JP2018137397A - 量子干渉装置、原子発振器、電子機器および移動体 - Google Patents

量子干渉装置、原子発振器、電子機器および移動体 Download PDF

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Abstract

【課題】原子セルの耐熱性を高めることができるとともに、EIT信号の強度の低下を抑制できる量子干渉装置、かかる量子干渉装置を備える原子発振器、電子機器および移動体を提供すること。
【解決手段】アルカリ金属が封入されている原子セルと、互いに同方向に円偏光して前記アルカリ金属を励起する共鳴光対を出射する第1光源部と、調整光を出射する第2光源部と、受光部とを備え、前記原子セルは、極性基を有する化合物を含む材料により形成され、前記内部空間を囲む内壁面と、前記内壁面に設けられ、前記極性基と脱離反応する官能基を有する第1化合物由来の化合物を含む第1層と、前記第1層上に設けられ、非極性のオレフィン系の高分子化合物である第2化合物由来の化合物を含む第2層と、を有することを特徴とする量子干渉装置。
【選択図】図2

Description

本発明は、量子干渉装置、原子発振器、電子機器および移動体に関するものである。
長期的に高精度な発振特性を有する発振器として、量子干渉効果(CPT:Coherent Population Trapping等)を利用した原子発振器が知られている。
量子干渉効果を利用した原子発振器は、一般的に、気体状のアルカリ金属を封入したガスセルと、ガスセル中のアルカリ金属を共鳴させる共鳴光対を出射する光源と、ガスセルを透過した共鳴光対を検出する光検出器(受光部)と、を備えている。このような原子発振器では、電磁誘起透明化(EIT:Electromagnetically Induced Transparency)現象に伴って発生するEIT信号を光検出器で検出して基準信号として用いている。そして、近年、EIT信号の強度を向上させる目的で、円偏光している共鳴光対を用いた原子発振器が開発されている。これにより、短期周波数安定度を高めることができる。
また、アルカリ金属のスピンの偏極を長く保つことで光とアルカリ金属の相互作用時間を長くすることができ、その結果、EIT信号の強度を向上させることができる。しかし、アルカリ金属は、ガスセルの内壁と衝突することで電子スピン状態(スピンの偏極)が緩和してしまう。そこで、従来、アルカリ金属の内壁との衝突による電子スピン状態の緩和を小さくするために、緩衝ガスの圧力(分圧)を高くしていた。しかし、緩衝ガスの圧力を高くすると、アルカリ金属の緩衝ガスとの衝突による電子スピン状態の緩和が大きくなり、その結果、相互作用時間が制限され、十分な特性が得られなかった。
そこで、近年、緩衝ガスの圧力を高くする方法とは別に、アルカリ金属の原子セルの内壁との衝突による電子スピン状態の緩和を低減する目的で内壁をコーティングする技術が開示されている(特許文献1)。特許文献1では、ガスセルの内壁をパラフィン等でコーティングしている。これにより、緩衝ガスの圧力を低減することができるため、緩衝ガスとの衝突による電子スピン状態の緩和を低減することができ、相互作用時間を長くすることができる。
特開2013−181941号公報
しかし、円偏光している共鳴光対を用いた原子発振器において、相互作用時間が長くなると、円偏光の共鳴光対による光ポンピングによって磁気量子数の分布の偏り(磁気副準位の分布数の偏り)が生じ、実際にEIT現象を起こす準位の磁気量子数が少なくなる。その結果、EIT信号の強度が低下してしまう。
また、特許文献1に記載のガスセルが備えるパラフィン層では、パラフィンの融点が70℃程度と低いため、耐熱性が十分ではない。そのため、例えば製造時等においてパラフィン層を形成したガスセルがより高温(例えば100℃以上)の条件下に置かれた場合、パラフィンが融解してしまい、パラフィン層の特性を発揮させるためには再度パラフィン層を形成し直さなければならない。
本発明の目的は、原子セルの耐熱性を高めることができるとともに、EIT信号の強度の低下を抑制できる量子干渉装置を提供すること、また、かかる量子干渉装置を備える原子発振器、電子機器および移動体を提供することにある。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の適用例又は形態として実現することが可能である。
本適用例の量子干渉装置は、アルカリ金属が封入されている内部空間を有する原子セルと、互いに同方向に円偏光して前記アルカリ金属を励起する共鳴光対を出射する第1光源部と、前記内部空間において前記共鳴光対とは逆方向に円偏光して前記アルカリ金属を励起する調整光を出射する第2光源部と、前記内部空間を通過した前記共鳴光対を受光する受光部と、を備え、前記原子セルは、極性基を有する化合物を含む材料により形成され、前記内部空間を囲む内壁面と、前記内壁面に設けられ、前記極性基と脱離反応する官能基を有する第1化合物由来の化合物を含む第1層と、前記第1層上に設けられ、非極性のオレフィン系の高分子化合物である第2化合物由来の化合物を含む第2層と、を有する。
このような量子干渉装置によれば、第1層および第2層を有する原子セルを備えることで、アルカリ金属の電子スピン状態の緩和を低減または抑制して相互作用時間を長くすることができる。さらに、共鳴光対を出射する第1光源部に加えて調整光を出射する第2光源部を有することで、相互作用時間が長くなることによる磁気量子数の分布の偏りを低減することができる。また、オレフィン系の高分子化合物である第2化合物で形成された第2層を備えることで、従来のパラフィンコーティングに比べて耐熱性を高めることができる。このようなことから、原子セルの耐熱性を高めることができるとともに、EIT信号の強度の低下を抑制できる。
本適用例の量子干渉装置では、前記第2化合物は、ポリプロピレン、ポリエチレンまたはポリメチルペンテンであることが好ましい。
これにより、従来のパラフィンコーティングに比べて第2層の融点を高くすることができ、よって、原子セルの耐熱性を従来よりも優れたものとすることができる。
本適用例の量子干渉装置では、前記第1化合物は、アルキルシラン、アルコールまたはポリイミドであることが好ましい。
これにより、第1層の配向性を高くすることができ、さらに、第2層の配向性も高くすることができる。そのため、第1化合物の間や第2化合物の間にアルカリ金属が入り込むことを抑制することができる。そのため、アルカリ金属の電子スピン状態の緩和をさらに低減することができる。
本適用例の量子干渉装置では、前記アルキルシランは、オクタデシルトリメトキシシランまたはオクタデシルトリクロロシランであることが好ましい。
これにより、内壁面を形成する材料の極性基と脱離反応をより容易かつ確実に起こすことができる。オクタデシルトリメトキシシラン(ODS)のメトキシ基が内壁面を形成する材料の極性基と脱離反応することができる。また、オクタデシルトリクロロシラン(OTS)のクロロ基が内壁面を形成する材料の極性基と脱離反応することができる。
本適用例の量子干渉装置では、前記第1化合物は、オクタデシルトリメトキシシランであり、前記第2化合物は、ポリプロピレンであることが好ましい。
これにより、第1層および第2層を含むコーティングは、優れた配向性、高い被覆率および優れた耐熱性を有する。そのため、原子セルの耐熱性を特に高めることができるとともに、アルカリ金属の電子スピン状態の緩和を特に低減することができる。また、例えば第1化合物がOTSであり第2化合物がポリエチレンである場合に比べて、取扱いが容易で、より高い耐熱性を有することができる。
本適用例の原子発振器は、上記適用例の量子干渉装置を備える。
これにより、原子セルの耐熱性を高めることができるとともに、EIT信号の強度の低下を抑制できる量子干渉装置を備える原子発振器を提供することができる。
本適用例の電子機器は、上記適用例の量子干渉装置を備える。
これにより、原子セルの耐熱性を高めることができるとともに、EIT信号の強度の低下を抑制できる量子干渉装置を備えることで、特性の高い電子機器を提供することができる。
本適用例の移動体は、上記適用例の量子干渉装置を備える。
これにより、原子セルの耐熱性を高めることができるとともに、EIT信号の強度の低下を抑制できる量子干渉装置を備えることで、特性の高い移動体を提供することができる。
