JP2018129334A - 電磁ソレノイドおよび電磁ソレノイドの製造方法 - Google Patents

電磁ソレノイドおよび電磁ソレノイドの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】筒状部材の内周とプランジャの外周との間に異物が入り込んだ場合にもプランジャの良好な作動を可能にする電磁ソレノイドを構成する。【解決手段】筒状部材23の内部に配置されるプランジャ21の外周面21Sが、軸芯を中心とする円柱状の外壁領域21Saと、外壁領域21Saを基準に窪む多数の凹部bで成る粗面領域21Sbとを有している。凹部bが所定直径の球状内面であり、複数の凹部bの少なくとも一部が重複することにより、外壁領域21Saを基準にした凹部bの窪みが、異物aの予め設定された粒径Gより大きい深さEの異物収容部Tとして形成した。【選択図】図4

Description

本発明は、励磁コイルに通電することにより筒状部材の内部に嵌挿したプランジャを直線的に作動させる電磁ソレノイドおよび電磁ソレノイドの製造方法に関する。
電磁ソレノイドとして特許文献1には、円筒状の筒状部材(文献ではプレート)の内部空間にプランジャが配置され、筒状部材の外部に配置された励磁コイルに通電することによりプランジャの位置が決まる構成が記載されている。
この特許文献1は、プランジャの作動により弁体を開閉するものであり、プランジャの両端部を面取り加工により先細り状に成形している。このようにプランジャを面取り加工することによりプランジャの作動時の摩耗粉の発生を抑制する。
この特許文献1では、プランジャの外周に複数の穴を形成することや、プランジャに筒状の材料を用い、内周と外周とを連通させる複数の貫通を形成することにより、摩耗粉を貫通孔に取り込むように構成されている。
特許文献2には、筒状部材(文献ではスプール)の外周に励磁コイルを配置し、この筒状部材の内部にプランジャを嵌挿し、プランジャにアーマチュアを備えており、励磁コイルに通電することによりプランジャの作動を行う構成が記載されている。
この特許文献2では、プランジャの外周にショットピーニングやサンドブラストにより凹凸面を形成しており、これにより凹部を油溜まりにすることや、プランジャと筒状部材との面対面の接触を抑制している。
特許文献3では、バルブケースにニードルを軸芯方向に移動自在に収容し、バルブケースに一体形成した筒状部材(文献ではステータコア)に対し、ニードルに一体形成したプランジャ(文献ではアーマチャ)を嵌挿し、筒状部材を取り囲む領域に励磁コイル(文献ではソレノイドコイル)を配置し、ニードルを突出方向に付勢するリターンスプリングを備えた流量制御弁が記載されている。
この特許文献3では、励磁コイルに通電することによりリターンスプリングの付勢力に抗してプランジャを作動させ、ニードルによる流体の制御を可能にするものである。特に、プランジャ(アーマチャ)の外周に複数の円環状油溝と、複数の軸方向溝とを設けている。
このように設けられた複数の軸方向溝が異物排出通路として機能することから、スプリング収容室等に対流する摩耗粉等を、異物排出通路を介して排出し、異物によるニードルの摺動不良を抑制する。
特開2015‐212556号公報 特開2010‐212016号公報 特開2007‐56964号公報
車両の油圧機器に作動油を供給する電磁バルブとしては、作動油の流れを制御するスプールと、このスプールを直線的に作動させる電磁ソレノイドとを備える構成が想像される。
電磁バルブにおいて、外周に励磁コイルが配置される筒状部材の内部に移動自在に磁性体製のプランジャを配置した電磁ソレノイドの構成では、プランジャとスプールとが隣接配置され、プランジャの円滑な作動を行う目的から、スプールからの作動油の一部を筒状部材とプランジャとの間隙に送り込む構成も多く採用される。
