JP2018123928A - 密封装置付ハブユニット軸受及びその製造方法 - Google Patents

密封装置付ハブユニット軸受及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】密封装置を圧入する際の軸受内部の圧力上昇を抑制し、密封性を確保した密封装置付ハブユニット軸受及びその製造方法を提供する。【解決手段】静止側円筒部23aの外周面には、径方向外方に突出して外輪2の内周面と弾性的に嵌合するガスケット部26を設け、静止側円筒部23aの外周面で外輪2の内周面と嵌合する嵌合円筒面には、斜めに交わった複数の溝により構成される綾目28が、周方向に亙って全周に設けられている。綾目28は、静止側円筒部23aの軸方向外端部に開口し、ガスケット部26に隣接する段部29の近傍まで延在して形成されている。【選択図】図1

Description

本発明は、自動車の車輪を懸架装置に対して回転自在に支持し、内部空間をシールする為の密封装置を備えた、密封装置付ハブユニット軸受及びその製造方法に関するものである。
自動車の車輪等を懸架装置に対して回転自在に支持する為の転がり軸受ユニットとして、図7に示す様な密封装置付ハブユニット軸受の構造が知られている。密封装置付ハブユニット軸受1は、静止側軌道輪である外輪2と回転側軌道輪であるハブ3とを互いに同心に配置している。外輪2の内周面に設けた複列の外輪軌道4,4と、ハブ3の外周面に設けた複列の内輪軌道5,5との間に、それぞれが転動体である玉6を、各列に複数個ずつ転動自在に配置している。この様な構成により、外輪2の内径側にハブ3を、回転自在に支持している。
外輪2の外周面に設けた静止側フランジ8は、懸架装置(不図示)に対してねじ止め固定される。ハブ3の軸方向外端部外周面に形成した回転側フランジ9には、図示しない車輪及びディスクロータをねじ止め固定する。尚、軸方向に関して外とは、車両への組み付け状態で車両の幅方向外側となる、図1,3,4,7の左側を言う。これに対して、車両の幅方向内側となる、図1,3,4,7の右側を、軸方向に関して内と言う。
外輪2の内周面とハブ3の外周面との間で、玉6を設置した内部空間10の両端開口は、密封装置であるシールリング11と組み合わせシールリング12とにより、それぞれ全周に亙り塞がれている。内部空間10の軸方向外端側開口を塞ぐシールリング11は、金属板製の芯金13により、ゴムの如きエラストマー製の弾性材14を補強して、全体を円環状に構成している。弾性材14は、複数本(図示の例では3本)のシールリップ15a,15b,15cを有している。芯金13を外輪2の軸方向外端部に締り嵌めで内嵌した状態で、各シールリップ15a〜15cの先端縁を回転側フランジ9の軸方向内側面及びハブ3の中間部外周面に、それぞれ全周に亙り摺接させている。
組み合わせシールリング12は、スリンガ16とシールリング17とを組み合わせて構成されている。スリンガ16は、金属板を曲げ成形する事により断面L字形で全体を円環状に構成したもので、ハブ3の軸方向内端部に締り嵌めで外嵌する事により、ハブ3に固定されている。
シールリング17は、金属板製の芯金20と弾性材21とを備えている。弾性材21は、複数本(図示の例では3本)のシールリップ22a、22b、22cを備えている。芯金20は、金属板を曲げ成形する事により断面略L字形で全体を円環状に構成したもので、静止側円筒部23と、静止側円筒部23の軸方向外端縁から径方向内方に折れ曲がった静止側円輪部24とから成る。シールリング17は、静止側円筒部23を外輪2の軸方向内端部に締り嵌めで内嵌する事により、外輪2に固定されている。各シールリップ22a〜22cの先端縁をスリンガ16の表面に、それぞれ全周に亙り摺接させている。
スリンガ16の軸方向内側面に、円輪状のエンコーダ25を、全周に亙り添着固定している。エンコーダ25は、ゴム磁石、プラスチック磁石等の永久磁石製で、被検出面であるエンコーダ25の軸方向内側面には、S極とN極とが、円周方向に関して交互に、且つ等間隔で配置されている。エンコーダ25の被検出面には、図示しない回転検出用のセンサを対向させて、ハブ3と共に回転する車輪の回転速度を測定可能としている。
