる。これらの中でも、発泡や気泡の少ないインクを得るという観点から非イオン性界面活性剤が好ましくい。非イオン性界面活性剤は、記録媒体上でインクを均一に拡げる作用がある。そのため、非イオン性界面活性剤を含むインクを用いてインクジェット記録を行った場合、滲みの少ない高精細な画像が得られる。
非イオン性界面活性剤の中でも、アセチレングリコールのアルキレンオキサイド付加物(以下、アルキレンオキサイド付加物を「AO付加物」ともいう。)がより好ましい。アセチレングリコールのAO付加物は、ヒドロキシル基とエーテル基の両方を有する構造であるため、上述したジオール系溶剤やエーテル系溶剤との馴染みがよく、インク物性として不具合を起こさない。なお、アセチレングリコールのAO付加物のHLB値は、濡れ性が一層優れたものとなるため、10以上15以下であることが好ましい。
アセチレングリコールのAO付加物の具体例としては、以下に限定されないが、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール等のアセチレングリコール系のジオールにアルキレンオキサイドを付加したものが挙げられる。具体的な商品名としては、日信化学工業株式会社製のサーフィノール104にアルキレンオキサイドを付加したサーフィノール440、サーフィノール104A・E・H、オルフィンなどがある。
界面活性剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。各インク中の界面活性剤の含有量は、インク全質量に対して、0.5質量%以上5質量%以下であることが好ましい。
なお、本実施の形態に係るインクセットを構成する各インクは、アセチレングリコールのAO付加物および2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールを添加することにより、各インクの静的表面張力差をすべて2mN/m以下に揃えたものであることが好ましい。これらを添加することにより、各インクの静的表面張力差を容易に2mN/m以下に揃えることができ、しかも発泡や気泡の発生が抑制された好ましいインクとなる。
<樹脂エマルジョン>
本実施の形態に係るインクセットを構成する各インクには、樹脂エマルジョンを添加してもよい。樹脂エマルジョンは、インクの乾燥に伴い、樹脂粒子同士及び樹脂粒子と着色成分とが互いに融着して着色剤を記録媒体に固着させるため、記録物の画像部分の定着性を向上させる作用を持つ。
これらの樹脂粒子としては、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリルアミド系樹脂、エポキシ系樹脂からなる群より選択される1種または2種以上であることが好ましい。これらの樹脂はホモポリマーとして使用されてもよく、またコポリマーして使用されてもよい。
樹脂粒子としては、単粒子構造のものを使用してもよく、コア部とそれを囲むシェル部とからなるコア・シェル構造を有する樹脂粒子を使用してもよい。本明細書において「コア・シェル構造」とは、「組成の異なる2種以上のポリマーが粒子中に相分離して存在する形態」を意味する。したがって、シェル部がコア部を完全に被覆している形態のみならず、コア部の一部を被覆しているものであってもよい。また、シェル部ポリマーの一部がコア粒子内にドメインなどを形成しているものであってもよい。さらに、コア部とシェル部の中間にさらにもう一層以上、組成の異なる層を含む3層以上の多層構造を持つものであってもよい。
このような樹脂粒子は、公知の乳化重合によって得ることができる。すなわち、不飽和ビニル単量体(不飽和ビニルモノマー)を重合触媒および乳化剤を存在させた水中において乳化重合することによって得ることができる。
不飽和ビニル単量体としては、一般的に乳化重合で使用されるアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、芳香族ビニル化合物、ビニルエステル、ビニルシアン化合物、ハロゲン化合物、オレフィン類、ジエン類等が挙げられる。
さらに、具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、イソアミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート、グリシジルアクリレート等のアクリル酸エステル;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、イソアミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、デシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、グリシジルメタクリレート等のメタクリル酸エステル;酢酸ビニル等のビニルエステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルシアン化合物;塩化ビニリデン、塩化ビニル等のハロゲン化合物;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、クロルスチレン、ビニルアニソール、ビニルナフタレン等の芳香族ビニル化合物;エチレン、プロピレン等のオレフィン類、ブタジエン、クロロプレン等のジエン類;ビニルエー
