JP2018135278A - 循環器疾患及び/又はミトコンドリア病の改善用医薬 - Google Patents

循環器疾患及び/又はミトコンドリア病の改善用医薬 Download PDF

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洋一郎 鎌谷
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研吾 鎌谷
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Abstract

【課題】本発明は、新たな循環器疾患及び/又はミトコンドリア病の改善用医薬の提供を課題とする。
【解決手段】以下のA)およびB)を組み合わせてなる、循環器疾患およびミトコンドリア病の改善用医薬。
A)キサンチンオキシダーゼ/キサンチンデヒドロゲナーゼ阻害剤またはその薬学的に許容される塩
B)ヒポキサンチン、または体内でヒポキサンチンに変換され得る化合物
ここで、A)は、フェブキソスタット、トピロキソスタット、アロプリノール、ヒドロキシアルカン、カルプロフェン、Y−700及びKUX−1151から選ばれるいずれか1以上が好ましく、B)はイノシン、イノシン酸、アデニン、アデノシン、AMP、ADP、ATP、サクシニルアデノシン、S−アデノシルメチオニン、S−アデノシルホモシステイン、メチルチオアデノシンおよびそれらの薬学的に許容される塩から選ばれるいずれか1以上の化合物が好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、循環器疾患及び/又はミトコンドリア病の改善用医薬に関する。
さらに詳しくは、A)キサンチンオキシダーゼ/キサンチンデヒドロゲナーゼ阻害剤またはその薬学的に許容される塩と、B)ヒポキサンチン、または体内でヒポキサンチンに変換され得る化合物と、を組み合わせてなる循環器疾患及び/又はミトコンドリア病の改善用医薬に関する。
キサンチンデヒドロゲナーゼ/キサンチンオキシダーゼ阻害薬であり、痛風治療薬であるアロプリノールが心不全を改善、あるいは心機能を改善するという論文が発表されている(非特許文献1−7)。また、アロプリノールが心血管障害にも効果があるという報告もある(非特許文献8−11)。中でもLancetに掲載された論文はdouble-blindの条件でrandomized controlled study(RCT)によるクロスオーバー法を用いた点で信頼性が高い(特許文献8)。この論文ではアロプリノールの大量投与(600mg/日)によって、労作時狭心症が改善するとともに、心不全で上昇するBNP(brain natriuretic peptide)が低下し、労作時の血圧も低下したことが記載されている(非特許文献8)。即ち、アロプリノールは心不全、心血管障害、高血圧など循環器の様々な病態を改善すると報告されている。そのメカニズムとして、血清尿酸低下作用、活性酸素産生抑制作用なども提案されているが、アロプリノールが心筋細胞のATPを増強するという発表もいくつかある(非特許文献1,2,5,8)。
一方、ミトコンドリア病は、ミトコンドリア機能が障害されて症状を呈する疾患の総称である(非特許文献14)。ミトコンドリア機能の障害の原因としては、ミトコンドリア遺伝子の変異による場合もあるが、核内の遺伝子の変異による場合もある(非特許文献15)。障害される機能や症状の違いにより、慢性進行性外眼麻痺症候群(CPEO)、赤色ぼろ線維・ミオクローヌスてんかん症候群(MERRF)、ミトコンドリア脳筋症・乳酸アシドーシス・脳卒中様症候群(MELAS)、Leigh脳症、ミトコンドリア心筋症、Leber病、ミトコンドリア糖尿病、Pearson病などの亜型がある(非特許文献1)。ミトコンドリアは酸素を利用してATPを再生する細胞内小器官であり(非特許文献16、17)、ミトコンドリアが障害されることによる機能異常の主体はATP再生低下と考えられている(非特許文献14)。
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アロプリノールが心不全を改善、あるいは心機能を改善するというメカニズムは、ATPの不足により収縮力が十分ではない状態の心筋細胞の中で、アロプリノールがATPを増強することで、心筋の収縮力を回復するというメカニズムが想定される。心筋の収縮力増強で心不全を改善し、末梢に血液が行き渡るため末梢血管が収縮する必要性が低下し、血圧が低下するというメカニズムが考えられる。心血管障害では心筋の酸素不足が最大の問題であるが、酸素の役割はTCAサイクルと電子伝達系の働きによりミトコンドリア内でATPを合成することなので、心血管障害の最終的な問題は心筋内のATP不足にあることになる。そのため、アロプリノールが心筋細胞内のATPを増強し、心血管障害により引き起こされたATP不足を改善するというメカニズムが想定される。
