JP2018144011A - 脱硫方法および脱硫装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】酸化性物質や6価のセレンの生成を抑制すると共に、優れた脱硫性能を有し、簡易な構成である脱硫方法および脱硫装置を提供する。
【解決手段】硫黄酸化物を含む被処理ガスを、反応槽内に収容されたアルカリ剤含有液中に導入し、アルカリ剤含有液に酸素を供給して、硫黄酸化物と酸素とアルカリ剤含有液中のアルカリ剤との反応により生じた生成物を、アルカリ剤含有液中に析出させる接触工程と、反応槽内の第1の領域から、アルカリ剤含有液と、析出した生成物とを含むスラリを抜き出す第1の抜き出し工程と、反応槽内の、または反応槽と連通する第2の領域から、スラリを還元できる流体を抜き出す第2の抜き出し工程と、第1の抜き出し工程で抜き出されたスラリと、第2の抜き出し工程で抜き出された流体とを混合する混合工程と、混合工程で混合されたスラリと流体との混合物から、固形分を分離回収する分離回収工程とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、ジェットバブリング方式の脱硫方法および脱硫装置に関する。
石炭焚き炉や石炭焚火力発電所から排出される燃焼排ガスには硫黄酸化物(SOx)が含まれており、この硫黄酸化物は脱硫装置によって取り除かれる。硫黄酸化物を含む燃焼排ガスから硫黄酸化物を除去する脱硫装置としては、ジェットバブリング方式やスプレ方式などが知られているが、ジェットバブリング方式の脱硫装置が脱硫性能に優れていることから広く用いられている。ジェットバブリング方式の脱硫装置とは、反応槽内において硫黄酸化物を含む排ガスをアルカリ剤含有液中にバブリングし、硫黄酸化物と酸素とアルカリ剤とを反応させて硫黄酸化物を除去するものである。
ジェットバブリング方式の脱硫装置では、反応によって生成する石膏が反応槽中に蓄積されるため、生成した石膏を含むスラリが反応槽中から抜き出される。そして、抜き出されたスラリは固液分離され、固形分である石膏が回収される。一方、固液分離によって石膏が回収された後の回収残液は、少なくとも一部が脱硫装置から排出される。
ここで、反応槽中から抜き出されるスラリに含まれる液は、高い酸化雰囲気、かつ、高pHであるため、酸化性物質や6価のセレン(Se6+)が含まれている。酸化性物質は排水処理装置の劣化を引き起こし、また、6価のセレンは世界各国において排出が規制されている。そこで、排水処理装置によって排水処理が行われ、酸化性物質や6価のセレンが取り除かれる。ところが、排水処理装置の設置コストや、処理時間を要するため、酸化性物質や6価のセレンを低減することが望まれており、系内の雰囲気を高い酸化雰囲気から低い酸化雰囲気(還元雰囲気に近い状態)にする試みが数多くなされている。
例えば、特許文献1に記載のジェットバブリング方式の湿式脱硫装置では、反応槽内に隔壁を設けることで、充分な酸素が供給される完全酸化域と、充分な酸素が供給されない不完全酸化域と、に反応槽が区画されている。この特許文献1にかかる脱硫装置によれば、完全酸化域において高脱硫率を確保するとともに、不完全酸化域において酸化性物質の低減を実現している。
しかしながら特許文献1の脱硫装置では、反応槽を完全酸化域と不完全酸化域とに区画する隔壁や、各域に異なる量の酸素を供給し得る酸素供給手段、各域に設けられた撹拌機など、多くの追加部材を反応槽の内部に設ける必要がある。また、これらの追加部材が内部に設けられた反応槽は機構が複雑化してしまう。
一方、特許文献2に記載のジェットバブリング方式の湿式脱硫装置では、反応槽から一旦抜き出された高い酸化雰囲気のスラリが、硫黄酸化物を含む燃焼排ガスと接触することで還元され、低い酸化雰囲気となった後に再び反応槽から抜き出され、装置外に排出・回収される。すなわち、再び反応槽から抜き出されたスラリは、硫黄酸化物を含む燃焼排ガスと接触することで、最初に反応槽から抜き出されたときよりも低い酸化雰囲気に還元されている。したがって、特許文献2にかかる脱硫装置によれば、簡素な構成で、排水処理装置への負荷の抑制と生成物の高回収率化および高純度化とを達成することができる。
ところが近年、排水規制は益々強化されており、さらに低い酸化雰囲気とすることで酸化性物質や6価のセレンの生成を抑制すると共に、優れた脱硫性能を有し、簡易な構成であるジェットバブリング方式の脱硫方法および脱硫装置が強く望まれている。
特許第4269379号公報 特開2015−71141号公報
そこで本発明は、酸化性物質や6価のセレンの生成を抑制すると共に、優れた脱硫性能を有し、簡易な構成である脱硫方法および脱硫装置を提供することを目的とする。
本発明の一実施形態にかかる脱硫方法は、硫黄酸化物を含む被処理ガスを、反応槽内に収容されたアルカリ剤含有液中に導入し、該アルカリ剤含有液に酸素を供給して、前記硫黄酸化物と前記酸素と前記アルカリ剤含有液中のアルカリ剤との反応により生じた生成物を、該アルカリ剤含有液中に析出させる接触工程と、前記反応槽内の第1の領域から、前記アルカリ剤含有液と、前記析出した生成物と、を含むスラリを抜き出す第1の抜き出し工程と、前記反応槽内の、または前記反応槽と連通する第2の領域から、前記スラリを還元できる流体を抜き出す第2の抜き出し工程と、前記第1の抜き出し工程で抜き出された前記スラリと、前記第2の抜き出し工程で抜き出された前記流体と、を混合する混合工程と、該混合工程で混合された前記スラリと前記流体との混合物から、固形分を分離回収する分離回収工程と、を備えることを特徴とする。
また、本発明の他の実施形態にかかる脱硫装置は、被処理ガス導入路と、該被処理ガス導入路から硫黄酸化物を含む被処理ガスが導入される被処理ガス導入室と、該被処理ガス導入室の下側に設けられアルカリ剤含有液がその下部に収容されるアルカリ剤含有液室と、前記被処理ガス導入室に導入された前記被処理ガスを前記アルカリ剤含有液室に収容された前記アルカリ剤含有液中に供給する気体下降管と、を有する反応槽と、前記アルカリ剤含有液室に収容された前記アルカリ剤含有液中に酸素を供給する酸素供給管と、前記アルカリ剤含有液室内の第1の領域から、前記アルカリ剤含有液と、前記硫黄酸化物と前記酸素と前記アルカリ剤含有液中のアルカリ剤との反応により生じた生成物のうち、前記アルカリ剤含有液中に析出した析出物と、を含むスラリを抜き出す第1の抜き出し部と、前記反応槽内の、または前記反応槽と連通する第2の領域から、前記スラリを還元できる流体を抜き出す第2の抜き出し部と、前記第1の抜き出し部が抜き出した前記スラリと、前記第2の抜き出し部が抜き出した前記流体と、を混合する混合槽と、該混合槽で混合された前記スラリと前記流体との混合物から、固形分を分離回収する分離回収部と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、酸化性物質や6価のセレンの生成を抑制すると共に、優れた脱硫性能を有し、簡易な構成である脱硫方法および脱硫装置を提供することができる。
本発明の第1の実施形態に係るジェットバブリング方式の脱硫装置の一例を示す模式図である。 混合槽内における被処理ガスの供給量に対する酸素の量の関係の一例を表すグラフである。 混合槽内における被処理ガスの供給量に対する酸素の量および酸化還元電位の関係の一例を表すグラフである。 本発明の第2の実施形態に係るジェットバブリング方式の脱硫装置の一例を示す模式図である。 図4に示す脱硫装置の要部拡大図である。 (a)本発明の第2の実施形態に係る脱硫装置の構成を示す概略断面図である。(b)本発明の第2の実施形態に係る脱硫装置の変形例の構成を示す概略断面図である。 アルカリ剤含有液の酸化還元電位に対する酸化性物質の濃度の関係を示すグラフである。 スラリの供給量に対する混合槽の酸化還元電位の関係を示すグラフである。 本発明の第3の実施形態に係るジェットバブリング方式の脱硫装置の一例を示す模式図である。
