≪本開示の一態様に至った経緯≫
図31は、有機EL表示パネル10Xの画素を行方向(図31のX方向)に切断した模式断面図である。有機EL表示パネル10Xでは、基板1xの上面に各条が列方向(図31のY方向)に延伸するバンク22に区切られた、R、G、Bの色の光を発する発光素子23R、23G、23Bが行方向に並んで配され1画素を構成している。発光素子23R、23G、23Bとバンク22は無機材料からなる封止層26に被覆され、樹脂材料からなる接合層27を介して、基板1xが距離Lyだけ離間した上部基板30と接合されている。上部基板30には、発光素子23R、23G、23Bと対向する部分に開口を有する黒色顔料を含む遮光膜33が配され、開口内に発光素子23R、23G、23Bと対向するように、それぞれカラーフィルタ層32R、32G、32Bが配されている。
表示パネル10Xでは、発光素子幅をWel、遮光膜33の開口の幅をWbm、発光基準点と遮光膜133との距離をLyとしたとき、遮光膜33の開口の幅WbmR、WbmG、WbmBは、対向する発光素子23R、23G、23Bの幅WelR、WelG、WelBよりも大きく、発光素子23から出た光は上方(図31のZ方向)に出射される。
表示パネル10Xを視野角αとして視線Cの方向から視したとき、遮光幅はLx、発光素子幅Welに対する遮光率はLx/Welとなる。そのため、発光素子23から看者が視認する輝度の減少率は遮光率が大きい程、増加する。このとき、発光素子23R、23G、23B間で輝度の減少率が異なる場合には、発光素子100R、G、Bからの輝度バランスが変化して看者が視認する色度が変化し、斜め方向からの視認時におけるグレーや中間調における色度ズレとして認識される。
この課題に対し、例えば、特許文献2では、RGB各色の発光素子100を区画するバンク22間の間隙と格子状の遮光膜33の開口の大きさをRGB各色の副画素ごとに異ならせることにより、発光素子23R、23G、23Bの遮光率を意図的に異ならせて、斜め方向からの視認時における色度変化を補償して低減する技術が提案されている。しかしながら、発明者の検討では、高精細化された有機EL表示パネルにおいては、画素密度が増加して発光素子23の面積が減少するために、特許文献2に記載の方法では、斜め方向からの視認時における色度変化を十分に低減することが難しいという問題があった。
例えば、バンク22に対し格子状の遮光膜33の開口面積を減少したときには、上部基板30と背面基板1xとの貼り合わせの際に、上部基板30に形成された遮光膜33の発光素子100に対するアライメントが難化する場合がある。また、バンク22に対し格子状の遮光膜33の開口面積を増加したときには、遮光膜33の最小線幅を確保するために開口Wbmの増加が制限されて、遮光率を十分に低減できない場合がある。
また、視野角αにおける発光素子23R、23G、23Bの遮光率が構造上異なることにより、看者が視認する色度が変化する場合もある。
この問題を解決するため、発明者は、高精細化が可能であり、かつ、正面から45°以上傾斜した斜め方向から表示画像を見たときの出射光の色度変化を低減する自発光表示パネルの構造について鋭意検討を行い、本開示の一態様に係る自発光表示パネルに想到したものである。
なお、発光素子として有機EL素子を用いた有機EL表示パネルに限らず、発光層が無機材料からなる無機EL表示パネルや、発光層が、量子ドット発光素子(QLED:quantum dot-LED)からなる量子ドット表示パネルなど、およそ自発光素子を備え、ウェットプロセスにより有機機能層を形成して光共振器構造を構築した表示パネルについても同様の課題が生じる。
≪本発明を実施するための形態の概要≫
本開示の実施の形態に係る自発光型表示パネルは、複数の副画素からなる画素が配された自発光型表示パネルであって、前記副画素に対応して発光色が異なる複数の発光素子と、前記発光素子の出射方向の下流側に、平面視において各前記発光素子と対向する位置に開口が設けられた遮光膜とを備え、前記発光素子の発光基準点と、当該発光素子に対応する前記遮光膜との間の光学距離が、前記発光素子の発光色に応じて異なることを特徴とする。
係る構成により、高精細化された有機EL表示パネルにおいて、画素密度が増加して発光素子の単位面積が減少した場合でも、斜め方向から表示画像を見たときの出射光の色度変化を低減する自発光表示パネルの構造を実現できる。
また、別の態様では、上記の何れかの態様において、前記光学距離は、前記発光素子の発光基準点と、前記遮光膜の当該発光素子に対応する前記開口の縁との間の出射方向における最大距離である構成としてもよい。
係る構成により、遮光幅及び遮光率を発光素子と遮光膜の開口の位置関係と独立に制御することができる。そのために、遮光幅及び遮光率を発光素子の発光色に応じて異ならせた場合でも、前面板と背面パネルとの貼り合わせの際に、前面板に形成された遮光膜の、基板上の副画素に対するアライメント許容寸法が変化することはない。また、遮光膜の最小線幅を確保するために遮光率を十分に低減できない場合もない。その結果、高精細化された有機EL表示パネルにおいて、画素密度が増加して発光素子の単位面積が減少した場合でも、斜め方向から表示画像を見たときの出射光の色度変化を低減する自発光表示パネルの構造を実現できる。
また、別の態様では、上記の何れかの態様において、前記発光素子に対応する前記遮光膜の前記開口縁の上端の出射方向における位置が、前記発光素子の発光色に応じて異なる構成としてもよい。
また、別の態様では、上記の何れかの態様において、前記発光素子の発光基準点の出射方向における位置が、前記発光素子の発光色に応じて異なる構成としてもよい。
係る構成により、発光素子の発光基準点と、発光素子に対応する遮光膜との間の光学距離が、発光素子の発光色に応じて異なるように構成できる。
また、別の態様では、上記の何れかの態様において、前記発光素子の出射方向における前記発光素子と前記遮光膜との間に、光調整膜を備え、前記光調整膜は、平面視において各前記発光素子と対向する領域の屈折率が前記発光素子の発光色に応じて異なる構成としてもよい。
係る構成により、発光素子内に光調整膜を配することで、斜め方向からの視認時における色度変化を低減することができる発光パネルの構造を実現できる。さらに、光調整膜と封止層との境界を第3反射界面とする光共振器構造とすることによりにより、光取り出し効率を向上することができる。
また、別の態様では、上記の何れかの態様において、前記発光素子の出射方向における前記発光素子と前記遮光膜との間に、発光色が異なる複数の前記発光素子に跨って配された透光性の光調整膜を備え、前記光調整膜の屈折率は、複数の前記発光素子が発する光の波長ごとに異なる構成としてもよい。
係る構成により、斜め方向からの視認時における色度変化を低減することができる。また、発光素子ごとに光調整膜の屈折率を異ならせることにより、発光素子ごとの遮光率の違いをより一層細かく変化させることで、斜め方向からの視認時における色度変化をより一層精度よく補償することができる。
また、別の態様では、上記の何れかの態様において、発光色が異なる前記複数の発光素子それぞれに対応する複数のカラーフィルタ層を備え、前記遮光層は、隣接する発光素子の境界の上方において、一部が積層されたカラーフィルタ層の縁部によって構成される構成としてもよい。
係る構成により、発光素子ごとの遮光率の違いを相殺する方向に変化させて遮光率の違いを補うことで、斜め方向からの視認時における色度変化を低減できる発光パネルの構造を実現することができる。
また、別の態様では、上記の何れかの態様において、前記複数の発光素子は、前記発光素子の発光色に応じて行又は列方向の発光素子幅が異なり、前記発光素子幅が大きい前記発光素子は、前記発光素子幅が小さい前記発光素子よりも、前記光学距離が大きい構成としてもよい。
係る構成により、前面板に光調整膜を配することで、斜め方向からの視認時における色度変化を低減することができる。
また、別の態様では、上記の何れかの態様において、前記複数の発光素子は、前記発光素子の発光色に応じて行又は列方向における発光分布が異なり、前記発光分布における1/2輝度発生領域幅が大きい前記発光素子は、前記1/2輝度発生領域幅が小さい前記発光素子よりも、前記光学距離が小さい構成としてもよい。
係る構成により、発光素子の輝度分布の急峻度の違いにより、各色発光素子を斜め方向から視したときの見かけの遮光率が同じでも各色発光素子から視認される輝度が異なる場合において、斜め方向からの視認時における色度変化を低減できる。
また、別の態様では、上記の何れかの態様において、平面視において、前記遮光膜における前記開口は、少なくとも行又は列方向において対応する前記発光素子を内含し、前記開口縁と前記発光素子との距離は、前記発光素子の発光色によらず一定である構成としてもよい。
係る構成により、遮光幅及び遮光率を発光素子と遮光膜の開口の位置関係と独立に制御することができる。そのために、遮光幅及び遮光率を発光素子の発光色に応じて異ならせた場合でも、前面板と背面パネルとの貼り合わせの際に、前面板に形成された遮光膜の、基板上の副画素に対するアライメント許容寸法が変化することはない。
また、別の態様では、上記の何れかの態様において、複数の前記画素は行列状に配されており、前記画素ごとに発光色が異なる前記発光素子が行方向に列設されており、さらに、行方向における前記発光素子と前記発光素子との間に配され、列方向に延伸されてなる複数のバンクを備え、前記発光素子は、行方向に隣接する2つの前記バンク間の間隙に配された塗布膜からなる発光層を有し、前記発光層は、それぞれ、前記バンク間の間隙の行方向の中心を含む範囲に存在し行方向に層厚が均一な平坦部と、前記平坦部の行方向の両側に存在し前記平坦部よりも層厚が厚いピンニング部とを含む構成としてもよい。
係る構成により、斜め方向から視認したときの遮光率は、行方向の遮光率が列方向の遮光率よりも大きい関係となり、視野角から視認される色度変化も行方向の色度変化が列方向の色度変化よりも大きい関係とすることができる。そのため、遮光膜の開口における行方向の縁に、例えば、増厚部を設けることにより、斜め方向からの視認時における色度変化を効果的に低減できる発光パネルの構造を実現できる。
また、別の態様では、上記の何れかの態様において、各前記発光素子から発せられた光の一部が前記遮光膜における前記開口の縁によって遮られることに起因して生じる、行方向における視野角45°から観測される色度と、列方向における視野角45°から観測される色度との間の色差は、0より大きく0.020以下である構成としてもよい。
係る構成により、遮光膜の各開口の、行方向および列方向における開口幅を縮小して遮光率を増加させたときの、斜め方向から視認される色度変化を低減することができる。
また、別の態様では、上記の何れかの態様において、各前記発光素子から発せられた光の一部が前記遮光膜における前記開口の縁によって遮られることに起因して生じる、列方向における視野角45°から観測される輝度は、行方向における視野角45°から観測される輝度よりも3%以上大きい構成としてもよい。
係る構成により、発光素子の発光層が列バンク間の間隙内に連続して形成された長尺状の塗布膜からなる場合において、発光素子の遮光率の違い補い斜め方向からの視認時における色度変化をより一層精度よく補償することができる発光パネルの構造を実現できる。
≪実施の形態≫
<有機EL表示パネル10の全体構成>
本実施の形態に係る有機EL表示パネル10(以後、「表示パネル10」と称する)について、図面を用いて説明する。なお、図面は模式図であって、その縮尺は実際とは異なる場合がある。図1は、表示パネル10の一部を拡大した模式平面図である。
表示パネル10は、有機化合物の電界発光現象を利用した有機EL表示パネルであり、複数の薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)が配された基板100x(TFT基板)に、各々が画素を構成する複数の発光素子100がマトリックス状に配され、上面より光を発するトップエミッション型の構成を有する。ここで、本明細書では、図1におけるX方向、Y方向、Z方向を、それぞれ表示パネル10における、行方向、列方向、厚み方向とする。
図1に示すように、表示パネル10は、基板100x上をマトリックス状に区画してRGB各色の発光素子100R、100G、100B(区別しない場合は、「発光素子100」とする)を規制する列バンク122Yと行バンク122X(総称して「バンク122」とする)とが配された区画領域10e(以後、「領域10e」とする)から構成されている。発光素子100R、100G、100Bには、赤色に発光する自己発光領域100aR、緑色に発光する自己発光領域100aG、青色に発光する自己発光領域100aB(区別しない場合は「自己発光領域100a」とする)の何れかが形成されている。各発光素子100は、発光単位である副画素100seに対応する。表示パネル10の領域10eには、行方向に並んだ3つの副画素100seから構成された単位画素100eが行列状に配されている。
また、図1に示すように、表示パネル10には、複数の画素電極119が基板100x上に行及び列方向にそれぞれ所定の距離だけ離れた状態でマトリックス状に配されている。画素電極119は、平面視において矩形形状であり、光反射材料からなる。行列状に配された画素電極119は、行方向に順に並んだ3つの自己発光領域100aR、100aG、100aBに対応する。画素電極119の行方向の長さ119xは、発光素子100B、100G、100Rの順に大きく構成されており、自己発光領域100aB、100aG、100aRの面積もこの順に大きい。
表示パネル10では、バンク122の形状は、いわゆるライン状のバンク形式を採用し、行方向に隣接する2つの画素電極119の間には、各条が列方向(図1のY方向)に延伸する列バンク122Yが複数行方向に並設されている。
一方、列方向に隣接する2つの画素電極119の間には、各条が行方向(図1のX方向)に延伸する行バンク122Xが複数列方向に並設されている。行バンク122Xが形成される領域は、発光層123において有機電界発光が生じないために非自己発光領域100bとなる。
122zと定義し、自己発光領域100aRに対応する間隙を赤色間隙122zR、自己発光領域100aGに対応する間隙を緑色間隙122zG、自己発光領域100aBに対応する間隙を青色間隙122zB(以後、区別しない場合は「間隙122z」)とする。
