JP2018140493A - ガスバリアー性フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、高いガスバリアー性を有し、かつ高温高湿環境下での耐久性、詳しくは高温高湿環境下にさらされてもガスバリアー層と基材との接着性に優れたガスバリアー性フィルムの提供することである。【解決手段】本発明のガスバリアー性フィルムは、基材上に、遷移金属M1を含む化合物を含有する下地層Aと、当該下地層Aに接して形成され、少なくともケイ素(Si)と窒素(N)とを含有するガスバリアー層Bとをこの順で積層した積層体Cを有し、前記積層体Cの厚さ方向の組成分布をXPS法により分析したとき、前記下地層Aと前記ガスバリアー層Bとの界面領域に、遷移金属M1とSiとが共存し、かつ、遷移金属M1/Siの原子比率の値が、0.11〜9.0の範囲内にある領域Dを有し、かつ当該領域Dの厚さが5nm以上であることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、ガスバリアー性フィルムに関する。更に詳しくは、高いガスバリアー性を有し、かつ高温高湿環境下での耐久性(層間密着性)に優れるガスバリアー性フィルムに関する。
フレキシブル電子デバイス、特に、フレキシブル有機エレクトロルミネッセンス(以下、ELと略記する。)デバイスには、基板フィルムや封止フィルムとして、ガスバリアー性フィルムが用いられている。これらに用いられるガスバリアー性フィルムには、水分や酸素に対する高いガスバリアー性が求められている。
一般に、ガスバリアー性フィルムは、フィルム上に、蒸着法、スパッタ法、化学堆積法(CVD法:Chemical Vapor Deposition)といった気相成膜法によって、無機バリアー層を形成することにより製造されている。無機バリアー層としてはケイ素含有化合物、例えば、ケイ素酸化物が広く用いられているが、ケイ素酸化物よりも、ケイ素窒化物の方が高いバリアー性が得られることが知られており、多くの検討がなされている。
近年、基材上に溶液塗布によって形成したバリアー前駆体層にエネルギーを印可してガスバリアー層を形成する製造方法も検討されてきている。特に、新規のガスバリアー成膜方法として、ポリシラザン等のケイ素化合物の塗布液を基材上に溶液塗布し、塗布したポリシラザン塗布膜に真空紫外光を照射することにより、酸化ケイ素より構成されるガスバリアー層を作製する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1に記載されている方法は、ポリシラザン内の原子間結合力より大きい、真空紫外光(以下、「VUV」、「VUV光」とも記載する。)と呼ばれる100〜200nmの範囲内の光エネルギーを用いる。これにより、光量子プロセスと呼ばれる光子のみによる作用により、原子の結合を直接切断しながら活性酸素やオゾンによる酸化反応を進行させることで、比較的低温で、ケイ素の酸窒化物組成となり、高いバリアー性が得られることから、注目されている。
しかしながら、このような方法で作製されたガスバリアー性フィルムはバリアー性としては未だ不十分であり、例えば、有機ELデバイスの基板として用いることのできるレベルには至っていない。加えて、高温高湿下での層間の接着性(以下、密着性ともいう。)の劣化が生じるため、耐久性も不十分である。
具体的には、ポリシラザンをエキシマ光で改質して形成したガスバリアー層は、40℃程度までの低温におけるガスバリアー性は良好であるものの、例えば、85℃、85%RHといった高温高湿の非常に過酷な環境下では、この方式で形成したガスバリアー層であっても時間の経過に伴って、ガスバリアー性が低下することが判明した。これは、高温高湿環境下で保存させることにより、基材とポリシラザンを改質して形成したガスバリアー層との接着性が低下し、基材とガスバリアー層間で剥離を生じることが一因であると考えられる。
以上のような状況を踏まえ、高いガスバリアー性と共に、高温高湿環境下においても優れた接着性を有する、電子デバイス用のガスバリアー性フィルムの開発が求められている。
特表2009−503157号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、高いガスバリアー性を有し、かつ高温高湿環境下での耐久性、詳しくは高温高湿環境下にさらされてもガスバリアー層と基材との接着性に優れたガスバリアー性フィルムの提供することである。
本発明に係る上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討した結果、基材上に、遷移金属M1を含む化合物を含有する下地層Aと、当該下地層Aに接して形成され、少なくともケイ素(Si)と窒素(N)とを含有するガスバリアー層Bとをこの順で積層した積層体Cを有し、前記下地層Aと前記ガスバリアー層Bとの界面領域に、遷移金属M1とSiとが共存し、かつ、遷移金属M1/Siの原子比率の値が、特定の範囲内にある領域Dを有し、かつ当該領域Dの厚さが5nm以上であることを特徴とするガスバリアー性フィルムにより、高いガスバリアー性を有し、かつ高温高湿環境下でのガスバリアー層と基材との接着性(密着性)に優れたガスバリアー性フィルムが得られることを見いだした。
すなわち、本発明に係る課題は、以下の手段により解決される。
1.基材上に、遷移金属M1を含む化合物を含有する下地層Aと、当該下地層Aに接して形成され、少なくともケイ素(Si)と窒素(N)とを含有するガスバリアー層Bとをこの順で積層した積層体Cを有するガスバリアー性フィルムであって、
前記積層体Cの厚さ方向の組成分布をXPS法により分析したとき、前記下地層Aと前記ガスバリアー層Bとの界面領域に、遷移金属M1とSiとが共存し、かつ、遷移金属M1/Siの原子比率の値が、0.11〜9.0の範囲内にある領域Dを有し、かつ当該領域Dの厚さが5nm以上であることを特徴とするガスバリアー性フィルム。
2.前記遷移金属M1を含む化合物が、球形粒子であることを特徴とする第1項に記載のガスバリアー性フィルム。
3.前記遷移金属M1が、ニオブ(Nb)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)及び鉄(Fe)から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする第1項又は第2項に記載のガスバリアー性フィルム。
4.前記ガスバリアー層Bが、ポリシラザンを含有する塗布液を塗布し、乾燥して形成された層であることを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載のガスバリアー性フィルム。
5.前記ガスバリアー層Bが、ポリシラザンとアルミニウム化合物、またはポリシラザンとホウ素化合物とを含有する塗布液を塗布し、乾燥して形成された層であることを特徴とする第4項に記載のガスバリアー性フィルム。
6.前記積層体Cが、厚さ方向の組成分布をXPS法により分析した際に、前記領域Dとは異なる領域に、遷移金属M2とSiとが共存し、かつ、遷移金属M2/Siの原子比率の比が、0.11〜9.0の範囲内であり、かつ前記領域Dに接していない領域Eを有することを特徴とする第1項から第5項のいずれか一項に記載のガスバリアー性フィルム。
7.前記領域Eは、その組成をSiM2で表したとき、下式(1)で示す条件を満たすことを特徴とする第6項に記載のガスバリアー性フィルム。
式(1)
(2y+3z)/(a+bx)<0
〔式中、aはSiの価数である。bは遷移金属M2の最大価数である。〕
8.前記遷移金属M2が、ニオブ(Nb)又はタンタル(Ta)であることを特徴とする第6項又は第7項に記載のガスバリアー性フィルム。
本発明によれば、高いガスバリアー性を有し、かつ高温高湿環境下でのガスバリアー層と基材との接着性に優れたガスバリアー性フィルムの提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
本発明のガスバリアー性フィルムは、前述のとおり、基材上に、遷移金属M1を含む化合物を含有する下地層Aと、当該下地層Aに接して形成され、少なくともケイ素(Si)と窒素(N)とを含有するガスバリアー層Bとをこの順で積層した積層体Cを有し、前記積層体Cの厚さ方向の組成分布をXPS法により分析したとき、前記下地層Aと前記ガスバリアー層Bとの界面領域に、遷移金属M1とSiとが共存し、かつ、遷移金属M1/Siの原子比率の値が、0.11〜9.0の範囲内にある領域Dを有し、かつ当該領域Dの厚さが5nm以上であることを特徴とし、上記で規定する構成とすることにより、高いガスバリアー性を達成するとともに、高温高湿環境下で保存された際のガスバリアー層と基材との接着性を飛躍的に向上させることができる。
本発明に係る領域Dは、移金属M1を含む化合物、好ましくは球形粒子である遷移金属M1を含む化合物を含有する下地層Aの表面凹部に、ガスバリアー層Bの構成成分が入り込むことで形成される。
下地層Aとガスバリアー層Bとの界面に領域Dを形成することにより、接着性が向上するメカニズムとしては、下記の2つの効果の相乗作用であると推定している。
第1の効果は、移金属M1を含む化合物の表面に存在すると考えられるM1−OH構造と、ガスバリアー層BのSi−NH構造とが反応し、M1−O−Si結合を形成する。このM1−O−Si結合は、Si−O−Si結合よりも加水分解され難いと考えられ、一般的なコロイダルシリカを含有する下地層に比較し、高温高湿下での劣化が少ないと考えられ、この効果により高い接着性を得ることができる。
第2の効果としては、下地層Aが球形の遷移金属M1による凹凸構造を有することから、下地層Aとガスバリアー層Bとが入り組んで接することにより、例えば、球状粒子により構成される下地層Aの粒子間の間隙部に、ガスバリアー層Bを構成する材料が入り込むことにより、アンカー効果が発現する。加えて、下地層Aとガスバリアー層Bとが接する界面の面積が、界面の投影面積よりも、飛躍的に増大することにより、上記M1−O−Si結合を形成する面積も増加することにより、M1−O−Si結合数が増加し、その結果、高い接着性を実現することができたものと推測している。
ガスバリアー性フィルムの構成の一例を示す概略断面図 下地層とガスバリアー層界面に形成する領域Dの構成の一例を示す模式図 ガスバリアー性フィルムの厚さ方向におけるSi及び遷移金属M1の組成分布をXPS法により分析したときの元素プロファイルと領域Dを説明するためのグラフ ガスバリアー層上に領域Eを有するガスバリアー性フィルムの構成の一例を示す概略断面図 本発明に係るガスバリアー層の形成に適用可能な真空紫外線照射装置の一例を示す概略断面図