実施形態に係る原子発振器(量子干渉装置)の例を示す概略図である。 原子発振器が備える光源部を説明するための概略図である。 光源部の第1光源部および第2光源部からそれぞれ出射される光を説明するための図である。 図2に示す原子セルの縦断面図である。 図2に示す原子セルの横断面図である。 セシウム原子のエネルギー状態と共鳴光対(第1共鳴光、第2共鳴光)および調整光(第3共鳴光)との関係の一例を示す図である。 ナトリウム原子の磁気量子数の分布を示す図であって、(a)は、σ円偏光の共鳴光を照射した場合の分布を示す図、(b)は、σ円偏光の共鳴光を照射した場合の分布を示す図である。 原子セルの内壁面およびコーティングを示す模式図である。 コーティングが形成される前の内壁面が有する極性基の一例を説明するための図である。 第1層の構造の一例を説明するための図である。 コーティングの構造の一例を説明するための図である。 原子セルの内部空間に封入された緩衝ガスと緩和レートとの関係を示すグラフである。 原子セルの製造方法を説明するフローチャートである。 図13に示す容器準備工程を説明する図である。 図13に示す第2層形成工程を説明する図である。 測位用衛星の例としてGPS(Global Positioning System)衛星を利用した測位システムに実施形態に係る原子発振器を用いた場合の概略構成を示す図である。 実施形態に係る移動体の一例を示す図である。
以下、量子干渉装置、原子発振器、電子機器および移動体の実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
1.原子発振器(量子干渉装置)
まず、本実施形態の原子発振器について説明する。なお、以下では、本発明の量子干渉装置を原子発振器に適用した例を説明するが、本発明の量子干渉装置は、これに限定されず、例えば、磁気センサー、量子メモリー等のデバイスにも適用可能である。
まず、実施形態に係る原子発振器を簡単に説明する。
図1は、実施形態に係る原子発振器(量子干渉装置)の例を示す概略図である。
図1に示す原子発振器1は、量子干渉効果を利用した原子発振器である。この原子発振器1は、図1に示すように、原子セル2(ガスセル)と、光源部3と、受光部4と、ヒーター5と、温度センサー6と、磁場発生部7と、制御部8と、を備えている。
まず、原子発振器1の原理を簡単に説明する。
図1に示すように、原子発振器1では、光源部3が原子セル2に向けて光LLを出射し、原子セル2を透過した光LLを受光部4が検出する。
原子セル2内には、ガス状のアルカリ金属が封入されている。アルカリ金属は、2つの基底準位(第1基底準位および第2基底準位)と励起準位とからなる3準位系のエネルギー準位を有する。ここで、第1基底準位は、第2基底準位よりも低いエネルギー状態である。
光源部3から出射された光LLは、周波数の異なる2種の共鳴光として第1共鳴光および第2共鳴光を含んでいる。これら第1共鳴光および第2共鳴光を前述したようなガス状のアルカリ金属に照射したとき、第1共鳴光の周波数ωと第2共鳴光の周波数ωとの差(ω−ω)に応じて、第1共鳴光および第2共鳴光のアルカリ金属における光吸収率(光透過率)が変化する。
そして、第1共鳴光の周波数ωと第2共鳴光の周波数ωとの差(ω−ω)が第1基底準位と第2基底準位とのエネルギー差ΔEに相当する周波数に一致したとき、第1基底準位および第2基底準位から励起準位への励起がそれぞれ停止する。このとき、第1共鳴光および第2共鳴光は、いずれも、アルカリ金属に吸収されずに透過する。このような現象をCPT現象または電磁誘起透明化現象(EIT:Electromagnetically Induced Transparency)と呼ぶ。
例えば、第1共鳴光の周波数ωを固定し、第2共鳴光の周波数ωを変化させていくと、第1共鳴光の周波数ωと第2共鳴光の周波数ωとの差(ω−ω)が第1基底準位と第2基底準位とのエネルギー差ΔEに相当する周波数ωに一致したとき、受光部4の検出強度は、急峻に上昇する。このような急峻な信号をEIT信号として検出する。このEIT信号は、アルカリ金属の種類によって決まった固有値をもっている。したがって、このようなEIT信号を基準として用いることにより、高精度な発振器を構成することができる。
以下、原子発振器1の各部を簡単に説明する。
[原子セル]
原子セル2内には、ガス状のルビジウム、セシウム、ナトリウム等のアルカリ金属が封入されている。また、原子セル2内には、必要に応じて、アルゴン、ネオン等の希ガス、窒素等の不活性ガスが緩衝ガスとしてアルカリ金属ガスとともに封入されていてもよい。
後に詳述するが、原子セル2は、貫通孔を有する胴体部と、この胴体部の貫通孔の開口を塞ぐ1対の窓部とを有し、これにより、気体状のアルカリ金属が封入される内部空間が形成されている。
[光源部]
光源部3は、原子セル2内のアルカリ金属の原子(アルカリ金属原子)を共鳴させる共鳴光対を構成する前述した第1共鳴光および第2共鳴光を含む光LLを出射する機能を有する。
また、光源部3が出射する光LLは、第1共鳴光および第2共鳴光に加えて、第3共鳴光を含んでいる。
第1共鳴光は、原子セル2内のアルカリ金属の原子を前述した第1基底準位から励起準位へ励起する光(probe光)である。一方、第2共鳴光は、原子セル2内のアルカリ金属の原子を前述した第2基底準位から励起準位へ励起する光(coupling光)である。ここで、第1共鳴光および第2共鳴光は、互いに同方向に円偏光している。また、第3共鳴光は、原子セル2内のアルカリ金属の原子の磁気量子数を調整する「調整光」(repump光)である。この第3共鳴光は、第1共鳴光および第2共鳴光とは逆方向に円偏光している。これにより、原子セル2内のアルカリ金属の原子の磁気量子数を調整することができる。なお、光源部3については、後に詳述する。なお、「円偏光」とは、光波の電場成分または磁場成分の、どちらか一方の振動に着目するとき、その振動方向が光の進行方向に対して垂直な面内で光波の周波数で回転し、振幅がその向きによらず一定である光であり、言い換えれば電場(または磁場)の振動が伝播に伴って円を描く光である。
[受光部]
受光部4は、原子セル2内を透過した光LL(特に、第1共鳴光および第2共鳴光で構成された共鳴光対)の強度を検出する機能を有する。
この受光部4としては、上述したような光LLの強度を検出し得るものであれば、特に限定されないが、例えば、受光した光の強度に応じた信号を出力するフォトダイオード等の光検出器(受光素子)を用いることができる。
[ヒーター]
ヒーター5(加熱部)は、前述した原子セル2(より具体的には原子セル2中のアルカリ金属)を加熱する機能を有する。これにより、原子セル2中のアルカリ金属を適切な濃度のガス状に維持することができる。
このヒーター5は、例えば、通電により発熱する発熱抵抗体を含んで構成されている。この発熱抵抗体は、原子セル2に対して接触して設けられていてもよいし、原子セル2に対して非接触で設けられていてもよい。
より具体的には、例えば、発熱抵抗体を原子セル2に対して接触して設ける場合、原子セル2の1対の窓部にそれぞれ発熱抵抗体を設ける。これにより、原子セル2の窓部にアルカリ金属が結露することを防止することができる。その結果、原子発振器1の特性(発振特性)を長期にわたり優れたものとすることができる。このような発熱抵抗体は、光LLに対する透過性を有する材料、具体的には、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、In、SnO、Sb含有SnO、Al含有ZnO等の酸化物等の透明電極材料で構成される。また、このような発熱抵抗体は、例えば、プラズマCVD、熱CVDのようなCVD(Chemical Vapor Deposition)、真空蒸着等の乾式メッキ法、ゾル・ゲル法等を用いて形成することができる。
また、発熱抵抗体を原子セル2に対して非接触で設ける場合、熱伝導性に優れる金属等、セラミックス等の部材を介して発熱抵抗体から原子セル2へ伝熱すればよい。
なお、ヒーター5は、原子セル2を加熱することができるものであれば、前述した形態に限定されず、各種ヒーターを用いることができる。また、ヒーター5に代えて、または、ヒーター5と併用して、ペルチェ素子を用いて、原子セル2を温度調節してもよい。
[温度センサー]
温度センサー6は、ヒーター5または原子セル2の温度を検出する機能を有する。
この温度センサー6は、例えば、ヒーター5または原子セル2に接触して配置される。
温度センサー6としては、特に限定されず、サーミスタ、熱電対等の公知の各種温度センサーを用いることができる。
[磁場発生部]
磁場発生部7は、原子セル2内のアルカリ金属に磁場を印加する機能を有する。これにより、ゼーマン分裂により、原子セル2内のアルカリ金属の原子の縮退している異なる複数のエネルギー準位間のギャップを拡げて、分解能を向上させることができる。その結果、原子発振器1の発振周波数の精度を高めることができる。