また、図1に示すように、表示パネル10では、複数の自己発光領域100aと非自己発光領域100bとが、間隙122zに沿って列方向に交互に並んで配され、非自己発光領域100bには、画素電極119とTFTのソースS1とを接続する接続凹部(コンタ
クトホール、不図示)119c(118a)が設けられている。
<表示パネル10の各部構成>
表示パネル10における発光素子100の構成について、図2、図3を用いて説明する。図2、図3は、図1におけるA1-A1、A2-A2で切断した模式断面図である。
本実施の形態に係る表示パネル10においては、Z軸方向下方に薄膜トランジスタが形成された基板(TFT基板)が構成され、その上に有機EL素子部が構成されている。
(発光素子部)
[基板100x]
基板100xは表示パネル10の支持部材であり、基材(不図示)と、基材上に形成された薄膜トランジスタ層(不図示)とを有する。
基材は、表示パネル10の支持部材であり、平板状である。基材の材料としては、電気絶縁性を有する材料、例えば、ガラス材料、樹脂材料、半導体材料、絶縁層をコーティングした金属材料などを用いることができる。
TFT回路は、発光素子100の外部回路からの駆動信号に応じ、自身に対応する画素電極119と外部電源とを電気的に接続するものであり、TFT層は、基材上面に形成された電極、半導体層、絶縁層などの多層構造からなる。本実施の形態では、TFT層は、基材上面に形成された複数のTFT及び配線からなる。配線は、TFTのソースS1 と対応する画素電極119、外部電源、外部回路などを電気的に接続している。
[平坦化層118]
基材上及びTFT層の上面には平坦化層118が設けられている。基板100xの上面に位置する平坦化層118は、TFT層によって凹凸が存在する基板100xの上面を平坦化するとともに、配線及びTFTの間を埋め、配線及びTFTの間を電気的に絶縁している。
平坦化層118には、画素電極119と対応する画素のソースS1 に接続される配線とを接続するために、画素電極119に対応して、当該配線の上方の一部にコンタクト孔118aが開設されている。
[画素電極119]
基板100xにおける領域10eの上面に位置する平坦化層118上には、図2、3に示すように、副画素100se単位で画素電極119が設けられている。
画素電極119は、発光層123へキャリアを供給するためのものであり、例えば陽極として機能した場合は、発光層123へホールを供給する。表示パネル10はトップエミッション型であるため、画素電極119は光反射性を有する。画素電極119の形状は、例えば、概矩形形状をした平板状である。本実施の形態では、上述のとおり、発光素子100B、100G、100Rにおける画素電極119の行方向の長さ119x(B)、(G)、(R)は、発光素子100B、100G、100Rの順に大きく構成されている。これにより、発光層123の電流密度を、発光素子100B、100G、100Rの順に小さくして各色の発光素子100の素子寿命の違いを補うように構成されている。
平坦化層118のコンタクト孔(不図示)上には、画素電極119の一部を基板100x方向に凹入された画素電極119の接続凹部119cが形成されており、接続凹部の底で画素電極119と対応する画素のソースS1 に接続される配線とが接続される。
[ホール注入層120]
画素電極119及上には、図2、3に示すように、ホール注入層120が積層されている。ホール注入層120は、画素電極119から注入されたホールをホール輸送層121へ輸送する機能を有する。
ホール注入層120は、基板100x側から順に、画素電極119上に形成された金属酸化物からなる下層と、後述する間隙122zR、間隙122zG、間隙122zB内の下層の上それぞれに積層された有機物からなる上層とを含む。RGBの各副画素に形成される上層は、RGBの各副画素によって膜厚が異なって形成されている。
本実施の形態では、図3に示すように、間隙122zR、間隙122zG、間隙122zB内では、ホール注入層120は列方向に延伸するように線状に設けられている。
[バンク122]
図2に示すように、画素電極119、ホール注入層120の端縁を被覆するように絶縁物からなるバンクが形成されている。バンクには、列方向に延伸して行方向に複数並設されている列バンク122Yと、行方向に延伸して列方向に複数並設されている行バンク122Xとがある(以後、区別しない場合は「バンク122」と称する)。
列バンク122Yの形状は、列方向に延伸する線状であり、行方向に平行に切った断面は、上方を先細りとする順テーパー台形状である。列バンク122Yは、発光層123の材料となる有機化合物を含んだインクの行方向への流動を堰き止めて形成される発光層123の行方向外縁を規定するものである。また、列バンク122Yは、行方向の基部により行方向における各副画素100seの発光領域100aの外縁を規定する。
行バンク122Xの形状は、行方向に延伸する線状であり、列方向に平行に切った断面は上方を先細りとする順テーパー台形状である。行バンク122Xは、各列バンク122Yを貫通するようにして行方向に設けられており、各々が列バンク122Yの上面122Ybよりも低い位置に上面を有する。そのため、行バンク122Xと列バンク122Yとにより、自己発光領域100aに対応する開口が形成されている。
[ホール輸送層121]
図2、3に示すように、間隙122zR、122zG、122zB内におけるホール注入層120上には、ホール輸送層121が積層される。また、行バンク122Xにおけるホール注入層120上にも、ホール輸送層121が積層される。ホール輸送層121は、ホール注入層120に接触している。ホール輸送層121は、ホール注入層120から注入されたホールを発光層123へ輸送する機能を有する。RGBの各副画素に形成されるホール輸送層121R、121G、121Bは、RGBの各副画素によって膜厚が異なって形成されていてもよい(以後、区別しない場合は「ホール輸送層121」とする)。
本実施の形態では、後述する間隙122z内では、ホール輸送層121は、列方向に延伸するように線状に設けられている構成を採る。
[発光層123]
図2、3に示すように、ホール輸送層121上には、発光層123が積層されている。発光層123は、有機化合物からなる層であり、内部でホールと電子が再結合することで光を発する機能を有する。列バンク122Yにより規定された間隙122zR、間隙122zG、間隙122zB内では、発光層123R、123G、123Bは、それぞれ列方向に延伸するように線状に設けられている。
各色の副画素100seにおいて、画素電極119と対向電極125との間に各色の発光層123が存在し、発光層123からの光を共振させて対向電極125側から出射させる光共振器構造が形成され、発光層123R、123G、123Bそれぞれから出射させる光の波長に応じて、発光層123上面と画素電極119上面との間の光学距離が設定され、各色に対応する光成分が強め合うように光共振器構造が形成されている。
発光層123は、画素電極119からキャリアが供給される部分のみが発光するので、層間に絶縁物である行バンク122Xが存在する範囲100bでは、有機化合物の電界発光現象が生じない。そのため、発光層123は、行バンク122Xがない部分が自己発光領域100aとなり、行バンク122Xの側面及び上面122Xbの上方にある部分は非自己発光領域となる。
各色の副画素100seにおいて、画素電極119と対向電極125との間に各色の発光層123が存在し、発光層123からの光を共振させて対向電極125側から出射させる光共振器構造が形成されている。すなわち、それぞれの発光層123R、123G、123Bから発された光が画素電極119にて反射されて対向電極125を通して上方に出射される反射光と、発光層R、123G、123Bから発された光が対向電極125を通して上方に出射される直接光とが干渉して強め合う構造を有する。そのため、発光層123R、123G、123Bそれぞれから出射させる光の波長に応じて、発光層123上面と画素電極119上面との間の光学距離が設定され、各色に対応する光成分が強め合うように、発光層123R、123G、123B、ホール輸送層121R、121G、121Bの膜圧が、RGBの各副画素によって異なって形成されている。
なお、発光層123は、自己発光領域100aだけでなく、隣接する非自己発光領域100bまで連続して延伸されている。このようにすると、発光層123の形成時に、自己発光領域100aに塗布されたインクが、非自己発光領域100bに塗布されたインクを通じて列方向に流動でき、列方向の画素間でその膜厚を平準化することができる。但し、非自己発光領域100bでは、行バンク122Xによって、インクの流動が程良く抑制される。よって、列方向に大きな膜厚むらが発生しにくく画素毎の輝度むらが改善される。
[電子輸送層124]
図2、3に示すように、列バンク122Y及び列バンク122Yにより規定された間隙122z内の発光層123上を被覆するように電子輸送層124が積層して形成されている。電子輸送層124は、表示パネル10の少なくとも表示領域全体に連続した状態で形成されている。電子輸送層124は、対向電極125からの電子を発光層123へ輸送するとともに、発光層123への電子の注入を制限する機能を有する。
[対向電極125]
図2、3に示すように、電子輸送層124上に、対向電極125が形成されている。対向電極125は、各発光層123に共通の電極となっている。対向電極125は、画素電極119と対になって発光層123を挟むことで通電経路を作る。対向電極125は、発光層123へキャリアを供給し、例えば陰極として機能した場合は、発光層123へ電子を供給する。
[封止層126]
対向電極125を被覆するように、封止層126が積層形成されている。封止層126は、発光層123が水分や空気などに触れて劣化することを抑制するためのものである。封止層126は、対向電極125の上面を覆うように設けられている。また、ディスプレイとして良好な光取り出し性を確保するために高い透光性を有することが必要である。 (発光素子部の構成材料)
発光素子部の各部の構成材料について、一例を示す。
[基板100x(TFT基板)]
基材としては、例えば、ガラス基板、石英基板、シリコン基板、硫化モリブデン、銅、亜鉛、アルミニウム、ステンレス、マグネシウム、鉄、ニッケル、金、銀などの金属基板、ガリウム砒素基などの半導体基板、プラスチック基板等を採用することができる。
TFT層は、基材に形成されたTFT回路と、TFT回路上に形成された無機絶縁層(不図示)、平坦化層118とを有する。TFT回路は、基材上面に形成された電極、半導体層、絶縁層などの多層構造からなる。
TFTを構成するゲート電極、ゲート絶縁層、チャネル層、チャネル保護層、ソース電極、ドレイン電極などには公知の材料を用いることができる。
基板100xの上面に位置する平坦化層118の材料としては、例えば、ポリイミド系樹脂、アクリル系樹脂、シロキサン系樹脂、ノボラック型フェノール系樹脂などの有機化合物を用いることができる。
[画素電極119]
画素電極119は、金属材料から構成されている。トップエミッション型の本実施の形態に係る表示パネル10の場合には、厚みを最適に設定して光共振器構造を採用することにより出射される光の色度を調整し輝度を高めているため、画素電極119の表面部が高い反射性を有する。本実施の形態に係る表示パネル10では、画素電極119は、金属層、合金層、透明導電膜の中から選択される複数の膜を積層させた構造であってもよい。金属層としては、シート抵抗が小さく、高い光反射性を有する材料として、例えば、アルミニウム(Al)を含む金属材料から構成することができる。アルミニウム(Al)合金では、反射率が80~95%と高く、電気抵抗率が、2.82×10-8(10 nΩm)と小さく、画素電極119の材料として好適である。さらに、コスト面からアルミニウムを主成分として含む金属層、合金層を用いることが好ましい。
金属層としては、アルミニウム合金などの金属層の他、高反射率の観点から、例えば、銀や銀を含む合金等を用いることができる。
[ホール注入層120]
ホール注入層120は、例えば、銀(Ag)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、バナジウム(V)、タングステン(W)、ニッケル(Ni)、イリジウム(Ir)などの酸化物からなる層である。ホール注入層120を遷移金属の酸化物から構成する場合には、複数の酸化数をとるためこれにより複数の準位をとることができ、その結果、ホール注入が容易になり駆動電圧を低減することができる。
本実施の形態では、ホール注入層120は、膜厚が2nm以上(ここでは一例として10nm)30nm以下の酸化タングステン層として構成される。ホール注入層120は、酸化タングステンから構成されることが望ましいが、通常混入し得る程度の極微量の不純物が含まれていてもよい。
ホール注入層120は、例えば、PEDOT(ポリチオフェンとポリスチレンスルホン酸との混合物)などの導電性ポリマー材料の有機高分子溶液からなる塗布膜を用いることができる。
[バンク122]
バンク122は、樹脂等の有機材料を用い形成されており絶縁性を有する。バンク122の形成に用いる有機材料の例としては、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ノボラック型フェノール樹脂等があげられる。バンク122は、有機溶剤耐性を有することが好ましい。より好ましくは、アクリル系樹脂を用いることが望ましい。屈折率が低くリフレクターとして好適であるからである。
又は、バンク122は、無機材料を用いる場合には、屈折率の観点から、例えば、酸化シリコン(SiO)を用いることが好ましい。あるいは、例えば、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)などの無機材料を用い形成される。
また、表面に撥水性をもたせるために、表面をフッ素処理することもできる。また、バンク122の形成にフッ素を含有した材料を用いてもよい。また、バンク122の表面に撥水性を低くするために、バンク122に紫外線照射を行う、低温でベーク処理を行ってもよい。
[ホール輸送層121]
ホール輸送層121は、例えば、ポリフルオレンやその誘導体、あるいはアミン系有機高分子であるポリアリールアミンやその誘導体などの高分子化合物、あるいは、TFB(poly(9、9-di-n-octylfluorene-alt-(1、4-phenylene-((4-sec-butylphenyl)imino)-1、4-phenylene))などを用いることができる。
