JP2018123818A - 車両用ベーンポンプ - Google Patents
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Abstract
【課題】サイドプレートにヒゲ溝を備えるベーンポンプにおいて、オイルを所定圧へ昇圧するのに必要な回転数を抑制するとともに、吐出油路からポンプ室へのヒゲ溝を介したオイルの逆流によるエロージョンの発生および異音の発生を抑制する。【解決手段】ベーンポンプ10によれば、アウタサイドプレート22は、ロータ24の回転方向に向って先端程細くなり、吐出ポート56a,56bへのオイルの連通路を形成する第1ヒゲ溝74a,74bおよび第2ヒゲ溝76a,76bと、それらよりロータ24の回転方向の上流側においてベーン背圧溝48からロータ24の外周側へ向かうプレート側昇圧溝80a,80bとを備え、プレート側昇圧溝80a,80bとロータ24の外周縁から回転中心軸C側へ向って形成されたロータ側昇圧溝82との位相が一致した際、隣接ポンプ室78a,78bとベーン背圧溝48とが連通される。【選択図】図4
Description
本発明は、サイドプレートにヒゲ溝を備える車両用ベーンポンプにおいて、オイルを所定圧へ昇圧するまでに必要な回転数を抑制するとともに、吐出油路からポンプ室へのヒゲ溝を介したオイルの逆流によるエロージョンの発生および異音の発生を抑制する技術に関する。
周方向に所定の間隔で複数のベーン溝が設けられて回転中心軸まわりに回転駆動される円柱状のロータと、前記複数のベーン溝内に径方向の移動可能に保持された複数枚のベーンと、前記複数枚のベーンの先端が摺接する内周面を有して位置固定に設けられた筒状のカムリングと、隣り合うベーンによりそれぞれ区画される複数のポンプ室と、前記カムリングの側部に配置され、前記ポンプ室のうちの前記ロータの回転に伴って容積が増加するポンプ室にオイルを供給する供給油路、前記ポンプ室のうちの前記ロータの回転に伴って容積が減少するポンプ室内のオイルを吐出する吐出油路、および前記複数のベーン溝の前記回転中心軸側の端部に連通し、前記吐出油路内のオイルを前記ベーンの前記回転中心軸側の端面に作用させる環状のベーン背圧溝が形成され、前記ロータの端面に摺接させられるサイドプレートと、を備える車両用ベーンポンプが知られている。このような車両用ベーンポンプでは、前記ロータの回転に伴って容積が減少するポンプ室がそれよりも高圧の前記吐出油路と連通するときの前記ポンプ室と前記吐出油路との圧力差が大きいことに起因した圧力脈動による異音の発生が問題となっていた。この圧力脈動による異音の発生を抑制することを目的として、前記ロータの回転方向の上流側へ向って先端程細くなるように形成されたヒゲ溝がサイドプレートに設けられた車両用ベーンポンプが提案されている。たとえば、特許文献1の車両用ベーンポンプがそれである。ロータの回転に伴って容積が減少するポンプ室がヒゲ溝に連通すると、高圧の吐出油路からヒゲ溝を通じてポンプ室へオイルが移動するので、ポンプ室と吐出油路とが連通する際のポンプ室内のオイルの油圧変化が抑制されて、異音の発生が低減される。
ところで、サイドプレートにヒゲ溝が設けられた車両用ベーンポンプでは、吐出油路とポンプ室との圧力差が大きいと、吐出油路からポンプ室へとヒゲ溝内を逆流するオイルの流速が大きくなり、ヒゲ溝内が負圧となってキャビティ(真空の空洞)が発生し、それによるエロージョン(浸食)が発生する可能性があった。このため、特許文献1の車両用ベーンポンプでは、ヒゲ溝の溝断面形状の底部が半円状とされて、上記溝断面形状において十分な速度でオイルが流れることができる有効断面積が大きくされている。これにより、吐出油路からポンプ室へのヒゲ溝内を逆流するオイルの流速が大きくなることが抑制されて、エロージョンの発生が抑制されている。
しかしながら、ロータの回転により容積が減少する所定のポンプ室を区画する2つのベーンのうちのロータの回転方向の下流側のベーンがヒゲ溝を周方向に通過するロータの回転角度の間、オイルがヒゲ溝を通じて吐出油路からポンプ室へと逆流するため、たとえば特許文献1の車両用ベーンポンプのようにヒゲ溝の上記溝断面形状の断面積を大きくすると、オイルの逆流量が大きくなる。このため、ポンプ室から吐出油路へのオイルの吐出量に対する吐出油路からポンプ室へのオイルの逆流量の比率が大きくなる分、ベーンポンプの仕事が減少し、効率が低下するという問題が生じる可能性があった。この結果、オイルを所定圧へ昇圧するまでに必要な回転数が増加してしまう可能性があった。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、サイドプレートにヒゲ溝を備えるベーンポンプにおいて、オイルを所定圧へ昇圧するまでに必要な回転数を抑制するとともに、吐出油路からポンプ室へのヒゲ溝を介したオイルの逆流によるエロージョンの発生および異音の発生を抑制することにある。
