以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。但し、実施の形態は多くの異なる態様で実施することが可能であり、趣旨およびその範囲から逸脱することなくその形態および詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は、以下の実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
なお本明細書等において、「第1」、「第2」、「第3」という序数詞は、構成要素の混同を避けるために付したものである。従って、構成要素の数を限定するものではない。また、構成要素の順序を限定するものではない。また例えば、本明細書等の実施の形態の一において「第1」に言及された構成要素が、他の実施の形態、あるいは特許請求の範囲において「第2」に言及された構成要素とすることもありうる。また例えば、本明細書等の実施の形態の一において「第1」に言及された構成要素を、他の実施の形態、あるいは特許請求の範囲において省略することもありうる。
なお図面において、同一の要素または同様な機能を有する要素、同一の材質の要素、あるいは同時に形成される要素等には同一の符号を付す場合があり、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
(実施の形態1)
本発明の一態様の半導体装置の構成および動作について、図1から図5までを参照して説明する。なお本発明の一態様の半導体装置は、マルチコンテキスト方式を実現できるFPGAとしての機能を有する。
図1(A)は半導体装置のブロック図である。半導体装置100は、複数の回路ブロックを有する。図1(A)では、複数の回路ブロックとして、回路ブロック101A乃至101Dの4つを例示している。回路ブロック101A乃至101Dは、それぞれマルチコンテキスト方式を実現できるFPGAとして機能する。なお半導体装置100が有する回路ブロックは1つでもよい。
回路ブロック101A乃至101Dは、それぞれ、プログラマブルエリア111、ワードドライバ112、データドライバ113を有する。プログラマブルエリア111は、入出力ブロック(以下、IOB117)、コア118を有する。プログラマブルエリア111は、回路ブロック101A乃至101Dごとに異なる機能を実現するためのコンフィギュレーションデータを記憶し、データを処理する機能を有する。
データを処理する機能は、複数組のコンフィギュレーションデータによって設定される。コンフィギュレーションデータは、複数組のコンフィギュレーションメモリに格納される。コンフィギュレーションメモリは、コンテキストに応じて、プログラマブルロジックエレメント(PLE)およびプログラマブルスイッチ(PRS)、プログラマブルIO(PIO)の設定を行う。この設定を切り替えることで、上述したデータを処理する機能を設定するとともに、コンテキストの切り替えによってデータを処理する機能を瞬時に切り替える、所謂マルチコンテキスト方式を実現可能な構成とすることができる。回路ブロック101A乃至101Dは、データの非処理期間において、コンフィギュレーションメモリに格納されたコンフィギュレーションデータを書き換える、動的再構成が可能である。コンテキストの切り替えは、コントローラ110によって制御される。
上述した回路ブロック101A乃至101Dの機能について、図1(B)で説明する。図1(B)では、回路ブロック101A乃至101Dの4つの領域に分け、更にコンテキスト数が0と1の2つの場合に分けて図示している。つまり、コンテキスト0では、回路ブロック101A乃至101Dが、機能F0乃至F3でデータを処理するよう設定される。またコンテキスト1では、回路ブロック101A乃至101Dが、機能F4乃至F7でデータを処理するよう設定される。つまり、回路ブロック101A乃至101Dに対応する4つの領域において、コンテキストを切り替えることで機能F0乃至F7を割り当てられることができる。
本発明の一態様である半導体装置100では、複数の機能のデータ処理を実現できるFPGAとして機能する回路ブロック101A乃至101Dにおいて、複数の機能によりデータの処理を行うための設定を、コンテキストの切り替えと、コンフィギュレーションデータを動的に書き換える所謂動的再構成とによって、次々と切り替えていく構成とすることができる。当該構成とすることで、連続する異なるデータ処理を、設定を切り替えてデータの入出力を繰り返すことで一つの半導体装置で実現できる。そのため、深層学習やディープラーニングといった人工ニューラルネットワークの機能をコンフィギュレーションする場合に、回路の実装規模を縮小することができる。
図2(A)は、プログラマブルエリア111の構成例を説明するための図である。プログラマブルエリア111は、入出力ブロック(以下、IOB117)、コア119を有する。IOB117は、プログラマブル入出力回路(PIO)を有する。コア119は、複数のロジックアレイブロック(以下、LAB120)および複数のスイッチアレイブロック(以下、SAB130)で構成される。
図2(B)は、LAB120の構成例を説明するための図である。図2(B)に示すLAB120は、一例として、5個のプログラマブルロジックエレメント(以下、PLE121)を有する。
図2(C)は、SAB130の構成例を説明するための図である。図2(C)に示すSAB130は、アレイ状に配列された複数のスイッチブロック(以下、SB131)を有する。
次いで図3(A)乃至図3(C)を参照して、SB131について説明する。SB131には信号data、信号context[1:0]、信号word[1:0]が入力される。信号dataはコンフィギュレーションデータである。信号context[1:0]はコンテキスト選択信号である。信号word[1:0]はワード線選択信号である。
SB131は、プログラマブルルーティングスイッチ(以下、PRS133[0]、133[1])を有する。PRS133[0]、133[1]は、コンフィギュレーションデータを格納できるコンフィギュレーションメモリ(CM)を有する。コンフィギュレーションデータは、PRS133[0]、133[1]の導通状態を設定するための情報であり、例えばハイレベルのとき導通状態に設定され、ローレベルのとき非導通状態に設定される。
図3(B)はPRS133[0]の回路図である。PRS133[0]とPRS133[1]とは同じ回路構成を有する。PRS133[0]とPRS133[1]とは入力されるコンテキスト選択信号、ワード線選択信号が異なる。信号context[0]、word[0]はPRS133[0]に入力され、信号context[1]、word[1]はPRS133[1]に入力される。例えば、SB131において、信号context[0]がハイレベルになることで、PRS133[0]がアクティブになる。
PRS133[0]は、CM135、トランジスタM1を有する。トランジスタM1は、nチャネル型として説明するが、pチャネル型でもよい。
トランジスタM1は、CM135により制御されるパストランジスタである。トランジスタM1は、チャネル形成領域にシリコンを有するトランジスタ(以下、Siトランジスタ)とすることで、高速でのスイッチング動作ができるため好ましい。
CM135は、不揮発性メモリ(以下、NVM137)およびトランジスタM2を有する。トランジスタM2は、nチャネル型として説明するが、pチャネル型でもよい。
NVM137は、容量素子C1、トランジスタMO1、およびトランジスタMO2を有する。トランジスタMO1、MO2は、nチャネル型として説明するが、pチャネル型でもよい。トランジスタMO1、およびトランジスタMO2は、OSトランジスタであることで、オフ電流が低いこと、ゲート絶縁層を厚くしてもトランジスタ特性が良好であることといった点で好ましい。OSトランジスタについては、後で詳述する。
トランジスタMO2のゲートがノードN1である。トランジスタM1のゲートがノードN2である。トランジスタMO1はノードN1と信号data用の信号線との間の導通状態を制御する。ノードN1はCM135の電荷保持ノードである。トランジスタMO1は非導通状態に制御されることで設定した情報に応じた電圧をノードN1で保持させることができる。トランジスタMO2はノードN2と信号context[0]用の信号線との間の導通状態を制御する。
なおトランジスタMO1、MO2といったOSトランジスタのゲート絶縁層はトランジスタM1、M2といったSiトランジスタのゲート絶縁層より厚くすることが好ましい。前述したようにOSトランジスタであることで、ゲート絶縁層を厚くしてもトランジスタ特性が良好である。トランジスタMO2のゲート絶縁層を厚くできることで、電荷保持ノードであるノードN1での電荷の保持特性を高めることができる。
ノードN1は、トランジスタMO2の導通状態時、信号context[0]の論理が与えられる。つまり信号context[0]がハイレベルになることで、PRS133[0]がアクティブになる。つまり信号dataの論理であるノードN1の電圧に応じた電圧が、ノードN2に与えられることになる。
具体的には、ノードN1の電圧がハイレベルでトランジスタMO2が導通状態となり、信号context[0]がハイレベルであるため、ノードN2がハイレベルとなる。またノードN1の電圧がローレベルでトランジスタMO2が非導通状態となり、ノードN2がローレベルとなる。ノードN2がハイレベルかローレベルかに応じて、つまり入力端子inputと出力端子outputとの導通状態が制御される。
本発明の一態様では、グラウンド電位に接続されたトランジスタM2を設け、トランジスタM2をダイオード接続する構成とする。ノードN2は、オフ電流が低いOSトランジスタを用いるトランジスタMO2が非導通状態とすることで、電気的に浮遊状態となりやすい。そのためトランジスタM2にはオフ電流がOSトランジスタと比べて比較的高いSiトランジスタを用い、ノードN2に直接接続する構成とする。またトランジスタM2はダイオード接続されたトランジスタとする。本発明の一態様の構成とすることでトランジスタM2が非導通状態時に流れるリーク電流が、ノードN2を電気的に浮遊状態となることを抑制するように作用させることができる。そしてノードN2がハイレベルとなる期間では動作に影響しないようにするとともに、ノードN2をより確実にローレベルとすることができる。
なお、PRS133[0]とPRS133[1]とを区別しない場合、PRS133と呼ぶ。他の要素についても同様である。
なおPRS133は、SiトランジスタであるM1のゲートが浮遊状態になることを利用したブースティングによってスイッチ特性の向上を実現することができる。一方でSiトランジスタを65nm Siプロセスを採用する場合、Siトランジスタのゲートリークは無視できない。そこで、Siトランジスタのゲートで電荷を保持する構成を採用せずに、電荷保持ノードをゲート絶縁膜が厚くても短チャネル効果が発生しにくいOSトランジスタであるトランジスタMO2のゲートに変更することで、不揮発性OSメモリを実現することができる。
図3(C)、(D)を参照して、PRS133[0]のスイッチ動作を説明する。
図3(C)では、PRS133[0]のノードN1がハイレベル(以下、“H”)であるようにPRS133[0]にコンフィギュレーションデータが既に書き込まれた状態でのスイッチ動作を説明する。
信号context[0]が“H”である期間はPRS133[0]はアクティブである。ノードN1が“H”のときトランジスタMO2が導通状態となるため、CM135が記憶するコンフィギュレーションデータに対応する“H”が、トランジスタM1のゲートは“H”に遷移し、トランジスタM1が導通状態となる。この状態で入力端子inputが“H”に遷移するとブースティングによってトランジスタM1のゲートの電位が上昇する。入力端子inputが“H”に遷移すると、NVM137のトランジスタMO2がソースフォロアであるために、ブースティングによってトランジスタM1のゲート電圧は上昇する。その結果、NVM137のトランジスタMO2は駆動能力を失い、トランジスタM1のゲートは浮遊状態となる。その結果、トランジスタM1のゲート電圧がさらに上昇することで出力端子outputの電位を上昇させることができる。そのため、スイッチ特性の向上を実現することができる。
