JP2018129559A - 高速撮像装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ピコ秒の時間分解能の連続撮影装置を提供する。
【解決手段】入射光63を光電面72に多数のスポットとして集光し、スポット化された電子ビーム76をドーナッツ型に走査する。それをスポット径で数珠状に分割すると、数珠玉の数の連続画像が得られる。偏向電圧は正弦波と余弦波の組であるので高速かつ安定な電圧波形を生成できる。X方向とY方向の偏向電極74、75をスポット間のデッドスペースに作る。偏向電極間距離が100ミクロンオーダーとなり、電極間の駆動電圧の伝播時間による走査速度の制限が無視できる。また偏向電圧送付配線もデッドスペースに配置する。配線を略等距離配線にすればスポット間のジッター差も無視できる。被写現象の発光、もしくは照明時間がスポットの1回の回転時間より短い場合は、スポットを連続回転させて撮影できるので、駆動電圧の立ち上がり、立ち下がり時間も無関係となる。
【選択図】図9

Description

超高速超高感度で連続撮影できる撮像素子に関する。先端科学技術計測では、ナノ秒以下の時間分解能で撮影できる撮影技術が必要である。例えば核融合の計測では10ピコ秒程度の時間分解能が必要である(非特許文献1)。蛍光寿命計測顕微法(FLIM, Fluorescence Lifetime Imaging Microscopy)では、蛍光タンパクの減衰定数の計測により、細胞内の特定物質の存在位置や、細胞内の電位やPH等の状態を調べる。蛍光タンパクには減衰定数が1ナノ秒よりも短いものも多い。電磁波による距離測定に使う場合は、電磁波が1cm進むに要する時間は33ピコ秒であり、位相のずれで距離を測定する場合でも、ミリメートル以下の精度で計測するには、少なくとも100ピコ秒程度の時間分解能が必要である。
ビームスプリット型マルチフレーミングカメラ
時間分解能数ナノ秒以下で連続画像を撮影できる既存の実用的な装置は「ビームスプリット型マルチフレーミングカメラ」である。
通常のカメラではレンズにより1枚の画像を生成する。これを原画像と呼ぶことにする。ハーフミラーを使い入射光を分けると原画像と同じ画像を2枚作れる。ハーフミラーを組み合わせると原画像と同じ多数の画像が結像する。
また底面に対して45度に近い三角形斜面からなる多角錐ミラーの頂点側にレンズを通した画像を入射すると、各斜面により入射光軸と直角に近い方向に光が反射され、多少のズレはあるが、原画像とほぼ同じ多数の画像が結像する。
前記の多数の画像の結像面のそれぞれに、高速ゲーティングができるカメラを備え、短い時間間隔で順次ゲーティングすれば、複数枚の連続画像を超高速撮影できる。このような撮像装置がビームスプリット型マルチフレーミングカメラである。
欠点は、各カメラへの入射光量がカメラの数に逆比例して減少することである。実際には複雑な光学系のために、入射光量はさらに少なくなる。入射光量の大幅な減少は、1フレーム当たりの入射光量が激減する超高速撮影にとって大きな欠点である。
MCP
ビームスプリット型マルチフレーミングカメラの各カメラの前には、通常、MCP(マルチチャンネルプレート)型イメージインテンシファイヤが取り付けられている。MCP型イメージインテンシファイヤは大きな電子増倍機能と、高速ゲーティング機能を備えている。大きな電子増倍機能は光量の不足を補う。高速ゲーティング機能はビームスプリット型マルチフレーミングカメラの高い時間分解能を実現する。
MCPには直径10ミクロン程度の多数の孔が稠密に規則正しく開いている。孔の方向は、MCP面の直角方向(光軸方向)に対して10度程度傾いている。孔の壁面には高電圧が印加されており、電気的不安定限界に近い状態に保たれている。壁面に電子が衝突すると2次電子が発生する。この繰り返しで生じる電子アバランシュにより、最大で10万倍程度の電子増倍ができる。
MCPの前面に光電面を置き、入射光束を電子束に変換する。光電面とMCPの間には10V程度の電圧差があり、この電圧差で電子束は加速されMCPの孔に突入する。この電圧を0V以下にすれば光電面からMCPへの電子束の流入は停止する。MCP型イメージインテンシファイヤのゲーティングはこの加速電圧のオンオフで行う。このオンオフの速度は、光電面の周辺から中心部への電圧の送付時間により制限される。これによって生じる時間のずれは数ナノ秒である。
ストリークカメラ
図1にストリークカメラの概形を示す。1方向走査型の真空管1を用いる。入射窓2に入射した光は光電面3で電子束4に変換される。偏向電極対5に印加する電圧を急変させることにより、電子束4を光軸とは直角方向6に高速で走査する。通常は、入射窓2に、走査方向6に対して直角方向(紙面に垂直方向)に伸びる細い窓(描かれていない)を設け、水平の細い短冊状の画像を走査方向6に高速走査する。
図2に2方向走査型の真空管を示す。X方向8(水平方向)に走査するための偏向電極対9と、Y方向7に走査するための偏向電極対10を備える。
フレーム走査型マルチフレーミングカメラ
図3に2方向走査型の真空管を用いたマルチフレーミングカメラによる出力画像11を示す。1枚の画像を撮影した直後に水平方向8に電子束を走査し、停止する。2枚目の画像を撮影した直後に水平方向8に電子束を走査する。4枚目の画像を撮影した直後に垂直方向7に電子束を走査する。こうして16枚の連続画像を撮影できる。このような方式のマルチフレーミングカメラを「フレーム走査型マルチフレーミングカメラ」と呼ぶことにする。フレーム走査型マルチフレーミングカメラの画像の最小時間間隔は、フレームから次のフレームに移動するための走査に要する時間である。
走査に要する時間は、偏向電極に印加する偏向電圧が安定するまでに必要な時間である。図4に示すように、安定に要する時間は、偏向電圧の立ち上がり、または立下り時(立ち上がり時と同様であるので図示していない)の時間遅れ12と、オーバーシュート後に生じるリンギング13等の継続時間の和である。
