JP2018138329A - ガスバリア性フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】高温高湿下での高いガスバリア性能と、高温高湿耐性として求められる高い屈曲性を有し、さらに透明性に優れたガスバリアフィルムを提供する。【解決手段】応力緩和層、バリア層及び遷移金属化合物を含む層の順に積層された層構成を有し、前記応力緩和層の屈折率に対する前記遷移金属化合物を含む層の屈折率の比率(遷移金属化合物を含む層の屈折率/応力緩和層の屈折率)が、1.32〜1.45の範囲であり、前記遷移金属化合物を含む層の膜厚が、3〜500nmの範囲であることを特徴とするガスバリア性フィルムにより達成される。【選択図】図1

Description

本発明は、ガスバリア性フィルムに関する。
フレキシブル電子デバイス、特にフレキシブル有機ELデバイスには、基板フィルムや封止フィルムとしてガスバリア性フィルムが用いられている。これらに用いられるガスバリア性フィルムには高いバリア性が求められている。
一般に、ガスバリア性フィルムは、基材フィルム上に蒸着法、スパッタ法、CVD法等の気相成膜法によって無機バリア層を形成することにより製造されている。近年、基材上に溶液を塗布して形成された前駆体層にエネルギーを印加して、無機バリア層等を形成する製造方法(塗布法)も検討されてきている。特に、前駆体としてポリシラザン化合物を用いた検討が広く行われており、塗布による高生産性とバリア性とを両立する技術として検討が進められている。特に波長172nmのエキシマ光を用いたポリシラザン層の改質が注目されている。
ここで、特許文献1には、ポリシラザン化合物を含む層に炭化水素系化合物のイオンが注入されて得られる層を有する成形体が開示されている。また、特許文献2には、ポリシラザンおよび触媒を含む溶液を基材上に塗布し、次いで溶剤を除去しポリシラザン層を形成した後、水蒸気を含む雰囲気中において、上記のポリシラザン層を、230nm未満の波長成分を含むVUV放射線および230〜300nmの波長成分を含むUV放射線で照射することによって、基材上にガスバリア層を形成する方法が開示されている。さらに、特許文献3には、樹脂基材上に、ポリシラザンを塗工して膜厚250nm以下のポリマー膜を形成する第一ステップと、形成されたポリマー膜に真空紫外光を照射する第二ステップと、上記第二ステップで形成された膜上に上記第一ステップおよび上記第二ステップを繰り返して膜を重ねて形成する第三ステップと、を含む、フレキシブルガスバリアフィルムの製造方法が開示されている。
国際公開第2011/122547号 特表2009−503157号公報 特開2009−255040号公報
しかしながら、上記特許文献1〜3のように記載されているポリシラザンをエキシマ光で改質して形成したバリア層は、40℃程度までの低温におけるガスバリア性は良好であるものの、85℃85%RHといった高温高湿の非常に過酷な環境下では、経時でガスバリア性が低下することがわかった。
このように、ポリシラザンを改質することにより得られるバリア層の高温高湿条件下での性能劣化を抑制し、電子デバイス用として使用できるガスバリア性フィルムが求められていた。
そこで、本出願人は、ポリシラザンを改質することにより得られるバリア層に、遷移金属化合物を含む層を組み合わせる(例えば、基材側から順にバリア層、遷移金属化合物を含む層を積層する)層構成を有するガスバリア性フィルムを提案(出願)している(例えば、特願2015−035034号など)。かかる構成により、高温高湿の非常に過酷な環境下でも長期間優れたガスバリア性を発現し得るものである。
しかしながら、近年、上記したようなフレキシブル電子デバイス用途に用いられるガスバリア性フィルムには、更なる高機能化が求められており、上記した高温高湿下でのガスバリア性に加え、更に高温高湿耐性として屈曲性も要求されるようになってきている。こうした屈曲性の評価方法として、上記した高温高湿環境に保管後、180°方向に折り曲げる操作を繰り返した時の性能劣化の有無も評価対象となってきている。
しかるに、上記したガスバリア層及び遷移金属化合物を含む層の構成を有するガスバリア性フィルムであっても、上記したような高温高湿耐性として求められる高い屈曲性が十分に得られないことがわかった。これは、高温高湿下でガスバリア性を高める観点からは、遷移金属化合物を含む層の膜厚は厚い方がよいが、厚くするほど固い膜となるため、過酷な環境におかれると十分な屈曲性が得られなかったと考えられる。そこで、遷移金属化合物を含む層の膜厚を(ガスバリア性とのバランスを考慮しながら)薄くしていくと、十分な屈曲性が得られるようになる。しかしながら、十分な屈曲性が得られる膜厚になると新たに色ムラ(光学的なムラないし塗布ムラ)が発現し、透明性が低下することがわかった。
そこで本発明は、高温高湿下での高いガスバリア性能と、高温高湿耐性として求められる高い屈曲性を有し、さらに透明性に優れたガスバリア性フィルムを提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成すべく、鋭意研究を行った。その結果、バリア層/遷移金属化合物を含む層のバリア層に接するように応力緩和層を積層し、応力緩和層の屈折率に対する遷移金属化合物を含む層の屈折率の比率を特定の範囲とすることで、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、(光入射側の反対側から)、応力緩和層、バリア層、及び遷移金属化合物を含む層の順に積層された層構成を有し、前記応力緩和層の屈折率に対する前記遷移金属化合物を含む層の屈折率の比率(遷移金属化合物を含む層の屈折率/応力緩和層の屈折率)が、1.32〜1.45の範囲であり、前記遷移金属化合物を含む層の膜厚が3〜500nmの範囲であることを特徴とするガスバリア性フィルムである。
本発明によれば、高温高湿下でも高いガスバリア性能を維持しながら、高温高湿耐性として求められる高い屈曲特性を有し、さらに透明性に優れたガスバリア性フィルムが提供される。
本発明の一実施形態に係るガスバリア性フィルムを示す断面模式図である。 実施例で用いた真空紫外線照射装置の断面模式図である。 実施例で用いた真空ロールツーロール方式の反応性スパッタリング装置の断面模式図である。
本発明のガスバリア性フィルムは、(光入射(光源)側の反対側から)応力緩和層、バリア層、及び遷移金属化合物を含む層の順に積層された層構成を有し、前記応力緩和層の屈折率に対する前記遷移金属化合物を含む層の屈折率の比率(遷移金属化合物を含む層の屈折率/応力緩和層の屈折率)が、1.32〜1.45の範囲であり、前記遷移金属化合物を含む層の膜厚が3〜500nmの範囲であることを特徴とするものである。このような構成を有する本発明のガスバリア性フィルムは、透明性に優れ、高温高湿下での高いガスバリア性能を維持し(高温高湿環境での耐久性に優れ)、高温高湿環境保管後でも高い屈曲性を発現することができるものである。
なぜ、本発明のガスバリア性フィルムにより上記効果が得られるのか、詳細は不明であるが、下記のようなメカニズムが考えられる。なお、下記のメカニズムは推測によるものであり、本発明は下記メカニズムに何ら拘泥されるものではない。
本出願人が提案した上記バリア層/遷移金属化合物を含む層の構成を有するガスバリア性フィルムでは、上記したような高温高湿耐性として求められる高い屈曲性が十分に得られなかった。これは、高温高湿下でガスバリア性を高める上では、遷移金属化合物を含む層の膜厚は厚い方がよいが、厚くするほど固い膜となるため、十分な屈曲性が得られなかったと考えられる。そこで、遷移金属化合物を含む層の膜厚をガスバリア性とのバランスを考慮しながら薄くしていくと、十分な屈曲性が得られるようになる。しかしながら、十分な屈曲性が得られる膜厚になると新たに色ムラ(光学的なムラないし塗布ムラ)が発現(顕在化)し、透明性が低下することがわかった。これに対し、本発明のガスバリア性フィルムのように、応力緩和層、バリア層、遷移金属化合物を含む層の順に積層された層構成とし、応力緩和層の屈折率に対する遷移金属化合物を含む層の屈折率の比率を特定の範囲とし、遷移金属化合物を含む層を薄膜厚(3〜500nm)にすると、高いガスバリア性能及び屈曲性が得られ、色ムラ(塗布ムラ)も発現しないことが判明した。このようにバリア層に接するように応力緩和層を設け、応力緩和層の屈折率に対する遷移金属化合物を含む層の屈折率の比率を調整し、遷移金属化合物を含む層を薄膜厚にすることで、ガスバリア性能及び屈曲性を向上させても色ムラ(塗布ムラ)が発生しない理由は定かではないが、これらの課題を解消する上で応力緩和層の屈折率と遷移金属化合物を含む層の膜厚の最適領域が存在することがわかった。詳しくは、応力緩和層界面(バリア層側)反射が色ムラ(塗布ムラ)に効いており、この反射を減らすことで色ムラ(塗布ムラ)の発現を防止できることがわかった。更に緩和層界面(バリア層側)反射を抑制することで、遷移金属化合物を含む層の膜厚を(薄い範囲で)規制でき、その結果、高いガスバリア性能と高い屈曲性を実現できることがわかった。そして、応力緩和層界面(バリア層側)反射を抑制するには、応力緩和層(屈折率1.4〜1.8)をバリア層よりも光入射(光源)側の反対側(基材を設ける場合には、基材側)に設置する。そして、この応力緩和層の屈折率に対する遷移金属化合物を含む層(屈折率1.95〜2.5)の屈折率の比率を特定の範囲に調整する。これにより、遷移金属化合物を含む層を薄膜厚に(高いガスバリア性能及び屈曲性を確保)しても色ムラ(塗布ムラ)もなく高い透明性を確保できると考えられる。
以下、本発明の好ましい実施形態を説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態のみには限定されない。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。また、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
本明細書において、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20〜25℃)/相対湿度40〜50%RHの条件で測定する。
図1は本発明の一実施形態に係るガスバリア性フィルムを示す断面模式図である。図1のガスバリア性フィルム10は、樹脂基材(単に基材ともいう)11上に、応力緩和層12、バリア層13および遷移金属化合物を含む層14がこの順に配置される。図1に示すように、基材11の一方の面に応力緩和層12、バリア層13および遷移金属化合物を含む層14が形成される形態だけではなく、基材の両面に応力緩和層12、バリア層13および遷移金属化合物を含む層14が形成されていてもよい。さらに、発明の効果を損なわない範囲であれば、基材と各層との間、または、各層上には他の層が配置されていてもよい。また、本発明では、樹脂基材11は任意成分である。すなわち、応力緩和層12、バリア層13および遷移金属化合物を含む層14の層構成で十分な保持強度等が得られれば、軽量化や透明性、フレキシブル性等の観点から、樹脂基材11は特に用いなくてもよい。以下、樹脂基材を用いた構成を中心に説明するが、本発明はかかる構成に何ら限定されるものではない。
[応力緩和層]
応力緩和層12は、バリア層13/遷移金属化合物を含む層14の積層構造のうち、バリア層13に隣接するように配置(積層)されている。図1のように、樹脂基材11を使用する場合には、該樹脂基材11の表面(片面または両面)上に、応力緩和層12を有する。このように応力緩和層を樹脂基材とバリア層との間に配置する構成とすることで、ガスバリア性フィルムを加熱した際に、樹脂基材中から未反応のオリゴマー等が表面へ移行して、接触する面を汚染する現象を抑制することができる。本発明では、バリア層13/遷移金属化合物を含む層14の積層構造のうち、バリア層13に隣接するように(樹脂基材11を使用する場合には、樹脂基材11とバリア層13の間に)応力緩和層12を配置することで、遷移金属化合物を含む層14を薄膜厚(3〜500nm;高いガスバリア性能及び屈曲性を確保)としても、応力緩和層12の屈折率に対する遷移金属化合物を含む層14の屈折率の比率を1.32〜1.45の範囲に調整することで、色ムラ(塗布ムラ)の発生を効果的に防止できる。
(応力緩和層の屈折率に対する遷移金属化合物を含む層の屈折率の比率)
応力緩和層12の屈折率に対する遷移金属化合物を含む層14の屈折率の比率(遷移金属化合物を含む層14の屈折率/応力緩和層12の屈折率)は、1.32〜1.45の範囲に調整する必要がある。応力緩和層の屈折率に対する遷移金属化合物を含む層の屈折率の比率が1.32未満の場合には、ガスバリア性、屈曲性、色ムラ(透明性)等が不良となるため好ましくない。応力緩和層の屈折率に対する遷移金属化合物を含む層の屈折率の比率が1.45を超える場合には、膜内での内部散乱が大きくなり透明性が劣化するので好ましくない。応力緩和層の屈折率に対する遷移金属化合物を含む層の屈折率の比率は、バリア性、屈曲性、色ムラ(透明性)、透過率をより改善する観点から、1.34〜1.42の範囲が好ましい。
(応力緩和層の屈折率)
