JP2007242252A - 質量分析装置 - Google Patents

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泰志 近藤
Koichi Tanaka
耕一 田中
Koji Eto
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Abstract

【課題】試料上の二次元領域についての複数の質量数のイオン分布イメージを高速且つ高空間分解能で取得し、且つ装置のコストを抑える。
【解決手段】面状のレーザ光等を試料9に照射することで試料9上の二次元範囲の物質を一斉にイオン化し、発生したイオンをその出射位置の相互関係を保持するようにTOF質量分離部4で質量分離して二次元検出部6に導入する。二次元検出部6はマイクロチャンネルプレート7と蛍光板8と画素周辺記録型撮像素子である二次元アレイ検出器20とから成る。二次元アレイ検出器20は光電変換により得た信号電荷を複数フレーム分保持可能であるから、1回のイオン発生からの時間経過に伴って繰り返し高速に撮像したイメージに対応した画素信号を内部に保持し、撮像終了後にその画素信号を順次読み出してデータ処理部11に送る。これにより、質量数の異なる複数のイオン分布イメージを取得することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、試料上の二次元範囲に存在する1乃至複数の物質をイオン化して質量分析する質量分析装置に関する。本発明に係る質量分析装置は、試料上の二次元範囲を顕微観察する顕微鏡と、その観察領域に存在する物質の質量分析を行って二次元的な定性情報や定量情報を取得する質量分析装置とを組み合わせた顕微質量分析装置に好適である。
質量分析装置は、気体状、液体状又は固体状の試料を構成する成分の分子や原子をイオン化し、そのイオンを質量数毎に分離して検出することにより、試料成分を同定したりその成分量を定量したりするための装置であって、現在では、生体試料の同定やタンパク質やペプチドの解析などの様々な用途に広く使用されている。
生化学分野、医療分野等では、生体内細胞を壊すことなくその細胞に含まれるタンパク質の分布情報を得たいという要求が大きいが、こうした要求に応えるものとして、顕微鏡と質量分析装置との機能を兼ね備えた顕微質量分析装置の開発が進められている。顕微質量分析装置では、例えばプレパラートなどにセットされた試料上の二次元範囲の物質の分布情報などを得ることが可能であるが、従来、こうした質量分析を行うためには、イオン化のためのレーザ光や粒子線の照射位置を試料上で順次走査し、その照射位置を移動する毎に照射位置から発生したイオンを質量分離して検出する、という操作を繰り返す必要があった。そのため、二次元範囲全体の質量分析を行うには多大な時間を要してしまう。また、単に分析時間が掛かるというだけでなく、その間に生体試料が損傷を受けたり変質してしまったりするおそれがあり、正確な分析に支障をきたすという問題がある。
こうした問題に対し、非特許文献1では、試料上の物質の二次元分布を反映するようにイオンを二次元状に生成し、これを飛行時間型質量分離器で質量分離して二次元検出器で検出する方法が提案されている。しかしながら、従来のイオン検出器を二次元状に配置すると、検出器の数の分だけアンプやデジタイザ等の測定回路を並設する必要があり、多大なコストが掛かる。もちろん、コストを削減するために検出器の数を減らすと位置分解能(空間分解能)が落ちて実用性に乏しくなる。
内藤康秀、「生体試料を対象にした質量顕微鏡」、日本質量分析学会誌、Vol.53,No.3,2005
上記のような顕微質量分析装置に要求されるのは、
(1)短時間の分析でできるだけ多くの質量数についての二次元分布情報を取得できること。
(2)二次元分布情報(イオン分布イメージ)の空間分解能が高いこと。
(3)装置が実用的な価格で提供されること。
などである。現在のところ、上記のような要求を満たす装置は存在しておらず、本発明はこうした要求を満たした新規な質量分析装置を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために成された第1発明に係る質量分析装置は、
a)試料上の所定の二次元範囲に含まれる成分を一斉にイオン化するイオン生成手段と、
b)該イオン生成手段により生成されたイオンを各イオンが生成された位置の情報を保持しつつ質量数に応じて分離する質量分離手段と、
