JP2018128075A - クラッチ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】摩擦材の摩耗を補償し、且つ運転者に摩擦材の取替え時期を適時に伝達する。
【解決手段】クラッチ装置は、第1の傾斜面と、第1の傾斜面から延びる第1の戻り面を含む第1の案内路308、及び第1の案内路308の径方向外側に設けられる第2の案内路304、を有する板部材300と、板部材300を押圧する押圧部材900と、第1の案内路308に配置され摩擦材(204a,204b)の摩耗量に応じて周方向へ移動する円環状部材400と、径方向に延びる第1の延在部508、及び第3の傾斜面を有し、第2の案内路304に配置され摩擦材(204a、204b)の摩耗量に応じて周方向へ移動する移動部材500と、移動部材500の移動を規制する第2の延在部606を有する第1の規制部材600と、第2の延在部606の軸方向への移動を規制する第2の規制部材700と、を具備する。
【選択図】図2

Description

本発明は、クラッチディスクの摩擦材の摩耗を補償する機能を備えたクラッチ装置に関する。
従来のクラッチ装置は、自動車のパワートレインシステムの1つの構成要素として、エンジンの駆動力を変速機側に伝達する機能を果たすために設けられている。このような機能を実現するために、従来のクラッチ装置は、クラッチペダル等の操作により、エンジンと変速機を断接可能とする。一般的なクラッチ装置は、エンジンの駆動力が伝達されるフライホイールに対向して設けられ、摩擦材を支持するクラッチディスクと、クラッチディスクに対向して設けられるプレッシャープレートと、フライホイールに固定され、クラッチディスク及びプレッシャープレート等を覆うクラッチカバーと、クラッチカバーに取り付けられ、プレッシャープレートをフライホイールに向かって押圧し、クラッチペダルが踏まれたことに応じてプレッシャープレートから離れるように弾性変形するダイヤフラムスプリングと、を含む。
クラッチディスクに支持された摩擦材は、ダイヤフラムスプリングの押圧によってプレッシャープレートからフライホイールへ押付けられることによって摩耗が進行する。またこの摩耗によって、プレッシャープレートはフライホイールに近づく方向に移動する。これにより、ダイヤフラムスプリングがプレッシャープレートに対して成す傾斜角度が大きくなる(傾斜姿勢が変化する)。したがって、運転者がクラッチを切断すべく(プレッシャープレートからダイヤフラムスプリングを離すべく)クラッチペダルを踏む際に必要な力(踏力)が初期状態から増加してしまう。
このような問題点を解決するために、摩擦材の摩耗を補償する摩耗補償機構を備えたクラッチ装置が知られている。例えば、特許文献1には、プレッシャープレートに設けられた傾斜面に係合する傾斜面を有しプレッシャープレートの周方向に移動可能な摩耗調整リング(符号20)、摩擦材の摩耗量を検知する摩耗検出部材(符号28)、及び、プレッシャープレートの周方向に移動可能なストッパ部材(符号36)を主に備え、摩耗検出部材が摩耗を検知すると、ストッパ部材がプレッシャープレートの周方向に一定区間移動し、このストッパ部材の一定区間の移動によって摩耗調整リングのプレッシャープレートの周方向への移動が許容され、摩耗が発生してもダイヤフラムスプリングの姿勢を元の初期の状態に戻すことができる摩耗補償機構が開示されている。
また、特許文献2には、更に摩擦材の使用限度を指し示す表示部を付して、摩擦材の取替え時期を目で見て判別可能にさせる摩耗補償機構が開示されている。
米国特許第6443285号明細書 米国特許第6491151号明細書
しかしながら、特許文献1に記載の摩耗補償機構においては、摩耗量が摩擦材の使用限度に達した場合のことが想定されておらず、且つ、摩耗補償機構によってダイヤフラムスプリングの姿勢が一定に保たれる結果としてクラッチペダルの踏力も一定に保たれるため、運転者が摩擦材の使用限度を認識することも困難である。
また、特許文献2に記載された表示部を備えた摩耗補償機構では、クラッチ装置に係るハウジングやクラッチカバー等を全て外さなければ表示部を確認することができないため、手間がかかるだけでなく、運転者に摩擦材の取替え時期を適時に伝達することができないという問題がある。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたもので、摩擦材の摩耗を補償し、且つ摩擦材が使用限度に至った場合に、運転者に摩擦材の取替え時期を適時に伝達することを実現したクラッチ装置を提供する。
本発明の一態様に係るクラッチ装置は、エンジンの駆動力を、摩擦材を介して変速機に伝達するクラッチ装置であって、前記クラッチ装置の周方向に延びる第1の傾斜面と、該第1の傾斜面の頂端部を一端とし前記第1の傾斜面に対向する面の方向へ延びる第1の戻り面とを含む円環状の第1の案内路、及び、該第1の案内路の前記クラッチ装置の径方向外側又は内側に設けられる第2の案内路、を有する板部材と、弾性力を用いて前記板部材を押圧する押圧部材と、前記第1の傾斜面に対して係脱可能な第2の傾斜面、該第2の傾斜面の頂端部を一端とし前記第2の傾斜面に対向する面の方向へ延びる第2の戻り面、及び、前記周方向に延びる切欠き部を有し、前記第1の案内路において前記板部材と前記押圧部材との間に配置され、前記摩擦材の摩耗量に応じて、前記周方向への付勢力によって移動する円環状部材と、前記切欠き部を通過して前記径方向に延びる第1の延在部、及び前記周方向に延びる第3の傾斜面を有し、前記第2の案内路に配置され、前記摩擦材の摩耗量に応じて、前記円環状部材が付勢される方向と同じ前記周方向への付勢力によって移動する移動部材と、前記径方向に延び前記第3の傾斜面に当接して前記移動部材の移動を規制する第2の延在部を有し、一端が前記板部材に固定される弾性変形可能な第1の規制部材と、前記第2の延在部に当接し、該第2の延在部の前記クラッチ装置の軸方向への移動を規制する第2の規制部材と、を具備するものである。
この構成により、前記第2の傾斜面が前記第1の傾斜面と係合することで、摩擦材の摩耗量に応じて摩耗を補償する摩耗補償機能が付与され、更に、摩耗によって摩擦材が使用限度に至った場合には、前記第2の傾斜面を前記第1の傾斜面から離脱させ、前記押圧部材の姿勢を急激に変化させることでクラッチペダルの踏力を急激に変化させて、運転者に摩擦材の交換時期を適時に伝達することが可能となる。
また、本発明の前記クラッチ装置では、前記移動部材は、前記第3の傾斜面の頂端部から連続して前記周方向に延びる平坦面を更に有していてもよい。
前記移動部材の前記周方向への移動量は、後述するとおり、前記円環状部材の前記周方向への移動量に対応するものであることを考慮すれば、前記移動部材に平坦面を設けることで、前記移動部材の前記周方向への移動量が大きくなる箇所が意図的に設定され、これに対応して前記円環状部材の前記周方向への移動量が大きくなる箇所も設定されるため、前記第2の傾斜面が前記第1の傾斜面から離脱することを確実に実現できる。また、かかる平坦面は、前記第3の傾斜面の頂端部から連続して前記周方向に延びる構成とすることにより、前記第2の傾斜面が前記第1の傾斜面と係合し、且つ前記第2の傾斜面と前記第1の傾斜面との当接面積が小さくなった状態(一定の摩耗を補償した結果として)から、前記円環状部材を前記周方向へ大きく移動させることが可能となり、前記円環状部材及び前記板部材に対する前記押圧部材からの押圧力の応力集中を防ぐことができ(前記第2の傾斜面と前記第1の傾斜面との当接面積が小さくなった状態において、前記円環状部材に対して前記押圧部材からの押圧力が長期間伝達されることを防ぐことができる)、前記円環状部材及び前記板部材の破損を防ぐことができる。
また、本発明の前記クラッチ装置では、前記第1の案内路は、前記第1の傾斜面をそれぞれ等間隔に複数有し、前記円環状部材は、前記第2の傾斜面をそれぞれ等間隔に前記第1の傾斜面の数と同数有していてもよい。
この構成により、前記押圧部材からの押圧力が前記円環状部材及び前記板部材に均等に伝わるため、押圧力の応力集中を防ぎ、前記円環状部材及び前記板部材の破損を効率的に防ぐことができる。
