JP6556197B2 - 金属粒子 - Google Patents

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Description

本発明は、金属体または合金体(金属/合金体)を接合する接合部を形成する際に用いられて好適な金属粒子に関するものである。
長時間にわたって高温動作状態が継続し、しかも、高温動作状態から低温停止状態へと大きな温度変動を伴うなど、過酷な環境下で使用される機器、例えば、車載用電力制御素子(パワーデバイス)は、上述した熱履歴にかかわらず、長期にわたって高い接合強度が維持できることが要求される。しかし、従来より知られた接合材は、必ずしも、上述した要求を満たし得るものではなかった。
例えば、特許文献1に開示されているSnAgCu系接合材(粉末はんだ材料)では、到底上述した要求を満たすことができない。
また、接合に固有の問題として、カーケンダルボイドによる機械的強度の低下の問題がある。カーケンダルボイドは、金属の相互拡散の不均衡により発生した原子空孔(格子)が、消滅することなく集積したことにより発生する。例えば、SnとCuの界面の場合、金属間化合物とCu界面とに空孔が集積し、カーケンダルボイドを形成する。このカーケンダボイドが、より大きな空洞又はクラックに発展し、接合部の信頼性及び品質を低下させ、更には機械的強度が低下し、剥離、破断、破損等を生じてしまうこともある。
例えば、特許文献2は、半導体装置の電極と実装基板の電極を、CuSnと、Cuボールを有する接続部とにより接続し、Cuボール同士もまた、CuSnで連結する技術を開示している。
特許文献3は、半導体チップ又は基板の接合面に、Cu金属粒子とSn粒子を含む接合剤を塗布し、Snの融点より高い温度で加熱し、接合剤のCuとSnとを遷移的液相焼結させた後、更に、加熱する工法を開示している。しかし、カーケンダルボイド抑制手段を開示するものではない。
特開2007−268569号公報 特開2002−261105号公報 特開2014−199852号公報
本発明の課題は、金属体または合金体(金属/合金体)を接合する接合部を形成する際に用いられて好適な金属粒子を提供することである。
上述した課題を解決するため、本発明は、融点の異なる少なくとも2種類以上の金属を含んだ金属粒子であって、前記金属粒子は、金属マトリックスおよびナノサイズの金属間化合物を有し、前記金属粒子の少なくとも内部において、金属マトリックスおよび金属間化合物がエンドタキシャル接合で構成された合金構造が存在することを特徴とする金属粒子を提供する。
本発明の金属粒子によれば、長期にわたって高い耐熱性、接合強度及び機械的強度を維持し得る接合部を得ることができる。
本発明の金属粒子の表面を極薄くレーザ研磨した試料の電子顕微鏡写真を示す図である。 図1に示された試料の拡大された電子顕微鏡写真を示す図である。 接合部の一例を示す図である。 図3のA部のSEM像を示す図である。 図4のSEM像を拡大して示す図である。 図3のA部の平面SEM像を拡大して示す図である。 (A)は金属粒子の溶融前の初期状態を示し、(B)は遷移型液相焼結(TLPS)・固化を示している。 金属粒子の溶融・再結合後の断面構造を光学顕微鏡で観測した図である。 本発明の金属粒子における金属間化合物および金属マトリクスを拡大した電子顕微鏡写真である。 金属マトリクスのSn−Cu合金が、金属間化合物とエンドタキシャル接合している状態を示す、金属粒子断面の電子顕微鏡写真である。 本発明の金属粒子の製造に好適な製造装置の一例を説明するための図である。
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
先に、本明細書において使用する用語について、次の通りに定義しておく。
(1)金属というときは、金属元素単体のみならず、複数の金属元素を含む合金、金属間化合物、コンポジット構造、又それらの組み合わせを含むことがある。
(2)ナノとは、1μm(1000nm)以下の大きさをいう。
(3)金属マトリックスとは、その他の成分でバルク化したときに、それらを支持する母材となる金属又は合金のことをいう。
(4)合金構造とは、金属マトリックスおよびナノサイズの金属間化合物がエンドタキシャル接合している構造を意味する。