[発光層123]
発光層123は、上述のように、ホールと電子とが注入され再結合されることにより励起状態が生成され発光する機能を有する。発光層123の形成に用いる材料は、湿式印刷法を用い製膜できる発光性の有機材料を用いることが必要である。
具体的には、例えば、特許公開公報(日本国・特開平5-163488号公報)に記載のオキシノイド化合物、ペリレン化合物、クマリン化合物、アザクマリン化合物、オキサゾール化合物、オキサジアゾール化合物、ペリノン化合物、ピロロピロール化合物、ナフタレン化合物、アントラセン化合物、フルオレン化合物、フルオランテン化合物、テトラセン化合物、ピレン化合物、コロネン化合物、キノロン化合物及びアザキノロン化合物、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、ローダミン化合物、クリセン化合物、フェナントレン化合物、シクロペンタジエン化合物、スチルベン化合物、ジフェニルキノン化合物、スチリル化合物、ブタジエン化合物、ジシアノメチレンピラン化合物、ジシアノメチレンチオピラン化合物、フルオレセイン化合物、ピリリウム化合物、チアピリリウム化合物、セレナピリリウム化合物、テルロピリリウム化合物、芳香族アルダジエン化合物、オリゴフェニレン化合物、チオキサンテン化合物、アンスラセン化合物、シアニン化合物、アクリジン化合物、8-ヒドロキシキノリン化合物の金属錯体、2-ビピリジン化合物の金属錯体、シッフ塩とIII族金属との錯体、オキシン金属錯体、希土類錯体などの蛍光物質で形成されることが好ましい。
[電子輸送層124]
電子輸送層124には、電子輸送性が高い有機材料が用いられる。電子輸送層124は、フッ化ナトリウムで形成された層を含んでいてもよい。電子輸送層124に用いられる有機材料としては、例えば、オキサジアゾール誘導体(OXD)、トリアゾール誘導体(TAZ)、フェナンスロリン誘導体(BCP、Bphen)などのπ電子系低分子有機材料が挙げられる。
また、電子輸送層124は、電子輸送性が高い有機材料に、アルカリ金属、又は、アルカリ土類金属から選択されるドープ金属がドープされて形成された層を含んでいてもよい。
[対向電極125]
対向電極125は、銀(Ag)又はアルミニウム(Al)などを薄膜化した電極を用い形成される。
対向電極125は、光透過性を有する導電材料が用いられる。例えば、酸化インジウムスズ(ITO)若しくは酸化インジウム亜鉛(IZO)などを用い形成される。
[封止層126]
封止層126は、トップエミッション型の場合においては、光透過性の材料で形成される。例えば、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)などの透光性材料を用い形成される。また、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)などの材料を用い形成された層の上に、アクリル樹脂、シリコン樹脂などの樹脂材料からなる封止樹脂層を設けてもよい。
(前面板131の各部構成)
[上部基板130]
接合層127の上に、上部基板130にカラーフィルタ層132が形成された前面板131が設置・接合されている。上部基板130には、表示パネル10がトップエミッション型であるため、例えば、カバーガラス、透明樹脂フィルムなどの光透過性材料が用いられる。また、上部基板130により、表示パネル10、剛性向上、水分や空気などの侵入防止などを図ることができる。上部基板130としては、例えば、ガラス基板、石英基板、プラスチック基板等に透光性材料を採用することができる。
[カラーフィルタ層132]
上部基板130には画素の各色自己発光領域100aに対応する位置にカラーフィルタ層132が形成されている。カラーフィルタ層132は、R、G、Bに対応する波長の可視光を透過させるために設けられる透明層であり、各色画素から出射された光を透過させて、その色度を矯正する機能を有する。例えば、本例では、赤色間隙122zR内の自己発光領域100aR、緑色間隙122zG内の自己発光領域100aG、青色間隙122zB内の自己発光領域100aBの上方に、赤色、緑色、青色のカラーフィルタ層132R、132G、132Bが各々形成されている。カラーフィルタ層132としては、公知の樹脂材料(例えば市販製品として、JSR株式会社製カラーレジスト)等を採用することができる。カラーフィルタ層132は膜厚が、1μm以上4μm以下の範囲で形成されていることが好ましい。カラーフィルタ層132は、具体的には、例えば、複数の開口部を画素単位に行列状に形成されたカラーフィルタ層形成用のカバーガラスからなる上部基板130に対し、カラーフィルタ層材料および溶媒を含有したインクを塗布する工程により形成される。
[遮光膜133]
上部基板130には、図2、3に示すように、各副画素の発光領域100aに対向する位置に開口133aが開設されており、列バンク122Yの上方であって各副画素の発光領域100a間の行方向における境界に対応する位置、及び行バンク122Xの上方であって各副画素の発光領域100a間の列方向における境界に対応する位置を覆う遮光膜133が形成されている。
遮光膜133は、R、G、Bに対応する波長の可視光を透過させないために設けられる黒色樹脂層であって、例えば光吸収性及び遮光性に優れる黒色顔料を含む樹脂材料からなる。例えば、紫外線硬化樹脂(例えば紫外線硬化アクリル樹脂)材料を主成分とし、これに、例えば、カーボンブラック顔料、チタンブラック顔料、金属酸化顔料、有機顔料など遮光性材料の黒色顔料を添加してなる樹脂材料からなる。
表示パネル10では、発光素子100に対応する遮光膜133の開口縁の上端の出射方向における位置が、発光素子100の発光色に応じて異なる態様となる。これより、表示パネル10では、発光素子100の発光基準点と、発光素子100に対応する遮光膜133との間の光学距離が、発光素子100の発光色に応じて異なるように構成されている。この光学距離は、発光素子100の発光基準点と、遮光膜133の当該発光素子100に対応する開口133aの縁との間の出射方向における最大距離としてもよい。
また、発光素子100の発光基準点は、発光素子100R、G、Bを同一の基準に基づき比較できる機能層の基準位置であればよい。本例では、発光基準点は、気相成長法により製膜されるホール入注入層120と、塗布法により製膜されるホール輸送層121との縁部とした。しかしながら、発光基準点は、例えば、ホール輸送層120と画素電極119との境界、ホール輸送層120とホール輸送層121との境界、又は、ホール輸送層121と発光層123との境界の何れかとしてもよい。あるいは、発光層123の厚み方向における中心位置や、発光層123において厚み方向における輝度が最大となる位置(発光中心)としてもよい。
具体的には、表示パネル10では、遮光膜133では基部1330の発光素子100Bに対応する開口133aの周囲に増厚部1331が設けられている。その結果、表示パネル10では、発光素子100Bの発光基準点と、発光素子100Bに対応する遮光膜133との間の光学距離が、それぞれ、発光素子100R、Gにおける発光基準点と、発光素子100R、Gに対応する遮光膜133との間の光学距離よりも大きい構成を採る。具体的には、表示パネル10では、発光素子100Bにおけるホール注入層120とホール輸送層121との境界と、発光素子100Bに対応する遮光膜133(増厚部1331)の開口133aの縁との間の出射方向における最大距離LBが、それぞれ、発光素子100R、Gにおけるホール注入層120とホール輸送層121との境界と、発光素子100R、Gに対応する遮光膜133(基部1330)の開口133aの縁との間の出射方向における最大距離LR、LGよりも大きく構成されている。
なお、遮光膜133及び増厚部1331は、それぞれ膜厚が、例えば、1μm以上2μm以下の範囲で形成されていてもよい。
[接合層127]
封止層126のZ軸方向上方には、上部基板130のZ軸方向下側の主面にカラーフィルタ層132が形成された前面板131が配されており、接合層127により接合されている。接合層127は、基板100xから封止層126までの各層からなる背面パネルと前面板131とを貼り合わせるとともに、各層が水分や空気に晒されることを防止する機能を有する。接合層127の材料は、例えば、樹脂接着剤等からなる。接合層127は、アクリル樹脂、シリコン樹脂、エポキシ樹脂などの透光性材料樹脂材料を採用することができる。
<表示パネル10の製造方法>
表示パネル10の製造方法について、図4~10を用いて説明する。図4は、有機EL表示パネル10の製造工程の工程図である。図5~10における各図は、表示パネル10の製造における各工程での状態を示す図1におけるA1-A1と同じ位置で切断した模式断面図である。
[基板100xの準備]
複数のTFTや配線が形成された基板100xを準備する。基板100xは、公知のTFTの製造方法により製造することができる(図4におけるステップS1、図5(a))。
[平坦化層118の形成]
基板100xを被覆するように、上述の平坦化層118の構成材料(感光性の樹脂材料)をフォトレジストとして塗布し、表面を平坦化することにより平坦化層118を形成する(図4:ステップS2、図5(b))。具体的には、一定の流動性を有する樹脂材料を、例えば、ダイコート法により、基板100x1の上面に沿って、TFT層による基板100x1上の凹凸を埋めるように塗布する。これにより、平坦化層118の上面は平坦化した形状となる。
平坦化層118における、TFT素子の例えばソース電極上の個所にドライエッチング法を行い、コンタクトホール(不図示)を形成する。コンタクトホールは、その底部にソース電極の表面が露出するようにパターニングなどを用いて形成される。
次に、コンタクトホールの内壁に沿って接続電極層を形成する。接続電極層の上部は、その一部が平坦化層118上に配される。
[画素電極119、ホール注入層120の形成]
次に、画素電極119、ホール注入層120の形成を行う(図4:ステップS3)。
先ず、平坦化層118を形成した後、平坦化層118の表面にドライエッチング処理を行い成膜前洗浄を行う。
次に、平坦化層118の表面に成膜前洗浄を行った後、画素電極119を形成するための画素電極用の金属膜119xをスパッタリング法、真空蒸着法などの気相成長法により平坦化層118の表面に成膜する。本例では、アルミニウム又はアルミニウムを主成分とする合金からなる膜をスパッタリング法により成膜する。
さらに、金属膜119xの表面に成膜前洗浄を行った後、引き続き真空雰囲気下でホール注入層120を形成するためのホール注入層120用の金属膜120’を気相成長法により金属膜119xの表面に成膜する(図5(d))。本例では、タングステンをスパッタリング法により成膜する。
その後、感光性樹脂等からなるフォトレジスト層FRを塗布したのち、所定の開口部が施されたフォトマスクPMを載置し、その上から紫外線照射を行いフォトレジストを露光し、そのフォトレジストにフォトマスクが有するパターンを転写する(図6(a))。次に、フォトレジスト層FRを現像によってパターニングする。
その後、パターニングされたフォトレジスト層FRを介して、金属膜120’にドライエッチング処理を施してパターニングを行い、ホール注入層120を形成する。
続けて、パターニングされたフォトレジスト層FR及びホール注入層120を介して、金属膜119xにウエットエッチング処理を施してパターニングを行い、画素電極119を形成する。
ホール注入層120の形成において、例えば、ホール注入層120と画素電極119とをドライエッチングで一括に処理してもよい。
最後に、フォトレジスト層FRを剥離して、同一形状にパターニングされた画素電極119及びホール注入層120の積層体を形成する(図6(b))。
[バンク122の形成]
ホール注入層120のホール注入層120を形成した後、ホール注入層120を覆うようにバンク122を形成する。バンク122の形成では、先ず行バンク122Xを形成し、その後、間隙122zを形成するように列バンク122Yを形成する(図4:ステップS4、図6(c))。
先ず、行バンク122の形成は、先ず、ホール注入層120上に、スピンコート法などを用い、行バンク122Xの構成材料(例えば、感光性樹脂材料)からなる膜を積層形成する。そして、樹脂膜をパターニングして行バンク122Xを形成する。
行バンク122Xのパターニングは、樹脂膜の上方にフォトマスクを利用し露光を行い、現像工程、焼成工程(約230℃、約60分)をすることによりなされる。
次に、列バンク122Yの形成工程では、ホール注入層120上及び行バンク122X上に、スピンコート法などを用い、列バンク122Yの構成材料(例えば、感光性樹脂材料)からなる膜を積層形成する。そして、間隙122zの形成は、樹脂膜の上方にマスクを配して露光し、その後で現像することにより、樹脂膜をパターニングして間隙122zを開設して列バンク122Yを形成する。
具体的には、列バンク122Yの形成工程では、先ず、有機系の感光性樹脂材料、例えば、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ノボラック型フェノール樹脂等からなる感光性樹脂膜を形成した後、乾燥し、溶媒をある程度揮発させてから、所定の開口部が施されたフォトマスクを重ね、その上から紫外線照射を行い感光性樹脂等からなるフォトレジストを露光し、そのフォトレジストにフォトマスクが有するパターンを転写する。
次に、感光性樹脂を現像、によって列バンク122Yをパターニングした絶縁層を、焼成(約230℃、約60分)することにより形成する。
ここで、ホール注入層120は、上述のとおり、スパッタリング法あるいは真空蒸着法などの気相成長法を用い金属(例えば、タングステン)からなる膜を形成した後、フォトリソグラフィー法及びエッチング法を用い各画素単位にパターニングされるが、行バンク122X、列バンク122Yに対する焼成工程において、金属が酸化されホール注入層120として完成する。
[有機機能層の形成]
行バンク122X上を含む列バンク122Yにより規定される間隙122z内に形成されたホール注入層120上に対して、ホール輸送層121、発光層123を順に積層形成する(図4:ステップS6、7、図6(d)、図7(a))。
