JP2018127525A - インク、収容容器及び記録装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】保存安定性、吐出安定性が良好であり、普通紙であっても高い画像濃度が得られ、画像光沢性の良好なインクを提供する。【解決手段】顔料、共重合体、及び樹脂粒子を含有するインクであって、前記顔料を、前記インクに対して7.0質量%以上12質量%以下含有し、インク中の樹脂量Aの含有率が、前記インクに対して0.5質量%以上4.0質量%以下であり、前記インクを用いて形成したベタ画像の60度光沢度が、25%以上であることを特徴とするインク。【選択図】図1

Description

本発明は、インク、収容容器及び記録装置に関する。
インクジェット記録方式は、他の記録方式に比べてプロセスが簡単で、かつフルカラー化が容易であることから普及し、パーソナルからオフィス用途、商業印刷や工業印刷の分野へと広がりつつある。色材として水溶性染料を用いた水系インク組成物が主に使用されているが、耐水性及び耐光性に劣るという欠点があるため、水溶性染料に代わる水不溶性の顔料を用いた顔料インクの開発が進められている。
オフィス用途のインクジェット印刷では、記録媒体として主に普通紙が使用され、高い画像濃度が要求されている。
特許文献1では、液体ビフィクル、着色剤、及び特定のカルシウム指数値を有する少なくとも1つの官能基を有するポリマーを含有するインクジェットインクが提案されている。
特許文献2には、紙にCa塩を含む受理液を付着させ、リン含有基が結合した顔料、樹脂エマルジョン、及び界面活性剤を含むインクを印字するインクジェット記録方法が提案されている。
特許文献3では、50〜200nmの平均粒子径と50℃以上の最低造膜温度とを有する水不溶性(メタ)アクリル樹脂及び/又はスチレン−(メタ)アクリル酸共重合体のO/W型エマルジョン、尿素又はその誘導体、水、顔料、水性樹脂、及びリン酸エステル界面活性剤からなる水性顔料インクが提案されている。
また、上記のインクジェット記録方式や筆記具に使用する水性顔料インクは、染料を水に溶解して調製する水性染料インクと異なり、水に溶解しない顔料を水中に長期間安定的に分散させる必要があるため、種々の顔料分散剤が開発されている。例えば、特許文献4では、側鎖に芳香環を含むグラフトポリマーが提案されている。
しかしながら、上記従来技術は保存安定性、吐出安定性が良好であり、高い画像濃度が得られ、画像光沢性の良好なインクを提供することはできていない。
本発明は、上記従来技術の現状に鑑みてなされたものであり、保存安定性、吐出安定性が良好であり、高い画像濃度が得られ、画像光沢性の良好なインクを提供することを目的とする。
上記課題は、次の構成(1)によって解決される。
(1)顔料、共重合体、及び樹脂粒子を含有するインクであって、
前記顔料を、前記インクに対して7.0質量%以上12質量%以下含有し、
インク中の樹脂量Aの含有率が、前記インクに対して0.5質量%以上4.0質量%以下であり、
前記インクを用いて形成したベタ画像の60度光沢度が、25%以上であることを特徴とするインク。
本発明によれば、保存安定性、吐出安定性が良好であり、高い画像濃度が得られ、画像光沢性の良好なインクを提供することができる。
本発明のインク収容容器の一例を示す図である。 図1のインク収容容器例のケース(に外装)も含めた説明図である。 実施例1で得られた共重合体CP−1のIRスペクトルを示すチャートである。 実施例5で得られた共重合体CP−5のIRスペクトルを示すチャートである。 実施例7で得られた共重合体CP−7のIRスペクトルを示すチャートである。 記録装置の斜視説明図である。 メインタンクの斜視説明図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のインクは、顔料、共重合体、及び樹脂粒子を含有し、前記顔料を、前記インクに対して7.0質量%以上12質量%以下含有し、下記で説明するインク中の樹脂量Aの含有率が、前記インクに対して0.5質量%以上4.0質量%以下であり、前記インクを用いて形成したベタ画像の60度光沢度が、25%以上であることを特徴とする。
本発明のインクは顔料量を多くすることで高い画像濃度を得られる。顔料量を多くすると顔料を分散させるための共重合体を多く必要とするが、一般に顔料分散機能を有する共重合体の顔料への吸着量は高いとは言えない。つまり、顔料の含有量を多くすると顔料を分散させるための共重合体も多く含有させる必要があり、それに伴って顔料に吸着しない遊離した共重合体の存在量も多くなる。
一方、本発明で規定する60度光沢度を実現しようとすると一定量以上の樹脂粒子の含有を必要とするが、このような場合は顔料に吸着していない共重合体および樹脂粒子が多くなりインクの保存安定性や吐出安定性へ悪影響を及ぼす。
そこで本発明では、特に顔料への吸着量が高い共重合体を用いることで高い画像濃度と同時にインクへの悪影響の解決を図った。
更に共重合体の顔料への吸着量を高くすることで共重合体自体に基づく光沢度向上の効果も得られ、単に樹脂粒子のみを用いる以上の光沢度向上という相乗効果が得られる。
また、記録メディアとして普通紙を用いた場合において、本発明のインクは特に高い効果を奏する。
本発明で使用される共重合体(以下、本発明の共重合体と言うことがある)は、下記一般式(1)及び(2)で表される構造単位を有することが好ましい。
Figure 2018127525
一般式(1)において、R1は水素原子又はメチル基であり、Xは水素原子又は陽イオンであり、陽イオンの場合、陽イオンに隣接する酸素はOとして存在する。陽イオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラプロピルアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオン、テトラペンチルアンモニウムイオン、テトラヘキシルアンモニウムイオン、トリエチルメチルアンモニウムイオン、トリブチルメチルアンモニウムイオン、トリオクチルメチルアンモニウムイオン、2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムイオン、トリス(2−ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムイオン、プロピルトリメチルアンモニウムイオン、ヘキシルトリメチルアンモニウムイオン、オクチルトリメチルアンモニウムイオン、ノニルトリメチルアンモニウムイオン、デシルトリメチルアンモニウムイオン、ドデシルトリメチルアンモニウムイオン、テトラデシルトリメチルアンモニウムイオン、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムイオン、オクタデシルトリメチルアンモニウムイオンジドデシルジメチルアンモニウムイオン、ジテトラデシルジメチルアンモニウムイオン、ジヘキサデシルジメチルアンモニウムイオン、ジオクタデシルジメチルアンモニウムイオン、エチルヘキサデシルジメチルアンモニウムイオン、アンモニウムイオン、ジメチルアンモニウムイオン、トリメチルアンモニウムイオン、モノエチルアンモニウムイオン、ジエチルアンモニウムイオン、トリエチルアンモニウムイオン、モノエタノールアンモニウムイオン、ジエタノールアンモニウムイオン、トリエタノールアンモニウムイオン、メチルエタノールアンモニウムイオン、メチルジエタノールアンモニウムイオン、ジメチルエタノールアンモニウムイオン、モノプロパノールアンモニウムイオン、ジプロパノールアンモニウムイオン、トリプロパノールアンモニウムイオン、イソプロパノールアンモニウムイオン、モルホリニウムイオン、N−メチルモルホリニウムイオン、N−メチル−2−ピロリドニウムイオン、2−ピロリドニウムイオンなどが挙げられる。
一般式(2)において、R2は水素原子又はメチル基であり、Lは炭素数が2〜18のアルキレン基であり、好ましくは炭素数が2〜16のアルキレン基、より好ましくは炭素数が2〜12のアルキレン基である。Lを介して末端に存在するナフチル基は、水性インク(以下、インクということもある)中の色材である顔料とのπ−πスタッキングにより、優れた顔料吸着力を有するため、印刷時に記録媒体上で顔料と接触させることにより、記録媒体表面で顔料が速やかに凝集し、ビーディング(まだら)を防止することができる。
上記一般式(1)及び(2)の記載から理解されるように、該一般式(1)及び(2)で表される構造単位は、典型的にはLを介して垂下する末端ナフチル基や側鎖カルボキシル基のようなペンダント基を有する共重合体の主鎖であってよい。しかし、当然、一部が側鎖に含まれる場合を除外するものではない。