(5)エンドタキシャル接合構造とは、金属・合金となる物質中に他(金属間化合物)の物質を析出させた、対象となる物質間との結晶格子レベルでの接合状態にて結晶粒を構成する構造(例えば合金間、金属間、金属間化合物間)である。
接合部を構成するために用いられる金属粒子は、融点の異なる少なくとも2種類以上の金属を含んで構成されている。
金属粒子の組成材料は、接合すべき相手方の材料に応じて適宜選定される。例えば、Cu、Al、Ni、Sn、Ag、Au、Pt、Pd、Si、B、Ti、Bi、In、Sb、Ga、Zn、Cr、Co、希土類の群から選択された低融点の金属の少なくとも一種と高融点の金属の少なくとも一種とを含むことができる。
Sn合金を含む金属粒子、例えば8質量%Cu及び92質量%Snの組成(以下8Cu・92Snと称する)の金属粒子を例にとって説明すると、8Cu・92Snの金属粒子の電子顕微鏡写真が図1、図2に図示されている。
被接合物となる金属/合金体101,501の組成によっては、8Cu・92Snの組成の金属粒子を単独で用いてもよい。これとは異なって、SnAgCu系合金の金属粒子及び/またはCuの金属粒子との混合組成の粉末をもちいてもよい。この場合の具体的な組成としてしては、SnAgCu系合金の金属粒子を10〜20質量%の範囲とし、Cuの金属粒子を10〜20質量%の範囲とし、残部を8Cu・92Snの金属粒子とするような組成である。
図1に示された8Cu・92Snの金属粒子1は、図中のスケール表示からすると、10μm以下の粒径を持っている。
金属粒子1は、合金構造を有する。合金構造の詳細について、図1、図2に図示した電子顕微鏡写真を参照し、具体的に説明する。図1、図2は、8Cu・92Snの金属粒子1の表面を、線分(X1-X1)〜(X2-X2)によって画定される幅ΔX12を以って、レーザによって薄く研磨したものの電子顕微鏡写真を示している。
先ず、図1、図2を参照すると、8Cu・92Snの金属粒子1の表面において、黒色で示す金属マトリックス中に、金属間化合物CuxSnyが、網目状121、点状又は膜状122等の形態をとって現れる。金属間化合物CuxSnyは、実際には、3次元構造を形成している。金属間化合物CuxSnyのサイズは、図2に図示されたスケール表示に照らして、nmサイズ(1μm以下)のものが含まれている。
すなわち、金属粒子1は、金属マトリックス中に分布するナノコンポジット3次元構造を形成する多数のナノサイズの金属間化合物を有している。ここでナノコンポジット3次元構造とは、金属粒子1の1/10以下のナノスケールサイズの結晶で3次元構造となっているものをいう。
8Cu・92Snの金属粒子1は、図1、図2から理解されるように、金属マトリックスおよびナノサイズの金属間化合物を有し、少なくともその内部において、金属間化合物CuSnと金属マトリックスとがエンドタキシャル接合で構成された、合金構造(合金ナノコンポジット構造)を形成している。
金属マトリックスが金属間化合物とエンドタキシャル接合で構成された、合金構造は、粉末粒子成形時にナノ化された金属間化合物が粒子内部で、金属マトリックスとエンドタキシャル接合状態で析出することで発現する。また、本発明の金属粒子1において、エンドタキシャル接合形成で構成された、合金構造は、金属粒子1の内部に3次元に広がっている。
図9は、図1のレーザ研磨した金属粒子において、金属間化合物および金属マトリクスを拡大した電子顕微鏡写真である。
図9において、金属マトリクスはSn−Cu合金を含み、金属間化合物および金属マトリクスの接合界面は、Sn−Cu合金と、金属間化合物とが、格子間レベルで接合している。すなわち、エンドタキシャル接合を形成している。
図10は、図9で示す金属粒子において、金属マトリクスのSn−Cu合金が、金属間化合物とエンドタキシャル接合している状態を示す、金属粒子断面の電子顕微鏡写真である。
図10から、金属マトリクスのSn−Cu合金と金属間化合物との界面での接合がエンドタキシャル接合であることが観察された。
エンドタキシャル接合形成で構成された、合金構造の存在により、本発明の金属粒子を基材の接合部形成に使用したときに、下記で説明するように、金属間化合物と金属マトリックスからなる結合強固なエンドタキシャル接合で構成された構造が発現し、その結果、優れた高温耐熱性、柔軟性、接合強度および機械的強度とを兼ね備えるとともに、カーケンダルボイドの発生を抑制できる。
