JP2018123217A - 化学蓄熱体造粒物 - Google Patents
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Abstract
【課題】 反応耐久性がより一層高められ、且つ、強度及び蓄熱密度も高い化学蓄熱体造粒物を提供すること。【解決手段】 化学蓄熱体造粒物は、化学蓄熱可能な材料により粒子状に構成され、比表面積が2m2/g以上且つ203m2/g以下である化学蓄熱粒子と、化学蓄熱粒子の表面に形成された多孔質状のコーティング膜と、を備える。また、化学蓄熱体造粒物の円形度Rは0.8以上である。ここで、円形度Rは,下記式で定義される。R=4πS/L2S:化学蓄熱体造粒物の投影面積L:化学蓄熱体造粒物の輪郭線の長さ【選択図】 なし
Description
本発明は、粒状に形成される化学蓄熱体造粒物に関する。
材料の物理化学的な変化を利用した蓄熱技術は、利用する物理化学現象によって、顕熱蓄熱、潜熱蓄熱、化学蓄熱、の3方式に大別される。
顕熱蓄熱方式は、材料の温度変化を利用した蓄熱方式である。例えば、冷水を加熱して温水にすることにより、温水に熱が蓄えられる。潜熱蓄熱方式は、材料の相変化を利用した蓄熱方式である。例えば、水を凍らせて氷にすることにより、氷に熱(冷熱)が蓄えられる。化学蓄熱方式は、材料の化学変化(化学反応熱)を利用した蓄熱方式である。例えば、水酸化カルシウムを加熱して酸化カルシウムに化学変化させるときに熱が酸化カルシウムに蓄えられる。蓄えられた熱は、酸化カルシウムが水酸化カルシウムに化学変化するときに放出される。
化学蓄熱方式の利点として、蓄熱材料が劣化や分解を生じない環境であれば、比較的長期間にわたって蓄熱状態を維持できる点を挙げることができる。例えば、酸化カルシウムは、水蒸気や炭酸が存在しない雰囲気下であれば、常温で長期間、その蓄熱状態を維持することができる。また、化学蓄熱方式は、他の蓄熱方式と比較して、蓄熱することができるエネルギー密度(蓄熱密度)が高いといった利点をも有する。
化学蓄熱に利用することができる材料(以下、化学蓄熱材)に要求される条件として、以下の条件を示すことができる。
A.可逆的な吸発熱反応を起こすこと
B.副生成物が生じないか、生じたとしても極めて微量であること
C.反応耐久性(主反応の繰り返しによる化学的、機械的な耐久性)が高いこと
D.反応活性が高く、且つ蓄熱性能(蓄熱密度)が高いこと
A.可逆的な吸発熱反応を起こすこと
B.副生成物が生じないか、生じたとしても極めて微量であること
C.反応耐久性(主反応の繰り返しによる化学的、機械的な耐久性)が高いこと
D.反応活性が高く、且つ蓄熱性能(蓄熱密度)が高いこと
条件Aを満たすことにより、化学蓄熱材を繰り返し利用することができる。条件Bを満たすことにより、副生成物が主反応(吸発熱反応)に悪影響を及ぼすことが防止され、これにより化学蓄熱材の寿命(使用限界)の長期化を図ることができる。条件Cは、条件Bに示すような副生成物の発生、主反応に伴う化学蓄熱材の体積変化の繰り返しに起因して生じる化学蓄熱材の微粉化などにより、主反応の反応性が低下しないという条件である。条件Cを満たすことにより、長期にわたって化学蓄熱材の蓄熱性能を維持することができる。条件Dは,化学蓄熱材の優位性を高めるために必要な条件である。反応活性が高いと、熱の需要に対して瞬時に熱を供給することができる。また、蓄熱性能が高いと、この化学蓄熱材を用いた蓄熱装置のコンパクト化を図ることができる。このような、上記条件A〜Dを満たす化学蓄熱材は、いまだ開発途上である。
特許文献1は、疎水化処理された1〜50nm程度の大きさのナノシリカ粒子を1〜1000nmの平均粒子径の化学蓄熱粒子(酸化カルシウム(CaO)粒子)の表面にコーティングしてなる化学蓄熱体造粒物を開示する。特許文献1に記載の化学蓄熱体造粒物によれば、化学蓄熱粒子にコーティングされたナノシリカ粒子の補強効果により、主反応(蓄放熱)に伴う体積変化の繰り返しに起因した化学蓄熱粒子の崩壊(微粉化)が抑制される。これにより反応耐久性が向上する。
特許文献2は、粉体状の化学蓄熱材と、粘土鉱物と、構造強度向上材とを混合して焼成することにより形成された化学蓄熱体造粒物を開示する。特許文献2によれば、粉体状の化学蓄熱材が、粘土鉱物と構造強度向上材の骨格中に分散保持される。このため化学蓄熱材間に隙間が形成され、斯かる隙間の形成によって、化学蓄熱材の蓄放熱に伴う体積変化の繰り返しによる化学蓄熱材の擦れ合い及びこれに伴う微粉化が抑制される。よって、反応耐久性が向上する。また、上記隙間により、蓄放熱に伴う反応物・反応生成物の導入排出経路を十分に確保することができ、よって、これらの移動(拡散)阻害を抑制することができる。
特許文献3は、樹脂を加熱することにより形成した多孔質体に化学蓄熱材を担持してなる化学蓄熱体造粒物を開示する。特許文献3によれば、化学蓄熱材の蓄放熱に伴う体積変化の繰り返しによる化学蓄熱材の崩壊及び凝集を防ぐことができるとともに、反応耐久性を向上させることができる。
(発明が解決しようとする課題)
一般的に、粒状の化学蓄熱材である化学蓄熱体造粒物は、例えば押出成形により、円柱状、ペレット状に形成される。化学蓄熱体造粒物の形状が円柱形状、ペレット状、或は扁平形状である場合、化学蓄熱体造粒物表面に角部や端部が存在する。また、化学蓄熱体造粒物表面に角部や端部が存在する場合、或いは、化学蓄熱体造粒物表面に多数の凸部が形成されている場合、主反応に伴う化学蓄熱体造粒物の体積膨張・体積収縮により隣接する化学蓄熱体造粒物どうしが接触したときに上記角部、端部、或いは凸部に接触荷重(応力)が集中する。接触荷重の集中部位が存在すると、その部位が欠けたり、割れたりする。こうした欠けや割れが発生すると、化学蓄熱体造粒物の微粉化が促進される。化学蓄熱体造粒物の微粉化が促進されると、反応耐久性が低下する。
一般的に、粒状の化学蓄熱材である化学蓄熱体造粒物は、例えば押出成形により、円柱状、ペレット状に形成される。化学蓄熱体造粒物の形状が円柱形状、ペレット状、或は扁平形状である場合、化学蓄熱体造粒物表面に角部や端部が存在する。また、化学蓄熱体造粒物表面に角部や端部が存在する場合、或いは、化学蓄熱体造粒物表面に多数の凸部が形成されている場合、主反応に伴う化学蓄熱体造粒物の体積膨張・体積収縮により隣接する化学蓄熱体造粒物どうしが接触したときに上記角部、端部、或いは凸部に接触荷重(応力)が集中する。接触荷重の集中部位が存在すると、その部位が欠けたり、割れたりする。こうした欠けや割れが発生すると、化学蓄熱体造粒物の微粉化が促進される。化学蓄熱体造粒物の微粉化が促進されると、反応耐久性が低下する。
本発明は、反応耐久性がより一層高められ、且つ、強度及び蓄熱性能も高い化学蓄熱体造粒物を提供することを、目的とする。
本発明は、化学蓄熱可能な材料により粒子状に構成され、比表面積が2m2/g以上且つ203m2/g以下である化学蓄熱粒子と、化学蓄熱粒子の表面に形成された多孔質状のコーティング膜と、を備え、円形度Rが0.8以上である化学蓄熱体造粒物を提供する。ここで、円形度Rは,下記式で定義される。
R=4πS/L2
S:化学蓄熱体造粒物の投影面積
L:化学蓄熱体造粒物の輪郭線の長さ
R=4πS/L2
S:化学蓄熱体造粒物の投影面積
L:化学蓄熱体造粒物の輪郭線の長さ
この場合、化学蓄熱粒子が、カルシウム又はマグネシウムを含むとよい。特に、化学蓄熱粒子は、蓄熱時に酸化カルシウム又は酸化マグネシウムに化学変化し、放熱時に水酸化カルシウム又は水酸化マグネシウムに化学変化する粒子状の材料であるのがよい。
また、コーティング膜が、ケイ素、チタン、アルミニウム、ジルコニウム、からなる群より選択される少なくとも一つを含む化合物により形成されるのがよい。この場合、コーティング膜が、シリカ粒子、チタニア粒子、アルミナ粒子、ジルコニア粒子、窒化アルミニウム粒子、炭化ケイ素粒子からなる群より選択される少なくとも一つにより形成されるとよい。より好ましくは、コーティング膜が、シリカ粒子、チタニア粒子、アルミナ粒子、ジルコニア粒子からなる群より選択される少なくとも一つにより形成されるとよい。