例えば、分枝構造を生成する副次的ラジカル重合反応を完全に排除するのが困難であることはよく知られている事実である。
また、顔料を水に分散した顔料分散体を調製する際に、本発明の共重合体を用いると、共重合体の側鎖の末端にナフチル基が存在するため、顔料表面に吸着し易く、顔料との吸着力が高いため、分散性の高い長期間安定な分散体が得られる。
本発明の共重合体を構成する一般式(1)と一般式(2)で表される繰り返し単位のモル比は、顔料を吸着する能力の点から、一般式(1):(2)=0.1:1〜10:1、好ましくは0.3:1〜5:1、より好ましくは0.5:1〜3:1、特に好ましくは1:1〜3:1である。一般式(1)と一般式(2)で表される構造単位の比を質量で示すと、37〜98質量%、好ましくは54〜95質量%、より好ましくは66〜92質量%である。
なお、一般式(1)と一般式(2)で表される構造単位において、*は他の構造単位への結合部位を表す。
本発明の共重合体の数平均分子量、及び重量平均分子量は、それぞれポリスチレン換算で、500〜10000、及び1500〜30000が好ましい。
本発明の共重合体は、前記一般式(1)及び(2)で表される構造単位以外に、その他の重合性モノマーからなる繰り返し単位を有することができる。
前記その他の重合性モノマーとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、重合性の疎水性モノマー、重合性の親水性モノマー、重合性界面活性剤などが挙げられる。
前記重合性の疎水性モノマーとしては、例えば、α−メチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、4−クロロメチルスチレン等の芳香族環を有する不飽和エチレンモノマー;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、マレイン酸ジメチル、イタコン酸ジメチル、フマル酸ジメチル、(メタ)アクリル酸ラウリル(C12)、(メタ)アクリル酸トリデシル(C13)、(メタ)アクリル酸テトラデシル(C14)、(メタ)アクリル酸ペンタデシル(C15)、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル(C16)、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル(C17)、(メタ)アクリル酸ノナデシル(C19)、(メタ)アクリル酸エイコシル(C20)、(メタ)アクリル酸ヘンイコシル(C21)、(メタ)アクリル酸ドコシル(C22)等の(メタ)アクリル酸アルキル;1−ヘプテン、3,3−ジメチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ヘキセン、4−メチル−1−ヘキセン、5−メチル−1−ヘキセン、1−オクテン、3,3−ジメチル−1−ヘキセン、3,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、1−ノネン、3,5,5−トリメチル−1−ヘキセン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、1−ドコセン等のアルキル基を持つ不飽和エチレンモノマー、などが挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記重合性の親水性モノマーとしては、例えば、マレイン酸又はその塩、マレイン酸モノメチル、イタコン酸、イタコン酸モノメチル、フマル酸、4−スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、或いはリン酸、ホスホン酸、アレンドロン酸又はエチドロン酸を含有した不飽和エチレンモノマー等のアニオン性不飽和エチレンモノマー;(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N−オクチルアクリルアミド、N−t−オクチルアクリルアミド等の非イオン性不飽和エチレンモノマーなどが挙げられる。
前記重合性の疎水性モノマーと重合性の親水性モノマーは、1種又は2種以上を混合し、前記一般式(1)及び一般式(2)で表される構造単位を形成するモノマーの合計量に対して、5〜100質量%使用すればよい。
前記重合性界面活性剤は、ラジカル重合可能な不飽和二重結合性基を分子内に少なくとも1つ以上有するアニオン性又は非イオン性の界面活性剤である。
前記アニオン性界面活性剤としては、硫酸アンモニウム塩基(−SO NH )などの硫酸塩基とアリル基(−CH−CH=CH)とを有する炭化水素化合物、硫酸アンモニウム塩基(−SO NH )などの硫酸塩基とメタクリル基〔−CO−C(CH)=CH〕とを有する炭化水素化合物、又は硫酸アンモニウム塩基(−SO NH )などの硫酸塩基と1−プロペニル基(−CH=CHCH)とを有する芳香族炭化水素化合物が挙げられる。その具体例としては、三洋化成社製のエレミノールJS−20、及びRS−300、第一工業製薬社製のアクアロンKH−10、アクアロンKH−1025、アクアロンKH−05、アクアロンHS−10、アクアロンHS−1025、アクアロンBC−0515、アクアロンBC−10、アクアロンBC−1025、アクアロンBC−20、及びアクアロンBC−2020などが挙げられる。
前記非イオン性界面活性剤としては、1−プロペニル基(−CH=CHCH)とポリオキシエチレン基〔−(CO)n−H〕とを有する炭化水素化合物又は芳香族炭化水素化合物が挙げられる。その具体例としては、第一工業製薬社製のアクアロンRN−20、アクアロンRN−2025、アクアロンRN−30、及びアクアロンRN−50、花王社製のラテムルPD−104、ラテムルPD−420、ラテムルPD−430、及びラテムルPD−450などが挙げられる。
前記重合性界面活性剤は、1種又は2種以上を混合し前記一般式(1)及び一般式(2)で表される構造単位を形成するモノマーに対して、0.1〜10質量%使用すればよい。
本発明の共重合体は、下記反応式(1)〜(3)に示すように、まず、ナフタレンカルボニルクロリド(A−1)と過剰量のジオール化合物を、アミン又はピリジンなどの酸受容剤の存在下で縮合反応させて、ナフタレンカルボン酸ヒドロキシアルキルエステル(A−2)を得る。次いで、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(A−3)と前記(A−2)とを反応さて、モノマー(A−4)を得た後、ラジカル重合開始剤の存在下で(メタ)アクリル酸モノマー(A−5)と共重合させれば、本発明の共重合体(A−6)が得られる。ここで、モノマー(A−4)の重量平均分子量は、一般式(2)のLが炭素数2〜18のアルキレン基、及びR2が水素原子かメチル基であることから、357〜596である。
Figure 2018127525
前記ラジカル重合開始剤としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。その例としては、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、パーオキシエステル、シアノ系のアゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、アゾビス(2,2’−イソバレロニトリル)、非シアノ系のジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、などが挙げられる。これらの中でも、分子量の制御がしやすく分解温度が低い点から、有機過酸化物、アゾ系化合物が好ましく、アゾ系化合物が特に好ましい。
前記ラジカル重合開始剤の含有量は特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、重合性モノマーの総量に対して、1〜10質量%が好ましい。
本発明の共重合体の分子量を調整するために、連鎖移動剤を適量添加してもよい。
前記連鎖移動剤の例としては、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、2−プロパンチオール、2−メルカプトエタノール、チオフェノール、ドデシルメルカプタン、1−ドデカンチオール、チオグリセロール、などが挙げられる。
重合温度は特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、50℃〜150℃が好ましく、60℃〜100℃がより好ましい。重合時間も特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3〜48時間が好ましい。
