JP2018135337A - 有機ドーパント化合物およびそれらを用いた有機電界発光素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】有機半導体材料に良好な電気伝導性を付与し、良好な保存安定性を有し、有機電界発光素子に良好な発光特性を付与することが可能な化合物の提供。【解決手段】一般式(2)で例示される化合物。(R1〜R4、R7〜R14は、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基のいずれかを表す。R5〜R6は置換基を有してもよいアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基を表す。)【選択図】図7

Description

本発明は、有機ドーパント化合物およびそれらを用いた有機電界発光素子に関する。
有機電界発光素子(有機EL素子)とは電極間に有機材料を挟み、電圧を印加することで、発光する素子のことである。ここで用いられる有機材料は一般的に有機半導体と呼ばれる。有機半導体とはシリコン半導体などの無機半導体と異なり、有機分子もしくは有機高分子からなる半導体のことである。代表的な有機半導体材料として、ポリアセチレン、ポリチオフェン等があげられ、過去から有機TFT材料、有機太陽電池材料、有機EL材料等の分野で活発に開発されている。
このような有機半導体材料は一般的にそれ単独では電気伝導性が低く、素子として適用することが困難である。そこで基質となる有機半導体材料に伝導性を付与するために他の化合物(ドーパント)を混合(ドープ)することが考えられた。有機化合物ドーパントの例として(4−(1,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)フェニル)ジメチルアミン(N−DMBI)が挙げられる。この材料は熱などのエネルギーにより水素が放出され、ラジカルもしくはカチオンになり、有機半導体材料の電気伝導性を向上させることが確認されている(非特許文献1、2、特許文献3)。
また有機ELにおいても電子輸送層に添加すると、発光特性がよくなることも分かっている(特許文献4)。
国際公開第2011/127075号 特開2014−49697
Mingtao Lu, Herman T. Nicolai, Gert−Jan A. H. Wetzelaer, and Paul W. M. Blom,"N−type doping of poly(p−phenylene vinylene) with air−stable dopants",APPLIED PHYSICS LETTERS 99, 173302(2011) Peng Wei,Joon Hak Oh,Guifang Dong,and Zhenen Bao,"Use of a 1H−Benzoimidazole Derivatives as an n−Type Dopant and To Enable Air−Stable Solution−Processed n−Channnel Organic Thin−Film Transistor",JOURNAL Of the American Chemical Society 132、8852−8853(2010)
上記のとおり、有機半導体材料の電気伝導性を改善する為に、種々のドーパントが提案されている。しかし、それらのドーパントは、保存安定性が十分ではないとの問題があった。さらに、電気伝導性の付与も十分ではないといった問題があった。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、有機ドーパント化合物として使用された場合に、有機半導体材料に良好な電気伝導性を付与することが可能であり、良好な保存安定性を有し、特に有機電界発光素子に良好な発光特性を付与することが可能な化合物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく種々検討を行なった。その結果、所定の構造を有する化合物が良好な安定性を有し、有機ドーパント化合物として使用された場合に、良好なドープ性能を有し、該有機ドーパントを含む有機半導体素子の駆動安定性が向上することを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、一般式(1)で表わされる化合物である。
Figure 2018135337
式(1)において、R〜R、R〜R10は、それぞれ水素原子もしくは、置換基を有してもよいアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基のいずれかを表し、また、お互いに環を形成していてもよい。R〜Rは置換基を有してもよいアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基のいずれかを表す。Xは炭素原子もしくは窒素原子いずれかを表し、Yは非共有電子対をもつ原子で窒素、酸素、硫黄原子のいずれかを表す。円弧はX,Yを含む5員環もしくは6員環の芳香族環である母骨格を表す。この母骨格は置換基を有してもよく、また、縮環していてもよい。
本発明の化合物は、保存安定性が高く、有機半導体材料の有機ドーパント化合物として使用した場合に、高い電気伝導性を付与することができる。特に有機電界発光素子に良好な発光特性を付与することが可能となる。また、該有機材料を使用した有機電界発光素子の駆動安定性を良好なものとすることが可能となる