ホール注入層120の上面に、インクジェット法を用い、PEDOT(ポリチオフェンとポリスチレンスルホン酸との混合物)などの導電性ポリマー材料を含むインクを列バンク122Yにより規定される間隙122z内に塗布した後、溶媒を揮発除去させる。あるいは、焼成することによりなされる。その後、フォトリソグラフィー法およびエッチング法を用い各画素単位にパターニングしてホール注入層の上層を形成してもよい。
ホール輸送層121は、インクジェット法やグラビア印刷法によるウェットプロセスを用い、構成材料を含むインクを列バンク122Yにより規定される間隙122z内に塗布した後、溶媒を揮発除去させる、あるいは、焼成することによりなされる。
発光層123の形成は、インクジェット法を用い、構成材料を含むインクを列バンク122Yにより規定される間隙122z内に塗布した後、焼成することによりなされる(図4:ステップS6、図7(a))。具体的には、基板100xは、列バンク122YがY方向に沿った状態で液滴吐出装置の動作テーブル上に載置され、Y方向(図7(a)では紙面奥行き方向)に沿って複数のノズル孔がライン状に配置されたインクジェットヘッド301をX方向に基板100xに対し相対的に移動しながら、各ノズル孔から列バンク122Y同士の間隙122z内に設定された着弾目標を狙ってインクの液滴18を着弾させることによって行う。
また、この工程では、副画素形成領域となる間隙122zに、インクジェット法によりR、G、Bいずれかの有機発光層の材料を含むインク123RI、123GI、123BIをそれぞれ充填し、充填したインクを減圧下で乾燥させ、ベーク処理することによって、発光層123R、123G、123Bを形成する。このとき、発光層123のインクの塗布では、先ず、液滴吐出装置を用いて発光層123の形成するための溶液の塗布を行う。
基板100xに対して赤色発光層、緑色発光層、青色発光層の何れかを形成するためのインクの塗布が終わると、次に、その基板に別の色のインクを塗布し、次にその基板に3色目のインクを塗布する工程が繰り返し行われ、3色のインクを順次塗布する。これにより、基板100x上には、赤色発光層、緑色発光層、青色発光層が、図の紙面横方向に繰り返して並んで形成される。
なお、ホール輸送層121、発光層123の形成方法は上記の方法には限定されず、インクジェット法やグラビア印刷法以外の方法、例えばディスペンサー法、ノズルコート法、スピンコート法、凹版印刷、凸版印刷等の公知の方法によりインクを滴下・塗布してもよい。
[電子輸送層124の形成]
発光層123を形成した後、表示パネル10の発光エリア(表示領域)全面にわたって、真空蒸着法などにより電子輸送層124を形成する(図4:ステップS8、図7(b))。真空蒸着法を用いる理由は有機膜である発光層123に損傷を与えないためと、高真空化で行う真空蒸着法は成膜対象の分子が基板に向かって垂直方向に直進的に成膜される。電子輸送層124は、発光層123の上に、金属酸化物又はフッ化物を真空蒸着法などにより成膜し、さらに、有機材料と金属材料とを共蒸着法により成膜する。なお、電子輸送層124の膜厚は、光学的な光取り出しとして最も有利となる適切な膜厚とする。
[対向電極125の形成]
電子輸送層124を形成した後、電子輸送層124を被覆するように、対向電極125を形成する(図4:ステップS9、図7(c))。
先ず、対向電極125は、電子輸送層124を被覆するように、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、スパッタリング法、又は真空蒸着法により形成する。本例では、対向電極125Aを真空蒸着法により銀を堆積することにより形成する構成としている。
次に、スパッタリング法を用いてITO又はIZOなどの透明導電層を形成する構成としている。
[封止層126の形成]
対向電極125Bを被覆するように、封止層126を形成する(図4:ステップS10、図7(d))。封止層126は、CVD法、スパッタリング法などを用い形成できる。
[前面板131の形成]
次に、図4のステップS10における前面板131の製造方法について説明する。図8(a)~(e)、図9(a)~(d)は、有機EL表示パネル10の製造におけるにおける前面板の製造の状態を示す図1におけるA1-A1と同じ位置で切断した模式断面図である。
先ず、透明な上部基板130を準備し(図8(a))、上部基板130の上面における、上記遮光膜133の増厚部1331を形成すべき位置にレーザーLSを照射して上部基板130の上面に凹部133aを形成する(図8(b))。
次に、紫外線硬化樹脂(例えば紫外線硬化アクリル樹脂)材料を主成分とし、これに黒色顔料を添加してなる遮光膜の材料(133´)を透明な上部基板130の一方の面に塗布する(図8(c))。
塗布した遮光膜の材料の膜133´の上面に所定の開口部が施されたパターンマスクPMを重ね、その上から紫外線照射を行う(図8(d))。
その後、パターンマスクPM及び未硬化の遮光膜133を除去して現像し、キュアすると、例えば、概矩形状の断面形状の遮光膜133が完成する(図8(e))。このとき、遮光膜133は、基板100xと対向させたときに、基板100xに形成されたバンク122の上方であって各副画素の発光領域100a間の行及び列方向における境界に対応する部分に位置するようにパターニングされている。また、遮光膜133には、上部基板130の上面に形成された基部1330と凹部133a内に形成された増厚部1331から構成されており、増厚部1331は発光素子100Bに対応する開口133aの周囲に対応する位置に設けられている。
次に、遮光膜133を形成した上部基板130表面に、紫外線硬化樹脂成分を主成分とするカラーフィルタ層132(例えば、G)の材料132Gを塗布し(図9(a))、所定のパターンマスクPMを載置し、紫外線照射を行う(図9(b))。
その後はキュアを行い、パターンマスクPM及び未硬化のペースト132Gを除去して現像すると、カラーフィルタ層132Gが形成される(図9(c))。
この工程を各色のカラーフィルタ層材料について同様に繰り返すことで、カラーフィルタ層132R、132Bを形成する(図9(d))。このとき、遮光膜133の増厚部1331の内方にカラーフィルタ層132Bが形成される。以上で前面板131が形成される。
[前面板131と背面パネルとの貼り合わせ]
次に、基板100xから封止層126までの各層からなる背面パネルに、アクリル樹脂、シリコン樹脂、エポキシ樹脂などの紫外線硬化型樹脂を主成分とする接合層127の材料を塗布する(図10(a))。
続いて、塗布した材料に紫外線照射を行い、背面パネルと前面板131との相対的位置関係を合せた状態で両基板を貼り合わせる。このとき、両者の間にガスが入らないように注意する。その後、両基板を焼成して封止工程を完了すると、表示パネル10が完成する(図10(b))。
このとき、前面板131に形成された遮光膜133は、基板100xに形成されたバンク122の上方であって各副画素の発光領域100a間の行及び列方向における境界に対応する部分に位置するようアライメントされている。
<効 果>
以下、実施の形態に係る表示パネル10の効果について説明する。
図11(a)~(c)は、表示パネル10において、発光基準点と遮光膜133との間の光学距離を異ならせたときの発光素子100の拡大断面図である。図12(a)~(b)は、比較例に係る有機EL表示パネルにおいて、遮光膜133の開口133aの開口幅を異ならせたときの発光素子の拡大断面図である。なお、発光基準点は、上述のとおりホール輸送層120とホール輸送層121との縁部とした。
先ず、図11(a)に示すように、表示パネル10では、発光素子幅をWel、遮光膜133の開口133aの幅をWbm0、発光基準点と遮光膜133との間の光学距離をLy0としたとき、視野角をαとして視線Cの方向から視したときの遮光幅はLx0、発光素子幅をWelに対する遮光率はLx0/Welとなる。
図11(a)の表示パネル10に対し、遮光幅はLx0、遮光率はLx0/Welを変化させるために、遮光膜133の開口133aの開口幅Wbm0を異ならせた比較例を想定する。
先ず、図12(a)に示すように、遮光膜133の開口133aの開口幅をWbm0より長い開口幅をWbm1に拡大したときには、視野角αの方向から視したときの遮光幅はLx0より短いLx1となり、遮光率はLx0/Welより小さいLx1/Welとなる。このとき、遮光膜133の開口133aの幅Wbm1は、発光素子幅Welに対して増加し、開口133aから列バンク122Yが露出し外光反射が増加することが懸念される。あるいは、遮光膜133の最小線幅を確保するために開口幅Wbm1の増加が制限され、遮光幅及び遮光率を十分に拡大できない場合がある。
次に、図12(b)に示すように、遮光膜133の開口133aの開口幅をWbm0より短い開口幅をWbm2に縮小したときには、視野角αの方向から視したときの遮光幅はLx0より長いLx2となり、遮光率はLx0/Welより大きいLx2/Welとなる。このとき、遮光膜133の開口133aの幅Wbm2は発光素子幅Welに対して減少し、発光素子100の開口率が低下するとともに、前面板131と背面パネルとの貼り合わせの際に、前面板131に形成された遮光膜133の、背面パネル上の副画素100seに対するアライメント許容寸法が減少して、製造が難化することが懸念される。
これに対し、表示パネル10では、図11(b)に示すように、遮光膜133をカラーフィルタ層132の下方に設けて遮光膜133の位置を下方に移動させ、発光基準点と遮光膜133との間の光学距離をLy0より短いLy1としたときには、遮光幅は視野角αの方向から視したときの遮光幅はLx0より短いLx1となり、遮光率はLx0/Welより小さいLx1/Welとなる。このとき、発光素子幅Welと遮光膜133の開口133aの幅Wbm0、及び、発光素子100と遮光膜133の開口133aの位置関係は変化しない。
また、図11(c)に示すように、表示パネル10において、遮光膜133の一部(増厚部1331)を上部基板130の内部に設けて遮光膜133の位置を上方に移動させ、発光基準点と遮光膜133との間の光学距離をLy0より長いLy2としたときには、遮光幅は視野角αの方向から視したときの遮光幅はLx0より長いLx2となり、遮光率はLx0/Welより大きいLx2/Welとなる。同様に、発光素子幅Welと遮光膜133の開口133aの幅Wbm0、及び、発光素子100と遮光膜133の開口133aの位置関係は変化しない。
本実施の形態では、上述のとおり、発光素子100B、100G、100Rにおける画素電極119の行方向の長さ119x(B)、(G)、(R)は、発光素子100B、100G、100Rの順に大きく構成されている。
表示パネル10Xを視野角をαとして視線Cの方向から視したときの、遮光幅Lx、発光素子幅Welに対する遮光率Lx/Welは、発光素子100B、100G、100Rの順に大きい。そのため、発光素子から看者が視認する輝度の減少率は遮光率が大きい発光素子100B、100G、100Rの順に増加するため、発光素子100R、100G、100Bからの輝度バランスが変化して看者が視認する色度が変化し、斜め方向からの視認時におけるグレーや中間調における色度ズレとして認識される。
これに対し、表示パネル10では、上述のとおり、表示パネル10では、遮光膜133では基部1330の発光素子100Bに対応する開口133aの周囲に増厚部1331が設けられており、その結果、発光素子100Bの発光基準点と、発光素子100Bに対応する遮光膜133との間の光学距離が、それぞれ、発光素子100R、100Gにおける発光基準点と、発光素子100R、100Gに対応する遮光膜133との間の光学距離よりも大きく構成されている。これより、発光素子100B、100G、100Rの遮光率の違いを相殺する方向に変化させて遮光率の違いを補うことで、斜め方向からの視認時における色度変化を低減することができる。
このとき、表示パネル10では、発光素子100の発光色に応じて、遮光幅Lx及び遮光率Lx/Welを異ならせた場合でも、発光素子幅Welと遮光膜133の開口133aの幅Wbm0、及び、発光素子100と遮光膜133の開口133aの位置関係は変化しない。すなわち、遮光幅Lx及び遮光率Lx/Welを発光素子100と遮光膜133の開口133aの位置関係と独立に制御することができる。そのために、遮光幅Lx及び遮光率Lx/Welを発光素子100の発光色に応じて異ならせた場合でも、前面板131と背面パネルとの貼り合わせの際に、前面板131に形成された遮光膜133の基板100x上の副画素100seに対するアライメント許容寸法が変化することはない。
その結果、高精細化された有機EL表示パネルにおいて、画素密度が増加して発光素子100の単位面積が減少した場合でも、正面から45°以上傾斜した斜め方向から表示画像を見たときの出射光の色度変化を低減する自発光表示パネルの構造を実現できる。
<まとめ>
以上のとおり、本開示の実施の形態に表示パネル10は、複数の副画素100seからなる画素100eが配された自発光型表示パネル10であって、副画素100seに対応して発光色が異なる複数の発光素子100と、発光素子100の出射方向の下流側に、平面視において各発光素子100と対向する位置に開口133aが設けられた遮光膜133とを備え、発光素子100の発光基準点と、発光素子100に対応する遮光膜133との間の光学距離が、発光素子100の発光色R,G、Bに応じて異なることを特徴とする。また、光学距離は、発光素子100の発光基準点と、遮光膜133の発光素子100に対応する開口133aの縁との間の出射方向における最大距離である構成されていてもよい。また、発光素子100に対応する遮光膜133の開口133aの縁の上端の出射方向における位置が、発光素子100の発光色に応じて異なる構成されていてもよい。
係る構成により、高精細化され画素密度が増加して発光素子100の面積が減少した場合でも、斜め方向から表示画像を見たときの出射光の色度変化を低減する自発光表示パネルの構造を実現できる。
≪有機EL表示装置1の回路構成≫
以下では、実施の形態に係る表示パネル10を用いた有機EL表示装置1(以後、「表示装置1」と称する)の回路構成について、図13を用い説明する。
図13に示すように、表示装置1は、表示パネル10と、これに接続された駆動制御回路部20とを有して構成されている。
表示パネル10は、複数の有機EL素子が、例えば、マトリクス状に配列され構成されている。駆動制御回路部20は、4つの駆動回路21~24と制御回路25とにより構成されている。