応力緩和層12の屈折率は、応力緩和層界面(バリア層側)の反射が色ムラ(塗布ムラ)に効いており、この反射を減らすことで色ムラの発現を防止できることから、1.40〜1.80の範囲に調整するのが好ましく、1.45〜1.60の範囲に調整するのがより好ましく、より好ましくは1.45〜1.58の範囲である。応力緩和層12の屈折率が1.40以上であればバリア層との界面での反射によるヘイズ劣化に有効であり、1.80以下であれば透明性が良好である点で好ましい。
(各層の屈折率の測定方法)
ガスバリア性フィルムを構成する各層の屈折率は、基材上に屈折率を測定する対象層(応力緩和層、遷移金属化合物を含む層、バリア層)を単層(単膜)で塗設したサンプルを作製し、下記の方法に従って求めることができる。
分光光度計として、U−4000型(日立製作所社製)を用いて、各サンプルの測定側の裏面を粗面化処理した後、黒色のスプレーで光吸収処理を行って裏面での光の反射を防止して、5度正反射の条件にて可視光領域(400nm〜700nm)の反射率の測定結果より、屈折率を求めることができる。
(応力緩和層の膜厚)
応力緩和層の厚さとしては、高温高湿下でのガスバリア性能、更に高温高湿耐性としての屈曲耐性、透過率、平滑性、更には色ムラの発生防止効果を高める観点から、30〜5000nmが好ましく、50〜2000nmがより好ましく、70〜1200nmであることがさらに好ましく、特に好ましくは100〜1000nmの範囲である。応力緩和層の膜厚を30nm以上、好ましくは50nm、より好ましくは70nm、特に好ましくは100nm以上にすることにより、ガスバリア性フィルムとしての耐熱性を十分なものにし易くなる。樹脂基材側から浸透した水分が当該応力緩和層でブロックでき、バリア層形成時の塗膜(例えば、パーヒドロポリシラザン(PHPS)層)の改質を阻害することもないため、改質したバリア層のバリア性能を十分に発揮させることができる。一方、応力緩和層の膜厚を5000以下、好ましくは2000nm以下、より好ましくは1200nm以下、特に好ましくは1000nm以下にすることにより、平滑な基材(フィルム)の光学特性のバランスを調整し易くなると共に、平滑層を樹脂基材(透明高分子フィルム)の一方の面に設けた場合におけるガスバリア性フィルムのカールを抑え易くすることができるようになる。なお、ガスバリア性フィルムの断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で元素分析することで層の構成物を確認でき、ガスバリア性フィルムの層構成がわかる。層構成を確認後、ガスバリア性フィルムの断面をSEMで観測することで応力緩和層(更には各層)の膜厚を測定できる(単位はnm)。
上記応力緩和層は、上記要件(応力緩和層の屈折率に対する遷移金属化合物を含む層の屈折率の比率等)を満足すれば組成、成膜方法、硬化手段等は何でもよく、使用目的を阻害しなければ各種添加剤を添加してもよい。
応力緩和層に含ませることが可能な化合物としては、分子中に2個以上の重合性不飽和基を有する多価不飽和有機化合物、あるいは分子中に1個の重合性不飽和基を有する単価不飽和有機化合物等のハードコート剤を挙げることができる。
ここで、多価不飽和有機化合物としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、単価不飽和有機化合物としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
その他の添加剤として、マット剤を含有してもよい。マット剤としては、平均粒子径が0.1〜5μm程度の無機粒子が好ましい。
このような無機粒子としては、シリカ、アルミナ、タルク、クレイ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、二酸化チタン、酸化ジルコニウム等の1種または2種以上を併せて使用することができる。
ここで、無機粒子からなるマット剤の含有量は、ハードコート剤の固形分100質量部に対して、好ましくは2質量部以上、より好ましくは4質量部以上、さらに好ましくは6質量部以上、好ましくは20質量部以下、より好ましくは18質量部以下、さらに好ましくは16質量部以下である。
また、応力緩和層には、ハードコート剤およびマット剤の他の成分として熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、活性エネルギー線(電離放射線)硬化性樹脂、光重合開始剤等を用いることができる。或いは、応力緩和層に含まれる材料(上記ハードコート剤およびマット剤に代わる材料)として、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、活性エネルギー線硬化性樹脂、光重合開始剤等を用いてもよく、成形が容易なことから、活性エネルギー線硬化性樹脂が好ましい。このような硬化性樹脂は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。これらの中でも、耐圧性及び耐傷性の観点から、アクリル樹脂を少なくとも含んでいるのが好ましい。
このような熱可塑性樹脂としては、アセチルセルロース(酢酸セルロース樹脂)、ニトロセルロース、アセチルブチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体、酢酸ビニルおよびその共重合体、塩化ビニルおよびその共重合体、塩化ビニリデンおよびその共重合体等のビニル系樹脂、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール等のアセタール系樹脂、アクリル樹脂およびその共重合体、メタクリル樹脂およびその共重合体等のアクリル系樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、線状ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステルポリオール、ポリビニルアルコール(ポバール)樹脂等が挙げられる。
また、熱硬化性樹脂としては、アクリルポリオールとイソシアネートプレポリマーとからなる熱硬化性ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコン樹脂等が挙げられる。
応力緩和層に含まれる材料として好適な活性エネルギー線硬化性樹脂は、紫外線(UV)や電子線(EB)のような活性エネルギー線照射により架橋反応等を経て硬化する樹脂をいう。活性エネルギー線硬化性樹脂としては、光重合性プレポリマーもしくは光重合性モノマー等の1種または2種以上を混合した活性エネルギー線硬化塗料に、活性エネルギー線(紫外線または電子線)を照射することで硬化するものを使用することができる。こうした活性エネルギー線硬化塗料には市販品を使用することもできる。例えば、活性エネルギー線硬化塗料の市販品としては、例えば、溶剤揮発型の紫外線硬化性樹脂(品番:A−1846、A−1522等、いずれも株式会社テスク製;光重合性プレポリマーとしてエポキシアクリレート使用)、紫外線硬化性樹脂(品番:A−1719、株式会社テスク製;光重合性プレポリマーとしてウレタンアクリレート使用)、UV/EB硬化性樹脂(品名:ビームセット577、荒川化学工業株式会社製;光重合性プレポリマーとしてウレタンアクリレート使用)、UV硬化型有機/無機ハイブリッドハードコート材(品名;オプスター(登録商標)Z−7501、JSR株式会社製;光重合性プレポリマーとしてアクリル系プレモノマー使用)。ここで活性エネルギー線硬化性樹脂としては、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーを含む成分が好ましく用いられ、紫外線や電子線のような活性エネルギー線を照射することによって硬化させて、活性エネルギー線硬化性樹脂の硬化物を含む層、すなわち応力緩和層が形成される。活性エネルギー線硬化性樹脂としては紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂等が代表的なものとして挙げられるが、紫外線照射によって硬化する紫外線硬化性樹脂が好ましい。予め応力緩和層が形成されている市販の樹脂基材を用いてもよい。
上記光重合性プレポリマーとしては、上記したように耐圧性及び耐傷性の観点から、アクリル樹脂を少なくとも含んでいるのが好ましく、なかでも1分子中に2個以上のアクリロイル基を有し、架橋硬化することにより3次元網目構造となるアクリル系プレポリマーが特に好ましく使用される。このアクリル系プレポリマーとしては、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、メラミンアクリレート等が使用できる。また光重合性モノマーとしては、上記に記載した多価不飽和有機化合物等が使用できる。
また、光重合開始剤としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルメチルケタール、ベンゾインベンゾエート、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−(4−モルフォリニル)−1−プロパン、α−アシロキシムエステル、チオキサンソン類等が挙げられる。
以上のような応力緩和層は、上記したハードコート剤、或いはハードコート剤に代わる材料である熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、活性エネルギー線硬化性樹脂等、さらに必要に応じて他の成分(マット剤や光重合開始剤等)を配合して、適宜必要に応じて用いる希釈溶剤によって塗布液として調製し、塗布液を基材(フィルム;樹脂基材を用いない場合には、容易に剥離可能なフィルム等)表面に従来公知の塗布方法によって塗布した後、例えば、活性エネルギー線硬化性樹脂の場合であれば、活性エネルギー線を照射して硬化させることにより形成することができる。なお、活性エネルギー線を照射する方法としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、メタルハライドランプ等から発せられる100〜400nm、好ましくは200〜400nmの波長領域の紫外線を照射する、または走査型やカーテン型の電子線加速器から発せられる100nm以下の波長領域の電子線を照射することにより行うことができる。なお、活性エネルギー線硬化性樹脂以外の場合には、上記塗布液を塗布した後、熱を加えて硬化させるなど、上記樹脂やハードコート剤等の特性に応じて必要な処理や操作(重合反応や架橋硬化等)を行うことで応力緩和層を形成すればよい。
[バリア層]
本発明のガスバリア性フィルム10は、上記した応力緩和層12上に、バリア層13を有する構成である。バリア層13は、十分なガスバリア性を有するものであればよいが、好ましくはSiを含有するものである。Siを含有するものとしては、例えば、SiO膜(真空蒸着などの蒸着法やスパッタ法など)、SiOC膜、SiOCN膜、SiON膜、SiN膜、SiO膜、又はこれらの膜の積層膜、例えば、SiOC膜+SiO膜の積層膜(真空プラズマCVDなどのCVD法等)、ポリシラザンを改質したバリア層(塗布法)などが例示できる。より好ましくはポリシラザンを改質したバリア層であり、さらに好ましくは、ポリシラザンを含有する塗布液を塗布および乾燥して得られる塗膜に真空紫外線を照射して形成されるもの(ポリシラザンを酸化改質したバリア層=ポリシラザンのエキシマ照射改質バリア層など)である。真空紫外線の照射により、バリア層はガスバリア性を発現する。また、気相成膜法で形成される場合とは異なり、成膜時にパーティクル等の異物混入がないため、欠陥の非常に少ないバリア層となる。
(バリア層の屈折率)
バリア層13の屈折率は、バリア性の耐久性の観点から、1.30〜1.65の範囲に調整するのが好ましい。バリア層13の屈折率が1.30以上であれば水蒸気透過性が良好であり、1.65以下であれば屈曲性の維持が可能である点で好ましい。
上記バリア層13は、十分なガスバリア性を奏するものであれば、他のいかなる製法を用いて形成されたものであってもよい。かかる製法は、大きくは気相成膜法(乾式成膜法)と、湿式成膜法の2つに大別される。
気相成膜法(乾式成膜法)としては、例えば、真空成膜法である、物理気相成長法(PVD法)、イオンプレーティング法、蒸着法(真空蒸着法など)、化学気相成長法(CVD法;真空プラズマCVD法、大気圧または大気圧近傍の圧力下でのプラズマCVD法、イオン注入CVD法等)、スパッタ法(DCスパッタ法、RFスパッタ法、イオンビームスパッタ法、およびマグネトロンスパッタ法等)などが挙げられる。これら気相成膜法の中では、CVD法が好ましい。これは、CVD法が、他のスパッタ法などに比して表面があれにくく効果が表れやすいためである。ここで、物理気相成長法(PVD法)は、気相中で物質の表面に物理的手法により、目的とする物質、例えば、炭素膜等の薄膜を堆積する方法である。真空蒸着法は、真空中で金属や金属酸化物などの成膜材料(蒸着源;例えば、酸化珪素など)を加熱して、溶融・蒸発または昇華させて、基材の表面に蒸発、昇華した粒子(原子・分子)を付着・堆積させて薄膜を形成する方法である。スパッタ法は、真空チャンバ内にターゲットを設置し、高電圧をかけてイオン化した希ガス元素(通常はアルゴン)をターゲットに衝突させて、ターゲット表面の原子をはじき出し、基材に付着させる方法である。このとき、チャンバ内に窒素ガスや酸素ガスを流すことにより、アルゴンガスによってターゲットからはじき出された元素と、窒素や酸素とを反応させて無機層を形成する、反応性スパッタ法を用いてもよい。また、化学気相成長法(CVD法)は、基材上に、目的とする薄膜の成分を含む原料ガス(例えば、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)、シラン等)を供給し、基材表面または気相での化学反応により膜を堆積する方法である。また、化学反応を活性化する目的で、プラズマなどを発生させる方法などがあり、熱CVD法、触媒化学気相成長法、光CVD法、真空プラズマCVD法、大気圧プラズマCVD法など公知のCVD方式等が挙げられる。製膜速度や処理面積の観点から、プラズマCVD法を適用することが好ましい。真空プラズマCVD法、大気圧または大気圧近傍の圧力下でのプラズマCVD法により得られるバリア層は、原材料である金属化合物、分解ガス、分解温度、投入電力などの条件を選ぶことで、目的の化合物を製造できるため好ましい。
