JP2018139169A - 負極活物質、負極及びリチウムイオン二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】充電特性に優れ、高容量のリチウムイオン二次電池に用いることができる負極活物質の提供。【解決手段】炭素材料を主成分とする粒子であって、前記粒子の表面Sから粒子径の1/8以内の領域における外周部36Sの黒鉛化度GSと、前記粒子の中心Cから粒子径の1/8以内の領域における内部36Cの黒鉛化度GCとが、GS/GC<1の関係を満たし、前記外周黒鉛におけるGバンドピークのピークトップ位置PGSが、1577cm−1以上1588cm−1以下であり、前記内部黒鉛におけるGバンドピークのピークトップ位置PGCが、1572cm−1以上1576cm−1以下である負極活物質36。【選択図】図2

Description

本発明は、負極活物質、負極及びリチウムイオン二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池は、ニッケルカドミウム電池やニッケル水素電池等と比較して、軽量、高容量であり、携帯電子機器用の電源として広く用いられている。またリチウムイオン二次電池は、ハイブリッド自動車や電気自動車用の電源としても有力な候補となっている。携帯電子機器の小型化、高機能化及び自動車用電源の高容量化の要望は年々高まっており、リチウムイオン電池の更なる高容量化が期待されている。
リチウムイオン二次電池の容量は、電極の活物質に大きく依存する。そのため、負極活物質として様々な材料の提案がされている。天然黒鉛、コークス等の黒鉛化で得られた人造黒鉛、黒鉛化メソフェーズピッチ、黒鉛化炭素繊維等の黒鉛質の材料は、高容量であり、放電電位の平坦性に優れる等の特徴を有するため、負極活物質として広く用いられている。
またリチウムイオン二次電池は、ハイブリッド自動車の本格普及、電動工具などの新規なアプリケーションへの対応が求められている。そのため、リチウムイオン二次電池の高容量化のみならず急速充電特性の向上が求められている(特許文献1〜3等)。
特許第5596254号公報 特許第5333963号公報 特許第5440099号公報
しかしながら、特許文献1〜3に記載の負極活物質を用いたリチウムイオン二次電池においても、容量及び急速充電特性は十分とは言えなかった。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、充電特性に優れ、高容量のリチウムイオン二次電池に用いることができる負極活物質を提供することを目的とする。
炭素材料のラマンスペクトルは炭素材料の構造の違いを表しており、負極活物質のラマンスペクトルが所定の関係を満たす際に、容量及び急速充電特性に優れるリチウムイオン二次電池を得ることができることを見出した。
すなわち、上記課題を解決するため、以下の手段を提供する。
(1)第1の態様にかかる負極活物質は、炭素材料を主成分とする粒子であって、アルゴンレーザーラマンスペクトルにおいて、1580cm−1近傍に存在する黒鉛構造に由来するGバンドピークの強度をI、1350cm−1近傍に存在する黒鉛構造の乱れに由来するDバンドピークの強度をIとし、これらの比を黒鉛化度(I/I)とした際に、前記粒子の表面から粒子径の1/8以内の領域における外周部の黒鉛化度Gと、前記粒子の中心から粒子径の1/8以内の領域における内部の黒鉛化度Gとが、G/G<1の関係を満たし、前記外周部におけるGバンドピークのピークトップ位置PGSが、1577cm−1以上1588cm−1以下であり、前記内部におけるGバンドピークのピークトップ位置PGCが、1572cm−1以上1576cm−1以下である。
(2)上記態様にかかる負極活物質において、前記ピークトップ位置PGSが、1578.0cm−1以上1581.3cm−1以下であり、前記ピークトップ位置PGCが、1572.2cm−1以上1572.8cm−1以下であってもよい。
(3)第2の態様にかかる負極は、上記態様にかかる負極活物質を有する。
(4)第3の態様にかかるリチウムイオン二次電池は、上記態様にかかる負極と、前記負極に対応する正極とを有する。
上記態様に係る負極活物質及び負極は、充電特性に優れ、高容量のリチウムイオン二次電池に用いることができる。また上記態様にかかるリチウムイオン二次電池は、高容量であり、充電特性に優れる。
本実施形態にかかるリチウムイオン二次電池の断面模式図である。 本実施形態にかかる負極活物質の断面模式図である。
以下、本実施形態について、図を適宜参照しながら詳細に説明する。以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際とは異なっていることがある。以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
[リチウムイオン二次電池]
図1は、本実施形態にかかるリチウムイオン二次電池の断面模式図である。図1に示すリチウムイオン二次電池100は、主として積層体40、積層体40を密閉した状態で収容するケース50、及び積層体40に接続された一対のリード60、62を備えている。また図示されていないが、積層体40とともに電解液が、ケース50内に収容されている。