表示パネル10においては、複数の単位画素100eが行列状に配されて表示領域を構成している。各単位画素100eは、3個の有機EL素子、つまり、R(赤)、G(緑)、B(青)の3色に発光する3個の副画素100seから構成される。各副画素100seの回路構成について、図14を用い説明する。
図14は、表示装置1に用いる表示パネル10の各副画素100seに対応する発光素子100における回路構成を示す回路図である。
図14に示すように、本実施の形態に係る表示パネル10では、各副画素100seが2つのトランジスタTr1、Tr2と一つのキャパシタC、及び発光部としての有機EL素子部ELとを有し構成されている。トランジスタTr1は、駆動トランジスタであり、ト
ランジスタTr2は、スイッチングトランジスタである。
スイッチングトランジスタTr2のゲートG2は、走査ラインVscnに接続され、ソースS2 は、データラインVdatに接続されている。スイッチングトランジスタTr2 のドレインD2は、駆動トランジスタTr1のゲートG1に接続されている。
駆動トランジスタTr1のドレインD1は、電源ラインVaに接続されており、ソースS1 は、有機EL素子部ELの画素電極(アノード)に接続されている。有機EL素子部ELにおける対向電極(カソード)は、接地ラインVcatに接続されている。
なお、キャパシタCの第1端は、スイッチングトランジスタTr2のドレインD2及び駆動トランジスタTr1のゲートG1と接続され、キャパシタCの第2端は、電源ラインVaと接続されている。
表示パネル10においては、隣接する複数の副画素100se(例えば、赤色(R)と緑色(G)と青色(B)の発光色の3つの副画素100se)を組み合せて1つの単位画素100eを構成し、各単位画素100eが分布するように配されて画素領域を構成している。そして、各副画素100seのゲートG2からゲートラインが各々引き出され、表
示パネル10の外部から接続される走査ラインVscnに接続されている。同様に、各副画素100seのソースS2からソースラインが各々引き出され表示パネル10の外部か
ら接続されるデータラインVdatに接続されている。
また、各副画素100seの電源ラインVa及び各副画素100seの接地ラインVcatは集約されて、表示装置1の電源ライン及び接地ラインに接続されている。
≪変形例≫
実施の形態に係る表示パネル10を説明したが、本開示は、その本質的な特徴的構成要素を除き、以上の実施の形態に何ら限定を受けるものではない。例えば、実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。以下では、そのような形態の一例として、有機EL表示パネルの変形例を説明する。
<変形例1>
実施の形態に係る表示パネル10では、増厚部1331を上部基板130の内部に設けることにより、遮光膜133との間の光学距離が、発光素子100の発光色に応じて異なる構成とした。変形例1に係る有機EL表示パネル10Aでは、発光素子100に対応する部分の厚みを異ならせた遮光膜133Aを上部基板130の内部に設けて、遮光膜133Aとの間の光学距離が、発光素子100の発光色に応じて異ならせた点で実施の形態と相違する。
図15は、変形例1に係る表示パネル10Aの、図2におけるA1-A1と同じ断面で切断した模式断面図である。図15に示すように、表示パネル10Aでは、遮光膜133Aが上部基板130の内部に設けられている前面板131Aを備える。そして、遮光膜133Aの厚みは、発光素子100Bに対応する開口の縁の部分(遮光膜133A2の背高部分)が、発光素子100G、Rに対応する開口の縁の部分(遮光膜133A1、遮光膜133A2の背低部分)よりも厚く構成されている。
そのため、表示パネル10Aでは、発光素子100Bにおけるホール注入層120とホール輸送層121との境界と、発光素子100Bに対応する遮光膜の開口の縁133A2との間の出射方向における最大距離Ly2が、それぞれ、発光素子100R、100Gにおけるホール注入層120とホール輸送層121との境界と、発光素子100R、100Gに対応する遮光膜の開口の縁133A1との間の出射方向における最大距離Ly0よりも大きい構成を採る。
次に、表示パネル10Aにおける前面板131Aの製造方法について説明する。
図16(a)~(g)は、変形例1に係る有機EL表示パネル10Aの製造における前面板の製造の状態を示す図1におけるA1-A1と同じ位置で切断した模式断面図である。
先ず、透明な上部基板130を準備し(図16(a))、上部基板130の上面における、上記遮光膜133Aを形成すべき位置にレーザーLSを照射して上部基板130の上面に凹部133aを形成する(図16(b))。このとき、凹部133aは、発光素子100Bに対応する開口の縁の部分(遮光膜133A2の背高部分に対応)を、発光素子100G、Rに対応する開口の縁の部分(遮光膜133A1、遮光膜133A2の背低部分に対応)よりも深く形成する。
次に、紫外線硬化樹脂(例えば紫外線硬化アクリル樹脂)材料を主成分とし、これに黒色顔料を添加してなる遮光膜の材料(133X)を透明な上部基板130の一方の面に塗布する(図16(c))。これより、上部基板130に設けられた凹部133a内において、発光素子100Bに対応する開口の縁の部分(遮光膜133A2の背高部分)が、発光素子100G、Rに対応する開口の縁の部分(遮光膜133A1、遮光膜133A2の背低部分)よりも厚く構成された遮光膜133Aが形成される。
次に、遮光膜133Aを形成した上部基板130表面に、紫外線硬化樹脂成分を主成分とするカラーフィルタ層132(例えば、G)の材料132Gを塗布し(図16(d))、所定のパターンマスクPMを載置し、紫外線照射を行う(図16(e))。
その後はキュアを行い、パターンマスクPM及び未硬化のペースト132Gを除去して現像すると、カラーフィルタ層132Gが形成される(図16(f))。
この工程を各色のカラーフィルタ層材料について同様に繰り返すことで、カラーフィルタ層132R、132Bを形成する(図16(g))。以上で前面板131が形成される。
以上のとおり、表示パネル10Aでは、発光素子100Bの発光基準点と、発光素子100Bに対応する遮光膜の開口の縁の部分133Aとの間の光学距離が、発光素子100R、100Gにおける発光基準点と、発光素子100R、100Gに対応する遮光膜の開口の縁の部分133Aとの間の光学距離よりも大きい構成を採ることができ、発光素子100Bにおける遮光率を、発光素子100R、100Gにおける遮光率よりも大きくすることができる。
これより、表示パネル10Aによれば、実施の形態に係る表示パネル10と同様に、発光素子100B、100G、100Rの遮光率の違いを相殺する方向に変化させて遮光率の違いを補うことで、斜め方向からの視認時における色度変化を低減することができる発光パネルの構造を実現できる。
<変形例2>
実施の形態に係る表示パネル10では、増厚部1331を上部基板130に開設した溝の内部に設けることにより、遮光膜133との間の光学距離が、発光素子100の発光色に応じて異なる構成とした。変形例2に係る有機EL表示パネル10Bでは、増厚部1333B1を上部基板130上に設けた後に、上部基板130上の増厚部1333B1以外の部分を被覆する樹脂膜130B1を設け、さらに、樹脂膜130B1の上面に遮光膜133Bの基部133B0を設けることにより、発光素子100に対応する部分の厚みを異ならせた遮光膜133Bを上部基板130の内部に設けて、遮光膜133Bとの間の光学距離が、発光素子100の発光色に応じて異ならせた点で実施の形態と相違する。
図17は、変形例2に係る表示パネル10Bの、図2におけるA1-A1と同じ断面で切断した模式断面図である。図17に示すように、表示パネル10Bでは、前面板131Bは、上部基板130上における特定色(例えば、B)の発光素子100に対応する遮光膜133Bの開口縁に増厚部1333B1が設けられ、増厚部1333B1以外の部分は透光性の樹脂膜130B1により被覆され、透光性の樹脂膜130B1上の発光素子100に対応する部分にカラーフィルタ層132R、132G、132Bが配設され、発光素子100以外の部分に遮光膜133Bの基部133B0が配設された構成を採る。そのため、表示パネル10では、発光素子100Bにおけるホール注入層120とホール輸送層121との境界と、発光素子100Bに対応する遮光膜の開口縁の増厚部1333B1との間の出射方向における最大距離Ly2が、それぞれ、発光素子100R、100Gにおけるホール注入層120とホール輸送層121との境界と、発光素子100R、100Gに対応する遮光膜の開口の縁との間の出射方向における最大距離Ly0よりも大きい構成を採る。
次に、表示パネル10Bにおける前面板131Bの製造方法について説明する。
図18(a)~(f)は、変形例2に係る表示パネル10Bの製造における前面板における遮光幕の製造の状態を示す図1におけるA1-A1と同じ位置で切断した模式断面図である。
先ず、透明な上部基板130を準備し(図18(a))、上部基板130の上面における、上記遮光膜133Aを形成すべき位置に、例えば、インクジェット法等と塗布法を用いて増厚部1333B1を形成するための遮光膜の材料からなる紫外線硬化樹脂ペーストを選択的に塗布する(図18(b))。
次に、上部基板130上の増厚部1333B1以外の部分を透光性の紫外線硬化樹脂からなる樹脂膜130B1を塗布して被覆し(図18(c))、紫外線照射を行い硬化させる。
次に、紫外線硬化樹脂(例えば紫外線硬化アクリル樹脂)材料を主成分とし、これに黒色顔料を添加してなる遮光膜の材料133B´を塗布し(図18(d))、パターンマスクPMを介して紫外線照射を行い(図18(e))、その後はキュアを行い、パターンマスクPM及び未硬化のペーストを除去して現像すると、遮光膜133Bが形成される(図18(f))。これより、上部基板130上において、発光素子100Bに対応する開口の縁の増厚部1333B1が、発光素子100G、100Rに対応する開口の縁の基部133B0よりも厚く構成された遮光膜133Bが形成される。
次に、図9(a)~(d)に示す実施の形態の例と同様に、遮光膜133Bを形成した上部基板130表面に、紫外線硬化樹脂成分を主成分とするカラーフィルタ層132(例えば、G)の材料132Gを塗布し、所定のパターンマスクPMを載置し、紫外線照射を行い、その後はキュアを行い、パターンマスクPM及び未硬化のペースト132Gを除去して現像すると、カラーフィルタ層132Gが形成され、この工程を各色のカラーフィルタ層材料について同様に繰り返すことで、カラーフィルタ層132R、132Bを形成して、前面板131Bが形成される。
以上のとおり、表示パネル10Bでは、発光素子100Bの発光基準点と、発光素子100Bに対応する遮光膜の開口の縁との間の光学距離が、発光素子100R、100Gにおける発光基準点と、発光素子100R、100Gに対応する遮光膜の開口の縁との間の光学距離よりも大きい構成を採ることができ、発光素子100Bにおける遮光率を、発光素子100R、100Gにおける遮光率よりも大きくすることができる。
これより、表示パネル10Bによれば、実施の形態に係る表示パネル10と同様に、発光素子100B、100G、100Rの遮光率の違いを相殺する方向に変化させて遮光率の違いを補うことで、斜め方向からの視認時における色度変化を低減することができる発光パネルの構造を実現できる。
<変形例3>
実施の形態に係る表示パネル10では、例えば、発光素子100Bに対応する開口の縁の部分に増厚部1331を設けることにより、発光素子100Bの発光基準点と遮光膜133との間の光学距離が、発光素子100Bと発光素子100R、100Gとで異なる構成とした。
図19は、変形例3に係る表示パネル10Cの、図2におけるA1-A1と同じ断面で切断した模式断面図である。図19に示すように、変形例3に係る表示パネル10Cでは、実施の形態に係る表示パネル10の構成に加えて、例えば、発光素子100Rに対応する開口の縁の部分において、カラーフィルタ層132の下方に遮光膜133C1を設けて遮光膜133Cの位置を下方に移動させた構成を採る。遮光膜133Cには発光素子100Rに対応する部分に開口が設けられており、発光素子100Rの発光基準点と遮光膜133Cの開口縁の上端との間の光学距離は、発光素子100Gにおける光学距離Ly0より短いLy1となる。
係る構成により、表示パネル10Cでは、発光素子100R、100G、100Bの発光基準点と遮光膜133Cとの間の光学距離Ly1、Ly0、Ly2を、発光素子100R、100G、100Bに対してすべて異なる長さ(本例では、Ly1<Ly0<Ly)とすることができ、発光素子100R、100G、100Bにおける遮光率を、例えば、R<G<Bの順に、3段階に異ならせることができる。その結果、発光素子100R、100G、100B間でより精度よく遮光率を補償することができる。
これより、表示パネル10Cによれば、発光素子100B、100G、100Rの遮光率の違いをより一層細かく変化させることで、斜め方向からの視認時における色度変化をより一層精度よく補償することができる発光パネルの構造を実現できる。
<変形例4>
図20は、変形例4に係る表示パネル10Dの、図2におけるA1-A1と同じ断面で切断した模式断面図である。変形例4に係る表示パネル10Dでは、発光素子100の発光基準点の出射方向における位置が、発光素子100の発光色に応じて異なる構成を採る。具体的には、図20に示すように、表示パネル10Dでは、平坦化層118Dにおける発光素子100B下方の部分に凹部118D1が設けられており、発光素子100Bの発光基準点の出射方向における位置が発光素子100R、100Gに比べて下方に位置する構成を採る。そのため、発光素子100Gの発光基準点と133の開口縁の上端との間の光学距離は、発光素子100R、100Gにおける光学距離Ly0より長いLy2となる。
係る構成により、表示パネル10Gでは、実施の形態と同様に、発光素子100Bにおける遮光率を、発光素子100R、100Gにおける遮光率よりも大きくすることができる。
これより、表示パネル10Dによれば、発光基準点の位置を変化させることで、実施の形態に係る表示パネル10と同様に、斜め方向からの視認時における色度変化を低減することができる発光パネルの構造を実現できる。
<変形例5>
