以下、本発明の一実施形態について説明する。
図1は、高度道路交通システム(ITS:Intelligent Transport Systems)の一例を示した模式図である。図示するように、ITSの分野では、車両同士の無線通信により周囲の車両からの情報(例えば、位置情報、車速情報および車両情報など)を取得したり、車両とインフラ設備(例えば、路側機など)との無線通信により車両がインフラ設備からの情報(例えば、信号機情報、規制情報および道路情報など)を取得することにより、必要に応じてドライバに安全運転支援を行うための車両間通信および路車間通信の検討構築が進められている。
車両間通信や路車間通信に代表される高度道路交通システムが整備された環境において、幹線道路(例えば、高速道路など)を走行している車両から発信される情報を、幹線道路に並走する側道や立体交差橋を走行している車両が受信することで混信が起こる場合があり、またその逆も生じ得る。このような混信は、自車の走行する道路や自車とは関係のない情報をドライバに伝えることになるため、ドライバの混乱を招いてしまうという問題がある。
本実施形態に係る車両用通信装置は、情報発信元の路側機が設置されている道路や他の車両が走行している道路と自車が走行している道路とを識別して、自車に関係のない情報を排除することで、適切な情報のみをドライバに提供する。
図2は、本実施形態に係る車両用通信装置100のハードウェアに関する概略構成の一例を示した図である。車両用通信装置100は、幹線道路や一般道路上に設置された路側機や他の車両との間で通信を行う装置である。図示するように、車両用通信装置100は、中央演算処理装置101と、マイクロ波帯用無線トランシーバ102と、超短波帯用無線トランシーバ103と、GPS(Global Positioning System)受信装置104と、メッセージセット/暗号化コードストレージデバイス105と、道路ネットワーク情報を含む地図情報を格納した地図情報ストレージデバイス106と、演算用メモリ107と、角速度センサ108と、加速度センサ109と、車両電子制御装置(ECU:Engine Control Unit)との接続インターフェイス110とを有している。
中央演算処理装置101は、車両用通信装置100の様々な処理を行う中心的なユニットである。例えば、中央演算処理装置101は、車速センサ(図示せず)から出力された車速パルスと、角速度センサ108から出力された角速度情報と、GPS受信装置104から出力された位置情報とを用いて、車両の現在位置を検出する。また、中央演算処理装置101は、マイクロ波帯用無線トランシーバ102または超短波帯用無線トランシーバ103を介して取得した電波(搬送波)を復調することで得られたデータフレームを解析する。例えば、中央演算処理装置101は、データフレームに含まれる道路識別情報を抽出し、受信した電波に自車と関係のある情報が含まれるか否かを判定する。また、中央演算処理装置101は、データフレームから抽出したメッセージを車載ディスプレイまたは車載スピーカから出力するための画面情報または音声情報を生成する。また、中央演算処理装置101は、マイクロ波帯用無線トランシーバ102または超短波帯用無線トランシーバ103を介して、生成した情報を他の車両に向けて送信する。
また、中央演算処理装置101は、ECU接続インターフェイス110を介して取得した車両情報(例えば、走行位置、走行方向、車速、ウィンカー信号、ハザード信号およびサイドブレーキ信号など)に基づき所定のメッセージを生成する。また、中央演算処理装置101は、生成したメッセージと、道路ネットワーク情報から取得した道路識別情報と、電波の送信元識別情報と、所定の車両情報と、刻印時刻とを含むデータフレームを生成し、変調して他の車両に送信する。
このような中央演算処理装置101は、数値演算及び各デバイスを制御するなど様々な処理を実行するCPU(Central Processing Unit)(図示せず)と、地図情報ストレージデバイス106や演算用メモリ107から読み出した地図情報や演算情報などを一時的に格納するRAM(Random Access Memory) (図示せず)と、CPUが実現するブートプログラムなどを格納するROM(Read Only Memory)(図示せず)と、中央演算処理装置101に各種ハードウェアを接続するためのインターフェイス(図示せず)およびこれらを相互に接続するバス(図示せず)と、を有している。
マイクロ波帯用無線トランシーバ102は、マイクロ波帯(本例では、5.9GHz帯)の無線電波の送受信機能を備えた無線機である。超短波帯用無線トランシーバ103は、超短波帯(本例では、720MHz帯)の無線電波の送受信機能を備えた無線機である。
GPS受信装置104は、GPS衛星からの信号を受信し、車両とGPS衛星間の距離と距離の変化率とを3個以上の衛星に対して測定することで、車両の現在地、進行速度および進行方位を測定するものである。