本発明の要旨とするところは、周方向に所定の間隔で複数のベーン溝が設けられて回転中心軸まわりに回転駆動される円柱状のロータと、前記複数のベーン溝内に径方向の移動可能に保持された複数枚のベーンと、前記複数枚のベーンの先端が摺接する内周面を有して位置固定に設けられた筒状のカムリングと、隣り合うベーンによりそれぞれ区画される複数のポンプ室と、前記カムリングの側部に配置され、前記ポンプ室のうちの前記ロータの回転に伴って容積が増加するポンプ室にオイルを供給する供給油路と、前記ポンプ室のうちの前記ロータの回転に伴って容積が減少するポンプ室内のオイルを吐出する吐出油路と、前記複数のベーン溝の前記回転中心軸側の端部に連通し、前記吐出油路内のオイルを前記ベーンの前記回転中心軸側の端面に作用させる環状のベーン背圧溝とが形成され、前記ロータの端面に摺接させられるサイドプレートと、を備える車両用ベーンポンプであって、前記サイドプレートは、前記ロータの回転方向上流側に向って先端程細くなるように形成され、前記吐出油路へのオイルの連通路を形成するヒゲ溝と、前記ベーン背圧溝から前記ロータの外周側へ向って形成され、前記ヒゲ溝に沿った所定部位より前記ロータの回転方向上流側に位置させられたプレート側昇圧溝と、を備え、前記ロータは、前記ロータの外周縁から前記回転中心軸側へ向って形成されたロータ側昇圧溝を備え、前記プレート側昇圧溝と前記ロータ側昇圧溝とは、位相が一致した際、前記ポンプ室と前記ベーン背圧溝とを連通させることにある。
本発明によれば、前記サイドプレートは、前記ロータの回転方向上流側に向って先端程細くなるように形成され、前記吐出油路へのオイルの連通路を形成するヒゲ溝と、前記ベーン背圧溝から前記ロータの外周側へ向って形成され、前記ヒゲ溝に沿った所定部位より前記ロータの回転方向上流側に位置させられたプレート側昇圧溝と、を備え、前記ロータは、前記ロータの外周縁から前記回転中心軸側へ向って形成されたロータ側昇圧溝を備え、前記プレート側昇圧溝と前記ロータ側昇圧溝とは、位相が一致した際、前記ポンプ室と前記ベーン背圧溝とを連通させる。このため、前記ロータの回転に伴い容積が減少する所定のポンプ室とヒゲ溝とが連通しキャビティが発生する前に所定のポンプ室のオイル圧をベーン背圧溝のオイル圧により昇圧することができ、所定のポンプ室と吐出油路とのオイル圧の差を小さくすることができる。また、たとえば所定のポンプ室とヒゲ溝とが連通しキャビティが発生する前に所定のポンプ室のオイル圧を昇圧させない場合と比較して、吐出油路から所定のポンプ室へと逆流するオイルの逆流速度および逆流量を抑制することができる。これにより、オイルを所定圧へ昇圧するまでに必要な回転数を抑制するとともに、吐出油路からポンプ室へのヒゲ溝を介したオイルの逆流によるエロージョンの発生および異音の発生を抑制することができる。
以下、本発明の車両用ベーンポンプの一実施例について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例である車両用ベーンポンプ10の構成を説明する図である。この車両用ベーンポンプ10(以下、「ベーンポンプ10」という。)は、車両の油圧制御回路の油圧源として機能するものであり、凹部形状の収容室18を有するハウジング12と、ハウジング12の収容室18の開口を覆うようにシールプレート16を介して締結ボルトなどによりハウジング12に一体的に固定されるポンプカバー14とを備えるとともに、円筒状のカムリング26、収容室18の底側に配置されるインナサイドプレート20、収容室18の開口側に配置されるアウタサイドプレート22などを収容室18内に位置固定に備えるとともに、カムリング26の内部に収容される円柱状のロータ24をハウジング12の収容室18内に回転中心軸Cまわりに回転可能に備えている。インナサイドプレート20およびアウタサイドプレート22は、カムリング26の外径と略等しい外径の円板形状を成しており、カムリング26を挟んだ状態で互いに同心に配設されている。長手状の位置決めピン28a,28b(図2に示す)は、シールプレート16、アウタサイドプレート22およびカムリング26にそれぞれ形成された貫通孔に挿通させられ、端部がポンプカバー14およびインナサイドプレート20に設けられた凹部のそれぞれに嵌め入れられることにより、インナサイドプレート20、カムリング26およびアウタサイドプレート22は、収容室18内において互いに周方向に位置決めされている。ロータ24は円柱形状を成していて、インナサイドプレート20、アウタサイドプレート22と同心に且つ回転可能にハウジング12の収容室18内に配設されているとともに、ポンプ軸30に対してたとえば圧入によって同心に且つ一体的に連結されている。ポンプ軸30は、車両の走行用駆動源や電動モータ等の所定の回転駆動源によって回転駆動されるもので、ロータ24はポンプ軸30と一体的に回転中心軸Cまわりに回転させられる。インナサイドプレート20およびアウタサイドプレート22の中心部分には、ポンプ軸30が挿通させられる挿通孔29(図5に示す)および挿通孔31(図3に示す)がそれぞれ設けられている。ポンプ軸30は、その一端部とハウジング12のインナサイドプレート20の挿通孔29側に延びだしたボス部32との間に設けられたベアリング34、およびアウタサイダプレート22の挿通孔31から突き出した他端部とポンプカバー14の円柱状孔との間に設けられたベアリング36により、一体的に固定されたハウジング12およびポンプカバー14に回転可能に支持されている。また、収容室18には、その底面、ボス部32の外周面、インナサイドプレート22の底面側の壁面などにより後述する高圧力室38が構成されている。