図1は1−メチル−2−フェニル−1H−ベンゾ [d]イミダゾールのH−NMRチャート図である。 図2は1−メチル−2−(2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾールのH−NMRチャート図である。 図3は1−メチル−2−(2−(ピリジン−2−イル)フェニル)4−1H−ベンゾ [d]イミダゾールのH−NMRチャート図である。 図4は1,3−ジメチル−2−(2−(ピリジン−2−イル)フェニル)−1H−ベンゾ [d]イミダゾール−3−イウムヨージドのH−NMRチャート図である。 図5は1,3−ジメチル−2−(2−(ピリジン−2−イル)フェニル)−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ [d]イミダゾール(Py−DMBI)のH−NMRチャート図である。 図6は実施例1、比較例1の電圧−電流特性の比較図である。 図7は実施例1、比較例1の電圧−輝度特性の比較図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
[本発明の化合物]
本発明の化合物は、上記一般式(1)であらわされる。
本発明の化合物は水素放出型の化合物であり、水素を放出したカルボカチオンもしくはカルボラジカルに電子供与性の置換基(非共有電子対を持つ置換基および原子)が近接すること、または配位することでより高い放出性(ドープ性能)、安定性を付与することができる。すなわち上記一般式(1)で表わされる化合物をドーパントに用いれば、2位の水素が放出された際に残るカチオンもしくはラジカルに上記一般式(1)中のYが近接すること、または配位することで電子供与し安定化する。
上記式(1)中、R〜R、R〜R10はそれぞれ水素原子もしくは、置換基を有してもよいアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基のいずれかを表し、また、お互いに環を形成していてもよい。
上記置換基を有しても良いアルキル基は、炭素数が1〜30の基であることが好ましく、1〜18の基であることがより好ましい。
置換基を有するアルキル基とは、アルキル基の水素原子の1または2以上が、他の置換基で置換されている基であり、置換基としては、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、カルボン酸エステル基、アミノ基、アルコキシ基等が例示される。
上記置換基を有しても良いアリール基は、炭素数が6〜30の基であることが好ましく、6〜18の基であることがより好ましい。
置換基を有するアリール基とは、アリール基の水素原子の1または2以上が、他の置換基で置換されている基であり、置換基としては、アルキル基、ヘテロアリール基、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、カルボン酸エステル基、アミノ基、アルコキシ基等が例示される。
上記置換基を有しても良いヘテロアリール基は、炭素数が3〜30の基であることが好ましく、3〜18の基であることがより好ましい。
置換基を有するヘテロアリール基とは、ヘテロアリール基の水素原子の1または2以上が、他の置換基で置換されている基であり、置換基としては、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、カルボン酸エステル基、アミノ基、アルコキシ基等が例示される。
上記式(1)中、Xは炭素原子もしくは窒素原子いずれかを表す。
上記式(1)中、Yは非共有電子対をもつ原子で窒素、酸素、硫黄原子のいずれかを表す。Yが窒素原子、酸素原子、硫黄原子のいずれかであることにより、式(1)の化合物が水素を放出したカルボカチオンもしくはカルボラジカルが安定する傾向にある。これによりドープ性能が増加し、有機半導体材料等への電気伝導性の付与効果が向上する。Yは、窒素原子であることが好ましい。
上記式(1)中、円弧はX,Yを含む5員環もしくは6員環の芳香族環である母骨格を表す。この母骨格は置換基を有してもよく、また、縮環していてもよい。円弧が上記構造であることにより、式(1)の化合物が水素を放出したカルボカチオンもしくはカルボラジカルが安定する傾向にある。これによりドープ性能が増加し、有機半導体材料等への電気伝導性の付与効果が向上する。
上記式(1)中の円弧を構成する6員環、5員環の母骨格としては、例えば、窒素原子を1〜3つ含む5〜6員環、窒素原子1つと酸素原子1つとを含む5員環、窒素原子1つと硫黄原子1つとを含む5員環、窒素原子2つと硫黄原子1つとを含む5員環等が例示され、より具体的には、例えば以下の構造が例示される。以下の構造式中の*はベンゼン環との結合を表し、Rは置換基を有してもよいアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基のいずれかを表す。置換基を有してもよいアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基としては、上記と同様である。また、前述のとおり母骨格に他の芳香族環が縮環した構造も含む。なお、母骨格に他の芳香族環が縮環した構造としては、例えば母骨格がピリジル基である場合に他の芳香族環としてのベンゼン環が縮環したキノリル基、イソキノリル基等が例示される。
Figure 2018135337
Figure 2018135337