本発明によれば、化学蓄熱体造粒物の円形度Rが0.8以上であるので、反応耐久性を高めることができる。また、化学蓄熱粒子の表面に多孔質状のコーティング膜が形成されているので、強度を高めることができる。さらに、化学蓄熱粒子の比表面積が2m2/g以上且つ203m2/g以下であるので、強度及び反応耐久性を維持しつつ、蓄熱性能を高めることができる。従って、本発明によれば、反応耐久性、強度、及び蓄熱性能が高い、化学蓄熱体造粒物を提供することができる。
本発明に係る化学蓄熱体造粒物は、化学蓄熱粒子と、コーティング膜とを備える。
化学蓄熱粒子は、化学蓄熱可能な材料により粒子状に構成される。化学蓄熱粒子は、カルシウム又はマグネシウムを含むのがよい。化学蓄熱粒子がカルシウムを含む場合、化学蓄熱粒子は、蓄熱時に酸化カルシウムに化学変化し放熱時に水酸化カルシウムに化学変化する。また、化学蓄熱粒子がマグネシウムを含む場合、化学蓄熱粒子は、蓄熱時に酸化マグネシウムに化学変化し放熱時に水酸化マグネシウムに化学変化する。
化学蓄熱粒子が、蓄熱時に酸化カルシウムに化学変化し放熱時に水酸化カルシウムに化学変化する場合、化学蓄熱粒子は、下記化学式(1)に示す主反応(吸熱反応又は発熱反応)を起こすことにより、蓄放熱する。
化学蓄熱粒子が、蓄熱時に酸化マグネシウムに化学変化し放熱時に水酸化マグネシウムに化学変化する場合、化学蓄熱粒子は、下記化学式(2)に示す主反応(吸熱反応又は発熱反応)を起こすことにより、蓄放熱する。
上記化学式(1)(又は化学式(2))に示すように、水酸化カルシウム(又は水酸化マグネシウム)に熱を加えると、水酸化カルシウム(又は水酸化マグネシウム)が酸化カルシウム(又は酸化マグネシウム)に化学変化するとともに水蒸気が生成される。このとき化学蓄熱粒子に蓄熱される。また、酸化カルシウム(又は酸化マグネシウム)を水蒸気に接触させると、酸化カルシウム(又は酸化マグネシウム)が水酸化カルシウム(又は水酸化マグネシウム)に化学変化する。このとき化学蓄熱粒子が放熱する。つまり、化学蓄熱粒子は、水酸化物から酸化物への化学変化に伴い蓄熱し、酸化物から水酸化物への化学変化に伴い放熱する。
なお、化学式(1)、(2)における標準反応エンタルピーΔH○ Rの値は文献により異なるが、例えば、化学式(1)において、ΔH○ R=109kJ/molを例示でき、化学式(2)において、ΔH○ R=81.0kJ/molを例示できる。
化学蓄熱粒子の平均粒子径(体積平均粒径)は、600μm以上且つ1500μm以下であるのがよい。平均粒子径が600μm未満であると、造粒時の収率が低下するという問題がある。平均粒子径が1500μmを越えると、化学蓄熱装置の反応槽への充填率が低下するという問題がある。化学蓄熱粒子の平均粒子径は、化学蓄熱粒子の造粒過程で調整することができる。
また、化学蓄熱粒子の比表面積は、2m2/g以上且つ203m2/g以下である。比表面積が2m2/g未満であると、主反応に必要な物質(例えば水蒸気)を化学蓄熱粒子の内部に十分に取り込むことができない。このため十分な主反応が起きず、それにより、蓄熱性能の低下を招く。一方、比表面積が203m2/gを越えると、強度及び反応耐久性が低下する。従って、化学蓄熱粒子の比表面積を上記範囲に調整することにより、一定の強度及び反応耐久性を維持しつつ、蓄熱性能を高めることができる。
コーティング膜は、化学蓄熱粒子を補強するために化学蓄熱粒子の表面に形成(コーティング)される。コーティング膜は、ケイ素(Si)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、ジルコニウム(Zr)、からなる群より選択される少なくとも一つを含む化合物であるのがよい。
より好ましくは、コーティング膜が、複数のシリカ(SiO2)粒子、複数のチタニア(TiO2)粒子、複数のアルミナ(Al2O3)粒子、複数のジルコニア(ZrO2)粒子、複数の窒化アルミニウム(AlN)粒子、複数の炭化ケイ素(SiC)粒子からなる群より選択される少なくとも一つにより形成されるとよい。さらにより好ましくは、コーティング膜が、複数のシリカ粒子、複数のチタニア粒子、複数のアルミナ粒子、複数のジルコニア粒子からなる群より選択される少なくとも一つにより形成されるとよい。これらの物質は化学的に安定であり、化学蓄熱粒子の蓄放熱時に高温(例えば最大700℃)に晒された場合であっても化学蓄熱粒子と反応しない。よって、副生成物の発生により化学蓄熱粒子の反応率や反応耐久性が低下することを防止できる。また、これらの物質の熱伝導率は高いので、これらの物質をコーティング膜に用いることにより、化学蓄熱粒子の蓄放熱時における熱損失を最小限に抑えることができる。
また、コーティング膜は、多孔質状を呈する。コーティング膜が緻密な膜である場合、コーティング膜に覆われている化学蓄熱粒子に主反応を起こすために必要な反応ガス(例えば水蒸気)の供給が阻害される。この点に関し、コーティング膜が複数のシリカ粒子、複数のチタニア粒子、複数のアルミナ粒子、複数のジルコニア粒子等の微粒子(以下、コーティング粒子)により多孔質状に形成されている場合、コーティング粒子間の隙間から、反応ガスを化学蓄熱粒子に供給することができる。
コーティング膜は、例えば、コーティング粒子を化学蓄熱粒子にスプレー噴霧することにより、形成することができる。この場合、例えば、流動層装置等を利用してコーティング膜を化学蓄熱粒子にコーティングすることができる。また、コーティング膜は、例えば、コーティング粒子が分散媒に分散されてなる分散液を化学蓄熱粒子に浸して混合し、攪拌しながら分散媒(溶媒)を揮発させることにより、形成することができる。
また、コーティング膜を構成するコーティング粒子の平均粒子径(体積平均粒径)は、5nm以上であり且つ200nm以下であるのがよい。コーティング粒子の平均粒子径が5nm未満であると、コーティング粒子間の隙間が非常に小さくなって、十分に反応ガスを化学蓄熱粒子に供給することができない。また、コーティング粒子の平均粒子径が200nmよりも大きい場合、コーティング粒子間の隙間が大きくなり過ぎて、十分な補強効果を得ることができない。
また、コーティング膜は、撥水性を有するのがよい。上記化学式(1)、(2)に示すように、化学蓄熱粒子の吸熱反応(蓄熱)により、水蒸気が生成される。生成された水蒸気が冷やされて結露すると、結露水と化学蓄熱体造粒物が接触し、複数の化学蓄熱体造粒物が液架橋により凝集される。この状態で発熱反応が行われた場合、凝集部分から反応ガス(例えば水蒸気)を取り込み難くなるため、反応率及び蓄熱性能の低下を招く。これに対し、コーティング膜が撥水性を有していれば、化学蓄熱体造粒物が結露水を弾くため、液架橋による化学蓄熱体造粒物の凝集を防止することができる。このため反応率及び蓄熱性能の低下を抑制することができる。
また、本発明に係る化学蓄熱体造粒物は、その円形度Rが、0.8以上であるように形成される。ここで、円形度Rは、下記式で定義される。
R=4πS/L2
上記式において、Sは、化学蓄熱体造粒物の投影面積である。具体的には、Sは、化学蓄熱体造粒物を所定の方向に投影した場合における面積である。Lは、化学蓄熱体造粒物の輪郭線の長さである。具体的には、Lは、化学蓄熱体造粒物を所定の方向に投影した場合における外形を表す輪郭線の長さである。以下において、Sを単に投影面積と呼び、Lを輪郭長と呼ぶ場合もある。
R=4πS/L2
上記式において、Sは、化学蓄熱体造粒物の投影面積である。具体的には、Sは、化学蓄熱体造粒物を所定の方向に投影した場合における面積である。Lは、化学蓄熱体造粒物の輪郭線の長さである。具体的には、Lは、化学蓄熱体造粒物を所定の方向に投影した場合における外形を表す輪郭線の長さである。以下において、Sを単に投影面積と呼び、Lを輪郭長と呼ぶ場合もある。