図2は、ハウジング12の一部を切り欠いて、インナサイドプレート20を省略した状態のベーンポンプ10をハウジング12側から視た正面図である。カムリング26の内周面は、回転中心軸Cからの径寸法が周方向において増減変化している内周カム面40とされている。ロータ24は、回転中心軸Cまわりの周方向において所定の角度範囲の外周面が等角度間隔に径方向外側に突出した、回転中心軸C方向に長手状の複数の凸部42(実施例では12個)を備えている。ロータ24には、回転中心軸Cと平行な複数(実施例では12)のスリット44が、上記内周カム面40と対向する凸部42の外周面に開口するように、回転中心軸Cまわりの周方向に所定の間隔すなわち等角度間隔で放射状に設けられている。それ等の複数のスリット44内には、複数の矩形板状のベーン46がそれら先端部のスリット44から外部へ突出可能にそれぞれ径方向の移動可能に嵌め入れられ保持されている。本実施例では、スリット44が回転中心軸Cを通る径方向に設けられているが、回転中心軸Cまわりに傾斜させて設けることも可能である。なお、図2においてポンプ軸30の外側に記載した回転方向Aに示すように、ポンプ軸30およびロータ24は、本実施例では図2において右まわり方向へたとえば車両の駆動源毎により回転駆動されるようになっている。なお、スリット44は、本発明のベーン溝に対応する。
図3はアウタサイドプレート22のカムリング26側の内側面を示した正面図である。アウタサイドプレート22のカムリング26側の内側面には、多数のベーン46の先端部を内周カム面40に押し付けるための背圧オイルをスリット44の底部に供給できるように、環状のベーン背圧溝48が設けられている。ベーン背圧溝48は、回転中心軸Cまわりにおいて何れもスリット44の底部すなわち回転中心軸C側の端部と略同じ径寸法の環状に設けられてそれらと連通しており、所定圧の背圧オイルをスリット44の底部へ供給して、ベーン46の回転中心軸C側の端面に作用させる。ここで、所定圧の背圧オイルは、後述するように、ベーン背圧溝48に接続された吐出ポート56a,56bから供給される。これにより、ベーン46に対して背圧が付与され、ベーン46の先端部が所定の押付力で内周カム面40に押し付けられる。ベーン46の先端部が内周カム面40に押し付けられた状態でロータ24が回転するので、複数のベーン46の先端部は内周カム面40に摺接する。スリット44の深さ寸法は、ベーン46が内周カム面40との係合でスリット44内に押し込まれた状態においても、底部に所定の隙間が残るように定められている。また、そのスリット44の底部には、ベーン46の板厚よりも大径の円穴がスリット44に連続して設けられており、その円穴内に背圧オイルが供給されることによりベーン46の全長に亘って所定の背圧が適切に付与されるようになっている。なお、アウタサイドプレート22は、本発明のサイドプレートに対応する。
ベーン46は、回転中心軸C方向の両側端部がそれぞれアウタサイドプレート22およびインナサイドプレート20のカムリング26側の内側面に摺接させられている。また、ロータ24の回転中心軸C方向の両側端面は、それぞれアウタサイドプレート22およびインナサイドプレート20の内側面に摺接させられている。したがって、背圧によりベーン46がロータ24の径方向外側へ押し出され、先端部がカムリング14の内周カム面40に押し付けられると、周方向に隣り合う各ベーン46と内周カム面40とロータ24の外周面とアウタサイドプレート22およびインナサイドプレート20の内側面とによって、図2あるいは図4に示されるように、ロータ24の周囲に複数(本実施例では12)のポンプ室78が区画される。そして、ロータ24が回転中心軸Cまわりに回転駆動されると、各ベーン46が内周カム面40の径寸法変化に伴ってロータ24の径方向へ進退させられることにより、複数のポンプ室78の容積がそれぞれ増減させられ、このポンプ室78の容積の増減によりオイルを吸入して吐出するポンプ作用が得られる。
図4は、図2のベーンポンプ10の内周カム面40の内側を拡大して示す図である。本実施例では、内周カム面40が、回転中心軸Cまわりにおいて180°の周期で径寸法が周期的に変化する楕円形状を成しており、それぞれロータ24の半回転でオイルを吸入して吐出する同一のポンプ性能の一対の第1ポンプ部50および第2ポンプ部52が、ロータ24を挟んで対称的(180°位相をずらした状態)に設けられている。図4においては、回転中心軸Cを含む内周カム面40の対称面が一点鎖線で示されており、第1ポンプ部50がその一点鎖線の下側に、第2ポンプ部52が一点鎖線の上側に示されている。