内部空間10の軸方向両端開口をシールリング11と組み合わせシールリング12とによりそれぞれ塞ぐ事で、内部空間10内に充填されたグリースの漏洩防止と、外部空間に存在する水分や塵芥等の異物が内部空間10内に侵入する事の防止とを図っている。密封装置付ハブユニット軸受1の耐久性を確保する為には、シールリング11及び組み合わせシールリング12のシール性を確保する事が重要である。
ところで、密封装置付ハブユニット軸受1を組み立てる際には、シールリング11が装着された外輪2とハブ3と玉6とを組み合わせ、グリースを封入し、最後に組み合わせシールリング12を軸方向内側から圧入する。組み合わせシールリング12を圧入する際に、内部空間10の軸方向外側開口はシールリング11により密封されているので、軸受内部空間10の体積は組み合わせシールリング12の体積分減少して、内部空間10の圧力が上昇する。組立時における内部空間10の圧力上昇によって、封入したグリースが押し出されて漏洩する虞がある。更に、各シールリップの先端部が摺接面に強く押し付けられ、摩擦抵抗が増加して回転トルクが上昇すると共に、各シールリップの先端部が摩耗する虞がある。この様にしてシールリップの先端部が摩耗してしまうと、転がり軸受の密封性が低下する可能性がある。
この部分の先行技術としては、特許文献1に、密封装置の圧入開始時からは排気溝を介して軸受外部に排気し、圧入途中からは排気溝及び弾性溝部を介して軸受外部に排気して、軸受内部の圧力上昇を抑制すると共に、密封装置を軸受に圧入完了時には、弾性嵌合部が押しつぶされて弾性溝部が閉塞され、内部空間を密封する密封装置付ハブユニット軸受が記載されている。
特開2013−029131号公報
しかしながら、この先行技術の密封装置では、軸受との嵌合面がゴム嵌合であるので、十分な嵌合力が得られない事がある。従って、軸受運転時の温度上昇に伴い軸受内部の圧力が上昇した場合、密封装置が軸受外部側に押し出されて弾性溝部が開口してしまい、内部空間に泥水が侵入して、軸受寿命が低下する可能性がある。
また、嵌合部に設けられた排気溝が、弾性嵌合部と連続している。従って、嵌合部に弾性部材を加硫成形する際、溶融して粘度の低い弾性材により、嵌合部にフラッシングを起こす、或は嵌合部の排気溝に弾性材が流れて溝を塞いでしまう虞がある。
本発明は、密封装置を圧入する際の内部空間の圧力上昇を抑制しながら、密封装置の密封性を確保した密封装置付ハブユニット軸受及びその製造方法を提供する事を目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係わる密封装置付ハブユニット軸受は、互いに同心に配置された状態で相対回転する外輪及び内輪と、前記外輪と前記内輪との互いに対向する周面同士の間に存在する内部空間に転動自在に設けられた複数個の転動体と、前記内部空間の端部開口を塞ぐ、密封装置とを備え、前記密封装置は、金属板製で、プレス加工により全体を円環状に構成し、前記外輪の周面に嵌合固定される嵌合円筒面を有し、前記嵌合円筒面と前記外輪の周面との間を水密とする弾性材を備えている。
特に、本発明の密封装置付ハブユニット軸受は、空気が通過可能な程度に粗い綾目状の溝が、前記嵌合円筒面に設けられている。
さらに、前記密封装置は、スリンガとシールリングとを有する組み合わせシールリングであり、前記スリンガは、前記内輪の周面に嵌合固定され、前記シールリングは、金属板製で円環状の芯金と、前記スリンガに摺接するシールリップを有する弾性材とを備え、前記芯金は、断面L字形で、前記外輪の周面に嵌合固定される前記嵌合円筒面を有しており、前記弾性材は、前記静止側円筒部の軸受外部側の周面を被覆して、前記外輪の周面との間を密封する前記密封装置付ハブユニット軸受の製造方法であって、
ブランク材の片面で、前記嵌合円筒面となる部分に前記綾目状の溝を形成した後、絞り加工を施す。
また、前記密封装置は、合成樹脂により有底円筒状に形成されたキャップ本体と、金属環と、Oリングとを有する軸受キャップであり、前記キャップ本体は、円環状の樹脂筒部と、前記樹脂筒部の開口部を塞ぐ樹脂底板部とを有しており、前記金属環は、前記樹脂筒部にモールド固定され、前記外輪の周面に嵌合固定される前記嵌合円筒面を有しており、前記Oリングは、前記外輪の軸方向端面と前記樹脂筒部の軸方向端面との間を密封する前記密封装置付ハブユニット軸受の製造方法であって、