信号context[0]が“L”である期間はPRS133[0]は非アクティブである。ノードN1が“H”のときトランジスタMO2が導通状態となり、信号context[0]の“L”のため、トランジスタM1のゲートが“L”に遷移し、トランジスタM1が非導通状態となる。その結果入力端子inputが“H”に遷移しても、出力端子outputの電位は変化しない。
また図3(D)では、PRS133[0]のノードN1がローレベル(以下、“L”)であるようにPRS133[0]にコンフィギュレーションデータが既に書き込まれた状態でのスイッチ動作を説明する。
信号context[0]が“H”である期間はPRS133[0]はアクティブである。ノードN1が“L”のときトランジスタMO2が非導通状態となる。トランジスタM1のゲート、つまりノードN2の電位は、トランジスタM2のリーク電流によって“L”となる。つまりノードN2が電気的に浮遊状態となることが抑制される。トランジスタM1が非導通状態となる。その結果入力端子inputが“H”に遷移しても、出力端子outputの電位は変化しない。
信号context[0]が“L”である期間はPRS133[0]は非アクティブである。ノードN1が“L”のときトランジスタMO2が導通状態となる。トランジスタM1のゲート、つまりノードN2の電位は、トランジスタM2のリーク電流によって“L”となる。トランジスタM1が非導通状態となる。その結果入力端子inputが“H”に遷移しても、出力端子outputの電位は変化しない。
マルチコンテキスト機能を備えるPRS133において、CM135はマルチプレクサの機能を併せ持つ。PRS133はトランジスタ数がSRAM(Static RAM)を用いたCMと比べて少なく、ブースティングによってトランジスタM1の駆動能力を高める効果もあるため、好適である。
また図4はPLE121のブロック図である。PLE121はLUTブロック123、レジスタブロック124、セレクタ125、CM126を有する。LUTブロック123はルックアップテーブルの機能を有し、一例として内部の16ビットCM対の出力を入力inA−inDに従って選択する構成である。セレクタ125は、CM126が格納するコンフィギュレーションデータに従って、LUTブロック123の出力またはレジスタブロック124の出力を選択する構成である。
PLE121は、パワースイッチ127を介して高電位電源線VDDに接続されている。パワースイッチ127のオンオフは、CM128が格納するコンフィギュレーションデータによって設定される。各PLE121にパワースイッチ127を設けることで、細粒度なパワーゲーティング(FG−PG)機能を可能にしている。FG−PG機能により、コンテキストの切り替え後に使用されないPLE121をパワーゲーティングすることができるので、待機電力を削減できる。
ノーマリーオフ(NOFF)コンピューティングを実現するため、レジスタブロック124は、不揮発性レジスタ(NV−Reg)で構成される。PLE121内のNV−Regは不揮発性OSメモリを備えるフリップフロップ(OS−FF)である。
レジスタブロック124は、OS−FF140[1]およびOS−FF140[2]を有する。信号user_res、信号load、および信号storeがOS−FF140[1]およびOS−FF140[2]に入力される。クロック信号CLK1はOS−FF140[1]に入力され、クロック信号CLK2はOS−FF140[2]に入力される。
図5(A)には、一例として、OS−FF140の回路図を示す。
OS−FF140は、FF141およびシャドウレジスタ142を有する。FF141は、ノードCK、ノードR、ノードD、ノードQ、およびノードQBを有する。ノードCKにはクロック信号CLK1(またはクロック信号CLK2)が入力される。ノードRには信号user_resが入力される。信号user_resはリセット信号である。ノードDはデータ入力ノードであり、ノードQはデータ出力ノードである。ノードQとノードQBとは論理が相補関係にある。
シャドウレジスタ142は、FF141のバックアップ回路として機能する。シャドウレジスタ142は、信号storeに従いノードQ、QBのデータをそれぞれバックアップし、また、信号loadに従い、バックアップしたデータをノードQ、QBに書き戻す。
シャドウレジスタ142は、インバータ回路88、インバータ回路89、トランジスタM7、トランジスタMB7、NVM143、およびNVM143Bを有する。NVM143およびNVM143Bは、PRS133のNVM137と同じ回路構成である。NVM143は容量素子C6、トランジスタMO5、およびトランジスタMO6を有する。NVM143Bは容量素子CB6、トランジスタMOB5、およびトランジスタMOB6を有する。ノードN6はトランジスタMO6のゲートであり、ノードNB6はトランジスタMOB6のゲートである。各ノードはそれぞれ電荷保持ノードである。ノードN7は、トランジスタM7のゲートである。ノードNB7は、トランジスタMB7のゲートである。
図5(B)を参照して、OS−FF140の動作方法を説明する。
データのバックアップ動作について説明する。“H”の信号storeがOS−FF140に入力されると、シャドウレジスタ142はFF141のデータをバックアップする。ノードN6は、ノードQのデータが書き込まれることで、“L”となり、ノードNB6は、ノードQBのデータが書き込まれることで、“H”となる。しかる後、パワーゲーティングが実行され、パワースイッチ127をオフにする。FF141のノードQ、QBのデータは消失するが、電源オフであっても、シャドウレジスタ142はバックアップしたデータを保持する。
データのリカバリ動作について説明する。パワースイッチ127をオンにし、PLE121に電源を供給する。しかる後、“H”の信号loadがOS−FF140に入力されると、シャドウレジスタ142はバックアップしているデータをFF141に書き戻す。ノードN6は“L”であるので、ノードN7は“L”が維持され、ノードNB6は“H”であるので、ノードNB7は“H”となる。よって、ノードQは“H”になり、ノードQBは“L”になる。つまり、OS−FF140はバックアップ動作時の状態に復帰する。
本実施の形態の構成とすることで、素子の微細化によるSiトランジスタのゲートリークが大きくなる問題が解消されるため、データの保持時間を長くすることができる半導体装置を提供することができる。また、データの保持時間を優先するためにゲート絶縁層を厚くする場合に、トランジスタを流れる電流量が減少するといった問題を解消し、高速でのスイッチング動作を行うことができる半導体装置を提供することができる。また、プログラマブルルーティングスイッチが非アクティブな状態で、回路内のノードが電気的に浮遊状態となることで動作が不安定になるといった問題を解消し、動作の安定したFPGAとして機能することができる半導体装置を提供することができる。
(実施の形態2)
上記実施の形態で説明したマルチコンテキスト機能の有効な利用先として、人工知能(Arttificial Intelligence;AI)分野がある。本実施の形態では、一例としてCNN(Convolutional Nueral Network)に適用する際の構成について説明する。CNNは畳み込みニューラルネットワークのことであり、画像認識分野で高い性能を示しているため注目されている。
CNNでは、畳み込みのためのフィルタ演算を行う畳み込みレイヤ、プーリング演算を行うプーリングレイヤといったレイヤが複数組み合わされて演算処理が行われる。演算処理では、例えば、フィルタの要素(重み係数)と入力データとの乗算と、その和を求める積和演算、等の一般的な画像処理で必要とされる演算が用いられる。
上記実施の形態で説明したマルチコンテキスト機能を有するFPGAとして機能する半導体装置では、例えば回路ブロック単位の再構成によってCNNのフィルタ演算に要する重み係数を、コンテキスト信号を切り替えることで高速に切り替え可能である。つまり、入力データに対して即時に異なるフィルタを適用可能なパイプライン処理を実現できる。さらに、マルチコンテキスト数を拡張することでフィルタ数を増やすことができる。
具体的な例を図6(A)、(B)を参照して説明する。図6(A)では、n層(nは自然数)に設けられたレイヤL1乃至Lnに入力信号In[0]乃至In[4]が与えられるニューラルネットワークを表している。図6(A)では人工ニューロン151を図示しており、人工ニューロン151毎に入力信号と重み係数に応じた積和演算が行われる。
レイヤL1乃至Lnは、半導体装置における回路ブロックに相当する。そのためレイヤL1乃至Lnは回路ブロック単位あるいは全回路ブロックを一括でコンテキスト信号による機能の切り替えを行うことができる。図6(A)ではコンテキスト0をF0、コンテキスト1をF1として図示している。上述したようにコンテキスト信号を切り替えることでF0とF1とは、高速に切り替え可能である。
図6(B)では、時間(Time)の変化毎にレイヤL1乃至L4でコンテキストを切り替える際の模式図を図示している。奥行き方向は、信号の伝送(Signal trnsfer)方向を表している。
図6(B)において、時刻T1ではレイヤL1乃至L4がコンテキスト0で入力される信号を演算することを表している。また時刻T2ではレイヤL1乃至L4がコンテキスト1で入力される信号を演算することを表している。また時刻T3ではレイヤL1、L2がコンテキスト0で入力される信号を演算し、レイヤL3、L4がパワーゲーティング(PG)していることを表している。また時刻T4ではレイヤL1、L2がコンテキスト0で入力される信号を演算し、レイヤL3、L4がコンテキスト0で入力される信号を演算することを表している。
図6(A)、(B)で図示するようにマルチコンテキスト機能を有するFPGAとして機能する半導体装置では、回路ブロック単位の再構成によってCNNのフィルタ演算に要する重み係数を、時刻T1乃至T4といった時間の経過とともにコンテキスト信号を切り替えることで高速に切り替え可能である。
(実施の形態3)
本実施の形態では、人工ニューラルネットワーク(ANN)の機能を実現できる半導体装置の構成について説明する。なおANNの機能を実現できる半導体装置の構成としては上記実施の形態1で説明した半導体装置100を用いて実現できる。
図7(A)には、人工ニューラルネットワーク(ANN)の具体的な例として、畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional Nueral Network;CNN)でのデータの処理を説明する模式図を図示している。なおCNNは一例であり、本発明の一態様は、オートエンコーダ(AE:Auto Encoder)、再起型ニューラルネットワーク(RNN:Recurrent NN)にも適用可能である。
図7(A)では、入力層21と出力層23の間に中間層22(隠れ層)を図示している。
入力層21では、入力されるデータを出力する処理を実行する。図7(A)では、一例として入力されるデータ11を図示している。入力層21での処理は、入力層31のように表すことができる。
中間層22は、一例として、畳み込み処理を行う層(畳み込み層)、プーリング処理を行う層(プーリング層)、全結合処理を行う層(全結合層)で構成される。中間層22には、上記以外に正規化層等を含んでもよい。
畳み込み層では、畳み込み処理を行うことで特徴抽出を行う。具体的には、入力されるデータ11とフィルタ12との積和演算処理を行い、特徴抽出されたデータ13を得る。
なお畳み込み演算の際にパディング、またはストライドといった処理を組み合わせて行ってもよい。畳み込み演算で得られるデータ13は、活性化関数で変換して出力する。活性化関数としては、ステップ関数、シグモイド関数、または正規化線形関数(ReLU:Rectified Linear Unit)がある。
プーリング層では、プーリング処理を行うことで情報削減を行う。具体的には、入力されるデータ13の最大値または平均値等を算出する処理を行い、情報削減されたデータ14を得る。
全結合層では、畳み込み処理及びプーリング処理から得られた特徴データに基づき、情報認識を行う。
また中間層22では、畳み込み処理とプーリング処理を繰り返すことで特徴抽出と情報削減を繰り返し、全結合処理によって得られた特徴群から情報を認識する。中間層22において、多数の層で複数回の畳み込み処理とプーリング処理を実行することでより詳細な特徴を数多く得ることが可能となる。中間層の数を増加させる深層化によって多数の特徴に基づき情報認識ができるため、出力結果の確度を向上させることができる。そのため畳み込みニューラルネットワークにおいて、中間層の数の増加は認識精度の向上に有効である。