デジタル回路などではリンギングがあっても、電圧がある閾値14(通常は高電圧と低電圧の中間値)の上または下にとどまっていれば正しく動作する。ただし図2、図3に示すフレーム走査型マルチフレーミングカメラでは、リンギングがあると画像のぶれの原因となり、鮮明な画像が得られない。リンギングが生じないように偏向電圧の駆動回路に大きな緩和要素を入れると、安定までの遷移時間が非常に長くなる。どちらの場合でもぶれのない画像が得られる最小の時間長は100ナノ秒程度である。これがフレーム走査型マルチフレーミングカメラの時間分解能である。
超高速マルチフレーミング電子顕微鏡
フレーム走査型マルチフレーミングカメラと同じ走査方式を用いて、図5に示す超高速マルチフレーミング電子顕微鏡15も開発された(非特許文献2)。超真空の鏡筒16内に電子銃17、試料ホールダー18、拡大電子レンズ系(実際は組レンズ)19、偏向電極20(図では1対であるが、実際はX、Y方向に2対)、蛍光板21、生成するX線を透過させない厚い鉛ガラス22、カメラ用レンズ23、カメラ24を備える。
電子銃からパルス化された電子束を射出するために、電子銃励起用短パルスレーザ25を備える。短パルスレーザからパルス幅5ナノ秒、最小パルス時間間隔20ナノ秒のレーザ光26を電子銃に照射する。レーザ光が照射されている間のみパルス電子束27が射出される。
また試料刺激用レーザ28を備えている。刺激用レーザを試料29に照射すると、瞬間的に試料が相変化を生じる。偏向電圧を急変することにより、連続9枚の超高速透過電子顕微鏡画像30を得ることができる。
時間分解能は電子銃励起用レーザのパルス間隔である。実際には図4に示した偏向電圧の時間遅れがあるので、鮮明な画像は100ナノ秒程度の時間分解能で撮影できる。
斜行走査型マルチフレーミングカメラ
1方向走査型のマルチフレーミング撮像方式を図6と図7に示す(非特許文献1)。まず偏向電圧の立ち上がりと立ち下り時の遷移時間がゼロの場合について説明する。
図6に示すように光電面3の前面に遮光層35を備える。図7に示すように遮光層にM×N個の孔31が開いている。したがって画素数はM×Nである。図7に示すように電子束を斜めに走査する。走査方向32は、1個の孔で生成した電子束が、直下の孔で生成した電子束と接する方向である。この斜行走査を電子束の軌跡33が隣接する孔の列に届く位置で停止する。
画素サイズは孔のピッチに等しい。オンチップレンズ等がない場合の開口率は(孔の面積/画素面積)=((孔の面積/(孔のピッチ×孔のピッチ))である。ある瞬間には孔の位置でのみ飛び飛びに画像信号が得られる。
これにより、各孔で生成した重複しない連続画像信号34が得られる。連続画像信号の個数は(画素ピッチ/孔のサイズ)×(画素ピッチ/孔のサイズ)である。図7の例では(画素ピッチ/孔のサイズ)=3であるので、連続9枚の画像34が得られる。このような撮像方式のカメラを「斜行走査型マルチフレーミングカメラ」と呼ぶことにする。
次に実際の場合、すなわち偏向電圧の立ち上がりと立ち下り時の遷移時間がある場合について説明する。この場合でも、被写現象が自発光現象で、発光が9枚の画像を撮影する時間内に終了する場合や、照明時間が9枚の画像を撮影する時間内で終了する場合には斜行走査型のマルチフレーミング撮影が可能である。
例えば、立ち上がり完了時の直後に照明を開始する。もしくは自発光が始まるようにタイミングを合わせる。また9枚目の撮影完了と同時に走査を停止する。実際には停止過程の遷移時間後に走査が停止する。立ち上がり時と停止時の遷移時間の間は入射光がないので、走査していても記録される画像信号の強度はゼロである。したがって照明期間もしくは自発光期間に生成する画像信号は、それ以前と以後の遷移時間に記録されたゼロ信号に加算されて記録される。この場合は、図6のY方向への走査軌跡は、隣接する孔の列を越えて、偏向電圧が停止時の遷移過程を終了して完全に一定値になるまで延伸する。ただしこの間も入射光はないので、画像信号が上書き記録されることはない。
図6では孔が正方格子点に開けられており、走査方向は孔の格子方向に対してarctan(孔のサイズ/孔の格子間隔)だけ傾いている。図7では走査方向は垂直方向である。実際には走査方向32が垂直方向(Y方向)で、孔がこの方向に対して―arctan(孔のサイズ/孔の格子間隔)だけ傾いた格子点上に開けられている。すなわち実際の孔の配置と走査方向は、図6を―arctan(孔のサイズ/孔の格子間隔)だけ回転した図で表される。非特許文献1によれば、この方法により時間分解能10ピコ秒を達成した。
実質開口率を上げるには、孔の位置に合わせてオンチップマイクロレンズ36、もしくは光ガイド37、もしくはその両方等の局所集光手段を備える。
X線の集光手段:ゾーンプレート
非特許文献1に記載された撮像方式の適用対象はレーザ核融合であった。したがって入射光量(この場合はX線)は十分に足りていた。したがって各孔の前の集光手段は不要であった。非特許文献1の著者である白神は後に一般的な超高速X線撮影に適用するために、局所集光手段としてマイクロゾ−ンプレートーを付けることを提唱している(文献は示していない)。
光の偏向手段:KTN結晶
電界により屈折率などが変化する現象を電気光学効果という。KTN結晶は非常に大きな電気光学効果を示し、多くの用途への適用が期待されている(非特許文献3)。
荷電粒子線レンズアレイ
電子束をM行×N列の電子束アレイに変換する技術も開示されている(特許文献1、特許文献2)。
特開2006−49702
特開2013−30567
H.Shiraga et al.,Ultra−fast 2−dimensional X−ray imaging with a 10−ps resolution for use in laser fusion research,J.Electron Spectroscopy and Related Phenomena,80,287−290,1996.