図21は、変形例5に係る表示パネル10Eの、図2におけるA1-A1と同じ断面で切断した模式断面図である。変形例5に係る表示パネル10Eは、実施の形態に係る表示パネル10と変形例4に係る表示パネル10Dの特徴を組み合わせた構成を採る。すなわち、表示パネル10Eでは、図21に示すように、発光素子100G、100Bに対応する開口の縁の部分に増厚部1331が設けられているとともに、平坦化層118Dにおける発光素子100B下方の部分に凹部118D1が設けられ、発光素子100Bの発光基準点の出射方向における位置が発光素子100R、100Gに比べて下方に位置する構成を採る。
係る構成により、表示パネル10Dでは、変形例4と同様に、発光素子100R、100G、100Bの発光基準点と遮光膜133との間の光学距離Ly1、Ly0、Ly2を、発光素子100R、100G、100Bに対してすべて異なる長さ(本例では、Ly1<Ly0<Ly)とすることができ、発光素子100R、100G、100Bにおける遮光率を、例えば、R<G<Bの順に、3段階に異ならせることができる。その結果、発光素子100R、100G、100B間でより精度よく遮光率を補償することができる。
これより、表示パネル10Cによれば、発光素子100B、100G、100Rの遮光率の違いをより一層細かく変化させることで、斜め方向からの視認時における色度変化をより一層精度よく補償することができる発光パネルの構造を実現できる。
<変形例6、7>
実施の形態に係る表示パネル10では、例えば、発光素子100Bに対応する開口の縁の部分に増厚部1331を設けることにより、発光素子100の発光基準点と遮光膜133の開口133aの縁との間の出射方向における最大距離LBが、発光素子100Bと発光素子100R、100Gとで異なる構成とした。しかしながら、本開示に係る形態では、発光素子100の発光基準点と遮光膜133との間の光学距離が、発光素子100の発光色に応じて異なる構成であればよく、発光素子100の発光基準点と遮光膜133との間に、発光素子100の発光色に応じて屈折率が異なる部材を介在させる構成としてもよい。
変形例6、7に係る表示パネル10F、10Gでは、発光素子100の出射方向における発光素子100と遮光膜133との間に、光調整膜を備え、光調整膜は、平面視において各発光素子100と対向する領域の屈折率が発光素子100の発光色に応じて異なる構成を採ることを特徴とする。
図22は、変形例6に係る表示パネル10Fの、図23は、変形例7に係る表示パネル10Gの、図2におけるA1-A1と同じ断面で切断した模式断面図である。
図22に示すように、表示パネル10Fでは、発光素子100Rの対向電極125と封止層126との間に光調整膜128Rが設けられ、発光素子100Gの対向電極125と封止層126との間に光調整膜128Bが設けられた構成としてもよい。
あるいは、図23に示すように、表示パネル10Gでは、発光素子100Rの上方における接合層127とカラーフィルタ層132Rとの間に光調整膜134Rが設けられ、発光素子100Gの上方における接合層127とカラーフィルタ層132Rとの間に光調整膜134Gが設けられた構成としてもよい。
光調整膜128R、128G、134R、134Gには、例えば、屈折率が1.6以上の高屈折率透光性樹脂や、1.4以下の低屈折率透光性樹脂を用いることができる。
この樹脂材料を、各色発光素子100に対応する間隙122zR、122zB、122zG内や、前面板131のカラーフィルタ層132R、132G、132B上に選択的に充填して硬化させるにより、光調整膜128、134を形成することができる。また、このとき、例えば、インクジェット法等の塗布法を用いることにより光調整膜128の製造時に材料効率を向上することができる。あるいは、光調整膜134R、Gは、それぞれカラーフィルタ層132R、132G上に感光性樹脂材料を塗布したのち、フォトリソグラフィー法を用いてパターニングして形成してもよい。
以上のとおり、表示パネル10F、10Gでは、例えば、発光素子100Bの発光基準点と、発光素子100Bに対応する遮光膜の開口の縁との間の光学距離が、発光素子100R、Gにおける発光基準点と、発光素子100R、100Gに対応する遮光膜の開口の縁との間の光学距離よりも大きい構成を採ることができ、発光素子100Bにおける遮光率を、発光素子100R、100Gにおける遮光率よりも大きくできる。
さらに、発光素子100ごとに屈折率の異なる光調整膜128を設けた構成とすることにより、発光素子100R、100G、100Bの発光基準点と遮光膜133との間の光学距離Ly1、Ly0、Ly2を、発光素子100R、100G、100Bに対してすべて異なる長さとすることができ、発光素子100R、100G、100Bにおける遮光率を3段階に異ならせることができる。その結果、発光素子100R、100G、100B間でより精度よく遮光率を補償することができる。
これより、表示パネル10F、10Gによれば、発光素子内又は前面板に光調整膜を配することで、実施の形態に係る表示パネル10と同様に、斜め方向からの視認時における色度変化を低減することができる発光パネルの構造を実現できる。
また、発光素子ごとに光調整膜の屈折率を異ならせることにより、発光素子100B、100G、100Rの遮光率の違いをより一層細かく変化させることで、斜め方向からの視認時における色度変化をより一層精度よく補償することができる。
<変形例8>
変形例7に係る表示パネル10Gでは、発光素子100Rの上方における接合層127とカラーフィルタ層132Rとの間に屈折率が1.6以上の高屈折率透光性樹脂からなる光調整膜134Rが設けられ、発光素子100Gの上方における接合層127とカラーフィルタ層132Rとの間に屈折率が1.4以下の低屈折率透光性樹脂からなる光調整膜134Gが設けられた構成とを採ることにより、発光素子100Bにおける遮光率を、発光素子100R、100Gにおける遮光率よりも大きい構成とした。
しかしながら、変形例8に係る表示パネル10Jでは、発光素子100の発光基準点と遮光膜133との間の光学距離が、発光素子100の発する光の波長によって異なる構成であればよく、発光素子100の発光基準点と遮光膜133との間に、発光素子100の発する光の波長によって屈折率が異なる材料から構成される光調整層を備えた構成を採ることを特徴とする。
(構 成)
図24は、変形例8に係る表示パネル10Jの、図2におけるA1-A1と同じ断面で切断した模式断面図である。図24において、実施の形態及び変形例1~7に係るパネルと同一の構成については、同じ番号を付して説明を省略する。
図24に示すように、表示パネル10Jは、発光素子100の出射方向における発光素子100と遮光膜133との間に、発光色が異なる複数の発光素子100R、100G、100Bに跨って配された透光性であって、屈折率の周波数依存性(波長依存性)を有し、透過する光の波長が大きいほど屈折率が小さい光調整膜127Jを備えた構成としてもよい。
光調整膜127Jは、基板100xから封止層126までの各層からなる背面パネルと前面板131とを貼り合わせるとともに、各層が水分や空気に晒されることを防止する接合層としての機能を有する。
また、光調整膜127Jは、屈折率の周波数依存性を有し、透過する光の波長が大きいほど屈折率が小さい材料から構成される。図25は、光調整層127Jを構成する材料における、波長と屈折率nとの関係を示す特性図である。図25に示すように、屈折率nは、発光素子100Bの発する光に相当するBの波長領域においてnBは約1.75、発光素子100Gの発する光に相当するGの波長領域においてnGは約1.71、発光素子100Rの発する光に相当するRの波長領域においてnRは約1.69を示す。これにより、表示パネル10Jでは、発光素子100R、100G、100Bの出射光に対する光調整膜127Jの屈折率を100R<100G<100Bの順に異ならせた構成を採る。そのため、波長分散により、発光素子100R、100G、100Bの発光基準点と遮光膜133との間の光学距離Ly1、Ly0、Ly2(まとめてLyとする場合がある)を、発光素子100R、100G、100Bに対してすべて異なる長さとし、発光素子100R、100G、100Bにおける遮光率を主に3段階に異ならせることができる。その結果、発光素子100R、100G、100B間でより精度よく遮光率を補償することができる。
具体的には、以下のような条件を設定できる。例えば、発光基準点から遮光膜133までの垂直方向の距離Lyを約15μmとすると、視野角αが30度において、発光層120~遮光膜133までの水平方向の最短距離dR、dB、dBは、発光素子100Rが発光素子100Bよりも長く差は0.5μm程度となる。その場合、光学距離も発光素子100Rが100Bよりも長く光学距離の差は0.5μm程度となる。発光素子100Bの波長領域の屈折率nB(約1.75)とRの波長領域の屈折率nR(約1.69)により、波長分散によって生じる発光素子100R、100Bの光学距離の差は、発光基準点から遮光膜133までの距離Ly約15μmに対して0.9μmとなり、光調整層127Jにおける屈折率の周波数依存性に基づき、光学距離の差を補償することができる。すなわち、発光素子100R、100G、100Bのうち、2発光色の発光素子(上記した例では、発光素子100R、100B)の波長に対応する屈折率は、値が大きい屈折率nBが、小さい屈折率nRよりも0.05以上大きい構成としてもよい。
接合層127Jの材料は、例えば、樹脂接着剤等からなる。光調整膜127Jは、エポキシ樹脂やビニル系樹脂などの、波長によって屈折率が異なる透光性材料樹脂材料を用いることができる。光調整膜127Jには、例えば、屈折率が1.6以上の高屈折率透光性樹脂や、1.4以下の低屈折率透光性樹脂を用いることができる。
なお、上記した表示パネル10Jでは、発光素子100R、100G、100Bの出射光に対する光調整膜127Jの屈折率を100R<100G<100Bとしているが、各色の発光素子100の出射光の波長に対する光調整膜127Jの屈折率を異なる順に異なられた態様としてもよい。この場合、例えば、発光素子幅をWelが大きい発光素子や、発光分布の広がりが小さい発光素子において、遮光率が相対的大きくなるように、これらの発光素子に対応する波長において、光調整膜127Jの屈折率が相対的に小さい態様とすることが好ましい。
(製造方法)
光調整膜127Jは、基板100xから封止層126までの各層からなる背面パネルに、上記波長によって屈折率が異なる透光性材料樹脂材料を主成分とする光調整膜127Jの材料を塗布し、背面パネルと前面板131との相対的位置関係を合せた状態で紫外線照射を行い両基板を貼り合わせることにより形成する。
(小 括)
以上のとおり、表示パネル10Jによれば、発光素子100の出射方向における発光素子100と遮光膜133との間に、発光色が異なる複数の発光素子100に跨って配された透光性の光調整膜127Jを備え、光調整膜127Jの屈折率は、透過する光の波長が長いほど小さい構成としたにより、実施の形態に係る表示パネル10と同様に、斜め方向からの視認時における色度変化を低減することができる発光パネルの構造を実現できる。
また、発光素子ごとに光調整膜の屈折率を異ならせることにより、発光素子ごとの遮光率の違いをより一層細かく変化させることで、斜め方向からの視認時における色度変化をより一層精度よく補償することができる。また、高精細化に伴い画素幅が小さい程、波長分散に基づく補償は有効に作用する。
<変形例9>
上記実施の形態に係る表示パネル10では、遮光膜133に増厚部1331を上部基板130の内部に設けることにより、遮光膜133との間の光学距離が、発光素子100の発光色に応じて異なる構成とした。変形例9に係る有機EL表示パネル10Iでは、行方向に隣り合ったカラーフィルタ層の縁部が、行方向に隣接する発光素子の境界の上方において積層され、積層されたカラーフィルタ層の縁部は、そのカラーフィルタ層の対応する発光素子と行方向に隣接する発光素子に対する遮光膜を構成し、さらに、縁部におけるカラーフィルタ層の積層順序に基づき、遮光膜と発光基準点との間の光学距離が、発光素子の発光色に応じて異ならせた点で実施の形態と相違する。
(構 成)
図26は、変形例9に係る表示パネル10Iの、図2におけるA1-A1と同じ断面で切断した模式断面図である。図26において、実施の形態及び変形例1~7に係るパネルと同一の構成については、同じ番号を付して説明を省略する。なお、表示パネル10Iにおいても、発光素子100B、100G、100Rにおける画素電極119の行方向の長さ119x(B)、(G)、(R)は、発光素子100B、100G、100Rの順に長く構成されている。
図26に示すように、表示パネル10Iでは、発光素子100R、100G、100Bに対向して配され、それぞれ、発光素子100R、100G、100Bに対応するカラーフィルタ層132IR、132IG、132IB(まとめてカラーフィルタ層132Iとする場合がある)のうち、行方向に隣り合ったカラーフィルタ層132Iの縁部132Ibが、行方向に隣接する発光素子100の境界の上方において積層された前面板131Iを有する。ここで、発光素子100(例えばR)が発する光は、隣接する発光素子100(例えばG又はB)に対応するカラーフィルタ層132(例えばG又はB)の透過率が小さく、カラーフィルタ層132(例えばG又はB)は、発光素子100(例えばR)に対する遮光層として機能する。そのため、表示パネル10Iにおいて、カラーフィルタ層132Iの縁部132Ibは、そのカラーフィルタ層132Iの対応する発光素子100と行方向に隣接する発光素子100に対する遮光膜133Iを構成する。
[発光素子100Rについて]
図26に示す例では、カラーフィルタ層132IBの紙面右側の縁部132Ib及びカラーフィルタ層132IGの紙面左側の縁部132Ibは、発光素子100Rに対する遮光膜133Iを構成する。ここで、発光素子100Rの行方向の視野角αは等しく設定される。
このとき、発光基準点と遮光膜133Iの開口の縁との間の光学距離は、本例では、発光素子100Rのホール注入層120とホール輸送層121との境界と、発光素子100Rに対応する遮光膜133Iであるカラーフィルタ層132IBの紙面右側の縁部132Ibの開口の上縁1321Ba、又はカラーフィルタ層132IGの紙面左側の縁部132Ibの開口の上縁1321Ga2との間の出射方向の距離Ly1となる。
[発光素子100Bについて]