プレス加工のダイに形成した綾目状の突条を、前記嵌合円筒面に転写する。
本発明によれは、密封装置を圧入する際の内部空間の圧力上昇を抑制しながら、密封装置の密封性を確保した密封装置付ハブユニット軸受及びその製造方法を提供する事を目的とする。
第1実施形態を示す、組み合わせシールリングの断面図。 プレス装置により、芯金を成形する工程の説明図で、ブランク材の絞り加工前(a)、絞り加工後(b)。 第2実施形態を示す、密封装置付ハブユニット軸受の断面図。 図3に示した軸受キャップの断面図。 図3に示した軸受キャップを内部空間側から見た図。 プレス装置により、金属環を成形する工程の説明図で、ブランク材のバーリング加工前(a)、バーリング加工後(b)。 従来構造の密封装置付ハブユニット軸受の1例を示す断面図。
[第1実施形態]
図1,2は、本発明の第1実施形態を示している。尚、本実施形態の密封装置付ハブユニット軸受の特徴は、組み合わせシールリングを構成する静止側円筒部に、内部空間と外部空間とを連通する綾目(排気溝)を設ける事により、内部空間の圧力上昇を抑えて各シールリップの変形及び損傷を防止する構成にある。その他の部分の構成及び作用に就いては、前述の図7に示した密封装置付ハブユニット軸受1と同様であるから、重複する図示並びに説明は省略若しくは簡略にし、以下、本実施形態の特徴部分を中心に説明する。
本実施形態の密封装置付ハブユニット軸受は、図7に示した従来構造の密封装置付ハブユニット軸受1と同様に、互いに同心に配置された状態で相対回転する外輪2及びハブ3とを備えている。外輪2とハブ3との互いに対向する周面同士の間に存在する内部空間10には、転動自在に設けられた複数個の転動体である玉6を配置している。
内部空間10の軸方向内端開口は、密封装置である組み合わせシールリング12aにより全周に亙り塞がれている。組み合わせシールリング12aは、スリンガ16aとシールリング17aとから構成されている。スリンガ16aは、金属板製で、断面L字形で全体を円環状に形成されており、ハブ3の軸方向内端部の外周面に嵌合固定される回転側円筒部18と、回転側円筒部18の軸方向内端縁から径方向外方に延びる回転側円輪部19とを有している。回転側円輪部19の軸方向内側面には、円輪状のエンコーダ25を、全周に亙り添着固定している。エンコーダ25の内周面には、ガスケット部26aを設けている。ガスケット部26aは、回転側円筒部18の内周面よりも径方向内方に突出しており、ハブ3の外周面と弾性的に嵌合する事により、ハブ3の外周面と回転側円筒部18との嵌合部を水密にしている。
シールリング17aは、芯金20aと、芯金20aに基端部を支持されたシールリップ22a,22b,22cを有する弾性材21とを備えている。芯金20aは、金属板製で、断面L字形で全体を円環状に形成されており、外輪2の軸方向内端部の内周面に嵌合固定される静止側円筒部23aと、静止側円筒部23aの軸方向外端縁から径方向内方に延びる静止側円輪部24とを有している。静止側円筒部23aの軸方向内側(軸受外部側)の外周面には、弾性材21で被覆する事により、ガスケット部26を設けている。ガスケット部26は、静止側円筒部23aの外周面よりも径方向外方に突出しており、外輪2の内周面と弾性的に嵌合する事により、外輪2の内周面と静止側円筒部23aとの嵌合部を水密にしている。
静止側円筒部23aの外周面で、外輪2の内周面と直接嵌合する嵌合円筒面27には、斜めに交わった複数の溝により構成される綾目28が、周方向の全周に亙って設けられている。綾目28を構成する各溝は、弦巻線状で、嵌合円筒面27の軸方向外端部に開口して、ガスケット部26の近傍まで連続して延在して形成されているが、嵌合円筒面27の軸方向内端部に形成された段部29には開口していない。