具体的には、畳み込み処理は入力されるデータ14とフィルタ15との積和演算処理を行い、特徴抽出されたデータ16を得る。そしてプーリング処理はデータ16の最大値または平均値等を算出する処理を行い、情報削減されたデータ17を得る。全結合処理は、畳み込み処理及びプーリング処理で得られたデータをもとに、次の層の各ニューロンに対する結合(全結合ともいう)データ18を得る。結合処理を必要数繰り返すことで情報認識を行う。全結合層34では、アフィン変換などの処理が実行される。中間層22での処理は、畳み込み層32_1、プーリング層33_1、畳み込み層32_2、プーリング層33_2、全結合層34のように表すことができる。
出力層23では、中間層22で得られたデータを入力し、演算されたデータを出力する。具体的には、出力層23で分類されるクラス数(図7(A)の場合、y1乃至ymのm個)のそれぞれのニューロンにおいて例えば、全結合したデータ19を生成する。出力層23では、データ19に応じて判定結果であるデータ20が得られる。出力層23での処理は、出力層35のように表すことができる。出力層35では恒等関数またはソフトマックス関数といった変換を行ってデータを出力する。
上述した畳み込み層、プーリング層、全結合層といった各層は、それぞれの層が多層、つまりディープニューラルネットワークとすることで汎用性が高まる。
一例として図7(B)に図示するように、畳み込み層、プーリング層が3層、全結合層が2層とすることで、認識精度の向上を図ることができる。具体的には、入力層21として入力層31、中間層22として畳み込み層32_1、プーリング層33_1、畳み込み層32_2、プーリング層33_2、畳み込み層32_3、プーリング層33_3、出力層23として、全結合層34_1、全結合層34_2、出力層35を図示している。
図8(A)では、図7(B)の各層にL1乃至L10の略称を付している。つまり図8(A)に示すように、1層目の層L1が入力層31、2層目の層L2が畳み込み層32_1、3層目の層L3がプーリング層33_1、4層目の層L4が畳み込み層32_2、5層目の層L5がプーリング層33_2、6層目の層L6が畳み込み層32_3、7層目の層L7がプーリング層33_3、8層目の層L8が全結合層34_1、9層目の層L9が全結合層34_2、10層目の層L10が出力層35のようになる。
図8(B)では、図1(B)の各回路ブロック101A乃至101DにArea0乃至Area3の略称を付している。各Area0乃至Area3は、コンテキストを切り替えることで、コンフィギュレーションデータに応じたデータの処理を行うための機能が変わるものの同じ領域を示している。
図8(C)、図9では、半導体装置100においてコンテキストの切り替え、および動的再構成を行う際の各Area0乃至Area3でのデータ処理が時間の経過とともにどのように行われるかを模式的に示した図である。図9中で図示する、Area0[0]乃至Area3[0]は、コンテキスト0の各Area0乃至Area3で行うデータ処理を表している。また図9中で図示する、Area0[1]乃至Area3[1]は、コンテキスト1の各Area0乃至Area3で行うデータ処理を表している。また図9中で図示する、FL1乃至FL10はL1乃至L10において、半導体装置で行うデータ処理の機能を表している。
なお、Area0乃至Area3での各コンテキストに対応するコンフィギュレーションデータは、時刻T1より前に予め設定されてあるものとして説明する。
図8(C)に図示するように時刻T1において、回路ブロック101Aでコンテキスト0を選択し、Area0[0]をアクティブとすることでコンフィギュレーション層L1(入力層に対応)でのデータ処理を実行する。つまり図9に図示するように、Area0[0]での機能FL1によるデータ処理を実行する。
図8(C)に図示するように時刻T2において、回路ブロック101Bでコンテキスト0を選択し、Area1[0]をアクティブとすることでコンフィギュレーション層L2(畳み込み層に対応)でのデータ処理を実行する。つまり図9に図示するように、Area1[0]での機能FL2によるデータ処理を実行する。
図8(C)に図示するように時刻T3において、回路ブロック101Cでコンテキスト0を選択し、Area2[0]をアクティブとすることでコンフィギュレーション層L3(プーリング層に対応)でのデータ処理を実行する。つまり図4に図示するように、Area2[0]での機能FL3によるデータ処理を実行する。
図8(C)に図示するように時刻T4において、回路ブロック101Dでコンテキスト0を選択し、Area3[0]をアクティブとすることでコンフィギュレーション層L4(畳み込み層に対応)でのデータ処理を実行する。つまり図9に図示するように、Area0[0]での機能FL4によるデータ処理を実行する。
図8(C)に図示するように時刻T5において、回路ブロック101Aでコンテキスト1を選択し、Area0[1]をアクティブとすることでコンフィギュレーション層L5(プーリング層に対応)でのデータ処理を実行する。つまり図9に図示するように、Area0[1]での機能FL5によるデータ処理を実行する。
図8(C)に図示するように時刻T6において、回路ブロック101Bでコンテキスト1を選択し、Area1[1]をアクティブとすることでコンフィギュレーション層L6(畳み込み層に対応)でのデータ処理を実行する。つまり図9に図示するように、Area1[1]での機能FL6によるデータ処理を実行する。
図8(C)に図示するように時刻T7において、回路ブロック101Cでコンテキスト0を選択し、Area2[0]をアクティブとすることでコンフィギュレーション層L7(プーリング層に対応)でのデータ処理を実行する。つまり図9に図示するように、Area2[0]での機能FL7によるデータ処理を実行する。このデータ処理は、時刻T3に実行する演算処理と同じであるものの、被処理データが異なる。つまり、同じコンフィギュレーションデータに基づくデータ処理の機能を再利用しており、コンフィギュレーションデータを有効に利用できる。当該構成とすることで、データ処理の機能を切り替える分の消費電力を抑制できるため、低消費電力化を図ることができる。
図8(C)に図示するように時刻T8において、回路ブロック101Cでコンテキスト1を選択し、Area2[1]をアクティブとすることでコンフィギュレーション層L8(全結合層に対応)でのデータ処理を実行する。つまり図9に図示するように、Area2[1]での機能FL8によるデータ処理を実行する。
図8(C)に図示するように時刻T9において、回路ブロック101Dでコンテキスト1を選択し、Area3[1]をアクティブとすることでコンフィギュレーション層L9(全結合層に対応)でのデータ処理を実行する。つまり図9に図示するように、Area3[1]での機能FL9によるデータ処理を実行する。
なお、Area0のコンテキスト0のコンフィギュレーションデータは、時刻T2乃至時刻T10にかけて、更新しておく(Reconfiguration)。
図8(C)に図示するように時刻T10において、回路ブロック101Aでコンテキスト0を選択し、Area0[0]をアクティブとすることでコンフィギュレーション層L10(出力層に対応)でのデータ処理を実行する。つまり図9に図示するように、Area0[0]のコンフィギュレーションデータは更新されているため、時刻T1で実行した機能FL1とは異なり、Area0[0]での機能FL10によるデータ処理を実行することができる。当該構成とすることでコンフィギュレーションデータを変更だけで、データ処理の内容を変更したことになるため、見かけ上、実行できるデータ処理の数を増やすことができる。したがって、各領域でデータ処理を高速に実行しながら、コンフィギュレーションデータの更新に要する時間を確保しやすくすることができる。
以上のように、コンテキスト切り替えとコンフィギュレーションデータの更新(動的再構成)を繰り返すことで、階層の深いニューラルネットワークによる演算を少ない回路規模で実行することができる。すなわち、様々な人工ニューラルネットワークに対応できる柔軟な回路実装効率の高いハードウェアとして機能する半導体装置を提供することができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、上記実施の形態で説明したOSトランジスタについて説明する。
<オフ電流特性について>
OSトランジスタは、酸化物半導体中の不純物濃度を低減し、酸化物半導体を真性または実質的に真性にすることでオフ電流を低くすることができる。ここで、実質的に真性とは、酸化物半導体中のキャリア密度が、8×1011/cm3未満、さらに好ましくは1×1011/cm3未満、さらに好ましくは1×1010/cm3未満であり、1×10−9/cm3以上であることを指す。酸化物半導体において、水素、窒素、炭素、シリコン、および主成分以外の金属元素は不純物となる。例えば、水素および窒素はドナー準位の形成に寄与し、キャリア密度を増大させてしまう。
真性または実質的に真性にした酸化物半導体を用いたトランジスタは、キャリア密度が低いため、閾値電圧がマイナスとなる電気特性になることが少ない。また、当該酸化物半導体を用いたトランジスタは、酸化物半導体のキャリアトラップが少ないため、電気特性の変動が小さく、信頼性の高いトランジスタとなる。また、当該酸化物半導体を用いたトランジスタは、オフ電流を非常に低くすることが可能となる。
なおオフ電流を低くしたOSトランジスタでは、室温(25℃程度)にてチャネル幅1μmあたりの規格化されたオフ電流が1×10−18A以下、好ましくは1×10−21A以下、更に好ましくは1×10−24A以下、又は85℃にて1×10−15A以下、好ましくは1×10−18A以下、更に好ましくは1×10−21A以下とすることができる。
<温度特性について>
OSトランジスタは、Siトランジスタよりも高い温度で使用することができる。具体例を挙げて説明するため、図10(A)にOSトランジスタのゲート電圧VG−ドレイン電流ID特性、及びゲート電圧VG−電界効果移動度μFE特性の温度依存性を、図10(B)にSiトランジスタのゲート電圧VG−ドレイン電流ID特性、及びゲート電圧VG−電界効果移動度μFE特性の温度依存性を、示す。なお図10(A)、(B)においては、−25℃、50℃、150℃の温度での各電気的特性の測定結果を示している。なおドレイン電圧VDは1Vとしている。
なお図10(A)に示すOSトランジスタの電気的特性は、チャネル長L=0.45μm、チャネル幅W=10μm、ゲート絶縁層の酸化膜の膜厚Tox=20nmでのグラフである。また図10(B)に示すSiトランジスタの電気的特性は、L=0.35μm、W=10μm、Tox=20nmでのグラフである。
なおOSトランジスタの酸化物半導体層は、In−Ga−Zn系酸化物で作製し、Siトランジスタは、シリコンウエハから作製したものである。
図10(A)及び(B)からは、OSトランジスタの立ち上がりゲート電圧の温度依存性は小さいことがわかる。また、OSトランジスタのオフ電流が温度によらず測定下限(I0)以下であるが、Siトランジスタのオフ電流は、温度依存性が大きい。図10(B)の測定結果は、150℃では、Siトランジスタはオフ電流が上昇し、電流オン/オフ比が十分に大きくならないことを示している。
図10(A)及び(B)のグラフから、OSトランジスタをスイッチとして用いる場合、150℃以上の温度下においても、動作させることができる。そのため、半導体装置の耐熱性を優れたものとすることができる。
<耐圧特性について>
ここでOSトランジスタの電圧に対する耐圧について、Siトランジスタの耐圧と比較し、説明する。
図11では、OSトランジスタのドレイン耐圧について説明するため、SiトランジスタとOSトランジスタとのVD−ID特性図について示す。図11では、SiトランジスタとOSトランジスタとについて同じ条件での耐圧を比較するために、共にチャネル長Lを0.9μmとし、チャネル幅Wを10μmとし、酸化シリコンを用いたゲート絶縁膜の膜厚Toxを20nmとしている。なおゲート電圧は、2Vとしている。
図11に示すようにSiトランジスタでは、ドレイン電圧の増加に対して4V程度でアバランシェブレークダウンが起こるのに対して、OSトランジスタでは、ドレイン電圧の増加に対して26V程度までアバランシェブレークダウンが起きずに定電流を流すことができるのがわかる。
