JP2018143574A - X線ct装置及び画像処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高らせんピッチで撮影した場合に検出器列方向のデータ欠損により生ずる外挿アーチファクトを低減したCT画像を得る。【解決手段】対象とする位相(角度位置)の直接投影データと、その位相と異なる周回の同位相の直接投影データから、線源から所定の距離において、対象とする直接投影データの列方向にデータが実在しない領域に対して仮想検出器データを生成し、仮想検出器データと直接投影データを用いて拡張投影データを生成し、画像再構成を行う。【選択図】図7
Description
本発明は、X線CT装置で取得した投影データを用いた画像処理の技術に関する。
X線CT装置は、X線源とX線検出器とを搭載したスキャナを回転させながら、撮像を行い、スキャナ即ちX線検出器の各角度位置で得られた投影データを再構成することで、スキャナの回転軸方向に直交する被写体断面(スライス)の断層像を取得する。X線検出器は、スキャナの周回方向に多数のX線素子を配列した構造を有し、検出素子の配列の列数が一列(一次元)のものと、多列のものがある。後者は二次元検出器、多列検出器或いはマルチスライス検出器などと呼ばれている。
このようなX線CT装置を用いた撮像手法の一つに、被写体を載せた寝台をスキャナに対し相対的に移動しながら撮像を行うらせんスキャン或いはヘリカルスキャンがある。らせんスキャンでは、比較的広い範囲或いは多数のスライスを撮像する際に、寝台を固定して撮像を行うノーマルスキャンに比べて高速に投影データを取得することができる。特に多列X線検出器を用いることで、高速化を図ることができる。
らせんスキャンでは、スキャナが一回転する間に寝台がスキャナに対して相対的に進む距離を寝台移動速度[mm/回転]と定義している。また撮影性能を示す指標として、スキャナの一回転の間に寝台が回転軸方向に進む距離(座標)の回転軸方向の検出器サイズに対する比をらせんピッチと定義している。らせんスキャンでは、らせんピッチに応じて、撮影の冗長性が変化する。例えば、図1(A)に示すように、低らせんピッチでは回転軸方向に隣接する2つのデータとの間で撮影されない領域、すなわちデータ欠損は生じない。なお図1中、四角は被写体の領域或いは再構成領域であり、zは回転軸方向(=検出器の列方向)を示す。一方、図1(B)に示すように高らせんピッチでは回転軸方向に隣接する2つの投影データとの間でデータ欠損領域(図中、斜線で示す領域)を生じる。従来、この欠損領域については、図1(C)に示すように、対向投影データを用いて補う、或いは単純に同位相(同回転角度)の列方向最接近データを割り当てる等で対処している。
ところでX線検出器は、通常、X線ビームの中心とX線検出器のチャネル方向中央とは一致しており、チャネル方向中央に対して両側のX線検出素子数は同数である。しかし、例えば、より広い撮影視野を実現するために、X線検出器を周回方向にシフトさせる場合がある。この場合、X線検出器はX線ビームの中心に対して両側のX線検出素子数が異なり、図2に示すように、X線ビームの中心を中心としたとき、一方の側に検出素子が存在しない領域600b(以下、非検出領域という)が存在することになる。なお本明細書では、非検出領域に対し、検出素子が存在する領域を検出器領域600aという。
このような非対称検出器を用いて、らせんスキャンを行った場合は、非検出領域600bが存在することに起因してデータ欠損を生じる。この非対称検出器を用いてらせんスキャンにより得られた投影データに対して、データ欠損を解消する手法がいくつか提案されている(特許文献1、2、非特許文献1)。例えば、特許文献1には、検出器領域では、対象とする角度位置の直接投影データとその対向投影データの補間値とを割り当てる対向補間法(従来法1という)を用い、対向データが存在しない非検出器領域では、対象とする角度位置の直接投影データとその角度位置における異なる周回の直接投影データの補間値とを割り当てる同相補間法(従来法2という)を用い、その際にスライスと検出素子からの距離に比例する重みを使用することが提案されている。
また非特許文献1には、2次元非対称検出器を用いたヘリカルスキャン(らせんスキャン)におけるコーンビーム再構成において、チャネル方向にシグモイド上の重み付けを行うことで画質の劣化を抑制する技術(従来法3という)が開示されている。
Vinson Liu, Nicholas R. Lariviere, and Ge Wang,"X−ray micro−CT with a displaced detector array : Application to helical cone−beam reconstruction" Med. Phys., 30m 10, 2758−2761, 2003
前述したように高らせんピッチでらせんスキャンを行った場合には、図1(B)に示したように、一周前後の投影データとの間でデータ欠損領域を生じる。ここで、X線検出器が非対称検出器である場合には、さらに、X線検出器の非検出領域によってデータの欠損が生じている。このため、図3に示すように、線源から所定の位置(再構成対象が存在する位置)において、周回方向に隣接する2つの投影データ601,602との間のデータ欠損(高らせんピッチに起因するデータ欠損)に対向する位置の投影データ(対向投影データ603)を考えたとき、その非検出領域613のデータのうち、一部(613a)は対向投影データ(投影データ601、602)で補うことができるが、それらの間のデータ欠損に対応する領域(図中、斜線で示す部分613b)は、そのデータ欠損を補うべき対向投影データが存在しない、という問題が生じる。