この磁場発生部7は、例えば、ソレノイド型を構成するように原子セル2の外周に沿って巻回して設けられたコイルで構成されていてもよいし、ヘルムホルツ型を構成するように原子セル2を介して対向して設けられた1対のコイルで構成されていてもよい。
また、磁場発生部7が発生する磁場は、定磁場(直流磁場)であるが、交流磁場が重畳されていてもよい。
[制御部]
制御部8は、光源部3、ヒーター5および磁場発生部7をそれぞれ制御する機能を有する。
この制御部8は、光源部3を制御する光源制御部82と、原子セル2中のアルカリ金属の温度を制御する温度制御部81と、磁場発生部7からの磁場を制御する磁場制御部83とを有する。
光源制御部82は、前述した受光部4の検出結果に基づいて、光源部3から出射される第1共鳴光および第2共鳴光の周波数を制御する機能を有する。より具体的には、光源制御部82は、前述した周波数差(ω−ω)が前述したアルカリ金属固有の周波数ωとなるように、光源部3から出射される第1共鳴光および第2共鳴光の周波数を制御する。なお、光源制御部82の構成については、後に詳述する。
また、温度制御部81は、温度センサー6の検出結果に基づいて、ヒーター5への通電を制御する。これにより、原子セル2を所望の温度範囲内に維持することができる。例えば、原子セル2は、ヒーター5により、例えば、70℃程度に温度調節される。
また、磁場制御部83は、磁場発生部7が発生する磁場が一定となるように、磁場発生部7への通電を制御する。
このような制御部8は、例えば、中央処理装置、メモリー、インターフェイス回路および発振器等を含んで構成されている。
以上、原子発振器1の構成を簡単に説明した。
(光源部の詳細な説明)
図2は、原子発振器が備える光源部を説明するための概略図である。図3は、光源部の第1光源部および第2光源部からそれぞれ出射される光を説明するための図である。図4は、図2に示す原子セルの縦断面図、すなわち窓部に平行な断面図である。図5は、図2に示す原子セルの横断面図、すなわち1対の窓部が並ぶ方向に垂直な断面図である。
図2に示すように、光源部3は、第1共鳴光および第2共鳴光を含む共鳴光対LL1を第1の光として出射する第1光源部31と、第3共鳴光を含む調整光LL2を第2の光として出射する第2光源部32と、を備えている。
第1光源部31は、第1光源311と、1/2波長板312と、1/4波長板313と、を有している。
第1光源311は、直線偏光されている共鳴光対からなる第1光LL1aを出射する機能を有する。この第1光源311は、第1光LL1aを含む光を出射し得るものであれば特に限定されないが、例えば、端面発光レーザー、VCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting LASER)等の半導体レーザーである。なお、「直線偏光」とは、電磁波(光)の振動面が一平面内にある光であり、言い換えれば、電場(または磁場)の振動方向が一定な光である。
1/2波長板312は、直交する偏光成分間に位相差π(180°)を生じさせる複屈折素子である。したがって、1/2波長板312は、第1光源311からの直線偏光の第1光LL1aの偏光方向を90°変更して、共鳴光対LL1bを生成する。なお、第1光源311を光軸まわりに90°回転させた姿勢で設置した場合には、第1光源311から出射した直線偏光の光が後述する第2光源321から出射した直線偏光の光の偏光方向と直交することとなるため、1/2波長板312を省略することができる。
1/4波長板313は、直交する偏光成分間に位相差π/2(90°)を生じさせる複屈折素子である。この1/4波長板313は、1/2波長板312で生成した共鳴光対LL1bを直線偏光から円偏光(楕円偏光も含む)の共鳴光対LL1に変換する機能を有する。これにより、前述した第1共鳴光および第2共鳴光で構成された共鳴光対LL1を生成することができる。
一方、第2光源部32は、第2光源321と、減光フィルター322と、前述した第1光源部31と共通の1/4波長板313と、を有している。ここで、1/4波長板313は、前述したように第1光源部31が備えているともいえるし、第2光源部32が備えているともいえる。
第2光源321は、前述した第1光源311と同方向に直線偏光されている共鳴光からなる第2光LL2aを出射する機能を有する。この第2光源321は、第2光LL2aを含む光を出射し得るものであれば特に限定されないが、例えば、端面発光レーザー、VCSEL等の半導体レーザー、LED(light emitting diode)、有機エレクトロルミネッセンス素子等の発光素子である。
減光フィルター322は、例えばND(Neutral Density)フィルターであり、第2光源321からの第2光LL2aの強度を減少させて共鳴光LL2bを生成する。これにより、第2光源321の出力が大きい場合でも、原子セル2に入射する調整光LL2を所望の光量とすることができる。なお、第2光源321の出力が第1光源311よりも小さい場合等は、減光フィルター322を省略することができる。
前述したように、1/4波長板313は、直交する偏光成分間に位相差π/2(90°)を生じさせる複屈折素子である。この1/4波長板313は、減光フィルター322で生成した共鳴光LL2bを直線偏光から円偏光(楕円偏光も含む)の調整光LL2に変換する機能を有する。これにより、前述した第3共鳴光で構成された調整光LL2を生成することができる。ここで、直線偏光されている共鳴光LL2bの偏光方向(図3に示すb2方向)は、直線偏光されている共鳴光対LL1bの偏光方向(図3に示すb1方向)と異なる方向(直交する方向)である。したがって、共鳴光対LL1bおよび共鳴光LL2bを共通の1/4波長板313を通過させることにより、円偏光されている共鳴光対LL1と、この共鳴光対LL1とは逆方向に円偏光している調整光LL2とを生成させることができる。このように、第1光源部31および第2光源部32が共鳴光対LL1および調整光LL2の双方が通過する共通の1/4波長板313を有するため、第1光源部31および第2光源部32がそれぞれ個別に1/4波長板を備える場合に比べて、装置構成を簡単化することができる。
以上のように構成された光源部3は、第1光源311が光源制御部82により前述した第1共鳴光および第2共鳴光を出射するように制御される。
(光源制御部の詳細な説明)
光源制御部82は、周波数制御部821と、電圧制御型発振器822(VCO:Voltage Controlled Oscillator)と、位相同期回路823(PLL:phase locked loop)と、を有している。
周波数制御部821は、受光部4の受光強度に基づいて原子セル2内のEIT状態を検出し、その検出結果に応じた制御電圧を出力する。これにより、周波数制御部821は、受光部4でEIT信号が検出されるように電圧制御型発振器822を制御する。
電圧制御型発振器822は、周波数制御部821により所望の発振周波数となるように制御され、例えば、数MHz〜数10MHz程度の周波数で発振する。また、電圧制御型発振器822の出力信号は、位相同期回路823に入力されるとともに、原子発振器1の出力信号として出力される。
位相同期回路823は、電圧制御型発振器822からの出力信号を周波数逓倍する。これにより、位相同期回路823は、前述したアルカリ金属の原子の2つの異なる2つの基底準位のエネルギー差ΔEに相当する周波数の1/2の周波数で発振する。このように逓倍された信号(高周波信号)は、直流バイアス電流が重畳された上で駆動信号として第1光源部31の第1光源311に入力される。これにより、第1光源311に含まれる半導体レーザー等の発光素子を変調して、周波数差(ω−ω)がωとなる2つの光である第1共鳴光および第2共鳴光を出射させることができる。ここで、直流バイアス電流の電流値は、図示しないバイアス制御部により所定値に制御される。これにより、第1共鳴光および第2共鳴光の中心波長を所望に制御することができる。
なお、第1光源311および第2光源321は、それぞれ、図示しない温度調節素子(発熱抵抗体、ペルチェ素子等)により、所定温度に温度調節される。また、第1光源311および第2光源321の温度を調整することにより、第1光源311および第2光源321からの光の中心波長を制御することもできる。
以上説明したように構成された第1光源部31および第2光源部32からの共鳴光対LL1および調整光LL2は、原子セル2に照射される。
(原子セルの詳細な説明)