以上のように心不全、心血管障害、高血圧などの循環器疾患は、心筋細胞のATP増強により改善すると考えられる。循環器疾患の改善はアロプリノールだけではなく、別のキサンチンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼ阻害薬であるフェブキソスタットにも報告されており(非特許文献12,13)、この作用はアロプリノールだけではなくキサンチンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼ阻害薬一般の作用と考えられる。
しかし、アロプリノールやフェブキソスタットの循環器疾患患者への実際の適応は認められておらず、積極的に循環器疾患に用いるだけの有用な証拠とは言えない。
したがって、アロプリノール単独投与、あるいはフェブキソスタット単独投与よりも更に安全で効果的な治療法が求められていた。ヒトの体内で細胞内のATPをアロプリノール以上に増強する方法があれば、様々な原因による循環器疾患が改善する可能性があるからである。
また、ミトコンドリア病についても、上述のようにATP増強により疾患が改善する可能性がある。しかし、ミトコンドリア病に対し現在、様々な治療法が試みられているが、明らかな改善効果を示す治療法は未だ無い(非特許文献18、19)。
ところで、本発明者らは、16名の健常人を対象として、キサンチンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼ阻害薬であるフェブキソスタットとイノシンの同時投与の効果を確認する試験を行ったところ、対象者の血液内のヒポキサンチンが大幅に上昇し、血液細胞内のATPが増強する事を確認し、すでに特許出願を行っている(国際出願番号PCT/JP2016/074644)。このような作用はフェブキソスタット単独、あるいはイノシン単独の投与では認められなかった新規かつ優れた効果である。この効果をもたらす作用はおよそ次のようなものである。
イノシンはプリンヌクレオシドホスホリラーゼ(PNP)の作用により体内で直ちにヒポキサンチンに分解される(図1)。通常ヒポキサンチンは、キサンチンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼ(XO/XDH)により直ちにキサンチンを経て尿酸に分解される(図1)。しかし、キサンチンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼ阻害薬が存在するとヒポキサンチンの分解が阻害され、ヒポキサンチンはIMPを経てATP合成に使用されるため細胞内ATP増強が起きると考えられる(図1)。
そこで本発明者らは、先に発明したキサンチンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼ阻害薬とイノシンを組み合わせたATP増強剤を投与することにより、循環器疾患、及びミトコンドリア病患者にATP増強を起こし、循環器疾患及びミトコンドリア病を改善できないかどうか検討することを課題とする。
本発明者らは上記課題について鋭意検討を行ったところ、予想をはるかに超えてこれらの疾患症状を顕著に改善することに成功し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は上記課題を解決するためのものであって、以下の構成を有する。
<1>以下のA)及びB)を組み合わせてなる循環器疾患及び/又はミトコンドリア病の改善用医薬。
A)キサンチンオキシダーゼ/キサンチンデヒドロゲナーゼ阻害剤
B)ヒポキサンチン、または体内でヒポキサンチンに変換され得る化合物
<2>循環器疾患が、心不全、心血管障害、高血圧、頻脈又は不整脈であり、ミトコンドリア病が、慢性進行性外眼麻痺症候群(CPEO)、赤色ぼろ線維・ミオクローヌスてんかん症候群(MERRF)、ミトコンドリア脳筋症・乳酸アシドーシス・脳卒中様症候群(MELAS)、Leigh脳症、ミトコンドリア心筋症、Leber病、ミトコンドリア糖尿病又はPearson病である<1>に記載の循環器疾患及び/又はミトコンドリア病の改善用医薬。