対向投影データが存在しないような状況では、上述した対向投影データの補間値を用いる従来法1は適用できない。特許文献2には、非対称検出器を用いて高らせんピッチでらせんスキャンを行った場合のデータ欠損を解消する手法として、投影データの非検出領域における検出器中央部のデータ欠損領域(図3:斜線部分613b)に対し、実在する2つの対向データ間で列方向の外挿処理によって、選択した位置の対向データを生成する手法が提案されているが、この手法は、対向データのビーム経路が相違することに起因する経路誤差に加え、外挿誤差に起因した外挿アーチファクトの問題がある。
また従来法1や従来法2は、特にコーンビーム再構成を行う場合には、逆投影処理の最も深い部分において、画素毎に直接投影データおよび対向投影データの有無を判定し、対向投影データが存在する場合には、対向投影データを選択する必要があるため、処理が煩雑になり、処理時間が膨大となりうる。
従来法3は、高らせんピッチで撮影されたデータに対しては検出器列方向にデータが欠損するため、この欠損を従来なされている手法、例えば対向データによる補完或いは最外列データの割り当て、を組み合わせたとしても、アーチファクトを生ずる。
さらに非対称検出器のデータ欠損を補間する特許文献1や2に記載された手法は、非対称検出器を使用するCTにしか適用することができず、非対称検出器を有するCT装置と対象検出器を有するCT装置とで別々に開発する必要があり、汎用性に欠ける。
本発明は上述した従来法の課題を解決するためになされたものであり、処理の煩雑さを抑制しつつ、非対称検出器や対称検出器を用いたCTにおける検出器列方向の外挿誤差に起因して生ずる外挿アーチファクトを低減した断層像を生成可能なX線CT装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明はX線検出器の各角度位置(位相)で、当該角度位置の投影データと同位相で異なる周回の隣接投影データとを用いて、両者間のデータ欠損を埋める仮想検出器データを作成する。仮想検出器データを作成する位置や仮想検出器データの列数は、X線源と被写体の再構成領域との位置関係を考慮する。
すなわち本発明のX線CT装置は、X線源と、2次元方向に複数のX線検出素子を配列してなり、前記X線源から放射されたX線を検出するX線検出器と、前記X線源及び前記X線検出器を回転軸を中心に回転する回転機構と、前X線源及び前記回転機構を制御する制御部と、前記X線検出器が検出したX線をもとに画像を再構成する演算部と、を備え、前記演算部は、前記X線検出器の、前記回転軸の軸方向に欠損したデータを補完するデータ補完部と、前記データ補完部が補完した後の投影データを用いて、前記軸方向に沿った複数断面の断層像を再構成する再構成部とを備え、前記データ補完部は、回転角度が同一で且つ前記回転軸の軸方向に隣接する2つの検出器位置でそれぞれ取得される投影データ間のデータ欠損領域に対し、当該隣接する検出器位置の2つの投影データを用いて仮想検出器データを作成する。
また本発明の画像処理方法は、複数のX線検出素子をチャンネル方向及び列方向に配列してなるX線検出器を用いて、らせんスキャンにより回転角度毎の投影データを取得し、CT画像を再構成する画像処理方法であって、所定の回転角度の検出器位置で取得した投影データと、当該投影データと列方向に隣接する同回転角度の検出器位置で取得した投影データとの間のデータ欠損領域を算出し、前記所定の回転角度で取得した投影データと隣接する同回転角度で取得した投影データとを用いて前記データ欠損領域について仮想検出器データを作成する。
なお本明細書において、回転角度とは、X線源と検出器とが回転方向の所定の位置、例えば検出器中央とX線源とを結ぶ線が垂直方向に平行である位置、を基準(0度)として、X線源と検出器が回転した角度を云い、位相と同義に用いる。
本発明は高らせんピッチのらせんスキャンで生じる周回方向に隣接する投影データ間のデータ欠損(図1(B))を埋める仮想検出器データを作成することで、みかけ上、低らせんピッチの投影データと同様のデータが得られるので、この投影データを用いて従来の再構成と同様に再構成を行うことができる。また非対称X線検出器を用いた場合にも、それに起因するデータ欠損は、対向投影データを用いて補完することができる。また本発明によれば、仮想検出器データを生成する領域を、X線源と被写体の再構成領域との位置関係を考慮して決定することで、データの冗長性を低減できる。しかもそれを再構成の前処理である投影データの補完処理で行うので、再構成時の処理が煩雑になる、計算負荷が多くなる等の問題がない。
以下、本発明のX線CT装置の実施形態を、図面を参照して説明する。
以下の実施形態では、X線検出器としてチャネル方向及び列方向に複数のX素子を配列した多列検出器(2次元検出器)を用いてらせんスキャンを行うマルチスライスCT装置を例に説明する。なおマルチスライスCTは、利用するX線ビームの形状から、コーンビームCTとも呼ばれる。また説明に用いる図面において、zはX線検出器の列方向即ちX線検出器の回転の軸方向を示す。
以下の実施形態では、X線検出器としてチャネル方向及び列方向に複数のX素子を配列した多列検出器(2次元検出器)を用いてらせんスキャンを行うマルチスライスCT装置を例に説明する。なおマルチスライスCTは、利用するX線ビームの形状から、コーンビームCTとも呼ばれる。また説明に用いる図面において、zはX線検出器の列方向即ちX線検出器の回転の軸方向を示す。
まずX線CT装置の全体構成について図4を参照して説明する。X線CT装置の構成は、基本的に、従来のマルチスライスCT装置と同様であり、大きく分けて、スキャナ100と、入出力装置200と、演算装置(演算部)300と、寝台400とで構成される。本実施形態のX線CT装置において、入出力装置200と演算装置300とは、スキャナ100及び寝台400が置かれる撮像部とは別に、操作ユニット500に組み込まれている。