本発明の共重合体のインクにおける含有量は、本発明の効果が高まるという観点から、1.0〜3.5質量%が好ましく、1.5〜3.0質量%がより好ましい。
本発明で使用される顔料としてはカーボンブラックを用いることが特に好ましく、例えば、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを用いることができる。
黒色用の顔料としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)等の金属類、酸化チタン等の金属酸化物類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料が挙げられる。
前記カーボンブラックとしては、ファーネス法、チャネル法で製造されたカーボンブラックで、一次粒径が15〜40nm、BET法による比表面積が50〜300m/g、DBP吸油量が40〜150mL/100g、揮発分が0.5〜10%、pHが2〜9を有するものが好ましい。
これらの顔料のうち、特に、水と親和性のよいものが好ましく用いられる。
また、本発明のインクには、カーボンブラック以外の顔料も必要に応じて使用可能である。
顔料のインク中の含有量は、適宜選択することができるが、7.0〜12質量%が必要であり、8.0〜10質量%がより好ましい。
7.0質量%未満であると高画像濃度が得られない。また、12.0質量を超えると吐出安定性及び保存安定性が悪化する。
本発明に用いる水のインクにおける含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクの乾燥性及び吐出信頼性の点から、10質量%以上90質量%以下が好ましく、20質量%〜60質量%がより好ましい。
本発明に用いる樹脂粒子は平均体積粒径(D50)が500nm以下であることが好ましく、80〜250nmであることがさらに好ましく、100〜220nmであることが特に好ましい。前記樹脂粒子の具体例としては、縮合系合成樹脂、付加系合成樹脂、天然高分子化合物などが挙げられる。
前記縮合系合成樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリ(メタ)アクリル樹脂、アクリル−シリコーン樹脂、フッ素系樹脂などが挙げられる。前記付加系合成樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルエステル系樹脂、ポリアクリル酸系樹脂、不飽和カルボン酸系樹脂などが挙げられる。前記天然高分子化合物としては、例えば、セルロース類、ロジン類、天然ゴムなどが挙げられる。
この中でも、特にポリウレタン樹脂、アクリル−シリコーン樹脂、アクリル-スチレン樹脂が好ましい。
前記樹脂粒子の体積平均粒子径(D50)が80nm以上で250nm以下であると画像均一性が向上する。これは記録媒体上でインクが乾燥する過程において顔料粒子の偏った凝集を防止できるためと考える。体積平均粒径が数十μmになるとインクジェットヘッドのノズル口より大きくなるため使用できない。ノズル口より小さくとも粒子径の大きな粒子がインク中に存在すると吐出安定性を悪化させる。そこで、インク吐出安定性を阻害させないために体積平均粒子径(D50)は500nm以下が好ましい。
ここで、前記樹脂粒子の体積平均粒子径(D50)は、23℃、55%RHの環境下において、日機装株式会社製マイクロトラックUPAで動的光散乱法により測定したものである。
前記樹脂粒子のインクにおける含有量は、固形分で0.5〜15質量%が好ましく、0.5〜8質量%がより好ましく、1〜3質量%が特に好ましい。
また、前記樹脂粒子は、前記顔料を紙面に定着させる働きを有していてもよい。その場合、常温で被膜化して色材の定着性を向上させるため、前記樹脂粒子の最低造膜温度(MFT)は30℃以下であることが好ましい。
また、前記樹脂粒子のガラス転移温度によっては樹脂皮膜の粘稠性が強くなり印字物にタックが生じることがある。樹脂粒子のガラス転移温度が−40℃以下になると粘稠性が高くなるのでガラス転移温度が−30℃以上であると有利である。
また、樹脂粒子として、造膜性(画像形成性)、高撥水性、高耐水性、高耐候性、高耐水性で高画像濃度(高発色性)などを考慮して複数の樹脂粒子を用いても構わない。
本発明のインクは、下記の方法で定量した樹脂量Aが、インク全量に対して0.5質量%以上4.0質量%以下である。
前記樹脂量Aはインク全量に対し0.5質量%〜3.5質量%が更に好ましい。0.5質量%未満であると保存安定性が劣り、また4.0質量%を超えると光沢性、保存安定性及び吐出性が劣る。
<樹脂量Aの定量方法>
インク中の前記樹脂量Aは、下記のようにして求める。
インク1gを、25℃環境下にて超遠心分離装置CP100MX(株式会社日立製作所製)を用いて15,000rpmで1時間遠心分離をかけ、前記顔料を沈殿させてその上澄み液を回収する。このとき回収した上澄み液の質量を、インク1g中の上澄み液量B(g)とする。前記上澄み液に対し、DTG60(株式会社島津製作所製)を用いて次のように熱質量分析をする。白金セルに前記上澄み液50mgを乗せ、窒素雰囲気下で30℃から120℃に10℃/分の昇温速度で昇温させ、120℃で20分保持し、さらに800℃まで昇温させる。120℃保持後の質量と800℃昇温時の質量差が上澄み液50mg中に含まれる樹脂量になる。
下記の算出式にてインク中の樹脂量Aの値が求められる。
樹脂量A(g)=インク1g中の樹脂量A*インク質量(g)={{(120℃保持後の質量g)―(800℃昇温時の質量g)}/0.050g}*B *インク質量(g)
B:インク1g中の上澄み液量(g)
上記の算出式より求めた樹脂量A(g)と、インクの質量から、インク中の樹脂量Aの含有率は算出できる。
本発明のインクを用いて形成される画像の60度光沢度は25%以上である必要があり、51%以下であることがより好ましい。25%未満であるとコート紙における画像がマット状になり高級感が劣る。また51%を超えると画像が光って見づらくなる。
<60度光沢度の測定方法>
23℃50%RH環境下で、インクジェットプリンタ(株式会社リコー製、IPSIO GX5000)にインクを充填し、次に、光沢記録用記録媒体(リコービジネスコートグロス100、地肌60度光沢度:21%、株式会社リコー製)に解像度1,200dpiのベタ画像(縦50mm横180mm)を印字する。その後、内部の温度が100℃となるように設定した恒温槽にて前記ベタ画像を120秒間乾燥する。次に、光沢度計(アトラス社製、Micro−Gross60°)を用いて、前記ベタ画像の60度光沢度を測定する。なお、印字モードは、プリンタ添付のドライバで光沢紙のユーザー設定より「光沢紙−きれい」モードを使用する。
本発明では、インク中の前記顔料に対するインク中の樹脂量Aの質量比率は、5%以上50%以下が好ましく、10%以上45%以下がさらに好ましい。該質量比率が5%以上であることにより、保存安定性に優れ、50%以下であることにより、吐出安定性及び光沢度が優れる。
本発明の水性インクは、普通紙やコート紙などへの浸透性を高めて、更にビーディングの発生を抑制するために、また、湿潤効果を利用してインクの乾燥を防止するために、水溶性有機溶剤のような有機溶剤を使用することが好ましい。
前記水溶性有機溶剤としては特に制限はなく、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヘキシレングリコール、グリセリン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、イソプロピリデングリセロール、ペトリオール等の多価アルコール類;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミイダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物;ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド等のアミド類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類;ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物類;3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、プロピレンカーボネート、炭酸エチレンなどが挙げられる。これらは1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、普通紙におけるカール防止の点から、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、イソプロピリデングリセロール、N,N−ジメチル−β−メトキシプロピオンアミド、N,N−ジメチル−β−ブトキシプロピオンアミドが好ましい。