また湿式成膜法としては、無機化合物を含む液、好ましくはケイ素化合物を含有する液を塗布して形成される塗膜を改質処理して形成する方法(以下、単に塗布法とも称する)が挙げられる。
以下、バリア層の構成につき説明するが、製法に関しては、好適なバリア層である、ポリシラザンを含有する塗布液を塗布および乾燥して得られる塗膜に真空紫外線を照射して形成されてなるバリア層(ポリシラザンを酸化改質したバリア層)の製法(塗布法)を例にとり説明する。
バリア層は、単層でもよいし2層以上の積層構造であってもよい。
(バリア層の膜厚)
バリア層の1層あたりの厚さは、ガスバリア性能の観点から、10〜300nmであることが好ましい。2層以上の積層構造である場合はその総厚(=バリア層の膜厚)は、クラック抑制の観点から、10〜1000nmであることがより好ましく、5〜200nmであることがさらに好ましく、10〜150nmであることが特に好ましく、20〜120nmであることがなかでも好ましい。本発明のガスバリア性フィルムの層構成の場合には、ポリシラザンの改質領域が応力緩和層とバリア層との界面側に形成されることが好ましい。このため、真空紫外線照射処理の場合には、真空紫外光が応力緩和層/バリア層の界面近傍にまで透過することが好ましい。これは、バリア性を発現するポリシラザン改質領域が、応力緩和層と接して形成されることで、耐酸化性が向上するためである。真空紫外光は、ポリシラザン層(バリア層)によって吸収されるため、真空紫外光が応力緩和層/バリア層の界面近傍にまで透過するためには、ポリシラザン塗布層が比較的薄いほうが好ましい。こうした点からも上記したバリア層の膜厚の好適な範囲が良いといえる。
バリア層の厚さは、SEMで層構成を確認後、ガスバリア性フィルムの断面をSEMで観測することでバリア層の膜厚を測定できる。またTEM観察により測定することもできる。
バリア層は、塗布法を用いて形成する場合、ポリシラザンを含有する塗布液を塗布および乾燥して得られる塗膜に真空紫外線を照射して形成される。ポリシラザンとは、ケイ素−窒素結合を有するポリマーであり、Si−N、Si−H、N−H等の結合を有するSiO、Si、および両方の中間固溶体SiO等のセラミック前駆体無機ポリマーである。
具体的には、ポリシラザンは、好ましくは下記の構造を有する。
上記一般式(I)において、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、置換または非置換の、アルキル基、アリール基、ビニル基または(トリアルコキシシリル)アルキル基である。この際、R、RおよびRは、それぞれ、同じであってもあるいは異なるものであってもよい。
また、上記一般式(I)において、nは、整数であり、上記一般式(I)で表される構造を有するポリシラザンが150〜150,000g/モルの数平均分子量を有するように定められることが好ましい。
上記一般式(I)で表される構造を有する化合物において、好ましい態様の一つは、R、RおよびRのすべてが水素原子であるパーヒドロポリシラザンである。
または、ポリシラザンとしては、下記一般式(II)で表される構造を有する。
上記一般式(II)において、R1’、R2’、R3’、R4’、R5’およびR6’は、それぞれ独立して、水素原子、置換または非置換の、アルキル基、アリール基、ビニル基または(トリアルコキシシリル)アルキル基である。この際、R1’、R2’、R3’、R4’、R5’およびR6’は、それぞれ、同じであってもあるいは異なるものであってもよい。また、上記一般式(II)において、n’およびpは、整数であり、一般式(II)で表される構造を有するポリシラザンが150〜150,000g/モルの数平均分子量を有するように定められることが好ましい。なお、n’およびpは、同じであってもあるいは異なるものであってもよい。
上記一般式(II)のポリシラザンのうち、R1’、R3’およびR6’が各々水素原子を表し、R2’、R4’およびR5’が各々メチル基を表す化合物;R1’、R3’およびR6’が各々水素原子を表し、R2’、R4’が各々メチル基を表し、R5’がビニル基を表す化合物;R1’、R3’、R4’およびR6’が各々水素原子を表し、R2’およびR5’が各々メチル基を表す化合物が好ましい。
または、ポリシラザンとしては、下記一般式(III)で表される構造を有する。
上記一般式(III)において、R1”、R2”、R3”、R4”、R5”、R6”、R7”、R8”およびR9”は、それぞれ独立して、水素原子、置換または非置換の、アルキル基、アリール基、ビニル基または(トリアルコキシシリル)アルキル基である。この際、R1”、R2”、R3”、R4”、R5”、R6”、R7”、R8”およびR9”は、それぞれ、同じであってもあるいは異なるものであってもよい。
また、上記一般式(III)において、n”、p”およびqは、整数であり、一般式(III)で表される構造を有するポリシラザンが150〜150,000g/モルの数平均分子量を有するように定められることが好ましい。なお、n”、pおよびqは、同じであってもあるいは異なるものであってもよい。
上記一般式(III)のポリシラザンのうち、R1”、R3”およびR6”が各々水素原子を表し、R2”、R4”、R5”およびR8”が各々メチル基を表し、R9”が(トリエトキシシリル)プロピル基を表し、R7”がアルキル基または水素原子を表す化合物が好ましい。
一方、そのSiと結合する水素原子部分の一部がアルキル基等で置換されたオルガノポリシラザンは、メチル基等のアルキル基を有することにより下地である(基材上の)応力緩和層との接着性が改善され、かつ硬くてもろいポリシラザンによるセラミック膜に靭性を持たせることができ、より(平均)膜厚を厚くした場合でもクラックの発生が抑えられる利点がある。このため、用途に応じて適宜、これらパーヒドロポリシラザンとオルガノポリシラザンとを選択してよく、混合して使用することもできる。
パーヒドロポリシラザン(PHPS)は、直鎖構造と6および8員環を中心とする環構造とが存在する構造と推定されている。その分子量は数平均分子量(Mn)で約600〜2000程度(ポリスチレン換算)で、液体または固体の物質があり、その状態は分子量により異なる。
ポリシラザンは有機溶媒に溶解した溶液状態で市販されており、市販品をそのままバリア層形成用塗布液として使用することができる。ポリシラザン溶液の市販品としては、AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製のNN120−10、NN120−20、NAX120−20、NN110、NN310、NN320、NL110A、NL120A、NL120−20、NL150A、NP110、NP140、SP140等が挙げられる。これらポリシラザン溶液は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。
本発明で使用できるポリシラザンの別の例としては、以下に制限されないが、例えば、上記ポリシラザンにケイ素アルコキシドを反応させて得られるケイ素アルコキシド付加ポリシラザン(特開平5−238827号公報)、グリシドールを反応させて得られるグリシドール付加ポリシラザン(特開平6−122852号公報)、アルコールを反応させて得られるアルコール付加ポリシラザン(特開平6−240208号公報)、金属カルボン酸塩を反応させて得られる金属カルボン酸塩付加ポリシラザン(特開平6−299118号公報)、金属を含むアセチルアセトナート錯体を反応させて得られるアセチルアセトナート錯体付加ポリシラザン(特開平6−306329号公報)、金属微粒子を添加して得られる金属微粒子添加ポリシラザン(特開平7−196986号公報)等の、低温でセラミック化するポリシラザンが挙げられる。
ポリシラザンを用いる場合、真空紫外線印加前のバリア層(塗膜)中におけるポリシラザンの含有率としては、バリア層(塗膜)の全質量を100質量%としたとき、100質量%でありうる。また、真空紫外線印加前のバリア層(塗膜)がポリシラザン以外のものを含む場合には、層中におけるポリシラザンの含有率は、10質量%以上99質量%以下であることが好ましく、40質量%以上95質量%以下であることがより好ましく、特に好ましくは70質量%以上95質量%以下である。
(バリア層形成用塗布液)
バリア層形成用塗布液を調製するための溶剤としては、ポリシラザンを溶解できるものであれば特に制限されないが、ポリシラザンと容易に反応してしまう水および反応性基(例えば、ヒドロキシル基、あるいはアミン基等)を含まず、ポリシラザンに対して不活性の有機溶剤が好ましく、非プロトン性の有機溶剤がより好ましい。具体的には、溶剤としては、非プロトン性溶剤;例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、ソルベッソ、ターペン等の、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素溶媒;塩化メチレン、トリクロロエタン等のハロゲン炭化水素溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等の脂肪族エーテル、脂環式エーテル等のエーテル類:例えば、テトラヒドロフラン、ジブチルエーテル、モノ−およびポリアルキレングリコールジアルキルエーテル(ジグライム類)などを挙げることができる。上記溶剤は、ポリシラザンの溶解度や溶剤の蒸発速度等の目的にあわせて選択され、単独で使用されてもまたは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
バリア層形成用塗布液におけるポリシラザンの濃度は、特に制限されず、層の膜厚や塗布液のポットライフによっても異なるが、好ましくは1〜80質量%、より好ましくは5〜50質量%、さらに好ましくは10〜40質量%である。
バリア層形成用塗布液は、改質を促進するために、触媒を含有することが好ましい。本発明に適用可能な触媒としては、塩基性触媒が好ましく、特に、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、3−モルホリノプロピルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ジアミノヘキサン(TMDAH)等のアミン触媒、Ptアセチルアセトナート等のPt化合物、プロピオン酸Pd等のPd化合物、Rhアセチルアセトナート等のRh化合物等の金属触媒、N−複素環式化合物が挙げられる。これらのうち、アミン触媒を用いることが好ましい。この際添加する触媒の濃度としては、ケイ素化合物を基準としたとき、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.5〜7質量%の範囲である。触媒添加量をこの範囲とすることで、反応の急激な進行による過剰なシラノール形成、および膜密度の低下、膜欠陥の増大などを避けることができる。
バリア層形成用塗布液には、必要に応じて下記に挙げる添加剤を用いることができる。例えば、セルロースエーテル類、セルロースエステル類;例えば、エチルセルロース、ニトロセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセトブチレート等、天然樹脂;例えば、ゴム、ロジン樹脂等、合成樹脂;例えば、重合樹脂等、縮合樹脂;例えば、アミノプラスト、特に尿素樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂もしくは変性ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイソシアネートもしくはブロック化ポリイソシアネート、ポリシロキサン等である。
(バリア層形成用塗布液を塗布する方法)
バリア層形成用塗布液を塗布する方法としては、従来公知の適切な湿式塗布方法が採用され得る。具体例としては、スピンコート法、ロールコート法、フローコート法、インクジェット法、スプレーコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、ダイコート法、グラビア印刷法等が挙げられる。
塗布厚さは、好ましい厚さや目的に応じて適切に設定され得る。
