JP2019100384A - 密封装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】軸に対する摺動抵抗を増加させることなく密封対象物の静止漏れを防止することができる密封装置を提供する。【解決手段】密封装置1は密封装置本体2とスリンガ3とを備え、密封装置本体2は補強環10と弾性体部20とを備え、スリンガ3は外周側に向かって延びる環状のフランジ部31を有している。弾性体部20は、内側に向かって延びる、フランジ部31の外側面31dに接触する環状の端面リップ21を有している。スリンガ3のフランジ部31の外側面31には、溝33が複数形成されており、フランジ部31の外側面31の端面リップ21が接触する部分であるリップ接触部32において、形成される溝33の数が少なくなっており、また、溝33のピッチpが狭くなっている。【選択図】 図1

Description

本発明は、軸とこの軸が挿入される孔との間の密封を図るための密封装置に関する。
車両や汎用機械等において、例えば潤滑油等の密封対象物の漏洩の防止を図るために、軸とこの軸が挿入される孔との間を密封するために従来から密封装置が用いられている。このような密封装置においては、シールリップを軸に又は軸に取りけられる環状部材に接触させることにより軸と密封装置との間の密封を図っている。このような密封装置の中には、端面接触型と言われているものがある。端面接触型の密封装置は、軸に取り付けられたスリンガに軸に沿って延びるシールリップを接触させることにより密封対象物の漏洩の防止を図っている。
従来の端面接触型の密封装置には、シールリップが接触するスリンガに溝を設け、スリンガの回転時の溝のポンプ作用により、大気側の空気と一緒に油等の密封対象物を密封対象物側へ送ることによりシール性を向上させたものがある。このような従来の端面接触型の密封装置においては、上述のように、スリンガの回転時はポンプ作用により、滲み出た密封対象物を密封対象物側へ戻すことができるが、スリンガの停止時は、スリンガの溝と端面リップとの間に形成される隙間から密封対象物が漏れ出てしまう、所謂静止漏れが発生してしまう場合がある。
この静止漏れを防止するため、従来の端面接触型の密封装置には、シールリップの内周側にスリンガに接触するシールリップを更に設けて、外周側のシールリップにおいて発生した静止漏れにより滲み出た密封対象物の更なる外部への漏洩の防止を図っているものがある(例えば、特許文献1参照。)。
実開平4−88773号公報
このような従来の端面接触型の密封装置においては、上述のように、内周側のシールリップによって静止漏れの防止を図っているが、スリンガに2つのシールリップが接触しており、スリンガの回転時に軸に対する摺動抵抗が上昇してしまう。近年、車両等の低燃費化の要求から、密封装置には、軸に対する摺動抵抗の低減が求められており、端面接触型の密封装置に対しては、静止漏れを防止しつつ軸に対する摺動抵抗の低減を図ることができる構造が求められている。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、軸に対する摺動抵抗を増加させることなく密封対象物の静止漏れを防止することができる密封装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明に係る密封装置は、軸と該軸が挿入される孔との間の環状の隙間の密封を図るための密封装置であって、前記孔に嵌着される密封装置本体と、前記軸に取り付けられるスリンガとを備え、前記密封装置本体は、軸線周りに環状の補強環と、該補強環に取り付けられている弾性体から形成されている軸線周りに環状の弾性体部とを有しており、前記スリンガは、外周側に向かって延びる前記軸線周りに環状の部分であるフランジ部を有しており、前記弾性体部は、軸線方向において一方の側に向かって延びる、前記フランジ部の前記軸線方向において他方の側の面に接触する前記軸線周りに環状のリップである端面リップを有しており、前記スリンガの前記フランジ部の前記他方の側の面には、溝が複数形成されており、前記フランジ部の前記他方の側の面の前記端面リップが接触する部分において、前記形成される溝の数が少なくなっており、前記溝のピッチが狭くなっていることを特徴とする。
本発明の一態様に係る密封装置において、前記フランジ部の前記他方の側の面の前記端面リップが接触する部分よりも内周側の部分に複数の前記溝が形成されており、該内周側の部分に形成される前記複数の溝の一部が前記端面リップが接触する部分を超えて外周側に延びており、前記フランジ部の前記他方の側の面の前記端面リップが接触する部分よりも外周側の部分には、少なくとも1つの他の前記溝が形成されている。