積層体40は、正極20と負極30とが、セパレータ10を挟んで対向配置されたものである。正極20は、板状(膜状)の正極集電体22上に正極活物質層24が設けられたものである。負極30は、板状(膜状)の負極集電体32上に負極活物質層34が設けられたものである。
正極活物質層24及び負極活物質層34は、セパレータ10の両側にそれぞれ接触している。正極集電体22及び負極集電体32の端部には、それぞれリード62、60が接続されており、リード60、62の端部はケース50の外部にまで延びている。図1では、ケース50内に積層体40が一つの場合を例示したが、複数積層されていてもよい。
「負極」
(負極活物質層)
負極30は、負極活物質層34を有する。負極活物質層34は、負極活物質と負極バインダーとを有し、必要に応じて導電材を有する。
(負極活物質)
図2は、本実施形態にかかる負極活物質36の断面模式図である。負極活物質36は、図2に示すように、炭素材料を主成分とする粒子である。図2は、球状の負極活物質の断面を図示しているが、負極活物質の形状は球状以外の形状でもよい。例えば、回転楕円体状、不定形でもよい。
負極活物質の粒子径は、4〜30μmであることが好ましく、6〜18μmであることが好ましく、8〜15μmであることが好ましい。粒子径が当該範囲であれば、負極活物質同士を負極活物質層34内に密に充填することができ、リチウムイオン二次電池の容量を大きくできる。
負極活物質の粒子径は複数の負極活物質の平均粒子径であり、粒度分布測定で得られた分布曲線における積算値が50%である粒子の直径(D50)である。粒子の粒度分布は、レーザ回折・散乱法(マイクロトラック法)を用いた粒度分布測定装置により測定できる。
また粒度分布測定で得られた分布曲線における積算値が10%である粒子の直径(D10)は、5μm以上11μm以下であることが好ましい。また粒度分布測定で得られた分布曲線における積算値が90%である粒子の直径(D90)は、10μm以上30μm以下であることが好ましく、12μm以上24μm以下であることがより好ましく、15μm以上21μm以下であることがさらに好ましい。
また負極活物質のBET比表面積は、0.1m/g以上7.0m/g以下であることが好ましく、0.2m/g以上1.2m/g以下であることがより好ましい。BET比表面積の範囲を当該範囲とすることで、充電特性を向上できる。また、電極作製時のスラリー粘度も最適化できる。すなわち、電極の製造が容易になり、作製した電極自体の剥離強度も向上する。
本実施形態にかかる負極活物質36は、表面処理が行われている。そのため、負極活物質36は、核材36Aと表面処理部36Bとを有する。図2において、点線より内側の領域が核材36Aであり、点線より外側の領域が表面処理部36Bである。実際の粒子において、核材36Aと表面処理部36Bとを明確に区別することは難しい。
核材36Aは、単粒子でも複数の粒子の集合体でもよい。核材36Aは、黒鉛系炭素粉末を用いることができる。黒鉛系炭素粉末としては、黒鉛、黒鉛に近い高い結晶性を有する物質を用いることができる。例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、易黒鉛化炭素(ソフトカーボン)、難黒鉛化炭素(ハードカーボン)等が挙げられる。これらの中でも、天然黒鉛、人造黒鉛が好ましい。
表面処理部36Bは、表面処理が施された部分である。表面処理は、熱処理等により核材36Aの表面を改質してもよいし、核材36Aの表面をアモルファスカーボン等で覆ってもよい。前者の場合、核材36Aの表面改質した部分が表面処理部36Bであり、後者の場合、核材36Aを覆う部分が表面処理部36Bである。
本実施形態にかかる負極活物質36は、アルゴンレーザーラマンスペクトルにおいて、1580cm−1近傍に存在する黒鉛構造に由来するピークの強度をI、1350cm−1近傍に存在する黒鉛構造の乱れに由来するピークの強度をIとし、これらの比を黒鉛化度(I/I)とした際に、粒子の表面Sから粒子径の1/8以内の領域における外周部36Sの黒鉛化度Gと、粒子の中心Cから粒子径の1/8以内の領域における内部36Cの黒鉛化度Gとが、G/G<1の関係を満たす。
図2において、外周部36Sは二点鎖線より外側の領域であり、内部36Cは一点鎖線より内側の領域である。ここで、外周部36Sと表面処理部36Bの関係、内部36Cと核材36Aの関係について説明する。
表面処理部36Bは、上述のように表面処理が施された部分である。表面処理は、粒子の表面Sから負極活物質36の粒子径の1/8以上内側まで施されることが多い。そのため、外周部36Sは、核材36Aと表面処理部36Bの境界より充分外側に位置し、表面処理が施された部分のみからなる部分を意味する。
一方で、表面処理は、粒子の中心Cから負極活物質の粒子径の1/8以上内側まで施されることは少ない。そのため、内部36Cは、核材36Aと表面処理部36Bの境界より充分内側に位置し、表面処理が施されていない核材のみからなる部分を意味する。
そのため、表面処理を施す厚みが薄い場合は、外周部36Sをより粒子の表面S近傍の領域としてもよい。すなわち、外周部36Sは、粒子の表面Sから粒子径の1/20以内の領域でもよく、粒子の表面Sから粒子径の1/100以内の領域でもよい。