メッセージセット/暗号化コードストレージデバイス105は、NANDフラッシュメモリと制御回路から構成されるeMMC(embedded Multi Media Card)などの記憶媒体である。メッセージセット/暗号化コードストレージデバイス105には、生成したデータフレームなどの情報を符号化/暗号化して送信する際や、路側機および他の車両から受信したデータフレームを暗号解除/復号化する際に必要なメッセージセットおよび暗号化コードが格納される。
地図情報ストレージデバイス106は、地図情報を格納するストレージデバイスである。また、地図情報には、道路ネットワーク情報が含まれている。道路ネットワーク情報は、地図を所定領域(メッシュ領域)ごとに区画し、区画された各領域に含まれる道路(リンク)の構成情報(以下、「道路構成情報」という)や交差点などの分岐点(ノード)の構成情報(以下、分岐点構成情報という)を有している。
道路構成情報は、例えば、道路識別番号と、道路の開始地点および終了地点の座標と、国道や県道などの道路種別と、道路長と、道路の旅行時間と、開始地点および終了地点の各々に接続する接続先道路の道路識別番号などを有している。また、分岐点構成情報は、例えば、ノード識別番号と、分岐する道路数と、分岐先道路(分岐点に接続されている道路)の道路識別番号と、分岐先道路の道路種別と、分岐先道路の方向および道路長などを有している。
演算用メモリ107は、所定の演算情報を格納する記憶媒体である。なお、演算用メモリ107は、中央演算処理装置101が有するRAMやROMなどの記憶媒体によって代用されても良い。
角速度センサ108は、いわゆるジャイロセンサであり、光ファイバジャイロや振動ジャイロなどで構成され、車両の回転を検出して角速度情報を出力するセンサである。
加速度センサ109は、車両の加速度を検出するセンサであって、ばねに支えられたおもりを使ってばねの変位量に基づき車両の加速度を検出する変位測定方式を用いたものや、振動測定方式や光学的測定方式などを採用したものがある。
ECU接続インターフェイス110は、ECUから種々の情報を取得するインターフェイスである。ECU接続インターフェイス110は、ECUから車速パルス信号、停止信号、左右ウィンカー信号、サイドブレーキ信号およびハザード信号や、緊急車両の場合にはサイレンスイッチ信号などの車両情報を取得する。
以上、車両用通信装置100のハードウェア構成について説明した。
図3は、本実施形態に係る路側機200のハードウェアに関する概略構成の一例を示した図である。路側機200は、幹線道路や一般道路上に所定の距離間隔(例えば、数百m〜1Kmおき)に設置され、その道路上を走行する車両に交通情報などの所定情報を送信する装置である。図示するように、路側機200は、中央演算処理装置201と、マイクロ波帯用無線トランシーバ202と、超短波帯用無線トランシーバ203と、GPS(Global Positioning System)受信装置204と、メッセージセット/暗号化コードストレージデバイス205と、道路ネットワーク情報を含む地図情報を格納した地図情報ストレージデバイス206と、演算用メモリ207と、交通管制局通信サーバや気象管制局通信サーバとの通信を行う通信インターフェイス208とを有している。
中央演算処理装置201は、路側機の様々な処理を行う中心的なユニットである。例えば、中央演算処理装置201は、通信インターフェイス208を介して渋滞情報、事故情報、信号機情報および交通規制情報などの交通情報や、路車間通信や車両間通信を統率するための制御用情報などを交通管制局通信サーバから取得する。また、中央演算処理装置201は、定期的(例えば、数分おき)に車両間通信をモニタし、無線トラフィックを計測することで交通量を算出して交通管制局通信サーバに集計情報を送信する。また、中央演算処理装置201は、通信インターフェイス208を介して、気象管制局通信サーバから送信される気象情報(例えば、降雪、降雨、濃霧、災害などの気象情報)を取得する。また、中央演算処理装置201は、通信インターフェイス208を介して交通管制局通信サーバから取得した交通情報や交通規制情報などを電光掲示板や信号灯に出力する。
また、中央演算処理装置201は、通信インターフェイス208を介して、路側機200が設置されている位置情報などを交通管制局通信サーバから取得し、地図情報ストレージデバイス206に格納する。また、中央演算処理装置201は、路側機200が設置されている分岐点の分岐点構成情報または設置されている道路の道路構成情報と、電波の送信元識別情報と、交通情報や気象情報などを格納したメッセージと、刻印時刻と、を含むデータフレームを生成し、変調して車両に向けて送信する。