なお、本発明の金属粒子は、外殻とコア部とを有し、前記コア部が前記合金構造を含み、コア部を覆う前記外殻も又、合金構造から実質上構成されるものであることができる。
なお、合金構造は、CuとSnの組み合わせ以外の組み合わせ、例えば、Cu、Al、Ni、Sn、Ag、Au、Pt、Pd、Si、B、Ti、Bi、In、Sb、Ga、Zn、Cr、Co、希土類の群から選択された低融点の金属の少なくとも一種と高融点の金属の少なくとも一種との組み合わせにも形成することができる。
本発明の金属粒子の製造に好適な製造装置の一例を図11を参照して説明する。粒状化室1001は上部が円筒状、下部がコーン状になっており、上部に蓋1002を有する。蓋1002の中心部には垂直にノズル1003が挿入され、ノズル1003の直下には皿形回転ディスク1004が設けられている。符号1005は皿形回転ディスク1004を上下に移動可能に支持する機構である。また粒状化室1001のコーン部分の下端には生成した粒子の排出管1006が接続されている。ノズル1003の上部は粒状化する金属を溶融する電気炉(高周波炉)1007に接続されている。混合ガスタンク1008で所定の成分に調整された雰囲気ガスは配管1009及び配管1010により粒状化室1001内部及び電気炉1007上部にそれぞれ供給される。粒状化室1001内の圧力は弁1011及び排気装置1012、電気炉1007内の圧力は弁1013及び排気装置1014によりそれぞれ制御される。ノズル3から皿形回転ディスク1004上に供給された溶融金属は皿形回転ディスク1004による遠心力で微細な液滴状になって飛散し、減圧下で冷却されて固体粒子になる。生成した固体粒子は排出管1006から自動フィルター1015に供給され分別される。符号1016は微粒子回収装置である。
溶融金属を冷却固化させる過程は、金属マトリックスおよび金属間化合物がエンドタキシャル接合を形成するために重要である。
例えば次のような条件が挙げられる。
皿形回転ディスク1004:内径60mm、深さ3mmの皿形ディスクを用い、毎分8万〜10万回転とする。
粒状化室1001:9×10-2Pa程度まで減圧する性能を有する真空槽を使用して減圧した上で、15〜50℃の窒素ガスを供給しつつ排気を同時に行って、粒状化室1001内の気圧を1×10−1Pa以下とする。
これら条件により製造された金属粒子の粒径は、例えば直径20μm以下であり、典型的には2μm〜15μmである。
この8Cu・92Snの金属粒子1をシート状あるいはペースト状に加工し、これを接合すべき2つの部材間で溶融・固化させると、金属粒子1の3次元構造の金属間化合物が分離・再結合し、金属間化合物の新たな3次元構造が形成される。
金属粒子1からなるプリホームシートを得るには、金属粒子1を含む粉末を、たとえば冷間圧接法を用いた金属間接合によって処理することによって得ることができる。冷間圧接法を用いた金属間接合それ自体は、種々知られている。本発明においては、それらの公知技術を適用することができる。例えば、対向する向きに回転する一対の圧接ローラの間に、本発明に係る金属粒子1を含む粉末を供給し、圧接ローラから粉末に対して圧力を加えて、粉末を構成する金属粒子1に金属間接合を生じさせる。実際の処理に当たっては、圧接ローラから粉末に100℃前後の熱を加えることが望ましい。これにより金属粒子1からなるプリホームシートが得られる。
金属粒子1を含む粉末に対し、冷間圧接法を用いた金属間接合処理を施してプリホームシートを得た場合、プリホームシートの内部では、本発明の金属粒子1及び他の粒子は、外形形状は変化するものの、粒子の内部構造は、ほぼ、原形を保っている。即ち、プリホームシートは、複数の金属成分によるnmサイズの金属間化合物を含むナノコンポジット構造を有する。従って、成形体は、本発明に係る金属粒子の奏する作用効果をそのまま保存している。
次に、プリホームシートを接合すべき2つの部材間に介在させ、焼成(焼き付け処理)することで接合部が形成される。焼き付け処理温度は、例えば250℃であり、焼き付け処理時間は適宜調整される。
あるいは、金属粒子1を用いて接合層22を効率的に形成するため、例えば、金属粒子1を有機ビヒクル中に混在させた導電性ペーストを形成する。
そして、接合すべき2つの部材の一方の面にこの導電性ペーストを塗布し、焼成(焼き付け処理)することで接合部が形成される。焼き付け処理温度は、例えば250℃であり、焼き付け処理時間は適宜調整される。