また、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、グリセリンが、水分蒸発による吐出不良を防止する上で優れている。
また、水に対して難溶性であり、湿潤性が比較的少なく、浸透性を有する有機溶剤として、例えば、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール[水に対する溶解度:4.2%(25℃)]、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール[水に対する溶解度:2.0%(25℃)]、などが挙げられる。
上記以外の有機溶剤としては、脂肪族ジオールとして、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジメチル−1,2−ブタンジオール、2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、5−ヘキセン−1,2−ジオールなどを用いることができる。
また、上記水溶性有機溶剤と併用できる水溶性有機溶剤として、例えば、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、テトラエチレングリコールクロロフェニルエーテル等の多価アルコールのアルキル及びアリールエーテル類、エタノール等の低級アルコール類などを、目的に応じて適宜選択して使用することができる。
有機溶剤のインクにおける含有量は、本発明の効果が高まるという観点から、15〜70質量%が好ましく、20〜60質量%がより好ましい。
本発明の水性インクは、普通紙やコート紙などへの浸透性と濡れ性を高め、更にビーディングの発生を抑制するために、界面活性剤を使用することが好ましい。
界面活性剤としては、例えばフッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、ベタイン系界面活性剤を使用することができる。これらの界面活性剤は、1種を単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
これらの中でも、表面張力を30mN/m以下に下げることが可能な点から、フッ素系界面活性剤及びシリコーン系界面活性剤が好ましい。
前記フッ素系界面活性剤としては、例えばノニオン系フッ素系界面活性剤、アニオン系フッ素系界面活性剤、両性フッ素系界面活性剤、オリゴマー型フッ素系界面活性剤などが挙げられる。また、フッ素置換した炭素数が2〜16のものが好ましく、フッ素置換した炭素数が4〜16のものがより好ましい。前記炭素数が2未満では、フッ素系界面活性剤特有の効果が得られないことがあり、16を超えると保存性などの問題が生じることがある。
前記ノニオン系フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物などが挙げられる。これらの中でも、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物は起泡性が少ないため好ましく、下記一般式(5)で表されるフッ素系界面活性剤がより好ましい。
CFCF(CFCF)m−CFCF(CFCF)nH ・・・一般式(5)
(式中、mは0〜10、nは0〜40)
前記アニオン系フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物などが挙げられる。
前記パーフルオロアルキルスルホン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸塩などが挙げられる。
前記パーフルオロアルキルカルボン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩などが挙げられる。
前記パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルリン酸エステルの塩、などが挙げられる。
前記パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩などが挙げられる。
これらのフッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしては、Li、Na、K、NH、NHCHCHOH、NH(CHCHOH)、NH(CHCHOH)などが挙げられる。
フッ素系界面活性剤の市販品としては、例えばサーフロンS−111、S−112、S−113、S−121、S−131、S−132、S−141、S−145(いずれも、旭硝子社製);フルラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129、FC−135、FC−170C、FC−430、FC−431(いずれも、住友スリーエム社製);メガファックF−470、F−1405、F−474(いずれも、大日本インキ化学工業社製);ゾニール(Zonyl)TBS、FSP、FSA、FSN−100、FSN、FSO−100、FSO、FS−300、UR(いずれも、DuPont社製);フタージェントFT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW(いずれも、ネオス社製)、ポリフォックスPF−136A、PF−156A、PF−151N、PF−154、PF−159(オムノバ社製)などが挙げられる。
これらの中でも、良好な印字品質、特に発色性、紙に対する均染性が著しく向上する点から、DuPont社製のFS−300、ネオス製のFT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW、及びオムノバ社製のポリフォックスPF−151Nが特に好ましい。
前記シリコーン系界面活性剤としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。その例としては、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサンなどが挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤が水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。
シリコーン系界面活性剤の市販品は、例えば、ビックケミー社、信越化学工業社、東レ・ダウコーニング・シリコーン社、日本エマルジョン社、共栄社化学社などから容易に入手できる。
前記アニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩などが挙げられる。
前記ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミドなどが挙げられる。
本発明のインクには、その他の成分として、pH調整剤、防腐防黴剤、防錆剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、酸素吸収剤、光安定化剤などを、必要に応じて適宜添加することができる。
前記pH調整剤としては、調合されるインクに悪影響を及ぼさずにpHを8.5〜11に調整できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。その例としては、アルコールアミン類、アルカリ金属元素の水酸化物、アンモニウムの水酸化物、ホスホニウム水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩、などが挙げられる。前記アルコールアミン類としては、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、などが挙げられる。前記アルカリ金属元素の水酸化物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、などが挙げられる。前記アンモニウムの水酸化物としては、例えば、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物、などが挙げられる。前記ホスホニウム水酸化物としては、例えば、第4級ホスホニウム水酸化物、などが挙げられる。前記アルカリ金属の炭酸塩としては、例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、などが挙げられる。