化学蓄熱体造粒物の形状が真球形状以外の形状である場合、投影面積S及び輪郭長Lは、投影方向(又は投影方向から見た化学蓄熱体造粒物の姿勢)によって変化する。本実施形態においては、後述するように、一定方向に流れる化学蓄熱体造粒物を、その流れ方向に垂直な方向から見た場合における、化学蓄熱体造粒物の投影面積S及び輪郭長Lを求め、こうして求めた投影面積S及び輪郭長Lから円形度を導出している。従って、投影面積S及び輪郭長Lは,所定の流れに沿って流れている化学蓄熱体造粒物をその流れに垂直な方向から見たときにおける化学蓄熱体造粒物の投影面積及び輪郭長と言うことができる。また、後述する実施例では、一定の製造工程を経て製造されるほぼ同一形状の複数(例えば1000個)の化学蓄熱体造粒物について、上記した方法によって得られる投影面積S及び輪郭長Lから円形度をそれぞれ導出し、それぞれ導出した複数の円形度の算術平均を、その化学蓄熱体造粒物の円形度Rとしている。複数の化学蓄熱体造粒物が所定の流れに沿って流れる姿勢は様々に変化する。従って、上記複数の円形度の算術平均値は、異なる複数の方向から化学蓄熱体造粒物を投影した場合にそれぞれ得られる円形度の算術平均値と言うことができる。つまり、円形度は、異なる複数の方向、例えば全方位から化学蓄熱体造粒物を投影した場合における投影面積及び輪郭長から得られる円形度の算術平均値と定義することもできる。
化学蓄熱体造粒物の円形度Rが0.8以上である場合、化学蓄熱体造粒物の形状は真球に近い。真球に近い化学蓄熱体造粒物を用いることにより、化学蓄熱装置の反応槽に複数の化学蓄熱体造粒物を充填した場合における充填密度を高めることができる。この場合、様々な粒子径の化学蓄熱体造粒物を用いることにより、大きい化学蓄熱体造粒物間に小さい化学蓄熱体造粒物を充填することができる。このためより一層充填密度を高めることができる。
また、化学蓄熱体造粒物の円形度Rが高い場合、特に、円形度Rが0.8以上である場合、反応耐久性を十分に高めることができる。この理由について以下に説明する。化学蓄熱装置の反応槽に複数の化学蓄熱体造粒物を充填した状態で、これらに上記化学式(1)又は(2)に示す主反応、特に発熱反応を起こさせた場合、酸化物から水酸化物への化学変化に伴って化学蓄熱体造粒物が体積膨張する。個々の化学蓄熱体造粒物が体積膨張すると、隣接する化学蓄熱体造粒物どうしが押し付け合う。ここで、各化学蓄熱体造粒物の円形度が低く、例えば化学蓄熱体造粒物に角部や端部が形成されているような場合、押し付け合う際に生じる接触荷重(応力)が端部や角部に集中するため、応力の集中部位(角部や端部)に欠けや割れが発生する。化学蓄熱体造粒物に欠けや割れが生じると、化学蓄熱体造粒物が微粉化される。主反応の繰り返しによって化学蓄熱体造粒物の微粉化が進むと、化学蓄熱体造粒物どうしが凝集する。こうして化学蓄熱体造粒物どうしが凝集すると、発熱反応時に反応ガスを凝集部位から取り込み難くなるため、反応性及び蓄熱性能が低下する。つまり、円形度が低い場合、長期にわたって化学蓄熱体造粒物の蓄熱性能(蓄熱密度)を維持することができない。すなわち、反応耐久性が低下する。
この点に関し、化学蓄熱体造粒物の円形度Rが高い場合、特に、円形度Rが0.8以上の場合、化学蓄熱体造粒物の形状が真球に近いので、角部や端部、或いは凸部がほとんど存在しない。そのため、主反応(発熱反応)時の体積膨張によって隣接する化学蓄熱体造粒物どうしが押し付け合うことにより生じる接触荷重(応力)が分散される。つまり、円形度Rが高い場合、特に円形度Rが0.8以上の場合、接触荷重(応力)が集中する部位の発生を効果的に防止することができる。そのため欠けや割れの発生が効果的に抑制され、これにより、化学蓄熱体造粒物の微粉化が抑制される。その結果、長期の使用によっても化学蓄熱体造粒物の微粉化が阻止され、それ故に、反応耐久性が高められる。
なお、上記においては、化学蓄熱体造粒物の円形度Rが0.8以上であることについての利点について述べたが、化学蓄熱体造粒物が備える化学蓄熱粒子の円形度も0.8以上であるのがよい。化学蓄熱粒子の円形度が低い場合、例えば円形度が0.8未満の場合、例えば化学蓄熱粒子に所定方向からコーティング粒子をスプレー噴霧してコーティング膜を形成しようとすると、角部や凸部などの飛び出た部分の死角になってコーティング粒子が付着しない部位が発生する虞がある。このためコーティング膜が形成されない部位が発生し、その部分から微粉化が起こる。その結果、反応耐久性が低下する。この点に関し、化学蓄熱粒子の円形度が高い(0.8以上)場合、コーティング粒子を所定方向からスプレー噴霧する場合であっても死角が少ないため、コーティング膜を化学蓄熱粒子の表面に一様に形成することができる。つまり、化学蓄熱粒子の円形度を0.8以上にすることで、コーティング膜のコーティング性を高めることができる。その結果、反応耐久性を向上させることができる。
(実施例1)
以下の工程を経て、実施例1に係る化学蓄熱体造粒物を製造した。
1.核粒子製造工程
フロイント産業株式会社製の攪拌造粒機GM−10を用いて、化学蓄熱粒子の核となる核粒子を製造した。この場合、まず、攪拌層に1000gの水酸化カルシウム粉末(和光純薬工業株式会社製、試薬特級)を投入する。次いで、この水酸化カルシウム粉末に濃度5wt%のポリビニルアルコール水溶液(和光純薬工業株式会社製、重合度:約500)をスプレーすることにより、バインダー(ポリビニルアルコール)を介して複数の水酸化カルシウム粉末が結合してなる水酸化カルシウムの微粒子を作製した。作製した微粒子を篩い分けすることにより、100μm以上500μm以下の粒径を有する水酸化カルシウムの微粒子である核粒子を製造した。
以下の工程を経て、実施例1に係る化学蓄熱体造粒物を製造した。
1.核粒子製造工程
フロイント産業株式会社製の攪拌造粒機GM−10を用いて、化学蓄熱粒子の核となる核粒子を製造した。この場合、まず、攪拌層に1000gの水酸化カルシウム粉末(和光純薬工業株式会社製、試薬特級)を投入する。次いで、この水酸化カルシウム粉末に濃度5wt%のポリビニルアルコール水溶液(和光純薬工業株式会社製、重合度:約500)をスプレーすることにより、バインダー(ポリビニルアルコール)を介して複数の水酸化カルシウム粉末が結合してなる水酸化カルシウムの微粒子を作製した。作製した微粒子を篩い分けすることにより、100μm以上500μm以下の粒径を有する水酸化カルシウムの微粒子である核粒子を製造した。
2.造粒工程
核粒子製造工程で製造した核粒子を、フロイント産業株式会社製の流動造粒装置CF−LABOに投入した。次いで、装置を作動させて、装置内で核粒子の循環流を形成させた。また、上記と同様のバインダー液(ポリビニルアルコール水溶液)を装置内に定量スプレーしながら、水酸化カルシウム粉末(和光純薬工業株式会社製、試薬特級)を装置内に定量散布した。これにより、循環している核粒子に水酸化カルシウム粉末がバインダー(ポリビニルアルコール)を介して少量ずつ付着していき、徐々に粒径が大きくなる。装置内を随時ルーペで観察して造粒物の大きさを目視確認し、造粒物の粒径が600μm以上且つ1500μm以下程度に成長した時点で装置の作動を停止して、造粒を終了した。その後、造粒物を60℃で1時間乾燥させ、次いで、目開き600μmの篩を用いて造粒物を篩い分けすることにより微粉を取り除いた。更にその後、750℃で15分間、空気中で焼成することにより、バインダーを脱脂(除去)した。このようにして、球形の化学蓄熱粒子を造粒した。