スキャナ100は、X線発生装置(X線源)101及び高電圧発生装置102を備えたX線源と、X線発生装置101が発生するX線の向きや角度を調整し、照射視野を決定するコリメータ103と、X線検出器(以下、単に検出器という)104及びプリアンプ105を備えた検出部と、X線発生装置101や検出器104を搭載した回転板(不図示)とその駆動装置(回転機構)107と、を備えている。
検出器104は、図5(A)、(B)に示すように、チャネル方向に多数の検出素子を配列するとともに列方向にも複数の検出素子を配列した多列検出器からなる。多列検出器には、X線源から検出素子までの距離及び隣接する検出素子へ向かう2ビームがなす角が等しくなるように円弧上に検出素子を配置した円弧検出器と、X線源から回転軸へ向かうX線ビームに対して垂直な平面上に検出素子を配置した平面検出器とがあり、本実施形態ではいずれも採用することができるが、ここでは特に断らない限り円弧検出器を用いた場合を説明する。従って、以下の説明ではチャネル方向と検出器の周回方向(回転方向)とは同義である。
また検出器104には、X線ビームの中心ビームが当たる検出器上の位置を中心としてチャネル方向両側に検出素子が対称に配列した対称検出器と、図2に示したように、X線ビームの中心ビームが当たる検出器上の位置に対し、チャネル方向の両側の検出素子が非対称である非対称検出器とがある。本実施形態は、対称検出器にも非対称検出器にも適用することができるが、図2に示したような非対称検出器を用いる場合を説明する。
スキャナ100には、さらに制御部として、X線制御装置111、コリメータ制御装置113、スキャナ制御装置115、寝台の移動を制御する寝台制御装置117、及び装置全体を制御する中央制御装置110が備えられている。
入出力装置200は、撮影条件や再構成条件及び撮影開始或いは終了の指示などを入力するための入力装置210と、演算装置300の演算処理途中のデータや再構成画像などを記憶する記憶装置230と、再構成画像や入力装置として機能するGUIなどを表示する表示装置250を備えている。入力装置210を介して入力される撮影条件としては、寝台移動速度、管電流、管電圧、スライス位置などがあり、再構成条件としては、再構成法、画像スライス厚、再構成間隔(スライス間隔)、関心領域の位置およびサイズ、再構成画像マトリクスサイズ、再構成フィルタ関数、などがある。
演算装置300は、主として投影データの再構成を行う再構成部310と、再構成画像に対し種々の画像処理を行う画像処理部330とを含み、汎用のCPU及びメモリを備えた計算機から構成することができる。再構成部310と画像処理部330の機能(計算のアルゴリズムや処理プログラムを含む)は、計算機が読み込んで実行するソフトウェアで実現することができる。また再構成部310及び画像処理部330の一部或いは全部の機能を、ASICやFPGA等のハードウェアで実現する場合もあり、そのようなハードウェアも本実施形態の演算装置に含まれる。ソフトウェアは、予め計算機内に組み込まれていてもよいし、媒体上に記憶されたものを計算機が読み込んで実行してもよい。
このような構成において、入力装置200から撮影条件や再構成条件が入力されると、中央制御装置110は、その指示に基づいて、撮影に必要な制御信号を、X線制御装置111、寝台移動装置117、スキャナ制御装置115に送り、撮影スタート信号を受けて撮影を開始する。この際、部位毎に撮影条件や再構成条件を推奨設定された撮影プロトコルを使用することもできる。
撮影が開始されるとX線制御装置111から高電圧発生装置102に制御信号が送られ、これにより高電圧がX線発生装置101に印加され、X線発生装置101からX線が被写体へ照射される。同時に、スキャナ制御装置115からスキャナ駆動装置107に制御信号が送られ、X線発生装置101、検出器104、プリアンプ105等が被写体の周りに周回される。ここでらせんスキャン時には、寝台制御装置117により被写体を載せた寝台が被写体の体軸方向に平行移動される。寝台の移動量は、寝台移動計測装置114によって計測され、もしくは撮影条件で一回転あたりの移動量(または、らせんピッチ)を基に算出され、後述する投影データの拡張処理等の演算のために演算装置300に入力される。
X線発生装置101から照射されたX線は、コリメータ103により照射領域を制限され、被写体内の各組織で吸収(減衰)され、被写体150を通過し、検出器104で検出される。検出器104で検出されたX線は、電流に変換され、プリアンプ105で増幅され、A/Dコンバータ106でデジタルデータに変換され、演算装置300に入力される。図示していないが、プリアンプの出力は、A/D変換前或いは変換後にLOG変換され、キャリブレーションが行われて投影データ信号として演算装置300に入力される。
演算装置300では、再構成部310が、入力装置210から入力された再構成条件に従い、入力された投影データ信号を処理し、画像を再構成する。再構成画像は、記憶装置230に保存され、表示装置250でCT画像として表示される。もしくは、画像処理部330にて加工された後、表示装置250で表示される。
本実施形態のX線CT装置は、演算装置300が上述したらせんスキャンを高らせんピッチで行った時に生じるデータ欠損を補間する機能を備えている。即ち、演算装置300は、らせんスキャンをしながら検出器104が各角度位置で取得した投影データに対し、必要に応じて公知の前処理を行った後、さらに投影データに対し列方向のデータ拡張処理を行って、仮想検出器データを作成し、実測された投影データ及び仮想検出器データを用いて、再構成を行う。
このような機能を実現する演算装置300の機能ブロック図を図6に示す。図示するように、演算装置300は、再構成部310及び画像処理部330に加えて、データ補完部350を有している。なお図6では画像処理部330は図示を省略している。
