JP2018129264A - 有機el表示パネル、及び有機el表示パネルの製造方法 - Google Patents

有機el表示パネル、及び有機el表示パネルの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】簡易な製造プロセスを用いて製造でき、共通電極と補助電極との電気的接続における電気抵抗の低減を図り、発光効率を向上させると共に輝度ムラを抑制した有機EL表示パネルを提供する。【解決手段】有機EL表示パネルは、基板上の行または列方向に隣接する画素電極の間隙の内の少なくとも1の間隙上に列または行方向に延伸する電極作成領域が確保され、当該電極作成領域に隣接する画素電極とは非接触の状態で設けられた給電補助電極層と、発光層上および給電補助電極層上に跨って設けられた機能層と、機能層上に連続して延伸する状態で設けられた共通電極層と、を備える。給電補助電極層には貫通孔が開設され、機能層は給電補助電極層の貫通孔の内壁に位置する部分が欠落している又は薄層化している。【選択図】図10

Description

本開示は、有機材料の電界発光現象を利用した有機EL(Electro Luminescence)素子を用いた有機EL表示パネル、及びその製造方法に関する。
近年、デジタルテレビ等の表示装置に用いられる表示パネルとして、基板上に有機EL素子をマトリックス状に複数配列した有機EL表示パネルが実用化されている。
有機EL表示パネルでは、一般に各有機EL素子の発光層と、隣接する有機EL素子とは絶縁材料からなる絶縁層で仕切られており、カラー表示用の有機EL表示パネルにおいては、有機EL素子がRGB各色に発光する副画素を形成し、隣り合うRGBの副画素が組合わさってカラー表示における単位画素が形成されている。
有機EL素子は、一対の電極の間に有機発光材料を含む発光層が配設された基本構造を有し、駆動時には、一対の電極対間に電圧を印加し、発光層に注入されるホールと電子との再結合に伴って発光する。
トップエミッション型の有機EL素子は、基板上に画素電極、有機層(発光層を含む)、及び共通電極が順に設けられた素子構造をしている。発光層からの光は、光反射性材料からなる画素電極にて反射されるとともに、光透光性材料からなる共通電極から上方に出射される。
共通電極は、基板全面にわたって成膜することが多く、共通電極の電気抵抗が大きい場合、給電部から遠い部分では電圧降下により電流が十分に供給されずに発光効率が低下し、これに起因して輝度ムラが発生してしまう可能性がある。
そこで、共通電極の低抵抗化のために補助電極を設ける手法が提案されている(例えば、特許文献1)。特許文献1には、補助電極を画素電極と同層に形成し、補助電極を、画素電極とは電気的に絶縁しつつ共通電極とは電気的に接続した構成が開示されている。
特開2002−318556号公報
ところが、上記従来の手法では、複数層からなる有機層のうち特に発光層の上層に位置する電子輸送層を形成する際に、補助電極を避けて形成するためにマスク蒸着を行う必要があり、生産コストが増大するという課題がある。
本開示は、上記課題に鑑みてなされたものであって、簡易な製造プロセスを用いて製造でき、共通電極と補助電極との電気的接続における電気抵抗の低減を図り、発光効率を向上させると共に輝度ムラを抑制した有機EL表示パネル、及びこの有機EL表示パネルの製造に適した製造方法を提供することを目的とする。
本開示の一態様に係る有機EL表示パネルは、基板上に複数の画素電極が行列状に配され、各画素電極上に有機発光材料を含む発光層が配されてなる有機EL表示パネルであって、基板上の行または列方向に隣接する画素電極の間隙の内の少なくとも1の間隙上に列または行方向に延伸する電極作成領域が確保され、当該電極作成領域に隣接する画素電極とは非接触の状態で設けられた給電補助電極層と、発光層上および給電補助電極層上に跨って設けられた機能層と、機能層上に連続して延伸する状態で設けられた共通電極層と、を備える。給電補助電極層には貫通孔が開設されており、機能層は給電補助電極層の貫通孔の内壁に位置する部分が欠落しており、共通電極層は機能層の欠落により露出している給電補助電極層と直接接触していることを特徴とする。
本開示の一態様に係る有機EL表示パネルは、簡易な製造プロセスを用いて製造でき、共通電極と補助電極との電気的接続における電気抵抗の低減を図り、発光効率を向上させると共に輝度ムラを抑制することができる。
実施の形態に係る有機EL表示装置1の回路構成を示す模式ブロック図である。 有機EL表示装置1に用いる有機EL表示パネル10の各副画素1100seにおける回路構成を示す模式回路図である。 有機EL表示パネル10の一部を示す模式平面図である。 図3におけるA1−A1で切断した模式断面図である。 (a)〜(d)は、有機EL表示パネル10の製造における各工程での状態を示す図3におけるA1−A1と同じ位置で切断した模式断面図である。 (a)〜(d)は、有機EL表示パネル10の製造における各工程での状態を示す図3におけるA1−A1と同じ位置で切断した模式断面図である。 (a)〜(g)は、有機EL表示パネル10の製造における各工程での状態を示す図3におけるA1−A1と同じ位置で切断した模式断面図である。 (a)〜(b)は、有機EL表示パネル10の製造における各工程での状態を示す図3におけるA1−A1と同じ位置で切断した模式断面図である。 共通電極層1125の製造に用いるスパッタ装置600を示す模式図である。 図4に示した補助電極層1200周辺の拡大図である。 補助電極1200の貫通孔1200bの形状の変形例を示す図である。
≪本発明を実施するための形態の概要≫
本開示の態様A1に係る有機EL表示パネルは、基板上に複数の画素電極が行列状に配され、各画素電極上に有機発光材料を含む発光層が配されてなる有機EL表示パネルであって、基板上の行または列方向に隣接する画素電極の間隙の内の少なくとも1の間隙上に列または行方向に延伸する電極作成領域が確保され、当該電極作成領域に隣接する画素電極とは非接触の状態で設けられた給電補助電極層と、発光層上および給電補助電極層上に跨って設けられた機能層と、機能層上に連続して延伸する状態で設けられた共通電極層と、を備える。給電補助電極層には貫通孔が開設されており、機能層は給電補助電極層の貫通孔の内壁に位置する部分が欠落している又は薄層化しており、共通電極層は機能層の欠落により露出している給電補助電極層と直接接触しており、前記機能層が薄膜化している部分においてそれ以外の前記機能層の部分よりも低い抵抗にて前記給電補助電極層に電気的に接続していることを特徴とする。
係る構成により、簡易な製造プロセスを用いて製造でき、共通電極と補助電極との電気的接続における電気抵抗の低減を図り、発光効率を向上させると共に輝度ムラを抑制することができる。
本開示の態様A2に係る有機EL表示パネルは、態様A1に係る有機EL表示パネルにおいて、貫通孔は、スリット状であることを特徴とする。
係る構成により、給電補助電極層と共通電極層とのコンタクト面積を大きくすることができ、共通電極と補助電極との電気的接続における電気抵抗の低減に寄与する。
本開示の態様A3に係る有機EL表示パネルの製造方法は、基板上に複数の画素電極が行列状に配され、各画素電極上に有機発光材料を含む発光層が配されてなる有機EL表示パネルの製造方法であって、基板上の行または列方向に隣接する画素電極の間隙の内の少なくとも1の間隙上に列または行方向に延伸する電極作成領域を確保し、当該電極作成領域に、隣接する画素電極とは非接触の状態で、貫通孔を有する給電補助電極層を、気相成長法により形成する工程と、発光層上および給電補助電極層上に跨る機能層を、給電補助電極層の前記貫通孔の内壁に位置する部分において欠落する又は薄層化するよう真空蒸着法により形成する工程と、機能層上に連続して延伸するように、且つ、前記機能層の欠落により露出している給電補助電極層と直接接触するように、前記機能層が薄膜化している部分においてそれ以外の前記機能層の部分よりも低い抵抗にて前記給電補助電極層に電気的に接続するように、共通電極層をスパッタリング法またはCVD(Chemical Vapor Deposition)法により形成する工程と、を含むことを特徴とする。
係る構成により、共通電極と補助電極との電気的接続における電気抵抗の低減を図り、発光効率を向上させると共に輝度ムラを抑制することができる有機EL表示パネルを簡易な製造プロセスで製造できる。
本開示の態様A4に係る有機EL表示パネルの製造方法は、態様A3に係る有機EL表示パネルの製造方法において、貫通孔は、スリット状であることを特徴とする。
係る構成により、給電補助電極層と共通電極層とのコンタクト面積を大きくすることができ、共通電極と補助電極との電気的接続における電気抵抗の低減に寄与する。
≪実施の形態1≫
1.1 表示装置1の回路構成
