JP2018138903A - 赤外線検出器、撮像素子、及び撮像システム。 - Google Patents

赤外線検出器、撮像素子、及び撮像システム。 Download PDF

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Abstract

【課題】中赤外線、遠赤外線を検出する受光層と積層可能な、近赤外線を検出するタイプII超格子構造であって、その吸収効率を向上させることができる超格子構造を備えた赤外線検出器を実現する。【解決手段】赤外線検出器は、基板1及びバッファ層2、又はバッファ層2と、バッファ層2の上方に形成された超格子構造10と、超格子構造10を挟む一対の電極11,12とを備えており、超格子構造10は、InAsを含有する第1層と、AlSbを含有する第2層と、第1層と第2層との少なくとも一方の界面に設けられ、基板又はバッファ層よりも格子定数が大きい第3層とを有する単位構造が繰り返し積層されてなる。【選択図】図4

Description

本発明は、赤外線検出器、撮像素子、及び撮像システムに関するものである。
近年では、いわゆるタイプII超格子を用いた赤外線検出器が盛んに研究されている。特に、次世代の赤外線検出器として、同一画素において中赤外線(波長3μm〜5μm)、遠赤外線(波長8μm〜12μm)を検出する受光層と積層可能な、近赤外線(0.75〜2.5μm)を検出することができる受光層を有する赤外線検出器が注目されている。近赤外線を検出する赤外線検出器の受光層として、InP基板上にGaAsSb及びInGaAsが繰り返し積層された超格子構造(GaAsSb/InGaAs超格子構造)が提案されている(特許文献1を参照)。また、GaSb基板上にInAs、GaSb、及びAlSbが繰り返し積層された超格子構造(InAs,GaSb及びAlSb超格子構造)が提案されている(非特許文献1を参照)。
特開2011−82348号公報
Appl. Phys. Lett., vol. 100, pp. 211101(2012).
中赤外線や遠赤外線を検出するタイプII超格子構造は、多くの場合、GaSb基板上にGaSb基板に格子整合するように形成される。GaAsSb/InGaAs超格子構造はGaSb基板と格子整合しないため、同一画素に形成することが難しい。また、特許文献1では、暗電流を小さくするために、キャリアの有効質量を大きくしている。このため、波動関数が井戸層の外に染み出し難くなり、電子と正孔の波動関数の重なりが減少し、吸収効率が低下するという問題がある。
一方、InAs,GaSb及びAlSb超格子構造は、GaSb基板と格子整合するが、近赤外領域の長波長側の光を検出できるようにするためには、InAsの膜厚を厚くする必要がある。このため、InAs中に閉じ込められた電子の波動関数と、GaSb中に閉じ込められた正孔の波動関数との重なりが減少し、吸収効率が低下するという問題がある。
本発明は、赤外線の吸収効率を向上させることができる超格子構造を備えた赤外線検出器、撮像素子、及び撮像システムを提供することを目的とする。
一つの態様では、赤外線検出器は、基板及びバッファ層、又は前記バッファ層と、前記バッファ層の上方に形成された超格子構造と、前記超格子構造を挟む一対の電極とを備えており、前記超格子構造は、InAsを含有する第1層と、AlSbを含有する第2層と、前記第1層及び前記第2層の少なくとも一方の界面に設けられ、前記基板又は前記バッファ層よりも格子定数が大きい第3層とを有する単位構造が繰り返し積層されてなる。
一つの態様では、赤外線検出器は、超格子構造と、前記超格子構造を挟む一対の電極とを備えており、前記超格子構造は、InAsを含む第1層と、AlSbを含む第2層と、少なくともInSbを含有し、前記第1層及び前記第2層の少なくとも一方の界面に設けられた第3層とを有する単位構造が繰り返し積層されてなる。
一つの態様では、撮像素子は、複数の赤外線検出器と、前記赤外線検出器を駆動する駆動部とを備えており、前記赤外線検出器は、基板及びバッファ層、又は前記バッファ層と、前記バッファ層の上方に形成された超格子構造と、前記超格子構造を挟む一対の電極とを有し、前記超格子構造は、InAsを含有する第1層と、AlSbを含有する第2層と、前記第1層及び前記第2層の少なくとも一方の界面に設けられ、前記基板又は前記バッファ層よりも格子定数が大きい第3層とを有する単位構造が繰り返し積層されてなる。
一つの態様では、撮像素子は、複数の赤外線検出器と、前記赤外線検出器を駆動する駆動部とを備えており、前記赤外線検出器は、超格子構造と、前記超格子構造を挟む一対の電極とを有し、前記超格子構造は、InAsを含む第1層と、AlSbを含む第2層と、少なくともInSbを含有し、前記第1層及び前記第2層の少なくとも一方の界面に設けられた第3層とを有する単位構造が繰り返し積層されてなる。
一つの態様では、撮像システムは、赤外線センサ部と、前記赤外線センサ部を制御する制御部と、撮像された赤外線画像を表示する表示部とを備えており、前記赤外線センサ部は、赤外線撮像素子と、前記赤外線撮像素子を冷却する冷却部と、前記赤外線撮像素子に赤外線を入射させるためのレンズとを備えており、前記赤外線撮像素子は、複数の赤外線検出器と、前記赤外線検出器を駆動する駆動部とを備えており、前記赤外線検出器は、基板及びバッファ層、又は前記バッファ層と、前記バッファ層の上方に形成された超格子構造と、前記超格子構造を挟む一対の電極とを有し、前記超格子構造は、InAsを含有する第1層と、AlSbを含有する第2層と、前記第1層及び前記第2層の少なくとも一方の界面に設けられ、前記基板又は前記バッファ層よりも格子定数が大きい第3層とを有する単位構造が繰り返し積層されてなる。
