JP2018144080A - 接合構造部 - Google Patents
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しかし、金属間化合物は脆いという弱点があり、この問題点を解決すれば、更に高い耐熱性、接合強度及び機械的強度を有する接合材を提供できることになる。
すなわち本発明は、以下の通りである。
前記金属間化合物は、SnおよびCuからなり、
前記金属マトリクスは、Sn−Cu合金を含み、
前記Sn−Cu合金は、γ−斜方晶を含み、
前記γ−斜方晶であるSn−Cu合金は、前記金属体または合金体と接合している、
ことを特徴とする接合構造部。
2.前記γ−斜方晶であるSn−Cu合金と前記金属間化合物との接合が、エンドタキシャル接合構造であることを特徴とする前記1に記載の接合構造部。
3.前記γ−斜方晶であるSn−Cu合金と前記金属体または合金体との接合が、エピタキシャル接合であることを特徴とする前記1または2に記載の接合構造部。
4.前記金属体または合金体が、Sn、Cu、Al、Ni、Si、Ag、Au、Pt、B、Ti、Bi、In、Sb、Ga、Zn、CrおよびCoから選択された少なくとも1種の金属、合金体または金属間化合物であることを特徴とする前記3に記載の接合構造部。
5.前記接合構造部は、前記金属間化合物を3〜85体積%含む
ことを特徴とする前記1〜4のいずれかに記載の接合構造部。
本発明の接合構造部では、γ−斜方晶であるSn−Cu合金とSnおよびCuからなる金属間化合物との接合が格子間レベルで生じており、すなわちエンドタキシャル接合構造が形成され、金属間化合物がγ−斜方晶であるSn−Cu合金で包まれた形態を取っている。エンドタキシャル接合構造は、Sn−Cu合金を含む金属マトリクス中に金属間化合物が析出し、両者が格子間レベルで接合する形態である。このような接合構造は、両者の接合強度を非常に高く保つことができ、金属間化合物の脆さを克服できるとともに、γ−斜方晶であるSn−Cu合金は、温度変化による結晶状態の変態を起こさないので、高い耐熱性を付与することができる。
さらに、本発明の接合構造部において、金属または合金体(例えば電極)と、金属マトリクスのγ−斜方晶であるSn−Cu合金とが、エピタキシャル接合するため、電極界面の結晶構造が安定し、その結果、前記接合構造部は、金属間化合物による高温耐熱性と、金属マトリックスによる柔軟性とを兼ね備えることが可能である。このため、長時間にわたって高温動作状態が継続した場合でも、また、高温動作状態から低温停止状態へと大きな温度変動を伴うなど、過酷な環境下で使用された場合でも、長期にわたって高い耐熱性、接合強度及び機械強度が維持されることになる。なお本発明で言うエピタキシャル接合構造とは、下地の金属または合金体(例えば電極)界面上に結晶成長が行われ、下地の結晶面と、γ−斜方晶であるSn−Cu合金とが結晶面同士で接合している状態を意味する。
このように、本発明によれば、従来技術よりも高い耐熱性、接合強度および機械的強度を有する接合構造部を提供することができる。
先に、本明細書において使用する用語について、次の通りに定義しておく。
(1)金属というときは、金属元素単体のみならず、複数の金属元素を含む合金、金属間化合物、コンポジット構造、又それらの組み合わせを含むことがある。
(2)ナノとは、1μm(1000nm)以下の大きさをいう。
(3)金属マトリックスとは、その他の成分でバルク化したときに、それらを支持する母材となる金属又は合金のことをいう。
(4)エンドタキシャル接合構造とは、金属・合金となる物質中に他(金属間化合物)の物質を析出させた、対象となる物質間との結晶格子レベルでの接合状態にて結晶粒を構成する構造(例えば合金間、金属間、金属間化合物間)である。
図1において、接合構造部300は、対向配置された基板100、500に形成された金属/合金体101、501(図1ではCu電極)を接合する。接合構造部300は、金属間化合物および金属マトリクスを含み、金属間化合物は、SnおよびCuからなり(例えばCu6Sn5(その他Cu3Sn))、金属マトリクスは、Sn−Cu合金を含み、前記Sn−Cu合金は、γ−斜方晶を含み、前記γ−斜方晶であるSn−Cu合金は、前記金属間化合物と接合している構造である。
本発明の金属粒子は、SnおよびCuからなる金属間化合物とSn−Cu合金を含む金属マトリクスとを有し、前記Sn−Cu合金は、γ−斜方晶を含み、前記γ−斜方晶であるSn−Cu合金は、前記金属間化合物と接合している構造を特徴とする。
図3において、金属マトリクスはSn−Cu合金を含むものであって、その少なくとも一部は、γ−斜方晶の結晶構造を有する。金属間化合物および金属マトリクスの接合界面は、γ−斜方晶のSn−Cu合金と、金属間化合物とが、格子間レベルで接合している、いわゆるエンドタキシャル接合構造を形成している。
図4Aから、金属間化合物との界面での接合がエンドタキシャル接合であることが観察され、図4Bから、金属マトリクスに含まれるSn−Cu合金が、γ−斜方晶の結晶構造を有していることが確認された。