本発明のガスバリアー性フィルムは、基材上に、遷移金属M1を含む化合物を含有する下地層Aと、当該下地層Aに接して形成され、少なくともケイ素(Si)と窒素(N)とを含有するガスバリアー層Bとをこの順で積層した積層体Cを有し、前記積層体Cの厚さ方向の組成分布をXPS法により分析したとき、前記下地層Aと前記ガスバリアー層Bとの界面領域に、遷移金属M1とSiとが共存し、かつ、遷移金属M1/Siの原子比率の値が、特定の範囲内にある、層厚が5nm以上の領域Dを有することを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項8までの各請求項に共通する又は対応する技術的特徴である。
本発明においては、本発明の目的とする効果をより発現できる観点から、遷移金属M1を含む化合物が、球形粒子であることが、効率的に領域Dを形成することができ、より優れた接着性を得ることができる。
また、遷移金属M1が、ニオブ(Nb)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)及び鉄(Fe)から選ばれる少なくとも一種であることが、ガスバリアー層の構成材料との相互作用により効果的なM1−O−Si結合を形成することができ、高温高湿環境下で保存された際にも優れた接着性を得ることができる観点から好ましい。
また、ガスバリアー層Bが、ポリシラザンを含有する塗布液を塗布し、乾燥して形成される層であることが、簡易的な手段により高質のガスバリアー層を形成することができる点で好ましい。
また、ガスバリアー層Bが、ポリシラザンとアルミニウム化合物、またはポリシラザンとホウ素化合物とを含有する塗布液を塗布し、乾燥して形成された層であることが、更にその上に、下記に示す遷移金属M2を形成した際に、下記に示す領域Eにおけるガスバリアー性をより安定化することができ、生産効率を高めることができる観点から好ましい。
また、前記積層体Cが、厚さ方向の組成分布をXPS法により分析した際に、前記領域Dとは異なる領域に、遷移金属M2とSiとが共存し、かつ、遷移金属M2/Siの原子比率の比が、0.11〜9.0の範囲内であり、かつ前記領域Dに接していない領域Eを有すること、あるいは領域Eにおける組成をSiM2で表したとき、前記式(1)で示す条件を満たすことが、領域Eとして、遷移金属M2とSiが安定して結合した領域となり、加水分解され難い環境となり、より高いガスバリアー性を実現することができる。
また、遷移金属M2がニオブ(Nb)又はタンタル(Ta)であることが、ガスバリアー層の構成材料でありSiとの相互作用により効果的なM2−O−Si結合を形成することができ、高温高湿環境下で保存された際にも優れた接着性を得ることができる観点から好ましい。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。また、各図の説明で、構成要素の後の括弧内に記載の数字は、各図に記載している符号を示してある。
《ガスバリアー性フィルムの全体構成》
本発明のガスバリアー性フィルムは、基材上に、遷移金属M1を含む化合物を含有する下地層Aと、当該下地層Aに接して形成され、少なくともケイ素(Si)と窒素(N)とを含有するガスバリアー層Bとをこの順で積層した積層体Cを有する構成であることを特徴の一つとする。
更に、積層体Cの厚さ方向の構成組成分布を分析したとき、下地層Aとガスバリアー層Bとの界面領域に、遷移金属M1とSiとが共存し、かつ、遷移金属M1/Siの原子比率の値が0.11〜9.0の範囲内にある層厚が5nm以上の領域Dを有することを特徴とする。
本発明でいう「ガスバリアー性フィルム」とは、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された水蒸気透過度(略称:WVTR、温度:38℃、相対湿度(RH):100%)が1(g/m・24h)以下のフィルムであることを意味する。
水蒸気透過度は、例えば、水蒸気透過度測定装置(商品名:パーマトラン モコン社製)により、38℃、100%RHの雰囲気下で測定することができる。
図1は、ガスバリアー性フィルムの請求項1で規定する構成の一例を示す概略断面図である。
図1において、ガスバリアー性フィルム(1)は、基材(2)上に、第1の構成層として、遷移金属M1を含む化合物を含有する下地層A(3)を有し、その上に第2の構成層として、少なくともケイ素(Si)と窒素(N)とを含有するガスバリアー層B(4)を形成して、積層体(C)を構成している。
(領域Dについて)
本発明においては、図1で示すように、積層体(C)を構成する下地層A(3)とガスバリアー層B(4)との間に、遷移金属M1/Siの原子比率の値が0.11〜9.0の範囲内にある層厚が5nm以上の領域Dを有していることを特徴とする。
本発明で規定する上記構成をとることにより、下地層Aは、遷移金属M1を含む化合物、好ましくは、遷移金属M1を含む球状粒子により構成され、その結果、下地層Aの表面は凹凸構造を有し、その上にガスバリアー層を形成する、好ましくは、湿式塗布方式で形成することにより、前述のとおり、下地層A表面の凹凸構造部に、ガスバリアー層形成用塗布液が入り込むことにより、下地層Aを構成する遷移金属M1を含む化合物表面に存在するM1−OHと、ガスバリアー層Bを構成するSi−NHがその接触界面で反応し、M1−O−Si結合を形成する。このM1−O−Si結合、例えば、Nb−O−Si結合、Zr−O−Si結合、Ti−O−Si結合、Fe−O−Si結合等は、Si−O−Si結合に対し、加水分解されにくい特性を有しており、下地層がコロイダルシリカ等を含有している構成に対し、高温高湿環境下で劣化が少なく、優れた接着性を維持することができる。
更に、凹凸構造を有する下地層Aの表面領域に、ガスバリアー層の構成成分が入り込むことにより、アンカー効果を発現し、かつ両者の接触面積が広くなり、M1−O−Si結合面積が増大することにより、より強固な接着性を得ることができる。
図2は、下地層とガスバリアー層界面に形成する領域Dの構成の一例を示す模式図である。
図2に示すガスバリアー性フィルム(1)の部分構造においては、基材(不図示)上に遷移金属M1を含む化合物を含有する下地層A(3)を形成するが、好ましい態様としては当該化合物として球状粒子を適用することにより、特に、下地層A(3)の表面領域では、球状粒子の形状に対応して凹凸構造が形成され、かつ粒子密度も低く、粒子間間隙が存在する状態となる。このような構成の下地層A(3)上に、ケイ素(Si)と窒素(N)とを含有するガスバリアー層B(4)を、湿式塗布方式で形成することにより、下地層A表面の凹凸構造部に、ガスバリアー層形成用塗布液が入り込むことにより、遷移金属M1/Siの原子数比率の値が、0.11〜9.0の範囲内にある、厚さが5nm以上の領域Dを形成することができる。
領域Dの厚さは、5nm以上であることを特徴とするが、好ましくは5〜30nmの範囲内であり、さらに好ましくは8〜20nmの範囲内である。上記で規定する範囲内であれば、良好なガスバリアー性と接着性とを両立することができる。
本発明において、領域Dを所望の厚さに制御するための具体的手段としては、例えば、下地層の形成に用いる遷移金属M1を含む化合物、より詳しくは球形粒子の粒径等を適宜選択し、表面の凹凸の程度を制御する方法の他、遷移金属M1を含む化合物の密度、遷移金属M1を含む化合物と下地層形成用バインダーとの質量比等を調整することにより、設定することができる。
領域Dの厚さは、下地層A(3)を構成する化合物、より詳しくは球形粒子の粒径等に依存する表面の凹凸程度に関連して変化する。
下地層A(3)の凹凸が小さすぎると、上述の推定メカニズムに記載した第1の効果及び第2の効果が十分に発現させることができず、接着性が不十分となる場合がある。一方、下地層Aの凹凸数が過剰、あるいは深くなりすぎると、ガスバリアー層B(4)の表面粗さが粗くなり、下地層A(3)の突起(凹凸構造)を、その上に設けるガスバリアー層B(4)で被覆できなくなり、その結果、十分なガスバリアー性を得ることが難しくなる。
従って、下地層A(3)の表面凹凸の程度は、断面TEM画像で下地層A(3)の厚さの高低差を計測することで数値化することができる。下地層A(3)の高低差としては、断面TEM画像の長さ1.0μmの範囲で計測した際に、5〜30nmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは8〜20nmの範囲内である。
〈XPSによる組成分析と領域Dの厚さの測定〉
本発明に係る領域Dは、積層体Cの厚さ方向の組成分布をXPS法により分析したとき、前記下地層Aと前記ガスバリアー層Bとの界面領域に、遷移金属M1とSiとが共存し、かつ、遷移金属M1/Siの原子数比率の値が、0.11〜9.0の範囲内にあり、厚さが5nm以上であることを特徴とする。
以下、XPS分析法による領域Dの測定方法について説明する。
本発明に係る積層体Cの厚さ方向における元素濃度分布(以下、デプスプロファイルという。)は、具体的には、遷移金属M1分布曲線、ケイ素分布曲線、酸素分布曲線、窒素分布曲線及び炭素分布曲線等を、X線光電子分光法(XPS:Xray Photoelectron Spectroscopy)の測定とアルゴン等の希ガスイオンスパッタとを併用することにより、積層体Cの表面より内部を露出させつつ順次表面組成分析を行う、いわゆるXPSデプスプロファイル測定により作成することができる。このようなXPSデプスプロファイル測定により得られる分布曲線は、例えば、縦軸を各元素の原子比(単位:atom%)とし、横軸をエッチング時間(スパッタ時間)として作成することができる。なお、このように横軸をエッチング時間とする元素の分布曲線においては、エッチング時間は層厚方向における前記積層体Cの厚さ方向におけるガスバリアー層B(4)の表面からの距離におおむね相関することから、「積層体Cの厚さ方向におけるガスバリアー層B(4)の表面からの距離」として、XPSデプスプロファイル測定の際に採用したエッチング速度とエッチング時間との関係から算出されるガスバリアー層の表面からの距離を採用することができる。また、このようなXPSデプスプロファイル測定に際して採用するスパッタ法としては、エッチングイオン種としてアルゴン(Ar)を用いた希ガスイオンスパッタ法を採用し、そのエッチング速度(エッチングレート)を0.05nm/sec(SiO熱酸化膜換算値)とすることが好ましい。
以下に、本発明に適用可能なXPS分析の具体的な条件の一例を示す。
・分析装置:アルバックファイ社製QUANTERASXM
・X線源:単色化Al−Kα
・スパッタイオン:Ar(2keV)
・デプスプロファイル:SiO換算スパッタ厚さで、所定の厚さ間隔で測定を繰り返し、深さ方向のデプスプロファイルを求める。この厚さ間隔は、1nmとした(深さ方向に1nmごとのデータが得られる)。