一つの態様では、撮像システムは、赤外線センサ部と、前記赤外線センサ部を制御する制御部と、撮像された赤外線画像を表示する表示部とを備えており、前記赤外線センサ部は、赤外線撮像素子と、前記赤外線撮像素子を冷却する冷却部と、前記赤外線撮像素子に赤外線を入射させるためのレンズとを備えており、前記赤外線撮像素子は、複数の赤外線検出器と、前記赤外線検出器を駆動する駆動部とを備えており、前記赤外線検出器は、超格子構造と、前記超格子構造を挟む一対の電極とを有し、前記超格子構造は、InAsを含む第1層と、AlSbを含む第2層と、少なくともInSbを含有し、前記第1層及び前記第2層の少なくとも一方の界面に設けられた第3層とを有する単位構造が繰り返し積層されてなる。
一つの側面では、赤外線の吸収効率を向上させることができる超格子構造を備えた赤外線検出器が実現する。
第1の実施形態による赤外線検出器の製造方法を工程順に示す概略断面図である。 図1に引き続き、第1の実施形態による赤外線検出器の製造方法を工程順に示す概略断面図である。 図2に引き続き、第1の実施形態による赤外線検出器の製造方法を工程順に示す概略断面図である。 図3に引き続き、第1の実施形態による赤外線検出器の製造方法を工程順に示す概略断面図である。 第1の実施形態による赤外線検出器の他の例を示す概略断面図である。 第1の実施形態による赤外線検出器における超格子構造のエネルギー状態について、比較例との比較に基づいて示す特性図である。 第2の実施形態による赤外線検出器の製造方法を工程順に示す概略断面図である。 図7に引き続き、第2の実施形態による赤外線検出器の製造方法を工程順に示す概略断面図である。 図8に引き続き、第2の実施形態による赤外線検出器の製造方法を工程順に示す概略断面図である。 図9に引き続き、第2の実施形態による赤外線検出器の製造方法を工程順に示す概略断面図である。 第2の実施形態による赤外線検出器の他の例を示す概略断面図である。 図1に引き続き、第3の実施形態による赤外線検出器の製造方法を工程順に示す概略断面図である。 図12に引き続き、第3の実施形態による赤外線検出器の製造方法を工程順に示す概略断面図である。 図13に引き続き、第3の実施形態による赤外線検出器の製造方法を工程順に示す概略断面図である。 第3の実施形態による赤外線検出器の他の例を示す概略断面図である。 第4の実施形態による赤外線撮像素子の概略構成を示す斜視図である。 第4の実施形態による赤外線撮像素子の一部を拡大して示す概略断面図である。 第5の実施形態による赤外線撮像システムの概略構成を示す模式図である。
[第1の実施形態]
以下、第1の実施形態について説明する。本実施形態では、赤外線検出器を開示し、その構成について製造方法と共に説明する。
図1〜図4は、第1の実施形態による赤外線検出器の製造方法を工程順に示す概略断面図である。
図1(a)〜図3(b)において、各層は、例えば分子線エピタキシー(Molecular Beam Epitaxy:MBE)を用いたエピタキシャル成長法により形成される。その他、有機金属気相成長(Metal Organic Chemical Vapor Deposition:MOCVD)等を用いても良い。
先ず、図1(a)に示すように、n型GaSb基板1上にバッファ層2を形成する。
詳細には、基板として例えばn型GaSb基板1を用意し、n型GaSb基板1をMBE装置の基板導入室の中に導入する。準備室において、n型GaSb基板1を脱ガス処理する。その後、n型GaSb基板1を超高真空に保持された成長室へ搬送する。成長室へ搬送されたn型GaSb基板1を、例えばSb雰囲気下で加熱処理し、基板表面の酸化膜を除去する。酸化膜が除去されたn型GaSb基板1の表面上に、例えばn型GaSb基板1と同じ材料であるGaSbを、例えば基板温度500℃で100nm程度の厚みに成長する。このGaSbを形成することにより、n型GaSb基板1の表面の平坦性が向上する。以上により、n型GaSb基板1上にバッファ層2が形成される。
基板としては、GaSb基板以外に、例えばInAs基板を用いても良い。この場合においても、後述する第3層の材料の格子定数は、基板のInAsの格子定数よりも大きいものである。
続いて、図1(b)に示すように、バッファ層2上にエッチングストッパ層3を形成する。
詳細には、バッファ層2上に例えばInAsSbを300nm程度の厚みに成長する。この場合、InAsSbの混晶組成は、バッファ層2のGaSbに格子整合するように設定することが好ましい。ここでは、例えばInAs0.91Sb0.09である。以上により、バッファ層2上にエッチングストッパ層3が形成される。なお、エッチングストッパ層3を形成しない場合もある。
続いて、図1(c)に示すように、エッチングストッパ層3上に下部電極層4を形成する。
詳細には、エッチングストッパ層3上に、p型不純物として例えばBeをドーピングした正孔濃度が1×1018cm-3程度のp型GaSbを1500nm程度の厚みに成長する。以上により、エッチングストッパ層3上に下部電極層4が形成される。
続いて、図2(a)に示すように、下部電極層4上にp型超格子5を形成する。
詳細には、先ず、AlSbを含有する材料、p型不純物として例えばBeをドーピングした正孔濃度が5×1017cm-3程度のp型AlSbを5原子層成長し、第2層を形成する。次いで、n型GaSb基板1(又はバッファ層2のGaSb)よりも格子定数の大きい材料である例えばInSbを含有する材料、ここではInaGa1-aSb(0<a≦1)、具体的にはIn0.4Ga0.6Sbを1原子層成長し、第3層を形成する。次いで、InAsを含有する材料、例えばInAsを6原子層成長し、第1層を形成する。次いで、同様にして、例えばIn0.4Ga0.6Sbを1原子層成長し、第3層を形成する。以上のようにして形成される第2層、第3層、第1層、及び第3層が順に積層されてなる積層体を第1単位構造5a(図2(a)中、左上に拡大して示す)として、例えば80回繰り返し成長する。以上により、下部電極層4上にp型超格子5が形成される。
続いて、図2(b)に示すように、p型超格子5上にi型超格子6を形成する。