塗布液を塗布した後は、塗膜を乾燥させることが好ましい。塗膜を乾燥することによって、塗膜中に含有される有機溶媒を除去することができる。この際、塗膜に含有される有機溶媒は、すべてを乾燥させてもよいが、一部残存させていてもよい。一部の有機溶媒を残存させる場合であっても、好適なバリア層が得られうる。なお、残存する溶媒は後に除去されうる。
塗膜の乾燥温度は、適用する基材によっても異なるが、50〜200℃であることが好ましい。例えば、ガラス転移温度(Tg)が70℃のポリエチレンテレフタレート基材を樹脂基材として用いる場合には、乾燥温度は、熱による基材の変形等を考慮して150℃以下に設定することが好ましい。上記温度は、ホットプレート、オーブン、ファーネスなどを使用することによって設定されうる。乾燥時間は短時間に設定することが好ましく、例えば、乾燥温度が150℃である場合には30分以内に設定することが好ましい。また、乾燥雰囲気は、大気雰囲気下、窒素雰囲気下、アルゴン雰囲気下、真空雰囲気下、酸素濃度をコントロールした減圧雰囲気下等のいずれの条件であってもよい。
バリア層形成用塗布液を塗布して得られた塗膜は、真空紫外線の照射前または真空紫外線の照射中に水分を除去する工程を含んでいてもよい。水分を除去する方法としては、低湿度環境を維持して除湿する形態が好ましい。低湿度環境における湿度は温度により変化するので、温度と湿度の関係は露点温度の規定により好ましい形態が示される。好ましい露点温度は4℃以下(温度25℃/湿度25%)で、より好ましい露点温度は−5℃以下(温度25℃/湿度10%)であり、維持される時間はバリア層の膜厚によって適宜設定することが好ましい。具体的には、露点温度は−5℃以下で、維持される時間は1分以上であることが好ましい。なお、露点温度の下限は特に制限されないが、通常、−50℃以上であり、−40℃以上であることが好ましい。改質処理前、あるいは改質処理中に水分を除去することによって、シラノールに転化したバリア層の脱水反応を促進する観点から好ましい形態である。
<真空紫外線照射>
続いて、上記のようにして形成された塗膜に対して、真空紫外線を照射し、ポリシラザンの酸窒化ケイ素等への転化反応を行い、バリア層がガスバリア性を発現しうる無機薄膜への改質を行う。
紫外線照射は、バッチ処理にも連続処理にも適合可能であり、使用する基材の形状によって適宜選定することができる。例えば、バッチ処理の場合には、紫外線発生源を具備した紫外線焼成炉で処理することができる。紫外線焼成炉自体は一般に知られており、例えば、アイグラフィクス株式会社製の紫外線焼成炉を使用することができる。また、対象が長尺フィルム状である場合には、これを搬送させながら上記のような紫外線発生源を具備した乾燥ゾーンで連続的に紫外線を照射することによりセラミックス化することができる。紫外線照射に要する時間は、使用する基材やバリア層の組成、濃度にもよるが、一般に0.1秒〜10分であり、好ましくは0.5秒〜3分である。
(真空紫外線照射処理:エキシマ照射処理)
真空紫外線照射による改質は、ポリシラザン化合物内の原子間結合力より大きい100〜200nmの光エネルギーを用い、好ましくは100〜180nmの波長の光エネルギーを用い、原子の結合を光量子プロセスと呼ばれる光子のみの作用により、直接切断しながら活性酸素やオゾンによる酸化反応を進行させることで、比較的低温(約200℃以下)で、酸窒化ケイ素を含む膜の形成を行う方法である。なお、エキシマ照射処理を行う際は、熱処理を併用することが好ましい。
本発明においての真空紫外線源は、100〜180nmの波長の光を発生させるものであればよいが、好適には約172nmに最大放射を有するエキシマラジエータ(例えば、Xeエキシマランプ)、約185nmに輝線を有する低圧水銀蒸気ランプ、並びに230nm以下の波長成分を有する中圧および高圧水銀蒸気ランプ、および約222nmに最大放射を有するエキシマランプである。
このうち、Xeエキシマランプは、波長の短い172nmの紫外線を単一波長で放射することから、発光効率に優れている。この光は、酸素の吸収係数が大きいため、微量な酸素でラジカルな酸素原子種やオゾンを高濃度で発生することができる。
また、波長の短い172nmの光のエネルギーは、有機物の結合を解離させる能力が高いことが知られている。この活性酸素やオゾンと紫外線放射が持つ高いエネルギーによって、短時間でポリシラザン塗膜の改質を実現できる。
エキシマランプは光の発生効率が高いため、低い電力の投入で点灯させることが可能である。また、光による温度上昇の要因となる波長の長い光は発せず、紫外線領域で、すなわち短い波長でエネルギーを照射するため、解射対象物の表面温度の上昇が抑えられる特徴を持っている。このため、熱の影響を受けやすいとされるPET(ポリエチレンテレフタレート)などのフレシキブルフィルム材料(樹脂基材)に適している。
真空紫外線照射時の反応には、酸素が必要であるが、真空紫外線は、酸素による吸収があるため紫外線照射工程での効率が低下しやすいことから、真空紫外線の照射は、可能な限り酸素濃度および水蒸気濃度の低い状態で行うことが好ましい。すなわち、真空紫外線照射時の酸素濃度は、10〜20,000体積ppm(0.001〜2体積%)とすることが好ましく、50〜10,000体積ppm(0.005〜1体積%)とすることがより好ましい。また、転化プロセスの間の水蒸気濃度は、好ましくは1000〜4000体積ppmの範囲である。
真空紫外線照射時に用いられる、照射雰囲気を満たすガスとしては乾燥不活性ガスとすることが好ましく、特にコストの観点から乾燥窒素ガスにすることが好ましい。酸素濃度の調整は照射庫内へ導入する酸素ガス、不活性ガスの流量を計測し、流量比を変えることで調整可能である。
真空紫外線照射工程において、ポリシラザン塗膜が受ける塗膜面での該真空紫外線の照度は1mW/cm〜10W/cmであると好ましく、30mW/cm〜200mW/cmであることがより好ましく、50mW/cm〜160mW/cmであるとさらに好ましい。1mW/cm以上であれば、改質効率が向上し、10W/cm以下であれば、塗膜に生じ得るアブレーションや、基材へのダメージを低減することができる。
本発明においては、塗膜の表面における真空紫外線の照射エネルギー量(照射量)は、1J/cm以上である。照射エネルギー量が1J/cm以上であれば、バリア層のガスバリア性の保存安定性が向上し、高温高湿条件下でもガスバリア性を長期間安定して維持することができる。該照射エネルギー量は、製造安定性(改質層を形成した後の保管環境下でも、ガスバリア性能の低下がおきない、または少ない特性)の観点からは、1.5J/cm以上が好ましく、2.0J/cm以上がより好ましく、2.5J/cm以上がさらに好ましく、4.0J/cm以上が特に好ましい。一方、照射エネルギー量の上限値は、特に制限されないが、10J/cm以下であることが好ましく、8J/cm以下であることがより好ましい。この範囲であれば、過剰改質によるクラックの発生や、基材の熱変形を抑制することができ、また生産性が向上する。
用いられる真空紫外線は、CO、COおよびCHの少なくとも一種を含むガスで形成されたプラズマにより発生させてもよい。さらに、CO、COおよびCHの少なくとも一種を含むガス(以下、炭素含有ガスとも称する)は、炭素含有ガスを単独で使用してもよいが、希ガスまたはHを主ガスとして、炭素含有ガスを少量添加することが好ましい。プラズマの生成方式としては容量結合プラズマなどが挙げられる。
<イオン注入>
上記のようにして形成された塗膜に対して、上記した真空紫外線を照射に代えて、既存のプラズマイオン注入法を用いて、ポリシラザンの酸窒化ケイ素等への転化反応を行い、バリア層がガスバリア性を発現しうる無機薄膜への改質を行ってもよい。
[遷移金属化合物を含む層]
本発明のガスバリア性フィルム10は、バリア層13と接して、所定の膜厚(3〜500nm)に調整(制御)された薄膜の遷移金属化合物を含む層14を有する。好ましくは気相成膜法により形成される遷移金属化合物を含む層である。遷移金属化合物を含む層14は、高温高湿耐性として高い屈曲性、透過率、隣接する層との密着性を維持でき、色ムラの発生を防止し、更に電気化学的にバリア層よりも酸化されやすく、バリア層の(ポリシラザンの)酸化を防いで高いバリア性能を維持することができる。
(遷移金属化合物を含む層の膜厚)
遷移金属化合物を含む層14は、所定の膜厚に調整(制御)することにより、発明の効果を有効に発現することができる。具体的には、遷移金属化合物を含む層の膜厚(遷移金属化合物を含む層が2層以上の積層構造である場合はその総厚)は、発明の効果を有効に発現するためには、3〜500nmの範囲が必要である。遷移金属化合物を含む層の膜厚が500nmを超える場合は、屈曲性が大幅に損なわれ、色ムラが生じるほか、金属光沢性が現れ、透過率も低下するため好ましくない。遷移金属化合物を含む層の膜厚が3nm未満の場合には、ガスバリア性能が大幅に損なわれ、色ムラによる劣化が大きくなり透明性が損なわれるほか、温度変化に伴う応力緩和層の膜膨張変化量が大きいと遷移金属化合物を含む層にひび割れが発生するおそれがあるため好ましくない。遷移金属化合物を含む層の膜厚は、上記した内容に加え、バリア性の面内均一性を向上し、さらに透過率を格段に高める観点から、5〜230nmの範囲であることが好ましく、より好ましくは10〜230nmの範囲、更に好ましくは10〜180nmの範囲、特に好ましくは55〜160nmの範囲である。
(遷移金属化合物を含む層の屈折率)
遷移金属化合物を含む層14の屈折率は、バリア性の観点から、1.95〜2.50の範囲に調整するのが好ましく、2.05〜2.15の範囲に調整するのがより好ましい。遷移金属化合物を含む層14の屈折率が1.95以上であればバリア性が良好であり、2.50以下であれば屈曲が良好である点で好ましい。
遷移金属化合物を含む層の膜厚は、SEMで層構成を確認後、ガスバリア性フィルムの断面をSEMで観測することで遷移金属化合物を含む層の膜厚を測定できる。またTEM観察により測定することもできる。
遷移金属化合物を含む層に含まれる遷移金属化合物としては、特に限定されないが、例えば、遷移金属の酸化物、窒化物、炭化物、酸窒化物、または酸炭化物が挙げられる。中でも、高温高湿耐性として高い屈曲性、透過率、隣接する層との密着性を維持でき、色ムラの発生を防止し、更にバリア層の酸化をより効果的に防いで高いバリア性能を維持するという観点からは、遷移金属化合物が遷移金属酸化物であることが好ましい。遷移金属化合物は1種単独であっても2種以上併用してもよい。
また、遷移金属化合物を含む層は、遷移金属をM、化学量論的に得られる遷移金属酸化物をMOx2とした場合に、x1<x2である金属酸化物MOx1を含むことが好ましい。かような金属酸化物を含むことで、ガスバリア性フィルムの高温高湿環境でのガスバリア性能が向上し、高温高湿耐性として高い屈曲性、透過率、隣接する層との密着性を維持でき、高温高湿環境での耐久性に優れ、更に色ムラの発生を効果的に防止することができる。x1<x2である金属酸化物MOx1を含むことによって、化学量論的な酸化度よりも低い酸化度である領域、つまりはさらなる酸化の余地がある領域が存在することとなるため、より高いガスバリア性能が発揮されると考えられる。
例えば、Nb(ニオブ)の酸化物を例に挙げると、Nbの化学量論的に得られる酸化物は五酸化二ニオブであり、これはNbO2.5であるため、x2=2.5である。Nbは三酸化二ニオブの組成も取り得るが、本発明においてのx2は、酸化度の最も大きい化学量論的な化合物のx2を意味する。x1<x2である金属酸化物MOx1を含むとは、XPS等の組成分析方法で厚さ方向の組成プロファイルを測定した際に、x1<x2である測定点が得られるということ、Nbの場合は、x1<2.5である測定点が得られることを意味する。遷移金属化合物を含む層が複数種の金属を含有する場合であっても、それぞれの金属の比率とその合計から化学量論的なx2を計算して用いることができる。
x1<x2の関係を酸化度の指標としてx1/x2比で表すと、x1/x2比は、高温高湿下でのガスバリア性能、更に高温高湿耐性としての屈曲性、透過率、隣接する層との密着性、更には色ムラの発生防止効果がより向上することから、0.99以下であることが好ましく、0.9以下であることがより好ましく、0.8以下であることがさらに好ましい。x1/x2比が小さくなるほど酸化抑制効果は高くなるが、それにつれて可視光での吸収も高くなるため、透明性が望まれる用途に使用する場合は、0.2以上であることが好ましく、0.3以上であることがより好ましい。
x1/x2である領域の遷移金属化合物を含む層における厚さ方向の割合は、高いガスバリア性能を付与する観点から、遷移金属化合物を含む層の膜厚に対して、1〜100%であることが好ましく、10〜100%であることがより好ましく、50〜100%であることがさらに好ましい。
x1/x2比の調整は、遷移金属化合物を含む層の形成をスパッタで行う場合を例に挙げると、ターゲットとして金属、もしくは、化学量論的に酸素が欠損した遷移金属酸化物を用い、スパッタの際に導入する酸素の量を適宜調整することで行うことができる。
x1は、厚さ方向のXPS分析を用いてMに対するOの原子比により求めることができる。x1の最小値がx1<x2となれば、x1<x2である金属酸化物MOx1を含むと言える。
《XPS分析条件》