テル、ビニルケトン、ビニルピロリドン等のビニル単量体;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸;アクリルアミドおよびN,N’−ジメチルアクリルアミド等のアクリルアミド;2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等の水酸基含有単量体が挙げられる。
また、樹脂粒子は、上記モノマー由来の分子として、重合可能な二重結合を二つ以上有する架橋性単量体によって架橋された構造を有するものを使用することができる。重合可能な二重結合を二つ以上有する架橋性単量体の例としては、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2’−ビス(4−アクリロキシプロピロキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン等のジアクリレート;トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート等のトリアクリレート;ジトリメチロールテトラアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等のテトラアクリレート;ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等のヘキサアクリレート;エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ポリブチレングリコールジメタクリレート、2,2’−ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)プロパン等のジメタクリレート;トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート等のトリメタクリレート;メチレンビスアクリルアミド;ジビニルベンゼンが挙げられ、これらを単独または2種以上を混合して使用することができる。
また、乳化重合の際に使用される重合開始剤、乳化剤、分子量調整剤は常法に準じて使用することができる。
重合開始剤としては、通常のラジカル重合に用いられるものと同様のものが用いられ、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイル、過酸化ジブチル、過酢酸、クメンヒドロパーオキシド、t−ブチルヒドロキシパーオキシド、パラメンタンヒドロキシパーオキシド等が挙げられる。特に、重合反応を水中で行う場合には、水溶性の重合開始剤が好ましい。
乳化剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウムの他、一般にアニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、または両性界面活性剤として用いられているもの、およびこれらの混合物が挙げられ、これらを単独または2種以上混合して使用することができる。
樹脂粒子を乳化重合で製造する場合、特にアニオン性の樹脂粒子から構成されるポリマーエマルジョンを乳化重合で製造する場合においては、樹脂粒子表面にはカルボキシル基やスルホン酸基のような負の極性基が存在するためpHが酸性側に傾き、粘度上昇や凝集が起こりやすい。そこで通常は塩基性物質による中和が行われる。この塩基性物質としては、アンモニア、有機アミン類、無機水酸化物等を用いることができる。ポリマーエマルジョンおよびマゼンタインクの長期保存安定性、吐出安定性の観点から、これらの中でも特に一価の無機水酸化物(水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム)が好ま
しい。上記中和剤の添加量は、ポリマーエマルジョンのpHが7.5〜9.5の範囲、好ましくは7.5〜8.5の範囲となるように適宜決定される。
樹脂粒子の粒径は、好ましくは5〜400nmの範囲であり、より好ましくは50〜200nmの範囲である。
また、これら樹脂エマルジョンの添加量は、定着性等を考慮して適宜決定してよいが、各インク中に固形分で2質量%以上を含むことが好ましい。
<pH調整剤>
本実施の形態に係るインクセットを構成する各インクには、pH調整剤を添加することが好ましい。pH調整剤としては、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の無機化合物;アンモニア、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン等のアルカノールアミン等を用いることができる。特に、アルカリ金属の水酸化物、アンモニア、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミンから選択される少なくとも1種類のpH調整剤を含み、pH6〜10に調整されることが好ましい。pHがこの範囲を外れると、インクジェットプリンターを構成する材料等に悪影響を与え、目詰まり回復性が劣化する場合がある。
また、必要に応じて、コリジン、イミダゾール、燐酸、3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、ほう酸等をpH緩衝剤として用いることができる。