同様に、表面処理を施す厚みが薄い場合は、内部36Cをより粒子の中心Cから離れた領域としてもよい。すなわち、内部36Cは、粒子の中心Cから粒子径の1/6以内の領域でもよく、粒子の表面Sから粒子径の1/4以内の領域でもよい。
なお粒子の中心Cは、粒子の形状が不定形の場合は、走査型電子顕微鏡(SEM)等で撮影したSEM像における粒子の外接円の中心とする。
次いで、負極活物質36のラマンスペクトルから求められる黒鉛化度について説明する。
ラマンスペクトルは、物質に対して入射した入射光と異なる波長をもつ光(ラマン散乱光)の性質を調べることにより、物質の分子構造や結晶構造を特定する方法である。すなわち、負極活物質36のラマンスペクトルは、負極活物質の構造を表す。
炭素材料のラマンスペクトルは、一般に1580cm−1近傍に表れるGバンドピークと、1350cm−1近傍に表れるDバンドピークという二つの特徴的なピークを有する。Gバンドピークは、グラファイト構造における炭素原子の六角格子内振動に起因するピークであり、Dバンドピークはアモルファスカーボン等のダングリングボンドを有する炭素原子に起因するピークである。炭素材料の結晶性が高まるとGバンドピークの強度が強まり、結晶性が下がる(非結晶化する)とDバンドピークの強度が強まる。
黒鉛化度は、このGバンドピークの強度(I)とDバンドピークの強度(I)の強度比であり、炭素材料の結晶性の指標として機能する。すなわち、外周部36Sの黒鉛化度Gと内部36Cの黒鉛化度Gとが、G/G<1の関係を満たすということは、粒子の内部36Cの結晶性が高く、外周部36Sの結晶性が低いことを意味する。
また本実施形態にかかる負極活物質36は、外周部36SにおけるGバンドピークのピークトップ位置PGSが1577cm−1以上1588cm−1以下であり、内部36CにおけるGバンドピークのピークトップ位置PGCが1572cm−1以上1576cm−1以下である。また外周部36SにおけるGバンドピークのピークトップ位置PGSは1578.0cm−1以上1581.3cm−1以下であり、内部36CにおけるGバンドピークのピークトップ位置PGCは1572.2cm−1以上1572.8cm−1以下であることが好ましい。
ラマンスペクトルのGバンドピークのピーク位置Pのシフトは、負極活物質36を構成する炭素材料の結晶状態の変化を表す。炭素材料の結晶性が低下すると、Gバンドピークのピーク位置Pが高波数側にシフトする傾向がある。
Gバンドピークのピーク位置Pのシフトが、炭素材料の結晶構造のどの部分がどのように変化したことに起因して生じるかは明確にはなっていない。しかしながら、Gバンドピークは、グラファイト構造における炭素原子の六角格子内振動に起因するため、グラファイト構造の持つ六員環構造が乱れることが、Gバンドピークのピーク位置Pのシフトを生み出していると考えられる。
外周部36SにおけるGバンドピークのピークトップ位置PGS及び内部36CにおけるGバンドピークのピークトップ位置PGCが当該範囲内の負極活物質36を用いると、急速充電特性に優れ、かつ、容量の大きなリチウムイオン二次電池100を得ることができる。
負極活物質36の外周部36S及び内部36Cのラマンスペクトルは、以下のようにして測定する。
まず、負極活物質36をエポキシ樹脂等の樹脂に包埋した状態で研磨することにより断面を露出させる。次いで、ビーム径1μm程度のアルゴンレーザーを用い、粒子表面付近と粒子中心付近とについてそれぞれラマン分光分析を行う。
ラマン分光は、例えば日本分光社製NRS−7100を使用して行うことができる。波長532nmのグリーンレーザーおよびラマン分光法を用いて、減光器を用いて1mW以下の照射強度になるように調整し、励起波長532nmにおけるラマン散乱スペクトルを測定する。
粒子表面付近は、粒子中心に向かって粒子径の1/8以内の距離にある領域内の任意の3点で測定し、その相加平均を求め、これをGとする。また粒子表面のラマンスペクトルを測定する場合は、断面を切り出さずに、そのまま粒子の表面にイオンビームを照射してもよい。
また、粒子中心から粒子表面に向かって粒子径の1/8以内の距離にある領域内の任意の3点で測定し、その相加平均を求め、これをGとする。そして、少なくとも5個の粒子についてこの測定を行い、各粒子のGおよびGからそれぞれ相加平均を算出し、これらの相加平均の比としてG/Gを求める。
(負極集電体)
負極集電体32は、導電性の板材であればよく、例えば、銅、ニッケル箔の金属薄板を用いることができる。負極集電体32は、リチウムと合金化しないことが好ましく、銅が特に好ましい。負極集電体32の厚みは6〜30μmとすることが好ましい。
(負極導電材)
導電材としては、例えば、カーボンブラック類等のカーボン粉末、カーボンナノチューブ、炭素材料、銅、ニッケル、ステンレス、鉄等の金属微粉、炭素材料及び金属微粉の混合物、ITO等の導電性酸化物が挙げられる。これらの中でも、アセチレンブラックやエチレンブラック等のカーボン粉末が特に好ましい。負極活物質36のみで十分な導電性を確保できる場合は、リチウムイオン二次電池100は導電材を含んでいなくてもよい。
(負極バインダー)
バインダーは、活物質同士を結合すると共に、活物質と負極集電体32とを結合する。バインダーは、上述の結合が可能なものであればよく、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂が挙げられる。