前記防腐防黴剤としては、例えば、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、などが挙げられる。
前記防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト、などが挙げられる。
前記酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む)、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、などが挙げられる。
前記紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、ニッケル錯塩系紫外線吸収剤、などが挙げられる。
本発明のインクは、例えば、前記顔料、水、前記有機溶剤、前記共重合体、前記樹脂粒子、及び必要に応じてその他の成分を水性媒体中に分散又は溶解し、攪拌混合して製造することができる。また、前記共重合体は顔料分散体作製の際の顔料分散樹脂として用いてもよい。
前記分散は、例えば、サンドミル、ホモジナイザー、ボールミル、ペイントシャイカー、超音波分散機等により行うことができ、攪拌混合は通常の攪拌羽を用いた攪拌機、マグネチックスターラー、高速の分散機等で行うことができる。
製造に際しては、必要に応じて、フィルター、遠心分離装置などで粗大粒子をろ過し、脱気することが好ましい。
本発明のインクの物性には特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、粘度、表面張力等が以下の範囲であることが好ましい。
インクの25℃での粘度は、3〜20mPa・sが好ましい。粘度が3mPa・s以上であると、印字濃度や文字品位を向上させる効果が得られる。また、20mPa・s以下とすることにより、インクの吐出性を確保できる。
前記粘度は、例えば、粘度計(RE80L、東機産業社製)を用いて、25℃で測定することができる。
インクの表面張力は、25℃で、40mN/m以下が好ましい。
本発明のインク収容容器は、前記インクを容器中に収容し、更に必要に応じて適宜選択したその他の部材を有する。
前記容器には特に制限はなく、目的に応じてその形状、構造、大きさ、材質等を適宜選択することができ、例えば、アルミニウムラミネートフィルム、樹脂フィルム等で形成されたインク袋などを少なくとも有するもの、などが好適である。
インク収容容器について、図1及び図2を参照して説明する。
図1は、インク収容容器の一例を示す図であり、図2は、図1のインク収容容器のケース(外装)も含めた図である。インク収容容器200は、インクをインク注入口242からインク袋241内に充填し、排気した後、該インク注入口242を融着により閉じる。
使用時には、ゴム部材からなるインク排出口243に装置本体の針を刺して装置に供給する。インク袋241は、透気性のないアルミニウムラミネートフィルム等の包装部材により形成されている。このインク袋241は、図2に示すように、通常、プラスチック製の収容容器ケース244内に収容され、各種インクジェット記録装置に着脱可能に装着して用いられるようになっている。
本発明のインクは、インクジェット記録方式による各種記録装置、例えば、プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機、立体造形装置などに好適に使用することができる。
本発明において、記録装置、記録方法とは、記録媒体に対してインクや各種処理液等を吐出することが可能な装置、当該装置を用いて記録を行う方法である。記録媒体とは、インクや各種処理液が一時的にでも付着可能なものを意味する。
この記録装置には、インクを吐出するヘッド部分だけでなく、記録媒体の給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置と称される装置などを含むことができる。
記録装置、記録方法は、加熱工程に用いる加熱手段、乾燥工程に用いる乾燥手段を有しても良い。加熱手段、乾燥手段には、例えば、記録媒体の印字面や裏面を加熱、乾燥する手段が含まれる。加熱手段、乾燥手段としては、特に限定されないが、例えば、温風ヒーター、赤外線ヒーターを用いることができる。加熱、乾燥は、印字前、印字中、印字後などに行うことができる。
また、記録装置、記録方法は、インクによって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、幾何学模様などのパターン等を形成するもの、3次元像を造形するものも含まれる。
また、記録装置には、特に限定しない限り、吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、吐出ヘッドを移動させないライン型装置のいずれも含まれる。
更に、この記録装置には、卓上型だけでなく、A0サイズの記録媒体への印刷も可能とする広幅の記録装置や、例えばロール状に巻き取られた連続用紙を記録媒体として用いることが可能な連帳プリンタも含まれる。
記録装置の一例について図6乃至図7を参照して説明する。図6は同装置の斜視説明図である。図7はメインタンクの斜視説明図である。記録装置の一例としての画像形成装置400は、シリアル型画像形成装置である。画像形成装置400の外装401内に機構部420が設けられている。ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色用のメインタンク410(410k、410c、410m、410y)の各インク収容部411は、例えばアルミニウムラミネートフィルム等の包装部材により形成されている。インク収容部411は、例えば、プラスチックス製の収容容器ケース414内に収容される。これによりメインタンク410は、各色のインクカートリッジとして用いられる。
一方、装置本体のカバー401cを開いたときの開口の奥側にはカートリッジホルダ404が設けられている。カートリッジホルダ404には、メインタンク410が着脱自在に装着される。これにより、各色用の供給チューブ436を介して、メインタンク410の各インク排出口413と各色用の吐出ヘッド434とが連通し、吐出ヘッド434から記録媒体へインクを吐出可能となる。
記録媒体としては、普通紙が好ましいが、その他、光沢紙、特殊紙、布、フィルム、OHPシート、汎用印刷紙等を使用できる。
以下、実施例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例により限定されるものではない。なお、例中の「部」及び「%」は、特に断りのない限り、「重量部」及び「質量%」である。
また、実施例及び比較例で得られた共重合体の分子量は次のようにして求めた。
<共重合体の分子量測定>
GPC(Gel Permeation Chromatography)により以下の条件で測定した。
・装置:GPC−8020(東ソー社製)
・カラム:TSK G2000HXL及びG4000HXL(東ソー社製)
・温度:40℃
・溶媒:THF(テトラヒドロフラン)
・流速:1.0mL/分
濃度0.5質量%の共重合体を1mL注入し、上記の条件で測定した共重合体の分子量分布から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して共重合体の数平均分子量Mn、重量平均分子量Mwを算出した。
[実施例1:共重合体CP−1の合成]
62.0g(525mmol)の1,6−ヘキサンジオール(東京化成社製)を700mLの塩化メチレンに溶解し、20.7g(262mmol)のピリジンを加えた。
この溶液に、50.0g(262mmol)の2−ナフタレンカルボニルクロリド(東京化成社製)を100mLの塩化メチレンに溶解した溶液を、2時間かけて攪拌しながら滴下した後、室温で6時間攪拌した。得られた反応溶液を水洗した後、有機相を単離し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去した。残留物を、溶離液として塩化メチレン/メタノール(体積比98/2)混合溶媒を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、52.5gの2−ナフトエ酸−2−ヒドロキシエチルエステルを得た。