再構成部310は、従来のマルチスライスCT装置と同様の再構成処理を行う機能部であり、例えば、ファンビームデータをパラレルビームデータに変換するファンパラ変換部311、投影データに対し再構成フィルタを行う再構成フィルタ部313、再構成フィルタ後のデータを逆投影する際の逆投影位相幅を算出する逆投影位相幅算出部315、及び逆投影演算を行う逆投影演算部317などを備えている。
データ補完部350は、評価基準面距離算出部351、拡張検出器列数算出部353、仮想検出器データ生成部355、重み付け加算部357を備えている。データ補完部350の各機能部の処理の詳細は後述することとし、まず処理の概要を説明する。処理の概要を図7に示す。図7中、S70はデータ補完部350の処理、S80は再構成部310の処理を示す。なお図7では便宜的に各処理S70、S80に含まれるステップを逐次的な処理の流れで示しているが、処理の内容によっては順番が入れ替わることや並列処理となることもある。
最初に処理S70の概要を説明する。
データ補完部350は、高らせんピッチに起因して投影データ間に生じたデータ欠損(図1(B)の斜線部)を補うために、投影データを列方向に拡張(以下、列拡張という)し、仮想検出器データを作成する。そのため、まずデータ補完部350は、データの欠損が生じているか否かを判定するために(S72)、線源から距離を決定する(S71)。例えば、図8に示すように、線源101からの距離Bではデータ欠損を生じていないので、線源からの距離Aでデータ欠損を判定した結果をもとに仮想検出器データを生成しても仮想検出器データの影響は小さいため問題となりにくい。そこで線源からの距離としては、距離Aのように、再構成領域の線源に近い側の位置を設定する。なお、再構成中心が回転中心からずれた位置にある場合には、線源から再構成領域の線源に近い位置までの距離は、ビュー毎(回転角度位置毎)に変化する。従ってデータ欠損を判定する距離はビュー毎に変化させることが好ましい。なお、線源からの距離によって、ビームの間隔(列方向のデータの間隔)は異なる。決定した距離に応じて、次に述べる列拡張の際の拡張列数が決まる。
データ補完部350は、高らせんピッチに起因して投影データ間に生じたデータ欠損(図1(B)の斜線部)を補うために、投影データを列方向に拡張(以下、列拡張という)し、仮想検出器データを作成する。そのため、まずデータ補完部350は、データの欠損が生じているか否かを判定するために(S72)、線源から距離を決定する(S71)。例えば、図8に示すように、線源101からの距離Bではデータ欠損を生じていないので、線源からの距離Aでデータ欠損を判定した結果をもとに仮想検出器データを生成しても仮想検出器データの影響は小さいため問題となりにくい。そこで線源からの距離としては、距離Aのように、再構成領域の線源に近い側の位置を設定する。なお、再構成中心が回転中心からずれた位置にある場合には、線源から再構成領域の線源に近い位置までの距離は、ビュー毎(回転角度位置毎)に変化する。従ってデータ欠損を判定する距離はビュー毎に変化させることが好ましい。なお、線源からの距離によって、ビームの間隔(列方向のデータの間隔)は異なる。決定した距離に応じて、次に述べる列拡張の際の拡張列数が決まる。
データ補完部350は、データ欠損を判定した距離をもとに列拡張を行い、仮想検出器データを生成する(S73)。図9に列拡張の概念を示す。列拡張には、図9(A)に示すように、処理の対象である投影データ800と角度位置(=位相)が同じで且つ列方向に隣接する検出器位置で取得した投影データ、即ち360度前の投影データ801及び360度後の投影データ802(両者を併せて±360投影データともいう)を用いる。図9(B)に、拡張後のデータ810の一例を示す。ここで、投影データ800と±360投影データとの間に拡張したデータ811は実在する投影データが存在しないので「不在仮想検出器データ」と呼び、その前後に拡張したデータ812は、±360投影データから作成したデータであり投影データ801、802が実在するので「実在仮想検出器データ」と呼ぶ。なお図9では、データ810は、投影データ800に加えてデータ811及びデータ812を含むが、データ811のみを含むものであってもよい。
再構成部310は、こうして列拡張した投影データ(図9:810)を用いて、従来の手法と同様の方法で画像再構成を行う。画像再構成の処理S80は、再構成フィルタS74、及び、逆投影S75を含む。さらにファンビーム再構成を行う場合にはファンパラ変換を含む。また逆投影S75に先立って、必要に応じて逆投影位相幅算出を行ってもよい。これらの処理は公知であり、詳細な説明は省略する。なおファンパラ変換及び再構成フィルタは上述した列拡張に先立って行ってもよい。
再構成において、図2に示すような非対称検出器を用いる場合には、従来法3で示されるようなチャネル方向にシグモイド上の重み付けを投影データに対して行う。別の方法では、列拡張した投影データにおける対向データを用いて、非検出器領域(図9:813)のデータを補完し、従来再構成法にて画像生成する。このとき、従来再構成法では、検出器領域はハーフ再構成やフル再構成、非検出器範囲はフル再構成となるように逆投影位相幅を設定する。なお、±360度投影データは1列分持っておけばよい。
対向データで作成した補償データを用いて逆投影処理する従来法(チャネル補償法)では、逆投影時にチャネル補償しながら逆投影処理すると処理が煩雑となり処理時間を要する。また前処理として行う場合には、実際とは異なるビーム軌跡に沿って逆投影されるため、線源から離れた位置に対しては経路誤差が小さいが、線源から近い位置に対しては経路誤差が大きくなる。これに対し、本実施形態の列拡張法では、異なる周回のデータを用いて列方向に拡張させたデータを用いて逆投影処理する。この場合、拡張したデータに対しては誤差を生じるが、実在するデータに対してはビーム軌跡に沿って正しく逆投影処理が行われるため経路誤差を生じない利点がある。提案法では拡張したデータを必要最小限の利用に制限することで、良好な画質を得ることができる。