・装置:アルバックファイ製QUANTERASXM
・X線源:単色化Al−Kα
・測定領域:Si2p、C1s、N1s、O1s、その他測定する金属に応じて定法により設定
・スパッタイオン:Ar(2keV)
・デプスプロファイル:一定時間スパッタ後、測定を繰り返す。1回の測定は、SiO換算で、約2.5nmの厚さ分となるようにスパッタ時間を調整する
・定量:バックグラウンドをShirley法で求め、得られたピーク面積から相対感度係数法を用いて定量した。データ処理は、アルバックファイ社製のMultiPakを用いる。
遷移金属原子とは、第3族元素から第12族元素を指し、遷移金属としては、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Pd、Ag、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、およびAuなどが挙げられる。
中でも、遷移金属化合物中の遷移金属は、ケイ素よりも酸化還元電位が低い金属であることが好ましい。ケイ素よりも酸化還元電位の低い遷移金属の化合物を含む層とすることで、より良好なバリア性が得られる。ケイ素よりも酸化還元電位が低い金属の具体例としては、例えば、ニオブ、タンタル、バリウム、ジルコニウム、チタン、ハフニウム、イットリウム、ランタン、セリウム等が挙げられる。これら金属は、単独でもまたは2種以上混合して用いてもよい。これらの中でも特に第5族元素であるニオブ、タンタル、バナジウムがポリシラザン改質バリア層の酸化抑制効果が高いため好ましく用いることができる。すなわち、本発明の好適な一実施形態は、遷移金属がバナジウム、ニオブおよびタンタルからなる群より選択される少なくとも1種の金属であるガスバリア性フィルムである。さらに、光学特性の観点から、遷移金属化合物中の遷移金属は、透明性が良好な化合物が得られるニオブ、タンタルが特に好ましく、なかでもニオブである。以上のことから、遷移金属化合物としては、高温高湿下でのガスバリア性能、更に高温高湿耐性としての屈曲性、透過率、隣接する層との密着性、更には色ムラの発生防止効果を高めることができ、更にはバリア層の酸化による劣化も抑制できるという観点から遷移金属酸化物が好ましい。上記効果に加え酸化抑制効果が高いという観点から遷移金属が第5族元素より選択される少なくとも1種である遷移金属酸化物がより好ましい。更に上記した各効果に加え光学特性に優れるという観点から、遷移金属がニオブおよびタンタルの少なくとも1種である遷移金属酸化物がさらに好ましい。更に上記した各効果に加え長期間折り曲げや巻き付けを繰り返しても耐透湿性、耐屈曲性、ガスバリア性、透明性が高いという観点から、遷移金属化合物が、酸化ニオブを含有していることが特に好ましく、なかでも酸化ニオブである。
主要な金属の標準酸化還元電位およびx2を下表に示す。
遷移金属化合物を含む層中における遷移金属化合物の含有量は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、遷移金属化合物の含有量が、遷移金属化合物を含む層の全質量に対して50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましく、98質量%以上であることが特に好ましく、100質量%である(すなわち、遷移金属化合物を含む層は遷移金属化合物からなる)ことが最も好ましい。
遷移金属化合物を含む層の形成方法は、金属元素と酸素との組成比を調整しやすいという観点から、気相成膜法である。気相成膜法としては、特に制限されず、例えば、スパッタ法、蒸着法、イオンプレーティング法等の物理気相成長(PVD)法、プラズマCVD(chemical vapordeposition)法、ALD(Atomic Layer Deposition)などの化学気相成長法が挙げられる。中でも、下層へのダメージを与えることなく成膜が可能となり、高い生産性を有することから、スパッタ法により形成することが好ましい。
スパッタ法による成膜は、2極スパッタリング、マグネトロンスパッタリング、中間的な周波数領域を用いたデュアルマグネトロン(DMS)スパッタリング、イオンビームスパッタリング、ECRスパッタリングなどを単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。また、ターゲットの印加方式はターゲット種に応じて適宜選択され、DC(直流)スパッタリング、およびRF(高周波)スパッタリングのいずれを用いてもよい。また、金属モードと、酸化物モードの中間である遷移モードを利用した反応性スパッタ法も用いることができる。遷移領域となるようにスパッタ現象を制御することにより、高い成膜スピードで金属酸化物を成膜することが可能となるため好ましい。DCスパッタリングやDMSスパッタリングを行なう際には、そのターゲットに遷移金属を用い、さらに、プロセスガス中に酸素を導入することで、遷移金属酸化物の薄膜を形成することができる。また、RF(高周波)スパッタリングで成膜する場合は、遷移金属の酸化物のターゲットを用いることができる。プロセスガスに用いられる不活性ガスとしては、He、Ne、Ar、Kr、Xe等を用いることができ、Arを用いることが好ましい。さらに、プロセスガス中に酸素、窒素、二酸化炭素、一酸化炭素を導入することで、遷移金属の酸化物、窒化物、窒酸化物、炭酸化物等の遷移金属化合物薄膜を作ることができる。スパッタ法における成膜条件としては、印加電力、放電電流、放電電圧、時間等が挙げられるが、これらは、スパッタ装置や、膜の材料、膜厚等に応じて適宜選択することができる。中でも、成膜レートがより高く、より高い生産性を有することから、遷移金属の酸化物をターゲットとして用いるスパッタ法が好ましい。
遷移金属化合物を含む層は、単層でもよいし2層以上の積層構造であってもよい。遷移金属化合物を含む層が2層以上の積層構造である場合、遷移金属化合物を含む層に含まれる遷移金属化合物は同じものであってもよいし異なるものであってもよい。
[樹脂基材]
本発明のガスバリア性フィルムは、フレキシブル電子デバイス用途に好適に用いられることから、樹脂基材(可撓性基材)を用いるのが好ましい。ただし、樹脂基材(可撓性基材)を用いなくとも、ガスバリア性フィルムとして利用可能であれば、樹脂基材(可撓性基材)は特に用いなくてもよい。
本発明に係る樹脂基材(可撓性基材)としては、具体的には、ポリエステル樹脂メタクリル樹脂、メタクリル酸−マレイン酸共重合体、ポリスチレン樹脂、透明フッ素樹脂、ポリイミド、フッ素化ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、セルロースアシレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂環式ポリオレフィン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、シクロオレフィルンコポリマー、フルオレン環変性ポリカーボネート樹脂、脂環変性ポリカーボネート樹脂、フルオレン環変性ポリエステル樹脂、アクリロイル化合物などの熱可塑性樹脂を含む基材が挙げられる。該樹脂基材は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。
樹脂基材は耐熱性を有する素材からなることが好ましい。具体的には、線膨張係数が15ppm/K以上100ppm/K以下で、かつガラス転移温度(Tg)が100℃以上300℃以下の樹脂基材が使用される。該基材は、電子部品用途、ディスプレイ用積層フィルムとしての必要条件を満たしている。即ち、これらの用途に本発明に係るガスバリア性フィルムを用いる場合、ガスバリア性フィルムは、150℃以上の工程に曝されることがある。この場合、ガスバリア性フィルムにおける基材の線膨張係数が100ppm/K以下であれば、ガスバリア性フィルムを前記のような温度の工程に流す際に基板寸法が安定し、熱膨張および収縮に伴い遮断性能が劣化する不都合を生じることもなく、また熱工程に耐えられないという不具合が生じることもなく、上記した高温下での工程を良好に行うことができる。15ppm/K以上であれば、フィルムがガラスのように割れることもなく、十分なフレキシビリティを保持することができる点で優れている。
基材のTgや線膨張係数は、添加剤などによって調整することができる。基材として用いることができる熱可塑性樹脂のより好ましい具体例としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET:70℃)、ポリエチレンナフタレート(PEN:120℃)、ポリカーボネート(PC:140℃)、脂環式ポリオレフィン(例えば日本ゼオン株式会社製、ゼオノア(登録商標)1600:160℃)、ポリアリレート(PAr:210℃)、ポリエーテルスルホン(PES:220℃)、ポリスルホン(PSF:190℃)、シクロオレフィンコポリマー(COC:特開2001−150584号公報に記載の化合物:162℃)、ポリイミド(例えば三菱ガス化学株式会社製、ネオプリム(登録商標):260℃)、フルオレン環変性ポリカーボネート(BCF−PC:特開2000−227603号公報に記載の化合物:225℃)、脂環変性ポリカーボネート(IP−PC:特開2000−227603号公報に記載の化合物:205℃)、アクリロイル化合物(特開2002−80616号公報に記載の化合物:300℃以上)等が挙げられる(括弧内はTgを示す)。
本発明に係るガスバリア性フィルムは、有機EL素子等の電子デバイスとして利用される場合には、樹脂基材は透明であることが好ましい。すなわち、光線透過率が通常80%以上、好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上である。光線透過率は、JIS K7105:1981に記載された方法、すなわち積分球式光線透過率測定装置を用いて全光線透過率および散乱光量を測定し、全光線透過率から拡散透過率を引いて算出することができる。
ただし、本発明に係るガスバリア性フィルムをディスプレイ用途に用いる場合であっても、観察側に設置しない場合などは必ずしも透明性が要求されない。したがって、このような場合は、樹脂基材(プラスチックフィルム)として不透明な材料を用いることもできる。不透明な材料としては、例えば、ポリイミド、ポリアクリロニトリル、公知の液晶ポリマーなどが挙げられる。
また、上記に挙げた樹脂基材は、未延伸フィルムでもよく、延伸フィルムでもよい。当該樹脂基材は、従来公知の一般的な方法により製造することが可能である。これらの基材の製造方法については、国際公開第2013/002026号の段落「0051」〜「0055」の記載された事項を適宜採用することができる。
樹脂基材の表面は、密着性向上のための公知の種々の処理、例えばコロナ放電処理、火炎処理、酸化処理、またはプラズマ処理等を行っていてもよく、必要に応じて上記処理を組み合わせて行っていてもよい。また、樹脂基材には易接着処理を行ってもよい。
該樹脂基材は、単層でもよいし2層以上の積層構造であってもよい。該樹脂基材が2層以上の積層構造である場合、各樹脂基材は同じ種類であってもよいし異なる種類であってもよい。
本発明に係る樹脂基材の厚さ(2層以上の積層構造である場合はその総厚)は、10〜200μmであることが好ましく、20〜150μmであることがより好ましい。
[種々の機能を有する層]
本発明のガスバリア性フィルムにおいては、発明の効果を損なわない範囲であれば、種々の機能を有する層を設けることができる。
(アンカーコート層)
応力緩和層、バリア層、及び遷移金属化合物を含む層を形成する側の樹脂基材の表面には、樹脂基材と応力緩和層との密着性の向上を目的として、アンカーコート層を形成してもよい。
アンカーコート層に用いられるアンカーコート剤としては、ポリエステル樹脂、イソシアネート樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、ビニル変性樹脂、エポキシ樹脂、変性スチレン樹脂、変性シリコン樹脂、およびアルキルチタネート等を単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。
これらのアンカーコート剤には、従来公知の添加剤を加えることもできる。そして、上記のアンカーコート剤は、ロールコート、グラビアコート、ナイフコート、ディップコート、スプレーコート等の公知の方法により樹脂基材上にコーティングし、溶剤、希釈剤等を乾燥除去することによりアンカーコーティングすることができる。上記のアンカーコート剤の塗布量としては、0.1〜5.0g/m(乾燥状態)程度が好ましい。
また、アンカーコート層は、物理蒸着法または化学蒸着法といった気相法により形成することもできる。例えば、特開2008−142941号公報に記載のように、接着性等を改善する目的で酸化珪素を主体とした無機膜を形成することもできる。あるいは、特開2004−314626号公報に記載されているようなアンカーコート層を形成することで、その上に気相法により無機薄膜(バリア層や遷移金属化合物を含む層など)を形成する際に、基材側から発生するガスをある程度遮断して、無機薄膜の組成を制御するといった目的でアンカーコート層を形成することもできる。
また、アンカーコート層の厚さは、特に制限されないが、0.5〜10μm程度が好ましい。