このような中央演算処理装置201は、数値演算及び各デバイスを制御するなど様々な処理を実行するCPU(図示せず)と、地図情報ストレージデバイス206や演算用メモリ207から読み出した地図情報や演算情報などを一時的に格納するRAM(図示せず)と、CPUが実現するブートプログラムなどを格納するROM(図示せず)と、中央演算処理装置201に各種ハードウェアを接続するためのインターフェイス(図示せず)およびこれらを相互に接続するバス(図示せず)と、を有している。
なお、マイクロ波帯用無線トランシーバ202、超短波帯用無線トランシーバ203、GPS受信装置204、メッセージセット/暗号化コードストレージデバイス205、地図情報ストレージデバイス206および演算用メモリ207については、前述と同様であるため、説明を省略する。
以上、路側機200のハードウェア構成について説明した。
図4は、本実施形態に係る車両用通信装置100および路側機200の機能構成の一例を示したブロック図である。車両用通信装置100は、制御部300と、記憶部310と、通信部320とを有している。また、制御部300は、自車位置検出部301と、通信情報解析部302と、相対位置算出部303と、出力処理部304と、送信情報生成部305とを有している。
自車位置検出部301は、自車の走行位置を検出する機能部である。具体的には、自車位置検出部301は、車速センサから出力された車速パルスと、角速度センサ108から出力された角速度情報と、GPS受信装置104から出力された位置情報とを用いて、自車位置を検出する。
通信情報解析部302は、受信した電波に含まれる情報を解析する機能部である。具体的には、通信情報解析部302は、受信した電波から車両間通信および路車間通信に割り当てられた周波数帯の信号成分を復調することで得られたデータフレームを解析する。具体的には、通信情報解析部302は、送信元識別情報を抽出して送信元を識別する。また、通信情報解析部302は、道路識別情報を抽出して、自車の道路識別情報が含まれているか否かを判定する。また、通信情報解析部302は、データフレームに含まれるメッセージを復号する。
相対位置算出部303は、自車と路側機200との相対位置または自車と他の車両との相対位置を算出する機能部である。また、相対位置算出部303は、算出した相対位置関係に基づき、自車と路側機200または他の車両とが近づいているか否かを判定する。
出力処理部304は、データフレームに含まれるメッセージを表示するための画面情報や、メッセージを音声として出力するための音声情報を生成する機能部である。
送信情報生成部305は、他の車両に向けて送信する送信情報を生成する機能部である。具体的には、送信情報生成部305は、ECU接続インターフェイス110を介して取得した車両情報(例えば、走行位置、走行方向、車速、ウィンカー信号、ハザード信号およびサイドブレーキ信号など)に基づき所定のメッセージを生成する。また、送信情報生成部305は、生成したメッセージと、道路ネットワーク情報から取得した道路識別情報と、電波の送信元識別情報と、所定の車両情報と、刻印時刻とを含むデータフレームを生成し、通信部320を介して他の車両に送信する。
記憶部310は、道路ネットワーク情報を含む地図情報、メッセージセットおよび暗号化コードなどの所定情報を格納する機能部である。
通信部320は、路側機200や他の車両との間で情報通信を行う機能部である。具体的には、通信部320は、路側機200や他の車両からデータフレームを含む電波を取得する。また、通信部320は、送信情報生成部305が生成したデータフレームを含む電波を他の車両に向けて送信する。
以上、車両用通信装置100の機能構成について説明した。
また、図4に示すように、路側機200は、送信情報生成部400と、情報格納部401と、情報通信部402とを有している。
送信情報生成部400は、車両に向けて送信する送信情報を生成する機能部である。具体的には、送信情報生成部400は、路側機200が設置されている分岐点の分岐点構成情報に含まれるノード識別番号と、分岐する道路数と、分岐先道路(分岐点に接続されている道路)の道路識別番号と、分岐先道路の道路種別と、分岐先道路の方向および道路長または設置されている道路の道路構成情報に含まれる道路識別番号を含む道路識別情報と、電波の送信元識別情報と、交通情報や気象情報などを格納したメッセージと、刻印時刻と、を含むデータフレームを生成し、情報通信部402を介して車両に向けて送信する。
情報格納部401は、道路ネットワーク情報を含む地図情報、メッセージセットおよび暗号化コードなどの所定情報を格納する機能部である。
情報通信部402は、車両との間で情報通信を行う機能部である。具体的には、情報通信部402は、送信情報生成部400により生成されたデータフレームを含む電波を車両に向けて送信する。
以上、路側機200の機能構成について説明した。