c)光電変換を行う微小検出素子を二次元状に配列した検出面と、各検出受光素子で得られた電気信号を所定のフレーム数分保持可能な記憶部とを有する画素周辺記録型撮像素子である二次元検出手段と、
d)前記質量分離手段により質量数毎に分離されたイオンを各イオンが生成された位置の情報を保持しつつ光子に変換して前記二次元検出手段の検出面に入射させる変換手段と、
を備え、前記イオン生成手段により試料上の二次元範囲から発生したイオンを質量数毎に前記二次元検出手段にて検出して1乃至複数の二次元分布情報を得るようにしたことを特徴としている。
また上記課題を解決するために成された第2発明に係る質量分析装置は、
a)試料上の所定の二次元範囲に含まれる成分を一斉にイオン化するイオン生成手段と、
b)該イオン生成手段により生成されたイオンを各イオンが生成された位置の情報を保持しつつ質量数に応じて分離する飛行時間型の質量分離手段と、
c)微小検出素子を二次元状に配列した検出部と、各微小検出素子で得られた電気信号を所定のフレーム数分保持可能な記憶部とを有し、前記検出部が形成された面と反対側の面にある検出面に入射した電子を前記各微小検出素子で捕捉して検出を行う裏面型の画素周辺記録型撮像素子である二次元検出手段と、
d)前記質量分離手段により質量数毎に分離されたイオンを各イオンが生成された位置の情報を保持しつつ電子に変換して前記二次元検出手段の検出面に入射させる変換手段と、
を備え、前記イオン生成手段により試料上の二次元範囲から発生したイオンを質量数毎に前記二次元検出手段にて検出して1乃至複数の二次元分布情報を得るようにしたことを特徴としている。
第1発明に係る質量分析装置において二次元検出手段として使用される画素周辺記録型撮像素子とは、例えば特開2001−345441号公報などに記載のような特殊な構造の撮像素子である。即ち、受光部である各フォトダイオード(微小検出素子)毎にそれぞれ記録枚数分の転送を兼ねた蓄積用CCD(記憶部)を備え、撮影中にはフォトダイオードで光電変換された電気信号を蓄積用CCDに順次転送し、撮影終了後に蓄積用CCDに記憶してある記録枚数分の電気信号を読み出すことによって画素信号を取得するものである。撮影中に記録枚数(フレーム数)分を越えた電気信号は廃棄され、常に最新の記録枚数分の電気信号が蓄積用CCDに保持されるようにしているため、撮影の終了時に蓄積用CCDへの電気信号の転送を中止すれば、その時点から時間的に記録枚数分だけ遡った時間からの最新の画像が得られることになる。したがって、1フレーム分の電気信号が得られる毎にそれを外部に取り出す必要がある一般的な撮像素子とは異なり、非常に高速に繰り返し画像を得ることができる。
一方、第2発明に係る質量分析装置において二次元検出手段として使用される裏面型画素周辺記録型撮像素子とは、例えば特開2004−235621号公報などに記載のように、上述した画素周辺記録型撮像素子を裏面入射型に変更した構造の撮像素子である。上記通常の画素周辺記録型撮像素子では入射光、つまり光子をフォトダイオードで光電変換して電気信号に変換しているのに対し、裏面型の画素周辺記録型撮像素子では検出面に入射した電子がフォトダイオードに到達することで電気信号を出力するようにしている。
いずれにしてもこうした撮像素子は、従来、例えば爆発、破壊、燃焼、衝突、放電などの高速の現象を、短時間だけ連続的に撮影するための高速ビデオカメラに採用されているものであり、理論上は最高で1億コマ/秒程度のきわめて高速度の撮影が可能である。
二次元検出手段として通常の画素周辺記録型撮像素子を用いる場合には、その検出面に光を入射する必要があり、第1発明に係る質量分析装置における変換手段は、質量数毎に分離されたイオンを各イオンが生成された位置の情報を保持しつつ光子に変換する。変換手段の具体的な態様としては、例えばイオンを電子に変換するマイクロチャンネルプレート(MCP)と、電子を光子に変換する蛍光板との組み合わせとすることができる。MCPでは入射したイオン量に応じて発生した電子を増倍させることができるから、二次元検出手段での検出感度を向上させることができる。
一方、二次元検出手段として裏面型の画素周辺記録型撮像素子を用いる場合には、その検出面に直接的に電子を入射することができる。したがって、第2発明に係る質量分析装置における変換手段の具体的な態様として上記MCPだけでよい。前述のようにMCPと二次元検出手段(画素周辺記録型撮像素子の検出面)との間に蛍光板を介挿することで結像がボケ易くなるが、第2発明の構成では蛍光板が不要になるため、こうした結像ボケの要因を減らすことができ空間分解能の向上が期待できる。
