JP2018134779A - 多層樹脂シート、多層樹脂シートの製造方法、多層樹脂シート硬化物、多層樹脂シート積層体、及び多層樹脂シート積層体硬化物 - Google Patents

多層樹脂シート、多層樹脂シートの製造方法、多層樹脂シート硬化物、多層樹脂シート積層体、及び多層樹脂シート積層体硬化物 Download PDF

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Abstract

【課題】絶縁性、熱伝導性、及び作業性に優れる多層樹脂シート及びその製造方法、並びに多層樹脂シート硬化物、多層樹脂シート積層体、及び多層樹脂シート積層体硬化物を提供する。【解決手段】樹脂組成物層と、前記樹脂組成物層の少なくとも一方の主面側に積層された導電粘着層とを有する、多層樹脂シート。【選択図】なし

Description

本発明は、多層樹脂シート、多層樹脂シートの製造方法、多層樹脂シート硬化物、多層樹脂シート積層体、及び多層樹脂シート積層体硬化物に関する。
近年、電子機器の小型化、大容量化、高性能化等の進行に伴い、半導体パッケージ、配線板等の消費電力量が増大し、発熱量が益々増大している。また、半導体素子の高密度化に伴い、半導体素子の単位面積あたりの発熱量も益々増大している。このため、半導体パッケージ、配線板等から発生する熱をより効率的に放散(放熱)させる放熱構造及び放熱材料が望まれている。
放熱の一般的な方法として、半導体パッケージ等の発熱体と、アルミニウム製又は銅製の放熱体との間にグリース又は樹脂シートを挟んで密着させ、外部に熱を伝達する方法が採用されている。例えば、特許文献1には、熱伝導性シリコーン組成物(グリース)が開示されている。また、特許文献2には、絶縁性非球状粒子及び有機高分子化合物を含む組成物からなる層(A)と、絶縁性樹脂組成物からなる層(B)とが積層された熱伝導シート(樹脂シート)が開示されている。また、特許文献3には、無機絶縁性材料からなるフィラー及び接着剤を含む第1の接着剤層と、第1の接着剤層の少なくとも一方の面上に形成され、実質的に接着剤のみからなる第2の接着剤層とを有する絶縁性樹脂膜(樹脂シート)が開示されている。
特許第3195277号公報 特開2011−230472号公報 特開2009−21530号公報
しかし、特許文献1のようなグリースを用いる場合、熱、振動等の外力が加わると、グリースがポンプアウト現象により流出する結果、発熱体と放熱体との間に隙間が生じ、熱抵抗が次第に高くなることがある。また、グリースは粘着性の液状であるため、塗工厚みの制御が難しく、厚みのバラツキが熱抵抗及び絶縁性に影響する。グリースを用いる場合には、これらの点が設計面で小型化を困難にする最大の要因となっている。
一方、特許文献2及び3のような樹脂シートを用いる場合、発熱体又は放熱体と樹脂シートとの間にボイドが存在すると絶縁性が低下してしまう。ボイドによる絶縁性低下を防止するためには、プレスによる真空圧着が必要になり、作業性の点で改善の余地があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、絶縁性、熱伝導性、及び作業性に優れる多層樹脂シート及びその製造方法、並びに多層樹脂シート硬化物、多層樹脂シート積層体、及び多層樹脂シート積層体硬化物を提供することを課題とする。
上記課題を解決するための具体的な手段には、以下の実施態様が含まれる。
<1> 樹脂組成物層と、前記樹脂組成物層の少なくとも一方の主面側に積層された導電粘着層とを有する、多層樹脂シート。
<2> 前記樹脂組成物層の少なくとも一方の主面側において、前記導電粘着層の端部が前記樹脂組成物層の端部よりも内側に位置する、<1>に記載の多層樹脂シート。
<3> 前記樹脂組成物層の平均厚みが60μm〜260μmである、<1>又は<2>に記載の多層樹脂シート。
<4> 前記樹脂組成物層がフィラーを含有する、<1>〜<3>のいずれか1項に記載の多層樹脂シート。
<5> 前記樹脂組成物層に含有されるフィラーの体積抵抗率が1010Ω・m以上である、<4>に記載の多層樹脂シート。
<6> 前記樹脂組成物層が熱硬化性樹脂を含有する、<1>〜<5>のいずれか1項に記載の多層樹脂シート。
<7> 前記樹脂組成物層が、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミドイミド樹脂、及びポリイミド樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、<1>〜<6>のいずれか1項に記載の多層樹脂シート。
<8> 前記導電粘着層の平均厚みが30μm以下である、<1>〜<7>のいずれか1項に記載の多層樹脂シート。
<9> 前記導電粘着層がフィラーを含有する、<1>〜<8>のいずれか1項に記載の多層樹脂シート。
<10> 前記導電粘着層に含有されるフィラーが黒鉛粒子を含む、<9>に記載の多層樹脂シート。
<11> 前記導電粘着層に含有されるフィラーの体積平均粒径が30μm以下である、<9>又は<10>に記載の多層樹脂シート。
<12> 前記導電粘着層に含有されるフィラーの体積抵抗率が10Ω・m以下である、<9>〜<11>のいずれか1項に記載の多層樹脂シート。
<13> 前記樹脂組成物層の少なくとも一方の主面側に積層された金属層を更に有する、<1>〜<12>のいずれか1項に記載の多層樹脂シート。
<14> 主面における面積基準の凹み率が2%以下である、<1>〜<13>のいずれか1項に記載の多層樹脂シート。
<15> 樹脂組成物層の少なくとも一方の主面側に導電粘着層を積層して多層樹脂シートを得る積層工程を有する、<1>〜<14>のいずれか1項に記載の多層樹脂シートの製造方法。
<16> 前記積層工程後の多層樹脂シートを加熱加圧する加熱加圧工程を更に有する、<15>に記載の多層樹脂シートの製造方法。
<17> <1>〜<14>のいずれか1項に記載の多層樹脂シートの硬化物である、多層樹脂シート硬化物。
<18> <1>〜<14>のいずれか1項に記載の多層樹脂シートと、前記多層樹脂シートの少なくとも一方の主面上に配置される被着体とを有する、多層樹脂シート積層体。
<19> 前記被着体が半導体装置を含む、<18>に記載の多層樹脂シート積層体。
<20> <17>に記載の多層樹脂シート硬化物と、前記多層樹脂シート硬化物の少なくとも一方の主面上に配置される被着体とを有する、多層樹脂シート積層体硬化物。
<21> 前記被着体が半導体装置を含む、<20>に記載の多層樹脂シート積層体硬化物。
本発明によれば、絶縁性、熱伝導性、及び作業性に優れる多層樹脂シート、多層樹脂シートの製造方法、多層樹脂シート硬化物、多層樹脂シート積層体、及び多層樹脂シート積層体硬化物を提供することができる。
多層樹脂シートの一例を模式的に示す平面図である。 多層樹脂シートの一例を模式的に示す側面図である。 多層樹脂シートの一例を模式的に示す側面図である。 多層樹脂シートを用いて構成されるパワー半導体装置の一例を模式的に示す断面図である。 多層樹脂シートを用いて構成されるパワー半導体装置の一例を模式的に示す断面図である。 多層樹脂シートを用いて構成されるパワー半導体装置の一例を模式的に示す断面図である。 比較用の樹脂シートを用いて構成されるパワー半導体装置の一例を模式的に示す断面図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本発明を制限するものではない。
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲には、「〜」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書において各成分の含有率は、各成分に該当する物質が複数種存在する場合、特に断らない限り、当該複数種の物質の合計の含有率を意味する。
本明細書において各成分の粒径は、各成分に該当する粒子が複数種存在する場合、特に断らない限り、当該複数種の粒子の混合物についての値を意味する。
本明細書において「層」との語には、当該層が存在する領域を観察したときに、当該領域の全体に形成されている場合に加え、当該領域の一部にのみ形成されている場合も含まれる。
本明細書において「積層」との語は、層を積み重ねることを示し、二以上の層が結合されていてもよく、二以上の層が着脱可能であってもよい。
本明細書において「主面」との語は、層又はシートの厚み方向に対応する2つの面の一方又は両方を示す。
本明細書において「工程」との語には、他の工程から独立した工程に加え、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、当該工程も含まれる。
<多層樹脂シート>
本実施形態の多層樹脂シートは、樹脂組成物層と、樹脂組成物層の少なくとも一方の主面側に積層された導電粘着層とを有する。本実施形態の多層樹脂シートは、必要に応じて、金属層等の他の層を有していてもよい。
本実施形態の多層樹脂シートは、上記構成を有することにより、絶縁性及び熱伝導性に優れる。このため、例えば、高電圧がかかる電子機器(パワー半導体装置等)の熱放散のために本実施の形態の多層樹脂シートを用いることで、電子機器としての信頼性向上及び動作速度の高速化に繋がると考えられる。また、本実施形態の多層樹脂シートは、作業性にも優れており、多層樹脂シートを有する放熱構造を量産する際に好適に使用することができる。使用に際しては、例えば、パワー半導体装置の放熱板とヒートシンクとの間に挟めばよく、プレスによる真空圧着等を行わなくともよい。