[第1の実施形態]
<脱硫装置>
本発明の第1の実施形態に係るジェットバブリング方式の脱硫装置を、図1を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態にかかるジェットバブリング方式の脱硫装置の一例を示す模式図である。ジェットバブリング方式とは、反応槽の下部に収容されたアルカリ剤含有液中に被処理ガスおよび酸素を導入し、被処理ガスとアルカリ剤含有液とを気液接触させてフロス層を形成しつつこれらを反応させ、硫黄酸化物を除去する方式である。
(硫黄酸化物、被処理ガス)
本発明において硫黄酸化物(SOx)としては、例えば亜硫酸ガス、あるいは、亜硫酸ガスが水に溶解したものなどの各種形態の二酸化硫黄等が挙げられる。また、硫黄酸化物を含むガス(被処理ガス)としては、石炭焚き炉や石炭焚火力発電所から排出される燃焼排ガス等が挙げられる。なお、例えば石炭の燃焼排ガス中には石炭由来のセレンが一定量含まれることが一般的であり、本発明ではこのような被処理ガス中に含まれるセレンに由来する6価セレンの生成を抑制することを目的の一つとしている。したがって、本発明の実施形態に係る脱硫装置において対象とする被処理ガスとしては、石炭の燃焼排ガスに限らず、例えば、石炭以外の燃料の燃焼排ガスであってセレンおよび硫黄酸化物を含有するガス等、種々の排ガスがその対象に含まれ得る。
(反応槽)
図1に示すように、ジェットバブリング方式の脱硫装置100は、ジェットバブリング方式の反応槽11を有する。なお、第1の実施形態における反応槽11は円筒状であるが、反応槽11は円筒状に限られるものではなく、箱形状(直方体形状)等の任意の形状とすることができる。
反応槽11は、被処理ガス導入室14と、アルカリ剤含有液室16と、被処理ガス排出室17と、を有する。また、反応槽11には、被処理ガス導入路12と、被処理ガス排出口13と、が設けられている。
被処理ガス導入路12は、反応槽11の側壁中央部付近に突出して設けられ、被処理ガスを被処理ガス導入室14に導入する。
被処理ガス導入室14は、反応槽11の内部の鉛直方向中央部に設けられ、被処理ガス導入路12から硫黄酸化物を含む被処理ガスが導入される。
アルカリ剤含有液室16は、被処理ガス導入室14の下側に設けられ、下部にアルカリ剤含有液15を収容し得る構成となっている。
被処理ガス排出室17は、被処理ガス導入室14の上側に設けられ、被処理ガス排出口13と連通する。
被処理ガス排出口13は、反応槽11の側壁上部に突出して設けられ、アルカリ剤含有液室16で脱硫処理された被処理ガスを、被処理ガス排出室17から排出する。
被処理ガス導入室14とアルカリ剤含有液室16とは、反応槽11を横断する第1隔壁18で仕切られている。また、被処理ガス導入室14と被処理ガス排出室17とは、反応槽11を横断する第2隔壁19で仕切られている。
第1隔壁18は被処理ガス導入室14の底面を兼ねている。第1隔壁18には、下方に延びアルカリ剤含有液15の液面21よりも下方まで達する複数の気体下降管22が設けられており、気体下降管22は被処理ガス導入室14とアルカリ剤含有液室16とを連通している。したがって、被処理ガス導入室14に導入された被処理ガスが、複数の気体下降管22を介してアルカリ剤含有液室16に収容されたアルカリ剤含有液15中に供給される。気体下降管22の下側には複数の小さな開口が設けられており、気体下降管22から噴出される被処理ガスがアルカリ剤含有液15中に分散される。
第2隔壁19は被処理ガス排出室17の底面を兼ねている。第2隔壁19には、下方に延び、被処理ガス導入室14の水平方向中央部を貫通してアルカリ剤含有液室16まで達する連通管25が設けられており、連通管25はアルカリ剤含有液室16と被処理ガス排出室17とを連通している。したがって、アルカリ剤含有液室16内において脱硫された被処理ガスが、アルカリ剤含有液室16内の液面21上の空間である空間部26から、連通管25を介して被処理ガス排出室17に至り、被処理ガス排出口13から排出される。
なお、被処理ガス排出室17や連通管25を省略し、空間部26に連通するように被処理ガス排出口13を設け、空間部26が図1に示すような被処理ガス排出室17を兼ねるようにしてもよい。
被処理ガス導入路12内には、配管31を経由した工業用水を被処理ガスに噴霧する、工業用水供給管32が設けられている。工業用水は、被処理ガスを加湿する加湿液として用いられており、被処理ガスを加湿、冷却する。被処理ガス導入路12内において噴霧される加湿液は工業用水に限られるものではなく、例えば、水など、被処理ガスを加湿し得る液体であれば特に制限はない。なお、配管31および工業用水供給管32は、必ずしも設けられていなくてもよい。また、被処理ガス導入路12内および被処理ガス導入室14内には、工業用水供給管32以外にも加湿液を供給する他の部材が設けられていてもよい。
反応槽11には、アルカリ剤含有液15を撹拌する撹拌機27が設けられている。撹拌機27は、所定の回転速度で回転し、アルカリ剤含有液室16中に収容されたアルカリ剤含有液15を撹拌する。
(酸素供給管)
反応槽11のアルカリ剤含有液室16の底部近傍には、酸素供給管38の一端が敷設されている。酸素供給管38の他端は、反応槽11の外部の酸素供給源(不図示)に接続されている。そして、アルカリ剤含有液室16に収容されたアルカリ剤含有液15中には、酸素が酸素供給管38によって供給される。
アルカリ剤含有液15中に供給された酸素は、アルカリ剤含有液15中に溶解しているアルカリ剤および硫黄酸化物と反応する。酸素とアルカリ剤と硫黄酸化物との反応により生じた生成物の一部は、アルカリ剤含有液15中に析出して析出物となる。以下、析出物が懸濁したアルカリ剤含有液(析出物を高濃度で含有するアルカリ剤含有液)をスラリと称する。
なお、酸素供給管38は、アルカリ剤含有液15中に酸素供給源から酸素を含む液体や気体を供給すればよいが、経済的な観点から空気を供給することが好ましい。
(第1の抜き出し部、第1の領域)
スラリを内部に収容するアルカリ剤含有液室16の側壁底部には、ポンプ34に接続された配管33が設けられている。ポンプ34は、配管33を介してアルカリ剤含有液室16内からスラリを抜き出す。ポンプ34の出口側には配管35の一端が接続されており、配管35の他端は詳細を後述する混合槽36に接続されている。したがって、アルカリ剤含有液室16から抜き出されたスラリは、配管33、ポンプ34、配管35を介して混合槽36に収容される。
配管33、ポンプ34および配管35が第1の抜き出し部を構成している。また、アルカリ剤含有液室16内のうち、配管33が設けられている位置の近傍が第1の領域であり、この第1の領域から第1の抜き出し部によってスラリが抜き出される。