また、本発明の前記クラッチ装置では、前記円環状部材は、一端が前記板部材に固定される第1の弾性部材によって付勢されていてもよい。
この構成により、前記円環状部材の前記周方向への付勢力を確実なものとすることができる。
また、本発明の前記クラッチ装置では、前記移動部材は、一端が前記円環状部材に連結される第2の弾性部材によって付勢されていてもよい。
この構成により、前記移動部材の前記周方向への付勢力を確実なものとすることができるとともに、前記移動部材の移動量と前記円環状部材の移動量を確実に関連付けることができる。
また、本発明の前記クラッチ装置では、前記第2の案内路の表面の一部には、前記径方向に延びる略V字状の複数の溝が前記周方向に渡って連続的に配置される第1の溝面が設けられ、前記移動部材の前記第2の案内路と当接する面の少なくとも一部には、前記径方向に延びる略V字状の複数の溝が前記周方向に渡って連続的に配置され前記第1の溝面に咬合する第2の溝面が設けられていてもよい。
この構成により、前記移動部材の前記周方向への移動を連続的ではなく段階的なものとすることができる。例えば、前記溝の深さを0.1mmとすると、摩耗量が0.1mmをわずかに超えるごとに前記移動部材が前記周方向へ移動し、この前記移動部材の移動にともなって、前記円環状部材も前記周方向へ移動することで、摩耗を補償することができる。また、前記第1の溝面と前記第2の溝面を咬合させておくことにより、車両の振動等によって誤って前記移動部材が移動してしまうことも防止することができる。
また、本発明の前記クラッチ装置において、前記第2の溝面は、前記第3の傾斜面に対向する面にのみ設けられていてもよい。
この構成により、前記平坦面を有する前記移動部材を使用する場合においては、前記第3の傾斜面に対向する面にのみ前記第2の溝面を設け、かかる平坦面に対向する面には前記第2の溝面を設けない構成とすることで、前記平坦面に対応する前記移動部材の前記周方向への移動を円滑に(連続的に)することができるため、前述のとおり、前記第2の傾斜面が前記第1の傾斜面から離脱することをサポートし、運転者に摩擦材の取替え時期を伝達する機能をより効率的に確保することができる。
また、本発明の前記クラッチ装置において、前記第2の規制部材の一端は、フライホイール又はクラッチカバーに固定されることが好ましい。
この構成により、前記第2の規制部材の前記軸方向への移動は摩擦材の摩耗とは無関係なものとすることができる。このため、前記第1の規制部材における前記第2の延在部の前記軸方向への移動を確実に規制することができ、摩耗が生じた際に前記第1の規制部材と前記第3の傾斜面との間に間隙が生じることを可能とし、この間隙を生じさせることによって前記移動部材の前記周方向への移動を許容させることができる。
また、本発明の前記クラッチ装置において、前記摩擦材の摩耗量が前記摩擦材の使用限度に至る前においては、前記第2の傾斜面は前記第1の傾斜面に係合し、前記円環状部材は、前記摩擦材の摩耗量に応じて前記周方向へ移動し、前記摩擦材の摩耗量が前記摩擦材の使用限度に達した後においては、前記第2の傾斜面は前記第1の傾斜面から離脱し、前記円環状部材は、前記第2の戻り面が前記第1の戻り面に対向する位置まで前記周方向へ移動することが好ましい。
この構成により、前記第2の傾斜面が前記第1の傾斜面と係合することで、摩擦材の摩耗量に応じて摩耗を補償する摩耗補償機能が付与され、更に、摩耗によって摩擦材が使用限度に達した後においては、前記第2の傾斜面を前記第1の傾斜面から離脱させ、前記押圧部材の姿勢を急激に変化させることでクラッチペダルの踏力を急激に変化させて、運転者に摩擦材の交換時期を適時に伝達することが可能となる。
本発明によれば、摩擦材の摩耗を補償し、且つ摩擦材が使用限度に至った場合に、運転者に摩擦材の取替え時期を適時に伝達することを実現したクラッチ装置を提供することができる。
本発明の一実施形態に係るクラッチ装置の構成を模式的に示した軸方向から見た部分切欠平面図である。 図1に示したクラッチ装置の一部を模式的に示したX−X´間の断面図である。 図1に示したクラッチ装置の一部を模式的に示したY−Y´間の側面図である。 図1に示したクラッチ装置の一部の別の実施形態を模式的に示したY−Y´間の側面図である。 図1に示したクラッチ装置の一部を模式的に示したY−Y´間における初期状態の側面図である。 図1に示したクラッチ装置の一部を模式的に示した、摩擦材の摩耗が進行した場合(摩耗量T1)のY−Y´間の側面図である。 図1に示したクラッチ装置の一部を模式的に示した、摩擦材の摩耗が進行した場合(摩耗量T1)のY−Y´間の側面図である。 図1に示したクラッチ装置の一部を模式的に示した、摩擦材の摩耗が進行した場合(摩耗量T1)のY−Y´間の側面図である。 図1に示したクラッチ装置の一部を模式的に示した、摩擦材の摩耗が更に進行した場合(摩耗量T2)のY−Y´間の側面図である。 図1に示したクラッチ装置の一部を模式的に示した、摩擦材の摩耗が更に進行した場合(摩耗量T2)のY−Y´間の側面図である。 図1に示したクラッチ装置の一部を模式的に示した、摩擦材の摩耗が更に進行した場合(摩耗量T2)のY−Y´間の側面図である。 図1に示したクラッチ装置の一部の別の実施形態を模式的に示したY−Y´間における初期状態の側面図である。 図1に示したクラッチ装置の一部の別の実施形態を模式的に示した、摩擦材の摩耗が進行した場合(摩耗量T1)のY−Y´間の側面図である。 図1に示したクラッチ装置の一部の別の実施形態を模式的に示した、摩擦材の摩耗が進行した場合(摩耗量T1)のY−Y´間の側面図である。 図1に示したクラッチ装置の一部の別の実施形態を模式的に示した、摩擦材の摩耗が進行した場合(摩耗量T1)のY−Y´間の側面図である。 図1に示したクラッチ装置の一部の別の実施形態を模式的に示した、摩擦材の摩耗が更に進行した場合(摩耗量T2)のY−Y´間の側面図である。 図1に示したクラッチ装置の一部の別の実施形態を模式的に示した、摩擦材の摩耗が更に進行した場合(摩耗量T2)のY−Y´間の側面図である。 図1に示したクラッチ装置の一部の別の実施形態を模式的に示した、摩擦材の摩耗が更に進行した場合(摩耗量T2)のY−Y´間の側面図である。 本発明の一実施形態に係る移動部材を示す斜視図である。 本発明の別の実施形態に係る移動部材を示す斜視図である。 従来のクラッチ装置と本発明のクラッチ装置における、運転者がクラッチペダルを踏む際に必要な力(踏力)と摩擦材の摩耗量との関係を概念的に示す図である。
以下、添付図面を参照して本発明の様々な実施形態を説明する。なお、図面において共通した構成要件には同一の参照符号が付されている。また、或る図面に表現された構成要素が、説明の便宜上、別の図面においては省略されていることがある点に留意されたい。さらにまた、添付した図面が必ずしも正確な縮尺で記載されている訳ではないということに注意されたい。
1.クラッチ装置の構成
図1は、本発明の一実施形態に係るクラッチ装置の構成を模式的に示す軸方向から見た部分切欠平面図である。図2は、図1に示したクラッチ装置の一部を模式的に示したX−X´間の断面図である。図3は、図1に示したクラッチ装置の一部を模式的に示したY−Y´間の側面図である。図4は、図1に示したクラッチ装置の一部の別の実施形態を模式的に示したY−Y´間の側面図である。
一実施形態に係るクラッチ装置1は、主に、エンジン(図示せず)が発生させた駆動力により回動するフライホイール100に対向して配置された円板状のクラッチディスク200と、クラッチディスク200に対向して同軸上に配置された環状のプレッシャープレート(板部材)300と、プレッシャープレート300に形成された案内路(第1の案内路308)に配置され、プレッシャープレート300と同軸上に配置された周方向(クラッチ装置1における周方向)へ移動可能な円環状のウェッジリング(円環状部材)400と、プレッシャープレート300に形成された案内路(第2の案内路304)に配置され、ウェッジリング400が移動可能な周方向(例えば、ウェッジリング400が時計回りに移動可能であれば、その時計回り)へ移動可能なセンサーリング(移動部材)500と、一端がプレッシャープレート300に固定されセンサーリング500に当接可能なリーフスプリング(第1の規制部材)600と、一端がフライホイール100に固定され、他端がリーフスプリング600の端部に当接するストッパ(第2の規制部材)700と、これらの構成要素を覆うクラッチカバー800と、クラッチカバー800に係合するように取り付けられたウェッジリング400を押圧するダイヤフラムスプリング(押圧部材)900と、を含む。