なお、本実施形態の多層樹脂シートが絶縁性及び熱伝導性に優れる理由について、本発明者らは以下のように推察している。
一般に、樹脂シートを介して、半導体装置等から発生する熱を放熱体へと伝達する場合、樹脂シートには絶縁性及び熱伝導性が要求される。このとき、樹脂シートと半導体装置又は放熱体との界面にボイドが存在すると、界面放電が発生し、絶縁性が低下する要因となる。
本実施形態の多層樹脂シートでは、樹脂組成物層の少なくとも一方の主面側に導電粘着層が積層されているため、樹脂シートと半導体素子又は放熱体との間の電位差を小さくすることができ、かつ、樹脂組成物層と導電粘着層との間のボイドを減少させることができる。特に、後述する導電粘着層形成用組成物を用いて樹脂組成物層上に導電粘着層を形成する場合には、樹脂組成物層の表面に存在する凹凸を埋めるように導電粘着層形成用組成物が入り込むことで、樹脂組成物層と導電粘着層との間のボイドをより減少させることができる。その結果、樹脂シートと半導体素子又は放熱体との間の界面放電を抑制し、絶縁性を向上させることができる。
更に、本実施形態の多層樹脂シートでは、樹脂組成物層の少なくとも一方の主面側に導電粘着層が積層されているため、グリースを用いる場合と比較して、発生し得る熱応力を分散させることができる。
本実施形態の多層樹脂シートは、絶縁性をより向上させる観点から、樹脂組成物層の少なくとも一方の主面側において、導電粘着層の端部が樹脂組成物層の端部よりも内側に位置することが好ましい。すなわち、樹脂組成物層の少なくとも一方の主面側から平面視したときに、導電粘着層の端部を繋ぐ閉輪郭線(以下、「導電粘着層の端部輪郭線」ともいう。)が、樹脂組成物層の端部を繋ぐ閉輪郭線(以下、「樹脂組成物層の端部輪郭線」ともいう。)の内側に位置することが好ましい。
導電粘着層の端部が樹脂組成物層の端部よりも内側に位置する場合、樹脂組成物層の少なくとも一方の主面側から平面視したときの導電粘着層の端部輪郭線と樹脂組成物層の端部輪郭線との距離は、絶縁性の観点からは、例えば、最小値が1mm以上であることが好ましく、2mm以上であることがより好ましく、3mm以上であることが更に好ましい。また、導電粘着層の端部輪郭線と樹脂組成物層の端部輪郭線との距離は、熱抵抗の観点からは、例えば、最大値が3mm以下であることが好ましく、2.5mm以下であることがより好ましく、2mm以下であることが更に好ましい。
なお、導電粘着層の端部輪郭線と樹脂組成物層の端部輪郭線との距離とは、導電粘着層の端部輪郭線上の特定の点を設定したとき、その特定の点と樹脂組成物層の端部輪郭線上の点との間の距離の最小値を意味する。
樹脂組成物層の両方の主面側に導電粘着層が積層されている場合、いずれか一方の導電粘着層の端部が樹脂組成物層の端部よりも内側に位置してもよく、両方の導電粘着層の端部が樹脂組成物層の端部よりも内側に位置していてもよい。絶縁性をより向上させる観点からは、両方の導電粘着層の端部が樹脂組成物層の端部よりも内側に位置することが好ましい。
本実施形態の多層樹脂シートの一例を図1〜図3に示す。但し、本実施形態の多層樹脂シートの構成はこれらに限定されるものではない。図1〜図3における部材の大きさは概念的なものであり、部材間の大きさの相対的な関係はこれに限定されない。また、実質的に同一の機能を有する部材には同じ符号を付与し、重複する説明を省略する場合がある。
図1は、本実施形態の多層樹脂シートの一例を模式的に示す平面図である。図1に示す多層樹脂シート10では、樹脂組成物層12の縁部を除く領域に導電粘着層11が積層されており、導電粘着層11の端部が樹脂組成物層12の端部よりも内側に位置している。導電粘着層11の端部から樹脂組成物層12の端部までの距離Laは、多層樹脂シートの絶縁性及び熱伝導性のバランスを考慮して適宜調整することが好ましい。距離Laは、絶縁性の観点からは、例えば、最小値が1mm以上であることが好ましく、2mm以上であることがより好ましく、3mm以上であることが更に好ましい。また、距離Laは、熱抵抗の観点からは、例えば、最大値が3mm以下であることが好ましく、2.5mm以下であることがより好ましく、2mm以下であることが更に好ましい。
図2及び図3は、本実施形態の多層樹脂シートの一例を模式的に示す側面図である。
図2に示す多層樹脂シート10Aでは、樹脂組成物層12の両方の主面に導電粘着層11が積層されており、いずれの導電粘着層11も、端部が樹脂組成物層12の端部よりも内側に位置している。
図3に示す多層樹脂シート10Bでは、樹脂組成物層12の一方の主面に導電粘着層11が積層されており、導電粘着層11の端部が樹脂組成物層12の端部よりも内側に位置している。また、樹脂組成物層12の他方の主面には金属層13が積層されている。
図1〜図3に示すように、樹脂組成物層の少なくとも一方の主面側において、導電粘着層の端部が樹脂組成物層の端部よりも内側に位置することにより、沿面距離が長くなり、絶縁性がより向上する傾向にある。すなわち、沿面距離が長くなることにより、樹脂組成物層上に放電が発生したとしても、特定の領域に電界が集中し難いため沿面放電が発生し難く、その結果、絶縁性がより向上する傾向にある。
ここで、「沿面距離」とは、2つの導電性部分間の絶縁物の表面に沿った最小距離を示す。例えば、図2に示す多層樹脂シート10Aでは、樹脂組成物層12の一方の主面に積層された導電粘着層11の端部から樹脂組成物層12の側面を伝って他方の主面に積層された導電粘着層11の端部までの、樹脂組成物層12の主面及び側面に沿った最小距離L1が沿面距離となる。また、図3に示す多層樹脂シート10Bでは、樹脂組成物層12の一方の主面に積層された導電粘着層11の端部から樹脂組成物層12の側面を伝って他方の主面に積層された金属層13の端部までの、樹脂組成物層12の主面及び側面に沿った最小距離L2が沿面距離となる。
絶縁性の観点からは、沿面距離は長い方が好ましい。これは、沿面距離が長くなると、沿面放電が発生し難くなるためである。沿面距離は、絶縁性の観点からは、例えば、最小値が1mm以上であることが好ましく、2mm以上であることがより好ましく、3mm以上であることが更に好ましい。また、沿面距離は、樹脂組成物層の一方の主面側で最小値が1mm以上となっていることが好ましく、樹脂組成物層の両方の主面側でそれぞれ最小値が1mm以上となっていることがより好ましい。沿面における二次電子なだれ現象は電子の動きに影響され、沿面の電気力線の方向により変化するため、樹脂組成物層の両方の主面側で沿面距離の最小値がそれぞれ1mm以上となっていることにより、絶縁性をより向上させることができる。
その一方で、沿面距離が長くなると、導電粘着層の主面の面積が小さくなり、熱抵抗が増大する傾向にある。沿面距離は、熱抵抗の観点からは、例えば、最大値が3mm以下であることが好ましく、2.5mm以下であることがより好ましく、2mm以下であることが更に好ましい。
以下、本実施形態の多層樹脂シートの構成について更に詳細に説明する。
[樹脂組成物層]
樹脂組成物層は、マトリックス樹脂の少なくとも1種を含有し、必要に応じて、硬化剤、フィラー、及びその他の添加剤を含有していてもよい。
(マトリックス樹脂)
マトリックス樹脂としては、熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂を含有することが好ましく、熱硬化性樹脂を含有することが好ましい。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、フェノキシ樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニルスルホン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等が挙げられる。
また、マトリックス樹脂としては、ゴムを含有していてもよい。ゴムとしては、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム等の合成ゴム;合成ゴムにカルボキシ基、エポキシ基等の官能基を付加した変性ゴム;天然ゴムなどが挙げられる。ここで、アクリルゴムとは、アクリル酸エステルを主成分としたゴムであり、ブチルアクリレートとアクリロニトリルとの共重合体、エチルアクリレートとアクリロニトリルとの共重合体等が挙げられる。これらのゴムの中でも、柔軟性に優れ、ガラス転移温度(Tg)が20℃以下であるものが好ましい。また、多層樹脂シートとしての強度を付与するため、ゴムは、架橋体であるか、又は重量平均分子量が20万以上であることが好ましい。
なお、ガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量装置(DSC)を用いて測定することができる。
樹脂組成物層は、これらのマトリックス樹脂の中でも、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミドイミド樹脂、及びポリイミド樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含有することが好ましく、エポキシ樹脂及びフェノキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含有することがより好ましい。