配管33のポンプ34側の端部に対して反対側の端部は、アルカリ剤含有液室16の側壁底部に接続された構成に限定されるものではなく、アルカリ剤含有液室16内のスラリを抜き出せる位置に設けられた構成であれば特に制限はない。ただし、アルカリ剤含有液室16内でも、高い酸化性雰囲気のスラリを抜き出せることから、配管33の端部がアルカリ剤含有液室16の底部(被処理ガスを供給する気体下降管22よりも酸素を供給する酸素供給管38に近い領域)に設けられていることが好ましい。アルカリ剤含有液室16の底部は、スラリ中の酸素の濃度が高く、高い酸化性雰囲気であるため、酸化性物質や6価のセレンの濃度が高いものの、還元物を含まず、煤塵も少ない良好な石膏を抜き出すには特に好適な領域である。ここから抜き出したスラリは、スラリを還元できる流体(詳細は後述する)と共に混合して用いることで、酸化性物質や6価のセレンの低減をも同時に達成することができる。
なお、配管33は、アルカリ剤含有液室16の底部のうち、底面部分に設けられていてもよいが、側壁部分に設けられていることがより好ましい。また、撹拌機27の停止時に沈積石膏によって配管33がより閉塞しづらく、尚且つ、良好な品質の石膏を抜き出し得るように、配管33の下端を撹拌機27の停止時におけるスラリ沈降高さにあわせることが特に好ましい。
(第2の抜き出し部、第2の領域)
一方、反応槽11には、ポンプ34によって抜き出されたスラリを還元できる流体を抜き出す配管37の一端が、被処理ガス導入室14の側壁のうち、被処理ガス導入路12が設けられている位置に対して反対側の位置に設けられている。配管37の他端は、詳細を後述する混合槽36の内部にまで延在している。したがって、混合槽36内に収容されたスラリ中には、被処理ガス導入室14から抜き出された被処理ガスが、配管37を介して供給される。
すなわち、第1の実施形態では、被処理ガス導入室14から抜き出されて配管37を介して混合槽36に供給される被処理ガスが、スラリを還元できる流体である。また、配管37が第2の抜き出し部を構成している。このとき、被処理ガス導入室14内のうち、配管37が設けられている位置の近傍が第2の領域であり、この第2の領域からスラリを還元できる流体である被処理ガスが抜き出される。
なお、第1の抜き出し部から抜き出されたスラリを還元できる流体は、被処理ガスに限定されない。反応槽11、または反応槽11と連通する反応槽11の外部から抜き出し得る流体であって、第1の抜き出し部から抜き出されたスラリを還元できる流体であれば特に制限はない。例えば、アルカリ剤含有液室16中のフロス層28からフロス流体を抜き出して、スラリを還元できる流体として用いてもよい。フロス層28からフロス流体を抜き出してスラリを還元できる流体として用いる例については後述する。
スラリを還元できる流体として被処理ガスを用いる場合、配管37の設置箇所は、アルカリ剤含有液室16に収容されたアルカリ剤含有液15中に供給される前の被処理ガスを抜き出すことができる位置であれば特に制限はない。例えば、反応槽11内の場合、配管37が、被処理ガス導入室14の任意の位置や、気体下降管22内の任意の位置に設けられていてもよい。また例えば、反応槽11と連通する反応槽11の外部の場合、反応槽11に連通する被処理ガス導入路12の任意の位置や、被処理ガス導入路12を介して反応槽11に連通してなり、被処理ガスを生成する外部装置から被処理ガス導入路12に至るまでを連絡する連絡路(不図示)内の任意の位置に設けられていてもよい。
また、被処理ガス導入室14内の被処理ガスは、被処理ガス導入室14内の自圧によって配管37を経由して混合槽36内のスラリ中に供給されるが、コンプレッサーなどを設けて供給してもよい。
(混合槽)
反応槽11の外部には、混合槽36が設けられている。
配管35の一端は混合槽36に接続され、他端はスラリをアルカリ剤含有液室16から抜き出すポンプ34に接続されている。したがって、スラリがポンプ34によって混合槽36に供給される。
また、配管37の一端は混合槽36に接続されると共に混合槽36の内部にまで延在し、他端は被処理ガス導入室14の側壁に接続されている。したがって、被処理ガスが配管37を介して混合槽36に供給される。
例えば、700MWのボイラー排ガスで、排ガス中のSO2の濃度が700ppmの場合、配管37として、4インチ(10.16cm)の径のPVC(ポリ塩化ビニル;polyvinyl chloride)管を1本設けて、配管37を流れる被処理ガスの流量を300〜600Nm3/h−wetとする。
混合槽36中にはスラリと被処理ガスとを混合する撹拌機41が設けられており、所定の回転速度で回転される。
さらに、配管49の一端が混合槽の上部に接続されている。配管49の他端は、アルカリ剤含有液室16の側壁上部(フロス層28よりも上の空間部26に対応した側壁部分)に接続されている。したがって、混合槽36内でスラリと充分に気液接触して脱硫された後の被処理ガスが、混合槽36内の上部から配管49を介してアルカリ剤含有液室16内の空間部26に供給される。
混合槽36は、第1の抜き出し部が抜き出したスラリと、第2の抜き出し部が抜き出した流体と、を混合して混合物とするものであれば特に制限はない。混合槽36内では、高い酸化性雰囲気であるスラリが、スラリよりも低い酸化性雰囲気である被処理ガスによって還元され、酸化性物質や6価のセレンが低減される。
この混合槽36内における還元反応についてより詳しく説明する。
アルカリ剤含有液室16内で生じる脱硫反応では溶存酸素が必要となるため、酸素供給管38から酸素が供給される。ところが、酸素によって引き起こされる酸化反応が進みすぎると、4価のセレン(Se4+)が酸化されて6価のセレン(Se6+)が生じると共に、酸化性物質が増加する。したがって、アルカリ剤含有液室16内のスラリは6価のセレンや酸化性物質が増加し易く、特に、酸素供給管38の近傍は高い酸化性雰囲気であるため6価のセレンや酸化性物質の濃度が高い。ただし、アルカリ剤含有液室16の底部のスラリは、酸化性物質や6価のセレンの濃度が高いものの、還元物を含まず、煤塵も少ない良好な石膏含む。
一方、反応槽11内、または反応槽11と連通する反応槽11の外部には、第1の抜き出し部が抜き出したスラリを還元できる流体が存在している。
そこで、第1の実施形態においては、被処理ガスの一部が被処理ガス導入室14内から抜き出されて、混合槽36内に収容された高い酸化性雰囲気のスラリと混合される。被処理ガスはスラリよりも低い酸化性雰囲気であることから、高い酸化性雰囲気のスラリは混合槽36内で還元される。その結果、混合槽36内では6価のセレンが4価のセレンに還元され、酸化性物質が低減される。また、このときの混合槽36内では脱硫反応が生じるため、混合槽36内に供給された被処理ガスは、スラリ中にバブリングされて充分に脱硫された後に、配管49を介してアルカリ剤含有液室16内の空間部26に至る。
したがって、第1の実施形態の脱硫装置は、混合槽36内において還元反応と脱硫反応とを充分に生じさせることで、酸化性物質や6価のセレンの生成を抑制と、優れた脱硫性能と、を簡易な構成で実現できる。
図2は、混合槽36内における被処理ガスの供給量に対する酸素の量の関係の一例を表すグラフである。
700MWのボイラー排ガスで、排ガス中のSO2の濃度が700ppmの場合、配管37として、4インチ(10.16cm)の径のPVC(ポリ塩化ビニル;polyvinyl chloride)管が1本設けて、配管37を流れる被処理ガスの流量を変化させたときの混合槽36内の酸素の量を測定し、図2に示した。
図2によれば、被処理ガスの流量を変化させることで、グラフ中の点線よりも上の領域である酸素が存在する酸化性雰囲気と、点線よりも下の領域である酸素が存在しない還元性雰囲気と、を互いに移行し得ることがわかる。