本発明の一態様に係る密封装置において、前記溝は螺旋状に延びている。
本発明の一態様に係る密封装置において、前記端面リップが接触する部分には、一条螺旋状の前記溝又は多条螺旋状の前記溝が形成されている。
本発明の一態様に係る密封装置において、前記内周側の部分から前記端面リップが接触する部分を超えて前記外周側の部分に延びる前記溝のリードは、前記内周側の部分及び前記外周側の部分よりも前記端面リップが接触する部分において狭くなっている。
本発明に係る密封装置によれば、軸に対する摺動抵抗を増加させることなく密封対象物の静止漏れを防止することができる。
本発明の実施の形態に係る密封装置の概略構成を示すための軸線に沿う断面における断面図である。 本発明の実施の形態に係る密封装置の軸線に沿う断面の一部を拡大して示す部分拡大断面図である。 本発明の実施の形態に係る密封装置におけるスリンガを外側から見た側面図である。 図3に示すスリンガのリップ接触部の部分の近傍を拡大して示すスリンガの部分拡大側面図である。 本発明の実施の形態に係る密封装置におけるスリンガの一具体例を外側から見た側面図である。 図5に示すスリンガのリップ接触部の部分の近傍を拡大して示すスリンガの部分拡大側面図である。 本発明の実施の形態に係る密封装置が取付対象としてのハウジング及びこのハウジングに形成された貫通孔である軸孔に挿入された軸に取り付けられた使用状態における密封装置の部分拡大断面図である。 本発明の実施の形態に係る密封装置におけるスリンガの他の具体例を外側から見た側面図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る密封装置1の概略構成を示すための軸線xに沿う断面における断面図であり、図2は、本発明の実施の形態に係る密封装置1の軸線xに沿う断面の一部を拡大して示す部分拡大断面図である。
本実施の形態に係る密封装置1は、軸とこの軸が挿入される孔との間の環状の隙間の密封を図るための密封装置であり、車両や汎用機械において、軸とハウジング等に形成されたこの軸が挿入される孔(軸孔)との間を密封するために用いられる。例えば、エンジンのクランクシャフトとフロントカバーやシリンダブロック及びクランクケースに形成されている軸孔であるクランク孔との間の環状の空間を密封するために用いられる。なお、本発明の実施の形態に係る密封装置1が適用される対象は、上記に限られない。
以下、説明の便宜上、軸線x方向において矢印a(図1参照)方向(軸線方向において一方の側)を内側とし、軸線x方向において矢印b(図1参照)方向(軸線方向において他方の側)を外側とする。より具体的には、内側とは、密封対象空間の側(密封対象物側)であり潤滑油等の密封対象物が存在する空間の側であり、外側とは内側とは反対の側である。また、軸線xに垂直な方向(以下、「径方向」ともいう。)において、軸線xから離れる方向(図1の矢印c方向)を外周側とし、軸線xに近づく方向(図1の矢印d方向)を内周側とする。
図1に示すように、密封装置1は、後述する取付対象としての孔に嵌着される密封装置本体2と、後述する取付対象としての軸に取り付けられるスリンガ3とを備えている。密封装置本体2は、軸線x周りに環状の補強環10と、補強環10に取り付けられている弾性体から形成されている軸線x周りに環状の弾性体部20とを備えている。スリンガ3は、外周側(矢印c方向)に向かって延びる軸線x周りに環状の部分であるフランジ部31を有している。弾性体部20は、軸線x方向において一方の側(内側、矢印a方向側)に向かって延びる、フランジ部31の軸線x方向において他方の側(外側、矢印b方向側)の面(外側面31d)に接触する軸線x周りに環状のリップである端面リップ21を有している。スリンガ3のフランジ部31の外側面31dには、溝33が複数形成されている。フランジ部31の外側面31dの端面リップ21が接触する部分であるリップ接触部32において、形成される溝33の数が少なくなっており、また、溝33のピッチpが狭くなっている。以下、密封装置1の密封装置本体2及びスリンガ3の各構成について具体的に説明する。