1−1.フライホイール100
フライホイール100は、一般的に用いられる金属製のフライホイールであればよく、エンジン後端に配置される。
1−2.クラッチディスク200
クラッチディスク200は、例えば、図示しないクラッチシャフトに挿通された円板状のクラッチプレート202と、クラッチプレート202を両側から挟むようにクラッチプレート202に取り付けられた円環状の第1の摩擦材204aと第2の摩擦材204bからなる(第1の摩擦材204a及び第2の摩擦材204bを総称して)摩擦材204と、を含む。部材204aはフライホイール100に対向して設けられ、部材204bはプレッシャープレート300に対向して設けられる。
1−3.クラッチカバー800
クラッチカバー800は、例えば、フライホイール100に当接して環状に延びる支持部802と、フライホイール100から距離をおいて環状に延びる係合部804と、支持部802と係合部804とを連絡して環状に延びる連絡部806と、を含むように、例えば鉄、アルミニウム合金、チタン合金等の金属により形成される。支持部802は、フライホイール100に例えばネジ808により締結される。係合部804は、ダイヤフラムスプリング900を下方から支持する支持部804aを含む。
1−4.ダイヤフラムスプリング900
ダイヤフラムスプリング900は、例えば、各々が放射状に延びる複数の板バネ902を含む。各板バネ902は、その一端902aがクラッチカバー800に取り付けられ、他端902bがウェッジリング400に当接するように、設けられる。
以下、図2を参照して、本発明のダイヤフラムスプリング900について詳しく説明する。
運転者がクラッチペダル(図示せず)を踏んでいない状態では、各板バネ902がその一端902bにおいてウェッジリング400をフライホイール100側に向かって押圧することにより、ウェッジリング400、プレッシャープレート300及びクラッチディスク200は、フライホイール100に向かって押圧される。これにより、ウェッジリング400、プレッシャープレート300及びクラッチディスク200(クラッチシャフト、クラッチプレート202、及び摩擦材204を含む)は、フライホイール100の回転運動に伴って回動する。これにより、エンジンの駆動力がクラッチシャフト(図示せず)を介して変速機側に伝達される。
運転者がクラッチペダル(図示せず)を踏んだ状態では、クラッチペダルに連結されるクラッチシリンダ(図示せず)によって油圧が生じ、クラッチシャフトに挿通されたベアリング(図示せず)が、各板バネ902の他端902a(図1)を、クラッチカバー800に設けられた支持部804aを支点としてフライホイール100に向かって押圧する。これにより、各板バネ902は弾性変形して、その一端902bがウェッジリング400から離れる方向へ移動する。プレッシャープレート300は、フライホイール100との間に配置された弾性体(図示せず)により付勢されているため、フライホイール100から離れる方向へ移動する。これにより、クラッチディスク200もまたフライホイール100から離れる方向へ移動するため、クラッチディスクに挿通されたクラッチシャフトは回動しなくなる。これにより、エンジンの駆動力は変速機側へ伝達されなくなる。その後、運転者がクラッチペダルを解放(クラッチペダルを踏まない状態)すると、上記ベアリングがダイヤフラムスプリング900の各板バネ902に対する押圧を解除するため、各板バネ902は弾性力によって元の形状に復帰する。したがって、各板バネ902は、上述したようにその一端902bにおいてウェッジリング400をフライホイール100に向かって再び押圧する。
1−5.プレッシャープレート300
以下、図2及び図3を参照して、本発明のプレッシャープレート300について説明する。
プレッシャープレート300は、全体として環状を有し、例えば、鉄、アルミニウム合金、チタン合金等の金属により形成される。図2に示すように、プレッシャープレート300は、ダイヤフラムスプリング900に対向する面302において、その外周縁付近に周方向(クラッチ装置1における周方向)に延びる凸部310を有する。図3に示すように、凸部310には、面302から周方向に沿って傾斜(登り傾斜であって、面302からの距離を増加させていく傾斜)する第1の傾斜面312と、第1の傾斜面312の頂端部312aから面302(傾斜面312に対向する面)まで延びる第1の戻り面314が形成されている。
第1の傾斜面312は、ウェッジリング400が載置される載置面となるだけでなく、ウェッジリング400の周方向への移動を案内する第1の案内路308を形成している。なお、ウェッジリング400の径方向(クラッチ装置1における径方向)への意図しない移動や離脱を防ぐため、第1の傾斜面312には、径方向に例えば略U字状の溝が設けられていてもよい。また、図2に示すように、凸部310に横壁311を設けることで、第1の傾斜面312(第1の案内路308)に載置されるウェッジリング400が横壁311に支持されるようにしてもよい。
第1の傾斜面312の傾斜角度は、第1の傾斜面312の上にウェッジリング400を載置した場合であって、運転者がクラッチペダル(図示せず)を踏んだ状態の際に、ウェッジリング400が第1の傾斜面312との摩擦力に抗して第1の傾斜面312を滑り落ちることがないように設定すればよい。また、傾斜角度が大きくなると、ダイヤフラムスプリング900からの押圧による応力集中が発生しやすくなり好ましくないため、例えば2°〜10°程が好ましく、3°〜6°程が最も好ましい。
第1の傾斜面312の周方向に延びる長さは、摩擦材204の厚み、摩擦材204の使用限度、プレッシャープレート300の半径、ウェッジリング400の半径、ウェッジリング400に設けられた切欠き部408の周方向の長さ、センサーリング500の周方向の長さ、等によって適宜設定される。図3には好ましい実施形態として、第1の傾斜面312の周方向に延びる長さが、第1の傾斜面312に係合するウェッジリング400の第2の傾斜面402の周方向に延びる長さと略同一とする構成が示されている。第1の傾斜面312の周方向に延びる長さを必要以上に長く設定する場合、例えば、第1の傾斜面312が円周約1周に渡って延びる場合には、一つの摩耗材のライフサイクルにおけるウェッジリング400の周方向への移動量が大きくなってしまうため、摩擦材204が使用限度に至った場合に、運転者に摩擦材の取替え時期を適時に伝達するという機能を実現することが困難となってしまうため、好ましくない。なお、運転者に摩擦材の取替え時期を適時に伝達する手段については後述する。
図3に示すように、第1の戻り面314は、第1の傾斜面312の頂端部312aを一端として、頂端部312aから面302まで延びる面である。第1の戻り面314と面302との間の角度αは略90°が好ましいが、ウェッジリング400の第2の傾斜面402が、第1の傾斜面312を登りきった後に、第2の傾斜面402の頂端部402aが速やかに面302に向かって落下することができれば、角度αは鋭角となってもよく、鈍角となってもよい。
プレッシャープレート300は、面302において、所定の半径(例えば半径R)を有する円周上において、少なくとも2つ、好ましくは3つ以上の凸部310(第1の傾斜面312)を有することによってウェッジリング400の周方向への移動を案内する円環状(例えば半径R)の第1の案内路308を形成する。凸部310は、鋳型を用いてプレッシャープレート300と一体成型してもよいし、一体成型することなくプレッシャープレート300とは別部材とし、ネジや溶接等の手法で、かかる別部材をプレッシャープレート300に固定して設けてもよい。プレッシャープレート300のこのような複数の第1の傾斜面312(凸部310)は、第1の傾斜面312に係合するウェッジリング400(第2の傾斜面402)が安定してプレッシャープレート300に対して周方向へ移動することができる(ウェッジリング400の安定性を向上させる)ようにするために、相互に等間隔に配置されるようにしてもよい。また、等間隔に配置されることで、ダイヤフラムスプリング900からの押圧力の応力集中を防ぐことも可能となる。