・定量:バックグラウンドをShirley法で求め、得られたピーク面積から相対感度係数法を用いて定量した。データ処理は、アルバックファイ社製のMultiPakを用いる。なお、分析した元素は、ケイ素(Si)、遷移金属M1、酸素(O)、窒素(N)、炭素(C)である。
得られたデータから、組成比を計算し、遷移金属M1とSiとが共存し、かつ、遷移金属M1/Siの原子数比率の値が、0.11〜9.0の範囲を求め、これを領域Dと定義し、その厚さを求めた。領域Dの厚さは、XPS分析におけるスパッタ深さをSiO換算で表したものである。
前述のとおり、本発明において、領域Dの厚さは5nm以上であることを特徴とし、好ましくは5〜30nmの範囲内であり、さらに好ましくは8〜20nmの範囲内である。
図3に、領域Dを含めたガスバリアー性フィルムの厚さ方向のSi及び遷移金属M1の組成分布をXPS法により分析したときの元素プロファイルの模式的なグラフを示す。
図3は、ガスバリアー性フィルムの表面(グラフの左端部)より深さ方向に、Si、M1、O、N、Cの元素分析を行い、横軸にスパッタの深さ(膜厚:nm)を、縦軸にSiとM1の含有率(atom%)を示したグラフである。
左側より、ガスバリアー層B(4)の元素組成、領域Dの元素組成、下地層A(3)における元素組成プロファイルであり、領域Dが、M1/Siの原子数比率の値が、0.11〜9.0の範囲内である。
《ガスバリアー性フィルムの構成要素》
以下に、本発明のガスバリアー性フィルムの構成要素である、基材、下地層A及び遷移金属M1、ガスバリアー層B及び形成方法、(領域D)、領域E及び遷移金属M2の詳細について説明する。
〔基材〕
本発明のガスバリアー性フィルムに適用する基材としては、プラスチックフィルムを挙げることができる。
当該プラスチックフィルムは、下地層Aやガスバリアー層B等を保持できるフィルムであれば材質、厚さ等に特に制限はなく、使用目的等に応じて適宜選択することができる。
本発明に適用可能なプラスチックフィルムとしては、従来公知のプラスチックフィルムを挙げることができ、例えば、特開2013−226758号公報の段落(0124)〜同(0136)、国際公開第2013/002026号の段落(0044)〜(0047)等に記載されたプラスチックフィルムを挙げることができる。
プラスチックフィルムとして用いることができるより好ましい具体例は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)等である。
基材は、枚葉形状及びロール形状に限定されないが、生産性の観点からロールtoロール方式でも対応できるロール形状が好ましい。
基材の厚さは、用途によって適宜選択されるため特に制限がないが、典型的には1〜800μmの範囲内であり、好ましくは5〜500μmの範囲内であり、さらに好ましくは10〜200μmの範囲内である。
本発明で用いられる基材は、従来公知の一般的な方法により製造することが可能である。例えば、材料となる樹脂を押し出し機により溶融し、環状ダイやTダイにより押し出して急冷することにより、実質的に無定形で配向していない未延伸の基材を製造することができる。また、未延伸の基材を一軸延伸、テンター式逐次二軸延伸、テンター式同時二軸延伸、チューブラー式同時二軸延伸等の公知の方法により、基材の流れ(縦軸)方向、又は基材の流れ方向と直角(横軸)方向に延伸することにより延伸基材を製造することができる。この場合の延伸倍率は、基材の原料となる樹脂に合わせて適宜選択することできるが、縦軸方向及び横軸方向にそれぞれ2〜10倍が好ましい。
基材の少なくとも本発明に係る下地層及びガスバリアー層を設ける面側には、密着性向上のための公知の種々の処理、例えばコロナ放電処理、火炎処理、酸化処理、又はプラズマ処理等を行うことが好ましく、必要に応じて上記処理を組み合わせて行うことがより好ましい。
〔下地層〕
本発明に係る下地層Aは、少なくとも遷移金属M1を含む化合物を含有する。さらに好ましくは、遷移金属M1を含む化合物であり、更に、遷移金属M1が、ニオブ(Nb)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)及び鉄(Fe)から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
(遷移金属M1)
本発明に係る下地層の形成に適用可能な遷移金属M1とは、第3族元素から第12族元素を指し、本発明に係る遷移金属M1としては、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Pd、Ag、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、及びAuなどが挙げられる。
中でも、Ti、Ce、Nb、Fe、Zr、La、Ndが好ましく、更には、透明性が良好な化合物が得られるNb、Zr、Ti及びFeから選ばれる少なくとも一種であることが好ましく、特に好ましくは、Nb又はZrである。
本発明に係る遷移金属M1を含む化合物の態様としては、特に限定されないが、例えば、遷移金属Mの酸化物、窒化物、炭化物、酸窒化物、又は酸炭化物といった化合物の状態で含有されることが挙げられる。中でも酸化をより効果的に抑制するという観点から、遷移金属M1としては、酸化物として下地層Aに含有されることが好ましい。下地層Aに適用する遷移金属M1は、1種単独であっても2種以上併用してもよい。
(遷移金属M1を含む化合物の形状)
本発明に係る遷移金属M1を含む化合物としては、粒子形状を有していることが好ましい態様の一つである。
粒子形状としては、球形、紡錘形、不定形等、いずれの形態でもよいが、下地層表面に所望の凹凸構造を形成することができる観点から、球形粒子であることが好ましい。本発明でいう球形粒子とは、長軸/短軸の比の値(アスペクト比)が、1.00〜1.50の範囲内であり、好ましくは1.00〜1.20の範囲内であり、さらに好ましくは、1.00〜1.10の範囲内である。
遷移金属M1を含む化合物の粒子サイズとしては、長径として5〜50nmの範囲内であることが好ましく、更には10〜30nmの範囲内であることが好ましい。この範囲であれば、下地層Aの表面に粗大な突起を形成することなく、適正な凹凸構造を形成することができる。
(遷移金属M1を含む化合物)
本発明においては、遷移金属M1を含む化合物は市販品としても入手することができ、例えば、遷移金属酸化物のナノ粒子分散物として、下記の超微粒子酸化物ゾルを挙げることができる。
下記に列挙する超微粒子酸化物ゾルは、いずれも、多木化学社製である。
〈TiO
タイノックA−6(商品名、成分=TiO、2次粒子径=20nm、pH=12)、タイノックM−6(商品名、成分=TiO、2次粒子径=10nm、pH=3)、タイノックAM−15(商品名、成分=TiO、2次粒子径=20nm、pH=4)、タイノックCZP−223(商品名、成分=TiO、2次粒子径=20nm)、タイノックRA−6(商品名、成分=TiO、2次粒子径=35nm、pH=10)等、
〈CeO
ニードラールB−10(商品名、成分=CeO、2次粒子径=20nm,pH=8)、ニードラールP−10(商品名、成分=CeO、2次粒子径=20nm,pH=7)等、
〈Nb
バイラールNb−G6000(商品名、成分=Nb、2次粒子径=15nm,pH=8)等、
〈Fe
バイラールFe−C10(商品名、成分=Fe、2次粒子径=6nm,pH=7)等、
〈ZrO
バイラールZr−C20(商品名、成分=ZrO、2次粒子径=40nm,pH=7)等
〈La
バイラールLa−C10(商品名、成=La、2次粒子径=40nm,pH=8)等、
〈Nd
バイラールNd−C10(商品名、成=Nd、2次粒子径=20nm,pH=9)等、
また、日産化学工業社からも、下記の酸化ジルコニウム(ZrO)ゾル(ナノユース(登録商標)ZRシリーズ)が市販されている。
ZR−30BS(粒子径=63nm,pH=9.8)、ZR−30BFN(粒子径=14nm、pH=7.2)、ZR−20AS(粒子径=42nm、pH=3.8)等を挙げることができる。
(バインダー)
本発明に係る下地層を形成する際には、上記説明した遷移金属M1を含む化合物と共に、バインダーを用いることができる。
下地層の形成に適用可能なバインダーとしては、例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、エチレン−ブタジエン共重合体等のジエン(共)重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等の合成ゴム、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート−(2−エチルヘキシルアクリレート)共重合体、メチルメタクリレート−メタクリル酸共重合体、メチルアクリレート−(N−メチロールアクリルアミド)共重合体、ポリアクリロニトリル等の(メタ)アクリル(共)重合体、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル−プロピオン酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体等のビニルエステル(共)重合体、酢酸ビニル−(2−エチルヘキシルアクリレート)共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン等およびそれらの共重合体が挙げられる。
(形成方法)
本発明において、下地層Aの基材上への形成方法としては、例えば、遷移金属M1を含む化合物、バインダーの他に、溶媒や界面活性剤等を添加して下地層A形成用塗布液を調製した後、スピンコート法、ロールコート法、フローコート法、インクジェット法、スプレーコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、ダイコート法、グラビア印刷法等の公知の湿式塗布方式により基材上にコーティングし、溶媒、希釈剤等を乾燥除去することにより下地層Aを形成することができる。
下地層Aの乾燥後の層厚としては、特に制限はないが、20〜500nmの範囲内であり、好ましくは20〜200nmの範囲内であり、さらに好ましくは、30〜150nmの範囲内である。
〔ガスバリアー層B〕
本発明に係るガスバリアー層Bは、少なくともケイ素(Si)と窒素(N)とを含有する層であれば特に制限はないが、好ましい態様は、ポリシラザンを含有する塗布液を塗布し、乾燥して形成される層である。
以下、ポリシラザンを用いたガスバリアー層Bの形成方法について説明する。
本発明係るガスバリアー層Bは、ポリシラザンを含む塗布液を公知の湿式塗布法により塗布して改質処理を行い、本発明に係る下地層A上にガスバリアー層B及び領域Dを形成することができる。
(ポリシラザン)
本発明に用いられる「ポリシラザン」とは、構造内にケイ素−窒素結合を持つポリマーで、酸窒化ケイ素の前駆体となるポリマーであり、下記一般式(1)の構造を有するものが好ましく用いられる。