ここでエンジンのオイルパンのオイル(エンジンオイル)を作動油として用いるものを考えると、電磁バルブにおいて筒状部材の内周と、スプールの外周との間隔が小さい場合には、エンジンオイルに含まれる微粒子が筒状部材の内周とプランジャの外周との間に入り込み、プランジャの円滑な作動を妨げることもあった。特に、エンジンとしてディーゼルエンジンを備えている車両では、燃焼時に発生するカーボン粒子がエンジンオイルに混入するため、プランジャの摺動抵抗を増大させ作動を妨げ易く改善が望まれるものであった。
更に、電磁ソレノイドではプランジャの作動時に筒状部材の内面に接触することにより摩耗粉が発生し、この摩耗粉が異物となってプランジャの作動を妨げることもあった。
このように作動油にカーボン粒子や摩耗粉等の異物が含まれる状況を考えると、特許文献1に記載される技術では、筒状部材の内周とプランジャの外周とのクリアランスが一定であるため異物によるプランジャの作動不良の改善を期待できないものとなる。また、特許文献2に記載される技術ではプランジャ表面に形成される凹部の窪みの深さが、作動油に含まれる異物の粒径を考慮したものではないためプランジャの直線的な作動が損なわれることも考えられた。
更に、特許文献3に記載される技術では、筒状部材の内周とプランジャの外周との間に入り込んだ異物の排出が可能であるものの、円環状油溝と軸方向溝とを除いた領域では筒状部材の内周とプランジャの外周とのクリアランスが一定であるため作動油に含まれる異物による作動不良を招くことも考えられる。
このような理由から、筒状部材の内周とプランジャの外周との間に異物が入り込んだ場合にもプランジャの良好な作動を可能にする電磁ソレノイド、及び、その製造方法が求められる。
本発明の特徴は、筒状部材と、前記筒状部材の内部において前記筒状部材の軸芯に沿って移動自在に配置される磁性体製のプランジャと、磁力を作用させることで前記プランジャを前記筒状部材の軸芯に沿って作動させる励磁コイルとを備え、
前記プランジャの外周面が、前記プランジャの軸芯を中心とする円柱状の外壁領域と、当該外壁領域を基準に窪む多数の凹部で成る粗面領域とを有しており、
前記凹部が所定直径の球状内面を有し、複数の前記凹部の少なくとも一部が重複して形成されることにより、前記外壁領域を基準にした前記凹部の窪みが、前記筒状部材の内周面と前記プランジャの外周面との隙間に入り込む異物の予め設定された粒径よりも大きい深さの異物収容部として形成した点にある。
この特徴構成によると、筒状部材の内周面とプランジャの外周面との間に異物が入り込んだ場合には、その異物はプランジャにおいて粗面領域を構成する異物収容部に嵌り込むことにより、その異物が筒状部材の内周とプランジャの外周とに同時に接触することがない。これにより、異物により摺動抵抗が増大することがなく、プランジャの作動も損なわれない。また、この構成では、プランジャの外周面が、プランジャの軸芯を中心とする平滑な円柱状の外壁領域と、多数の凹部で成る粗面領域とで構成されているため、プランジャが軸芯に沿う方向に直線的に作動する場合には、プランジャの外壁領域が筒状部材の内周面に案内され、プランジャの軸芯を筒状部材の内周の軸芯に一致させた状態での高精度での移動が可能となる。
従って、筒状部材の内周とプランジャの外周との間に異物が入り込んだ場合にもプランジャの良好な作動を可能にする電磁ソレノイドが構成された。
他の構成として、前記異物収容部が、少なくとも前記軸芯に沿う方向に連なることで、前記プランジャの少なくとも一方の端部に達しても良い。
これによると、異物収容部に異物が嵌り込んだ場合には、その異物を軸芯に沿う方向に移動させ、プランジャの一方の端部から排出することが可能となり、プランジャの一層良好な作動を実現する。
他の構成として、前記筒状部材の内周面と、前記プランジャの前記外壁領域との間隙が前記粒径より大きく設定されても良い。
これによると、筒状部材の内壁面と、プランジャの外壁領域との間に異物が入り込んだ場合にも、その異物が筒状部材の内壁面とプランジャの外壁領域とに同時に接触する不都合がない。これによりプランジャの一層良好な作動を実現する。