詳細には、先ず、AlSbを含有する材料、例えばAlSbを5原子層成長し、第2層を形成する。次いで、n型GaSb基板1(又はバッファ層2のGaSb)よりも格子定数の大きい材料である例えばInSbを含有する材料、ここではInaGa1-aSb(0<a≦1)、具体的にはIn0.4Ga0.6Sbを1原子層成長し、第3層を形成する。次いで、InAsを含有する材料、例えばInAsを6原子層成長し、第1層を形成する。次いで、同様にして、例えばIn0.4Ga0.6Sbを1原子層成長し、第3層を形成する。第1層、第2層、及び第3層はいずれもアンドープで形成する。以上のようにして形成される第2層、第3層、第1層、及び第3層が順に積層されてなる積層体を第2単位構造6a(図2(b)中、左上に拡大して示す)として、例えば300回繰り返し成長する。以上により、p型超格子5上にi型超格子6が形成される。
続いて、図3(a)に示すように、i型超格子6上にn型超格子7を形成する。
詳細には、先ず、AlSbを含有する材料、例えばAlSbを5原子層成長し、第2層を形成する。次いで、n型GaSb基板1(又はバッファ層2のGaSb)よりも格子定数の大きい材料である例えばInSbを含有する材料、ここではInaGa1-aSb(0<a≦1)、具体的にはIn0.4Ga0.6Sbを1原子層成長し、第3層を形成する。次いで、InAsを含有する材料、n型不純物として例えばSiをドーピングした電子濃度が5×1017cm-3程度のn型InAsを6原子層成長し、第1層を形成する。n型不純物としては、Siの代わりにTeを用いても良い。次いで、同様にして、例えばIn0.4Ga0.6Sbを1原子層成長し、第3層を形成する。以上のようにして形成される第2層、第3層、第1層、及び第3層が順に積層されてなる積層体を第3単位構造7a(図3(a)中、左上に拡大して示す)として、例えば80回繰り返し成長する。以上により、i型超格子6上にn型超格子7が形成される。
以上のように、p型超格子5、i型超格子6、及びn型超格子7が積層されて、超格子構造10が形成される。ここでは、超格子構造10として所謂pin構造のものを例示したが、i型超格子の部分をn型又はp型のものとしても良い。また、超格子構造10において適宜、暗電流を抑制するためのバリア層が挿入されていても良い。
超格子構造10では、n型GaSb基板1(又はバッファ層2のGaSb)よりも格子定数の大きいIn0.4Ga0.6Sbからなる第3層を、InAsからなる第1層に隣接(接触)するように配置する。この構成により、InAsからなる第1層に歪を加えることが可能となる。
超格子構造10において、p型超格子5、i型超格子6、及びn型超格子7の第2層の材料としては、AlAsbSb1-b(0≦b<1)を用いても良い。
また、p型超格子5、i型超格子6、及びn型超格子7の第3層としては、基板材料よりも格子定数が大きい材料であれば良い。そのため、InaGa1-aSb(0<a≦1)の代わりに、InAscSb1-c(0≦c<0.91)、IndAl1-dSb(0<d≦1)を用いても良い。また、これらの3種から選ばれた2種、或いは3種全てを積層して第3層を形成するようにしても良い。また、第3層として、InSb及びGaSbからなる積層体を形成するようにしても良い。
本実施形態では、第3層は、第2層上で第1層を挟むように第1層の上下の界面にそれぞれ配置されているが、いずれか一方の界面のみに配置するようにしても良い。即ち第3層は、第1層及び第2層の少なくとも一方の界面に配置される。
続いて、図3(b)に示すように、超格子構造10上に上部電極層8を形成する。
詳細には、超格子構造10上に、n型不純物として例えばSiをドーピングした電子濃度が1×1018cm-3程度のn型InAsを30nm程度の厚みに成長する。n型不純物としては、Siの代わりにTeを用いても良い。以上により、超格子構造10上に上部電極層8が形成される。
続いて、図4に示すように、所定のエッチング、絶縁膜9、及び電極11,12を形成する。
詳細には、先ず、レジストマスク等を用いたエッチングにより、上部電極層8から下部電極層4の表面が露出するまで選択的にエッチングする。ここで、下部電極層4と超格子構造10との間に所定のエッチングストッパ層を形成しておき、上記の選択的エッチングの際にエッチングストッパとして用いるようにしても良い。
次いで、全面を覆うように、例えばCVD法により例えばSiNを堆積し、絶縁膜9を形成する。次いで、エッチングにより、下部電極層4上及び上部電極層8上の絶縁膜9の一部を開口して、下部電極層4の表面の一部及び上部電極層8の表面の一部を露出させる。当該開口を埋め込むように、例えばTi/Pt/Auを堆積し、電極11,12を形成する。
以上により、本実施形態による赤外線検出器を得ることができる。
ここで、赤外線検出器では裏面(下部電極層側)から光入射する構成を採るため、図5に示すように、n型GaSb基板1及びバッファ層2の一部、又は全てを除去するようにしても良い。n型GaSb基板1の一部を除去する例を(a)に、n型GaSb基板1の全て及びバッファ層2の一部を除去する例を(b)に、n型GaSb基板1及びバッファ層2の全てを除去する例を(c)にそれぞれ示す。これらの除去は、ウェットエッチング又は研磨等により行われる。当該除去工程を行った場合には、そのときに本実施形態による赤外線検出器を得る。
図6は、第1の実施形態による赤外線検出器における超格子構造のエネルギー状態について、比較例との比較に基づいて示す特性図であり、(a)が比較例、(b)が本実施形態に対応する。比較例の赤外線検出器では、GaSb基板上にInAs、GaSb、及びAlSbが繰り返し積層された超格子構造が形成されている。
比較例では、超格子構造を構成するGaSbからなる第3層が基板材料であるGaSbと同じ材料であるため、InAsからなる第1層には歪が殆ど導入されていない。