また、図3は、混合槽36内における被処理ガスの供給量に対する酸素の量および酸化還元電位の関係の一例を表すグラフである。図2の場合と同様にして、被処理ガスの流量を変化させたときの混合槽36内の酸素量および酸化還元電位(Oxidation-Reduction Potential;ORP)を測定し、図3に示した。図3において点線が混合槽36内のORP、実線が混合槽36内の溶存酸素量を示す。
図3によれば、被処理ガスの流量を変化させることで、ORP200mV以下を達成できることがわかる。ORPが200mV以下となる場合、すなわち、図3において被処理ガスの導入量が400Nm/h−wet以上の場合、混合槽36内の溶存酸素量が0近傍かそれ以下であり、酸化性雰囲気のスラリが還元され、還元性雰囲気または還元性雰囲気に近い状態になっていることがわかる。
(測定部)
混合槽36には、混合槽36内の混合物の酸化還元電位を測定する測定部であるORP測定部50が設けられている。ORP測定部50は、混合槽36内の混合物の酸化還元電位を測定することができるものであれば特に制限はない。ORP測定部50が測定した酸化還元電位は、詳細を後述する制御部(不図示)に送られる。
(分離回収部)
混合槽36の側壁には、ポンプ43に接続された配管42が設けられている。混合槽36で混合されたスラリと被処理ガスとの混合物は、混合槽36内から配管42を介してポンプ43によって抜き出される。そして、ポンプ43の出口側には配管44の一端が接続されており、配管44の他端には固液分離機46が接続されている。固液分離機46は、混合槽36内から抜き出された混合物を固液分離して、固形分を分離回収する。固液分離機46が分離回収部である。
(排水処理装置)
固液分離機46の後段には、排水処理装置が接続されている。排水処理装置には、固液分離機46に接続された配管45を経由して、固液分離機46で固形分が回収された後の回収残液が供給される。排水処理装置は、回収残液から窒素化合物やCOD(Chemical Oxygen Demand)成分、6価セレン等を除去して排水として排出可能とする。
(アルカリ剤導入部)
配管45から分岐した配管47が、反応槽11のアルカリ剤含有液室16に接続されている。配管47には、石灰石等のアルカリ剤を導入するアルカリ剤導入部48が途中に設けられている。アルカリ剤導入部48は、固液分離された回収残液の一部にアルカリ剤を導入し、再びアルカリ剤含有液室16中のアルカリ剤含有液15として利用可能にする。
なお、配管47およびアルカリ剤導入部48は、必ずしも設けられていなくてもよい。
(制御部)
前述したように、制御部(不図示)には、ORP測定部50が測定した混合槽36内の混合物の酸化還元電位が送られてくる。
制御部は、この酸化還元電位に基づいて配管37に設けられた不図示のバルブ等を制御して、被処理ガス導入室14から抜き出される被処理ガスの量(スラリを還元できる流体の量)を任意の量に調整することができる。
なお、制御部は、被処理ガス導入室14から抜き出される被処理ガスの量に加えて、アルカリ剤含有液室16から抜き出されるスラリの量を制御することもできる。制御部は、ポンプ34、または配管33,35に設けられた不図示のバルブ等を制御して、アルカリ剤含有液室16から抜き出されるスラリの量を任意の量に調節することができる。
制御部は、ORP測定部50が測定する酸化還元電位が200mV以下となるように、抜き出される被処理ガスの量を制御することが好ましく、0mV以上150mV以下となるように制御することがより好ましい。
以上のようにして混合槽36内の混合物のORPが調整された後、固液分離機46で固形分が分離回収される。
以上説明した本発明に係る第1の実施形態の脱硫装置によれば、酸化性物質や6価のセレンの生成の抑制と、優れた脱硫性能と、を簡易な構成で実現できる。
<脱硫方法>
ついで、上記した脱硫装置100を用いた脱硫方法について、図1を参照しながら説明する。ここで、第1の実施形態の脱硫方法は、接触工程と、第1の抜き出し工程と、第2の抜き出し工程と、混合工程と、分離回収工程と、を少なくとも備える。以下、各工程について順に説明する。
(接触工程)
接触工程は、硫黄酸化物を含む被処理ガスを、反応槽11内に収容されたアルカリ剤含有液15中に導入し、アルカリ剤含有液15に酸素を供給して、硫黄酸化物と酸素(溶存酸素)とアルカリ剤含有液15中のアルカリ剤との反応により生じた生成物を、アルカリ剤含有液15中に析出させる。
図1に示す例では、まず、硫黄化合物を含む被処理ガスが反応槽11に設けられた被処理ガス導入路12に導入される。被処理ガス導入路12に導入された被処理ガスは、工業用水供給管32から噴霧された工業用水に接触する。工業用水は被処理ガスを加湿・冷却する加湿液である。加湿液に被処理ガスが接触すると、被処理ガスが加湿されて装置内の乾燥によるスケールの発生を抑制できる。
次に、加湿された被処理ガスは、被処理ガス導入室14を経由して気体下降管22に流れ込む。気体下降管22に流れ込んだ被処理ガスは、アルカリ剤含有液室16に達し、アルカリ剤含有液室16内に収容されたアルカリ剤含有液15の液面21の下に位置する気体下降管22の下端近傍に位置する複数の穴から噴出する。気体下降管22の下端近傍に位置する複数の穴から噴出した被処理ガスは気泡状となり、アルカリ剤含有液15中で分散し、アルカリ剤含有液と気液接触しながら上昇する。
こうして、被処理ガスの気体不連続相と、アルカリ剤含有液の液連続相と、からなる気液接触層であるフロス層28が、アルカリ剤含有液15の液面21上に形成される。アルカリ剤含有液15には、酸素供給管38から酸素が供給されるため、フロス層28では、被処理ガスが含有する硫黄酸化物とアルカリ剤含有液15中の酸素およびアルカリ剤とが反応する。一連の流れの中で、被処理ガス中のSO2等の硫黄酸化物がアルカリ剤含有液中に溶解することで被処理ガス中から除去される。
硫黄酸化物と酸素とアルカリ剤との反応では、被処理ガスに含まれるSO2等の硫黄酸化物がアルカリ剤および酸素と反応し、反応によって生じた生成物の一部がアルカリ剤含有液15中に析出する。
例えば、硫黄酸化物がSO2を含み、アルカリ剤として石灰石(CaCO3)を用いた場合は、下記(1)式の反応が起こる。すなわち、下記(1)式の反応では、生成物である石膏(CaSO4・2H2O)が生じ、その一部が析出物としてアルカリ剤含有液15中に析出する。一方、被処理ガスからは硫黄酸化物が除去される。
SO2+2H2O+1/2O2+CaCO3→CaSO4・2H2O+CO2 (1)
アルカリ剤含有液が含有するアルカリ剤とは、酸を中和する中和剤であり、例えば炭酸カルシウム、水酸化ナトリウム等が挙げられる。また、アルカリ剤含有液の溶媒としては、水が挙げられる。
硫黄酸化物が除去された被処理ガスは、アルカリ剤含有液室16の上部の空間部26、連通管25および被処理ガス排出室17を経由して、被処理ガス排出口13から排出される。
(第1の抜き出し工程)
そして、第1の抜き出し工程は、反応槽11(アルカリ剤含有液室16)内の第1の領域から、脱硫反応で生じて析出した生成物を高濃度で含有するアルカリ剤含有液(以下、スラリと称する)を抜き出す。第1の領域は、後述する第2の領域よりも高い酸化性雰囲気の領域である。
図1に示す例では、アルカリ剤含有液室16内の側壁底部近傍の領域が第1の領域である。このとき、第1の抜き出し工程は、アルカリ剤含有液室16内の側壁底部近傍の領域から、ポンプ34によって配管33を経由してスラリを抜き出す。抜き出されたスラリは、配管35を経由して混合槽36内に収容される。ただし、本発明は図1に示される構成に何ら限定されるものではない。