第1ポンプ部50、第2ポンプ部52のそれぞれにおいて、ロータ24の回転方向である矢印A方向において上流側から下流側に向かうにつれてポンプ室78の容積が徐々に増大する回転中心軸Cまわりの回転角度範囲に吸入ポート54a,54bが設けられ、ロータ24の回転方向である矢印A方向において上流側から下流側に向かうにつれてポンプ室78の容積が徐々に減少する回転中心軸Cまわりの回転角度範囲に吐出ポート56a,56bが設けられている。図4に示される吸入ポート54a,54bおよび吐出ポート56a,56bは、アウタサイドプレート22に設けられたものである。図3に示されるように、アウタサイドプレート22は、その外周部のうちのロータ24を挟んで対称的な位置にあたる一部分が切り欠かれた切欠である一対の吸入ポート54a,54bと、ロータ24を挟んで対称的な位置において厚み方向に貫通させられた貫通孔である、周方向に長手状の一対の吐出ポート56a,56bとを備えている。吸入ポート54a,54bは、シールプレート16とカムリング26とにより挟まれることにより油路を構成し、ハウジング12に形成された吸入通路58(図1および図2に示す)を通じて吸込口60(図1および図2に示す)と第1ポンプ部50および第2ポンプ部52のそれぞれにおけるポンプ室78のうちのロータ24の回転に伴って容積が増加するポンプ室78とを連通し、外部からそれらのポンプ室78にオイルを供給する、本発明の供給油路として機能する。なお、カムリング26のアウタサイドプレート22との対向面において、アウタサイドプレート22の吸入ポート54a,54bが形成された回転角度範囲における内周カム面40を含む内周部近傍の面は厚さ方向に凹んでおり、アウタサイドプレート22の吸入ポート54a,54bとともに油路を形成している。また、吐出ポート56a,56bは、ポンプカバー14に形成された吐出通路62(図2に示す)およびシールプレート16に形成された貫通孔を通じて吐出口64(図2に示す)と第1ポンプ部50および第2ポンプ部52のそれぞれにおけるポンプ室78のうちのロータ24の回転に伴って容積が減少するポンプ室78とを連通し、それらのポンプ室78内のオイルを外部へ吐出する、本発明の吐出油路として機能する。
図5は、インナサイドプレート20のカムリング26側の内側面を示した正面図である。インナサイドプレート20は、その内側面の外周部のうちのアウタサイドプレート22の一対の吸入ポート54a,54bと回転中心軸Cまわりにおいて略等しい回転角度位置にあたる一部分が厚さ方向に凹んだ凹部であって、インナサイドプレート20の内側面とカムリング26のインナサイドプレート20側の側面とが密着させられることにより油路として機能する一対の吸入ポート66a,66bを備えている。このインナサイドプレート20の吸入ポート66a,66bも、吸入通路58を通じて吸込口60と第1ポンプ部50および第2ポンプ部52のそれぞれにおけるポンプ室78のうちのロータ24の回転に伴って容積が増加するポンプ室78とを連通しており、ロータ24の回転に伴い外部からそれらのポンプ室78にオイルを供給する。また、インナサイドプレート20は、第2ポンプ部52においてロータ24の回転方向である矢印A方向において上流側から下流側に向かうにつれてポンプ室78の容積が徐々に減少する回転中心軸Cまわりの回転角度範囲内に高圧油供給ポート68を備えている。高圧油供給ポート68は、第2ポンプ部52におけるポンプ室78のうちの矢印A方向において上流側から下流側に向かうにつれて容積が徐々に減少するポンプ室78と高圧力室38(図1に示す)とを連通する貫通孔であり、ポンプ室78からの高圧のオイル(高圧油)を高圧力室38に供給する。また、インナサイドプレート20は、吸入ポート66a,66bの内周側において厚さ方向に貫通して形成され、高圧力室38とロータ24のスリット44の底部に設けられた円穴の一部とを連通する円弧状の一対の高圧油導入ポート70a,70bを備えている。また、インナサイドプレート20は、その内側面の一対の高圧油導入ポート70a,70bに挟まれる周上において円弧状に形成された溝であって、内側面がロータ24に摺接させられることによりスリット44の底部に設けられた円穴の一部同士を連通する油路を構成する一対の連通溝72a,72bを備えている。