これに対して本実施形態では、超格子構造を構成する第3層がInSbを含有する材料、ここではInGaSbからなる。本実施形態の第3層は、基板材料(又はバッファ層の材料)であるGaSbよりも格子定数が大きい材料であるため、InAsを含有する第1層に引っ張り歪が生じ、第1層の伝導帯下端のエネルギーが下がる。即ち、第1層に閉じ込められる電子のエネルギー準位が低下する。その結果、超格子構造のエネルギーギャップが小さくなり、受光可能な光の波長を長波長化し、近赤外領域の長波長側を検出することがすることができる。従って、第1層の膜厚を薄くすることができるため、電子の波動関数と正孔の波動関数との重なりが増加し、吸収効率の向上が達成される。
以上説明したように、本実施形態によれば、赤外線の吸収効率を向上させることができる超格子構造10を備えた赤外線検出器が実現する。
[第2の実施形態]
以下、第2の実施形態について説明する。本実施形態では、第1の実施形態と同様に赤外線検出器を開示し、その構成について製造方法と共に説明するが、基板の材料及び超格子構造の構成が異なる点で第1の実施形態と相違する。
図7〜図10は、第2の実施形態による赤外線検出器の製造方法を工程順に示す概略断面図である。
図7(a)〜図9(b)において、各層は、例えばMBEを用いたエピタキシャル成長法により形成される。その他、MOCVD等を用いても良い。
先ず、図7(a)に示すように、n型InAs基板21上にバッファ層22を形成する。
詳細には、基板として例えばn型InAs基板21を用意し、n型InAs基板21をMBE装置の基板導入室の中に導入する。準備室において、n型InAs基板21を脱ガス処理する。その後、n型InAs基板21を超高真空に保持された成長室へ搬送する。成長室へ搬送されたn型InAs基板21を、例えばAs雰囲気下で加熱処理し、基板表面の酸化膜を除去する。酸化膜が除去されたn型InAs基板21の表面上に、例えばn型InAs基板21と同じ材料であるInAsを、例えば基板温度500℃で100nm程度の厚みに成長する。このInAsを形成することにより、n型InAs基板21の表面の平坦性が向上する。以上により、n型InAs基板21上にバッファ層22が形成される。
基板としては、InAs基板以外に、例えばGaSb基板を用いても良い。この場合においても、後述する第3層の材料の格子定数は、基板のGaSbの格子定数よりも大きいものである。
続いて、図7(b)に示すように、バッファ層21上にエッチングストッパ層23を形成する。
詳細には、バッファ層22上に例えばAlGaSbを300nm程度の厚みに成長する。ここでは、例えばAl0.2Ga0.8Sbである。以上により、バッファ層22上にエッチングストッパ層23が形成される。なお、エッチングストッパ層23を形成しない場合もある。
続いて、図7(c)に示すように、エッチングストッパ層23上に下部電極層24を形成する。
詳細には、エッチングストッパ層23上に、p型不純物として例えばBeをドーピングした正孔濃度が1×1018cm-3程度のp型InAsを1500nm程度の厚みに成長する。以上により、エッチングストッパ層23上に下部電極層24が形成される。
続いて、図8(a)に示すように、下部電極層24上にp型超格子25を形成する。
詳細には、先ず、AlSbを含有する材料、p型不純物として例えばBeをドーピングした正孔濃度が5×1017cm-3程度のp型AlSbを5原子層成長し、第2層を形成する。次いで、InAsを含有する材料、例えばInAsを6原子層成長し、第1層を形成する。次いで、n型InAs基板21(又はバッファ層22のInAs)よりも格子定数の大きい材料である例えばInSbを含有する材料、ここではInaGa1-aSb(0<a≦1)、具体的にはIn0.01Ga0.99Sbを1原子層成長し、第3層を形成する。以上のようにして形成される第2層、第1層、及び第3層が順に積層されてなる積層体を第1単位構造25a(図8(a)中、左上に拡大して示す)として、例えば30回繰り返し成長する。以上により、下部電極層24上にp型超格子25が形成される。
続いて、図8(b)に示すように、p型超格子25上にi型超格子26を形成する。
詳細には、先ず、AlSbを含有する材料、例えばAlSbを5原子層成長し、第2層を形成する。次いで、InAsを含有する材料、例えばInAsを6原子層成長し、第1層を形成する。次いで、n型InAs基板21(又はバッファ層22のInAs)よりも格子定数の大きい材料である例えばInSbを含有する材料、ここではInaGa1-aSb(0<a≦1)、具体的にはIn0.01Ga0.99Sbを1原子層成長し、第3層を形成する。第1層、第2層、及び第3層はいずれもアンドープで形成する。以上のようにして形成される第2層、第1層、及び第3層が順に積層されてなる積層体を第2単位構造26a(図8(b)中、左上に拡大して示す)として、例えば100回繰り返し成長する。以上により、p型超格子25上にi型超格子26が形成される。
続いて、図9(a)に示すように、i型超格子26上にn型超格子27を形成する。
詳細には、先ず、AlSbを含有する材料、例えばAlSbを5原子層成長し、第2層を形成する。次いで、InAsを含有する材料、n型不純物としてSiをドーピングした電子濃度が5×1017cm-3程度のn型InAsを6原子層成長し、第1層を形成するn型不純物としては、Siの代わりにTeを用いても良い。次いで、n型InAs基板21(又はバッファ層22のInAs)よりも格子定数の大きい材料である例えばInSbを含有する材料、ここではInaGa1-aSb(0<a≦1)、具体的にはIn0.01Ga0.99Sbを1原子層成長し、第3層を形成する。以上のようにして形成される第2層、第1層、及び第3層が順に積層されてなる積層体を第3単位構造27a(図9(a)中、左上に拡大して示す)として、例えば30回繰り返し成長する。以上により、i型超格子26上にn型超格子27が形成される。
以上のように、p型超格子25、i型超格子26、及びn型超格子27が積層されて、超格子構造20が形成される。ここでは、超格子構造20として所謂pin構造のものを例示したが、i型超格子の部分をn型又はp型のものとしても良い。また、超格子構造20において適宜、暗電流を抑制するためのバリア層が挿入されていても良い。
