JP2016175092A - 鉄筋の端部ネジ加工方法及び鉄筋の端部構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】大掛かりな設備を必要とせず、鉄筋コンクリート構造物に定着させた鉄筋を確実に母材で破断することが可能な鉄筋の端部ネジ加工方法を提供する。
【解決手段】鉄筋10の先端部分を先細り状に切削加工してテーパー部11を形成する。該テーパー部11の外周に転造によってテーパーネジ部12を形成する。テーパー部11のテーパー角度を5.5°〜6.5°に設定する。該テーパー角度に沿ってテーパーネジ部12を転造形成する。3個のロールダイス20間に鉄筋10を挟む。ロールダイス20の回転により、テーパー部11の外周にテーパーネジ部12を転造形成する。
【選択図】 図1
【解決手段】鉄筋10の先端部分を先細り状に切削加工してテーパー部11を形成する。該テーパー部11の外周に転造によってテーパーネジ部12を形成する。テーパー部11のテーパー角度を5.5°〜6.5°に設定する。該テーパー角度に沿ってテーパーネジ部12を転造形成する。3個のロールダイス20間に鉄筋10を挟む。ロールダイス20の回転により、テーパー部11の外周にテーパーネジ部12を転造形成する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、鉄筋コンクリート構造物に使用する鉄筋の端部ネジ加工方法及び鉄筋の端部構造に係り、特に、母材が破断するまで定着部の破断強度を維持することが可能な鉄筋の端部ネジ加工方法及び鉄筋の端部構造に関する。
従来、鉄筋コンクリート構造物に鉄筋の端部を定着させるには、端部を90度折り曲げてL字状としたり、端部を180度折り曲げてU字状としたりして定着構造を形成した鉄筋を使用している。この種の鉄筋を使用する場合、定着構造の強度が重要視されており、少なくとも鉄筋の母材より前に破断する定着部は不可とされ、母材が破断するまで維持できる強度が必要とされている。
ところが、鉄筋の端部を曲げ加工した定着構造では、柱と梁の接合部や中間帯鉄筋の端部などのように、鉄筋が密になる箇所において配筋が極めて困難になるという問題があった。そこで、これら端部を曲げ加工した鉄筋に代わる定着構造を備えた鉄筋が特許文献1乃至3に提案されている。
特許文献1に記載の鉄筋は、鉄筋端部の先端部に塑性硬化処理を施した後、この先端部を先細り状に切削加工してテーパーネジ部を形成し、ナット状の定着具に連結するものである。すなわち、鉄筋の端部において、凹凸のある鉄筋表面の凸部に治具を取り付け、この治具をプレス機で挟み付けて圧力をかけることで塑性硬化処理を施した後、旋盤等の切削機を用いてテーパーネジ部を切削加工したものである。
また、このようなテーパーネジ部を形成した鉄筋に連結するナット状の定着具に関する改良が特許文献2、3に記載されている。これらの定着具は、締付トルク管理機構を備えたナットを使用するもので、切削加工して形成したテーパーネジ部の連結強度を管理することで、鉄筋の母材が破断するまで定着具の強度を維持できるように構成したものである。
すなわち、この締付トルク管理機構とは、ナットをボルトに締め付ける際に、設定値以上の回転トルクが作用すると、締め付け工具に係合するナットの係合部分が塑性変形されて、該締め付け工具がスリップする機構である。また、ナットの係合部分の塑性変形に伴って、ナットの軸横断面の内周形状が塑性変形し、雄ネジ部分の外周面を押圧する。この結果、ナットとレンチとのスリップが生じた際に、ボルトに対するナットの回転は所定の力でロックされ、ナットの回り止めとして機能する。
このような締付トルク管理機構付ナットにより、テーパーネジ部の接合部における引っ張り強さを適切に管理することにより、鉄筋とナットとの間における応力の伝達が円滑なものとなり、ネジ部が弱点とならず、鉄筋の母材が破断するまで定着具の強度を維持できるというものである。
特許文献1乃至3に記載の鉄筋は、凹凸のある鉄筋表面の凸部に治具を取り付け、この治具をプレス機で挟み付けて圧力をかけることで塑性硬化処理を施した後、更に、旋盤等の切削機を用いてテーパーネジ部を切削加工したものである。