Approaches for ultrafast imaging of transient materials processes in the transmission electron microscope,Micron,43,1108−1120,2012.
高効率電気光学結晶KTNを用いた光デバイスの開発、NTT技術ジャーナル,2004.1,56−59.
ナノ秒未満の時間分解能(1/撮影速度)で連続的に数枚から20枚程度の画像を撮影できるマルチフレーミングカメラを提供する。
ビームスプリット型マルチフレーミングカメラでは撮影枚数に逆比例して各カメラへの入射光量が減る。また撮影速度はMCPのゲーティング速度で限定される。MCPのゲーティング速度は、光電面の周辺から中心への電圧の送付時間で限定され、数ナノ秒程度である。すなわち、目標撮影速度を達成できない。
フレーム走査型マルチフレーミングカメラの撮影速度はフレーム時間間隔で制限される。フレーム時間間隔は、フレーム間で偏向電圧が変わり、完全に安定するまでの遷移時間であり、100ナノ秒程度である。すなわち、目標撮影速度を達成できない。
斜行走査型マルチフレーミングカメラにより時間分解能10ピコ秒が達成されている。
この場合は図6で、偏向電圧の立ち上がり時と停止時に、Y方向に電子束を走査している間に記録される信号はゼロであり、その間の走査軌跡上の信号は無駄な信号になる。有効な画像信号はこれらに挟まれた9個の信号である。したがって有効画素行数がMより小さくなる。実際には超高速撮影におけるタイミング調整の技術的難しさから、列数Nに比べて、有効画素行数がより小さくなる。したがって上下の画素行がゼロ信号で埋め尽くされた横に細長い画像しか得られない。
フレーム走査型マルチフレーミングカメラではX方向、Y方向偏向のために2対の偏向電極を備える。電子束はそれらの間を通過する。したがって、偏向電極間隔をあまり狭くできない。例えば偏向電極間隔を1cmとすれば、その間を電磁波が伝達するに要する時間は33ピコ秒であり、この時間オーダーよりも短い時間間隔で電子束を偏向することは原理的に困難である。
入射線はオンチップマイクロレンズのように光学デバイスで集光できる電磁波とは限らない。例えばX線や電子束は光学デバイスではスポット化できない。
科学技術計測技術の開発では、究極の機能の実現を目指すことが多い。実際には科学技術計測技術の性能に上限はない。また一つの機能だけではなく、複数の機能について同時に高い性能が要求される場合もある。図5に示す超高速TEMは究極の時間分解能と空間分解能を目指すという点でその典型的な例の一つである。ただしフレーム走査型のマルチフレーミング撮影を使っているので、このことによる時間分解能の制限という課題を抱えている。
課題の解決の方針
電子束の走査軌跡が滑らかでループを描く曲線とする。例えばX方向偏向電圧をサインカーブ、Y方向偏向電圧をコサインカーブとすれば各孔で生成する電子束の中心が描く軌跡は円となり、電子束の軌跡はドーナッツ状となる。1回ループを描く間に6枚以上の連続画像を記録できる。
この場合も遷移時間は必要であり、その間はゼロ信号が記録される。しかし電子束は遷移時間中も同じループ軌跡の上を回っているので、ゼロ信号を記録したために無駄な走査軌跡が生じることはない。
これにより斜行走査型マルチフレーミングカメラの課題、すなわち遷移時間の間、走査軌跡は1方向に、元の位置から離れて行き、その距離の分だけ有効画素行数が減るという課題が解決する。
またサインカーブ、コサインカーブの電圧変動は高速駆動しても安定に保つことができる。例えばサイン、コサインカーブの周波数をリンギング周波数(発信周波数)に近い値にすると、極めて低い消費電力で高速安定駆動できる。
ループ走査とするためにはX方向とY方向の2方向の偏向電極対が必要になる。電子束はそれらが囲む領域内を通過する。全てのスポット化された電子束の外側に偏向電極対を備えると、偏向電極間距離は広くならざるを得ない。一方、孔の周りのスペースは集光手段を使ってスポット化された入射光束も、光電変換で生じるスポット状の電子束も通らない。したがって使われないデッドスペースとなっている。ここにマイクロプロセスで配線、電極、回路などを作り込むことができる。例えば、光電面の後方に絶縁層を介して金属配線し、光電面に接続すれば、100ピコ秒程度で光電面の周辺から中心にゲーティング電圧を送付することができる。等距離配線にすればゲーティングの時間差はなくなるので、ジッターを考慮して同期を取れば、さらに短い時間間隔でゲーティングできる。また、各孔の左右上下に偏向電極を作ることもできる。この場合偏向電極間距離は100ミクロン以下となる。100ミクロンを電磁波が伝達する時間は333フェムト秒であり、偏向電極対間の電磁波の伝達時間の制限という観点からは、1ピコ秒程度の時間分解能を実現することができる。
以上の課題の解決の方針では、スポット化技術、スポットのループ走査技術、およびスポット間の空いた空間に電気回路を設置するためのMEMS技術を使っている。しかし、偏向電極を電子束スポット群の外部に備える場合でも、スポット化技術とループ走査技術だけを用いて、従来技術による場合よりもはるかに安定的に高い時間分解能で撮影ができる。