また、上記の他に、バインダーとして、例えば、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−HFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−HFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−PFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−パーフルオロメチルビニルエーテル−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFMVE−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−クロロトリフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−CTFE系フッ素ゴム)等のビニリデンフルオライド系フッ素ゴムを用いてもよい。
また、バインダーとして電子伝導性の導電性高分子やイオン伝導性の導電性高分子を用いてもよい。電子伝導性の導電性高分子としては、例えば、ポリアセチレン等が挙げられる。この場合は、バインダーが導電材の機能も発揮するので導電材を添加しなくてもよい。イオン伝導性の導電性高分子としては、例えば、リチウムイオン等のイオンの伝導性を有するものを使用することができ、例えば、高分子化合物(ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル系高分子化合物、ポリフォスファゼン等)のモノマーと、LiClO、LiBF、LiPF等のリチウム塩又はリチウムを主体とするアルカリ金属塩と、を複合化させたもの等が挙げられる。複合化に使用する重合開始剤としては、例えば、上記のモノマーに適合する光重合開始剤または熱重合開始剤が挙げられる。
またこの他に、バインダーとして、例えば、セルロース、スチレン・ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、アクリル樹脂等を用いてもよい。
負極活物質層34中の負極活物質36、導電材及びバインダーの含有量は特に限定されない。負極活物質層34における負極活物質36の構成比率は、質量比で80%以上99%以下であることが好ましく、90%以上98%以下であることがより好ましい。また負極活物質層34における導電材の構成比率は、質量比で0%以上20%以下であることが好ましく、負極活物質層34におけるバインダーの構成比率は、質量比で1%以上10%以下であることが好ましい。
負極活物質とバインダーの含有量を上記範囲とすることにより、バインダーの量が少なすぎて強固な負極活物質層を形成できなくなることを防ぐことができる。また、電気容量に寄与しないバインダーの量が多くなり、十分な体積エネルギー密度を得ることが困難となる傾向も抑制できる。
「正極」
正極20は、正極集電体22と、正極集電体22の上に設けられた正極活物質層24とを有する。
(正極集電体)
正極集電体22は、導電性の板材であればよく、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル箔の金属薄板を用いることができる。
(正極活物質層)
正極活物質層24に用いる正極活物質は、リチウムイオンの吸蔵及び放出、リチウムイオンの脱離及び挿入(インターカレーション)、又は、リチウムイオンとリチウムイオンのカウンターアニオン(例えば、PF6−)とのドープ及び脱ドープを可逆的に進行させることが可能な電極活物質を用いることができる。
例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、マンガン酸リチウム(LiMnO)、リチウムマンガンスピネル(LiMn)、及び、一般式:LiNiCoMna2(x+y+z+a=1、0≦x<1、0≦y<1、0≦z<1、0≦a<1、MはAl、Mg、Nb、Ti、Cu、Zn、Crより選ばれる1種類以上の元素)で表される複合金属酸化物、リチウムバナジウム化合物(LiV)、オリビン型LiMPO(ただし、Mは、Co、Ni、Mn、Fe、Mg、Nb、Ti、Al、Zrより選ばれる1種類以上の元素又はVOを示す)、チタン酸リチウム(LiTi12)、LiNiCoAl(0.9<x+y+z<1.1)等の複合金属酸化物、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセンなどが挙げられる。
(正極導電材)
導電材は、例えば、カーボンブラック類等のカーボン粉末、カーボンナノチューブ、炭素材料、銅、ニッケル、ステンレス、鉄等の金属微粉、炭素材料及び金属微粉の混合物、ITO等の導電性酸化物が挙げられる。これらの中でも、カーボンブラック等の炭素材料が好ましい。正極活物質のみで十分な導電性を確保できる場合は、リチウムイオン二次電池100は導電材を含んでいなくてもよい。
(正極バインダー)
正極に用いるバインダーは負極と同様のものを使用できる。
正極活物質層24における正極活物質の構成比率は、質量比で80%以上90%以下であることが好ましい。また正極活物質層24における導電材の構成比率は、質量比で0.5%以上10%以下であることが好ましく、正極活物質層24におけるバインダーの構成比率は、質量比で0.5%以上10%以下であることが好ましい。
