JP2018135634A - 異形棒鋼の製造方法およびアンカーボルトの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1では、雄ねじ部のねじ山径が中央部分の公称直径よりも大きいアンカーボルトが開示されている。
しかし、前記大径部の形成が必要になることから、製造コストが高くなる。棒鋼素材への前記大径部の形成は、異形棒鋼の節やリブのロール成形時に一緒に行うと、製造コストの増加はある程度抑えられるが、十分ではない。また、ロール成形によると、前記大径部は、ロール径に応じた一定ピッチで形成されるが、多少はピッチのずれが生じる。そのため、前記大径部の長さ方向の中央で切断して一対の雄ねじ部を得るための棒鋼端部の大径部を得るにつき、位置調整が必要であり、量産するにつき生産性が低下する。また、異形棒鋼に大径部を設け、この大径部に雄ねじを加工する特許文献2の技術を適用したものでは、大径部の長さが限定される。アンカーボルトはねじ長さを長くするケースが多く、使用上使いにくい。
前記雄ねじ部は、ねじ溝径が前記棒鋼本体の外周面よりも細く、ねじ山径が前記棒鋼本体の外周面よりも太くかつ前記節部を含む最大径よりも細く、かつ、
前記雄ねじ部は、前記節部に相当する幅の複数箇所に設けられたねじ山径の太い部分と、残りのねじ山径の細い部分とを有し、両部分のねじ溝径は互いに同じであり、
前記雄ねじ部は、この異形棒鋼の他の部分よりも硬さが硬くまたは引張強度が強い。
また、上記のように、雄ねじ部の太い部分は節部上での加工で得られるため、熱間の拡径加工や別部材の雄ねじ部材を圧接などで接合する場合に比べて容易に形成することができる。従来の鉄筋に大径部を形成して雄ねじ部を加工するものと異なり、大径部長さの限定により雄ねじ部の長さが限定されることもない。
<第1の実施形態:リブ付の異形棒鋼(節部の位相が合っていない形態)>
図1に示すように、この実施形態に係る棒鋼は、丸軸状の棒鋼本体1aの外周面に突条1bを有する異形棒鋼1である。棒鋼本体1aの両端部に、雄ねじ部1c,1cが設けられている。この実施形態の突条1bは、節部1baと、リブ1bbとを有する。節部1baは、この異形棒鋼の長手方向に一定間隔置きに複数設けられる。各節部1baは、この棒鋼本体1aにおける円周方向の半周ずつが、交互にこの異形棒鋼の長手方向に並ぶ。換言すれば、各節部1baは、後述する二本のリブ1bbを隔てて位相が異なる二位置に交互にこの異形棒鋼の長手方向に並ぶ。リブ1bbは、棒鋼本体1aの180°離れた位置に二本設けられ、それぞれ長手方向に延びる。
図2(A)および図2(B)に示すように、雄ねじ部1cは、ねじ溝径D31が棒鋼本体1aの外周面よりも細く、ねじ山径D32,D32´が棒鋼本体1aの外周面よりも太くかつ節部1baを含む最大径D2よりも細い。
さらに雄ねじ部1cは、節部1baに相当する幅(軸方向幅)の複数箇所に設けられたねじ山径の太い部分(D32)と、残りのねじ山径の細い部分(D32´)とを有し、両部分のねじ溝径D31は互いに同じである。また雄ねじ部1cにおける、ねじ山径の細い部分のねじ山径D32´は、リブ1bbと同じ周方向箇所を除く箇所のねじ山径である。なお、太い部分のねじ山径D32は、節部のない棒鋼本体に雄ねじを転造した場合に得られる最大のねじ山径よりも太い。
この異形棒鋼1は、真円加工を施した端部に雄ねじ部1cが形成されている。図2(B)に示すように、真円加工の真円の直径D5が棒鋼本体1aの外径D1よりも大きいため、真円加工を行う長さ範囲における棒鋼本体1aの箇所は、未加工部分として残る。雄ねじ部1cは、ねじ溝径D31が棒鋼本体1aの外径D1よりも小さく、棒鋼本体1a、およびこの棒鋼本体1aよりも大径の節部1baの真円加工された部分1ba´に渡って形成される。そのため、雄ねじ部1cにおいて、棒鋼本体1aの箇所と節部1baが真円加工された部分1ba´とで、雄ねじ部1cのねじ山径が異なっている。ねじ溝径はどちらも同じD31である。
前記ねじ山径の細い部分(D32´)のねじ溝深さh0は、節部1baの基端が残る部分(真円加工された部分)1ba´のねじ溝深さである。