本発明の特徴は、筒状部材と、前記筒状部材の内部において前記筒状部材の軸芯に沿って移動自在に配置される磁性体製のプランジャと、磁力を作用させることで前記プランジャを前記筒状部材の軸芯に沿って作動させる励磁コイルとを備えて電磁ソレノイドが構成されると共に、
前記プランジャが、母材に対するショットピーニングにより、投射材が衝突せず前記プランジャの軸芯を中心とする円柱状となる外壁領域と、投射材が衝突することで当該外壁領域を基準に窪む多数の凹部を有する粗面領域と、を外面に形成しており、
複数の前記凹部の少なくとも一部が重複することにより異物収容部が形成される点にある。
この特徴構成によると、プランジャの母材に投射材を衝突させるショットピーニングを行うことにより、投射材が衝突しない領域を外壁領域にすると共に、投射材が衝突して形成される多数の凹部で粗面領域にできる。つまり、プランジャの外周面には軸芯を中心とする平滑な円柱状の外壁領域と、多数の凹部が重複して形成される異物収容領域を形成できる。
これにより、筒状部材の内周面とプランジャの外周面との間に異物が入り込んだ場合には、その異物がプランジャにおいて粗面領域を構成する異物収容部に嵌り込むことが可能となり、その異物が筒状部材の内周とプランジャの外周とに同時に接触することがない。また、異物により摺動抵抗が増大することがなく、プランジャの作動も損なわれない。
更に、この構成では、プランジャの外周面が、プランジャの軸芯を中心とする平滑な円柱状の外壁領域と、多数の凹部で成る粗面領域とで構成されているため、プランジャが軸芯に沿う方向に作動する場合には、プランジャの外壁領域が筒状部材の内周面に案内され、プランジャの軸芯を筒状部材の内周の軸芯に一致させた状態での移動が可能となる。
従って、筒状部材の内周とプランジャの外周との間に異物が入り込んだ場合にもプランジャの良好な作動を可能にする電磁ソレノイドの製造方法が構成された。
他の構成として、隣り合う前記凹部を、少なくとも前記軸芯に沿う方向に並ぶように重複して形成することにより、前記異物収容部が、前記プランジャの少なくとも一方の端部に達しても良い。
これによると、異物収容部に異物が嵌り込んだ場合には、その異物を軸芯に沿う方向に移動させ、プランジャの一方の端部から排出することが可能となり、プランジャの一層良好な作動を実現する。
スプールが第1ポジションにある電磁バルブの断面図である。 スプールが中立ポジションにある電磁バルブの断面図である。 スプールが第2ポジションにある電磁バルブの断面図である。 本実施形態のプランジャの外周面とリヤヨークとの間隙部位の拡大断面図である。 本実施形態のプランジャの外壁領域と粗面領域とを示す拡大図である。 比較例1の拡大断面図である。 比較例2の拡大断面図である。 比較例1の電流値のヒステリシスを示すグラフである。 比較例2の電流値のヒステリシスを示すグラフである。 本実施形態の電流値のヒステリシスを示すグラフである。 ヒステリシスの差を明らかにするグラフである。 別実施形態(a)の電磁ソレノイドユニットの断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図3に示すように、バルブユニット10と電磁ソレノイドユニット20とを備えて電磁バルブVが構成されている。
この構成では、バルブユニット10をエンジンのシリンダブロック等のブロック状部材1の孔状部に嵌め込み、バルブユニット10のブラケット14を締結ボルト2で締結することにより電磁バルブVがブロック状部材1に支持される。
電磁バルブVは、車両のエンジンの吸気バルブや排気バルブの開閉時期(バルブタイミング)を設定する弁開閉時期制御装置や、車両の複動型の油圧シリンダ等に対する作動油の給排を制御する。
この実施形態では、エンジンのオイルパンの潤滑油を作動油として用いている。ブロック状部材1には油圧ポンプPから作動油が供給される供給流路1pと、油圧アクチュエータに連通する第1流路1aおよび第2流路1bと、作動油をオイルパンに戻す排出流路1dとが形成される。