Figure 2018140493
上記一般式(1)において、R、R、及びRは、各々水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、又はアルコキシ基を表す。
本発明では、得られるガスバリアー層の膜としての緻密性の観点からは、R、R及びRの全てが水素原子であるパーヒドロポリシラザン(略称:PHPS)が特に好ましい。
ポリシラザンは、有機溶媒に溶解した溶液の状態で市販されており、市販品をそのままポリシラザン含有塗布液として使用することができる。ポリシラザン溶液の市販品としては、AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製のNN120−20、NAX120−20、NL120−20などが挙げられる。
その他、ポリシラザンの詳細については、例えば、特開2013−255910号公報の段落(0024)〜同(0040)、特開2013−188942号公報の段落(0037)〜同(0043)、特開2013−151123号公報の段落(0014)〜同(0021)、特開2013−052569号公報の段落(0033)〜同(0045)、特開2013−129557号公報の段落(0062)〜同(0075)、特開2013−226758号公報の段落(0037)〜同(0064)等に記載されている内容を参照して適用することができる。
(ポリシラザンを用いたガスバリアー層の形成方法)
ポリシラザンを含有するガスバリアー層形成用塗布液は、ポリシラザンの他に、溶媒や必要に応じて後述する添加元素化合物を含有し、基材上に形成された下地層Aの上に、湿式塗布方式を用いて形成する。
ガスバリアー層形成用塗布液の調製に用いる溶媒としては、非プロトン性溶剤;例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、ソルベッソ、ターベン等の、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素溶媒;塩化メチレン、トリクロロエタン等のハロゲン炭化水素溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等の脂肪族エーテル、脂環式エーテル等のエーテル類:例えば、テトラヒドロフラン、ジブチルエーテル、モノ−及びポリアルキレングリコールジアルキルエーテル(ジグライム類)などを挙げることができる。
ガスバリアー層形成用塗布液におけるポリシラザンの濃度は、特に制限されず、層の膜厚や塗布液のポットライフによっても異なるが、好ましくは1〜80質量%の範囲内、より好ましくは5〜50質量%の範囲内、さらに好ましくは10〜40質量%の範囲内である。
ポリシラザンを含有する塗布液を塗布する方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。具体的には例えば、スピンコート法、ロールコート法、フローコート法、インクジェット法、スプレーコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、グラビア印刷法等が挙げられる。塗布液を塗布した後は、塗膜を乾燥させることが好ましい。塗膜を乾燥することによって、塗膜中に含有される溶媒を除去することができる。形成方法については、従来公知である特開2014−151571号公報の段落(0058)〜同(0064)、特開2011−183773号公報の段落(0052)〜同(0056)等を参照して採用することができる。
(改質処理)
改質処理とは、ポリシラザンを、エネルギーを付与して、その一部又は全てを酸化ケイ素または酸化窒化珪素への転化する処理である。
本発明における改質処理は、ポリシラザンの転化反応に基づく公知の方法を選ぶことができ、例えば、公知のプラズマ処理、プラズマイオン注入処理、紫外線照射処理、真空紫外線照射処理等を挙げることができる。本発明においては、低温で転化反応が可能なプラズマやオゾンや紫外線を使う転化反応が好ましい。プラズマやオゾンは従来公知の方法を用いることができる。本発明において、基材上に塗布方式のポリシラザン含有塗布液の塗膜を設け、波長200nm以下の真空紫外線(VUV)を照射して改質処理する真空紫外線照射処理を適用してガスバリアー層Bを形成する方法が、特に好ましい。
ガスバリアー層Bの厚さは、特に制限はないが、1〜500nmの範囲内が好ましい、より好ましくは10〜300nmの範囲内である。ガスバリアー層のうち、ガスバリアー層全体が改質層であってもよいし、ガスバリアー層の一部が改質処理された改質層であってもよい。
(真空紫外線照射処理)
本発明に係るガスバリアー層Bは、ポリシラザンを含む層に真空紫外光(VUV)照射する工程で、ポリシラザンの少なくとも一部が酸窒化ケイ素へと改質されることが好ましい。
本発明におけるVUV照射工程において、ガスバリアー層の前駆体であるポリシラザン含有層塗膜が受ける塗膜面での当該VUVの照度は、30〜200mW/cmの範囲内であることが好ましく、50〜160mW/cmの範囲内であることがより好ましい。VUVの照度を30mW/cm以上とすることにより、改質効率を十分に奏することができ、200mW/cm以下とすることにより、塗膜への損傷発生率を極めて低く抑えることができ、かつ基材やすでに形成している下地層Aへの損傷も低減させることができる観点から、好ましい。
ポリシラザン層塗膜面におけるVUVの照射エネルギー量は、200〜10000mJ/cmの範囲内であることが好ましく、500〜5000mJ/cmの範囲内であることがより好ましい。VUVの照射エネルギー量を200mJ/cm以上とすることで、ポリシラザン層の改質処理を安定して行うことができ、10000mJ/cm以下とすることにより、過度な改質を抑制し、形成するガスバリアー層のクラックや、基材や下地層Aの熱変形の発生を抑制することができる。
真空紫外光源としては、希ガスエキシマランプが好ましく用いられ、例えば、エキシマランプ(172nm、222nm、308nmの単一波長、例えば、ウシオ電機株式会社製、株式会社エム・ディ・コム製など)等を挙げることができる。
真空紫外線照射による処理は、ポリシラザン内の原子間結合力より大きい100〜200nmの光エネルギーを用い、好ましくは100〜180nmの波長の光エネルギーを用い、原子の結合を光量子プロセスと呼ばれる光子のみの作用により、直接切断しながら活性酸素やオゾンによる酸化反応を進行させることで、比較的低温(約200℃以下)で、酸化ケイ素膜の形成を行う方法である。
紫外線照射時の反応には、酸素が必要であるが、真空紫外線は、酸素による吸収があるため紫外線照射工程での効率が低下しやすいことから、真空紫外線の照射は、可能な限り酸素濃度及び水蒸気濃度の低い状態で行うことが好ましい。すなわち、VUV照射時の酸素濃度は、10〜10000ppmの範囲とすることが好ましく、より好ましくは50〜5000ppmの範囲、さらに好ましく80〜4500ppmの範囲、最も好ましくは100〜1000ppmの範囲である。
VUV照射時においては、照射雰囲気を満たすガスとして乾燥不活性ガスを用いることが好ましく、特にコストの観点から乾燥窒素ガスにすることが好ましい。酸素濃度の調整は照射庫内へ導入する酸素ガス、不活性ガスの流量を計測し、流量比を変えることで調整可能である。
これらの改質処理の詳細については、例えば、特開2012−086394号公報の段落(0055)〜同(0091)、特開2012−006154号公報の段落(0049)〜同(0085)、特開2011−251460号公報の段落(0046)〜同(0074)等に記載の内容を参照することができる。
上記ガスバリアー層は2層以上積層する構成であってもよく、プラズマCVD法で形成したガスバリアー層上に上記方法によりガスバリアー層を積層してもよい。
(ガスバリアー層が、ポリシラザン由来であること判定)
本発明に係るガスバリアー層においては、前駆体としてポリシラザン、特に好ましくはパーヒドロポリシラザンを用いて形成することが好ましい態様であるが、最終完成物であるガスバリアー層が、ポリシラザンにより形成された層であることは、下記の方法により分析することにより実証することができる。
本発明においては、ポリシラザンとしてはパーヒドロポリシラザンを適用した例について説明する。
市販のパーヒドロポリシラザンの一般的な組成をSiNとしたときに、vは0.78〜0.80となる。パーヒドロポリシラザンから形成された前駆体層は、形成雰囲気の水分や酸素を取り込み、アンモニアや水素を放出して、下式(A)及び式(B)で示すように組成が変化していく。
Figure 2018140493
その過程において、窒素が1個放出されるのに対し、酸素が3個取り込まれるという法則におおよそ従う。これは、上述の種々の改質処理を行った場合にもあてはまるものである。したがって、パーヒドロポリシラザンから塗布形成されたガスバリアー層の組成をSiOで示した際に、xとyの関係は下式(C)に従う。
式(C)
y=0.8−x/3、x≧0、y≧0、
元の組成がSiN0.8の場合、パーヒドロポリシラザンから塗布形成された層の厚さ方向の組成分布をXPSにより分析した場合、厚さ方向の各測定点でのいずれの組成も上記式にあてはまることになる(数%の誤差は存在する)。
したがって、Siを含有する層の厚さ方向の組成分布を分析して、SiOで示した際に、その形成したガスバリー層の厚さに対して、その80%以上となる測定点の組成が、yの値が(0.8−x/3)の±2%の範囲に入っていた場合、その層はパーヒドロポリシラザンから形成されたガスバリアー層であると推定することが可能となる。
(添加元素)
本発明において、ガスバリアー層Bを形成するための塗布液には、添加元素(長周期型周期表の第2族〜第14族の元素からなる群より選択される少なくとも1種の元素)を含有させることができる。添加元素の例としては、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、マグネシウム(Mg)、スズ(Sn)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、鉛(Pb)、マンガン(Mn)、リチウム(Li)、ゲルマニウム(Ge)、銅(Cu)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、コバルト(Co)、ホウ素(B)、ベリリウム(Be)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、ラジウム(Ra)、タリウム(Tl)、ゲルマニウム(Ge)等が挙げられる。
本発明に係るガスバリアー層を、特に、ポリシラザンとアルミニウム化合物、またはポリシラザンとホウ素化合物とを含有する塗布液を塗布し、乾燥して形成することが好ましい。