前記ねじ山径の太い部分(D32)のねじ溝深さh1は、節部1baのない部分(すなわち棒鋼本体1aに形成される雄ねじ部1cの部分)のねじ溝深さである。
節部1baのない部分のねじ溝深さh1を、節部1baの基端が残る部分1ba´のねじ溝深さh0で除したねじ溝深さの割合h1/h0は、例えば75%〜80%、この例では75%とされている。なお、このねじ溝深さの割合h1/h0は、70%以上有れば、雄ねじ部1cにおける棒鋼本体1aにねじ加工された箇所も、雄ねじ部1cにナットを螺合するうえで支障がない、または鉄筋継手のとしての締結に支障がないことがシミュレーションにより確認されている。
図2に示すように、異形棒鋼1の各部の寸法例を示すと、呼び径がD19の異形棒鋼において、M20でピッチ2.5の雄ねじ部1cを加工した場合、棒鋼本体1aの外径D1が17.88、最大径D2(節部1baの外径)が20.68、ねじ山径D32が19.674、ねじ有効径D30が18.05、ねじ溝径D31が16.607である。単位はいずれもmmである。
また図3に示すように、リブ1bbが台形状断面形状であって上底3.5、下底4.5、高さ1.4とされている。単位はいずれもmmである。
しかしながら第1の実施形態では、雄ねじ部1cを転造により加工しているので、加工硬化により引張強度が向上していて、規格値を満足し、実質上、雄ねじ部1cの形成による強度低下の問題は生じない。
図4は、この異形棒鋼1の製造過程の説明図である。
図4(A)は、素材となる丸軸状の棒鋼本体1aと節部1ba、リブ1bbとを有する異形棒鋼1を示す。この異形棒鋼1を、図4(B)に示すように、建設現場または工場等で、必要とされる任意の長さに切断する(切断過程)。図4(C)に示すように、この切断された異形棒鋼1の端部における、雄ねじ部1cを形成する長さ範囲の部分に、真円加工を施す(真円加工過程)。
真円加工後の前記太い部分1ba′の外径D5は、棒鋼本体1aの外径D1よりも僅かに大きい。ねじ加工に伴う若干の径の変化があるため、外径D5は、雄ねじ部1cのねじ山径D32(図2(B))と異なっている。なお、前記外径D5は、棒鋼本体の外径D1と同じでも良い。
以上説明した異形棒鋼1によれば、雄ねじ部1cは、ねじ山径の太い部分を有するが、この太い部分は節部1baに相当する幅の複数箇所であるため、節部1baの径の程度まで、簡単に大きく得ることができる。すなわち、素材となる節付きの異形棒鋼1にそのまま、または節部1baだけを削る加工を施してねじ加工を行うことで得られる。このような太い部分が複数箇所にあるため、雄ねじ部となる箇所の全長にわたって削り取りを行って転造ねじを設ける場合よりも、ねじ結合の引張耐力を大きく得ることができる。
また、雄ねじ部1cの太い部分は、節部1ba上での加工で得られるため、熱間の拡径加工や別部材の雄ねじ部材を圧接などで接合する場合に比べて容易に形成することができる。
以下の説明においては、各実施の形態で先行して説明している事項に対応している部分には同一の参照符号を付し、重複する説明を略する。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、特に記載のない限り先行して説明している形態と同様とする。同一の構成から同一の作用効果を奏する。実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組合せることも可能である。
前述の第1の実施形態では、節部の位相が合っていない異形棒鋼につき説明したが、図5に示すように、各節部1baが同位相でこの異形棒鋼の長手方向に並ぶ異形棒鋼1´であっても良い。その他の構成、製造方法は、第1の実施形態と同様である。
図6〜図8と共に、他の実施形態に係るリブ無しの異形棒鋼1Aについて説明する。
図6に示すように、この異形棒鋼1Aは、節部1baを有するが、リブを有しない異形棒鋼である。雄ねじ部1cは、転造ねじから成り、その下削りとして図4(C)で説明したのと同様に、図8(C)に示すように真円加工を行う。この場合、異形棒鋼1Aがリブを有しないので、基本的には、節部1baだけに真円加工を施す。棒鋼本体1aは、設定する雄ねじ部1cの有効半径内であれば、真円加工による真円度の多少のずれは、転造(図8(D))により補正される。また圧延過程(後述する)においてリブが僅かに発生する場合もあるが、この場合、全断面積に及ぼす影響が小さく、問題は生じない。