一般的な切削ネジでは、ネジ部が弱点となり鉄筋の母材が破断する前にネジ部が破断するおそれがあった。そのため、特許文献2,3のごとく、締付トルク管理機構を有したナットを切削ネジに組み合わせて使用するように構成している。すなわち、テーパーネジ部とナットとの接合部における引っ張り強さを適切に設定することにより、ネジ部が弱点とならずに、鉄筋の母材で確実に破断させることが可能となるというものである。
しかしながら、いかに締付トルク管理機構を有したナットを組み合わせたとしても、切削ネジでは、ネジ部が弱点となる可能性をすべて払拭することは難しく、例えば、締付トルク管理機構付ナットに不具合が生じた場合などのように、接合部における引っ張り強さが適切に設定されない場合は、鉄筋が母材から切断されずに、ネジ部が先に破断するおそれがある。
また、従来の一般工法では、鍛造によりネジ部を成形することでネジ部の強度を高めることは可能であるが、非常に大掛かりな製作装置を必要とする。しかも、テーパーネジ部の成形を鍛造で加工する作業には極めて難しい技術を要する。したがって、鉄筋コンクリート構造物に使用する鉄筋の端部ネジを鍛造で加工することは極めて困難な作業になる。
そこで、本発明は上述の課題を解消すべく創出されたもので、大掛かりな設備を必要とせず、締付トルク管理機構を有したナットを組み合わせることなく、確実に母材で破断することが可能な鉄筋の端部ネジ加工方法及び鉄筋の端部構造の提供を目的とするものである。
上述の目的を達成すべく本発明の第1の手段は、鉄筋コンクリート構造物に使用する鉄筋10の端部ネジ加工方法であって、鉄筋10の先端部分を先細り状に切削加工してテーパー部11を形成し、該テーパー部11の先端から外周に沿ってテーパーネジ部12を転造形成することにある。
第2の手段は、前記テーパー部11のテーパー角度を5.5°〜6.5°に設定し、該テーパー角度に沿って前記テーパーネジ部12を転造形成する方法である。
第3の手段において、前記テーパーネジ部12は、3個のロールダイス20間に鉄筋10を挟み付け、前記テーパー部11の先端から外周に沿ってネジ部を転造形成する方法である。
第4の手段は、鉄筋コンクリート構造物に使用する鉄筋10の端部構造であって、鉄筋10の先端部分に、5.5°〜6.5°のテーパー角度で先細り状に切削加工されたテーパー部11の外周に沿って、テーパーネジ部12が転造形成された端部構造にある。
本発明の請求項1のごとく、鉄筋10の先端部分を先細り状に切削加工してテーパー部11を形成し、該テーパー部11の先端から外周に沿ってテーパーネジ部12を転造形成することにより、テーパーネジ部12の剪断強度を高め、母材が破断するまでテーパーネジ部12の強度を維持することができる。この結果、鉄筋コンクリート構造物に定着させた鉄筋を確実に母材で破断することが可能になった。
請求項2のように、テーパー部11のテーパー角度を5.5°〜6.5°に設定し、該テーパー角度に沿って前記テーパーネジ部12を形成する方法によると、鉄筋10端部のテーパーネジ部12の剪断強度を最も高くすることができる。
請求項3の如く、3個のロールダイス20間に鉄筋10を挟み付け、テーパー部11の先端から外周に沿ってネジ部を転造形成する方法によると、容易にテーパーネジ部12を形成することができる。しかも、従来の鍛造装置のような大掛かりな設備を必要とせず、テーパーネジ部12の加工が可能になる。
請求項4のように、鉄筋10の先端部分に5.5°〜6.5°のテーパー角度で先細り状に切削加工されたテーパー部11の外周に沿って、テーパーネジ部12が転造成形された端部構造によると、特に、締付トルク管理機構を有したナットを組み合わせることなく、母材で確実に破断する鉄筋を提供することができる。
しかも、鉄筋10のテーパーネジ部12にネジ止めする定着具は、同じテーパー角度の雌ネジ部を有するナットで良いので、従来の締付トルク管理機構付ナットを使用する必要はなくなった。したがって、定着具の構成を簡素化することができる。
本発明によると、大掛かりな設備を必要とせず、締付トルク管理機構を有したナットを組み合わせることなく、鉄筋コンクリート構造物に定着させた鉄筋を母材で確実に破断することが可能になるなどといった当初の目的を達成した。