核粒子製造工程で製造した核粒子を、フロイント産業株式会社製の流動造粒装置CF−LABOに投入した。次いで、装置を作動させて、装置内で核粒子の循環流を形成させた。また、上記と同様のバインダー液(ポリビニルアルコール水溶液)を装置内に定量スプレーしながら、水酸化カルシウム粉末(和光純薬工業株式会社製、試薬特級)を装置内に定量散布した。これにより、循環している核粒子に水酸化カルシウム粉末がバインダー(ポリビニルアルコール)を介して少量ずつ付着していき、徐々に粒径が大きくなる。装置内を随時ルーペで観察して造粒物の大きさを目視確認し、造粒物の粒径が600μm以上且つ1500μm以下程度に成長した時点で装置の作動を停止して、造粒を終了した。その後、造粒物を60℃で1時間乾燥させ、次いで、目開き600μmの篩を用いて造粒物を篩い分けすることにより微粉を取り除いた。更にその後、750℃で15分間、空気中で焼成することにより、バインダーを脱脂(除去)した。このようにして、球形の化学蓄熱粒子を造粒した。
3.コーティング工程
体積平均粒径約10nmのシリカ微粒子を用意した。次いで、用意したシリカ微粒子を、PGM(プロピレングリコールモノエチルエーテル)液に分散させることにより、シリカ分散PGM液(シリカ濃度:5wt%)を作製した。そして、所定量のシリカ分散PGM液を、造粒工程にて造粒した化学蓄熱粒子を収容した容器に注ぎ、攪拌しながらPGM液を揮発させた。次いで、常温で24時間乾燥させ、その後、500℃で10分間、空気中にて焼成した。これにより、化学蓄熱粒子の表面に複数のシリカ微粒子(ナノ粒子)により形成されるコーティング層が形成された。なお、実施例1では、コーティング層(シリカ)の重量比が化学蓄熱体造粒物(化学蓄熱粒子及びコーティング層)に対して5wt%となるように、化学蓄熱粒子とシリカ分散PGM液との混合比を調整した。
体積平均粒径約10nmのシリカ微粒子を用意した。次いで、用意したシリカ微粒子を、PGM(プロピレングリコールモノエチルエーテル)液に分散させることにより、シリカ分散PGM液(シリカ濃度:5wt%)を作製した。そして、所定量のシリカ分散PGM液を、造粒工程にて造粒した化学蓄熱粒子を収容した容器に注ぎ、攪拌しながらPGM液を揮発させた。次いで、常温で24時間乾燥させ、その後、500℃で10分間、空気中にて焼成した。これにより、化学蓄熱粒子の表面に複数のシリカ微粒子(ナノ粒子)により形成されるコーティング層が形成された。なお、実施例1では、コーティング層(シリカ)の重量比が化学蓄熱体造粒物(化学蓄熱粒子及びコーティング層)に対して5wt%となるように、化学蓄熱粒子とシリカ分散PGM液との混合比を調整した。
以上の工程(核粒子製造工程、造粒工程、コーティング工程)を経て、実施例1に係る化学蓄熱体造粒物を製造した。図1Aは、実施例1に係る化学蓄熱体造粒物のSEM画像(倍率50倍)である。図1Aに示すように、実施例1に係る化学蓄熱体造粒物の形状はほぼ球形状であり、表面に角部、端部、凸部がほとんど形成されていないことがわかる。また、図1Bは、実施例1に係る化学蓄熱体造粒物の断面を示すSEM画像(倍率1000倍)である。図1Bに示すように、実施例1に係る化学蓄熱体造粒物は、化学蓄熱粒子と、化学蓄熱粒子の表面に形成されたコーティング膜とを備える。また、コーティング膜の膜厚は、化学蓄熱粒子の径と比較して極めて小さい。また、図1Cは、実施例1に係る化学蓄熱体造粒物の表面を示すSEM画像(倍率400倍)である。図1Cに示すように、実施例1に係る化学蓄熱体造粒物の表面は、ほぼ平坦な面である。
(実施例2)
上記造粒工程にて流動造粒装置CF−LABOを用いた造粒を実施せず、上記核粒子製造工程に用いた攪拌造粒機GM−10により、実施例1に係る化学蓄熱粒子と同じような大きさの化学蓄熱粒子を製造した。そして、製造した化学蓄熱粒子の表面に、上記コーティング工程と同様の方法によりコーティング膜を形成した。
上記造粒工程にて流動造粒装置CF−LABOを用いた造粒を実施せず、上記核粒子製造工程に用いた攪拌造粒機GM−10により、実施例1に係る化学蓄熱粒子と同じような大きさの化学蓄熱粒子を製造した。そして、製造した化学蓄熱粒子の表面に、上記コーティング工程と同様の方法によりコーティング膜を形成した。
(実施例3)
核粒子製造工程及び造粒工程にて、濃度1wt%のポリビニルアルコール水溶液をバインダー液として用いたことを除き、実施例1と同様の工程を経て、実施例3に係る化学蓄熱体造粒物を製造した。
核粒子製造工程及び造粒工程にて、濃度1wt%のポリビニルアルコール水溶液をバインダー液として用いたことを除き、実施例1と同様の工程を経て、実施例3に係る化学蓄熱体造粒物を製造した。
(実施例4)
核粒子製造工程及び造粒工程にて、濃度7wt%のポリビニルアルコール水溶液をバインダー液として用いたことを除き、実施例1と同様の工程を経て、実施例4に係る化学蓄熱体造粒物を製造した。
核粒子製造工程及び造粒工程にて、濃度7wt%のポリビニルアルコール水溶液をバインダー液として用いたことを除き、実施例1と同様の工程を経て、実施例4に係る化学蓄熱体造粒物を製造した。
(実施例5)
核粒子製造工程及び造粒工程にて、濃度9wt%のポリビニルアルコール水溶液をバインダー液として用いたことを除き、実施例1と同様の工程を経て、実施例5に係る化学蓄熱体造粒物を製造した。
核粒子製造工程及び造粒工程にて、濃度9wt%のポリビニルアルコール水溶液をバインダー液として用いたことを除き、実施例1と同様の工程を経て、実施例5に係る化学蓄熱体造粒物を製造した。
(実施例6)
コーティング工程にて、体積平均粒径約10nmのシリカ微粒子に代えて、体積平均粒径約12nmのアルミナ微粒子を用いたことを除き、実施例1と同様の工程を経て、実施例6に係る化学蓄熱体造粒物を製造した。
コーティング工程にて、体積平均粒径約10nmのシリカ微粒子に代えて、体積平均粒径約12nmのアルミナ微粒子を用いたことを除き、実施例1と同様の工程を経て、実施例6に係る化学蓄熱体造粒物を製造した。
(実施例7)
コーティング工程にて、体積平均粒径約10nmのシリカ微粒子に代えて、体積平均粒径約15nmのジルコニア微粒子を用いたことを除き、実施例1と同様の工程を経て、実施例7に係る化学蓄熱体造粒物を製造した。
コーティング工程にて、体積平均粒径約10nmのシリカ微粒子に代えて、体積平均粒径約15nmのジルコニア微粒子を用いたことを除き、実施例1と同様の工程を経て、実施例7に係る化学蓄熱体造粒物を製造した。
(実施例8)
コーティング工程にて、体積平均粒径約10nmのシリカ微粒子に代えて、体積平均粒径約10nmのチタニア微粒子を用いたことを除き、実施例1と同様の工程を経て、実施例8に係る化学蓄熱体造粒物を製造した。
コーティング工程にて、体積平均粒径約10nmのシリカ微粒子に代えて、体積平均粒径約10nmのチタニア微粒子を用いたことを除き、実施例1と同様の工程を経て、実施例8に係る化学蓄熱体造粒物を製造した。
(実施例9)
核粒子製造工程及び造粒工程にて、水酸化カルシウム粉末に代えて、水酸化マグネシウム粉末(和光純薬工業株式会社製)を用いたことを除き、実施例1と同様の工程を経て、実施例9に係る化学蓄熱体造粒物を製造した。
核粒子製造工程及び造粒工程にて、水酸化カルシウム粉末に代えて、水酸化マグネシウム粉末(和光純薬工業株式会社製)を用いたことを除き、実施例1と同様の工程を経て、実施例9に係る化学蓄熱体造粒物を製造した。
(実施例10)
コーティング工程にて、コーティング層の重量比が、化学蓄熱体造粒物(化学蓄熱粒子及びコーティング層)に対して0.5wt%となるように、化学蓄熱粒子とシリカ分散PGM液との混合比を調整したことを除き、実施例1と同様の工程を経て、実施例10に係る化学蓄熱体造粒物を製造した。
コーティング工程にて、コーティング層の重量比が、化学蓄熱体造粒物(化学蓄熱粒子及びコーティング層)に対して0.5wt%となるように、化学蓄熱粒子とシリカ分散PGM液との混合比を調整したことを除き、実施例1と同様の工程を経て、実施例10に係る化学蓄熱体造粒物を製造した。
(実施例11)
コーティング工程にて、コーティング層の重量比が、化学蓄熱体造粒物(化学蓄熱粒子及びコーティング層)に対して1.0wt%となるように、化学蓄熱粒子とシリカ分散PGM液との混合比を調整したことを除き、実施例1と同様の工程を経て、実施例11に係る化学蓄熱体造粒物を製造した。