<3>A)が、フェブキソスタット、トピロキソスタット、アロプリノール、ヒドロキシアルカン、カルプロフェン、Y−700およびKUX−1151からなる群から選ばれるいずれか1以上である<1>又は<2>に記載の循環器疾患及び/又はミトコンドリア病の改善用医薬。
<4>B)の体内でヒポキサンチンに変換され得る化合物が、イノシン、イノシン酸、アデニン、アデノシン、AMP、ADP、ATP、サクシニルアデノシン、S−アデノシルメチオニン、S−アデノシルホモシステイン、メチルチオアデノシンおよびそれらの薬学的に許容される塩から選ばれるいずれか1以上の化合物である<1>〜<3>のいずれかに記載の循環器疾患及び/又はミトコンドリア病の改善用医薬。
<5>A)及びB)の組み合わせが、A)及びB)を含む合剤又はキット剤である、<1>〜<4>のいずれかに記載の循環器疾患及び/又はミトコンドリア病の改善用医薬。
<6>フェブキソスタット及びイノシンを組み合わせてなる循環器疾患及び/又はミトコンドリア病の改善用医薬。
<7>循環器疾患が、心不全、心血管障害、高血圧、頻脈又は不整脈であり、ミトコンドリア病が、慢性進行性外眼麻痺症候群(CPEO)、赤色ぼろ線維・ミオクローヌスてんかん症候群(MERRF)、ミトコンドリア脳筋症・乳酸アシドーシス・脳卒中様症候群(MELAS)、Leigh脳症、ミトコンドリア心筋症、Leber病、ミトコンドリア糖尿病又はPearson病である<6>に記載の循環器疾患及び/又はミトコンドリア病の改善用医薬。
<8>フェブキソスタット10〜80mg及びイノシン0.5〜4gを含む合剤又はキット剤である<6>又は<7>に記載の循環器疾患及び/又はミトコンドリア病の改善用医薬。
<9>イノシンと組み合わせて使用される、フェブキソスタットの循環器疾患及び/又はミトコンドリア病の改善用医薬としての使用。
<10>循環器疾患が、心不全、心血管障害、高血圧、頻脈又は不整脈であり、ミトコンドリア病が、慢性進行性外眼麻痺症候群(CPEO)、赤色ぼろ線維・ミオクローヌスてんかん症候群(MERRF)、ミトコンドリア脳筋症・乳酸アシドーシス・脳卒中様症候群(MELAS)、Leigh脳症、ミトコンドリア心筋症、Leber病、ミトコンドリア糖尿病又はPearson病である<9>に記載の循環器疾患及び/又はミトコンドリア病の改善用医薬としての使用。
本発明の以下の、A)およびB)の併用投与により心不全、心血管障害、高血圧、頻脈、不整脈などの循環器疾患及び/又はミトコンドリア病を改善することができる。
A)キサンチンオキシダーゼ/キサンチンデヒドロゲナーゼ阻害剤又はその薬学的に許容される塩
B)ヒポキサンチン、または体内でヒポキサンチンに変換され得る化合物、例えばイノシン、イノシン酸、アデニン、アデノシン、AMP、ADP、ATP、サクシニルアデノシン、S−アデノシルメチオニン、S−アデノシルホモシステイン、メチルチオアデノシン及びそれらの薬学的に許容される塩から選ばれるいずれか1以上の化合物
ATP合成に関する経路を示す図である。ヒト体内では、イノシン(inosine)は速やかにPNP(purine nucleoside phosphorylase)によりヒポキサンチン(hypoxanthine)に分解される。更に、主として肝臓などに存在するキサンチンオキシダーゼ/キサンチンデヒドロゲナーゼ(XO/XDH)によりヒポキサンチン(hypoxanthine)がキサンチン(xanthine)を通じて尿酸に変換される。イノシンと同時にXO/XDH阻害薬を投与するとヒポキサンチンは分解されず、ATPの材料として使用されることを示す図である。また、イノシン、イノシン酸、アデノシン、AMP、ADP、ATP、サクシニルアデノシン、S−アデノシルメチオニン、S−アデノシルホモシステイン、アデニン、メチルチオアデノシンがいずれも体内でヒポキサンチンに変化することを示す図である。
(循環器疾患改善用の医薬及び/又はミトコンドリア病改善用の医薬)
本発明の医薬としては、循環器疾患改善用の医薬、ミトコンドリア病改善用の医薬、循環器疾患若しくはミトコンドリア病の両方を改善する医薬のいずれも含まれる。
対象とする循環器疾患としては、心不全、心血管障害、高血圧、頻脈又は不整脈などが挙げられ、ミトコンドリア病としては、慢性進行性外眼麻痺症候群(CPEO)、赤色ぼろ線維・ミオクローヌスてんかん症候群(MERRF)、ミトコンドリア脳筋症・乳酸アシドーシス・脳卒中様症候群(MELAS)、Leigh脳症、Leber病、ミトコンドリア糖尿病、Pearson病などが挙げられる。