図3および図4に示されるように、アウタサイドプレート22は、その内側面において、吐出ポート56a,56bよりもロータ24の回転方向である矢印A方向において上流側から吐出ポート56a,56bに連続するように形成された長手状の第1ヒゲ溝74a,74bおよび第2ヒゲ溝76a,76bを備えている。第1ヒゲ溝74,74bおよび第2ヒゲ溝76a,76bは、ロータ24の回転方向である矢印A方向に向かって先端程細くなり、且つ溝の開口と溝底との距離である溝深さが浅くなるように構成されている。アウタサイドプレート22の内側面とロータ24の回転中心軸C方向の端面とが摺接させられているため、第1ヒゲ溝74a,74b、第2ヒゲ溝76a,76bは、それらの先端が隣接ポンプ室78a,78bに連通すると、隣接ポンプ室78a,78bと吐出ポート56a,56bとのオイルの連通油路を形成する。ここで、隣接ポンプ室78a,78bとは、ロータ24の回転に伴い容積が増減するポンプ室78のうち、吐出ポート56a,56bに連通しておらず吐出ポート56a,56bのロータ24の回転方向Aの上流側に隣接しているポンプ室78である。第1ヒゲ溝74a,74bは、ロータ24の凸部42の外周面よりも径方向内側に設けられている。第2ヒゲ溝76a,76bは、ロータ24の凸部42の外周面よりも径方向外側に設けられ、第1ヒゲ溝74a,74bよりも径方向の外側に位置しており、第1ヒゲ溝74a,74bよりも短く形成されている。なお、図4は、隣接ポンプ室78a,78bと第1ヒゲ溝74a,74bおよび第2ヒゲ溝76a,76bとがそれぞれ連通する直前の状態を示している。
ここで、図4に示すような隣接ポンプ室78a,78bと第1ヒゲ溝74a,74bおよび第2ヒゲ溝76a,76bとが連通する直前の状態においては、隣接ポンプ室78a,78bの圧力Ps、ベーン背圧溝48の圧力Pb、吐出ポート56a,56bの圧力Poutには、次式(1)の関係がある。なお、ベーン背圧溝48は、高圧油供給ポート68、高圧力室38、高圧油導入ポート70a,70bおよびスリット44の底部に連続する円穴の一部を通じて、吐出ポート56a,56bに接続されているため、その間の油路の圧力損失により、ベーン背圧溝48の圧力Pbは、吐出ポート56a,56bの圧力Poutよりも小さくなっている。
Ps<Pb<Pout・・・ (1)
Ps<Pb<Pout・・・ (1)
図4の状態からロータ24が矢印A方向に回転し、第1ヒゲ溝74a,74bおよび第2ヒゲ溝76a,76bにより隣接ポンプ室78a,78bと吐出ポート56a,56bとの連通路が形成されると、隣接ポンプ室78a,78bの圧力Psよりも吐出ポート56a,56bの圧力Poutが大きいため、第1ヒゲ溝74a,74bおよび第2ヒゲ溝76a,76bを通じて吐出ポート56a,56bから隣接ポンプ室78a,78bにオイルが逆流する。
図3および図4に示されるように、アウタサイドプレート22は、その内側面において、第1ヒゲ溝74a,74bおよび第2ヒゲ溝76a,76bよりもロータ24の回転方向である矢印A方向における上流側に、ベーン背圧溝48からロータ24の外周側へ隣接ポンプ室78a,78bに向かって延び出すように径方向に形成された一対のプレート側昇圧溝80a,80bを備えている。これにより、一対のプレート側昇圧溝80a,80bは、第1ヒゲ溝74a,74bよりロータ24の回転方向上流側に位置させられている。しかし、これ等の一対のプレート側昇圧溝80a,80bは、第1ヒゲ溝74a,74bの長手方向(周方向)に沿った所定位置からロータ24の回転方向上流側、好適には、プレート側昇圧溝80a,80bおよびロータ側昇圧溝82が設けられていない図6において、第1ヒゲ溝74a,74b内或いは第1ヒゲ溝74a,74bに隣接したキャビティの発生部位よりもロータ24の回転方向上流側に位置させられていてもよいし、更に好適には、第1ヒゲ溝74a,74bおよび第2ヒゲ溝76a,76bのうちの長い方の先端からロータ24の回転方向上流側に位置させられていてもよい。
プレート側昇圧溝80a,80bは、その延出方向の先端がロータ24の凸部42の形成されていない部分の外周縁よりも径方向内側に位置させられている。また、図1および図4に示されるように、ロータ24は、凸部42の形成されていない外周縁から回転中心軸C側へ向かって延び出すように径方向に形成された複数(本実施例では12)のロータ側昇圧溝82を、周方向に隣り合うベーン46により区画されるポンプ室78毎に備えている。図1に示すように、ロータ側昇圧溝82は、ロータ24のアウタサイドプレート22側の端面に形成されている。また、ロータ側昇圧溝82は、その延出方向の先端がベーン背圧溝48よりも外周側に位置させられるとともに、プレート側昇圧溝80a,80bの先端よりも内周側に位置させられている。