回転側円筒部18の内周面で、ハブ3の外周面と直接嵌合する嵌合円筒面27aには、斜めに交わった(綾目状の)複数の溝により構成される綾目28が、周方向の全周に亙って設けられている。綾目28を構成する各溝は、弦巻線状で、嵌合円筒面27aの軸方向外端部に開口して、ガスケット部26aの近傍まで連続して延在して形成されているが、嵌合円筒面27aの軸方向内端部に形成された段部29aには開口していない。
上述した様な綾目28は、図2に示す様な加工工程により芯金20aの静止側円筒部23aに形成される。ブライト仕上げの帯鋼からブランク53を打ち抜き、このブランク53の片面で、外輪2との嵌合面となる部分(静止側円筒部23aとなる部分)にコイニング加工で綾目28を形成する。綾目28は、斜めに交わる複数の微小な溝により構成されている。図2(a)に示す様に、ダイ52側を綾目28の加工面、パンチ50側をブライト仕上げ面とした状態で、板押さえ51によりブランク53を位置決めする。そして、パンチ50をダイ52に向けて移動させて絞り加工を行って、図2(b)に示す様な中間成形品54を成形する。その後、中間成形品54の中央部を打ち抜き、断面L字状の芯金20aを、静止側円筒部23aに綾目28を残した状態で成形する。
なお、ローリング加工やカップ砥石研削などの方法で帯鋼やブランク全体に綾目加工をしてしまうと、芯金20aに弾性材21を加硫成形する際に、綾目を伝って成形ゴムが漏れ出す不具合(フラッシング)が発生するので、綾目加工はブランクの状態で、外輪2との嵌合部になる範囲(静止側円筒部23aの嵌合円筒面27)のみにコイニングで成形している。
また、芯金となる素材にボンデ処理などで潤滑被膜を形成した帯鋼を用いて、ダイ52との摩擦を軽減する、或は、ダイ52のキャビティ入口のR寸法を板厚の3倍以上とする、などの方法により綾目加工面がダイ52に引き込まれやすくすることもできる。
綾目28が形成された芯金20aに弾性材21を加硫成形する際、固定側の加硫金型(不図示)に把持された芯金20aに対して、軸方向内側から可動側の加硫金型(不図示)を芯金20aに打ち込む事で、静止側円筒部23aの外周面に全周に亙って連続する段部29を形成している。綾目28は段部29の近傍には形成されていないので、ガスケット部26の弾性材21の流れを段部29で堰き止め、溶融した弾性材21が芯金20aの外周面(嵌合円筒面27)へフラッシングする事を防止している。
スリンガ16aの綾目28も、上述した芯金20と同様の製造方法により形成される。
密封装置付ハブユニット軸受の組立工程では、外輪2とハブ3と玉6及びシールリング11とを組み立てた状態で、組み合わせシールリング12aを軸方向内側から圧入する。 そして、静止側円筒面23aを外輪2の内周面に嵌合させ、回転側円筒面18をハブ3の外周面に嵌合させた状態で圧入すると、内部空間10内の空気は綾目28を介して外部空間に排気されて、内部空間10の圧力は上昇しない。
さらに、組み合わせシールリング12aを圧入し続けて圧入が完了した状態となると、ガスケット部26が外輪2の内周面と弾性的に嵌合すると共に、ガスケット部26aがハブ3の外周面と弾性的に嵌合して、各嵌合部を密封する。
以上の様に、本実施形態に係る密封装置付ハブユニット軸受によれば、組み合わせシールリング12aを圧入する際、綾目28の各溝を介して内部空間10の空気が外部空間に排気されるので、内部空間10の圧力上昇を抑制している。そして、密封性を確保した密封装置付ハブユニット軸受を提供する事ができる。
更に、綾目28は、金属製である静止側円筒部23aの嵌合円筒面27及び回転側円筒部18の嵌合円筒面27aのみに形成し、ガスケット部26,26aには設けていないので、ガスケット部26,26aによる組み合わせシールリング12aの密封性を良好に保つ事ができる。
又、弾性材21を芯金20aに加硫成形してガスケット部26を形成する際、綾目28は段部29には開口していないので、溶融した弾性材21が静止側円筒部23aの嵌合円筒面27にフラッシングを起こす虞もない。従って、綾目28を有するシールリング17aを安定して製造する事ができる。同様に、綾目28を有するスリンガ16aに対して、エンコーダ25を安定して成形する事ができる。
更に、綾目28は、芯金20aを成形する工程でのコイニング加工で成形されるので、低コストで製造可能である。