さらに、プレッシャープレート300は、面302において、センサーリング500を収容し、センサーリング500の周方向(ウェッジリング400の周方向への移動方向と同じ方向。例えば、ウェッジリング400が時計回りに移動可能であれば、その時計回り)への移動を案内する第2の案内路304を有する。第2の案内路304は、凸部310の径方向外側又は内側に設けられればよく(図2においては径方向外側)、径方向外側又は内側のどちらに設けるかは、適宜選択すればよい。なお、第2の案内路304の一部には、径方向に延びる略V字状の複数の溝が一定区間周方向に連続的に設けられたギザギザ状の第1の溝面(図示せず)が施されている。
さらに、プレッシャープレート300は、面302において、ウェッジリング400を周方向へ付勢する第1の弾性部材10を収容する収容溝306を有していてもよい。収容溝306は、凸部310の径方向外側又は内側のいずれかに設けられればよく、径方向外側又は内側のどちらに設けるかは、適宜選択すればよい。第1の弾性部材10は、一端がプレッシャープレート300に固定され、他端はウェッジリング400に掛合される。
1−6.ウェッジリング400
ウェッジリング400は、全体として円環状の形状を有し、例えば、鉄、アルミニウム合金、チタン合金等の金属により形成される。ウェッジリング400は、プレッシャープレート300に形成された少なくとも2つ、好ましくは3つ以上の第1の傾斜面312に沿って延び、その半径はウェッジリング400の周方向への移動を案内する円環状の第1の案内路308の半径(例えば半径R)と略同一(又は半径Rに近似した半径)とすることができる。図2には、最も好ましい実施形態として、ウェッジリング400の半径が半径Rと同一、及びプレッシャープレート300に設けられる第1の案内路308の幅と同一の幅を有する構成が示されているが、ウェッジリング400は、プレッシャープレート300の各第1の傾斜面312上(第1の案内路308上)を周方向へ移動することができる限りにおいて、任意の半径及び幅を有することができる。
ウェッジリング400は、その上面(ダイヤフラムスプリングに対向する面)404において、ダイヤフラムスプリング900の各板バネ902からの押圧を受ける。
ウェッジリング400は、図3に示すように、プレッシャープレート300に形成された各第1の傾斜面312に対応する位置に、各第1の傾斜面312に係合する第2の傾斜面402を有する。よって、プレッシャープレート300が、例えば、相互に等間隔に配置された3つの第1の傾斜面312を有する場合には、ウェッジリング400もまた、相互に等間隔に配置された3つの第2の傾斜面402を有する。
次に、図5A〜図5Gを参照して、本発明のウェッジリング400について、さらに詳しく説明する。
各第2の傾斜面402は、周方向(図3においては紙面右方向)に進行するにつれて、ウェッジリング400(例えば上面404)とプレッシャープレート300の面302との間の距離を増加させていく形状を有する。各第2の傾斜面402は、プレッシャープレート300に形成された第1の傾斜面312のうち対応する第1の傾斜面312に係合する。これにより、ウェッジリング400は、周方向(図3においては紙面右方向)へ移動すると、図5C及び図5Dに示すように、各第2の傾斜面402が対応する第1の傾斜面312に沿って周方向(図5Cの状態から見て、図5Dにおいては紙面右方向)へ移動することによって、ウェッジリング400(例えば上面404)とプレッシャープレート300の面302との間の距離を増加させることができる。さらに、周方向への移動が進むと、最終的には図5Gに示すように、各第2の傾斜面402が対応する第1の傾斜面312に一切当接しない状態となる(第2の傾斜面402が対応する第1の傾斜面312から離脱する)。これにより、ウェッジリング400(例えば上面404)とプレッシャープレート300の面302との間の距離を急激に接近(又は当接)させることができる。
さらに、ウェッジリング400は、第2の傾斜面402の頂端部402aを一端として、頂端部402aから上面404(傾斜面402に対向する面)に向かって(ダイヤフラムスプリング900に向かって)延びる第2の戻り面406を有する。第2の戻り面406は、第2の傾斜面402と一体的に設けられるため、ウェッジリング400が相互に等間隔に配置された3つの第2の傾斜面402を有する場合には、相互に等間隔に配置された3つの第2の戻り面406を有することとなる。
図3に示すように、各第2の戻り面406は、第2の傾斜面402と一体的に周方向(図3及び図5A〜図5Gにおいては紙面右方向)へ移動する。よって、周方向への移動が進むと、最終的には図5Gに示すように、各第2の戻り面406もまた、対応する第1の傾斜面312から離脱し、各第2の戻り面406は、プレッシャープレート300に設けられた対応する第1の戻り面314と対向する。なお、第2の戻り面406は切欠き部408の一端(一面)を形成している。
さらに、図3に示すように、ウェッジリング400は、第2の戻り面406を一端(一面)として周方向に延び、突起部408aを他端(他面)とする切欠き部408を有する。切欠き部408はセンサーリング500の第1の延在部508を径方向外側から径方向内側へ、又は径方向内側から径方向外側へ挿通させるために形成されている。さらに、切欠き部408はセンサーリング500の周方向(図3においては紙面右方向)への移動を許容するクリアランスの役割も兼ねている。センサーリング500の移動については後述する。なお、図3において、切欠き部408は、ウェッジリング400の下面側(ウェッジリング400とプレッシャープレート300の面302との間)に設けられているが、センサーリング500の延在部508を径方向外側から径方向内側、又は径方向内側から径方向外側へ挿通させ、且つ、センサーリング500の周方向への移動を許容するクリアランス機能を有する限りにおいて、切欠き部408は、ウェッジリング400の上面404に設けられていてもよい。
なお、プレッシャープレート300に形成された収容溝306に収容された第1の弾性部材10(図1参照)の一端は、第2の戻り面406又は突起部408aに掛合されている。これにより、ウェッジリング400は、第1の弾性部材10によって、周方向へ付勢される。
1−7−1.センサーリング500(本発明の一実施形態)
センサーリング500は、図1及び図2に示すように、全体として円弧状(例えば半径r)の形状を有し、例えば、鉄、アルミニウム合金、チタン合金等の金属により形成される。図2に示すように、センサーリング500の少なくとも一部は、プレッシャープレート300に形成された第2の案内路304に収容される。センサーリング500は、第2の案内路304に沿って周方向に延びる。
センサーリング500は、図2及び図3に示すように、第2の案内路304に当接し周方向に延びる下面502、下面502に対向する第3の傾斜面504、第3の傾斜面504の一端を始点に径方向へ延在する第1の延在部508、第3の傾斜面504の他端には軸方向(図3においては紙面上方向)に延在する係止部510、をそれぞれ有する。
センサーリング500の全長(周方向の長さ)は、第3の傾斜面504の周方向の長さよって適宜設定される。第3の傾斜面504の周方向の長さは、第3の傾斜面504の傾斜角度、摩擦材204の厚み、摩擦材204の使用限度、プレッシャープレート300の半径、ウェッジリング400の半径、ウェッジリング400に設けられた切欠き部408の周方向の長さ、センサーリング500がプレッシャープレート300に形成された凸部310の径方向外側又は内側のどちらに配置されるか、等によって適宜設定される。