なお、車両用通信装置100の自車位置検出部301、通信情報解析部302、相対位置算出部303、出力処理部304および送信情報生成部305は、中央演算処理装置101のCPUに処理を行わせるプログラムによって実現される。また、路側機200の送信情報生成部400は、中央演算処理装置201のCPUに処理を行わせるプログラムによって実現される。このプログラムは、車両用通信装置100や路側機200のROMなどに格納されており、実行にあたってRAM上にロードされ、CPUにより実行される。
なお、車両用通信装置100の記憶部310は、中央演算処理装置101に内蔵されるRAMおよびROMや、地図情報ストレージデバイス106、メッセージセット/暗号化コードストレージデバイス105および演算用メモリ107などにより実現される。また、通信部320は、マイクロ波帯用無線トランシーバ102および超短波帯用無線トランシーバ103により実現される。
また、路側機200の情報格納部401は、中央演算処理装置201に内蔵されるRAMおよびROMや、地図情報ストレージデバイス206、メッセージセット/暗号化コードストレージデバイス205および演算用メモリ207などにより実現される。また、情報通信部402は、マイクロ波帯用無線トランシーバ202および超短波帯用無線トランシーバ203により実現される。
また、各機能ブロックは、本実施形態において実現される車両用通信装置100および路側機200の機能を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分類したものである。したがって、各機能の分類の仕方やその名称によって、本発明が制限されることはない。また、車両用通信装置100および路側機200の各構成は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。
また、各機能部の全部または一部は、コンピュータに実装されるハードウェア(ASICといった集積回路など)により構築されてもよい。また、各機能部の処理が1つのハードウェアで実行されてもよいし、複数のハードウェアで実行されてもよい。
[動作の説明]
図5は、車両用通信装置100で実行される情報受信処理の一例を示したフロー図である。情報受信処理は、車両用通信装置100の起動と共に開始される。
情報受信処理が開始されると、自車位置検出部301は、GPS受信装置104から取得した位置情報と、地図情報とを用いて自車の走行位置をマップマッチングし、自車が走行する道路の道路識別情報を道路ネットワーク情報から取得する(ステップS001)。具体的には、自車位置検出部301は、マップマッチングにより自車が走行する道路を道路ネットワーク情報から特定し、特定した道路に対応付けられた道路構成情報から道路識別情報を取得する。
なお、車両が有するナビゲーション装置(図示せず)により経路探索が実行され、自車が走行する予定の推奨経路が探索されている場合、自車位置検出部301は、現在走行している道路の道路識別情報に加えて、ナビゲーション装置から推奨経路上にある道路の道路識別情報を取得する。
次に、通信情報解析部302は、通信部320を介して電波(搬送波)を受信したか否かを判定する(ステップS002)。そして、電波を受信していないと判定した場合(ステップS002でNo)、通信情報解析部302は、電波を受信するまでステップS001の処理を繰り返し行う。一方で、電波を受信したと判定した場合(ステップS002でYes)、通信情報解析部302は、受信した電波から車両間通信および路車間通信に割り当てられた周波数帯の信号成分を取り出して復調し、処理をステップS003に移行する。
次に、通信情報解析部302は、キャリア信号の受信レベルが復調限界レベル以上であるか否かを判定する(ステップS003)。そして、受信レベルが復調限界レベル以上であると判定した場合(ステップS003でYes)通信情報解析部302は、処理をステップS004に移行する。一方で、受信レベルが復調限界レベル未満であると判定した場合(ステップS003でNo)、有効な電波を受信したことにならないため、通信情報解析部302は、処理をステップS001に戻す。
次に、通信情報解析部302は、信号成分を復調することで得られたデータフレームの構文解析を行い(ステップS004)、処理をステップS005に移行する。
次に、通信情報解析部302は、電波の発信元が路側機200であるか否かを判定する(ステップS005)。具体的には、通信情報解析部302は、データフレームに含まれる送信元識別情報に基づいて、受信した電波が路側機200から送信されたものであるか否かを判定する。そして、電波の送信元が路側機200であると判定した場合(ステップS005でYes)、通信情報解析部302は、処理を図6に示す「処理A」に移行する。一方で、電波の送信元が路側機200ではないと判定した場合(ステップS005でNo)、通信情報解析部302は、処理を図7に示す「処理B」に移行する。なお、「処理B」は、電波の送信元が他の車両(以下、「相手車両」という場合がある)である場合の処理である。