尚、外輪2との嵌合面である嵌合円筒面27を粗面化すると、見掛けのしめ代が同じであっても、有効しめ代が低下する為、嵌合力(外力を受けた時に移動を阻止する力)も低下する。本実施形態での粗面化は、嵌合面に綾目28を設ける事で実施し、綾目28で嵌合力を増加させる事で、有効しめ代低下に伴う嵌合力の低下を補っている。
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態に就いて、図3〜6を参照しつつ説明する。本実施形態の密封装置付ハブユニット軸受1aは、従動輪である車輪を懸架装置に対して回転自在に支持するもので、静止輪である外輪2の内径側に、回転輪であるハブ3aを、複数個の転動体6を介して、回転自在に支持している。
外輪2は、外周面に静止側フランジ8を、内周面に複列の外輪軌道4、4を、それぞれ有している。ハブ3aは、中実体であり、外周面に複列の内輪軌道5、5を有し、軸方向外端部に回転側フランジ9を設けている。各外輪軌道4と、各内輪軌道5との間に、それぞれ複数個ずつ玉6を設けている。
ハブ3aの軸方向内端部には、円環状のエンコーダ25が、支持環45により、ハブ3aと同軸に支持固定されている。支持環45は、磁性鋼板にプレス加工を施す事により、断面L字形で全体を円環状に形成されており、円筒部分が、ハブ3aの軸方向内端部に締り嵌めで外嵌固定されている。エンコーダ25は、支持環45の円輪部分の軸方向内側面に添着固定されている。
内部空間10の軸方向外端開口は、シールリング11により塞いでいる。これに対し、外輪2の軸方向内端部には、有底円筒状の軸受キャップ30を装着して、外輪2の軸方向内端開口を塞いでいる。密封装置である軸受キャップ30は、中実体であるハブ3aと共に内部空間10の軸方向内端開口を塞いでいる。軸受キャップ30には、センサユニット46が支持固定されている。センサユニット46は、合成樹脂製のセンサホルダ47と、センサ48とを含んで構成されている。センサ48は、磁気検知素子を組み込んだICから成るもので、円柱状(棒状)のホルダ本体部の先端にモールド固定(包埋)されている。
軸受キャップ30は、合成樹脂製で有底円筒状に構成されたキャップ本体31と、キャップ本体31にそれぞれモールド固定された金属環32及びナット33とから構成されている。
キャップ本体31は、合成樹脂を射出成形する事により、全体を有底円筒状に造られており、円環状の樹脂筒部34と、樹脂筒部34の軸方向内端開口部を塞ぐ樹脂底板部35とを備えている。
樹脂筒部34には、金属環32がモールド固定されている。金属環32は、ステンレス鋼板や圧延鋼板等から造られており、断面L字形で全体を円環状に形成されており、円筒部39と、円筒部39の軸方向内端部から径方向外方に折れ曲がった外向フランジ部40とを備えている。円筒部39は、樹脂筒部34の外部に露出している。外向フランジ部40は、樹脂筒部34の内部に埋め込まれている。樹脂筒部34の軸方向外端面である樹脂端面38の内径側部分に、全周に亙る係止溝41を形成し、この係止溝41にOリング42を係止している。
円筒部39の外周面で、外輪2の内周面と直接嵌合する嵌合円筒面27bには、斜めに交わった複数の溝により構成される綾目28が、周方向の全周に亙って設けられている。綾目28を構成する各溝は、弦巻線状で、円筒部39の軸方向外端部に開口し、係止溝41の底面の近傍まで連続して延在する状態で形成されている。綾目28の軸方向内端部は、軸方向に関して樹脂端面38と係止溝41の底面(軸方向内側面)との間部分に位置しており、係止溝41の底面には開口していない。
樹脂底板部35は、全体を略円板状に構成されている。樹脂底板部35の径方向外側となる部分に、他の部分よりも軸方向の肉厚が大きくなった(軸方向両側に向けて膨出した)厚肉部36を設けている。厚肉部36の径方向外側部で、軸方向に関してエンコーダ25と対向する部分に、厚肉部16の軸方向内側のみに開口する有底の挿入孔37が設けられている。挿入孔37には、センサホルダ47のセンサ48を包埋したホルダ本体部が挿入されている。