プレート側昇圧溝80a,80bおよび複数のロータ側昇圧溝82は、隣接ポンプ室78a,78bと第1ヒゲ溝74a,74bおよび第2ヒゲ溝76a,76bとが連通する直前に、それらの位相が一致して、隣接ポンプ室78a,78bとベーン背圧溝48とを連通させるように構成されている。ここで、プレート側昇圧溝80a,80bおよびロータ側昇圧溝82の位相が一致するとは、たとえば図4のロータ24の回転角度を基準としたときに、ロータ24の所定の回転角度においてプレート側昇圧溝80a,80bとロータ側昇圧溝82とが連通することであり、本実施例では、ロータ24の1回転毎にプレート側昇圧溝80a,80bおよびロータ側昇圧溝82の位相がロータ側昇圧溝82の個数分の回数すなわち12回一致する。図4は、隣接ポンプ室78a,78bと第1ヒゲ溝74a,74bおよび第2ヒゲ溝76a,76bとが連通する直前において、プレート側昇圧溝80a,80bおよびロータ側昇圧溝82の位相が一致したときの内周カム面40の内側が示されている。また、図1においては、アウタサイドプレート22、ロータ24およびカムリング26の、プレート側昇圧溝80a,80bおよびロータ側昇圧溝82の位相が一致したときにおけるプレート側昇圧溝80a,80b、ロータ側昇圧溝82および回転中心軸Cを通る断面が示されている。
プレート側昇圧溝80a,80bおよびロータ側昇圧溝82の位相が一致するときには、ベーン背圧溝48と隣接ポンプ室78a,78bとが連通されることにより、隣接ポンプ室78a,78bの圧力Psよりも大きい圧力Pbのベーン背圧溝48内のオイルが、ベーン背圧溝48から隣接ポンプ室78a,78bに流れる。ベーン背圧溝48からのオイルの流れにより、隣接ポンプ室78a,78bにおける圧力Psが上昇する。この隣接ポンプ室78a,78bにおけるロータ側昇圧溝82の延出方向の基端は、その基端側の開口周辺が第1ヒゲ溝74a,74bを介して吐出ポート56a,56bから隣接ポンプ室78a,78bにオイルが逆流する際にアウタサイドプレート22の第1ヒゲ溝74a,74b先端部位の近傍となるように、ロータ24の凸部42の形成されていない外周縁のうち、ロータ24の回転方向Aの下流側位置に位置させられている。そして、隣接ポンプ室78a,78bにおける圧力Psの上昇は、隣接ポンプ室78a,78bと第1ヒゲ溝74a,74bおよび第2ヒゲ溝76a,76bとが連通しキャビティが発生する直前に生じるため、隣接ポンプ室78a,78bと第1ヒゲ溝74a,74bおよび第2ヒゲ溝76a,76bとが連通する際の吐出ポート56a,56bと隣接ポンプ室78a,78bとの圧力差が、たとえば後述する比較例のようにベーン背圧溝48からのオイルの流れにより隣接ポンプ室78a,78bが昇圧されないベーンポンプ110と比較して、小さくされる。これにより、隣接ポンプ室78a,78bと第1ヒゲ溝74a,74bおよび第2ヒゲ溝76a,76bとが連通する際の第1ヒゲ溝74a,74bを逆流するオイルの逆流速度が抑制され、たとえばアウタサイドプレート22の第1ヒゲ溝74a,74bの先端部付近に負圧が発生することによるキャビティの発生が抑制されることから、エロージョンの発生が抑制される。また、隣接ポンプ室78a,78bと吐出ポート56a,56bとが連通する際の油圧脈動による異音の発生も抑制される。
また、プレート側昇圧溝80a,80bおよびロータ側昇圧溝82のそれらの延出方向に直交する溝断面形状の断面積、プレート側昇圧溝80a,80bおよびロータ側昇圧溝82の位相が一致するロータ24の回転角度範囲などは、プレート側昇圧溝80a,80bおよびロータ側昇圧溝82の位相が一致したときにベーン背圧溝48から隣接ポンプ室78a,78bへ流れるオイル量が必要最小限に抑えられるように構成される。ここで、必要最小限のオイル量とは、アウタサイドプレート22の第1ヒゲ溝74a,74b周辺の内側面とロータ24の端面との摺接部位においてエロージョンの発生を抑制するのに必要且つ充分なオイル量である。
図6は、比較例の車両用ベーンポンプ110を、ハウジング12の一部を切り欠いてインナサイドプレート20を省略した状態でハウジング12側から視た正面図の一部を拡大した拡大図であって、隣接ポンプ室116a,116bと第1ヒゲ溝74a,74bおよび第2ヒゲ溝76a,76bとが連通する直前の状態が示されており、図4に相当する図である。なお、図6では、吐出ポート56a近傍が示されている。車両用ベーンポンプ110では、アウタサイドプレート112はそのカムリング26と対向する対向面である内側面に、ベーン背圧溝48からロータ114の外周側に向かって形成され、第1ヒゲ溝74a,74bおよび第2ヒゲ溝76a,76bよりロータ114の回転方向の上流側に位置させられたプレート側昇圧溝を有していない。また、ロータ114は、その外周縁から回転中心軸C側に向かって形成されたロータ側昇圧溝を備えていない。このため、隣接ポンプ室116a,116bと第1ヒゲ溝74a,74bおよび第2ヒゲ溝76a,76bとが連通する直前において、ベーン背圧溝48から隣接ポンプ室116a、116bへのオイルの流れによる隣接ポンプ室116a,116bの圧力Psの昇圧がなされず、隣接ポンプ室116a,116bと吐出ポート56a,56bとの圧力差が実施例の隣接ポンプ室78a,78bと吐出ポート56a,56bとの圧力差よりも大きくなる。