なお、イオン生成手段は、例えばレーザ光などの電磁波のエネルギーや、イオン、中性原子などの粒子の持つ運動エネルギーを二次元的に試料に短時間与えることで、試料上の二次元範囲に含まれる成分を一斉に、つまりほぼ同時にイオン化するものとすることができる。また、質量分離手段は典型的には飛行時間型の質量分離器である。
第1及び第2発明に係る質量分析装置では、二次元検出手段が所定のフレーム数分の電気信号を保持可能な記憶部を内蔵しているため、少なくともこのフレーム数だけ電気信号を二次元検出手段(撮像素子)の外部に取り出すことなく、連続的に二次元画像を取得することができる。試料から発生したイオンは質量分離手段により時間的に質量分離されるため、二次元検出手段の検出面には短時間の期間中の時間経過に伴って質量数が異なるイオンが順番に到達する。したがって、上述したように連続して繰り返し二次元画像を得ると、それぞれの画像が互いに質量数の異なるイオン分布イメージを反映したものとなる。このように、試料上での1回のイオン化に対応して、質量数の相違する複数のイオンの二次元分布情報を取得することができる。
而して第1及び第2発明に係る質量分析装置によれば、例えば試料上の二次元範囲内の物質の局在状態などを示す情報を短時間で得ることができる。これにより、分析効率が向上しスループットを上げることができる。また、分析が短時間で終了することから、試料が例えば生体試料であるような場合に試料への損傷を軽減することができ、例えば生きた状態である細胞についての情報を得ることができる。また試料が時間経過や熱等により変質し易いものであっても、こうした変質が生じる前に分析を終了することができ、従来よりも正確な分析が可能となる。
また、二次元検出手段として用いられる画素周辺記録型撮像素子は、通常のCMOS半導体プロセスにより製造可能なものであり、微小検出素子を高い密度で二次元状に配列することが可能でその画素数も多くできる。したがって、高い空間分解能を達成することができ、従来型のイオン検出器を多数並べる場合に比べてコストも削減できる。
まず、第1発明に係る質量分析装置を用いた顕微質量分析装置の一実施例(第1実施例)について、図面を参照して説明する。図1はこの第1実施例の顕微質量分析装置の要部の概略構成図である。
この顕微質量分析装置では、試料に含まれる成分を一斉にイオン化するイオン源としてレーザ脱離イオン化(LDI)法を用いている、即ち、試料ステージ2上に載置された試料9に対して二次元状に拡がりを有するイオン化のためのレーザ光1を短時間照射する。このレーザ光1の照射により、試料9からはその二次元面上に存在する各種の物質がそれぞれほぼ同時にイオン化される。そして、二次元状に拡がりを持ちつつ生成された各種イオンはそれぞれの相対的な位置関係を保持したまま、集束イオン光学系3を通して飛行時間型(TOF)質量分離部4に導入される。ここではTOF質量分離部4はリニア型のTOFであるが、リフレクトロン型や周回型など他の形態のTOFでもよい。重要なことは、試料9上の異なる位置から出射したイオンが質量分離の際に入り混じることなく、試料9からの出射時(TOF質量分離部4の飛行空間への入射時)の位置情報が保持されることである。
このTOF質量分離部4の飛行空間を飛行する間に各種イオンは質量数に応じて時間差がつく。具体的には、試料9上の同一位置から同時に出射したイオンは同じ飛行軌道を通るが、TOF質量分離部4の飛行空間を飛行する間に、質量数が小さなイオンは先行し質量数が大きなイオンほど遅れを生じる。このようにして時間的に質量分離された状態でTOF質量分離部4から出射したイオンは、拡大イオン光学系5を通過して二次元検出部6に到達する。拡大イオン光学系5は電場によってイオンの飛行軌道を曲げて入射してくるイオン分布イメージを所定比率で拡大するものであり、拡大を行っても各イオンの相対的な位置関係は保たれる。
二次元検出部6は、マイクロチャンネルプレート(MCP)7と、蛍光板8と、二次元アレイ検出器20と、から成る。図6(a)は二次元検出部6におけるイオン検出動作を模式的に示す図である。MCP7は二次元的に入射したイオンをそれぞれ電子に変換してこれを増倍させ、蛍光板8は前段のMCP7で増量された電子を受けてこれを光子に変換するものである。そして、この光子が二次元アレイ検出器20の検出面に入射する。MCP7と蛍光板8とはいずれも入射したイオンが持つ位置情報を保持するものであり、それ故に、試料9上で各イオンが出射する位置の情報は二次元アレイ検出器20の検出面においても保持される。