密封装置本体2において補強環10は、図1、2に示すように、軸線xを中心又は略中心とする環状の金属製の部材であり、後述するハウジングの軸孔に密封装置本体2が圧入されて嵌合されて嵌着されるように形成されている。補強環10は、例えば、外周側に位置する筒状の部分である筒部11と、筒部11の外側の端部から内周側に延びる中空円盤状の部分である円盤部12と、円盤部12の内周側の端部から内側且つ内周側へ延びる円錐筒状の環状の部分である錐環部13と、錐環部13の内側又は内周側の端部から内周側へ径方向に延びて補強環10の内周側の端部に至る中空円盤状の部分である円盤部14とを有している。補強環10の筒部11は、より具体的には、外周側に位置する円筒状又は略円筒状の部分である外周側円筒部11aと、外周側円筒部11aよりも外側及び内周側において延びる円筒状又は略筒状の部分である内周側円筒部11bと、外周側円筒部11aと内周側円筒部11bとを接続する部分である接続部11cとを有している。筒部11の外周側円筒部11aは、密封装置本体2が後述するハウジング50(図3)の軸孔51に嵌着された際に、密封装置本体2の軸線xと軸孔51の軸線との一致が図られるように、軸孔51に嵌め込まれる。補強環10には、略外周側及び外側から弾性体部20が取り付けられており、補強環10により弾性体部20を補強している。
弾性体部20は、図1,2に示すように、補強環10の円盤部14の内周側の端の部分に取り付けられている部分である基体部25と、補強環10の筒部11に外周側から取り付けられている部分であるガスケット部26と、基体部25とガスケット部26との間において外側から補強環10に取り付けられている部分である後方カバー部27とを有している。ガスケット部26は、より具体的には、図2に示すように、補強環10の筒部11の内周側円筒部11bに取り付けられている。また、ガスケット部26の外径は、後述する軸孔51の内周面51a(図7参照)の径よりも大きくなっている。このため、密封装置本体2が後述する軸孔51に嵌着された場合、ガスケット部26は、補強環10の内周側円筒部11bと軸孔51との間で径方向に圧縮され、軸孔51と補強環10の内周側円筒部11bとの間を密封する。これにより、密封装置本体2と軸孔51との間が密封される。ガスケット部26は、軸線x方向全体に亘って外径が軸孔51の内周面の径よりも大きくなっていなくてもよく、一部において外径が軸孔51の内周面の径よりも大きくなっていてもよい。例えば、ガスケット部26の外周側の面に、先端の径が軸孔51の内周面51aの径よりも大きい環状の凸部が形成されていてもよい。
また、弾性体部20において、端面リップ21は、軸線xを中心又は略中心として円環状に基体部25から内側(矢印a方向)に向かって延びている。密封装置1が取付対象において所望の位置に取り付けられた使用状態において、端面リップ21は、端面リップ21の内周側の面である内周面22のスリンガ接触部23が所定の締め代を持ってスリンガ3のフランジ部31に外側から接触するように形成されている。端面リップ21は、例えば、軸線x方向において内側(矢印a方向)に向かうに連れて拡径する円錐筒状の形状を有している。つまり、図1,2に示すように、端面リップ21は、軸線xに沿う断面(以下、単に断面ともいう。)において、基体部25から内側及び外周側に、軸線xに対して斜めに延びている。
また、弾性体部20は、ダストリップ28と中間リップ29とを有している。ダストリップ28は、基体部25から軸線xに向かって延びるリップであり、軸線xを中心又は略中心として円環状に基体部25から延びており、後述する密封装置1の使用状態において、先端部が所定の締め代を持ってスリンガ3に外周側から接触するように形成されている。ダストリップ28は、例えば、軸線x方向において外側(矢印b方向)に向かうに連れて縮径する円錐筒状の形状を有している。ダストリップ28は、使用状態において、密封対象物側とは反対側である外側からダストや水分等の異物が密封装置1の内部に侵入することの防止を図っている。ダストリップ28は、密封装置1の使用状態においてスリンガ3と接触しないように形成されていてもよい。
中間リップ29は、図2に示すように、基体部25から断面略L字型に内側へ向かって延びるリップであり、軸線x方向を中心または略中心として円環状に基体部25から延びており、基体部25との間に内側に向かって開放する環状の凹部を形成している。中間リップ29は、密封装置1の使用状態においてスリンガ3と接触していない。中間リップ29は、使用状態において、端面リップ21がスリンガ3に接触するスリンガ接触部23を越えて密封対象物が内部に滲み入った場合に、この滲み入った密封対象物がダストリップ28側へ流れ出すことの防止を図るために形成されている。中間リップ29は、他の形状であってもよく、例えば軸線x方向において内側に向かうに連れて縮径する円錐筒状の形状を有していてもよい。中間リップ29は、その先端がスリンガ3に接触するように形成されていてもよい。