図6は、前述のステップS005において電波の送信元が路側機200であると判定した場合の「処理A」を示したフロー図である。通信情報解析部302は、データフレームの中から道路識別情報を抽出し(ステップS011)、処理をステップS012に移行する。
次に、通信情報解析部302は、抽出した道路識別情報の中に自車が走行している道路識別情報または自車が走行する予定の推奨経路上にある道路の道路識別情報が含まれているか否かを判定する(ステップS012)。例えば、路側機200が交差点などの分岐点に設置されている場合、通信情報解析部302は、抽出した道路識別情報に含まれる分岐先道路の道路識別番号と、自車が走行している道路の道路識別番号とが一致するか否かの判定を行う。また、路側機200が分岐点ではない地点(例えば、道路横)などに設置されている場合、通信情報解析部302は、抽出した道路識別情報に含まれる道路識別番号と、自車が走行している道路の道路識別番号とが一致するか否かの判定を行う。
また、経路探索により自車が走行する予定の推奨経路が探索されている場合、通信情報解析部302は、データフレームから抽出した道路識別番号(分岐先道路の道路識別番号または道路識別番号)と、推奨経路上にある道路の道路識別番号とが一致するか否かの判定を行う。
そして、データフレームから抽出した道路識別情報の中に、自車が走行している道路の道路識別情報が含まれていると判定した場合(ステップS012でYes)、通信情報解析部302は、処理をステップS014に移行する。一方で、データフレームに自車の走行する道路の道路識別情報が含まれていないと判定した場合(ステップS012でNo)、かかる電波は自車と関係のない道路に設置された路側機から送信された電波であるため、通信情報解析部302は、データフレームを破棄し(ステップS013)、処理をステップS001に戻す。
次に、通信情報解析部302は、路側機200から取得したデータフレームを記憶部310に格納し(ステップS014)、処理をステップS015に移行する。
次に、相対位置算出部303は、記憶部310に格納したデータフレームの中から路側機の位置情報と、データフレームの刻印時刻とを抽出し(ステップS015)、処理をステップS016に移行する。
次に、相対位置算出部303は、データフレームの刻印時刻に最も近い自車の車両情報(例えば、走行位置、走行方向および車速)のログ情報を取得し(ステップS016)、処理をステップS017に移行する。
次に、相対位置算出部303は、自車と路側機200との相対位置関係を算出する(ステップS017)。具体的には、相対位置算出部303は、データフレームの刻印時刻tから微小時間後の時刻t+Δtを算出する。また、相対位置算出部303は、時刻tにおける自車位置と路側機200との相対推定距離Dv1(t)と、時刻t+Δtにおける自車位置と路側機200との相対推定距離Dv1(t+Δt)とを算出し、処理をステップS018に移行する。
次に、相対位置算出部303は、Dv1(t)およびDv1(t+Δt)の大小関係により、自車が路側機200に近づいているか否かを判定する(ステップS018)。そして、Dv1(t)>Dv1(t+Δt)の関係が成立する場合、相対位置算出部303は、自車と路側機200とが近づいていると判定し(ステップS018でYes)、処理をステップS019に移行する。一方で、Dv1(t)>Dv1(t+Δt)の関係が成立しない場合、相対位置算出部303は、自車と路側機200とが近づいていない(遠ざかっている)と判定し(ステップS018でNo)、処理をステップS020に移行する。
ステップS020では、相対位置算出部303は、自車と路側機200との相対推定距離がドライバ通知許容範囲内であるか否かを判定する。具体的には、相対位置算出部303は、時刻t+Δtにおける自車位置と路側機200との相対推定距離Dv1(t+Δt)と、所定のドライバ通知許容範囲Dv1_thとの大小関係により、かかる判定を行う。そして、Dv1(t+Δt)≦Dv1_thの関係が成立する場合、相対位置算出部303は、ドライバ通知許容範囲内であると判定し(ステップS020でYes)、処理をステップS019に移行する。一方で、Dv1(t+Δt)≦Dv1_thの関係が成立しない場合、相対位置算出部303は、ドライバ通知許容範囲内ではない判定し(ステップS020でNo)、処理をステップS021に移行する。なお、ステップS021では、データフレームに含まれるメッセージをドライバに通知するタイミングが遅いため、通信情報解析部302は、データフレームを破棄し、処理をステップS001に戻す。