以上、説明したように、本実施形態のCT装置によれば、再構成の対象となる投影データは、仮想検出器データによりデータ欠損が解消されているので、対称検出器では通常の逆投影処理によって再構成ができ、また非対称検出器でも非検出領域のデータ欠損を補う対向投影データが存在するので、例えば、対向投影データの補間値を用いる従来法1を用いることで非検出領域のデータ欠損を補って再構成画像を生成することができる。また本実施形態によれば、予めデータ欠損している領域を考慮して、拡張する仮想検出器領域を決定しているので、X線源から従来法のように、画素毎に直接投影データおよび対向投影データの有無を判定して、対向投影データを用いるか否かの選択をする必要がなく、再構成アルゴリズムに変更を加えることなく再構成を行うことができ、また、対称検出器及び非対称検出器のいずれについても共通する再構成アルゴリズムを使用することができる。
次に上述した概要を踏まえ、データ補完部350と再構成部310の処理の詳細を説明する。
<実施形態1>
本実施形態は、再構成部310の処理手順に変更を加えることなく、データ補完部350における処理を再構成の前処理として行う。
図10に本実施形態の処理手順を示す。図10の処理S80は、基本的には、図7に示す処理S80と同じ処理であるが、一例としてファンパラ変換と逆投影位相幅算出を含む場合を示している。
本実施形態は、再構成部310の処理手順に変更を加えることなく、データ補完部350における処理を再構成の前処理として行う。
図10に本実施形態の処理手順を示す。図10の処理S80は、基本的には、図7に示す処理S80と同じ処理であるが、一例としてファンパラ変換と逆投影位相幅算出を含む場合を示している。
データ補完部350による処理は、評価基準面を算出するステップS91、拡張検出器列数を算出するステップS92、仮想検出器データを生成するステップS93、及び、仮想検出器データに対しチャンネルの重み付けを行うステップS94を含む。S91及びS92は、図7に示す処理S71、S72に対応し、S93及びS94は処理S73に対応する処理である。
以下、各処理を説明する。
以下、各処理を説明する。
[基準面距離算出部351の処理S91]
データ欠損を判定するために、基準とする位置(基準点)のX線源からの位置(距離)を決定し、その位置に応じて列拡張する領域を決める。
データ欠損を判定するために、基準とする位置(基準点)のX線源からの位置(距離)を決定し、その位置に応じて列拡張する領域を決める。
これはX線源からの距離によってデータ欠損は異なり、図1(B)に示したように、回転中心より遠い領域ではデータ欠損は生じていないからであり、基準点はデータ欠損が生じている領域内に設定する。基準点としては、回転中心点、再構成FOVの最前点、その中間点などがあげられる。このためまずステップS91で評価基準面を算出し、基準面の回転中心からの距離を求める。
評価基準面はデータ欠損を判定し対向投影データを用いて不在データを補償する際に用いられる面であり、図11(A)〜(C)示すような、3種類の面を考えることができる。図11は、列方向に垂直な面(x−y面)を示し、基準面は太矢印で示す。またここでは回転中心点を基準点として説明する。図11(A)は、ファンビームベース面:基準点を通りファンビームの中心ビームに垂直な面、図11(B)は、等距離面:基準点を通り線源から等距離な面、図11(C)は、パラレルビームベース面:基準点を通りパラレルビームに垂直な面である。基準面は、演算の度に決定するのではなく、上記3種類の面のいずれかをデフォルトで決めておいてもよい。
ここで、対象とするビームのチャネル位置(ファン角度)をγ[rad]、線源−回転中心間距離をR[mm]、基準面の回転中心からの距離をη[mm]とすると評価基準面の線源からの距離ξ[mm]は以下のように表すことができる。
基準面の回転中心からの距離の設定の仕方としては、回転中心を通る面η=0、FOV端部を通る面η=FOV/2、FOV端部と回転中心の間を通る面η=FOV/4などがあり、データ欠損領域やFOVの大きさ等を考慮し適宜決めることができる。
[拡張検出器列数算出部353の処理S92]
基準面の回転中心からの距離が決まったならば、拡張する検出器のサイズを算出する。サイズは検出器の列数として算出することができる。拡張列数は、例えば回転軸に垂直な面において、検査対象の関心領域及びX線検出器の回転中心を含む最小な円の半径をもとに決定する。具体的には、検出器の両側に拡張する場合の一方の拡張後の仮想検出器のサイズをνe max[mm]、他方の拡張後の仮想検出器のサイズをνe min[mm]、検出器面上での素子サイズをΔdとすると、これらサイズは次式(2−1)、(2−2)により求めることができる。
基準面の回転中心からの距離が決まったならば、拡張する検出器のサイズを算出する。サイズは検出器の列数として算出することができる。拡張列数は、例えば回転軸に垂直な面において、検査対象の関心領域及びX線検出器の回転中心を含む最小な円の半径をもとに決定する。具体的には、検出器の両側に拡張する場合の一方の拡張後の仮想検出器のサイズをνe max[mm]、他方の拡張後の仮想検出器のサイズをνe min[mm]、検出器面上での素子サイズをΔdとすると、これらサイズは次式(2−1)、(2−2)により求めることができる。
式中、DはX線源−検出器間の距離[mm]、Hは一周当たりの寝台移動量[mm/rot]、Fは逆投影位相幅(回転角度の範囲)[rot]、Uは回転中心に位置し再構成領域を内包する円の半径[mm]でありステップS91で求めた距離によって決まる値である。また式の記号
はxの少数点以下を切り上げることを表す記号である。
[仮想検出器データ生成部535及び重み付け部537の処理S93、S94]