エポキシ樹脂の具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、水素添加したビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ジヒドロキシペンタジエン型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
フェノキシ樹脂の具体例としては、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂、ビスフェノールF型フェノキシ樹脂、ビスフェノールS型フェノキシ樹脂、ビフェニルS型フェノキシ樹脂、臭素化フェノキシ樹脂、リン含有フェノキシ樹脂、フルオレン骨格を導入したフェノキシ樹脂等が挙げられる。これらのフェノキシ樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
樹脂組成物層中におけるマトリックス樹脂の含有率は、熱伝導性及び密着性の観点から、例えば、5質量%〜97質量%であることが好ましく、7質量%〜95質量%であることがより好ましい。
(硬化剤)
樹脂組成物層は、硬化剤を含有していてもよい。硬化剤としては、ノボラック樹脂、芳香族アミン系硬化剤、脂肪族アミン系硬化剤、メルカプタン系硬化剤、酸無水物系硬化剤等が挙げられる。これらの硬化剤の中でも、絶縁性及び熱伝導性の観点から、ノボラック樹脂が好ましい。
ノボラック樹脂としては、エポキシ樹脂等の硬化剤として通常用いられるノボラック樹脂であれば特に制限されない。ノボラック樹脂は、絶縁性及び熱伝導性の観点から、下記一般式(I)で表される構造単位を有するノボラック樹脂(以下、「特定ノボラック樹脂」ともいう。)の少なくとも1種であることが好ましい。
上記一般式(I)において、Rは、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基を表す。Rで表されるアルキル基、アリール基、及びアラルキル基は、必要に応じて置換基を有していてもよい。置換基としては、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、水酸基等が挙げられる。
上記一般式(I)において、mは0〜2の整数を表す。mが2の場合、2つのRは同一であっても異なってもよい。mは、熱伝導性及び密着性の観点から、0又は1であることが好ましく、0であることがより好ましい。
上記一般式(I)において、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基を表す。R及びRで表されるアルキル基、アリール基、及びアラルキル基は、必要に応じて置換基を有していてもよい。置換基としては、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、水酸基等が挙げられる。
特定ノボラック樹脂としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。特定ノボラック樹脂を2種以上併用する態様としては、例えば、構造単位は異なるものの分子量を同じくする特定ノボラック樹脂を2種以上併用する態様、分子量は異なるものの構造単位を同じくする特定ノボラック樹脂を2種以上併用する態様、並びに分子量及び構造単位の異なる特定ノボラック樹脂を2種以上併用する態様が挙げられる。
特定ノボラック樹脂は、レゾルシノールに由来する部分構造を少なくとも含む。特定ノボラック樹脂は、レゾルシノール以外のフェノール化合物に由来する部分構造の少なくとも1種を更に含んでいてもよい。レゾルシノール以外のフェノール化合物としては、フェノール、クレゾール、カテコール、ヒドロキノン、1,2,3−トリヒドロキシベンゼン、1,2,4−トリヒドロキシベンゼン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン等が挙げられる。特定ノボラック樹脂は、これらに由来する部分構造を1種単独で含んでいてもよく、2種以上組み合わせて含んでいてもよい。ここで、フェノール化合物に由来する部分構造とは、フェノール化合物のベンゼン環部分から水素原子を1個又は2個取り除いて構成される1価又は2価の基を意味する。水素原子が取り除かれる位置は特に限定されない。
特定ノボラック樹脂におけるレゾルシノール以外のフェノール化合物に由来する部分構造としては、熱伝導性、密着性、及び保存安定性の観点から、フェノール、クレゾール、カテコール、ヒドロキノン、1,2,3−トリヒドロキシベンゼン、1,2,4−トリヒドロキシベンゼン、及び1,3,5−トリヒドロキシベンゼンからなる群より選ばれる少なくとも1種に由来する部分構造であることが好ましく、ヒドロキノン、カテコール、1,2,4−トリヒドロキシベンゼン、及び1,3,5−トリヒドロキシベンゼンからなる群より選ばれる少なくとも1種に由来する部分構造であることがより好ましく、カテコールに由来する部分構造であることが更に好ましい。
特定ノボラック樹脂におけるレゾルシノールに由来する部分構造の含有率は特に制限されない。熱伝導性の観点から、特定ノボラック樹脂の全質量中において、レゾルシノールに由来する部分構造の含有率が20質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましい。特定ノボラック樹脂の全質量中におけるレゾルシノールに由来する部分構造の含有率の上限値は特に制限されず、例えば、95質量%以下であることが好ましい。
特定ノボラック樹脂の数平均分子量は、熱伝導性の観点から、800以下であることが好ましく、弾性率及び線膨張率の観点から、300〜750であることがより好ましく、成形性及び密着性の観点から、350〜650であることが更に好ましい。
なお、本明細書において、数平均分子量及び重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、以下の方法に従い測定する。
−GPC測定−
特定ノボラック樹脂をテトラヒドロフラン(液体クロマトグラフ用)に溶解し、ポリテトラフルオロエチレン製フィルタ(倉敷紡績株式会社、HPLC前処理用、クロマトディスク、型番:13N、孔径:0.45μm)を通して不溶分を除去する。GPC〔ポンプ:L6200 Pump(株式会社日立製作所)、検出器:示差屈折率検出器L3300 RI Monitor(株式会社日立製作所)、カラム:TSKgel−G5000HXL及びTSKgel−G2000HXL(計2本)(いずれも東ソー株式会社)を直列に繋いだもの、カラム温度:30℃、溶離液:テトラヒドロフラン、流速:1.0mL/分、標準物質:ポリスチレン〕を用い、分子量測定で数平均分子量を測定する。
硬化剤が特定ノボラック樹脂を含む場合、柔軟性の観点から、硬化剤は、特定ノボラック樹脂を構成するフェノール化合物であるモノマーを更に含むことが好ましい。一般にノボラック樹脂は、フェノール化合物とアルデヒド化合物とを縮重合することで合成される。したがって、特定ノボラック樹脂を構成するフェノール化合物とは、特定ノボラック樹脂の合成に用いられるフェノール化合物を意味する。特定ノボラック樹脂を構成するフェノール化合物は、特定ノボラック樹脂の合成の際に残存したフェノール化合物であってもよく、特定ノボラック樹脂の合成後に添加したフェノール化合物であってもよい。
硬化剤が特定ノボラック樹脂を構成するフェノール化合物を含む場合、特定ノボラック樹脂とフェノール化合物との合計に対するフェノール化合物の割合は、例えば、5質量%〜60質量%であることが好ましく、10質量%〜55質量%であることがより好ましく、15質量%〜50質量%であることが更に好ましい。
特定ノボラック樹脂を構成するフェノール化合物は、特定ノボラック樹脂の構造に応じて選択される。中でもフェノール化合物は、レゾルシノール、カテコール、1,2,4−トリヒドロキシベンゼン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン、及び1,2,3−トリヒドロキシベンゼンからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、レゾルシノール及びカテコールからなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
樹脂組成物層が硬化剤を含有する場合、その含有率は特に制限されない。硬化剤の含有率は、熱伝導性及び密着性の観点から、樹脂組成物層中に0.3質量%〜15質量%であることが好ましく、熱伝導性の観点から、0.5質量%〜13質量%であることがより好ましく、0.7質量%〜11質量%であることが更に好ましい。
また、硬化剤の含有量は、マトリックス樹脂に対して当量基準で、0.8〜1.2であることが好ましく、0.9〜1.1であることがより好ましい。ここで、当量とは反応当量を意味する。マトリックス樹脂がエポキシ基を有する場合、硬化剤としてのノボラック樹脂の当量は、エポキシ基1個に対しフェノール性水酸基1個が反応するものとして計算され、硬化剤としてのアミンの当量は、エポキシ基1個に対しアミノ基の活性水素1個が反応するものとして計算され、硬化剤としての酸無水物の無水酸当量は、エポキシ基1個に対し酸無水物基1個が反応するものとして計算される。
(フィラー)