本発明の化合物の好ましい形態として、下記一般式(2)で表される化合物が例示される。
Figure 2018135337
式(2)において、R〜R、R〜R10、R11〜R14は、それぞれ水素原子もしくは、置換基を有してもよいアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基のいずれかを表し、また、お互いに環を形成していてもよい。R〜Rは置換基を有してもよいアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基のいずれかを表す。
式(2)におけるR〜R、R〜R10、R11〜R14の好ましい形態は、一般式(1)におけるR〜R、R〜R10の好ましい形態と同じである。
[本発明の化合物の製造方法]
本発明の化合物の製造方法は、特に限定はされないが、2−フェニル−1H−ベンゾ [d]イミダゾール等の2−アリール−1H−ベンゾ [d]イミダゾールとトリアルキルボレート等のアルキルボレート化合物とを反応することにより、2−アリール−1H−ベンゾ [d]イミダゾールのアリール基のオルト水素原子をボロネート基で置換し(工程1)、該化合物とブロモへテロアリール化合物等のハロゲンヘテロアリール化合物とを反応してボロネート基をヘテロアリール基に置換し(工程2)、該化合物のイミダゾール環の3位の窒素をハロゲン化アルキル化合物、または超原子価ハロゲン化ヘテロアリール化合物で4級化し(工程3)、該化合物のイミダゾール環を還元することにより(工程4)、製造することが好ましい。
上記工程1〜4は、溶剤の存在下で行ってもよく、使用可能な溶剤として、例えば、工程1ではジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等、工程2ではトルエン、テトラヒドロフラン等、工程3ではエタノール、メタノール、テトラヒドロフラン、アセトン等、工程4ではエタノール、メタノール、テトラヒドロフラン等が例示される。
上記工程1〜4は、反応触媒を使用しても良く、例えば工程1ではn−ブチルリチウム等の有機リチウム化合物等、工程2ではテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム等のパラジウム触媒等、工程3では、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ金属化合物、ニッケル、銅、パラジウム等の有機金属触媒等、工程4では水素化ホウ素ナトリウム、水素化アルミニウムリチウム、水素化カルシウム等のヒドリド還元剤である。
上記反応触媒は、それぞれの工程の原料であるイミダゾール化合物1モルに対して、0.01〜10モル使用することが好ましい。
上記工程1は、反応温度−100〜30℃で行うことが好ましい。上記工程2は、反応温度30〜120℃で行うことが好ましい。上記工程3は、反応温度30〜100℃で行うことが好ましい。上記工程4は、反応温度0〜100℃で行うことが好ましい。
上記工程1〜4の各工程間で、精製工程を行っても良い。精製としては、抽出、溶媒による洗浄、カラムクロマトグラフィーによる分離、再結晶等が例示される。
上記工程1〜4は、低水分雰囲気下や低酸素雰囲気下で行っても良い。
上記工程1の前に、ボロネート化の選択性を高める為にイミダゾール環の−(NH)−基をハロゲン化アルキル化合物等でアルキル化、またはハロゲン化ヘテロアリール化合物等アリール化しても良い。
上記工程1のトリアルキルボレート化合物としては、ホウ素原子にアルコキシ基が結合したトリアルキルボレート化合物等であれば特に制限されないが、アルコキシ基としては、炭素数1〜12の化合物が好ましい。
[本発明の有機電界発光素子]
本発明の有機電界発光素子は、本発明の化合物を含む。通常、本発明の化合物は、有機半導体層に含まれる。
本発明の有機電界発光素子は、少なくとも、陰極と、陽極と、陰極と陽極の間に存在する発光層を有する。
本発明の有機電界発光層は、上記のほかに、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層、バッファー層、基板などを有することができる。
本発明の有機電界発光素子の電極(第1の電極)の材質としては、ITO(インジウム酸化錫)、IZO(インジウム酸化亜鉛)、FTO(フッ素酸化錫)、In3O、SnO、Sb含有SnO、Al含有ZnO等の酸化物等が挙げられる。この中でも、ITO、IZO、FTOが好ましい。
第1の電極の平均厚さは、特に制限されないが、10〜500nmであることが好ましく、より好ましくは、100〜200nmである。第1の電極の平均厚さは、触針式段差計、分光エリプソメトリーにより測定することができる。
本発明の有機電界発光素子の第1の電極は、陰極であることが好ましい。
本発明の有機電界発光素子の電極(第2の電極)の材質としては、Au、Pt、Ag、Cu、Alまたはこれらを含む合金等が挙げられる。この中でも、Au、Ag、Alが好ましい。
上記第2の電極の平均厚さは、特に限定されないが、10〜1000nmであることが好ましい。より好ましくは、30〜150nmである。また、不透過な材料を用いる場合でも、例えば平均厚さを10〜30nm程度にすることで、透明型の電極として使用することができる。
本発明の有機電界発光素子の第2の電極は、陽極であることが好ましい。
発光層の材料としては、発光層の材料として通常用いることができるいずれの化合物も用いることができ、これらを混合して用いてもよい。発光層の材料として、リン光発光材料を含むことが好ましい。