カラーフィルタ層132IGの紙面右側に位置する縁部132Ib及びカラーフィルタ層132IRの紙面左側に位置する縁部132Ibは、発光素子100Bに対する遮光膜133Iを構成する。ここでも、発光素子100Bの行方向の視野角αは等しく設定される。
このとき、発光基準点と遮光膜133Iの開口の縁との間の光学距離は、本例では、発光素子100Bのホール注入層120とホール輸送層121との境界と、発光素子100Bに対応する遮光膜133Iであるカラーフィルタ層132IGの紙面右側の縁部132Ibの開口の上縁1321Ga1、又はカラーフィルタ層132IRの紙面左側の縁部132Ibの開口の上縁1321Raとの間の出射方向の距離Ly0となり、発光素子100Rの光学距離Ly1よりも長い距離となる。
[発光素子100Gについて]
カラーフィルタ層132IRの紙面右側の縁部132Ib及びカラーフィルタ層132IBの紙面左側の縁部132Ibは、発光素子100Gに対する遮光膜133Iを構成する。ここでも、発光素子100Gの行方向の視野角α1、α2は等しく設定される。
ここでは、発光基準点と遮光膜133Iの開口の縁との間の光学距離は、遮光膜133Iとなるカラーフィルタ層132IR、132IBの縁部132Ibの積層順序によって相違する。
すなわち、発光素子100Gの紙面右側での光学距離は、本例では、発光素子100Gのホール注入層120とホール輸送層121との境界と、カラーフィルタ層132IBの紙面左側の縁部132Ibの開口の上縁1321Baとの間の出射方向の距離Ly1となり、発光素子100Rの光学距離Ly1と等価な距離となる。
他方、紙面左側での光学距離は、発光素子100Gのホール注入層120とホール輸送層121との境界と、カラーフィルタ層132IRの紙面右側の縁部132Ibの開口の上縁1321Raとの間の出射方向の距離Ly0となり、紙面右側における光学距離Ly1及び発光素子100Rの光学距離Ly1より長い距離となる。
上述のとおり、発光素子100Gの行方向の視野角α1、α2は等しく設定されることから、光学距離Ly0が長いカラーフィルタ層132IRの開口の上縁1321Raは、光学距離Ly1が短いカラーフィルタ層132IBの開口の上縁1321Baよりも、発光素子100Gの行方向の中心から離間した位置に配置される。このとき、光学距離Ly1に対応する発光素子100Bの紙面右側に位置するカラーフィルタ層132IBの紙面左側の縁部132Ibを基準として、カラーフィルタ層132IRの紙面右側の縁部132Ibを左方に移動して、視野角α1、α2を等価に構成としてもよい。
(製造方法)
表示パネル10Iにおいて、前面板131IBの製造には、図9(a)~(d)に示す実施の形態の例と同様に、上部基板130表面に、紫外線硬化樹脂成分を主成分とするカラーフィルタ層132IRの材料132Rを塗布し、所定のパターンマスクPMを載置し、紫外線照射を行い、その後はキュアを行い、パターンマスクPM及び未硬化のペースト132Rを除去して現像すると、カラーフィルタ層132IRが形成され、この工程を各色のカラーフィルタ層材料について、縁部133Ibが重なるように開口が形成されたパターンマスクPMを用いて、同様に繰り返すことで、カラーフィルタ層132IG、132IBを形成して、前面板131IBが形成される。
(小 括)
以上のとおり、表示パネル10Iでは、発光色が異なる複数の発光素子100それぞれに対応する複数のカラーフィルタ層132Iを備え、遮光層133Iは、隣接する発光素子100の境界の上方において、一部が積層されたカラーフィルタ層132Iの縁部133Ibによって構成される。例えば、上記した例では、発光素子100Bの発光基準点と、発光素子100Bに対応する遮光膜の開口の縁との間の光学距離Ly0が、発光素子100Rにおける発光基準点と、発光素子100Rに対応する遮光膜の開口の縁との間の光学距離Ly1よりも大きく構成されており、これより、仮に、上部基板130上の行方向の透過な位置に従来の遮光膜33(図31参照)を設けた場合と比較すると、発光素子100Rにおける遮光率を相対的に減少することができる。
その結果、表示パネル10Iによれば、実施の形態に係る表示パネル10と同様に、発光素子100Rの遮光率を変化させて、例えば、発光素子100ごとの発光素子幅をWelや発光分布の違いによって生じる遮光率の違いを補うことで、斜め方向からの視認時における色度変化を低減できる発光パネルの構造を実現できる。
さらに、発光素子100Bにおける光学距離Ly0が、発光素子100Gの紙面右側での光学距離Ly1よりも大きく構成されており、発光素子100Gの行方向の視野角α1、α2は、発光素子100Bの紙面右側における光学距離Ly1に対応するカラーフィルタ層132IBの紙面左側の縁部132IBを基準に等しく設定されている。そのため、仮に上部基板130上の行方向の透過な位置に従来の遮光膜33(図31参照)を設けた場合と比較すると、発光素子100Gを相対的に減少することができる。これより、発光素子100Gの遮光率を変化させて、発光素子100ごとの遮光率の違いを補うことで、斜め方向からの視認時における色度変化を低減できる。
以上より、表示パネル10Iでは、各色発光素子100における発光素子幅をWelや発光分布の違いによって生じる遮光率の違いを、色毎に光学距離Ly1を調整することによって補償することができる。
なお、上記した表示パネル10Iでは、の例では、発光素子100R、100G、100Bのうち、発光素子100Gにおいて、光学距離が紙面左右で異なる態様とした。しかしながら、発光素子100Rあるいは発光素子100Bにおいて、光学距離が紙面左右で異なる態様としてもよい。かかる場合でも、発光素子100R、100Bそれぞれにおいて、紙面左右における視野角α1、α2が等価に構成される。
<変形例10>
実施の形態に係る表示パネル10では、一例として、発光素子100Bの発光基準点と遮光膜133の開口133aの縁との間の出射方向における最大距離LBが、発光素子100R、Gよりも長い態様を用いて実施の形態を説明した。本実施の形態では、上述のとおり、発光素子100B、100G、100Rにおける画素電極119の行方向の長さ119x(B)、(G)、(R)が、発光素子100B、100G、100Rの順に大きく構成されており、発光素子100Bの遮光率が最大となる。これに対し、表示パネル10における上記構成を採ることにより、画素電極119の行方向の長さが最も大きい発光素子100の遮光率を減少させて、発光色による遮光率の変化を効果的に補償することができる。
しかしながら、発光素子100の遮光率を異ならせる要因は画素電極119の行方向の長さ119x以外にも存在する。
図27は、表示パネル10の発光素子100Bを行方向に切断した断面における発光層123までの機能層の膜厚の測定結果である。図27に示すように、塗布法により形成される機能層の膜厚は、バンク間の間隙122zの行方向の中心(x=0)を含む幅±7.5μmの範囲において約0.26から0.33の範囲であり、膜厚の変動幅が0.07以下である平坦部123flが存在している。一方、平坦部123flのx方向の両側では、平坦部123flから離間するにつれて層厚が0.33から0.73に向けて徐々に増加しており、平坦部123flのx方向の両側5μmに平坦部123flよりも層厚が厚いピンニング部123pnが存在している。
すなわち、発光層123は、それぞれ、バンク間の間隙122zの行方向の中心を含む幅の範囲に存在し行方向に層厚が所定の範囲内にあって均一な平坦部123flを有する。また、発光層123は、平坦部123flの行方向の両側に存在し平坦部123flよりも層厚が厚いピンニング部123pnとを含む。ピンニング部123pnでは、平坦部123flから離間するにつれて層厚が最大膜厚に向けて徐々に増加している。
図28は、表示パネル10の各色副画素における図2におけるA1-A1と同じ位置で測定した単色光の輝度(相対輝度)分布の測定結果を示す模式図である。
図28に示すように、表示パネル10の各色発光素子100R、100G、100Bにおいて、発光層123の平坦部123flに相当する範囲において相対輝度0.1以上の発光輝度の分布が観測された。発光輝度の分布形状は、各色発光素子100R、100G、100Bによって異なり、発光素子100Gにおいて発光素子100R、100Bよりもより急峻な分布形状を示した。
また、各色発光素子100R、100G、100Bを、視野角αの方向から視したときに、発光素子100R、100Bの方が発光素子100Gよりも視認される輝度の低下率は大きいことが発明者の検討により確認されている。
発光層123において相対的にピンニング部123pnに比べて膜厚が小さい平坦部123flはピンニング部123pnに比べて電気抵抗が小さいために、電流密度が高くなり平坦部123flにおける発光が支配的になる。そのため、発光層123の平坦部123flに相当する範囲において相対輝度0.1以上の発光輝度の分布が観測されたと考えられる。
また、発光層123の製造工程では、上述のとおり、副画素形成領域となる間隙122zに、インクジェット法によりR、G、Bいずれかの有機発光層の材料を含むインク123RI、123GI、123BIをそれぞれ充填し、充填したインクを減圧下で乾燥させ、ベーク処理することによって、発光層123R、123G、123Bが形成される。このとき、発光層123のインクの塗布では、液滴吐出装置を用いて発光層123の形成するための溶液の塗布を行うが、インク123RI、123GI、123BIは、含まれる有機発光層の材料の種類、溶質の密度、インクの粘度、塗布される液滴の数等が互いに異なるために、形成される発光層123の膜形状が異なる傾向がある。本例では、発光素子100Gの発光層123Gにおける平坦部123flのx方向の幅が、発光素子100R、Bの発光層123R、123Bにおける平坦部123flの幅よりも小さく、そのため、発光素子100Gの方が発光素子100R、100Bよりもより急峻な分布形状を示したと考えられる。
そして、発光素子100R、100G、100Bよりもより輝度分布の形状の違いにより、各色発光素子100R、100G、100Bを、視野角αの方向から視したときに、遮光幅、遮光率が同じであったとしても、発光素子100R、100Bの方が発光素子100Gよりも視認される輝度の低下率は大きく、視野角αの方向から視したときに発光素子100R、100G、100Bの輝度バランスが変化して視認される色度が変化する。
変形例10に係る表示パネル10Hでは、発光素子100Gに対応する部分の厚みを増加した遮光膜133を上部基板130の内部に設けて、遮光膜133との間の光学距離が、発光素子100Gが発光素子100R、100Bよりも大きく構成した点で実施の形態と相違する。
図29は、変形例10に係る表示パネル10Hの、図2におけるA1-A1と同じ断面で切断した模式断面図である。図29に示すように、表示パネル10Hでは、発光素子100B、100G、100Rにおける画素電極119の行方向の長さ119x(B)、(G)、(R)は等しく構成されている。また、遮光膜133Hの発光素子100Gに対応する開口133aの周囲に増厚部1331が形成され、発光素子100R、100Bに対応する開口133aの周囲に基部1330が形成されており、これより、遮光膜133Hの厚みは、発光素子100Gに対応する開口の縁の部分が、発光素子100R、100Bに対応する開口の縁の部分よりも厚く構成されている。
そのため、表示パネル10Hでは、発光素子100Gにおけるホール注入層120とホール輸送層121との境界と、発光素子100Gに対応する遮光膜の開口の縁との間の出射方向における最大距離Ly2が、それぞれ、発光素子100R、Bにおけるホール注入層120とホール輸送層121との境界と、発光素子100R、100Bに対応する遮光膜の開口の縁との間の出射方向における最大距離Ly0よりも大きい構成を採る。
これより、表示パネル10Hでは、発光素子100Gの発光基準点と、発光素子100Gに対応する遮光膜の開口の縁の部分との間の光学距離が、発光素子100R、100Bにおける発光基準点と、発光素子100R、Bに対応する遮光膜の開口の縁の部分との間の光学距離よりも大きい構成を採ることができ、発光素子100Gにおける遮光率を、発光素子100R、100Bにおける遮光率よりも大きくすることができる。
これにより、表示パネル10Hによれば、発光素子100R、100G、100Bの輝度分布の急峻度の違いにより、各色発光素子100を斜め方向から視したときの見かけの遮光率が同じでも各色発光素子100から視認される輝度が異なる場合において、斜め方向からの視認時における色度変化を低減できる。すなわち、発光素子100B、100G、100Rの輝度減少率の違いを補償するように、発光素子100B、100G、100Rの遮光率を変化させることで、斜め方向からの視認時における色度変化を低減することができる。
<光共振器構造への影響>
表示パネル10では、光取り出し効率を調整するため、共振器構造が採用されている。図2は、本実施形態にかかる表示パネル10の光共振器構造における光の干渉を説明する図である。当図では1つの副画素100seに相当する素子部分について説明する。
この発光素子100の副画素100seの光共振器構造において、発光層123からはホール輸送層121との界面近傍から光が出射されて各層を透過していく。この各層界面において光の一部が反射されることによって光の干渉が生じる。
発光層123から出射され対向電極125側に進行した光の一部が、対向電極125を透過して発光素子の外部に出射される第1光路C1と、発光層123から、画素電極11
9側に進行した光の一部が、画素電極119で反射された後、発光層123および対向電極125を透過して発光素子の外部に出射される第2光路C2とが形成される。そして、
この直接光と反射光との干渉が生じる。
図30に示す光学膜厚L1は、第1光路C1と第2光路C2との光学距離の差に対応して
いる。この光学膜厚L1は、発光層123と画素電極119との間に挟まれたホール注入
層120、ホール輸送層121の合計の光学距離である。
発光層123から対向電極125側に進行した光の一部が、対向電極125で反射されて、さらに画素電極119で反射された後、発光素子の外部に出射される第3光路C3も
形成される。そして、この第3光路C3を経由する光と、上記第1光路C1を経由する光との干渉が生じる。第2光路C2と第3光路C3との光学距離の差は図30に示す光学膜厚L2に対応する。この光学膜厚L2は、発光層123、電子輸送層124の合計の光学距離である。