本発明の循環器疾患改善用医薬とは、本発明の有効成分が心不全、心血管障害、高血圧、頻脈、不整脈などの循環器疾患を改善することを言う。本発明医薬の効果の確認は、心不全の改善については患者の動悸、息切れ、疲労感などの自覚症状の改善、胸部打聴診、浮腫などの身体所見の改善、BNPの低下、心臓超音波検査所見の改善、心電図所見の改善など、臨床検査所見の改善で確認できる。心血管障害の改善については患者の狭心痛、運動能力低下などの自覚症状の改善、安静時や運動負荷試験による心電図所見などの臨床検査所見の改善で確認できる。高血圧症については血圧の低下で確認できる。頻脈については脈拍数の低下により確認できる。不整脈については心電図などによる不整脈の減少、あるいは消失で確認できる。
本発明のミトコンドリア病改善用医薬とは、本発明の有効成分がミトコンドリア病を改善することを言う。ミトコンドリア病には慢性進行性外眼麻痺症候群(CPEO)、赤色ぼろ線維・ミオクローヌスてんかん症候群(MERRF)、ミトコンドリア脳筋症・乳酸アシドーシス・脳卒中様症候群(MELAS)、Leigh脳症、Leber病、ミトコンドリア糖尿病、Pearson病などの亜型があり、それにより症状も異なる。したがって、統一的に治療効果を知るためのスコアは無いものの、改善を示す指標として、血清中のピルビン酸または乳酸の低下、血液中ATPの増加、血液中ヒポキサンチンの増加が挙げられる。
また、ミトコンドリア病の中でも、ミトコンドリア心筋症の治療効果については患者の動悸、息切れ、疲労感などの自覚症状の改善、胸部打聴診、浮腫などの身体所見の改善、BNPの低下、心臓超音波検査所見の改善、心電図所見の改善など、臨床検査所見の改善で確認できる。
(有効成分)
本発明の1つの有効成分は、A)キサンチンオキシダーゼ/キサンチンデヒドロゲナーゼ阻害剤またはその薬学的に許容される塩である。キサンチンオキシダーゼ/キサンチンデヒドロゲナーゼ阻害剤としては、フェブキソスタット、トピロキソスタット(富士薬品)、アロプリノール、ヒドロキシアルカン、カルプロフェン、Y−700(田辺三菱製薬)、及びKUX−1151(キッセイ薬品)が挙げられ、このうちでもフェブキソスタットが望ましい。
本発明のもう1つの有効成分は、B)ヒポキサンチン、または体内でヒポキサンチンに変換され得る化合物である。体内でヒポキサンチンに変換され得る化合物としては、例えばイノシン、イノシン酸、アデニン、アデノシン、AMP、ADP、ATP、サクシニルアデノシン、S−アデノシルメチオニン、S−アデノシルホモシステイン、メチルチオアデノシン及びそれらの薬学的に許容される塩から選ばれるいずれか1以上の化合物が挙げられるが、これらの化合物も結局はヒポキサンチンに分解されるため、イノシンの代わりにこれらの物質を使用することが可能である(図1)。このうちでもイノシンが望ましい。
(組み合わせ)
本発明の「A)およびB)を組み合わせてなる」とは、A)の成分とB)の成分が組み合わされた態様をすべて含む意味で用いられる。したがって、A)の成分とB)の成分が混合されて組成物を形成している合剤、あるいは混合されることなく、物理的に別々に存在するが、投与される際に同時期に投与されるようにまとめられて存在する薬剤の両者を含む。A)の成分とB)の成分が混合されて組成物を形成している合剤の例としては、混合されて製剤化されたものが挙げられる。製剤化の例としては、顆粒、粉体、固形剤、液体などの経口剤および坐薬が挙げられる。物理的に別々に存在するが、投与される際に同時期に投与されるようにまとめられて存在する薬剤としては、いわゆるキット剤や、1つの袋に取りまとめられる形態が挙げられる。同時期とは、必ずしも厳密な意味での同時を意味せず、効果が発揮される範囲で間隔を置く場合も本発明の同時期に含むものとする。例えば、経口剤の場合、一方を食前、一方を食後に飲むような場合は本発明の同時期に投与される場合に相当する。
上記のとおり、A)とB)をそれぞれ単独の製剤として服用することも可能である。しかし、B)を単独で服用すると高尿酸血症を来すので有害となることがあり、A)とB)は必ず同時期に服用する必要があり、この点からキット剤または合剤がより望ましく、合剤がよりいっそう望ましい。
本発明は、前記A)およびB)を組み合わせてなる循環器疾患及び/又はミトコンドリア病の改善用医薬の発明であるが、換言すれば、前記A)およびB)を組み合わせて投与する工程を含む循環器疾患及び/又はミトコンドリア病の改善方法であり、循環器疾患及び/又はミトコンドリア病の治療方法の発明と言える。それぞれを投与するタイミングは、前述のとおりである。
(投与量)