以下では、実施の形態1に係る有機EL表示装置1(以後、「表示装置1」とする)の回路構成について、図1を用い説明する。
図1に示すように、表示装置1は、有機EL表示パネル10(以後、「表示パネル10」とする)と、これに接続された駆動制御回路部20とを有し構成されている。
表示パネル10は、有機材料の電界発光現象を利用した有機EL(Electro Luminescence)パネルであって、複数の有機EL素子が、例えば、マトリクス状に配列され構成されている。駆動制御回路部20は、4つの駆動回路21〜24と制御回路25とにより構成されている。
なお、表示装置1において、表示パネル10に対する駆動制御回路部20の各回路の配置形態については、図1に示した形態に限定されない。
1.2 表示パネル10の回路構成
表示パネル10においては、複数の単位画素1100eが行列状に配されて表示領域を構成している。各単位画素1100eは、3個の有機EL素子、つまり、R(赤)、G(緑)、B(青)の3色に発行する3個の副画素1100seから構成される。各副画素1100seの回路構成について、図2を用い説明する。
図2は、表示装置1に用いる表示パネル10の各副画素1100seに対応する有機EL素子1100における回路構成を示す回路図である。
図2に示すように、本実施の形態に係る表示パネル10では、各副画素1100seが2つのトランジスタTr1、Tr2と一つのキャパシタC、および発光部としての有機EL素子部ELとを有し構成されている。トランジスタTr1は、駆動トランジスタであり、トランジスタTr2は、スイッチングトランジスタである。
スイッチングトランジスタTr2のゲートG2は、走査ラインVscnに接続され、ソースS2は、データラインVdatに接続されている。スイッチングトランジスタTr2のドレインD2は、駆動トランジスタTr1のゲートG1に接続されている。
駆動トランジスタTr1のドレインD1は、電源ラインVaに接続されており、ソースS1は、有機EL素子部ELの画素電極層(アノード)に接続されている。有機EL素子部ELにおける共通電極層(カソード)は、接地ラインVcatに接続されている。
なお、キャパシタCの第1端は、スイッチングトランジスタTr2のドレインD2および駆動トランジスタTr1のゲートG1と接続され、キャパシタCの第2端は、電源ラインVaと接続されている。
表示パネル10においては、隣接する複数の副画素1100se(例えば、赤色(R)と緑色(G)と青色(B)の発光色の3つの副画素1100se)を組合せて1つの単位画素1100eを構成し、各単位画素1100eが分布するように配されて画素領域を構成している。そして、各副画素1100seのゲートG2からゲートラインが各々引き出され、表示パネル10の外部から接続される走査ラインVscnに接続されている。同様に、各副画素1100seのソースS2からソースラインが各々引き出され表示パネル10の外部から接続されるデータラインVdatに接続されている。
また、各副画素1100seの電源ラインVa及び各副画素1100seの接地ラインVcatは集約されて、表示装置1の電源ライン及び接地ラインに接続されている。
1.3 表示パネル10の全体構成
本実施の形態に係る表示パネル10について、図面を用いて説明する。なお、図面は模式図であって、その縮尺は実際とは異なる場合がある。
図3は、実施の形態に係る表示パネルの一部を示す模式平面図である。
表示パネル10は、有機化合物の電界発光現象を利用した有機EL表示パネルであり、薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)が形成された基板1100x(TFT基板)に行列状に配された複数の有機EL素子1100が、上面より光を発するトップエミッション型の構成を有する。ここで、本明細書では、図3におけるX方向、Y方向、Z方向を、それぞれ表示パネル10における、行方向、列方向、厚み方向とする。
表示パネル10の表示領域には、複数の有機EL素子1100から構成される単位画素1100eが行列状に配されている。各単位画素1100eには、有機化合物により光を発する領域である、赤色に発光する1100aR、緑色に発光する1100aG、青色に発光する1100aB(以後、1100aR、1100aG、1100aBを区別しない場合は、「1100a」と略称する)の3種類の自己発光領域1100aが形成されている。すなわち、行方向に並んだ自己発光領域1100aR、1100aG、1100aBのそれぞれに対応する3つの副画素1100se(以後、区別する場合は、「青色副画素1100seB」、「緑色副画素1100seG」及び「赤色副画素1100seR」とする)が1組となりカラー表示における単位画素1100eを構成している。
表示パネル10には、複数の画素電極層1119が基板1100x上に行及び列方向にそれぞれ所定の距離だけ離れた状態で行列状に配されている。画素電極層1119は、平面視において矩形形状であり、光反射材料からなる。行方向に順に3つ並んだ画素電極層1119は、行方向に順に並んだ3つの自己発光領域1100aR、1100aG、1100aBに対応する。
表示パネル10には、複数の補助電極層1200が基板1100x上の単位画素1100e間に列方向にわたって連続して配されている。補助電極層1200は、画素電極層1119と同じ光反射材料からなる。補助電極層1200の上面には、補助電極層1200と複数のスリット状の貫通孔1200bが開設されている。
隣接する画素電極層1119間および隣接する画素電極層1119と補助電極層1200との間には、絶縁層形式のライン状に延伸するバンクが設けられており、画素電極層1119とこれに隣接する画素電極層1119または補助電極層1200とは、互いに絶縁されている。行方向に隣接する2つの画素電極層1119の行方向外縁1119a3、1119a4及び外縁1119a3、1119a4間、および、行方向に隣接する画素電極層1119の行方向外縁1119a3、1119a4及び補助電極層1200外縁1200a1、1200a2間に位置する基板1100x上の領域上方には、各条が列方向(図3のY方向)に延伸する列バンク1522Yが複数列並設されている。そのため、自己発光領域1100aの行方向外縁は、列バンク1522Yの行方向外縁により規定される。
一方、列方向に隣接する2つの画素電極層1119の列方向外縁1119a1、1119a2及び外縁1119a1、1119a2間に位置する基板1100x上の領域上方には、各条が行方向(図3のX方向)に延伸する行バンク1122Xが複数行並設されている。行バンク1122Xが形成される領域は、画素電極層1119上方の発光層1123において有機電界発光が生じないために非自己発光領域1100bとなる。そのため、自己発光領域1100aの列方向における外縁は、行バンク1122Xの列方向外縁により規定される。
隣り合う列バンク1522Y間を間隙1522zと定義したとき、間隙1522zには、自己発光領域1100aRに対応する赤色間隙1522zR、自己発光領域1100aGに対応する緑色間隙1522zG、自己発光領域1100aBに対応する青色間隙1522zB、補助電極層1200の配される領域に対応する補助間隙1522zA(以後、間隙1522zR、間隙1522zG、間隙1522zB、間隙1522zAを区別しない場合は、「間隙1522z」とする)が存在し、表示パネル10は、列バンク1522Yと間隙1522zとが交互に多数並んだ構成を採る。
表示パネル10では、複数の自己発光領域1100aと非自己発光領域1100bとが、間隙1522zR、間隙1522zG、間隙1522zBに沿って列方向に交互に並んで配されている。非自己発光領域1100bには、画素電極層1119とTFTのソースS1とを接続する接続凹部1119c(コンタクトホール)があり、画素電極層1119に対して電気接続するための画素電極層1119上のコンタクト領域1119b(コンタクトウインドウ)が設けられている。
1つの副画素1100seにおいて、列方向に設けられた列バンク1522Yと行方向に設けられた行バンク1122Xとは直交し、自己発光領域1100aは列方向において行バンク1122Xと行バンク1122Xの間に位置している。
1.4 表示パネル10の各部構成
表示パネル10における有機EL素子1100の構成を図4、図5、及び図6用いて説明する。図4は、図3におけるA1−A1で切断した模式断面図である。
本実施の形態に係る表示パネル10においては、Z軸方向下方に薄膜トランジスタが形成された基板(TFT基板)が構成され、その上に有機EL素子部が構成されている。
1.4.1 基板1100x
基板1100xは表示パネル10の支持部材であり、基材(不図示)と、基材上に形成された薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)層(不図示)と層間絶縁層(不図示)とを有する。