超高速TEMの場合も電子束のスポット化と、スポットのループ走査により、図5のフレーム走査よりもはるかに高速の撮影ができる。しかし電子束をスポット化し、斜行走査するという提案も実施例もない。単純に電子束の遮蔽層に多数の孔を開け、斜行走査するだけで従来技術に比べてはるかに速い速度での撮影が可能である。ループ走査すれば、当然、より高速に安定的に撮影することができる。
本発明における電子束のスポット化の方法としては、特許文献1、特許文献2のような精密な方法を使う必要はない。もっと簡単な細線グリッドを用いる方法や、マイクロ永久磁石を使った電子レンズによる方法でも良い。
入射線をスポット化する手段、偏向する手段は荷電粒子によって異なる。例えばX線のスポット化手段としてはゾーンプレートが好適である。電子束のスポット化手段や可視光の偏向手段についても特許技術で紹介した新しい技術が開発されている。また、入射線をスポット化してから光電変換でスポット電子束に直すかわりに、面的に入射した入射線で面的に広がる電子束に変換し、その後、面状の電子束をスポット化し、偏向しても良い。この場合は、入射線の集光手段で規定されるスポット位置と、スポットの周辺に設ける偏向手段の位置を合わせる必要がない。このように、ループ走査技術を様々の荷電粒子を用いた超高速撮影手段に適用するために、それぞれの荷電粒子の集光(スポット化)や偏向に適した技術と組み合わせることができる。
課題の解決の手段と効果
第1の入射面を覆い、重複しないM(M≧2)個の面(「第1の面要素」と呼ぶ)の各々に入射する第1の入射線が、各瞬間において、前記の第1の面要素の各々の面積の1/3以下の面積の領域(「第1の入射スポット」と呼ぶ)を照射するようにさせる手段(「スポット化手段」と呼ぶ)と、
前記の第1の入射スポットの入射により、前記の第1の入射スポットの強度に応じた第2の入射線を生成する手段(「光電変換手段」と呼ぶ)、もしくは第1の入射線を透過させてスポット化し、第2の入射スポットとする手段と、
前記の第2の入射スポットを、第2の入射面上で走査させる手段(「走査手段」と呼ぶ)と、
前記の第2の入射面上で、前記の第2の入射スポットの1個が、前記の走査により覆う面と他の第2の入射スポットが覆う面が実質的に重複することなく、かつ第2の入射スポットの全てが覆う面の第2の入射面の面積に対する比を実質的に最大化させ、かつ前記の第2の入射スポットの各々の、中心点が走査する軌跡(「走査軌跡」と呼ぶ)が、先端と末端が接続するループ形状を成し、かつ、円または楕円に近い滑らかな曲線、またはそれらの組み合わせ、または滑らかな曲線と直線の組み合わせになるように制御する手段(「ループ走査制御手段」と呼ぶ)と、
第2の入射スポットの走査軌跡が覆う面、もしくは第2の入射面を覆う小さい面積要素(「画素」と呼ぶ)の集合の各要素の位置で、第2の入射スポットの強度に応じた電気信号(「画像信号」と呼ぶ)を生成し、記録する手段(「記録手段」と呼ぶ)とを備えることを特徴とする装置により、
偏向電圧を滑らかに安定的に高速変化させることができ、非常に短いフレーム時間間隔で複数枚の連続画像を撮影できる撮像手段を提供する。
前記の第1の入射スポットと、前記の第2の入射スポットの経路と実質的に重複しない空間に、配線と電気回路、もしくはその両方を備えることにより、
デッドスペースに近似等距離配線を行うことができ、通常のように、光電面の周辺から光電面のゲーティング電圧を送る場合に比べて、光電面の周辺と中央部でのゲーティング時差を無視できる程度に小さくでき、より短時間で光電面のゲーティングを行う手段を提供する。
さらに前記の電気回路が、少なくとも前記の偏向電極を備えることにより、通常のように、スポット化された全ての電子束の外側に偏向電極を備える場合に比べて、偏向電極間距離を1cmオーダーから100ミクロンオーダーに小さくすることができ、その間の偏向電圧の伝達を1/100に小さくすることができ、1桁から2桁短いフレーム時間間隔で連続画像を撮影できる撮像手段を提供する。
前記の第1の入射線が電子線であって、該第1の入射線を透過させて第2の入射線にすることを特徴とすることにより、
入射線の集光手段によりスポット化された入射線の照射位置と、照射位置のサイドに設ける偏向電極の位置を合わせる必要がなくなる。また後述の透過電子顕微鏡で必要となる電子線のスポット化ができる。
スポット化手段がゾーンプレートであることにより、
X線を集光し、スポット化することができ、短いフレーム時間間隔でX線連続画像を撮影できる撮像手段を提供する。
さらに、パルス電子銃と、該パルス電子銃で生成したパルス電子束を面的に広げる手段と、該面的に広げられたパルス電子束が通過する試料台と、該試料台を透過後のパルス電子束を、M(M≧2)個のスポット状の電子束に変換する手段と、該スポット状の電子束の照射位置を、同時に走査させる手段とを備えることを特徴とする電子顕微鏡により、
非常に高い空間分解能と非常に高い時間分解能をともに備える撮像手段を提供する。
第1の実施の形態
第1の実施の形態の構成
図8は本発明の第1の実施の形態38を示している。入射線39には紫外線(蛍光の励起光)と可視光(蛍光)が含まれている。入射光学系40はフィルター41、レンズ42、絞り43、機械シャッター44からなる。光学フィルターは500nm以上の波長の光のみを通す。入射光学系はカメラ部45に接続されており、カメラ部はイメージセンサ46付の撮像管47と制御部48から成る。制御部は撮影制御部49、信号読み出し制御部50、総合制御部51からなる。信号読み出し制御部にはバッファメモリ52が接続している。