ステップS019では、出力処理部304は、データフレームに含まれるメッセージを車載ディスプレイや車載スピーカから出力するための画面情報や音声情報を生成および出力する。具体的には、通信情報解析部302は、暗号化されたメッセージを復号してデータフレームから抽出し、これを出力処理部304に受け渡す。また、出力処理部304は、メッセージの内容(例えば、渋滞情報、事故情報、信号機情報および天気情報など)を表示するための画面情報を生成し、車載ディスプレイに表示する。また、出力処理部304は、これらのメッセージを音声でユーザに伝えるための音声情報を生成し、これを車載スピーカに出力する。また、出力処理部304は、これらの処理を行うと、処理をステップS001に戻す。
以上、路車間通信における処理Aについて説明した。
図7は、前述のステップS005において電波の送信元が路側機200ではないと判定した場合、すなわち、電波の送信元が他の車両である場合の処理Bを示したフロー図である。通信情報解析部302は、データフレームの中から道路識別情報を抽出し(ステップS031)、処理をステップS032に移行する。
次に、通信情報解析部302は、抽出した道路識別情報の中に自車が走行している道路の道路識別情報または自車が走行する予定の推奨経路上にある道路の道路識別情報が含まれているか否かを判定する(ステップS032)。例えば、通信情報解析部302は、抽出した道路識別情報に含まれる道路識別番号(分岐先道路の道路識別情報を含む)と、自車が走行している道路の道路識別番号とが一致するか否かの判定を行う。また、経路探索により自車が走行する予定の推奨経路が探索されている場合、通信情報解析部302は、データフレームから抽出した道路識別番号と、推奨経路上にある道路の道路識別番号とが一致するか否かの判定を行う。
そして、データフレームから抽出した道路識別情報に自車の走行する道路の道路識別情報が含まれていないと判定した場合(ステップS032でNo)、通信情報解析部302は、処理をステップS040に移行する。一方で、データフレームから抽出した道路識別情報に自車が走行する道路の道路識別情報が含まれていると判定した場合(ステップS032でYes)、通信情報解析部302は、処理をステップS033に移行する。
ステップS033では、相対位置算出部303は、データフレームの中から相手車両の車両情報(例えば、走行位置、走行方向および車速)を抽出し、処理をステップS034に移行する。
次に、相対位置算出部303は、データフレームの刻印時刻に最も近い自車の車両情報(例えば、走行位置、走行方向および車速)のログ情報を取得し(ステップS034)、処理をステップS035に移行する。
次に、相対位置算出部303は、自車と相手車両との相対位置関係を算出する(ステップS035)。具体的には、相対位置算出部303は、データフレームの刻印時刻tから微小時間後の時刻t+Δtを算出する。また、相対位置算出部303は、時刻tにおける自車位置と他の車両との相対推定距離Dvv(t)と、時刻t+Δtにおける自車位置と相手車両との相対推定距離Dvv(t+Δt)とを算出し、処理をステップS036に移行する。
次に、相対位置算出部303は、Dvv(t)およびDvv(t+Δt)の大小関係により、自車と相手車両とが近づいているか否かを判定する(ステップS036)。そして、Dvv(t)>Dvv(t+Δt)の関係が成立する場合、相対位置算出部303は、自車と相手車両とが近づいていると判定し(ステップS036でYes)、処理をステップS037に移行する。一方で、Dvv(t)>Dvv(t+Δt)の関係が成立しない場合、相対位置算出部303は、自車に相手車両が近づいていない(遠ざかっている)と判定し(ステップS036でNo)、処理をステップS038に移行する。
ステップS038では、相対位置算出部303は、自車と相手車両との相対推定距離がドライバ通知許容範囲内であるか否かを判定する。具体的には、相対位置算出部303は、時刻t+Δtにおける自車位置と他の車両との相対推定距離Dvv(t+Δt)と、所定のドライバ通知許容範囲Dvv_thとの大小関係により、かかる判定を行う。そして、Dvv(t+Δt)≦Dvv_thの関係が成立する場合、相対位置算出部303は、ドライバ通知許容範囲内であると判定し(ステップS038でYes)、処理をステップS037に移行する。一方で、Dvv(t+Δt)≦Dvv_thの関係が成立しない場合、相対位置算出部303は、ドライバ通知許容範囲内ではないと判定し(ステップS038でNo)、処理をステップS039に移行する。なお、ステップS039では、データフレームに含まれるメッセージをドライバに通知するタイミングが遅いため、通信情報解析部302は、データフレームを破棄し、処理をステップS001に戻す。
ステップS037では、出力処理部304は、データフレームに含まれる所定のメッセージを車載ディスプレイや車載スピーカから出力するための画面情報や音声情報を生成および出力する。具体的には、通信情報解析部302は、暗号化されたメッセージ情報を復号してデータフレームから抽出し、これを出力処理部304に受け渡す。また、出力処理部304は、メッセージの内容を表示するための画面情報(例えば、「近づいてくる車両があります」、「合流する車両があります」といった注意喚起のための警告画面など)を生成し、車載ディスプレイに表示する。また、出力処理部304は、これらのメッセージを音声でユーザに伝えるための音声情報を生成し、これを車載スピーカに出力する。また、出力処理部304は、これらの処理を行うと、処理をステップS001に戻す。