図4に示すように、原子セル2は、胴体部21と、胴体部21を挟んで設けられた1対の窓部22、23とを有している。この原子セル2では、胴体部21が1対の窓部22、23の間に配置されていて、気体状のアルカリ金属が封入されている内部空間Sを胴体部21および1対の窓部22、23が区画形成(構成)している。また、内部空間Sに臨む面、すなわち胴体部21および窓部22、23の内壁面212には、コーティング20が設けられている。
胴体部21は、板状をなしており、この胴体部21には、胴体部21の厚さ方向に貫通している貫通孔211が形成されている。
この胴体部21の構成材料としては、特に限定されず、ガラス材料、水晶、金属材料、樹脂材料、シリコン材料等が挙げられるが、中でも、ガラス材料、水晶、シリコン材料のいずれかを用いることが好ましい。これにより、幅や高さが10mm以下となるような小さい原子セル2を形成する場合であっても、エッチング等の微細加工技術を用いて、高精度な胴体部21を容易に形成することができる。
このような胴体部21の一方の面には、窓部22が接合され、一方、胴体部21の他方の面には、窓部23が接合されている。これにより、貫通孔211の一端開口が窓部22により封鎖されるとともに、貫通孔211の他端開口が窓部23により封鎖されている。
胴体部21と窓部22、23との接合方法としては、これらの構成材料に応じて決められるものであり、気密的に接合できるものであれば、特に限定されないが、例えば、接着剤による接合方法、直接接合法、陽極接合法、表面活性化接合法等を用いることができる。
このような胴体部21に接合されている各窓部22、23は、前述した光源部3からの光LLに対する透過性を有している。そして、一方の窓部22は、原子セル2の内部空間S内へ光LLが入射する入射側窓部であり、他方の窓部23は、原子セル2の内部空間S内から光LLが出射する出射側窓部である。また、窓部22、23は、それぞれ、板状をなしている。
窓部22、23の構成材料としては、それぞれ、前述したような光LLに対する透過性を有していれば、特に限定されず、例えば、ガラス材料、水晶等が挙げられるが、ガラス材料を用いることが好ましい。これにより、励起光に対する透過性を有する窓部22、23を実現することができる。
このような窓部22、23により封鎖された貫通孔211内の空間である内部空間Sには、主に、気体状のアルカリ金属が収納されている。この内部空間S内に収納されている気体状のアルカリ金属は、光LLによって励起される。ここで、内部空間Sの少なくとも一部は、光LLが通過する「光通過空間」を構成する。本実施形態では、内部空間Sの横断面は、円形をなしていて、光通過空間の横断面は、内部空間Sの横断面と相似形状(すなわち円形)をなし、かつ、内部空間Sの横断面とほぼ同等または若干小さく設定されている。なお、内部空間Sの横断面形状は、円形に限定されず、例えば、四角形、五角形等の多角形、楕円形等であってもよい。
また、窓部22には、内部空間Sと外部との間を貫通する貫通孔231が形成され、この貫通孔231は、封止材241により封止されている。同様に、窓部23には、内部空間Sと外部との間を貫通している貫通孔232が形成され、この貫通孔232は、封止材242により封止されている。
封止材241、242の構成材料としては、貫通孔231、232を気密的に封止することができれば、特に限定されず、例えば、金属材料、ガラス材料等を用いることができるが、ガラス材料を用いることが好ましい。これにより、貫通孔231、232を簡単かつ確実に気密的に塞ぐことができる。また、封止材241、242がアルカリ金属の化学的特性に影響を与えることを低減することができる。
貫通孔231、232は、後に詳述するように、原子セル2を製造する際に、後述するコーティング20を形成するためのコーティング材(第1化合物および第2化合物)を内部空間Sに導入等するために用いる。なお、本実施形態では、貫通孔231、232は、それぞれ、円錐台形をなしているが、貫通孔231、232はこれに限定されない。
胴体部21および窓部22、23の内壁面212には、コーティング20が設けられている。このコーティング20は、アルカリ金属の内壁面212との衝突による電子スピン状態(スピンの偏極)の緩和を低減または抑制する機能を有する。
コーティング20は、少なくとも内壁面212の一部に設けられていればよいが、少なくとも窓部22、23の内壁の表面に設けられていることが好ましく、図4に示すように内壁面212の全体に設けられていることがより好ましい。さらに、図示はしないが、コーティング20は、貫通孔231、232を形成している内壁の全体、または内部空間Sに近い部分にも設けられていてもよい。なお、コーティング20については後で詳述する。
以上説明したように構成された原子セル2内において、図3に示すように、共鳴光対LL1の光軸a1は、調整光LL2の光軸a2に対して傾斜角度θで傾斜していて、光軸a2と交点Pにて交差している。また、図3では、原子セル2内において、共鳴光対LL1の光軸a1が、原子セル2の窓部22と窓部23とが並ぶ方向に沿った軸線aと平行であり、一方、調整光LL2の光軸a2が、軸線aに対して傾斜角度θで傾斜している。なお、図3では、光軸a1が軸線aと一致している。
ここで、原子セル2の共鳴光対LL1および調整光LL2が出射する側において、光軸a1またはその延長線上には、前述した受光部4が配置されており、原子セル2を通過した共鳴光対LL1が受光部4で受光されるが、一方、光軸a2は、原子セル2を通過した調整光LL2を受光部4が受光しないように配置されている。これにより、受光部4が調整光LL2を受光してしまうのを防止または低減することができる。
本実施形態では、原子セル2を通過した調整光LL2は、迷光とならないように、図示しない反射防止部に入射する。なお、原子セル2を通過した調整光LL2を受光素子で受光して、その受光素子の検出結果に応じて、第2光源部32を制御してもよい。
また、図5に示すように、原子セル2内において、調整光LL2の幅W2は、共鳴光対LL1の幅W1よりも大きい。これにより、原子セル2内において、共鳴光対LL1の通過領域は、調整光LL2の通過領域内に包含されている。
また、調整光LL2の幅W2は、原子セル2内の幅Wと同等であってもよい。
(アルカリ金属の原子のエネルギー状態と共鳴光対および調整光との関係)
図6は、セシウム原子のエネルギー状態と共鳴光対(第1共鳴光、第2共鳴光)および調整光(第3共鳴光)との関係の一例を示す図である。
例えば、原子セル2内にセシウム原子が封入されている場合、図6に示すように、第1共鳴光および第2共鳴光(共鳴光対)としてσ偏光(左円偏光)しているD1線を用い、第3共鳴光(調整光)としてσ偏光(右円偏光)しているD2線を用いる。なお、第1共鳴光および第2共鳴光がσ偏光、第3共鳴光がσ偏光であってもよいし、また、第1共鳴光および第2共鳴光がD2線、第3共鳴光がD1線であってもよい。
アルカリ金属の原子の一種であるセシウム原子は、6S1/2の基底準位と、6P1/2および6P3/2の2つの励起準位と、を有する。また、6S1/2、6P1/2、6P3/2の各準位は、複数のエネルギー準位に分裂した微細構造を有している。具体的には、6S1/2準位はF=3、4の2つの基底準位を有し、6P1/2準位はF’=3、4の2つの励起準位を有し、6P3/2準位はF”=2、3、4、5の4つの励起準位を有している。
6S1/2のF=3の第1基底準位にあるセシウム原子は、D2線を吸収することで、6P3/2のF”=2、3、4のいずれかの励起準位に遷移することができるが、F”=5の励起準位に遷移することはできない。6S1/2のF=4の第2基底準位にあるセシウム原子は、D2線を吸収することで、6P3/2のF”=3、4、5のいずれかの励起準位に遷移することができるが、F”=2の励起準位に遷移することはできない。これらは、電気双極子遷移を仮定した場合の遷移選択則による。逆に、6P3/2のF”=3、4のいずれかの励起準位にあるセシウム原子は、D2線を放出して6S1/2のF=3またはF=4の基底準位(元の基底準位または他方の基底準位のいずれか)に遷移することができる。このような6S1/2のF=3、4の2つの基底準位と6P3/2のF”=3、4のいずれかの励起準位からなる3準位は、D2線の吸収・発光によるΛ型の遷移が可能であることからΛ型3準位と呼ばれる。同様に、6S1/2のF=3、4の2つの基底準位と6P1/2のF’=3、4のいずれかの励起準位からなる3準位も、D1線の吸収・発光によるΛ型の遷移が可能であるからΛ型3準位を形成する。
これに対し、6P3/2のF”=2の励起準位にあるセシウム原子は、D2線を放出して必ず6S1/2のF=3の基底準位(元の基底準位)に遷移し、同様に、6P3/2のF”=5の励起準位にあるセシウム原子は、D2線を放出して必ず6S1/2のF=4の基底準位(元の基底準位)に遷移する。したがって、6S1/2のF=3、4の2つの基底準位と6P3/2のF=2またはF=5の励起準位からなる3準位は、D2線の吸収・放出によるΛ型の遷移が不可能であることからΛ型3準位を形成しない。