図3を参照すると、このようにして得られた接合部300は、例えば、対向配置された基板100、500に形成された金属/合金体101,501を接合する。基板100,500は、例えば、パワーデバイスなどの電子・電気機器を構成する基板であり、金属/合金体101,501は、電極、バンプ、端子またはリード導体などとして、基板100,500に一体的に設けられている。パワーデバイスなどの電子・電気機器では、金属/合金体101,501は、一般にはCuまたはその合金として構成される。もっとも、基板100,500に相当する部分が、金属/合金体で構成されたものを排除するものではない。
接合部300は、金属間化合物と金属マトリックスとを含む。金属間化合物及び金属マトリックスは、ナノコンポジット構造を構成する。ナノコンポジット構造では、金属間化合物の間に200nm以下の金属マトリックスが存在し、金属マトリックスの間に200nm以下の金属間化合物が存在する。この点について、図4及び図5を参照して具体的に説明する。
図4及び図5において、接合部300は、金属/合金体101,501の表面に、第1層301、第2層302及び第3層303が、この順序で積層された構造を持つ。第1層301及び第2層302は、いずれも、金属間化合物及び金属マトリックスによるナノコンポジット構造を有する。図5を見ると、第1層301及び第2層302において、山状、迷路状に見える部分が金属間化合物であり、谷状、迷路状に見える部分が金属マトリックスである。
図5のスケール表示を参照すると、金属間化合物の間に200nm以下の金属マトリックスが存在し、金属マトリックスの間に200nm以下の金属間化合物が存在するナノコンポジット構造を有することがわかる。第1層301及び第2層302のいずれにおいても、ナノコンポジット構造は、単結晶が200nm以下の金属間化合物と、結晶が200nm以下の金属マトリックスとの集合で構成されていてもよい。
上記ナノコンポジット構造において、第1層301及び第2層302に含まれる金属間化合物は、3次元構造を構成する。図4及び図5は、そのうち研磨面で見た3次元構造を示し、図6は研磨面に直交する平面で見た3次元構造を示し、ラメラ構造となっている。
図4及び図5では、金属/合金体101,501は、Cu層である。接合部300は、低融点金属成分であるSnと、Snよりも融点の高い高融点金属成分であるCuとを含み、Cu層である金属/合金体101,501の表層に結合されている。金属/合金体101,501と接合部300との結合は、固相拡散接合である。
上記構造において、第1層301は、Cu層である金属/合金体101,501に隣接しているため、Cuリッチな組成の金属間化合物CuSnと、金属マトリックス(Snと数パーセントの合金CuSn(X<Y)))とのナノコンポジット構造となる。Cu層である金属/合金体101,501から遠い第2層302は、金属間化合物CuSnと、金属マトリックスとのナノコンポジット構造となる。すなわち、金属間化合物CuxSnyにおいて、金属/合金体101,501に近いほど、Cuの含有量xが増大する一方、Snの含有量yが減少し、逆に、金属/合金体101,501から遠ざかるほど、Cuの含有量xが減少し、Snの含有量yが増大する組成濃度傾斜を持つ。金属間化合物CuSn及び金属間化合物CuSnは、上述した組成濃度傾斜におけるCu、Snの安定組成域を示す。
第1層301と第2層302との間の結合は、金属間拡散結合である。
上述したように、接合部300は、金属間化合物と、金属マトリックスによるナノコンポジット構造を有しており、ナノコンポジット構造は、金属間化合物の間に200nm以下の金属マトリックスが存在し、金属マトリックスの間に200nm以下の金属間化合物が存在する構造を有する。このナノコンポジット構造において、金属間化合物は、3次元構造を構成する。
上述したナノコンポジット構造及び3次元構造によれば、接合部300それ自体が、第1層301及び第2層302を構成する金属間化合物による高温耐熱性と、同じく金属マトリックスによる柔軟性とを兼ね備えることになる。このため、長時間にわたって高温動作状態が継続した場合でも、また、高温動作状態から低温停止状態へと大きな温度変動を伴うなど、過酷な環境下で使用された場合でも、長期にわたって高い耐熱性、接合強度及び機械的強度が維持されることになる。