二次元アレイ検出器20は上述したように画素周辺記録型撮像素子と呼ばれる構造の素子である。図2はこの撮像素子の構造を模式的に示した図、図3は図2に示した撮像素子の1画素の機能構成図である。
検出面には一般的な光電変換のための微小検出素子であるフォトダイオード21が二次元状に多数配列され、各フォトダイオード21で生成された信号電荷を順送りしながら保持する記憶部としてのCCD列25が画素内又はその周辺に設けられている。フォトダイオード21で生成された信号電荷は書き込みゲート22を介してそれぞれのCCD列25に送り込まれ、垂直方向に並ぶ複数のフォトダイオード21に接続されたCCD列25の末端は同一の垂直電荷転送部23に接続され、水平方向に並ぶ複数の垂直電荷転送部23は1本の水平電荷転送部24に接続されている。CCD列25には所定フレーム分の検出信号(1個のフォトダイオード21を画素とみなしたときの画素信号)を保持可能であるため、外部に検出信号を読み出すこと無しに所定フレーム数分の画像を形成する検出信号を連続的に取得し、その後に保持していた検出信号を外部に読み出してデータ処理することができる。
上記のような二次元アレイ検出器20でのCCD列25への信号電荷の転送(つまりイメージのサンプリング)のタイミングやCCD列25に保持した信号電荷の外部への読み出しなどは制御部10により制御され、読み出された信号はデータ処理部11に入力されて一旦データメモリ12に格納される。そして。データ処理部11はデータメモリ12に格納されたデータに対して所定の解析処理を実行し、その結果を表示部13の画面上に表示する。
次に、上記構成の質量分析装置を用いた分析動作の一例を説明する。短時間のレーザ光1の照射により試料9上で生成された各種イオンは上述のようにTOF質量分離部4により時間的に質量分離され、拡大イオン光学系5により所定倍率に拡大されて二次元検出部6に到達する。したがって、二次元検出部6のMCP7の入射面に形成される像は試料9上の二次元範囲(イオンが生成された範囲)に対応したイオン分布イメージであり、そのイオン分布イメージは上記レーザ光1の照射時点から時間が経過するに伴って質量数の小さなものから順に質量数が大きくなるように変化する。したがって、或る一瞬を捉えると、MCP7の入射面には或る狭い質量数範囲を有するイオンのイオン分布イメージが結像している。このイメージが蛍光板8にて可視光に変換されて二次元アレイ検出器20に入射するわけである。
二次元アレイ検出器20において、各フォトダイオード21からCCD列25への信号電荷の転送レート、つまりイメージのサンプリングレートは一定であるとし、図4に示すように、時刻tsでイメージの取得を開始し、時刻t1、t2、…と等時間間隔Δtで信号電荷をCCD列25に順送りしながら記憶してゆくものとする。前述のように時間経過は検出対象のイオンの質量数が大きくなることを意味するから、時刻t1、t2、t3、…ではそれぞれ質量数(m/z)がM1、M2、M3、…(M1<M2<M3…)のイオン分布イメージに対応する画像F1、F2、F3、…が得られることになる。
例えば、二次元アレイ検出器20がその内部に6フレーム分の画像を記憶可能なCCD列25を備えるものとし、時刻t6の直後の時刻teでイメージの取得を停止すると、二次元アレイ検出器20の内部のCCD列25には質量数M1、…、M6の6枚のイオン分布イメージに対応した画像F1〜F6を表す信号電荷が保持される。時刻ts〜teの間では信号電荷を二次元アレイ検出器20から読み出す必要がないので、サンプリング時間間隔Δtは感度に支障をきたさない範囲であれば非常に短くすることができる。図4で明らかなように、この質量分析装置において質量分解能はサンプリング時間間隔Δtに依存する。イオンの飛行速度は非常に速いため、検出の時間分解能としてはサブマイクロ秒の速度が要求されるが、上記のような構造の検出器によればこうした高速性に十分対応できる。
1回のイオン生成に対応した二次元アレイ検出器20での一連のイオン分布イメージの取得を停止した後に、制御部10の制御の下に、二次元アレイ検出器20から検出信号を順次読み出してデータ処理部11に送り一旦データメモリ12に記憶する。そして、データ処理部11はデータメモリ12に格納されたデータに対する所定の処理を実行する。例えば、質量数毎に、二次元アレイ検出器20の各画素で得られた信号強度を濃淡で示すグレイスケール表示画像を作成するようにし、その質量数に対応した物質の分布情報を得られるようにすることができる。また、グレイスケール表示の代わりに信号強度の大小に応じて表示色を変えるようにしたり、信号強度を別の軸とした三次元グラフ表示としてもよい。また、同程度の信号強度、つまり濃度の位置を線でつないで等高線表示する等、任意の表示形式で以て上記のような分析結果を表示部13に表示させることができる。