「セパレータ」
セパレータ10は、電気絶縁性の多孔質構造から形成されていればよく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリオレフィンからなるフィルムの単層体、積層体や上記樹脂の混合物の延伸膜、或いはセルロース、ポリエステル及びポリプロピレンからなる群より選択される少なくとも1種の構成材料からなる繊維不織布が挙げられる。
「電解液」
電解液には、リチウム塩を含む電解質溶液(電解質水溶液、有機溶媒を使用する電解質溶液) を使用することができる。ただし、電解質水溶液は電気化学的に分解電圧が低いため、充電時の耐用電圧が低く制限される。そのため、有機溶媒を使用する電解質溶液(非水電解質溶液)であることが好ましい。
非水電解液は、非水溶媒に電解質が溶解されており、非水溶媒として環状カーボネートと、鎖状カーボネートと、を含有してもよい。
環状カーボネートとしては、電解質を溶媒和することができるものを用いることができる。例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート及びブチレンカーボネートなどを用いることができる。
鎖状カーボネートは、環状カーボネートの粘性を低下させることができる。例えば、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネートが挙げられる。その他、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、γ−ブチロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタンなどを混合して使用してもよい。
非水溶媒中の環状カーボネートと鎖状カーボネートの割合は体積にして1:9〜1:1にすることが好ましい。
電解質としては、例えば、LiPF、LiClO、LiBF、LiCFSO、LiCFCFSO、LiC(CFSO、LiN(CFSO、LiN(CFCFSO、LiN(CFSO)(CSO)、LiN(CFCFCO)、LiBOB等のリチウム塩が使用できる。なお、これらのリチウム塩は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。特に、電離度の観点から、LiPFを含むことが好ましい。
LiPFを非水溶媒に溶解する際は、非水電解液中の電解質の濃度を、0.5〜2.0mol/Lに調整することが好ましい。電解質の濃度が0.5mol/L以上であると、非水電解液のリチウムイオン濃度を充分に確保することができ、充放電時に十分な容量が得られやすい。また、電解質の濃度が2.0mol/L以内に抑えることで、非水電解液の粘度上昇を抑え、リチウムイオンの移動度を充分に確保することができ、充放電時に十分な容量が得られやすくなる。
LiPFをその他の電解質と混合する場合にも、非水電解液中のリチウムイオン濃度が0.5〜2.0mol/Lに調整することが好ましく、LiPFからのリチウムイオン濃度がその50mol%以上含まれることがさらに好ましい。
「ケース」
ケース50は、その内部に積層体40及び電解液を密封するものである。ケース50は、電解液の外部への漏出や、外部からのリチウムイオン二次電池100内部への水分等の侵入等を抑止できる物であれば特に限定されない。
例えば、ケース50として、図1に示すように、金属箔52を高分子膜54で両側からコーティングした金属ラミネートフィルムを利用できる。金属箔52としては例えばアルミ箔を、高分子膜54としてはポリプロピレン等の膜を利用できる。例えば、外側の高分子膜54の材料としては融点の高い高分子、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド等が好ましく、内側の高分子膜54の材料としてはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等が好ましい。
「リード」
リード60、62は、アルミ等の導電材料から形成されている。そして、公知の方法により、リード60、62を正極集電体22、負極集電体32にそれぞれ溶接し、正極20の正極活物質層24と負極30の負極活物質層34との間にセパレータ10を挟んだ状態で、電解液と共にケース50内に挿入し、ケース50の入り口をシールする。
「負極活物質の製造方法」
まず核材36Aを作製する。核材36Aは、石炭系コークス、石油系コークスなどの原料を黒鉛化して得られる。
核材36Aの黒鉛状態は、粉砕工程、黒鉛化工程により調整できる。すなわち、粒子の表面Sから粒子径の1/8以内の領域における外周部36Sにおける黒鉛化度G及びGバンドピークのピークトップ位置PGSは、粉砕工程及び黒鉛化工程の条件により調整できる。
(粉砕工程)
粉砕工程では、炭素材料を粉砕する。粉砕工程は、通常用いられる粉砕装置を使用することができ、例えば、振動ボールミル、ウルトラファインミル、ジェットミルなどが使用可能である。粉砕工程は、黒鉛化の後に行っても、前に行ってもよい。
(黒鉛化工程)
黒鉛化工程では、原料コークスを加熱する。加熱は、アチソン炉、電磁誘導加熱炉等を用いて行うことができ、黒鉛ルツボ等に原料コークスを充填して行う。加熱温度は、通常2800℃〜3500℃程度である。黒鉛化工程は不活性雰囲気下で行うことが好ましい。
