JP2018135574A - 金属粒子 - Google Patents
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Abstract
Description
しかし、金属間化合物は脆いという弱点があり、この問題点を解決すれば、更に高い耐熱性、接合強度及び機械的強度を有する接合材を提供できることになる。
すなわち本発明は、以下の通りである。
2.前記γ−斜方晶であるSn−Cu合金と前記金属間化合物との接合が、エンドタキシャル接合であることを特徴とする前記1に記載の金属粒子。
3.前記Sn−Cu合金がSnを80〜99.5質量%およびCuを0.5〜20質量%含むことを特徴とする前記1または2に記載の金属粒子。
4.前記金属粒子は、前記金属間化合物を3〜85体積%含むことを特徴とする前記1〜3のいずれかに記載の金属粒子。
本発明の金属粒子では、γ−斜方晶であるSn−Cu合金とSnおよびCuからなる金属間化合物との接合が格子間で生じており、すなわちエンドタキシャル接合および/またはエピタキシャル接合が形成され、金属間化合物がγ−斜方晶であるSn−Cu合金で包まれた形態を取っている。エピタキシャル接合とは、球状表面にて異種物質の結晶が結晶面で構成された結晶格子レベルで接合している状態を意味し、エンドタキシャル接合とは、金属粒子の生成時、Sn−Cu合金を含む金属マトリクス中に金属間化合物が析出し、両者が結晶格子レベルで接合している状態を意味する。このような接合、とくにエンドタキシャル接合は、両者の接合強度を非常に高く保つことができ、金属間化合物の脆さを克服できるとともに、γ−斜方晶であるSn−Cu合金は、温度変化による結晶状態の変態を起こさないので、高い耐熱性を付与することができる。
一方、金属粒子の原材料の選択に応じて、金属マトリクス中にはSn単体が存在し、常温ではβ−Sn正方晶、低温領域ではα−Sn立方晶の温度変態を生じる結晶構造が存在する場合があり、この場合は上記変態移行の問題が生じるが、本発明の金属粒子では、金属間化合物がナノコンポジット構造を有し、かつ該ナノコンポジット構造と金属間化合物結晶格子レベルによって合金の安定結晶であるγ−斜方晶格子とをエンドタキシャル接合および/またはエピタキシャル接合させて固定化しているため、結晶構造が安定化し、前記のような結晶状態の変態時の結晶の体積膨張・収縮の問題点を解決することができる。
このように、本発明によれば、従来技術よりも高い耐熱性、接合強度および機械的強度を有する接合部を形成し得る金属粒子を提供することができる。
本発明の金属粒子は、SnおよびCuからなる金属間化合物とSn−Cu合金を含む金属マトリクスとを有し、前記Sn−Cu合金は、γ−斜方晶を含み、前記γ−斜方晶であるSn−Cu合金は、前記金属間化合物と接合していることを特徴とする。
図2において、金属マトリクスはSn−Cu合金を含むものであって、その少なくとも一部は、γ−斜方晶の結晶構造を有する。金属間化合物および金属マトリクスの接合界面は、γ−斜方晶のSn−Cu合金と、金属間化合物とが、格子間レベルで接合している、いわゆるエンドタキシャル接合を形成している。
図3Aから、金属間化合物との界面での接合がエンドタキシャル接合であることが観察され、図3Bから、金属マトリクスに含まれるSn−Cu合金が、γ−斜方晶の結晶構造を有していることが確認された。
図3における電子顕微鏡写真および高速反射電子線回折は、常温(室温)での観察されたものであり、従来技術では常温の金属マトリクスはβ−正方晶で存在しているはずが、本発明では、金属マトリクスがγ−斜方晶のSn−Cu合金を含み、これが金属間化合物とエンドタキシャル接合を形成していることが確認された。
図3で示すようなエンドタキシャル接合は、金属間化合物とSn−Cu合金との接合面の全体を100%としたとき、30%以上が好ましく、60%以上がさらに好ましい。なお、金属間化合物とSn−Cu合金との接合面のすべてがエンドタキシャル接合を形成せず、外殻との界面の1部がエピタキシャル接合することもある。
なお、本発明の金属粒子は、外殻とコア部とを有し、前記コア部が前記金属マトリクスおよび金属間化合物を含み、コア部を覆う前記外殻は、金属間化合物から実質上構成されるものであることができる。