コーティング工程にて、コーティング層の重量比が、化学蓄熱体造粒物(化学蓄熱粒子及びコーティング層)に対して1.0wt%となるように、化学蓄熱粒子とシリカ分散PGM液との混合比を調整したことを除き、実施例1と同様の工程を経て、実施例11に係る化学蓄熱体造粒物を製造した。
(実施例12)
コーティング工程にて、コーティング層の重量比が、化学蓄熱体造粒物(化学蓄熱粒子及びコーティング層)に対して10wt%となるように、化学蓄熱粒子とシリカ分散PGM液との混合比を調整したことを除き、実施例1と同様の工程を経て、実施例12に係る化学蓄熱体造粒物を製造した。
コーティング工程にて、コーティング層の重量比が、化学蓄熱体造粒物(化学蓄熱粒子及びコーティング層)に対して10wt%となるように、化学蓄熱粒子とシリカ分散PGM液との混合比を調整したことを除き、実施例1と同様の工程を経て、実施例12に係る化学蓄熱体造粒物を製造した。
(実施例13)
コーティング工程にて、コーティング層の重量比が、化学蓄熱体造粒物(化学蓄熱粒子及びコーティング層)に対して20wt%となるように、化学蓄熱粒子とシリカ分散PGM液との混合比を調整したことを除き、実施例1と同様の工程を経て、実施例13に係る化学蓄熱体造粒物を製造した。
コーティング工程にて、コーティング層の重量比が、化学蓄熱体造粒物(化学蓄熱粒子及びコーティング層)に対して20wt%となるように、化学蓄熱粒子とシリカ分散PGM液との混合比を調整したことを除き、実施例1と同様の工程を経て、実施例13に係る化学蓄熱体造粒物を製造した。
(比較例1)
実施例1に記載の核粒子製造工程及び造粒工程に代えて、押出工程により、化学蓄熱粒子を造粒した。この押出工程では、まず、1000gの水酸化カルシウム粉末(和光純薬工業株式会社製、試薬特級)を用意し、この水酸化カルシウム粉末を、バインダー液としての、濃度5wt%のポリビニルアルコール水溶液(和光純薬工業株式会社製、重合度:約500)に投入し、攪拌することにより、スラリーを作製した。そして、作製したスラリーを、株式会社ダルトン製の押出造粒機マルチグランMG−55型に投入し、押出造粒機を作動させた。これにより、直径1mm、高さ約1mmの円柱状のスラリー状固形物を得た。得られたスラリー状固形物を、60℃で1時間乾燥させた後、目開き600μmの篩を用いて篩い分けすることにより、微粉末を取り除いた。その後さらに、750℃で15分間、空気中にて焼成を行い、バインダー(ポリビニルアルコール)を脱脂した。このようにして、円柱形状の化学蓄熱粒子を造粒した。また、得られた化学蓄熱粒子を用いて、実施例1に記載のコーティング工程を実施した。これにより、化学蓄熱粒子の表面にシリカ微粒子(ナノ粒子)からなるコーティング層が形成される。
実施例1に記載の核粒子製造工程及び造粒工程に代えて、押出工程により、化学蓄熱粒子を造粒した。この押出工程では、まず、1000gの水酸化カルシウム粉末(和光純薬工業株式会社製、試薬特級)を用意し、この水酸化カルシウム粉末を、バインダー液としての、濃度5wt%のポリビニルアルコール水溶液(和光純薬工業株式会社製、重合度:約500)に投入し、攪拌することにより、スラリーを作製した。そして、作製したスラリーを、株式会社ダルトン製の押出造粒機マルチグランMG−55型に投入し、押出造粒機を作動させた。これにより、直径1mm、高さ約1mmの円柱状のスラリー状固形物を得た。得られたスラリー状固形物を、60℃で1時間乾燥させた後、目開き600μmの篩を用いて篩い分けすることにより、微粉末を取り除いた。その後さらに、750℃で15分間、空気中にて焼成を行い、バインダー(ポリビニルアルコール)を脱脂した。このようにして、円柱形状の化学蓄熱粒子を造粒した。また、得られた化学蓄熱粒子を用いて、実施例1に記載のコーティング工程を実施した。これにより、化学蓄熱粒子の表面にシリカ微粒子(ナノ粒子)からなるコーティング層が形成される。
以上の工程(押出工程、コーティング工程)を経て、比較例1に係る化学蓄熱体造粒物を製造した。図2は、比較例1に係る化学蓄熱体造粒物のSEM画像(倍率50倍)である。図2からわかるように、比較例1に係る化学蓄熱体造粒物は、円柱形状を呈する。
(比較例2)
実施例1に記載の核粒子製造工程及び造粒工程にて、濃度0.5wt%のポリビニルアルコール水溶液をバインダー液として用いたことを除き、実施例1と同様の工程を経て、比較例2に係る化学蓄熱体造粒物を製造した。
実施例1に記載の核粒子製造工程及び造粒工程にて、濃度0.5wt%のポリビニルアルコール水溶液をバインダー液として用いたことを除き、実施例1と同様の工程を経て、比較例2に係る化学蓄熱体造粒物を製造した。
(比較例3)
実施例1に記載の核粒子製造工程及び造粒工程にて、濃度12wt%のポリビニルアルコール水溶液をバインダー液として用いたことを除き、実施例1と同様の工程を経て、比較例3に係る化学蓄熱体造粒物を製造した。
実施例1に記載の核粒子製造工程及び造粒工程にて、濃度12wt%のポリビニルアルコール水溶液をバインダー液として用いたことを除き、実施例1と同様の工程を経て、比較例3に係る化学蓄熱体造粒物を製造した。
(比較例4)
実施例1に記載のコーティング工程を実施せず、実施例1に記載の核粒子製造工程及び造粒工程を実施して、比較例4に係る化学蓄熱体造粒物を製造した。図3Aは、比較例4に係る化学蓄熱体造粒物のSEM画像(倍率50倍)である。図3Aに示すように、比較例4に係る化学蓄熱体造粒物の形状は、図1Aに示す実施例1に係る化学蓄熱体造粒物よりも若干歪な形状であるが、球形状に比較的近い。また、図3Bは、比較例4に係る化学蓄熱体造粒物の表面を示すSEM画像(倍率400倍)である。図3Bに示すように、比較例4に係る化学蓄熱体造粒物の表面は、コーティング膜が形成されていないためにざらついており、且つ、凹凸量が、図1Cに示す実施例1に係る化学蓄熱体造粒物の表面の凹凸量よりも多いことがわかる。
実施例1に記載のコーティング工程を実施せず、実施例1に記載の核粒子製造工程及び造粒工程を実施して、比較例4に係る化学蓄熱体造粒物を製造した。図3Aは、比較例4に係る化学蓄熱体造粒物のSEM画像(倍率50倍)である。図3Aに示すように、比較例4に係る化学蓄熱体造粒物の形状は、図1Aに示す実施例1に係る化学蓄熱体造粒物よりも若干歪な形状であるが、球形状に比較的近い。また、図3Bは、比較例4に係る化学蓄熱体造粒物の表面を示すSEM画像(倍率400倍)である。図3Bに示すように、比較例4に係る化学蓄熱体造粒物の表面は、コーティング膜が形成されていないためにざらついており、且つ、凹凸量が、図1Cに示す実施例1に係る化学蓄熱体造粒物の表面の凹凸量よりも多いことがわかる。
(円形度の測定)
上記した各例に係る化学蓄熱体造粒物について、円形度Rを測定した。円形度Rの測定は、株式会社セイシン企業製の粉体画像解析装置PITA−03を用いて実施した。この場合において、まず、装置内に設けられたフローセルの内部を所定方向に流れている流体の流れに沿うように測定対象の化学蓄熱体造粒物をフローセル内に流す。化学蓄熱体造粒物がフローセル内の観察ゾーンを通過する際に、カメラで化学蓄熱体造粒物の画像を流れ方向に垂直な方向から撮影する。撮影された画像を解析することにより、撮影された化学蓄熱体造粒物の投影面積S及び輪郭長Lを測定し、測定した投影面積S及び輪郭長Lから、円形度を導出する。このような円形度の導出を、一つの実施例又は比較例について1000個の化学蓄熱体造粒物に対して行い、得られた1000個の化学蓄熱体造粒物の円形度を算術平均することにより、円形度Rを求めた。
上記した各例に係る化学蓄熱体造粒物について、円形度Rを測定した。円形度Rの測定は、株式会社セイシン企業製の粉体画像解析装置PITA−03を用いて実施した。この場合において、まず、装置内に設けられたフローセルの内部を所定方向に流れている流体の流れに沿うように測定対象の化学蓄熱体造粒物をフローセル内に流す。化学蓄熱体造粒物がフローセル内の観察ゾーンを通過する際に、カメラで化学蓄熱体造粒物の画像を流れ方向に垂直な方向から撮影する。撮影された画像を解析することにより、撮影された化学蓄熱体造粒物の投影面積S及び輪郭長Lを測定し、測定した投影面積S及び輪郭長Lから、円形度を導出する。このような円形度の導出を、一つの実施例又は比較例について1000個の化学蓄熱体造粒物に対して行い、得られた1000個の化学蓄熱体造粒物の円形度を算術平均することにより、円形度Rを求めた。