(分級工程)
そして、得られた核材36Aを分級する。分級は、気流分級機等を用いて行うことができる。または、篩に通して分級してもよい。
(表面処理工程)
次いで、核材36Aの表面に表面処理部36Bを形成する。表面処理工程の処理条件で、表面処理部36Bの黒鉛状態が調整される。すなわち、粒子の中心Cから粒子径の1/8以内の領域における内部36Cにおける黒鉛化度G及びGバンドピークのピークトップ位置PGCは、表面化処理工程の条件により調整できる。
まず、分級した核材36Aを撹拌しながら、核材36Aの表面に有機化合物をスプレードライ等の方法により吹きかける。有機化合物は特に限定されないが、等方性ピッチ、異方性ピッチ、樹脂、樹脂前駆体又はモノマーが好ましい。樹脂前駆体又はモノマーを用いた場合は、樹脂前駆体又はモノマーが重合して樹脂となる。
有機化合物としては、石油系ピッチ、石炭系ピッチ、フェノール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、フラン樹脂、セルロース樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂及び有機酸化合物からなる群から選ばれる少なくとも一つ以上を用いることができる。
核材36Aの表面に付着する有機化合物の付着量によって、核材36A表面に存在する表面処理部36Bの量を調整することができる。有機化合物の付着量は、核材36A100質量部に対して0.05〜10質量部であることが好ましく、0.1〜10質量部であることがより好ましい。負極活物質全体に占める表面処理部36Bの割合が多すぎると、電池容量が低下するおそれがある。
次いで、核材36Aに付着した有機化合物を熱処理して、表面処理部36Bを形成する。熱処理温度は、200℃以上2000℃以下であることが好ましく、400℃以上1500℃以下であることがより好ましく、500℃以上1200℃以下であることがさらに好ましい。
熱処理温度が低すぎると有機化合物の炭素化が十分に終了せずに、水素や酸素が残留する場合がある。負極活物質36に残留した水素や酸素は、電池特性に悪影響を及ぼすことがある。一方で、熱処理温度が高すぎると結晶化が進みすぎ、黒鉛化度が所定の範囲内に収まらない。表面処理部36Bの結晶化が進むと、充電特性が低下する恐れがある。
熱処理は、非酸化性雰囲気で行うことが好ましい。非酸化性雰囲気としては、アルゴンガス、窒素ガスなどの不活性ガスを充満させた雰囲気または真空状態が挙げられる。
[リチウムイオン二次電池の製造方法]
次いで、得られた負極活物質を用いて、リチウムイオン二次電池100を製造する方法について具体的に説明する。
得られた負極活物質36、バインダー及び溶媒を混合して塗料を作製する。必要に応じ導電材を更に加えても良い。溶媒としては例えば、水、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等を用いることができる。負極活物質36、導電材、バインダーの構成比率は、質量比で80wt%〜90wt%:0.1wt%〜10wt%:0.1wt%〜10wt%%であることが好ましい。これらの質量比は、全体で100wt%となるように調整される。
塗料を構成するこれらの成分の混合方法は特に制限されず、混合順序もまた特に制限されない。上記塗料を、負極集電体32に塗布する。塗布方法としては、特に制限はなく、通常電極を作製する場合に採用される方法を用いることができる。例えば、スリットダイコート法、ドクターブレード法が挙げられる。正極についても、同様に正極集電体22上に正極用の塗料を塗布する。
続いて、正極集電体22及び負極集電体32上に塗布された塗料中の溶媒を除去する。除去方法は特に限定されない。例えば、塗料が塗布された正極集電体22及び負極集電体32を、80℃〜150℃の雰囲気下で乾燥させればよい。
そして、このようにして正極活物質層24、負極活物質層34が形成された電極を必要に応じ、ロールプレス装置等によりプレス処理を行う。
次いで、正極活物質層24を有する正極20と、負極活物質層34を有する負極30と、正極と負極との間に介在するセパレータ10と、電解液と、をケース50内に封入する。
例えば、正極20と、負極30と、セパレータ10とを積層し、正極20及び負極30を、積層方向に対して垂直な方向から、プレス器具で加熱加圧し、正極20、セパレータ10、及び負極30を密着させる。そして、例えば、予め作製した袋状のケース50に、積層体40を入れる。
最後に電解液をケース50内に注入することにより、リチウムイオン二次電池が作製される。なお、ケースに電解液を注入するのではなく、積層体40を電解液に含浸させてもよい。
上述のように、本実施形態にかかる負極活物質は、ラマンスペクトルが所定の関係を満たすため、負極活物質が特定の構造を有していると考えられる。この負極活物質を含むリチウムイオン二次電池は、容量が大きく、急速充電特性に優れる。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。
「実施例1」