処理の対象である検出器位置の投影データをg(β,ν,γ)(ここでβは投影データの位相:角度位置)とすると、±360度位相の投影データ(以下、隣接同位相投影データ)gs(βs,ν,γ)、g‐s(β‐s,ν,γ)(これらを併せてg±sと表示する)は、次式(4)で表される。
処理の対象である検出器位置の投影データをg(β,ν,γ)(ここでβは投影データの位相:角度位置)とすると、±360度位相の投影データ(以下、隣接同位相投影データ)gs(βs,ν,γ)、g‐s(β‐s,ν,γ)(これらを併せてg±sと表示する)は、次式(4)で表される。
一方、対称検出器及び非対称検出器のチャネル範囲を次式で表す。
対称検出器のチャネル範囲:γmin≦γ≦γmax
非対称検出器の検出器素子が存在するチャネル範囲(検出器領域)をγT≦γ≦γmax
検出器素子が存在しないチャネル範囲(非検出器領域)をγmin≦γ≦γT
(γmin、γT、γmaxは図2を参照)
対称検出器のチャネル範囲:γmin≦γ≦γmax
非対称検出器の検出器素子が存在するチャネル範囲(検出器領域)をγT≦γ≦γmax
検出器素子が存在しないチャネル範囲(非検出器領域)をγmin≦γ≦γT
(γmin、γT、γmaxは図2を参照)
[再構成部310の処理S80]
仮想検出器データを生成した後、再構成部310は、仮想検出器データ及び実測した投影データを用いて、画像再構成を行う。例えば、図10に示すように、ファンパラ変換S95、再構成フィルタS96、逆投影位相幅算出S97、及び逆投影S98を行う。これらの再構成処理は公知の手法により行うことができるが、非対称検出器の場合の逆投影位相幅の決定S97について説明する。
仮想検出器データを生成した後、再構成部310は、仮想検出器データ及び実測した投影データを用いて、画像再構成を行う。例えば、図10に示すように、ファンパラ変換S95、再構成フィルタS96、逆投影位相幅算出S97、及び逆投影S98を行う。これらの再構成処理は公知の手法により行うことができるが、非対称検出器の場合の逆投影位相幅の決定S97について説明する。
一般に、非対称検出器データでは非対称検出器領域で逆投影位相幅を1.0以上にする必要がある。しかし、対称検出器領域に対しても同様の逆投影位相幅を使用すると外挿アーチファクトを強く生じ、臨床上許容できない画質となるおそれがある。この問題に対しては、画素毎に逆投影位相幅を設定する手法(国際公開WO2013/161443号記載の方法)を採用することが考えられるが、逆投影処理において逆投影位相幅を回転中心から1次変化させると、対称検出器領域のFOV端部で逆投影位相幅が広いことによる外挿アーチファクトを生じることが懸念される。
そこで、本実施形態では、逆投影処理での逆投影位相幅は、回転中心からFOV端部に向かって減少し、非対称領域では逆投影位相幅が1.0以上となるよう非線形に変化する以下の式(10)を用いて算出する。
なお、上式において、rrefは基準となる回転中心からの距離(以下、基準距離)、Fcntは回転中心位置での逆投影位相幅、Frefは基準距離rrefにおける逆投影位相幅、Fminは逆投影位相幅の下限値、Fmaxは逆投影位相幅の上限値、c、k1、k2は非線型関数の形状を決定するための係数である。
その後、決定した逆投影位相幅を用いて逆投影を行い(S98)、再構成画像を生成する。逆投影後の再構成画像においては、上述した逆投影位相幅を用いることにより、外挿アーチファクトを低減することができる。なお、パラレルビーム再構成を行う場合には、図10に示すように、再構成フィルタ処理の前など逆投影処理前にファンパラ変換(S95)を行ってもよい。
<実施形態2>
実施形態1では、仮想投影データを生成した後に再構成フィルタ処理以降を実施したのに対して、実施形態2では再構成フィルタ処理を実施した後にフィルタ処理後の投影データを基に仮想検出器データを生成する点で異なる。図12に本発明に係る画像再構成の処理フロー図を示す。図12に示す処理において、図7に示す処理と同一の処理は、同じ符号で示し重複する説明を省略する。
実施形態1では、仮想投影データを生成した後に再構成フィルタ処理以降を実施したのに対して、実施形態2では再構成フィルタ処理を実施した後にフィルタ処理後の投影データを基に仮想検出器データを生成する点で異なる。図12に本発明に係る画像再構成の処理フロー図を示す。図12に示す処理において、図7に示す処理と同一の処理は、同じ符号で示し重複する説明を省略する。
まず、各投影データを再構成フィルタ処理する(ステップS74)。再構成フィルタ処理は、公知のフィルタ関数を用いてエッジ強調する処理であり、データの拡張前に実行することで、再構成フィルタ処理の負担を軽減することができる。次いで列拡張の位置の、線源からの距離を再構成条件に基づき決定する(ステップS71)。再構成条件は、前述したように再構成法(アルゴリズム)、画像スライス厚、再構成間隔(スライス間隔)、関心領域の位置およびサイズ、再構成画像マトリクスサイズ、再構成フィルタ関数、などである。
距離の決定手法は実施形態1の処理S91(図10)と同様であり、まず、評価基準面を設定し、評価基準面の線源からの距離ξ[mm]を決定する。次いで、決定した線源からの距離におけるデータ欠損の有無を判定し(S72)、図9に示したように、仮想検出器データ(但し再構成フィルタ済)を生成する(S73)。本実施形態の拡張投影データは、処理の対象が再構成フィルタ処理後のデータであることを除けば図9に示すものと同様であり、フィルタ処理された直接投影データと異なる周回の直接投影データの両者が欠損するデータに対して、直接投影データと異なる周回の直接投影データを補間処理して得られる補間値を割り当て、不在仮想検出器データ(811に相当)を生成する。また、直接投影データが欠損し異なる周回の直接投影データが存在する位置に対しては異なる周回の直接投影データを割り当てることで実在仮想検出器データ(812に相当)を生成する。
