JP2018131565A - ゴム組成物、コンパウンド、加硫物及びゴムロール - Google Patents

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【課題】 良好な加工性と高い硬さ、および優れた耐摩耗性を有するCSM製ゴムロールが得られるゴム組成物、コンパウンドおよび加硫物を提供するものである。【解決手段】 ゴム成分として、少なくともクロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、ニトリルゴム(NBR)およびブタジエンゴム(BR)を含む組成物であって、ゴム成分のうち、CSMが50〜98重量部、NBRが1〜25重量部、BRが1〜25重量部(ゴム成分の合計は100重量部)であることを特徴とするゴム組成物を用いる。【選択図】 なし

Description

本発明は、加工性に優れるコンパウンドに用いられるゴム組成物、コンパウンド、より硬さの高い加硫物及びこれよりなるゴムロールに関するものである。
ゴムロールは、製鉄、フィルム、製紙、などの製造ラインの様々な工程で用いられている。
ゴムロールに使用されるゴムとしては天然ゴム(NR)や、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、ブチルゴム(IIR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、ニトリルゴム(NBR)、エチレンプロピレンゴム(EPDM)などの各種合成ゴムが要求物性に応じて選定されている。
ゴムロールを作成する際にはコンパウンドを作製し、加工する必要があるため、良好な加工性が要求される。一般的にコンパウンドの粘度が低く、また適度な粘着性を有することで良好な加工性が得られる。コンパウンド粘度の低減には、ムーニー粘度の低いゴムの選定や、軟化剤・可塑剤などのオイル添加をするのが一般的である。しかし、硬さの高いロールを得るにはカーボン等の無機フィラーの増量やハイスチレン等、ゴムよりも硬い樹脂の添加、軟化剤・可塑剤などのオイル添加量の減量を行うのが一般的であり、無機フィラーの添加はコンパウンドを高粘度化する。また、樹脂は低温では硬さはを維持できるが、高温では軟化してしまうという問題がある。更に、軟化剤・可塑剤などのオイル減量によりコンパウンドの粘度は高くなる。よって、加工性と硬さは相反するのが一般的である。
これに対し、加工性に優れ、硬さを向上させる検討がなされている(例えば、特許文献1〜特許文献3)。特許文献1では、NRや、IR、IIR、SBR100重量部に対し、70−90重量部の平均粒径40μm以下のカーボンブラックを配合し硬さを向上し、更に熱可塑性であるノボラック型変性フェノール樹脂を5−20重量部用いることで加工性を付与しているが、カーボンブラックの配合部数が多いため耐摩耗性が劣り、また、黒以外のロールには適用できない。特許文献2では、IIRやEPDMに対し、20−200重量部の不活性シリカ系の白色フィラーを用いることで、加工性に優れ、硬さの高いロールを得ているが、不活性シリカには補強効果が無いため、依然としてカーボンブラックが必要であった。また、特許文献3では熱硬化性を有するジアリルフタレートプレポリマーを用いることで、ノンカーボンにより硬さの高いロールを作成しているが、硬さは70−80程度であり十分では無かった。特許文献4では、エラストマーとレゾール型樹脂に、活性ゼオライトを加えることで、加硫速度が速くなるとしているが、加工性や硬さに関する記述は無く、前述のように無機物質であるゼオライトを添加する事でコンパウンドの加工性は低下すると予想される。
ポリエチレンを塩素化及びクロロスルホン化して得られるクロロスルホン化ポリエチレン(CSM)や、アルキル鎖を有するアルキル化クロロスルホン化ポリエチレン(ACSM)は、耐オゾン性,耐候性,耐熱性,耐油性,耐薬品性、耐摩耗性に優れるため、ゴムロール用のゴムとして非常に有用である。しかし未加硫コンパウンドの粘着性が劣るため、良好な加工性を得るためには、コンパウンドの低粘度化に加えタックを付与する必要がある。そのため、CSMを用いて硬さの高いロールを得ようとする場合、その加工性確保が課題であった。
特開平05−98081号公報 特開平06−80828号公報 特開平11−241719号公報 特開2012−82422号公報