このようなセシウム原子は、真空中でのD1線の波長が894.593nmであり、真空中でのD2線の波長が892.347nmであり、6S1/2の超微細分裂周波数(ΔE)が9.1926GHzである。
なお、セシウム原子以外のアルカリ金属の原子も、同様に、Λ型3準位を形成する2つの基底準位と励起準位を有する。ここで、ナトリウム原子は、真空中でのD1線の波長が589.756nmであり、真空中でのD2線の波長が589.158nmであり、3S1/2の超微細分裂周波数(ΔE)が1.7716GHzである。また、ルビジウム(85Rb)原子は、真空中でのD1線の波長が794.979nmであり、真空中でのD2線の波長が780.241nmであり、5S1/2の超微細分裂周波数(ΔE)が3.0357GHzである。また、ルビジウム(87Rb)原子は、真空中でのD1線の波長が794.979nmであり、真空中でのD2線の波長が780.241nmであり、5S1/2の超微細分裂周波数(ΔE)が6.8346GHzである。
図7は、ナトリウム原子の磁気量子数の分布を示す図であって、(a)は、σ円偏光の共鳴光を照射した場合の分布を示す図、(b)は、σ円偏光の共鳴光を照射した場合の分布を示す図である。
例えば、図7に示すように、アルカリ金属の原子の一種であるナトリウム原子は、Λ型3準位を形成する2つの基底準位と励起準位を有し、3S1/2のF=1の第1基底準位は、mF1=−1、0、1の3つの磁気量子数を有し、3S1/2のF=2の第2基底準位は、mF2=−2、−1、0、1、2の5つの磁気量子数を有し、3P1/2の励起準位は、mF’=−2、−1、0、1、2の5つの磁気量子数を有する。
F=1またはF=2の基底準位にあるナトリウム原子に対してσ円偏光の共鳴光対を照射すると、図7(a)に示すように、磁気量子数が1増えるという選択則をもって、励起準位に励起される。このとき、F=1またはF=2の基底準位にあるナトリウム原子は、磁気量子数が大きい方に分布が変化する。
一方、F=1またはF=2の基底準位にあるナトリウム原子に対してσ円偏光の共鳴光対を照射すると、図7(b)に示すように、磁気量子数が1減るという選択則をもって、励起準位に励起される。このとき、F=1またはF=2の基底準位にあるナトリウム原子は、磁気量子数が小さい方に分布が変化する。
なお、図7では、説明の便宜上、簡単な構造のナトリウム原子を例に磁気量子数の分布を示しているが、他のアルカリ金属の原子においても、基底準位および励起準位のそれぞれは、2F+1個の磁気量子数(磁気副準位)を有し、前述したような選択則をもって磁気量子数の分布が変化する。
セシウム原子の場合、共鳴光対LL1のみをセシウム原子に照射すると、第1基底準位にあるセシウム原子は、磁気量子数の分布の偏りが小さいものの、その数が少なく、また、第2基底準位にあるセシウム原子は、磁気量子数が大きい方へ分布が大きく偏っている。すなわち、従来の原子発振器(例えば特許文献1に係る原子発振器)では、金属に照射される共鳴光のすべてが一方向に円偏光しているため、例えば共鳴光が直線偏光している場合に比べて、EIT信号の強度を向上させることができるものの、その効果が十分ではなかった。これは、共鳴光のすべてが一方向に円偏光していることにより、金属の磁気量子数の小さい方または大きい方のいずれかに分布が偏ってしまい、これにより、EITに寄与する所望の磁気量子数のアルカリ金属の原子の数が少なくなってしまうためであった。
これに対し、共鳴光対LL1および調整光LL2の双方をセシウム原子に同時に照射すると、第1基底準位および第2基底準位のそれぞれにあるセシウム原子は、磁気量子数の分布の偏りが比較的少なく、かつ、その数も比較的多くすることができる。すなわち、共鳴光対LL1および調整光LL2の双方をセシウム原子に同時に照射した場合、共鳴光対LL1のみをセシウム原子に照射した場合に比べて、第1基底準位および第2基底準位のそれぞれの準位において、各準位にあるセシウム原子の数を増やしつつ、セシウム原子の磁気量子数の分布を平均化することができる。
また、共鳴光対LL1および調整光LL2の双方をセシウム原子に同時に照射した場合(repump on)、共鳴光対LL1のみをセシウム原子に照射した場合(repump off)に比べて、半値全幅をほぼ同等としつつ、EIT信号の信号強度を3倍程度に高めることができる。
以上説明したように、原子発振器1では、互いに同方向に円偏光している共鳴光対LL1に加えて、その共鳴光対LL1とは逆方向に円偏光している調整光LL2をアルカリ金属に照射することにより、共鳴光対LL1による磁気量子数の分布の偏りを調整光LL2により相殺または緩和させ、アルカリ金属の磁気量子数の分布の偏りを低減することができる。そのため、EITに寄与する所望の磁気量子数のアルカリ金属の原子の数を増加させ、その結果、円偏光している共鳴光対LL1を用いることによってEIT信号の強度の低下を抑制する効果を顕著に発現させ、よって、EIT信号の強度の低下を抑制できる。
(内壁面およびコーティングの詳細な説明)
次に、原子セル2の内壁面212およびコーティング20について詳述する。
図8は、原子セルの内壁面およびコーティングを示す模式図である。図9は、コーティングが形成される前の内壁面が有する極性基の一例を説明するための図である。図10は、第1層の構造の一例を説明するための図である。図11は、コーティングの構造の一例を説明するための図である。
前述したように、内壁面212上にはコーティング20が設けられている。コーティング20は、図8に示すように、内壁面212上に設けられた第1層202と、第1層202上に設けられた第2層203と、を有する。
[内壁面212]
内壁面212は、極性基を有する化合物を含む材料を用いて形成される。具体的には、前述したように、窓部22、23は、例えば石英ガラスやホウケイ酸ガラス等のガラス材料を用いて形成される。ガラス材料は、珪素および酸素を含み、特に珪素および酸素を主成分として含む。ガラス材料を用いて形成された内壁面212は、図9に示すように、珪素に結合した極性基であるヒドロキシル基(水酸基)を有する化合物を含む材料を用いて形成される。
なお、窓部22、23は、前述したように、ガラス材料以外の材料で形成されていてもよい。また、極性基は、ヒドロキシル基(−OH)に限定されず、カルボキシル基(−COOH)、アミノ基(−NH)、アミド基(−NH)等であってもよい。また、予め、酸処理、塩基処理、UV処理、オゾン処理、プラズマ処理等の官能基導入処理を施して内壁面212に極性基を導入してもよい。また、胴体部21も、前述したように、窓部22、23と同じ材料により形成されている。なお、胴体部21は、窓部22、23と異なる材料により形成してもよい。
[第1層202]
第1層202は、内壁面212を形成する材料の極性基(例えばヒドロキシル基)と脱離反応する官能基を有する第1化合物を用いて形成される。具体的には、第1層202は、第1化合物の官能基を、内壁面212を形成する材料のヒドロキシル基と化学反応(脱離反応)させることにより形成される。
第1化合物は、具体的には、アルキルシラン、アルコールまたはポリイミドであることが好ましい。これにより、第1層202の配向性を高くすることができ、さらに、それに伴って後述する第2層203の配向性も高くすることができる。そのため、第1化合物の間や第2化合物の間にアルカリ金属が入り込むことを抑制することができる。そのため、アルカリ金属の電子スピン状態の緩和を特に低減することができる。さらに、仮に、第2層203が融解したとしても、第1層202が配向しているため、ライプニングせずに、一度冷やすだけで第2層203の配向性を復活させることができる。なお、ライプニングは、第1化合物を配向させるための熱処理である。
第1化合物の形態としては、直鎖状(線状)、コイル状、環状、分岐状および網状が挙げられ、これらの中でも直鎖状であることが好ましい。これにより、第1層202の配向性を高めることができる。この場合、直鎖の末端に脱離反応する官能基があることが特に好ましい。
〈アルキルシラン〉
前述したアルキルシランは、内壁面212を形成する材料の極性基(例えばヒドロキシル基)と脱離反応する官能基と、当該官能基に珪素を介して連結した非極性基(非極性のユニット)であるアルキル鎖(アルキル基)とを有する。当該非極性基は、後述する非極性である第2化合物との親和性に優れている。そのため、第1層202と第2層203との密着性を高めることができる。