本発明のガスバリアー性フィルムにおいては、後述するように、前記説明した領域Dに接していない位置に、遷移金属M2とSiとが共存し、かつ、遷移金属M2/Siの原子数比率の比が、0.11〜9.0の範囲内にある領域Eを有することが好ましい態様となる。
上記の領域Eをガスバリアー層Bの上に、遷移金属M2をスパッタ加工により付与し、領域Eを形成する場合、ガスバリアー層Bの形成から遷移金属M2により領域Eを形成する工程において、ガスバリアー層Bまでを形成したガスバリアー性フィルムを保管する環境によっては、すでに形成されているガスバリアー層Bの組成が変化することがある。例えば、窒素原子が抜けて、酸素原子が取り込まれるといった元素組成の変化により、ガスバリアー性フィルムの品質、例えば、ガスバリアー性が安定しないという問題が生じる。 上記問題に対し、ガスバリアー層Bの形成時に、ポリシラザンと共に、アルミニウム化合物又はホウ素化合物を併用すると、ガスバリアー層Bの塗布形成後の高温高湿環境下での組成変化が抑制され、安定性が大きく向上するため、その後の工程で、ガスバリアー層B上に遷移金属M2を含む化合物によりスパッタ加工した際の品質(ガスバリアー性)が安定する、すなわち、生産安定性が大きく向上する。
本発明に適用可能なアルミニウム化合物としては、例えば、アルミニウムイソポロポキシド、アルミニウム−sec−ブチレート、チタンイソプロポキシド、アルミニウムトリエチレート、アルミニウムトリイソプロピレート、アルミニウムトリtert−ブチレート、アルミニウムトリn−ブチレート、アルミニウムトリsec−ブチレート、アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムジイソプロピレートモノアルミニウムtブチレート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、アルミニウムオキシドイソプロポキサイドトリマー等を挙げることができる。
また、ホウ素化合物としては、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリn−プロピル、ホウ酸トリイソプロピル、ホウ酸トリn−ブチル、ホウ酸トリtert−ブチル等を挙げることができる。
これらの中でも、アルミニウム化合物が好ましい。具体的な市販品としては、例えば、AMD(アルミニウムジイソプロピレートモノsec−ブチレート)、ASBD(アルミニウムセカンダリーブチレート)、ALCH(アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート)、ALCH−TR(アルミニウムトリスエチルアセトアセテート)、アルミキレートM(アルミニウムアルキルアセトアセテート・ジイソプロピレート)、アルミキレートD(アルミニウムビスエチルアセトアセテート・モノアセチルアセトネート)、アルミキレートA(W)(アルミニウムトリスアセチルアセトネート)(以上、川研ファインケミカル株式会社製)、プレンアクト(登録商標)AL−M(アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート、味の素ファインケミカル株式会社製)等を挙げることができる。
なお、これらの化合物を用いる場合は、ポリシラザンを含む塗布液と不活性ガス雰囲気下で混合することが好ましい。これらの化合物が大気中の水分や酸素と反応し、激しく酸化が進むことを抑制するためである。また、これらの化合物とポリシラザンとを混合する場合は、30℃〜100℃に昇温し、撹拌しながら1分〜24時間保持することが好ましい。
ガスバリアー層におけるにおける上記添加元素の含有量は、ケイ素(Si)の含有量100mol%に対して5〜20mol%であることが好ましく、より好ましくは5〜10mol%である。
〔領域E〕
本発明のガスバリアー性フィルムにおいては、積層体Cが、厚さ方向の組成分布をXPS法により分析した際に、前記領域Dとは接していない異なる領域に、遷移金属M2とSiとが共存し、かつ、遷移金属M2/Siの原子数比率の比が、0.11〜9.0の範囲内にある領域Eを有することが好ましい態様である。
図4は、ガスバリアー層上に領域Eを有するガスバリアー性フィルムの構成の一例を示す概略断面図である。
図4で示すように、本発明のガスバリアー性フィルム(1)の好ましい態様として、基材(2)上に、下地層(3)とガスバリアー層(4)を有し、当該下地層(3)とガスバリアー層(4)との間に領域Dを有する構成において、更に、ガスバリアー層(4)上に、領域Eを有する。この時、領域Dと領域Eは異なる位置に配置されている。
本発明に係る領域Eは、ポリシラザンを含有する塗布液から形成されたガスバリアー層の上に、気相成膜法により遷移金属M2を含有する層を成膜することによって形成されることが好ましい。気相成膜法としては物理蒸着法が好ましく、スパッタ法が特に好ましい。適用可能なスパッタ法としては、DCスパッタ法、RFスパッタ法、マグネトロンスパッタ法、イオンビームスパッタ法等を挙げることができ、その方法に特に制限はないが、その中でも、ターゲット側に磁石で磁界を形成し、プラズマを試料から分離するマグネトロンスパッタ法が好ましい。
(遷移金属M2)
本発明に係る領域Eの形成に適用可能な遷移金属M2とは、第3族元素から第12族元素を指し、本発明に係る遷移金属M2としては、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Pd、Ag、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、及びAuなどが挙げられる。
中でも、遷移金属M2は、ケイ素よりも酸化還元電位が低い金属であることが好ましい。ケイ素よりも酸化還元電位の低い遷移金属の化合物を含む領域とすることで、より良好なガスバリアー性が得られる。ケイ素よりも酸化還元電位が低い金属の具体例としては、例えば、ニオブ、タンタル、バリウム、ジルコニウム、チタン、ハフニウム、イットリウム、ランタン、セリウム等が挙げられる。これら金属は、単独でも又は2種以上混合して用いてもよい。これらの中でも特に第5族元素であるニオブ、タンタル、バナジウムが下に形成しているガスバリアー層の酸化抑制効果が高いため、好ましく用いることができる。すなわち、本発明の好適な実施形態は、遷移金属M2がバナジウム、ニオブ及びタンタルからなる群より選択される少なくとも1種の金属である、ガスバリアー性フィルムである。さらに、光学特性の観点から、遷移金属化合物中の遷移金属は、透明性が良好な化合物が得られるニオブ(Nb)、タンタル(Ta)が特に好ましい。
本発明に係る遷移金属M2を含む化合物の態様としては、特に限定されないが、例えば、遷移金属Mの酸化物、窒化物、炭化物、酸窒化物、又は酸炭化物といった化合物を用いることができる。中でも酸化をより効果的に抑制するという観点から、遷移金属M2としては、酸化物を用いることが好ましい。
本発明のガスバリアー性フィルムにおいて、ガスバリアー層上に、遷移金属M2を含む領域Eを形成することによりガスバリアー性が向上する作用機構としては、以下のように推測している。
本発明のように、ガスバリアー層上に、遷移金属M2を含有する領域Eを形成することにより、領域Eからガスバリアー層側にかけて、徐々に遷移金属M2の量を少なくする構成とすることができる。このような遷移金属M2/Siの原子数比率の比が、0.11〜9.0の範囲内にある領域Eを形成することにより、領域EはSiと遷移金属M2とが結合した領域を形成し、これにより、ガスバリアー性が向上したと推察する。
本発明のガスバリアー性フィルムにおいては、ガスバリアー層がケイ素(Si)を含有する層であり、かつ、領域Eが含有する遷移金属M2が5族の金属(例えば、V、Nb、Ta等。)である場合に、著しくガスバリアー性が向上する。このメカニズムについては明確にはなっていないが、Siと5族の金属原子とは結合を形成しやすいことから、遷移金属M2が活性化されている状態のため、Siを含むガスバリアー層に深く入り、界面でSi−Nb結合を含む緻密な領域Eが形成されることによる効果であると推定している。透明性の観点から5族の金属の中でも、Nb、Taが特に好ましい。
なお、領域Eにおける組成分析は、前述の領域Dにおける組成分析と同様に、XPS法を用いて組成分布を求めることができる。
(領域Eにおける組成)
また、本発明に係る領域Eにおいては、その組成をSiM2で表したとき、下式(1)で示す条件を満たすことが好ましい態様である。
式(1)
(2y+3z)/(a+bx)<0
上記式(1)において、aはSiの価数である。bは遷移金属M2の最大価数である。
ただし、ガスバリアー層Bが、Si+Alの構成、Si+Bの構成、又はSi+Al+Bの構成をとる場合には、aはSi、Al、Bの価数とそれぞれの原子比率によって計算される混合物の価数を表す。
この領域Eの厚さとしては、5nm以上であることが好ましい。
領域Eが上記式(1)で規定する条件を満たすことは、ガスバリアー層Bの主要構成元素(Si)と遷移金属(M2)との複合酸化物の酸素欠損組成を、所定の厚さ以上にわたって含んでいることを表している。
上述したように、本発明に係るガスバリアー層Bの主要構成元素(Si)と遷移金属(M2)との複合酸化物の組成は、SiM2で示される。
aはSiの価数である。
この組成からも明らかなように、上記複合酸化物は、一部窒化物の構造を含んでいてもよい。ここでは、ガスバリアー層の構成元素(Si)の価数をa、遷移金属(M2)の最大価数をb、Oの価数を2、Nの価数を3とする。そして、上記複合酸化物(一部窒化物となっているものを含む)が化学量論的組成になっている場合は、(2y+3z)/(a+bx)=1.0となる。
前述のように、ガスバリアー層Bは、そのほとんどがSiで構成され、Al又はBは微量添加のケースであり、Si単独で計算するケースが多い。
この式は、ガスバリアー層の構成元素(Si)及び遷移金属(M2)の結合手の合計と、O、Nの結合手の合計とが同数であることを意味し、この場合、ガスバリアー層の構成元素(Si)及び遷移金属(M2)ともに、O、Nのいずれかと結合していることになる。
なお、本発明において、ガスバリアー層の構成元素として2種以上が併用される場合や、遷移金属(M2)として2種以上が併用される場合には、各元素の最大価数を各元素の存在比率によって加重平均することにより算出される複合価数を「最大価数」のa及びbの値として採用するものとする。