総合制御部は通信制御部53と信号処理部54および画像情報メモリ(内蔵)55からなる。通信制御部には、外部メモリ56、マウス57、コンソール58、ディスプレイ59の外部機器が接続している。また通信制御部は照明60との間のタイミング合わせのための信号も処理する。
撮影制御部49にはイメージセンサ駆動のための2種の駆動信号生成部を備えている。デジタル駆動信号生成部61とアナログ駆動信号生成部62である。アナログ駆動信号生成部は、ループ走査制御のための偏向電極に印加する偏向電圧の生成手段である。これにより、サインカーブ、コサインカーブ等の偏向電極の駆動電圧波形を生成する。デジタル駆動信号生成部はそれ以外の駆動信号を生成する。またデジタル駆動信号生成部には、生成したデジタル信号と同一波形の駆動電圧波形に変換するためのドライバーICが備えられている。
照明は波長390nmでパルス幅100ピコ秒のパルスレーザである。図示していないが、顕微鏡下の細胞試料にこのレーザを当て励起すると、ピーク波長600nmの蛍光を放出する。図8の入射光には波長390nmの紫外線も含まれているが、500nm以下の波長の光は、ローパスフィルターを3枚重ねたフィルターでほぼ完全に除去され、カメラ部には入射しない。
図9は本発明の第1の実施の形態の撮像管47の構造を示している。撮像管に入射する入射光63は光学フィルターを通過後の光であるので波長が500nm以上でピーク波長が600nmの蛍光である。
入射光はカメラのレンズ42により厚さ2mmの入射面ガラス64の背面の結像面65上で結像する。結像面は円形であるが、イメージセンサの受光面29が正方形であるので、実際に機能するのは18mm×18mmで正方形領域である。
結像面にはオンチップマイクロレンズ66が形成されている。オンチップマイクロレンズはライトガイド67に接続し、さらに遮光層68に接続している。遮光層には孔69が開けられている。孔のピッチ70は90ミクロンで、孔の直径71は30ミクロンである。実際に機能する孔は中央の18mm×18mmの領域に配置されたものである。したがって有効な孔の数(画素数)は200×200個である。
遮光層の後方に光電面72がある。孔の周辺に配線73とY方向の偏向電極74、75が配置されている。電子束76は孔の位置のみで発生する。
各孔に対して、電子束76をX方向に偏向するための1対の偏向電極と、Y方向に偏向するための1対の偏向電極74、75が備えられている。図はY方向の断面図であるので、Y方向の偏向電極対のみを示している。
図10は光軸と直角な面の上での孔69と配線73、79と偏向電極の位置関係を示している。配線73はY方向偏向電圧の送付配線であり、配線79はX方向偏向電圧の送付配線である。
本実施の形態では、偏向電極は孔と隣接する孔の間に1個だけ備えられている。すなわちX方向の偏向電極ペアXA77およびXB78は孔をはさんで1個おきに配置されている。Y方向の偏向電極ペアYA74およびYB75についても同様である。
光電面、偏向電極、イメージセンサの入射面は真空管(撮像管)47の内部にある。イメージセンサは裏面照射型で開口率100%、画素サイズは9ミクロン×9ミクロン、受光面のサイズは18mm×18mmである(図示していない)。したがって画素数は2000×2000画素(400万画素)である。イメージセンサの画素ピッチは、遮光層の孔の配置で決まる実際の画素ピッチよりも十分小さくなければならない。
遮光層の孔に入射した光により200×200個の電子束が出射される。200×200個の電子束は8KeVのエネルギーで加速されイメージセンサの裏面に直入する。
1個の入射電子の入射でイメージセンサ内に多数の2次電子が発生する。これにより、この撮像系は光子検出感度となっている。
第1の実施の形態の動作
1回の撮影
第1の実施の形態の動作の時間シークエンスを図11に示す。図9に示された全ての機能要素は既に起動しているものとしている。
t0=0秒に偏向電極77(X方向)および74(Y方向)にサインカーブとコサインカーブ状の偏向電圧80、81を印加する。t<t0では、偏向電圧80、81はそれぞれ0Vおよび0.5Vで一定である。
電圧の片側振幅は0.5Vで全振幅は1Vである。周期は8ナノ秒である。これらの電圧波形はアナログ駆動信号生成部62で生成される。
本実施の形態では偏向電極78(X方向)、75(Y方向)には電圧80と81の逆極性の電圧を印加する(電圧波形80と81を上下に反転した図であるので図示していない)。
偏向電極78(X方向)および75(Y方向)は0Vの一定電圧でも良い。この場合は偏向電極77(X方向)および74(Y方向)の偏向電圧にバイアス電圧を加える。
また、孔の間にX方向、Y方向にそれぞれ2個づつの偏向電極を設けても良い。
t1=8ナノ秒に短パルス励起レーザ(照明装置)60から波長390nmでパルス幅100ピコ秒のパルスレーザ光82が顕微鏡下の試料(図示していない)に照射される。試料に含まれている蛍光たんぱく質から図11に示す中心波長600nmで減衰定数83か2ナノ秒程度の蛍光84が射出され、結像面65で結像する。
図11では1種類の蛍光しか示していないが実際の計測では2種以上の蛍光タンパクが使われることも多い。減衰定数の違いで、それぞれの蛍光タンパクの存在位置が明確になる。