超格子構造20では、n型InAs基板21(又はバッファ層22のInAs)よりも格子定数の大きいIn0.01Ga0.99Sbからなる第3層を、InAsからなる第1層に隣接(接触)するように配置する。この構成により、InAsからなる第1層に歪を加えることが可能となる。
超格子構造20において、p型超格子25、i型超格子26、及びn型超格子27の第2層の材料としては、AlAsbSb1-b(0≦b<1)を用いても良い。
また、p型超格子25、i型超格子26、及びn型超格子27の第3層としては、基板材料よりも格子定数が大きい材料であれば良い。そのため、InaGa1-aSb(0<a≦1)の代わりに、InAscSb1-c(0≦c<1)、IndAl1-dSb(0<d≦1)を用いても良い。また、これらの3種から選ばれた2種、或いは3種全てを積層して第3層を形成するようにしても良い。また、第3層として、InSb及びGaSbからなる積層体を形成するようにしても良い。
続いて、図9(b)に示すように、超格子構造20上に上部電極層28を形成する。
詳細には、超格子構造20上に、n型不純物として例えばSiをドーピングした電子濃度が1×1018cm-3程度のn型InAsを30nm程度の厚みに成長する。n型不純物としては、Siの代わりにTeを用いても良い。以上により、超格子構造20上に上部電極層28が形成される。
続いて、図10に示すように、所定のエッチング、絶縁膜9、及び電極11,12を形成する。
詳細には、先ず、レジストマスク等を用いたエッチングにより、上部電極層28から下部電極層24の表面が露出するまで選択的にエッチングする。ここで、下部電極層24と超格子構造20との間に所定のエッチングストッパ層を形成しておき、上記の選択的エッチングの際にエッチングストッパとして用いるようにしても良い。
次いで、全面を覆うように、例えばCVD法により例えばSiNを堆積し、絶縁膜9を形成する。次いで、エッチングにより、下部電極層24上及び上部電極層28上の絶縁膜9の一部を開口して、下部電極層24の表面の一部及び上部電極層28の表面の一部を露出させる。当該開口を埋め込むように、例えばTi/Pt/Auを堆積し、電極11,12を形成する。
以上により、本実施形態による赤外線検出器を得ることができる。
ここで、赤外線検出器では裏面(下部電極層側)から光入射する構成を採るため、図11に示すように、n型InAs基板21及びバッファ層22の一部、又は全てを除去するようにしても良い。n型InAs基板21の一部を除去する例を(a)に、n型InAs基板21の全て及びバッファ層22の一部を除去する例を(b)に、n型InAs基板21及びバッファ層22の全てを除去する例を(c)にそれぞれ示す。これらの除去は、ウェットエッチング又は研磨等により行われる。当該除去工程を行った場合には、そのときに本実施形態による赤外線検出器を得る。
本実施形態では、超格子構造を構成する第3層がInSbを含有する材料、ここではInGaSbからなる。本実施形態の第3層は、基板材料(又はバッファ層の材料)であるInAsよりも格子定数が大きい材料であるため、InAsを含有する第1層に引っ張り歪が生じ、第1層の伝導帯下端のエネルギーが下がる。即ち、第1層に閉じ込められる電子のエネルギー準位が低下する。その結果、超格子構造のエネルギーギャップが小さくなり、受光可能な光の波長を長波長化し、近赤外領域の長波長側を検出することがすることができる。従って、第1層の膜厚を薄くすることができるため、電子の波動関数と正孔の波動関数との重なりが増加し、吸収効率の向上が達成される。
以上説明したように、本実施形態によれば、赤外線の吸収効率を向上させることができる超格子構造20を備えた赤外線検出器が実現する。
[第3の実施形態]
以下、第3の実施形態について説明する。本実施形態では、第1の実施形態と同様に赤外線検出器を開示し、その構成について製造方法と共に説明するが、超格子構造の構成が異なる点で第1の実施形態と相違する。
図12〜図14は、第3の実施形態による赤外線検出器の製造方法を工程順に示す概略断面図である。
図12(a)〜図13(b)において、各層は、例えばMBEを用いたエピタキシャル成長法により形成される。その他、MOCVD等を用いても良い。
先ず、第1の実施形態と同様に、図1(a)〜(c)の各工程を順次行う。
続いて、図12(a)に示すように、下部電極層4上にp型超格子31を形成する。
詳細には、先ず第2層を形成する。AlSbを含有する材料、p型不純物として例えばBeをドーピングした正孔濃度が5×1017cm-3程度のp型AlSbを2原子層成長する。n型GaSb基板1(又はバッファ層2のGaSb)よりも格子定数の小さい材料である例えばAlAsSbを含有する材料、ここではAlAseSb1-e(0<e≦1)、具体的にはAlAs0.16Sb0.84を5原子層成長し、第4層を形成する。再び、AlSbを含有する材料、p型不純物として例えばBeをドーピングした正孔濃度が5×1017cm-3程度のp型AlSbを2原子層成長する。以上により、p型AlSbで第4層を挟持してなる第2層が形成される。
次いで、n型GaSb基板1(又はバッファ層2のGaSb)よりも格子定数の大きい材料である例えばInSbを含有する材料、ここではInaGa1-aSb(0<a≦1)、具体的にはIn0.4Ga0.6Sbを1原子層成長し、第3層を形成する。次いで、InAsを含有する材料、例えばInAsを6原子層成長し、第1層を形成する。次いで、同様にして、例えばIn0.4Ga0.6Sbを1原子層成長し、第3層を形成する。以上のようにして形成される第2層(第4層を含む)、第3層、第1層、及び第3層が順に積層されてなる積層体を第1単位構造31a(図12(a)中、左上に拡大して示す)として、例えば80回繰り返し成長する。以上により、下部電極層4上にp型超格子31が形成される。
続いて、図12(b)に示すように、p型超格子31上にi型超格子32を形成する。