樹脂組成物層は、フィラーを含有していてもよい。フィラーとしては、絶縁性のフィラーが好ましく、具体的には、体積抵抗率が1010Ω・m以上であるフィラーが好ましい。フィラーとしては、アルミナ、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、結晶性シリカ、非晶性シリカ、炭化ケイ素等の粒子が挙げられる。フィラーとしては、熱伝導性の観点から、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、結晶性シリカ、非晶性シリカ、及び炭化ケイ素からなる群より選択される少なくとも1種の粒子を含有することが好ましく、絶縁性及び熱伝導性を両立する観点から、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、及び結晶性シリカからなる群より選択される少なくとも1種の粒子を含有することがより好ましい。また、体積抵抗率の測定方法としては、それぞれの素材の板状試験片を用いて、JIS K 7194:1994に記載の4端子法にて測定した。この値は物質固有の値であり、形状には依存しないため、粒子状のフィラーであっても板状試験片で測定した値を採用することができる。
フィラーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。フィラーを2種以上併用する態様としては、例えば、成分は異なるものの平均粒径を同じくするフィラーを2種以上併用する態様、平均粒径は異なるものの成分を同じくするフィラーを2種以上併用する態様、並びに平均粒径及び成分の異なるフィラーを2種以上併用する態様が挙げられる。
フィラーの粒子形状は特に制限されず、球状、扁平状、丸み状、破砕状、凝集粒子状等が挙げられ、フィラーを高充填し、樹脂組成物層の厚み方向に熱伝導パスを形成する観点から、球状、丸み状、又は凝集粒子状が好ましい。窒化ホウ素粒子のように一次粒子が比較的大きく扁平状であるものは、一次粒子においてもアスペクト比が小さいものが好ましい。
フィラーの体積平均粒径は、絶縁性及び熱伝導性の観点から、例えば、100μm以下であることが好ましく、70μm以下であることがより好ましく、50μm以下であることが更に好ましい。フィラーの体積平均粒径の下限値は特に制限されず、例えば、0.2μm以上であることが好ましく、0.4μm以上であることがより好ましい。フィラーの体積平均粒径を100μm以下とすることで、樹脂組成物層の平坦性が向上し、密着性がより向上する傾向にある。一方、フィラーの体積平均粒径を0.2μm以上とすることで、フィラー間の接触確率が増加して熱伝導パスが形成されやすくなり、熱伝導性がより向上する傾向にある。
なお、フィラーの体積平均粒径は、レーザー回折散乱法、3D CT法、又は走査型電子顕微鏡(SEM)を用いる方法で測定することができる。フィラーの粒度分布が広い場合には、複数の手法を組み合わせた方がより精度良く測定することができる。
レーザー回折散乱法を用いる場合、まず、樹脂組成物層からフィラーを抽出し、レーザー回折散乱粒度分布測定装置(例えば、ベックマン・コールター社、LS230)を用いることで、体積平均粒径を測定可能である。具体的には、まず、水及び0.01質量%〜0.1質量%の分散剤であるヘキサメタリン酸ナトリウムとともに、フィラーを1質量%〜5質量%の範囲内で添加し、試料液を調製する。この試料液を超音波振動機(例えば、シャープマニュファクチャリングシステム株式会社、型番:UT−106、出力:100W)を用いて温度23℃下において3分間〜5分間振動して分散する。分散した試料液の約2mL程度をセルに注入し、25℃で、レーザー回折散乱粒度分布測定装置により粒度分布を測定する。積算した体積が50%の場合における粒径(D50%)を体積平均粒径とする。
3D CT法を用いる場合、例えば、株式会社島津製作所のSMX−160CTSを用いることでフィラーの体積平均粒径を測定可能である。具体的には、樹脂組成物層を10mm角に切り出して試料台に配置し、そこにX線を照射することで、体積平均粒径を測定可能である。測定条件としては、X線管電圧を40kVとし、X線管電流を100mAとして撮影した三次元像から、マトリックス樹脂、フィラー、及びボイドの割合を画像解析により分析して、各成分の割合に基づいてフィラーの体積平均粒径を算出することができる。なお、マトリックス樹脂とフィラーとの組み合わせによっては、フィラーの判別が難しいことがある。その場合は他の手法と組み合わせて体積平均粒径を測定することがより好ましい。
SEMを用いる方法によりフィラーの体積平均粒径を求める場合、SEM FIB(Focused Ion Beam)を用いることが可能であり、例えば、FIB光学系とSEM光学系との両者を備えている株式会社日立ハイテクノロジーズ、nano DUE’T NB5000型を用いることで測定可能である。具体的には、樹脂組成物層に対して垂直にGaイオンビームを入射して断面加工を行いながら、傾けて設置したSEMで観察を行うことができる。加工ピッチは1nm〜100nmで撮影を行うことがよいが、撮影したいフィラーのサイズに合わせてピッチを調整することが好ましい。撮影した三次元像から、フィラー組織を二値化により抽出して、粒子が球であると仮定して、体積平均粒径を算出可能である。
樹脂組成物層がフィラーを含有する場合、その含有率は特に制限されない。フィラーの含有率は、熱伝導性及び密着性の観点から、樹脂組成物層中に50質量%〜98質量%であることが好ましく、60質量%〜95質量%であることがより好ましい。フィラーの含有率を50質量%以上とすることで、熱伝導性が向上する傾向にある。一方、フィラーの含有率を98質量%以下とすることで、密着性が向上する傾向にある。
(添加剤)
樹脂組成物層は、上記成分に加えて、必要に応じてその他の添加剤を含有していてもよい。その他の添加剤としては、硬化触媒、シランカップリング剤、分散剤、相溶化剤、可塑剤、レベリング剤等が挙げられる。
−硬化触媒−
樹脂組成物層は、硬化触媒を含有していてもよい。硬化触媒としては、イミダゾール、トリフェニルホスフィン、これらの化合物に側鎖を導入した誘導体等が挙げられる。これらの硬化触媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
樹脂組成物層が硬化触媒を含有する場合、硬化触媒の含有率は、例えば、0.1質量%〜3質量%であることが好ましく、0.3質量%〜2.7質量%であることがより好ましく、0.4質量%〜2.4質量%であることが更に好ましい。
−シランカップリング剤−
樹脂組成物層は、シランカップリング剤を含有していてもよい。シランカップリング剤としては、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(エポキシプロピルトリメトキシシラン)、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アニリノプロピルトリメトキシシラン、3−アニリノプロピルトリエトキシシラン、3−(N,N−ジメチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(N,N−ジエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(N,N−ジブチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(N−メチル)アニリノプロピルトリメトキシシラン、3−(N−エチル)アニリノプロピルトリメトキシシラン、3−(N,N−ジメチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(N,N−ジエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(N,N−ジブチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(N−メチル)アニリノプロピルトリエトキシシラン、3−(N−エチル)アニリノプロピルトリエトキシシラン、3−(N,N−ジメチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−(N,N−ジエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−(N,N−ジブチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−(N−メチル)アニリノプロピルメチルジメトキシシラン、3−(N−エチル)アニリノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン、N−(ジメトキシメチルシリルイソプロピル)エチレンジアミン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラン、ビニルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。これらのシランカップリング剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
樹脂組成物層がシランカップリング剤を含有する場合、シランカップリング剤の含有率は、0.01質量%〜4質量%であることが好ましく、0.02質量%〜3質量%であることがより好ましく、0.03質量%〜2質量%であることが更に好ましい。
(樹脂組成物層の平均厚み)
樹脂組成物層の平均厚みは、絶縁性及び熱伝導性に応じて適宜選択することができる。樹脂組成物層の平均厚みは、例えば、60μm〜260μmであることが好ましく、75μm〜240μmであることがより好ましく、90μm〜220μmであることが更に好ましい。樹脂組成物層の平均厚みが60μm以上であると、絶縁性がより向上する傾向にあり、樹脂組成物層の平均厚みが260μm以下であると、熱抵抗がより小さくなる傾向にある。