また同じ蛍光タンパクであっても、減衰定数は存在位置のPH、電位、酸素濃度、温度などの環境条件の違いで標準値からずれる。これを検出することで、環境状態や、その時間変化なども計測できる。
入射した蛍光はオンチップマイクロレンズ66とライトガイド67で集光され、遮光層の孔69に入射してスポット光となる。これにより、光電面72から200×200個のスポット状の電子束76を生成する。
この電子束の中心の軌跡は、図11に示す偏向電圧により、図12に示すように円を描き、第2の入射スポットとしてイメージセンサ29の裏面に入射する。図10における85、86、87、88の孔から射出されたスポットにより、図11に示す4個の入射スポットの軌跡89、90、91、92が生じる。
t2=24ナノ秒後に偏向電圧を元の0Vと0.5Vに戻す。
図11に示すように、t0<t<t1、およびt>t2では偏向電圧は立ち上がり、および停止のための遷移時間となる。レーザの照射時刻をt1とすることにより、この部分を避けてt1<t<t2の偏向電圧が安定している時間帯に撮影を行うことができる。
撮影時間は、偏向電圧周期の2周期分である。したがって、1周期分の撮影が終わった後の2周期目の残存蛍光によって生成した画像信号が本来の1周期分の画像信号に加算される。ただし、蛍光の減衰時間が短いので、残存蛍光の影響は小さい。また様々な蛍光たんぱく質の消光特性はわかっているので、この情報を用いたポストデータ処理で十分高い精度で蛍光の減衰定数を計測することができる。
停止のための遷移時間中に入射する蛍光の強度は十分小さい。この影響を正確に補正することもできる。
繰り返し撮影
フレーム時間間隔が非常に短いので、蛍光強度が弱い。したがって通常、図11で示す動作シークエンスを適切な時間間隔で繰り返し、積算された画像信号から蛍光の減衰定数を算出する。
100ナノ秒を周期とし1ミリ秒計測すると10,000回の試行によるデータを積算することができる。これにより、被写体へのダメージを最小限に抑えつつ、十分大きな信号を得ることができる。
その後、機械シャッター44を閉じ、イメージセンサ46中に保存されている積算信号を読み出し、バッファメモリ52に記録する。画像信号処理部54で連続画像に直し、内蔵メモリ55に保存する。画像信号処理部では、内蔵メモリに保存された画像信号を用いて、必要なデータ処理も行う。
面積の利用率と実質撮影枚数
図13を見ると、入射スポットがイメージセンサの裏面で描くドーナツ状の領域は、イメージセンサの裏面の入射面の一部しか覆っておらず、面積的な無駄が多いように見える。この面積利用率を求めてみよう。
ドーナッツ形の部分の面積がπ×(R**2−(R/3)**2)=8/9×π×R**2であり、正方形部分の面積が4R**2であるから、その比は2/9×π×R**2=69.8%である。ここに**2は「2乗」を表す。すなわち、実際には70%の面積を活用しており、面積利用率は十分高い。
図より、連続6枚の全く重複のない画像が得られることがわかる。しかしドーナッツ型と6個の小円の重複していない部分が残っており、実際にはそれ以上の情報があることがわかる。情報のロスが無く、かつ重複しない画像枚数の理論的上限は以下のようにして求めることができる。
単一のスポットの面積は(R/3)**2×π=1/9×π×R**2である。したがって、ドーナツ形の部分の面積と1個のスポットの面積の比は8である。したがって適切な画像処理技術で情報を失わないように信号処理をすれば連続8枚に近い画像信号が得られる。
近似的に8枚の連続画像を得るための最も単純な方法は図14に示すように、中心から45度の角度で放射状に伸ばした線で囲まれる領域を1画像の情報とし、理論的に計算される応答関数を用いて、逆変換により、フレーム間の画像信号の重複が少ない画像に変換する。
その他の使い方と構造
偏向電圧波形は図11の同一周期のサイン、コサインカーブに限らない。図15に示すようにスポットサイズに対して円軌跡の直径を大きくすることにより撮影枚数を増やすことができる。ただし、電子束の照射面の利用率が下がる。
一方、図16に示すように、2組の偏向電圧のサインとコサインの周期を2:1にすると8の字型の軌跡となる。振幅も調整すると、照射面の利用率をあまり下げることなく撮影枚数を20枚に増やせる。
さらに偏向電圧波形を直線とサインおよびコサインに近いカーブで構成すると、図17に示すように、軌跡を斜行直線ループ型にすることができる。また、スポット径を十分小さくできる場合は軌跡をアコーデオン型に折りたたんでも良い。孔の配置についても正方格子点配置とは限らない。千鳥配置などにして密度を上げることもできる。
第1の実施の形態では、各孔に対してX方向、Y方向に各一組の偏向電極を設けた。最も簡単に作るには、通常と同じように200×200個の全電子束の外側に2組の偏向電極を設ければ良い。この場合、電極間距離が長くなるので、その間を電磁波が伝達する時間によって時間分解能が決まる。この課題を補うために、複数の孔の組に対してX方向、Y方向の2組の偏向電極を設けても良い。
第2の実施の形態
本発明の第2の実施の形態を図18に示す。光電面93の後方にMCP94を備える。偏向電極95はMCPの後段に備える。また光電面の直後の孔の影になっている部分に配線と回路層96を備えている。