本発明医薬の投与量は、有効量であればよく、それぞれ以下の投与量が望ましい。例えば、A)のフェブキソスタットは、10〜80mg/日、トピロキソスタットは、40〜160mg/日、アロプリノール、約50mg〜約800mg/日が望ましい。また、B)のイノシンは、0.5〜4.0g/日が望ましく、B)ヒポキサンチン、または体内でヒポキサンチンに変換され得る化合物の有効量も前記イノシンの量に相当する量を分子量により換算して求めることができる。
(投与方法)
投与方法は、上記投与量をそれぞれ1日1回または2回以上に分けて投与することが可能である。このうちでも、フェブキソスタットは、従来のフェブキソスタットの用法のように1日1回投与ではなく、1日2回の投与を行うことが望ましい。また、イノシンも1日1回よりも2回の投与が望ましい。したがって、イノシン、フェブキソスタットともに1日2回にわけて投与することがさらに望ましい。
合剤とする場合は、1日の投与量、投与方法を考慮して調整すればよく、フェブキソスタットとイノシンを、フェブキソスタット20mg、または40mgにイノシン0.5g、1g、1.5g、または2gを加えたものなどが望ましい。1錠にフェブキソスタット20mg、イノシン0.5gを加えたものが更に望ましい。
(投与形態)
本発明医薬の投与形態は特に限定されず、経口又は非経口のいずれの投与形態でもよい。また、投与形態に応じて適当な剤形とすることができ、例えば注射剤、あるいはカプセル剤、錠剤、顆粒剤、散剤、丸剤、細粒剤などの経口剤、直腸投与剤、油脂性坐剤、水性坐剤などの各種製剤に調製することができる。
本発明医薬は、有効成分A)及びB)を含むことから、有効成分A)の投与形態とB)の投与形態は同じであってもよいし、異なってもよい。同じ投与形態の例としては、両方を錠剤で経口投与する場合、両者を合わせた合剤として経口投与する場合、両者を混合した注射剤で投与する場合などが挙げられる。また、異なる投与形態の例としては、一方を経口剤、一方を注射剤などで投与する場合が挙げられる。
(従来の循環器疾患及び/又はミトコンドリア病改善用医薬との併用)
本発明の医薬は、細胞内のATPの増強効果を奏するものであり、本作用に影響を与えない範囲ですでに処方されている既存の循環器疾患改善用医薬や、ミトコンドリア病改善用医薬と併用することができる。
特に、これらの疾患の治療を継続して行っているが効果が減弱化したような場合には、本発明の医薬と併用することでこれらの疾患の治療効果が増強され得る。ミトコンドリア病には有効な治療薬が知られていないが、循環器疾患の治療薬としては利尿薬、ジギタリス剤、降圧薬、血液凝固抑制薬、血管拡張薬などがあり、利尿薬としてはフロセミド、ジギタリス剤としてはジゴキシン、降圧薬としてはジルチアゼム、血液凝固薬としてはワルファリン、血管拡張薬としてはジピリダモールなどが挙げられる。
以下、本発明の循環器疾患及び/又はミトコンドリア病の改善効果について、代表的な例をもとに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定して解釈されるものではない。
キサンチンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼ阻害薬の一例であるフェブキソスタットと体内でヒポキサンチンに変換される化合物の一例であるイノシンを循環器疾患患者2名(うち1名はミトコンドリア心筋症)に13日、ないし14日間同時投与し、臨床的効果及び安全性を検討する探索的な臨床研究を行った。そして、フェブキソスタットとイノシンの投与前後で心臓超音波検査、心電図、血圧、脈拍を記録するとともに血清BNP、尿酸値などを測定した。
〔試験例1〕
循環器疾患患者1名にフェブキソスタットとイノシンを同時投与し、臨床的効果及び安全性を検討した。
1.試験方法
(1)投与対象患者
年齢 69歳、男性、身長163.9cm、体重76.0kg
診断名:高血圧症、心房細動、心不全、心血管障害、頻脈、糖尿病、高コレステロール血症
(2)試験開始前の患者の投薬状況等
既往歴は、38歳時、糖尿病と診断され、以後食事療法開始となる。2000年ころより狭心症が出現し、2001年に冠動脈形成術、およびステント挿入術施行。その後、狭心症と脂質異常症に対する薬物療法開始。2005年に心房細動出現、2006年より経口糖尿病薬の投与を開始。高血圧、心不全と診断され降圧剤、利尿剤を処方されている。
本試験開始前より処方されていた薬は以下のとおりであり、これらは本試験期間中、用量を変化させず継続して服用した。
<処方薬>
ベラパミル塩酸塩錠 40mg 2錠、1日2回 朝夕食後