石油系コークスを原料として用い、ホソカワミクロン製ACMパルベライザを用いて、回転数1850rpmにて粉砕を行った。その後、気流分級機を用いて粒度分布を調整した。粒度を調整した原料を黒鉛製のルツボに充填し、アチソン炉を用いて3200℃で加熱して黒鉛化した。また冷却後に目開き50μmの篩を通して、負極活物質の核材を作製した。
次いで、得られた負極活物質の核材に表面処理を施した。表面処理は、スプレードライヤーを用いて、0.1%カルボキシメチルセルロースナトリウム溶液を付着量が黒鉛重量に対して6%となるように噴霧した。次いで、カルボキシメチルセルロースナトリウムが付着された核材を、不活性雰囲気中、1200℃で熱処理して、実施例1の負極活物質を得た。実施例1の負極活物質のD50は、11.3μm、BET比表面積は0.51m/gであった。求めた粒子径から、粒子径の1/8の長さを算出した。
さらに、各サンプルについて、アルゴンレーザーによるラマン分光分析(日本分光社製NRS−7100)を行い、ラマンスペクトルを測定した。得られたラマンスペクトルから、外周部の黒鉛化度Gと内部の黒鉛化度Gの比であるG/Gを求めた。
内部の黒鉛化度Gは、負極活物質を樹脂に包埋した状態で研磨して負極活物質断面を露出させ、露出した断面における外周部にあたる位置に、約1μm径のアルゴンレーザービームを照射して、測定した。測定は、5つの負極活物質に対して各3点測定し、その平均を求めた。
外周部の黒鉛化度Gは、負極活物質の表面に約1μm径のアルゴンレーザービームを照射して、測定した。測定は、5つの負極活物質に対して各3点測定し、その平均を求めた。
また得られたラマンスペクトルから外周部におけるGバンドピークのピークトップ位置PGSと、内部におけるGバンドピークのピークトップ位置PGCとを求めた。
そして、得られた負極活物質と、導電材として用意したアセチレンブラックと、バインダーとして用意したポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを混合し負極合剤とした。負極活物質と、導電材と、バインダーは質量比で94:2:4とした。この負極合剤を、N−メチル−2−ピロリドンに分散させて負極合剤塗料を作製した。そして、厚さ10μmの電界銅箔の一面に、塗布量が6.1mg/cmとなるように塗布した。塗布後に、100℃で乾燥させ、溶媒を除去して負極活物質層を形成した。その後、負極活物質層をロールプレスにより加圧成形し、実施例1に係る負極を作製した。
(評価用リチウムイオン二次電池の作製 ハーフセル)
作製した負極とLi箔を張り付けた銅箔(以下、Li極という)とを、厚さ16μmのポリプロピレン製のセパレータを介して交互に対向させ、積層体を作製した。さらに、積層体の負極における負極活物質層を設けていない側の銅箔の突起端部に、ニッケル製の負極リードを取り付けた。積層体のLi極では、Li箔を設けていない銅箔の突起端部にニッケル製のLi極リードを超音波溶接機によって取り付けた。
そしてこの積層体を、アルミラミネートフィルムの外装体内に挿入して周囲の1箇所を除いてヒートシールすることにより閉口部を形成した。外装体内には、ECとEMCとDECとが体積比3:5:2の割合で配合された溶媒と、リチウム塩として1.5M(mol/L)のLiPFが添加された非水電解液と、を注入した。そして、残りの1箇所を真空シール機によって減圧しながらヒートシールで密封し、実施例1に係るリチウムイオン二次電池(ハーフセル)を作製した。
(評価用リチウムイオン二次電池の作製 フルセル)
まず、負極活物質容量の測定に従って算出した負極活物質容量と単位面積当たりの重量の積と、正極活物質容量と単位面積当たりの重量の積と、の比が以下の関係式(2)を満たすように、正極の単位面積当たりの重量を算出し、電池設計を行った。
(負極活物質容量×単位面積当たりの重量)/(正極活物質容量×単位面積当たりの重量)=1.1 ・・・(2)
正極活物質として用意したLiCoOと、導電材として用意したアセチレンブラックと、バインダーとして用意したポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを混合し、正極合剤とした。正極活物質と、導電材と、バインダーは質量比で90:5:5とした。この正極合剤を、N−メチル−2−ピロリドンに分散させて正極合剤塗料を作製した。そして、厚さ20μmのアルミニウム箔の一面に、算出した正極の単位面積当たりの重量となるように塗布した。塗布後に、100℃で乾燥させ、溶媒を除去して正極活物質層を形成した。その後、正極活物質層をロールプレスにより加圧成形し、実施例1に係る正極を作製した。
作製した負極と正極とを、厚さ16μmのポリプロピレン製のセパレータを介して交互に積層し、負極3枚と正極2枚とを積層することで積層体を作製した。さらに、積層体の負極において、負極活物質層を設けていない銅箔の突起端部にニッケル製の負極リードを取り付けた。また積層体の正極においては、正極活物質層を設けていないアルミニウム箔の突起端部にアルミニウム製の正極リードを超音波溶接機によって取り付けた。
そしてこの積層体を、アルミラミネートフィルムの外装体内に挿入して周囲の1箇所を除いてヒートシールすることにより閉口部を形成した。外装体内には、ECとEMCとDECとが体積比3:5:2の割合で配合された溶媒と、リチウム塩として1.5M(mol/L)のLiPFが添加された非水電解液と、を注入した。そして、残りの1箇所を真空シール機によって減圧しながらヒートシールで密封し、実施例1に係るリチウムイオン二次電池(フルセル)を作製した。