また、接合部300において、カーケンダルボイドが発生するのを抑制し、機械的強度が大で、剥離、破断、破損等を生じにくい高信頼性及び高品質の接合部を形成することが可能になる。
更に、ナノコンポジット構造によれば、金属/合金体101,501と接合部300との間の接合時に、ナノレベルで、双方向の固相拡散反応が生じる。このため、長時間にわたって高温動作状態が継続した場合でも、また、高温動作状態から低温停止状態へと大きな温度変動を伴うなど、過酷な環境下で使用された場合でも、長期にわたって高い耐熱性、接合強度及び機械的強度が維持されることになる。
ちなみに、280℃の高温保持試験(HTS)では、試験開始時から約100時間までは、せん断強度が約40MPaから約55MPaまで上昇し、100時間超の時間領域では、ほぼ50MPaで安定するという試験結果が得られた。
また、(-40〜200℃)の冷熱サイクル試験(TCT)では、約200サイクルを
超えたあたりから、全サイクル(1000サイクル)に渡って、せん断強度が約35MPaで安定するという試験結果が得られた。
接合部300の具体的な態様として、金属間化合物は、低融点金属成分と低融点金属成分よりは融点の高い高融点金属成分とを含み、金属マトリックスは、低融点金属成分を含むことができる。この場合には、金属間化合物に含まれる高融点金属成分による高温耐熱性と、金属マトリックスの熱軟化による柔軟性とが相俟って、長期にわたって高い耐熱性、接合強度及び機械的強度が維持される。
また、初期融解時には、主として、低融点成分のもつ融点で溶解させ、凝固後の再融解温度を、高融点成分の持つ融点によって支配されるような温度まで、高温化することができる。つまり、温度ヒエラルキ―を確保することができる。従って、耐熱性に優れた高信頼性及び高品質の接合部300を形成することができる。
このような接合部300は、上述のように8Cu・92Snの金属粒子1から得られた。
しかしながら、金属粒子1の組成材料は、接合すべき相手方の材料に応じて適宜選定され、例えば、Cu、Al、Ni、Sn、Ag、Au、Pt、Pd、Si、B、Ti、Bi、In、Sb、Ga、Zn、Cr、Co、希土類の群から選択された低融点の金属の少なくとも一種と高融点の金属の少なくとも一種とから選択される。したがって、耐熱性に優れた高信頼性及び高品質の接合部300を得るため、選択した材料に応じてその都度、性能試験を行ないつつ質量比を適宜値に決定する必要がある。
本発明者は、金属粒子を得るために選択した材料が変わっても、上述のような耐熱性に優れた高信頼性及び高品質の接合部300が常に得られるための普遍的な理論や条件を鋭意研究した。
上述したように、金属粒子1は、金属マトリックス中に分布するナノコンポジット3次元構造を形成する多数のナノサイズの金属間化合物を有し、このような金属粒子1は直径10μm以下で、その製造過程(ナノマイズと呼ぶ改良アトマイズ技術)において、組成の一部がすでに金属間化合物として金属粒子1の表面に網目状のバスケット構造を形成している。例えば、Sn92質量%、Cu8質量%の金属粒子1はその表面付近にCuSnの金属間化合物のバスケット構造を形成している。
こうした構造を持つ金属粒子1をペースト状、或いはシート状に加工し、これを溶融固化させる際に、次のような構造の再構成が進行する。
すなわち、図7(A)は溶融前の初期状態を示しており、図7(B)は遷移型液相焼結(TLPS)・固化を示している。
図7(A)に示す初期状態では、金属粒子1はCuSnの金属間化合物のバスケット構造61を有し、バスケット構造61は金属マトリックス62中に分布している。
図7(B)に示す溶融固化後は、金属間化合物からなるバスケット構造61の分離・再結合が行なわれ、金属間化合物からなる新たな3次元構造63が金属マトリックス62中に形成されている。
Sn92質量%、Cu8質量%の金属粒子1の溶融・再結合後の断面構造を光学顕微鏡で観測した例を図8に示す。
断面では金属間化合物64が金属マトリックス65中に島状に分布して見えているが、奥行き方向を含めると金属間化合物64の3次元構造が形成されている。
金属粒子1の溶融後、金属粒子1の3次元構造の金属間化合物が分離・再結合し、金属間化合物からなる3次元構造が再構築されるには、再構築可能な金属間化合物の3次元構造が、予め金属粒子1中にある割合で含まれていればよいのではと本発明者は考えた。