一方、(2y+3z)/(a+bx)<1.0となる場合には、ガスバリアー層の構成元素(Si)及び遷移金属(M2)の結合手の合計に対して、O、Nの結合手の合計が不足していることを意味し、この状態が上記複合酸化物の「酸素欠損」である。酸素欠損状態においては、ガスバリアー層の構成元素(Si)及び遷移金属(M2)の余った結合手は互いに結合する可能性を有しており、ガスバリアー層の構成元素(Si)や遷移金属(M2)の金属同士が直接結合すると、金属の間にOやNを介して結合した場合よりも緻密で高密度な構造が形成され、その結果として、ガスバリアー性が向上すると考えられる。
《ガスバリアー性フィルムのその他の機能層》
本発明のガスバリアー性フィルムにおいては、上記説明した各構成層の他に、本発明の目的効果を損なわない範囲で、他の機能層を設けることができる。
(アンカーコート層)
本発明に係るガスバリアー層を形成する側の基材の表面には、基材とガスバリアー層との密着性の向上を目的として、本発明に係る下地層と共にアンカーコート層が配置されてもよい。
アンカーコート層に用いられるアンカーコート剤としては、ポリエステル樹脂、イソシアネート樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、ビニル変性樹脂、エポキシ樹脂、変性スチレン樹脂、変性シリコン樹脂、およびアルキルチタネート等を単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。
これらのアンカーコート剤には、従来公知の添加剤を加えることもできる。そして、上記のアンカーコート剤は、ロールコート、グラビアコート、ナイフコート、ディップコート、スプレーコート等の公知の方法により支持体上にコーティングし、溶剤、希釈剤等を乾燥除去することによりアンカーコーティングすることができる。上記のアンカーコート剤の塗布量としては、0.1〜5.0g/m(乾燥状態)程度が好ましい。
また、アンカーコート層は、物理蒸着法または化学蒸着法といった気相成膜法により形成することもできる。例えば、特開2008−142941号公報に記載のように、接着性等を改善する目的で酸化珪素を主体とした無機膜を形成することもできる。あるいは、特開2004−314626号公報に記載されているようなアンカーコート層を形成することで、その上に気相成膜法により無機薄膜を形成する際に、基材側から発生するガスをある程度遮断して、無機薄膜の組成を制御するといった目的でアンカーコート層を形成することもできる。
また、アンカーコート層の厚さは、特に制限されないが、0.5〜10μm程度が好ましい。
(ハードコート層)
基材の表面(片面または両面)には、本発明に係る下地層と共にハードコート層が配置されてもよい。ハードコート層に含まれる材料の例としては、例えば、熱硬化性樹脂や活性エネルギー線硬化性樹脂が挙げられるが、成形が容易なことから、活性エネルギー線硬化性樹脂が好ましい。このような硬化性樹脂は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。
活性エネルギー線硬化性樹脂とは、紫外線や電子線のような活性エネルギー線照射により架橋反応等を経て硬化する樹脂をいう。活性エネルギー線硬化性樹脂としては、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーを含む成分が好ましく用いられ、紫外線や電子線のような活性エネルギー線を照射することによって硬化させて、活性エネルギー線硬化性樹脂の硬化物を含む層、すなわちハードコート層が形成される。活性エネルギー線硬化性樹脂としては紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂等が代表的なものとして挙げられるが、紫外線照射によって硬化する紫外線硬化性樹脂が好ましい。予めハードコート層が形成されている市販の基材を用いてもよい。
ハードコート層の厚さは、平滑性および屈曲耐性の観点から、0.1〜15μmの範囲内が好ましく、1〜5μmの範囲内であることがより好ましい。
ハードコート層の形成材料に適用可能な活性エネルギー線硬化性樹脂としては、例えば、ラジカル反応性不飽和化合物を有するアクリレート化合物を含有する樹脂組成物、アクリレート化合物とチオール基を有するメルカプト化合物を含有する樹脂組成物、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、グリセロールメタクリレート等の多官能アクリレートモノマーを溶解させた樹脂組成物等が挙げられる。具体的には、JSR株式会社製のUV硬化型有機/無機ハイブリッドハードコート材 OPSTAR(登録商標)シリーズを用いることができる。また、上記のような樹脂組成物の任意の混合物を使用することも可能であり、光重合性不飽和結合を分子内に1個以上有する反応性のモノマーを含有している感光性樹脂であれば特に制限はない。
熱硬化性材料として具体的には、クラリアント社製のトゥットプロムシリーズ(有機ポリシラザン)、セラミックコート株式会社製のSP COAT耐熱クリアー塗料、株式会社アデカ製のナノハイブリッドシリコーン、DIC株式会社製のユニディック(登録商標)V−8000シリーズ、EPICLON(登録商標) EXA−4710(超高耐熱性エポキシ樹脂)、信越化学工業株式会社製の各種シリコン樹脂、日東紡株式会社製の無機・有機ナノコンポジット材料SSGコート、アクリルポリオールとイソシアネートプレポリマーとからなる熱硬化性ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコン樹脂等が挙げられる。この中でも特に耐熱性を有するエポキシ樹脂ベースの材料であることが好ましい。
ハードコート層の形成方法は、特に制限はないが、スピンコーティング法、スプレー法、ブレードコーティング法、ディップ法等のウエットコーティング法、あるいは、蒸着法等のドライコーティング法により形成することが好ましい。
ハードコート層の形成では、上述の活性エネルギー線硬化性樹脂に、必要に応じて酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤等の添加剤を加えることができる。また、ハードコート層の積層位置に関係なく、いずれのハードコート層においても、成膜性向上および膜のピンホール発生防止等のために適切な樹脂や添加剤を使用してもよい。
ハードコート層の厚さとしては、フィルムの耐熱性を向上させ、フィルムの光学特性のバランス調整を容易にする観点から、1〜10μmの範囲が好ましく、さらに好ましくは、2μm〜7μmの範囲にすることが好ましい。
(半導体ナノ粒子層)
本発明のガスバリアー性フィルムは、半導体ナノ粒子層と組み合わせて、いわゆるQDシートと呼ばれる波長変換シート用部品として用いることができる。
半導体ナノ粒子層は、主には、領域Eの上面側に設けることができ、半導体ナノ粒子及び紫外線硬化型樹脂を含有して構成されている。
半導体ナノ粒子層は、2層以上設けられているものとしても良い。この場合には、2層以上の各半導体ナノ粒子層に、それぞれ異なる発光波長の半導体ナノ粒子が含有されていることが好ましい。
半導体ナノ粒子層には、半導体ナノ粒子が含有されている。すなわち、半導体ナノ粒子は、半導体ナノ粒子層形成用塗布液に含有されているものである。
半導体ナノ粒子とは、半導体材料の結晶で構成され、量子閉じ込め効果を有する所定の大きさの粒子をいい、その粒子径が数nm〜数十nm程度の微粒子であり、下記に示す量子ドット効果が得られるものをいう。
なお、半導体ナノ粒子に関連する事項については、例えば、特開2012−133158号公報、2012−169460号公報、2014−078381号公報、2015−099636号公報、2015−103728号公報、2015−127362号公報等に記載されている内容を参照することができる。
《電子デバイス》
本発明のガスバリアー性フィルムは、空気中の化学成分(酸素、水、窒素酸化物、硫黄酸化物、オゾン等)によって性能が劣化するデバイスに好ましく適用できる。すなわち、本発明は、本発明のガスバリアー性フィルムと、電子デバイス本体と、を含む電子デバイスを提供することができる。
本発明のガスバリアー性フィルムを具備した電子デバイスに用いられる電子デバイス本体の例としては、例えば、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)、液晶表示素子(LCD)、薄膜トランジスタ、タッチパネル、電子ペーパー、太陽電池(PV)等を挙げることができる。本発明の効果がより効率的に得られるという観点から、該電子デバイス本体は有機EL素子または太陽電池が好ましく、有機EL素子がより好ましい。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。実施例において「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量%」を表す。
実施例1
《下地層を積層した基材の作製》
〔1.下地層形成用塗布液の調製〕
(塗布液U1の調製)
遷移金属M1の化合物として、酸化チタン粒子の水分散液である、多木化学社製のタイノックRA−6(2次粒子径:約35nm)を用いた。また、バインダーとしてイーテック社製のソープフリーアクリルエマルションAE986B(粒子径:約60nm、Tg:2℃)を用いた。また、界面活性剤として、エアプロダクツ社製のサーフィノール465を用いた。遷移金属M1の化合物/バインダー/界面活性剤を、固形分比率として75.0/24.8/0.2の質量比率で混合し、さらに純水で希釈して、固形分3.0質量%の塗布液U1を調製した。
(塗布液U2の調製)
遷移金属M1の化合物として、酸化ニオブ粒子の水分散液である、多木化学社製のバイラールNb−G6000(2次粒子径:約15nm)を用いた以外は、上記塗布液U1の調製と同様にして、固形分3.0質量%の塗布液U2を調製した。
(塗布液U3の調製)
遷移金属M1の化合物として、酸化鉄粒子の水分散液である、多木化学社製のバイラールFe−C10(2次粒子径:約6nm)を用い、遷移金属M1の化合物/バインダー/界面活性剤を、固形分として72.0/26.8/0.2の質量比率とした以外は、上記塗布液U1の調製と同様にして、固形分3.0質量%の塗布液U3を調製した。
(塗布液U4の調製)
遷移金属M1の化合物として、酸化ジルコニウム粒子の水分散液である、多木化学社製のバイラールZr−C20(2次粒子径:約40nm)を用いた以外は、上記塗布液U1の調製と同様にして、固形分3.0質量%の塗布液U4を調製した。
(塗布液U5の調製)
遷移金属M1の化合物として、酸化ジルコニウム粒子の水分散液である、日産化学社製のナノユースZR−30BS(粒子径:約63nm)を用いた以外は、上記塗布液U1の調製と同様にして、固形分3.0質量%の塗布液U5を調製した。
(塗布液U6の調製)
非遷移金属である化合物として、酸化珪素粒子の水分散液である、日産化学社製のスノーテックス20L(粒子径:約50nm)を用いた以外は、上記塗布液U1の調製と同様にして、固形分3.0質量%の塗布液U6を調製した。