本発明はこの問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、高い硬さおよび優れた耐摩耗性を有するCSM製ゴムロールが得られる、ゴム組成物、コンパウンド及びその加硫物を提供するものである。
本発明者は、このような背景の下、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、ゴム分としてCSMとNBRおよびBRを用いることでコンパウンド加工時の作業性を向上させ、更には得られるゴム製品の硬さおよび耐摩耗性を向上できることを見出した。即ち、本発明は、CSM50〜98重量部、NBR1〜25重量部、BR1〜25重量部を含むゴム組成物、当該ゴム組成物と添加剤を含むコンパウンド及びその加硫物、並びにゴムロールである。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のゴム組成物は、ゴム成分として、少なくともCSM、NBRおよびBRを含み、ゴム成分のうち、CSMが50〜98重量部、NBRが1〜25重量部、BRが1〜25重量部(ゴム成分の合計は100重量部)である。このゴム組成物に添加剤を添加しコンパウンドとし、コンパウンドを加硫して加硫物として使用できる。ゴム組成物のNBRおよびBRが少ないとコンバウンドにした場合の加工性が劣り、多くなると加硫物にした場合の耐摩耗性が低下するため、NBRおよびBRは各々1重量部以上25重量部以下が好ましく、5重量部以上20重量部以下がより好ましい。
本発明のCSMとは、ポリエチレンをクロロスルホン化したもので、各種製品が市販されている。CSMの種類は特に限定するものでは無いが、アルキル鎖を有するアルキル化CSM(ACSM)はより耐摩耗性に優れ好ましい。
本発明のNBRとは、ブタジエンとアクリロニトリルの共重合体からなり、各種製品が市販されている。
本発明のBRとは、ブタジエンの重合体であり、スチレンブタジエンゴム(SBR)と天然ゴム(NR)とならぶ代表的な汎用ゴムで、各種製品が市販されている。
本発明のコンパウンドは、上記ゴム組成物と添加剤を含み、ムーニー粘度が100未満である。コンパウンドのムーニー粘度が100以上であると、ハンドリングに劣り、作業性が低下する。
本発明のゴム組成物及びコンパウンドの混合方法は特に限定するものでは無く、オープンロール、バンバリーミキサー、ニーダー等、一般にゴムを混練する手法にて実施し、例えば、他の添加剤と同時に混合し、混練すれば良い。
本発明のゴム組成物に添加する添加剤としては、充填剤、加工助剤、受酸剤、加硫促進剤、老化防止剤、可塑剤などが挙げられ、必要に応じて顔料や粘着付与樹脂などを用いることもある。
本発明のゴム組成物の充填剤としては特に限定するものでは無いが、非黒色のゴムロールを作成する際には、適度な活性を有するシリカを用いることで、炭酸カルシウムやクレー等の無機充填剤よりも高い硬さを得ることができる。使用量は特に限定するものでは無いが、通常ゴム100重量部に対し10重量部〜70重量部程度を用いる。
加工助剤は特に限定するものでは無く、各種の物を用いることができる。例えば、各種ワックスや脂肪酸類が挙げられる。通常はゴム100重量部に対し、10重量部以下を用い、複数を併用することも多い。
受酸剤は限定するものでは無く、各種の物を用いることができる。例えば、酸化マグネシウムや、酸化鉛などが挙げられる。
加硫促進剤は特に限定するものでは無く、各種の物を用いることができる。例えば、チオウレア系の化合物や過酸化物などが挙げられる。
老化防止剤は特に限定するものでは無く、各種の物を用いることができる。例えば、フェノール系化合物などが挙げられる。
可塑剤各種の物を用いることができる。例えば、パラフィンやオイルなどが挙げられる。
顔料としては酸化チタン、粘着付与樹脂としては熱可塑性樹脂などが挙げられる。
得られたコンパウンドを成型し、加熱加圧処理を行うことにより加硫物が得られる。得られた加硫物は、硬さ(JIS−K6253)が80(JIS−A)以上であることが好ましい。コンパウンドは、金型、押出し、射出などの方法で所望の形状に成形した後に、熱や高周波によって加硫させることができる。それらの条件は特に限定するものではないが、例えば、本発明のコンパウンドは鉄芯に巻きつけた後に150〜200℃にて加硫させることでゴムロールとすることができる。
本発明のゴム組成物を用いたコンパウンドは加工性に優れ、その加硫物及び加硫物からなるゴムロールは高い硬さ、および優れた耐摩耗性を有する。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