上記実施例による質量分析装置では、サンプリング時間間隔Δtを一定にしていたため質量分解能は全質量範囲で一定であるが、1回のイオン生成に対応した一連の分析中にサンプリング時間間隔Δt変化させることにより特定の質量数付近での質量分解能を上げることができる。こうした例を図5に示す。
この例では、時刻tsでイメージの取得を開始した後、当初、短いサンプリング時間間隔Δt1で信号電荷をCCD列25に順送りし、その後、サンプリング時間間隔をΔt2に長くする。これにより、全質量範囲の中で相対的に質量数が小さな領域では質量分解能が上がり、その領域よりも質量数が大きな領域では質量数分解能は下がる。このようにして質量分解能を適宜に決めることができる。但し、サンプリング時間間隔を短くすると各フォトダイオード21での電荷蓄積時間が短くなるため感度は相対的に低下する。したがって、許容可能な感度の範囲でサンプリング時間間隔を決める必要がある。また、質量分解能を上げるためにサンプリング時間間隔を短くしたい場合には、例えばMCP7での電子増倍率を上げる、或いは蛍光板8での発光効率を上げる等、二次元アレイ検出器20の前段での増幅率を上げる工夫をするとよい。
また、上記実施例では拡大イオン光学系5をTOF質量分離部4を通過した後のイオン経路上に配置していたが、TOF質量分離部4に入射する前のイオン経路に配置しても同じようにイオン分布イメージを拡大することができる。
また、拡大イオン光学系5はイオンの軌道を変える静電レンズであって、これに印加する電圧を一連の分析中に変化させることにより、次のような分析手法が可能である。
即ち、例えば図1に示す構成において、拡大イオン光学系5に印加する電圧を大きくすると、通過しようとするイオンの軌道が大きく曲がり二次元検出部6に到達しなくなる。つまり、二次元検出部6で検出対象とするイオンを選択することが可能である。そこで、例えば図5に示したようなタイミングで以てイメージを取得する場合に、画像F3に相当するイオンが拡大イオン光学系5を通過した直後のタイミングで該拡大イオン光学系5に印加する電圧を大きくすることにより、それ以降に通過しようとする質量数がM3よりも大きなイオンを二次元検出部6に達する軌道から大きくそらす。これにより、二次元検出部6ではそれ以降のイオン検出が不要になり、二次元アレイ検出器20ではCCD列25に保持した信号電荷を速やかに読み出してデータ処理を実行することができる。これによって、実質的に分析にあてている時間を短縮してスループットを向上させることができる。また同様の効果を達成するために、蛍光板8で発生した光を遮蔽する電子シャッタを二次元アレイ検出器20の検出面に設けてもよい。
次に第2発明に係る質量分析装置を用いた顕微質量分析装置の一実施例(第2実施例)について、図面を参照して説明する。図7はこの第2実施例の顕微質量分析装置の要部の概略構成図であり、上記第1実施例と同じ構成要素には同一符号を付して説明を省略する。この第2実施例が第1実施例と異なるのは、基本的に、二次元検出部6の構成だけである。
即ち、第1実施例に係る質量分析装置では、二次元アレイ検出器20として通常の画素周辺記録型撮像素子を用いていたが、その撮像素子はフォトダイオードで光源変換を行うものであり、光を入射する必要があった。これに対し、この第2実施例に係る質量分析装置では、二次元アレイ検出器30に裏面型の画素周辺記録型撮像素子を用いる。前述のようにこの撮像素子自体は既に知られてものであり、基本的な素子構成は画素周辺記録型撮像素子と同じであるが、基板を薄くして裏面に入射された電子がおもて面近くまで貫通し易くすることにより、フォトダイオードに相当する各微小領域で入射してきた電子で捕捉してこれにより流れる電流を光電流の代わりに用いるものである。したがって、二次元アレイ検出器30に直接的に電子を入射して、この電子の量に応じた検出信号を取り出すことができる。