第1の抜き出し工程は、アルカリ剤含有液室16内の側壁底部以外の領域からスラリを抜き出してもよい。スラリを抜き出す領域、すなわち第1の領域は、アルカリ剤含有液室16内においてスラリを抜き出し得る領域であれば特に制限はない。ただし、アルカリ剤含有液室16の底部は、スラリ中の酸素の濃度が高く、高い酸化性雰囲気であるため、酸化性物質や6価のセレンの濃度が高いものの、還元物を含まず、煤塵も少ない良好な石膏を抜き出すには特に好適な領域である。ここから抜き出したスラリは、スラリを還元できる流体(詳細は後述する)と共に混合して用いることで、酸化性物質や6価のセレンの低減をも同時に達成することができる。
(第2の抜き出し工程)
一方、第2の抜き出し工程は、反応槽11に導入された被処理ガスの一部を、被処理ガス導入室14の第2の領域から抜き出す。第2の領域は、第1の抜き出し工程で抜き出されたスラリを還元し得る雰囲気の領域である。
図1に示す例では、被処理ガス導入室14内の側壁近傍が第2の領域である。このとき、第2の抜き出し工程は、被処理ガス導入室14内の側壁近傍の領域から、配管37によって被処理ガス導入室14内の被処理ガスの一部を抜き出す。抜き出された被処理ガスは、混合槽36内に収容されたスラリ中に供給される。被処理ガスはスラリよりも低い酸化性雰囲気であるため、スラリを還元することができる。ただし、本発明は図1に示される構成に何ら限定されるものではない。
第2の抜き出し工程は、第1の抜き出し工程で抜き出されたスラリを還元できる流体を反応槽11、または反応槽11に連通された反応槽11の外部から抜き出すことができれば特に制限はない。したがって、第2の抜き出し工程は、第1の抜き出し工程で抜き出されたスラリを還元できる流体として、被処理ガスの一部以外の流体を抜き出してもよい。また、第2の抜き出し工程においてスラリを還元できる流体を抜き出す領域、すなわち、第2の領域は、被処理ガス導入室14内の側壁近傍以外の領域であってもよく、反応槽11内の被処理ガス導入室14以外の領域であってもよく、反応槽11に連通した反応槽11の外部であってもよい。
被処理ガスを抜き出す場合、第2の抜き出し工程は、アルカリ剤含有液15中に導入される前の被処理ガスの一部を抜き出すことが好ましい。なお、第2の抜き出し工程は、反応槽11に導入される前の被処理ガスの一部を抜き出してもよく、反応槽11に導入された後の被処理ガスの一部を抜き出してもよい。したがって、第2の抜き出し工程は、気体下降管22内、被処理ガス導入室14内または被処理ガス導入路12内、もしくは、被処理ガス導入路12を介して反応槽11に連通してなり、被処理ガスを生成する外部装置から被処理ガス導入路12に至るまでを連絡する連絡路(不図示)内から被処理ガスを抜き出すことができる。
(混合工程)
混合工程は、第1の抜き出し工程で第1の領域から抜き出されたスラリと、第2の抜き出し工程で第2の領域から抜き出されたスラリを還元できる流体と、を混合する。
図1に示す例では、混合工程は、混合槽36内に収容された、アルカリ剤含有液室16内から抜き出されたスラリ中に、被処理ガス導入室14内から抜き出された被処理ガスの一部を供給し、バブリングすることでこれらを混合する。また、混合工程は、混合槽36に設けられた撹拌機41を所定の回転速度で回転させて、スラリと被処理ガスとの混合を促進させることが好ましい。
混合工程では、高い酸化性雰囲気であるスラリが、スラリよりも低い酸化性雰囲気である被処理ガスによって還元され、酸化性物質や6価のセレンが低減される。また、混合工程でスラリと混合された被処理ガスは、スラリ中で気液接触することで脱硫され、配管49を介してアルカリ剤含有液室16中の空間部26に導入される。
(測定工程)
また、測定工程が、混合工程で得られた混合物の酸化還元電位を測定することが好ましい。
図1に示す例では、混合槽36内には酸化還元電位を測定するORP測定部50が設けられており、測定工程は、混合槽36内の(スラリと被処理ガスとの)混合物の酸化還元電位を測定する。そして、詳細を後述する制御工程は、測定された酸化還元電位に基づいて、第1の抜き出し工程において抜き出されるスラリの量を制御することが好ましい。
(分離回収工程)
分離回収工程は、混合工程で混合されたスラリと流体との混合物から、固形分を分離回収する。
図1に示す例では、分離回収工程は、混合槽36内で混合されたスラリと被処理ガスとの混合物から、固液分離機46によって固形分を分離回収する。なお、混合物から固形分が分離回収された後の回収残液は、固液分離機46の出口側に接続された配管45を経由して排水処理装置に供給され、排水処理装置で排水処理される(排水処理工程)。
(排水処理工程)
排水処理工程は、固液分離機46で固形分(析出物)が分離回収された後の回収残液から、窒素化合物やCOD、6価のセレン等を除去する。排水処理は外部に設けられた排水処理装置で行われる。
排水処理装置には、固液分離機46で固形分が分離回収された後の回収残液が、配管45を経由して供給される。この回収残液は、酸化性物質や6価のセレンの量が低減されているため、新たな排水処理装置を設ける必要がない、もしくは、排水処理の負荷を低減することができる。
(アルカリ剤導入工程)
また、アルカリ剤導入工程が、固液分離機46で固形分が分離された回収残液のうちの一部に石灰石等のアルカリ剤を導入し、再びアルカリ剤含有液室16内に供給し得るアルカリ剤含有液15とすることが好ましい。
図1に示す例では、固液分離機46の出口側に接続された配管45から分岐した配管47が設けられており、アルカリ剤導入工程は、石灰石等のアルカリ剤を配管47の途中に設けられたアルカリ剤導入部48によって回収残液の一部に導入する。アルカリ剤が導入された回収残液の一部は、配管47を介してアルカリ剤含有液室16内に収容され、アルカリ剤含有液15として用いられる。
(制御工程)
次に、上述した制御工程について、制御方法の具体例を挙げて詳細に説明する。
前述したように、制御工程は、測定工程で測定された酸化還元電位に基づいて、第1の抜き出し工程において抜き出すスラリの量を制御する。
図1に示す例では、混合槽36内にORP測定部50が設けられており、制御工程は、制御部(不図示)が受け取ったORP測定部50から送られてきた混合槽36内の混合物の酸化還元電位に基づいて、第2の抜き出し工程において抜き出される被処理ガスの量(スラリを還元できる流体の量)を制御する。
なお、制御工程は、第2の抜き出し工程において抜き出される被処理ガスの量に加えて、第1の抜き出し工程において抜き出されるスラリの量を制御することもできる。
制御工程は、測定工程でORP測定部50が測定する酸化還元電位が200mV以下となるように、抜き出される被処理ガスの量を制御することが好ましく、0mV以上150mV以下となるように制御することがより好ましい。
以上説明した本発明に係る第1の実施形態の脱硫方法によれば、酸化性物質や6価のセレンの生成の抑制と、優れた脱硫性能と、を簡易な構成で実現できる。
[第2の実施形態]
図4は本発明の第2の実施形態にかかるジェットバブリング方式の脱硫装置を示す模式図である。図5は、図4に示す脱硫装置の要部拡大図であって、溢流堰60およびその近傍の構成を示す。以下、第2の実施形態について説明するが、第1の実施形態と同じ部材には同じ符号を付し、重複する説明は省略する。
図4および図5に示すように、第2の実施形態の脱硫装置200は、図1に示す第1の実施形態の脱硫装置100における配管37の代わりに、溢流堰60および配管71を備える。したがって、第2の実施形態の脱硫装置200と第1の実施形態の脱硫装置100とを比較すると、第2の抜き出し部(第2の抜き出し工程)が異なり、また、図示を省略する制御部(制御工程)も異なっている。第2の実施形態の脱硫装置200と第1の実施形態の脱硫装置100とでは、第2の抜き出し部および制御部以外は同一である。