次に、42.1g(155mmol)の2−ナフトエ酸−2−ヒドロキシエチルエステルを80mLの乾燥メチルエチルケトンに溶解し、60℃まで加熱した。この溶液に、24.0g(155mmol)の2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工社製、カレンズMOI)を20mLの乾燥メチルエチルケトンに溶解した溶液を、1時間かけて攪拌しながら滴下した後、70℃で12時間攪拌した。室温まで冷却した後、溶媒を留去した。残留物を、溶離液として塩化メチレン/メタノール(体積比99/1)混合溶媒を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、57.0gの下構造式(4−1)で表される構造を有するモノマーM−1を得た。
Figure 2018127525
次いで、1.20g(16.7mmol)のアクリル酸(アルドリッチ社製)、及び7.12g(16.7mmol)のモノマーM−1を40mLの乾燥メチルエチルケトンに溶解してモノマー溶液を調製した。モノマー溶液の10%をアルゴン気流下で75℃まで加熱した後、残りのモノマー溶液に0.273g(1.67mmol)の2,2’−アゾイソ(ブチロニトリル)(東京化成社製)を溶解した溶液を1.5時間かけて滴下し、75℃で6時間撹拌した。室温まで冷却し、得られた反応溶液をヘキサンに投下した。析出した共重合体をろ別し、減圧乾燥して、8.13gの共重合体CP−1(重量平均分子量(Mw):9200、数平均分子量(Mn):3100)を得た。図3に得られた共重合体のIRスペクトルを示す。
次いで、得られた2.00gの共重合体を、共重合体の濃度が11.9%、且つpHが8.0となるように、テトラエチルアンモニウム(TEA)ヒドロキシド水溶液に溶解して、共重合体CP−1の顔料分散用水溶液を調製した。
[実施例2:共重合体CP−2の合成]
1,6−ヘキサンジオールに代えて、エチレングリコール(東京化成社製)を用いた点以外は、実施例1と同様にして下構造式(4−2)で表される構造を有するモノマーM−2を得た。
Figure 2018127525
次に、アクリル酸、及び得られたモノマーM−2を用いて、実施例1と同様にして共重合体(重量平均分子量(Mw):8700、数平均分子量(Mn):3000)を得て、実施例1と同様にして共重合体CP−2の顔料分散用水溶液を調製した。得られた共重合体CP−2のIRスペクトルは、共重合体CP−1と同様のIRスペクトルを示した。
[実施例3:共重合体CP−3の合成]
1,6−ヘキサンジオールに代えて、1,12−ドデカンジオール(東京化成社製)を用いた点以外は、実施例1と同様にして下構造式(4−3)で表される構造を有するモノマーM−3を得た。
Figure 2018127525
次に、アクリル酸、及び得られたモノマーM−3を用いて、実施例1と同様にして共重合体(重量平均分子量(Mw):8700、数平均分子量(Mn):3000)を得て、実施例1と同様にして共重合体CP−3の顔料分散用水溶液を調製した。得られた共重合体CP−3のIRスペクトルは、共重合体CP−1と同様のIRスペクトルを示した。
[実施例4:共重合体CP−4の合成]
1,6−ヘキサンジオールに代えて、1,16−ヘキサデカンジオール(東京化成社製)を用いた点以外は、実施例1と同様にして下式(4−4)で表される構造を有するモノマーM−4を得た。
Figure 2018127525
次に、アクリル酸、及び得られたモノマーM−4を用いて、実施例1と同様にして共重合体(重量平均分子量(Mw):9400、数平均分子量(Mn):3400)を得て、実施例1と同様にして共重合体CP−4の顔料分散用水溶液を調製した。得られた共重合体CP−4のIRスペクトルは、共重合体CP−1と同様のIRスペクトルを示した。
[実施例5:共重合体CP−5の合成]
メタクリル酸、及び実施例1で合成したモノマーM−1を用いて、実施例1と同様にして共重合体(重量平均分子量(Mw):9300、数平均分子量(Mn):3300)を得て、実施例1と同様にして、共重合体CP−5の水溶液を調製した。図4に得られた共重合体CP−5のIRスペクトルを示す。
[実施例6:共重合体CP−6の合成]
アクリル酸、及び実施例1で合成したモノマーM−1を表1に示す割合に変更して用いて、実施例1と同様にして共重合体(重量平均分子量(Mw):9100、数平均分子量(Mn):3100)を得て、実施例1と同様にして、共重合体CP−6の顔料分散用水溶液を調製した。得られた共重合体CP−6のIRスペクトルは、共重合体CP−1と同様のIRスペクトルを示した。
[実施例7:共重合体CP−7の合成]
アクリル酸、及び実施例1で合成したモノマーM−1を表1に示す割合に変更して用いて、実施例1と同様にして共重合体(重量平均分子量(Mw):8700、数平均分子量(Mn):2900)を得て、実施例1と同様にして、共重合体CP−7の顔料分散用水溶液を調製した。図5に得られた共重合体CP−7のIRスペクトルを示す。
[実施例8:共重合体CP−8の合成]
アクリル酸、及び実施例1で合成したモノマーM−1を表1に示す割合に変更し用いて、実施例1と同様にして共重合体(重量平均分子量(Mw):8500、数平均分子量(Mn):2800)を得て、実施例1と同様にして、共重合体CP−8の顔料分散用水溶液を調製した。得られた共重合体CP−8のIRスペクトルは、共重合体CP−7と同様のIRスペクトルを示した。
[実施例9:共重合体CP−9の合成]
アクリル酸、及び実施例1で合成したモノマーM−1を用いて、実施例1と同様にして共重合体(重量平均分子量(Mw):8600、数平均分子量(Mn):3000)を得た。得られた2.00gの共重合体を、共重合体の濃度が11.9%、且つpHが8.0となるように、水酸化ナトリウム水溶液に溶解して、共重合体CP−9の顔料分散用水溶液を調製した。得られた共重合体CP−9のIRスペクトルは、共重合体CP−1と同様のIRスペクトルを示した。
[実施例10:共重合体CP−10の合成]
メタクリル酸、及び実施例4で合成したモノマーM−4を表1に示す割合に変更し用いて、実施例1と同様にして共重合体(重量平均分子量(Mw):9400、数平均分子量(Mn):3600)を得て、実施例9と同様にして、共重合体CP−10の顔料分散用水溶液を調製した。得られた共重合体CP−10のIRスペクトルは、共重合体CP−5と同様のIRスペクトルを示した。
Figure 2018127525
[実施例11;水性インクGJ−1の調製]
(顔料分散体PD−1の調製)
実施例1で調製した44.1部の共重合体CP−1の水溶液に、21.0部のカーボンブラック(NIPEX150、デグサ社製)、イオン交換水34.0部を加えて12時間攪拌した。得られた混合物をディスクタイプのビーズミル(シンマルエンタープライゼス社製、KDL型、メディア:直径0.1mmのジルコニアボール使用)を用いて、周速10m/sで1時間循環分散した後、孔径1.2μmのメンブレンフィルターでろ過し、調整量のイオン交換水を加えて、100.0部の顔料分散体PD−1(顔料固形分濃度:21%)を得た。
(インクの作製)
45.0部の顔料分散体PD−1、10.0部の1,3−ブタンジオール、10.0部のグリセリン、10.0部の3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、1.0部のゾニールFS−300(Dupont社製、フッ素系界面活性剤、固形分40質量%)、ウレタン系樹脂エマルジョンUA−368T(三洋化成社製、固形分質量50%))6.0部、及び18.0部のイオン交換水を混合し、1時間攪拌した後、孔径1.2μmのメンブレンフィルターでろ過して、本発明の水性インクGJ−1を得た。
[実施例12;水性インクGJ−2の調製]
実施例11の顔料分散体の調製における共重合体CP−1の水溶液の代わりに、共重合体CP−2の水溶液を用いた点以外は同様にして、顔料分散体PD−2を得た。
次に、実施例11のインクの作製における顔料分散体PD−1の代わりに、顔料分散体PD−2を用いた点以外は同様にして、本発明の水性インクGJ−2を得た。
[実施例13;水性インクGJ−3の調製]
実施例11の顔料分散体の調製における共重合体CP−1の水溶液の代わりに、共重合体CP−3の水溶液を用いた点以外は同様にして、顔料分散体PD−3を得た。
次に、実施例11のインクの作製における顔料分散体PD−1の代わりに、顔料分散体PD−3を用いた点以外は同様にして、本発明の水性インクGJ−3を得た。
[実施例14;水性インクGJ−4の調製]
実施例11の顔料分散体の調製における共重合体CP−1の水溶液の代わりに、共重合体CP−4の水溶液を用いた点以外は同様にして、顔料分散体PD−4を得た。
次に、実施例11のインクの作製における顔料分散体PD−1の代わりに、顔料分散体PD−4を用いた点以外は同様にして、本発明の水性インクGJ−4を得た。
[実施例15;水性インクGJ−5の調製]
実施例11の顔料分散体の調製における共重合体CP−1の水溶液の代わりに、共重合体CP−5の水溶液を用いた点以外は同様にして、顔料分散体PD−5を得た。