<その他の添加剤>
さらに、本実施の形態に係るインクセットを構成する各インクには、必要に応じて、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防腐・防黴剤等を添加することができる。
酸化防止剤・紫外線吸収剤としては、アロハネート、メチルアロハネートなどのアロハネート類、ビウレット、ジメチルビウレット、テトラメチルビウレットなどのビウレット類など、L−アスコルビン酸およびその塩等、チバガイギー社製のTinuvin328、900、1130、384、292、123、144、622、770、292、Irgacor252、153、Irganox1010、1076、1035、MD1024など、あるいはランタニドの酸化物等が用いられる。
防腐剤・防黴剤としては、例えば安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2−ジベンジソチアゾリン−3−オン(Avecia社のプロキセルCRL、プロキセルBDN、プロキセルGXL、プロキセルXL−2、プロキセルTN)等が挙げられる。
1.3.インクジェット記録方法の特徴
本実施の形態に係るインクジェット記録方法は、同一のインクによって、とりわけ二回以上の重ね印字を行わずに、1パス印字記録を2種以上のインクを用いて行うインクジェット記録方法であって、前記2種以上のインクの静的表面張力差がすべて2mN/m以下であり、最初にL値の最も低いインクを印字し、最後にL値の最も高いインクを印字することを特徴とする。
本発明におけるL値は、各インクを水及び/又はアセトン等で希釈した試料について、分光光度計(株式会社日立製作所製、型式「U−3000」、使用セル:光路長1cmの石英セル、D65光源、視野角2度)を用いて分光分析を行い、その結果からL
表色系におけるL値(明度)を算出して得られる値のことを意味する。
インク滴が記録媒体上に着弾して平衡状態に達した後は、界面活性物質がインク滴の気液界面に配向するため、動的表面張力よりも静的表面張力の方が支配的となる。そのため、使用する各インクの静的表面張力差をすべて2mN/m以下とし、かつ、最初にL値の最も低いインクを印字し、最後にL値の最も高いインクを印字することにより、特にカラー間でのブリードや凝集の発生を抑制し、カラーの高画質化を実現することができる。また、使用する各インクの静的表面張力差をすべて2mN/m以下とすることで、インクの裏抜けも防止できる。
ラインヘッド方式のインクジェット記録装置では、ベタ埋まりを確保するために、1ドットのインク量を多くせざるを得ないため、特にカラーインク間のブリード現象が発生しやすく、カラーの高画質化が困難であった。そこで、最初にL値の最も低いインクを印字し、最後にL値の最も高いインクを印字することにより、L値の最も低いインクがL値の最も高いインクに滲むことを抑制でき、また各インクの静的表面張力差をすべて2mN/m以下とすることで特にカラー間でのブリードの発生を抑制できることが判明した。静的表面張力差が2mN/mよりも大きい2種以上のインクが存在すると、特にカラー間でブリードや凝集が発生し、カラー画質の低下が起こりやすい。
また、1パスにおけるインクを吐出する順番は、動的表面張力が高いインクから順に吐出することが好ましい。動的表面張力が高い順に印字すると、早い吐出順のインクに含まれる顔料が記録媒体表面にある程度固着された後に、次順のインクを記録媒体に着弾させやすい。そのため、早い吐出順のインクと、次順のインクとが記録媒体表面で混じり合いにくく、カラー間でのブリードや凝集の発生をさらに効果的に抑制できる。
2.実施例
以下、本発明の実施形態を実施例および比較例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
2.1.顔料分散液の調製
2.1.1.自己分散顔料の製造
プロセスオール4HV混合機(4リットル)に、顔料を500g、イオン交換水を1L、及び4−アミノフェニル−2−スルファトエチルスルホン(APSES)を投入した。次いで、300rpmにて10分間強力に混合しながら、生じた混合物を60℃に加熱した。これに、20%亜硝酸ナトリウム水溶液(APSESの量を基準として1当量)を15分かけて添加した。加熱及び混合を合計3時間続行した。
イオン交換水750mLで希釈することにより混合機の内容物を取り出し、次いでイオン交換水を用いてのダイアフィルトレーションにより生じた分散液を精製した。ダイアフィルトレーションの終わりに(透過液の導電率<200マイクロジーメンス)、顔料の濃度を15%に調整し、カー連続遠心分離機(パイロットヒュージ)で遠心分離した。
次いで、9.39gのアレンドロン酸ナトリウム((4−アミノ−1−ヒドロキシブタン−1,1−ジイル)ビスホスホン酸の一ナトリウム塩)を2.5Lビーカー中に入れた。これにイオン交換水37.56gを添加し、次いで10%水酸化ナトリウム水溶液64.73gを添加した。固体が溶解するまで、この混合物を撹拌した。激しい撹拌下で、おおよそ25mL/分にてポンプ輸送することにより500gの分散液(20%固体分にて)を導入した。分散液のすべてが添加された後、pHを測定してpHが12.5を超えていることを確認した。混合を70℃にて4時間続行した。