即ち、図6(b)に示すように、MCP7は二次元的に入射したイオンをそれぞれ電子に変換してこれを増倍させるが、その後段に蛍光板は必要なく、増量された電子を二次元アレイ検出器30の検出面(裏面)に入射する。もちろん、試料9上で各イオンが出射する位置の情報は二次元アレイ検出器30の検出面においても保持される。この構成では、蛍光板が不要になるためその分のコストを削減できるという利点があるが、それとともに、蛍光板のような部材を介挿することにより起こりがちであった結像のボケの軽減に有効である。したがって、イオン分布イメージの空間分解能の向上に有効である。
なお、上記実施例はいずれも一例であって、本発明の趣旨の範囲で適宜変形や修正、追加を行なえることは明らかである。
本発明の一実施例(第1実施例)による顕微質量分析装置の要部の構成図。 第1実施例の顕微質量分析装置で使用される画素周辺記録型撮像素子の概略構成図。 図2に示した画素周辺記録型撮像素子の1画素の機能構成図。 第1実施例の顕微質量分析装置の動作説明のための模式図。 第1実施例の顕微質量分析装置の他の動作説明のための模式図。 第1及び第2実施例の顕微質量分析装置の検出部の動作説明のための模式図。 本発明の他の実施例(第2実施例)による顕微質量分析装置の要部の構成図。
符号の説明
1…レーザ光
2…試料ステージ
3…試料
4…TOF質量分離部
5…拡大イオン光学系
6…二次元検出部
7…マイクロチャンネルプレート
8…蛍光板
10…制御部
11…データ処理部
12…データメモリ
13…表示部
20…二次元アレイ検出器(画素周辺記録型撮像素子)
21…フォトダイオード
22…ゲート
23…垂直電荷転送部
24…水平電荷転送部
25…CCD列
30…二次元アレイ検出器(裏面型画素周辺記録型撮像素子)

Claims (5)

  1. a)試料上の所定の二次元範囲に含まれる成分を一斉にイオン化するイオン生成手段と、
    b)該イオン生成手段により生成されたイオンを各イオンが生成された位置の情報を保持しつつ質量数に応じて分離する質量分離手段と、
    c)光電変換を行う微小検出素子を二次元状に配列した検出面と、各微小検出素子で得られた電気信号を所定のフレーム数分保持可能な記憶部とを有する画素周辺記録型撮像素子である二次元検出手段と、
    d)前記質量分離手段により質量数毎に分離されたイオンを各イオンが生成された位置の情報を保持しつつ光子に変換して前記二次元検出手段の検出面に入射させる変換手段と、
    を備え、前記イオン生成手段により試料上の二次元範囲から発生したイオンを質量数毎に前記二次元検出手段にて検出して1乃至複数の二次元分布情報を得るようにしたことを特徴とする質量分析装置。
  2. a)試料上の所定の二次元範囲に含まれる成分を一斉にイオン化するイオン生成手段と、
    b)該イオン生成手段により生成されたイオンを各イオンが生成された位置の情報を保持しつつ質量数に応じて分離する質量分離手段と、
    c)微小検出素子を二次元状に配列した検出部と、各微小検出素子で得られた電気信号を所定のフレーム数分保持可能な記憶部とを有し、前記検出部が形成された面と反対側の面にある検出面に入射した電子を前記各微小検出素子で捕捉して検出を行う裏面型の画素周辺記録型撮像素子である二次元検出手段と、
    d)前記質量分離手段により質量数毎に分離されたイオンを各イオンが生成された位置の情報を保持しつつ電子に変換して前記二次元検出手段の検出面に入射させる変換手段と、
    を備え、前記イオン生成手段により試料上の二次元範囲から発生したイオンを質量数毎に前記二次元検出手段にて検出して1乃至複数の二次元分布情報を得るようにしたことを特徴とする質量分析装置。
  3. 前記質量分離手段と前記変換手段との間に配置されイオンの軌道を変化させる偏向手段と、前記質量分離手段を通過して前記変換手段に導入されるイオンの質量数又は質量数範囲を選択するように前記偏向手段を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の質量分析装置。
  4. 前記二次元検出手段の各微小検出素子で得られた電気信号を前記記憶部に取り込む時間間隔を分析中に変化させることにより、特定の質量数範囲の質量分解能を高める又は低下させることを特徴とする請求項1又は2に記載の質量分析装置。
  5. 前記質量分離手段の前段又は後段に拡大イオン光学系を配置し、試料上の二次元範囲よりも拡大したイオン分布イメージを前記二次元検出手段により検出可能としたことを特徴とする請求項1又は2に記載の質量分析装置。

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