そこで、この図6〜図8に示す実施形態は、次のように異形棒鋼の径を規格品よりも僅かに大きくすることで、引張強度をより確実に確保している。すなわち、前述の第1の実施形態におけるリブ1bb(図3(a))の断面積に相当する分だけ、棒鋼本体1aの径が大きな異形棒鋼を用いている。
第1の実施形態では、図3に示すように、呼び径がD19の異形棒鋼1を用いる場合、規格どおりに、棒鋼本体1aの直径17.88mm、リブ1bbが台形状断面形状で上底3.5mm、下底4.5mm、高さ1.4mmとされている。以下の面積の単位はいずれもmm2である。
棒鋼本体1aの断面積A0、リブ断面積A1,全体の断面積Aとすると、
A0=π(17.88)2=251.09
A1=(3.5+4.5)1.4/2×2≒11.2
A=A0+A1=251.09+11.2=262.29
A1/A=0.043 (4.3%)
である。
AA=π(18.28/2)2=262.45
である。
このように、棒鋼本体1aの径を規格品よりも僅かに大きくすることで、リブは形成せず、棒鋼本体1aへと移行している。これにより、ねじ加工による断面欠損は解消し、引張強度をより確実に確保している。
図9〜図11と共に、他の実施形態に係る帯状平坦部付の異形棒鋼1Bについて説明する。
この実施形態において、特に記載する事項の他は、図6〜図8に示す実施形態と同様である。この実施形態では、図9(B)に示すように、異形棒鋼1Bは、外周面における互いに180°離れた二箇所に、平面状の帯状平坦部4を軸方向の全長に渡って有している。
先ず、図11に示すように、丸軸状の棒鋼素材W0から、丸軸状の棒鋼本体1aの外周に節部1baを有する中間棒鋼素材W1(図10(A))を、一対の圧延ロール11,11による熱間の圧延で得る(圧延過程)。このとき、中間棒鋼素材W1には、一対の圧延ロール11,11間の隙間により、両側面にリブ1bbが全長に渡り必然的に生じる。
この切断したねじ加工用素材棒鋼W2に、前記真円加工を施し、図10(D)のように節部1baは低い突出高さの部分1ba´となる。同図の破線は、この部分1ba´における真円加工前の状態の節部1baを示す。
リブ1bbの除去については、節部1baを得るための圧延過程で成形されて来る加熱状態の中間棒鋼素材W1からリブ1bbを掻き落とすことにより前記帯状平坦部4を形成することで得られるため、切削等の工程が不要で、簡単に能率良く除去することができる。
図12は、いずれかの異形棒鋼をアンカーボルトAbに適用した例を示す図である。
柱部材15の下端部に接合されたベースプレート16と、基礎17とが複数のアンカーボルトAbにより連結される。各アンカーボルトAbは、棒鋼本体1aが基礎17に埋設され、この棒鋼本体1aの上端部および下端部に雄ねじ部1cが設けられている。基礎17上に、ベースモルタル等の介在部材18を介してベースプレート16が配置されている。
図13は、いずれかの異形棒鋼を鉄筋継手に適用した例を示す図である。
この鉄筋継手は、一対の異形棒鋼1,1を接続する鉄筋継手であって、互いに接続される一対の異形棒鋼の対向する端部に雄ねじ部1cを有する。これら異形棒鋼1,1の前記雄ねじ部1c,1cに渡ってカプラー2が螺合している。カプラー2は、前記雄ねじ部1c,1cに螺合する雌ねじ部2aが形成された鋼製のねじ筒状である。カプラー2の外周面は、円筒面状であっても、また長さ方向の一部または全体が、ねじ締め用の工具(図示せず)に係合させる多角形、または一部に平坦面を持つ形状であっても良い。なお、図示しないが、各異形棒鋼1の雄ねじ部1cにそれぞれ螺合してカプラー2の両端面に当接する一対のロックナットが設けられていても良い。
1a…棒鋼本体
1ba…節部
1c…雄ねじ部
Ab…アンカーボルト
端部に雄ねじ部が設けられた雄ねじ部付きの異形棒鋼を製造する方法であって、
素材となる異形棒鋼として、丸軸状の棒鋼本体の外周に長手方向に間隔を開けて複数の節部を有する異形棒鋼を準備する過程と、
この異形棒鋼の端部における前記雄ねじ部を形成する長さ範囲の部分に、前記節部の基端のみが残る外径となるように、切削による真円加工を施す過程と、