第3光路C3を経由する光と、上記第1光路C1を経由する光との干渉も生じる。第1光路C1と第3光路C3との光学距離の差は、図13に示す光学膜厚L3に対応する。光学膜
厚L3は、上記光学膜厚L1と光学膜厚L2の和である(L3=L1+L2)。光学膜厚L3は
、画素電極119と対向電極125との間に挟まれたホール注入層120、ホール輸送層121、発光層123、電子輸送層124の合計の光学距離である。
光共振器構造を用いた発光素子における光学距離の設計では、上記のうち、光学膜厚L1の調整のために決定されたホール注入層120、ホール輸送層121の膜厚を踏まえて
、光学膜厚L2と光学膜厚L3の両方の調整のために発光層123膜厚が決定される。このとき、発光層123膜厚が影響する光学膜厚L2、L3の調整では、各色の発光波長の違いにより、光学的な最適電極間距離は赤色副画素が最も長く、青色副画素が最も短い構成となる。
発明者の検討によると、斜め方向から見たときには実効的な光路長は、視認する方向の正面に対する角度が増加するにつれて徐々に減少する。そのため、発光に伴い干渉して強め合う光の波長が短波長側にシフトし、視認する方向の正面かに対する角度が増加したときには発光に伴い出射される光の波長が短波長側にシフトする。
これに対し、表示パネル10では、複数の発光素子100は、発光素子100の発光色に応じて行方向における発光分布が異なり、発光分布における、例えば、1/2輝度発生領域幅が大きい発光素子100は、1/2輝度発生領域幅が小さい発光素子100よりも、開口縁と発光素子との距離が大きい構成としてもよい。具体的には、本例では、最も急峻な発行分布を有する発光素子100Gに対して、遮光膜133の発光素子100Bに対応する開口133aの周囲に増厚部1331が形成され、発光素子100R、100Gに対応する開口133aの周囲に基部1330が形成されており、これより、遮光膜133の厚みは、発光素子100Bに対応する開口の縁の部分が、発光素子100R、100Gに対応する開口の縁の部分よりも厚く構成されている。これより、発光素子100によって異なる、斜め方向から見たときのピンニング部123pnに起因する出射光の短波長側へのシフト量を補うように、各色発光素子100の遮光率を変更することができる。
したがって、表示パネル10によれば、斜め方向から見たときの平坦部123flとピンニング部123pnからの発される光の出射を発光素子の発光色に応じて遮光率を調整して出射することができ、表示パネルの斜め方向から見たときの各副画素からの出射光の色度の変化を抑制することができる。
<行及び列方向における色度ズレの違い>
本実施の形態に係る表示パネルでは、発光層123の形成は、例えば、インクジェット法を用い、構成材料を含むインクを長尺状の列バンク122Yにより規定される間隙122z内に塗布した後、焼成することによりなされる。このとき、発光層123は、自己発光領域100aだけでなく、隣接する非自己発光領域100bまで連続して延伸されている連続して形成された長尺状の塗布膜となる。そのため、各発光素子100において、発光層123の膜形状は、行列方向において、平坦部123flの両側に離間するにつれて膜厚が徐々に増加するピンニング部123pnが存在する膜形状となる。このとき、列方向における平坦部123flの長さが行方向における平坦部123flの長さよりも大きい態様となる。また、表示パネル10では行方向に並んだ3つの発光素子100から構成された単位画素100eが行列状に配されているために、各発光素子100に相当する副画素100seの行及び列方向の長さも、列方向の長さが行方向の長さよりも長い態様となる。そのため、斜め方向から視認したときの遮光率は、行方向の遮光率が列方向の遮光率よりも大きい関係となり、視野角から視認される色度変化も行方向の色度変化が列方向の色度変化よりも大きい関係となる。したがって、遮光膜133の開口133aにおける行方向の縁に、本開示に係る、例えば、増厚部1331を設けることにより、斜め方向からの視認時での視認における色度変化を効果的に低減できる発光パネルの構造を実現できる。
すなわち、本実施の形態では、発光素子100R、100G、100Bに対応する遮光膜133の各開口133aの、行方向および列方向における開口幅Wbmは、各発光素子100から発せられた光の一部が遮光膜133によって遮られることに起因して視野角α(αは例えば45°)から視認される輝度が行方向および列方向において互いに異なる態様となる。
そして、本実施の形態では、発光素子100R、100G、100Bに対応する開口133aの、行方向および列方向における開口幅Wbmは、さらに、行方向および列方向における視野角α(αは例えば45°)から観測される色度(u’v’)間の色差(Δu’v’)が0.020以下となるように構成されている。
具体的には、各発光素子100から発せられた光の一部が遮光膜133における開口133aの縁によって遮られることに起因して生じる、行方向における視野角45°から観測される色度と、列方向における視野角45°から観測される色度との間の色差は、0より大きく0.020以下である構成を採る。
係る構成により、遮光膜133の各開口133aの、行方向および列方向における開口幅Wbmを縮小して遮光率を増加させたときの、斜め方向から視認される色度変化を低減することができる。
また、色差(Δu’v’)は0.004以下となるよう構成してもよい。これにより、色差(Δu’v’)が人間の認識限界以下とすることができる。
また、本実施の形態では、各発光素子100から発せられた光の一部が遮光膜133における開口133aの縁によって遮られることに起因して生じる、列方向における視野角45°から観測される輝度は、行方向における視野角45°から観測される輝度よりも3%以上大きい場合に、本開示に係る、例えば、増厚部1331を設けることは有効である。すなわち、発光素子100の発光基準点と、発光素子100Bに対応する遮光膜133との間の光学距離を、各発光素子100における遮光率の大きさに応じて異ならせることにより、各発光素子100からの輝度バランスを制御して、行方向および列方向における視野角α(αは例えば45°)から観測される色度(u’v’)の最適点を一致させることができる。これより、発光素子100の発光層123が列バンク122Y間の間隙122z内に連続して形成された長尺状の塗布膜からなる場合において、発光素子100B、100G、100Rの遮光率の違い補い斜め方向からの視認時における色度変化をより一層精度よく補償することができる発光パネルの構造を実現できる。
<行及び列方向における色度ズレの違い>
上記実施の形態では、表示パネル10における共振器構造として、図30に示すように画素電極119とホール注入層120の境界を第1反射界面、電子輸送層124と対向電極125の境界を第2反射界面とした共振器構造を示したが、例えば、特開2018-88365号公報に記載された方法により、光調整膜128を含む各層の膜厚及び屈折率を適切に設定して、光調整膜128と封止層126との境界を第3反射界面とする構造としてもよい。係る構成により、光調整膜128により、斜め方向からの視認時における色度変化をより一層精度よく補償するとともに、発光素子100からの光取り出し効率を向上することができる。
<その他の変形例>
実施の形態及び変形例に係る表示パネル10、10A、10B、10C、10D、10E、10F、10Gでは、行列状に配された画素電極119は、行方向に順に並んだ3つの自己発光領域100aR、100aG、100aBに対応する。画素電極119の行方向の長さ119xは、発光素子100B、100G、100Rの順に大きく構成されており、自己発光領域100aB、100aG、100aRの行方向の長さ及び面積もこの順に大きい構成としている。しかしながら、上記は一例であって、画素電極119の行方向の長さ119x、発光素子100B、100G、100R(自己発光領域100aB、100aG、100aR)の行方向の長さ及び面積は、上記に限定されない。例えば、変形例Bに示すように、画素電極119の行方向の長さ119x、発光素子100B、100G、100Rは、発光素子100B、100G、100Rで等価としてもよい。あるいは、発光素子100R、100G、100Bの順に大きいなど、他の構成としてもよい。
実施の形態に係る発光素子100では、画素電極119と対向電極125の間に、ホール注入層120、ホール輸送層121、発光層123及び電子輸送層124が存在する構成であったが、本発明はこれに限られない。例えば、ホール注入層120、ホール輸送層121又は電子輸送層124を用いずに、画素電極119と対向電極125との間にホール輸送層121、発光層123が存在する構成や、発光層123と電子輸送層124が存在する構成、ホール輸送層121、発光層123と電子輸送層124が存在する構成としてもよい。また、発光層123の他に、例えば、ホール注入層、ホール輸送層、電子輸送層、電子注入層の何れかを備える構成や、これらの複数又は全部を同時に備える構成であってもよい。また、これらの層はすべて有機化合物からなる必要はなく、無機物などで構成されていてもよい。
実施の形態に係る表示パネル10では、バンク122の形状は、いわゆるライン状のバンク形式を採用し、行方向に隣接する2つの画素電極119の間には、各条が列方向(図1のY方向)に延伸する列バンク122Yが複数行方向に並設されており、列方向に隣接する2つの画素電極119の間には、各条が行方向(図1のX方向)に延伸する行バンク122Xが複数列方向に並設され、行バンク122Xが形成される領域は、発光層123が列状に連続して形成されているが、有機電界発光が生じないために非自己発光領域100bとなる構成としている。しかしながら、行バンク122Xが形成される領域には、発光層123が形成されておらず、発光層123は行バンク122Xと列バンク122Yが形成する格子内に島状に形成され、副画素毎に分離している態様としてもよい。係るピクセルバンクにより区画される発光層123においても、発光層123のピンニング部123pnにおける色度が変化する。このような場合でも、表示パネル10によれば、斜め方向から見たときの平坦部123flとピンニング部123pnからの発される光の出射を発光素子の発光色に応じて遮光率を調整して出射することができ、表示パネルの斜め方向から見たときの各副画素からの出射光の色度の変化を抑制することができる。
また、上記実施の形態では、行方向に隣接する列バンク122Y間の間隙122zに配された副画素100seの発光層123が発する光の色は互いに異なる構成とし、列方向に隣接する行バンク122X間の間隙に配された副画素100seの発光層123が発する光の色は同じである構成とした。しかしながら、上記構成において、行方向に隣接する副画素100seの発光層123が発する光の色は同じであり、列方向に隣接する副画素100seの発光層123が発する光の色が互いに異なる構成としてもよい。
表示パネル10では、画素100eには、赤色画素、緑色画素、青色画素の3種類があったが、本発明はこれに限られない。例えば、発光層が1種類であってもよいし、発光層が赤、緑、青、白色などに発光する4種類であってもよい。
また、上記実施の形態では、単位画素100eが、マトリクス状に並んだ構成であったが、本発明はこれに限られない。例えば、画素領域の間隔を1ピッチとするとき、隣り合う間隙同士で画素領域が列方向に半ピッチずれている構成に対しても効果を有する。高精細化が進む表示パネルにおいて、多少の列方向のずれは視認上判別が難しく、ある程度の幅を持った直線上(あるいは千鳥状)に膜厚むらが並んでも、視認上は帯状となる。したがって、このような場合も輝度むらが上記千鳥状に並ぶことを抑制することで、表示パネルの表示品質を向上できる。
また、上記の形態では、EL素子部の下部にアノードである画素電極119が配され、TFTのソース電極に接続された配線110に画素電極119を接続する構成を採用したが、EL素子部の下部に対向電極、上部にアノードが配された構成を採用することもできる。この場合には、TFTにおけるドレインに対して、下部に配されたカソードを接続することになる。
また、上記実施の形態では、一つの副画素100seに対して2つのトランジスタTr1、Tr2が設けられてなる構成を採用したが、本発明はこれに限定を受けるものではない。例えば、一つの副画素に対して一つのトランジスタを備える構成でもよいし、三つ以上のトランジスタを備える構成でもよい。
さらに、上記実施の形態では、トップエミッション型のEL表示パネルを一例としたが、本発明はこれに限定を受けるものではない。例えば、ボトムエミッション型の表示パネルに適用することもできる。その場合には、各構成について、適宜の変更が可能である。
また、上記実施の形態では、発光層として有機ELを使用した有機EL表示パネルの製造方法について説明したが、その他、発光層として無機ELを使用した無機EL表示パネルや、発光層として量子ドット発光素子(QLED:Quantum dot Light Emitting Diode)を使用した量子ドット表示パネル(例えば、特開2010-199067号公報参照)などの表示パネルについても、発光層の構造や種類が異なるだけで、画素電極と対向電極との間に発光層やその他の機能層を介在させるという構成において有機EL表示パネルと同じであり、当該発光層やその他の機能層の形成に塗布方式を採用する場合には、本発明を適用することが可能である。
≪補足≫
以上で説明した実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、工程、工程の順序などは一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない工程については、より好ましい形態を構成する任意の構成要素として説明される。
また、上記の工程が実行される順序は、本発明を具体的に説明するために例示するためのものであり、上記以外の順序であってもよい。また、上記工程の一部が、他の工程と同時(並列)に実行されてもよい。
また、発明の理解の容易のため、上記各実施の形態で挙げた各図の構成要素の縮尺は実際のものと異なる場合がある。また本発明は上記各実施の形態の記載によって限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
また、各実施の形態及びその変形例の機能のうち少なくとも一部を組み合わせてもよい。
さらに、本実施の形態に対して当業者が思いつく範囲内の変更を施した各種変形例も本発明に含まれる。