(平滑層)
本発明のガスバリア性フィルムにおいては、樹脂基材と応力緩和層との間に、平滑層を有してもよい。本発明に用いられる平滑層は、突起等が存在する樹脂基材の粗面を平坦化し、あるいは、樹脂基材に存在する突起により透明無機化合物層に生じた凹凸やピンホールを埋めて平坦化するために設けられる。このような平滑層は、基本的には感光性材料、または、熱硬化性材料を硬化させて作製される。
平滑層の感光性材料としては、例えば、ラジカル反応性不飽和化合物を有するアクリレート化合物を含有する樹脂組成物、アクリレート化合物とチオール基を有するメルカプト化合物を含有する樹脂組成物、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、グリセロールメタクリレート等の多官能アクリレートモノマーを溶解させた樹脂組成物等が挙げられる。具体的には、JSR株式会社製のUV硬化型有機/無機ハイブリッドハードコート材 OPSTAR(登録商標)シリーズを用いることができる。また、上記のような樹脂組成物の任意の混合物を使用することも可能であり、光重合性不飽和結合を分子内に1個以上有する反応性のモノマーを含有している感光性樹脂であれば特に制限はない。
熱硬化性材料として具体的には、クラリアント社製のトゥットプロムシリーズ(有機ポリシラザン)、セラミックコート株式会社製のSP COAT耐熱クリアー塗料、株式会社アデカ製のナノハイブリッドシリコーン、DIC株式会社製のユニディック(登録商標)V−8000シリーズ、EPICLON(登録商標) EXA−4710(超高耐熱性エポキシ樹脂)、信越化学工業株式会社製の各種シリコン樹脂、日東紡株式会社製の無機・有機ナノコンポジット材料SSGコート、アクリルポリオールとイソシアネートプレポリマーとからなる熱硬化性ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコン樹脂等が挙げられる。この中でも特に耐熱性を有するエポキシ樹脂ベースの材料であることが好ましい。
平滑層の形成方法は、特に制限はないが、スピンコーティング法、スプレー法、ブレードコーティング法、ディップ法等のウエットコーティング法、あるいは、蒸着法等のドライコーティング法により形成することが好ましい。
平滑層の形成では、上述の感光性樹脂に、必要に応じて酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤等の添加剤を加えることができる。また、平滑層の積層位置に関係なく、いずれの平滑層においても、成膜性向上および膜のピンホール発生防止等のために適切な樹脂や添加剤を使用してもよい。
平滑層の厚さとしては、フィルムの耐熱性を向上させ、フィルムの光学特性のバランス調整を容易にする観点から、1〜10μmの範囲が好ましく、さらに好ましくは、2μm〜7μmの範囲にすることが好ましい。
平滑層の平滑性は、JIS B 0601:2001で規定される表面粗さで表現される値で、十点平均粗さRzが、10nm以上、30nm以下であることが好ましい。この範囲であれば、応力緩和層(更にバリア層)を塗布形式で塗布した場合であっても、ワイヤーバー、ワイヤレスバー等の塗布方式で、平滑層表面に塗工手段が接触する場合であっても塗布性が損なわれることが少なく、また、塗布後の凹凸を平滑化することも容易である。
[電子デバイス]
本発明のガスバリア性フィルムは、空気中の化学成分(酸素、水、窒素酸化物、硫黄酸化物、オゾン等)によって性能が劣化するデバイスに好ましく適用できる。すなわち、本発明は、本発明のガスバリア性フィルムと、電子デバイス本体と、を含む電子デバイスを提供する。
本発明の電子デバイスに用いられる電子デバイス本体の例としては、例えば、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)、液晶表示素子(LCD)、薄膜トランジスタ、タッチパネル、電子ペーパー、太陽電池(PV)等を挙げることができる。本発明の効果がより効率的に得られるという観点から、該電子デバイス本体は有機EL素子または太陽電池が好ましく、有機EL素子がより好ましい。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。
(各層の単膜屈折率の測定)
厚さ2mmのソーダガラス製の基材上に屈折率を測定する対象層(応力緩和層、バリア層、遷移金属化合物を含む層)をそれぞれ単層(単膜)で塗設したサンプルを作製し、下記の方法に従って、各層の屈折率を求めた。
分光光度計として、U−4000型(日立製作所社製)を用いて、各サンプルの測定側の裏面を粗面化処理した後、黒色のスプレーで光吸収処理を行って裏面での光の反射を防止して、5度正反射の条件にて可視光領域(400nm〜700nm)の反射率の測定結果より、屈折率を求めた。上記方法に従って各層の屈折率を測定した結果を下記表2〜5に示す。
[比較例1]
(応力緩和層の形成)
応力緩和層形成用(の活性エネルギー線硬化)塗料として、UV/EB硬化性樹脂(品名:ビームセット577、荒川化学工業株式会社製;光重合性プレポリマーとしてウレタンアクリレート使用)(塗布液A)を乾燥膜厚が200nmになるように、樹脂基材(帝人デュポンフィルム株式会社製、ポリエチレンテレフタレートの二軸延伸フィルム;テイジンテトロン;厚さ50μm、Tg70℃)の表面にワイヤーバーを用いて塗布した後、80℃で3分間乾燥し、その後硬化(0.5J/cm、空気下、高圧水銀ランプ使用)を行い、応力緩和層(厚さ200nm)を形成した。上記「各層の単膜屈折率の測定」の方法に従って屈折率を測定した結果、当該応力緩和層の屈折率は、1.49であった。
(バリア層の形成(湿式成膜法(塗布法);塗膜への真空紫外線照射法))
下記に示すようなポリシラザンを含む塗布液を上記応力緩和層上に塗布し塗布膜を形成した後、真空紫外線照射による改質(酸化改質)を行ってバリア層を形成した。
パーヒドロポリシラザンを20質量%含むジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製、NN120−20)と、アミン触媒(N,N,N',N'−テトラメチル−1,6−ジアミノヘキサン(TMDAH))を含むパーヒドロポリシラザン20質量%のジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製、NAX120−20)とを、4:1(質量比)の割合で混合し、さらに乾燥膜厚調整のためジブチルエーテルで適宜希釈し、塗布液を調製した。
上記応力緩和層上にスピンコート法により塗布液を乾燥膜厚150nmになるよう塗布し、80℃で2分間乾燥した。次いで、乾燥した塗膜に対して、波長172nmのXeエキシマランプを有する図2の真空紫外線照射装置を用い、3.0J/cmの照射エネルギーで真空紫外線照射処理を行った。この際、照射雰囲気は窒素で置換し、酸素濃度は0.1体積%とした。また、試料を設置するステージ温度を80℃とした。
図2において、符号1は装置チャンバであり、図示しないガス供給口から内部に窒素と酸素とを適量供給し、図示しないガス排出口から排気することで、チャンバ内部から実質的に水蒸気を除去し、酸素濃度を所定の濃度に維持することができる。符号2は172nmの真空紫外線を照射する二重管構造を有するXeエキシマランプ(エキシマランプ光強度:130mW/cm)、符号3は外部電極を兼ねるエキシマランプのホルダーである。符号4は試料ステージである。試料ステージ4は、図示しない移動手段により装置チャンバ1内を水平に所定の速度で往復移動することができる。また、試料ステージ4は図示しない加熱手段により、所定の温度に維持することができる。符号5はポリシラザン化合物塗布層が形成された試料である。試料ステージが水平移動する際、試料の塗布層表面と、エキシマランプ管面との最短距離が3mmとなるように試料ステージの高さが調整されている。符号6は遮光板であり、Xeエキシマランプ2のエージング中に試料の塗布層に真空紫外線が照射されないようにしている。
真空紫外線照射工程で試料塗布層表面に照射されるエネルギーは、浜松ホトニクス社製の紫外線積算光量計:C8026/H8025 UV POWER METERを用い、172nmのセンサヘッドを用いて測定した。測定に際しては、Xeエキシマランプ管面とセンサヘッドの測定面との最短距離が、3mmとなるようにセンサヘッドを試料ステージ4中央に設置し、かつ、装置チャンバ1内の雰囲気が、真空紫外線照射工程と同一の酸素濃度となるように窒素と酸素とを供給し、試料ステージ4を0.5m/minの速度で移動させて測定を行った。測定に先立ち、Xeエキシマランプ2の照度を安定させるため、Xeエキシマランプ点灯後に10分間のエージング時間を設け、その後試料ステージを移動させて測定を開始した。
この測定で得られた照射エネルギーを元に、試料ステージの移動速度を調整することで照射エネルギーが3.0J/cmとなるように調整した。尚、真空紫外線照射に際しては、10分間のエージング後に行った。これにより、膜厚150nmのバリア層を形成した。上記「各層の単膜屈折率の測定」の方法に従って屈折率を測定した結果、当該バリア層の屈折率は、1.52であった。
(遷移金属化合物を含む層(以下、金属酸化膜ともいう)の形成)
ターゲットとして酸素欠損型Nbターゲットを用い、プロセスガスにはArとOを用いたDCスパッタにより製膜した。事前にガラス基板を用いた製膜により、酸素分圧を調整することにより組成の条件出しを行い、表層から深さ15nm近傍の組成がNbO1.5となる条件を見出した。この条件を適用し、580nmの厚さになるよう金属酸化膜(酸化ニオブ膜)の製膜を行った。これにより本比較例のガスバリア性フィルムを得た。なお、上記「各層の単膜屈折率の測定」の方法に従って屈折率を測定した結果、当該金属酸化膜(酸化ニオブ膜)の屈折率は、2.10であった。よって、応力緩和層の屈折率に対する遷移金属化合物を含む層(金属酸化膜)の屈折率の比率は、1.41である。
[比較例2]
金属酸化膜(酸化ニオブ膜)の厚さを580nmから515nmに変更した以外は比較例1と同様にして、基材表面に、応力緩和層(200nm)とバリア層(150nm)と金属酸化膜(515nm)とを形成し、本比較例のガスバリア性フィルムを得た。
[実施例1]
金属酸化膜(酸化ニオブ膜)の厚さを580nmから495nmに変更した以外は比較例1と同様にして、基材表面に、応力緩和層(200nm)とバリア層(150nm)と金属酸化膜(495nm)とを形成し、本実施例のガスバリア性フィルムを得た。
[実施例2]
金属酸化膜(酸化ニオブ膜)の厚さを580nmから350nmに変更した以外は比較例1と同様にして、基材表面に、応力緩和層(200nm)とバリア層(150nm)と金属酸化膜(350nm)とを形成し、本実施例のガスバリア性フィルムを得た。
[実施例3]
金属酸化膜(酸化ニオブ膜)の厚さを580nmから250nmに変更した以外は比較例1と同様にして、基材表面に、応力緩和層(200nm)とバリア層(150nm)と金属酸化膜(250nm)とを形成し、本実施例のガスバリア性フィルムを得た。
[実施例4]
金属酸化膜(酸化ニオブ膜)の厚さを580nmから230nmに変更した以外は比較例1と同様にして、基材表面に、応力緩和層(200nm)とバリア層(150nm)と金属酸化膜(230nm)とを形成し、本実施例のガスバリア性フィルムを得た。
[実施例5]
金属酸化膜(酸化ニオブ膜)の厚さを580nmから200nmに変更した以外は比較例1と同様にして、基材表面に、応力緩和層(200nm)とバリア層(150nm)と金属酸化膜(200nm)とを形成し、本実施例のガスバリア性フィルムを得た。
[実施例6]
金属酸化膜(酸化ニオブ膜)の厚さを580nmから120nmに変更した以外は比較例1と同様にして、基材表面に、応力緩和層(200nm)とバリア層(150nm)と金属酸化膜(120nm)とを形成し、本実施例のガスバリア性フィルムを得た。
[実施例7]
金属酸化膜(酸化ニオブ膜)の厚さを580nmから85nmに変更した以外は比較例1と同様にして、基材表面に、応力緩和層(200nm)とバリア層(150nm)と金属酸化膜(85nm)とを形成し、本実施例のガスバリア性フィルムを得た。
[実施例8]
金属酸化膜(酸化ニオブ膜)の厚さを580nmから80nmに変更した以外は比較例1と同様にして、基材表面に、応力緩和層(200nm)とバリア層(150nm)と金属酸化膜(80nm)とを形成し、本実施例のガスバリア性フィルムを得た。
[実施例9]
金属酸化膜(酸化ニオブ膜)の厚さを580nmから75nmに変更した以外は比較例1と同様にして、基材表面に、応力緩和層(200nm)とバリア層(150nm)と金属酸化膜(75nm)とを形成し、本実施例のガスバリア性フィルムを得た。
[実施例10]
金属酸化膜(酸化ニオブ膜)の厚さを580nmから50nmに変更した以外は比較例1と同様にして、基材表面に、応力緩和層(200nm)とバリア層(150nm)と金属酸化膜(50nm)とを形成し、本実施例のガスバリア性フィルムを得た。
[実施例11]
金属酸化膜(酸化ニオブ膜)の厚さを580nmから10nmに変更した以外は比較例1と同様にして、基材表面に、応力緩和層(200nm)とバリア層(150nm)と金属酸化膜(10nm)とを形成し、本実施例のガスバリア性フィルムを得た。