ラシックス錠(フロセミド) 10mg 2錠、1日2回 朝夕食後
アーチスト錠(カルベジロール) 2.5mg 2錠、1日1回 朝食後
アーチスト錠 10mg 1錠、1日1回 朝食後
バイアスピリン錠(アスピリン)100mg 1錠、1日1回 朝食後
ヘルベッサーRカプセル(ジルチアゼム)100mg 1カプセル、1日1回 寝る前
タケプロンOD錠(ランソプラゾール)15mg 1錠、1日1回 朝食後
リクシアナ錠(エドキサバン) 60mg 0.5錠、1日1回 朝食後
リピトール錠(メバスタチン) 5mg 1錠、1日1回 朝食後
アマリール錠(グリメピリド) 0.5mg 2錠、1日2回 朝夕食後
メトグルコ錠(メトホルミン) 250mg 5錠、1日3回 朝昼夕食後
(3)本発明医薬及び投与スケジュール
フェブキソスタット20mg、イノシン0.5gを同時に、朝、夕食の約30分後に13日間連続投与した(実際には1日目の夕食後から開始し、14日目の朝食後で終了)。治療開始直前(1日目の午後)と、治療終了直後(14日目の午後)に血圧、脈拍数、心電図、心臓超音波検査、血液検査、尿検査を行った。
2.測定方法
血清尿酸値の測定はウリカーゼーペルオキシダーゼ法を用いた。
血清中BNP(brain natriuretic peptide)の測定には化学発光酵素免疫測定法(CLEIA)を用いた。心電図、心エコー検査、血圧、脈拍数は常法に従った。
3.試験結果
有害事象は全く起きなかった。もともと患者自身の自覚症状は無く、投与終了後も自覚症状は無かった。
表1に本試験開始前後の測定結果を示す。これより、BNP、最高血圧、脈拍数が著明に低下したことがわかった。
Figure 2018135278
〔試験例2〕
心不全、高血圧症、不整脈(心房細動、心室性期外収縮)の症状を有するミトコンドリア病患者1名にフェブキソスタットとイノシンを同時投与し、臨床的効果及び安全性を検討した。
1.試験方法
(1)投与対象患者
年齢 80歳、男性、身長 161.5cm、体重 72.0kg
診断名:ミトコンドリア心筋症(ミトコンドリア ヒスチジンtRNAの変異による)
症状:ミトコンドリア心筋症、心不全、高血圧症、不整脈(心房細動、心室性期外収縮)
省略遺伝子名:MTTH
変異名:MTTH,12192G−A
参照論文:この患者は以下の論文で発表された。
Shin, W. S., Tanaka, M., Suzuki, J., Hemmi, C., Toyo-oka, T. A novel homoplasmic mutation in mtDNA with a single evolutionary origin as a risk factor for cardiomyopathy. Am. J. Hum. Genet. 67: 1617-1620, 2000.
(2)試験開始前の患者の投薬状況等
既往歴:無し。
現病歴:退職時健診で中等度〜重度心不全、心室性期外収縮多発を指摘される。各種検査の結果、ミトコンドリア心筋症と診断される。
本試験開始前より処方されていた薬は以下のとおりであり、これらは本試験期間中、用量を変化させず継続して服用した。
<処方薬>
アーチスト(カルベジロール) 20mg 1錠、1日2回
プラザキサ(ダビガトラン) 110mg 1カプセル、1日2回
アダラート L(ニフェジピン) 20mg 1錠、1日1回
アルダクトン A(スピロノラクトン)25mg 1錠、1日2回
ザイロリック50(アロプリノール) 50mg 1錠、1日1回
ノイキノン(ユビデカレノン) 10mg 1錠、1日3回
(3)本発明医薬及び投与スケジュール
フェブキソスタット20mg、イノシン0.5gを同時に、朝、夕食の約30分後に14日間連続投与した(実際には1日目の夕食後から開始し、15日目の朝食後で終了)。治療開始直前(1日目の午後)と、治療終了直後(15日目の午後)に血圧、脈拍数、心電図、心臓超音波検査、血液検査、尿検査を行った。
2.測定方法
試験例1と同じ。
3.試験結果
有害事象は全く起きなかった。もともと患者自身の自覚症状は無く、投与終了後も自覚症状は無かった。
表2に本試験開始前後の測定結果を示す。これより、BNP、最高血圧、脈拍数が著明に低下した。心室性期外収縮が消失した。
Figure 2018135278
〔試験例1及び試験例2の試験結果の考察〕
上記試験例1と試験例2において、2名の心不全患者に本発明医薬であるフェブキソスタットとイノシンの同時投与を行った。また、そのうち1名はミトコンドリア病患者であるから、心不全及びミトコンドリア病に対する改善効果についての考察が可能である。