前記エンドタキシャル接合の割合は、例えば次のようにして算出できる。
前記図1のNo.2で示すような金属粒子の断面を電子顕微鏡写真撮影し、金属間化合物とSn−Cu合金との接合面を任意に50か所サンプリングする。続いて、その接合面を画像解析し、図3で示すようなエンドタキシャル接合が、サンプリングした接合面に対してどの程度存在するのかを調べる。
例えば次のような条件が挙げられる。
皿形回転ディスク4:内径60mm、深さ3mmの皿形ディスクを用い、毎分8万〜10万回転とする。
粒状化室1:供給する雰囲気ガス温度を15〜50℃とする。粒状化室1内の酸素濃度を0ppm以下とする。粒状化室1内の気圧を1×10−1Pa以下とする。
これら条件により製造された金属粒子の粒径は、例えば直径20μm以下であり、典型期には2μm〜10μmである。
金属粒子からなるプリホームシートは、金属粒子を、例えば冷間圧接法を用いた金属間接合によって処理することによって得ることができる。冷間圧接法を用いた金属間接合それ自体は、種々知られている。本発明においては、それらの公知技術を適用することができる。例えば、対向する向きに回転する一対の圧接ローラの間に、本発明の金属粒子を供給し、圧接ローラによって金属粒子に対して圧力を加えて、金属粒子に金属間接合を生じさせる。実際の処理に当たっては、圧接ローラから金属粒子に100℃前後の熱を加えることが望ましい。これにより金属粒子からなるプリホームシートが得られる。
あるいは、金属粒子を用いて接合部を効率的に形成するため、例えば、金属粒子を有機ビヒクル中に混在させた導電性ペーストを形成する。
そして、接合すべき2つの部材の一方の面にこの導電性ペーストを塗布し、焼成(焼き付け処理)することで接合部が形成される。焼き付け処理温度は、例えば250℃であり、焼き付け処理時間は適宜調整される。
原材料として8Cu・92Snを用い、図4に示す製造装置により、直径約5μmの金属粒子を製造した。
その際、溶融金属を急速冷却固化させ、強制的に自己組織化させる際に適用される条件としては、以下の条件を採用した。
皿形回転ディスク4:内径60mm、深さ3mmの皿形ディスクを用い、毎分8万〜10万回転とした。
粒状化室1:供給する雰囲気ガス温度を30〜50℃とし、粒状化室1内の酸素濃度を00ppm以下とし、粒状化室1内の気圧を1×10−1Paとした。
また、(-40〜200℃)の冷熱サイクル試験(TCT)では、約200サイクルを超えたあたりから、全サイクル(1000サイクル)に渡って、せん断強度が約50MPaで安定するという試験結果が得られた。
2 蓋
3 ノズル
4 皿形回転ディスク
5 回転ディスク支持機構
6 粒子排出管
7 電気炉
8 混合ガスタンク
9 配管
10 配管
11 弁
12 排気装置
13 弁
14 排気装置
15 自動フィルター
16 微粒子回収装置
120 金属間化合物
140 金属マトリクス
2.前記Sn−Cu合金がSnを80〜99.5質量%およびCuを0.5〜20質量%含むことを特徴とする前記1に記載の金属粒子。
3.前記金属粒子は、前記金属間化合物を3〜85体積%含むことを特徴とする前記1または2に記載の金属粒子。
Claims (4)
- CuおよびSnからなる金属粒子であって、
前記金属粒子は、SnおよびCuからなる金属間化合物とSn−Cu合金を含む金属マトリクスとを有し、
前記Sn−Cu合金は、γ−斜方晶を含み、
前記γ−斜方晶であるSn−Cu合金は、前記金属間化合物と接合している、
ことを特徴とする金属粒子。 - 前記γ−斜方晶であるSn−Cu合金と前記金属間化合物との接合が、エンドタキシャル接合であることを特徴とする請求項1に記載の金属粒子。
- 前記Sn−Cu合金がSnを80〜99.5質量%およびCuを0.5〜20質量%含むことを特徴とする請求項1または2に記載の金属粒子。
- 前記金属粒子は、前記金属間化合物を3〜85体積%含む
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の金属粒子。
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