発光層の材料としては、例えば、配位子に2,2’−ビピリジン−4,4’−ジカルボン酸を持つ3配位のイリジウム錯体、ファクトリス(2−フェニルピリジン)イリジウム(Ir(ppy)3)、8−ヒドロキシキノリン アルミニウム(Alq3)、トリス(4−メチル−8キノリノレート) アルミニウム(III)(Almq3)、8−ヒドロキシキノリン 亜鉛(Znq2)、(1,10−フェナントロリン)−トリス−(4,4,4−トリフルオロ−1−(2−チエニル)−ブタン−1,3−ジオネート)ユーロピウム(III)(Eu(TTA)3(phen))、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィン プラチナム(II)のような各種金属錯体;ジスチリルベンゼン(DSB)、ジアミノジスチリルベンゼン(DADSB)のようなベンゼン系化合物、ナフタレン、ナイルレッドのようなナフタレン系化合物、フェナントレンのようなフェナントレン系化合物、クリセン、6−ニトロクリセンのようなクリセン系化合物、ペリレン、N,N’−ビス(2,5−ジ−t−ブチルフェニル)−3,4,9,10−ペリレン−ジ−カルボキシイミド(BPPC)のようなペリレン系化合物、コロネンのようなコロネン系化合物、アントラセン、ビススチリルアントラセンのようなアントラセン系化合物、ピレンのようなピレン系化合物、4−(ジ−シアノメチレン)−2−メチル−6−(パラ−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン(DCM)のようなピラン系化合物、アクリジンのようなアクリジン系化合物、スチルベンのようなスチルベン系化合物、4,4’−ビス[9−ジカルバゾリル]−2,2’−ビフェニル(CBP)のようなカルバゾール系化合物、2,5−ジベンゾオキサゾールチオフェンのようなチオフェン系化合物、ベンゾオキサゾールのようなベンゾオキサゾール系化合物、ベンゾイミダゾールのようなベンゾイミダゾール系化合物、2,2’−(パラ−フェニレンジビニレン)−ビスベンゾチアゾールのようなベンゾチアゾール系化合物、ビスチリル(1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン)、テトラフェニルブタジエンのようなブタジエン系化合物、ナフタルイミドのようなナフタルイミド系化合物、クマリンのようなクマリン系化合物、ペリノンのようなペリノン系化合物、オキサジアゾールのようなオキサジアゾール系化合物、アルダジン系化合物、1,2,3,4,5−ペンタフェニル−1,3−シクロペンタジエン(PPCP)のようなシクロペンタジエン系化合物、キナクリドン、キナクリドンレッドのようなキナクリドン系化合物、ピロロピリジン、チアジアゾロピリジンのようなピリジン系化合物、2,2’,7,7’−テトラフェニル−9,9’−スピロビフルオレンのようなスピロ化合物、フタロシアニン(H2Pc)、銅フタロシアニンのような金属または無金属のフタロシアニン系化合物、さらには特開2009−155325号公報および特願2010−28273号に記載のホウ素化合物材料等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記発光層の平均厚さは、特に限定されないが、10〜150nmであることが好ましい。より好ましくは、20〜100nmである。発光層の平均厚さは、水晶振動子膜厚計により成膜時に測定することができる。
本発明の有機電界発光素子は、本発明の化合物を含む。本発明の化合物は、通常有機半導体層に含まれるが、本発明の有機電界発光素子が後述するバッファ層を有する場合には、バッファ層に含まれることが好ましい。本発明の有機電界発光素子の少なくとも1の有機半導体層は、本発明の化合物を、該有機半導体層(1の有機半導体層)を形成する有機化合物100質量%に対して、0.1〜15質量%含むことが好ましく、0.5〜10質量%含むことがより好ましく、1〜5質量%以上含むことが特に好ましい。 上記範囲で含むことによって、有機電界発光素子の駆動安定性がより良好となる傾向にある。
本発明の有機電界発光素子は、発光層と陰極との間にバッファ層を有していても良い。有機電界発光素子では、陽極からホールが、陰極から電子が供給され、これらが発光層で再結合して発光することになるが、陽極から供給されるホールの一部は各層を通過して陰極にまで達し、これが有機電界発光素子の効率を低下させる一因であると考えられる。バッファ層を設けることで、ホールが陰極まで達することを抑制できるため、素子の効率を高めることができる。上記バッファ層の材料としては、トランス型ポリアセチレン、シス型ポリアセチレン、ポリ(ジ−フェニルアセチレン)(PDPA)、ポリ(アルキル,フェニルアセチレン)(PAPA)のようなポリアセチレン系化合物;ポリ(パラ−フェンビニレン)(PPV)、ポリ(2,5−ジアルコキシ−パラ−フェニレンビニレン)(RO−PPV)、シアノ−置換−ポリ(パラ−フェンビニレン)(CN−PPV)、ポリ(2−ジメチルオクチルシリル−パラ−フェニレンビニレン)(DMOS−PPV)、ポリ(2−メトキシ,5−(2’−エチルヘキソキシ)−パラ−フェニレンビニレン)(MEH−PPV)のようなポリパラフェニレンビニレン系化合物;ポリ(3−アルキルチオフェン)(PAT)、ポリ(オキシプロピレン)トリオール(POPT)のようなポリチオフェン系化合物;ポリ(9,9−ジオクチルフルオレンのようなポリ(9,9−ジアルキルフルオレン)(PDAF)、ポリ(