すなわち、本発明者は、金属粒子1中において金属間化合物が占める体積比をある範囲内に収めれば、金属粒子1を得るために選択した材料が変わっても、上述のような耐熱性に優れた高信頼性及び高品質の接合部300が常に得られるのではと考えた。
以下、金属粒子1を形成するため、低融点の金属としてSnを選択し、高融点の金属としてCuを選択し、得られた接合部の性能を試験した実験例1について説明する。
実験例1において、左端の数値は、金属粒子1に含まれる金属間化合物の体積比を示している。
上述したように金属粒子1は、選択した融点の異なる2種以上の金属組成の溶融金属を強制的に作られた遠心場内に供給して遠心力等により小滴として飛散させて作られる。
そして、出来上がった金属粒子1は、金属間化合物が金属マトリックス中にある割合で含まれている必要がある。
ここで、金属マトリックスとなる金属は、低融点金属と数パーセントの合金を含む。実験例1では、低融点金属はSnであり、数パーセントの合金はCuSn(X<Y))であり、金属マトリックスの質量が分かる。
また、金属間化合物も分子式からその質量が分かる。
したがって、金属間化合物が所望の体積比を持った金属粒子1は、選択した2種以上の金属の質量を適宜決定することで得られる。
さらに、このようにして得られた金属粒子1について、ナノコンポジット3次元構造をなす金属間化合物が金属粒子1中において所望の体積比となっているか否かをXRD(X線回折装置)で測定した。
このような金属粒子を用いて上述のようにプリホームシートを作成し、プリホームシートから接合部を形成した。
得られた接合部の性能試験は、280℃の高温保持試験(HTS)であり、100時間経過後のせん断強度を測定した。
せん断強度が40MPaに満たず接合部が破断した場合を×で示し、接合部のせん断強度が40MPaを超えた場合を○で示し、せん断強度が50MPaを超えた場合を◎で示した。
[実験例1]
1% 接合部試験×
3% 接合部試験○
10% 接合部試験◎
15% 接合部試験◎
40% 接合部試験◎
75% 接合部試験◎
85% 接合部試験○
90% 接合部試験×
以上の実験例から明らかなように、体積比で3%以上85%以下の割合で金属間化合物が含まれている金属粒子1によれば、耐熱性に優れた高信頼性及び高品質の接合部が得られる。なかでも体積比で10%以上75%以下の割合で金属間化合物が含まれている金属粒子1によれば、さらに耐熱性に優れた高信頼性及び高品質の接合部が得られる。
そして、本発明は、金属粒子1の溶融後、金属粒子1が持つ3次元構造の金属間化合物が再構築され、高信頼性及び高品質の接合部が得られるための原理であるため、CuとSnの組み合わせ以外の組み合わせ、例えば、Cu、Al、Ni、Sn、Ag、Au、Pt、Pd、Si、B、Ti、Bi、In、Sb、Ga、Zn、Cr、Co、希土類の群から選択された低融点の金属の少なくとも一種と高融点の金属の少なくとも一種との組み合わせにも無論適用される。
なお、本発明の金属粒子1は、接合部を形成する際に用いられるのみに限定されず、その用途は任意である。
1 金属粒子
16 半導体素子
1602 基板
1604 接合電極
18 配線部材
100,500 基板
101,500 金属/合金体
300 接合部
1001 粒状化室
1002 蓋
1003 ノズル
1004 皿形回転ディスク
1005 回転ディスク支持機構
1006 粒子排出管
1007 電気炉
1008 混合ガスタンク
1009 配管
1010 配管
1011 弁
1012 排気装置
1013 弁
1014 排気装置
1015 自動フィルター
1016 微粒子回収装置

Claims (3)

  1. CuおよびSnからなる金属粒子であって、
    前記金属粒子は、Sn−Cu合金からなる金属マトリックスとCuおよびSnからなるナノサイズの金属間化合物を有し、
    前記金属粒子の少なくとも内部において、金属マトリックスおよび金属間化合物がエンドタキシャル接合で構成された合金構造が存在することを特徴とする金属粒子。
  2. 前記金属間化合物は前記金属粒子中に体積比で3%以上85%以下の割合で含まれていることを特徴とする請求項1記載の金属粒子。
  3. 前記金属間化合物は前記金属粒子中に体積比で10%以上75%以下の割合で含まれていることを特徴とする請求項2記載の金属粒子。
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