図7に示すように、センサーリング500における下面502には、第2の案内路304に施された第1の溝面に咬合可能な第2の溝面502aが設けられる。第2の溝面502aは、径方向に延びる略V字状の複数の溝が一定区間周方向に連続的に設けられたギザギザ状の面となっているため、第2の溝面502aが第1の溝面と対向するときは、両方の溝面が咬合うように形成されている。第2の溝面502aが第1の溝面と咬合っている場合において、センサーリング500は、摩擦材204において所定の摩耗量が発生するごとに段階的に移動する。ここにいう段階的な移動とは、摩擦材204において所定の摩耗量が発生すると、第2の溝面502aにおける各溝に咬合していた第1の溝面の各溝が、一つ周方向隣の溝へ移動する(対応する溝が1つ周方向隣にずれる)ことをいう。第2の溝面502aを含むセンサーリング500の周方向への移動遷移の詳細については後述する。
第2の溝面502aの各溝の深さは、センサーリング500をどの程度の摩擦材204の摩耗量毎に移動させるか、に基づいて適宜決定することができる。例えば、摩擦材204の摩耗量0.1mmごとにセンサーリングを周方向へ移動させることを想定すれば、第2の溝面の各溝の深さを略0.1mm(厳密には0.1mmをわずかに下回る値)とすればよい。これにより、摩擦材204の摩耗量0.1mmおきに(0.1mmに達した際に第1段階目の移動、0.2mmに達した際に第2段階目の移動)、センサーリング500が前記周方向へ段階的に移動することができる。
第2の溝面502aは、第3の傾斜面504に対向する面にのみ形成されていることが好ましい。第2の溝面502aは、センサーリング500の周方向への段階的な移動を案内するために設けられるものである。したがって、同じくセンサーリング500の周方向への段階的な移動を案内する第3の傾斜面504に対向する面にのみ、第2の溝面502aが設けられれば十分である。
図3に示すように、第3の傾斜面504は、周方向(図3においては紙面左方向)に進行するにつれて、下面502からの距離を増加させていく形状を有する。第3の傾斜面504は、その一部においてリーフスプリング600における第2の延在部606と当接可能となっている。第3の傾斜面504は、リーフスプリング600における第2の延在部606と当接すると、板バネであるリーフスプリング600の軸方向(図3においては紙面下方向)への付勢力によってプレッシャープレート300の方向へ押圧される。これによって、センサーリング500の周方向への移動は規制される。
他方、後述するとおり、リーフスプリング600の第2の延在部606の軸方向への移動が規制されているため、クラッチディスク200における摩擦材204の摩耗が進行すると、その摩耗量に応じて(例えば、図5B〜図5Dにかかる摩耗量T1)、第3の傾斜面504とリーフスプリング600の第2の延在部606との当接状態が解消され、その間に間隙が生じることで(例えば、図5Aの状態から図5Bの状態へと遷移する)摩耗を検知することができる。その後、センサースプリング500が周方向へ移動すると(図5Cにおいては紙面右方向)、第3の傾斜面504とリーフスプリング600の第2の延在部606が再び当接し、センサーリング500の周方向への移動が再び規制される(例えば、図5Bの状態から図5Cの状態へと遷移する)。このように、第3の傾斜面504は、センサーリング500の周方向への段階的な移動を案内するために設けられている。さらに、プレッシャープレート300に設けられた第1の溝面と第2の溝面502aとの咬合手段とも相俟って、かかるセンサーリング500の周方向への段階的な移動が実現される。ウェッジリング400の周方向への移動遷移の詳細については後述するが、センサーリング500の周方向への段階的な移動に連動して、ウェッジリング400も周方向へ段階的に移動することとなる(例えば、図5Cの状態から図5Dの状態へと遷移する)。これによって、摩擦材204の摩耗を補償する機能を保証している。
なお、摩擦材204の摩耗が更に進行し、その摩耗量が摩耗材204の使用限度(例えば、図5E〜図5Gにかかる摩耗量T2)に達するまで、センサーリング500の周方向への段階的な移動(ウェッジリング400の周方向への段階的な移動)が実現される。摩耗量が摩擦材204の使用限度(摩耗量T2)に達すると、リーフスプリング600の第2の延在部606が、センサーリング500における第3の傾斜面504の他端に設けられた係止部510に当接し、センサーリング500の周方向への移動は終了する(規制される)。これに合わせて、ウェッジリング400における第2の傾斜面402は、プレッシャープレート300における第1の傾斜面312から離脱し、ウェッジリング400における第2の戻り面406は、プレッシャープレート300に設けられた対応する第1の戻り面314と対向する位置に移動する。これにより、運転者に摩擦材の取替え時期を適時に伝達することが可能となる。
センサーリング500は、図7に示すように、第3の傾斜面504の一端を始点に径方向へ延在する第1の延在部508を有する。図1〜図3に示すように、第1の延在部508は、ウェッジリング400に設けられた切欠き部408を挿通して、ウェッジリング400の径方向外側から内側に向かって延在している。なお、プレッシャープレート300に設けられる第2の案内路304が、凸部310の径方向内側に設けられた場合においては、第1の延在部508が、ウェッジリング400に設けられた切欠き部408を挿通して、ウェッジリング400の径方向内側から外側に向かって延在していてもよい。
第1の延在部508は、ウェッジリング400に設けられた切欠き部408の周方向に延びるクリアランスの範囲内で周方向へ移動することができる。図3においては、第1の延在部508は、ウェッジリング400に設けられた突起部408aに当接しているため、一方の周方向(図3においては紙面左方向)への移動は規制され、他方の周方向(図3においては紙面右方向)への移動は許容されている(但し、上述したように、第2の延在部606が第3の傾斜面504に当接している状態では、第1の延在部508は他方の周方向に移動することはできない)。
第1の延在部508の端部は、センサーリング500を周方向へ付勢する第2の弾性部材20と掛合されている(図1参照)。なお、第2の弾性部材20の他端は、ウェッジリング400、例えば突起部408aに掛合されている。
1−7−2.センサーリング500(本発明の別の実施形態)
次に、図4、図6A〜図6G、及び図8を参照して、センサーリング500の別の実施形態について説明する。なお、上記で説明した一実施形態と共通する部分に関しての説明は省略し、一実施形態と異なる部分についてのみ、以下説明する。
図4を参照すると、センサーリング500の別の実施形態は、第3の傾斜面504の頂端部から連続して周方向に延び下面502と対向する平坦面506を有する。これは、前述した、第3の傾斜面504を用いて、センサーリング500及びウェッジリング400の周方向への段階的な移動(摩耗を補償する機能)が一定期間実行された結果、摩擦材204の摩耗量が使用限度に至ったことを、運転者に確実に伝達(摩擦材204の交換時期を伝達)するために設けられる。具体的には、平坦面506を設けることで、リーフスプリング600の第2の延在部606の軸方向への付勢力が、センサーリング500に意図的に及ばなくなるようにして、センサーリング500の周方向への移動量が大きくなる箇所を設定することができる。ここで、周方向への移動量が大きくなる、とは、前述したセンサーリング500の移動量が摩擦材の摩耗量に応じて小刻みに移動する段階的な移動とは異なり、摩擦材204の摩耗量が使用限度値を一旦超えると、センサーリング500が周方向へ大きく移動することをいう(例えば、図6Eの状態から図6Fの状態へと遷移する)。センサーリング500が周方向へ大きく移動することに対応して、ウェッジリング400も同様に周方向へ大きく移動する結果(例えば、図6Fの状態から図6Gの状態へと遷移する)、ウェッジリング400における第2の傾斜面402が第1の傾斜面312から離脱することができる。