光電面とMCPの間には7.5Vの電圧が印加されており、生成した200×200個の電子束は一旦MCPに入射し、アバランシュ増幅される。それが偏向電極によりイメージセンサの裏面にループを成す軌跡を描く。これにより、非常に高い感度が得られる。
第2の実施の形態の特徴は超高感度だけにとどまらない。第1の実施例よりはるかに高速にゲーティングができる。
通常のMCP型イメージインテンシファイヤでは、光電面の駆動電圧を周囲から送る。光電面層の電気抵抗は金属に比べて桁違いに大きい。金属細線を光電面層に埋め込むこともできるが、電気抵抗を下げるために線幅を広くすると実質開口率が下がり、感度が低下する。
図19に回路層96に備えられている回路97の説明図を示す。この回路97を各孔に対して一組づつ作り込んでいる。入射光を一旦スポット化することにより、感度(実質開口率)を損なうことなく、回路層96を挿入するための十分広いスペースが得られる。
回路97は電源線98、グランド線99、信号線100、トランジスタスイッチ101、102、出力線103からなる。
信号線の電圧振幅は1.5Vである。この信号がトランジスタスイッチにより光電面の電圧振幅である7.5Vの電圧をオンオフする。信号線電圧が0Vのときはスイッチ102がオンになり、グランド線99から0Vの電圧が出力線に供給され、それが光電面に供給される(この部分は図示していない)。信号線電圧が1.5Vのときはスイッチ101がオンになり電源線98から7.5Vの電圧が光電面に供給される。
信号線の電圧振幅は光電面の電圧振幅の1/5であり、信号線とトランジスタスイッチの電気容量は光電面のそれよりはるかに小さい。したがって、比較的幅広の金属配線で電気抵抗を下げて光電面電圧のゲーティング速度を上げるだけではなく、適切な電子回路を組み入れることでさらに高速のゲーティングができる。
現在のICの製造技術を使えば、電源用のキャパシタや、電圧レベルシフタ等を組み入れることもできる。またこれらの回路は1個の孔ごとではなく、孔のグループに対して1組備えても良い。
また、回路ではなく単純な配線だけでも良い。十分広い配線を使い、低次の当距離配線、例えばH型配線を使うだけで、ゲーティング速度は一桁上がる。
第3の実施の形態
図19において、偏向電極を備えなくても高機能デバイスとなる。この場合は撮影枚数は1枚であるが、孔の周辺に配置した配線と回路により、超高速ゲーティングを行うことができる。またMCPにより非常に高い感度を保持する。
第4の実施の形態
本発明の第4の実施の形態を図20に示す。第4の実施の形態は透過型電子顕微鏡(TEM)である。非特許文献1に示されている超高速TEM(図5)との違いは、平行化電子レンズ104、電子束のスポット化手段105と偏向手段106を備えていることである。
スポット化手段は電子束の遮蔽層に規則正しく開けられた孔である。偏向手段は図10に示す偏向電極対74、75、77、78である。これらに図11の電圧を印加することにより、スポット化された各電子束はドーナッツ状の走査軌跡107を描く。
その他の実施の形態
図21に示すように、入射電磁波がX線108の場合は、スポット化手段としてゾーンプレート109を用いる。当然、遮光層は鉛からなるX線遮蔽層である。
入射線がX線やガンマ線の場合は、シンチレータで一旦、光に直してから第1や第2の実施の形態を適用しても良い。また光電面で電子束に直してから、特許文献1、特許文献2の方法でスポット化しても良い。
入射線が可視光等の場合はスポット化手段をマイクロレンズアレイと平行化光学系で構成し、偏向手段を非線形光学素子、例えばKTN結晶で構成しても良い。
第4の実施例で画像信号のある程度の重複を許すならば、金属細線グリッドを用いてスポット化しても良い。スポット化手段の面における電位よりも少し低い電圧を印加することにより、グリッド間を通過する電子束をスポット化できる。
またマイクロマグネッティックレンズアレイを用いてスポット化しても良い。この場合は、電磁石ではなく、強力な永久磁石を薄片化し、切り出してマイクロマグネッティックレンズアレイを作ると良い。
ストリークカメラの概形 2方向走査型の真空管 2方向走査型の真空管を用いたマルチフレーミングカメラによる出力画像 偏向電圧の立ち上がり時の遷移過程 超高速マルチフレーミング電子顕微鏡 1方向走査型のマルチフレーミング撮影方式(構造の概要) 1方向走査型のマルチフレーミング撮影方式(孔の配列と走査方向) 本発明の第1の実施の形態の全体図 本発明の第1の実施の形態の撮像管 本発明の第1の実施形態における孔と偏向電極の位置関係 本発明の第1の実施形態における動作の時間シークエンス 本発明の第1の実施形態における隣接するスポット電子束の軌跡 本発明の第1の実施形態におけるスポット電子束の面積利用率 本発明の第1の実施形態において、連続8枚の連続画像を得るための走査軌跡の分割 スポットサイズに対して円軌跡の直径を大きくした場合 XとY方向の偏向電極の駆動電圧の周期を1:2にした場合 走査軌跡をループ型斜行直線にした場合 本発明の第2の実施の形態 回路の例 本発明の第4の実施の例の超高速電子顕微鏡 X線を入射線とする場合
1 1方向走査型の真空管
2 入射窓
3 光電面
4 電子束
5 偏向電極対
6 1方向走査型の真空管の電子束走査方向
7 2方向走査型の真空管の電子束のY方向の走査方向
8 2方向走査型の真空管の電子束のX方向の走査方向
9 2方向走査型の真空管の電子束のX方向の偏向電極