〔バルブユニット〕
図1〜図3に示すように、ブロック状部材1に対し軸芯Xを中心に形成された孔状部に筒状のスリーブ11を嵌め込み、このスリーブ11の内部に軸芯Xに沿って直線的にスライド移動自在にスプール12を挿嵌し、スリーブ11の内端にスプール12に突出方向(図1で右側)に付勢力を作用させるスプールスプリング13を収容してバルブユニット10が構成されている。
スリーブ11のうちブロック状部材1より外部にブラケット14を備えており、このブラケット14のボルト挿通孔に前述した締結ボルト2が挿通される。尚、孔状部と、スリーブ11と、スプール12とは共通する軸芯Xと同軸芯で配置される。
スリーブ11の外周には供給流路1pと、第1流路1aと、第2流路1bとに個別に連通するように3つの環状溝が形成されている。スリーブ11の内端(図1で左端)には排出流路1dに連通するドレンポート11dが形成されている。
スリーブ11には、外周の3つ環状溝に個別に連通するようにポンプポート11pと、第1ポート11aと、第2ポート11bとが径方向に沿う姿勢の貫通孔で形成されている。これにより、ポンプポート11pは供給流路1pに連通し、第1ポート11aは第1流路1aに連通し、第2ポート11bは第2流路1bに連通する。
スプール12は、外周に一対のランド部12aを形成し、内部には軸芯Xと同軸芯でドレン流路12bが形成されている。スプール12のうち外端側(図1で右側)のランド部12aより外側には、内部のドレン流路12b空間に連通するドレン孔12dが形成されている。
この構成では、一対のランド部12aの中間の小径領域に油圧ポンプPから作動油が供給され、スプール12を軸芯Xに沿って作動させることにより、油圧ポンプPからの作動油を第1ポート11aと第2ポート11bとの一方に供給し、他方からドレンポート11dに排出する。
また、スプール12のうち電磁ソレノイドユニット側の端部位置には、このスプール12と電磁ソレノイドユニット20のプランジャ21に連結する筒状の連結体15が一体形成されている。尚、連結体15はスプール12と異なる部材で構成されるものでも良い。
〔電磁ソレノイドユニット〕
図1〜図3に示すように、電磁ソレノイドユニット20は、軸芯Xと同軸芯に配置されるプランジャ21と、フロントヨーク22と、リヤヨーク23(筒状部材の一例)と、ボビンに巻回される励磁コイル24と、筒状のケース25とを備えている。また、励磁コイル24に導通する端子を有するコネクタ26をリヤヨーク23の外面に備えている。
電磁ソレノイドユニット20では、前述したようにプランジャ21が軸芯Xと同軸芯で配置されると共に、フロントヨーク22の筒状部分と、リヤヨーク23の筒状部分とが軸芯Xと同軸芯上に配置される。励磁コイル24は、軸芯Xに沿う方向でフロントヨーク22とリヤヨーク23とに亘る領域に配置される。
この構成では、フロントヨーク22に一体形成された嵌合部22aがスリーブ11の外端側に嵌め込まれることで電磁ソレノイドユニット20がスリーブ11に保持される。
プランジャ21と、フロントヨーク22とリヤヨーク23とは磁性体で構成され、フロントヨーク22の筒状部とリヤヨーク23の筒状部とが対向する部位にはプランジャ21に作用させる磁束を漏れ出させる間隙が形成されている。この構成では、励磁コイル24に通電することにより間隙から漏れ出した磁束でプランジャ21を吸引して軸芯Xに沿って直線的に作動させる。つまり、吸引力によってスプール12に押圧力(図1で左側に向かう力)を作用させように間隙の位置が設定されている。
プランジャ21には軸芯Xを中心とする孔部21bが形成され、この孔部21bが連結体15の内部空間を介してスプール12のドレン流路12bに連通する。更に、プランジャ21に連結する連結体15には、外部空間と内部空間とを連通させる貫通孔15aが形成されている。プランジャ21の内端側(図1で左側)の外周にテーパ面21tが形成されている。