また、図4及び図8に示すように、平坦面506は、第3の傾斜面504の頂端部から連続して周方向に延びるように設けられる。これにより、ウェッジリング400の第2の傾斜面402がプレッシャープレート300の第1の傾斜面312と係合し、且つ第2の傾斜面402と第1の傾斜面312との当接面積が限られた状態(当接面積が小さい状態、例えば図6D〜図6Fの状態)となってから、ウェッジリング400を周方向へ大きく移動させることを案内することができるため、ダイヤフラムスプリング900からの押圧力が、第2の傾斜面402と第1の傾斜面312との限られた当接面積に長期間荷重されることによる応力集中を防ぐことができ、これに伴ってウェッジリング400及びプレッシャープレート300の破損を防止することができる。
平坦面506は、リーフスプリング600の第2の延在部606からの付勢力によって押圧されることがないように(リーフスプリング600の第2の延在部606の軸方向への付勢力が、センサーリング500に意図的に及ばなくなるように)、予めその高さ(対向する下面502からの距離)が設定されている。つまり、摩擦材の摩耗量が予め設定される使用限度値を超えると、リーフスプリング600の第2の延在部606と下面502との軸方向の直線距離が、平坦面506と下面502との距離より大きくなるように設定しておけばよい。
なお、センサーリング500は、平坦面506に連続して設けられる係止部510を更に有していてもよい。センサーリング500の周方向への大きな移動は、ウェッジリング400の第2の傾斜面402をプレッシャープレート300における第1の傾斜面312から離脱させる程度に大幅に移動させることができれば十分であるから、かかる目的を達成した後においては、センサーリング500の周方向への動きを規制したほうが、センサーリング500の破損の恐れ等の観点から好ましい。係止部510は、平坦面506の端部から軸方向(図4においては紙面上方向)に延在しているため、係止部510の側面がリーフスプリング600の第2の延在部606と当接可能となっている。これにより、センサーリング500が周方向に大きく移動したとしても、最終的には係止部510がリーフスプリング600の第2の延在部606と当接すると、センサーリング500の周方向への移動が規制されることとなる。
また、図8に示すように、平坦面506を有するセンサーリング500においては、第2の溝面502aは、第3の傾斜面504に対向する下面502にのみ設けられる。平坦面506は、前述のとおり、センサーリング500の周方向への大きな移動を案内するものであって、前述の段階的な移動を案内するものではないことから、平坦面506に対向する下面502には、第2の溝面502aを設ける必要はない。
1−8.リーフスプリング600
リーフスプリング600は、全体として平板状の形状を有する板バネ(弾性変形可能な部材)であって、例えば、バネ鋼等の金属により形成される。リーフスプリング600は、図1〜図3に示すように、一端をナットやボルト等でプレッシャープレート300の面302に締結され固定される。リーフスプリング600は、面302に締結される締結部602と、締結部602から延在し面302から次第に離れる方向へ傾斜するように立上る支持部604、及び支持部604の端部から径方向に延在し、プレッシャープレート300に向かって軸方向(図3においては紙面下方向)に付勢力を有する第2の延在部606、を有する。
リーフスプリング600の締結部602は、図1及び図2に示すように、ウェッジリング400の径方向内側に配置されてもよいし、プレッシャープレート300にスペースさえあれば、ウェッジリング400の径方向外側に配置されてもよい。図3に示すように、第2の延在部606は、プレッシャープレート300の凸部310、並びにウェッジリング400の突起部408a、切欠き部408、及び第2の傾斜面402とそれぞれ干渉しないように、ウェッジリング400の下方(図3においてはウェッジリング400よりも紙面下方向)において挿通され、センサーリング500の第3の傾斜面504に当接可能に設けられる。第2の延在部606がセンサーリング500の第3の傾斜面504に当接すると、センサーリング500は第2の延在部606の軸方向への付勢力によって、プレッシャープレート300の方向へ押圧され、その周方向への移動が規制される。
第2の延在部606の端部は、図2に示すように、ストッパ700と当接し支持されているため、第2の延在部606は軸方向(図2においては紙面下方向)への移動が規制されている。したがって、摩擦材204の摩耗が進行すると、締結部602は摩耗に伴って相対的に軸方向(図2においては紙面下方向)へ移動する一方、第2の延在部606は軸方向へ移動しないため、リーフスプリング600は、締結部602及び第2の延在部606をそれぞれ支点として引き延ばされる結果として、支持部604の立上り角度が増加する(例えば、図5Aの状態から図5Bの状態へ遷移する)。これによって、第2の延在部606とセンサーリング500の第3の傾斜面504との当接関係が解消され、第2の延在部606とセンサーリング500の第3の傾斜面504との間に間隙が生じることで、摩耗を検知することができる。また、第2の延在部606のセンサーリング500に対する軸方向への付勢力も開放されるため、センサーリング500の周方向(図5Bにおいては紙面右方向)への移動が許容されることとなる。
1−9.ストッパ700
ストッパ700は、全体としての形状は問わないが、リーフスプリング600の第2の延在部606の軸方向への移動を規制するのに十分な機能を有していればよく、例えば鉄等の板状部材が用いられる。ストッパ700は、図2に示すように、一端をナットやボルト等でフライホイール100に締結され、その一端から軸方向に延び、他端はリーフスプリング600の第2の延在部606に当接している(第2の延在部606の下面に当接して第2の延在部606を下方から支持している)。これにより、ストッパ700は、摩擦材204の摩耗の進行とは無関係とすることができるため、リーフスプリング600の第2の延在部606の摩擦材204の摩耗に伴う軸方向への移動を規制することができる。
なお、ストッパ700の一端は、クラッチカバー800に締結されていてもよい。クラッチカバー800は、前述のとおり、フライホイール100に締結されていることから、ストッパ700の一端がフライホイールに締結されている場合と同様の前記目的を実現することができる。
2.クラッチ装置の動作
次に、上記構成を有するクラッチ装置1がクラッチディスク200の摩耗材204の摩耗を検出して摩耗を補償する動作、及び摩擦材204の摩耗量が使用限度値に達し、摩擦材204の交換時期である旨を運転者に伝達する動作の一連について、図5A〜図5G、及び図6A〜図6Gを参照しつつ説明する。なお、図5A〜図5Gに関しては、本発明における一実施形態を示し、図6A〜図6Gに関してはセンサーリング500において平坦面506を有する別の実施形態を示す。
まず、クラッチディスク200が新品である状態では、図3及び図5A(本発明の別の実施形態においては図4及び図6A)に示すように、リーフスプリング600の第2の延在部606がセンサーリング500の第3の傾斜面504に当接しているため、リーフスプリング600の軸方向への付勢力によって、センサーリング500はプレッシャープレート300の方向へ押圧され、その周方向への移動が規制されている。また、センサーリング500の第1の延在部508はウェッジリング400の突起部408aと当接した状態(初期状態)に配置される。更に、以下に述べるステップ1〜3、ステップ5、及びステップ6においては、クラッチが接続されているため(クラッチON)、ウェッジリング400は、ダイヤフラムスプリング900により非常に大きな力で押圧されていることにより、プレッシャープレート300に対して移動(回動)することはできない(但し、プレッシャープレート300と一体となって回動することはできる)。また、ウェッジリング400の突起部408aがセンサーリング500の第1の延在部508と当接しているため、仮にクラッチが切断されたとしても(クラッチOFF)、第1の延在部508がウェッジリング400の移動(回動)を規制しているため、ウェッジリング400は、プレッシャープレート300に対して移動(回動)することはできない(但し、プレッシャープレート300と一体となって回動することはできる)。