このようにして得られた分散液を固形分5%まで希釈し、そして透過液のpHが8未満となるまでイオン交換水でダイアフィルトレーションした(第1ダイアフィルトレーション容量部後、保持液を10%固体分に濃縮した)。次いで、ミソニックスプローブ音波処理装置を用いて、この分散液(おおよそ13%の固体分濃度に調整された)を超音波処理し、そしてベックマン超遠心分離機を用いて5000Gにて10分間遠心分離して大きい粒子を除去し、表2に記載の顔料分散液を得た。なお、使用した顔料種は、以下の通りである。
<使用した顔料種>
・ブラック顔料分散液:C.I.ピグメントブラック4
・シアン顔料分散液:C.I.ピグメントブルー15:3
・マゼンタ顔料分散液:C.I.ピグメントレッド122
・イエロー顔料分散液:C.I.ピグメントイエロー74
2.1.2.樹脂分散顔料分散液の製造
有機溶媒(メチルエチルケトン)20質量部、重合連鎖移動剤(2−メルカプトエタノール)0.03質量部、重合開始剤、表1に示す各モノマーを用い、窒素ガス置換を十分に行った反応容器内に入れて75℃攪拌下で重合し、モノマー成分100質量部に対してメチルエチルケトン40質量部に溶解した2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル0.9質量部を加え、80℃で1時間熟成させ、ポリマー溶液を得た。
Figure 2018144495
次いで、メチルエチルケトン45質量部に上記で得られたポリマー溶液を固形分として7.5質量部溶解させて、その中に20%の水酸化ナトリウム水溶液(中和剤)を所定量加えて塩生成基を中和し、さらに顔料を20質量部加えてビーズミルで2時間混練した。このようにして得られた混練物にイオン交換水120質量部を加えて攪拌した後、減圧下、60℃でメチルエチルケトンを除去し、さらに一部の水を除去することにより、表2に記載の樹脂分散顔料分散液を得た。なお、使用した顔料種については、上記の自己分散顔料の製造の場合と同様である。
2.2.樹脂エマルジョンの製造
攪拌機、還流コンデンサー、滴下装置、及び温度計を備えた反応容器に、イオン交換水900g及びラウリル硫酸ナトリウム1gを仕込み、攪拌下に窒素置換しながら70℃まで昇温した。内温を70℃に保ち、重合開始剤として過硫酸カリウム4gを添加し、溶解後、予めイオン交換水450g、ラウリル硫酸ナトリウム3gにアクリルアミド20g、スチレン365g、ブチルアクリレート545g、及びメタクリル酸30gを攪拌下に加えて作製した乳化物を、反応溶液内に連続的に4時間かけて滴下した。滴下終了後3時間の熟成を行った。得られた樹脂エマルジョンを常温まで冷却した後、イオン交換水と水酸
化ナトリウム水溶液とを添加して固形分25質量%、pH8に調整した。得られた樹脂エマルジョンにおける樹脂粒子のガラス転移温度は−6℃であった。
2.3.インク及びインクセットの作製
ブラック、マゼンタ、シアン、及びイエロー各色について、表2に記載の各成分を常温で1時間混合攪拌し、さらに孔径5μmのメンブランフィルターでろ過することにより、各インクを調製した。このようにして、動的表面張力及び静的表面張力の異なるインクを各色8種類ずつ、合計32種類のブラックインク(K)A1〜A8、マゼンタインク(M)A1〜A8、シアンインク(C)A1〜A8、イエローインク(Y)A1〜A8を得た。これらのインクを表3のように組み合わせてインクセット1〜8とした。なお、表2中の数値は、インク中の含有量(質量基準%)を表す。
下表2に、表3に記載のインクセットで使用したインクA1〜A8の組成を示す。下表3に、実施例及び比較例で使用したインクセット(インクの組合せ)を示す。なお、表2には、インクA1〜A8の動的表面張力及び静的表面張力を測定した値を併せて示した。各インクの動的表面張力は、20℃でバブルプレッシャー動的表面張力計(KRUSS社製、型式「BP100」)用いて測定した値である。各インクの静的表面張力は、20℃で自動表面張力計(協和界面科学株式会社製、型式「DY−300」)で白金プレートを用いて測定した値である。
Figure 2018144495
なお、表2中のアセチレン系界面活性剤及びシリコン系界面活性剤は、それぞれ以下のものを使用した。
・アセチレン系界面活性剤(エアプロダクツ社製、商品名「サーフィノール104PG50」、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール)
・シリコン系界面活性剤(ビックケミー・ジャパン株式会社製、商品名「BYK−348」)
Figure 2018144495
2.4.評価方法
(1)ブリードの評価
記録紙として、普通紙(ゼロックス4200紙)、チラシ用紙(エプソンビジネスイン
クジェットプリンター用コート紙)の2種類を用意した。表4に記載のインクセット及び記録条件で、インクジェットプリンターPX−A650(セイコーエプソン株式会社製)のヘッド並べてラインヘッドとし、ラインヘッドプリンターに改造し、400パッチからなる専用の出力パターンを印刷した。この場合における背景への滲み込みを目視により下記基準に基づき判定した。その結果を表4に併せて示した。
A:非常に良好(30倍の顕微鏡で観察しても滲みがない。)
B:良好(4ポイントの文字が読める。)