(1)血清BNP
試験例1、2とも治療前後で血清BNP検査の改善が見られた。BNPは心不全のマーカーとして広く用いられている(Don-Wauchope AC, McKelvie RS. Evidence based application of BNP/NT-proBNP testing in heart failure. Clin Biochem. 2015 Mar;48(4-5):236-46.)。BNPは正常では18.4pg/mL未満であるが、2例とも治療前は316pg/mL、295.1pg/mLと大幅に増加していた。これは、この2名の患者が自覚症には乏しいものの、体内では心不全の状態が存在することを示す。治療後は試験例1ではBNPが316から173pg/mL(前値の55%)と大幅に低下しており、試験例2でもBNPが295.1pg/mLから204.4pg/mL(前値の69%)と低下していた。このBNPの低下は心不全が改善したことを示す。
(2)最高血圧
2例とも最高血圧が著明に低下した。試験例1については最高血圧が138mmHgと高血圧が見られたが、これが治療後に103mmHgと著明に低下した。試験例2では高血圧は見られなかったが最高血圧が104mmHgから79mmHgに著明に低下した。最高血圧79mmHgは低血圧と言えるが、患者にめまい、ふらつきなどの自覚症状は見られなかった。2例とも降圧薬を服用していたので、薬のない状態では高血圧が存在すると考えられる。
(3)脈拍数
2例とも脈拍数が減少した。1例目は80/分から72/分に、2例目は76/分から66/分に著減した。
(4)不整脈
2例目では不整脈のうち心房細動は変化がなかったが、心室性期外収縮が消失した。
(5)まとめ
本発明者らは、前記のとおり、すでにフェブキソスタットとイノシンの併用投与によりATP増強作用があることを確認している。心筋細胞内ATPが増強することによる臨床検査における改善のメカニズムは以下のように考えられる。ATPは筋肉収縮と刺激伝導の両方に必要である。刺激伝導はNa、K、Caなどのイオンチャンネルの開閉によって行われるが、イオンの細胞内外勾配を保つためにはNa/K−ATPase、Ca−ATPaseの活動が不可欠である。ATP欠乏はNa/K−ATPase、Ca−ATPaseによるイオンの移動を抑制し、イオンチャンネルの活動を抑制することにより不整脈を引き起こす可能性がある。そのため、フェブキソスタットとイノシンの同時投与によるATP増強により不整脈が改善したと発明者らは考えている。
次に、心筋細胞内のATP欠乏により収縮力の低下が起きていたところにフェブキソスタットとイノシンを同時投与したことにより心筋細胞内のATPが増加し、収縮力が増加したと考えられる。それにより心臓への負荷が低下しBNPが低下したと考えられる。治療前はATPの欠乏により心筋収縮力が低下しており、そのため頻脈と血圧の上昇が存在していたところにフェブキソスタットとイノシンを投与したことにより心筋内のATPが増加し、心筋収縮力が回復し、頻脈と高血圧が改善したと考えられる。
また、ミトコンドリア病については、次のように考えられる。試験例2ではフェブキソスタットとイノシンの同時投与によりミトコンドリア病患者のBNPの低下、血圧の低下、脈拍数の低下、および不整脈の改善が見られた。ミトコンドリアはATPを再生するための細胞内小器官であり、ミトコンドリア病ではATP欠乏が生じているため、ATP増強による改善はすべてのミトコンドリア病に共通したものといえる。従って、前記試験例2ではミトコンドリア心筋症の改善効果の確認であったが、本発明のフェブキソスタットとイノシンの併用は、すべてのミトコンドリア病に効果があると考えられる。
即ち、キサンチンデヒドロゲナーゼ/キサンチンオキシダーゼ阻害薬とイノシンの併用により、循環器疾患及び/又はミトコンドリア病の改善に効果があるといえる。
〔製剤例〕合剤の例
1錠あたり下記を含む経口投与用の合剤(錠剤タイプ)を製造した。
フェブキソスタット 20 mg
イノシン 2g
アルファ化デンプン(崩壊バンダー) 70 mg
ケイ化微結晶セルロース(充填剤) 32.656 mg
クロスカルメロースナトリウム(崩壊剤) 10 mg
ステアリン酸マグネシウム(潤滑剤) 0.8 mg
〔製剤例〕キット剤の例
フェブキソスタットを含む下記A.の組成の錠剤とイノシンを含む下記Bの組成の医薬を製造し、それぞれ混ざらないように区切った同一袋に入れ、1回分を調整した。これを2回分すなわち1日分を同一の箱に梱包しキット剤を製造した。
A.フェブキソスタット錠
フェブキソスタット 20 mg