アルキルシランは、オクタデシルトリメトキシシラン(ODS:octadecyltrimethoxysilane、CH(CH17Si(OCH)またはオクタデシルトリクロロシラン(OTS:octadecyltrichlorosilane、CH(CH17SiCl)であることが好ましい。ODSの化学式は、下記式(1)である。OTSの化学式は、下記式(2)である。
Figure 2018137397
OTSまたはODSを用いることで、第1化合物との脱離反応をより容易かつ確実に起こすことができる。具体的には、ODSは、官能基であるメトキシ基(−OCH)を有しており、メトキシ基が第1化合物と脱離反応する。OTSは、官能基であるクロロ基(−Cl)を有しており、クロロ基が第1化合物と脱離反応する。特に、ODSまたはOTSを用いることは、内壁面212を形成する材料の極性基がヒドロキシル基である場合に有効である。
また、ODSの分解温度は、200℃程度であり、OTSの分解温度は、200℃程度である。そのため、ODSまたはOTSを用いることで、第1層202の耐熱性を高めることができる。
例えば、ODSは、シクロロヘキサン、ヘキサン、クロロホルム等の溶剤に分散した状態で、内壁面212上に塗布される。例えば、ODSが内壁面212を形成する材料のヒドロキシル基に到達すると、ODSのメトキシ基とヒドロキシル基の水素とが脱離し、ODSの珪素と内壁面212を形成する材料の酸素とが結合する(図10参照)。これにより、第1層202が形成される。なお、OTSについても同様である。
また、ODSは、その末端に位置する官能基(メトキシ基)と、当該官能基に珪素を介して連結した直鎖状の非極性基(アルキル鎖)と、を有する。直鎖状の非極性基を有することで、立体障害が小さく、第1層202の配向性を高めることができる。図示の例では、ODS由来の化合物が有する炭素原子は、内壁面212の垂線と平行に延びている。これにより、第1層202は、特に高い配向性を有する。なお、OTSについても同様である。
なお、ODSの珪素と内壁面212の酸素との結合の態様は、ODSのそれぞれで異なってもよく、例えば図10に示すように、ODSの2つの珪素と、内壁面212の珪素から脱離した酸素とが結合する場合もある。
アルキルシランが有するアルキル鎖の炭素数は、特に限定されないが、例えば、5〜30であることが好ましく、10〜25であることがより好ましい。
〈アルコール〉
アルコールは、内壁面212を形成する材料の極性基と脱離反応する(特に脱水縮合反応する)官能基であるヒドロキシル基と、非極性基としてのアルキル鎖(アルキル基)とを有する。当該非極性基は、後述する非極性である第2化合物との親和性に優れている。そのため、第1層202と第2層203との密着性を高めることができる。
アルコールとしては、例えば、デシルアルコール、オクタデシルアルコール等の直鎖アルコールが挙げられる。このような末端にヒドロキシル基を有する直鎖状のアルコールを用いることで、第1層202は高い配向性を有する。
〈ポリイミド〉
ポリイミドを用いた場合、ポリイミドにより形成された層にラビング処理を施すことにより第1層202を形成することが好ましい。また、ポリイミドを用いる場合には、内壁面212の極性基と脱離反応する官能基を導入してもよい。また、ポリイミドを用いる場合には、非極性基を導入してもよい。非極性基としては、例えば、アルキル基、アリール基等が挙げられる。
なお、前述した第1化合物が有する官能基は、内壁面212の極性基と脱離反応する基(脱水縮合反応する基を含む)であれば如何なる基であってもよい。
このような第1層202の厚さは、例えば、数nmである。
また、第1層202は、前述した第1化合物の例として挙げた材料から2種以上を用いて形成されていてもよい。また、第1層202は、分子量の異なる同一種の第1化合物を複数用いて形成されていてもよい。
[第2層203]
前述したように、第2層203は、非極性のオレフィン系の高分子化合物である第2化合物を用いて形成される。第1化合物と第2化合物とは異なる化合物である。
非極性の第2化合物を用いて形成される第2層203を第1層202上に設けることで、コーティング20は、優れた配向性および高い被覆率を有する。そのため、第2層203を設けることにより、内壁面212が露出することを抑制することができる。したがって、原子セル2では、アルカリ金属は内壁面212と衝突せずに第2層203と衝突する可能性が高く、衝突によるアルカリ金属の量子的な状態に及ぼす影響を小さくすることができる。すなわち、第2層203を備えることで、衝突によるアルカリ金属の電子スピン状態(スピンの偏極)の緩和を軽減することができる。このように、第2層203は、原子セル2のアルカリ金属に対する非緩和特性に優れている。なお、仮に、第1層202のみの構成であると、配向性を高めることができても被覆率を高くすることが難しい。また、仮に、第1層202を複数積層した構成であると、被覆率を高くすることができるが、配向性を良くすることが難しい。
また、オレフィン系の高分子化合物は、一般的にパラフィンに比べて融点が高い。そのため、オレフィン系の高分子化合物である第2化合物を用いることで、従来のパラフィンを用いた構成に比べて第2層203の耐熱性を高めることができる。その結果、原子セル2の耐熱性を高めることができるので、より高温(例えば100℃以上)の条件下でも、衝突によるアルカリ金属の量子的な状態に及ぼす影響を小さくすることができる。
第2化合物は、具体的には、ポリプロピレン(PP:polypropylene、(C)、ポリエチレン(PE:polyethylene、(C)またはポリメチルペンテン(PMP:polymethylpentene、(C12)であることが好ましい。なお、nは1以上の整数である。PPの化学式は、下記式(3)である。PEの化学式は、下記式(4)である。PMPの化学式は、下記式(5)である。PP、PE、PMPは、パラフィンと比べて融点が高い。そのため、従来のパラフィンコーティングに比べて第2層203の融点を高くすることができ、よって、原子セル2の耐熱性を従来よりも優れたものとすることができる。
Figure 2018137397
PPの融点は、例えば、170℃程度である。PEの融点は、例えば、120℃程度である。PMPの融点は、例えば、230℃程度である。PPの数平均分子量Mnは、例えば、5000程度である。PPの重量平均分子量Mwは、例えば、12000程度である。PEのMI(melt index)は、例えば、2.2g/10min(190℃/2.16kg)程度である。
オレフィン系の高分子の重量平均分子量Mwは、特に限定されないが、例えば、5000〜50000であることが好ましく、10000〜30000であることがより好ましい。
図11は、第1化合物としてODSを用い、第2化合物として直鎖状のPPを用いた場合に、PPがODSに物理吸着した状態を示す図である。PPは、非極性であるが、分子量が大きいため、ODSの非極性基(アルキル基)との間に強い分子間引力を生じる。そして、PPは、該分子間引力によってODSの非極性基に物理吸着する。これにより、第2層203が形成される。なお、第1化合物と第2化合物とは、化学結合していてもよい。
また、第2化合物の形態としては、直鎖状(線状)、コイル状、環状、分岐状および網状が挙げられ、こられの中でも直鎖状(わずかな分岐は含む)であることが好ましい。これにより、立体障害が小さく、よって、配向性に優れる第1層202の配向性の影響を受けて第2層203の配向性をより高めることができる。
また、第2化合物に対して電子線架橋を施すことが好ましい。電子線架橋を施すことで、第2化合物同士を架橋させ網目状の構造に改質することができる。これにより、第2層203の耐熱性を高めることができる。
また、第2化合物の立体規則性は、特に限定されない。例えば、ポリプロピレン(PP)は、アイソタクチックポリプロピレンでもよいし、シンジオタクチックポリプロピレンでもよい。
また、第2化合物を複数回に渡って堆積することにより、第2層203の厚さを調整することができる。第2層203の厚さは、例えば、数百nmであり、第1層202の厚さよりも厚い。
また、第2層203は、前述した第2化合物の例として挙げた材料から2種以上を用いて形成されていてもよい。また、第2層203は、分子量の異なる同一種の第2化合物を複数用いて形成されていてもよい。