前記素材となる異形棒鋼における前記真円加工が施された部分に、前記雄ねじ部を転造により形成する過程とを含み、
前記雄ねじ部は、ねじ溝径が前記棒鋼本体の外周面よりも細く、ねじ山径が前記棒鋼本体の外周面よりも太くかつ前記節部を含む最大径よりも細く、かつ、前記雄ねじ部は、前記節部に相当する幅の複数箇所に設けられたねじ山径の太い部分と、残りのねじ山径の細い部分とを有し、両部分のねじ溝径は互いに同じであり、前記雄ねじ部は、この異形棒鋼の他の部分よりも硬さが硬くまたは引張強度が強い。
また、上記のように、雄ねじ部の太い部分は節部上での加工で得られるため、熱間の拡径加工や別部材の雄ねじ部材を圧接などで接合する場合に比べて容易に形成することができる。従来の鉄筋に大径部を形成して雄ねじ部を加工するものと異なり、大径部長さの限定により雄ねじ部の長さが限定されることもない。
<第1の実施形態:リブ付の異形棒鋼(節部の位相が合っていない形態)>
図1に示すように、この実施形態に係る異形棒鋼の製造方法により製造された異形棒鋼は、丸軸状の棒鋼本体1aの外周面に突条1bを有する異形棒鋼1である。棒鋼本体1aの両端部に、雄ねじ部1c,1cが設けられている。この実施形態の突条1bは、節部1baと、リブ1bbとを有する。節部1baは、この異形棒鋼の長手方向に一定間隔置きに複数設けられる。各節部1baは、この棒鋼本体1aにおける円周方向の半周ずつが、交互にこの異形棒鋼の長手方向に並ぶ。換言すれば、各節部1baは、後述する二本のリブ1bbを隔てて位相が異なる二位置に交互にこの異形棒鋼の長手方向に並ぶ。リブ1bbは、棒鋼本体1aの180°離れた位置に二本設けられ、それぞれ長手方向に延びる。
図6〜図8と共に、他の実施形態に係る異形棒鋼の製造方法により製造されたリブ無しの異形棒鋼1Aについて説明する。
図6に示すように、この異形棒鋼1Aは、節部1baを有するが、リブを有しない異形棒鋼である。雄ねじ部1cは、転造ねじから成り、その下削りとして図4(C)で説明したのと同様に、図8(C)に示すように真円加工を行う。この場合、異形棒鋼1Aがリブを有しないので、基本的には、節部1baだけに真円加工を施す。棒鋼本体1aは、設定する雄ねじ部1cの有効半径内であれば、真円加工による真円度の多少のずれは、転造(図8(D))により補正される。また圧延過程(後述する)においてリブが僅かに発生する場合もあるが、この場合、全断面積に及ぼす影響が小さく、問題は生じない。
図9〜図11と共に、他の実施形態に係る異形棒鋼の製造方法により製造された帯状平坦部付の異形棒鋼1Bについて説明する。
この実施形態において、特に記載する事項の他は、図6〜図8に示す実施形態と同様である。この実施形態では、図9(B)に示すように、異形棒鋼1Bは、外周面における互いに180°離れた二箇所に、平面状の帯状平坦部4を軸方向の全長に渡って有している。
Claims (4)
- 外周に長手方向に間隔を開けて複数の節部を有する丸軸状の棒鋼本体の端部に雄ねじ部が設けられた異形棒鋼において、
前記雄ねじ部は、ねじ溝径が前記棒鋼本体の外周面よりも細く、ねじ山径が前記棒鋼本体の外周面よりも太くかつ前記節部を含む最大径よりも細く、かつ、
前記雄ねじ部は、前記節部に相当する幅の複数箇所に設けられたねじ山径の太い部分と、残りのねじ山径の細い部分とを有し、両部分のねじ溝径は互いに同じであり、
前記雄ねじ部は、この異形棒鋼の他の部分よりも硬さが硬くまたは引張強度が強い異形棒鋼。 - 請求項1に記載の異形棒鋼において、前記棒鋼本体の外周面に、長手方向に延びるリブを備え、前記雄ねじ部における、ねじ山径の細い部分のねじ山径は、前記リブと同じ周方向箇所を除く箇所のねじ山径である異形棒鋼。
- 請求項1または請求項2に記載の異形棒鋼において、前記雄ねじ部は、前記ねじ山径の細い部分のねじ溝深さが、前記ねじ山径の太い部分のねじ溝深さの70%以上である異形棒鋼。
- 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の異形棒鋼からなるアンカーボルト。
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