また、前述のステップS032でNoと判定した場合に移行するステップS040では、通信情報解析部302は、データフレームから抽出した道路識別情報を用いて道路ネットワーク情報を検索し、処理をステップS041に移行する。
次に、通信情報解析部302は、相手車両の走行している道路が、自車の走行している道路から分岐する道路または自車の走行している道路と交差または合流する道路あるいは自車の走行する予定の推奨経路上の道路であるか否かを判定する(ステップS041)。具体的には、通信情報解析部302は、相手車両が走行している道路の道路識別番号と、自車の走行している道路から分岐、交差または合流する道路の道路識別番号とが一致するか否かを判定する。また、経路探索により自車が走行する予定の推奨経路が探索されている場合、通信情報解析部302は、推奨経路上にある道路の道路識別番号と、相手車両が走行している道路の道路識別番号とが一致するか否かを判定する。
そして、相手車両の走行している道路が自車の走行している道路から分岐、交差または合流する道路ではないと判定した場合(ステップS041でNo)、受信した電波は自車と関係のない道路を走行する他の車両から送信された電波であるため、通信情報解析部302は、データフレームを破棄し(ステップS042)、処理をステップS001に戻す。一方で、相手車両の走行している道路が自車の走行している道路から分岐、交差または合流する道路であると判定した場合(ステップS041でYes)、通信情報解析部302は、処理をステップS033に移行する。なお、ステップS033以降の処理は、前述と同様であるため、説明を省略する。
以上、車両間通信における処理Bについて説明した。
図8は、車両用通信装置100で実行される情報送信処理の一例を示したフロー図である。情報送信処理は、車両用通信装置100の起動と共に開始され、定期的(例えば、1秒ごと)に実行される。
情報送信処理が開始されると、車両用通信装置100の送信情報生成部305は、他の車両の車載ディスプレイや車載スピーカから出力されるメッセージを生成する(ステップS051)。具体的には、送信情報生成部305は、GPS受信装置104から取得した位置情報と、角速度センサ108から取得した角速度情報に基づき算出された走行方向と、車速センサから取得した車速パルスに基づき算出された車速とを取得する。
また、送信情報生成部305は、ECUの接続インターフェイス110を介して右折ウィンカーまたは左折ウィンカーのONを示すウィンカー信号、ハザードランプのONを示すハザード信号、サイドブレーキのON信号を示すハザード信号など所定の車両情報を取得する。
また、送信情報生成部305は、例えば、走行位置、走行方向および車速を取得すると、「近づいて来る車両があります」、「合流する車両があります」といったメッセージを生成する。また、例えば、ウィンカー信号を取得すると、送信情報生成部305は、「右折(または左折)する車両があります」といったメッセージを生成する。また、ハザード信号あるいはサイドブレーキ信号を取得すると、送信情報生成部305は、「停車している車両があります」といったメッセージを生成する。なお、これらのメッセージは、各車両情報に対応付けて予め記憶部310に格納され、送信情報生成部305により車両情報に応じて所定のメッセージが選択されても良い。
これらのメッセージは、当該車両に関係のある道路を走行しており、かつ、ドライバ通知許容範囲内にある他の車両に対して注意喚起を行うためのメッセージであるため、車両情報に基づいて予め予想される注意喚起事項を示す所定のメッセージを送信側車両において生成している。
次に、送信情報生成部305は、生成したメッセージを暗号化し、データフレームに格納する(ステップS052)。
次に、送信情報生成部305は、マップマッチングにより特定した走行中の道路の道路識別情報を道路ネットワーク情報から取得し、これをデータフレームに格納する(ステップS053)。また、車載のナビゲーション装置により推奨経路が探索されている場合、送信情報生成部305は、走行予定の推奨経路上にある道路の道路識別情報(道路識別番号)を道路ネットワーク情報から取得し、これらをデータフレームに格納する。
次に、送信情報生成部305は、電波の送信元が車両であることを示す所定の送信元識別情報をデータフレームに格納する(ステップS054)。
次に、送信情報生成部305は、GPS受信装置104から取得した時刻をデータフレームの生成時刻として刻印し、データフレームを変調して他の車両に送信する(ステップS055)。
以上、車両用通信装置100で実行される情報送信処理について説明した。