ジオクチルフルオレン−アルト−ベンゾチアジアゾール)(F8BT)、α,ω−ビス[N,N’−ジ(メチルフェニル)アミノフェニル]−ポリ[9,9−ビス(2−エチルヘキシル)フルオレン−2,7−ジル](PF2/6am4)、ポリ(9,9−ジオクチル−2,7−ジビニレンフルオレニル−オルト−コ(アントラセン−9,10−ジイル)のようなポリフルオレン系化合物;ポリ(パラ−フェニレン)(PPP)、ポリ(1,5−ジアルコキシ−パラ−フェニレン)(RO−PPP)のようなポリパラフェニレン系化合物;ポリ(N−ビニルカルバゾール)(PVK)のようなポリカルバゾール系化合物;ポリ(メチルフェニルシラン)(PMPS)、ポリ(ナフチルフェニルシラン)(PNPS)、ポリ(ビフェニリルフェニルシラン)(PBPS)のようなポリシラン系化合物や、下記の式(3)で表されるホウ素含有化合物等が挙げられる。これらは1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
Figure 2018135337
上記バッファ層は、平均厚さが5〜100nmであることが好ましい。上記バッファ層の平均厚さは触針式段差計、分光エリプソメトリーにより測定することができる。
上記式(3)中、点線の円弧は、実線で表される骨格部分と共に環構造が形成されていることを表す。実線で表される骨格部分における点線部分は、点線で結ばれる1対の原子が二重結合で結ばれていてもよいことを表す。窒素原子からホウ素原子への矢印は、窒素原子がホウ素原子へ配位していることを表す。Q1及びQ2は、同一又は異なって、実線で表される骨格部分における連結基であり、少なくとも一部が点線の円弧部分と共に環構造を形成しており、置換基を有していてもよい。X、X、X及びXは、同一又は異なって、水素原子、又は、環構造の置換基となる1価の置換基を表し、点線の円弧部分を形成する環構造に複数個結合していてもよい。nは2〜10の整数を表す。Yは直接結合又はn価の連結基であり、n個存在するY以外の構造部分とそれぞれ独立に、点線の円弧部分を形成する環構造、Q、Q、X、X、X、Xにおけるいずれか1箇所で結合していることを表す。)で表されるホウ素含有化合物であることが好ましい。
本発明の有機電界発光素子は、基板上に有機電界発光素子を構成する各層が積層されたものであってもよい。基板上に各層が積層されたものである場合、基板上に形成された第1の電極上に、各層が形成されたものであることが好ましい。この場合、本発明の有機電界発光素子は、基板がある側とは反対側に光を取り出すトップエミッション型のものであってもよく、基板がある側に光を取り出すボトムエミッション型のものであってもよい。
上記基板の材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー、ポリアミド、ポリエーテルサルフォン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリアリレートのような樹脂材料や、石英ガラス、ソーダガラスのようなガラス材料等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
また、トップエミッション型の場合には、不透明基板も用いることができ、例えば、アルミナのようなセラミックス材料で構成された基板、ステンレス鋼のような金属基板の表面に酸化膜(絶縁膜)を形成したもの、樹脂材料で構成された基板等も用いることができる。
上記基板の平均厚さは、0.1〜30mmであることが好ましい。より好ましくは、0.1〜10mmである。
基板の平均厚さはデジタルマルチメーター、ノギスにより測定することができる。
上記正孔輸送層の材料としては、正孔輸送層の材料として通常用いることができるいずれの化合物も用いることができ、これらを混合して用いてもよい。正孔輸送層の材料としては、例えば、N,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(α−NPD)等のアリールアミン化合物等が例示される。
本発明の有機電界発光素子が正孔輸送層を有する場合、正孔輸送層の平均厚さは、特に限定されないが、10〜150nmであることが好ましい。より好ましくは、40〜100nmである。 正孔輸送層の平均厚さは、水晶振動子膜厚計により成膜時に測定することができる。
上記電子輸送層の材料としては、電子輸送層の材料として通常用いることができるいずれの化合物も用いることができ、これらを混合して用いてもよい。電子輸送層の材料としては、例えば、トリス−1,3,5−(3’−(ピリジン−3’’−イル)フェニル)ベンゼン(TmPyPhB)のようなピリジン誘導体、トリス(8−ヒドロキシ−キノリナート)アルミニウム(Alq3)のような金属錯体が例示される。
本発明の有機電界発光素子が電子輸送層を有する場合、電子輸送層の平均厚さは、特に限定されないが、10〜150nmであることが好ましい。より好ましくは、40〜100nmである。電子輸送層の平均厚さは、水晶振動子膜厚計により成膜時に測定することができる。
上記電子注入層の材料としては、特に制限されないが、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化タングステン(WO)、酸化二オブ(Nb)、酸化鉄(Fe)、酸化錫(SnO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化ハフニウム(HfO)、酸化ジルコニウム(ZrO)等の金属酸化物の1種又は2種以上を用いることができ、正孔注入層の材料としては、特に制限されないが、酸化バナジウム(V)、酸化モリブテン(MoO)、酸化ルテニウム(RuO)等の金属酸化物の1種又は2種以上を用いることができる。