基材は、表示パネル10の支持部材であり、平板状である。基材の材料としては、電気絶縁性を有する材料、例えば、ガラス材料、樹脂材料、半導体材料、絶縁層をコーティングした金属材料などを用いることができる。
TFT層は、基材上面に形成された複数のTFT及び複数の配線からなる。TFTは、表示パネル10の外部回路からの駆動信号に応じ、自身に対応する画素電極層1119と外部電源とを電気的に接続するものであり、電極、半導体層、絶縁層などの多層構造からなる。配線は、TFT、画素電極層1119、外部電源、外部回路などを電気的に接続している。配線は、TFTのソースS1に接続されている。
層間絶縁層は、TFT層によって凹凸が存在する基板1100xの上面を平坦化するものである。また、層間絶縁層は、配線及びTFTの間を埋め、配線及びTFTの間を電気的に絶縁している。層間絶縁層の上限膜厚は、10μm以上では、製造時の膜厚バラツキがより大きくなると共にボトム線幅の制御が困難となる。また、タクト増大による生産性低下の観点から7μm以下が望ましい。また、下限膜厚は、膜厚が薄くなるとともに膜厚とボトム線幅とを同程度にする必要があり、下限膜厚が1μm以下では、解像度の制約により所望のボトム線幅を得ることが困難となる。一般的なフラットパネルディスプレイ用露光機の場合には2μmが限界となる。したがって、層間絶縁層の厚みは、例えば、1μm以上10μm以下、より好ましくは2μm以上7μ以下であることが好ましい。
1.4.2 有機EL素子部
(1)画素電極層1119
基板1100x上には、図4に示すように、副画素1100se単位で画素電極層1119が設けられている。画素電極層1119は、発光層1123へキャリアを供給するためのものであり、例えば陽極として機能した場合は、発光層1123へホールを供給する。また、表示パネル10がトップエミッション型であるため、画素電極層1119は、光反射性を有し、画素電極層1119の形状は、矩形形状をした平板状であり、画素電極層1119は行方向に間隔δXをあけて、間隙1522zR、間隙1522zG、間隙1522zBのそれぞれにおいて列方向に間隔δYをあけて層間絶縁層上に配されている。画素電極層1119には画素電極層1119の一部を基板1100x方向に凹入された画素電極層1119の接続凹部1119cが形成されており、接続凹部1119cの底で画素電極層1119とTFT層の配線とが接続される。
(2)補助電極層1200
基板1100x上には、図4に示すように、補助電極層1200も設けられている。補助電極層1200は、画素電極層1119間に行方向に間隔δXをあけて配されている。補助電極層1200には、内壁1200cを有する貫通孔1200bが開設されている。スリット状の貫通孔1200bのスリット幅は限定されないが,2μmから10μmの範囲で形成されていることが好ましい。
(3)ホール注入層1120
画素電極層1119上には、図4に示すように、ホール注入層1120が積層されている。ホール注入層1120、ホール輸送層1121は、画素電極層1119から注入されたホールをホール輸送層1121へ輸送する機能を有する。
ホール注入層1120は、前記基板側から順に、画素電極層1119上に形成された金属酸化物からなる下部層1120Aと、少なくとも下部層1120A上に積層された有機物からなる上部層1120Bとを含む。青色副画素、緑色副画素及び赤色副画素内に設けられた下部層1120Aを、それぞれ下部層1120AB、下部層1120AG及び下部層1120ARとする。また、青色副画素、緑色副画素及び赤色副画素内に設けられた上部層1120Bを、それぞれ上部層1120BB、上部層1120BG及び上部層1120BRとする。
本実施の形態では、後述する間隙1522zR、間隙1522zG、間隙1522zB内では、上部層1120Bは列方向に延伸するように線状に設けられている構成を採る。しかしながら、上部層1120Bは、画素電極層1119上に形成された下部層1120A上にのみ形成され、間隙1522z内では列方向に断続して設けられている構成としてもよい。
(4)バンク1122
画素電極層1119、図4に示すように、ホール注入層1120の下層部1120A及び補助電極層1200の端縁を被覆するように絶縁物からなるバンクが形成されている。バンクは、列方向に延伸して行方向に複数並設されている列バンク1522Yと、行方向に延伸して列方向に複数並設されている行バンク1122Xとがあり、図3に示すように、列バンク1522Yは行バンク1122Xと直交する行方向に沿った状態で設けられており、列バンク1522Yと行バンク1122Xとで格子状をなしている(以後、行バンク1122X、列バンク1522Yを区別しない場合は「バンク1122」とする)。
行バンク1122Xの形状は、行方向に延伸する線状であり、列方向に平行に切った断面は上方を先細りとする順テーパー台形状である。行バンク1122Xは、各列バンク1522Yを貫通するようにして、列方向と直交する行方向に沿った状態で設けられており、各々が列バンク1522Yの上面1522Ybよりも低い位置に上面1122Xbを有する。そのため、行バンク1122Xと列バンク1522Yとにより、自己発光領域1100aに対応する開口が形成されている。
行バンク1122Xは、発光層1123の材料となる有機化合物を含んだインクの列方向への流動を制御するためのものである。そのため、行バンク1122Xはインクに対する親液性が所定の値以上であることが必要である。係る構成により、副画素間のインク塗布量の変動を抑制する。行バンク1122Xにより画素電極層1119は露出することはなく、行バンク1122Xが存在する領域では発光せず輝度には寄与しない。
具体的には、行バンク1122Xは、画素電極層1119の列方向における外縁1119a1、a2上方に存在し、画素電極層1119のコンタクト領域1119bと重なった状態で形成され、行バンク1122Xが形成される非自己発光領域1100bの列方向長さは、画素電極層1119の列方向外縁1119a1、a2間の距離δYより所定長大きく構成されている。これにより、画素電極層1119の列方向外縁1119a1、2を被覆することにより共通電極層1125との間の電気的リークを防止するとともに、列方向における各副画素1100seの発光領域1100aの外縁を規定する。
列バンク1522Yの形状は、列方向に延伸する線状であり、行方向に平行に切った断面は上方を先細りとする順テーパー台形状である。列バンク1522Yは、発光層1123の材料となる有機化合物を含んだインクの行方向への流動を堰き止めて形成される発光層1123の行方向外縁を規定するものである。
列バンク1522Yは、画素電極層1119の行方向における外縁1119a3、a4上方及び補助電極層1200の行方向における外縁1200a1、a2上方に存在し、画素電極層1119及び補助電極層1200の一部と重なった状態で形成される。列バンク1522Yが形成される領域の行方向の幅は、画素電極層1119の行方向外縁1119a3、a4間の距離及びδXより所定幅大きく構成されている。これにより、画素電極層1119の行方向外縁1119a3、a4を被覆することにより共通電極層1125との間の電気的リークを防止するとともに、行方向における各副画素1100seの発光領域1100aの外縁を規定する。上述のとおり列方向における各画素の自己発光領域の外縁を規定している。そのため、列バンク1522Yはインクに対する撥液性が所定の値以上であることが必要である。
(5)ホール輸送層1121
図4に示すように、行バンク1122X、及び間隙1522zR、1522zG、1522zB内におけるホール注入層1120上には、ホール輸送層1121が積層され、ホール輸送層1121はホール注入層1120の上部層1120Bに接触している。ホール輸送層1121は、ホール注入層1120から注入されたホールを発光層1123へ輸送する機能を有する。間隙1522zR、1522zG、1522zB内に設けられたホール輸送層1121を、それぞれホール輸送層1121R、ホール輸送層1121G及びホール輸送層1121Bとする。
本実施の形態では、後述する間隙1522z内では、ホール輸送層1121は上部層1120B同様、列方向に延伸するように線状に設けられている構成を採る。しかしながら、ホール輸送層1121は間隙1522z内では列方向に断続して設けられている構成としてもよい。
(6)発光層1123