(塗布液U7の調製)
遷移金属M1の化合物として、ジルコニウムテトライソプロポキシドとチタンテトライソプロポキシドとを用いた。ジルコニウムテトライソプロポキシド/チタンテトライソプロポキシドを固形分として90.0/10.0の質量比率で混合し、さらにイソプロピルアルコールで希釈して、固形分が5.0質量%の塗布液U7を調製した。
(塗布液U8の調製)
遷移金属M1の化合物として、酸化ジルコニウム粒子のメチルエチルケトン分散液である、堺化学工業社製のSZR−K(粒子径:約5nm)を用いた。また、重合性化合物1(ペンタエリスリトールアクリレート、商品名:A−TMM−3、新中村化学社製)、重合性化合物2(イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性アクリレート、商品名:A−9300、新中村化学社製)、重合開始剤(IRGACURE184、チバ・ジャパン株式会社製)、界面活性剤(PF−6320、OMNOVA SOLUTIONS社製)を用いた。酸化ジルコニウム粒子/重合性化合物1/重合性化合物2/重合開始剤/界面活性剤を、固形分として40.0/47.0/10.0/2.8/0.2の質量比率で混合し、さらにプロピレングリコールモノメチルエーテルで希釈して、固形分20.0質量%の塗布液U8を調製した。
〔2.下地層付基材の作製〕
(基材F0)
基材(樹脂基材)として、両面に易接着加工された厚さ125μmのポリエステルフィルム(コスモシャイン(登録商標)A4300、東洋紡社製)を、下地層を有していない基材F0とした。
(下地層付基材F1の作製)
前記調製した塗布液U1(遷移金属M1=Ti)を、上記基材F0の片面に、乾燥後の固形分量として、0.1g/mとなる条件で塗布し、次いで、100℃で2分間乾燥して、遷移金属M1としてTiを含有する下地層Aを有する基材F1を作製した。
(下地層付基材F2の作製)
上記下地層付基材F1の作製において、塗布液U1(遷移金属M1=Ti)に代えて、塗布液U2(遷移金属M1=Nb)を用いた以外は同様にして、遷移金属M1としてNbを含有する下地層Aを有する基材F2を作製した。
(下地層付基材F3の作製)
上記下地層付基材F1の作製において、塗布液U1(遷移金属M1=Ti)に代えて、塗布液U3(遷移金属M1=Fe)を用いた以外は同様にして、遷移金属M1としてFeを含有する下地層Aを有する基材F3を作製した。
(下地層付基材F4の作製)
上記下地層付基材F1の作製において、塗布液U1(遷移金属M1=Ti)に代えて、塗布液U4(遷移金属M1=Zr)を用いた以外は同様にして、遷移金属M1としてZr(2次粒子径:約40nm)を含有する下地層Aを有する基材F4を作製した。
(下地層付基材F5の作製)
上記下地層付基材F1の作製において、塗布液U1(遷移金属M1=Ti)に代えて、塗布液U5(遷移金属M1=Zr)を用いた以外は同様にして、遷移金属M1としてZr(粒子径:約63nm)を含有する下地層Aを有する基材F5を作製した。
(下地層付基材F6の作製)
上記下地層付基材F1の作製において、塗布液U1(遷移金属M1=Ti)に代えて、非遷移金属である酸化珪素粒子を含有する塗布液U6を用いた以外は同様にして、遷移金属M1を含有しない下地層Aを有する基材F6を作製した。
(下地層付基材F7の作製)
上記調製した塗布液U7(遷移金属=Zr+Ti)を、前記基材F0の一方の面側に、乾燥後の固形分量が0.2g/mとなる条件で塗布した後、100℃で10分間乾燥した。次いで、詳細はガスバリアー層Bの形成で記載の真空紫外線照射装置を用い、ガスバリアー層の形成条件に対し、真空紫外線の照射条件を2J/cmに変更した以外は同様にて下地層Aを形成し、下地層付基材F7を作製した。
(下地層付基材F8の作製)
上記調製した塗布液U8を、前記基材F0の一方の面側に、乾燥後の固形分量が2g/mとなる条件で塗布した後、100℃で5分間乾燥した。次いで、空気下、高圧水銀ランプを用いて照射エネルギー量0.5J/cmの条件で硬化を行って下地層Aを形成し、下地層付基材F8を作製した。
《ガスバリアー性フィルムの作製》
(ガスバリアー層形成用塗布液S1の調製)
パーヒドロポリシラザンを20質量%含むジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製、商品名:NN120−20)と、アミン触媒(N,N,N′,N′−テトラメチル−1,6−ジアミノヘキサン、略称:TMDAH))を含むパーヒドロポリシラザンの20質量%のジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製、NAX120−20)とを、4:1(質量比)の割合で混合し、さらにジブチルエーテルで固形分濃度が5質量%となるように希釈し、ガスバリアー層形成用塗布液S1を調製した。なお、当該ガスバリアー層形成用塗布液S1の調製は、グローブボックス内で行った。
(ガスバリアー性フィルム1−1の作製)
上記作製した下地層Aを有していない基材F0上に、上記調製したガスバリアー層形成用塗布液S1を用いて、スピンコート法により、乾燥後の膜厚が150nmとなる条件で塗布し、80℃で2分間乾燥した。
次いで、乾燥したパーヒドロポリシラザン含有層に対して、波長172nmのXeエキシマランプを有する図5に記載の真空紫外線照射装置(100)を用い、真空紫外線の照射条件として、4.0J/cmの照射エネルギー量で真空紫外線照射処理を行った。この際、真空紫外線の照射雰囲気は窒素ガスで置換し、酸素濃度は0.1体積%とした。また、試料を設置するステージ温度を80℃とした。このようにして、パーヒドロポリシラザン含有層を改質して、ガスバリアー層Bを形成し、ガスバリアー性フィルム1−1を作製した。
図5に示す真空紫外線照射装置(10)において、11は装置チャンバーであり、図示しないガス供給口から内部に窒素と酸素とを適量供給し、図示しないガス排出口から排気することで、チャンバー内部から実質的に水蒸気を除去し、酸素濃度を所定の濃度に維持することができる。12は172nmの真空紫外線を照射する二重管構造を有するXeエキシマランプ(エキシマランプ光強度:130mW/cm)、13は外部電極を兼ねるエキシマランプのホルダーである。14は試料ステージである。試料ステージ14は、図示しない移動手段により装置チャンバー11内を水平に所定の速度で往復移動することができる。また、試料ステージ14は図示しない加熱手段により、所定の温度に維持することができる。15はポリシラザン化合物塗布層が形成された試料である。試料ステージが水平移動する際、試料の塗布層表面と、エキシマランプ管面との最短距離が3mmとなるように試料ステージの高さが調整されている。16は遮光板であり、Xeエキシマランプ2のエージング中に試料の塗布層に真空紫外線が照射されないようにしている。
真空紫外線照射工程で試料塗布層表面に照射されるエネルギーは、浜松ホトニクス社製の紫外線積算光量計:C8026/H8025 UV POWER METERを用い、172nmのセンサヘッドを用いて測定した。測定に際しては、Xeエキシマランプ管面とセンサヘッドの測定面との最短距離が、3mmとなるようにセンサヘッドを試料ステージ4中央に設置し、かつ、装置チャンバー1内の雰囲気が、真空紫外線照射工程と同一の酸素濃度となるように窒素と酸素とを供給し、試料ステージ14を0.5m/minの速度で移動させて測定を行った。測定に先立ち、Xeエキシマランプ12の照度を安定させるため、Xeエキシマランプ点灯後に10分間のエージング時間を設け、その後試料ステージを移動させて測定を開始した。
この測定で得られた照射エネルギーを元に、試料ステージの移動速度を調整することで、4.0J/cmの照射エネルギー量となるように調整した。尚、真空紫外線照射は、10分間のエージング後に行った。
(ガスバリアー性フィルム1−2〜1−9の作製)
上記ガスバリアー性フィルム1−1の作製において、下地層Aを有していない基材F0に代えて、上記作製した下地層Aを有する基材F1〜F8を用いた以外は同様にして、ガスバリアー性フィルム1−2〜1−9を作製した。
《ガスバリアー性フィルムの評価》
上記作製した各ガスバリアー性フィルムについて、下記の各測定及び評価を行った。
〔下地層の表面凹凸の測定〕
上記作製した各試料について、断面TEM画像を撮影し、下地層Aの厚さ方向における高低差を計測した。断面TEM画像は、下地層Aとガスバリアー層Bとの界面の長さとして1.0μmの範囲内で測定した。1試料について、任意の場所で5点の上記観察用画像を取り込み、各画像について上記高低差の最大値を計測し、5点の画像の平均値を求めた。なお、表1に記載の表面凹凸が「0」とは、実質的に表面における凹凸が測定できなかったことを示す。
ただし、上記計測において、基材フィルムのうねりに起因するような、周期が200nmを超えるなだらかな凹凸の変化は除いた。
〔領域Dの有無と厚さの測定〕
XPS分析により、ガスバリアー性フィルムの表面側により厚さ方向の組成分布プロファイルを測定した。なお、XPS分析条件は以下の通りである。なお、分析に用いた試料は、試料作成後、20℃・50%RHの環境に保管した試料である。
(XPS分析条件)
・装置:アルバックファイ社製QUANTERASXM
・X線源:単色化Al−Kα
・スパッタイオン:Ar(2keV)
・デプスプロファイル:SiO2換算スパッタ厚さで、所定の厚さ間隔で測定を繰り返し、深さ方向のデプスプロファイルを得た。この厚さ間隔は、1nmとした(深さ方向に1nmごとのデータが得られる)。
・定量:バックグラウンドをShirley法で求め、得られたピーク面積から相対感度係数法を用いて定量した。データ処理は、アルバックファイ社製のMultiPakを用いた。なお、分析した元素は、Si、M1、O、N、Cである。
得られたデータから、下地層Aとガスバリアー層Bとの界面領域で、遷移金属M1とSiとが共存し、かつ、遷移金属M1/Siの原子数比率の値が、0.11〜9.0の範囲内にある領域を、「領域D」と定義し、領域Dの有無とその厚さ(nm)を測定した。
〔水蒸気バリアー性の評価〕
MOCON社製の水蒸気透過率測定装置 PERMATRANを用い、38℃・100%RHの環境下で測定した。なお、測定限界である0.005g/m・day未満の測定結果が得られた場合には、表1には「測定限界未満」と記載した。
〔接着性の評価〕
(条件1)
各ガスバリアー性フィルムについて、作製直後から20℃・50%RH環境に保管した試料を用意した。
次いで、各試料について、JIS K 5400に準じた100マスのクロスカット試験を行った。試験後の各試料について光学顕微鏡で観察し、100マスのうち、実質的に剥離や欠けの生じていないマス数を計測した。
(条件2)