上述のように、弾性体部20は、端面リップ21、基体部25、ガスケット部26、後方カバー部27、ダストリップ28、及び中間リップ29を有しており、各部分は一体となっており、弾性体部20は同一の材料から一体に形成されている。なお、弾性体部20の形状は、上述の形状に限られず、適用対象に応じて種々の形状とすることができる。
上述の補強環10は、金属材から形成されており、この金属材としては、例えば、ステンレス鋼やSPCC(冷間圧延鋼)がある。また、弾性体部20の弾性体としては、例えば、各種ゴム材がある。各種ゴム材としては、例えば、ニトリルゴム(NBR)、水素添加ニトリルゴム(H−NBR)、アクリルゴム(ACM)、フッ素ゴム(FKM)等の合成ゴムである。
補強環10は、例えばプレス加工や鍛造によって製造され、弾性体部20は成形型を用いて架橋(加硫)成形によって成形される。この架橋成形の際に、補強環10は成形型の中に配置されており、弾性体部20が架橋接着により補強環10に接着され、弾性体部20と補強環10とが一体的に成形される。
スリンガ3は、後述する密封装置1の使用状態において軸に取り付けられる環状の部材であり、軸線xを中心又は略中心とする円環状の部材である。スリンガ3は、断面が略L字状の形状を有しており、フランジ部31と、フランジ部31の内周側の端部に接続する軸線x方向に延びる筒状又は略筒状の筒部34とを有している。
フランジ部31は、具体的には、筒部34から径方向に延びる中空円盤状の又は略中空円盤状の内周側円盤部31aと、内周側円盤部31aよりも外周側において広がっている径方向に延びる中空円盤状の又は略中空円盤状の外周側円盤部31bと、内周側円盤部31aの外周側の端部と外周側円盤部31bの内周側の端部とを接続する接続部31cとを有している。外周側円盤部31bは、内周側円盤部31aよりも軸線x方向において外側に位置している。なお、フランジ部31の形状は、上述の形状に限られるものではなく、適用対象に応じて種々の形状とすることができる。例えば、フランジ部31は、内周側円盤部31a及び接続部31cを有しておらず、外周側円盤部31bが筒部34まで延びており筒部34に接続しており、筒部34から径方向に延びる中空円盤状の又は略中空円盤状の部分であってもよい。
スリンガ3が端面リップ21に接触する部分であるリップ接触部32は、フランジ部31において、外周側円盤部31bの外側に面する面である外側面31dに位置されている。外側面31dは径方向に広がる平面に沿う面であることが好ましい。
上述のように、スリンガ3の外側面31dには、溝33が複数形成されている。フランジ部31のリップ接触部32に形成される溝33の数は、フランジ部31のリップ接触部32ではない部分に形成される溝33の数よりも少なくなっている。また、フランジ部31のリップ接触部32における溝33のピッチpは、フランジ部31のリップ接触部32ではない部分における溝33のピッチpよりも狭くなっている。
図3は、本発明の実施の形態に係る密封装置1におけるスリンガ3を外側から見た側面図であり、図4は、図3に示すスリンガ3のリップ接触部32の部分の近傍を拡大して示すスリンガ3の部分拡大側面図である。図3,4に示すように、フランジ部31の外側面31dのリップ接触部32よりも内周側の部分であるフランジ内周面36に複数の溝33が形成されており、フランジ内周面36に形成されている複数の溝33の一部がリップ接触部32を超えて外周側に延びている。そして、フランジ部31の外側面31dのリップ接触部32よりも外周側の部分であるフランジ外周面37には、フランジ内周面36からリップ接触部32を超えて延びている溝33に加えて、少なくとも1つの他の溝33が形成されている。つまり、フランジ内周面36には複数の溝331−1〜1−hが形成されており(hは2以上の自然数)、フランジ外周面37には複数の溝332−1〜2−iが形成されており(iは2以上の自然数)、リップ接触部32には少なくとも1つの溝333−1〜3−j(jは1以上の自然数)が形成されており、フランジ内周面36にはh個の溝33が、フランジ外周面37にはi個の溝33が、リップ接触部32にはj個の溝33が形成されている。