なお、樹脂組成物層の平均厚みは、マイクロメーター(例えば、株式会社ミツトヨ、マイクロメーター IP65)を用いて、9点の厚みを測定し、その算術平均値として算出することができる。
(樹脂組成物層の形成方法)
樹脂組成物層の形成方法は特に制限されない。例えば、樹脂組成物を用いて、所望の平均厚みの樹脂組成物層を形成することができる。樹脂組成物は、撹拌器、らいかい器、3本ロール、プラネタリーミキサー、ニーダー、混練機等の装置を適宜組み合わせて、マトリックス樹脂、及び必要に応じて硬化剤、フィラー等を一括又は分割して混合、溶解、解粒混練、又は分散することにより調製することができる。樹脂組成物は、マトリックス樹脂、フィラー等を溶解又は分散するため、必要に応じて有機溶剤を含有していてもよい。有機溶剤としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、シクロヘキサノール等のアルコール溶剤;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン等のケトン溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド溶剤などが挙げられる。
樹脂組成物層の形成方法としては、コンマコート法、ダイコート法、ディップ法等の塗工法、スクリーン印刷等の印刷法、押出成形法、プレス成形法、射出成形法等の成形法などが挙げられる。樹脂組成物が有機溶剤を含有する場合、形成された樹脂組成物層を乾燥処理して有機溶剤の少なくとも一部を除去することが好ましい。乾燥方法としては、常圧下又は減圧下での加熱乾燥、自然乾燥、凍結乾燥等が挙げられる。
塗工法又は印刷法により樹脂組成物層を形成する場合、支持体上に樹脂組成物層を形成することが好ましい。支持体としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリイミドフィルム等のプラスチックフィルムなどが挙げられる。これらのフィルムに対して、必要に応じてプライマー処理、紫外線処理、コロナ放電処理、研磨処理、エッチング処理、離型処理等の表面処理を行ってもよい。
樹脂組成物層は、1つの層からなる構成であってもよく、2つ以上の層が積層された構成であってもよい。2つ以上の層が積層された構成とすることにより、絶縁耐圧がより向上する傾向にある。
これは例えば以下のように考えることができる。すなわち、2つの層を積層することで、一方の層中に存在し得る厚みの薄くなる箇所(ピンホール又はボイド)が他方の層により補填されることになる。これにより、最小絶縁厚みを大きくすることができ、絶縁耐圧がより向上すると考えることができる。樹脂組成物層を形成する際におけるピンホール又はボイドの発生確率は高くはないが、2つの層を重ねることで薄い部分の重なり合う確率はその2乗になり、ピンホール又はボイドの個数はゼロに近づくことになる。絶縁破壊は最も絶縁的に弱い箇所で起こることから、2つの層を積層することにより絶縁耐圧がより向上する効果が得られると考えることができる。更に、2つの層を重ねることにより、フィラー同士の接触確率も向上し、熱伝導性の向上効果も生じると考えることができる。
樹脂組成物層が熱硬化性樹脂を含有する場合、樹脂組成物層は、加熱加圧処理によって半硬化状態(Bステージ)となったものであってもよい。樹脂組成物層がBステージであることで、取り扱い性が向上する。これは、Aステージと比較して硬化が進行していることで弾性率が上昇し、強度が向上しているためである。
なお、本明細書においては、樹脂組成物を用いて樹脂組成物層を形成し、必要に応じて乾燥処理を行った状態をAステージと称し、Aステージの樹脂組成物層を更に加熱加圧処理して得られる樹脂組成物層をBステージと称する場合がある。Aステージ及びBステージについては、JIS K6900:1994の規定を参照するものとする。
ここで、Bステージの樹脂組成物層は、室温(25℃)における粘度が10Pa・s〜10Pa・sであり、100℃における粘度が10Pa・s〜10Pa・sであり、室温(25℃)から100℃への温度変化により、粘度が0.001%〜50%低下するものである。上記粘度は、動的粘弾性測定(周波数:1Hz、荷重:40g、昇温速度:3℃/分)によって測定することができる。
樹脂組成物層を加熱加圧処理する方法は、樹脂組成物層をBステージにできれば特に制限されない。例えば、熱プレス及びラミネータを用いて樹脂組成物層を加熱加圧処理することができる。樹脂組成物層をBステージとする加熱加圧条件は、樹脂組成物の組成に応じて適宜選択でき、例えば、加熱温度40℃〜200℃、圧力0.1MPa〜100MPa、及び加熱加圧時間0.3分間〜30分間の条件を挙げることができる。
Bステージの樹脂組成物層の硬化度は、BステージからCステージまでの硬化反応で発生する熱量が、AステージからCステージまでの硬化反応で発生する熱量の40%以下となることが好ましく、20%以下となることがより好ましい。これにより、樹脂組成物層の粘度が低くなり、被着体に対する密着性が向上し、ボイド又は未着部が少なくなり、絶縁性が向上する傾向にある。
なお、樹脂組成物層をBステージにすることで、Aステージよりも絶縁厚みが小さくなるため、これを考慮して樹脂組成物層の厚みを設計することが好ましい。
[導電粘着層]
導電粘着層は、導電性及び粘着性を有する層であり、例えば、マトリックス樹脂及びフィラーを含有する。導電粘着層は、必要に応じて硬化剤等を含有していてもよい。
(マトリックス樹脂)
マトリックス樹脂としては、熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂を含有することが好ましい。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、フェノキシ樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニルスルホン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等が挙げられる。
導電粘着層は、これらのマトリックス樹脂の中でも、シリコーン樹脂を含有することが好ましい。シリコーン樹脂としては、付加硬化型のシリコーン樹脂及び縮合硬化型のシリコーン樹脂が挙げられる。縮合硬化型のシリコーン樹脂は、硬化反応により副生する化合物の違いにより、アルコール型、オキシム型、酢酸型、アミド型、アセトン型等に分類される。これらのシリコーン樹脂の中でも、金属に対する腐食性が低い点から、付加硬化型のシリコーン樹脂が好ましい。付加硬化型のシリコーン樹脂としては、分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンが挙げられる。これらのシリコーン樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(硬化剤)
導電粘着層は、硬化剤を含有していてもよい。硬化剤は、マトリックス樹脂の種類に応じて適宜選択することができる。導電粘着層が、マトリックス樹脂として分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンを含有する場合、硬化剤としては、分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンが挙げられる。
(フィラー)
フィラーとしては、導電性のフィラーが好ましく、具体的には、体積抵抗率が10Ω・m以下であるフィラーが好ましい。フィラーとしては、アセチレンブラック、天然黒鉛、人工黒鉛、膨張黒鉛等の黒鉛、銀、銅、ニッケル、酸化亜鉛などの粒子が挙げられる。フィラーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
フィラーとしては、導電性及び熱伝導性の観点から、アセチレンブラック、天然黒鉛、人工黒鉛、膨張黒鉛等の黒鉛の粒子(黒鉛粒子)を含有することが好ましく、膨張黒鉛粒子を含有することがより好ましい。
膨張黒鉛は、例えば、天然黒鉛、人工黒鉛等の原料黒鉛を酸性物質及び酸化剤を含む溶液中に浸漬して黒鉛層間化合物を生成させ、この黒鉛層間化合物を加熱して黒鉛結晶のc軸方向を膨張させることにより作製することができる。得られた膨張黒鉛をロール、プレス等で加圧してシート状に成形し、膨張黒鉛シートを作製した後、この膨張黒鉛シートを粉砕し、必要に応じて分級することにより、膨張黒鉛粒子を得ることができる。
フィラーの粒子形状は特に制限されず、球状、扁平状、丸み状、破砕状、凝集粒子状等が挙げられ、フィラーを高充填し、導電粘着層の厚み方向に熱伝導パスを形成する観点から、球状、丸み状、又は凝集粒子状が好ましい。黒鉛粒子の形状は、球状、扁平粒状、樹枝状等が挙げられ、球状又は扁平粒状が好ましい。また、黒鉛粒子は、ショアD硬度が0〜70のものが好ましい。黒鉛粒子のショアD硬度が0〜70であると、黒鉛粒子が導電粘着層内で変形しやすく、熱伝導性がより向上する傾向にある。
フィラーの体積平均粒径は、被着体との密着性及び熱伝導性の観点から、例えば、30μm以下であることが好ましく、25μm以下であることがより好ましく,20μm以下であることが更に好ましい。フィラーの体積平均粒径の下限値は特に制限されず、例えば、0.2μm以上であることが好ましく、0.4μm以上であることがより好ましい。フィラーの体積平均粒径を30μm以下とすることで、多層樹脂シートの平坦性が向上し、密着性がより向上する傾向にある。一方、フィラーの体積平均粒径を0.2μm以上とすることで、フィラー間の接触確率が増加して熱伝導パスが形成されやすくなり、熱伝導性がより向上する傾向にある。