図4に示すように、ホール輸送層1121上には、発光層1123が積層されている。発光層1123は、有機化合物からなる層であり、内部でホールと電子が再結合することで光を発する機能を有する。間隙1522zR、間隙1522zG、間隙1522zB内では、発光層1123は列方向に延伸するように線状に設けられている。列バンク1522Yにより規定された間隙1522zR、間隙1522zG、間隙1522zBには、発光層1123が列方向に延伸して形成されている。赤色副画素1100seR内の自己発光領域1100aRに対応する赤色間隙1522zR、緑色副画素1100seG内の自己発光領域1100aGに対応する緑色間隙1522zG、青色副画素1100seB内の自己発光領域1100aBに対応する青色間隙1522zBには、それぞれ各色に発光する発光層1123R、1123G、1123Bが形成されている。
発光層1123は、画素電極層1119からキャリアが供給される部分のみが発光するので、層間に絶縁物である行バンク1122Xが存在する範囲では、有機化合物の電界発光現象が生じない。そのため、発光層1123は、行バンク1122Xがない部分のみが発光して、この部分が自己発光領域1100aとなり、自己発光領域1100aの列方向における外縁は、行バンク1122Xの列方向外縁により規定される。
発光層1123のうち行バンク1122Xの側面及び上面1122Xb上方にある部分1119bは発光せず、この部分は非自己発光領域1100bとなる。発光層1123は、自己発光領域1100aにおいてはホール輸送層1121の上面に位置し、非自己発光領域1100bにおいては行バンク1122Xの上面及び側面上のホール輸送層1121上面に位置する。
なお、発光層1123は、自己発光領域1100aだけでなく、隣接する非自己発光領域1100bまで連続して延伸されている。このようにすると、発光層1123の形成時に、自己発光領域1100aに塗布されたインクが、非自己発光領域1100bに塗布されたインクを通じて列方向に流動でき、列方向の画素間でその膜厚を平準化することができる。但し、非自己発光領域1100bでは、行バンク1122Xによって、インクの流動が程良く抑制される。よって、列方向に大きな膜厚むらが発生しにくく画素毎の輝度むらが改善される。
(7)電子輸送層1124
図4に示すように、列バンク1522Y及び列バンク1522Yにより規定された間隙1522zを被覆するように電子輸送層1124が積層形成されている。電子輸送層1124については、表示パネル10全体に連続した状態で形成されている。
電子輸送層1124は、発光層1123上に形成されている。電子輸送層1124は、共通電極層1125からの電子を発光層1123へ輸送するとともに、発光層1123への電子の注入を制限する機能を有する。
電子輸送層1124は、補助電極層1200の上にも形成される。電子輸送層1124には、補助電極層1200の貫通孔1200bにおいて、欠落(図の端部1124a1、1124a2間、または、端部1124a3、1124a4間)しており、欠落部分において補助電極層1200の貫通孔1200bの内壁1200cが露出している。
(8)共通電極層1125
図4に示すように、電子輸送層1124上に共通電極層1125が形成されている。共通電極層1125は、表示パネル10の全面にわたって形成され、各発光層1123に共通の電極となっている。
共通電極層1125は、電子輸送層1124上の画素電極層1119上方の領域にも形成される。共通電極層1125は、画素電極層1119と対になって発光層1123を挟むことで通電経路を作り、発光層1123へキャリアを供給するものであり、例えば陰極として機能した場合は、発光層1123へ電子を供給する。
共通電極層1125は、電子輸送層1124上の補助電極層1200上方の領域にも形成される。共通電極層1125は、電子輸送層1124の欠落部分(端部1124a1、a2間、または端部1124a3、a4間)において露出している補助電極層1200の貫通孔1200bの内壁1200cと、直接接触するように形成される。
(9)封止層1126
共通電極層1125を被覆するように、封止層1126が積層形成されている。封止層1126は、発光層1123が水分や空気などに触れて劣化することを抑制するためのものである。封止層1126は、共通電極層1125の上面を覆うように表示パネル10全面に渡って設けられている。
(10)接合層1127
封止層1126のZ軸方向上方には、上部基板1130のZ軸方向下側の主面にカラーフィルタ層1128が形成されたカラーフィルタ基板1131が配されており、接合層1127により接合されている。接合層1127は、基板1100xから封止層1126までの各層からなる背面パネルとカラーフィルタ基板1131とを貼り合わせるとともに、各層が水分や空気に晒されることを防止する機能を有する。
(11)上部基板1130
接合層1127の上に、上部基板1130にカラーフィルタ層1128が形成されたカラーフィルタ基板1131が設置・接合されている。上部基板1130には、表示パネル10がトップエミッション型であるため、例えば、カバーガラス、透明樹脂フィルムなどの光透過性材料が用いられる。また、上部基板1130により、表示パネル10、剛性向上、水分や空気などの侵入防止などを図ることができる。
(12)カラーフィルタ層1128
上部基板1130には画素の各色自己発光領域1100aに対応する位置にカラーフィルタ層1128が形成されている。カラーフィルタ層1128は、R、G、Bに対応する波長の可視光を透過させるために設けられる透明層であり、各色画素から出射された光を透過させて、その色度を矯正する機能を有する。例えば、本例では、赤色間隙1522zR内の自己発光領域1100aR、緑色間隙1522zG内の自己発光領域1100aG、青色間隙1522zB内の自己発光領域1100aBの上方に、赤色、緑色、青色のフィルタ層1128R、1128G、1128Bが各々形成されている。
(13)遮光層1129
上部基板1130には、各画素の発光領域1100a間の境界に対応する位置に遮光層1129が形成されている。遮光層1129は、R、G、Bに対応する波長の可視光を透過させないために設けられる黒色樹脂層であって、例えば光吸収性および遮光性に優れる黒色顔料を含む樹脂材料からなる。
1.4.3 各部の構成材料
図4、図5、図6に示す各部の構成材料について、一例を示す。
(1)基板1100x(TFT基板)
基材としては、例えば、ガラス基板、石英基板、シリコン基板、硫化モリブデン、銅、亜鉛、アルミニウム、ステンレス、マグネシウム、鉄、ニッケル、金、銀などの金属基板、ガリウム砒素基などの半導体基板、プラスチック基板等を採用することができる。また、可撓性を有するプラスチック材料として、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂いずれの樹脂を用いてもよい。材料としては、電気絶縁性を有する材料、例えば、樹脂材料を用いることができる。TFTを構成するゲート電極、ゲート絶縁層、チャネル層、チャネル保護層、ソース電極、ドレイン電極などには公知の材料を用いることができる。ゲート電極としては、例えば、銅(Cu)とモリブデン(Mo)との積層体を採用している。ゲート絶縁層としては、例えば、酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(SiNx)など、電気絶縁性を有する材料であれば、公知の有機材料や無機材料のいずれも用いることができる。チャネル層としては、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)から選択される少なくとも一種を含む酸化物半導体を採用することができる。チャネル保護層としては、例えば、酸窒化シリコン(SiON)、窒化シリコン(SiNx)、あるいは酸化アルミニウム(AlOx)を用いることができる。ソース電極、ドレイン電極としては、例えば、銅マンガン(CuMn)と銅(Cu)とモリブデン(Mo)の積層体を採用することができる。
TFT上部の絶縁層は、例えば、酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(SiN)や酸窒化シリコン(SiON)、酸化シリコン(SiO)や酸窒化シリコン(SiON)を用いることもできる。TFTの接続電極層としては、例えば、モリブデン(Mo)と銅(Cu)と銅マンガン(CuMn)との積層体を採用することができる。なお、接続電極層の構成に用いる材料としては、これに限定されるものではなく、導電性を有する材料から適宜選択することが可能である。
基板1100xの上面に位置する層間絶縁層の材料としては、例えば、ポリイミド系樹脂、アクリル系樹脂、シロキサン系樹脂、ノボラック型フェノール系樹脂などの有機化合物を用いることができる。
(2)画素電極層1119及び補助電極層1200