上述のように、リップ接触部32に形成されている溝33の数は、フランジ内周面36及びフランジ外周面37に夫々形成されている溝33の数よりも少ない(j<h及びj<i)。また、リップ接触部32の溝333−1〜3−jは、夫々、フランジ内周面36の溝331−1〜1−hのいずれか及びフランジ外周面37の溝332−1〜2−iのいずれかに両端で連通しており、j個の溝33が、フランジ内周面36、リップ接触部32、及びフランジ外周面37に亘って延びている。
フランジ内周面36において、溝331−1〜1−hは、周方向に等角度間隔又は略等角度間隔に並んでおり、隣接する溝33の間の距離であるピッチpはp=p1となっている。また、溝331−1〜1−hは、例えば、番号1−1〜1−hの順番で周方向に並んでいる。フランジ内周面36の各溝33は、例えば軸線x周りに螺旋状(渦巻状)に延びており、内周側から外周側に向かってスリンガ3の回転方向とは反対方向に傾斜して延びている。フランジ内周面36の各溝33はフランジ内周面36上を、1周以上旋回していてもよく、1周旋回していなくてもよい。また、フランジ内周面36の溝33は、例えば、夫々同じ又は略同じ形状であり、多条螺旋状の溝である。
フランジ外周面37において、溝332−1〜2−iは、周方向に等角度間隔又は略等角度間隔に並んでおり、隣接する溝33の間の距離であるピッチpはp=p2となっている。また、溝332−1〜2−iは、例えば、番号2−1〜2−iの順番で周方向に並んでいる。フランジ外周面37の各溝33は、例えば軸線x周りに螺旋状(渦巻状)に延びており、内周側から外周側に向かってスリンガ3の回転方向とは反対方向に傾斜して延びている。フランジ外周面37の各溝33はフランジ外周面37上を、1周以上旋回していてもよく、1周旋回していなくてもよい。また、フランジ外周面37の溝33は、例えば、夫々同じ又は略同じ形状であり、多条螺旋状の溝である。
リップ接触部32において、溝333−1〜3−jは、フランジ内周面36やフランジ外周面37に形成された溝33と同様に、周方向に等角度間隔又は略等角度間隔に並んでおり、隣接する溝33の間の距離であるピッチpはp=p3となっている。また、溝331−1〜1−jは、例えば、番号3−1〜3−jの順番で周方向に並んでいる。リップ接触部32の溝33のピッチp3は、フランジ内周面36の溝33のピッチp1よりも狭くなっており(p3<p1)、また、フランジ外周面37の溝33のピッチp2よりも狭くなっている(p3<p2)。リップ接触部32に1つだけ溝333−1(j=1)が成されている場合は、ピッチp3は溝333−1のリードと同じ値となる。リップ接触部32の各溝33は、例えば軸線x周りに螺旋状(渦巻状)に延びており、内周側から外周側に向かってスリンガ3の回転方向とは反対方向に傾斜して延びている。リップ接触部32の各溝33はリップ接触部32上を、1周以上旋回していてもよく、1周旋回していなくてもよい。例えば、リップ接触部32の各溝33は幾重にか旋回してそのリードがフランジ内周面36及びフランジ外周面37の溝33のリードよりも狭くなるようになっている。また、リップ接触部32の溝33は、例えば、夫々同じ又は略同じ形状であり、一条螺旋状の溝又は多条螺旋状の溝である。
例えば、図5に示すように、フランジ内周面36には4つの溝331−1〜1−4が形成されており、フランジ外周面37には4つの溝332−1〜2−4が形成されており、リップ接触部32には1つの溝333−1が形成されている。また、リップ接触部32の溝333−1は、フランジ内周面36のいずれか1つの溝331−mに内周側の端部において連通しており、フランジ外周面37のいずれか1つの溝332−mに外周側の端部において連通している。つまり、溝331−m、溝333−1、及び溝332−mは、フランジ部31の外側面31dにおいて、内周側(フランジ内周面36)からリップ接触部32を超えて外周側(フランジ外周面37)まで延びる1つの溝となっている。なお、上述のmは自然数であり1〜4のいずれかであり、夫々フランジ内周面36及びフランジ外周面37の4つの溝33のいずれかを示している。図5,6に示す具体例においては、m=3である。
リップ接触部32には溝33が1つのみ(溝333−1)形成されているが、溝333−1は複数周旋回しており、リップ接触部32の溝333−1のピッチp3(リード)は、フランジ内周面36の溝33のピッチp1よりも狭くなっており、また、フランジ外周面37の溝33のピッチp32よりも狭くなっている。