なお、フィラーの体積平均粒径は、樹脂組成物層のフィラーと同様にして測定することができる。
フィラーの含有率は特に制限されない。フィラーの含有率は、熱伝導性及び密着性の観点から、導電粘着層中に3質量%〜80質量%であることが好ましく、5質量%〜70質量%であることがより好ましい。フィラーの含有率を3質量%以上とすることで、熱伝導性が向上する傾向にある。一方、フィラーの含有率を80質量%以下とすることで、密着性が向上する傾向にある。
(導電粘着層の平均厚み)
導電粘着層の平均厚みは、密着性及び熱伝導性に応じて適宜選択することができる。導電粘着層の平均厚みは、例えば、30μm以下であることが好ましく、25μm以下であることがより好ましく、20μm以下であることが更に好ましい。導電粘着層の平均厚みの下限値は特に制限されず、例えば、2μm以上であることが好ましく、4μm以上であることがより好ましい。導電粘着層の平均厚みが30μm以下であると、密着性がより向上し、また、熱抵抗がより小さくなる傾向にある。一方、導電粘着層の平均厚みが2μm以上であると、粒径の大きなフィラーが適用可能となり、熱伝導性がより向上する傾向にある。
なお、導電粘着層の平均厚みは、樹脂組成物層と同様にして測定することができる。
(導電粘着層の形成方法)
導電粘着層の形成方法は特に制限されない。例えば、導電粘着層形成用組成物を用いて、所望の平均厚みの導電粘着層を形成することができる。導電粘着層形成用組成物は、撹拌器、らいかい器、3本ロール、プラネタリーミキサー、ニーダー、混練機等の装置を適宜組み合わせて、マトリックス樹脂、及び必要に応じてフィラー等を一括又は分割して混合、溶解、解粒混練、又は分散することにより調製することができる。導電粘着層形成用組成物は、マトリックス樹脂、フィラー等を溶解又は分散するため、必要に応じて有機溶剤を含有していてもよい。有機溶剤としては、トルエン等が挙げられる。
導電粘着層の形成方法としては、スプレー法、コンマコート法、ダイコート法、ディップ法等の塗工法、スクリーン印刷等の印刷法などが挙げられる。導電粘着層形成用組成物が有機溶剤を含有する場合、形成された導電粘着層を乾燥処理して有機溶剤の少なくとも一部を除去することが好ましい。乾燥方法としては、常圧下又は減圧下での加熱乾燥、自然乾燥、凍結乾燥等が挙げられる。
[その他の構成]
本実施形態の多層樹脂シートは、樹脂組成物層及び導電粘着層以外に、金属箔、金属板、金属メッシュ等の金属層を有していてもよい。金属層の数及び積層の順序は特に制限されない。但し、被着体との密着性のため、導電粘着層は最外層であることが好ましい。
金属層の材質及び形状は特に制限されず、例えば、金、銀、銅、ニッケル、鉄、アルミニウム、ステンレス鋼等の金属箔及び金属板が挙げられる。中でも、熱伝導性に優れ、加工しやすい点から、銅箔、銅板、アルミニウム箔、及びアルミニウム板が好ましい。金属層の平均厚みは、例えば、5μm〜3000μmであることが好ましい。
金属層は、エッチング処理、機械加工、及びめっき処理からなる群より選択される少なくとも1種の形状加工が施されたものであってもよい。これらの加工により、金属層の表面に凹凸又は針状突起を形成することができ、熱伝導性がより向上する傾向にある。
[多層樹脂シートの主面の凹み率]
本実施形態の多層樹脂シートの主面は、平坦性に優れることが好ましい。多層樹脂シートの主面が平坦性に優れることで、絶縁性及び熱伝導性がより向上する傾向にある。より具体的に、本実施形態の多層樹脂シートの主面は、面積基準の凹み率が2%以下であることが好ましい。
なお、面積基準の凹み率は、デジタルマイクロスコープ(例えば、株式会社キーエンス、VHX−5000型)を用いて測定可能である。デジタルマイクロスコープを用いて多層樹脂シートの表面を観察し、通常光での測定に加えて、同軸落射及び偏光を組み合わせた測定を行うことにより、凸凹を強調した画像を撮影する。そして、得られた画像の明暗から、全体面積に対する暗所の面積の割合を算出し、凹み率とする。なお、ボイド部分は偏光解消されずに暗所となるため、暗所の面積がボイドの面積に相当する。
<多層樹脂シートの製造方法>
本実施形態の多層樹脂シートの製造方法は、樹脂組成物層の少なくとも一方の主面側に導電粘着層を積層して多層樹脂シートを得る積層工程を有する。本実施形態の多層樹脂シートの製造方法は、必要に応じて、他の工程を有していてもよい。
(積層工程)
樹脂組成物層と導電粘着層との積層方法は特に制限されず、層同士の界面にボイドが生じ難い方法が好ましい。例えば、樹脂組成物層のシートと導電粘着層のシートとを積層し、ラミネート処理、平面プレス処理、ロールプレス処理等によって貼り合わせてもよい。また、樹脂組成物層上に導電粘着層形成用組成物を塗工し、導電粘着層を形成してもよい。あるいは、導電粘着層上に樹脂組成物を塗工し、樹脂組成物層を形成してもよい。
なお、積層工程では、樹脂組成物層の少なくとも一方の主面側において、導電粘着層の端部が樹脂組成物層の端部よりも内側に位置するように、樹脂組成物層と導電粘着層とを積層することが好ましい。
(加熱加圧工程)
本実施形態の多層樹脂シートの製造方法は、積層工程後の多層樹脂シートを加熱加圧する加熱加圧工程を更に有することが好ましい。積層工程後の多層樹脂シートを加熱加圧することにより、絶縁性がより向上する傾向にある。
加熱加圧処理方法としては、所定の圧力及び熱を加えることができる方法であれば特に制限されず、通常用いられる加熱加圧処理方法から適宜選択することができる。具体的には、ラミネート処理、平面プレス処理、ロールプレス処理等が挙げられる。
加熱加圧条件としては、例えば、加熱温度40℃〜200℃、圧力0.1MPa〜100MPa、及び処理時間0.3分間〜30分間の条件が挙げられる。
加熱加圧処理は、常圧下及び減圧下のいずれで行ってもよく、減圧下で行うことが好ましい。減圧条件は、例えば、30000Pa以下であることが好ましく、10000Pa以下であることがより好ましい。
なお、加熱加圧処理前の多層樹脂シートの表面は、フィラー等により凸凹が生じ、平滑ではない場合がある。このような多層樹脂シートを加熱加圧処理した場合、加熱加圧処理後の多層樹脂シートの厚みは、各層の厚みの和には一致せずに小さくなる場合がある。これは、例えば、加熱加圧処理の前後で、フィラー充填性が変化すること、表面の凸と凹とが重ね合わされること、シートの均一性が向上すること、及びボイドが埋まることによるものと考えることができる。
<多層樹脂シート硬化物>
本実施形態の多層樹脂シート硬化物は、前述した本実施形態の多層樹脂シートの硬化物である。本実施形態の多層樹脂シートの樹脂組成物層及び導電粘着層が熱硬化性樹脂を含有する場合、多層樹脂シートを熱処理することで、多層樹脂シート硬化物を製造することができる。
多層樹脂シート硬化物を製造する際の熱処理条件は、多層樹脂シートの構成に応じて適宜選択することができる。熱処理条件は、例えば、120℃〜250℃で1分間〜300分間の条件が挙げられる。その際、熱処理温度を変えて多段階で熱処理を行ってもよい。
<多層樹脂シート積層体>
本実施形態の多層樹脂シート積層体は、前述した本実施形態の多層樹脂シートと、多層樹脂シートの少なくとも一方の主面上に配置される被着体と、を有する。多層樹脂シート積層体は、必要に応じてその他の部材を更に有していてもよい。被着体としては、特に制限されず、半導体装置、ヒートシンク等が挙げられる。本実施形態の多層樹脂シート積層体は、被着体として、半導体装置を有することが好ましい。
半導体装置としては、通常用いられる半導体装置を特に制限なく用いることができる。半導体装置として具体的には、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、サイリスタ等のパワー半導体素子を備えるパワー半導体装置、LED(Light Emitting Diode)素子を備えるLED装置などが挙げられる。
本実施形態の多層樹脂シート積層体の概略構成の一例を図4〜図6に示す。但し、本実施形態の多層樹脂シート積層体の構成はこれらに限定されるものではない。また、比較用の樹脂シート積層体の概略構成を図7に示す。図4〜図7における部材の大きさは概念的なものであり、部材間の大きさの相対的な関係はこれに限定されない。また、実質的に同一の機能を有する部材には同じ符号を付与し、重複する説明を省略する場合がある。
図4は、本実施形態の多層樹脂シート積層体の一例を模式的に示す断面図である。図4に示す多層樹脂シート積層体100では、多層樹脂シート10Cの一方の主面上にパワー半導体装置20が配置され、他方の主面上にヒートシンク30が配置されている。ヒートシンク30は、熱伝導性を有する銅、アルミニウム等を用いて構成することができる。
多層樹脂シート10Cでは、樹脂組成物層12の両方の主面に導電粘着層11が積層されており、パワー半導体装置20側の導電粘着層11の端部が、樹脂組成物層12の端部よりも内側に位置している。
パワー半導体装置20では、パワー半導体素子21が、はんだ層(図示無し)を介して放熱板22に接続されている。放熱板22は、配線部材を介してリードフレーム23と接続されている。パワー半導体素子21の周囲は、封止樹脂24で封止されている。