画素電極層1119は、金属材料から構成されている。トップエミッション型の本実施の形態に係る表示パネル10の場合には、厚みを最適に設定して光共振器構造を採用することにより出射される光の色度を調整し輝度を高めているため、画素電極層1119の表面部が高い反射性を有することが必要である。本実施の形態に係る表示パネル10では、画素電極層1119は、金属層、合金層、透明導電膜の中から選択される複数の膜を積層させた構造であってもよい。金属層としては、例えば、銀(Ag)またはアルミニウム(Al)を含む金属材料から構成することができる。合金層としては、例えば、APC(銀、パラジウム、銅の合金)、ARA(銀、ルビジウム、金の合金)、MoCr(モリブデンとクロムの合金)、NiCr(ニッケルとクロムの合金)等を用いることができる。透明導電層の構成材料としては、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)や酸化インジウム亜鉛(IZO)などを用いることができる。
補助電極層1200は、画素電極層1119と同じ材料により構成されている。
(3)ホール注入層1120
ホール注入層1120の下部層1120Aは、例えば、銀(Ag)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、バナジウム(V)、タングステン(W)、ニッケル(Ni)、イリジウム(Ir)などの酸化物からなる層である。下部層1120Aを遷移金属の酸化物から構成する場合には、複数の酸化数をとるためこれにより複数の準位をとることができ、その結果、ホール注入が容易になり駆動電圧を低減することができる。本実施の形態では、下部層1120Aは、タングステン(W)の酸化物を含む構成とした。このとき、タングステン(W)の酸化物は、5価タングステン原子の6価タングステン原子の比率(W5+/W6+)が大きいほど、有機EL素子の駆動電圧が低くなるため、5価タングステン原子を所定値以上多く含むことが好ましい。
ホール注入層1120の上部層1120Bは、例えば、PEDOT(ポリチオフェンとポリスチレンスルホン酸との混合物)などの導電性ポリマー材料の有機高分子溶液からなる塗布膜を用いることができる。
(4)バンク1122
バンク1122は、樹脂等の有機材料を用い形成されており絶縁性を有する。バンク1122の形成に用いる有機材料の例としては、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ノボラック型フェノール樹脂等があげられる。バンク1122は、有機溶剤耐性を有することが好ましい。より好ましくは、アクリル系樹脂を用いることが望ましい。屈折率が低くリフレクターとして好適であるからである。
または、バンク1122は、無機材料を用いる場合には、屈折率の観点から、例えば、酸化シリコン(SiO)を用いることが好ましい。あるいは、例えば、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)などの無機材料を用い形成される。
さらに、バンク1122は、製造工程中において、エッチング処理、ベーク処理など施されることがあるので、それらの処理に対して過度に変形、変質などをしないような耐性の高い材料で形成されることが好ましい。
また、表面に撥水性をもたせるために、表面をフッ素処理することもできる。また、バンク1122の形成にフッ素を含有した材料を用いてもよい。また、バンク1122の表面に撥水性を低くするために、バンク1122に紫外線照射を行う、低温でベーク処理を行ってもよい。
(5)ホール輸送層1121
ホール輸送層1121は、例えば、ポリフルオレンやその誘導体、あるいはアミン系有機高分子であるポリアリールアミンやその誘導体などの高分子化合物、あるいは、TFB(poly(9、9−di−n−octylfluorene−alt−(1、4−phenylene−((4−sec−butylphenyl)imino)−1、4−phenylene))などを用いることができる。
(6)発光層1123
発光層1123は、上述のように、ホールと電子とが注入され再結合されることにより励起状態が生成され発光する機能を有する。発光層1123の形成に用いる材料は、湿式印刷法を用い製膜できる発光性の有機材料を用いることが必要である。
具体的には、例えば、特許公開公報(日本国・特開平5−163488号公報)に記載のオキシノイド化合物、ペリレン化合物、クマリン化合物、アザクマリン化合物、オキサゾール化合物、オキサジアゾール化合物、ペリノン化合物、ピロロピロール化合物、ナフタレン化合物、アントラセン化合物、フルオレン化合物、フルオランテン化合物、テトラセン化合物、ピレン化合物、コロネン化合物、キノロン化合物及びアザキノロン化合物、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、ローダミン化合物、クリセン化合物、フェナントレン化合物、シクロペンタジエン化合物、スチルベン化合物、ジフェニルキノン化合物、スチリル化合物、ブタジエン化合物、ジシアノメチレンピラン化合物、ジシアノメチレンチオピラン化合物、フルオレセイン化合物、ピリリウム化合物、チアピリリウム化合物、セレナピリリウム化合物、テルロピリリウム化合物、芳香族アルダジエン化合物、オリゴフェニレン化合物、チオキサンテン化合物、アンスラセン化合物、シアニン化合物、アクリジン化合物、8−ヒドロキシキノリン化合物の金属錯体、2−ビピリジン化合物の金属錯体、シッフ塩とIII族金属との錯体、オキシン金属錯体、希土類錯体などの蛍光物質で形成されることが好ましい。
(7)電子輸送層1124
電子輸送層1124は、電子輸送性が高い有機材料が用いられる。電子輸送層1124に用いられる有機材料としては、例えば、オキサジアゾール誘導体(OXD)、トリアゾール誘導体(TAZ)、フェナンスロリン誘導体(BCP、Bphen)などのπ電子系低分子有機材料が挙げられる。また、電子輸送層1124は、電子輸送性が高い有機材料に、アルカリ金属、または、アルカリ土類金属から選択されるドープ金属がドープされて形成された層を含んでいてもよい。また、電子輸送層1124は、フッ化ナトリウムで形成された層を含んでいてもよい。
(8)共通電極層1125
共通電極層1125は、光透過性を有する導電材料が用いられる。例えば、酸化インジウムスズ(ITO)若しくは酸化インジウム亜鉛(IZO)などを用い形成される。また、
銀(Ag)又はアルミニウム(Al)などを薄膜化した電極を用いてもよい。
(9)封止層1126
封止層1126は、発光層1123などの有機層が水分に晒されたり、空気に晒されたりすることを抑制する機能を有し、例えば、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)などの透光性材料を用い形成される。また、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)などの材料を用い形成された層の上に、アクリル樹脂、シリコーン樹脂などの樹脂材料からなる封止樹脂層を設けてもよい。
封止層1126は、トップエミッション型である本実施の形態に係る表示パネル10の場合においては、光透過性の材料で形成されることが必要となる。
(10)接合層1127
接合層1127の材料は、例えば、樹脂接着剤等からなる。接合層1127は、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂などの透光性材料樹脂材料を採用することができる。
(11)上部基板1130
上部基板1130としては、例えば、ガラス基板、石英基板、プラスチック基板等に透光性材料を採用することができる。
(12)カラーフィルタ層1128
カラーフィルタ層1128としては、公知の樹脂材料(例えば市販製品として、JSR株式会社製カラーレジスト)等を採用することができる。
(13)遮光層1129
遮光層1129としては、紫外線硬化樹脂(例えば紫外線硬化アクリル樹脂)材料を主成分とし、これに黒色顔料を添加してなる樹脂材料からなる。黒色顔料としては、例えば、カーボンブラック顔料、チタンブラック顔料、金属酸化顔料、有機顔料など遮光性材料を採用することができる。
1.5 表示パネル10の製造方法
表示パネル10の製造方法について、図5〜8を用いて説明する。
(1)基板1100xの準備
複数のTFTや配線が形成された基板1100xを準備する。基板1100xは、公知のTFTの製造方法により製造することができる(図5(a))。
(2)画素電極層1119及び補助電極層1200の形成
基板1100x上に、画素電極層1119及び補助電極層1200を形成する(図5(b))。
画素電極層1119及び補助電極層1200の形成は、スパッタリング法などを用い金属膜を形成した後、フォトリソグラフィー法およびエッチング法を用いパターニングすることでなされる。
(3)ホール注入層1120の下部層1120Aの形成
画素電極層1119及び補助電極層1200を形成した後、画素電極層1119上に対して、ホール注入層1120の下部層1120Aを形成する(図5(c))。