図12(A)では、ゲート電圧を変化させた際の、OSトランジスタのVD−ID特性図について示す。また図12(B)では、ゲート電圧を変化させた際の、SiトランジスタのVD−ID特性図について示す。図12(A)、(B)では、SiトランジスタとOSトランジスタとについて同じ条件での耐圧を比較するために、共にチャネル長を0.9μmとし、チャネル幅を10μmとし、酸化シリコンを用いたゲート絶縁膜の膜厚を20nmとしている。なおゲート電圧は、図12(A)のOSトランジスタでは0.1V、2.06V、4.02V、5.98V.7.94Vと変化させ、図12(B)のSiトランジスタでは0.1V、1.28V、2.46V、3.64V、4.82Vと変化させている。
図12(A)、(B)に示すようにSiトランジスタでは、ドレイン電圧の増加に対して4乃至5V程度でアバランシェブレークダウンが起こるのに対して、OSトランジスタでは、ドレイン電圧の増加に対して9V程度ではアバランシェブレークダウンが起きずに定電流を流すことができるのがわかる。
図11、図12(A)、(B)からもわかるようにOSトランジスタはSiトランジスタと比べて耐圧が高い。そのため高い電圧が印加される箇所にOSトランジスタを適用しても、絶縁破壊を引き起こすことなく安定して使用することができる。
<オフ電流>
本明細書において、特に断りがない場合、オフ電流とは、トランジスタがオフ状態(非導通状態、遮断状態、ともいう)にあるときのドレイン電流をいう。オフ状態とは、特に断りがない場合、nチャネル型トランジスタでは、ゲートとソースの間の電圧Vgsがしきい値電圧Vthよりも低い状態、pチャネル型トランジスタでは、ゲートとソースの間の電圧Vgsがしきい値電圧Vthよりも高い状態をいう。例えば、nチャネル型のトランジスタのオフ電流とは、ゲートとソースの間の電圧Vgsがしきい値電圧Vthよりも低いときのドレイン電流を言う場合がある。
トランジスタのオフ電流は、Vgsに依存する場合がある。従ってトランジスタのオフ電流がI以下となるVgsが存在するときに、トランジスタのオフ電流がI以下である、と言う場合がある。トランジスタのオフ電流は、Vgsが所定の値であるときのオフ電流、Vgsが所定の範囲内の値であるときのオフ電流、または、Vgsが十分に低減されたオフ電流が得られる値であるときのオフ電流を指す場合がある。
一例として、しきい値電圧Vthが0.5Vであり、Vgsが0.5Vであるときのドレイン電流が1×10−9Aであり、Vgsが0.1Vにおけるドレイン電流が1×10−13Aであり、Vgsが−0.5Vにおけるドレイン電流が1×10−19Aであり、Vgsが−0.8Vにおけるドレイン電流が1×10−22Aであるようなnチャネル型トランジスタを想定する。当該トランジスタのドレイン電流は、Vgsが−0.5Vにおいて、または、Vgsが−0.5V乃至−0.8Vの範囲において、1×10−19A以下であるから、当該トランジスタのオフ電流は1×10−19A以下である、と言う場合がある。当該トランジスタのドレイン電流が1×10−22A以下となるVgsが存在するため、当該トランジスタのオフ電流は1×10−22A以下である、と言う場合がある。
本明細書では、チャネル幅Wを有するトランジスタのオフ電流を、チャネル幅Wあたりの値で表す場合がある。また、所定のチャネル幅(例えば1μm)あたりの電流値で表す場合がある。後者の場合、オフ電流の単位は、電流/長さ(例えば、A/μm)で表される場合がある。
トランジスタのオフ電流は、温度に依存する場合がある。本明細書において、オフ電流は、特に記載がない場合、室温、60℃、85℃、95℃、または125℃におけるオフ電流を表す場合がある。または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等の信頼性が保証される温度、または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等が使用される温度(例えば、5℃乃至35℃のいずれか一の温度)におけるオフ電流、を表す場合がある。室温、60℃、85℃、95℃、125℃、当該トランジスタが含まれる半導体装置等の信頼性が保証される温度、または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等が使用される温度(例えば、5℃乃至35℃のいずれか一の温度)、におけるトランジスタのオフ電流がI以下となるVgsが存在するときに、トランジスタのオフ電流がI以下である、と言う場合がある。
トランジスタのオフ電流は、ドレインとソースの間の電圧Vdsに依存する場合がある。本明細書において、オフ電流は、特に記載がない場合、Vdsの絶対値が0.1V、0.8V、1V、1.2V、1.8V、2.5V、3V、3.3V、10V、12V、16V、または20Vにおけるオフ電流を表す場合がある。または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等の信頼性が保証されるVds、または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等において使用されるVdsにおけるオフ電流、を表す場合がある。Vdsが所定の値であるときに、トランジスタのオフ電流がI以下となるVgsが存在する場合、トランジスタのオフ電流がI以下である、と言うことがある。ここで、所定の値とは、例えば、0.1V、0.8V、1V、1.2V、1.8V、2.5V、3V、3.3V、10V、12V、16V、20V、当該トランジスタが含まれる半導体装置等の信頼性が保証されるVdsの値、または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等において使用されるVdsの値である。
<酸化物半導体の組成>
なおOSトランジスタの半導体層に用いる酸化物半導体としては、少なくともインジウム(In)又は亜鉛(Zn)を含むことが好ましい。特にIn及びZnを含むことが好ましい。また、それらに加えて、酸素を強く結びつけるスタビライザーを有することが好ましい。スタビライザーとしては、ガリウム(Ga)、スズ(Sn)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)及びアルミニウム(Al)の少なくともいずれかを有すればよい。
また、他のスタビライザーとして、ランタノイドである、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)のいずれか一種又は複数種を有してもよい。
トランジスタの半導体層に用いる酸化物半導体としては、例えば、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、In−Zn系酸化物、Sn−Zn系酸化物、Al−Zn系酸化物、Zn−Mg系酸化物、Sn−Mg系酸化物、In−Mg系酸化物、In−Ga系酸化物、In−Ga−Zn系酸化物(IGZOとも表記する)、In−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Zn系酸化物、Sn−Ga−Zn系酸化物、Al−Ga−Zn系酸化物、Sn−Al−Zn系酸化物、In−Hf−Zn系酸化物、In−Zr−Zn系酸化物、In−Ti−Zn系酸化物、In−Sc−Zn系酸化物、In−Y−Zn系酸化物、In−La−Zn系酸化物、In−Ce−Zn系酸化物、In−Pr−Zn系酸化物、In−Nd−Zn系酸化物、In−Sm−Zn系酸化物、In−Eu−Zn系酸化物、In−Gd−Zn系酸化物、In−Tb−Zn系酸化物、In−Dy−Zn系酸化物、In−Ho−Zn系酸化物、In−Er−Zn系酸化物、In−Tm−Zn系酸化物、In−Yb−Zn系酸化物、In−Lu−Zn系酸化物、In−Sn−Ga−Zn系酸化物、In−Hf−Ga−Zn系酸化物、In−Al−Ga−Zn系酸化物、In−Sn−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Hf−Zn系酸化物、In−Hf−Al−Zn系酸化物等がある。
<酸化物半導体中の不純物>
半導体層を構成する酸化物半導体膜に水素が多量に含まれると、酸化物半導体と結合することによって、水素の一部がドナーとなり、キャリアである電子を生じてしまう。これにより、トランジスタの閾値電圧がマイナス方向にシフトしてしまう。そのため、酸化物半導体膜の形成後において、脱水化処理(脱水素化処理)を行い酸化物半導体膜から、水素、又は水分を除去して不純物が極力含まれないように高純度化することが好ましい。
なお、酸化物半導体膜への脱水化処理(脱水素化処理)によって、酸化物半導体膜から酸素が減少してしまうことがある。よって、酸化物半導体膜への脱水化処理(脱水素化処理)によって増加した酸素欠損を補填するため酸素を酸化物半導体膜に加える処理を行うことが好ましい。
このように、酸化物半導体膜は、脱水化処理(脱水素化処理)により、水素又は水分が除去され、加酸素化処理により酸素欠損を補填することによって、i型(真性)化又はi型に限りなく近く実質的にi型(真性)である酸化物半導体膜とすることができる。なお、実質的に真性とは、酸化物半導体膜中にドナーに由来するキャリアが極めて少なく(ゼロに近く)、キャリア密度が8×1011/cm3未満、さらに好ましくは1×1011/cm3未満、さらに好ましくは1×1010/cm3未満であり、1×10−9/cm3以上であることをいう。
以上説明したようにOSトランジスタは、極めて優れたオフ電流特性を実現できる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、半導体装置の断面構造について説明する。本実施の形態では、図3(B)で示したPRS133に対応する半導体装置の断面構造について説明する。
図3(B)で説明したPRS133には、トランジスタMO1、トランジスタM1、容量素子C1を有する。
[断面構造1]
図13に示す断面構造において、トランジスタMO1はトランジスタM1の上方に設けられ、容量素子C1はトランジスタM1、およびトランジスタMO1の上方に設けられている。
トランジスタMO1は、酸化物半導体を有する半導体層にチャネルが形成されるトランジスタ(OSトランジスタ)である。トランジスタMO1の説明については後述するが、図13に示す構造のOSトランジスタを設けることで、微細化しても歩留まり良くトランジスタMO1を形成できる。このようなOSトランジスタを半導体装置に用いることで、微細化または高集積化を図ることができる。OSトランジスタは、オフ電流が小さいため、これを半導体装置に用いることにより長期にわたり記憶内容を保持することが可能である。つまり、リフレッシュ動作を必要としない、あるいは、リフレッシュ動作の頻度が極めて少ないため、半導体装置の消費電力を十分に低減することができる。
トランジスタM1は、基板311上に設けられ、導電体316、絶縁体315、基板311の一部からなる半導体領域313、およびソース領域またはドレイン領域として機能する低抵抗領域314a、および低抵抗領域314bを有する。
トランジスタM1は、pチャネル型、あるいはnチャネル型のいずれでもよい。
半導体領域313のチャネルが形成される領域、その近傍の領域、ソース領域、またはドレイン領域となる低抵抗領域314a、および低抵抗領域314bなどにおいて、シリコン系半導体などの半導体を含むことが好ましく、単結晶シリコンを含むことが好ましい。または、Ge(ゲルマニウム)、SiGe(シリコンゲルマニウム)、GaAs(ガリウムヒ素)、GaAlAs(ガリウムアルミニウムヒ素)などを有する材料で形成してもよい。結晶格子に応力を与え、格子間隔を変化させることで有効質量を制御したシリコンを用いた構成としてもよい。またはGaAsとGaAlAs等を用いることで、トランジスタM1をHEMT(High Electron Mobility Transistor)としてもよい。
低抵抗領域314a、および低抵抗領域314bは、半導体領域313に適用される半導体材料に加え、ヒ素、リンなどのn型の導電性を付与する元素、またはホウ素などのp型の導電性を付与する元素を含む。
ゲート電極として機能する導電体316は、ヒ素、リンなどのn型の導電性を付与する元素、もしくはホウ素などのp型の導電性を付与する元素を含むシリコンなどの半導体材料、金属材料、合金材料、または金属酸化物材料などの導電性材料を用いることができる。
なお、導電体の材料により、仕事関数を定めることで、しきい値電圧を調整することができる。具体的には、導電体に窒化チタンや窒化タンタルなどの材料を用いることが好ましい。さらに導電性と埋め込み性を両立するために導電体にタングステンやアルミニウムなどの金属材料を積層として用いることが好ましく、特にタングステンを用いることが耐熱性の点で好ましい。