詳細には、先ず第2層を形成する。AlSbを含有する材料、例えばAlSbを2原子層成長する。n型GaSb基板1(又はバッファ層2のGaSb)よりも格子定数の小さい材料である例えばAlAsSbを含有する材料、ここではAlAseSb1-e(0<e≦1)、具体的にはAlAs0.16Sb0.84を5原子層成長し、第4層を形成する。再び、AlSbを含有する材料、例えばAlSbを2原子層成長する。以上により、AlSbで第4層を挟持してなる第2層が形成される。
次いで、n型GaSb基板1(又はバッファ層2のGaSb)よりも格子定数の大きい材料である例えばInSbを含有する材料、ここではInaGa1-aSb(0<a≦1)、具体的にはIn0.4Ga0.6Sbを1原子層成長し、第3層を形成する。次いで、InAsを含有する材料、例えばInAsを6原子層成長し、第1層を形成する。次いで、同様にして、例えばIn0.4Ga0.6Sbを1原子層成長し、第3層を形成する。第1層、第2層、及び第3層はいずれもアンドープで形成する。以上のようにして形成される第2層(第4層を含む)、第3層、第1層、及び第3層が順に積層されてなる積層体を第2単位構造32a(図12(b)中、左上に拡大して示す)として、例えば300回繰り返し成長する。以上により、p型超格子31上にi型超格子32が形成される。
続いて、図13(a)に示すように、i型超格子32上にn型超格子33を形成する。
詳細には、先ず第2層を形成する。AlSbを含有する材料、例えばAlSbを2原子層成長する。n型GaSb基板1(又はバッファ層2のGaSb)よりも格子定数の小さい材料である例えばAlAsSbを含有する材料、ここではAlAseSb1-e(0<e≦1)、具体的にはAlAs0.16Sb0.84を5原子層成長し、第4層を形成する。再び、AlSbを含有する材料、例えばAlSbを2原子層成長する。以上により、AlSbで第4層を挟持してなる第2層が形成される。
次いで、n型GaSb基板1(又はバッファ層2のGaSb)よりも格子定数の大きい材料である例えばInSbを含有する材料、ここではInaGa1-aSb(0<a≦1)、具体的にはIn0.4Ga0.6Sbを1原子層成長し、第3層を形成する。次いで、InAsを含有する材料、n型不純物として例えばSiをドーピングした電子濃度が5×1017cm-3程度のn型InAsを6原子層成長し、第1層を形成する。n型不純物としては、Siの代わりにTeを用いても良い。次いで、同様にして、例えばIn0.4Ga0.6Sbを1原子層成長し、第3層を形成する。以上のようにして形成される第2層(第4層を含む)、第3層、第1層、及び第3層が順に積層されてなる積層体を第3単位構造33a(図13(a)中、左上に拡大して示す)として、例えば80回繰り返し成長する。以上により、i型超格子32上にn型超格子33が形成される。
以上のように、p型超格子31、i型超格子32、及びn型超格子33が積層されて、超格子構造30が形成される。本実施形態において、第4層は、基板の格子定数より小さければ、AlAseSb1-e(0<e≦1)で、単位構造の平均組成が基板と格子整合するように、平均組成を適宜変更しても良い。また、第4層はAlSbと積層されていれば良く、AlSb中の位置は問わない。
また、超格子構造30として所謂pin構造のものを例示したが、i型超格子の部分をn型又はp型のものとしても良い。また、超格子構造30において適宜、暗電流を抑制するためのバリア層が挿入されていても良い。
超格子構造30では、n型GaSb基板1(又はバッファ層2のGaSb)よりも格子定数の大きいIn0.4Ga0.6Sbからなる第3層を、InAsからなる第1層に隣接(接触)するように配置する。この構成により、InAsからなる第1層に歪を加えることが可能となる。
また、第2層にn型GaSb基板1(又はバッファ層2のGaSb)の格子定数より小さいAlAs0.16Sb0.84が含まれているため、超格子構造30の単位構造の平均格子定数をn型GaSb基板1基板と格子整合させることが可能である。これにより、吸収効率を向上させるために、超格子構造30の膜厚を厚くした場合でも、転位等の発生が抑制され、結晶品質の良い赤外線検出器が得られる。
超格子構造30において、p型超格子31、i型超格子32、及びn型超格子33の第3層としては、基板材料よりも格子定数が大きい材料であれば良い。そのため、InaGa1-aSb(0<a≦1)の代わりに、InAscSb1-c(0≦c<0.91)、IndAl1-dSb(0<d≦1)を用いても良い。また、これらの3種から選ばれた2種、或いは3種全てを積層して第3層を形成するようにしても良い。また、第3層として、InSb及びGaSbからなる積層体を形成するようにしても良い。
本実施形態では、第3層は、第2層上で第1層を挟むように第1層の上下の界面にそれぞれ配置されているが、いずれか一方の界面のみに配置するようにしても良い。即ち第3層は、第1層及び第2層の少なくとも一方の界面に配置される。
続いて、図13(b)に示すように、超格子構造30上に上部電極層8を形成する。
詳細には、超格子構造30上に、n型不純物として例えばSiをドーピングした電子濃度が1×1018cm-3程度のn型InAsを30nm程度の厚みに成長する。n型不純物としては、Siの代わりにTeを用いても良い。以上により、超格子構造30上に上部電極層8が形成される。
続いて、図14に示すように、所定のエッチング、絶縁膜9、及び電極11,12を形成する。
詳細には、先ず、レジストマスク等を用いたエッチングにより、上部電極層8から下部電極層4の表面が露出するまで選択的にエッチングする。ここで、下部電極層4と超格子構造30との間に所定のエッチングストッパ層を形成しておき、上記の選択的エッチングの際にエッチングストッパとして用いるようにしても良い。
次いで、全面を覆うように、例えばCVD法により例えばSiNを堆積し、絶縁膜9を形成する。次いで、エッチングにより、下部電極層4上及び上部電極層8上の絶縁膜9の一部を開口して、下部電極層4の表面の一部及び上部電極層8の表面の一部を露出させる。当該開口を埋め込むように、例えばTi/Pt/Auを堆積し、電極11,12を形成する。
以上により、本実施形態による赤外線検出器を得ることができる。