電磁ソレノイドユニット20では、リヤヨーク23は全体的にカップ状に成形され、このカップ状の空間と、フロントヨーク22の筒状部の内側の空間とで収容空間Sが形成される。この電磁ソレノイドユニット20では、収容空間Sにプランジャ21が配置されるが、この構成ではプランジャ21の全体がリヤヨーク23の内部に収容される。
電磁ソレノイドユニット20では、収容空間Sに対してバルブユニット10からの作動油の一部が流入するが、前述したようにプランジャ21の孔部21bがスプール12のドレン流路12bに連通するため収容空間Sの作動油を排出流路1dに排出できる。
〔作動形態〕
この電磁バルブVでは電磁ソレノイドユニット20に電流(電力)を供給しない場合には、スプールスプリング13の付勢力によりスプール12がフロントヨーク22の嵌合部22aの端部に当接し、図1に示す第1ポジションPaに維持される。
また、電磁ソレノイドユニット20の励磁コイル24に供給する電流値(電力)の設定によりスプールスプリング13の付勢力に抗してスプール12を図2に示す中立ポジションPnに設定でき、電流値を更に増大させることによりスプール12を図3に示す第2ポジションPbに設定できる。
スプール12が、図1に示す第1ポジションPaに設定された場合には、油圧ポンプPからの作動油を第1ポート11aから油圧アクチュエータの一方の油室等に供給し、他方の油室等からの作動油を第2ポート11bからドレンポート11dに排出する。その結果、油圧アクチュエータを所定の方向に作動させる。
スプール12が、図2に示す中立ポジションPnに設定された場合には、第1ポート11aと第2ポート11bとにおいて作動油の給排が行われないため、油圧アクチュエータは停止状態を維持する。
更に、スプール12が、図3に示す第2ポジションPbに設定された場合には、油圧ポンプPからの作動油を第2ポート11bから油圧アクチュエータの他方の油室等に供給し、一方の油室等からの作動油を第1ポート11aからドレンポート11dに排出する。その結果、油圧アクチュエータを前述した所定と逆方向に作動させる。
〔プランジャの表面状態〕
エンジンオイル(作動油)には、エンジンの稼働時に発生する摩耗粉が混入し、エンジンの燃焼時に発生する粒子状物質が混入する。また、電磁バルブVにおいてプランジャ21の作動時には、プランジャ21の外周面21Sとリヤヨーク23の内周面23Sとの接触部位の摩耗により発生する摩耗粉が作動油に混入することもある。尚、この外周面21Sは、前述したテーパ面21tの最も大径となる部位から、軸芯Xに沿う方向での外端に達する領域である。
電磁バルブVでは、図4に示すように作動油に含まれる摩耗粉等の粒子を異物aと捉え、ガソリンエンジンでは、異物aの粒径Gを0.2μm程度と想定している。そして、電磁ソレノイドユニット20では、粒径Gの異物aがプランジャ21の外周面21Sと、リヤヨーク23の内周面23Sの隙間に入り込んだ場合にも、プランジャ21の円滑な作動を可能にするようにプランジャ21の外周面が加工されている。
つまり、本実施形態である図4、図5に示すように、プランジャ21の外周面21Sは、軸芯Xを中心として柱状となる平滑な外壁領域21Saと、この外壁領域21Saを基準に窪む多数の凹部bを有する粗面領域21Sbとで形成されている。更に、粗面領域21Sbには、異物収容部Tが形成される。
つまり、プランジャ21を製造する場合には、テーパ面21tを有し、軸芯Xを中心に予め設定された外径となる円柱状となる母材の外周面に粒状の投射材を高速で衝突させるショットピーニングによる加工が行われる。このショットピーニングによる加工において投射材が衝突しなかった領域で外壁領域21Saが形成され、投射材が衝突した領域に粗面領域21Sbが形成される。