図4に示す多層樹脂シート積層体100では、パワー半導体素子21を含む発熱体が、多層樹脂シート10Cを介して放熱部材であるヒートシンク30と接触していることで、効率よく放熱が行われる。
図5は、本実施形態の多層樹脂シート積層体の一例を模式的に示す断面図である。図5に示す多層樹脂シート積層体110では、多層樹脂シート10Dの一方の主面上にパワー半導体装置20が配置され、他方の主面上にヒートシンク30が配置されている。
多層樹脂シート10Dでは、樹脂組成物層12のヒートシンク30側の主面に導電粘着層11が積層されており、導電粘着層11の端部が、樹脂組成物層12の端部よりも内側に位置している。
図5に示す多層樹脂シート積層体110では、パワー半導体素子21を含む発熱体が、多層樹脂シート10Dを介して放熱部材であるヒートシンク30と接触していることで、効率よく放熱が行われる。
図6は、本実施形態の多層樹脂シート積層体の一例を模式的に示す断面図である。図6に示す多層樹脂シート積層体120では、多層樹脂シート10Eの一方の主面上にパワー半導体装置20が配置され、他方の主面上にグリース40を介してヒートシンク30が配置されている。
多層樹脂シート10Eでは、樹脂組成物層12のパワー半導体装置20側の主面に導電粘着層11が積層されており、導電粘着層11の端部が、樹脂組成物層12の端部よりも内側に位置している。樹脂組成物層12の他方の主面には金属層13が積層されている。
図6に示す多層樹脂シート積層体120では、パワー半導体素子21を含む発熱体が、多層樹脂シート10E及びグリース40を介して放熱部材であるヒートシンク30と接触していることで、効率よく放熱が行われる。
図7は、比較用の樹脂シート積層体の一例を模式的に示す断面図である。図7に示す樹脂シート積層体200では、樹脂組成物をシート化した樹脂シート50の一方の主面上にパワー半導体装置20が配置され、他方の主面上にヒートシンク30が配置されている。
図7に示す樹脂シート積層体200では、パワー半導体素子21を含む発熱体が、樹脂シート50を介して放熱部材であるヒートシンク30と接触していることで、放熱が行われる。樹脂シート積層体200は、応力を緩和する層が樹脂シート50のみであるため、熱応力が掛かりやすい構成になっているといえる。
<多層樹脂シート積層体硬化物>
本実施形態の多層樹脂シート積層体硬化物は、前述した本実施形態の多層樹脂シート硬化物と、多層樹脂シート硬化物の少なくとも一方の主面上に配置される被着体と、を有する。多層樹脂シート積層体硬化物は、必要に応じてその他の部材を更に有していてもよい。
本実施形態の多層樹脂シート積層体が有する多層樹脂シートの樹脂組成物層及び導電粘着層が熱硬化性樹脂を含有する場合、多層樹脂シート積層体を熱処理することで、多層樹脂シート積層体硬化物を製造することができる。
多層樹脂シート積層体硬化物を製造する際の熱処理条件は、多層樹脂シートの構成に応じて適宜選択することができる。熱処理条件としては、例えば、120℃〜250℃で1分間〜300分間の条件が挙げられる。その際、熱処理温度を変えて多段階で熱処理を行ってもよい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
多層樹脂シートの樹脂組成物層の形成に用いた材料及びその略号を以下に示す。
(フィラー)
・AA−18:アルミナ粒子、製品名:AA−18、住友化学株式会社、体積平均粒径:18μm、体積抵抗率:>1014Ω・m
・AA−3:アルミナ粒子、製品名:AA−3、住友化学株式会社、体積平均粒径:3μm、体積抵抗率:>1014Ω・m
・AA−04:アルミナ粒子、製品名:AA−04、住友化学株式会社、体積平均粒径:0.4μm、体積抵抗率:>1014Ω・m
・HP:窒化ホウ素粒子、製品名:HP40、水島合金鉄株式会社、体積平均粒径:45μm、体積抵抗率:>1014Ω・m
(マトリックス樹脂)
・BIS−A/F:ビスフェノールA/F混合型エポキシ樹脂、型番:ZX−1059、新日鐵住金株式会社、25℃で液体
・フェノキシ樹脂:ビフェニル型フェノキシ樹脂、型番:YX8100BH30、三菱化学株式会社、固形分量:30%
(硬化剤)
・CRN:カテコールレゾルシノールノボラック樹脂、数平均分子量:425
(添加剤)
・TPP:トリフェニルホスフィン(硬化触媒)、和光純薬工業株式会社
・EPT:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(シランカップリング剤)、製品名:KBM−403、信越化学工業株式会社
(有機溶剤)
・CHN:シクロヘキサノン、和光純薬工業株式会社、1級
(支持体)
・PETフィルム:製品名:A70、帝人デュポンフィルム株式会社、平均厚み:50μm、片面離型処理済み
多層樹脂シートの導電粘着層の形成に用いた材料及びその略号を以下に示す。
(フィラー)
・CP:膨張黒鉛粒子、平均粒径:6μm、体積抵抗率:10Ω・m〜10Ω・m
(マトリックス樹脂)
・SiR:シリコーン樹脂、製品名:エラストジルRT604A、旭化成ワッカーシリコーン株式会社、Tg:−50℃
(硬化剤)
・SiRC:シリコーン樹脂の硬化剤、製品名:エラストジルRT604B、旭化成ワッカーシリコーン株式会社
(有機溶剤)
・TOL:トルエン(和光純薬工業株式会社、1級)
多層樹脂シートの金属層の形成に用いた材料及びその略号を以下に示す。
・銅箔:製品名:CF−T9D−SV、福田金属箔粉工業株式会社、平均厚み:35μm
<合成例>
窒素雰囲気下でセパラブルフラスコに、フェノール化合物のモノマーとしてレゾルシノール105g、カテコール5g、触媒としてシュウ酸0.11g(対モノマー比0.1%)、及び溶剤としてメタノール15gをそれぞれ量り取った後、内容物を撹拌し、40℃以下になるように油浴で冷却しながらホルマリン30gを加えた。2時間撹拌した後、油浴の温度を100℃にして、加温しながら水及びメタノールを減圧留去した。水及びメタノールが留出しなくなったことを確認した後、CHNをノボラック樹脂の含有率が35%となるように加えて、カテコールレゾルシノールノボラック樹脂(CRN)を得た。
得られたカテコールレゾルシノールノボラック樹脂(CRN)の数平均分子量をGPCにより測定したところ、数平均分子量は425であった。
<実施例1>
アルミナ粒子(AA−04、AA−3、及びAA−18)をそれぞれ9.55部と、窒化ホウ素粒子(HP)を37.0部と、エポキシ樹脂の硬化剤としてCRNを4.93部と、カップリング剤を0.066部と、CHNを38部とを混合した。均一になったことを確認した後、フェノキシ樹脂を6.62部と、BIS−A/Fを6.70部と、TPPを0.15部とを更に加えて混合した後、3時間〜40時間ボールミル粉砕を行って、樹脂組成物を得た。
片面が離型処理されたPETフィルムを支持体とし、テーブルコーター(テスター産業株式会社)を用いて、PETフィルムの離型処理面上に樹脂組成物を塗工した。100℃のボックス型オーブンで5分間乾燥させ、PETフィルム上にAステージ状態の樹脂組成物層が形成されたAステージシートを形成した。このAステージシートを真空プレス機にて温度150℃、圧力15MPa、8分間の条件でプレスすることで、樹脂シート1を得た。得られた樹脂シート1の平均厚みは150μmであり、樹脂組成物層の平均厚みは100μm、PETフィルムの平均厚みは50μmであった。
CPを20部と、SiRを10部と、SiRCを0.5部と、TOLを10部とを混合し、導電粘着層形成用組成物を得た。
34mm×44mmの樹脂シート1と、内径が30mm×40mm、外径が34mm×44mmのマスキング用の枠とを、外縁を合わせて密着させた。そして、エアブラシ(HARDER&STEENBECK社、製品名:EVOLUTION)を用いて、樹脂シート1の樹脂組成物層上に導電粘着層形成用組成物を塗工した。マスキングの枠を外した後、100℃に予熱したボックス型オーブンで1分間乾燥させ、一方の主面に導電粘着層が形成された多層樹脂シートを得た。この多層樹脂シートを裏返してPETフィルムを剥離した後、同様にして導電粘着層を形成することで、両方の主面に導電粘着層が形成された多層樹脂シート1を得た。得られた多層樹脂シート1の平均厚みは140μmであり、樹脂組成物層は平均厚みは100μm、導電粘着層の平均厚みはいずれも20μmであった。
<実施例2>
実施例1で得られた多層樹脂シート1を50mm角に切断したPETフィルムで挟み、熱プレス装置(熱板70℃、圧力10MPa、処理時間5分間)を用いて加熱加圧処理して平坦化した後、PETフィルムを剥離することで、多層樹脂シート2を得た。得られた多層樹脂シート2の平均厚みは136μmであり、樹脂組成物層の平均厚みは96μm、導電粘着層の平均厚みはいずれも20μmであった。
<実施例3>
片面が粗面化処理された銅箔を支持体とし、テーブルコーター(テスター産業株式会社)を用いて、銅箔の粗化面上に実施例1と同じ樹脂組成物を塗工した。100℃のボックス型オーブンで5分間乾燥させ、銅箔上にAステージ状態の樹脂組成物層が形成されたAステージシートを形成した。このAステージシートを真空プレス機にて温度150℃、圧力20MPa、8分間の条件でプレスすることで、樹脂シート3を得た。得られた樹脂シート3の平均厚みは137μmであり、樹脂組成物層の平均厚みは102μm、銅箔の平均厚みは35μmであった。