次に、実施例11のインクの作製における顔料分散体PD−1の代わりに、顔料分散体PD−5を用いた点以外は同様にして、本発明の水性インクGJ−5を得た。
[実施例16;水性インクGJ−6の調製]
実施例11の顔料分散体の調製における共重合体CP−1の水溶液の代わりに、共重合体CP−6の水溶液を用いた点以外は同様にして、顔料分散体PD−6を得た。
次に、実施例11のインクの作製における顔料分散体PD−1の代わりに、顔料分散体PD−6を用いた点以外は同様にして、本発明の水性インクGJ−6を得た。
[実施例17;水性インクGJ−7の調製]
実施例11の顔料分散体の調製における共重合体CP−1の水溶液の代わりに、共重合体CP−7の水溶液を用いた点以外は同様にして、顔料分散体PD−7を得た。
次に、実施例11のインクの作製における顔料分散体PD−1の代わりに、顔料分散体PD−7を用いた点以外は同様にして、本発明の水性インクGJ−7を得た。
[実施例18;水性インクGJ−8の調製]
実施例11の顔料分散体の調製における共重合体CP−1の水溶液の代わりに、共重合体CP−8の水溶液を用いた点以外は同様にして、顔料分散体PD−8を得た。
次に、実施例11のインクの作製における顔料分散体PD−1の代わりに、顔料分散体PD−8を用いた点以外は同様にして、本発明の水性インクGJ−8を得た。
[実施例19;水性インクGJ−9の調製]
実施例11の顔料分散体の調製における共重合体CP−1の水溶液の代わりに、共重合体CP−9の水溶液を用いた点以外は同様にして、顔料分散体PD−9を得た。
次に、実施例11のインクの作製における顔料分散体PD−1の代わりに、顔料分散体PD−9を用いた点以外は同様にして、本発明の水性インクGJ−9を得た。
[実施例20;水性インクGJ−10の調製]
実施例11の顔料分散体の調製における共重合体CP−1の水溶液の代わりに、共重合体CP−10の水溶液を用いた点以外は同様にして、顔料分散体PD−10を得た。
次に、実施例11のインクの作製における顔料分散体PD−1の代わりに、顔料分散体PD−10を用いた点以外は同様にして、本発明の水性インクGJ−10を得た。
[実施例21;水性インクGJ−11の調製]
実施例15のインク作製において、ウレタン系樹脂エマルジョンUA−368T(三洋化成社製)6.0部の代わりにアクリル-シリコーン系樹脂エマルジョン ポリゾールROY6312(昭和高分子社製、固形分40.0質量%)7.5部を用い、イオン交換水18.0部を16.5部とした点以外は同様にして、本発明の水性インクGJ−11を得た。
[実施例22;水性インクGJ−12の調製]
実施例15のインク作製において、ウレタン系樹脂エマルジョンUA−368T(三洋化成社製)6.0部を2.0部とし、イオン交換水18.0部を22.0部とした点以外は同様にして、本発明の水性インクGJ−12を得た。
[実施例23;水性インクGJ−13の調製]
実施例15のインク作製において、顔料分散体PD−1を45.0部から56.8部とし、イオン交換水18.0部を6.2部とした点以外は同様にして、本発明の水性インクGJ−13を得た。
[実施例24;水性インクGJ−14の調製]
実施例23のインク作製において、ウレタン系樹脂エマルジョンUA−368T(三洋化成社製)6.0部の代わりにアクリル-シリコーン系樹脂エマルジョン ポリゾールROY6312(昭和高分子社製、固形分40.0質量%)7.5部とし、イオン交換水6.2部を4.7部とした点以外は同様にして、本発明の水性インクGJ−14を得た。
[実施例25;水性インクGJ−15の調製]
実施例15のインク作製において、顔料分散体PD−1を45.0部から37.9部とし、イオン交換水18.0部を25.1部とした点以外は同様にして、本発明の水性インクGJ−15を得た
[実施例26;水性インクGJ−16の調製]
実施例15のインク作製において、顔料分散体PD−1を45.0部から33.2部とし、イオン交換水18.0部を29.8部とした点以外は同様にして、本発明の水性インクGJ−16を得た
[実施例27;水性インクGJ−17の調製]
実施例26のインク作製において、ウレタン系樹脂エマルジョンUA−368T(三洋化成社製)6.0部の代わりにアクリル-シリコーン系樹脂エマルジョン ポリゾールROY6312(昭和高分子社製、固形分40.0質量%)7.5部とし、イオン交換水29.8部を28.3部とした点以外は同様にして、本発明の水性インクGJ−17を得た
[比較例1;比較水性インクRGJ−1の調製]
実施例1におけるモノマーM−1を下構造式(7)で表される構造を有するモノマーに代えた点以外は同様にして4.82gの共重合体(重量平均分子量(Mw):7500、数平均分子量(Mn):2800)を得た。
Figure 2018127525
次にこれを用い、実施例11と同様にして比較共重合体RCP−1の水溶液を調製した。
すなわち、実施例11の顔料分散体の調製における共重合体CP−1の代わりに、比較共重合体RCP−1を用いた点以外は同様にして、比較顔料分散体RPD−1を得た。
次に、実施例11のインクの作製における顔料分散体1の代わりに、比較顔料分散体RPD−1を用いた点以外は同様にして、比較水性インクRGJ−1を得た。
[比較例2;比較水性インクRGJ−2の調製]
(比較共重合体RCP−2の合成)
モノマーとして80gの2−フェノキシエチルメタクリレート、連鎖移動剤として3.7gの3−メルカプト−1−プロパノール、開始剤として0.3gの2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)をTHF160mLに溶解し、窒素雰囲気下、65℃に加熱して7時間反応させた。得られた溶液を放冷し、80mgのジラウリン酸ジブチルすず(IV)と触媒量のヒドロキノンを加え、10.0gの2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを滴下した。50℃に昇温し、2.5時間反応させた後、メタノールと水の混合溶媒で再沈殿を行って精製し、71gのマクロモノマーMM−1(重量平均分子量(Mw):4000、数平均分子量(Mn)は1900)を得た。
次に、20gのメチルエチルケトンを窒素雰囲気下で75℃に加熱した後、1.16gのジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート、上記で得られた9gマクロモノマーMM−1、1.8gのp-スチレンスルホン酸、49.2gのメタクリル酸メチルを40gのメチルエチルケトンに溶解した溶液を、3時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに1時間反応した後、0.6gのメチルエチルケトンに0.2gのジメチル2,2’ −アゾビスイソブチレートを溶解した溶液を加え、80℃に昇温し、4時間加熱攪拌した。さらに0.6gのメチルエチルケトンに0.2gのジメチル2,2’−アゾビスイソブチレートを溶解した溶液を加え、6時間加熱攪拌した。冷却した後、得られた反応溶液をヘキサンに投下し、析出したグラフトポリマーをろ別し、乾燥して、比較共重合体RCP−2を得た。
(比較顔料分散体RPD−2、比較水性インクRGJ−2の調製)
次いで、実施例11の顔料分散体の調製における共重合体CP−1の代わりに、比較共重合体RCP−2を用いた点以外は同様にして、比較顔料分散体RPD−2を得た。
次に、実施例11のインクの作製における顔料分散体PD−1の代わりに、比較顔料分散体RPD−2を用いた点以外は同様にして、比較水性インクRGJ−2を得た。
[比較例3;比較水性インクRGJ−3の調製]
比較例1のウレタン系樹脂エマルジョンUA−368T(三洋化成社製、固形分質量50%))6.0部を16.0部に、イオン交換水18.0部を8.0部に変えた以外は比較例1と同様にして比較水性インクRGJ−3を得た。
[比較例4;比較水性インクRGJ−4の調製]
比較例1のインク作製において、顔料分散体RPD−1を45.0部から33.2部とし、イオン交換水18.0部を29.8部とした点以外は比較例1と同様にして比較水性インクRGJ−4を得た。
[比較例5;比較水性インクRGJ−5の調製]
比較例1のインク作製において、顔料分散体RPD−1を45.0部から56.8部とし、イオン交換水18.0部を6.2部とした点以外は比較例1と同様にして比較水性インクRGJ−5を得た。
[比較例6;比較水性インクRGJ−6の調製]
実施例15のインク作製において、顔料分散体PD−5を45.0部から59.2部とし、イオン交換水18.0部を3.8部とした点以外は実施例15と同様にして比較水性インクRGJ−6を得た。