得られた仮想検出器データ(811、812)と投影データ(800)とを基に逆投影処理することで、再構成画像を生成する(ステップS75(S80))。なお、パラレルビーム再構成を行う場合には、再構成フィルタ処理の前など逆投影処理前にファンパラ変換を行ってもよい。
本実施形態によれば、上述した実施形態の効果に加え、前処理である投影データの列拡張処理に先立って再構成フィルタ処理を行うことにより、列拡張処理によってデータ量が増加した投影データに再構成フィルタ処理を行う場合の演算負荷を低減し、前処理を含む再構成に係る時間を低減できるという効果が得られる。
<実施形態3>
本実施形態は、実施形態1又は実施形態2の列拡張処理S70に、拡張投影データ作成処理S76が加わっていることが特徴である。本実施形態の処理を図13(A)、(B)に示す。
本実施形態は、実施形態1又は実施形態2の列拡張処理S70に、拡張投影データ作成処理S76が加わっていることが特徴である。本実施形態の処理を図13(A)、(B)に示す。
図13(A)の処理は、実施形態1の処理を示す図7との比較からわかるように、本実施形態は、実施形態1の列拡張処理S70に、拡張投影データ生成処理S76が加わっている。また図13(B)は、実施形態2の処理を示す図12との比較からわかるように、実施形態1の列拡張処理S70に、拡張投影データ生成処理S76が加わっており、また、図13(A)との比較からわかるように、列拡張処理S70に先立って、再構成フィルタS74を実行する。
拡張投影データ生成処理S76以外の処理は、実施形態1又は実施形態2と同様であるので、拡張投影データ作成処理S76についてのみ説明する。列拡張の概念を示す図8を再度参照する。図示するように、実施形態1或いは実施形態2では、投影データ800と、位相が−360度の投影データ801及び+360度の投影データ802とを用いて列拡張を行い、投影データ800の両側に列拡張した不在仮想検出器データ811、及び実在仮想検出器データ812を作成し、これら投影データをそれぞれ用いて再構成処理したが、本実施形態では、投影データ802、不在仮想検出器データ811及び実在仮想検出器データ712をもとに一つの拡張投影データを生成し、拡張投影データを用いて再構成処理を行う。
すなわち再構成処理に用いる各位相の投影データは、実測された投影データ802と仮想検出器データ(811、812)とからなる拡張投影データ810である。非対称検出器を用いる場合には、従来法3で示されるようなチャネル方向にシグモイド上の重み付けを投影データに対して行うことや、列拡張した投影データにおける対向データを用いて非検出器領域(図9:813)のデータを補完することや、検出器領域はハーフ再構成やフル再構成、非検出器領域はフル再構成となるように逆投影位相幅を設定することは、上述した実施形態と同様である。
また本実施形態においても、図13(B)に示したように、列拡張処理S70に先立って再構成フィルタすることにより、再構成フィルタ処理を行う場合の演算負荷を低減し、前処理を含む再構成に係る時間を低減できるという効果が得られる。
<実施形態4>
本実施形態は、拡張投影データとして持つデータ量を低減する実施形態である。
即ち、実施形態1〜3では、仮想検出器を生成する際に、対象とする直接投影データ(図9:800)の全列分と、その位相における異なる周回の直接データ(±360度投影データ801,802)の全列分とをもとに仮想検出器データ811を作成したが、本実施形態では、図14に示すように、対象とする直接投影データ800の最外列のデータと、回転軸方向に隣接する直接投影データの最外列のデータ801a,802aとを補間処理して得られる補間値を割り当て、不在仮想検出器データ811を生成する。具体的には、実施形態1で使用した式(7−1)、(7−2)及び(9)が次の式に変更される。
本実施形態は、拡張投影データとして持つデータ量を低減する実施形態である。
即ち、実施形態1〜3では、仮想検出器を生成する際に、対象とする直接投影データ(図9:800)の全列分と、その位相における異なる周回の直接データ(±360度投影データ801,802)の全列分とをもとに仮想検出器データ811を作成したが、本実施形態では、図14に示すように、対象とする直接投影データ800の最外列のデータと、回転軸方向に隣接する直接投影データの最外列のデータ801a,802aとを補間処理して得られる補間値を割り当て、不在仮想検出器データ811を生成する。具体的には、実施形態1で使用した式(7−1)、(7−2)及び(9)が次の式に変更される。
直接投影データが欠損し、異なる周回の直接投影データが存在する位置に対しては異なる周回の直接データ(最外列のデータ)を割り当てることで実在仮想検出器データ812aを生成する。
本実施形態によれば、異なる周回の直接投影データとして一列のデータのみを用いることで、メモリを含む演算装置300の負荷を低減することができる。
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明は高らせんピッチのらせんスキャンで欠損したデータについて所定の回転角度の投影データとそれと異なる周回の投影データであって回転角度が同じである投影データを用いて、データ欠損領域を補う仮想検出器データを作成することを特徴とするものであり、これを実現する手段は実施形態で説明した手法や構成(ソフトウェア或いはハードウェア)に限定されるものではなく、種々の変形があり得る。例えば、実施形態4は適宜実施形態1〜3のいずれかと組み合わせたり、実施形態に含まれる要素や処理の一部を省略したり、実施形態に含まれない公知の要素や処理を追加することも本発明に含まれる。