2−1.ステップ1(第1段階の摩耗の発生)
次に、クラッチ装置1を使用することによって、ステップ1において、クラッチディスク200の摩擦材204に摩耗が発生して、その摩耗量が所定値T1(mm)に達したものとする。この場合、図5B(本発明の別の実施形態においては図6B)を参照すると、摩擦材204の摩耗量T1分だけ、プレッシャープレート300がフライホイール100(図5A〜図5G、及び図6A〜図6Gにおいては図示せず)に近づくように軸方向へ移動する(図5B及び図6Bにおいては紙面下方向に下がる)。これに対応して、プレッシャープレート300に設けられた凸部310に載置されるウェッジリング400、プレッシャープレート300に設けられた第2の案内路304に収容されるセンサーリング500、及びプレッシャープレート300に一端が固定されたリーフスプリング600の締結部602も、それぞれフライホイール100に近づくように軸方向へ移動する。しかしながら、リーフスプリング600の第2の延在部606は、摩耗量とは無関係のストッパ700に支持されているため、軸方向へ移動することはない。これにより、センサーリング500の第3の傾斜面504とリーフスプリング600の第2の延在部606との間に間隙が発生することで摩耗を検知し、リーフスプリング600の軸方向への付勢力がセンサーリング500に及ばなくなる。したがって、センサーリング500の周方向への移動(図5B及び図6Bにおいては紙面右方向)が許容される。
2−2.ステップ2(センサーリング500の周方向への移動)
ステップ1によって、センサーリング500の周方向への移動が許容されると、センサーリング500は、第2の弾性部材(図5A〜図5G、及び図6A〜図6Gにおいては図示せず)の付勢力によって、周方向へ移動する(図5C、及び図6Cにおいては紙面右方向)。ただし、図5C及び図6Cに示すように、センサーリング500が周方向へ所定距離移動すると、センサーリング500の第3の傾斜面504とリーフスプリング600の第2の延在部606が再び当接する。これにより、センサーリング500は、リーフスプリング600の軸方向への付勢力によって再び(周方向への)移動が規制される。それと同時に、センサーリング500が周方向へ所定距離移動したことによって、センサーリング500の第1の延在部508とウェッジリング400の突起部408aとの間に間隙が発生する。これによって、ウェッジリング400のプレッシャープレート300に対する周方向への移動(図5C及び図6Cにおいては紙面右方向)がクラッチOFFになることを条件に許容される。
2−3.ステップ3(ウェッジリング400の周方向への移動)
ステップ2の後、クラッチOFFとなった際に、ダイヤフラムスプリング900による押圧が解除されることによって、ウェッジリング400はプレッシャープレート300に対して周方向へ移動する。なお、このウェッジリング400の周方向への移動は、突起部408aがセンサーリング500の第1の延在部508と当接することによって終了する。ここで、プレッシャープレート300に対してウェッジリング400が周方向(図5D及び図6Dにおいては紙面右方向)へ移動すると、図5D及び図6Dに示すように、ウェッジリング400はプレッシャープレート300の面302からの距離を増加させることができる。つまり、ウェッジリング400の第2の傾斜面402がプレッシャープレート300の第1の傾斜面312に沿って移動することによって、ウェッジリング400は周方向への移動だけでなく、軸方向への移動も同時に遂行されることとなる。この結果、ウェッジリング400の上面404の軸方向の位置は、ステップ1の初期状態に回復されることにより、摩擦材204の摩耗量(例えば、摩耗量T1)を随時補償(例えば、T1を補償)することができる。以後、摩耗量が所定値T1に達するごと(例えば、T1が0.1mmだった場合、摩耗量が0.1mm(T1)、0.2mm(T1×2)、0.3mm(T1×3)、・・・と達するごと)に、ステップ1〜ステップ3が繰り返されることによって、クラッチ装置1は摩擦材の摩耗を補償する機能を発揮している。
なお、ステップ1〜ステップ3が繰り返されることから、ウェッジリング400の周方向並びに軸方向への移動及びセンサーリング500の周方向への移動は、所定の摩耗量T1に達するごとに発生する段階的なものとなる。また、前述のとおり、摩耗量T1が発生するごとに当該T1を補償できるように、プレッシャープレート300の第1の傾斜面312の傾斜角度、ウェッジリング400の第2の傾斜面402の傾斜角度、及びセンサーリング500の第3の傾斜面504の傾斜角度は、予め所定の角度に設計される。
2−4.ステップ4(摩擦材の使用限度に至る摩耗の発生)
次に、更にクラッチ装置1を使用することによって、クラッチディスク200の摩擦材204に摩耗が更に進行して、その摩耗量が摩擦材の使用限度である所定値T2(mm)に達したものとする。この場合、図5E及び図6Eを参照すると、ステップ3の状態から比較して、摩擦材204の摩耗量T2−n×T1分(nは自然数)だけ、プレッシャープレート300がフライホイール100に近づくように軸方向へ移動する。これに対応して、ステップ1の場合と同様の各部材の軸方向への移動が発生することにより、再びセンサーリング500の第3の傾斜面504とリーフスプリング600の第2の延在部606との間に間隙が発生することによって、リーフスプリング600の軸方向への付勢力がセンサーリング500に及ばなくなる。したがって、センサーリング500の周方向への移動(図5E及び図6Eにおいては紙面右方向)が許容される。そして、本発明の一実施形態においては、ステップ2と同様に、センサーリング500が周方向へ所定距離移動すると、図5Fに示すように、センサーリング500の第3の傾斜面504とリーフスプリング600の第2の延在部606が再び当接する。他方、センサーリング500が周方向へ所定距離移動したことによって、センサーリング500の第1の延在部508とウェッジリング400の突起部408aとの間に再び間隙が発生し、ウェッジリング400のプレッシャープレート300に対する周方向への移動(図5Fにおいては紙面右方向)がクラッチOFFになることを条件に許容される。
2−5.ステップ5(センサーリング500の周方向への(大きな)移動)
まず、本発明の一実施形態においては、ステップ4によって、センサーリング500の周方向への移動が許容されると、図5Fに示すように、センサーリング500は、ステップ2と同様に、第2の弾性部材20の付勢力によって、周方向へ移動する(図5Fにおいては紙面右方向)。このセンサーリング500の周方向への移動により、センサーリング500の第1の延在部508とウェッジリング400の突起部408aとの間に再び間隙が発生する。ウェッジリング400のプレッシャープレート300に対する周方向への移動(図6Fにおいては紙面右方向)もクラッチOFFになることを条件に許容される。
他方、センサーリング500における別の実施形態(平坦面506を有する場合)においては、ステップ4によって、センサーリング500の周方向への移動が許容されると、図6Fに示すように、センサーリング500は、ステップ2と同様に第2の弾性部材20の付勢力によって、周方向へ移動する(図6Fにおいては紙面右方向)。ただし、ステップ2とは異なり、図6Fに示すように、センサーリング500が周方向へ所定距離移動しても、センサーリング500の第3の傾斜面504とリーフスプリング600の第2の延在部606は再び当接することはない。したがって、センサーリング500は、センサーリング500に設けられた係止部510が第2の延在部606と当接するまで、つまり平坦面506の周方向の長さ分だけ大きく移動する。これは、既に摩耗量T2が摩擦材204の使用限度に至っているため、摩耗補償の機能を終了し、摩擦材204が使用限度に至った旨を運転者に伝達する機能へと移行したことを意味する。このセンサーリング500の周方向への大きな移動により、センサーリング500の第1の延在部508とウェッジリング400の突起部408aとの間に大きな間隙が発生する。ウェッジリング400のプレッシャープレート300に対する周方向への大きな移動(図6Fにおいては紙面右方向)もクラッチOFFになることを条件に許容される。