以下、脱硫装置200の第2の抜き出し部(第2の抜き出し工程)および制御部(制御工程)について詳述する。
(第2の抜き出し部、第2の抜き出し工程、第2の領域)
第2の実施形態では、アルカリ剤含有液室16内の側壁近傍に、アルカリ剤含有液15の液面21よりも下の位置から液面21の上方まで延伸した溢流堰60が設けられている。アルカリ剤含有液15の液面21上に形成されたフロス層28を構成するフロス流体は、溢流堰60をオーバーフローして、アルカリ剤含有液室16の側壁側に流入する。一方、フロス層28の下部に位置するアルカリ剤含有液15は、溢流堰60に堰き止められるため、溢流堰60の上方を流れることはなく(オーバーフローしない)、アルカリ剤含有液室16の側壁側には流入しない。
溢流堰60について図5を参照してさらに詳細に説明する。
第2の実施形態の溢流堰60は、側板61と、開口部62aを有する底板62と、を備える。また、溢流堰60の下部には上昇流抑止板63が設けられている。
側板61は、アルカリ剤含有液15の静止液面よりも上方に延在しており、アルカリ剤含有液15を堰き止めて、フロス層28からフロス流体をオーバーフローさせる。したがって、側板61は、アルカリ剤含有液15の静止液面よりも上方、かつ、フロス層28の上端よりも下方にまで延在していることが好ましい。具体的には、側板61は、静止液面(標準液面高さ)よりも50mm以上上方に延在していることが好ましく、100mm以上300mm以下上方に延在していることがより好ましい。
ここで静止液面とは、気体下降管22から被処理ガスが噴出される前の静止した液面である。なお、静止液面は液面21よりも少し上方に位置する。
なお、排煙脱硫装置200の停止時にフロス層28中の固形物が溢流堰60の底板62に沈積することで、排煙脱硫装置200の運転時に溢流機能を損なう場合があった。そこで、底板62は、図5に示す例では傾斜して配置されており、開口部62aを有する。開口部62aを設けることで、フロス層28中の固形物が溢流堰60外に排出され、沈積を抑制することができる。
開口部62aの形状に特に制限はないが、例えば、直径25mm以上50mm以下の円形形状である。図5に示す例では、1つの開口部62aが設けられているが、複数個の開口部62aが設けられていてもよい。
上昇流抑止板63は、開口部62aの下方に設けられている。上昇流抑止板63は、アルカリ剤含有液室16の側壁近傍において撹拌機27によって生じる溢流堰60外のアルカリ剤含有液15の上昇流が、開口部62aを通過して底板62の上方に流入すること(溢流堰60内への混入)を抑制できる。また、上昇流抑止板63は、酸素供給管38から供給される気体が開口部62aを通過して底板62の上方に流入することも抑制できる。
そして、溢流堰60をオーバーフローしたフロス流体を抜き出す配管71の一端が、アルカリ剤含有液室16の側壁に設けられている。配管71の他端は、混合槽36の内部にまで延在している。したがって、混合槽36内に収容されたスラリ中には、アルカリ剤含有液室16内の溢流堰60を経由して抜き出されたフロス流体が、配管71を介して供給される。
すなわち、第2の実施形態では、アルカリ剤含有液室16から配管71を介して抜き出されて混合槽36に供給されるフロス流体が、スラリを還元できる流体である。また、第2の実施形態では、溢流堰60と、配管71と、が第2の抜き出し部を構成している。このとき、アルカリ剤含有液室16内のうち、配管71が設けられている位置の近傍、すなわち、溢流堰60とアルカリ剤含有液室16の側壁とで区画された領域が第2の領域である。第2の抜き出し部が、スラリを還元できる流体であるフロス流体を第2の領域から抜き出す。なお、溢流堰60を設けずに直接配管71からフロス流体を抜き出すこともできるが、フロス層28の下部に位置するアルカリ剤含有液15が大量に混入する場合があるため、溢流堰60を設けてフロス流体を囲い込むことが好ましい。また、フロス流体は気液二相からなるが、気体の比率が高いため、溢流堰60を設ける方が、直接配管71から抜き出すよりも有効な液量を確保し易いため好ましい。
配管71の設置箇所は、溢流堰60をオーバーフローしたフロス流体を抜き出すことができる位置であれば特に制限はないが、アルカリ剤含有液15の液面21(標準液面高さ)よりも上方、かつ、フロス層28の上端よりも下方のアルカリ剤含有液室16の側壁に設けられていることが好ましい。具体的には、配管71は、アルカリ剤含有液15の静止液面(標準液面高さ)から100mm下方から200mm上方のアルカリ剤含有液室16の側壁の範囲内に設けられていることが好ましい。
なお、フロス層28を構成するフロス流体は、脱硫反応で生成して析出した析出物と、アルカリ剤含有液と、脱硫反応で脱硫された被処理ガスと、を含み、さらに、被処理ガス中に含まれていた煤塵などの不純物も含む。このような様々な成分を含むフロス流体が、配管71を介して混合槽36に供給される。
第2の実施形態では、脱硫装置200は複数の溢流堰60を備える。図4および図5においては発明の理解のため、1つの溢流堰60のみが図示されており、他は図示が省略されている。
図6(a)は、第2の実施形態に係る脱硫装置の構成を示す概略断面図である。なお、図6(a)においては発明の理解のため、反応槽11の側壁および溢流堰60以外の構成については図示が省略されている。
図6(a)に示すように、溢流堰60は、円筒状の反応槽11の側壁に沿って等間隔で4個設けられている。溢流堰60は4個に限られるものではなく、任意の数を設けることができる。複数の溢流堰60は等間隔で配置されていることが好ましい。
また、図6(b)は、第2の実施形態に係る脱硫装置の変形例の構成を示す概略断面図である。図6(b)においても発明の理解のため、反応槽11の側壁および溢流堰60以外の構成については図示が省略されている。
図6(b)に示すように、溢流堰60は、直方体形状の反応槽11の側壁に沿って等間隔で4個設けられている。このとき、反応槽11の水平方向断面において、溢流堰60は反応槽11の四隅に設けられていてもよいが、長方形形状である断面の各辺の中点近傍に設けられていることが好ましい。中点近傍に溢流堰60が設けられている場合、四隅である場合と比較してフロス流体の流動が良好となり、フロス層28とアルカリ剤含有液15との入れ替えがより促進されるため好ましい。
(制御部、制御工程)
第2の実施形態では、制御部は、混合槽36内の混合物の酸化還元電位に基づいて、ポンプ34、または配管33,35に設けられた不図示のバルブ等を制御して、アルカリ剤含有液室16から抜き出されるスラリの量を任意の量に調節することができる。
なお、制御部は、アルカリ剤含有液室16から抜き出されるスラリの量に加えて、アルカリ剤含有液室16から抜き出されるフロス流体の量を制御することもできる。制御部は、配管71に設けられた不図示のバルブ等を制御して、アルカリ剤含有液室16内のフロス層28から抜き出されるフロス流体を任意の量に調整することができる。
制御部は、ORP測定部50が測定する酸化還元電位が200mV以下となるように、抜き出されるスラリの量を制御することが好ましく、0mV以上150mV以下となるように制御することがより好ましい。
以上説明した本発明に係る第2の実施形態の脱硫方法によれば、酸化性物質や6価のセレンの生成の抑制と、優れた脱硫性能と、を簡易な構成で実現できる。