アルファ化デンプン(崩壊バンダー) 70 mg
ケイ化微結晶セルロース(充填剤) 32.656 mg
クロスカルメロースナトリウム(崩壊剤) 10 mg
ステアリン酸マグネシウム(潤滑剤) 0.8 mg
B.イノシン
イノシン 1g
本発明のA)キサンチンオキシダーゼ/キサンチンデヒドロゲナーゼ阻害剤またはその薬学的に許容される塩と、B)ヒポキサンチン、または体内でヒポキサンチンに変換され得る化合物、例えばイノシン、イノシン酸、アデノシン、アデニン、AMP、ADP、ATP、サクシニルアデノシン、S−アデノシルメチオニン、S−アデノシルホモシステイン、メチルチオアデノシンおよびそれらの薬学的に許容される塩から選ばれるいずれか1以上の化合物、との組み合わせにより、心不全、心血管障害、高血圧、頻脈、不整脈などの循環器疾患及びミトコンドリア病を病態とする疾患に効果がある。
心不全、心血管障害、高血圧、頻脈、不整脈などの循環器疾患には効果的な薬剤が既に存在する。しかし、新しい作用機序の薬剤は従来の薬剤で十分効果のない患者に有効である。
また、ミトコンドリア病にはこれまで確実に効果のある薬剤は存在しなかった。従って、本発明医薬は初めて実効性の高いミトコンドリア病治療薬を提供することが可能になった。

Claims (10)

  1. 以下のA)及びB)を組み合わせてなる循環器疾患及び/又はミトコンドリア病の改善用医薬。
    A)キサンチンオキシダーゼ/キサンチンデヒドロゲナーゼ阻害剤
    B)ヒポキサンチン、または体内でヒポキサンチンに変換され得る化合物
  2. 循環器疾患が、心不全、心血管障害、高血圧、頻脈又は不整脈であり、ミトコンドリア病が、慢性進行性外眼麻痺症候群(CPEO)、赤色ぼろ線維、ミオクローヌスてんかん症候群(MERRF)、ミトコンドリア脳筋症、乳酸アシドーシス、脳卒中様症候群(MELAS)、Leigh脳症、ミトコンドリア心筋症、Leber病、ミトコンドリア糖尿病又はPearson病である請求項1に記載の循環器疾患及び/又はミトコンドリア病の改善用医薬。
  3. A)が、フェブキソスタット、トピロキソスタット、アロプリノール、ヒドロキシアルカン、カルプロフェン、Y−700およびKUX−1151からなる群から選ばれるいずれか1以上である請求項1又は2に記載の循環器疾患及び/又はミトコンドリア病の改善用医薬。
  4. B)の体内でヒポキサンチンに変換され得る化合物が、イノシン、イノシン酸、アデニン、アデノシン、AMP、ADP、ATP、サクシニルアデノシン、S−アデノシルメチオニン、S−アデノシルホモシステイン、メチルチオアデノシンおよびそれらの薬学的に許容される塩から選ばれるいずれか1以上の化合物である請求項1〜3のいずれかに記載の循環器疾患及び/又はミトコンドリア病の改善用医薬。
  5. A)及びB)の組み合わせが、A)及びB)を含む合剤又はキット剤である、請求項1〜4のいずれかに記載の循環器疾患及び/又はミトコンドリア病の改善用医薬。
  6. フェブキソスタット及びイノシンを組み合わせてなる循環器疾患及び/又はミトコンドリア病の改善用医薬。
  7. 循環器疾患が、心不全、心血管障害、高血圧、頻脈又は不整脈であり、ミトコンドリア病が、慢性進行性外眼麻痺症候群(CPEO)、赤色ぼろ線維・ミオクローヌスてんかん症候群(MERRF)、ミトコンドリア脳筋症・乳酸アシドーシス・脳卒中様症候群(MELAS)、Leigh脳症、ミトコンドリア心筋症、Leber病、ミトコンドリア糖尿病又はPearson病である請求項6に記載の循環器疾患及び/又はミトコンドリア病の改善用医薬。
  8. フェブキソスタット10〜80mg及びイノシン0.5〜4gを含む合剤又はキット剤である請求項6又は7に記載の循環器疾患及び/又はミトコンドリア病の改善用医薬。
  9. イノシンと組み合わせて使用される、フェブキソスタットの循環器疾患及び/又はミトコンドリア病の改善用医薬としての使用。
  10. 循環器疾患が、心不全、心血管障害、高血圧、頻脈又は不整脈であり、ミトコンドリア病が、慢性進行性外眼麻痺症候群(CPEO)、赤色ぼろ線維・ミオクローヌスてんかん症候群(MERRF)、ミトコンドリア脳筋症・乳酸アシドーシス・脳卒中様症候群(MELAS)、Leigh脳症、ミトコンドリア心筋症、Leber病、ミトコンドリア糖尿病又はPearson病である請求項9に記載の循環器疾患及び/又はミトコンドリア病の改善用医薬としての使用。
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