[実施例12]
金属酸化膜(酸化ニオブ膜)の厚さを580nmから5nmに変更した以外は比較例1と同様にして、基材表面に、応力緩和層(200nm)とバリア層(150nm)と金属酸化膜(5nm)とを形成し、本実施例のガスバリア性フィルムを得た。
[実施例13]
金属酸化膜(酸化ニオブ膜)の厚さを580nmから4nmに変更した以外は比較例1と同様にして、基材表面に、応力緩和層(200nm)とバリア層(150nm)と金属酸化膜(4nm)とを形成し、本実施例のガスバリア性フィルムを得た。
[実施例14]
金属酸化膜(酸化ニオブ膜)の厚さを580nmから3nmに変更した以外は比較例1と同様にして、基材表面に、応力緩和層(200nm)とバリア層(150nm)と金属酸化膜(3nm)とを形成し、本実施例のガスバリア性フィルムを得た。
[比較例3]
金属酸化膜(酸化ニオブ膜)の厚さを580nmから2nmに変更した以外は比較例1と同様にして、基材表面に、応力緩和層(200nm)とバリア層(150nm)と金属酸化膜(2nm)とを形成し、本比較例のガスバリア性フィルムを得た。
[比較例4]
金属酸化膜(酸化ニオブ膜)の厚さを580nmから1nmに変更した以外は比較例1と同様にして、基材表面に、応力緩和層(200nm)とバリア層(150nm)と金属酸化膜(1nm)とを形成し、本比較例のガスバリア性フィルムを得た。
[比較例5]
金属酸化膜(酸化ニオブ膜)を形成していないこと(=金属酸化膜(酸化ニオブ膜)の厚さを580nmから0nmに変更した)以外は比較例1と同様にして、基材表面に、応力緩和層(200nm)とバリア層(150nm)とを形成し、本比較例のガスバリア性フィルムを得た。
[実施例15]
応力緩和層の厚さ(乾燥膜厚)を200nmから70nmに変更した以外は実施例8と同様にして、基材表面に、応力緩和層(70nm)とバリア層(150nm)と金属酸化膜(80nm)とを形成し、本実施例のガスバリア性フィルムを得た。
[実施例16]
応力緩和層の厚さ(乾燥膜厚)を200nmから100nmに変更した以外は実施例8と同様にして、基材表面に、応力緩和層(100nm)とバリア層(150nm)と金属酸化膜(80nm)とを形成し、本実施例のガスバリア性フィルムを得た。
[実施例17]
応力緩和層の厚さ(乾燥膜厚)を200nmから1000nmに変更した以外は実施例8と同様にして、基材表面に、応力緩和層(1000nm)とバリア層(150nm)と金属酸化膜(80nm)とを形成し、本実施例のガスバリア性フィルムを得た。
[実施例18]
応力緩和層の厚さ(乾燥膜厚)を200nmから1050nmに変更した以外は実施例8と同様にして、基材表面に、応力緩和層(1050nm)とバリア層(150nm)と金属酸化膜(80nm)とを形成し、本実施例のガスバリア性フィルムを得た。
[実施例19]
バリア層形成を以下の方法(PVD法;詳しくはスパッタ法)に変更した以外は実施例8と同様にして、基材表面に、応力緩和層(200nm)とバリア層(150nm)と金属酸化膜(80nm)とを形成し、本実施例のガスバリア性フィルムを得た。
バリア層は図3に示すロールツーロール方式の反応性スパッタリング装置を用いて、応力緩和層の上へSiO膜の成膜(膜厚150nm)を行った。
ターゲットはSi、不活性ガスとしてAr、反応ガスとしてO(不活性ガス:反応ガス流量体積比=8:1)を用い、真空到達圧0.2Pa、ターゲットへの投入電力2W/cm、装置の基材搬送速度3m/minとした。
図3のスパッタリング装置31は、真空チャンバ32内に、送り出しローラー33と、搬送ローラー34、35、36、37と、成膜ローラー38と、カソード39と、巻き取りローラー41と、反応ガス供給装置42と、不活性ガス供給装置43と、を備えている。また、このような製造装置において真空チャンバ32は図示を省略した真空ポンプに接続されており、かかる真空ポンプにより真空チャンバ内の圧力を適宜調整することが可能となっている。さらに、カソードは図示を省略した放電電源に接続されている。また、スパッタリング装置31では、スパッタリング粒子の混入や成膜雰囲気ガスの混入を防ぐための隔壁44が配置してある。スパッタリング装置31においては、5つのカソードを配置している。
送り出しローラー33は、ロール状に巻回された、応力緩和層を形成した基材(基材/応力緩和層とも記す)45を装填されるものであり、回転して基材/応力緩和層45を送り出す。送り出された基材/応力緩和層45は、搬送ローラー34および35を経て、成膜ローラー38に到達する。放電電源(図示せず)に接続されたカソード39上に保持されたターゲット40(Siターゲット)に、反応ガス供給装置42より供給された反応ガス(O)、および不活性ガス供給装置43より供給された不活性ガス(Ar)が導入混合されてスパッタリングが行われ、基材/応力緩和層45上にバリア層46が形成されたガスバリア性フィルム47とする(この後に、金属酸化膜を形成して、本実施例のガスバリア性フィルムとなる)。ガスバリア性フィルム47は、搬送ローラー36および37を経て巻き取りローラー41に到達し、ガスバリア性フィルム47はロール状に巻き取られる。
このようにして、基材/応力緩和層の上に膜厚150nmのバリア層を形成した。上記「各層の単膜屈折率の測定」の方法に従って屈折率を測定した結果、当該バリア層の屈折率は、1.45であった。
[実施例20]
バリア層形成を以下の方法(CVD法;詳しくは真空プラズマCVD法)に変更した以外は実施例8と同様にして、基材表面に、応力緩和層(200nm)とバリア層(150nm)と金属酸化膜(80nm)とを形成し、本実施例のガスバリア性フィルムを得た。
バリア層は真空プラズマCVD装置を用いて応力緩和層の上に厚さ75nmのSiOC膜を成膜した。この真空プラズマCVD装置は、応力緩和層を設けた基材を下方から支持する平板状のサセプタと、サセプタと平行になるよう、サセプタ上方に配設された平板状のカソード電極とを備えており、カソード電極の下面に設けられた複数のノズルから原料ガス等を供給しつつ、カソード電極とサセプタとの間に電圧を印加することで、プラズマを発生させるようになっている。なお、カソード電極に電圧を印加する電源としては27.12MHzの高周波電源を用い、電極間距離(カソード電極とサセプタとの距離)を20mmとした。原料ガスとしては流量7.5sccmのヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)を用い、流量30sccmの酸素ガスとともに真空槽内へ導入した。また、成膜開始時の基材温度を100℃、成膜時の気圧を30Paに設定した。
続いて、同じ真空プラズマCVD装置を用いて、SiOC膜上に厚さ75nmのSiO膜を成膜し、これらの膜(厚さ75nmのSiOC膜及び厚さ75nmのSiO膜)によってバリア層を形成した。電源としては27.12MHzの高周波電源を用い、電極間距離を20mmとした。原料ガスとしては流量7.5sccmのシランガスを用い、流量30sccmの酸素ガスとともに真空槽内へ導入した。また、成膜開始時の基材温度を100℃、成膜時の気圧を30Paに設定した。
このようにして、基材/応力緩和層の上に膜厚150nmのバリア層を形成した。上記「各層の単膜屈折率の測定」の方法に従って屈折率を測定した結果、当該バリア層の屈折率は、1.49であった。
[実施例21]
バリア層形成を以下の方法(湿式成膜法(塗布法);塗膜へのイオン注入法)に変更した以外は実施例8と同様にして、基材表面に、応力緩和層(200nm)とバリア層(150nm)と金属酸化膜(80nm)とを形成し、本実施例のガスバリア性フィルムを得た。
バリア層は、スピンコーター(ミカサ(株)製、MS−A200、回転数:3000rpm、回転時間:30秒)を用いて、パーヒドロポリシラザン含有液(溶媒:キシレン、濃度:10重量%)を、応力緩和層上に塗布し、120℃、3分、乾燥し、ポリシラザン層を形成した。
次いで、23℃、50%RH環境下に48時間放置し、ポリシラザン層の屈折率を1.5505に調整した。
その後、プラズマイオン注入装置(高周波(RF)電源:日本電子(株)製、RF56000、高電圧パルス電源:栗田製作所(株)、PV−3−HSHV−0835)を用いて、得られたポリシラザン層に対し、下記条件にてプラズマイオン注入を行い、ガスバリアフィルム(厚さ:150nm)を得た。
・チャンバー内圧:0.2Pa
・導入ガス:アルゴン
・RF出力:1000W
・RF周波数:1000Hz
・RFパルス幅:50μsec
・RF delay:25nsec
・DC電圧:−8kV
・DC周波数:1000Hz
・DCパルス幅:5μsec
・DC delay:50μsec
・Duty比:0.5%
・処理時間:350sec。
このようにして、基材/応力緩和層の上に膜厚150nmのバリア層を形成した。上記「各層の単膜屈折率の測定」の方法に従って屈折率を測定した結果、当該バリア層の屈折率は、1.49であった。
[比較例6]
(応力緩和層の形成)の方法を下記に示す方法に変更した以外は実施例8と同様にして、基材表面に、応力緩和層(200nm)とバリア層(150nm)と金属酸化膜(80nm)とを形成し、本比較例のガスバリア性フィルムを得た。
(応力緩和層の形成)
応力緩和層形成用塗料として、溶剤揮発型のメチル化メラミン樹脂(品番:MW30、三和ケミカル社製)(塗布液B)を乾燥膜厚が200nmになるように、樹脂基材(帝人デュポンフィルム株式会社製、ポリエチレンテレフタレートの二軸延伸フィルム;テイジンテトロンO3;厚さ50μm、光線透過率92%、Tg70℃)の表面にワイヤーバーを用いて塗布した後、80℃で3分間乾燥を行い、応力緩和層(厚さ200nm)を形成した。上記「各層の単膜屈折率の測定」の方法に従って屈折率を測定した結果、当該応力緩和層の屈折率は、1.60であった。よって、応力緩和層の屈折率に対する遷移金属化合物を含む層(金属酸化膜)の屈折率の比率は、1.31である。
[実施例22]
応力緩和層形成用塗料を、溶剤揮発型のポリエステルポリオール(DIC(株)製「ポリライト(登録商標)(塗布液D)に変更した以外、比較例6と同様にして、応力緩和層(厚さ200nm)を形成し、本実施例のガスバリア性フィルムを作製した。当該応力緩和層の屈折率は、1.58であった。よって、応力緩和層の屈折率に対する遷移金属化合物を含む層(金属酸化膜)の屈折率の比率は、1.33である。
[実施例23]
応力緩和層形成用塗料を、ポバール樹脂(品番:PVA HC、クラレ社製)(塗布液E)に変更した以外、比較例6と同様にして、応力緩和層(厚さ200nm)を形成し、本実施例のガスバリア性フィルムを作製した。当該応力緩和層の屈折率は、1.49であった。よって、応力緩和層の屈折率に対する遷移金属化合物を含む層(金属酸化膜)の屈折率の比率は、1.41である。
[実施例24]
応力緩和層形成用塗料を、酢酸セルロース樹脂(品番:アセチ、ダイセルファインケム社製)(塗布液F)に変更し、溶融押出しにて樹脂基材に塗設した以外、比較例6と同様にして、応力緩和層(厚さ200nm)を形成し、本実施例のガスバリア性フィルムを作製した。当該応力緩和層の屈折率は、1.47であった。よって、応力緩和層の屈折率に対する遷移金属化合物を含む層(金属酸化膜)の屈折率の比率は、1.43である。
[比較例7]
応力緩和層形成用塗料を、ポリフッ化ビニリデン樹脂(品番:カイナー、東京材料社製)(塗布液C)に変更し、溶融押出しにて樹脂基材に塗設した以外、比較例6と同様にして、応力緩和層(厚さ200nm)を形成し、本比較例のガスバリア性フィルムを作製した。当該応力緩和層の屈折率は、1.43であった。よって、応力緩和層の屈折率に対する遷移金属化合物を含む層(金属酸化膜)の屈折率の比率は、1.47である。
[評価方法]
上記で作製した実施例1〜24および比較例1〜7のガスバリア性フィルムの各特性値は、下記の方法に従って測定し、下記の評価基準で評価した。得られた結果を下記表2〜5に示す。
[色ムラの評価]
ガスバリア性フィルムを50℃、80%RHのチャンバ内で、72時間放置した。その後、ガスバリア性フィルムのバリア層と反対側の面を黒色艶消しスプレーにより黒色に塗布した。塗布後、ガスバリア性フィルムを目視で観察(蛍光灯スタンド直下30cm、天井蛍光灯下1.5m)し、色ムラの発生を観察した。評価基準を以下に示す。本発明においては、色ムラは、蛍光灯スタンド直下ではやや色ムラがあり、天井蛍光灯下では色ムラが若干見えるものであれば実用に耐える。より好ましくは、蛍光灯スタンド直下でも色ムラが見えにくいものである。即ち、下記の色ムラの評価基準の3ランク以上(3〜5ランク)が実用に耐える。2ランク以下は実用に耐えない。
色ムラの評価基準は、下記の通りである;
5ランク:蛍光灯スタンド直下でも色ムラが見えにくい
4ランク:蛍光灯スタンド直下ではやや色ムラあるが、天井蛍光灯下では色ムラが見えない
3ランク:蛍光灯スタンド直下ではやや色ムラあり、天井蛍光灯下では色ムラが若干見える
2ランク:天井蛍光灯下でも容易に色ムラが確認される
1ランク:天井蛍光灯下でも色ムラがはっきりと確認される。
[バリア性の評価;水蒸気透過度(WVTR)]