各ガスバリアー性フィルムについて、試料作製後に85℃・85%RH環境下で100時間保管し、次いで、20℃・50%RH環境に保管した試料を用意した。
各試料について、JIS K 5400に準じた100マスのクロスカット試験を行った。試験後の試料を光学顕微鏡で観察し、100マスのうち、実質的に剥離や欠けの生じていないマス数を計測した。
以上により得られた結果を、表1に示す。
Figure 2018140493
表1に記載の結果より明らかなように、本発明のガスバリアー性フィルムは、比較例に対し、水蒸気バリアー性(ガスバリアー性)に優れ、かつ高温高湿環境下に保存しても、接着性の劣化がなく、良好な接着性を維持していることが分かる。
実施例2
《ガスバリアー層形成用塗布液の調製》
(ガスバリアー層形成用塗布液S2の調製)
アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレートをジブチルエーテルで固形分濃度が5質量%となるように希釈したアルミニウム化合物含有溶液を調製した。
次いで、実施例1で記載したガスバリアー層形成用塗布液S1と、上記調製したアルミニウム化合物含有溶液とを、Al/Siの原子数比の値が0.01となるように混合し、撹拌しながら80℃まで昇温し、80℃で2時間保持した後、室温まで徐冷した。このようにして、ガスバリアー層形成用塗布液S2を調製した。
(ガスバリアー層形成用塗布液S3の調製)
ホウ酸トリイソプロピルをジブチルエーテルで固形分濃度が5質量%となるように希釈したホウ素化合物含有溶液を調製した。
次いで、実施例1で記載したガスバリアー層形成用塗布液S1と、上記調製したホウ素化合物含有溶液とを、B/Siの原子数比の値が0.01となるように混合し、撹拌しながら80℃まで昇温し、80℃で2時間保持した後、室温まで徐冷した。このようにして、ガスバリアー層形成用塗布液S3を調製した。
《ガスバリアー性フィルムの作製》
(領域Eの形成条件)
はじめに、下記に記載のガスバリアー性フィルム2−2〜2−16において、領域Eの形成に用いる成膜条件について、一括して記載する。
(スパッタ成膜方法及び成膜条件)
領域Eの形成には、気相法・スパッタ装置としては、マグネトロンスパッタ装置(キャノンアネルバ社製:型式EB1100)を用い、ガスバリアー層B上に領域Eを成膜した。
ターゲットとしては、下記の各ターゲットを用い、プロセスガスにはArとOとを用いて、マグネトロンスパッタ装置により、成膜を行った。スパッタ電源パワーは5.0W/cmとし、成膜圧力は0.4Paとした。また、各成膜条件において、酸素分圧を調整することにより組成調整行った。なお、事前にガラス基板を用いた成膜により、酸素分圧を調整することにより組成の条件出しを行い、表層から深さ10nm近傍の組成が目標とする組成となる条件を見出し、その条件を適用した。また、膜厚に関しては、100〜300nmの範囲で成膜時間に対する膜厚変化のデータを取り、単位時間当たりに成膜される膜厚を算出した後、設定膜厚となるように成膜時間を設定した。
〈ターゲット〉
T1:特開2012−7218号公報の実施例の比較例1に記載の方法により、遷移金属M2を含有しないシリコンターゲットを作製した。なお、ターゲット形状は板状とした。
T2:市販の酸素欠損型酸化ニオブターゲットを用いた。組成はNb1229であった。
T3:市販のTaターゲットを用いた。
〈成膜条件〉
T1−1:ターゲットとしてT1を用い、上述のXPS分析において、層の組成がSiOとなるように酸素分圧を調整した。また、膜厚が15nmとなるように成膜時間を設定した。
T2−1:ターゲットとしてT2を用い、酸素分圧を12%とした。また、膜厚が15nmとなるように成膜時間を設定した。
T2−2:膜厚が10nmとなるように成膜時間を設定した以外は、T2−1と同様にして行った。
T2−3:膜厚が5nmとなるように成膜時間を設定した以外は、T2−1と同様にして行った。
T3−1:ターゲットとしてT3を用い、酸素分圧を18%とした。また、膜厚が15nmとなるように成膜時間を設定した。
(ガスバリアー性フィルム2−1の作製)
実施例1に記載のガスバリアー性フィルム1−1の作製において、ガスバリアー層の乾燥後の膜厚を80nmに変更し、かつ真空紫外線の照射エネルギー条件を、0.5J/cmに変更した以外は同様にして、領域Eを有していないガスバリアー性フィルム2−1を作製した。
(ガスバリアー性フィルム2−2の作製)
上記作製したガスバリアー性フィルム2−1のガスバリアー層上に、上記スパッタによる成膜条件T1−1で、遷移金属M2を含有しない領域Eを形成した。ここで、ガスバリアー層Bを形成した後、スパッタ成膜を行うまでの間、ガスバリアー層Bまでを形成した試料は、20℃・50%RHの環境に保管した。
(ガスバリアー性フィルム2−3〜2−16の作製)
上記作製したガスバリアー性フィルム2−2の作製において、下地層付基材の種類、ガスバリアー層の形成条件、領域Eのスパッタによる成膜条件を、表2及び表3に記載の組み合わせに変更した以外は同様にして、ガスバリアー性フィルム2−3〜2−16を作製した。
《ガスバリアー性フィルムの評価》
上記作製した各ガスバリアー性フィルムについて、下記の各測定及び評価を行った。
〔領域Dの有無及び厚さ、領域Eの有無及び厚さの測定〕
実施例1に記載の方法と同様にして、XPS分析により、ガスバリアー性フィルムの表面側により厚さ方向の組成分布プロファイルを測定した。
得られたデータから、各領域の元素組成比を計算し、領域Dの有無、領域Dの厚さ、及び、領域Eの有無、領域Eの厚さを求めた。
〔領域Eの組成をSiM2で表した際の、(2y+3z)/(a+bx)の値の計算〕
上記XPS分析データを用いて計算した。また、(2y+3z)/(a+bx)が最少となる測定点における、x、y、z、a、bの値を求めた。
ガスバリアー層形成用塗布液S2にはアルミニウム(Al)が、ガスバリアー層形成用塗布液S3にはホウ素(B)が添加されているが、領域Eにおいては、AlやBは実質的に検出されなかった。
〔水蒸気バリアー性の評価〕
(条件A)
各ガスバリアー性フィルムについて、作製直後から20℃・50%RH環境に保管した試料を用意した。
このガスバリアー性フィルムについて、MOCON社製の水蒸気透過率測定装置:PERMATRANを用い、38℃・100%RHの条件で測定した。測定限界である0.005g/m・day未満の測定結果が得られた場合には、表3には「測定限界未満」と記載した。
(条件B)
各ガスバリアー性フィルム試料について、作製後に85℃・85%RH環境に24時間保管し、次いで、20℃50%RH環境に保管した試料を用意した。
このガスバリアー性フィルムについて、MOCON社製の水蒸気透過率測定装置:PERMATRANを用い、38℃・100%RHの条件で測定した。測定限界である0.005g/m・day未満の測定結果が得られた場合には、表3には「測定限界未満」と記載した。
〔接着性の評価〕
実施例1に記載の接着性の評価と同様にして、条件1及び条件2で接着性を評価した。
表2及び表3に、各ガスバリアー性フォルムの構成及び各評価結果を示す。
なお、表2には、ガスバリアー性フィルム2−1〜2−16の下地層付基材、ガスバリアー層及び領域Dの構成を示し、表3には、ガスバリアー性フィルム2−1〜2−16の領域Eにおける特性値と、各評価結果を記載してある。
Figure 2018140493
Figure 2018140493
表2及び表3に記載の結果より明らかなように、ガスバリアー層上に更に領域Eを有する本発明のガスバリアー性フィルムは、比較例に対し、温高湿環境下に保存しても、水蒸気バリアー性(ガスバリアー性)の劣化が少なく、かつ高温高湿環境下に保存しても、接着性の劣化がなく、良好な接着性を維持していることが分かる。
1 ガスバリアー性フィルム
2 基材
3 下地層A
4 ガスバリアー層B
10 真空紫外線照射装置
11 装置チャンバー
12 Xeエキシマランプ
13 エキシマランプのホルダー
14 試料ステージ
15 ポリシラザン化合物塗布層形成試料
16 遮光板
C 積層体
D 領域D
E 領域E
M1 遷移金属M1

Claims (8)

  1. 基材上に、遷移金属M1を含む化合物を含有する下地層Aと、当該下地層Aに接して形成され、少なくともケイ素(Si)と窒素(N)とを含有するガスバリアー層Bとをこの順で積層した積層体Cを有するガスバリアー性フィルムであって、
    前記積層体Cの厚さ方向の組成分布をXPS法により分析したとき、前記下地層Aと前記ガスバリアー層Bとの界面領域に、遷移金属M1とSiとが共存し、かつ、遷移金属M1/Siの原子比率の値が、0.11〜9.0の範囲内にある領域Dを有し、かつ当該領域Dの厚さが5nm以上であることを特徴とするガスバリアー性フィルム。
  2. 前記遷移金属M1を含む化合物が、球形粒子であることを特徴とする請求項1に記載のガスバリアー性フィルム。
  3. 前記遷移金属M1が、ニオブ(Nb)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)及び鉄(Fe)から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のガスバリアー性フィルム。
  4. 前記ガスバリアー層Bが、ポリシラザンを含有する塗布液を塗布し、乾燥して形成された層であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のガスバリアー性フィルム。
  5. 前記ガスバリアー層Bが、ポリシラザンとアルミニウム化合物、またはポリシラザンとホウ素化合物とを含有する塗布液を塗布し、乾燥して形成された層であることを特徴とする請求項4に記載のガスバリアー性フィルム。
  6. 前記積層体Cが、厚さ方向の組成分布をXPS法により分析した際に、前記領域Dとは異なる領域に、遷移金属M2とSiとが共存し、かつ、遷移金属M2/Siの原子比率の比が、0.11〜9.0の範囲内であり、かつ前記領域Dに接していない領域Eを有することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のガスバリアー性フィルム。
  7. 前記領域Eは、その組成をSiM2で表したとき、下式(1)で示す条件を満たすことを特徴とする請求項6に記載のガスバリアー性フィルム。
    式(1)
    (2y+3z)/(a+bx)<0
    〔式中、aはSiの価数である。bは遷移金属M2の最大価数である。〕
  8. 前記遷移金属M2が、ニオブ(Nb)又はタンタル(Ta)であることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載のガスバリアー性フィルム。
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