なお、図13に示すトランジスタM1は一例であり、その構造に限定されず、回路構成や駆動方法に応じて適切なトランジスタを用いればよい。
トランジスタM1を覆って、絶縁体320、絶縁体322、絶縁体324、および絶縁体326が順に積層して設けられている。
絶縁体320、絶縁体322、絶縁体324、および絶縁体326として、例えば、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、窒化アルミニウムなどを用いればよい。
絶縁体322は、その下方に設けられるトランジスタM1などによって生じる段差を平坦化する平坦化膜として機能を有していてもよい。例えば、絶縁体322の上面は、平坦性を高めるために化学機械研磨(CMP)法等を用いた平坦化処理により平坦化されていてもよい。
また、絶縁体324には、基板311、またはトランジスタM1などから、トランジスタMO1が設けられる領域に、水素や不純物が拡散しないようなバリア性を有する膜を用いることが好ましい。
水素に対するバリア性を有する膜の一例として、例えば、CVD法で形成した窒化シリコンを用いることができる。ここで、トランジスタMO1等の酸化物半導体を有する半導体素子に、水素が拡散することで、該半導体素子の特性が低下する場合がある。従って、トランジスタMO1と、トランジスタM1との間に、水素の拡散を抑制する膜を用いることが好ましい。水素の拡散を抑制する膜とは、具体的には、水素の脱離量が少ない膜とする。
水素の脱離量は、例えば、昇温脱離ガス分析法(TDS)などを用いて分析することができる。例えば、絶縁体324の水素の脱離量は、TDS分析において、50℃から500℃の範囲において、水素原子に換算した脱離量が、絶縁体324の面積当たりに換算して、10×1015atoms/cm2以下、好ましくは5×1015atoms/cm2以下であればよい。
なお、絶縁体326は、絶縁体324よりも誘電率が低いことが好ましい。例えば、絶縁体326の比誘電率は4未満が好ましく、3未満がより好ましい。また例えば、絶縁体324の比誘電率は、絶縁体326の比誘電率の0.7倍以下が好ましく、0.6倍以下がより好ましい。誘電率が低い材料を層間膜とすることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。
また、絶縁体320、絶縁体322、絶縁体324、および絶縁体326には容量素子C1、またはトランジスタMO1と電気的に接続する導電体328、および導電体330等が埋め込まれている。なお、導電体328、および導電体330はプラグ、または配線として機能を有する。また、プラグまたは配線として機能を有する導電体は、複数の構造をまとめて同一の符号を付与する場合がある。また、本明細書等において、配線と、配線と電気的に接続するプラグとが一体物であってもよい。すなわち、導電体の一部が配線として機能する場合、および導電体の一部がプラグとして機能する場合もある。
各プラグ、および配線(導電体328、および導電体330等)の材料としては、金属材料、合金材料、金属窒化物材料、または金属酸化物材料などの導電性材料を、単層または積層して用いることができる。耐熱性と導電性を両立するタングステンやモリブデンなどの高融点材料を用いることが好ましく、タングステンを用いることが好ましい。または、アルミニウムや銅などの低抵抗導電性材料で形成することが好ましい。低抵抗導電性材料を用いることで配線抵抗を低くすることができる。
絶縁体326、および導電体330上に、配線層を設けてもよい。例えば、図13において、絶縁体350、絶縁体352、及び絶縁体354が順に積層して設けられている。また、絶縁体350、絶縁体352、及び絶縁体354には、導電体356が形成されている。導電体356は、プラグ、または配線として機能を有する。なお導電体356は、導電体328、および導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
なお、例えば、絶縁体350は、絶縁体324と同様に、水素に対するバリア性を有する絶縁体を用いることが好ましい。また、導電体356は、水素に対するバリア性を有する導電体を含むことが好ましい。特に、水素に対するバリア性を有する絶縁体350が有する開口部に、水素に対するバリア性を有する導電体が形成される。当該構成により、トランジスタM1とトランジスタMO1とは、バリア層により分離することができ、トランジスタM1からトランジスタMO1への水素の拡散を抑制することができる。
なお、水素に対するバリア性を有する導電体としては、例えば、窒化タンタル等を用いるとよい。また、窒化タンタルと導電性が高いタングステンを積層することで、配線としての導電性を保持したまま、トランジスタM1からの水素の拡散を抑制することができる。この場合、水素に対するバリア性を有する窒化タンタル層が、水素に対するバリア性を有する絶縁体350と接する構造であることが好ましい。
絶縁体354、および導電体356上に、配線層を設けてもよい。例えば、図13において、絶縁体360、絶縁体362、及び絶縁体364が順に積層して設けられている。また、絶縁体360、絶縁体362、及び絶縁体364には、導電体366が形成されている。導電体366は、プラグ、または配線として機能を有する。なお導電体366は、導電体328、および導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
なお、例えば、絶縁体360は、絶縁体324と同様に、水素に対するバリア性を有する絶縁体を用いることが好ましい。また、導電体366は、水素に対するバリア性を有する導電体を含むことが好ましい。特に、水素に対するバリア性を有する絶縁体360が有する開口部に、水素に対するバリア性を有する導電体が形成される。当該構成により、トランジスタM1とトランジスタMO1とは、バリア層により分離することができ、トランジスタM1からトランジスタMO1への水素の拡散を抑制することができる。
絶縁体364、および導電体366上に、配線層を設けてもよい。例えば、図13において、絶縁体370、絶縁体372、及び絶縁体374が順に積層して設けられている。また、絶縁体370、絶縁体372、及び絶縁体374には、導電体376が形成されている。導電体376は、プラグ、または配線として機能を有する。なお導電体376は、導電体328、および導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
なお、例えば、絶縁体370は、絶縁体324と同様に、水素に対するバリア性を有する絶縁体を用いることが好ましい。また、導電体376は、水素に対するバリア性を有する導電体を含むことが好ましい。特に、水素に対するバリア性を有する絶縁体370が有する開口部に、水素に対するバリア性を有する導電体が形成される。当該構成により、トランジスタM1とトランジスタMO1とは、バリア層により分離することができ、トランジスタM1からトランジスタMO1への水素の拡散を抑制することができる。
絶縁体374、および導電体376上に、配線層を設けてもよい。例えば、図13において、絶縁体380、絶縁体382、及び絶縁体384が順に積層して設けられている。また、絶縁体380、絶縁体382、及び絶縁体384には、導電体386が形成されている。導電体386は、プラグ、または配線として機能を有する。なお導電体386は、導電体328、および導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
なお、例えば、絶縁体380は、絶縁体324と同様に、水素に対するバリア性を有する絶縁体を用いることが好ましい。また、導電体386は、水素に対するバリア性を有する導電体を含むことが好ましい。特に、水素に対するバリア性を有する絶縁体380が有する開口部に、水素に対するバリア性を有する導電体が形成される。当該構成により、トランジスタM1とトランジスタMO1とは、バリア層により分離することができ、トランジスタM1からトランジスタMO1への水素の拡散を抑制することができる。
絶縁体384上には絶縁体210、絶縁体212、絶縁体214、および絶縁体216が、順に積層して設けられている。絶縁体210、絶縁体212、絶縁体214、および絶縁体216のいずれかは、酸素や水素に対してバリア性のある物質を用いることが好ましい。
例えば、絶縁体210、および絶縁体214には、例えば、基板311、またはトランジスタM1を設ける領域などから、トランジスタMO1を設ける領域に、水素や不純物が拡散しないようなバリア性を有する膜を用いることが好ましい。従って、絶縁体324と同様の材料を用いることができる。
水素に対するバリア性を有する膜の一例として、CVD法で形成した窒化シリコンを用いることができる。ここで、トランジスタMO1等の酸化物半導体を有する半導体素子に、水素が拡散することで、該半導体素子の特性が低下する場合がある。従って、トランジスタMO1と、トランジスタM1との間に、水素の拡散を抑制する膜を用いることが好ましい。水素の拡散を抑制する膜とは、具体的には、水素の脱離量が少ない膜とする。
また、水素に対するバリア性を有する膜として、例えば、絶縁体210、および絶縁体214には、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化タンタルなどの金属酸化物を用いることが好ましい。
特に、酸化アルミニウムは、酸素、およびトランジスタの電気特性の変動要因となる水素、水分などの不純物、の両方に対して膜を透過させない遮断効果が高い。したがって、酸化アルミニウムは、トランジスタの作製工程中および作製後において、水素、水分などの不純物のトランジスタMO1への混入を防止することができる。また、トランジスタMO1を構成する酸化物からの酸素の放出を抑制することができる。そのため、トランジスタMO1に対する保護膜として用いることに適している。
また、例えば、絶縁体212、および絶縁体216には、絶縁体320と同様の材料を用いることができる。また、当該絶縁膜に、比較的誘電率が低い材料を層間膜とすることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。例えば、絶縁体212、および絶縁体216として、酸化シリコン膜や酸化窒化シリコン膜などを用いることができる。
また、絶縁体210、絶縁体212、絶縁体214、および絶縁体216には、導電体218、及びトランジスタMO1を構成する導電体(導電体205)等が埋め込まれている。なお、導電体218は、容量素子C1、またはトランジスタM1と電気的に接続するプラグ、または配線としての機能を有する。導電体218は、導電体328、および導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
特に、絶縁体210、および絶縁体214と接する領域の導電体218は、酸素、水素、および水に対するバリア性を有する導電体であることが好ましい。当該構成により、トランジスタM1とトランジスタMO1とは、酸素、水素、および水に対するバリア性を有する層で、完全により分離することができ、トランジスタM1からトランジスタMO1への水素の拡散を抑制することができる。
絶縁体214の上方には、トランジスタMO1が設けられている。なお図13に示すトランジスタMO1は一例であり、その構造に限定されず、回路構成や駆動方法に応じて適切なトランジスタを用いればよい。
トランジスタMO1の上方には、絶縁体280を設ける。絶縁体280には、過剰酸素領域が形成されていることが好ましい。特に、トランジスタMO1に酸化物半導体を用いる場合、トランジスタMO1近傍の層間膜などに、過剰酸素領域を有する絶縁体を設けることで、トランジスタMO1が有する酸化物230の酸素欠損を低減することで、信頼性を向上させることができる。また、トランジスタMO1を覆う絶縁体280は、その下方の凹凸形状を被覆する平坦化膜として機能してもよい。なお、絶縁体280は、トランジスタMO1の上部に形成される絶縁体281と絶縁体225に接して設けられる。
過剰酸素領域を有する絶縁体として、具体的には、加熱により一部の酸素が脱離する酸化物材料を用いることが好ましい。加熱により酸素を脱離する酸化物とは、TDS分析にて、酸素原子に換算しての酸素の脱離量が1.0×1018atoms/cm3以上、好ましくは3.0×1020atoms/cm3以上である酸化物膜である。なお、上記TDS分析時における膜の表面温度としては100℃以上700℃以下、または100℃以上500℃以下の範囲が好ましい。