下部層1120Aは、スパッタリング法あるいは真空蒸着法などの気相成長法を用いそれぞれ金属(例えば、タングステン)からなる膜を形成した後焼成によって酸化させ、フォトリソグラフィー法およびエッチング法を用い各画素単位にパターニングすることで形成される。
(4)バンク1122の形成
ホール注入層1120の下部層1120Aを形成した後、下部層1120A及び補助電極層1200の縁部を覆うようにバンク1122を形成する(図5(d))。
バンク1122の形成では、先ず行バンク1122Xを形成し、その後、間隙1522Zを形成するように列バンク1522Yを形成する。バンク1122は、間隙1522Z内に補助電極層の表面が、間隙1522Z内の行バンク1122Xと行バンク1122Xとの間にホール注入層1120の下部層1120A及び補助電極層1200の表面が露出するように設けられる。
バンク1122の形成は、先ず、ホール注入層1120の下部層1120A上に、スピンコート法などを用い、バンク1122の構成材料(例えば、感光性樹脂材料)からなる膜を積層形成する。そして、樹脂膜をパターニングして行バンク1122X、列バンク1522Yを順に形成する。行バンク1122X、列バンク1522Yのパターニングは、樹脂膜の上方にフォトマスクを利用し露光を行い、現像工程、焼成工程(約230℃、約60分)をすることによりなされる。
具体的には、バンク1122Xの形成工程では、先ず、有機系の感光性樹脂材料、例えば、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ノボラック型フェノール樹脂等からなる感光性樹脂膜を形成した後、乾燥し、溶媒をある程度揮発させてから、所定の開口部が施されたフォトマスクを重ね、その上から紫外線照射を行い感光性樹脂等からなるフォトレジストを露光し、そのフォトレジストにフォトマスクが有するパターンを転写する。次に、感光性樹脂を現像によってバンク1122Xをパターニングした絶縁層を形成する。一般にはポジ型と呼ばれるフォトレジストが使用される。ポジ型は露光された部分が現像によって除去される。露光されないマスクパターンの部分は、現像されずに残存する。
列バンク1522Yの形成は、先ず、スピンコート法などを用い、列バンク1522Yの構成材料(例えば、感光性樹脂材料)からなる膜を積層形成する。そして、樹脂膜をパターニングして間隙1522zを開設して列バンク1522Yを形成する。間隙1522zの形成は、樹脂膜の上方にマスクを配して露光し、その後で現像することによりなされる。列バンク1522Yは、列方向に延設され、行方向に間隙1522zを介して並設される。
(6)有機機能層の形成
行バンク1122X上を含む列バンク1522Yにより規定される間隙1522z内に形成されたホール注入層1120の下部層1120A上に対して、ホール注入層1120の上部層1120B、ホール輸送層1121、発光層1123を順に積層形成する(図6(a))。
上部層1120Bは、インクジェット法を用い、PEDOT(ポリチオフェンとポリスチレンスルホン酸との混合物)などの導電性ポリマー材料を含むインクを列バンク1522Yにより規定される間隙1522z内に塗布した後、溶媒を揮発除去させる。あるいは、焼成することによりなされる。その後、フォトリソグラフィ法およびエッチング法を用い各画素単位にパターニングしてもよい。
ホール輸送層1121は、インクジェット法やグラビア印刷法によるウェットプロセスを用い、構成材料を含むインクを列バンク1522Yにより規定される間隙1522z内に塗布した後、溶媒を揮発除去させる。あるいは、焼成することによりなされる。ホール輸送層1121のインクを間隙1522z内に塗布する方法は、上述した上部層1120Bにおける方法と同じである。あるいは、スパッタリング法を用い金属(例えば、タングステン)からなる膜を堆積し、焼成によって酸化して形成される。その後、フォトリソグラフィ法およびエッチング法を用い各画素単位にパターニングしてもよい。
発光層1123の形成は、インクジェット法を用い、構成材料を含むインクを列バンク1522Yにより規定される間隙1522z内に塗布した後、焼成することによりなされる。具体的には、この工程では、副画素形成領域となる間隙1522zに、インクジェット法によりR、G、Bいずれかの有機発光層の材料を含むインク1123RI、1123GI、1123BIをそれぞれ充填し、充填したインクを減圧下で乾燥させ、ベーク処理することによって、発光層1123R、1123G、1123Bを形成する。このとき、発光層1123のインクの塗布では、先ず、液滴吐出装置を用いて発光層1123の形成するための溶液の塗布を行う。基板1100xに対して赤色発光層、緑色発光層、青色発光層の何れかを形成するためのインクの塗布が終わると、次に、その基板に別の色のインクを塗布し、次にその基板に3色目のインクを塗布する工程が繰り返し行われ、3色のインクを順次塗布する。これにより、基板1100x上には、赤色発光層、緑色発光層、青色発光層が、図の紙面横方向に繰り返して並んで形成される。発光層1123のインクを間隙1522z内に塗布する方法の詳細は、上述した上部層1120Bにおける方法と同じである。
ホール注入層1120の上部層1120B、ホール輸送層1121、発光層1123の形成方法はこれに限定されず、インクジェット法やグラビア印刷法以外の方法、例えばディスペンサー法、ノズルコート法、スピンコート法、凹版印刷、凸版印刷等の公知の方法によりインクを滴下・塗布しても良い。
(7)電子輸送層1124の形成
発光層1123を形成した後、用い表示パネル10の全面わたって、真空蒸着法などにより電子輸送層1124を形成する(図6(b))。電子輸送層1124は、補助電極層1200の上にも形成される。その際、補助電極層1200の貫通孔1200bの内壁1200cにおいて意図的に欠落(段切れ)を発生させ、その欠落部分(端部1124a1,a2間又は端部1124a3、a4間)において補助電極層1200の貫通孔1200bの内壁1200cが露出するように成膜する。
(8)共通電極層1125の形成
電子輸送層1124を形成した後、電子輸送層1124を被覆するように、共通電極層1125を、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、スパッタリング法などにより形成する(図6(c))。共通電極層1125は、電子輸送層1124上の補助電極層1200上方の領域にも形成される。その際、共通電極層1125は、電子輸送層1124の欠落部分(端部1124a1,a2間又は端部1124a3、a4間)に回り込み、電子輸送層1124の欠落部分において露出している補助電極層1200の貫通孔1200bの内壁1200cに直接接触するように成膜する。
ここで、共通電極層1125の形成方法について、さらに説明する。
まず、図9を用いて、スパッタ装置600の概略構成について説明する。スパッタ装置600は、基板受け渡し室610、成膜室620、ロードロック室630を有し、成膜室620内で、マグネトロンスパッタ法によりスパッタリングを行う。成膜室620には、スパッタリングガスが導入されている。スパッタリングガスには、Ar(アルゴン)等の不活性ガスが用いられる。本実施形態においては、Arが用いられる。
スパッタ装置600内のキャリア621には、成膜対象の基板622が設置される。基板622は、基板受け渡し室610において、基板突き上げ機構611によりキャリア621に装着される。基板622が装着されたキャリア621は、基板受け渡し室610から成膜室620を経由してロードロック室630まで、搬送路601上を一定の速度で直線移動する。本実施形態においては、キャリア621の移動速度は30mm/sである。なお、基板622は加温せず、常温でスパッタリングが行われる。
成膜室620内には、搬送路601に対して直交する方向に延びる、棒状のターゲット623が設置されている。本実施の形態においては、ターゲット623は、ITOである。なお、ターゲット623は、棒状である必要はなく、例えば、粉末状であってもよい。
電源624は、ターゲット623に対して電圧を印加する。なお、図12では電源624は交流電源であるが、直流電源、または、直流/交流のハイブリッド電源であってもよい。
排気系631によりスパッタ装置600内を排気し、ガス供給系632により成膜室620内にスパッタリングガスを導入する。電源624によりターゲット623に電圧を印加すると、スパッタリングガスのプラズマが発生し、ターゲット623の表面がスパッタされる。そして、スパッタされたターゲット623の原子を基板622上に堆積させることにより成膜する。
なお、スパッタリングガスであるArのガス圧は、例えば、0.6Paであり、流量は100sccmである。