「実施例2〜16及び比較例1〜6」
粉砕工程における回転数、黒鉛化工程における黒鉛化温度、表面処理工程のおける有機物の種類とその被覆量と熱処理温度を表1に示す通りに変更し、実施例2〜16および比較例1〜6の負極活物質を得た。得られた負極活物質を用いて実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を得た。なお、得られた負極活物質のそれぞれのD50およびBET比表面積を表中に示す。また、CMCはカルボシキメチルセルロースナトリウム、PVAはポリビニルアルコール、PVBはポリビニルブチラールを意味する。
実施例1〜16及び比較例1〜6で作製されたリチウムイオン二次電池の負極活物質容量と、急速充放電特性の測定を行った。その結果を表1に示す。
(負極活物質容量の測定)
負極活物質容量は、二次電池充放電試験装置を用いて測定した。電圧範囲を5mVから1.5Vまでとし、負極活物質重量当たり1C=340mAh/gとし、0.1C充電にて定電流−定電圧充電を行った。その後、0.1C放電にて定電流放電を行った。実施例1〜16及び比較例1〜6で作製されたリチウムイオン二次電池(ハーフセル)は、上記の条件によって重量当たりの負極活物質容量(mAh/g)を測定した。
なお、1Cとは公称容量値の容量を有する電池セルを定電流充電、または定電流放電して、ちょうど1時間で充放電が終了となる電流値のことである。
(急速充電特性の測定)
急速充電特性も二次電池充放電試験装置を用いて測定した。電圧範囲を4.2Vから3.0Vまでとし、フルセル設計容量当たり1C=355mAhとし、2C充電容量および2C容量維持率(%)として評価した。ここで、2C充電容量は、2C定電流充電時におけるフルセルの充電容量を意味し、2C容量維持率は、0.2C充電時の定電流−定電圧充電容量を基準とし、0.2C充電量に対する2C定電流充電時における充電容量の割合であり以下の式(1)で表される。
(2C容量維持率(%))=(2C定電流時おける充電容量)/(0.2C充電時の定電流−定電圧充電容量)×100 ・・・(1)
この容量維持率が高いほど、急速充電特性が良好であることを意味する。実施例1〜16及び比較例1〜6で作製されたリチウムイオン二次電池(フルセル)は、上記の条件によって急速充電試験を実施し、急速充電特性を評価した。2C充電容量は、フルセルにおける実充電容量を意味する。
Figure 2018139169
/G>1.0を超えると、容量と急速充電特性が低下した。容量は負極活物質全体が結晶構造を有する場合に最大値を示す。そのため、G/Gが1.0からずれることで、リチウムイオンを蓄積できないアモルファス部分が増加し、容量が低下したと考えられる。一方で、急速充電特性は、外周部の結晶性が高まると、リチウムイオンが移動するスペースが少なくなり、低下したものと考えられる。
外周部のGバンドピークのピークトップ位置PGS及び内部のGバンドピークのピークトップ位置PGCが高波数側にシフトすると、容量が低下し、急速充電特性が僅かだが増加する傾向にある。ピークトップ位置PGSが高波数側にシフトすると、外周部を構成する炭素の結晶性が低下しているためと考えられる。
2C充電特性は、外周部のGバンドピークのピークトップ位置PGS及び内部のGバンドピークのピークトップ位置PGCが所定の範囲内にあると、顕著に性能が高まっている。すなわち、Gバンドピークが所定の範囲内にあることで、急速充電が可能であると言える。
10…セパレータ、20…正極、22…正極集電体、24…正極活物質層、30…負極、32…負極集電体、34…負極活物質層、36…負極活物質、36A…核材、36B…表面処理部、36C…内部、36S…外周部、40…積層体、50…ケース、60,62…リード、100…リチウムイオン二次電池、C…中心、S…表面

Claims (4)

  1. 炭素材料を主成分とする粒子であって、
    アルゴンレーザーラマンスペクトルにおいて、1580cm−1近傍に存在する黒鉛構造に由来するGバンドピークの強度をI、1350cm−1近傍に存在する黒鉛構造の乱れに由来するDバンドピークの強度をIとし、これらの比を黒鉛化度(I/I)とした際に、
    前記粒子の表面から粒子径の1/8以内の領域における外周部の黒鉛化度Gと、前記粒子の中心から粒子径の1/8以内の領域における内部の黒鉛化度Gとが、G/G<1の関係を満たし、
    前記外周部におけるGバンドピークのピークトップ位置PGSが、1577cm−1以上1588cm−1以下であり、
    前記内部におけるGバンドピークのピークトップ位置PGCが、1572cm−1以上1576cm−1以下である、負極活物質。
  2. 前記ピークトップ位置PGSが、1578.0cm−1以上1581.3cm−1以下であり、
    前記ピークトップ位置PGCが、1572.2cm−1以上1572.8cm−1以下である、請求項1に記載の負極活物質。
  3. 請求項1または2のいずれかに記載の負極活物質を有する負極。
  4. 請求項3に記載の負極と、前記負極に対応する正極とを有するリチウムイオン二次電池。
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