厚肉部36の径方向内側部に、ナット33をモールド固定している。ナット33は、軸方向外端部に底部を設けた有底円筒状の袋ナットであり、内周面に雌ねじが形成されている。厚肉部36の軸方向内側面は、全体が同一の仮想平面上に位置しており、ナット33の軸方向内端面も、この仮想平面上に位置している。厚肉部36の軸方向外側面も、全体が同一の仮想平面上に位置している。
挿入孔37とナット33との間の部分に、厚肉部36の軸方向外側面にのみ開口した除肉部43を設けている。除肉部43は、軸方向外側から軸方向内側に向けて先細りとなる四角錐台状である。除肉部43を設ける事により、厚肉部36を構成する各部分(挿入孔37及びナット33の周囲部分等)の肉厚を、薄く且つ均一に形成している。これにより、キャップ本体31をアキシャルドロー成形する際の樹脂材料の凝固時間を短くしてラインタクトの向上を図ると共に、ひけ等によるキャップ本体31の変形の防止を図っている。
樹脂底板部35の軸方向外側面に、複数のリブ44を突設している。各リブ44は、樹脂底板部35の径方向中心部から放射方向に伸長する複数の平板状リブと、樹脂底板部35と同軸に配置された円筒状リブと、により構成されている。各平板状リブの外端部は、樹脂筒部34に連結されている。各リブ44により、キャップ本体31の強度を確保すると共に、キャップ本体31を射出成形により造る際の溶融樹脂の流れを改善している。
上述の様な構成を有する軸受キャップ30は、外輪2の軸方向内端開口を塞ぐ状態で、外輪2の軸方向内端部に装着される。具体的には、外輪2とハブ3aと玉6及びシールリング11とを組み立てた状態の密封装置付ハブユニット軸受1aに対して、軸受キャップ30を軸方向内側から圧入する。そして、金属環32を構成する円筒部39を外輪2の内周面に嵌合させた状態で圧入すると、内部空間10内の空気は、嵌合円筒面27bに形成された綾目28を介して外部空間に排気されて、内部空間10の圧力は上昇しない。
さらに、軸受キャップ30を圧入し続けて圧入が完了した状態となると、樹脂端面38が外輪2の軸方向内端面に突き当たって、外輪2に対する軸受キャップ30の軸方向の位置決めが図られると共に、外輪2の軸方向内端面と係止溝41の底面との間で弾性的に圧縮されたOリング42により密封される。
軸受キャップ30には、センサユニット46が支持固定される。センサユニット46を構成するセンサホルダ47のホルダ本体部を挿入孔37に挿入した状態で、センサホルダ47の取付フランジ部に設けた通孔に挿通させたボルト(不図示)を、ナット33に固定している。エンコーダ25に対してセンサ48を、挿入孔37の底部を介在させた状態で近接対向させている。この様な構成により、車輪の回転速度を検出している。
軸受キャップ30を構成する金属環32は、図6に示すようなプレス加工装置を使用して成形される。このプレス加工装置は、移動しないダイ52aに対して軸方向に遠近動するパンチ50aを備えている。
ブライト仕上げの冷間圧延鋼板からブランク53aを打ち抜き、綾目状の複数の突条から成る綾目28aが内径に設けられたダイ52aと板押さえ51aとによりブランク53を保持する。パンチ50aによりバーリング加工を施す事により、円筒部39の外周面をダイ52aの綾目28aに押し付けて、円筒部39に綾目28を転写している。綾目28が転写される範囲を、円筒部39が外輪2と嵌合する嵌合円筒面27bに規制して、軸受キャップ30のモールド成形時に、綾目28を伝わって樹脂が漏れ出す事(フラッシング)を防止している。
尚、金属環32はプレス加工装置によるバーリング加工により成形されるが、その素材となる冷間圧延鋼板の表面仕上げにはダル仕上げとブライト仕上げがある。プレス加工では、素材の表面粗さが悪いとショックライン(パンチがコーナ部の素材を引っ掛け、素材を伸ばしてしまい、その部分が肉痩せして凹む)が発生し易いので、通常はブライト仕上げ材が選択される。本実施形態の場合、ブランク53aの状態で綾目加工を行うとショックラインを起こしやすくなるので、ブライト仕上げのブランク53aによりパンチ50aが接触する側の表面を滑らかにしてショックラインを防止すると共に、ダイ52aの綾目28aをブランク53aに転写している。