(9)封止層1126の形成
共通電極層1125を形成した後、共通電極層1125を被覆するように、封止層1126を形成する(図6(d))。封止層1126は、CVD法、スパッタリング法などを用い形成できる。
(10)カラーフィルタ基板1131の形成
次に、カラーフィルタ基板1131の製造工程を例示する。
透明な上部基板1130を準備し、紫外線硬化樹脂(例えば紫外線硬化アクリル樹脂)材料を主成分とし、これに黒色顔料を添加してなる遮光層1129の材料を透明な上部基板1130の一方の面に塗布する(図7(a))。
塗布した遮光層1129の上面に所定の開口部が施されたパターンマスクPMを重ね、その上から紫外線照射を行う(図7(b))。
その後、パターンマスクPM及び未硬化の遮光層1129を除去して現像し、キュアすると、矩形状の断面形状の遮光層1129が完成する(図7(c))。
次に、遮光層1129を形成した上部基板1130表面に、紫外線硬化樹脂成分を主成分とするカラーフィルタ層1128(例えば、G)の材料1128Gを塗布し(図7(d))、所定のパターンマスクPMを載置し、紫外線照射を行う(図7(e))。
その後はキュアを行い、パターンマスクPM及び未硬化のペースト1128Rを除去して現像すると、カラーフィルタ層1128(G)が形成される(図7(f))。
この図7(d)、(e)、(f)の工程を各色のカラーフィルタ材料について同様に繰り返すことで、カラーフィルタ層1128(R)、1128(B)を形成する(図7(g))。なお、ペースト1128Rを用いる代わりに市販されているカラーフィルタ製品を利用してもよい。
以上でカラーフィルタ基板1131が形成される。
(11)カラーフィルタ基板1131と背面パネルとの貼り合わせ
次に、基板1100xから封止層1126までの各層からなる背面パネルに、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂などの紫外線硬化型樹脂を主成分とする接合層1127の材料を塗布する(図8(a))。
続いて、塗布した材料に紫外線照射を行い、背面パネルとカラーフィルタ基板1131との相対的位置関係を合せた状態で両基板を貼り合わせる。このとき、両者の間にガスが入らないように注意する。その後、両基板を焼成して封止工程を完了すると、表示パネル10が完成する(図8(b))。
1.6.補助電極層1200と共通電極層1125とを直接接触させる構成
図10に、図4における補助電極層1200の周辺の拡大構成について示す。
補助電極層1200の上に形成される電子輸送層1124は、補助電極層1200の貫通孔1200bの内壁1200cにおいて途切れて(断切れして)形成される。詳細には、電子輸送層1124では、補助電極層1200の貫通孔1200bの内壁1200cが露出するように、端部1124a1,a2間(あるいは端部1124a3、a4間)が離れて配置される。共通電極層1125は、この電子輸送層1124の端部1124a1,a2間(あるいは端部a3,a4間)に回り込むように、補助電極層1200の貫通孔1200bの内壁1200cに接触して形成される。
補助電極層1200の膜厚が過度に薄いと、共通電極層1125と接触する面積が狭くなるため、膜厚は、70nm以上で形成することが好ましい。本実施の形態では、補助電極層1200の膜厚は110nmとした。
電子輸送層1124は、貫通孔1200bの内壁1200cにおいて段切れするように、比較的ステップカバレッジの劣る成膜方法(例えば、真空蒸着法)により形成することが望ましい。また、電子輸送層1124の膜厚が過度に薄いと、共通電極層1125から発光層1123へ電子が直接移動し、発光層1123への電子の注入を制限する機能を果たせない。従って、電子輸送層1124の膜厚を10nm以上に形成することが望ましい。一方、電子輸送層1124の厚膜化は、電子輸送層1124の透過率を低下させ、段切れの発生を阻害する。電子輸送層1124を通過する光を過度に減衰させないため、かつ、補助電極層1200の貫通孔1200bの内壁1200cにおいて意図的に段切れを発生させるため、電子輸送層1124の膜厚を40nm以下に形成することが好ましい。本実施の形態では、電子輸送層1124の膜厚は35nmとした。
共通電極層1125は、電子輸送層1124の段切れ部分(端部1124a1,a2間、または端部1124a3、a4間)にまわりこんで形成されるように、ステップカバレッジの優れた成膜方法(例えば、スパッタリング法やCVD法)により形成することが望ましい。共通電極層1125が過度に薄いと、段切れ発生の要因にもなるため、共通電極層1125は膜厚を25nm以上に形成することが望ましい。一方、共通電極層1125の厚膜化は、共通電極層1125の透過率を低下させるため、共通電極層1125は膜厚を300nm以下に形成することが望ましい。本実施の形態では、共通電極層1125の膜厚は150nmとした。
なお、補助電極層1200の膜厚、電子輸送層1124の膜厚、及び共通電極層1125の膜厚は、電子輸送層1124の膜厚<補助電極層1200の膜厚<共通電極層1125の膜厚の関係を満たすことが望ましい。
1.7 表示パネル10の効果について
以下、表示パネル10から得られる効果について説明する。
表示パネル10は、基板1100x上の画素領域に設けられた画素電極層1119と、前記基板1100x上の補助領域に設けられた補助電極層1200と、画素電極層1119上に設けられた発光層1123と、発光層1123上および補助電極層1200上に設けられた電子輸送層1124と、電子輸送層1124上に設けられた共通電極層1125と、を備え、補助電極層1200の上面には、貫通孔1200bが形成されており、電子輸送層1124には補助電極層1200の貫通孔1200bの内壁1200cが露出するよう欠落しており、共通電極層1125は電子輸送層1124の欠落部分において補助電極層1200の貫通孔1200bの内壁1200cと直接接触している構成を採る。
係る構成により、補助電極層1200が、貫通孔1200bの内壁1200cにおいて、電子輸送層1124を介さずに、共通電極層1125と直接接触するため、共通電極層1125に起因する電圧降下が抑制され、発光効率を向上させると共に画面中央部での輝度低下が抑えられ、輝度ムラを低減することが可能である。
また、補助電極層1200に貫通孔1200bを設けることにより、電子輸送層1124を段切れさせ、段切れによって露出した補助電極層1200と共通電極層1125が直接接触する構成である。
係る構成により、電子輸送層1124を形成する際に、補助電極層1200を避けて形成するためにマスク蒸着を行う必要がなく、精密マスクの高精度の位置合わせに伴う生産性低下を回避することができる。
補助電極層1200の構成材料は画素電極層1119の構成材料と同じである。従って、補助電極層1200は、専用の工程を設けることなく、画素電極層1119と同じ工程で形成でき、工程数増加による生産性低下を回避することができる。
1.8 変形例
実施の形態1に係る表示パネル10を説明したが、本開示は、その本質的な特徴的構成要素を除き、以上の実施の形態に何ら限定を受けるものではない。例えば、実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。以下では、そのような形態の一例として、パネル10の変形例を説明する。
表示パネル10では、電子輸送層1124は、補助電極層1200の貫通孔1200b内において内壁1200cが露出するように欠落し、共通電極層1125は、補助電極層1200と直接接触するように形成される構成としている。しかしながら、電子輸送層1124は上記に限られず適宜変更してもよい。例えば、電子輸送層1124には、補助電極層1200の貫通孔1200b内において内壁1200c近傍に位置する一部分が欠落するには至らないものの、電子輸送層1124の一部分が1nm以下の膜厚に薄層化された薄層化部(不図示)が形成される構成としてもよい。係る構成により、電子輸送層1124の一部分が欠落するには至らないものの、共通電極層1125は、電子輸送層1124の薄層化部において、薄層化部以外の部分よりも低い電気抵抗にて補助電極層1200に電気的に接続される構造を実現することができる。その結果、共通電極層1125と補助電極層1200との電気的接続における電気抵抗の低減を図り、発光効率を向上させるとともに輝度ムラを抑制することができる。
表示パネル10では、補助電極層1200に設けられた貫通孔1200bは、図11(a)に示すように、スリット状の凹部が所定の間隔で列方向に一列に配されている。しかしながら、貫通孔1200bは、図11(b)、(d)に示すように複数列に配されていてもよく、図11(c)、(d)に示すように円形であってもよい。