特に、粗面領域21Sbでは、ショットピーニングにより、プランジャ21の母材の表面に多数の凹部bが形成される。具体的には、凹部bは直径Dが20μm程度の球状内面を有し深さEが2.5μm程度となるようにショットピーニングに用いる粒子の直径が100μm程度に設定されている。特に、このプランジャ21では外周面21Sの表面粗さが算術平均粗さRa=1.0μm程度に設定される。つまり、複数の凹部bによって異物収容部Tが形成されるものであり、外壁領域21Saを基準にした凹部bの窪みが、プランジャ21の外周面21Sと、リヤヨーク23の内周面23Sの隙間に入り込む異物aの予め設定された粒径Gよりも大きい深さEで形成される。
ショットピーニングでは、投射材が同じ位置に衝突することもあり、このような場合には凹部bの深さEが2.5μmより深くなる。尚、図4、図5では直径Dに対して深さEを誇張して示している。そして、粗面領域21Sbでは、隣り合う凹部bを互いに重複させることにより異物収容部Tが形成される。この異物収容部Tは複数の凹部bの少なくとも一部が重複することにより、少なくとも軸芯Xに連なる形態で形成される。これにより、凹部bに嵌り込んだ異物aは、プランジャ21の作動毎に作動油とともに隣り合う凹部bを順次流れ、この流れの結果、軸芯Xに沿う方向で外周面21Sの一方の端部から外方に排出される。
特に、図4に示すように電磁ソレノイドユニット20では、プランジャ21の外壁領域21Saと、筒状部材としてのリヤヨーク23の内周面23Sとの間隔Cが0.2μmより大きい値に設定されている。そして、プランジャ21の作動時には外壁領域21Saがリヤヨーク23の内周面23Sで案内される状態で作動させることが可能となり、高精度での直線作動を実現する。
〔性能実測結果〕
図6には、プランジャ21の外周面21Sにショットピーニング等による加工をせず、表面粗さを算術平均粗さRa=0.09μm程度の円柱状に維持し、リヤヨーク23の内周面23Sとの間隔Cを、想定される異物aの粒径Gより僅かに大きくした比較例1の構成を示している。
図7には、プランジャ21の外周面21Sの一部にショットピーニングの技術により多数の凹部bを形成することにより算術平均粗さRa=0.15μm程度の粗面領域21Sbを形成するものの、凹部bの深さEを、異物aの粒径Gより浅く設定し、リヤヨーク23の内周面23S(内壁部23Sa)との間隔Cを、想定される異物aの粒径Gより僅かに大きくした比較例2の構成を示している。
図8、図9、図10には、比較例1(未処理)と、比較例2(面粗度小)と、本実施形態(面粗度大)の構成とについて、励磁コイル24に供給する電力を増大する制御と、低減する制御とにおける第1流路1aと第2流路1bとに流通する作動油の油圧の差(差圧)の変化をグラフ化して示している。これらの図には電磁ソレノイドユニット20に供給する電流の増大によりスプール12を第1ポジションPaから第2ポジションPbまで作動させた場合と、電流を低減することによりスプール12を第2ポジションPbから第1ポジションPaまで作動させた際とにおける差圧を示している。
つまり、この構成の電磁バルブVでは、プランジャ21とスプール12とが一体作動するため、励磁コイル24に供給される電流値とプランジャ21との作動量とが適正に対応する場合には、電流値の増大に比例して第1ポート11aと第2ポート11bとの開度が変化し、第1流路1aと第2流路1bとの差圧も電流値に比例する。
この理由から、電磁ソレノイドユニット20に供給する電流値に対応するプランジャ21の作動量を移動距離として実測しないものでありながら、第1ポート11aと第2ポート11bとの差圧からプランジャ21の作動状態を把握することができる。
比較例1(算術平均粗さRa=0.09μm程度)では、図8に示すように電流値増大時の第2流路1bにおける圧力上昇を示す昇圧曲線iが滑らかでない。この後に電流値を低減した際にはスプールスプリング13の付勢力によりプランジャ21が逆方向に作動するものの、第2ポジションPbから逆方向に作動を開始する際の電流値が前述した所定値より小さくなり、圧力低下を示す減圧曲線jが滑らかでない。また、図8に示すように電流値の第1ヒステリシスH1が大きい。ヒステリシスとは、図8〜図10に示す差圧の最大値と最小値との中央値における電流の差値である。