2−6.ステップ6(ウェッジリングの周方向への(大きな)移動)
まず、本発明の一実施形態においては、ステップ5の後、クラッチOFFとなった際に、ダイヤフラムスプリング900による押圧が解除されることによって、ウェッジリング400はプレッシャープレート300に対して周方向へ移動し、最終的には図5Gに示すように、ウェッジリング400の第2の傾斜面402がプレッシャープレート300の第1の傾斜面312から離脱する。同時に、ウェッジリング400の第2の戻り面406は、プレッシャープレート300の第1の戻り面314に対向する位置まで移動する。この結果、ウェッジリング400における摩擦材の摩耗を補償する機能が急激に解除されるだけでなく、ウェッジリング400の上面404の軸方向における位置が急激に変化する(フライホイール側に近づく方向に移動する)。したがって、ダイヤフラムスプリング900がウェッジリング400(プレッシャープレート300)に対して成す傾斜角度が大きくなる(傾斜姿勢が変化する)。したがって、図9に示すように、運転者がクラッチを切断すべく(プレッシャープレートからダイヤフラムスプリングを離すべく)クラッチペダルを踏む際に必要な踏力が急激に増加する。これによって、運転者はこのクラッチペダルの踏力の急激な増加をもって、摩擦材204が使用限度に至っていることを速やかに認識することができる。
他方、センサーリング500における別の実施形態(平坦面506を有する場合)においては、ステップ5の後、クラッチOFFとなった際に、ダイヤフラムスプリング900による押圧が解除されることによって、ウェッジリング400はプレッシャープレート300に対して周方向へ大きく移動する。ここで、プレッシャープレート300に対してウェッジリング400が周方向へ大きく移動すると、図6Gに示すように、ウェッジリング400の第2の傾斜面402がプレッシャープレート300の第1の傾斜面312から最終的に離脱する。この結果、ウェッジリング400における摩擦材の摩耗を補償する機能が急激に解除されるだけでなく、ウェッジリング400の上面404の軸方向における位置が急激に変化する(フライホイール側に近づく方向に移動する)。したがって、ダイヤフラムスプリング900がウェッジリング400(プレッシャープレート300)に対して成す傾斜角度が大きくなる(傾斜姿勢が変化する)。したがって、図6に示すように、運転者がクラッチを切断すべく(プレッシャープレートからダイヤフラムスプリングを離すべく)クラッチペダルを踏む際に必要な踏力が急激に増加する。これによって、運転者はこのクラッチペダルの踏力の急激な増加をもって、摩擦材204が使用限度に至っていることを速やかに認識することができる。
以上、本発明の実施形態を例示したが、上記実施形態はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数等は適宜変更して実施することができる。クラッチ装置の各部の配置や構成等は、上記実施形態には限定されない。
1 クラッチ装置
10 第1の弾性部材
20 第2の弾性部材
100 フライホイール
200 クラッチディスク
202 クラッチプレート
204、204a、204b 摩擦材
300 板部材(プレッシャープレート)
304 第2の案内路
306 収容溝
308 第1の案内路
310 凸部
312 第1の傾斜面
314 第1の戻り面
400 円環状部材(ウェッジリング)
402 第2の傾斜面
404 ウェッジリングの上面
406 第2の戻り面
408 切欠き部
408a 突起部
500 移動部材(センサーリング)
502 センサーリングの下面
502a 第2の溝面
504 第3の傾斜面
506 平坦面
508 第1の延在部
600 第1の規制部材(リーフスプリング)
606 第2の延在部
700 第2の規制部材(ストッパ)
800 クラッチカバー
900 押圧部材(ダイヤフラムスプリング)

Claims (9)

  1. エンジンの駆動力を、摩擦材を介して変速機に伝達するクラッチ装置であって、
    前記クラッチ装置の周方向に延びる第1の傾斜面と、該第1の傾斜面の頂端部を一端とし前記第1の傾斜面に対向する面の方向へ延びる第1の戻り面とを含む円環状の第1の案内路、及び、該第1の案内路の前記クラッチ装置の径方向外側又は内側に設けられる第2の案内路、を有する板部材と、
    弾性力を用いて前記板部材を押圧する押圧部材と、
    前記第1の傾斜面に対して係脱可能な第2の傾斜面、該第2の傾斜面の頂端部を一端とし前記第2の傾斜面に対向する面の方向へ延びる第2の戻り面、及び、前記周方向に延びる切欠き部を有し、前記第1の案内路において前記板部材と前記押圧部材との間に配置され、前記摩擦材の摩耗量に応じて、前記周方向への付勢力によって移動する円環状部材と、
    前記切欠き部を通過して前記径方向に延びる第1の延在部、及び前記周方向に延びる第3の傾斜面を有し、前記第2の案内路に配置され、前記摩擦材の摩耗量に応じて、前記円環状部材が付勢される方向と同じ前記周方向への付勢力によって移動する移動部材と、
    前記径方向に延び前記第3の傾斜面に当接して前記移動部材の移動を規制する第2の延在部を有し、一端が前記板部材に固定される弾性変形可能な第1の規制部材と、
    前記第2の延在部に当接し、該第2の延在部の前記クラッチ装置の軸方向への移動を規制する第2の規制部材と、
    を具備することを特徴とするクラッチ装置。
  2. 前記移動部材は、前記第3の傾斜面の頂端部から連続して前記周方向に延びる平坦面を更に有する、請求項1に記載のクラッチ装置。
  3. 前記第1の案内路は、前記第1の傾斜面をそれぞれ等間隔に複数有し、
    前記円環状部材は、前記第2の傾斜面をそれぞれ等間隔に前記第1の傾斜面の数と同数有する、
    請求項1又は2に記載のクラッチ装置。
  4. 前記円環状部材は、一端が前記板部材に固定される第1の弾性部材によって付勢される、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のクラッチ装置。
  5. 前記移動部材は、一端が前記円環状部材に連結される第2の弾性部材によって付勢される、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のクラッチ装置。
  6. 前記第2の案内路の表面の一部には、前記径方向に延びる略V字状の複数の溝が前記周方向に渡って連続的に配置される第1の溝面が設けられ、
    前記移動部材の前記第2の案内路と当接する面の少なくとも一部には、前記径方向に延びる略V字状の複数の溝が前記周方向に渡って連続的に配置され前記第1の溝面に咬合する第2の溝面が設けられる、
    請求項1乃至5のいずれか一項に記載のクラッチ装置。
  7. 前記第2の溝面は、前記第3の傾斜面に対向する面にのみ設けられる、請求項6に記載のクラッチ装置。
  8. 前記第2の規制部材の一端は、フライホイール又はクラッチカバーに固定される、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のクラッチ装置。
  9. 前記摩擦材の摩耗量が前記摩擦材の使用限度に至る前においては、前記第2の傾斜面は前記第1の傾斜面に係合し、前記円環状部材は、前記摩擦材の摩耗量に応じて前記周方向へ移動し、
    前記摩擦材の摩耗量が前記摩擦材の使用限度に達した後においては、前記第2の傾斜面は前記第1の傾斜面から離脱し、前記円環状部材は、前記第2の戻り面が前記第1の戻り面に対向する位置まで前記周方向へ移動する、
    請求項1乃至8のいずれか一項に記載のクラッチ装置。
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