ここで、赤外線検出器では裏面(下部電極層側)から光入射する構成を採るため、図15に示すように、n型GaSb基板1及びバッファ層2の一部、又は全てを除去するようにしても良い。n型GaSb基板1の一部を除去する例を(a)に、n型GaSb基板1の全て及びバッファ層2の一部を除去する例を(b)に、n型GaSb基板1及びバッファ層2の全てを除去する例を(c)にそれぞれ示す。これらの除去は、ウェットエッチング又は研磨等により行われる。当該除去工程を行った場合には、そのときに本実施形態による赤外線検出器を得る。
本実施形態では、超格子構造を構成する第3層がInSbを含有する材料、ここではInGaSbからなる。本実施形態の第3層は、基板材料(又はバッファ層の材料)であるGaSbよりも格子定数が大きい材料であるため、InAsを含有する第1層に引っ張り歪が生じ、第1層の伝導帯下端のエネルギーが下がる。即ち、第1層に閉じ込められる電子のエネルギー準位が低下する。その結果、超格子構造のエネルギーギャップが小さくなり、受光可能な光の波長を長波長化し、近赤外領域の長波長側を検出することがすることができる。従って、第1層の膜厚を薄くすることができるため、電子の波動関数と正孔の波動関数との重なりが増加し、吸収効率の向上が達成される。
以上説明したように、本実施形態によれば、赤外線の吸収効率を向上させることができる超格子構造30を備えた赤外線検出器が実現する。
なお、上述した第2の実施形態において、その超格子構造20の第2層に第3の実施形態の超格子構造30の第2層を適用しても良い。
この場合、超格子構造20を構成するp型超格子25において、第2層を以下のように形成する。即ち、AlSbを含有する材料、p型不純物として例えばBeをドーピングした正孔濃度が5×1017cm-3程度のp型AlSbを2原子層成長する。n型GaSb基板1(又はバッファ層2のGaSb)よりも格子定数の小さい材料である例えばAlAsSbを含有する材料、ここではAlAseSb1-e(0<e≦1)、具体的にはAlAs0.16Sb0.84を5原子層成長し、第4層を形成する。再び、AlSbを含有する材料、p型不純物として例えばBeをドーピングした正孔濃度が5×1017cm-3程度のp型AlSbを2原子層成長する。以上により、p型AlSbで第4層を挟持してなる第2層が形成される。
超格子構造20を構成するi型超格子26及びn型超格子27の夫々において、第2層を以下のように形成する。即ち、AlSbを含有する材料、例えばAlSbを2原子層成長する。n型GaSb基板1(又はバッファ層2のGaSb)よりも格子定数の小さい材料である例えばAlAsSbを含有する材料、ここではAlAseSb1-e(0<e≦1)、具体的にはAlAs0.16Sb0.84を5原子層成長し、第4層を形成する。再び、AlSbを含有する材料、例えばAlSbを2原子層成長する。以上により、AlSbで第4層を挟持してなる第2層が形成される。
[第4の実施形態]
以下、第4の実施形態について説明する。本実施形態では、第1〜第3の実施形態から選ばれた1種の赤外線検出器を備えた赤外線撮像素子を開示する。
図16は、第4の実施形態による赤外線撮像素子の概略構成を示す斜視図である。図17は、第4の実施形態による赤外線撮像素子の一部を拡大して示す概略断面図である。
この赤外線撮像素子は、赤外線撮像パネル41及び駆動回路42を備えており、赤外線撮像パネル41と駆動回路42とがバンプ43により電気的に接続されている。
赤外線撮像パネル41は、第1〜第3の実施形態から選ばれた1種の赤外線検出器、ここでは例えば第1の実施形態による赤外線検出器40が複数マトリクス状に平面配置されている。各赤外線検出器40が画素となる。赤外線撮像パネル41では、各赤外線検出器40において、n型GaSb基板1、バッファ層2、エッチングストッパ層3、下部電極層4、及び電極11が共通とされている。上述のように、n型GaSb基板1の一部、n型GaSb基板1の全部及びバッファ層2の一部、又はn型GaSb基板1及びバッファ層2の全部は、除去される場合がある。各赤外線検出器40の絶縁膜9上には表面電極44が形成されており、各表面電極44上にバンプ43が形成されている。バンプ43の一部は各赤外線検出器40の共通電極43aとされている。各表面電極44は、一端で電極11又は電極12と電気的に接続されている。
駆動回路42は、各赤外線検出器40の駆動部であり、複数のトランジスタ45と、電源電圧VAを印加する電源線46とを有している。各トランジスタ45は、バンプ43と電気的に接続されており、電源線46は、共通電極43aと電気的に接続されている。電源電圧VAを印加することにより、各赤外線検出器40に出力電流が流れる。
本実施形態によれば、赤外線の吸収効率を向上させることができる超格子構造を有する赤外線検出器40を備えた信頼性の高い赤外線撮像素子が実現する。
[第5の実施形態]
以下、第5の実施形態について説明する。本実施形態では、第5の実施形態による赤外線撮像素子を備えた赤外線撮像システムを開示する。
図18は、第5の実施形態による赤外線撮像システムの概略構成を示す模式図である。
この赤外線撮像システムは、センサ部51、制御演算部52、及び表示部53を備えている。
センサ部51は、入射光を集光するレンズ54と、第4の実施形態による赤外線撮像素子50と、赤外線撮像素子50を冷却するための冷却部55とを備えている。制御演算部52は、赤外線撮像素子50の駆動回路42を制御するものである。表示部53は、制御演算部52から送信された撮像信号に基づいて、赤外線撮像素子50で撮像された赤外線画像を表示する。
本実施形態によれば、赤外線の吸収効率を向上させることができる超格子構造を有する赤外線検出器40を備えた信頼性の高い赤外線撮像システムが実現する。
1 n型GaSb基板
2,22 バッファ層
3,23 エッチングストッパ層
4,24 下部電極層
5,25,31 p型超格子
5a,25a,31a 第1単位構造
6,26,32 i型超格子