図9は、路側機200で実行される情報送信処理の一例を示したフロー図である。情報送信処理は、路側機200の起動と共に開始され、定期的(例えば、1秒ごと)に実行される。
情報送信処理が開始されると、路側機200の送信情報生成部400は、路側機200が設置されている交差点などの分岐点あるいは設置されている道路を走行する車両の車載ディスプレイや車載スピーカから出力されるメッセージを生成する(ステップS061)。具体的には、送信情報生成部400は、渋滞情報や事故情報あるいは信号機情報などを交通管制局通信サーバから取得する。また、送信情報生成部400は、天気情報などの気象情報を気象管制局通信サーバから取得する。また、送信情報生成部400は、取得したこれらの情報をメッセージとしてデータフレームに格納する。
次に、送信情報生成部400は、生成したメッセージを暗号化し、データフレームに格納する(ステップS062)。
次に、送信情報生成部400は、GPS受信装置204または情報通信部402を介して交通管制局通信サーバから取得した位置情報に基づいて道路ネットワーク情報から抽出した道路識別情報(路側機200が設置されている分岐点の分岐点構成情報に含まれるノード識別番号、分岐する道路数、分岐先道路(分岐点に接続されている道路)の道路識別番号、分岐先道路の道路種別、分岐先道路の方向および道路長、または、設置されている道路の道路構成情報に含まれる道路識別番号)をデータフレームに格納する(ステップS063)。
また、送信情報生成部400は、電波の送信元が路側機200であることを示す所定の送信元識別情報をデータフレームに格納する(ステップS064)。
また、送信情報生成部400は、GPS受信装置204から取得した時刻をデータフレームの生成時刻として刻印する。また、送信情報生成部400は、これらの情報を格納したデータフレームを変調して車両に向けて送信する(ステップS065)。
以上、路側機200で実行される情報送信処理について説明した。
このような車両用通信装置100によれば、自車両に関係する情報のみを適切に取得してユーザに提供することができる。
なお、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、これら以外にも様々な実施形態および変形例が含まれる。例えば、車両ではメッセージを生成せず、GPS受信装置104から取得した位置情報と、角速度センサ108から取得した角速度情報に基づき算出された走行方向と、車速センサから取得した車速パルスに基づき算出された車速と、ECUの接続インターフェイス110を介して取得したウィンカー信号、ハザード信号、ハザード信号とを含む車両情報をデータフレームに格納し、これを他の車両に向けて送信する。そして、このデータフレームを含む電波を受信した車両において、かかるデータフレームが自車と関係のある情報であると判定した場合、車両側でドライバに注意を喚起するための表示情報や音声情報を生成するようにしても良い。
このようにすることで、電波を受信した車両側でどのような注意が必要なのかをより細かく分析することができ、分析結果に応じて危険回避のための車両制御を行うことができる。
また、前述の実施形態では、ドライバに注意を喚起するための画像情報や音声情報を生成したが、本発明はこれに限られず、例えば、ハンドルやシートを振動させる制御を行っても良い。
このようにすることで、ドライバは、他の車両が急接近していることなどをより強く意識して危険に注意を払うことができる。
また、車両は、記憶部310に格納する所定情報を通信部320を介して外部装置から取得するようにしても良い。同様に、路側機200は、情報格納部401に格納する所定情報を情報通信部402を介して外部装置から取得するようにしても良い。
また、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、これら以外にも様々な実施形態および変形例が含まれる。例えば、上記の実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態や変形例の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、上記の各構成、機能、処理部および処理手段などは、それらの一部または全部を、プロセッサが各々の機能を実現するプログラムにより実現しても良い。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイルなどの情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)などの記憶装置、または、ICカード、SD(Secure Digital)メモリカード、DVDなどの記録媒体に置くことができる。なお、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。