ここで、第2の実施形態の脱硫装置200において、アルカリ剤含有液室16から抜き出されるスラリの量を制御することで酸化性物質を低減できることについて具体例を挙げてより詳細に説明する。
図7は、アルカリ剤含有液の酸化還元電位に対する酸化性物質の濃度の関係を示すグラフであって、pH=4(実線)の場合と、pH=5(点線)の場合とを表す。
図7によれば、アルカリ剤含有液中の酸化性物質の濃度は、酸化還元電位によって変化することがわかる。図7から明らかなように、酸化還元電位が200mV以下であれば酸化性物質はほとんど存在しなくなる。
一方、図8は、第2の実施形態の脱硫装置200で脱硫を行った際の、アルカリ剤含有液室16から抜き出されるスラリの量に対する混合槽36内(混合物中のアルカリ剤含有液)の酸化還元電位の関係を示すグラフである。このとき、700MWのボイラー排ガスで、排ガス中のSO2の濃度が700ppmの条件で脱硫を行った。
図8から明らかなように、アルカリ剤含有液室16から抜き出されるスラリの量を制御することで、酸化還元電位を200mV以下とすることができ、その結果、酸化性物質がほとんど存在しなくなることがわかった。
(第2の実施形態の効果・作用機序)
ところで、フロス層28を構成するフロス流体には、前述したように煤塵が含まれているが、フロス層28中に含まれる煤塵を低減することで、装置内のスケール発生の抑制という効果が得られることがわかった。したがって、第2の実施形態では、第1の実施形態の効果に加えてさらに、装置内のスケール発生の抑制という効果を奏する。この効果が得られる作用機序について以下に述べる。
煤塵とは非常に微細な粒子であるため、その微細な形状に起因した浮遊性を有する。したがって、フロス層28中に捕捉された煤塵は、気泡泡沫の表面に付着滞留する。
ここで、従来の脱硫装置では、スラリ(アルカリ剤含有液)の抜き出しは、アルカリ剤含有液室の底部からのみであったため、ほとんどのフロス流体は外部に直接排出されることがなく、したがって、微細な煤塵は脱硫処理に伴って必然的にフロス層中で濃度が高まり、高濃度となる。高濃度となった煤塵は、気泡泡沫に濃縮された状態で存在しているが、その一部が被処理ガスの流れによって引き剥がされて、脱硫装置の下流の部材表面に付着してスケール発生の原因となる。また、気泡泡沫から引き剥がされた高濃度の煤塵は、被処理ガス排出口に向かう被処理ガスの流れに同伴し、脱硫装置外に排出されるガスの煤塵濃度が高くなる場合がある。
そこで、第2の実施形態では、フロス層28中に捕捉された煤塵は、気泡泡沫の表面に付着滞留するが、配管71等によって抜き出される。その結果、フロス層28の気泡泡沫の表面の煤塵の濃度を低減できるため、第2の実施形態では煤塵に由来するスケールの発生を抑制することができ、また、それに伴って排煙脱硫装置外に排出されるガス(清浄化されたガス)の煤塵濃度を低減することができる。
また、第2の実施形態では、フロス流体を有効に利用する。アルカリ剤含有液室16中のスラリは高い酸化性雰囲気で高pHであるため、酸化性物質や6価のセレンが多いが、フロス層28中のフロス流体は低い酸化性雰囲気で低pHであって、酸化性物質がなく排水処理には有利な4価のセレンが主体である。このような性質を備えるフロス流体を積極的に利用することで、排水処理装置の負荷を低減することができる。
[第3の実施形態]
図11は本発明の第3の実施形態にかかるジェットバブリング方式の脱硫装置を示す模式図である。以下、第3の実施形態について説明するが、第2の実施形態と同じ部材には同じ符号を付し、重複する説明は省略する。
図11に示すように、第3の実施形態の脱硫装置300は、図4に示す第2の実施形態の脱硫装置300に加えて、配管81、ポンプ82、配管83、固液分離機84、配管85を備える。したがって、第3の実施形態の脱硫装置300と第2の実施形態の脱硫装置200とを比較すると、第3の実施形態では第3の抜き出し部(第3の抜き出し工程)と、副分離回収部(副分離回収工程)と、を備える点が異なり、この点以外は同一である。
以下、脱硫装置300の第3の抜き出し部(第3の抜き出し工程)および副分離回収部(副分離回収工程)について詳述する。
(第3の抜き出し部、第3の抜き出し工程)
第1の抜き出し部を構成する配管33には、ポンプ82に接続された配管81が分岐して設けられている。ポンプ82は、配管81を介して配管33からスラリを抜き出す。このスラリは、アルカリ剤含有液室16からポンプ34が抜き出すスラリの一部である。
ポンプ82の出口側には配管83の一端が接続されており、配管83の他端は固液分離機84に接続されている。したがって、配管33から分岐した配管81を介して抜き出されたスラリは、固液分離機84によって固形分が分離回収される。この分離回収については後述する。
配管81、ポンプ82および配管83が第3の抜き出し部を構成している。また、図11に示す例では、配管33の配管81への分岐位置から第3の抜き出し部によってスラリが抜き出される。なお、配管81は、アルカリ剤含有液室16と混合槽36との間であればいずれの箇所に設けられていてもよい。換言すると、第1の抜き出し工程で抜き出されたスラリの一部を、混合工程で混合に供されるよりも前に抜き出すことができれば特に制限はない。
また、配管81は、アルカリ剤含有液室16に接続されていてもよい。すなわち、配管81を介してアルカリ剤含有液室16内に収容されたスラリをポンプ82によって抜き出し、配管83を経由して固液分離機84に供給してもよい。このとき、反応槽11(アルカリ剤含有液室16)の配管83が設けられている位置の近傍が第3の領域であり、この第3の領域から第3の抜き出し部によってスラリが抜き出される。
(副分離回収部、副分離回収工程)
ポンプ82の出口側に接続された配管83を介して、第3の抜き出し部で抜き出されたスラリが、固液分離機84に供給される。固液分離機84は、第3の抜き出し部で抜き出されたスラリを固液分離して、固形分を分離回収する。固液分離機84が副分離回収部である。固液分離機84で固形分が回収された後の回収残液は、配管85,配管47を介してアルカリ剤含有液室16に戻る。
固液分離機84に供給されるスラリは、固液分離機46に供給される混合物と異なり、フロス層を構成するフロス流体が混在していない。すなわち、固液分離機84に供給されるスラリには煤塵が少ない。したがって、固液分離機84で分離された固形分に混入する煤塵は少ないため、非常に高品位な石膏が得られる。副分離回収部(副分離回収工程)によれば、固液分離機46でフロス流体から分離回収された石膏、すなわち、煤塵の含有量が多い比較的低品位な石膏とは別に、フロス流体の含有量が少ない、すなわち、煤塵の含有量が少ない高品質の石膏を固液分離機84で別途回収することが可能となる。
なお、従来の脱硫装置では、アルカリ剤含有液室の下部から抜き出されるスラリのみが固液分離されて、石膏として回収されていた。このとき、前述したように微細な煤塵はほとんど排出されないため、アルカリ剤含有液中およびフロス層中の煤塵は高濃度となる。したがって、アルカリ剤含有液室から抜き出したスラリ中には煤塵が高濃度で存在するため、このスラリに由来する石膏の品質を低下させてしまう。煤塵の主体が未燃焼カーボンである場合はその傾向が顕著となり、色相が悪化してしまう。
ところが、第3の実施形態では、フロス層28からフロス流体を抜き出して排出することで、固液分離機84に送られるスラリ中の煤塵の濃度が低下するため、石膏の品質が向上する。