6a,26a,32a 第2単位構造
7,27,33 n型超格子
7a,27a,33a 第3単位構造
8,28 上部電極層
9 絶縁膜
10,20,30 超格子構造
11,12 電極
40 赤外線検出器
41 赤外線撮像パネル
42 駆動回路
43 バンプ
43a 共通電極
44 表面電極
45 トランジスタ
46 電源線
50 赤外線撮像素子
51 センサ部
52 制御演算部
53 表示部
54 レンズ
55 冷却部

Claims (13)

  1. 基板及びバッファ層、又は前記バッファ層と、
    前記バッファ層の上方に形成された超格子構造と、
    前記超格子構造を挟む一対の電極と
    を備えており、
    前記超格子構造は、InAsを含有する第1層と、AlSbを含有する第2層と、前記第1層及び前記第2層の少なくとも一方の界面に設けられ、前記基板又は前記バッファ層よりも格子定数が大きい第3層とを有する単位構造が繰り返し積層されてなることを特徴とする赤外線検出器。
  2. 前記基板は、GaSb基板又はInAs基板であることを特徴とする請求項1に記載の赤外線検出器。
  3. 前記バッファ層は、前記基板と同じ材料からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の赤外線検出器。
  4. 前記第3層は、少なくともInSbを含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の赤外線検出器。
  5. 超格子構造と、
    前記超格子構造を挟む一対の電極と
    を備えており、
    前記超格子構造は、InAsを含む第1層と、AlSbを含む第2層と、少なくともInSbを含有し、前記第1層及び前記第2層の少なくとも一方の界面に設けられた第3層とを有する単位構造が繰り返し積層されてなることを特徴とする赤外線検出器。
  6. 前記第2層は、AlSb層と前記基板の格子定数より小さい第4層との少なくとも2層によって構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の赤外線検出器。
  7. 前記第2層は、AlSb層とAlAsSb層との少なくとも2層によって構成されていることを特徴とする請求項5に記載の赤外線検出器。
  8. 前記第3層は、InAsSb層、InGaSb層、及びAlInSb層からなる群から選ばれた1層、又は前記群から選ばれた2層以上によって構成されていることを特徴とする請求項4〜7のいずれか1項に記載の赤外線検出器。
  9. 前記第3層は、InSb及びGaSbの積層体であることを特徴とする請求項4〜7のいずれか1項に記載の赤外線検出器。
  10. 複数の赤外線検出器と、
    前記赤外線検出器を駆動する駆動部と
    を備えており、
    前記赤外線検出器は、
    基板及びバッファ層、又は前記バッファ層と、
    前記バッファ層の上方に形成された超格子構造と、
    前記超格子構造を挟む一対の電極と
    を有し、
    前記超格子構造は、InAsを含有する第1層と、AlSbを含有する第2層と、前記第1層及び前記第2層の少なくとも一方の界面に設けられ、前記基板又は前記バッファ層よりも格子定数が大きい第3層とを有する単位構造が繰り返し積層されてなることを特徴とする撮像素子。
  11. 複数の赤外線検出器と、
    前記赤外線検出器を駆動する駆動部と
    を備えており、
    前記赤外線検出器は、
    超格子構造と、
    前記超格子構造を挟む一対の電極と
    を有し、
    前記超格子構造は、InAsを含む第1層と、AlSbを含む第2層と、少なくともInSbを含有し、前記第1層及び前記第2層の少なくとも一方の界面に設けられた第3層とを有する単位構造が繰り返し積層されてなることを特徴とする撮像素子。
  12. 赤外線センサ部と、
    前記赤外線センサ部を制御する制御部と、
    撮像された赤外線画像を表示する表示部と
    を備えており、
    前記赤外線センサ部は、
    赤外線撮像素子と、
    前記赤外線撮像素子を冷却する冷却部と、
    前記赤外線撮像素子に赤外線を入射させるためのレンズと
    を備えており、
    前記赤外線撮像素子は、
    複数の赤外線検出器と、
    前記赤外線検出器を駆動する駆動部と
    を備えており、
    前記赤外線検出器は、
    基板及びバッファ層、又は前記バッファ層と、
    前記バッファ層の上方に形成された超格子構造と、
    前記超格子構造を挟む一対の電極と
    を備えており、
    前記超格子構造は、InAsを含有する第1層と、AlSbを含有する第2層と、前記第1層及び前記第2層の少なくとも一方の界面に設けられ、前記基板又は前記バッファ層よりも格子定数が大きい第3層とを有する単位構造が繰り返し積層されてなることを特徴とする撮像システム。
  13. 赤外線センサ部と、
    前記赤外線センサ部を制御する制御部と、
    撮像された赤外線画像を表示する表示部と
    を備えており、
    前記赤外線センサ部は、
    赤外線撮像素子と、
    前記赤外線撮像素子を冷却する冷却部と、
    前記赤外線撮像素子に赤外線を入射させるためのレンズと
    を備えており、
    前記赤外線撮像素子は、
    複数の赤外線検出器と、
    前記赤外線検出器を駆動する駆動部と
    を備えており、
    前記赤外線検出器は、
    超格子構造と、
    前記超格子構造を挟む一対の電極と
    を備えており、
    前記超格子構造は、InAsを含む第1層と、AlSbを含む第2層と、少なくともInSbを含有し、前記第1層及び前記第2層の少なくとも一方の界面に設けられた第3層とを有する単位構造が繰り返し積層されてなることを特徴とする撮像システム。
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