表示パネル10では、発光層1123は、行バンク上を列方向に連続して延伸している構成としている。しかしながら、上記構成において、発光層1123は、行バンク上において画素ごとに断続している構成としてもよい。
表示パネル10では、行方向に隣接する列バンク1522Y間の間隙1522zに配された副画素1100seの発光層1123が発する光の色は互いに異なる構成とし、列方向に隣接する行バンク1122X間の間隙に配された副画素1100seの発光層1123が発する光の色は同じである構成とした。しかしながら、上記構成において、行方向に隣接する副画素1100seの発光層1123が発する光の色は同じであり、列方向に隣接する副画素1100seの発光層1123が発する光の色が互いに異なる構成としてもよい。また、行列方向の両方において隣接する副画素1100seの発光層1123が発する光の色が互いに異なる構成としてもよい。
実施の形態に係る表示パネル10では、画素1100eには、赤色画素、緑色画素、青色画素の3種類があったが、本発明はこれに限られない。例えば、発光層が1種類であってもよいし、発光層が赤、緑、青、黄色に発光する4種類であってもよい。
また、上記実施の形態では、画素1100eが、マトリクス状に並んだ構成であったが、本発明はこれに限られない。例えば、画素領域の間隔を1ピッチとするとき、隣り合う間隙同士で画素領域が列方向に半ピッチずれている構成に対しても効果を有する。高精細化が進む表示パネルにおいて、多少の列方向のずれは視認上判別が難しく、ある程度の幅を持った直線上(あるいは千鳥状)に膜厚むらが並んでも、視認上は帯状となる。したがって、このような場合も輝度むらが上記千鳥状に並ぶことを抑制することで、表示パネルの表示品質を向上できる。
また、上記実施の形態では、画素電極層1119と共通電極層1125の間に、ホール注入層1120、ホール輸送層1121、発光層1123及び電子輸送層1124が存在する構成であったが、本発明はこれに限られない。例えば、ホール注入層1120、ホール輸送層1121及び電子輸送層1124を用いずに、画素電極層1119と共通電極層1125との間に発光層1123のみが存在する構成としてもよい。また、例えば、ホール注入層、ホール輸送層、電子輸送層、電子注入層などを備える構成や、これらの複数又は全部を同時に備える構成であってもよい。また、これらの層はすべて有機化合物からなる必要はなく、無機物などで構成されていてもよい。
また、上記実施の形態では、発光層1123の形成方法としては、印刷法、スピンコート法、インクジェット法などの湿式成膜プロセスを用いる構成であったが、本発明はこれに限られない。例えば、真空蒸着法、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、イオンプレーティング法、気相成長法等の乾式成膜プロセスを用いることもできる。さらに、各構成部位の材料には、公知の材料を適宜採用することができる。
上記の形態では、EL素子部の下部にアノードである画素電極層1119が配され、TFTのソース電極に画素電極層1119を接続する構成を採用したが、EL素子部の下部に共通電極層、上部にアノードが配された構成を採用することもできる。この場合には、TFTにおけるドレインに対して、下部に配されたカソードを接続することになる。
また、上記実施の形態では、一つの副画素1100seに対して2つのトランジスタTr1、Tr2が設けられてなる構成を採用したが、本発明はこれに限定を受けるものではない。例えば、一つのサブピクセルに対して一つのトランジスタを備える構成でもよいし、三つ以上のトランジスタを備える構成でもよい。
さらに、上記実施の形態では、トップエミッション型のEL表示パネルを一例としたが、本発明はこれに限定を受けるものではない。例えば、ボトムエミッション型の表示パネルなどに適用することもできる。その場合には、各構成について、適宜の変更が可能である。
≪補足≫
以上で説明した実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、工程、工程の順序などは一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない工程については、より好ましい形態を構成する任意の構成要素として説明される。
また、上記の工程が実行される順序は、本発明を具体的に説明するために例示するためのものであり、上記以外の順序であってもよい。また、上記工程の一部が、他の工程と同時(並列)に実行されてもよい。
また、発明の理解の容易のため、上記各実施の形態で挙げた各図の構成要素の縮尺は実際のものと異なる場合がある。また本発明は上記各実施の形態の記載によって限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
また、各実施の形態及びその変形例の機能のうち少なくとも一部を組み合わせてもよい。
さらに、本実施の形態に対して当業者が思いつく範囲内の変更を施した各種変形例も本発明に含まれる。
本発明に係る有機EL表示パネル、及び有機EL表示装置は、テレビジョンセット、パーソナルコンピュータ、携帯電話などの装置、又はその他表示パネルを有する様々な電子機器に広く利用することができる。
1 有機EL表示装置
10 有機EL表示パネル
1100 有機EL素子
1100e 単位画素
1100se 副画素
1100a 自己発光領域
1100b 非自己発光領域
1100x 基板(TFT基板)
1119 画素電極層
1200 補助電極層
1200b 貫通孔
1200c 内壁
1120 ホール注入層
1120A 下部層
1120B 上部層
1121 ホール輸送層
1122 バンク
1122X 行バンク
1522Y 列バンク
1123 発光層
1124 電子輸送層
1125 共通電極層
1126 封止層
1127 接合層
1128 カラーフィルタ層
1130 上部基板
1131 カラーフィルタ基板

Claims (6)

  1. 基板上に複数の画素電極が行列状に配され、各画素電極上に有機発光材料を含む発光層が配されてなる有機EL表示パネルであって、
    前記基板上の行または列方向に隣接する画素電極の間隙の内の少なくとも1の間隙上に列または行方向に延伸する電極作成領域が確保され、当該電極作成領域に隣接する画素電極とは非接触の状態で設けられた給電補助電極層と、
    前記発光層上および前記給電補助電極層上に跨って設けられた機能層と、
    前記機能層上に連続して延伸する状態で設けられた共通電極層と、を備え、
    前記給電補助電極層には貫通孔が開設されており、
    前記機能層は前記給電補助電極層の前記貫通孔の内壁に位置する部分が欠落している又は薄層化しており、
    前記共通電極層は、前記機能層の欠落により露出している前記給電補助電極層と直接接触しており、前記機能層が薄層化している部分においてそれ以外の前記機能層の部分よりも低い抵抗にて前記給電補助電極層に電気的に接続している
    有機EL表示パネル。
  2. 前記貫通孔は、スリット状である
    請求項1記載の有機EL表示パネル。
  3. 前記給電補助電極層の膜厚は前記機能層の膜厚よりも厚く、前記共通電極層の膜厚は前記給電補助電極層の膜厚よりも厚い
    請求項1又は2に記載の有機EL表示パネル。
  4. 基板上に複数の画素電極が行列状に配され、各画素電極上に有機発光材料を含む発光層が配されてなる有機EL表示パネルの製造方法であって、
    前記基板上の行または列方向に隣接する画素電極の間隙の内の少なくとも1の間隙上に列または行方向に延伸する電極作成領域を確保し、当該電極作成領域に、隣接する画素電極とは非接触の状態で、貫通孔を有する給電補助電極層を、気相成長法により形成する工程と、
    前記発光層上および前記給電補助電極層上に跨る機能層を、前記給電補助電極層の前記貫通孔の内壁に位置する部分において欠落する又は薄層化するよう真空蒸着法により形成する工程と、
    前記機能層上に連続して延伸するように、且つ、前記機能層の欠落により露出している前記給電補助電極層と直接接触するように、前記機能層が薄層化している部分ではそれ以外の前記機能層の部分よりも低い抵抗で前記共通電極層が前記給電補助電極層に電気的に接続されるように、共通電極層をスパッタリング法またはCVD(Chemical Vapor Deposition)法により形成する工程と、
    を含む有機EL表示パネルの製造方法。
  5. 前記貫通孔は、スリット状である
    請求項3記載の有機EL表示パネルの製造方法。
  6. 前記給電補助電極層の膜厚は前記機能層の膜厚よりも厚く、前記共通電極層の膜厚は前記給電補助電極層の膜厚よりも厚い
    請求項4又は5に記載の有機EL表示パネルの製造方法。
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