本発明の有機電界発光素子が電子注入層を有する場合、電子注入層の平均厚さは、特に限定されないが、1〜1000nmであることが好ましい。より好ましくは、2〜100nmである。電子注入層の平均厚さは、触針式段差計、分光エリプソメトリーにより測定することができる。本発明の有機電界発光素子が正孔注入層を有する場合、正孔注入層の平均厚さは、特に限定されないが、1〜1000nmであることが好ましい。より好ましくは、5〜50nmである。正孔注入層の水晶振動子膜厚計により成膜時に測定することができる。
本発明の有機電界発光素子において、電極、発光層、該当する場合には正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層、を形成する方法は特に制限されず、気相成膜法であるプラズマCVD、熱CVD、レーザーCVD等の化学蒸着法(CVD)、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の乾式メッキ法、溶射法、そして液相成膜法である電解メッキ、浸漬メッキ、無電解メッキ等の湿式メッキ法、ゾル・ゲル法、MOD法、スプレー熱分解法、微粒子分散液を用いたドクターブレード法、スピンコート法、インクジェット法、スクリーンプリンティング法等の印刷技術等を用いることができ、材料に応じた適切な方法を選択して用いることができる。
本発明の有機電界発光素子がバッファ層を含む場合、有機化合物を含む溶液を塗布することで形成することが好ましい。塗布により所定の厚みのバッファ層を形成することで本発明の有機電界発光素子の駆動安定性がより良好なものとなる。
上記バッファ層の材料である有機化合物を含む溶液を塗布する方法は特に制限されず、スピンコート法、キャスティング法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法等の各種塗布方法を用いることができる。この中でも、スピンコート法が好ましい。 上記有機化合物を含む溶液を調製するために使用する溶媒としては、有機化合物を溶解することができるものである限り特に制限されないが、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロベンゼン等の1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、THF、トルエン、クロロホルム、ジクロロエタンが好ましい。
以下、製造例、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの製造例、実施例に限定されるものではない。
〔製造例1〕:1−メチル−2−フェニル−1H−ベンゾ [d]イミダゾールの製造
以下の反応式により、1−メチル−2−フェニル−1H−ベンゾ [d]イミダゾールを合成した。
Figure 2018135337
2−フェニル−1H−ベンゾ [d]イミダゾール(10g、東京化成工業)を脱水テトラヒドロフラン(200ml、和光純薬)に溶解し、そこへカリウムt−ブトキシド(6.07g、和光純薬)、ヨウ化メチル(3.85ml、和光純薬)を加え、室温で終夜撹拌した。反応後、クロロホルム(和光純薬)で抽出、2回水洗し、有機層を回収、有機層は無水硫酸ナトリウム(和光純薬)で乾燥したのち濃縮した。残分をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、1−メチル−2−フェニル−1H−ベンゾ [d]イミダゾールを8g得た。
H−NMR(400MHz、CDCl)δ=7.8−7.83(1H),7.74−7.77(2H),7.49−7.53(3H),7.37−7.39(1H),7.28−7.33(2H),3.86(3H)
〔製造例2〕:1−メチル−2−(2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾールの製造
以下の反応式により、1−メチル−2−(2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾールを合成した。
Figure 2018135337
1−メチル−2−フェニル−1H−ベンゾ [d]イミダゾール(4.16g)とテトラヒドロフラン(30ml)に溶解し−78度とした。そこへn−ブチルリチウム(1.6M、n−ヘキサン溶液、15ml、関東化学)を加え30分間撹拌させた。温度を0度としたのちさらに1時間撹拌させた。そこへ2−イソプロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(4.85ml、東京化成工業)を滴下し、終夜室温で反応させた。反応後、水でクエンチし、クロロホルムで(和光純薬)で抽出、2回水洗し、有機層を回収、有機層は無水硫酸ナトリウム(和光純薬)で乾燥したのち濃縮した。残分をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、1−メチル−2−(2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾールを4g得た。