以上の様に、本実施形態に係る密封装置付ハブユニット軸受1aによれば、密封装置である軸受キャップ30を圧入する際、綾目28の各溝を介して内部空間10の空気が外部空間に排気されるので、内部空間10の圧力上昇を抑制している。外輪2の軸方向内端面と係止溝41の底面との間に弾性的に圧縮されたOリング42により、軸受キャップ30の密封性を良好に保つ事ができる。
又、金属環32をキャップ本体31にモールド成形する際、綾目28は係止溝41の底面には開口していないので、溶融した樹脂が円筒部39の嵌合円筒面27bにフラッシングを起こす虞もない。
本発明に係わる密封装置付ハブユニット軸受は、自動車の車輪を回転自在に支持する、車輪支持用の密封装置付転がり軸受ユニットとして適用できる。
1,1a 密封装置付ハブユニット軸受
2 外輪
3,3a ハブ
4 外輪軌道
5 内輪軌道
6 玉
8 静止側フランジ
9 回転側フランジ
10 内部空間
11 シールリング
12,12a 組み合わせシールリング
13 芯金
14 弾性材
15a、15b、15c シールリップ
16,16a スリンガ
17、17a シールリング
18 回転側円筒部
19 回転側円輪部
20、20a 芯金
21 弾性材
22a、22b、22c シールリップ
23,23a 静止側円筒部
24 静止側円輪部
25 エンコーダ
26,26a ガスケット部
27,27a,27b 嵌合円筒面
28 綾目
29、29a 段部
30 軸受キャップ
31 キャップ本体
32 金属環
33 ナット
34 樹脂筒部
35 樹脂底板部
36 厚肉部
37 挿入孔
38 樹脂端面
39 円筒部
40 外向フランジ部
41 係止溝
42 Oリング
43 除肉部
44 リブ
45 支持環
46 センサユニット
47 センサホルダ
48 センサ
50,50a パンチ
51,51a 板押さえ
52,52a ダイ
53,53a ブランク
54 中間成形品

Claims (3)

  1. 互いに同心に配置された状態で相対回転する外輪及び内輪と、前記外輪と前記内輪との互いに対向する周面同士の間に存在する内部空間に転動自在に設けられた複数個の転動体と、前記内部空間の端部開口を塞ぐ、密封装置とを備え、
    前記密封装置は、金属板製で、プレス加工により全体を円環状に構成し、前記外輪の周面に嵌合固定される嵌合円筒面を有し、前記嵌合円筒面と前記外輪の周面との間を水密とする弾性材を備える密封装置付ハブユニット軸受に於いて、
    空気が通過可能な程度に粗い綾目状の溝が、前記嵌合円筒面に設けられている事を特徴とする密封装置付ハブユニット軸受。
  2. 前記密封装置は、スリンガとシールリングとを有する組み合わせシールリングであり、
    前記スリンガは、前記内輪の周面に嵌合固定され、
    前記シールリングは、金属板製で円環状の芯金と、前記スリンガに摺接するシールリップを有する弾性材とを備え、
    前記芯金は、断面L字形で、前記外輪の周面に嵌合固定される前記嵌合円筒面を有しており、
    前記弾性材は、前記静止側円筒部の軸受外部側の周面を被覆して、前記外輪の周面との間を密封する請求項1に記載の密封装置付ハブユニット軸受の製造方法であって、
    ブランク材の片面で、前記嵌合円筒面となる部分に前記綾目状の溝を形成した後、絞り加工を施す事を特徴とする密封装置付ハブユニット軸受の製造方法。
  3. 前記密封装置は、合成樹脂により有底円筒状に形成されたキャップ本体と、金属環と、Oリングと、を有する軸受キャップであり、
    前記キャップ本体は、円環状の樹脂筒部と、前記樹脂筒部の開口部を塞ぐ樹脂底板部とを有しており、
    前記金属環は、前記樹脂筒部にモールド固定され、前記外輪の周面に嵌合固定される前記嵌合円筒面を有しており、
    前記Oリングは、前記外輪の軸方向端面と前記樹脂筒部の軸方向端面との間を密封する請求項1に記載の密封装置付ハブユニット軸受の製造方法であって、
    プレス加工のダイに形成した綾目状の突条を、前記嵌合円筒面に転写する事を特徴とする密封装置付ハブユニット軸受の製造方法。
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