例えばこのような材料として、酸化シリコンまたは酸化窒化シリコンを含む材料を用いることが好ましい。または、金属酸化物を用いることもできる。なお、本明細書中において、酸化窒化シリコンとは、その組成として窒素よりも酸素の含有量が多い材料を指し、窒化酸化シリコンとは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多い材料を示す。
絶縁体280上には、絶縁体282が設けられている。絶縁体282は、酸素や水素に対してバリア性のある物質を用いることが好ましい。従って、絶縁体282には、絶縁体214と同様の材料を用いることができる。例えば、絶縁体282には、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化タンタルなどの金属酸化物を用いることが好ましい。
特に、酸化アルミニウムは、酸素、およびトランジスタの電気特性の変動要因となる水素、水分などの不純物、の両方に対して膜を透過させない遮断効果が高い。したがって、酸化アルミニウムは、トランジスタの作製工程中および作製後において、水素、水分などの不純物のトランジスタMO1への混入を防止することができる。また、トランジスタMO1を構成する酸化物からの酸素の放出を抑制することができる。そのため、トランジスタMO1に対する保護膜として用いることに適している。
また、絶縁体282上には、絶縁体286が設けられている。絶縁体286は、絶縁体320と同様の材料を用いることができる。また、当該絶縁膜に、比較的誘電率が低い材料を層間膜とすることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。例えば、絶縁体286として、酸化シリコン膜や酸化窒化シリコン膜などを用いることができる。
また、絶縁体220、絶縁体222、絶縁体224、絶縁体280、絶縁体282、および絶縁体286には、導電体246、および導電体248等が埋め込まれている。
導電体246、および導電体248は、容量素子C1、トランジスタMO1、またはトランジスタM1と電気的に接続するプラグ、または配線として機能を有する。導電体246、および導電体248は、導電体328、および導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
続いて、トランジスタMO1の上方には、容量素子C1が設けられている。容量素子C1は、導電体510と、導電体520、および絶縁体530とを有する。
また、導電体246、および導電体248上に、導電体512を設けてもよい。導電体512は、配線として機能を有する。導電体510は、容量素子C1の電極として機能を有する。なお、導電体512、および導電体510は、同時に形成することができる。
導電体512、および導電体510には、モリブデン、チタン、タンタル、タングステン、アルミニウム、銅、クロム、ネオジム、スカンジウムから選ばれた元素を含む金属膜、または上述した元素を成分とする金属窒化物膜(窒化タンタル、窒化チタン膜、窒化モリブデン膜、窒化タングステン膜)等を用いることができる。又は、インジウム錫酸化物、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物などの導電性材料を適用することもできる。
図13では、導電体512、および導電体510は単層構造を示したが、当該構成に限定されず、2層以上の積層構造でもよい。例えば、バリア性を有する導電体と導電性が高い導電体との間に、バリア性を有する導電体、および導電性が高い導電体に対して密着性が高い導電体を形成してもよい。
また、導電体512、および導電体510上に、容量素子C1の誘電体として、絶縁体530を設ける。絶縁体530は、例えば、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウム、窒化酸化ハフニウム、窒化ハフニウムなどを用いればよく、積層または単層で設けることができる。
例えば、絶縁体530には、酸化窒化シリコンなどの絶縁耐力が大きい材料を用いるとよい。当該構成により、容量素子C1は、絶縁体530を有することで、絶縁耐力が向上し、容量素子C1の静電破壊を抑制することができる。
絶縁体530上に、導電体510と重畳するように、導電体520を設ける。なお、導電体520は、金属材料、合金材料、または金属酸化物材料などの導電性材料を用いることができる。耐熱性と導電性を両立するタングステンやモリブデンなどの高融点材料を用いることが好ましく、特にタングステンを用いることが好ましい。また、導電体などの他の構造と同時に形成する場合は、低抵抗金属材料であるCu(銅)やAl(アルミニウム)等を用いればよい。
導電体520、および絶縁体530上には、絶縁体550が設けられている。絶縁体550は、絶縁体320と同様の材料を用いて設けることができる。また、絶縁体550は、その下方の凹凸形状を被覆する平坦化膜として機能してもよい。
また、絶縁体550には、導電体556等が埋め込まれている。絶縁体550および導電体556上には、導電体566および絶縁体560が設けられている。
以上が構成例についての説明である。本構成を用いることで、酸化物半導体を有するトランジスタを用いた半導体装置において、微細化または高集積化を図ることができる。
<トランジスタMO1>
上述したトランジスタMO1に適用可能なOSトランジスタの一例について説明する。
図14(A)は、トランジスタMO1の断面図であり、トランジスタMO1のチャネル幅方向の断面図でもある。
図14(A)に示すように、トランジスタMO1は、絶縁体212の上に配置された絶縁体224と、絶縁体224の上に配置された酸化物406aと、酸化物406aの上面の少なくとも一部に接して配置された酸化物406bと、酸化物406aの上面の少なくとも一部に接して配置された酸化物406cと、酸化物406cの上に配置された絶縁体412と、絶縁体412の上に配置された導電体404aと、導電体404aの上に配置された導電体404bと、絶縁体412、導電体404a、および導電体404bの側面に接して配置された側壁絶縁体418と、酸化物406b、406cの上面と側面に接し、かつ側壁絶縁体418の側面に接して配置された絶縁体225と、を有する。
以下において、酸化物406a、406b、406cをまとめて酸化物406という場合がある。導電体404aおよび導電体404bをまとめて導電体404という場合がある。導電体310aおよび導電体310bをまとめて導電体310という場合がある。
また、トランジスタMO1は、絶縁体401の上に配置された絶縁体216と、絶縁体216に埋め込まれるように配置された導電体310と、を有する構成にしてもよい。
導電体310は、絶縁体216の開口の内壁に接して導電体310aが形成され、さらに内側に導電体310bが形成されている。ここで、導電体310aおよび導電体310bの上面の高さと、絶縁体216の上面の高さは同程度にできる。
導電体404は、トップゲートとして機能でき、導電体310は、バックゲートとして機能できる。バックゲートの電位は、トップゲートと同電位としてもよいし、接地電位や、任意の電位としてもよい。また、バックゲートの電位をトップゲートと連動させず独立して変化させることで、トランジスタのしきい値電圧を変化させることができる。
ここで、導電体310aは、水または水素などの不純物の透過を抑制する機能を有する(透過しにくい)導電性材料(水または水素などの不純物の透過を抑制する機能を有する導電性材料ということもできる。)を用いることが好ましい。例えば、タンタル、窒化タンタル、ルテニウムまたは酸化ルテニウムなどを用いることが好ましく、単層または積層とすればよい。これにより、絶縁体214より下層から水素、水などの不純物が導電体310を通じて上層に拡散するのを抑制することができる。
また、導電体310bは、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることが好ましい。また、図示しないが、導電体310bは積層構造としても良く、例えば、チタン、窒化チタンと上記導電性材料との積層としてもよい。
絶縁体214は、下層から水または水素などの不純物がトランジスタに混入するのを防ぐバリア絶縁膜として機能できる。絶縁体214は、水または水素などの不純物の透過を抑制する機能を有する絶縁性材料を用いることが好ましく、例えば、酸化アルミニウムなどを用いることが好ましい。これにより、水素、水などの不純物が絶縁体214より上層に拡散するのを抑制することができる。
また、絶縁体214は、酸素(例えば、酸素原子または酸素分子など)の透過を抑制する機能を有する絶縁性材料を用いることが好ましい。これにより、絶縁体224などに含まれる酸素が下方拡散するのを抑制することができる。
また、絶縁体222は、水または水素などの不純物、および酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁性材料を用いることが好ましく、例えば、酸化アルミニウムまたは酸化ハフニウムなどを用いることが好ましい。これにより、絶縁体222より下層から水素、水などの不純物が絶縁体222より上層に拡散するのを抑制することができる。さらに、絶縁体224などに含まれる酸素が下方拡散するのを抑制することができる。
また、絶縁体224中の水、水素または窒素酸化物などの不純物濃度が低減されていることが好ましい。例えば、絶縁体224の水素の脱離量は、昇温脱離ガス分析法(TDS(Thermal Desorption Spectroscopy))において、50℃から500℃の範囲において、水素分子に換算した脱離量が、絶縁体224の面積当たりに換算して、2×1015molecules/cm2以下、好ましくは1×1015molecules/cm2以下、より好ましくは5×1014molecules/cm2以下であればよい。また、絶縁体224は、加熱により酸素が放出される絶縁体を用いて形成することが好ましい。
絶縁体412は、第1のゲート絶縁膜として機能でき、絶縁体220、絶縁体222、および絶縁体224は、第2のゲート絶縁膜として機能できる。
また図14(B)には、図14(A)とは異なる構造のトランジスタMO1TCの断面図を図示する。図14(B)は、図14(A)と同様に、トランジスタMO1のチャネル幅方向の断面図でもある。
酸化物406は、酸化物半導体として機能する金属酸化物(以下、酸化物半導体ともいう)を用いることが好ましい。金属酸化物としては、エネルギーギャップが2eV以上、好ましくは2.5eV以上のものを用いることが好ましい。このように、エネルギーギャップの広い金属酸化物を用いることで、トランジスタのオフ電流を低減することができる。
酸化物半導体を用いたトランジスタは、非導通状態において極めてリーク電流が小さいため、低消費電力の半導体装置が提供できる。また、酸化物半導体は、スパッタリング法などを用いて成膜できるため、高集積型の半導体装置を構成するトランジスタに用いることができる。
酸化物半導体は、少なくともインジウムまたは亜鉛を含むことが好ましい。特にインジウムおよび亜鉛を含むことが好ましい。また、それらに加えて、アルミニウム、ガリウム、イットリウムまたはスズなどが含まれていることが好ましい。また、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種が含まれていてもよい。
ここでは、酸化物半導体が、インジウム、元素Mおよび亜鉛を有するIn−M−Zn酸化物である場合を考える。なお、元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウムまたはスズなどとする。そのほかの元素Mに適用可能な元素としては、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、マグネシウムなどがある。ただし、元素Mとして、前述の元素を複数組み合わせても構わない場合がある。
なお、本明細書等において、窒素を有する金属酸化物も金属酸化物(metal oxide)と総称する場合がある。また、窒素を有する金属酸化物を、金属酸窒化物(metal oxynitride)と呼称してもよい。