以上の第3の実施形態によれば、煤塵の含有量が少ない石膏を別途回収することができるため、高品位な石膏が得られる。この高品位な石膏は、煤塵を含む比較的低品位な石膏と適宜混ぜ合わせて利用することもできる。また、第3の実施形態においても第2の実施形態と同様に、固液分離機46で固形分が回収された後の回収残液は、酸化性物質や6価のセレンが低減されており、この回収残液の一部または全部を排水処理装置へ送ることができる。
11 反応槽; 12 被処理ガス導入路; 13 被処理ガス排出口; 14 被処理ガス導入室; 15 アルカリ剤含有液; 16 アルカリ剤含有液室; 17 被処理ガス排出室; 18 第1隔壁; 19 第2隔壁; 21 液面; 22 気体下降管; 25 連通管; 26 空間部; 27 撹拌機; 28 フロス層; 31 配管; 32 工業用水供給管; 33 配管; 34 ポンプ; 35 配管; 36 混合槽; 37 配管; 38 酸素供給管; 41 撹拌機; 42 配管; 43 ポンプ; 44 配管; 45 配管; 46 固液分離機; 47 配管; 48 アルカリ剤導入部; 49 配管; 50 ORP測定部; 60 溢流堰; 61 側板; 62 底板; 62a 開口部; 63 上昇流抑止板; 71 配管; 81 配管; 82 ポンプ; 83 配管; 84 固液分離機; 85 配管; 100 脱硫装置; 200 脱硫装置; 300 脱硫装置

Claims (14)

  1. 硫黄酸化物を含む被処理ガスを、反応槽内に収容されたアルカリ剤含有液中に導入し、該アルカリ剤含有液に酸素を供給して、前記硫黄酸化物と前記酸素と前記アルカリ剤含有液中のアルカリ剤との反応により生じた生成物を、該アルカリ剤含有液中に析出させる接触工程と、
    前記反応槽内の第1の領域から、前記アルカリ剤含有液と、前記析出した生成物と、を含むスラリを抜き出す第1の抜き出し工程と、
    前記反応槽内の、または前記反応槽と連通する第2の領域から、前記スラリを還元できる流体を抜き出す第2の抜き出し工程と、
    前記第1の抜き出し工程で抜き出された前記スラリと、前記第2の抜き出し工程で抜き出された前記流体と、を混合する混合工程と、
    該混合工程で混合された前記スラリと前記流体との混合物から、固形分を分離回収する分離回収工程と、を備えることを特徴とする脱硫方法。
  2. 前記混合工程で得られた混合物の酸化還元電位を測定する測定工程と、
    該測定工程で測定された酸化還元電位に基づいて、前記第1の抜き出し工程で抜き出す前記スラリの量、および、前記第2の抜き出し工程で抜き出す前記流体の量の、少なくとも一方を制御する制御工程と、をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の脱硫方法。
  3. 前記制御工程は、前記測定工程で測定される酸化還元電位が200mV未満となるように制御することを特徴とする請求項2に記載の脱硫方法。
  4. 前記第1の抜き出し工程は、前記反応槽の底部から前記スラリを抜き出すことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の脱硫方法。
  5. 前記第2の抜き出し工程は、前記接触工程で前記アルカリ剤含有液中に導入される前の前記被処理ガスの一部を抜き出すことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の脱硫方法。
  6. 前記接触工程は、前記反応槽内に収容された前記アルカリ剤含有液中に前記被処理ガスをバブリングして、フロス層を形成しながら前記生成物を析出させ、
    前記第2の抜き出し工程は、前記フロス層から前記流体を抜き出すことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の脱硫方法。
  7. スラリを抜き出す第3の抜き出し工程と、
    該第3の抜き出し工程で抜き出された前記スラリから固形分を分離回収する副分離回収工程と、をさらに備え、
    前記第3の抜き出し工程は、
    前記第1の抜き出し工程で抜き出された前記スラリの一部を、前記混合工程で前記流体と混合されるよりも前に抜き出す、または、
    前記反応槽内の第3の領域から、前記アルカリ剤含有液と、前記析出した生成物と、を含むスラリを抜き出すことを特徴とする請求項6に記載の脱硫方法。
  8. 被処理ガス導入路と、該被処理ガス導入路から硫黄酸化物を含む被処理ガスが導入される被処理ガス導入室と、該被処理ガス導入室の下側に設けられアルカリ剤含有液がその下部に収容されるアルカリ剤含有液室と、前記被処理ガス導入室に導入された前記被処理ガスを前記アルカリ剤含有液室に収容された前記アルカリ剤含有液中に供給する気体下降管と、を有する反応槽と、
    前記アルカリ剤含有液室に収容された前記アルカリ剤含有液中に酸素を供給する酸素供給管と、
    前記アルカリ剤含有液室内の第1の領域から、
    前記アルカリ剤含有液と、
    前記硫黄酸化物と前記酸素と前記アルカリ剤含有液中のアルカリ剤との反応により生じた生成物のうち、前記アルカリ剤含有液中に析出した析出物と、を含むスラリを抜き出す第1の抜き出し部と、
    前記反応槽内の、または前記反応槽と連通する第2の領域から、前記スラリを還元できる流体を抜き出す第2の抜き出し部と、
    前記第1の抜き出し部が抜き出した前記スラリと、前記第2の抜き出し部が抜き出した前記流体と、を混合する混合槽と、
    該混合槽で混合された前記スラリと前記流体との混合物から、固形分を分離回収する分離回収部と、を備えることを特徴とする脱硫装置。
  9. 前記混合物の酸化還元電位を測定する測定部と、
    該測定部が測定した酸化還元電位に基づいて、前記第1の抜き出し部が抜き出す前記スラリの量、および、前記第2の抜き出し部が抜き出す前記流体の量の、少なくとも一方を制御する制御部と、をさらに備えることを特徴とする請求項8に記載の脱硫装置。
  10. 前記制御部は、前記測定部が測定する酸化還元電位が200mV以下となるように制御することを特徴とする請求項9に記載の脱硫方法。
  11. 前記第1の抜き出し部は、前記アルカリ剤含有液室の底部から前記スラリを抜き出すことを特徴とする請求項8〜10のいずれか1項に記載の脱硫装置。
  12. 前記流体が前記被処理ガスであり、
    前記第2の抜き出し部は、前記被処理ガス導入路または前記被処理ガス導入室から前記被処理ガスを抜き出すことを特徴とする請求項8〜11のいずれか1項に記載の脱硫装置。
  13. 前記流体は、前記アルカリ剤含有液室が収容した前記アルカリ剤含有液の液面上に形成されたフロス層を構成するフロス流体であり、
    前記第2の抜き出し部は、前記アルカリ剤含有液室から前記フロス流体を抜き出すことを特徴とする請求項8〜11のいずれか1項に記載の脱硫装置。
  14. スラリを抜き出す第3の抜き出し部と、
    該第3の抜き出し部で抜き出された前記スラリから固形分を分離回収する副分離回収部と、をさらに備え、
    前記第3の抜き出し部は、
    前記第1の抜き出し部が抜き出した前記スラリの一部を、前記混合槽と前記反応槽との間で抜き出す、または、
    前記反応槽内の第3の領域から、前記アルカリ剤含有液と、前記析出した生成物と、を含むスラリを抜き出すことを特徴とする請求項13に記載の脱硫装置。
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