ガスバリア性フィルムについて、高温高湿=85℃、85%RHの環境下で、水蒸気透過度(WVTR)(g/m・day)を測定し、ガスバリア性を評価した。測定には、MOCON社製AQUATRANを用い、85℃、85%RHの条件で数値が安定するのを待って測定を行った。評価基準を以下に示す。本発明においては、ガスバリア性は、5.0×10−2g/m・day未満であることが好ましく、5.0×10−3g/m・day未満であることがより好ましい。即ち、下記のバリア性の評価基準の3ランク以上(3〜5ランク)が実用に耐える。2ランク以下は実用に耐えない。
バリア性の評価基準は、下記の通りである;
5ランク:WVTRが5.0×10−3g/m・day未満
4ランク:WVTRが5.0×10−3g/m・day以上
1.0×10−2g/m・day未満
3ランク:WVTRが1.0×10−2g/m・day以上、
5.0×10−2g/m・day未満
2ランク:WVTRが5.0×10−2g/m・day以上、
1.0×10−1g/m・day未満
1ランク:WVTRが1.0×10−1g/m・day以上。
[光学特性の評価;波長550nmに対する透過率]
ガスバリア性フィルムについて、波長550nmに対する透過率(%)を測定した。測定には、日本電色工業社製NDH5000を用いた。評価基準を以下に示す。本発明においては、透過率は、85%以上であることが好ましい。即ち、下記の光学特性の評価基準が○以上(◎、○)が実用に耐える。△以下(=×、△)は実用に耐えない。
光学特性の評価基準は、下記の通りである;
◎:透過率が90%以上
○:透過率が85%以上90%未満
△:透過率が80%以上85%未満
×:透過率が80%未満。
[屈曲性の評価]
高温高湿=85℃/RH85%/500時間の保管後に、WVTR(JIS K7129(2008年度版)で水蒸気透過度(g/m・day)を測定する。WVTRで水蒸気透過度を測定したサンプルを半径10mmの曲率になるように180度の角度で100回の屈曲を繰り返した後、再度WVTRで水蒸気透過度(g/m・day)を測定する。屈曲処理前後での水蒸気透過度の変化より、下式に従って高温高湿後の折り曲げ耐性を算出した。評価基準を以下に示す。本発明においては、折り曲げ耐性(耐屈曲性)が85%以上であることが好ましい。即ち、実用上、下記の屈曲性の評価基準の3ランク以上(3〜5ランク)が実用に耐える。2ランク以下は実用に耐えない。
屈曲性の評価基準は、下記の通りである;
5ランク:耐屈曲性が95%以上
4ランク:耐屈曲性が90%以上95%未満
3ランク:耐屈曲性が85%以上90%未満
2ランク:耐屈曲性が80%以上85%未満
1ランク:耐屈曲性が80%未満。
表2〜5の「比率」は、応力緩和層の屈折率に対する金属酸化膜の屈折率の比率を表す。
表2〜5の応力緩和層形成用塗料の欄の「A」は、塗布液Aを表す。詳しくは、UV/EB硬化性樹脂(品名:ビームセット577、荒川化学工業株式会社製;光重合性プレポリマーとしてウレタンアクリレート使用)を用いたものである。表5の応力緩和層形成用塗料の欄の「B」は、塗布液Bを表す。詳しくは、溶剤揮発型のメチル化メラミン樹脂(品番:MW30、三和ケミカル社製)を用いたものである。表5の応力緩和層形成用塗料の欄の「C」は、塗布液Cを表す。詳しくは、ポリフッ化ビニリデン樹脂(品番:カイナー、東京材料社製)を用いたものである。表5の応力緩和層形成用塗料の欄の「D」は、塗布液Dを表す。詳しくは、溶剤揮発型のポリエステルポリオール(DIC(株)製「ポリライト(登録商標)を用いたものである。表5の応力緩和層形成用塗料の欄の「E」は、塗布液Eを表す。詳しくは、ポバール樹脂(品番:PVA HC、クラレ社製)を用いたものである。表5の応力緩和層形成用塗料の欄の「F」は、塗布液Fを表す。詳しくは、酢酸セルロース樹脂(品番:アセチ、ダイセルファインケム社製)を用いたものである。
表2〜5の結果より、実施例1〜24のガスバリア性フィルムは、比較例1〜7のガスバリア性フィルムに比べて、以下の(1)〜(3)の全てに優れていることがわかった。即ち、(1)色ムラの発生を抑制することができ、透明性に優れる。(2)高温高湿下でも高いガスバリア性能を維持することができる(高温高湿環境での耐久性に優れる)。(3)高温高湿環境保管後でも高い屈曲性を発現することができる。
また、実施例の中で、表2に示すように、金属酸化物の膜厚を変化させた実施例1〜14の中では、金属酸化膜が好適な薄膜厚(膜厚55〜160nm)の範囲内である実施例6〜9(膜厚75〜120nm)は、全ての評価項目が最高評価であることがわかった。上記した好適な範囲から外れて膜厚が厚い実施例4〜5(膜厚200〜230nm)では、色ムラは最高評価であり、バリア性、屈曲性、透過性は最高評価よりわずかに低下したものの十分に実用に耐える良い評価(順に4ランク、評価○、4ランク)であることがわかった。更に膜厚が厚い実施例1〜3(膜厚495nm、350nm、250nm)では、色ムラ、バリア性、透過性、屈曲性は、いずれも最高評価よりわずかに低下したものの十分に実用に耐える良い評価(順に4ランク、3ランク、評価○、3ランク)であることがわかった。一方、上記した好適な範囲から外れて膜厚が薄い実施例10〜11(膜厚10〜50nm)では、色ムラ、バリア性、透過性は最高評価であり、屈曲性も最高評価よりわずかに低下したものの十分に実用に耐える良い評価(4ランク)であることがわかった。更に膜厚が薄い実施例12(膜厚5nm)では、透過性は最高評価であり、色ムラ、バリア性、屈曲性も最高評価よりわずかに低下したものの十分に実用に耐える良い評価(順に4ランク、4ランク、3ランク)であることがわかった。更に膜厚が薄い実施例13(膜厚4nm)でも、透過性は最高評価であり、バリア性、色ムラ、屈曲性は最高評価よりわずかに低下したものの十分に実用に耐える良い評価(順に3ランク、4ランク、3ランク)であることがわかった。更に膜厚が薄い実施例14(膜厚3nm)でも、透過性は最高評価であり、色ムラ、バリア性、屈曲性も最高評価より低下したものの実用に耐える良い評価(いずれも3ランク)であることがわかった。
なお、金属酸化膜が厚くなりすぎると、表2の比較例2(膜厚515nm)では、バリア性、透過性、屈曲性がいずれも実用に耐えない悪い評価(順に2ランク、評価△、2ランク)まで低下することがわかった。更に膜厚が厚い比較例1(膜厚580nm)では、色ムラ、バリア性、透過性、屈曲性が、いずれも実用に耐えない悪い評価(順に2ランク、2ランク、評価×、1ランク)まで大きく低下することがわかった。このように、金属酸化膜が厚くなりすぎると、本発明の目的である高温高湿下での高いガスバリア性能と、高温高湿耐性として求められる高い屈曲性、さらに透明性が得られないことがわかった。逆に金属酸化膜が薄くなりすぎると比較例3〜5(膜厚2nm、1nm、0nm)に示すように、色ムラ、バリア性、屈曲性が、いずれも実用に耐えない悪い評価(順に1ランク、1〜2ランク、1ランク)まで大きく低下することがわかった。このように、金属酸化膜が薄くなりすぎても、本発明の目的である本発明の目的である高温高湿下での高いガスバリア性能と、高温高湿耐性として求められる高い屈曲性、さらに透明性が得られないことがわかった。
また、実施例の中で、表3に示すように、応力緩和層の膜厚を変化させた実施例8、15〜18の中では、応力緩和層が好適な膜厚(100〜1000nm)である実施例8、16〜17は、全ての評価項目が最高評価であることがわかった。上記した最適な範囲から外れて膜厚が薄い実施例15(膜厚70nm)では、透過性は最高評価であり、色ムラ、バリア性、屈曲性も最高評価よりわずかに低下したものの十分に実用に耐える良い評価(順に4ランク、3ランク、4ランク)であることがわかった。一方、上記した最適な範囲から外れて膜厚が厚い実施例18(膜厚1050nm)では、透過性は最高評価であり、色ムラ、バリア性、透過性、屈曲性は、いずれも最高評価よりわずかに低下したものの十分に実用に耐える良い評価(順に4ランク、3ランク、評価○、3ランク)であることがわかった。
また、実施例の中で、表4に示すように、バリア層の製造方法を変化させた実施例19〜21、8の中では、バリア層の好適な製造方法であるポリシラザン酸化改質法(ポリシラザンによる塗布法)を用いた実施例8が、全ての評価項目が最高評価であることがわかった。当該ポリシラザン酸化改質法(塗布法)以外の方法による場合、PVD法の1種であるスパッタ法を用いた実施例19では、色ムラ、バリア性、透過性、屈曲性は最高評価より低下したものの実用に耐える良い評価(順に3ランク、4ランク、評価○、3ランク)が得られることがわかった。また、CVD法(真空プラズマCVD法)を用いた実施例20では、最高評価よりわずかに低下するものの十分に実用に耐える良い評価(順に4ランク、4ランク、評価○、4ランク)が得られることがわかった。さらに、イオン注入法を用いた実施例21では、屈曲性は最高評価であり、色ムラ、バリア性、透過性も最高評価よりわずかに低下するものの十分に実用に耐える良い評価(順に4ランク、4ランク、評価○)が得られることがわかった。
また、表5に示すように、応力緩和層の形成用塗料を変化させて、応力緩和層の屈折率、更には応力緩和層の屈折率に対する金属酸化膜の屈折率の比率(以下、単に屈折率の比率とも記す)を変化させた実施例8、22〜24、比較例6〜7で比較した。その結果、塗布液Aを用い、応力緩和層がアクリル樹脂を含み、屈折率の比率が好適な範囲(1.34〜1.42)である実施例8(屈折率の比率1.41)では、全ての評価項目で最高評価が得られることがわかった。また、塗布液Eを用い、応力緩和層がアクリル樹脂を含まず、屈折率の比率が好適な範囲(1.34〜1.42)である実施例23(屈折率の比率1.41)でも、バリア性、透過性は最高評価であり、色ムラ、屈曲性も最高評価よりわずかに低下するものの十分に実用に耐える良い評価(共に4ランク)が得られることがわかった。また、塗布液Dを用い、応力緩和層がアクリル樹脂を含まず、屈折率の比率が好適な範囲から外れて比率が小さい実施例22(屈折率の比率1.33)では、透過性は最高評価であり、色ムラ、バリア性、屈曲性は最高評価より低下したものの実用に耐える良い評価(順に3ランク、4ランク、3ランク)が得られることがわかった。一方、塗布液Fを用い、応力緩和層がアクリル樹脂を含まず、屈折率の比率が好適な範囲から外れて比率が大きい実施例24(屈折率の比率1.43)でも、透過性は最高評価であり、色ムラ、バリア性、屈曲性は最高評価よりわずかに低下したものの十分に実用に耐える良い評価(順に4ランク、4ランク、3ランク)が得られることがわかった。
なお、塗布液B(メチル化メラミン樹脂)を用いた比較例6では、屈折率の比率が本発明に規定する1.32〜1.45の範囲よりも小さい(1.31)ため、色ムラ、屈曲性がいずれも実用に耐えない悪い評価(順に1ランク、2ランク)まで大幅に低下することがわかった。このように、屈折率の比率が小さくなりすぎると、本発明の目的である高温高湿耐性として求められる高い屈曲性が得られず、さらに色ムラが大きく低下することで透明性が大きく損なわれることがわかった。逆に塗布液C(ポリフッ化ビニリデン樹脂)を用いた比較例7では、屈折率の比率が本発明に規定する1.32〜1.45の範囲よりも大きい(1.47)ため、色ムラ、屈曲性がいずれも実用に耐えない悪い評価(順に1ランク、2ランク)まで大幅に低下することがわかった。このように、屈折率の比率が大きくなりすぎても、本発明の目的である高温高湿耐性として求められる高い屈曲性が得られず、さらに色ムラが大きく低下することで透明性が大きく損なわれることがわかった。
1 装置チャンバ、
2 172nmの真空紫外線を照射する二重管構造を有するXeエキシマランプ、
3 外部電極を兼ねるエキシマランプのホルダー、
4 試料ステージ、
5 ポリシラザン化合物塗布層が形成された試料、
6 遮光板、
10 ガスバリア性フィルム、
11 樹脂基材(可撓性基材)、
12 応力緩和層、
13 バリア層、
14 遷移金属化合物を含む層(金属酸化膜)、
31 スパッタリング装置、
32 真空チャンバ、
33 送り出しローラー、
34、35、36、37 搬送ローラー、
38 成膜ローラー、
39 カソード、
40 ターゲット、
41 巻き取りローラー、
42 反応ガス供給装置、
43 不活性ガス供給装置、
44 隔壁、
45 基材/応力緩和層、
46 バリア層、
47 ガスバリア性フィルム。

Claims (4)

  1. 応力緩和層、バリア層及び遷移金属化合物を含む層の順に積層された層構成を有し、
    前記応力緩和層の屈折率に対する前記遷移金属化合物を含む層の屈折率の比率(遷移金属化合物を含む層の屈折率/応力緩和層の屈折率)が、1.32〜1.45の範囲であり、
    前記遷移金属化合物を含む層の膜厚が、3〜500nmの範囲であることを特徴とするガスバリア性フィルム。
  2. 前記遷移金属化合物を含む層の膜厚が、5〜230nmの範囲であることを特徴とする請求項1に記載のガスバリア性フィルム。
  3. 前記応力緩和層が、アクリル樹脂を少なくとも含んでいることを特徴とする請求項1または2に記載のガスバリア性フィルム。
  4. 前記バリア層が、ポリシラザンを酸化改質したバリア層であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のガスバリア性フィルム。
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