ここで、酸化物406aに用いる金属酸化物において、構成元素中の元素Mの原子数比が、酸化物406bに用いる金属酸化物における、構成元素中の元素Mの原子数比より大きいことが好ましい。また、酸化物406aに用いる金属酸化物において、Inに対する元素Mの原子数比が、酸化物406bに用いる金属酸化物における、Inに対する元素Mの原子数比より大きいことが好ましい。
以上のような金属酸化物を酸化物406aとして用いて、酸化物406aの伝導帯下端のエネルギーが、酸化物406bの伝導帯下端のエネルギーが低い領域における、伝導帯下端のエネルギーより高くなることが好ましい。また、言い換えると、酸化物406aの電子親和力が、酸化物406bの伝導帯下端のエネルギーが低い領域における電子親和力より小さいことが好ましい。
ここで、酸化物406aおよび酸化物406bにおいて、伝導帯下端のエネルギー準位はなだらかに変化する。換言すると、連続的に変化または連続接合するともいうことができる。このようにするためには、酸化物406aと酸化物406bとの界面において形成される混合層の欠陥準位密度を低くするとよい。
具体的には、酸化物406aと酸化物406bが、酸素以外に共通の元素を有する(主成分とする)ことで、欠陥準位密度が低い混合層を形成することができる。例えば、酸化物406bがIn−Ga−Zn酸化物の場合、酸化物406aとして、In−Ga−Zn酸化物、Ga−Zn酸化物、酸化ガリウムなどを用いるとよい。
このとき、キャリアの主たる経路は酸化物406bに形成されるナローギャップ部分となる。酸化物406aと酸化物406bとの界面における欠陥準位密度を低くすることができるため、界面散乱によるキャリア伝導への影響が小さく、高いオン電流が得られる。
また、酸化物406は、領域426a、領域426b、および領域426cを有する。領域426aは、図14(A)に示すように、領域426bと領域426cに挟まれる。領域426bおよび領域426cは、絶縁体225の成膜により低抵抗化された領域であり、領域426aより導電性が高い領域となる。領域426bおよび領域426cは、絶縁体225の成膜雰囲気に含まれる、水素または窒素などの不純物元素が添加される。これにより、酸化物406bの絶縁体225と重なる領域を中心に、添加された不純物元素により酸素欠損が形成され、さらに当該不純物元素が酸素欠損に入り込むことで、キャリア密度が高くなり、低抵抗化される。
よって、領域426bおよび領域426cは、領域426aより、水素および窒素の少なくとも一方の濃度が大きくなることが好ましい。水素または窒素の濃度は、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)などを用いて測定すればよい。
なお、領域426bおよび領域426cは、酸素欠損を形成する元素、または酸素欠損と結合する元素を添加されることで低抵抗化される。このような元素としては、代表的には水素、ホウ素、炭素、窒素、フッ素、リン、硫黄、塩素、チタン、希ガス等が挙げられる。また、希ガス元素の代表例としては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、及びキセノン等がある。よって、領域426bおよび領域426cは、上記元素の一つまたは複数を含む構成にすればよい。
領域426bおよび領域426cは、酸化物406の少なくとも絶縁体225と重なる領域に形成される。ここで、酸化物406bの領域426bおよび領域426cの一方は、ソース領域として機能でき、他方はドレイン領域として機能できる。また、酸化物406bの領域426aはチャネル形成領域として機能できる。
絶縁体412は、酸化物406bの上面に接して配置されることが好ましい。絶縁体412は、加熱により酸素が放出される絶縁体を用いて形成することが好ましい。このような絶縁体412を酸化物406bの上面に接して設けることにより、酸化物406bに効果的に酸素を供給することができる。また、絶縁体224と同様に、絶縁体412中の水または水素などの不純物濃度が低減されていることが好ましい。絶縁体412の膜厚は、1nm以上20nm以下とするのが好ましく、例えば、10nm程度の膜厚にすればよい。
絶縁体412は酸素を含むことが好ましい。例えば、昇温脱離ガス分光法分析(TDS分析)にて、100℃以上700℃以下または100℃以上500℃以下の表面温度の範囲で、酸素分子の脱離量を絶縁体412の面積当たりに換算して、1×1014molecules/cm2以上、好ましくは2×1014molecules/cm2以上、より好ましくは4×1014molecules/cm2以上であればよい。
絶縁体412および導電体404は、酸化物406bと重なる領域を有する。また、絶縁体412、導電体404a、および導電体404bの側面は略一致することが好ましい。
導電体404aとして、導電性酸化物を用いることが好ましい。例えば、酸化物406a乃至酸化物406cとして用いることができる金属酸化物を用いることができる。特に、In−Ga−Zn系酸化物のうち、導電性が高い、金属の原子数比が[In]:[Ga]:[Zn]=4:2:3から4.1、およびその近傍値のものを用いることが好ましい。このような導電体404aを設けることで、導電体404bへの酸素の透過を抑制し、酸化によって導電体404cの電気抵抗値が増加することを防ぐことができる。
また、このような導電性酸化物を、スパッタリング法を用いて成膜することで、絶縁体412に酸素を添加し、酸化物406bに酸素を供給することが可能となる。これにより、酸化物406の領域426aの酸素欠損を低減することができる。
導電体404bは、例えばタングステンなどの金属を用いることができる。また、導電体404bとして、導電体404aに窒素などの不純物を添加して導電体404aの導電性を向上できる導電体を用いてもよい。例えば導電体404bは、窒化チタンなどを用いることが好ましい。また、導電体404bを、窒化チタンなどの金属窒化物と、その上にタングステンなどの金属を積層した構造にしてもよい。
酸化物406は、酸化物半導体として機能する金属酸化物(以下、酸化物半導体ともいう)を用いることが好ましい。
酸化物半導体は、少なくともインジウムまたは亜鉛を含むことが好ましい。特にインジウムおよび亜鉛を含むことが好ましい。また、それらに加えて、アルミニウム、ガリウム、イットリウムまたはスズなどが含まれていることが好ましい。また、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種が含まれていてもよい。
ここでは、酸化物半導体が、インジウム、元素Mおよび亜鉛を有するInMZnOである場合を考える。なお、元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウムまたはスズなどとする。そのほかの元素Mに適用可能な元素としては、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、マグネシウムなどがある。ただし、元素Mとして、前述の元素を複数組み合わせても構わない場合がある。
なお、本明細書等において、窒素を有する金属酸化物も金属酸化物(metal oxide)と総称する場合がある。また、窒素を有する金属酸化物を、金属酸窒化物(metal oxynitride)と呼称してもよい。
<断面構造1の変形例1>
また、本実施の形態の変形例の一例を、図15に示す。図15は、図13と、トランジスタM1の構成が異なる。
図15に示すトランジスタM1はチャネルが形成される半導体領域313(基板311の一部)が凸形状を有する。また、半導体領域313の側面および上面を、絶縁体315を介して、導電体316が覆うように設けられている。なお、導電体316は仕事関数を調整する材料を用いてもよい。このようなトランジスタM1は半導体基板の凸部を利用していることからFIN型トランジスタとも呼ばれる。なお、凸部の上部に接して、凸部を形成するためのマスクとして機能する絶縁体を有していてもよい。また、ここでは半導体基板の一部を加工して凸部を形成する場合を示したが、SOI基板を加工して凸形状を有する半導体膜を形成してもよい。
以上が変形例についての説明である。本構成を用いることで、酸化物半導体を有するトランジスタを用いた半導体装置において、微細化または高集積化を図ることができる。
<断面構造1の変形例2>
また、本実施の形態の変形例の一例を、図16に示す。図16は、図13と、容量素子C1の構成が異なる。
図16に示す半導体装置では、絶縁体286の上に絶縁体287が設けられ、導電体512が絶縁体287に埋め込まれ、絶縁体287の上に絶縁体555が設けられ、絶縁体555に形成された複数の開口に導電体510が設けられ、導電体510の上に絶縁体530が設けられ、絶縁体530の上に、導電体510と重なるように導電体520が設けられる。また、トランジスタMO1と電気的に接続される導電体248と、トランジスタM1と電気的に接続される導電体248と、を接続するように導電体512を設け、当該導電体512に接して導電体510を設ければよい。また、絶縁体287、絶縁体555は、絶縁体320と同様の材料を用いることができる。
図16に示す容量素子C1において、絶縁体555に形成された開口の中で、導電体510と、絶縁体530と、導電体520が重なるので、導電体510、絶縁体530、および導電体520は被覆性の良好な膜にすることが好ましい。このため、導電体510、絶縁体530、および導電体520は、CVD法、ALD法などの良好な段差被覆性を有する成膜方法を用いて成膜することが好ましい。
容量素子C1は、絶縁体555に設けられた開口の形状に沿って形成されるため、当該開口が深く形成されるほど静電容量を増加させることができる。また、当該開口の数を増やすほど静電容量を増加させることができる。このような容量素子C1を形成することにより、容量素子C1の上面積を増やすことなく、静電容量を増加させることができる。
以上が変形例についての説明である。本構成を用いることで、酸化物半導体を有するトランジスタを用いた半導体装置において、微細化または高集積化を図ることができる。
以上、本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態6)
本実施の形態では、半導体装置の一形態を、図17−図19を用いて説明する。
<半導体ウエハ、チップ>
図17(A)は、ダイシング処理が行なわれる前の基板711の上面図を示している。基板711としては、例えば、半導体基板(「半導体ウエハ」ともいう。)を用いることができる。基板711上には、複数の回路領域712が設けられている。回路領域712には、本発明の一態様に係る半導体装置などを設けることができる。
複数の回路領域712は、それぞれが分離領域713に囲まれている。分離領域713と重なる位置に分離線(「ダイシングライン」ともいう。)714が設定される。分離線714に沿って基板711を切断することで、回路領域712を含むチップ715を基板711から切り出すことができる。図17(B)にチップ715の拡大図を示す。
また、分離領域713に導電層、半導体層などを設けてもよい。分離領域713に導電層、半導体層などを設けることで、ダイシング工程時に生じうるESDを緩和し、ダイシング工程に起因する歩留まりの低下を防ぐことができる。また、一般にダイシング工程は、基板の冷却、削りくずの除去、帯電防止などを目的として、炭酸ガスなどを溶解させて比抵抗を下げた純水を切削部に供給しながら行なう。分離領域713に導電層、半導体層などを設けることで、当該純水の使用量を削減することができる。よって、半導体装置の生産コストを低減することができる。また、半導体装置の生産性を高めることができる。
<電子部品>
チップ715を用いた電子部品の一例について、図18(A)および図18(B)、図19(A)−(E)を用いて説明する。なお、電子部品は、半導体パッケージ、またはIC用パッケージともいう。電子部品は、端子取り出し方向、端子の形状などに応じて、複数の規格、名称などが存在する。
電子部品は、組み立て工程(後工程)において、上記実施の形態に示した半導体装置と該半導体装置以外の部品が組み合わされて完成する。
図18(A)に示すフローチャートを用いて、後工程について説明する。前工程において基板711に本発明の一態様に係る半導体装置などを形成した後、基板711の裏面(半導体装置などが形成されていない面)を研削する「裏面研削工程」を行なう(ステップS721)。研削により基板711を薄くすることで、電子部品の小型化を図ることができる。