[比較例7;比較水性インクRGJ−7の調製]
比較例6のインク作製において、顔料分散体PD−5をPD−2とした点以外は比較例6と同様にして比較水性インクRGJ−7を得た。
[比較例8;比較水性インクRGJ−8の調製]
実施例15のインク作製において、顔料分散体PD−5を45.0部から30.8部とし、イオン交換水32.8部とした点以外は実施例15と同様にして比較水性インクRGJ−8を得た。
[比較例9;比較水性インクRGJ−9の調製]
実施例15のインク作製において、ウレタン系樹脂エマルジョンUA−368T(三洋化成社製、固形分質量50%)6.0部を16.0部に、イオン交換水18.0部を8.0部とした点以外は実施例15と同様にして比較水性インクRGJ−9を得た。
[比較例10;比較水性インクRGJ−10の調製]
実施例15のインク作製において、顔料分散体PD−5を45.0部から56.8部、ウレタン系樹脂エマルジョンUA−368T(三洋化成社製、固形分質量50%)6.0部を11.8部とし、イオン交換水18.0部を0.4部とした点以外は実施例15と同様にして比較水性インクRGJ−9を得た。
上記実施例及び比較例で作製した各顔料分散体、及びインクの特性を下記の方法により評価した。
インクの処方内容および結果を纏めて表2に示す。
<樹脂量Aの定量方法>
インク中の前記樹脂量Aは、下記のようにして求める。
インク1gを、25℃環境下にて超遠心分離装置CP100MX(株式会社日立製作所製)を用いて15,000rpmで1時間遠心分離をかけ、前記顔料を沈殿させてその上澄み液を回収する。このとき回収した上澄み液の質量を、インク1g中の上澄み液量B(g)とする。前記上澄み液に対し、DTG60(株式会社島津製作所製)を用いて次のように熱質量分析をする。白金セルに前記上澄み液50mgを乗せ、窒素雰囲気下で30℃から120℃に10℃/分の昇温速度で昇温させ、120℃で20分保持し、さらに800℃まで昇温させる。120℃保持後の質量と800℃昇温時の質量差が上澄み液50mg中に含まれる樹脂量になる。
下記の算出式にてインク中の樹脂量Aの値が求められる。
樹脂量A(g)=インク1g中の樹脂量A*インク質量(g)={{(120℃保持後の質量g)―(800℃昇温時の質量g)}/0.050g}*B *インク質量(g)
B:インク1g中の上澄み液量(g)
上記の算出式より求めた樹脂量A(g)と、インクの質量から、インク中の樹脂量Aの含有率は算出できる。
<インクの保存安定性>
各インクをインク収容容器に充填して70℃で1週間保存し、保存前の粘度に対する保存後の粘度の変化率を下記式から求め、下記の基準で評価した。
粘度の変化率(%)=(保存後のインクの粘度/保存前のインクの粘度)×100
粘度の測定には、粘度計(RE80L、東機産業社製)を使用し、25℃における粘度を、50回転で測定した。
〔評価基準〕
A:粘度の変化率が±5%以内
B:粘度の変化率が±5%を超え、±8%以内
C:粘度の変化率が±8%を超え、±10%以内
D:粘度の変化率が±10%を超え、±30%以内
E:粘度の変化率が±30%を超える(ゲル化して評価不能)
<画像濃度>
23℃、50%RH環境下で、インクジェットプリンター(リコー社製、IPSiO GX5000)に各インクを充填し、Microsoft Word2000(Microsoft社製)で作成した64pointのJIS X 0208(1997),2223の一般記号が記載されているチャートをMyPaper(リコー社製)に印字し、印字面の前記記号部を、X−Rite938(エックスライト社製)により測色し、下記の基準で評価した。
なお、印字モードは、プリンタ添付のドライバで普通紙のユーザー設定より「普通紙−標準はやい」モードを「色補正なし」に改変したモードを使用した。
なお、上記JIS X 0208(1997),2223は、外形が正四方形であって、記号全面がインクにより塗りつぶされている記号である。
〔評価基準〕
A:1.25以上
B:1.20以上、1.25未満
C:1.10以上、1.20未満
D:1.10未満
E:顔料がゲル化してインク中に分散できず、印字できない。
<光沢性>
23℃50%RH環境下で、インクジェットプリンタ(株式会社リコー製、IPSIO GX5000)に各インクを充填し、次に、光沢記録用メディア(リコービジネスコートグロス100、地肌60度光沢度:21%、株式会社リコー製)に、付着量9.0〜10.0g/m、解像度1,200dpiの条件でベタ画像(縦50mm横180mm)を印字した。その後、内部の温度が100℃となるように設定した恒温槽にて前記ベタ画像を120秒間乾燥した。
次に、光沢度計(アトラス社製、Micro−Gross60°)を用いて、前記ベタ画像の60度光沢度を測定し、下記基準に基づき。光沢性を評価した。
なお、印字モードは、プリンタ添付のドライバで光沢紙のユーザー設定より「光沢紙−きれい」モードを使用した。
<インク吐出安定性>
吐出安定性については、印刷物を印刷した後、プリンタヘッドにキャップした状態でプリンタを50℃の環境下で1ヶ月放置した。放置後のプリンタの吐出状態が初期の吐出状態に回復するか否かを下記のクリーニング動作回数によって、下記評価基準に従い評価した。
[評価基準]
A :クリーニング無しで印刷できた。
B :1〜5回の動作により回復した。
C :6〜10回の動作により回復した。
D :11〜30回の動作により回復した。
E :31回以上の動作によっても回復がみられなかった。
Figure 2018127525
表2の結果から、実施例の各インクは、顔料、共重合体、及び樹脂粒子を含有し、前記顔料をインクに対して7.0質量%以上12質量%以下含有し、樹脂量Aがインク全量に対して0.5質量%以上4.0質量%以下であり、インクを用いて形成された画像の60度光沢度が25%以上51%以下であるので、比較例の各インクと比べて、保存安定性、吐出安定性が良好であり、普通紙であっても高い画像濃度が得られる。
200 インク収容容器
241 インク袋
242 インク注入口
243 インク排出口
244 収容容器ケース
400 画像形成装置
401 画像形成装置の外装
401c 装置本体のカバー
404 カートリッジホルダ
410 メインタンク
410k、410c、410m、410y ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色用のメインタンク
411 インク収容部
413 インク排出口
414 収容容器ケース
420 機構部
434 吐出ヘッド
436 供給チューブ
特許第5001291号公報 特許第4956666号公報 特許第4722462号公報 特開2011−105866号公報

Claims (8)

  1. 顔料、共重合体、及び樹脂粒子を含有するインクであって、
    前記顔料を、前記インクに対して7.0質量%以上12質量%以下含有し、
    インク中の樹脂量Aの含有率が、前記インクに対して0.5質量%以上4.0質量%以下であり、
    前記インクを用いて形成したベタ画像の60度光沢度が、25%以上であることを特徴とするインク。
  2. 前記顔料がカーボンブラックであることを特徴とする請求項1に記載のインク。
  3. インク中の前記顔料に対する前記インク中の樹脂量Aの質量比率が、5%以上50%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のインク。
  4. 前記共重合体が、一般式(1)及び一般式(2)で表される構造単位を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のインク。
    Figure 2018127525
    (式中、R1及びR2は水素原子又はメチル基を表し、Xは水素原子又は陽イオンを表し、Lは炭素数が2〜18のアルキレン基を表し、*は他の構造単位への結合部位を表す。)
  5. 前記共重合体において、前記一般式(1)及び(2)で表される構造単位のモル比が、一般式(1):(2)=0.5:1〜3:1であることを特徴とする請求項4に記載のインク。
  6. 前記共重合体において、前記一般式(2)で表される構造単位のLが炭素数2〜12のアルキレン基であることを特徴とする請求項4または5に記載のインク。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載のインクを容器中に収容したことを特徴とするインク収容容器。
  8. インクを吐出する手段と、請求項1〜6のいずれかに記載のインクとを有することを特徴とする記録装置。
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