上述の構成を有する密封装置1の作用について説明する。図7は、密封装置1が取付対象としてのハウジング50及びこのハウジング50に形成された貫通孔である軸孔51に挿入された軸52に取り付けられた使用状態における密封装置1の部分拡大断面図である。ハウジング50は、例えばエンジンのフロントカバー、又はシリンダブロック及びクランクケースであり、軸孔51は、フロントカバー、又はシリンダブロック及びクランクケースに形成されたクランク孔である。また、軸52は、例えば、クランクシャフトである。
図7に示すように、密封装置1の使用状態において、密封装置本体2は軸孔51に圧入されて軸孔51に嵌着されており、スリンガ3は軸52に締り嵌めされて軸52に取り付けられている。より具体的には、補強環10の外周側円筒部11aが軸孔51の内周面51aに接触して、密封装置本体2の軸孔51に対する軸心合わせが図られ、また、弾性体部20のガスケット部26が軸孔51の内周面51aと補強環10の内周側円筒部11bとの間で径方向に圧縮されてガスケット部26が軸孔51の内周面51aに密着して、密封装置本体2と軸孔51との間の密封が図られている。また、スリンガ3の円筒部35が軸52に圧入され、円筒部35の内周面35aが軸52の外周面52aに密着し、軸52にスリンガ3が固定されている。
密封装置1の使用状態において、弾性体部20の端面リップ21が、内周面22の先端21a側の部分であるスリンガ接触部23において、スリンガ3のフランジ部31の外周側円盤部31bの外側面31dの部分であるリップ接触部32に接触するように、密封装置本体2とスリンガ3との間の軸線x方向における相対位置が決められている。端面リップ21とフランジ部31との接触により、密封装置本体2とスリンガ3との間の密封が図られており、密封対象物側からの密封対象物の漏洩の防止が図られている。また、ダストリップ28は先端側の部分においてスリンガ3の筒部34に外周側から接触している。ダストリップ28は、例えば、スリンガ3の円筒部35の外周面35bに接触している。
また、密封装置1の使用状態において、スリンガ3のフランジ部31の外周側円盤部31bに形成された複数の溝33は、軸52(スリンガ3)が回転した場合にポンプ作用をもたらす。軸52(スリンガ3)の回転により、フランジ部31と端面リップ21との間の空間である挟空間Sにおいて、スリンガ接触部23及びリップ接触部32近傍の領域に溝33に基づきポンプ作用が生じる。このポンプ作用により、密封対象物側から密封対象物が挟空間Sに滲み出た場合であっても、滲み出た密封対象物が挟空間Sからスリンガ接触部23及びリップ接触部32を越えて密封対象物側に戻される。このように、スリンガ3のフランジ部31に形成された溝33が生ずるポンプ作用により、挟空間Sへの密封対象物の滲み出が抑制されている。
また、上述のように、溝33の一部は、端面リップ21が接触するスリンガ3の部分であるリップ接触部32を内周側と外周側との間で交差しており、互いに接触するスリンガ接触部23とリップ接触部32との間に、溝33によって内周側と外周側との間に延びる隙間が形成される。このため、軸52が静止している、つまりスリンガ3が静止している密封装置1の静止状態において、溝33を通って密封対象物側から密封対象物が滲み出てくる静止漏れが発生すると懸念される。しかし、本密封装置1において、上述のようにリップ接触部32に形成された溝33の数は、フランジ内周面36に形成された溝33の数より少なく、また、フランジ外周面37に形成された溝33の数より少なくなっている。また、リップ接触部32に形成された溝33のピッチp3は、フランジ内周面36に形成された溝33のピッチp1より狭く、また、フランジ外周面37に形成された溝33のピッチp2より狭くなっている。このように、リップ接触部32には、少ない数の溝33の各々が幾重にか旋回してピッチを狭いピッチp3にしており、スリンガ3の静止時に端面リップ21がリップ接触部32の溝33の中に入り込みやすくなっている。このため、スリンガ3の静止時に、端面リップ21が溝33の中に入り込み、溝33を塞ぎ、静止漏れを防ぐことができる。
一方、フランジ内周面36及びフランジ外周面37には、多数の溝33が形成されているので、リップ接触部32の溝33の数が少なくても、フランジ内周面36及びフランジ外周面37の溝33が補い、スリンガ3の回転時に溝33が発生するポンプ作用の低減を抑制することができる。
このように、密封装置1によれば、スリンガ3の溝33によるポンプ作用の低減を防止しつつ、静止漏れの防止を図ることができる。また、スリンガ3に対する摺動抵抗を増加させることはない。