次に、基板711を複数のチップ715に分離する「ダイシング工程」を行う(ステップS722)。そして、分離したチップ715を個々のリードフレーム上に接合する「ダイボンディング工程」を行う(ステップS723)。ダイボンディング工程におけるチップ715とリードフレームとの接合は、樹脂による接合、またはテープによる接合など、適宜製品に応じて適した方法を選択する。なお、リードフレームに代えてインターポーザ基板上にチップ715を接合してもよい。
次いで、リードフレームのリードとチップ715上の電極とを、金属の細線(ワイヤー)で電気的に接続する「ワイヤーボンディング工程」を行う(ステップS724)。金属の細線には、銀線、金線などを用いることができる。また、ワイヤーボンディングは、例えば、ボールボンディング、またはウェッジボンディングを用いることができる。
ワイヤーボンディングされたチップ715は、エポキシ樹脂などで封止される「封止工程(モールド工程)」が施される(ステップS725)。封止工程を行うことで電子部品の内部が樹脂で充填され、チップ715とリードを接続するワイヤーを機械的な外力から保護することができ、また水分、埃などによる特性の劣化(信頼性の低下)を低減することができる。
次いで、リードフレームのリードをめっき処理する「リードめっき工程」を行なう(ステップS726)。めっき処理によりリードの錆を防止し、後にプリント基板に実装する際のはんだ付けをより確実に行うことができる。次いで、リードを切断および成形加工する「成形工程」を行なう(ステップS727)。
次いで、パッケージの表面に印字処理(マーキング)を施す「マーキング工程」を行なう(ステップS728)。そして外観形状の良否、動作不良の有無などを調べる「検査工程」(ステップS729)を経て、電子部品が完成する。
また、完成した電子部品の斜視模式図を図18(B)に示す。図18(B)では、電子部品の一例として、QFP(Quad Flat Package)の斜視模式図を示している。図18(B)に示す電子部品750は、リード755およびチップ715を有する。電子部品750は、チップ715を複数有していてもよい。
図18(B)に示す電子部品750は、例えばプリント基板752に実装される。このような電子部品750が複数組み合わされて、それぞれがプリント基板752上で電気的に接続されることで電子部品が実装された基板(実装基板754)が完成する。完成した実装基板754は、電子機器などに用いられる。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態7)
<電子機器>
本発明の一態様に係る半導体装置を有する電子部品は、様々な電子機器に用いることができる。図19に、本発明の一態様に係る電子部品を用いた電子機器の具体例を示す。
図19(A)は、自動車の一例を示す外観図である。自動車2980は、車体2981、車輪2982、ダッシュボード2983、およびライト2984等を有する。また、自動車2980は、アンテナ、バッテリなどを備える。
図19(B)に示す情報端末2910は、筐体2911に、表示部2912、マイク2917、スピーカ部2914、カメラ2913、外部接続部2916、および操作スイッチ2915等を有する。表示部2912には、可撓性基板が用いられた表示パネルおよびタッチスクリーンを備える。また、情報端末2910は、筐体2911の内側にアンテナ、バッテリなどを備える。情報端末2910は、例えば、スマートフォン、携帯電話、タブレット型情報端末、タブレット型パーソナルコンピュータ、電子書籍端末等として用いることができる。
図19(C)に示すノート型パーソナルコンピュータ2920は、筐体2921、表示部2922、キーボード2923、およびポインティングデバイス2924等を有する。また、ノート型パーソナルコンピュータ2920は、筐体2921の内側にアンテナ、バッテリなどを備える。
図19(D)に示すビデオカメラ2940は、筐体2941、筐体2942、表示部2943、操作スイッチ2944、レンズ2945、および接続部2946等を有する。操作スイッチ2944およびレンズ2945は筐体2941に設けられており、表示部2943は筐体2942に設けられている。また、ビデオカメラ2940は、筐体2941の内側にアンテナ、バッテリなどを備える。そして、筐体2941と筐体2942は、接続部2946により接続されており、筐体2941と筐体2942の間の角度は、接続部2946により変えることが可能な構造となっている。筐体2941に対する筐体2942の角度によって、表示部2943に表示される画像の向きの変更や、画像の表示/非表示の切り換えを行うことができる。
図19(E)にバングル型の情報端末の一例を示す。情報端末2950は、筐体2951、および表示部2952等を有する。また、情報端末2950、筐体2951の内側にアンテナ、バッテリなどを備える。表示部2952は、曲面を有する筐体2951に支持されている。表示部2952には、可撓性基板を用いた表示パネルを備えているため、フレキシブルかつ軽くて使い勝手の良い情報端末2950を提供することができる。
図19(F)に腕時計型の情報端末の一例を示す。情報端末2960は、筐体2961、表示部2962、バンド2963、バックル2964、操作スイッチ2965、入出力端子2966などを備える。また、情報端末2960、筐体2961の内側にアンテナ、バッテリなどを備える。情報端末2960は、移動電話、電子メール、文章閲覧及び作成、音楽再生、インターネット通信、コンピュータゲームなどの種々のアプリケーションを実行することができる。
例えば、本発明の一態様の半導体装置を有する電子部品は、上述した電子機器の制御情報や、制御プログラムなどを長期間保持することができる。本発明の一態様に係る半導体装置を用いることで、利便性に優れた電子機器を実現することができる。
本実施の形態は、他の実施の形態などに記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(本明細書等の記載に関する付記)
以上の実施の形態、及び実施の形態における各構成の説明について、以下に付記する。
各実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて、本発明の一態様とすることができる。また、1つの実施の形態の中に、複数の構成例が示される場合は、互い構成例を適宜組み合わせることが可能である。
なお、ある一つの実施の形態の中で述べる内容(一部の内容でもよい)は、その実施の形態で述べる別の内容(一部の内容でもよい)、及び/又は、一つ若しくは複数の別の実施の形態で述べる内容(一部の内容でもよい)に対して、適用、組み合わせ、又は置き換えなどを行うことが出来る。
なお、実施の形態の中で述べる内容とは、各々の実施の形態において、様々な図を用いて述べる内容、又は明細書に記載される文章を用いて述べる内容のことである。
なお、ある一つの実施の形態において述べる図(一部でもよい)は、その図の別の部分、その実施の形態において述べる別の図(一部でもよい)、及び/又は、一つ若しくは複数の別の実施の形態において述べる図(一部でもよい)に対して、組み合わせることにより、さらに多くの図を構成させることが出来る。
また本明細書等において、ブロック図では、構成要素を機能毎に分類し、互いに独立したブロックとして示している。しかしながら実際の回路等においては、構成要素を機能毎に切り分けることが難しく、一つの回路に複数の機能が係わる場合や、複数の回路にわたって一つの機能が関わる場合があり得る。そのため、ブロック図のブロックは、明細書で説明した構成要素に限定されず、状況に応じて適切に言い換えることができる。
また、図面において、大きさ、層の厚さ、又は領域は、説明の便宜上任意の大きさに示したものである。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。なお図面は明確性を期すために模式的に示したものであり、図面に示す形状又は値などに限定されない。例えば、ノイズによる信号、電圧、若しくは電流のばらつき、又は、タイミングのずれによる信号、電圧、若しくは電流のばらつきなどを含むことが可能である。
本明細書等において、トランジスタの接続関係を説明する際、ソースとドレインとの一方を、「ソース又はドレインの一方」(又は第1電極、又は第1端子)と表記し、ソースとドレインとの他方を「ソース又はドレインの他方」(又は第2電極、又は第2端子)と表記している。これは、トランジスタのソースとドレインは、トランジスタの構造又は動作条件等によって変わるためである。なおトランジスタのソースとドレインの呼称については、ソース(ドレイン)端子や、ソース(ドレイン)電極等、状況に応じて適切に言い換えることができる。
また、本明細書等において「電極」や「配線」の用語は、これらの構成要素を機能的に限定するものではない。例えば、「電極」は「配線」の一部として用いられることがあり、その逆もまた同様である。さらに、「電極」や「配線」の用語は、複数の「電極」や「配線」が一体となって形成されている場合なども含む。
また、本明細書等において、電圧と電位は、適宜言い換えることができる。電圧は、基準となる電位からの電位差のことであり、例えば基準となる電位をグラウンド電圧(接地電圧)とすると、電圧を電位に言い換えることができる。グラウンド電位は必ずしも0Vを意味するとは限らない。なお電位は相対的なものであり、基準となる電位によっては、配線等に与える電位を変化させる場合がある。
なお本明細書等において、「膜」、「層」などの語句は、場合によっては、または、状況に応じて、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導電膜」という用語に変更することが可能な場合がある。または、例えば、「絶縁膜」という用語を、「絶縁層」という用語に変更することが可能な場合がある。
本明細書等において、スイッチとは、導通状態(オン状態)、または、非導通状態(オフ状態)になり、電流を流すか流さないかを制御する機能を有するものをいう。または、スイッチとは、電流を流す経路を選択して切り替える機能を有するものをいう。
一例としては、電気的スイッチ又は機械的なスイッチなどを用いることができる。つまり、スイッチは、電流を制御できるものであればよく、特定のものに限定されない。
電気的なスイッチの一例としては、トランジスタ(例えば、バイポーラトランジスタ、MOSトランジスタなど)、ダイオード(例えば、PNダイオード、PINダイオード、ショットキーダイオード、MIM(Metal Insulator Metal)ダイオード、MIS(Metal Insulator Semiconductor)ダイオード、ダイオード接続のトランジスタなど)、又はこれらを組み合わせた論理回路などがある。
なお、スイッチとしてトランジスタを用いる場合、トランジスタの「導通状態」とは、トランジスタのソースとドレインが電気的に短絡されているとみなせる状態をいう。また、トランジスタの「非導通状態」とは、トランジスタのソースとドレインが電気的に遮断されているとみなせる状態をいう。なおトランジスタを単なるスイッチとして動作させる場合には、トランジスタの極性(導電型)は特に限定されない。
機械的なスイッチの一例としては、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)のように、MEMS(マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム)技術を用いたスイッチがある。そのスイッチは、機械的に動かすことが可能な電極を有し、その電極が動くことによって、導通と非導通とを制御して動作する。
本明細書等において、チャネル長とは、例えば、トランジスタの上面図において、半導体(またはトランジスタがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲートとが重なる領域、またはチャネルが形成される領域における、ソースとドレインとの間の距離をいう。
本明細書等において、チャネル幅とは、例えば、半導体(またはトランジスタがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲート電極とが重なる領域、またはチャネルが形成される領域における、ソースとドレインとが向かい合っている部分の長さをいう。
本明細書等において、AとBとが接続されている、とは、AとBとが直接接続されているものの他、電気的に接続されているものを含むものとする。ここで、AとBとが電気的に接続されているとは、AとBとの間で、何らかの電気的作用を有する対象物が存在するとき、AとBとの電気信号の授受を可能とするものをいう。