JP2018138663A - 揺動軸受 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】前記課題を解決するため、本発明による揺動軸受は、内輪と外輪との間に、複数の転動体を転動自在に保持してなり、基油と、増ちょう剤と、ジアルキルジチオカルバミン酸銅とジアルキルジチオカルバミン酸亜鉛とを含有するグリース組成物を封入したことを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明では、基油と、増ちょう剤と、ジアルキルジチオカルバミン酸銅とジアルキルジチオカルバミン酸亜鉛とを含有するグリース組成物を封入した揺動軸受により、摺動面に増ちょう剤に由来する保護膜を形成させることができ、二面間の金属接触を抑制することができる揺動軸受を提供する。
グリース組成物に配合するジアルキルジチオカルバミン酸銅とジアルキルジチオカルバミン酸亜鉛塩は、一般式[1]
潤滑油は、用途に応じて種類や特定が選択される。例えば、デカップラー用軸受やACサーボモータ用軸受等に封入される潤滑剤組成物としては、鉱油や合成油等を用いることができる。何れも公知のもので構わないが、具体例を挙げると、合成油としては脂肪族炭化水素油、芳香族炭化水素油、エステル油、エーテル油、トリクレジルフォスフェート、シリコーン油、パーフルオロアルキルエーテル油等が挙げられる。脂肪族炭化水素油としては、ノルマルパラフィン、イソパラフィン、ポリブテン、ポリイソブチレン、1−デセンオリゴマー、ポリ−α−オレフィン(1−デセンとエチレンとのコオリゴマー等)、又はこれらの水素化物等が挙げられる。芳香族炭化水素油としては、アルキルベンゼン(モノアルキルベンゼン、ジアルキルベンゼン、ポリアルキルベンゼン等)、アルキルナフタレン(モノアルキルナフタレン、ジアルキルナフタレン、ポリアルキルナフタレン)等が挙げられる。エステル油としては、脂肪族ジエステル、芳香族エステル、ポリオールエステル、コンプレックスエステル(多価アルコールと二塩基酸及び一塩基酸の混合脂肪酸とのオリゴエステル)が挙げられる。脂肪族ジエステルとしては、ジブチルセバケート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート、ジオクチルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジトリデシルグルタレート、メチルアセチルリシノレート等が挙げられる。芳香族エステルとしては、トリオクチルトリメリテート、トリデシルトリメリテート、テトラオクチルピロメリテート等が挙げられる。ポリオールエステルとしては、トリメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプロパンペラルゴネート、ペンタエリスリトール−2−エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトールベラルゴネート等が挙げられる。エーテル油としては、ポリグリコールおよびフェニルエーテルが挙げられる。ポリグリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールモノエーテル、ポリプロピレングリコールモノエーテル等が挙げられる。フェニルエーテルとしては、モノアルキルトリフェニルエーテル、アルキルジフェニルエーテル、ジアルキルジフェニルエーテル、ペンタフェニルエーテル、ジアルキルテトラフェニルエーテル等が挙げられる。その中でも、保護膜形成のためには、合成油を用いることが好ましく、ポリ−α−オレフィンを用いることがより好ましい。これら潤滑油の粘度も用途に合わせて選択できるが、10〜500mm2/s(40℃)にすることが好ましい。
増ちょう剤は、用途に応じて種類や特定が選択される。デカップラー用軸受やACサーボモータ用軸受等に封入されるグリース組成物では、例えば金属石けん(アルミニウム石けん、バリウム石けん、カルシウム石けん、リチウム石けん、ナトリウム石けん等)、複合金属石けん(リチウムコンプレックス石けん、カルシウムコンプレックス石けん、アルミニウムコンプレックス石けん等)、ウレア化合物(ジウレア、トリウレア、テトラウレア、ポリウレア等)、シリカゲル、ベントナイト、ウレタン化合物、ウレア−ウレタン化合物、ナトリウムテレフタラメート等を使用できる。尚、ちょう度も適宜選択でき、これらの増ちょう剤量を調整すればよい。その中でも、保護膜形成のためには、ウレア化合物を用いることが好ましく、脂肪族ウレア化合物と芳香族ウレア化合物を混合したものを用いることがより好ましい。
以下、本願発明による実施例の効果を、比較例と比較して説明する。尚、増ちょう剤に用いたウレアは脂環族ウレア:脂肪族ウレア=7:3としており、下記添加剤CuDTCはジブチルジチオカルバミン酸銅(三新化学工業株式会社製:製品名TBT−CU)、ZnDTCは、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛(三新化学工業株式会社製:製品名サンセラー BZ、BZ−G)を使用した。
実施例1は,増ちょう剤:ウレア(脂環族ウレア:脂肪族ウレア=7:3)、基油:PAO(48cst@40℃)のグリースに、添加剤としてCuDTCを0.02mass%、およびZnDTC0.05mass%添加したもの。
(比較例1)
比較例1は、増ちょう剤:ウレア(脂環族ウレア:脂肪族ウレア=7:3)、基油:PAO(48cst@40℃)のグリースに、添加剤としてCuDTCを0.02mass%添加したもの。
(比較例2)
比較例2は、増ちょう剤:ウレア(脂環族ウレア:脂肪族ウレア=7:3)、基油:PAO(48cst@40℃)のグリースに、添加剤としてZnDTCを0.05mass%添加したもの。
(比較例3)
比較例3は、増ちょう剤:ウレア(脂環族ウレア:脂肪族ウレア=7:3)、基油:PAO(48cst@40℃)のグリースに、何も添加していないもの。
(フレッチング試験)
内径25mm、外径52mm、高さ18mmの単式スラスト玉軸受(銘番;51305)を用いて、振幅比(=振幅/接触円半径;図2参照)を2.0とした時のフレッチング試験を実施した。但し、損傷部の最大高さRyを正確に測定するために、下レースにラッピングを施したディスク試験片を用いており、日本精工株式会社製フレッチング試験機(図3参照)を用いて下記条件に基づいて試験を行った。そして、試験後のディスク試験片における損傷痕の最大高さRyを干渉顕微鏡を用いて測定し、損傷の程度を損傷比(=試験後のRy/試験前のRy)として評価した。損傷比が1に近づくほど、損傷が少ないことを示す。結果を図4に示す。
・最大面圧:3.2GPa
・最大揺動速度:20mm/s
・揺動回数:500000回
・振幅比:2.0
実施例1及び比較例1〜3について、フレッチング試験後の摩耗痕を顕微鏡により観察した。結果を図5に示すが、実施例1のみに白い付着物を確認した(比較例1〜3の白色部分は,摩耗痕であり付着物ではない)。図6は、この付着物をFT−IRを用いて、分析した結果である。図6では、N−H結合の吸収が確認できたことから、この白い付着物は、増ちょう剤(ウレア化合物)であることがわかった。つまり、CuDTCとZnDTCを併用することで、しゅう動面に増ちょう剤に由来する保護膜を形成させることができ、その結果、二面間の金属接触を防止することができるので、転がり軸受の耐フレッチング性が向上したと考えられる。
2 内輪
3 外輪軌道
4 外輪
5 玉
6 軸受シール
Claims (2)
- 内輪と外輪との間に、複数の転動体を転動自在に保持してなり、グリース組成物を封入した揺動軸受において、
前記グリース組成物は、基油と、増ちょう剤と、ジアルキルジチオカルバミン酸銅とジアルキルジチオカルバミン酸亜鉛とを含有することを特徴とする揺動軸受。 - 摺動面に増ちょう剤に由来する保護膜を形成した請求項1記載の揺動軸受。
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