このような構成のコーティング20の形成に用いる化合物、すなわち第1化合物および第2化合物の組み合わせとしては、特に限定されないが、第1化合物は、オクタデシルトリメトキシシラン(ODS)であり、第2化合物は、ポリプロピレン(PP)であることが特に好ましい。これにより、コーティング20は、優れた耐熱性、優れた配向性および高い被覆率を有する。そのため、原子セル2の耐熱性を特に高めることができるとともに、アルカリ金属の電子スピン状態の緩和を特に低減することができる。また、例えば第1化合物がOTSの場合は、内壁面212と脱離反応する際に取り扱いに注意が必要な塩化水素が発生する場合があるが、ODSでは、このような注意をする必要がなく、容易に取り扱うことができる。さらに、PPは、PEよりも融点が高い。したがって、第1化合物をODSとし、第2化合物をPPとすることで、原子セル2は、取扱いが容易で、より高い耐熱性を有することができる。
図12は、原子セルの内部空間に封入された緩衝ガスと緩和レートとの関係を示すグラフである。
図12に示す線分L1は、コーティング20を備えていない原子セルにおいて、緩衝ガスがある場合におけるセシウム原子の壁部(内壁面212)との衝突による緩和レート(セシウム原子のスピンの偏極の緩和)を示している。線分L2は、セシウム原子と緩衝ガスとのスピン交換相互作用による緩和レートを示している。線分L3は、コーティング20を備えた原子セル2において、緩衝ガスがある場合におけるセシウム原子の壁部(コーティング20の表面205)との衝突による緩和レートを示している。なお、緩和レートは、セシウム原子の拡散係数、内部空間Sのサイズおよび基準圧力(760Torr)等を基にして算出している。
図12に示す線分L1と線分L3を比較して分かるように、コーティング20を設けることで、コーティング20を設けていない場合に比べて原子セル2の壁部との衝突による緩和レートを小さくすることができる。
また、原子セル2の壁部との衝突による緩和レートと、緩衝ガスとのスピン交換相互作用による緩和レートとの合計(緩和レートの合計)を小さくすることで、原子セル2内におけるセシウム原子の電子スピン状態の緩和を低減することができる。線分L1と線分L2との交点P12よりも線分L2と線分L3との交点P23が小さくなっている。したがって、コーティング20を設けた場合には、コーティング20を設けていない場合に比べて、緩和レートの合計を小さくすることができる。すなわち、コーティング20を設けることで、原子セル2内におけるセシウム原子の電子スピン状態の緩和を低減することができる。
なお、コーティング20の膜厚や材料等を変更しても、前述の傾向は同様であった。また、アルカリ金属同士のスピン破壊相互作用による緩和もあるが、これは、壁部と衝突による緩和レートや緩衝ガスとのスピン交換相互作用による緩和よりも十分に小さかった。
また、コーティング20を備える原子セル2を用いることで、緩衝ガスの圧力(分圧)を20〜90[Torr]程度、より好ましくは20〜70[Torr]程度にすることができる。このように、コーティング20を備える原子セル2を用いることで、原子セル2内におけるアルカリ金属の電子スピン状態の緩和を低減しつつ、従来よりも緩衝ガスの圧力を小さくすることができる。
以上説明したように、本発明の量子干渉装置を備える原子発振器1は、アルカリ金属(本実施形態ではセシウム原子)が封入されている内部空間Sを有する原子セル2を備える。また、原子発振器1は、互いに同方向に円偏光してアルカリ金属を励起する共鳴光対を出射する第1光源部31と、内部空間Sにおいて共鳴光対とは逆方向に円偏光してアルカリ金属の原子(アルカリ金属原子)を励起する調整光を出射する第2光源部32とを備える。また、原子発振器1は、内部空間Sを通過した共鳴光対を受光する受光部4を備える。そして、原子セル2は、極性基を有する化合物を含む材料により形成され、内部空間Sを囲む内壁面212と、内壁面212に設けられ、極性基と脱離反応する官能基を有する第1化合物由来の化合物を含む第1層202と、第1層202上に設けられ、非極性のオレフィン系の高分子化合物である第2化合物由来の化合物を含む第2層203と、を有する。
このような原子発振器1によれば、互いに同方向に円偏光している共鳴光対に加えて、共鳴光対とは逆方向に円偏光している共鳴光を調整光としてアルカリ金属(本実施形態ではセシウム原子)に照射することにより、共鳴光対による磁気量子数の分布の偏りを調整光により相殺または緩和させ、金属の磁気量子数の分布の偏りを低減することができる。そのため、EITに寄与する所望の磁気量子数のアルカリ金属の原子の数を増加させ、その結果、円偏光している共鳴光対を用いることによってEIT信号の強度の低下を抑制する効果を発現させることができる。
また、原子セル2が第1層202および第2層203を備えることで、コーティング20の配向性と被覆率との両立を図ることができる。そのため、内壁面212との衝突によるアルカリ金属の電子スピン状態の緩和を低減または抑制することができ、光LLとアルカリ金属の相互作用時間を長くすることができる。
ここで、仮に、互いに同方向に円偏光している共鳴光対のみを用いた構成である場合、コーティング20を設けることで相互作用時間が長くなると、磁気量子数の分布の偏りが大きくなる。そこで、原子発振器1では、共鳴光対に加えて調整光(共鳴光対とは逆方向に円偏光している共鳴光)を用いている。そのため、相互作用時間が長くても磁気量子数の分布の偏りを低減することができる。したがって、原子発振器1によれば、コーティング20を備えた原子セル2を備え、かつ、共鳴光対を出射する第1光源部31とともに調整光を出射する第2光源部32とを有することで、アルカリ金属の電子スピン状態の緩和を低減して相互作用時間を長くすることでEIT信号の線幅を小さくすることができるとともに、相互作用時間が長くなることによる磁気量子数の分布の偏りを低減することができる。そのため、EIT信号の強度の低下を抑制できる。
さらに、オレフィン系の高分子化合物で構成された第2化合物で形成された第2層203を備えることで、従来のパラフィンコーティングに比べて耐熱性を高めることができる。
以上のようなことから、原子発振器1によれば、原子セル2の耐熱性を高めることができるとともに、EIT信号の強度の低下を抑制できる。
なお、第1層202に含まれる第1化合物由来の化合物は、第1化合物と構造が変わっていなくてもよい。同様に、第2層203に含まれる第2化合物由来の化合物は、第2化合物と構造が変わっていなくてもよい。
2.原子セルの製造方法
次に、本実施形態に係る原子発振器1が備える原子セル2の製造方法について説明する。以下では、胴体部21および窓部22、23がガラスで構成されている場合を例に説明する。
図13は、原子セルの製造方法を説明するフローチャートである。
原子セル2の製造方法は、図13に示すように、[1]容器準備工程S10と、[2]第1層形成工程S20と、[3]第2層形成工程S30と、[4]アルカリ金属導入工程S40と、[5]封止工程S50と、を有する。以下、各工程を順次説明する。
[1]容器準備工程S10
図14は、図13に示す容器準備工程を説明する図である。
まず、図14に示すように、容器20aを用意する。この容器20aは、前述した原子セル2において封止材241、242による封止、コーティング20の形成およびアルカリ金属の封入がなされる前の状態であって、胴体部21および1対の窓部22、23を有する構造体である。
胴体部21および窓部22、23は、それぞれ、エッチング技術やフォトリソグラフィ技術を用いて基板(例えばガラス基板)を加工することで形成することができる。また、胴体部21と窓部22、23との接合方法としては、例えば、接着剤による接合方法、直接接合方法等を用いる。
[2]第1層形成工程S20
次に、貫通孔231、232を通じて第1化合物を内部空間Sに導入し、内壁面212上に第1層202を形成する。
第1層202は、例えば、塗布法、CVD法等により形成される。塗布法で第1層202を形成する場合には、例えば、第1化合物を所定の溶剤に分散させ、該溶剤を貫通孔231、232を通して内壁面212上に塗布した後、乾燥させる。CVD法で第1層202を形成する場合には、ガス状の第1化合物を貫通孔231、232を通して内壁面212上に堆積させる。
[3]第2層形成工程S30
図15は、図13に示す第2層形成工程を説明する図である。
次に、貫通孔231、232を通じて第2化合物を内部空間Sに導入し、第1層202上に第2層203を形成する。これにより、コーティング20を得ることができる(図15参照)。
第2層203は、例えば、塗布法、真空蒸着法等により形成される。塗布法で第2層203を形成する場合には、第2化合物を所定の溶剤に分散させ、該溶剤を貫通孔231、232を通して第1層202上に塗布した後、乾燥させる。真空蒸着法で第2層203を形成する場合には、ガス状の第2化合物を貫通孔231、232を通して第1層202上に堆積させる。