H−NMR(400MHz、CDCl)δ=7.82−7.84(1H),7.75−7.77(1H),7.47−7.51(3H),7.34−7.37(1H),7.24−7.31(2H),3.67(3H),1.10(12H)
〔製造例3〕:1−メチル−2−(2−(ピリジン−2−イル)フェニル)4−1H−ベンゾ [d]イミダゾールの製造
以下の反応式により、1−メチル−2−(2−(ピリジン−2−イル)フェニル)4−1H−ベンゾ [d]イミダゾールを合成した。
Figure 2018135337
1−メチル−2−(2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール(1.87g)、2−ブロモピリジン(1.25ml、和光純薬)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.65g、東京化成工業)を脱水トルエン(28ml、和光純薬)に溶解し、そこへ炭酸カリウム(2.33g、和光純薬)を水(5.6ml)に溶解したものを加え、110度で終夜反応させた。反応後、クロロホルムで(和光純薬)で抽出、2回水洗し、有機層を回収、有機層は無水硫酸ナトリウム(和光純薬)で乾燥したのち濃縮した。残分をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、1−メチル−2−(2−(ピリジン−2−イル)フェニル)4−1H−ベンゾ [d]イミダゾールを1.4g得た。
H−NMR(400MHz、CDCl)δ=8.59(1H),7.88(1H),7.82(1H),7.68(1H),7.65(1H),7.55(1H),7.35(1H),7.24−7.31(2H),7.16(1H),7.10(1H),6.94(1H),3.06(3H)
〔製造例4〕:1,3−ジメチル−2−(2−(ピリジン−2−イル)フェニル)−1H−ベンゾ [d]イミダゾール−3−イウムヨージドの製造
以下の反応式により、1,3−ジメチル−2−(2−(ピリジン−2−イル)フェニル)−1H−ベンゾ [d]イミダゾール−3−イウムヨージドを合成した。
Figure 2018135337
1−メチル−2−(2−(ピリジン−2−イル)フェニル)4−1H−ベンゾ [d]イミダゾール(1.4g)をエタノール(10ml、和光純薬)に溶解し、そこへ水酸化カリウム(1.4g、和光純薬)加えた。さらにヨウ化メチル(3.1ml、和光純薬)を加え45℃で終夜反応させた。生成した固体をエタノールで洗浄し1,3−ジメチル−2−(2−(ピリジン−2−イル)フェニル)−1H−ベンゾ [d]イミダゾール−3−イウムヨージドを1g得た。
H−NMR(400MHz、CDCl)δ=8.22(1H),8.02(1H),7.83−7.90(3H),7.82(1H),7.76−7.79(3H),7.63−7.66(2H),7.12(1H),3.60(6H)
〔製造例5〕:1,3−ジメチル−2−(2−(ピリジン−2−イル)フェニル)−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ [d]イミダゾール(Py−DMBI)の製造
以下の反応式により、1,3−ジメチル−2−(2−(ピリジン−2−イル)フェニル)−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ [d]イミダゾール(Py−DMBI)を合成した。
Figure 2018135337
1,3−ジメチル−2−(2−(ピリジン−2−イル)フェニル)−1H−ベンゾ [d]イミダゾール−3−イウムヨージド(1g)を脱水メタノール(20ml、和光純薬)に溶解し、水素化ホウ素ナトリウム(0.4g、和光純薬)を少しずつ加え、室温で2時間反応させた。反応後、クロロホルムで(和光純薬)で抽出、2回水洗し、有機層を回収、有機層は無水硫酸ナトリウム(和光純薬)で乾燥したのち濃縮した。残分をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、1,3−ジメチル−2−(2−(ピリジン−2−イル)フェニル)−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ [d]イミダゾール(Py−DMBI)を0.3g得た。
H−NMR(400MHz、CDCl)δ=8.61(1H),8.02(1H),7.66(1H),7.49(1H),7.45(1H),7.37(2H),7.21(1H),6.64(2H),6.31(2H),5.34(1H),2.49(6H)
(有機電界発光素子の作製)
[実施例1]
[1]市販されている平均厚さ0.7mmのITO電極層付き透明ガラス基板を用意した。この時、基板のITO電極(第1の電極)は幅2mmにパターニングされているものを用いた。この基板をアセトン中、イソプロパノール中でそれぞれ10分間超音波洗浄後、イソプロパノール中で5分間煮沸した。この基板をイソプロパノール中から取り出し、窒素ブローにより乾燥させ、UVオゾン洗浄を20分行った。
[2]この基板を、亜鉛金属ターゲットを持つミラトロンスパッタ装置の基板ホルダーに固定した。約1×10−4Paまで減圧した後、アルゴンと酸素を導入した状態でスパッタし、膜厚約2nmの酸化亜鉛層を作成した。この時にメタルマスクを併用して、電極取り出しのためITO電極の一部は酸化亜鉛が成膜されないようにした。これを大気中、400℃にセットしたホットプレートで1時間焼成することにより、酸化亜鉛層を形成した。