この結果から、異物aがプランジャ21の外周面21Sと、リヤヨーク23の内周面23S(内壁部23Sa)とに同時に接触してプランジャ21の作動を損ないプランジャ21の作動が円滑でないことが理解できる。
比較例2(算術平均粗さRa=0.15μm程度)においても第1比較例と同様の傾向があるものの、図9に示すように昇圧曲線iと減圧曲線jが多少滑らかになり、電流値の第2ヒステリシスH2が小さいため、第1比較例と比較するとプランジャ21の作動が少し円滑であることが理解できる。
更に、本実施形態(算術平均粗さRa=1.0μm程度)では第1比較例と第2比較例と比較すると、図10に示すように昇圧曲線iと減圧曲線jが更に滑らかになり、電流値の本ヒステリシスHmが極めて小さいため、プランジャ21の作動が円滑であることが理解できる。
特に、図11には、比較例1と、比較例2と、本実施形態とにおいて、劣化した作動油を用いた場合の電流値のヒステリシスの関係(第1ヒステリシスH1、第2ヒステリシスH2、本ヒステリシスHm)を示しており、同図から、本実施形態の構成が最も円滑に作動することが理解できる。
この電磁バルブVでは、励磁コイル24に通電することにより中立ポジションPnに設定するものであるため、プランジャ21の表面に異物収容部Tを形成したものでは、第1ポジションPaから中立ポジションPnに設定する場合と、第2ポジションPbから中立ポジションPnに設定する場合との何れの場合でも励磁コイル24に供給する電流値に大きい差がなく、高精度の制御を可能にする。
〔実施形態の作用・効果〕
異物aが多く含まれている劣化した作動油を使用しても、プランジャ21の作動に伴う作動油の流れに伴い、プランジャ21の外周面21Sに存在する異物aは、プランジャ21の外周面21Sに形成された異物収容部Tに沿って移動できるため、プランジャ21の軸芯Xに沿う方向での端部から排出される。その後、異物aが含まれる作動油は孔部21bからドレン流路12bを通り、ドレンポート11dから外部に排出される。これにより、異物aがプランジャ21の外周面21Sに残留する不都合を解消してプランジャ21の摺動抵抗を低減し、常に円滑な作動を可能にする。
この電磁バルブVでは、異物aの粒径Gに対応して粗面領域21Sbの深さEを設定し、プランジャ21の外壁領域21Saと、筒状部材としてのリヤヨーク23の内周面23Sとの間隔Cを設定する。従って、例えば、ディーゼルエンジンのように燃焼時にカーボン粒子を異物aとして発生させるものでは、このカーボン粒子の異物aの粒径Gに対応して、深さEと間隔Cとを設定することも可能であり、この設定により電磁バルブVの円滑な作動が実現する。
この実施形態では、プランジャ21の母材の外周面21Sをショットピーニングにより投射材を投射することで粗面領域21Sbが形成され、投射材が衝突しない領域を外壁領域21Saとするため、例えば、ショットピーニングを行う時間の設定により、粗面領域21Sbと外壁領域21Saとを容易に形成できる。更に、ショットピーニングを行うことにより、残留応力付与効果によりプランジャ21の表面の硬度を向上させ、耐摩耗性の向上も可能となる。
〔別実施形態〕
本発明は、上記した実施形態以外に以下のように構成しても良い(実施形態と同じ機能を有するものには、実施形態と共通の番号、符号を付している)。
(a)図12に示すように電磁ソレノイドユニット20を、軸芯Xと同軸芯に配置されるプランジャ21と、このプランジャ21を収容するカップ状部材31(筒状部材の一例)と、コイル保持部32と、ボビンに巻回される励磁コイル24と、筒状のケース25とを備えて構成する。
この構成ではカップ状部材31がステンレスや、銅合金、アルミニウム合金等の非磁性体の金属で形成され、コイル保持部32は非磁性体の樹脂で構成されている。また、励磁コイル24に通電した際に発生する磁界によってプランジャ21がスプール12に押圧力(図12で左側に向かう力)を作用させるように、軸芯Xに沿う方向での励磁コイル24とプランジャ21との相対的な位置関係が設定されている。