また、第2化合物を複数回に渡って堆積させることにより、第2層203の厚さを調整することができる。
[4]アルカリ金属導入工程S40
次に、ガス状のアルカリ金属を貫通孔231、232を通して内部空間Sに導入(送入)する。アルカリ金属の導入は、コーティング20が融解しない条件(温度および圧力)下で行う。
[5]封止工程S50
次に、貫通孔231を封止材241で封止し、貫通孔232を封止材242で封止する。例えばボール状の封止材(図示せず)をレーザー等で溶融させることにより、封止材241、242を形成することができる。これにより、アルカリ金属が封入された内部空間Sを気密に封止することができる。
以上の工程により、原子セル2を製造することができる。
3.電子機器
以上説明したような原子発振器は、各種電子機器に組み込むことができる。
以下、本発明の電子機器について説明する。
図16は、測位用衛星の例としてGPS(Global Positioning System)衛星を利用した測位システムに実施形態に係る原子発振器を用いた場合の概略構成を示す図である。
図16に示す測位システム100は、GPS衛星200と、基地局装置300と、GPS受信装置400とで構成されている。
GPS衛星200は、測位情報(GPS信号)を送信する。
基地局装置300は、例えば電子基準点(GPS連続観測局)に設置されたアンテナ301を介してGPS衛星200からの測位用衛星信号を高精度に受信する受信装置302と、この受信装置302で受信した測位用衛星信号から取得した測位情報(位相データ等)をアンテナ303を介して送信する送信装置304とを備える。
ここで、受信装置302は、その基準周波数発振源として前述した本発明の原子発振器1を備える電子装置である。このような受信装置302は、優れた信頼性を有する。また、受信装置302で受信された測位情報は、リアルタイムで送信装置304により送信される。
GPS受信装置400は、GPS衛星200からの測位用衛星信号をアンテナ401を介して受信する衛星受信部402と、基地局装置300からの測位情報をアンテナ403を介して受信する基地局受信部404とを備える。GPS受信装置400は、測位情報と、衛星受信部402が受信した測位用衛星信号とを用いて、GPS受信装置400の位置を算出する。
以上のような測位システム100が備える「電子機器」である受信装置302は、前述した本発明の量子干渉装置を備える原子発振器1を備えている。これにより、原子セル2の耐熱性を高めることができるとともに、EIT信号の強度の低下を抑制できる量子干渉装置の一例である原子発振器1を備えることで、特性の高い電子機器である受信装置302を提供することができる。
なお、本発明の電子機器は、前述したものに限定されず、例えば、スマートフォン、タブレット端末、時計、携帯電話機、ディジタルスチルカメラ、インクジェット式吐出装置(例えばインクジェットプリンター)、パーソナルコンピューター(モバイル型パーソナルコンピューター、ラップトップ型パーソナルコンピューター)、テレビ、ビデオカメラ、ビデオテープレコーダー、カーナビゲーション装置、ページャー、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニター、電子双眼鏡、POS端末、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシミュレーター、地上デジタル放送、携帯電話基地局、GPSモジュール等に適用することができる。
4.移動体
図17は、実施形態に係る移動体の一例を示す図である。
この図において、移動体1500は、車体1501と、4つの車輪1502とを有しており、車体1501に設けられた図示しない動力源(エンジン)によって車輪1502を回転させるように構成されている。このような移動体1500には、原子発振器1が内蔵されている。
以上のような移動体1500は、前述した本発明の量子干渉装置を備える原子発振器1を備えている。これにより、原子セル2の耐熱性を高めることができるとともに、EIT信号の強度の低下を抑制できる量子干渉装置の一例である原子発振器1を備えることで、特性の高い移動体1500を提供することができる。
以上、本発明の量子干渉装置、原子発振器、電子機器および移動体について、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
また、本発明の各部の構成は、前述した実施形態の同様の機能を発揮する任意の構成のものに置換することができ、また、任意の構成を付加することもできる。また、本発明は、前述した各実施形態の任意の構成同士を組み合わせるようにしてもよい。
また、前述した実施形態では、第1共鳴光および第2共鳴光を含む共鳴光対と第3共鳴光を含む調整光と出射方向が非平行であったが、共鳴光対および調整光の出射方向は平行であってもよい。また、前述した実施形態では、共鳴光対および調整光は原子セルに対し同じ側から入射していたが、共鳴光対および調整光は原子セルに対して互いに異なる側から入射してもよい。その場合には、原子セル内での共鳴光対と調整光との円偏光の方向を逆方向にすればよい。すなわち、第1共鳴光と第2共鳴光とを共にσ円偏光またはσ円偏光とすればよい。
1…原子発振器、2…原子セル、3…光源部、4…受光部、5…ヒーター、6…温度センサー、7…磁場発生部、8…制御部、20…コーティング、20a…容器、21…胴体部、22…窓部、23…窓部、31…第1光源部、32…第2光源部、81…温度制御部、82…光源制御部、83…磁場制御部、100…測位システム、200…GPS衛星、202…第1層、203…第2層、205…表面、211…貫通孔、212…内壁面、231…貫通孔、232…貫通孔、241…封止材、242…封止材、300…基地局装置、301…アンテナ、302…受信装置、303…アンテナ、304…送信装置、311…第1光源、312…1/2波長板、313…1/4波長板、321…第2光源、322…減光フィルター、400…GPS受信装置、401…アンテナ、402…衛星受信部、403…アンテナ、404…基地局受信部、821…周波数制御部、822…電圧制御型発振器、823…位相同期回路、1500…移動体、1501…車体、1502…車輪、L1…線分、L2…線分、L3…線分、LL…光、LL1…共鳴光対、LL1a…第1光、LL1b…共鳴光対、LL2…調整光、LL2a…第2光、LL2b…共鳴光、P…交点、P12…交点、P23…交点、S…内部空間、S10…容器準備工程、S20…第1層形成工程、S30…第2層形成工程、S40…アルカリ金属導入工程、S50…封止工程、a…軸線、a1…光軸、a2…光軸、θ…傾斜角度、W…幅、W1…幅、W2…幅

Claims (8)

  1. アルカリ金属が封入されている内部空間を有する原子セルと、
    互いに同方向に円偏光して前記アルカリ金属を励起する共鳴光対を出射する第1光源部と、
    前記内部空間において前記共鳴光対とは逆方向に円偏光して前記アルカリ金属を励起する調整光を出射する第2光源部と、
    前記内部空間を通過した前記共鳴光対を受光する受光部と、を備え、
    前記原子セルは、極性基を有する化合物を含む材料により形成され、前記内部空間を囲む内壁面と、
    前記内壁面に設けられ、前記極性基と脱離反応する官能基を有する第1化合物由来の化合物を含む第1層と、
    前記第1層上に設けられ、非極性のオレフィン系の高分子化合物である第2化合物由来の化合物を含む第2層と、を有することを特徴とする量子干渉装置。
  2. 前記第2化合物は、ポリプロピレン、ポリエチレンまたはポリメチルペンテンである請求項1に記載の量子干渉装置。
  3. 前記第1化合物は、アルキルシラン、アルコールまたはポリイミドである請求項1または2に記載の量子干渉装置。
  4. 前記アルキルシランは、オクタデシルトリメトキシシランまたはオクタデシルトリクロロシランである請求項3に記載の量子干渉装置。
  5. 前記第1化合物は、オクタデシルトリメトキシシランであり、
    前記第2化合物は、ポリプロピレンである請求項1ないし4のいずれか1項に記載の量子干渉装置。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項に記載の量子干渉装置を備えることを特徴とする原子発振器。
  7. 請求項1ないし5のいずれか1項に記載の量子干渉装置を備えることを特徴とする電子機器。
  8. 請求項1ないし5のいずれか1項に記載の量子干渉装置を備えることを特徴とする移動体。
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