以下、本発明の実施例を説明する。本発明ネジ加工方法は、鉄筋コンクリート構造物に使用する鉄筋10の端部にネジを加工する方法である。
最初の工程は、図1に示す鉄筋10の先端部分を、図2に示す如く、先細り状に切削加工してテーパー部11を形成する工程である。この工程では、旋盤等の切削機を使用してテーパー部11を形成する。鉄筋10には表面に凹凸が形成されているが(図1参照)、この工程により、凹凸も消滅し、テーパー部11の表面は均一になる(図2参照)。
このテーパー部11は、特に、テーパー角度を5.5°〜6.5°に設定することで、後述する転造形成するテーパーネジ部12の剪断強度を極限まで高めることができる。
次の工程は、テーパー部11のテーパー角度に沿って、テーパー部11の表面にテーパーネジ部12を転造形成する工程である(図3、図4参照)。鉄筋10の端部には、既にテーパー部11が形成されているので、テーパーネジ部12の成形を容易に行える。
すなわち、この工程では、3個のロールダイス20間に鉄筋10を挟み付け(図3参照)、これらのロールダイス20を回転させながらテーパー部11の先端から外周に沿ってテーパーネジ部12を転造する(図4参照)。
このような製造方法にて形成された鉄筋10の端部構造を図5に示す。すなわち、予めテーパー部11が切削加工されている鉄筋10の先端部分に、テーパー部11の外周に沿ったテーパーネジ部12が転造形成された状態である(同図(イ)参照)。このテーパーネジ部12は、5.5°〜6.5°のテーパー角度で先細り状に切削加工されたものである(同図(ロ)参照)。
このように、5.5°〜6.5°のテーパー角度で転造形成されたテーパーネジ部12には、ナット状の定着ナット状の定着具を連結する(図示せず)。この定着具は、テーパーネジ部12の傾斜角度に応じて5.5°〜6.5°に傾斜する雌ネジ部を有するもので、鉄筋10のテーパーネジ部12に定着具を螺着することにより、定着構造が形成されるものである。この際、定着具の形状は任意に設定することが可能である。このようにテーパー角度を設定した本発明と標準フック鉄筋との比較テストでは、標準フック鉄筋と同等以上の定着性能があることが確認されている。
尚、本発明の各構成は図示例に限定されるものではなく、定着構造の他、連結用スリーブ等を用いた連結構造としての使用も可能であり、本発明の要旨を変更しない範囲で任意に構成や用途を変更することが可能である。
10 鉄筋
11 テーパー部
12 テーパーネジ部
20 ロールダイス
11 テーパー部
12 テーパーネジ部
20 ロールダイス
Claims (4)
- 鉄筋コンクリート構造物に使用する鉄筋の端部ネジ加工方法であって、鉄筋の先端部分を先細り状に切削加工してテーパー部を形成し、該テーパー部の外周に転造形成によってテーパーネジ部を形成することを特徴とする鉄筋の端部ネジ加工方法。
- 前記テーパー部のテーパー角度を5.5°〜6.5°に設定し、該テーパー角度に沿って前記テーパーネジ部を形成する請求項1記載の鉄筋の端部ネジ加工方法。
- 前記テーパーネジ部は、3個のロールダイス間に鉄筋を挟み付け、前記テーパー部の先端から外周に沿ってネジ部を転造形成する請求項1又は2記載の鉄筋の端部ネジ加工方法。
- 鉄筋コンクリート構造物に使用する鉄筋の端部構造であって、鉄筋の先端部分に、5.5°〜6.5°のテーパー角度で先細り状に切削加工されたテーパー部の外周に沿って、テーパーネジ部が転造形成されたことを特徴とする鉄筋の端部構造。
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JP2015055503A JP2016175092A (ja) | 2015-03-19 | 2015-03-19 | 鉄筋の端部ネジ加工方法及び鉄筋の端部構造 |
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2015
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