図4における電子顕微鏡写真および高速反射電子線回折は、常温(室温)での観察されたものであり、従来技術では常温の金属マトリクスはβ−正方晶で存在しているはずが、本発明では、金属マトリクスがγ−斜方晶のSn−Cu合金を含み、これが金属間化合物とエンドタキシャル接合構造を形成していることが確認された。
図4で示すようなエンドタキシャル接合は、金属間化合物とSn−Cu合金との接合面の全体を100%としたとき、30%以上が好ましく、60%以上がさらに好ましい。なお、金属間化合物とSn−Cu合金との接合面のすべてがエンドタキシャル接合を形成せず、外殻との界面の1部がエピタキシャル接合することもある。
なお、本発明の金属粒子は、外殻とコア部とを有し、前記コア部が前記金属マトリクスおよび金属間化合物を含み、コア部を覆う前記外殻は、金属間化合物から実質上構成されるものであることができる。
前記エンドタキシャル接合構造の割合は、例えば次のようにして算出できる。
前記図2のNo.2で示すような金属粒子の断面を電子顕微鏡写真撮影し、金属間化合物とSn−Cu合金との接合面を任意に50か所サンプリングする。続いて、その接合面を画像解析し、図4で示すようなエンドタキシャル接合構造が、サンプリングした接合面に対してどの程度存在するのかを調べる。
例えば次のような条件が挙げられる。
皿形回転ディスク4:内径60mm、深さ3mmの皿形ディスクを用い、毎分8万〜10万回転とする。
粒状化室1:供給する雰囲気ガス温度を15〜50℃とする。粒状化室1内の酸素濃度を0ppm以下とする。粒状化室1内の気圧を1×10−1Pa以下とする。
これら条件により製造された金属粒子の粒径は、例えば直径20μm以下であり、典型期には2μm〜10μmである。
金属粒子からなるプリホームシートは、金属粒子を、例えば冷間圧接法を用いた金属間接合によって処理することによって得ることができる。冷間圧接法を用いた金属間接合それ自体は、種々知られている。本発明においては、それらの公知技術を適用することができる。例えば、対向する向きに回転する一対の圧接ローラの間に、本発明の金属粒子を供給し、圧接ローラによって金属粒子に対して圧力を加えて、金属粒子に金属間接合を生じさせる。実際の処理に当たっては、圧接ローラから金属粒子に100℃前後の熱を加えることが望ましい。これにより金属粒子からなるプリホームシートが得られる。
あるいは、金属粒子を用いて接合構造部を効率的に形成するため、例えば、金属粒子を有機ビヒクル中に混在させた導電性ペーストを形成する。
そして、接合すべき2つの部材の一方の面にこの導電性ペーストを塗布し、焼成(焼き付け処理)することで接合構造部が形成される。焼き付け処理温度は、例えば250℃であり、焼き付け処理時間は適宜調整される。
原材料として8Cu・92Snを用い、図5に示す製造装置により、直径約3〜10μmの金属粒子を製造した。
その際、溶融金属を急速冷却固化させ、強制的に自己組織化させる際に適用される条件としては、以下の条件を採用した。
皿形回転ディスク4:内径60mm、深さ3mmの皿形ディスクを用い、毎分8万〜10万回転とした。
粒状化室1:供給する雰囲気ガス温度を30〜50℃とし、粒状化室1内の酸素濃度を00ppm以下とし、粒状化室1内の気圧を1×10−1Paとした。
なお、図8に、図7のエピタキシャル接合の界面の組成分析図を示す。
2 蓋
3 ノズル
4 皿形回転ディスク
5 回転ディスク支持機構
6 粒子排出管
7 電気炉
8 混合ガスタンク
9 配管
10 配管
11 弁
12 排気装置
13 弁
14 排気装置
15 自動フィルター
16 微粒子回収装置
120 金属間化合物
140 金属マトリクス
100,500 基板
101,501 金属/合金体
300 接合構造部
Claims (5)
- 金属間化合物および金属マトリクスを含み、金属体または合金体を接合する接合構造部であって、
前記金属間化合物は、SnおよびCuからなり、
前記金属マトリクスは、Sn−Cu合金を含み、
前記Sn−Cu合金は、γ−斜方晶を含み、
前記γ−斜方晶であるSn−Cu合金は、前記金属体または合金体と接合している、
ことを特徴とする接合構造部。 - 前記γ−斜方晶であるSn−Cu合金と前記金属間化合物との接合が、エンドタキシャル接合構造であることを特徴とする請求項1に記載の接合構造部。
- 前記γ−斜方晶であるSn−Cu合金と前記金属体または合金体との接合が、エピタキシャル接合であることを特徴とする請求項1または2に記載の接合構造部。
- 前記金属体または合金体が、Sn、Cu、Al、Ni、Si、Ag、Au、Pt、B、Ti、Bi、In、Sb、Ga、Zn、CrおよびCoから選択された少なくとも1種の金属、合金体または金属間化合物であることを特徴とする請求項3に記載の接合構造部。
- 前記接合構造部は、前記金属間化合物を3〜85体積%含む
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の接合構造部。
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