第1ヒゲ溝74a,74bおよび第2ヒゲ溝76a,76bの溝断面形状およびその断面積は、実施例のアウタサイドプレート22と比較例のアウタサイドプレート112とで等しいため、隣接ポンプ室116a,116bと第1ヒゲ溝74a,74bおよび第2ヒゲ溝76a,76bとが連通した際の第1ヒゲ溝74a,74bおよび第2ヒゲ溝76a,76b内を吐出ポート56a,56bから隣接ポンプ室116a,116bへ逆流するオイルの逆流速度は、実施例での第1ヒゲ溝74a,74bおよび第2ヒゲ溝76a,76b内のオイルの逆流速度よりも大きくなる。第1ヒゲ溝74a,74bおよび第2ヒゲ溝76a,76b内の逆流速度が大きいと、アウタサイドプレート112の第1ヒゲ溝74a,74b周辺の内側面とロータ114の端面との間に負圧が発生し、気泡が発生する可能性がある。図6は、第1ヒゲ溝74a,74bおよび第2ヒゲ溝76a,76b内の逆流速度が大きいことに起因して、第1ヒゲ溝74a,74bの先端部内およびその周辺に発生する気泡118の一例が示されている。
本実施例のベーンポンプ10によれば、アウタサイドプレート22は、ロータ24の回転方向である矢印A方向に向って先端程細くなるように形成され、吐出ポート56a,56bへのオイルの連通路を形成する第1ヒゲ溝74a,74bおよび第2ヒゲ溝76a,76bと、ベーン背圧溝48からロータ24の外周側へ向って形成され、プレート側昇圧溝80a,80bおよびロータ側昇圧溝82が設けられていない図6の場合において第1ヒゲ溝74a,74b内にキャビティが発生していた部位よりロータ24の回転方向の上流側に位置させられたプレート側昇圧溝80a,80bと、を備え、ロータ24は、ロータ24の外周縁から回転中心軸C側へ向って形成されたロータ側昇圧溝82を備え、プレート側昇圧溝80a,80bとロータ側昇圧溝82とは、位相が一致した際、隣接ポンプ室78a,78bとベーン背圧溝48とを連通させる。このため、ロータ24の回転に伴い容積が減少する隣接ポンプ室78a,78bと第1ヒゲ溝74a,74bおよび第2ヒゲ溝76a,76bとが連通しキャビティが発生する前に隣接ポンプ室78a,78bの圧力Psをベーン背圧溝48の圧力Pbにより昇圧することができ、隣接ポンプ室78a,78bと吐出ポート56a,56bとの圧力差を小さくすることができる。このため、プレート側昇圧溝80a,80bおよびロータ側昇圧溝82が設けられておらず、隣接ポンプ室78a,78bと第1ヒゲ溝74a,74bとが連通しキャビティが発生する前に、隣接ポンプ室78a,78bの圧力Psをベーン背圧溝48の圧力Pbによって昇圧させない比較例のベーンポンプ110と比較して、第1ヒゲ溝74a,74bおよび第2ヒゲ溝76a,76bを通じて吐出ポート56a,56bから隣接ポンプ室78a,78bへと逆流するオイルの逆流速度およびオイルの逆流量を抑制することができる。これにより、吐出ポート56a,56bから隣接ポンプ室78a,78bへの第1ヒゲ溝74a,74bおよび第2ヒゲ溝76a,76bを通じたオイルの逆流によるエロージョンの発生および異音の発生を抑制することができる。
また、本実施例のベーンポンプ10によれば、第1ヒゲ溝74a,74bおよび第2ヒゲ溝76a,76bを通じて吐出ポート56a,56bから隣接ポンプ室78a,78bへと逆流するオイルのオイル量が抑制されるのに加えて、プレート側昇圧溝80a,80bおよびロータ側昇圧溝82の位相が一致したときにベーン背圧溝48から隣接ポンプ室78a,78bへと流れるオイル量は、アウタサイドプレート22の第1ヒゲ溝74a,74b周辺の内側面とロータ24の端面との摺接部位においてエロージョンの発生を抑制するのに必要且つ充分な量とされている。このため、ベーンポンプ10の効率低下が抑えられ、オイルを所定圧へ昇圧するまでに必要な回転数或いは作動時間を抑制することができる。
以上、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明したが、本発明は更に別の態様でも実施でき、その主旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るものである。
たとえば、前述の実施例のベーンポンプ10によれば、プレート側昇圧溝80a,80bはアウタサイドプレート22に設けられ、ロータ側昇圧溝82はアウタサイドプレート22側の端面に設けられていたが、これに限定されるものでは無い。たとえば、上記のプレート側昇圧溝80a,80bおよびロータ側昇圧溝82に替えて、あるいは上記のプレート側昇圧溝80a,80bおよびロータ側昇圧溝82に加えて、インナサイドプレート20に環状の背圧溝が設けられ、その背圧溝からロータの外周側にプレート側昇圧溝が設けられるとともに、ロータ24のインナサイドプレート20側の端面にロータ側昇圧溝が設けられてもよい。