(比表面積の測定)
各例に係る化学蓄熱体造粒物において、コーティング膜が形成される前の化学蓄熱粒子の比表面積(比較例4においては化学蓄熱体造粒物の比表面積)を測定した。この場合において、Quantachrome社製の比表面積測定装置NOVA2000を用いて、JISR1626−1996に準拠した気体吸着BET法(吸着物質:窒素分子)により、比表面積を測定した。測定にあたり、測定試料(化学蓄熱粒子)を事前に750℃で15分間、空気中にて焼成して酸化物に化学変化させた。また、この酸化物を測定の直前に250℃、0.7Pa以下の減圧下で3時間熱処理し、その後、比表面積を測定した。
各例に係る化学蓄熱体造粒物において、コーティング膜が形成される前の化学蓄熱粒子の比表面積(比較例4においては化学蓄熱体造粒物の比表面積)を測定した。この場合において、Quantachrome社製の比表面積測定装置NOVA2000を用いて、JISR1626−1996に準拠した気体吸着BET法(吸着物質:窒素分子)により、比表面積を測定した。測定にあたり、測定試料(化学蓄熱粒子)を事前に750℃で15分間、空気中にて焼成して酸化物に化学変化させた。また、この酸化物を測定の直前に250℃、0.7Pa以下の減圧下で3時間熱処理し、その後、比表面積を測定した。
(反応率の測定)
各例に係る化学蓄熱体造粒物の主反応の反応率を測定した。反応率は、酸化物状態の化学蓄熱体造粒物を発熱反応(水和反応)させ、その発熱反応が飽和した際における重量増加分に基づいて算出した。具体的な反応率の測定(算出)手順は、以下の通りである。
各例に係る化学蓄熱体造粒物の主反応の反応率を測定した。反応率は、酸化物状態の化学蓄熱体造粒物を発熱反応(水和反応)させ、その発熱反応が飽和した際における重量増加分に基づいて算出した。具体的な反応率の測定(算出)手順は、以下の通りである。
まず、各例に係る化学蓄熱体造粒物のサンプルを15mg程度アルミナ製パンに採取し、採取したサンプルを、水蒸気が導入可能なTG−DTA装置(示差熱熱分析同時測定装置)に投入した。その次に、投入したサンプルを所定温度まで昇温させてサンプルを脱水し、酸化物状態にした。なお、この昇温温度は化学蓄熱粒子の材質により異なり、化学蓄熱粒子が水酸化カルシウムである場合は500℃まで昇温させ、化学蓄熱粒子が水酸化マグネシウムである場合は400℃まで昇温させた。その後、サンプルを降温させた。80℃まで降温したときに、装置内に水蒸気を含む窒素ガスを導入した。これによりサンプルの発熱反応(水和反応)が開始する。発熱反応が進行すると、サンプルの重量が増加する。サンプルの重量を逐次的に測定し、重量増加が飽和する十分な時間(例えば約60分)が経過した時点で重量の測定を停止した。次いで、初期(酸化状態)におけるサンプルの重量と、重量測定の停止時におけるサンプルの重量との差を実重量増加分として求めた。そして、15mgのサンプルが完全に水和したときにおける重量増加分の理論値に対する実重量増加分の比率の百分率を、反応率(%)として算出した。
(昇温温度の測定)
各例に係る化学蓄熱体造粒物について、昇温温度ΔTを測定した。ここで、昇温温度ΔTは、各例に係る化学蓄熱体造粒物に、化学式(1)又は化学式(2)に示す発熱反応を起こさせた場合における、初期温度(酸化状態のときの温度)と最高到達温度との温度差を表す。従って、初期温度が80℃であり、最高到達温度が180℃である場合、昇温温度ΔTは100℃である。
各例に係る化学蓄熱体造粒物について、昇温温度ΔTを測定した。ここで、昇温温度ΔTは、各例に係る化学蓄熱体造粒物に、化学式(1)又は化学式(2)に示す発熱反応を起こさせた場合における、初期温度(酸化状態のときの温度)と最高到達温度との温度差を表す。従って、初期温度が80℃であり、最高到達温度が180℃である場合、昇温温度ΔTは100℃である。
昇温温度を測定するにあたり、図4に示す昇温装置が用いられる。図4に示すように、昇温装置10は、反応容器11と、水蒸気発生器12と、真空ポンプ13と、マントルヒータ14と、第一配管15と、第二配管16と、第三配管17と、第一バルブ18と、第二バルブ19と、第三バルブ20とを備える。
反応容器11内に、各例に係る一定量の化学蓄熱体造粒物が投入される。この反応容器11の周囲を取り囲むようにマントルヒータ14配設される。マントルヒータ14は、図示しない電源から電力が供給されることにより発熱して、反応容器11及びその内部に投入される化学蓄熱体造粒物を加熱する。
水蒸気発生器12は、ケース121と、貯水槽122と、ヒータ123を備える。貯水槽122及びヒータ123は、ケース121内に収納される。貯水槽121内に水が充填される。また、ヒータ122は貯水槽121の回りに配設される。ヒータ122は、図示しない電源から電力が供給されることにより発熱して、貯水槽121及びその内部に充填される水を加熱する。
第一配管15は、その一端にて、水蒸気発生器12のケース121内の空間に連通するように、水蒸気発生器12に接続される。また、第二配管16は、その一端にて、反応容器11内の空間に連通するように、反応容器11に接続される。また、第三配管17は、その一端にて、真空ポンプ13の吸引口に接続される。そして、第一配管15の他端、第二配管16の他端、及び第三配管17の他端が、図1のA点で合流する。
第一配管15の途中に第一バルブ18が介装され、第二配管16の途中に第二バルブが介装され、第三配管17の途中に第三バルブが介装される。これらのバルブ18,19,0は、開閉バルブである。
上記構成の昇温装置1を用いた昇温温度の測定手順を以下に示す。
(手順1)
まず、反応容器11内に一定量の化学蓄熱体造粒物を投入する。次いで、水蒸気発生器12の貯水槽122に所定量の水を充填する。
まず、反応容器11内に一定量の化学蓄熱体造粒物を投入する。次いで、水蒸気発生器12の貯水槽122に所定量の水を充填する。
(手順2)
次に、第一バルブ18、第二バルブ19、第三バルブ20を、全て閉弁させる。また、水蒸気発生器12のヒータ123を作動させて、貯水槽122内の水を50℃に加熱する。これにより、温度50℃の水蒸気が発生する。
次に、第一バルブ18、第二バルブ19、第三バルブ20を、全て閉弁させる。また、水蒸気発生器12のヒータ123を作動させて、貯水槽122内の水を50℃に加熱する。これにより、温度50℃の水蒸気が発生する。
(手順3)
続いて、第二バルブ19及び第三バルブ20を開弁させる。これにより、反応容器11の内部空間が、第二配管16及び第三配管17を通じて、真空ポンプ13の吸引口に接続される。また、マントルヒータ14及び真空ポンプ13を作動させる。真空ポンプ13の作動により、反応容器11が真空引きされる。また、マントルヒータ14の作動により反応容器11内の化学蓄熱体造粒物が目標温度(500℃又は400℃)まで加熱される。この加熱により吸熱反応が起こり、反応容器11内の化学蓄熱体造粒物が酸化物に化学変化する。なお、反応容器11内の化学蓄熱体造粒物の温度は、反応容器11内に配設された熱電対21により検出される。
続いて、第二バルブ19及び第三バルブ20を開弁させる。これにより、反応容器11の内部空間が、第二配管16及び第三配管17を通じて、真空ポンプ13の吸引口に接続される。また、マントルヒータ14及び真空ポンプ13を作動させる。真空ポンプ13の作動により、反応容器11が真空引きされる。また、マントルヒータ14の作動により反応容器11内の化学蓄熱体造粒物が目標温度(500℃又は400℃)まで加熱される。この加熱により吸熱反応が起こり、反応容器11内の化学蓄熱体造粒物が酸化物に化学変化する。なお、反応容器11内の化学蓄熱体造粒物の温度は、反応容器11内に配設された熱電対21により検出される。