10 2方向走査型の真空管の電子束のY方向の偏向電極
11 フレーム走査型マルチフレーミングカメラによる出力画像
12 偏向電圧の立ち上がり時の時間遅れ
13 偏向電圧の立ち上がり時のリンギング
14 低電圧と高電圧の判定の閾値
15 超高速マルチフレーミング電子顕微鏡
16 鏡筒
17 電子銃
18 試料ホールダー
19 拡大電子レンズ系
20 偏向電極
21 蛍光板
22 鉛ガラス
23 カメラ用レンズ
24 カメラ
25 電子銃励起用短パルスレーザ
26 パルスレーザ光
27 パルス電子束
28 試料刺激用レーザ
29 試料
30 遮光層の開口部(孔)
32 斜行走査の走査方向
33 斜行走査を電子束の軌跡
35 遮光層
34 重複しない連続画像信号
38 第1の実施の形態
39 入射線
40 入射光学系
41 フィルター
42 レンズ
43 絞り
44 機械シャッター
45 カメラ部
46 イメージセンサ
47 撮像管
48 制御部
49 撮影制御部
50 信号読み出し制御部
51 総合制御部
52 バッファメモリ
53 通信制御部
54 信号処理部
55 画像情報メモリ(内蔵)
56 外部メモリ
57 マウス
58 コンソール
59 ディスプレイ
60 照明
61 デジタル駆動信号生成部
62 アナログ駆動信号生成部
63 カメラへの入射光
64 入射面ガラス
65 結像面
66 オンチップマイクロレンズ
67 ライトガイド
68 遮光層
69 遮光層の孔
70 孔のピッチ
71 孔の直径
72 光電面
73 Y方向偏向電圧の送付配線
74、75 Y方向の偏向電極ペア
76 電子束
77、78 X方向の偏向電極ペア
79 X方向偏向電圧の送付配線
80 サインカーブの偏向電圧
81 コサインカーブの偏向電圧
82 励起パルスレーザ光
83 蛍光たんぱく質の減衰定数
84 蛍光
85、86、87、88 遮光層の隣接する4個の孔
89、90、91、92 遮光層の隣接する4個の孔から射出された電子束の円形軌跡
93 光電面
94 MCP
95 偏向電極
96 孔の影になっている部分の配線と回路層
97 回路層に備えられている回路
98 電源線
99 グランド線
100 信号線
101、102 トランジスタスイッチ
103 出力線
104 平行化電子レンズ
105 電子束のスポット化手段
106 偏向手段
107 ドーナッツ状の走査軌跡
108 X線
109 ゾーンプレート

Claims (6)

  1. 第1の入射面を覆い、重複しないM(M≧2)個の面(「第1の面要素」と呼ぶ)の各々に入射する第1の入射線が、各瞬間において、前記の第1の面要素の各々の面積の1/3以下の面積の領域(「第1の入射スポット」と呼ぶ)を照射するようにさせる手段(「スポット化手段」と呼ぶ)と、
    前記の第1の入射スポットの入射により、前記の第1の入射スポットの強度に応じた第2の入射線を生成する手段(「光電変換手段」と呼ぶ)、もしくは第1の入射線を透過させてスポット化し、第2の入射スポットとする手段と、
    前記の第2の入射スポットを、第2の入射面上で走査させる手段(「走査手段」と呼ぶ)と、
    前記の第2の入射面上で、前記の第2の入射スポットの1個が、前記の走査により覆う面と他の第2の入射スポットが覆う面が実質的に重複することなく、かつ第2の入射スポットの全てが覆う面の第2の入射面の面積に対する比を実質的に最大化させ、かつ前記の第2の入射スポットの各々の、中心点が走査する軌跡(「走査軌跡」と呼ぶ)が、先端と末端が接続するループ形状を成し、かつ、円または楕円に近い滑らかな曲線、またはそれらの組み合わせ、または滑らかな曲線と直線の組み合わせになるように制御する手段(「ループ走査制御手段」と呼ぶ)と、
    第2の入射スポットの走査軌跡が覆う面、もしくは第2の入射面を覆う小さい面積要素(「画素」と呼ぶ)の集合の各要素の位置で、第2の入射スポットの強度に応じた電気信号(「画像信号」と呼ぶ)を生成し、記録する手段(「記録手段」と呼ぶ)とを備えることを特徴とする装置。
  2. 前記の第1の入射スポットと、前記の第2の入射スポットの経路と実質的に重複しない空間に、配線と電気回路、もしくはその両方を備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
  3. 前記のループ走査制御手段が電子束の進行方向を変えるための偏向電極と、該偏向電極に印加する偏向電圧の生成手段を備えるとともに、請求項2に記載の前記の電気回路が、少なくとも前記の偏向電極を備えることを特徴とする請求項2に記載の装置。
  4. 前記の第1の入射線が電子線であって、該第1の入射線を透過させて第2の入射線にすることを特徴とする請求項1または請求項3に記載の装置。
  5. 前記のスポット化手段がゾーンプレートであることを特徴とする請求項1もしくは請求項2もしくは請求項3の装置
  6. パルス電子銃と、該パルス電子銃で生成したパルス電子束を面的に広げる手段と、該面的に広げられたパルス電子束が通過する試料台と、該試料台を透過後のパルス電子束を、M(M≧2)個のスポット状の電子束に変換する手段と、該スポット状の電子束の照射位置を、同時に走査させる手段とを備えることを特徴とする電子顕微鏡。
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