また実施の形態では、X線を用いた断層撮影装置を用いているが、これに限定されず、中性子線や陽電子やガンマ線や光を用いた断層撮影装置にも適用可能である。スキャン方式についても第1世代、第2世代、第3世代、第4世代といずれの方式かに限定されるものではなく、X線源を複数搭載した多管球CTやカソードスキャンCTや電子ビームCTやCアーム型CTや半導体検出器を用いたフォトンカウンティングCTに対しても使用することが可能である。さらに、検出器形状もX線源を中心とした円筒表面に配置された検出器、平面検出器、X線源を中心とした球面上に配置された検出器、周回軸を中心とした円筒表面に配置された検出器などいずれの検出器にも適用することが可能である。
100・・・スキャナ、101・・・X線発生装置(線源)、104・・・X線検出器、107・・・スキャナ駆動機構(回転機構)、110・・・中央制御装置、200・・・入出力装置、210・・・入力装置、230・・・記憶装置、250・・・表示装置、300・・・演算装置、310・・・再構成部、311・・・ファンパラ変換部、313・・・再構成フィルタ部、315・・・逆投影位相幅算出部、317・・・逆投影部、330・・・画像処理部、350・・・データ補完部、351・・・評価基準面距離算出部、353・・・仮想検出器列算出部(列数算出部)、355・・・仮想検出器データ生成部、357・・・重み付け加算部。
Claims (12)
- X線源と、2次元方向に複数のX線検出素子を配列してなり、前記X線源から放射されたX線を検出するX線検出器と、前記X線源及び前記X線検出器を回転軸を中心に回転する回転機構と、前X線源及び前記回転機構を制御する制御部と、前記X線検出器が検出したX線をもとに画像を再構成する演算部と、を備え、
前記演算部は、前記X線検出器の、前記回転軸の軸方向に欠損したデータを補完するデータ補完部と、前記データ補完部が補完した後の投影データを用いて、前記軸方向に沿った複数断面の断層像を再構成する再構成部とを備え、
前記データ補完部は、回転角度が同一で且つ前記回転軸の軸方向に隣接する2つの検出器位置でそれぞれ取得される投影データ間のデータ欠損領域に対し、当該隣接する検出器位置の2つの投影データを用いて仮想検出器データを作成することを特徴とするX線CT装置。 - 請求項1に記載のX線CT装置であって、
前記X線検出器は、前記X線源から放射されたX線ビームの中心ビームが到達する位置を中心として、その一方の側と他方の側とでX線検出領域の広さが異なる非対称X線検出器であることを特徴とするX線CT装置。 - 請求項1に記載のX線CT装置であって、
前記データ補完部は、前記X線源から所定の距離にある基準点において前記データ欠損が生じているか否かを判定し、当該所定の距離において、前記仮想検出器データを作成することを特徴とするX線CT装置。 - 請求項3に記載のX線CT装置であって、
前記基準点は、回転中心点、再構成領域の前記X線源に最も近い点、又は前2者の中間点のいずれかであることを特徴とするX線CT装置。 - 請求項3に記載のX線CT装置であって、
前記データ補完部は、前記仮想検出器データの列数を決定する列数算出部を有することを特徴とするX線CT装置。 - 請求項5に記載のX線CT装置であって、
前記列数決定部は、前記列数を、前記回転軸に垂直な面において、前記X線検出器の回転中心を中心とし、再構成領域含む最小な円の半径をもとに決定することを特徴とするX線CT装置。 - 請求項1に記載のX線CT装置であって、
前記再構成部は、投影データに再構成フィルタ処理を行うフィルタ部と、再構成フィルタ処理後の投影データに対し逆投影処理を行う逆投影処理部と、を有し、
前記データ補完部は、前記フィルタ部において再構成フィルタ処理した後の投影データに対し、データ補完を行うことを特徴とするX線CT装置。 - 請求項1に記載のX線CT装置であって、
前記データ補完部は、所定の回転角度の検出器位置で取得した投影データと、当該所定の回転角度と回転角度が同一で且つ前記回転軸の軸方向に隣接する検出器位置で取得した投影データの一部とを用いて、前記仮想検出器データを作成することを特徴とするX線CT装置。 - 請求項1に記載のX線CT装置であって、
前記再構成部は、所定の回転角度の検出器位置で取得した実測投影データ、当該所定の回転角度と同一回転角度で且つ前記回転軸の軸方向に隣接する検出器位置で取得した実測投影データから作成された実在仮想検出器データ、及び、隣接する検出器位置間に拡張して作成した前記仮想検出器データを、当該所定の回転角度の投影データとして用い再構成処理を行うことを特徴とするX線CT装置。 - 複数のX線検出素子をチャンネル方向及び列方向に配列してなるX線検出器を用いて、らせんスキャンにより回転角度毎の投影データを取得し、CT画像を再構成する画像処理方法であって、
所定の回転角度の検出器位置で取得した投影データと、当該投影データと列方向に隣接する同回転角度の検出器位置で取得した投影データとの間のデータ欠損領域を算出し、
前記所定の回転角度で取得した投影データと隣接する同回転角度で取得した投影データとを用いて前記データ欠損領域について仮想検出器データを作成することを特徴とする画像処理方法。 - 請求項10に記載の画像処理方法であって、
前記X線検出器は、チャンネル方向について非対称に検出領域を持つ非対称X線検出器であり、
前記非対称X線検出器の非検出領域について、列拡張した投影データの対向データを用いて非検出部データを作成する処理を含むことを特徴とする画像処理方法。 - 請求項10に記載の画像処理方法であって、
前記投影データに対し再構成フィルタ処理するステップと、再構成フィルタ処理後にCT画像を再構成するステップとを含み、
前記データ欠損領域の算出と、データ欠損領域の仮想拡張データの作成は、再構成フィルタ処理後の投影データに対し行うことを特徴とする画像処理方法。
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