(手順4)
反応容器11内の化学蓄熱体造粒物の温度が目標温度に達したら、マントルヒータ14の作動を停止させ、反応容器11内の化学蓄熱体造粒物を自然冷却させる。反応容器11内の化学蓄熱体造粒物の温度が80℃まで低下したら、第三バルブ20を閉弁させるとともに第一バルブ18を開弁させる。これにより、水蒸気発生器12のケース121内の空間が、第一配管15及び第二配管16を通じて、反応容器11内の空間に連通する。このため、水蒸気発生器12のケース121内にて生成されていた水蒸気が反応容器11内に導入される。反応容器11内への水蒸気の導入により、反応容器11内の化学蓄熱体造粒物が水蒸気と接触して発熱反応(水和反応)が開始される。これにより、化学蓄熱体造粒物が放熱する。このとき化学蓄熱体造粒物の温度(昇温温度)が熱電対21により検出される。発熱反応が終了して、化学蓄熱体造粒物の温度が低下し始めたら、上記手順2に戻り、手順2〜手順4を繰り返す。
反応容器11内の化学蓄熱体造粒物の温度が目標温度に達したら、マントルヒータ14の作動を停止させ、反応容器11内の化学蓄熱体造粒物を自然冷却させる。反応容器11内の化学蓄熱体造粒物の温度が80℃まで低下したら、第三バルブ20を閉弁させるとともに第一バルブ18を開弁させる。これにより、水蒸気発生器12のケース121内の空間が、第一配管15及び第二配管16を通じて、反応容器11内の空間に連通する。このため、水蒸気発生器12のケース121内にて生成されていた水蒸気が反応容器11内に導入される。反応容器11内への水蒸気の導入により、反応容器11内の化学蓄熱体造粒物が水蒸気と接触して発熱反応(水和反応)が開始される。これにより、化学蓄熱体造粒物が放熱する。このとき化学蓄熱体造粒物の温度(昇温温度)が熱電対21により検出される。発熱反応が終了して、化学蓄熱体造粒物の温度が低下し始めたら、上記手順2に戻り、手順2〜手順4を繰り返す。
上記した手順の繰り返しにより、各例に係る化学蓄熱体造粒物について複数サイクルの温度測定が繰り返される。ここでは、各例に係る化学蓄熱体造粒物について10サイクルの温度測定が繰り返し実行される。また、各サイクルにおける発熱反応開始時の温度(80℃)と最高到達温度との温度差を求める。そして、各サイクルについてそれぞれ求めた温度差の算術平均値を、化学蓄熱体造粒物についての昇温温度ΔTとした。このようにして、昇温温度ΔTを、各例に係る化学蓄熱体造粒物のそれぞれについて、求めた。
(強度の測定)
各例に係る化学蓄熱体造粒物を1個ずつ圧潰させ、圧潰時における破壊荷重と圧潰した化学蓄熱体造粒物の円相当径から、単位面積当たりにおける破壊荷重(単位:gf/mm2)を強度として求めた。各例について100個の化学蓄熱体造粒物の強度を求め、100個の化学蓄熱体造粒物の強度の算術平均値を算出した。算出した算出平均値を、各例に係る化学蓄熱体造粒物の強度とした。この強度測定には、株式会社セイシン企業製の全自動粉粒体硬度測定器BHT−500が用いられた。
各例に係る化学蓄熱体造粒物を1個ずつ圧潰させ、圧潰時における破壊荷重と圧潰した化学蓄熱体造粒物の円相当径から、単位面積当たりにおける破壊荷重(単位:gf/mm2)を強度として求めた。各例について100個の化学蓄熱体造粒物の強度を求め、100個の化学蓄熱体造粒物の強度の算術平均値を算出した。算出した算出平均値を、各例に係る化学蓄熱体造粒物の強度とした。この強度測定には、株式会社セイシン企業製の全自動粉粒体硬度測定器BHT−500が用いられた。
(反応耐久性の測定)
各例に係る化学蓄熱体造粒物のそれぞれについて、図4に示す昇温装置10を用いて、1000サイクルの温度測定を行った。そして、以下の式に基づいて、昇温温度ΔTの低下率P(%)を求めた。求めた低下率Pを反応耐久性の指標とした。
P=−(ΔT1−10−ΔT990−1000)/ΔT1−10×100
上記式において、ΔT1−10は、初期(1サイクル目〜10サイクル目)における昇温温度ΔTの算術平均値であり、ΔT990−1000は、終期(990サイクル目〜1000サイクル目)における昇温温度ΔTの算術平均値である。
各例に係る化学蓄熱体造粒物のそれぞれについて、図4に示す昇温装置10を用いて、1000サイクルの温度測定を行った。そして、以下の式に基づいて、昇温温度ΔTの低下率P(%)を求めた。求めた低下率Pを反応耐久性の指標とした。
P=−(ΔT1−10−ΔT990−1000)/ΔT1−10×100
上記式において、ΔT1−10は、初期(1サイクル目〜10サイクル目)における昇温温度ΔTの算術平均値であり、ΔT990−1000は、終期(990サイクル目〜1000サイクル目)における昇温温度ΔTの算術平均値である。
表1に、各例についての円形度R、比表面積、反応率、昇温温度ΔT、強度、反応耐久性(低下率P)の測定結果を、化学蓄熱粒子の水和時の構成成分、コーティング膜の成分及び重量比(添加量)とともに、示す。
(測定結果の考察)
実施例1〜13に係る化学蓄熱体造粒物において、昇温温度ΔTはいずれも100℃以上である。また、実施例1〜13に係る化学蓄熱体造粒物において、反応耐久性を表す昇温温度ΔTの低下率Pは−12%を下回ることはない。なお、低下率Pの絶対値が小さい場合、長期に亘って化学蓄熱体造粒物を繰り返し使用しても、蓄熱性能(蓄熱密度)がさほど低下しない。つまり、低下率Pの絶対値が小さい場合、反応耐久性が高い。また、実施例1〜13に係る化学蓄熱体造粒物において、強度はいずれも50gf/mm2以上である。また、実施例1〜13に係る化学蓄熱体造粒物が備える化学蓄熱粒子の比表面積は、2g/mm2以上且つ203g/mm2以下である。
実施例1〜13に係る化学蓄熱体造粒物において、昇温温度ΔTはいずれも100℃以上である。また、実施例1〜13に係る化学蓄熱体造粒物において、反応耐久性を表す昇温温度ΔTの低下率Pは−12%を下回ることはない。なお、低下率Pの絶対値が小さい場合、長期に亘って化学蓄熱体造粒物を繰り返し使用しても、蓄熱性能(蓄熱密度)がさほど低下しない。つまり、低下率Pの絶対値が小さい場合、反応耐久性が高い。また、実施例1〜13に係る化学蓄熱体造粒物において、強度はいずれも50gf/mm2以上である。また、実施例1〜13に係る化学蓄熱体造粒物が備える化学蓄熱粒子の比表面積は、2g/mm2以上且つ203g/mm2以下である。
また、実施例1,3,4,5に係る各化学蓄熱体造粒物は、核粒子製造工程及び造粒工程にて用いたバインダー液(ポリビニルアルコール水溶液)の濃度が異なることを除き、同様の工程を経て製造される。これらの各例におけるバインダー液の濃度の相違を具体的に言えば、実施例3において用いられたバインダー液の濃度(1wt%)が最も低く、実施例1において用いられたバインダー液の濃度(5wt%)が次に低く、実施例4において用いられたバインダー液の濃度(7wt%)がその次に低く、実施例5において用いられたバインダー液の濃度(9wt%)が最も高い。また、バインダー液の濃度が最も低い実施例3に係る化学蓄熱粒子の比表面積は2g/mm2、バインダー液の濃度が次に低い実施例1に係る化学蓄熱粒子の比表面積は4g/mm2、バインダー液の濃度がその次に低い実施例4に係る化学蓄熱粒子の比表面積は24g/mm2、バインダー液の濃度が最も高い実施例5に係る化学蓄熱粒子の比表面積は203g/mm2である。このことから、バインダー液の濃度が高いほど、比表面積が大きいことがわかる。この理由は、以下のようであると考えられる。すなわち、核粒子製造工程及び造粒工程にて用いるバインダーは、化学蓄熱粒子の製造過程で化学蓄熱粒子内に入り込む。化学蓄熱粒子内に入り込んだバインダーは最終的に除去される。すると、化学蓄熱粒子の表面のうちバインダーが存在していた部分が空隙となる。ここで、バインダー液の濃度が高いほど、化学蓄熱粒子の製造過程で化学蓄熱粒子内に入り込むバインダーの量が多く、それ故に、化学蓄熱粒子の表面に形成される空隙の量も多い。この空隙が多いほど、化学蓄熱粒子の表面形状が複雑化する。従って、バインダー液の濃度が高いほど、化学蓄熱粒子の表面形状が複雑化して、比表面積が大きくなる。