[3]2,7−ビス(6−(2−(5H−ジベンゾ[b,d]ボロール−5−イル)フェニル)ピリジン−3−イル)−9,9‘−スピロビ[フルオレン](以下、「ホウ素化合物1」という)。ホウ素化合物1は、特許文献2を参考に製造した。文献中の該化合物は2,7−ビス(3−ジベンゾボロリル−4−ピリジルフェニル)−9,9’−スピロフルオレンと表記されている。)の1.0%、Py−DMBIの0.01%の1,2−ジクロロエタン混合溶液を作成した。工程[2]で作成した酸化亜鉛薄膜付き基板をスピンコーターにセットした。この基板上にホウ素含有化合物1、Py−DMBI混合溶液を滴下し、毎分3000回転で30秒間回転させ、ホウ素含有有機化合物を含む第2層を形成した。さらに、これを窒素雰囲気下125℃にセットしたホットプレートで2時間アニール処理を施した。第2層の平均厚さは30nmであった。
[4]第2層まで形成した基板を真空蒸着装置の基板ホルダーに固定した。ビス[2−(2−ベンゾチアゾリル)フェノラト)亜鉛(II)
(ZnBTZ2)、イリジウムトリス(1−フェニルイソキノリン)(Ir(piq)3)、N,N'−ジ(1−ナフチル)−N,N'−ジフェニル−1,1'−ビフェニル−4,4'−ジアミン(α−NPD)をそれぞれアルミナルツボに入れて蒸着源にセットした。真空蒸着装置内を約1×10−5Paまで減圧し、ZnBTZ2をホスト、Ir(piq)3をドーパントとして20nm共蒸着し、発光層を成膜した。この時、ドープ濃度はIr(piq)3が発光層全体に対して6重量%となるようにした。次に、α−NPDを30nm蒸着し、正孔輸送層を成膜した。
[5]次に三酸化モリブデン、アルミニウムをアルミナルツボに入れて蒸着源にセットした。真空蒸着装置内を約1×10−5Paまで減圧し、三酸化モリブデンを膜厚10nmになるように蒸着した。次にアルミニウムを膜厚100nmになるように蒸着し、有機電界発光素子(1)を作製した。アルミニウムを蒸着する時、ステンレス製の蒸着マスクを用いて蒸着面が幅2mmの帯状になるようにした。すなわち、作製した有機電界発光素子の発光面積は4mm2とした。ITO−アルミニウム間に電圧を印加し発光させ、素子の電圧電流特性、電圧輝度特性を測定した。図6、7に特性図を示す。電流電圧はケースレー社製ソースメーター2400 、輝度測定はコニカミノルタ製のLS−100を使用した。
[実施例2]
Py−DMBIを1,2−ジクロロエタンに溶解し1%溶液とした。この溶液をサンプル管に3ml入れ密閉し、室温大気下3日間放置した。3日後溶液は無色透明のままであった。
〔比較例1〕
実施例1の第2層においてPy−DMBIに代えて、N−DMBIを用いた以外は実施例1と同様にして、比較有機電界発光素子(1)を作製した。図6、7に特性図を示す。
[比較例2]
N−DMBIを1,2−ジクロロエタンに溶解し1%溶液とした。この溶液をサンプル管に3ml入れ密閉し、室温大気下3日間放置した。3日後溶液は褐色に着色し、一部不溶物が析出していた。
図6、7から明らかなように、Py−DMBIを用いた実施例1では比較例1に対し伝導度が向上し、低電圧でより高電流であり、高輝度な発光をすることが確認された。
実施例2、比較例2の結果から明らかなように、本発明の化合物は保存安定性が高いことが確認された。
本材料は有機電界発光素子の他、有機半導体素子全般に適用できる。例えば有機TFT素子、有機熱電素子、有機太陽電池等である。

Claims (4)

  1. 発光層と陰極との間にバッファ層を有する有機電界発光素子であって、該バッファ層に一般式(1)で表わされる化合物を含んでなる有機電界発光素子
    Figure 2018135337
    (R〜R、R〜R10はそれぞれ水素原子もしくは、置換基を有してもよいアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基のいずれかを表し、また、お互いに環を形成していてもよい。R〜Rは置換基を有してもよいアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基のいずれかを表す。Xは炭素原子もしくは窒素原子いずれかを表し、Yは非共有電子対をもつ原子で窒素、酸素、硫黄原子のいずれかを表す。円弧はX,Yを含む5員環もしくは6員環の芳香族環である母骨格を表す。この母骨格は置換基を有してもよく、また、縮環していてもよい。)
  2. 発光層と陰極との間にバッファ層を有する有機電界発光素子であって、該バッファ層に一般式(2)で表わされる化合物を含んでなる有機電界発光素子
    Figure 2018135337
    (R〜R、R〜R14はそれぞれ水素原子もしくは、置換基を有してもよいアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基のいずれかを表し、また、お互いに環を形成していてもよい。R〜Rは置換基を有してもよいアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基のいずれかを表す。)
  3. 前記バッファ層を形成する有機化合物100質量%に対して、一般式(1)または(2)で表される化合物の含有量が0.1〜15質量%である請求項1または2に記載の有機電界発光素子。
  4. 前記バッファ層が塗布により形成されたものである請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機電界発光素子。
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