C:可(10ポイントの文字が読める。)
D:不可(10ポイントの文字が読めない。)
(2)裏抜けの評価
上記ブリードの評価と同様の方法で、記録紙としてゼロックス4200紙を使用し、その記録紙上に濃度85%のKCMYコンポジットブラックで10ポイントの文字を印刷した。得られた印刷物の裏面をコピー機でコピーした紙面について目視により下記基準に基づき判定した。その結果を表4に併せて示した。
A:非常に良好(裏面コピーで10ポイントの文字がコピーされない。)
B:良好(裏面コピーで10ポイントの文字がコピーされるが読めない。)
C:可(裏面コピーで10ポイントの文字がコピーされ、文字が読める。)
D:不可(裏面までインクが滲み出ている。)
2.5.評価結果
実施例及び比較例で使用したインクセット、記録条件、並びに評価試験の結果を、表4に示す。また、表4に記載の記録条件の詳細を表5に示す。本実施例及び比較例では、L値が最も低いインクがブラックインクとなり、L値が最も高いインクがイエローインクとなる。
Figure 2018144495
Figure 2018144495
表4の結果より、実施例1〜8のインクジェット記録方法によれば、インク間(特にカラー間)のブリードの発生を抑制でき、記録媒体におけるインクの裏抜けを効果的に防止できることが判った。
一方、比較例1のインクジェット記録方法では、記録する順番が最初にイエローインク、最後にブラックインクであったため、ブリードの発生や裏抜けが認められた。また、比較例2のインクジェット記録方法では、ブラックインクとイエローインクとの静的表面張力差が2mN/m以上であるため、特にカラー間でのブリードや凝集が発生し、カラー画質の大幅な低下が認められた。
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
10…インクジェット記録装置、11…記録用紙、12…プラテン、13…搬送ローラー、14…ステップモーター、15…ガイドレール、20…ラインヘッド、21a,21b,21c,21d…ノズル列、35…インクカートリッジ、40…コントローラー、41…CPU、42…ROM、43…RAM、44…フラッシュメモリー、45…インターフェイス、46…ユーザーPC、47…操作パネル

Claims (9)

  1. 1パス印字記録を2種以上のインクを用いて行うインクジェット記録方法であって、
    前記2種以上のインクの静的表面張力差がすべて2mN/m以下であり、
    最初にL値の最も低いインクを印字し、最後にL値の最も高いインクを印字することを特徴とする、インクジェット記録方法。
  2. 前記2種以上のインクの各々は、表面寿命が10msのときの動的表面張力が37〜48mN/mであることを特徴とする、請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  3. 前記2種以上のインクの各々が、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物および2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールを含有することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のインクジェット記録方法。
  4. 前記2種以上のインクの各々がジオール系溶剤を含有し、
    前記ジオール系溶剤の含有量は、L値の最も高いインクの方がL値の最も低いインクよりも多いことを特徴とする、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
  5. 前記2種以上のインクの各々がエーテル系溶剤を含有し、
    前記エーテル系溶剤の含有量は、L値の最も高いインクの方がL値の最も低いインクよりも少ないことを特徴とする、請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法に用いられるインクセットであって、
    ブラックインク、シアンインク、マゼンタインクおよびイエローインクを備え、
    前記各インクの表面寿命が10msのときの動的表面張力が37〜48mN/mであり、かつ、前記各インク間の静的表面張力差がすべて2mN/m以下であることを特徴とする、インクセット。
  7. 前記各インクが、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物および2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールを含有することを特徴とする、請求項6に記載のインクセット。
  8. 前記各インクがジオール系溶剤を含有し、
    前記ジオール系溶剤の含有量は、前記イエローインクの方が前記ブラックインクよりも多いことを特徴とする、請求項6または請求項7に記載のインクセット。
  9. 前記各インクがエーテル系溶剤を含有し、
    前記エーテル系溶剤の含有量は、前記イエローインクの方が前記ブラックインクよりも少ないことを特徴とする、請求項6ないし請求項8のいずれか一項に記載のインクセット。
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