なお、リップ接触部32の溝333−1に連結するフランジ内周面36の溝33(溝331−3)は、図8に示すように、内周側に向かってフランジ内周面36の途中まで延びていてもよい。また、リップ接触部32の溝333−1に連結するフランジ外周面37の溝33(溝332−3)も同様に、図8に示すように、外周側に向かってフランジ外周面37の途中まで延びていてもよい。また、リップ接触部32は使用状態における端面リップ21の振れ(変位)を考慮した幅になっていてもよい。
上述のように、本発明の実施の形態に係る密封装置1によれば、軸に対する摺動抵抗を増加させることなく密封対象物の静止漏れを防止することができる。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に係る密封装置1に限定されるものではなく、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題及び効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせてもよい。また、例えば、上記実施の形態における各構成要素の形状、材料、配置、サイズ等は、本発明の具体的使用態様によって適宜変更され得る。
また、本実施の形態に係る密封装置1は、エンジンのクランク孔に適用されるものとしたが、本発明に係る密封装置の適用対象はこれに限られるものではなく、他の車両や汎用機械、産業機械等、本発明の奏する効果を利用し得るすべての構成に対して、本発明は適用可能である。
1…密封装置、2…密封装置本体、3…スリンガ、10…補強環、11…筒部、11a…外周側円筒部、11b…内周側円筒部、11c…接続部、12…円盤部、13…錐環部、14…円盤部、20…弾性体部、21…端面リップ、21a…先端、22…内周面、23…スリンガ接触部、25…基体部、26…ガスケット部、27…後方カバー部、28…ダストリップ、29…中間リップ、31…フランジ部、31a…内周側円盤部、31b…外周側円盤部、31c…接続部、31d…外側面、32…リップ接触部、33(331−1〜1−h,332−1〜2−i,〜333−1〜3−j)…溝、34…筒部、35…円筒部、35a…内周面、35b…外周面、36…フランジ内周面、37…フランジ外周面、50…ハウジング、51…軸孔、51a…内周面、52…軸、52a…外周面、p1,p2,p3…ピッチ、S…挟空間、x…軸線

Claims (5)

  1. 軸と該軸が挿入される孔との間の環状の隙間の密封を図るための密封装置であって、
    前記孔に嵌着される密封装置本体と、
    前記軸に取り付けられるスリンガとを備え、
    前記密封装置本体は、軸線周りに環状の補強環と、該補強環に取り付けられている弾性体から形成されている軸線周りに環状の弾性体部とを有しており、
    前記スリンガは、外周側に向かって延びる前記軸線周りに環状の部分であるフランジ部を有しており、
    前記弾性体部は、軸線方向において一方の側に向かって延びる、前記フランジ部の前記軸線方向において他方の側の面に接触する前記軸線周りに環状のリップである端面リップを有しており、
    前記スリンガの前記フランジ部の前記他方の側の面には、溝が複数形成されており、
    前記フランジ部の前記他方の側の面の前記端面リップが接触する部分において、前記形成される溝の数が少なくなっており、前記溝のピッチが狭くなっていることを特徴とする密封装置。
  2. 前記フランジ部の前記他方の側の面の前記端面リップが接触する部分よりも内周側の部分に複数の前記溝が形成されており、該内周側の部分に形成される前記複数の溝の一部が前記端面リップが接触する部分を超えて外周側に延びており、前記フランジ部の前記他方の側の面の前記端面リップが接触する部分よりも外周側の部分には、少なくとも1つの他の前記溝が形成されていることを特徴とする請求項1記載の密封装置。
  3. 前記溝は螺旋状に延びていることを特徴とする請求項1又は2記載の密封装置。
  4. 前記端面リップが接触する部分には、一条螺旋状の前記溝又は多条螺旋状の前記溝が形成されていることを特徴とする請求項3記載の密封装置。
  5. 前記内周側の部分から前記端面リップが接触する部分を超えて前記外周側の部分に延びる前記溝のリードは、前記内周側の部分及び前記外周側の部分よりも前記端面リップが接触する部分において狭くなっていることを特徴とする請求項3又は4記載の密封装置。
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