この別実施形態(a)の構成でも、プランジャ21の外周面21Sに対し、実施形態で説明した外壁領域21Saと粗面領域21Sbとを形成し、この外周面21Sとカップ状部材31の内周面31Sとの間隔を適正に設定することでプランジャ21の適正な作動を可能にする。
(b)実施形態では、励磁コイル24に通電することによりプランジャ21の内方への作動によりスプール12に押圧力を作用させるため、リヤヨーク23が筒状部材として構成されるものであるが、励磁コイル24に通電した場合にプランジャ21が外方に作動することでスプール12に引き出し方向に力を作用させるように構成しても良い。このように構成した場合にはフロントヨーク22の内部にプランジャ21が配置されるため、このフロントヨーク22が筒状部材となる。
(c)電磁バルブVはスプール12を3ポジションに設定するものであるが、例えば、スプール12を2ポジションに設定するものや、3ポジション以上に設定するように構成しても良い。
(d)電磁ソレノイドのプランジャ21の母材をローレット加工することにより異物収容部Tを形成する。このように加工したものであっても、プランジャ21の外周面21Sには実施形態で説明した外壁領域21Saと粗面領域21Sbとが形成されることになり、プランジャ21の円滑な作動が実現する。
本発明は、励磁コイルに通電することで筒状部材に挿嵌したプランジャを作動させる電磁ソレノイドに利用することができる。
20 電磁ソレノイドユニット(電磁ソレノイド)
21 プランジャ
21S 外周面
21Sa 外壁領域
21Sb 粗面領域
22S 内周面
23 リヤヨーク(筒状部材)
24 励磁コイル
31 カップ状部材(筒状部材)
a 異物
b 凹部
D 直径
E 深さ
G 粒径
T 異物収容部
X 軸芯

Claims (5)

  1. 筒状部材と、前記筒状部材の内部において前記筒状部材の軸芯に沿って移動自在に配置される磁性体製のプランジャと、磁力を作用させることで前記プランジャを前記筒状部材の軸芯に沿って作動させる励磁コイルとを備え、
    前記プランジャの外周面が、前記プランジャの軸芯を中心とする円柱状の外壁領域と、当該外壁領域を基準に窪む多数の凹部で成る粗面領域とを有しており、
    前記凹部が所定直径の球状内面を有し、複数の前記凹部の少なくとも一部が重複して形成されることにより、前記外壁領域を基準にした前記凹部の窪みが、前記筒状部材の内周面と前記プランジャの外周面との隙間に入り込む異物の予め設定された粒径よりも大きい深さの異物収容部として形成されている電磁ソレノイド。
  2. 前記異物収容部が、少なくとも前記軸芯に沿う方向に連なることで、前記プランジャの少なくとも一方の端部に達している請求項1に記載の電磁ソレノイド。
  3. 前記筒状部材の内周面と、前記プランジャの前記外壁領域との間隙が前記粒径より大きく設定されている請求項1又は2に記載の電磁ソレノイド。
  4. 筒状部材と、前記筒状部材の内部において前記筒状部材の軸芯に沿って移動自在に配置される磁性体製のプランジャと、磁力を作用させることで前記プランジャを前記筒状部材の軸芯に沿って作動させる励磁コイルとを備えて電磁ソレノイドが構成されると共に、
    前記プランジャが、母材に対するショットピーニングにより、投射材が衝突せず前記プランジャの軸芯を中心とする円柱状となる外壁領域と、投射材が衝突することで当該外壁領域を基準に窪む多数の凹部を有する粗面領域と、を外面に形成しており、
    複数の前記凹部の少なくとも一部が重複することにより異物収容部が形成される電磁ソレノイドの製造方法。
  5. 隣り合う前記凹部を、少なくとも前記軸芯に沿う方向に並ぶように重複して形成することにより、前記異物収容部が、前記プランジャの少なくとも一方の端部に達している請求項4に記載の電磁ソレノイドの製造方法。
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