また、比較例1に係る化学蓄熱体造粒物の反応耐久性(低下率P=−23%)は、実施例1〜13に係る化学蓄熱体造粒物の反応耐久性(低下率P=−1〜−12%)よりも低い。また、比較例1に係る化学蓄熱体造粒物の円形度R(0.75)は、実施例1〜13に係る化学蓄熱体造粒物の円形度R(0.8以上)よりも小さい。これらのことから、円形度Rが小さいほど反応耐久性が低く、円形度Rが大きいほど反応耐久性が高いことがわかる。また、低下率Pが−20%以上であるような高い反応耐久性を得るためには、実施例1〜13に係る化学蓄熱体造粒物のように、円形度Rが0.8以上である必要があることがわかる。なお、円形度Rが高いほど反応耐久性が高くなる理由については前述したので、ここでの説明は省略する。
また、比較例4に係る化学蓄熱体造粒物にはコーティング膜が設けられておらず、このため、強度は20gf/mm2と低い。これに対し、強度が50gf/mm2と高い実施例1〜13に係る化学蓄熱体造粒物が備える化学蓄熱粒子の表面には、シリカ粒子からなるコーティング膜が形成されている。このことから、実施例1〜13に係る化学蓄熱体造粒物によれば、コーティング膜により化学蓄熱粒子が補強されることにより、強度が高められることがわかる。
また、比較例2に係る化学蓄熱粒子の比表面積は0.5g/mm2であり、比較的小さい。従って、発熱反応時に化学蓄熱粒子の内部に十分な反応ガスを取り込むことができない。それ故に、比較例2では、反応率が41%と低く、且つ、昇温温度ΔTも25℃と低い。昇温温度ΔTは、化学蓄熱体造粒物の放熱或は熱回収に関する性能(蓄熱性能)の高低を表し、昇温温度ΔTが大きいほど放熱或は熱回収が速く行われ、昇温温度ΔTが小さいほど放熱或は熱回収がゆっくり行われる。従って、昇温温度ΔTが小さい比較例2に係る化学蓄熱体造粒物の蓄熱性能は低い。これに対し、反応率が50%以上と高く、且つ昇温温度ΔTも100℃以上と高い実施例1〜13に係る化学蓄熱体造粒物が備える化学蓄熱粒子の比表面積は、2g/mm2以上である。このことから、化学蓄熱体造粒物が備える化学蓄熱粒子の比表面積が2g/mm2以上であることにより、蓄熱性能が十分に高められることがわかる。
また、比較例3に係る化学蓄熱体造粒物の比表面積は351g/mm2と非常に大きい。このため発熱反応時に化学蓄熱体粒子内に多量の反応ガスが入り込む。よって、反応率が100%に達する。反応率が100%である場合、反応に伴う体積変化(体積膨張)が大きい。よって、発熱反応時に隣接する化学蓄熱体造粒物間に生じる接触荷重が大きく、そのため化学蓄熱体造粒物の微粉化が進む。従って、比較例3に係る化学蓄熱体造粒物の反応耐久性は38%と低い。加えて、比表面積が大き過ぎる場合、化学蓄熱粒子内部に存在する空隙が多すぎることに起因して強度が低下する。従って、比較例3に係る化学蓄熱体造粒物の強度は18gf/mm2と低い。また、強度が低いことによっても、微粉化が促進されるため、反応耐久性も低下する。
これに対し、反応耐久性が−12%以上と高く且つ強度が50g/mm2以上と高い実施例1〜13に係る化学蓄熱体造粒物が備える化学蓄熱粒子の比表面積は、203g/mm2以下である。比表面積が203g/mm2以下であると、化学蓄熱粒子内に入り込む反応ガスの量を適度に抑制することができる。このため、反応率を100%未満に抑えることができ、これにより、発熱反応に伴う化学蓄熱体造粒物の体積膨張量を適度に抑制することができる。体積膨張量が適度に抑制された場合、発熱反応時に隣接する化学蓄熱体造粒物間に生じる接触荷重の増大を抑えることができる。そのため、化学蓄熱体造粒物の微粉化がより抑えられ、その結果、反応耐久性をより一層向上させることができる。さらに、比表面積が203g/mm2以下である場合、一定の強度を維持することができる。つまり、化学蓄熱粒子の比表面積を、2g/mm2以上且つ203g/mm2以下の範囲内に調整することにより、一定の強度及び反応耐久性を維持しつつ、蓄熱性能を高めることができる。
以上のことから、実施例1〜13に係る化学蓄熱体造粒物は、円形度Rが0.8以上であり、化学蓄熱粒子の比表面積が2g/mm2以上且つ203g/mm2以下であり、且つ、化学蓄熱粒子の表面にコーティング膜が形成されているように構成されるため、反応耐久性、強度、蓄熱性能がいずれも高いことがわかる。すなわち、本実施形態によれば、耐久性、強度、蓄放性能がいずれも高い化学蓄熱体造粒物を提供することができる。
また、実施例1〜8、10〜13に係る化学蓄熱体造粒物が備える化学蓄熱粒子はカルシウムを含み、実施例9に係る化学蓄熱体造粒物が備える化学蓄熱粒子はマグネシウムを含む。いずれの成分を含む場合においても、蓄熱性能が優れていることがわかる。
また、実施例1〜5、実施例9〜13に係る化学蓄熱体造粒物が備えるコーティング膜はシリカ粒子により構成され、実施例6に係る化学蓄熱体造粒物が備えるコーティング膜はアルミナ粒子により構成され、実施例7に係る化学蓄熱体造粒物が備えるコーティング膜はジルコニア粒子により構成され、実施例8に係る化学蓄熱体造粒物が備えるコーティング膜はチタニア粒子により構成される。コーティング膜が上記したいずれの粒子で構成されている場合においても、強度が高いことがわかる。
また、実施例10に係る化学蓄熱体造粒物が備えるコーティング膜の重量比(添加量)は0.5wt%であり、実施例11に係る化学蓄熱体造粒物が備えるコーティング膜の重量比は1wt%であり、実施例1に係る化学蓄熱体造粒物が備えるコーティング膜の重量比は5wt%であり、実施例12に係る化学蓄熱体造粒物が備えるコーティング膜の重量比は10wt%であり、実施例13に係る化学蓄熱体造粒物が備えるコーティング膜の重量比は20wt%である。これらの例に係る化学蓄熱体造粒物の強度は高い。よって、コーティング膜の重量比が上記の範囲内、すなわちコーティング膜の重量比が0.5wt%以上且つ20wt%以下であれば、十分に強度が高められた化学蓄熱体造粒物を形成することができる。
11…反応容器、12…水蒸気発生器、13…真空ポンプ、14…マントルヒータ、15…第一配管、16…第二配管、17…第三配管、18…第一バルブ、19…第二バルブ、20…第三バルブ、21…熱電対
Claims (4)
- 化学蓄熱可能な材料により粒子状に構成され、比表面積が2m2/g以上且つ203m2/g以下である化学蓄熱粒子と、
前記化学蓄熱粒子の表面に形成された多孔質状のコーティング膜と、を備え、
下記式で定義される円形度Rが0.8以上である、化学蓄熱体造粒物。
R=4πS/L2
S:化学蓄熱体造粒物の投影面積
L:化学蓄熱体造粒物の輪郭線の長さ - 請求項1に記載の化学蓄熱体造粒物において、
前記化学蓄熱粒子が、カルシウム又はマグネシウムを含む、化学蓄熱体造粒物。 - 請求項1又は2に記載の化学蓄熱体造粒物において、
前記コーティング膜が、ケイ素、チタン、アルミニウム、ジルコニウム、からなる群より選択される少なくとも一つを含む化合物により形成される、化学蓄熱体造粒物。 - 請求項3に記載の化学蓄熱体造粒物において、
前記コーティング膜が、シリカ粒子、チタニア粒子、アルミナ粒子、ジルコニア粒子、窒化アルミニウム粒子、炭化ケイ素粒子からなる群より選択される少なくとも一つにより形成される、化学蓄熱体造粒物。
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JP7332316B2 (ja) | 2019-03-28 | 2023-08-23 | タテホ化学工業株式会社 | 化学蓄熱用造粒体の製造方法 |
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