<コンパウンド作業性>
オープンロールにおける作業性を評価した。過度な粘着や粘着不足により作業に手間取ることが無いものを良好とした。
<コンパウンド粘度の測定>
配合処方に従い混練した後、コンパウンドのムーニー粘度(ML(1+4)100℃)をJIS K6300に従い測定した。
<加硫物の作成>
配合処方に従い混練した後、150℃で50分プレス加硫した。
<加硫物の硬さ>
得られた加硫シートの硬さを、JIS K6253に従い測定した。
<耐摩耗性>
DIN摩耗試験(JIS K6264)に従い測定した。
実施例1
CSMとしてTOSO−CSM TS−430(東ソー(株)製、ムーニー粘度46ML(1+4)100℃)80重量部、NBRとしてJSR N230S(JSR(株)製、ムーニー粘度56ML(1+4)100℃)10重量部、BRとしてJSR BR01(JSR(株)製、ムーニー粘度45ML(1+4)100℃)10重量部をオープンロールにて混練しゴム組成物とした。次に表1に示す配合処方にて混練し、コンパウンドを作成し、コンパウンド粘度を測定した。更に、加硫物の硬さと耐摩耗性を測定した。
Figure 2018131565
結果を表2に示す。コンパウンド粘度は低く加工性に優れ作業性は良好で、硬さは80以上、摩耗減量も少なく、耐摩耗性は良好であった。
Figure 2018131565
実施例2
CSMをアルキル化CSM extos ET−8010(東ソー(株)製、ムーニー粘度41ML(1+4)100℃)に変更した以外は実施例1に従ってコンパウンド粘度、硬さ、耐摩耗性を評価した。結果を表2に示す。コンパウンド粘度は低く加工性に優れ作業性は良好で、硬さも80以上であり、摩耗減量も少なく、耐摩耗性は良好であった。
実施例3
使用するACSMを70重量部、NBR15重量部、BR15重量部に変更した以外は実施例1に従い、コンパウンド粘度、硬さ、耐摩耗性を評価した。結果を表2に示す。コンパウンド粘度は低く加工性に優れ作業性は良好で、硬さも80以上であり、摩耗減量も少なく、耐摩耗性は良好であった。
比較例1
ACSM100重量部を用い、NBRおよびBRを用いなかった以外は実施例1に従い、コンパウンド粘度、硬さ、耐摩耗性を評価した。結果を表2に示す。コンパウンド粘度が高く、加工性に劣り作業性が劣り、摩耗減量が増加し、耐摩耗性が劣った。
比較例2
NBRを用いず、ACSM90重量部、BR10重量部とした以外は実施例1に従い、コンパウンド粘度、硬さ、耐摩耗性を評価した。結果を表2に示す。コンパウンド粘度が高く、加工性に劣り作業性が劣った。
比較例3
BRを用いず、ACSM90重量部、NBR10重量部とした以外は実施例1に従い、コンパウンド粘度、硬さ、耐摩耗性を評価した。結果を表2に示す。コンパウンド粘度が高く、加工性に劣り作業性が劣り、摩耗減量が増加し、耐摩耗性が劣った。
比較例4
使用するACSMを40重量部、NBR30重量部、BR30重量部に変更した以外は実施例1に従い、コンパウンド粘度、硬さ、耐摩耗性を評価した。結果を表2に示す。摩耗減量が増加し、耐摩耗性が劣った。

Claims (7)

  1. ゴム成分として、少なくともクロロスルホン化ポリエチレン(以下、CSMという。)、ニトリルゴム(NBR)およびブタジエンゴム(BR)を含む組成物であって、ゴム成分のうち、CSMが50〜98重量部、NBRが1〜25重量部、BRが1〜25重量部(ゴム成分の合計は100重量部)であることを特徴とするゴム組成物。
  2. NBRが5〜20重量部、BRが5〜20重量部であることを特徴とする、請求項1に記載のゴム組成物。
  3. CSMがアルキル化クロロスルホン化ポリエチレンであることを特徴とする請求項1又は2に記載のゴム組成物。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載のゴム組成物と添加剤を含み、ムーニー粘度が100未満であることを特徴とするコンパウンド。
  5. 請求項4の記載のコンパウンドの加硫物。
  6. 硬さ(JIS−K6253)が80(JIS−A)以上であることを特徴とする請求項5に記載の加硫物。
  7. 請求項5又は6に記載の加硫物からなるゴムロール。
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