34mm×44mmの樹脂シート3と、内径が30mm×40mm、外径が34mm×44mmのマスキング用の枠とを、外縁を合わせて密着させた。そして、エアブラシ(HARDER&STEENBECK社、製品名:EVOLUTION)を用いて、樹脂シート3の樹脂組成物層上に実施例1と同じ導電粘着層形成用組成物を塗工した。マスキングの枠を外した後、100℃に予熱したボックス型オーブンで1分間乾燥させ、一方の主面に導電粘着層が形成され、他方の主面に金属層が形成された多層樹脂シート3を得た。得られた多層樹脂シート3の平均厚みは157μmであり、樹脂組成物層の平均厚みは102μm、導電粘着層の平均厚みは20μm、銅箔の平均厚みは35μmであった。
<実施例4>
実施例3で得られた多層樹脂シート3を50mm角に切断したPETフィルムで挟み、熱プレス装置(熱板70℃、圧力10MPa、処理時間5分間)を用いて加熱加圧処理して平坦化することで、多層樹脂シート4を得た。得られた多層樹脂シート4の平均厚みは153μmであり、樹脂組成物層の平均厚みは98μm、導電粘着層の平均厚みは20μm、銅箔の平均厚みは35μmであった。
<比較例1>
片面が離型処理されたPETフィルムを支持体とし、テーブルコーター(テスター産業株式会社)を用いて、PETフィルムの離型処理面上に実施例1と同じ樹脂組成物を塗工した。100℃のボックス型オーブンで5分間乾燥させ、PETフィルム上にAステージ状態の樹脂組成物層が形成されたAステージシートを形成した。このAステージシートを真空プレス機にて温度150℃、圧力15MPa、8分間の条件でプレスすることで、樹脂シートC1を得た。得られた樹脂シートC1の平均厚みは150μmであり、樹脂組成物層の平均厚みは100μm、PETフィルムの平均厚みは50μmであった。
<比較例2>
比較例1で得られた樹脂シートC1のPETフィルムを剥離し、50mm角に切断したPETフィルムで挟み、熱プレス装置(熱板70℃、圧力10MPa、処理時間5分間)を用いて加熱加圧処理して平坦化した後、PETフィルムを剥離することで、樹脂シートC2を得た。得られた樹脂シートC2の平均厚みは96μmであった。
<評価>
(凹み率の測定)
デジタルマイクロスコープ(株式会社キーエンス、VHX−5000型)を用いて、実施例1〜4で得られた多層樹脂シート1〜4の導電粘着層(多層樹脂シート1及び2については任意に選択した一方の導電粘着層)の表面を観察した。同様に、比較例1及び2で得られた樹脂シートC1及びC2の表面(任意に選択した一方の表面)を観察した。このとき、通常光での測定に加えて、同軸落射及び偏光を組み合わせた測定を行うことにより、凸凹を強調した画像を撮影した。そして、得られた画像の明暗から、全体面積に対する暗所の面積の割合を算出し、凹み率とした。なお、ボイド部分は偏光解消されずに暗所となるため、暗所の面積がボイドの面積に相当する。
(熱抵抗値の測定)
実施例1及び2で得られた多層樹脂シート1及び2の両面、比較例1及び2で得られた樹脂シートC1及びC2の両面、並びに実施例3及び4で得られた多層樹脂シート3及び4の導電粘着層側の片面に、30mm×40mmに切断した銅箔(福田金属箔粉工業株式会社、製品名:CF−T9D−SV、平均厚み:18μm)を、常温(25℃)にて0.5MPaの圧力で密着させた。そして、銅箔が密着した箇所から10mm角に切り出すことで評価用基板を作製した。得られた評価用基板を、シリコーングリース(信越化学工業株式会社、製品名:X−22−7868−2D)を介して熱抵抗測定装置(ヤマヨ試験器有限会社、型番:YST−901S)に貼り付け、1MPaの荷重で装置に密着させた。入力電力を13W、評価用基板の温度を50℃、水温を30℃として、評価用基板の両面の温度差ΔTを測定し、下式にて熱抵抗値を測定した。
熱抵抗値(℃/W)=ΔT/(電力量)
(絶縁破壊電圧の測定)
実施例1及び2で得られた多層樹脂シート1及び2の両面、比較例1及び2で得られた樹脂シートC1及びC2の両面、並びに実施例3及び4で得られた多層樹脂シート3及び4の導電粘着層側の片面に、30mm×40mmに切断した銅箔(福田金属箔粉工業株式会社、製品名:CF−T9D−SV、平均厚み:18μm)を、常温(25℃)にて0.5MPaの圧力で密着させ、評価用基板を作製した。そして、絶縁破壊試験装置(ヤマヨ試験器有限会社、型番:YST−243−100RHO)を用い、銅箔間に電圧を印加することで、絶縁破壊電圧を測定した。測定条件としては、昇圧方法として、2kVから0.5kVずつ昇圧することとし、それぞれの電圧を15秒間保持した。測定温度は23℃±2℃とし、フロリナート中にて測定を行った。
多層樹脂シート1〜4並びに樹脂シートC1及びC2の構成及び評価結果を以下の表1に示す。なお、比較例1及び2で得られた樹脂シートC1及びC2は導電粘着層を有しないため、導電粘着層の平均厚みの欄には「−」の符号を付している。また、樹脂シートC1及びC2は、熱抵抗値及び絶縁破壊電圧の測定中に樹脂シートが剥離してしまったため、熱抵抗値及び絶縁破壊電圧を測定することができなかった。
表1に示すように、実施例1〜4の多層樹脂シート1〜4は、熱抵抗値が0.106℃/W〜0.116℃/Wであり、良好な熱伝導性を示した。また、実施例1〜4の多層樹脂シート1〜4は、絶縁破壊電圧が8kV〜12kVであり、銅箔と常温で積層しても、良好な絶縁破壊強度を示した。一方、導電粘着層を有しない比較例1及び2の樹脂シートC1及びC2は、熱抵抗値及び絶縁破壊電圧の測定中に樹脂シートが剥離してしまった。
10:多層樹脂シート、10A:多層樹脂シート、10B:多層樹脂シート、10C:多層樹脂シート、10D:多層樹脂シート、10E:多層樹脂シート、11:導電粘着層、12:樹脂組成物層、13:金属層、20:パワー半導体装置、21:パワー半導体素子、22:放熱板、23:リードフレーム、24:封止樹脂、30:ヒートシンク、40:グリース、50:樹脂シート、100:多層樹脂シート積層体、110:多層樹脂シート積層体、120:多層樹脂シート積層体、200:樹脂シート積層体

Claims (21)

  1. 樹脂組成物層と、前記樹脂組成物層の少なくとも一方の主面側に積層された導電粘着層とを有する、多層樹脂シート。
  2. 前記樹脂組成物層の少なくとも一方の主面側において、前記導電粘着層の端部が前記樹脂組成物層の端部よりも内側に位置する、請求項1に記載の多層樹脂シート。
  3. 前記樹脂組成物層の平均厚みが60μm〜260μmである、請求項1又は請求項2に記載の多層樹脂シート。
  4. 前記樹脂組成物層がフィラーを含有する、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の多層樹脂シート。
  5. 前記樹脂組成物層に含有されるフィラーの体積抵抗率が1010Ω・m以上である、請求項4に記載の多層樹脂シート。
  6. 前記樹脂組成物層が熱硬化性樹脂を含有する、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の多層樹脂シート。
  7. 前記樹脂組成物層が、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミドイミド樹脂、及びポリイミド樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の多層樹脂シート。
  8. 前記導電粘着層の平均厚みが30μm以下である、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の多層樹脂シート。
  9. 前記導電粘着層がフィラーを含有する、請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の多層樹脂シート。
  10. 前記導電粘着層に含有されるフィラーが黒鉛粒子を含む、請求項9に記載の多層樹脂シート。
  11. 前記導電粘着層に含有されるフィラーの体積平均粒径が30μm以下である、請求項9又は請求項10に記載の多層樹脂シート。
  12. 前記導電粘着層に含有されるフィラーの体積抵抗率が10Ω・m以下である、請求項9〜請求項11のいずれか1項に記載の多層樹脂シート。
  13. 前記樹脂組成物層の少なくとも一方の主面側に積層された金属層を更に有する、請求項1〜請求項12のいずれか1項に記載の多層樹脂シート。
  14. 主面における面積基準の凹み率が2%以下である、請求項1〜請求項13のいずれか1項に記載の多層樹脂シート。
  15. 樹脂組成物層の少なくとも一方の主面側に導電粘着層を積層して多層樹脂シートを得る積層工程を有する、請求項1〜請求項14のいずれか1項に記載の多層樹脂シートの製造方法。
  16. 前記積層工程後の多層樹脂シートを加熱加圧する加熱加圧工程を更に有する、請求項15に記載の多層樹脂シートの製造方法。
  17. 請求項1〜請求項14のいずれか1項に記載の多層樹脂シートの硬化物である、多層樹脂シート硬化物。
  18. 請求項1〜請求項14のいずれか1項に記載の多層樹脂シートと、前記多層樹脂シートの少なくとも一方の主面上に配置される被着体と、を有する、多層樹脂シート積層体。
  19. 前記被着体が半導体装置を含む、請求項18に記載の多層樹脂シート積層体。
  20. 請求項17に記載の多層樹脂シート硬化物と、前記多層樹脂シート硬化物の少なくとも一方の主面上に配置される被着体と、を有する、多層樹脂シート積層体硬化物。
  21. 前記被着体が半導体装置を含む、請求項20に記載の多層樹脂シート積層体硬化物。
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