また、前述の実施例のベーンポンプ10によれば、アウタサイドプレート22には吐出ポート56a,56bの上流側にロータ24の回転方向に向かって先端程細くなるように形成された長手状の第1ヒゲ溝74a,74bおよび第2ヒゲ溝76a,76bが形成されていたが、これに限定されるものではない。たとえば、吐出ポート56a,56bと隣接ポンプ室78a,78bとの連通の際の異音の発生を抑制するのに充分な吐出ポート56a,56bから隣接ポンプ室78a,78bへの第1ヒゲ溝74a,74bを通じてのオイルの流れが確保できれば、たとえば第2ヒゲ溝76a,76bがアウタサイドプレート22に設けられなくともよい。また、第2ヒゲ溝76a,76bが長く形成されれば、第1ヒゲ溝74a,74bは設けられていなくてもよい。
また、前述の実施例のベーンポンプ10では、カムリング26はハウジング12内に備えられていたが、カップリング26とハウジング12とは一体に構成されていてもよい。
また、前述の実施例のベーンポンプ10のロータ24は、その中心を通る嵌合孔にポンプ軸30を圧入させたものであったが、ロータ24とポンプ軸30とは一体に構成されてもよい。
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、その他一々例示はしないが、本発明は、その主旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づいて種々変更、改良を加えた態様で実施することができる。
10:車両用ベーンポンプ
22:アウタサイドプレート(サイドプレート)
24:ロータ
26:カムリング
44:スリット(ベーン溝)
46:ベーン
48:ベーン背圧溝
54a,54b:吸入ポート(供給油路)
56a,56b:吐出ポート(吐出油路)
74a,74b:第1ヒゲ溝(ヒゲ溝)
76a,76b:第2ヒゲ溝(ヒゲ溝)
78a,78b:ポンプ室
80a,80b:プレート側昇圧溝
82:ロータ側昇圧溝
C:回転中心軸
22:アウタサイドプレート(サイドプレート)
24:ロータ
26:カムリング
44:スリット(ベーン溝)
46:ベーン
48:ベーン背圧溝
54a,54b:吸入ポート(供給油路)
56a,56b:吐出ポート(吐出油路)
74a,74b:第1ヒゲ溝(ヒゲ溝)
76a,76b:第2ヒゲ溝(ヒゲ溝)
78a,78b:ポンプ室
80a,80b:プレート側昇圧溝
82:ロータ側昇圧溝
C:回転中心軸
Claims (1)
- 周方向に所定の間隔で複数のベーン溝が設けられて回転中心軸まわりに回転駆動される円柱状のロータと、
前記複数のベーン溝内に径方向の移動可能に保持された複数枚のベーンと、
前記複数枚のベーンの先端が摺接する内周面を有して位置固定に設けられた筒状のカムリングと、
隣り合うベーンによりそれぞれ区画される複数のポンプ室と、
前記カムリングの側部に配置され、前記ポンプ室のうちの前記ロータの回転に伴って容積が増加するポンプ室にオイルを供給する供給油路と、前記ポンプ室のうちの前記ロータの回転に伴って容積が減少するポンプ室内のオイルを吐出する吐出油路と、前記複数のベーン溝の前記回転中心軸側の端部に連通し、前記吐出油路内のオイルを前記ベーンの前記回転中心軸側の端面に作用させる環状のベーン背圧溝とが形成され、前記ロータの端面に摺接させられるサイドプレートと、
を備える車両用ベーンポンプであって、
前記サイドプレートは、前記ロータの回転方向上流側に向って先端程細くなるように形成され、前記吐出油路へのオイルの連通路を形成するヒゲ溝と、前記ベーン背圧溝から前記ロータの外周側へ向って形成され、前記ヒゲ溝に沿った所定部位より前記ロータの回転方向上流側に位置させられたプレート側昇圧溝と、を備え、
前記ロータは、前記ロータの外周縁から前記回転中心軸側へ向って形成されたロータ側昇圧溝を備え、
前記プレート側昇圧溝と前記ロータ側昇圧溝とは、位相が一致した際、前記ポンプ室と前記ベーン背圧溝とを連通させることを特徴とする車両用ベーンポンプ。
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JP2017019102A JP2018123818A (ja) | 2017-02-03 | 2017-02-03 | 車両用ベーンポンプ |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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DE102021125998A1 (de) | 2020-10-09 | 2022-04-14 | Jtekt Corporation | Flügelpumpe |
-
2017
- 2017-02-03 JP JP2017019102A patent/JP2018123818A/ja active Pending
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DE102021125998A1 (de) | 2020-10-09 | 2022-04-14 | Jtekt Corporation | Flügelpumpe |
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